JP2019137881A - 方向性電磁鋼板の製造方法 - Google Patents

方向性電磁鋼板の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2019137881A
JP2019137881A JP2018020455A JP2018020455A JP2019137881A JP 2019137881 A JP2019137881 A JP 2019137881A JP 2018020455 A JP2018020455 A JP 2018020455A JP 2018020455 A JP2018020455 A JP 2018020455A JP 2019137881 A JP2019137881 A JP 2019137881A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
mass
steel sheet
grain
oriented electrical
annealing
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2018020455A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6863310B2 (ja
Inventor
之啓 新垣
Yukihiro Aragaki
之啓 新垣
渡辺 誠
Makoto Watanabe
渡辺  誠
祐介 下山
Yusuke Shimoyama
祐介 下山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JFE Steel Corp
Original Assignee
JFE Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by JFE Steel Corp filed Critical JFE Steel Corp
Priority to JP2018020455A priority Critical patent/JP6863310B2/ja
Publication of JP2019137881A publication Critical patent/JP2019137881A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6863310B2 publication Critical patent/JP6863310B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Manufacturing Of Steel Electrode Plates (AREA)
  • Soft Magnetic Materials (AREA)

Abstract

【課題】Alを100ppm未満、S、Se、Nを50ppm以下にまで抑制した成分系であって、脱炭を伴う一次再結晶焼鈍の加熱過程の昇温速度を高め、良好な鉄損特性を得ようとする場合でも、密着性の高いフォルステライト被膜を有利に形成することができる方向性電磁鋼板の製造方法を提供する。【解決手段】鋼スラブを、さらにSb、CuおよびPのいずれかを少なくとも一つ含有して残部は鉄および不可避不純物とし、上記Sb、Cu、PおよびMnが、適当な関係を満たし、かつ、上記MnおよびPを、上記一次再結晶焼鈍の500℃から700℃間の昇温速度T℃/sとの関係で適当な関係を満足する範囲で含有し、さらに、上記Tは、T≧80とする。【選択図】図1

Description

本発明は、磁気特性に優れ、かつ被膜特性に優れた方向性電磁鋼板を安価に得ることができる製造方法に関するものである。
方向性電磁鋼板は、変圧器や発電機の鉄心材料として用いられる軟磁性材料で、鉄の磁化容易軸である<001>方位が鋼板の圧延方向に高度に揃った結晶組織を有するものである。このような集合組織は、方向性電磁鋼板の製造工程中、二次再結晶焼鈍の際に、いわゆるゴス(Goss)方位と称される(110)〔001〕方位の結晶粒を優先的に巨大成長させる二次再結晶を通じて形成される。
従来、このような方向性電磁鋼板は、4.5mass%以下程度のSiと、MnS、MnSeおよびAlNなどのインヒビター成分を含有するスラブを、1300℃以上に加熱し、インヒビター成分を一旦固溶させたのち、熱間圧延し、必要に応じて熱延板焼鈍を施したのち、1回または中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延によって最終板厚とし、ついで湿潤水素雰囲気中で一次再結晶焼鈍を施して、一次再結晶および脱炭を行い、ついでマグネシア(MgO)を主剤とする焼鈍分離剤を塗布してから、二次再結晶およびインヒビター成分の純化のために、1200℃で5h程度の最終仕上焼鈍を行うことによって製造されてきた(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3)。
このように、従来の方向性電磁鋼板の製造に際しては、MnS、MnSeおよびAlNなどの析出物(インヒビター成分)をスラブ段階で含有させ、1300℃を超える高温のスラブ加熱により、これらのインヒビター成分を一旦固溶させ、後工程で微細析出させることによって二次再結晶を発現させるという工程が採用されてきた。すなわち、従来の方向性電磁鋼板の製造工程では、1300℃を超える高温でのスラブ加熱が必要であったため、その製造コストは極めて高いものとならざるを得ず、近年の製造コスト低減の要求に応えることができないというところに問題を残していた。
こうした問題を解決するために、例えば、特許文献4では酸可溶性Al(sol.Al)を0.010〜0.060mass%含有させ、スラブ加熱を低温に抑えて脱炭焼鈍工程で適正な窒化雰囲気下で窒化を行なうことにより、二次再結晶時に(Al,Si)Nをインヒビターとして用いる方法が提案されている。
この方法によれば、(Al,Si)Nは鋼中に微細分散して有効なインヒビターとして機能する。しかしながら、Alの含有量によってインヒビター強度が決まるため、製鋼でのAl的中精度が十分ではない場合は、十分な粒成長抑制力が得られずに二次再結晶が不安定になるという大きな問題点があった。
一方、スラブにインヒビター成分を含有させずに二次再結晶を発現させる技術について検討が進められ、特許文献5ではインヒビター成分を含有させなくとも二次再結晶できる技術(インヒビターレス法)が開示された。このインヒビターレス法は、より高純度化した鋼を利用し、テクスチャー(集合組織の制御)によって二次再結晶を発現させる技術である。また、インヒビターレス法では、高温のスラブ加熱が不要であり、低コストでの方向性電磁鋼板の製造が可能である。
しかしながら、このようなインヒビター形成成分を含有しない素材では、一次再結晶焼鈍時に生成する酸化被膜がデンドライト状になって、フォルステライト被膜の密着性が悪くなるという問題を残し、それに起因してさらに磁性劣化や被膜の劣化といった問題が生じていた。
これに対し、特許文献6には、鋼板の素材成分を制御することによって一次再結晶焼鈍時に形成される酸化被膜の構造を適正に変化させ、二次再結晶焼鈍後に密着性のよいフォルステライト被膜を形成する技術が開示されている。
さらに、特許文献7では、インヒビターを用いない方向性電磁鋼板に対して積極的に一次再結晶焼鈍の加熱過程の昇温速度を制御することによって集合組織を制御し、その鉄損特性を改善する技術が開発されている。
米国特許第1965559号公報 特公昭40−15644号公報 特公昭51−13469号公報 特許第2782086号公報 特開2000−129356号公報 特開2003−193134号公報 特願2012−165519号
しかしながら、特に特許文献6に述べられているようにSe、Sをほとんど含有しない方向性電磁鋼板の製造においては、本質的に一次再結晶焼鈍時に生成する酸化被膜がデンドライト状になりやすい。そのため、二次再結晶後のフォルステライト被膜の密着性が劣化しやすいという問題を残している。また、一次再結晶焼鈍の加熱過程の昇温速度を変更した場合には、一次再結晶焼鈍時に生成する酸化被膜の構造が変化して、二次再結晶後のフォルステライト被膜の密着性が劣化することがあった。
このように、これまで提案されてきた、方向性電磁鋼板の製造方法では、特に、インヒビターとしてSやSeをほとんど含有しない成分系において、良好な特性を確保しつつ良好なフォルステライト被膜密着性を実現することは難しかった。
本発明では、Alを100ppm未満、S、SeおよびOを50ppm以下、かつNを80massppm以下にまで抑制した成分系であって、脱炭を伴う一次再結晶焼鈍の加熱過程の昇温速度を高めることで、良好な鉄損特性を得ようとする場合でも、密着性の高いフォルステライト被膜を有利に形成することができる方向性電磁鋼板の製造方法を提供することを目的とする。
発明者らは、一次再結晶焼鈍時の加熱過程が一次再結晶焼鈍時に形成される酸化被膜に対して、どのような影響を与えるかについて鋭意検討を重ねた。その結果、以下の新たな知見を見出すに至った。
一次再結晶焼鈍の加熱過程の昇温速度を高めた場合、より短時間で組織の再結晶が開始する。一方、酸化被膜の形成は鋼板の脱炭と共に進行する。そのため、酸化被膜の形成は、組織の再結晶のように、昇温速度を高めただけで短時間に進むということはない。すなわち、昇温速度が速いと、すでに再結晶を終えた組織に対して酸化被膜の形成が遅れることになる。そして、このように酸化被膜の形成が遅れた場合は、すでに再結晶したその結晶面に沿って酸素の拡散が生じることによって、デンドライト状の酸化被膜が形成されやすくなることが分かった。
これは、インヒビターを用いない成分系で生じやすいデンドライト状の酸化被膜の形成が、一次再結晶焼鈍の加熱過程の昇温速度を高めることで助長されてしまっていることを意味している。すなわち、インヒビターを用いない成分系で、脱炭を伴う一次再結晶焼鈍の加熱過程で昇温速度を高めた場合に生じることがあったフォルステライト被膜密着性劣化の問題は、かかるデンドライト状の酸化被膜の生成が助長されるためであることが分かった。
そこで、発明者らは、デンドライト状酸化被膜の形成を抑制する方策、すなわち酸化被膜の緻密化を検討した。具体的には、一次再結晶焼鈍のヒートサイクルにおいて、比較的低温である700℃から800℃の温度域に着目した。これは、一般に、酸化反応は高温ほど進行しやすいからである。
低温での酸化反応であれば、再結晶した組織に対しても、酸化速度自体が遅いため、鋼板への酸素供給が十分になされない。その結果、結晶粒内への酸素の拡散が抑えられ、デンドライト状の酸化被膜の形成を抑制することができる。ただし、その場合であっても、鋼板への酸素供給量を抑えることが望ましいため、脱炭雰囲気中の水素濃度を高めることや、露点を低減した状態で実施することを併せることが望ましい。
ここで、酸化被膜の緻密化といった観点では、前記特許文献6に、Crの添加が有効であることが記載されている。しかしながら、Cr添加は、磁気特性の劣化を引き起こすほどの過剰な酸化促進があるため、酸化抑制成分としてSbないしはCuを利用することが必要になってくる。また、一次再結晶焼鈍の加熱過程の昇温速度を高めて製造性を上げる弊害として、よりデンドライト状の酸化被膜が形成しやすくなった場合においても、このような効果を有する成分を有効利用すれば、鋼板の製造性も同時に大幅に改善することができると考えられる。
そこで、一次再結晶焼鈍時に形成される酸化被膜に影響する素材成分の影響について、一次再結晶焼鈍の500℃から700℃までの加熱過程の昇温速度を150℃/sとした試料を供試材として種々調査を行った。
その結果、酸化被膜の緻密化に必要な成分あるいは、鋼板の磁気特性改善に有用な成分のうち、特にMnとPについては、酸化被膜の形成に対する影響があることを新たに見出した。すなわち、本実験条件下において、Mnは、Crと似た挙動を示し、酸化被膜の緻密化効果と鋼板の過剰な酸化促進を併せて有していることが分かった。
しかし、そのMn添加効果はCrのそれに比べて小さく、Crと同等の酸化被膜の緻密化効果を得るためには、約3倍の添加が必要であることが分かった。一方、過剰な酸化促進は、Crの約5倍の添加が必要であることが分かった。
一方、Pは、酸化被膜の緻密化効果を示す一方で、鋼板の過剰な酸化促進を抑制する効果も示すことがわかった。そして、Pの添加効果は、酸化被膜の緻密化に対しては、概ねCrと同等程度、また、過剰な酸化促進を抑制する効果としては、概ねCuと同程度であることが分かった。
本発明は上記の知見に基づき得られたものであり、本発明の要旨構成は次のとおりである。
1.C:0.08mass%以下、Si:2.0〜8.0mass%およびMn:0.005〜0.5mass%を含み、Alを100massppm未満に低減すると共に、S、SeおよびOをそれぞれ50massppm以下に、さらにNを80massppm以下に低減した成分組成を有する鋼スラブを、熱間圧延し、1回または中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延を施し、次いで脱炭を伴う一次再結晶焼鈍を行った後、焼鈍分離剤を塗布してから最終仕上焼鈍を施す、方向性電磁鋼板の製造方法において、
上記鋼スラブの成分組成は、さらにSb、CuおよびPのいずれかを少なくとも一つ含有して残部は鉄および不可避不純物とし、
上記Sb、Cu、PおよびMnが、
1≦(4[Sb(mass%)]+[Cu(mass%)]+[P(mass%)])/(1/5[Mn(mass%)])≦7・・・式1の関係を満たし、
かつ、上記MnおよびPを、上記一次再結晶焼鈍の500℃から700℃間の昇温速度:T℃/sとの関係で
(1/3[Mn(mass%)]+[P(mass%)])≧0.0002×T+0.07・・・式2
の関係を満足する範囲で含有し、
さらに、上記Tは、T≧80とする
ことを特徴とする方向性電磁鋼板の製造方法。
2.前記1に記載の方向性電磁鋼板の製造方法において、前記鋼スラブは、さらにCrを含有し、
上記鋼スラブの成分中、Sb、Cu、P、MnおよびCrが、
1≦(4[Sb(mass%)]+[Cu(mass%)]+[P(mass%)])/([Cr(mass%)]+1/5[Mn(mass%)])≦7・・・式3の関係を満たし、
かつ、前記昇温速度:T℃/sとの関係で
([Cr(mass%)]+1/3[Mn(mass%)]+[P(mass%)])≧0.0002×T+0.07・・・式4
の関係を満足する範囲で含有することを特徴とする方向性電磁鋼板の製造方法。
3.前記1または2に記載の方向性電磁鋼板の製造方法において、前記一次再結晶焼鈍の昇温過程中700℃から800℃を、H濃度:40%以上、露点:63℃以下の雰囲気下で、かつ滞留時間:5秒以上とすることを特徴とする方向性電磁鋼板の製造方法。
4.前記1乃至3に記載の方向性電磁鋼板の製造方法おいて、前記Sb、CuおよびPが、Sb:0.005〜0.50mass%、Cu:0.01〜1.50mass%およびP:0.005〜0.50mass%の範囲であることを特徴とする方向性電磁鋼板の製造方法。
5.前記2に記載の方向性電磁鋼板の製造方法において、前記Crが0.01〜1.50mass%の範囲であることを特徴とする方向性電磁鋼板の製造方法。
6.前記1乃至5に記載の方向性電磁鋼板の製造方法おいて、鋼スラブが、さらにNi:0.005〜1.50mass%、Sn:0.01〜0.50mass%、Nb:0.0005〜0.0100mass%、Mo:0.01〜0.50mass%およびBi:0.0005〜0.05mass%のうちから選んだ少なくとも1種を含有することを特徴とする方向性電磁鋼板の製造方法。
本発明によれば、インヒビターをほとんど含有しない成分系を用いて、良好な磁気特性を確保しつつ被膜密着性のよい方向性電磁鋼板の製造が可能となる。
一次再結晶焼鈍の昇温中、700〜800℃間滞留時間(秒)と曲げ剥離径(mm)との関係を示すグラフである。
以下に本発明の各構成要件の限定理由について説明する。
まず、本発明において鋼スラブの成分組成を上記の範囲に限定した理由について説明する。なお、以下の「%」「ppm」表示は特に断らない限り、それぞれmass%、massppmを意味するものとする。
C:0.08%以下
Cは、一次再結晶集合組織を改善する上で有用な元素であるが、含有量が0.08%を超えるとかえって一次再結晶集合組織の劣化を招くので、本発明では0.08%以下に限定する。なお、磁気特性の観点から望ましい添加量は、0.01〜0.06%の範囲である。また、要求される磁気特性のレベルがさほど高くない場合には、一次再結晶焼鈍における脱炭を省略あるいは簡略化するために、Cを0.01%以下としてもよい。なお、その際の下限値は、0.001%程度である。
Si:2.0〜8.0%
Siは、電気抵抗を高めることによって鉄損を改善する有用元素であるが、含有量が8.0%を超えると冷間圧延性が著しく劣化するので、Siは8.0%以下に限定する。一方、Siは、窒化物形成元素として機能させる必要があるため、2.0%以上含有させることが必要である。なお、低鉄損を確保する観点から望ましい添加量は、2.0〜4.5%の範囲である。
Mn:0.005〜0.5%
Mnは、製造時における熱間加工性を向上させる効果があるが、含有量が0.5%を超えると一次再結晶集合組織が悪化して磁気特性の劣化を招く。従って、Mnの含有量は、0.5%以下に限定する。また本発明において、Mnは、一次再結晶時、酸化被膜の稠密化の観点から特に有用な元素であるため、上記範囲を満足すると共に以下に述べる範囲を満たす必要がある。
S、SeおよびO:それぞれ50ppm以下
S、SeおよびOの含有量がそれぞれ50ppm超になると、二次再結晶が困難となる。この理由は、粗大な酸化物や、スラブ加熱によって粗大化したMnS、MnSeが一次再結晶組織を不均一にするためである。従って、S、SeおよびOは、いずれも、50ppm以下に抑制する。なお、S、SeおよびOの含有量の下限値は、0ppmでも問題はない。
Al:100ppm未満
本技術では、AlNのインヒビターは不要であるため、Al量を抑制する。また、Alは、表面に緻密な酸化膜を形成し、脱炭を阻害することがある。そのためAl量は100ppm未満に抑制する。但し、酸素親和力の高いAlは、製鋼の段階で微量添加することによって鋼中の溶存酸素量を低減し、種々の鋼板特性の劣化につながる酸化物系介在物の低減などを見込める。そのため、100ppm未満の範囲で有意に添加することによって磁性劣化を抑制することができる。なお、Alの含有量の下限値は0ppmでも問題はない。
N:80ppm以下
本発明は、インヒビターレスの鋼板の製造方法を適用し、集合組織の作り込みまでを行なうため、Nは80ppm以下に抑制する必要がある。80ppmを超えると粒界偏析の影響や微量窒化物の形成により、集合組織が劣化するといった弊害が生じるからである。また、スラブ加熱時におけるフクレなどの欠陥の原因となる点からも、80ppm以下に抑制する必要がある。なお、望ましくは60ppm以下である。一方、Nの下限値は0ppmでも問題はない。
また、本発明の鋼スラブは、Sb、CuおよびPのいずれかを少なくとも一つ含有している必要がある。さらに、本発明において、Sb、CuおよびPは、Mn同様、一次再結晶時の酸化被膜形成制御の観点から制御が必要な元素であるため、以下に述べる範囲が望ましく、さらに以下式1乃至4に規定する範囲を満たす必要がある。
Sb:0.005〜0.50%
Sbは、鋼板の過剰な酸化を抑制する働きを有し、かつ二次再結晶時には、良好な結晶方位を有する結晶粒の二次再結晶を促進して磁気特性を効果的に向上させる有用元素である。その目的のためには0.005%以上含有させることが好ましい。一方、0.50%を超えて含有されると冷間圧延性が劣化するおそれが生じる。従って、Sbは0.005〜0.50%の範囲で含有させることが望ましい。
Cu:0.01〜1.50%
Cuは、Sbと同様に鋼板の過剰な酸化を抑制する働きがあり、二次再結晶焼鈍中、鋼板の酸化を抑制することで、良好な結晶方位を有する結晶粒の二次再結晶を促進して磁気特性を効果的に向上させる働きを有する。そのためには0.01%以上含有させることが好ましい。一方、1.50%を超えて含有されると熱間圧延性の劣化を招くおそれが生じる。従って、Cuは0.01〜1.50%の範囲で含有させることが望ましい。
P:0.005〜0.50%
Pは、脱炭焼鈍時のサブスケールの形成を介してフォルステライト被膜の形成を安定化させる働きがある。そのためには0.0050%以上含有させることが好ましい。一方、含有量が0.50%を超えると冷間圧延性が劣化するおそれが生じる。従って、Pは0.005〜0.50%の範囲で含有させることが望ましい。
ここで、上記スラブ中、Sb、CuおよびPは、Mn量と併せ、
1≦(4[Sb(%)]+[Cu(%)]+[P(%)])/(1/5[Mn(%)])≦7・・・式1の関係を満たす必要がある。
式1を満足することより、Mnのもつ過剰な酸化促進と、Sb、CuもしくはPのもつ酸化抑制効果をバランスさせることができるからである。
かつ、上記MnおよびPを、上記一次再結晶焼鈍中、500℃から700℃間の昇温速度:T℃/sとの関係で
(1/3[Mn(%)]+[P(%)])≧0.0002×T+0.07・・・式2
の関係を満足する範囲で含有させる必要がある。
これは、一次再結晶焼鈍の加熱過程の昇温速度を高めると、焼鈍後に形成される酸化被膜がデンドライト状の形態をとりやすくなるが、MnおよびPの含有量が上記式2を満足することで、デンドライト状の酸化被膜の形成を抑制する効果が得られるからである。
また、上記昇温速度:T℃/sは、80℃/s以上とすることが肝要である。望ましくは100℃/s以上とする。酸化被膜形成には問題が生じるものの、Mn、Pを上記式2の範囲で含有させることを前提にした場合、昇温速度を高くすることで二次再結晶の核となる{110}<001>組織の形成を促し、鉄損特性をより良好にできるからである。なお、上記昇温速度の上限に特に限定はないが、製造設備の能力等の観点から昇温速度の上限は1000℃/s程度が好ましい。
また、本発明では、Crを必要に応じて含有することができる。なお、Crは、Mn同様、一次再結晶時の酸化被膜の稠密化の観点から制御が必要な元素であるため、以下に述べる含有量の範囲であるとともに、さらに、Sb、Cu、PおよびMnと併せ、以下式3および4に規定する範囲であることが好ましい。
Cr:0.01〜1.50%
Crは、脱炭焼鈍時のサブスケールの形成を介してフォルステライト被膜の形成を安定化させる働きがあり、そのためには0.01%以上含有させることが好ましい。一方、含有量が1.50%を超えると二次再結晶が困難となり、磁気特性が劣化する。従って、Crを添加する場合は、0.01〜1.50%の範囲で含有させることが望ましい。
上記鋼スラブがCrを含む場合は、上記式1にCrを加え、
1≦(4[Sb(%)]+[Cu(%)]+[P(%)])/([Cr(%)]+1/5[Mn(%)])≦7・・・式3とし、
かつ、上記式2を
([Cr(%)]+1/3[Mn(%)]+[P(%)])≧0.0002×T+0.07・・・式4として満足する必要がある。
式3を満足することより、Cr、Mnのもつ過剰な酸化促進と、Sb、CuもしくはPのもつ酸化抑制効果をバランスさせることができるからである。
また、式4を満足することより、式2を満足したときと同様に、一次再結晶焼鈍の加熱過程の昇温速度を高めた場合であってもデンドライト状の酸化被膜の形成を抑制する効果が得られるからである。
以上、本発明における鋼スラブ中の重要な成分組成について説明したが、工業的に、より安定して鋼板の磁気特性を改善する成分として、以下の元素を適宜含有させることができる。
Ni:0.005〜1.50%
Niは、熱延板組織の均一性を高めることにより、磁気特性を改善する働きがあり、そのためには0.005%以上含有させることが必要である。一方、含有量が1.50%を超えると二次再結晶が困難となり、磁気特性が劣化するおそれが生じる。従って、Niは0.005〜1.50%の範囲で含有させることが望ましい。
Sn:0.01〜0.50%
Snは、二次再結晶焼鈍中、鋼板の窒化や酸化を抑制し、良好な結晶方位を有する結晶粒の二次再結晶を促進して鋼板の磁気特性を向上させる有用元素であるが、そのためには0.01%以上含有させることが必要である。一方、0.50%を超えて含有されると冷間圧延性が劣化するおそれが生じる。従って、Snは0.01〜0.50%の範囲で含有させることが望ましい。
Nb:0.0005〜0.0100%、Mo:0.01〜0.50%
NbおよびMoは、スラブ加熱時の温度変化による割れの抑制を介して、熱延後のヘゲの発生を抑制する効果を有している。かかる効果は、上記の下限以上にそれぞれ含有させなければほとんど発現しない。一方、上記の上限を超えて含有すると、炭化物や、窒化物を形成するなどして最終製品まで残留することがある。この場合には、鉄損劣化を引き起こす。よって、NbおよびMoは上記の範囲とすることが望ましい。
Bi:0.0005〜0.05%
Biは、磁気特性改善に有利な元素であるため、必要に応じて含有させることができる。しかし、磁気特性改善効果を得るためには、0.0005%以上の添加が必要である。一方で、0.05%を超えて添加した場合は、フォルステライト被膜の形成を阻害する。従って、Biは上記の範囲とすることが望ましい。
上記した本発明に従う成分組成範囲に調整した鋼スラブを、再加熱することなくあるいは再加熱したのち、熱間圧延に供する。なお、スラブを再加熱する場合、再加熱温度は1000℃以上1300℃以下程度とすることが望ましい。というのは、1300℃を超えるスラブ加熱は、インヒビターをほとんど含まない本発明では無意味で、コストアップとなるだけである一方、1000℃に満たないと、圧延荷重が高くなって、熱間圧延が困難となるからである。
ついで、熱間圧延後の熱延板に、必要に応じて熱延板焼鈍を施したのち、1回の冷間圧延あるいは中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延を施して最終冷延板とする。この冷間圧延は、常温で行ってもよいし、常温より高い温度たとえば250℃程度に鋼板温度を上げて圧延する温間圧延としてもよい。
さらに、上記最終冷間圧延板に一次再結晶焼鈍を施す。
この一次再結晶焼鈍の目的は、圧延組織を有する冷間圧延板を一次再結晶させて、二次再結晶に最適な一次再結晶粒径に調整することである。さらには、焼鈍雰囲気を湿水素窒素あるいは湿水素アルゴン雰囲気とすることで、鋼中に含有している炭素を脱炭し、同時に上記焼鈍雰囲気によって表面に酸化被膜を形成することである。そのために、一次再結晶焼鈍の焼鈍温度(保定温度)は、800℃以上950℃未満程度の温度域とすることが望ましい。
一次再結晶焼鈍で形成された酸化被膜は、続く二次再結晶焼鈍において鋼板上に塗布されるMgOと反応し、フォルステライト被膜を形成する。このため、一次再結晶焼鈍後の酸化被膜の形態は、後工程での表層の被膜形成に大きく影響する。
また、磁気特性改善の観点から考えると、一次再結晶焼鈍では、その加熱過程の昇温速度を高めることが有効である。具体的には、500℃から700℃間の昇温速度をT℃/sとすると、T≧80℃/s、望ましくはT≧100℃/sとする。こうした昇温速度とすることにより、一次再結晶後の集合組織を改善し、以って二次再結晶後の磁気特性を改善することができるからである。なお、Tの上限は、前述したとおり、1000℃/s程度が好ましい。
なお、上記昇温速度:T℃/sに対し、デンドライト状の酸化被膜の抑制のために、上記式2および式4を満足することが重要であることは、上述したとおりである。
また、酸化被膜の形成は、初期段階で疎な酸化被膜が形成されると、以降も酸素の供給に応じてデンドライト状に疎な内部酸化層が成長する。そのため、鋼板への酸素の供給を抑制することで、初期段階に、緻密な酸化被膜を形成することが有効である。
具体的には、一次再結晶焼鈍時の急速加熱後、酸化被膜の形成が進む700℃から800℃の温度域において、H濃度で40vol%以上かつ露点63℃以下の雰囲気下とすることが効果的である。H濃度がかかる規定よりも低い場合、また露点がかかる規定よりも高い場合は、いずれも雰囲気酸化性が高まってしまう。その結果、形成される酸化被膜は疎な構造となりやすく、その後の焼鈍中にデンドライト状の疎な酸化被膜が形成されやすくなるからである。
また、初期酸化被膜を緻密な構造にするためには、上記の雰囲気で5秒程度以上保持することが望ましい。酸化被膜の形成は脱炭と同時に進行するため、5秒未満の時間では、緻密な酸化被膜が全面に形成されずに部分的に形成されてしまう。その結果、部分的に、デンドライト状の酸化被膜が形成され得るからである。
デンドライト状の酸化被膜がある程度以上まとまった領域で広く形成された場合、二次再結晶焼鈍後に厚みの異なるフォルステライト被膜となり、耐剥離性の低い被膜となってしまう。そのため、本発明は、鋼板に対して適正な元素を添加し、さらには一次再結晶焼鈍時の条件を制御する。
上述した条件の一次再結晶焼鈍を施した後、鋼板表面に焼鈍分離剤を塗布する。二次再結晶焼鈍後の鋼板表面にフォルステライト被膜を形成するため、かかる焼鈍分離剤の主剤としてはマグネシア(MgO)を利用する。このとき、Ti酸化物やSr化合物等を分離剤中に適量添加することで、さらにフォルステライト被膜の形成を有利にすることができる。
これに引き続き、二次再結晶およびフォルステライト被膜形成のため仕上げ焼鈍を行なう。焼鈍雰囲気は、N、Ar、Hあるいはこれらの混合ガスのいずれもが適合する。二次再結晶をより有利に行うためには、二次再結晶温度近傍で等温保持することが好ましい。但しこれは、昇温速度を緩やかにすることなどでも同等の効果を有するため、必ずしも等温での保持が必要なわけではない。なお、最終製品で微量成分が析出してしまうと磁気特性の劣化につながるため、焼鈍の最高温度は成分純化のために1100℃以上とするのが好ましい。
上記仕上げ焼鈍後、鋼板表面に、さらに絶縁被膜を塗布し、焼き付けることもできる。かかる絶縁被膜の種類については、特に限定されず、従来公知の絶縁被膜がいずれも有利に適合する。また、特開昭50−79442号公報や特開昭48−39338号公報に記載されているリン酸塩−クロム酸塩−コロイダルシリカを含有する塗布液を鋼板に塗布し、800℃程度で焼き付ける方法が好適例としてあげられる。
さらに、平坦化焼鈍を施すことにより、鋼板の形状整えることも可能であり、この平坦化焼鈍を絶縁被膜の焼き付け処理と兼備させることもできる。
(実施例1)
C:0.04〜0.06%、Si:3.20〜3.32%、Mn:0.08〜0.32%でかつ、式1〜4に用いられる成分組成は、表1に示し、さらにAlは100ppm未満、O、SおよびSeはそれぞれ50ppm以下、Nは80ppm以下にまでそれぞれ低減し、残部はFeおよび不可避不純物とした鋼スラブを、1230℃に加熱後熱間圧延して板厚2.0mmとした。次いで、1000℃で60秒の熱延板焼鈍を施してから、酸洗し、板厚0.27mmまで1回で冷間圧延した。
その後、500℃から700℃間の平均昇温速度Tを、表1に示した条件とし、700〜800℃間の昇温を8秒、その後の均熱を830℃で2分間とする一次再結晶焼鈍を施した。なお、上記一次再結晶焼鈍は、全工程で水素50vol%+窒素50vol%、露点55℃の湿潤雰囲気とし、同時に脱炭も行った。
一次再結晶焼鈍後、MgO:100質量部にTiOを2質量部添加した焼鈍分離剤を塗布し、最終仕上げ焼鈍を施した。上記最終仕上げ焼鈍後、未反応分離剤を除去し、リン酸マグネシウムを主成分とする絶縁コーティングを塗布して800℃で焼き付けて製品板とした。
かくして得られた製品板について、鉄損W17/50を測定すると共に、被膜密着性を評価した。なお、被膜密着性は、曲げ剥離径(鋼板を丸棒に巻きつけて被膜が剥離しない最小の曲げ径)にて評価した。得られた測定値および被膜密着性評価の結果は表1に併記する。表1より、この発明に従うことで、鉄損W17/50が0.9W/kg以下でかつ被膜特性で曲げ径25mm以下という良好な方向性電磁鋼板を、安定して得られていることが分かる。
Figure 2019137881
(実施例2)
C:0.04%、Si:3.25%、Mn:0.09%、Al:0.006%、N:0.004%、Cr:0.06%、P:0.015%、Sb:0.02%およびCu:0.1%を含有し、さらに、S、SeおよびOはいずれも20ppm以下であり、残部はFeおよび不可避不純物とするスラブを、1100℃、30分加熱後、熱間圧延して2.2mmの板厚の熱延板とし、1050℃、1分間の焼鈍を施した後、冷間圧延により0.23mmの最終板厚の冷間圧延コイルとした。得られた冷間圧延コイルの中央部から、100mm×400mmサイズの試料を採取し、ラボにて一次再結晶と脱炭を兼ねた焼鈍を行なった。かかる一次再結晶焼鈍の条件は、500〜700℃間の昇温速度を100℃/sで固定し、H濃度50vol%、かつ露点55℃の雰囲気下で700℃〜800℃までの滞留時間を3秒から10秒まで変更するものとした。また、滞留時間が7秒となる条件では、上記H濃度と露点を表2に示すように変更した。
上記一次再結晶焼鈍後の脱炭焼鈍板に、MgOを主成分としTiOを5%含有する焼鈍分離剤を水スラリ状にしてから塗布して乾燥した後、鋼板上に焼き付け、最高到達温度1200℃で5時間均熱する二次再結晶焼鈍を行い、続いてリン酸塩系の絶縁張力コーティングを塗布して焼付けた。かくして得られた鋼板は、いずれも良好な磁気特性を示していた。その後、被膜密着性を、曲げ剥離径(鋼板を丸棒に巻きつけて被膜が剥離しない最小の曲げ径)にて評価し、図1および表2に示した。
なお、本実施例の式2の値は2.5であり、本発明を満足している。また、本実施例の式4の右辺の値は0.09である一方、左辺の値は0.11であり、本発明を満足している。
いずれの条件でも、本発明に従う限り、曲げ剥離径が35mm以下の良好な被膜が得られていた。特に、700〜800℃間の滞留時間が5秒以上、H濃度が40vol%以上、露点63℃以下の条件で一次再結晶焼鈍を行った場合には、曲げ剥離径20mm以下の極めて良好な特性が得られていることが分かる。
Figure 2019137881
(実施例3)
C:0.03%、Si:3.4%、Mn:0.05%、Cr:0.05%、P:0.08%、Sb:0.05%およびCu:0.1%含有し、Alは100ppm未満、O、SおよびSeはそれぞれ50ppm以下、Nは80ppm以下にまでそれぞれ低減し、残部は表3に示す成分とFeと不可避不純物とした真空鋼塊を、ラボにて1150℃に加熱後、熱間圧延して板厚2.0mmとした。その後、900℃の熱延板焼鈍を施し、1.4mm厚まで冷間圧延した後、1030℃で中間焼鈍を行い、さらに板厚0.22mmとなるまで冷間圧延した鋼板に、500℃から700℃間の平均昇温速度を150℃/sとする一次再結晶焼鈍を施した。次いで、主成分をMgOとする焼鈍分離剤を塗布し、最終仕上げ焼鈍を施した。最終仕上げ焼鈍後、リン酸マグネシウムを主成分とする絶縁コーティングを塗布し、800℃で焼き付けた。
なお、本実施例の式2の値は6.33であり、本発明を満足している。また、本実施例の式4の右辺の値は0.10である一方、左辺の値は0.15であり、本発明を満足している。
かくして得られた鋼板について、鉄損W17/50を測定すると共に、被膜密着性を評価した。被膜密着性は、曲げ剥離径(鋼板を丸棒に巻きつけて被膜が剥離しない最小の曲げ径)にて評価した。得られた磁気特性および被膜密着性評価の結果も表3に併せて示した。この発明により、鉄損特性と被膜特性に優れる方向性電磁鋼板が安定して得られていることが分かる。
Figure 2019137881



Claims (6)

  1. C:0.08mass%以下、Si:2.0〜8.0mass%およびMn:0.005〜0.5mass%を含み、Alを100massppm未満に低減すると共に、S、SeおよびOをそれぞれ50massppm以下に、さらにNを80massppm以下に低減した成分組成を有する鋼スラブを、熱間圧延し、1回または中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延を施し、次いで脱炭を伴う一次再結晶焼鈍を行った後、焼鈍分離剤を塗布してから最終仕上焼鈍を施す、方向性電磁鋼板の製造方法において、
    上記鋼スラブの成分組成は、さらにSb、CuおよびPのいずれかを少なくとも一つ含有して残部は鉄および不可避不純物とし、
    上記Sb、Cu、PおよびMnが、
    1≦(4[Sb(mass%)]+[Cu(mass%)]+[P(mass%)])/(1/5[Mn(mass%)])≦7・・・式1の関係を満たし、
    かつ、上記MnおよびPを、上記一次再結晶焼鈍の500℃から700℃間の昇温速度:T℃/sとの関係で
    (1/3[Mn(mass%)]+[P(mass%)])≧0.0002×T+0.07・・・式2
    の関係を満足する範囲で含有し、
    さらに、上記Tは、T≧80とする
    ことを特徴とする方向性電磁鋼板の製造方法。
  2. 請求項1に記載の方向性電磁鋼板の製造方法において、前記鋼スラブは、さらにCrを含有し、
    上記鋼スラブの成分中、Sb、Cu、P、MnおよびCrが、
    1≦(4[Sb(mass%)]+[Cu(mass%)]+[P(mass%)])/([Cr(mass%)]+1/5[Mn(mass%)])≦7・・・式3の関係を満たし、
    かつ、前記昇温速度:T℃/sとの関係で
    ([Cr(mass%)]+1/3[Mn(mass%)]+[P(mass%)])≧0.0002×T+0.07・・・式4
    の関係を満足する範囲で含有することを特徴とする方向性電磁鋼板の製造方法。
  3. 請求項1または2に記載の方向性電磁鋼板の製造方法において、前記一次再結晶焼鈍の昇温過程中700℃から800℃を、H濃度:40%以上、露点:63℃以下の雰囲気下で、かつ滞留時間:5秒以上とすることを特徴とする方向性電磁鋼板の製造方法。
  4. 請求項1乃至3に記載の方向性電磁鋼板の製造方法おいて、前記Sb、CuおよびPが、Sb:0.005〜0.50mass%、Cu:0.01〜1.50mass%およびP:0.005〜0.50mass%の範囲であることを特徴とする方向性電磁鋼板の製造方法。
  5. 請求項2に記載の方向性電磁鋼板の製造方法において、前記Crが0.01〜1.50mass%の範囲であることを特徴とする方向性電磁鋼板の製造方法。
  6. 請求項1乃至5に記載の方向性電磁鋼板の製造方法おいて、鋼スラブが、さらにNi:0.005〜1.50mass%、Sn:0.01〜0.50mass%、Nb:0.0005〜0.0100mass%、Mo:0.01〜0.50mass%およびBi:0.0005〜0.05mass%のうちから選んだ少なくとも1種を含有することを特徴とする方向性電磁鋼板の製造方法。
JP2018020455A 2018-02-07 2018-02-07 方向性電磁鋼板の製造方法 Active JP6863310B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018020455A JP6863310B2 (ja) 2018-02-07 2018-02-07 方向性電磁鋼板の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018020455A JP6863310B2 (ja) 2018-02-07 2018-02-07 方向性電磁鋼板の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2019137881A true JP2019137881A (ja) 2019-08-22
JP6863310B2 JP6863310B2 (ja) 2021-04-21

Family

ID=67695083

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018020455A Active JP6863310B2 (ja) 2018-02-07 2018-02-07 方向性電磁鋼板の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6863310B2 (ja)

Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000129356A (ja) * 1998-10-28 2000-05-09 Kawasaki Steel Corp 方向性電磁鋼板の製造方法
JP2003193134A (ja) * 2001-12-28 2003-07-09 Jfe Steel Kk 磁気特性および被膜特性の優れた方向性電磁鋼板の製造方法
KR20060074646A (ko) * 2004-12-28 2006-07-03 주식회사 포스코 고자속밀도 방향성 전기강판의 제조방법
WO2014017590A1 (ja) * 2012-07-26 2014-01-30 Jfeスチール株式会社 方向性電磁鋼板の製造方法
JP2014196558A (ja) * 2013-03-07 2014-10-16 Jfeスチール株式会社 方向性電磁鋼板の製造方法
JP2015098637A (ja) * 2013-11-20 2015-05-28 Jfeスチール株式会社 方向性電磁鋼板の製造方法
JP2017101311A (ja) * 2015-12-04 2017-06-08 Jfeスチール株式会社 方向性電磁鋼板の製造方法
WO2017145907A1 (ja) * 2016-02-22 2017-08-31 Jfeスチール株式会社 方向性電磁鋼板の製造方法

Patent Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000129356A (ja) * 1998-10-28 2000-05-09 Kawasaki Steel Corp 方向性電磁鋼板の製造方法
JP2003193134A (ja) * 2001-12-28 2003-07-09 Jfe Steel Kk 磁気特性および被膜特性の優れた方向性電磁鋼板の製造方法
KR20060074646A (ko) * 2004-12-28 2006-07-03 주식회사 포스코 고자속밀도 방향성 전기강판의 제조방법
WO2014017590A1 (ja) * 2012-07-26 2014-01-30 Jfeスチール株式会社 方向性電磁鋼板の製造方法
JP2014196558A (ja) * 2013-03-07 2014-10-16 Jfeスチール株式会社 方向性電磁鋼板の製造方法
JP2015098637A (ja) * 2013-11-20 2015-05-28 Jfeスチール株式会社 方向性電磁鋼板の製造方法
JP2017101311A (ja) * 2015-12-04 2017-06-08 Jfeスチール株式会社 方向性電磁鋼板の製造方法
WO2017145907A1 (ja) * 2016-02-22 2017-08-31 Jfeスチール株式会社 方向性電磁鋼板の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP6863310B2 (ja) 2021-04-21

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4943560B2 (ja) 方向性電磁鋼板の製造方法
JP2017222898A (ja) 方向性電磁鋼板の製造方法
KR101389248B1 (ko) 방향성 전자기 강판의 제조 방법
WO2016199423A1 (ja) 方向性電磁鋼板およびその製造方法
JP7221481B6 (ja) 方向性電磁鋼板およびその製造方法
JP5907202B2 (ja) 方向性電磁鋼板の製造方法
JP5920387B2 (ja) 方向性電磁鋼板の製造方法
JP7365414B2 (ja) 方向性電磁鋼板およびその製造方法
JP7053848B2 (ja) 方向性電磁鋼板およびその製造方法
JP6209999B2 (ja) 方向性電磁鋼板の製造方法
JP2014156633A (ja) 方向性電磁鋼板の製造方法および方向性電磁鋼板並びに方向性電磁鋼板用表面ガラスコーティング
JPH02294428A (ja) 高磁束密度方向性電磁鋼板の製造法
JP6863310B2 (ja) 方向性電磁鋼板の製造方法
JP6988845B2 (ja) 方向性電磁鋼板の製造方法
JP7160181B2 (ja) 方向性電磁鋼板およびその製造方法
JP5928362B2 (ja) 方向性電磁鋼板の製造方法および方向性電磁鋼板製造用の一次再結晶鋼板
KR102319831B1 (ko) 방향성 전기강판의 제조방법
JP2735929B2 (ja) 磁気特性および被膜特性に優れた方向性けい素鋼板の製造方法
JPH11269543A (ja) 方向性電磁鋼板の製造方法
JP2024500443A (ja) 方向性電磁鋼板およびその製造方法
JP2015042778A (ja) 方向性電磁鋼板の製造方法
JP2023508027A (ja) 方向性電磁鋼板およびその製造方法
KR20230092584A (ko) 방향성 전기강판 및 이의 제조 방법
WO2020149348A1 (ja) 一方向性電磁鋼板の製造方法
JP2014194050A (ja) 方向性電磁鋼板の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20190920

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20200730

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20201013

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20201211

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20210302

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20210315

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6863310

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250