JP2019137758A - (メタ)アクリレート重合体溶液の製造方法及び反応性ホットメルト接着剤の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】(メタ)アクリレート単量体の重合率と得られる(メタ)アクリレート重合体の重量平均分子量とを高くすることができ、さらには溶液中の揮発成分を少なくすることができる(メタ)アクリレート重合体溶液の製造方法を提供すること。【解決手段】RAFT剤の存在下、(メタ)アクリレート単量体を有機溶媒中で重合して、(メタ)アクリレート重合体の溶液を得る工程を備え、RAFT剤が水酸基を有し、有機溶媒が水酸基を有し、有機溶媒の沸点が150℃以上であり、(メタ)アクリレート重合体が(メタ)アクリレート単量体に由来する構造単位を含む重合鎖と重合鎖の末端に水酸基とを有する、(メタ)アクリレート重合体溶液の製造方法。【選択図】なし
Description
本発明は、(メタ)アクリレート重合体溶液の製造方法及び反応性ホットメルト接着剤の製造方法に関する。
(メタ)アクリレート重合体の製造方法として、ポリマー構造を制御可能なリビングラジカル重合法は、従来知られている技術である。その中でも、チオカルボニル化合物を重合触媒(RAFT剤)として用いるRAFT(可逆的付加開裂連鎖)重合は、ブロック型、グラフト型、くし型、星型等の複合構造を有する高分子を合成することが可能であり、ポリマー末端の官能基化、ポリマー表面又は粒子の修飾等の多様な用途への展開が期待されている(例えば、特許文献1、2参照)。
ところで、近年、製造工程の簡略化、並びに人体及び環境への配慮から、(メタ)アクリレート重合体の製造方法において、揮発成分を低減させることが求められている。このような観点から、例えば、特許文献3では、有機溶媒非存在下で(メタ)アクリレート単量体のRAFT重合が検討されている。しかし、特許文献3には、(メタ)アクリレート重合体の重量平均分子量を高くしようとすると、(メタ)アクリレート単量体の重合率が高くならず、また、(メタ)アクリレート単量体の重合率を高くしようとすると、得られる(メタ)アクリレート重合体の重量平均分子量が高くならないことが示されている。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、(メタ)アクリレート単量体の重合率と得られる(メタ)アクリレート重合体の重量平均分子量とを高くすることができ、さらには溶液中の揮発成分を少なくすることができる(メタ)アクリレート重合体溶液の製造方法を提供することを主な目的とする。
本発明の一側面は、RAFT剤の存在下、(メタ)アクリレート単量体を有機溶媒中で重合して、(メタ)アクリレート重合体の溶液を得る工程を備え、RAFT剤が水酸基を有し、有機溶媒が水酸基を有し、有機溶媒の沸点が150℃以上であり、(メタ)アクリレート重合体が(メタ)アクリレート単量体に由来する構造単位を含む重合鎖と重合鎖の末端に水酸基とを有する、(メタ)アクリレート重合体溶液の製造方法を提供する。このような製造方法によれば、(メタ)アクリレート重合体溶液において、(メタ)アクリレート単量体の重合率と得られる(メタ)アクリレート重合体の重量平均分子量とを高くすることができ、さらには溶液中の揮発成分を少なくすることが可能となる。
有機溶媒はポリオールを含んでいてよい。RAFT剤はトリチオカーボネート型骨格を有していてよい。
(メタ)アクリレート重合体における(メタ)アクリレート単量体の重合率は90%以上であってよい。(メタ)アクリレート重合体の重量平均分子量が5000以上であってよい。(メタ)アクリレート重合体溶液を110℃で2時間加熱したときの残存率は90質量%以上であってよい。(メタ)アクリレート重合体の分子量分布は1.4以下であってよい。
別の側面において、本発明は、上述の製造方法によって得られた(メタ)アクリレート重合体溶液を含むポリオールとポリイソシアネートとを混合し、ウレタンプレポリマーを得る工程を備える、反応性ホットメルト接着剤の製造方法を提供する。
本発明によれば、(メタ)アクリレート単量体の重合率と得られる(メタ)アクリレート重合体の重量平均分子量とを高くすることができ、さらには溶液中の揮発成分を少なくすることができる(メタ)アクリレート重合体溶液の製造方法が提供される。このような製造方法によって得られる(メタ)アクリレート重合体溶液は、ポリオールとして作用し得る。そのため、ポリオールを必要とする反応(例えば、ウレタンプレポリマーの合成反応)に、有機溶媒を除去しないでそのまま適用することが可能となり得る。
以下、図面を適宜参照しながら、本発明の実施形態について説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
本明細書において、(メタ)アクリル酸はアクリル酸又はそれに対応するメタクリル酸を意味する。(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイル基等の他の類似表現についても同様である。
本明細書において、「ポリオール」とは、分子内に2以上の水酸基を有する化合物を意味する。また、本明細書において、「ポリイソシアネート」とは、分子内に2以上のイソシアネート基を有する化合物を意味する。また、本明細書において、「ポリカルボン酸」とは、分子内に2以上のカルボキシ基を有する化合物を意味する。
[(メタ)アクリレート重合体溶液の製造方法]
一実施形態に係る(メタ)アクリレート重合体溶液の製造方法は、RAFT剤の存在下、(メタ)アクリレート単量体を有機溶媒中で重合して、(メタ)アクリレート重合体の溶液を得る工程を備える。
一実施形態に係る(メタ)アクリレート重合体溶液の製造方法は、RAFT剤の存在下、(メタ)アクリレート単量体を有機溶媒中で重合して、(メタ)アクリレート重合体の溶液を得る工程を備える。
<(メタ)アクリレート単量体>
(メタ)アクリレート重合体を構成する(メタ)アクリレート単量体は、通常、(メタ)アクリロイル基を1つ有する(メタ)アクリレート単量体である。このような(メタ)アクリレート単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸;(メタ)アクリル酸アミド;(メタ)アクリロイルモルホリン;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、n−ペンチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート(n−ラウリル(メタ)アクリレート)、イソミリスチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリルアクリレート等の炭素数1〜18のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート;グリシジルメタクリレート;3−ブテニル(メタ)アクリレート等の炭素数が2〜18のアルケニル基を有するアルケニル(メタ)アクリレート;ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等の芳香環を有する(メタ)アクリレート;メトキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシヘキサエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシオクタエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシノナエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシヘプタプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、ブトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、ブトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート等のアルコキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート;シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート等の脂環式基を有する(メタ)アクリレート;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の水酸基を有する(メタ)アクリレート;テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート;N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド誘導体;2−(2−メタクリロイルオキシエチルオキシ)エチルイソシアネート、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の(メタ)アクリロニトリル;テトラエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ヘキサエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、オクタプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、オクタプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート;シロキサン骨格を有する(メタ)アクリレートが挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらのうち、(メタ)アクリレート単量体は、アルキル(メタ)アクリレート及び(メタ)アクリロニトリルからなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。
(メタ)アクリレート重合体を構成する(メタ)アクリレート単量体は、通常、(メタ)アクリロイル基を1つ有する(メタ)アクリレート単量体である。このような(メタ)アクリレート単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸;(メタ)アクリル酸アミド;(メタ)アクリロイルモルホリン;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、n−ペンチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート(n−ラウリル(メタ)アクリレート)、イソミリスチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリルアクリレート等の炭素数1〜18のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート;グリシジルメタクリレート;3−ブテニル(メタ)アクリレート等の炭素数が2〜18のアルケニル基を有するアルケニル(メタ)アクリレート;ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等の芳香環を有する(メタ)アクリレート;メトキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシヘキサエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシオクタエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシノナエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシヘプタプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、ブトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、ブトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート等のアルコキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート;シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート等の脂環式基を有する(メタ)アクリレート;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の水酸基を有する(メタ)アクリレート;テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート;N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド誘導体;2−(2−メタクリロイルオキシエチルオキシ)エチルイソシアネート、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の(メタ)アクリロニトリル;テトラエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ヘキサエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、オクタプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、オクタプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート;シロキサン骨格を有する(メタ)アクリレートが挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらのうち、(メタ)アクリレート単量体は、アルキル(メタ)アクリレート及び(メタ)アクリロニトリルからなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。
(メタ)アクリレート重合体溶液の調製においては、上記(メタ)アクリレート単量体と共重合可能な共重合単量体(以下、「共重合単量体」ともいう。)を併用してもよい。共重合単量体としては、例えば、スチレン、4−メチルスチレン、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、酢酸ビニル、シクロヘキシルマレイミド、フェニルマレイミド、無水マレイン酸が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。共重合単量体の含有量は、例えば、(メタ)アクリレート単量体及び共重合単量体の全モル量を基準として、0〜20モル%であってよい。
[有機溶媒]
有機溶媒は沸点が150℃以上の水酸基を有する化合物である。このような有機溶媒としては、例えば、2−エチル−1−ヘキサノール(和光純薬工業株式会社製、沸点:183℃、水酸基:1)、エチレングリコール(沸点:197.3℃、水酸基数:2)、プロピレングリコール(沸点:188.2℃、水酸基数:2)、1,3−ブチレングリコール(沸点:207℃、水酸基数:2)、1,4−ブチレングリコール(230℃、水酸基数:2)等のアルキレングリコール及びこれらの縮合物、フェノール樹脂(例えば、商品名:MEH−8000H、明和化成株式会社製、水酸基価:139−143mgKOH/g等)、ポリエステルポリオール(例えば、商品名:ポリライトOD−X2586、DIC株式会社製、水酸基価:200mgKOH/g)等が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。このような有機溶媒を用いることによって、得られる(メタ)アクリレート重合体溶液の揮発成分を低減することができる。また、有機溶媒はポリオール、すなわち、分子内に2以上の水酸基を有する化合物を含むことが好ましい。なお、有機溶媒がすべてポリオールであると、(メタ)アクリレート重合体溶液に含まれる成分がすべてポリオールとして作用し得るものとなり、ウレタンプレポリマーの合成反応に有用となり得る。
有機溶媒は沸点が150℃以上の水酸基を有する化合物である。このような有機溶媒としては、例えば、2−エチル−1−ヘキサノール(和光純薬工業株式会社製、沸点:183℃、水酸基:1)、エチレングリコール(沸点:197.3℃、水酸基数:2)、プロピレングリコール(沸点:188.2℃、水酸基数:2)、1,3−ブチレングリコール(沸点:207℃、水酸基数:2)、1,4−ブチレングリコール(230℃、水酸基数:2)等のアルキレングリコール及びこれらの縮合物、フェノール樹脂(例えば、商品名:MEH−8000H、明和化成株式会社製、水酸基価:139−143mgKOH/g等)、ポリエステルポリオール(例えば、商品名:ポリライトOD−X2586、DIC株式会社製、水酸基価:200mgKOH/g)等が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。このような有機溶媒を用いることによって、得られる(メタ)アクリレート重合体溶液の揮発成分を低減することができる。また、有機溶媒はポリオール、すなわち、分子内に2以上の水酸基を有する化合物を含むことが好ましい。なお、有機溶媒がすべてポリオールであると、(メタ)アクリレート重合体溶液に含まれる成分がすべてポリオールとして作用し得るものとなり、ウレタンプレポリマーの合成反応に有用となり得る。
有機溶媒の含有量は、単量体全量(共重合単量体を含有する場合は、(メタ)アクリレート単量体と共重合単量体との総量を意味し、共重合単量体を含有しない場合は、(メタ)アクリレート単量体の総量を意味する。以下、同様である。)100質量部に対して、65〜500質量部であってよい。有機溶媒の含有量は、70質量部以上、80質量部以上、又は95質量部以上であってもよく、450質量部以下、400質量部以下、又は300質量部以下であってもよい。有機溶媒の含有量が、単量体全量100質量部に対して、65質量部以上であると、(メタ)アクリレート重合体の分子量分布がより小さくなる傾向にある。有機溶媒の含有量が、単量体全量100質量部に対して、500質量部以下であると、後述の反応性ホットメルト接着剤の初期凝集力がより良好になる傾向にある。
[RAFT剤]
RAFT剤は、通常RAFT重合の重合触媒として使用される化合物であって、水酸基を有する化合物である。RAFT剤はトリチオカーボネート型骨格を有していてよい。このようなRAFT剤としては、例えば、トリチオ炭酸ビス{4−[エチル−(2−ヒドロキシエチル)カルバモイル]ベンジル}(下記式(A)で表される化合物)、トリチオ炭酸ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシカルボニル)ベンジル](下記式(B)で表される化合物)、トリチオ炭酸ビス[4−(2,3−ジヒドロキシプロポキシカルボニル)ベンジル](下記式(C)で表される化合物)等が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。このようなRAFT剤を用いると、(メタ)アクリレート単量体の重合がRAFT剤の2か所の炭素−硫黄結合で進行する。そのため、得られる(メタ)アクリレート重合体は、(メタ)アクリレート単量体に由来する構造単位を含む重合鎖と重合鎖の末端(両末端)に水酸基とを有するものとなり得る。
RAFT剤は、通常RAFT重合の重合触媒として使用される化合物であって、水酸基を有する化合物である。RAFT剤はトリチオカーボネート型骨格を有していてよい。このようなRAFT剤としては、例えば、トリチオ炭酸ビス{4−[エチル−(2−ヒドロキシエチル)カルバモイル]ベンジル}(下記式(A)で表される化合物)、トリチオ炭酸ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシカルボニル)ベンジル](下記式(B)で表される化合物)、トリチオ炭酸ビス[4−(2,3−ジヒドロキシプロポキシカルボニル)ベンジル](下記式(C)で表される化合物)等が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。このようなRAFT剤を用いると、(メタ)アクリレート単量体の重合がRAFT剤の2か所の炭素−硫黄結合で進行する。そのため、得られる(メタ)アクリレート重合体は、(メタ)アクリレート単量体に由来する構造単位を含む重合鎖と重合鎖の末端(両末端)に水酸基とを有するものとなり得る。
RAFT剤の含有量は、単量体全モル量に対して、0.2〜2.5モル%であってよい。RAFT剤の含有量は、0.25モル%以上又は0.3モル%以上であってもよく、2.0モル%以下又は1.5モル%以下であってもよい。RAFT剤の含有量が、単量体全量に対して、0.2モル%以上であると、(メタ)アクリレート重合体の分子量分布がより小さくなる傾向にある。RAFT剤の含有量が、単量体全量に対して、2.5モル%以下であると、後述の反応性ホットメルト接着剤の初期凝集力がより良好になる傾向にある。
[重合開始剤]
本実施形態に係る(メタ)アクリレート重合体溶液の製造方法においては、重合開始剤を添加してよい。重合開始剤としては、特に制限されないが、例えば、2,2−アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系重合開始剤、過酸化ベンゾイル等の過酸化物系重合開始剤が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。重合開始剤の含有量は、RAFT剤全モル量に対して、1モル%以上であってよい。重合開始剤の含有量がこのような範囲であると、単量体の重合率が向上する傾向にある。重合開始剤の含有量は、RAFT剤全モル量に対して、5〜100モル%、10〜75モル%、又は20〜50モル%であってもよい。
本実施形態に係る(メタ)アクリレート重合体溶液の製造方法においては、重合開始剤を添加してよい。重合開始剤としては、特に制限されないが、例えば、2,2−アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系重合開始剤、過酸化ベンゾイル等の過酸化物系重合開始剤が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。重合開始剤の含有量は、RAFT剤全モル量に対して、1モル%以上であってよい。重合開始剤の含有量がこのような範囲であると、単量体の重合率が向上する傾向にある。重合開始剤の含有量は、RAFT剤全モル量に対して、5〜100モル%、10〜75モル%、又は20〜50モル%であってもよい。
[重合条件]
本実施形態に係る(メタ)アクリレート重合体溶液の製造方法における重合条件は、用いる(メタ)アクリレート単量体の種類等に応じて適宜選択することができる。反応は通常、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気下で行なわれる。反応温度は、例えば、60〜120℃又は65〜95℃であってもよい。反応時間は、例えば、0.1〜24時間又は0.5〜12時間であってもよい。
本実施形態に係る(メタ)アクリレート重合体溶液の製造方法における重合条件は、用いる(メタ)アクリレート単量体の種類等に応じて適宜選択することができる。反応は通常、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気下で行なわれる。反応温度は、例えば、60〜120℃又は65〜95℃であってもよい。反応時間は、例えば、0.1〜24時間又は0.5〜12時間であってもよい。
[(メタ)アクリレート重合体]
(メタ)アクリレート重合体のガラス転移点は、−40〜80℃であってよく、−20〜0℃の範囲又は60〜80℃の範囲であることが好ましい。ガラス転移点がこのような範囲にあると、後述の反応性ホットメルト接着剤に適用した場合に、塗布作業性、初期凝集力等がより良好になる傾向にある。
(メタ)アクリレート重合体のガラス転移点は、−40〜80℃であってよく、−20〜0℃の範囲又は60〜80℃の範囲であることが好ましい。ガラス転移点がこのような範囲にあると、後述の反応性ホットメルト接着剤に適用した場合に、塗布作業性、初期凝集力等がより良好になる傾向にある。
ここで、ガラス転移点(Tg)は、以下の(メタ)アクリル系重合体の理論Tg算出式(1)を用いて計算より求めることができる。なお、温度は絶対温度を使用し、式で得られた値を摂氏温度に換算したものを、(メタ)アクリレート重合体のガラス転移点(Tg)とする。また、ホモポリマーのガラス転移点(Tgi)は、文献値を用いることができ、例えば、「ポリマーハンドブック」(Fourth Edition Volume1,WILEY−INTERSCIENCE,A John Wiley&Sons,Inc.,Publication,1999)、「ラジカル重合ハンドブック」(NTS、2010)等に掲載されているものを用いることができる。
1/Tg=Σ(Wi/Tgi) (1)
[Wiは、重合体を構成する単量体iの質量分率、Tgiは、重合体を構成する単量体iのホモポリマーのガラス転移点を示す。]
1/Tg=Σ(Wi/Tgi) (1)
[Wiは、重合体を構成する単量体iの質量分率、Tgiは、重合体を構成する単量体iのホモポリマーのガラス転移点を示す。]
(メタ)アクリレート重合体の重量平均分子量(Mw)は、5000以上であってよい。重量平均分子量(Mw)は、7500以上又は10000以上であってもよく、50000以下、40000以下、又は30000以下であってもよい。重量平均分子量(Mw)が5000以上であると、後述の反応性ホットメルト接着剤の初期凝集力がより良好になる傾向にある。重量平均分子量(Mw)が50000以下であると、後述の反応性ホットメルト接着剤に適用した場合に、初期粘度がより良好となり、作業性が向上する傾向にある。
(メタ)アクリレート重合体の分子量分布(Mw/Mn)は、1.4以下であってよい。分子量分布は、1.35以下、又は1.3以下であってもよい。分子量分布が1.4以下であると、(メタ)アクリレート重合体の組成がより均一となる傾向にある。さらに、低分子領域の重合体の割合が少なくなることによって、後述の反応性ホットメルト接着剤に適用した場合に、反応性ホットメルト接着剤の初期凝集力をより高めることができる傾向にある。分子量分布の下限は特に制限されないが、1.0以上であってもよい。
なお、重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定し、標準ポリスチレンによる検量線を用いて換算した値を意味する。測定方法は、例えば、実施例で示す方法であってもよい。
(メタ)アクリレート重合体における(メタ)アクリレート単量体の重合率は、90質量%であってよい。(メタ)アクリレート単量体の重合率は、92質量%以上又は94質量%以上であってもよい。重合率が90%以上であると、後述の反応性ホットメルト接着剤に適用した場合に、反応性ホットメルト接着剤の物性を安定に保つことができるとともに、初期凝集力をより高めることができる傾向にある。なお、重合率は、(メタ)アクリレート重合体溶液に残存する単量体をガスクロマトグラフィーによって分析し、その量から求めることができる。
[(メタ)アクリレート重合体溶液]
(メタ)アクリレート重合体溶液の110℃で2時間加熱したときの残存率(加熱後残存率)は、90質量%以上であってよい。加熱後残存率は、92質量%以上又は94質量%以上であってもよい。加熱後残存率が90質量%以上であると、後述の反応性ホットメルト接着剤に適用した場合に、反応性ホットメルト接着剤の製造時間を短縮できる傾向にある。なお、加熱後残存率は、上記条件の加熱前後の(メタ)アクリレート重合体溶液の質量から残存率(加熱後の重合体溶液の質量/加熱前の重合体溶液の質量)を算出することによって求めることができる。
(メタ)アクリレート重合体溶液の110℃で2時間加熱したときの残存率(加熱後残存率)は、90質量%以上であってよい。加熱後残存率は、92質量%以上又は94質量%以上であってもよい。加熱後残存率が90質量%以上であると、後述の反応性ホットメルト接着剤に適用した場合に、反応性ホットメルト接着剤の製造時間を短縮できる傾向にある。なお、加熱後残存率は、上記条件の加熱前後の(メタ)アクリレート重合体溶液の質量から残存率(加熱後の重合体溶液の質量/加熱前の重合体溶液の質量)を算出することによって求めることができる。
<反応性ホットメルト接着剤の製造方法>
一実施形態に係る反応性ホットメルト接着剤の製造方法は、上述の製造方法によって得られた(メタ)アクリレート重合体溶液を含むポリオールとポリイソシアネートとを混合し、ウレタンプレポリマーを得る工程を備える。一般に、反応性ホットメルト接着剤は、化学反応によって高分子量化し、接着性等を発現し得るものである。ウレタンプレポリマーは、湿気と反応して硬化するため、湿気硬化型ホットメルト接着剤として作用し得る。
一実施形態に係る反応性ホットメルト接着剤の製造方法は、上述の製造方法によって得られた(メタ)アクリレート重合体溶液を含むポリオールとポリイソシアネートとを混合し、ウレタンプレポリマーを得る工程を備える。一般に、反応性ホットメルト接着剤は、化学反応によって高分子量化し、接着性等を発現し得るものである。ウレタンプレポリマーは、湿気と反応して硬化するため、湿気硬化型ホットメルト接着剤として作用し得る。
ポリオールは、上述の製造方法によって得られた(メタ)アクリレート重合体溶液を含む。(メタ)アクリレート重合体溶液の含有量は、ポリオール全量100質量部に対して、2〜40質量部であってよい。(メタ)アクリレート重合体溶液の含有量は、5質量部以上又は8質量部以上であってもよく、35質量部以下又は30質量部以下であってもよい。
ポリオールは、上述の製造方法によって得られた(メタ)アクリレート重合体溶液以外のポリオールをその他のポリオールとして含んでいてよい。その他のポリオールとしては、例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール等が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ポリエステルポリオールとしては、例えば、2又は3の水酸基を有するポリオールと2〜6のカルボキシル基を有するポリカルボン酸との重縮合反応によって得られるポリエステルポリオール等が挙げられる。
2又は3の水酸基を有するポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ブタンジオールの各異性体、ペンタンジオールの各異性体、ヘキサンジオールの各異性体、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2−メチルプロパンジオール、2,4,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂肪族又は脂環族ジオール;4,4’−ジヒドロキシジフェニルプロパン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ピロカテコール、レゾルシノール、ヒドロキノン等の芳香族ジオールが挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、2〜15個の炭素原子を有するポリオールが好ましい。
2〜6のカルボキシル基を有するポリカルボン酸としては、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸等の芳香族ポリカルボン酸;マレイン酸、フマル酸、アコニット酸、1,2,3−プロパントリカルボン酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジエン−1,2−ジカルボン酸等の脂肪族又は脂環族ポリカルボン酸が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、2〜15個の炭素原子を有するポリカルボン酸が好ましい。なお、ポリカルボン酸に代えて、その無水物又はポリカルボン酸アルキルエステルを使用してもよい。
ポリエーテルポリオールは、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
その他のポリオールの含有量は、ポリオール全量100質量部に対して、60〜98質量部であってよい。その他のポリオールの含有量は、65質量部以上又は70質量部以上であってもよく、95質量部以下又は92質量部以下であってもよい。
ポリイソシアネートとしては、例えば、1,3−又は1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−又は2,6−トリレンジイソシアネート、2,4’−又は4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジイソシアナトビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジイソシアナトビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジイソシアナトジフェニルメタン、1,5−ナフチレンジイソシアネート、4,4’,4’’−トリフェニルメタントリイソシアネート、m−又はp−イソシアナトフェニルスルホニルイソシアネート、m−又はp−キシリレンジイソシアネート、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート、エチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエート、ビス(2−イソシアナトエチル)フマレート、ビス(2−イソシアナトエチル)カーボネート、2−イソシアナトエチル−2,6−ジイソシアナトヘキサノエート等の脂肪族ポリイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート、ビス(2−イソシアナトエチル)−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボキシレート、2,5−又は2,6−ノルボルナンジイソシアネート等の脂環式ポリイソシアネート等が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。ポリイソシアネートは、反応性の観点から、ジイソシアネートを用いることが好ましい。ジイソシアネートは、2,4’−又は4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートであってもよい。
ウレタンプレポリマーは、ポリオールに由来する構造単位及びポリイソシアネートに由来する構造単位を含む重合鎖の末端にイソシアネート基を有することが好ましい。このようなウレタンプレポリマーを合成する場合、ポリイソシアネートとポリオールとの混合割合、ポリオールの水酸基(OH)当量に対するポリイソシアネートのイソシアネート基(NCO)当量は、(ポリイソシアネートのイソシアネート基(NCO)当量/ポリオールの水酸基(OH)当量)を1.6〜3.0又は1.8〜2.5であってもよい。イソシアネート基(NCO)当量/水酸基(OH)当量が1.6以上であると、得られるウレタンプレポリマーの粘度の上昇を抑えることができ、作業性が向上し易くなる傾向にある。イソシアネート基(NCO)当量/水酸基(OH)当量が3.5以下であると、反応性ホットメルト接着剤の湿気硬化反応の際の発泡が生じ難くなり、接着性の低下を抑制し易くなる傾向にある。
反応性ホットメルト接着剤(ウレタンプレポリマー)の110℃で2時間加熱したときの残存率(加熱後残存率)は、90質量%以上、92質量%以上、又は94質量%以上であってもよい。加熱後残存率が90質量%以上であると、反応性ホットメルト接着剤の初期凝集力がより良好になる傾向にある。なお、加熱後残存率は、上記条件の加熱前後の(メタ)反応性ホットメルト接着剤の質量から残存率(加熱後の重合体溶液の質量/加熱前の重合体溶液の質量)を算出することによって求めることができる。
反応性ホットメルト接着剤は、ウレタンプレポリマーを塗布することによって、形成することができる。塗布方法は、特に制限されないが、例えば、ダイコーター、ロールコーター、スプレー等の塗布装置を用いる方法が挙げられる。小型部品等の狭小な部位へ塗布する場合には、ディスペンサーが適している。
以下に、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<(メタ)アクリレート重合体溶液の作製>
(実施例1−1〜1−7及び比較例1−1)
表1に示す種類及び質量部の(メタ)アクリレート単量体及び有機溶媒、並びにRAFT剤として、トリチオ炭酸ビス{4−[エチル−(2−ヒドロキシエチル)カルバモイル]ベンジル}2.5質量部を混合した後、窒素バブリングしながら60℃に昇温した。昇温後、重合開始剤として、2,2−アゾビスイソブチロニトリルを0.25質量部添加し、60℃で保温しながら6時間撹拌した。その後、2,2−アゾビスイソブチロニトリルをさらに0.1質量部添加し、80℃に昇温し、そのまま保温しながら2時間撹拌することによって、実施例1−1〜1−7及び比較例1−1の(メタ)アクリレート重合体溶液を得た。これらの(メタ)アクリレート重合体は、(メタ)アクリレート単量体に由来する構造単位を含む重合鎖と重合鎖の両末端にRAFT剤に由来する水酸基とを有することが推測される。
(実施例1−1〜1−7及び比較例1−1)
表1に示す種類及び質量部の(メタ)アクリレート単量体及び有機溶媒、並びにRAFT剤として、トリチオ炭酸ビス{4−[エチル−(2−ヒドロキシエチル)カルバモイル]ベンジル}2.5質量部を混合した後、窒素バブリングしながら60℃に昇温した。昇温後、重合開始剤として、2,2−アゾビスイソブチロニトリルを0.25質量部添加し、60℃で保温しながら6時間撹拌した。その後、2,2−アゾビスイソブチロニトリルをさらに0.1質量部添加し、80℃に昇温し、そのまま保温しながら2時間撹拌することによって、実施例1−1〜1−7及び比較例1−1の(メタ)アクリレート重合体溶液を得た。これらの(メタ)アクリレート重合体は、(メタ)アクリレート単量体に由来する構造単位を含む重合鎖と重合鎖の両末端にRAFT剤に由来する水酸基とを有することが推測される。
(メタ)アクリレート単量体、RAFT剤、及び重合開始剤の分子量は以下のとおりである。
エチルアクリレート(EA):100.12
ブチルアクリレート(BA):128.17
ベンジルアクリレート(BZA):162.19
メチルメタクリレート(MMA):100.12
アクリロニトリル(AN):53.06
トリチオ炭酸ビス{4−[エチル−(2−ヒドロキシエチル)カルバモイル]ベンジル}:520.73
2,2−アゾビスイソブチロニトリル:164.21
エチルアクリレート(EA):100.12
ブチルアクリレート(BA):128.17
ベンジルアクリレート(BZA):162.19
メチルメタクリレート(MMA):100.12
アクリロニトリル(AN):53.06
トリチオ炭酸ビス{4−[エチル−(2−ヒドロキシエチル)カルバモイル]ベンジル}:520.73
2,2−アゾビスイソブチロニトリル:164.21
有機溶媒の沸点(大気圧0.1MPa)は以下のとおりである。
酢酸エチル:77.1℃(水酸基数:0)
エチレングリコール:197.3℃(水酸基数:2)
プロピレングリコール:188.2℃(水酸基数:2)
酢酸エチル:77.1℃(水酸基数:0)
エチレングリコール:197.3℃(水酸基数:2)
プロピレングリコール:188.2℃(水酸基数:2)
なお、ポリエチレングリコール2000(水酸基数:2、数平均分子量:2000、和光純薬株式会社製、商品名:ポリエチレングリコール2000)、ポリプロピレングリコール600(水酸基数:2、数平均分子量:600、三洋化成株式会社製、商品名:サンニックスPP600)、ポリプロピレングリコール2000(水酸基数:2、数平均分子量:2000、旭硝子株式会社製、商品名:EXENOL2020)の沸点は、これらがエチレングリコール又はプロピレングリコールの縮合物であることから、エチレングリコール又はプロピレングリコールの沸点以上であると予想される。
[ガラス転移点]
(メタ)アクリレート重合体のガラス転移点(Tg)は、(メタ)アクリレート単量体の質量分率及び(メタ)アクリレート単量体のホモポリマーのガラス転移点に基づき、上述の理論式から求めた。表1に結果を示す。
(メタ)アクリレート重合体のガラス転移点(Tg)は、(メタ)アクリレート単量体の質量分率及び(メタ)アクリレート単量体のホモポリマーのガラス転移点に基づき、上述の理論式から求めた。表1に結果を示す。
[重量平均分子量、分子量分布]
(メタ)アクリレート重合体の重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法によって測定し、標準ポリスチレン検量線を用いて換算することによって求めた。測定装置及び測定条件は以下のとおりである。分子量分布(Mw/Mn)は、重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)から算出した。結果を表1に示す。
測定装置:LC−8320GPC(ポンプ、RI、検出器、デカッサー、オートサンプラー)(東ソー株式会社)
カラム:TSKgel guardcolum SuperMP(HZ)−M+TSKgel SuperMultipore HZ−M(東ソー株式会社)
展開液:テトラヒドロフラン
カラム温度:40℃
流速:0.35ml/min
(メタ)アクリレート重合体の重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法によって測定し、標準ポリスチレン検量線を用いて換算することによって求めた。測定装置及び測定条件は以下のとおりである。分子量分布(Mw/Mn)は、重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)から算出した。結果を表1に示す。
測定装置:LC−8320GPC(ポンプ、RI、検出器、デカッサー、オートサンプラー)(東ソー株式会社)
カラム:TSKgel guardcolum SuperMP(HZ)−M+TSKgel SuperMultipore HZ−M(東ソー株式会社)
展開液:テトラヒドロフラン
カラム温度:40℃
流速:0.35ml/min
[重合率]
(メタ)アクリレート単量体の重合率は、(メタ)アクリレート重合体溶液に残存する単量体を、ガスクロマトグラフィーによって分析し、その量から重合率(%)を求めた。結果を表1に示す。この評価では、数値が大きいほど、揮発成分である(メタ)アクリレート単量体の残存量が少ないことを意味する。
(メタ)アクリレート単量体の重合率は、(メタ)アクリレート重合体溶液に残存する単量体を、ガスクロマトグラフィーによって分析し、その量から重合率(%)を求めた。結果を表1に示す。この評価では、数値が大きいほど、揮発成分である(メタ)アクリレート単量体の残存量が少ないことを意味する。
[加熱後残存率]
(メタ)アクリレート重合体溶液1.5gをステンレスシャーレに測りとり、これを110℃で2時間加熱し、加熱前後の重合体溶液の質量を測定した。測定した加熱前の重合体溶液の質量に対する加熱後の重合体溶液の質量の割合(加熱後の重合体溶液の質量/加熱前の重合体溶液の質量)を加熱後残存率(質量%)とした。結果を表1に示す。この評価では、数値が大きいほど、重合体溶液中の揮発成分が少ないことを意味する。
(メタ)アクリレート重合体溶液1.5gをステンレスシャーレに測りとり、これを110℃で2時間加熱し、加熱前後の重合体溶液の質量を測定した。測定した加熱前の重合体溶液の質量に対する加熱後の重合体溶液の質量の割合(加熱後の重合体溶液の質量/加熱前の重合体溶液の質量)を加熱後残存率(質量%)とした。結果を表1に示す。この評価では、数値が大きいほど、重合体溶液中の揮発成分が少ないことを意味する。
(実施例1−8〜1−14)
表2に示す種類及び質量部の(メタ)アクリレート単量体及び有機溶媒、並びにRAFT剤として、トリチオ炭酸ビス{4−[エチル−(2−ヒドロキシエチル)カルバモイル]ベンジル}2.5質量部を混合した後、窒素バブリングしながら60℃に昇温した。昇温後、重合開始剤として、2,2−アゾビスイソブチロニトリルを0.25質量部添加し、60℃で保温しながら6時間撹拌した。その後、2,2−アゾビスイソブチロニトリルをさらに0.1質量部添加し、80℃に昇温し、そのまま保温しながら2時間撹拌することによって、実施例1−8〜1−14の(メタ)アクリレート重合体溶液を得た。これらのガラス転移点、重量平均分子量、分子量分布、重合率、及び加熱後残存率を表2に示す。実施例1−8〜1−14の(メタ)アクリレート重合体は、(メタ)アクリレート単量体に由来する構造単位を含む重合鎖と重合鎖の両末端にRAFT剤に由来する水酸基とを有することが推測される。
表2に示す種類及び質量部の(メタ)アクリレート単量体及び有機溶媒、並びにRAFT剤として、トリチオ炭酸ビス{4−[エチル−(2−ヒドロキシエチル)カルバモイル]ベンジル}2.5質量部を混合した後、窒素バブリングしながら60℃に昇温した。昇温後、重合開始剤として、2,2−アゾビスイソブチロニトリルを0.25質量部添加し、60℃で保温しながら6時間撹拌した。その後、2,2−アゾビスイソブチロニトリルをさらに0.1質量部添加し、80℃に昇温し、そのまま保温しながら2時間撹拌することによって、実施例1−8〜1−14の(メタ)アクリレート重合体溶液を得た。これらのガラス転移点、重量平均分子量、分子量分布、重合率、及び加熱後残存率を表2に示す。実施例1−8〜1−14の(メタ)アクリレート重合体は、(メタ)アクリレート単量体に由来する構造単位を含む重合鎖と重合鎖の両末端にRAFT剤に由来する水酸基とを有することが推測される。
(参考例1−1)
RAFT剤を用いなかった以外は、実施例1−8と同様にして、参考例1−1の(メタ)アクリレート重合体溶液を得た。ガラス転移点、重量平均分子量、分子量分布、重合率、及び加熱後残存率を表2に示す。参考例1−1の(メタ)アクリレート重合体は、RAFT剤を用いなかったことから、(メタ)アクリレート単量体に由来する構造単位を含む重合鎖を含むものの、重合鎖の両末端にRAFT剤に由来する水酸基を有しないことが推測される。
RAFT剤を用いなかった以外は、実施例1−8と同様にして、参考例1−1の(メタ)アクリレート重合体溶液を得た。ガラス転移点、重量平均分子量、分子量分布、重合率、及び加熱後残存率を表2に示す。参考例1−1の(メタ)アクリレート重合体は、RAFT剤を用いなかったことから、(メタ)アクリレート単量体に由来する構造単位を含む重合鎖を含むものの、重合鎖の両末端にRAFT剤に由来する水酸基を有しないことが推測される。
<反応性ホットメルト接着剤(ウレタンプレポリマー)の調製>
(実施例2−1〜2−10及び参考例2−1、2−2)
予め、ポリオールとして、真空乾燥機で脱水処理したアジピン酸と1,6ヘキサンジオールとを主成分とするポリエステルポリオールA(水酸基数:2、数平均分子量:5000)30質量部、イソフタル酸とネオペンチルグリコールとを主成分とするポリエステルポリオールB(水酸基数:2、数平均分子量:2000)50質量部、及びポリプロピレングリコール600(水酸基数:2、数平均分子量:600、三洋化成株式会社製、商品名:サンニックスPP600)20質量部、並びにポリイソシアネートとして、ジフェニルメタンジイソシアネート(イソシアネート基数:2、日本ポリウレタン工業株式会社製、商品名:ミリオネートMT)20質量部を混合した。この混合物に表3に示す質量部で実施例1−8〜1−14及び参考例1−1で得られた(メタ)アクリレート重合体溶液を、有機溶媒を除去しないでそのまま加えて、110℃で1時間反応させ、さらに110℃で1時間減圧脱泡撹拌することによって、実施例2−1〜2−10及び参考例2−1、2−2のウレタンプレポリマーを得た。これらウレタンプレポリマーは、ポリオールに由来する構造単位及びポリイソシアネートに由来する構造単位を含む重合鎖の末端にイソシアネート基を有していることが推測される。
(実施例2−1〜2−10及び参考例2−1、2−2)
予め、ポリオールとして、真空乾燥機で脱水処理したアジピン酸と1,6ヘキサンジオールとを主成分とするポリエステルポリオールA(水酸基数:2、数平均分子量:5000)30質量部、イソフタル酸とネオペンチルグリコールとを主成分とするポリエステルポリオールB(水酸基数:2、数平均分子量:2000)50質量部、及びポリプロピレングリコール600(水酸基数:2、数平均分子量:600、三洋化成株式会社製、商品名:サンニックスPP600)20質量部、並びにポリイソシアネートとして、ジフェニルメタンジイソシアネート(イソシアネート基数:2、日本ポリウレタン工業株式会社製、商品名:ミリオネートMT)20質量部を混合した。この混合物に表3に示す質量部で実施例1−8〜1−14及び参考例1−1で得られた(メタ)アクリレート重合体溶液を、有機溶媒を除去しないでそのまま加えて、110℃で1時間反応させ、さらに110℃で1時間減圧脱泡撹拌することによって、実施例2−1〜2−10及び参考例2−1、2−2のウレタンプレポリマーを得た。これらウレタンプレポリマーは、ポリオールに由来する構造単位及びポリイソシアネートに由来する構造単位を含む重合鎖の末端にイソシアネート基を有していることが推測される。
[加熱後残存率]
ウレタンプレポリマー1.5gをステンレスシャーレに測りとり、これを110℃で2時間加熱し、加熱前後のウレタンプレポリマーの質量を測定した。加熱前のウレタンプレポリマーの質量に対する加熱後のウレタンプレポリマーの質量の割合(加熱後のウレタンプレポリマーの質量/加熱前のウレタンプレポリマーの質量)を加熱後残存率(質量%)とした。結果を表3に示す。この評価では、数値が大きいほど、ウレタンプレポリマー中の揮発成分が少ないことを意味する。
ウレタンプレポリマー1.5gをステンレスシャーレに測りとり、これを110℃で2時間加熱し、加熱前後のウレタンプレポリマーの質量を測定した。加熱前のウレタンプレポリマーの質量に対する加熱後のウレタンプレポリマーの質量の割合(加熱後のウレタンプレポリマーの質量/加熱前のウレタンプレポリマーの質量)を加熱後残存率(質量%)とした。結果を表3に示す。この評価では、数値が大きいほど、ウレタンプレポリマー中の揮発成分が少ないことを意味する。
[初期粘度]
ウレタンプレポリマーの初期粘度(溶融粘度)は、BH−HH型少量回転粘度計(東機産業株式会社製)を用いて、試料量15g、4号ローターを使用して、ローター回転数10rpmで測定し、120℃における粘度を初期粘度とした。初期粘度が8.0Pa・s未満であった場合を初期粘度が最も優れていると評価し、「A」とした。初期粘度が8.0Pa・s以上13.0Pa・s未満であった場合を「B」、初期粘度が13.0Pa・s以上であった場合を「C」とした。結果を表3に示す。
ウレタンプレポリマーの初期粘度(溶融粘度)は、BH−HH型少量回転粘度計(東機産業株式会社製)を用いて、試料量15g、4号ローターを使用して、ローター回転数10rpmで測定し、120℃における粘度を初期粘度とした。初期粘度が8.0Pa・s未満であった場合を初期粘度が最も優れていると評価し、「A」とした。初期粘度が8.0Pa・s以上13.0Pa・s未満であった場合を「B」、初期粘度が13.0Pa・s以上であった場合を「C」とした。結果を表3に示す。
[初期凝集力]
ウレタンプレポリマーの初期凝集力は、回転レオメーター装置を用いて評価した。評価は、回転レオメーター試料を120℃に昇温した後、40℃/分で冷却し、粘度が10kPa・s以上となった時間を測定した。冷却開始から4分未満で粘度が10kPa・s以上となった場合を初期凝集力が最も優れていると評価し、「A」とした。冷却開始から4分以上5分未満で粘度が10kPa・s以上となった場合を「B」、冷却開始から5分以上で粘度が10kPa・s以上となった場合を「C」とした。結果を表3に示す。初期凝集力に優れると、養生時の固定冶具を減らす又は無くすことが可能となるため、作業工程の短縮又は簡略化が可能となる。また、基材を貼り合せた後に貼り合せた基材のズレが抑制され、製品の信頼性向上につながる。
ウレタンプレポリマーの初期凝集力は、回転レオメーター装置を用いて評価した。評価は、回転レオメーター試料を120℃に昇温した後、40℃/分で冷却し、粘度が10kPa・s以上となった時間を測定した。冷却開始から4分未満で粘度が10kPa・s以上となった場合を初期凝集力が最も優れていると評価し、「A」とした。冷却開始から4分以上5分未満で粘度が10kPa・s以上となった場合を「B」、冷却開始から5分以上で粘度が10kPa・s以上となった場合を「C」とした。結果を表3に示す。初期凝集力に優れると、養生時の固定冶具を減らす又は無くすことが可能となるため、作業工程の短縮又は簡略化が可能となる。また、基材を貼り合せた後に貼り合せた基材のズレが抑制され、製品の信頼性向上につながる。
測定装置及び測定条件は、以下のとおりである。
測定装置:DHR−2(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン株式会社)
ローター:20mm parallel plate
展開液:テトラヒドロフラン
カラム温度:40℃
流速:0.35mL/分
測定装置:DHR−2(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン株式会社)
ローター:20mm parallel plate
展開液:テトラヒドロフラン
カラム温度:40℃
流速:0.35mL/分
実施例1〜1〜1〜14の(メタ)アクリレート重合体溶液は、いずれも(メタ)アクリレート単量体の重合率が高く(例えば、重合率90%以上)、かつ(メタ)アクリレート重合体の重量平均分子量が高かった(例えば、重量平均分子量5000以上)。また、(メタ)アクリレート重合体溶液の揮発成分も少なかった(例えば、加熱後残存率90質量%以上)。また、実施例2−1〜2−10に示すとおり、得られた(メタ)アクリレート重合体溶液の有機溶媒を除去しないで、そのままウレタンプレポリマーの製造にそのまま適用できることが可能であった。これらの結果から、本発明の(メタ)アクリレート重合体溶液の製造方法が、(メタ)アクリレート単量体の重合率と得られる(メタ)アクリレート重合体の重量平均分子量とを高くすることができ、さらには溶液中の揮発成分が少ないことが確認された。
Claims (8)
- RAFT剤の存在下、(メタ)アクリレート単量体を有機溶媒中で重合して、(メタ)アクリレート重合体の溶液を得る工程を備え、
前記RAFT剤が水酸基を有し、
前記有機溶媒が水酸基を有し、
前記有機溶媒の沸点が150℃以上であり、
前記(メタ)アクリレート重合体が前記(メタ)アクリレート単量体に由来する構造単位を含む重合鎖と前記重合鎖の末端に水酸基とを有する、(メタ)アクリレート重合体溶液の製造方法。 - 前記有機溶媒がポリオールを含む、請求項1に記載の製造方法。
- 前記RAFT剤がトリチオカーボネート型骨格を有する、請求項1又は2に記載の製造方法。
- 前記(メタ)アクリレート重合体における前記(メタ)アクリレート単量体の重合率が90%以上である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の製造方法。
- 前記(メタ)アクリレート重合体の重量平均分子量が5000以上である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の製造方法。
- 前記(メタ)アクリレート重合体溶液を110℃で2時間加熱したときの残存率が90質量%以上である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の製造方法。
- 前記(メタ)アクリレート重合体の分子量分布が1.4以下である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の製造方法。
- 請求項1〜7のいずれか一項に記載の製造方法によって得られた(メタ)アクリレート重合体溶液を含むポリオールとポリイソシアネートとを混合して、ウレタンプレポリマーを得る工程を備える、反応性ホットメルト接着剤の製造方法。
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WO2022163542A1 (ja) * | 2021-01-29 | 2022-08-04 | 日油株式会社 | リビングラジカル重合体、組成物、樹脂被覆顔料及びリビングラジカル重合体の製造方法 |
-
2018
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