JP2019136954A - 積層体 - Google Patents

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雅之 北川
佳昭 小久保
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佳昭 小久保
行弘 前田
Yukihiro Maeda
行弘 前田
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Abstract

【課題】優れた赤外線反射性能により日射遮蔽性と断熱性を有し、銀を主成分とする金属膜の腐食が抑制されることで耐久性にも優れた積層体であって、さらに、可視光透過性に優れた窓貼り用途に好適な積層体を提供せんとするものである。【解決手段】少なくとも基材、熱線反射層、及び保護層をこの順に備え、前記熱線反射層は、基材側から第一の金属酸化物膜、第一の金属膜、第二の金属膜、および第二の金属酸化物膜をこの順に有し、前記第一の金属膜が、パラジウム、クロム、モリブテン、タングステン、バナジウム、ニオブ、コバルト、ニッケル、チタン、ジルコニウムまたはこれらの合金を主成分とするものであり、前記第二の金属膜は銀を主成分とするものであり、前記第一の金属酸化物膜と前記第二の金属膜との層間にのみ前記第一の金属膜は配置されており、前記第二の金属膜と前記第一の金属膜とは直接接している、積層体。【選択図】なし

Description

本発明は、窓貼り用途に好適な積層体に関する。
従来から、合成樹脂などからなる透明基材上に、金属膜/金属酸化物膜を交互に積層した熱線反射層、及び保護層を、この順に形成した積層体が、住宅やビルに設けられた窓ガラスなどの開口部(採光部)に使用されている。これら積層体は金属膜の赤外線反射性能により、室外から室内への日射熱(近赤外線)の流入を抑制(すなわち、日射遮蔽)し、更に、室内から室外への暖房熱(遠赤外腺)の流出を抑制(すなわち、断熱)することが可能であり、年間を通じて省エネ効果を得ることができる。更に、高屈折率の金属酸化物膜を積層することにより可視光透過性を向上させ外観視認性を確保し、保護層を積層することにより金属膜、金属酸化物膜を保護し、耐久性を発現させている。このような積層体では、高い赤外線反射性能を有し、断熱性に優れた積層体を得るため、金属膜の室内側に位置する保護層の赤外線吸収性を抑制すべく保護層を薄膜化する必要があり、金属膜の腐食に対する耐久性が低下する傾向にある。
ここで、特許文献1には、赤外線反射性能に優れ、さらに耐久性に優れた窓貼りに好適な積層フィルムを得るため、透明フィルム基材上に、金属酸化物層、銀を主成分とする赤外線反射層が積層され、更に、この赤外線反射層の上側(基材側と反対側)の面がニッケル、クロム、ニオブ等の光吸収性金属層で被覆された構成とすることにより、この赤外線反射層を保護し、この赤外線反射層に含まれる銀の腐食に対する耐久性を向上させた積層体が開示されている。
さらに、特許文献2には、透明なフィルム基材上に、アルミニウム、銅、金、ニッケル、銀等の合金からなる赤外線反射層を積層し、更に、この赤外線反射層の両面を、この赤外線反射層を保護することが可能なニッケル、クロム、ニオブ等の光吸収性金属膜で被覆することにより、赤外線反射層の金属の腐食に対する耐久性を向上させた積層体が開示されている。
特開2016−38417号公報 特表2013−521160号公報
上記特許文献1に開示された積層体においては、高い赤外線反射性能を有し、日射遮蔽性、断熱性に優れた積層体を得られるものの、銀を主成分とする赤外線反射層の上側(基材側と反対側)のみにしか光吸収性金属層を有していないため、この赤外線反射層に含まれる銀の腐食に対する耐久性が不十分であるとの課題がある。また、銀を主成分とする赤外線反射層の下側(基材側)のみにしか金属酸化物膜を有してないため、可視光線の反射を低減する効果が充分ではなく、可視光透過性にも劣る積層体となっている。
また、上記特許文献2に開示された積層体では、銀等の合金からなる赤外線反射層をニッケル−クロム合金からなる金属膜で挟持した積層体が開示されている。そして、上記の積層体の構成により、この積層体の耐久性は優れたものとなり得ると考えられる。しかし、その一方で、ニッケル−クロム合金は可視光を吸収する傾向を有しており、ニッケル−クロム合金からなる金属膜で赤外線反射層の両面を被覆した積層体は、可視光透過性に劣ったものとなるとの課題がある。
そこで、本発明は、かかる課題に鑑み、優れた赤外線反射性能により日射遮蔽性と断熱性を有し、銀を主成分とする金属膜の腐食が抑制されることで耐久性にも優れた積層体であって、さらに、可視光透過性に優れた窓貼り用途に好適な積層体を提供せんとするものである。
本発明は、かかる課題を解決するために、次のような構成を採用する積層体である。すなわち、
(1)少なくとも基材、熱線反射層、及び保護層をこの順に備え、前記熱線反射層は、基材側から第一の金属酸化物膜、第一の金属膜、第二の金属膜、および第二の金属酸化物膜をこの順に有し、前記第一の金属膜が、パラジウム、クロム、モリブテン、タングステン、バナジウム、ニオブ、コバルト、ニッケル、チタン、ジルコニウムまたはこれらの合金を主成分とするものであり、前記第二の金属膜は銀を主成分とするものであり、前記第一の金属酸化物膜と前記第二の金属膜との層間にのみ前記第一の金属膜は配置されており、前記第二の金属膜と前記第一の金属膜とは直接接している、積層体、
(2)前記第一の金属膜の厚さが、1nm以上、10nm以下である、(1)の積層体、
(3)前記第一の金属膜が、チタンを主成分とするものである、(1)または(2)の積層体、
(4)前記第一の金属酸化物膜および前記第二の金属酸化物膜は、何れも亜鉛と錫の複合金属の酸化物を主成分とするものである、(1)〜(3)の何れかの積層体、
(5)可視光線透過率が70%以上であり、前記第一の金属膜の厚さが1nm以上5nm以下である、(1)〜(4)の何れかの積層体、
(6)前記保護層が、前記第二の金属酸化物膜側から、第一の保護層、第二の保護層をこの順に有し、前記第一の保護層が無機系保護層であり、第二の保護層が有機系保護層である、(1)〜(5)の何れかの積層体、
(7)前記第一の保護層が炭素、窒素、酸素、及びケイ素を含有し、前記第一の保護層における炭素原子(C)の原子数と窒素原子(N)の原子数との割合(炭素原子(C)の原子数/窒素原子(N)の原子数)が0.5〜2.5である、(1)〜(6)の何れかの積層体である。
本発明によれば、優れた赤外線反射性能により日射遮蔽性と断熱性に優れ、さらに可視光透過性にも優れ、金属膜の腐食が抑制され耐久性にも優れる、窓貼り用途に好適な積層体を提供することができる。
本発明の積層体は、少なくとも基材、熱線反射層、及び保護層をこの順に備えている。また、熱線反射層は、基材側から第一の金属酸化物膜、第一の金属膜、第二の金属膜、および第二の金属酸化物膜をこの順に有している。そして、第一の金属膜は、パラジウム、クロム、モリブテン、タングステン、バナジウム、ニオブ、コバルト、ニッケル、チタン、ジルコニウムまたはこれらの合金を主成分とするものであり、第二の金属膜は銀を主成分とするものである。さらに、第一の金属酸化物膜と第二の金属膜との層間にのみ第一の金属膜は配置されており、第二の金属膜と第一の金属膜とは直接接している。
そして、このような構成を本発明の積層体は採用することで、この積層体の耐久性および可視光透過性は優れたものとなる。ここで、本発明の積層体が備える第一の金属膜は、本発明の積層体が備える第二の金属膜に含まれる銀の腐食を抑制し積層体の耐久性を向上させる傾向がある一方で、可視光を吸収し積層体の可視光透過性を低下させる傾向がある。詳細は後述するが、本発明の積層体は、積層体の耐久性を向上させる第一の金属膜を層構成の特定の位置に備えるため、耐久性に極めて優れたものとなる。そして、上記の層構成を採用することにより、特許文献2に開示された積層体のように第二の金属膜の両面に第一の金属膜が積層された層構成を採用しなくとも、すなわち、本発明の積層体のように第一の金属酸化物膜と第二の金属膜との層間にのみ第一の金属膜が配置されている層構成を採用した場合であっても、その積層体の耐久性は優れたものとなる。そして、第一の金属酸化物膜と第二の金属膜との層間にのみ第一の金属膜が配置されている層構成を採用した本発明の積層体は、特許文献2に開示された積層体等に比べ、可視光を吸収する金属膜の数を減らし得るため、その可視光透過率は特許文献2に開示された積層体の可視光透過率に比べ高いものとなる。
以下に、本発明の積層体が有する各層の詳細について説明する。
<基材>
まず、本発明の積層体が備える基材について説明する。この基材は、可視光透過性に優れたものであれば特に限定されることはないが、窓貼り用途に使用する場合、可撓性を有し取り扱い性に優れる観点から合成樹脂を含むフィルムであることが好ましい。ここで、合成樹脂としては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、アクリル、ナイロンなどが挙げられる。これらのなかでも、第一の金属酸化物膜、第一の金属膜、第二の金属膜、および第二の金属酸化物膜を備える熱線反射層(以下、熱線反射層とする)を形成する際に必要となる耐熱性を考慮するとポリエチレンテレフタレートがより好ましい。
また、基材と熱線反射層との層間の密着性を向上させる観点から、少なくとも熱線反射層を積層する基材の面に、コロナ処理、プラズマ処理、ケン化などの表面処理を施すことが好ましい。
次に、基材の厚さについては、特に制限はないが、機械的強度、耐熱性、窓貼り用途に用いた場合の取り扱い性を考慮すると10〜150μmであることが好ましい。厚さを10μm以上とすることで、基材の表面処理工程や、熱線反射層の形成工程で熱収縮による皺の発生を抑制することができるとともに、窓の破損の防止性能及び防犯性能等を付与することができる。一方、厚みを150μm以下とすることで、必要となる材料の量を低減することができ環境負荷低減に貢献できるとともに、積層体の柔軟性が向上することで積層体を窓などに施工する際の施工性をより良好なものとすることができる。
さらに、熱線反射層と接する側の基材の表面にアクリル樹脂、ウレタン樹脂などの合成樹脂からなるアンダーコート層を形成することが好ましい。アンダーコート層を形成することにより、基材表面が平滑化され基材と熱線反射層の密着性が向上し、銀を主成分とする金属膜の耐腐食性が良好なものとなることに加え、基材の剛性が上がり耐擦過性が向上する傾向にある。アンダーコート層の厚みは0.5μm以上であることが好ましく、1.0μm以上であることがより好ましい。一方、上限値は5.0μm以下であることが好ましく、3.0μm以下であることがより好ましい。
<熱線反射層>
次に、本発明の積層体が備える熱線反射層について説明する。熱線反射層は、基材側から第一の金属酸化物膜、第一の金属膜、第二の金属膜、および第二の金属酸化物膜をこの順に備えており、銀を主成分とする第二の金属膜で赤外線を反射することにより、日射遮蔽性、ならびに断熱性を発現し、第一の金属酸化物膜、および第二の金属酸化物膜で可視光線の反射を低減し、積層体の可視光透過性を優れたものとすることができる。なお、本願において赤外線とは、近赤外線と遠赤外線の両方を含む概念である。
さらに、第一の金属酸化物膜は銀を主成分とする第二の金属膜の基材側に配置される層であり、第二の金属酸化物膜は銀を主成分とする第二の金属膜の保護層側に配置される層であり、銀を主成分とする第二の金属膜の腐食に対する耐久性を向上させる保護膜としての機能も有する。すなわち、銀を主成分とする第二の金属膜の基材側に配置される第一の金属酸化物膜は、窓貼りフィルムとして施工する際に窓のガラスと基材の間に噴霧した施工液が、基材裏面から保護層側へ蒸発する際、この施工液から第二の金属膜の銀の腐食を抑制することに寄与する。また、保護層側に配置される第二の金属酸化物膜は、窓貼りフィルムとして施工、使用する際に銀を主成分とする金属膜の銀の腐食を抑制することに寄与する。
また、パラジウム、クロム、モリブテン、タングステン、バナジウム、ニオブ、コバルト、ニッケル、チタン、ジルコニウムまたはこれらの合金を主成分とする第一の金属膜は、銀を主成分とする第二の金属膜の基材側に配置され、第二の金属膜と直接接する下地となる膜である。詳細は後述するが、これら第一の金属膜を、銀を主成分とする第二の金属膜の下地として配置することにより、銀の腐食を抑制することに寄与する。
<第一の金属膜>
本発明の第一の金属膜は、パラジウム、クロム、モリブテン、タングステン、バナジウム、ニオブ、コバルト、ニッケル、チタン、ジルコニウムまたはこれらの合金を主成分とするものであり、銀を主成分とする第二の金属膜の下地となる膜である。上述した金属は、いずれも高い融点を有し、表面エネルギーが高く、濡れ易い表面を形成する傾向にあるため、銀を主成分とする第二の金属膜の下地に用いた場合に、銀を主成分とする第二の金属膜が均一、かつ緻密に製膜され、銀を腐食させる物質との接触面積が減少し、銀を主成分とする第二の金属膜の耐腐食性が向上するものと考えられる。ここで、パラジウム、クロム、モリブテン、タングステン、バナジウム、ニオブ、コバルト、ニッケル、チタン、ジルコニウムまたはこれらの合金を主成分とするとは、第一の金属膜に含まれる全金属成分を100質量%とした場合に、これらの金属または、これらの金属の合金を、50質量%を超えて含有することをいい、上述した、金属または、これらの金属の合金の含有量として90質量%以上であることがより好ましい。
上述した金属群は1400℃以上の融点を持つ金属群から、耐久性に劣るもの、毒性を有するもの、産業上の利用が困難なレアメタルなどを除いたものである。一般的に融点の高い金属は、表面エネルギーが高い傾向を有するため、いずれも銀を主成分とする第二の金属膜を製膜する際、銀を主成分とする金属膜を構成する原子を均一化し、さらに、緻密化する効果を有すると推定する。
また、第一の金属膜は、上述した銀を主成分とする第二の金属膜を均一化し、さらに、緻密化する効果を発現する観点から、第二の金属膜と直接接していることが必要である。第一の金属膜と第二の金属膜の間に、例えば、金属酸化物膜や、他の金属膜を配置すると、第一の金属膜が銀を主成分とする第二の金属膜を均一化し、さらに、緻密化する効果を発現することができない。
さらに、上述した金属のうち、化学的に安定で酸や塩類などに対し高い耐久性を有し、かつ安価なチタンを用いることが、銀を主成分とする第二の金属膜の耐腐食性により優れた積層体を安価に得る観点から特に好ましい。
第一の金属膜の厚さについては、積層体の耐腐食性をより向上させるとの理由から、1nm以上であることが好ましく、3nm以上であることがより好ましい。一方、積層体の可視光透過性をより向上させるとの理由から、上限は10nm以下であることが好ましく、5nm以下であることがより好ましい。第一の金属膜の厚さを1nm以上とすることで、第二の金属膜の下地となり第二の金属膜を均一化し、さらに、緻密化することができ、銀の耐腐食性を向上させる効果をより発現することが可能となり、耐久性により優れた積層体を得ることができる。厚さを3nm以上とすることで上記効果はより顕著となる。また、第一の金属膜の厚さを10nm以下とすることで、金属膜の可視光吸収性を低く抑えることが可能となり、積層体の可視光透過性をより向上させることができる。また、5nm以下とすることでより可視光透過性にさらに優れた積層体を得ることができる。
第一の金属膜をスパッタリング法で製膜する場合、上述した金属またはその合金のスパッタリングターゲット材を用い、酸素を含まない雰囲気下にて、アルゴンガスを用い製膜することにより得ることができる。
<第二の金属膜>
本発明の第二の金属膜は、赤外線反射性能に優れる銀を主成分とする。ここで、主成分とは第二の金属膜に含まれる銀の含有量が、金属膜の全金属成分を100質量%とした場合に50質量%を超えることをいい、銀の含有量としては90質量%以上であることが好ましい。更に、銀の耐腐食性を向上させる目的で銀に加え、金、銅、パラジウム、亜鉛、錫などの1種以上を添加した合金とすることが好ましい。これら金属のうち、銀の耐腐食性をより優れたものにする観点から金を含むことが好ましく、金に加え錫を含むことが更に好ましい。
第二の金属膜が銀に加え、金、錫を含むことにより、金の効果により大気中の湿気に対する耐腐食性を付与でき、錫の効果により手汗などに含まれる塩類に対する耐腐食性を付与することができる。上述した銀の耐腐食性を向上させる観点から、金の含有量は金属膜の全成分を100質量%とした場合に2.0質量%以上含有していることが好ましく、3.0質量%以上であることが特に好ましい。金属膜における金の含有量の上限については特に限定されないが、含有量の増加によるコストアップに見合う積層体の耐腐食性向上の効果を得ることができないとの理由により、5.0質量%以下であることが好ましい。また、錫の含有量は金属膜の全成分を100質量%とした場合に1.0質量%以上であることが好ましく、上限については積層体の可視光透過性能をより向上させるとの観点から、2.5質量%以下であることが好ましい。
第二の金属膜の厚さについては、積層体の赤外線反射性能と可視光透過性能をより向上させるものとの理由から、10〜25nmの範囲で適宜選択することが好ましい。具体的には、第二の金属膜の厚さが10nm以上であることで積層体の赤外線反射性能が優れたものとなり、第二の金属膜の厚さが25nm以下であることで可視光透過性能が優れたものとなる。また、第二の金属膜の厚さが25nm以下であると、金属の使用量が低下し、積層体の生産性が向上するとの効果も得られる。
<金属酸化物膜>
本発明の積層体は、第一の金属酸化物膜、および第二の金属酸化物膜を備えることで、可視光透過性能に優れたものとなるとともに、これら金属酸化物膜が保護膜として機能することにより、銀の耐腐食性にも優れたものとなる。
本発明の積層体が備える第一の金属酸化物膜、および第二の金属酸化物膜に500nmの波長にける屈折率が高い金属酸化物膜を採用することで、積層体の可視光線の反射を低減し、積層体の可視光透過性を向上させることが可能となる。屈折率が高い金属酸化物としては、チタン、ニオブ、亜鉛、錫、インジウムなどの酸化物を挙げることができるが、日射を受ける環境で長期間使用される窓貼り用途に本発明の積層体を用いる場合には、亜鉛と錫の複合金属の酸化物を主成分とする金属酸化物膜を用いることが好ましい。亜鉛、および錫の酸化物はともに屈折率が高く、太陽光線のエネルギー下で強い光触媒反応を示さないため、窓貼り用途に用いた場合に可視光透過性能、耐久性に優れる積層体を得ることができる。ここで、主成分とは金属酸化物膜中の全金属成分を100質量%とした場合に、亜鉛と錫の含有量の合計が90質量%を超えることを言う。さらに、亜鉛の含有量を10〜40質量%とすることが好ましい。亜鉛の酸化物は導電性が高く、スパッタリング法で製膜した場合に生産性に優れる一方で、錫の酸化物と比較して耐湿性に劣るため、大気中の湿気などにより劣化し易い傾向にある。そのため、亜鉛の含有量を上述した範囲とすることにより、生産性に優れ、かつ耐湿性にも優れた金属酸化物膜とすることができる。
また、銀の腐食を抑制する保護膜としての性能に特に優れた第一の金属酸化物膜、および第二の金属酸化物膜とする観点から、本発明の積層体において、金属酸化物膜は窒素を含有することが好ましく、窒素の含有量が金属酸化物膜中の各元素の当量を考慮した亜鉛(Zn)及び錫(Sn)に対する窒素(N)の当量比(3N/(2Zn+4Sn))で0.010〜0.025であることがさらに好ましい。金属酸化物膜が窒素を含有していることにより、この膜中における分子レベルの自由度が増加し歪みが解消されるとともに、緻密化されることで、銀を腐食させる物質に対するバリア性が向上すると推定される。この当量比は、実施例の項に記載のとおり、X線光電子分光分析(XPS)法にて、金属酸化物薄膜に含まれる窒素、亜鉛、及び錫の原子数を分析し、これらの原子数の値を3N/(2Zn+4Sn)のN、Zn、およびSnにそれぞれ代入することで算出する。
さらに、第一の金属酸化物膜、および第二の金属酸化物膜は、積層体の可視光透過性を向上させる観点から、酸素を充分に含有するものであることが好ましい。上述した本発明が備える第一の金属酸化物膜、および第二の金属酸化物膜の様に窒素、および酸素を含有する膜は、窒素ガスに加え、酸素ガス、または二酸化炭素ガスの雰囲気下で製膜することにより得ることができる。しかし、酸素ガスは分子中に酸素原子しか含まず、亜鉛または錫と結合し酸化物を形成し易いため、第一の金属酸化物膜、および第二の金属酸化物膜を、窒素、酸素を含有し保護膜としての性能に優れ、かつ可視光透過性にも優れたものとする観点からは窒素ガス、および二酸化炭素ガスの雰囲気下で製膜することが好ましい。
また、第一の金属酸化物膜、および第二の金属酸化物膜の厚さについては、10nm以上であることが好ましく、30nm以上であることがより好ましい。一方、上限は、100nm以下であることが好ましく、60nm以下であることがより好ましい。第一の金属酸化物膜および/または第二の金属酸化物膜の厚さを10nm以上とすることで、可視光線の反射を抑制でき可視光透過性能に優れた積層体を得ることができる。一方、第一の金属酸化物膜、および/または第二の金属酸化物薄膜の厚さを100nmを越えるものとしても、材料費が上がるばかりではなく、可視光透過性能をさらに向上させることができない。
なお、第一の金属膜、第二の金属膜、第一の金属酸化物薄膜、および第二の金属酸化物膜の厚さについては、詳細は実施例の項にて記載するが、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いた測定方法を用いることで分析することができ、各層の組成については、詳細は実施例の項にて記載するが、X線光電子分光分析装置(ESCA)を用いた測定方法を用いることで分析することができる。また、これらの金属膜や、第一の金属酸化物膜、第二の金属酸化物膜、および金属亜酸化物膜は、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法などの気相成長法で成膜することができるが、成膜できる材料の種類が多岐にわたり、高品位な膜が得られるとの理由から気相成長法のなかでもスパッタリング法を用いて成膜することが好ましい。
<保護層>
次に、本発明の積層体が備える保護層は、熱線反射層を保護する機能を有するものであり、積層体の最表面に位置する層であることが好ましい。保護層を備えることで、積層体の耐腐食性がさらに優れたものとなるばかりでなく、積層体の耐擦過性も優れたものとなる。つまり、保護層には積層体を窓貼り用フィルムとして使用した際、施工時に使用する施工用ヘラに対する耐擦過性と、使用時に大気中の銀を腐食させる成分、手汗等の汚れ成分から銀を主成分とする第二の金属膜の劣化を抑制するバリア性が求められる。
上述した観点から、保護層は基材側から、第一の保護層、第二の保護層をこの順に有し、前記第一の保護層が無機系保護層であり、第二の保護層が有機系保護層であることが好ましい。
無機系保護層は金属膜や、金属酸化物膜と同様に真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法など公知の方法で形成することが可能であり、無機物の性質に起因し赤外線を吸収し難く、高硬度で、かつ緻密であり、バリア性が高い特徴を有する。一方、製法上厚膜化が困難であるため、表面に傷が発生した際、無機系保護層の下に位置する金属膜に傷が達しやすい傾向にある。
一方、有機系保護層は、グラビアコーティング法、リバースロールコーティング法、ディップコーティング法など公知の方法で形成することが可能であり、総じて厚膜化が可能であるため、施工時に施工ヘラで擦過された際、金属膜に達する傷が生じ難い特徴を有する。一方、有機物が赤外線を吸収する性質を有するため厚膜化により、積層体として赤外線反射性能が低下する傾向にある。
上述した無機系保護層と有機系保護層の特徴を生かすべく、無機系保護層と有機系保護層を併用することが、金属膜を保護する耐擦過性と、金属膜の劣化を抑制するバリア性とを両立できる点で好ましい。また、各保護層の特徴を最大限生かす観点から、基材側に位置する第一の保護層に無機系保護層を用い、最外層に有機系保護層を用いことが好ましい。この場合、金属膜、金属酸化物膜、ならびに、無機系保護層を同一プロセスで製膜した後、有機系保護層を積層することが可能となり生産性の面からも好ましい。
次に、無機系保護層と有機系保護層の好ましい形態について説明する。まず、無機系保護層は、高硬度で、よりバリア性に優れたものとする観点から、炭素、窒素、酸素、及びケイ素を含有するものであり、さらに、この無機系保護層に含まれる炭素原子(C)と窒素原子(N)のそれぞれの原子数の割合(炭素原子(C)の原子数/窒素原子(N)の原子数)は0.5〜2.5であることが好ましい。無機系保護層が酸素、及び珪素に加えて炭素、及び窒素を含有することにより、分子レベルで自由度が増加し歪みが解消され、無機系保護層が緻密化され、無機系保護層のバリア性が向上すると推定される。さらに膜硬度も向上し、施工時に傷が付き難くなるため、積層体の窓貼りフィルムとしての耐久性が向上するものと推定する。その効果は無機系保護層に含まれる炭素原子(C)と窒素原子(N)のそれぞれの原子数の割合(炭素原子(C)の原子数/窒素原子(N)の原子数)が0.5〜2.5の範囲でより顕著となり、0.7以上、2.0以下であることが好ましく、1.0以上、1.5以下であることがより好ましい。前記無機系保護層の厚さは、10nm以上であることが好ましく、15nm以上であることがより好ましい。無機系保護層の厚さを10nm以上とすることで、無機系保護層の耐擦過性をより向上させることができるとともに、保護層の優れたバリア性を確保でき、積層体として充分な耐久性を得ることができる。厚さを15nm以上とすることで上記効果はより顕著になる。また、無機系保護層の厚さは50nm以下であることが好ましく、30nm以下であることがより好ましい。無機系保護層の厚さを50nm以下とすることで、可視光透過性能をより向上させることができるとともに、無機系保護層の修正放射率(赤外線の吸収率)を低いものとすることができる。
次に有機系保護層は、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂などを用いることができる。さらに、フッ素樹脂、シリコーン樹脂を含有するものとすることにより、有機系保護層の水に対する接触角を向上させることが可能であり、結露水などの水分が浸透することを抑制し、銀を主成分とする第二の金属膜の腐食をより抑制することができる点で好ましい。有機系保護層の水に対する接触角は60°以上であることが好ましく、80°以上であることがより好ましく、100°以上であることがさらに好ましい。
有機系保護層の厚さは、200nm以下であることが好ましく、100nm以下であることがより好ましく、50nm以下であることがさらに好ましい。一方、膜厚下限値は10nm以上であることが好ましく、30nm以上であることがより好ましい。有機系保護層の厚さを上述した範囲とすることにより、有機系保護層の修正放射率(赤外線の吸収率)を低いものとすることができる。
<積層体の特性>
また、本発明の積層体は、保護層側から測定した波長5.5〜50μmの赤外線反射率は85%以上であり、かつ、保護層側から測定した波長300〜2500nmの日射熱取得率は0.62以下であることが好ましい。赤外線反射率と日射熱取得率を上述した範囲とすることにより省エネ効果の高い積層体とすることができる。なお、波長5.5〜50μmの赤外線反射率が85%以上であることで断熱性により優れた積層体となり、波長300〜2500nmの日射熱取得率が0.62以下で日射遮蔽性により優れた積層体となる。また、積層体の赤外線反射率、日射熱取得率を上記の範囲とする手段としては、積層体の構成を本発明の積層体の構成とすること等が挙げられる。
本発明の積層体は、上記のとおり、耐久性に優れるとともに、可視光透過性にも優れたものである。本発明の積層体の可視光透過性としては、積層体の波長380〜780nmの可視光透過率が60%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましい。また、波長380〜780nmの可視光透過率が60%以上の積層体を得る手段としては、例えば、積層体の層構成や、積層体が備える各層の組成について、後述の実施例の項に記載の実施例1〜11のいずれかの積層体と同様のものとすることが挙げられる。また、例えば、実施例1〜11のいずれかの積層体の層構成に何らかの層が追加されたものであっても、この追加された層が積層体の可視光透過性に大きな影響を及ぼすものでない場合には、この積層体の波長380〜780nmの可視光透過率が上記の範囲内となることがあることはいうまでもない。また、例えば、実施例1〜11のいずれかの積層体が備える層の組成が変更されたとしても、この組成が変更された層が積層体の可視光透過性に大きな影響を及ぼすものでない場合には、この積層体の波長380〜780nmの可視光透過率が上記の範囲内となることがあることはいうまでもない。
以下に本発明について、実施例を用いてさらに具体的に説明する。実施例中に示す特性値の測定に供する評価用試験体の作製方法ならびに特性値の測定・算出方法は次のとおりである。
A.評価用試験体の作製
(1)積層体を50mm角正方形にカットした。
(2)前記(1)項でカットしたフィルムの基材側の面に粘着層を形成した。
(3)次に、(2)項で形成した粘着層を介して、3mm厚のフロートガラスに貼合した。なお、貼合は「ガラス用フィルム工事の施工マニュアル3版(日本ウインドウフィルム工業会発行)」に準じて実施した。
B.各膜の厚さ
(1)分析電子顕微鏡TITAN80−300(FEI社)、EDX検出器r−TEM/SuperUTW(EDAX社)を用い測定した(加速電圧200kV)。
C.各膜の組成
(1)X線光電子分光分析装置PHI5000VersaProbeII(アルバック・ファイ株式会社製)を用い各元素間の結合エネルギーピークのスペクトルを測定(光電子脱出角度45度)し、各元素の原子数を算出した。この際、測定する膜の上に積層されている全ての層をエッチング処理により除去した後に測定を行った。
D.金属酸化物膜の亜鉛および錫に対する窒素の当量比
(1)B項記載の方法にて、亜鉛(Zn)、錫(Sn)、および窒素(N)の原子数を算出した。
(2)各元素の当量を考慮した3N/(2Zn+4Sn)の式のN、Zn、及びSnに窒素の原子数、亜鉛の原子数、及び錫の原子数を、それぞれ代入することで、亜鉛及び錫に対する窒素の当量比(3N/(2Zn+4Sn))を算出した。
E.第一の保護層のC/N比
(1)B項記載の方法にて、保護層を構成する原子数を算出する。なお、特定原子(例えば炭素)の原子数%は、同原子の原子数を保護層に含まれる全ての原子の原子数で除し、得られた値に100を乗じて算出する。なお、原子数%が1%未満となる元素については除外した。また、炭素については、分析装置や試験体の汚染に起因して検出される場合があるため、保護層に炭素を含まない(製造工程で炭素を導入していない)試験体をブランクとして、差異分を含有原子数%とした。
(2)炭素(C)の原子数%を窒素(N)の原子数%で除して、C/N比を算出する。
F.金属膜の耐腐食性(積層体の耐久性)
(1)測定方法:
i)A項で作製した評価用試験体表面に人工汗(乳酸5%、NaCl10%:JIS B7285)を50μm滴下し、恒温恒湿槽内(温度23℃、湿度90%)に静置した。
ii)1、3、5、10h時間の静置後、取り出し、水洗した後、形状測定レーザマイクロスコープVK−X110(キーエンス社製)で腐食状態を観察した。なお、対物レンズは5倍を使用した。
(2)判定基準
「A」:腐食(変色)無し、金属薄の剥離無し。
「B」:軽微な腐食(変色)有り、金属薄の剥離無し。
「C」:腐食(変色)有り、金属薄の剥離有り。
ここで、金属膜の銀の腐食は、まず銀の腐食が発生すると変色が発現し、さらに、腐食が大きく進行すると金属膜の剥離が発現する。
G.遠赤外線反射率
(1)規格:JIS R3106−1998に準拠
(2)測定方法:
i)分光測光器「IR Prestige−21(株式会社島津製作所製)」、正反射測定ユニット「SRM−8000A(株式会社島津製作所製)」を用い、評価用試験体の波長5〜25μmの分光反射率を測定した。なお、標準板にはAl蒸着鏡を用いた。ii)前記分光反射率からJIS本文付表3に記載の番号λ1(波長5.5μm)〜λ30(波長50μm)の選定波長における分光反射率を抽出した。なお、λ25(波長25.2μm)〜λ30(波長50μm)の反射率はλ24(波長23.3μm)の値を用いた。iii)抽出した分光反射率にそれぞれJIS本文付表3に記載のAl蒸着鏡の標準反射率を乗じ、λ1〜λ30の選定波長における評価試験体の反射率とした。iv)前記反射率の平均値を遠赤外線反射率とした。
H.日射熱取得率
(1)規格:JIS R3106−1998に準拠
(2)測定方法:
i)分光測光器「UV−3150(株式会社島津製作所製)」を用い、評価用試験体の波長300〜2500nmの分光透過率と分光反射率を1nm間隔で測定した。ii)前記透過率・反射率にJIS本文付表2に記載の重価係数を乗じた後、合計値を算出し、日射透過率・日射反射率(%)とした。iii)JIS本文8.4項の算出式を用い日射熱取得率を算出した。
(3)測定条件:スキャンスピード「高速」、分解能力「10nm」。
I.可視光透過率
(1)規格:JIS R 3106−1998に準拠
(2)測定方法
i)分光測光器「UV−3150(株式会社島津製作所製)」を用い、評価用試験体の波長380〜780nmの分光透過率と分光反射率を1nm間隔で測定した。ii)前記透過率にJIS本文に記載の重価係数を乗じた後、合計値を算出し、可視光透過率(%)とした。
(3)測定条件:スキャンスピード「高速」、分解能力「10nm」。
[実施例1]
基材として、アンダーコート層を備えたハードコートフィルム「”タフトップ”(登録商標)THS(東レフィルム加工株式会社製)を用いた。
次に当該基材のアンダーコート層上に、金属組成が錫(Sn):亜鉛(Zn)=65質量%:35質量%の金属酸化物スパッタリングターゲット材を用いて厚さ30nmの第一の金属酸化物膜を製膜した(スパッタガスはアルゴン:酸素=95%:5%(流量比))。続いて、第一の金属酸化物膜上に、チタン(Ti)の含有量が100質量%である金属スパッタリングターゲット材を用いて厚さ1nmの第一の金属膜を製膜した(スパッタリングガスはアルゴン100%)。次に、第一の金属膜上に、銀(Ag)の含有量が97.0質量%、金(Au)の含有量が2.0質量%、錫(Sn)の含有量が1.0質量%である金属スパッタリングターゲット材を用いて厚さ12nmの第二の金属膜を製膜した(スパッタリングガスはアルゴン=100%)。さらに、第一の金属酸化物薄膜と同一の金属酸化物スパッタリングターゲット材を用いて厚さ30nmの第二の金属酸化物膜を製膜し((スパッタリングガスはアルゴン:酸素=95%:5%(流量比))、基材上に第一の金属酸化物膜/第一の金属膜/第二の金属膜/第二の金属酸化物からなる熱線反射を形成した。
次に当該熱線反射層上にSiスパッタリングターゲット材を用い厚さ15nmの保護層を製膜し(スパッタリングガスはアルゴン:当該熱線反射層上にSiスパッタリングターゲット材を用い厚さ15nmの無機系保護層を製膜し(スパッタリングガスはアルゴン:二酸化炭素:窒素=76%:16%:8%)、積層体を得た。
[実施例2]
第一の金属膜の厚さを3nmに変更したことを除き、実施例1と同一の方法で積層体を得た。
[実施例3]
第一の金属膜の厚さを5nmに変更したことを除き、実施例1と同一の方法で積層体を得た。
[実施例4]
第一の金属膜を製膜する際のスパッタリングターゲット材をニオブ(Nb)の含有量が100質量%に変更し、厚さを3nmとしたことを除き実施例1と同一の方法で積層体を得た(スパッタリングガス:アルゴン100%)。
[実施例5]
第一の金属膜を製膜する際のスパッタリングターゲット材をタングステン(W)の含有量が100質量%に変更し、厚さを3nmとしたことを除き実施例1と同一の方法で積層体を得た(スパッタリングガス:アルゴン100%)。
[実施例6]
第一、および第二の金属酸化物膜を製膜する際のスパッタリングガスをアルゴン:二酸化炭素:窒素=90%:7%:3%に変更したことを除き、実施例2と同一の方法で積層体を得た。
[実施例7]
第一、及び第二の金属酸化物膜を製膜する際のスパッタリングガスをアルゴン:二酸化炭素:窒素=75%:17.5%:7.5%に変更したことを除き、実施例2と同様の方法で積層体を得た。
[実施例8]
第一の保護層を製膜する際のスパッタリングガスをアルゴン:酸素:二酸化炭素:窒素=74%:5%:14%:7%に変更したことを除き、実施例7と同一の方法で積層体を得た。
[実施例9]
第一の保護層を製膜する際のスパッタリングガスをアルゴン:酸素:二酸化炭素:窒素=78%:7%:10%:5%に変更したことを除き、実施例7と同一の方法で積層体を得た。
[実施例10]
第二の金属膜を製膜する際のスパッタリングターゲット材を銀(Ag)の含有量が97.0質量%、金(Au)の含有量が2.0質量%、錫(Sn)の含有量が1.0質量%であるスパッタリングターゲット材に変更し、厚さを12nmにしたことを除き、実施例7と同一の方法で積層体とした。
[実施例11]
実施例10と同一の方法で熱線反射層、第一の保護層を積層した後、第二の保護層を10nm、コーティング加工で形成し積層体を得た。なお、第二の保護層にはフッ素系コーティング剤「Novec1720(スリーエム社製)」を用いた。
[比較例1]
第一の金属膜を有さないことを除き、実施例1と同一方法で積層体を得た。
[比較例2]
実施例1と同一の方法で第一の金属酸化物膜、第二の金属膜を製膜した後、第二の金属膜上に、チタン(Ti)の含有量が100質量%である金属スパッタリングターゲット材を用いて厚さ1nmの第三の金属膜を製膜した(スパッタリングガスはアルゴン100%)。続いて、実施例1と同一の方法で、第二の金属酸化物膜、第一の保護層を形成し、積層体を得た。
[比較例3]
第三の金属膜の厚さを3nmに変更したことを除き、比較例2と同一の方法で積層体を得た。
[比較例4]
第三の金属膜の厚さを5nmに変更したことを除き、比較例2と同一の方法で積層体を得た。
[比較例5]
熱線反射層の構成を第一の金属酸化物膜/第一の金属膜/銀を主成分とする第二の金属膜/第三の金属膜/第二の金属酸化物膜とし、第一の金属膜及び第三の金属膜をチタン(Ti)の含有量が100質量%である金属スパッタリングターゲット材を用いて厚さ各3nmとした(スパッタリングガスはアルゴン100%)ことを除き、実施例1と同一の方法で積層体を得た。
[比較例6]
第一の金属膜、および第三の金属膜の厚さを、何れも5nmに変更したことを除き、比較例5と同一の方法で積層体を得た。
実施例1〜11、ならびに比較例1〜6の各試験体について、上述した測定方法を用い、赤外線反射率、日射熱取得率、可視光線透過率、耐腐食性、金属酸化物膜の3N(2Zn+4Sn)、および第一の保護層のC/N比を測定した結果を表1、ならびに表2に示す。
第一の金属膜にチタンを主成分とする金属膜を配置した実施例1〜3は、いずれも第一の金属膜を有さない比較例1と比較して、耐腐食性が向上し、1h経過時点の評価で判定は「A」であった(比較例1:1h判定「C」)。また、第一の金属膜の厚膜化に伴い耐腐食性が向上する傾向にある。また、第一の金属膜にニオブ、タングステンを配置した実施例4、5も同様に耐腐食性が向上し、1hの評価で判定は「A」であった。 さらに、実施例2と同一の組成、厚さの第一の金属膜を配置し、第一の金属酸化物膜、および第二の酸化物膜に窒素を含有し、3N/(2Zn+4Sn)を0.010〜0.025の範囲とした実施例6、実施例7は、耐腐食性がさらに向上し、3hの評価でも判定は「A」であった(実施例2:3h判定「B」)。
また、実施例7と同様の方法で、第二の金属酸化物膜までを製膜し、第一の保護層のC/N比を0.010〜0.025の範囲とした実施例8、9の耐腐食性も実施例7と同様に判定は3hで「A」であった。
次に、実施例7から、第二の金属膜の組成のみを変更し、銀に金、錫を含有させて実施例10は、さらに耐腐食性が向上し、判定は5hで「A」であった(実施例7:5h判定「B」)。
さらに、実施例10の積層体に第二の保護層を積層した実施例11は、最も耐腐食性に優れ、判定は10hで「A」であった。
一方、銀を主成分とする第二の金属膜の保護層側にのみ、チタンを主成分とする第三の金属膜を配置した比較例2〜4はいずれも耐腐食に劣り、判定は1hで「B」であった。なお、いずれの試験体も断熱性の指標である遠赤外線反射率、遮熱性の指標である日射熱取得率、透明性の指標である可視光透過率は良好な値であった。
最後に、銀を主成分とする第二の金属膜を、チタンを主成分とする第一の金属膜、および第三の金属膜で挟持し、第一、および第三の金属膜の厚さを各3nmとした比較例5、各5nmとした比較例6は耐腐食性に優れるものの、可視光透過性に劣り、それらの積層体の可視光透過率は、比較例5:66%、比較例6:59%であった。
Figure 2019136954
Figure 2019136954

Claims (7)

  1. 少なくとも基材、熱線反射層、及び保護層をこの順に備え、
    前記熱線反射層は、基材側から第一の金属酸化物膜、第一の金属膜、第二の金属膜、および第二の金属酸化物膜をこの順に有し、
    前記第一の金属膜が、パラジウム、クロム、モリブテン、タングステン、バナジウム、ニオブ、コバルト、ニッケル、チタン、ジルコニウムまたはこれらの合金を主成分とするものであり、
    前記第二の金属膜は銀を主成分とするものであり、
    前記第一の金属酸化物膜と前記第二の金属膜との層間にのみ前記第一の金属膜は配置されており、前記第二の金属膜と前記第一の金属膜とは直接接している、積層体。
  2. 前記第一の金属膜の厚さが、1nm以上、10nm以下である、請求項1に記載の積層体。
  3. 前記第一の金属膜が、チタンを主成分とするものである、請求項1または2に記載の積層体。
  4. 前記第一の金属酸化物膜および前記第二の金属酸化物膜は、何れも亜鉛と錫の複合金属の酸化物を主成分とするものである、請求項1〜3の何れかに記載の積層体。
  5. 可視光線透過率が70%以上であり、
    前記第一の金属膜の厚さが1nm以上5nm以下である、請求項1〜4の何れかに記載の積層体。
  6. 前記保護層が、前記第二の金属酸化物膜側から、第一の保護層、第二の保護層をこの順に有し、前記第一の保護層が無機系保護層であり、第二の保護層が有機系保護層である、請求項1〜5の何れかに記載の積層体。
  7. 前記第一の保護層が炭素、窒素、酸素、及びケイ素を含有し、前記第一の保護層における炭素原子(C)の原子数と窒素原子(N)の原子数との割合(炭素原子(C)の原子数/窒素原子(N)の原子数)が0.5〜2.5である、請求項1〜6の何れかに記載の積層体。
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