JP2019006035A - 積層体 - Google Patents
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Abstract
【課題】日射遮蔽性、断熱性、透明性を高いレベルで発現させるべく、銀(Ag)を主成分とする金属薄膜を採用した場合であっても金属薄膜の腐食が発生し難く、耐久性に優れた窓貼り用途に好適な積層体を提供せんとするものである。【解決手段】少なくとも基材、熱線反射層、及び保護層のこの順に備え、前記熱線反射層は第一の金属酸化物薄膜、金属薄膜、及び第二の金属酸化物薄膜を基材側からこの順に備えており、前記金属薄膜が銀(Ag)を主成分とし、少なくとも金(Au)を2.0質量%以上含み、かつ、錫(Sn)を1.0〜3.0質量%含む積層体【選択図】なし
Description
本発明は、積層体に関する。
従来から、合成樹脂などからなる透明基材上に、金属薄膜/金属酸化物薄膜を交互に積層した熱線反射層、及び保護層を、この順に形成した積層体が、住宅やビルに設けられた窓ガラスなどの開口部(採光部)に使用されている。これら積層体は金属薄膜の赤外線反射機能により、室外から室内への日射熱(近赤外線)の流入の抑制(すなわち、日射遮蔽)し、さらに室内から室外への暖房熱(遠赤外腺)の流出の抑制(すなわち、断熱)が可能であり、年間を通じて省エネ効果を得ることができる。
ここで、特許文献1には、金属薄膜を備える積層体であって、上記の金属薄膜の腐食に対する耐久性を向上させるべく、金属薄膜として銀(Ag)を主成分とし、さらに金(Au)およびパラジウム(Pd)を含有する銀合金の金属薄膜を採用し、最表面に保護層としてのハードコート層を設けた積層体が開示されている。
上記特許文献1に開示された積層体においては、高い日射遮蔽性、高い断熱性および高い可視光透過性を実現した上で、さらに、耐腐食性に優れた窓貼りに好適な積層フィルムを得るため、銀(Ag)を主成分とし金(Au)およびパラジウム(Pd)を添加した銀合金の金属薄膜が採用されている。しかし、この形態の積層体は日射遮蔽性、断熱性および可視光透過性の光学特性には優れるものの、耐腐食性については不十分であるとの課題がある。
そこで、本発明は、上記の事情に鑑み、優れた赤外線反射性能により日射遮蔽性と断熱性とに優れ、さらに、可視光透過率に優れる積層体(すなわち、光学特性に優れる積層体)であって、さらに、耐腐食性にも優れる窓貼り用途に好適な積層体を提供せんとするものである。
本発明は、かかる課題を解決するために、次のような構成を採用する積層体または窓貼り用フィルムである。すなわち、
(1)少なくとも基材、熱線反射層、及び保護層のこの順に備え、前記熱線反射層は第一の金属酸化物薄膜、金属薄膜、及び第二の金属酸化物薄膜を基材側からこの順に備えており、前記金属薄膜が銀(Ag)を主成分とし、金(Au)を前記金属薄膜全体に対し2.0質量%以上含み、かつ、錫(Sn)を前記金属薄膜全体に対し1.0〜3.0質量%含むことを特徴とする積層体、
(2)前記金属薄膜が銀(Ag)を主成分とし、金(Au)を前記金属薄膜全体に対し3.0質量%以上含み、かつ、錫(Sn)を前記金属薄膜全体に対し1.5質量%以上含むことを特徴とする(1)の積層体、
(3)前記金属薄膜の厚みが10〜25nmであることを特徴とする(1)または(2)の積層体、
(4)(1)〜(3)のいずれかの積層体を備えた窓貼り用フィルムである。
(1)少なくとも基材、熱線反射層、及び保護層のこの順に備え、前記熱線反射層は第一の金属酸化物薄膜、金属薄膜、及び第二の金属酸化物薄膜を基材側からこの順に備えており、前記金属薄膜が銀(Ag)を主成分とし、金(Au)を前記金属薄膜全体に対し2.0質量%以上含み、かつ、錫(Sn)を前記金属薄膜全体に対し1.0〜3.0質量%含むことを特徴とする積層体、
(2)前記金属薄膜が銀(Ag)を主成分とし、金(Au)を前記金属薄膜全体に対し3.0質量%以上含み、かつ、錫(Sn)を前記金属薄膜全体に対し1.5質量%以上含むことを特徴とする(1)の積層体、
(3)前記金属薄膜の厚みが10〜25nmであることを特徴とする(1)または(2)の積層体、
(4)(1)〜(3)のいずれかの積層体を備えた窓貼り用フィルムである。
本発明によれば、優れた赤外線反射性能により日射遮蔽性と断熱性とに優れ、さらに、可視光透過率に優れる積層体(すなわち、光学特性に優れる積層体)であって、さらに、耐腐食性にも優れる窓貼り用途に好適な積層体を提供することができる。
本発明の積層体は、少なくとも基材、熱線反射層、及び保護層のこの順に備え、前記熱線反射層は第一の金属酸化物薄膜、金属薄膜、及び第二の金属酸化物薄膜を基材側からこの順に備えており、前記金属薄膜が銀(Ag)を主成分とし、金(Au)を前記金属薄膜全体に対し2.0質量%以上含み、かつ、錫(Sn)を前記金属薄膜全体に対し1.0〜3.0質量%含む積層体である。
まず、本発明の積層体が備える基材について説明する。この基材は、可視光透過性能に優れたものであれば特に限定されることはないが、窓貼り用途に使用する場合、可撓性を有し取り扱い性に優れる観点から合成樹脂を含むフィルムであることが好ましい。ここで、合成樹脂としては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、アクリル、ナイロンなどが挙げられる。これらのなかでも、少なくとも第一の金属酸化物薄膜、銀(Ag)を主成分とする金属薄膜、及び第二の金属酸化物薄膜を基材側からこの順に備える熱線反射層(以下、熱線反射層とする)を形成する際に必要となる耐熱性などを考慮するとポリエチレンテレフタレートがより好ましい。
また、基材と熱線反射層との層間の密着性を向上させる観点から、少なくとも熱線反射層を積層する基材の面に、コロナ処理、プラズマ処理、ケン化などの表面処理を施すことが好ましい。
次に、基材の厚みについては、特に制限はないが、機械的強度、耐熱性、窓貼り用途に用いた場合の取り扱い性を考慮すると10〜150μmであることが好ましい。厚みを10μm以上とすることで、基材の表面処理工程や、熱線反射層の形成工程で熱収縮による皺の発生を抑制することができるとともに、窓の破損の防止性能および防犯性能等を付与することができる。一方、厚みを150μm以下とすることで、必要となる材料の量を低減することができ環境負荷低減に貢献できるとともに、積層体の柔軟性が向上することで積層体を窓などに施工する際の施工性をより良好なものとすることができる。
さらに、熱線反射層と接する側の基材の表面にアクリル樹脂、ウレタン樹脂などの合成樹脂からなるアンダーコート層を形成することが好ましい。アンダーコート層を形成することにより、基材表面が平滑化され基材と熱線反射の密着性が向上し、金属薄膜の耐腐食性が良好なものとなることに加え、基材の剛性が上がり耐擦過性が向上する傾向にある。アンダーコート層の厚みは0.5μm以上であることが好ましく、1.0μm以上であることがより好ましい。一方、上限値は5μm以下であることが好ましく、3μm以下であることがより好ましい。
次に、本発明の積層体が備える熱線反射層について説明する。この熱線反射層は、少なくとも第一の金属酸化物薄膜、銀(Ag)を主成分とする金属薄膜、及び第二の金属酸化物薄膜を基材側からこの順に備えているものであり、銀(Ag)を主成分とする金属薄膜で赤外線を反射することにより日射遮蔽性ならびに断熱性を発現し、第一、及び第二の金属酸化物薄膜で可視光線の界面反射を低減し、積層体の可視光透過性能を優れたものとすることができる。なお、本願において赤外線とは、近赤外線と遠赤外線の両方を含む概念である。
金属薄膜について説明する。金属薄膜は、赤外線反射性能に優れる銀(Ag)を主成分として含み、さらに、金(Au)を金属薄膜全体に対し2.0質量%以上含み、錫(Sn)を金属薄膜全体に対し1.0〜3.0質量%含むものである。そして、金属薄膜が、銀(Ag)を主成分として含み、さらに、金(Au)と錫(Sn)とを上記の含有量の範囲で含む銀合金の薄膜であることにより、本発明の積層体の赤外線反射性能、及び可視光透過性能は優れたものとなり、さらに、この金属薄膜の腐食に対する耐久性が向上し、この積層体の耐腐食性も優れたものとなる。上記の効果が得られるメカニズムの詳細は不明であるが、本発明の備える金属薄膜に含まれる銀(Ag)、金(Au)および錫(Sn)は、それぞれ異なる特性を備えており、金属薄膜に主成分として含まれる銀(Ag)が、積層体に優れた赤外線反射性能を付与し、金属薄膜に特定の含有量で含まれる金(Au)が、大気中の湿気等により腐食を受けやすい傾向にある銀(Ag)および錫(Sn)が含まれる金属薄膜に大気中の湿気等による腐食に対する耐性を付与し、金属薄膜に特定の含有量で含まれる錫(Sn)が、手汗等に含まれる塩類により腐食を受けやすい傾向にある銀(Ag)が含まれる金属薄膜に手汗等に含まれる塩類に対する耐性を付与するためであると推測する。すなわち、金属薄膜の構成を本発明で規定されるものとすることで、金属薄膜に含まれる複数の金属それぞれの短所を相互に補完しあった上で、これらの金属の長所を発現させることができたものと考える。
ここで、銀(Ag)を主成分とは、金属薄膜に含まれる銀(Ag)の含有量が、金属薄膜の全成分を100質量%とした場合に90質量%以上含むことをいい、金属薄膜に含まれる金(Au)と錫(Sn)の含有量を本発明で規定するものとした上で、銀(Ag)を金属薄膜の主成分とすることにより、本発明の積層体は、高い耐腐食性を得た上で、さらに高い赤外線反射性能と高い可視光透過性能を得ることができる。
また、積層体の赤外線反射性能、可視光透過性能および耐腐食性を優れたものとするために、本発明の積層体において、金属薄膜は金(Au)を金属薄膜全体に対し2.0質量%以上含有している。ここで、積層体の大気中に含まれる湿気等に対する腐食性をより向上させるとの観点からは、金属薄膜における金(Au)の含有量は3.0質量%以上であることが好ましい。金属薄膜における金(Au)の含有量の上限については特に限定はされないが、含有量の増大によるコストアップに見合う積層体の耐腐食性向上の効果を得ることができないとの理由により、5.0質量%以下であることが好ましい。
次に、積層体の赤外線反射性能、可視光透過性能および耐腐食性を優れたものとするために、本発明の積層体において、金属薄膜は錫(Sn)を金属薄膜全体に対し1.0〜3.0質量%含有している。ここで、積層体の大気中や手汗等に含まれる塩類に対する腐食性をより向上させるとの観点からは、金属薄膜における錫(Sn)の含有量は1.5質量%以上であることが好ましい。一方で、金属薄膜における錫(Sn)の含有量の上限については、積層体の大気中に含まれる湿気等に対する腐食性をより向上させ、さらに積層体の可視光透過性能をより向上させるとの観点から、2.5質量%以下であることが好ましい。
金属薄膜の厚みについては、積層体の赤外線反射性能と可視光透過性能とを、ともに優れたものとすることができるとの理由から、10〜25nmの範囲で適宜選択することが好ましい。具体的には、金属薄膜の厚みが10nm以上であることで積層体の赤外線反射性能が優れたものとなり、金属薄膜の厚みが25nm以下であることで可視光透過性能が優れたものとなる。また、金属薄膜の厚みが25nm以下であると、金属の使用量が低下し、積層体の生産性が向上するとの効果も得られる。
本発明の積層体は、第一の金属酸化物薄膜および第二の金属酸化物薄膜を備えることで、可視光透過性能に優れたものとなるとともに、これらの金属酸化物薄膜が金属薄膜の腐食を抑制することで耐腐食性にも優れたものとなる。以下、これらの金属酸化物薄膜について説明する。本発明の積層体が備える第一の金属酸化物薄膜および第二の金属酸化物薄膜には、500nmの波長における屈折率が高い金属酸化物の薄膜を採用することが、積層体における可視光線の界面反射を低減し、積層対の可視光透過性能をより向上させることができる点で好ましい。屈折率が高い金属酸化物としては、具体的にはチタン、ニオブ、亜鉛、錫、インジウムなどの酸化物を挙げることができるが、日射を受ける環境で長期間使用される窓貼り用途に本発明の積層体用いる場合には、亜鉛と錫の複合金属酸化物を用いることがより好ましい。亜鉛、及び錫の酸化物はともに屈折率が高く、太陽光線のエネルギー下で強い光触媒反応を示さないため、上記の用途に用いた場合に耐久性に優れる積層体を得ることができる。一方で、チタン、及びニオブの酸化物は何れも太陽光線のエネルギー下で光触媒反応を示すため、積層体を窓貼り用途に長期間使用した場合に積層体内部の有機物(例えば基材や、保護層)との界面で剥離が発生し易くなり、耐久性に劣る積層体となる傾向にある。なお、インジウムについては吸入による健康被害が懸念されていることから、積層体を長期間室内で使用する窓貼り用途とした場合に、この積層体に用いるのは好ましくない。
また、金属酸化物薄膜は、積層体の可視光透過性を向上させる観点や、積層体が備える金属薄膜と金属酸化物薄膜との密着力を向上させ積層体の耐久性を向上させる観点から、充分に酸素を含有するものであることが好ましい。金属酸化物薄膜を成膜する際の雰囲気における体積ベースの酸素流量率(以下、流量率とする)は5%以上15%以下であることが好ましく、金属酸化物薄膜に含まれる酸素をより十分なものとする観点から、下限は、8%以上であることがより好ましく、上限は12%以下であることがより好ましい。
一方、金属酸化物薄膜を、十分に酸素を含有するものとすべく、金属酸化物薄膜を酸素が多く含有される雰囲気下で成膜すると、本発明の積層体における金属酸化物薄膜の下地である金属薄膜が酸化されることとなり、積層体の赤外線反射性能が低下する傾向がある。よって、十分に酸素を含有する金属酸化物薄膜の形成の際に、その下地の金属薄膜の酸化を抑制すべく、金属薄膜と金属酸化物薄膜との間に、金属薄膜の酸化を抑制するマスク層が配置されていることが好ましい。ここで、マスク層とは、金属酸化物薄膜より酸素の含有量が少ない層であり、化学量論組成に対し酸素が不足している金属亜酸化物の層である。例えば、マスク層を成膜する際の雰囲気における体積ベースの酸素流量率を2%以上5%以下とすることで得ることができる。
マスク層に用いる材料は、チタン、ニオブ、亜鉛、錫、インジウムなどの亜酸化物を挙げることができ、これら金属亜酸化物を1種以上選択して用いることが好ましい。さらに、金属酸化物薄膜を構成する金属と同一の金属から構成されるマスク層とすること、すなわち、マスク層の組成を金属酸化物薄膜の組成と同様のものとすることが、金属酸化物薄膜とマスク層との層間における密着性をより優れたものとし、積層体の耐久性を向上させる観点でより好ましい。例えば、金属酸化物薄膜が亜鉛、及び錫の酸化物により構成されるものである場合には、マスク層は錫および/または亜鉛の亜酸化物により構成されるものとすることが好ましい。
金属酸化物薄膜の厚みについては、10nm以上であることが好ましく、30nm以上であることがより好ましい。一方、上限は、100nm以下であることが好ましく、60nm以下であることがより好ましい。金属酸化物薄膜の厚みを10nm以上とすることで、可視光線の反射をより抑制でき可視光透過性能に優れた積層体を得ることができる。一方、金属酸化物薄膜の厚みを100nm以下とすることで、金属酸化物薄膜を構成する金属の金属酸化物薄膜における含有量を低減させえることができ、積層体の生産性をより向上させることができる。
また、マスク層の厚みについては、1nm以上であることが好ましく、2nm以上であることがより好ましい。マスク層の厚みを、1nm以上とすることで金属酸化物薄膜を形成する際に金属薄膜の酸化をより抑制することができ、赤外線反射性能により優れる積層体を得ることができる。マスク層の厚みを、2nm以上とすることで上記の効果はより顕著なものとなる。一方、マスク層の厚みの上限は、10nm以下であることが好ましく、8nm以下であることがより好ましく、6nm以下であることが更に好ましく、4nm以下であることが特に好ましい。マスク層の厚みを、10nm以下とすることで、可視光透過性能により優れた積層体を得ることができる。この傾向は、マスク層の厚みが薄くなるほど顕著なものとなる。
なお、金属薄膜、第一金属酸化物薄膜、第二の金属酸化物薄膜、およびマスク層の厚みについては、透過型電子顕微鏡(TEM)、または光学膜厚計などを用いた公知の測定方法等を適宜用いることで分析することができ、各層の組成についてはX線光電子分光分析装置(ESCA)、エネルギー分散型X線分析装置(EDX)等を用いた測定方法を適宜用いることで分析することができる。
これらの金属薄膜や、第一の金属酸化物薄膜、第二の金属酸化物薄膜、およびマスク層は、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法などの気相成長法で成膜することができるが、成膜できる材料の種類が多岐にわたり、高品位な膜が得られるとの理由から気相成長法のなかでもスパッタリング法を用いて成膜することが好ましい
次に、本発明の積層体が備える保護層は、金属薄膜並びに第一の金属酸化物薄膜、及び第二の金属酸化物薄膜を保護する機能を有するものであり、積層体の最表面に位置する層であることが好ましい。保護層には積層体を窓貼り用フィルムとして使用した際、特に施工時や使用時に窓貼り用フィルムの品位を維持する機能が求められる。つまり、施工時に使用する施工用ヘラに対する耐擦過性と、使用時に大気中の銀(Ag)を腐食させる成分、手汗等の汚れ成分から金属薄膜の劣化を抑制するバリア性が必要とされる。
次に、本発明の積層体が備える保護層は、金属薄膜並びに第一の金属酸化物薄膜、及び第二の金属酸化物薄膜を保護する機能を有するものであり、積層体の最表面に位置する層であることが好ましい。保護層には積層体を窓貼り用フィルムとして使用した際、特に施工時や使用時に窓貼り用フィルムの品位を維持する機能が求められる。つまり、施工時に使用する施工用ヘラに対する耐擦過性と、使用時に大気中の銀(Ag)を腐食させる成分、手汗等の汚れ成分から金属薄膜の劣化を抑制するバリア性が必要とされる。
上述した観点から、保護層にはアクリル樹脂、ウレタン樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂などにより構成される有機系保護層、またはケイ素の酸化物、ケイ素の窒化物などにより構成される無機系保護層の少なくともいずれかを用いることが好ましい。有機系保護層はグラビアコーティング法、リバースロールコーティング法、ディップコーティング法など公知の方法で形成することが可能であり、総じて厚膜化が可能であるため、施工時に施工ヘラで擦過された際、金属薄膜に達する傷が生じ難い特徴を有する。一方、有機物が赤外線を吸収する性質を有するため厚膜化により、積層体として赤外線反射性能が低下する傾向にある。上述した観点から、有機系保護層の膜厚は1000nm以下であることが好ましく、800nm以下であることがより好ましく、600nm以下であることがさらに好ましい。また、下限値は10nm以上であることが好ましく、50nm以上であることがより好ましく、100nm以上であることがさらに好ましい。
さらに、有機系保護層を、フッ素樹脂やシリコーン樹脂を含有するものとすることにより、有機系保護層の水に対する接触角を向上させることが可能であり、結露水などの水分が浸透することを抑制し、金属薄膜の腐食をより抑制することができる。有機系保護層の水に対する接触角は60°以上であることが好ましく、80°以上であることがより好ましく、100°以上であることがさらに好ましい。
次に、無機系保護層は金属薄膜や、金属酸化物薄膜と同様に真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法など公知の方法で形成することが可能であり、無機物の性質に起因し赤外線を吸収し難く、高硬度で、かつ、バリア性が高い緻密な無機系保護層を得ることができる。一方、製法上厚膜化が困難であるため、表面に傷が発生した際、無機系保護層の下に位置する金属薄膜に傷が達しやすい傾向にある。上述した観点から、無機系保護層の膜厚上限値は100nm以下であることが好ましく、50nm以下であることがより好ましい。また、下限値は10nm以上であること好ましく、20nm以上であることがより好ましい。
上述した有機系保護層と無機系保護層の特徴を生かすべく、有機系保護層と無機系保護層を併用することが、金属薄膜を保護する耐擦過性と、金属薄膜の劣化を抑制するバリア性と、を両立できる点で好ましい。また、各保護層の特徴を最大限生かす観点から最外層に有機系保護層を用い、第二の金属酸化物薄膜側に無機系保護層を用いることがさらに好ましい。この場合、金属薄膜、金属酸化物薄膜、ならびに、無機系保護層を同一プロセスで製膜した後、有機系保護層を積層することが可能となり生産性の面からも好ましい。本形態を採用することにより、赤外線を吸収する傾向にある有機系保護層の膜厚をより薄膜化でき、耐擦過性とバリア性を維持した上で赤外線の吸収を抑制でき赤外線の反射率を向上させることが可能となる。2層化した場合の有機系保護層の膜厚は200nm以下であることが好ましく、100nm以下であることがより好ましく、50nm以下であることがさらに好ましい。一方、膜厚下限値は10nm以上であることが好ましく、30nm以上であることがより好ましい。
また、本発明の積層体の、保護層側から測定した波長5.5〜50μmの赤外線反射率は85%以上であり、かつ、保護層側から測定した波長300〜2500nmの日射熱取得率は0.62以下であり、波長380〜780nmの可視光透過率は70%以上であることが好ましい。赤外線反射率と日射熱取得率を上述した範囲とすることにより省エネ効果の高い積層体とすることができる。なお、波長5.5〜50μmの赤外線反射率が85%以上であることで断熱性により優れた積層体となり、波長300〜2500nmの日射熱取得率が0.62以下で日射遮蔽性により優れた積層体となる。また、積層体の赤外線反射率、日射熱取得率および可視光透過率を上記の範囲とする手段としては、積層体の構成を本発明の積層体の構成とすること等が挙げられる。
次に、本発明の積層体は、窓貼り用フィルムに好適に用いることができる。窓貼り用フィルムは、積層体の熱線反射層と保護層とが形成された側の面の反対側の面に接着剤層を設けることで得ることができる。
以下に本発明について、実施例を用いてさらに具体的に説明する。実施例中に示す特性値の測定に供する評価用試験体の作製方法ならびに特性値の測定・算出方法は次のとおりである。
A.評価用試験体の作製
(1)積層体を50mm角正方形にカットした。
(2)前記(1)項でカットしたフィルムの基材側の面に粘着層を形成した。
(3)次に、(2)項で形成した粘着層を介して、3mm厚のフロートガラスに貼合した。なお、貼合は「ガラス用フィルム工事の施工マニュアル3版(日本ウインドウフィルム工業会発行)」に順じて実施した。
(1)積層体を50mm角正方形にカットした。
(2)前記(1)項でカットしたフィルムの基材側の面に粘着層を形成した。
(3)次に、(2)項で形成した粘着層を介して、3mm厚のフロートガラスに貼合した。なお、貼合は「ガラス用フィルム工事の施工マニュアル3版(日本ウインドウフィルム工業会発行)」に順じて実施した。
B.金属薄膜の組成
(1)測定方法・算出方法
i)X線光電子分光分析装置PHI5000VersaProbeII(アルバック・ファイ株式会社製)を用い各元素間の結合エネルギーピークのスペクトルを測定した。この際、測定する層の上に積層されている全ての層をエッチング処理により除去した後に測定を行った。
ii)スペクトルから金属薄膜に含有される元素の質量、質量比を算出した。
(1)測定方法・算出方法
i)X線光電子分光分析装置PHI5000VersaProbeII(アルバック・ファイ株式会社製)を用い各元素間の結合エネルギーピークのスペクトルを測定した。この際、測定する層の上に積層されている全ての層をエッチング処理により除去した後に測定を行った。
ii)スペクトルから金属薄膜に含有される元素の質量、質量比を算出した。
C.耐腐食性
(1)耐湿性
i)A項で作製した評価用試験体を恒温恒湿槽内(温度:60℃、湿度90%)に72時間、静置した。
ii)72時間の静置後、取り出し、形状測定レーザマイクロスコープVK−X110(キーエンス社製)で腐食状態を観察した。なお、対物レンズは5倍を使用した。
(1)耐湿性
i)A項で作製した評価用試験体を恒温恒湿槽内(温度:60℃、湿度90%)に72時間、静置した。
ii)72時間の静置後、取り出し、形状測定レーザマイクロスコープVK−X110(キーエンス社製)で腐食状態を観察した。なお、対物レンズは5倍を使用した。
(2)耐塩水性
i)A項で作製した評価用試験体をNaCl水溶液(5wt%)に浸漬し24時間、静置した。
ii)24時間の静置後、取り出し、水洗した後、形状測定レーザマイクロスコープVK−X110(キーエンス社製)で腐食状態を観察した。なお、対物レンズは5倍を使用した。
i)A項で作製した評価用試験体をNaCl水溶液(5wt%)に浸漬し24時間、静置した。
ii)24時間の静置後、取り出し、水洗した後、形状測定レーザマイクロスコープVK−X110(キーエンス社製)で腐食状態を観察した。なお、対物レンズは5倍を使用した。
(3)耐人工汗性
i)A項で作製した評価用試験体表面に人工汗(乳酸5%、NaCl10%:JIS B7285)を滴下し、恒温恒湿槽内(温度20℃、湿度50%)に3時間、静置した。
ii)3時間の静置後、取り出し、水洗した後、形状測定レーザマイクロスコープVK−X110(キーエンス社製)で腐食状態を観察した。なお、対物レンズは5倍を使用した。
i)A項で作製した評価用試験体表面に人工汗(乳酸5%、NaCl10%:JIS B7285)を滴下し、恒温恒湿槽内(温度20℃、湿度50%)に3時間、静置した。
ii)3時間の静置後、取り出し、水洗した後、形状測定レーザマイクロスコープVK−X110(キーエンス社製)で腐食状態を観察した。なお、対物レンズは5倍を使用した。
(4)判定基準(耐湿性、耐塩水性、耐人工汗性)
「A」:腐食(変色)無し、金属薄膜の剥離無し。
「B」:軽微な腐食(変色)有り、金属薄膜の剥離無し。
「C」:腐食(変色)有り、金属薄膜の剥離有り。
ここで、金属薄膜の銀(Ag)の腐食が軽微ではあるが進行すると変色点が発現し、さらに、金属薄膜の銀(Ag)の腐食が大きく進行すると金属薄膜の剥離が発現する。
「A」:腐食(変色)無し、金属薄膜の剥離無し。
「B」:軽微な腐食(変色)有り、金属薄膜の剥離無し。
「C」:腐食(変色)有り、金属薄膜の剥離有り。
ここで、金属薄膜の銀(Ag)の腐食が軽微ではあるが進行すると変色点が発現し、さらに、金属薄膜の銀(Ag)の腐食が大きく進行すると金属薄膜の剥離が発現する。
D.遠赤外線反射率
(1)規格:JIS R3106−1998に準拠
(2)測定方法:
i)分光測光器「IR Prestige−21(株式会社島津製作所製)」、正反射測定ユニット「SRM−8000A(株式会社島津製作所製)」を用い、評価用試験体の波長5〜25μmの分光反射率を測定した。なお、標準板にはAl蒸着鏡を用いた。
ii)前記分光反射率からJIS本文付表3に記載の番号λ1(波長5.5μm)〜λ30(波長50μm)の選定波長における分光反射率を抽出した。なお、λ25(波長25.2μm)〜λ30(波長50μm)の反射率はλ24(波長23.3μm)の値を用いた。
iii)抽出した分光反射率にそれぞれJIS本文付表3に記載のAl蒸着鏡の標準反射率を乗じ、λ1〜λ30の選定波長における評価試験体の反射率とした。
iv)前記反射率の平均値を遠赤外線反射率とした。
(1)規格:JIS R3106−1998に準拠
(2)測定方法:
i)分光測光器「IR Prestige−21(株式会社島津製作所製)」、正反射測定ユニット「SRM−8000A(株式会社島津製作所製)」を用い、評価用試験体の波長5〜25μmの分光反射率を測定した。なお、標準板にはAl蒸着鏡を用いた。
ii)前記分光反射率からJIS本文付表3に記載の番号λ1(波長5.5μm)〜λ30(波長50μm)の選定波長における分光反射率を抽出した。なお、λ25(波長25.2μm)〜λ30(波長50μm)の反射率はλ24(波長23.3μm)の値を用いた。
iii)抽出した分光反射率にそれぞれJIS本文付表3に記載のAl蒸着鏡の標準反射率を乗じ、λ1〜λ30の選定波長における評価試験体の反射率とした。
iv)前記反射率の平均値を遠赤外線反射率とした。
(3)測定条件:波長範囲「5〜25μm」アボダイス係数「Happ−Genzel」、積算回数「20回」、分解能「4.0cm−1」。
E.日射熱取得率
(1)規格:JIS R3106−1998に準拠
(2)測定方法:
i)分光測光器「UV−3150(株式会社島津製作所製)」を用い、評価用試験体の波長300〜2500nmの分光透過率と分光反射率を1nm間隔で測定した。
ii)前記透過率・反射率にJIS本文付表2に記載の重価係数を乗じた後、合計値を算出し、日射熱取得率とした。
iii)JIS本文8.4項の算出式を用い日射熱取得率を算出した。
(1)規格:JIS R3106−1998に準拠
(2)測定方法:
i)分光測光器「UV−3150(株式会社島津製作所製)」を用い、評価用試験体の波長300〜2500nmの分光透過率と分光反射率を1nm間隔で測定した。
ii)前記透過率・反射率にJIS本文付表2に記載の重価係数を乗じた後、合計値を算出し、日射熱取得率とした。
iii)JIS本文8.4項の算出式を用い日射熱取得率を算出した。
(3)測定条件:スキャンスピード「高速」、分解能力「10nm」。
F.可視光透過率
(1)規格:JIS R 3106−1998に準拠
(2)測定方法
i)分光測光器「UV−3150(株式会社島津製作所製)」を用い、評価用試験体の波長380〜780nmの分光透過率と分光反射率を1nm間隔で測定した。
ii)前記透過率にJIS本文に記載の重価係数を乗じた後、合計値を算出し、可視光透過率(%)とした。
(1)規格:JIS R 3106−1998に準拠
(2)測定方法
i)分光測光器「UV−3150(株式会社島津製作所製)」を用い、評価用試験体の波長380〜780nmの分光透過率と分光反射率を1nm間隔で測定した。
ii)前記透過率にJIS本文に記載の重価係数を乗じた後、合計値を算出し、可視光透過率(%)とした。
(3)測定条件:スキャンスピード「高速」、分解能力「10nm」。
[実施例1]
基材として、アンダーコート層を備えたハードコートフィルム「”タフトップ”(登録商標)THS(東レフィルム加工株式会社製)を用いた。
基材として、アンダーコート層を備えたハードコートフィルム「”タフトップ”(登録商標)THS(東レフィルム加工株式会社製)を用いた。
次に当該基材のアンダーコート層上に、金属組成が錫(Sn):亜鉛(Zn)=65質量%:35質量%のスパッタリングターゲット材を用いて厚さ35nmの第一の金属酸化物薄膜を製膜した(スパッタガスはアルゴン:酸素=90%:10%(流量比))。続いて、第一の金属酸化物薄膜上に、銀(Ag)の含有量が97.0質量%、金(Au)の含有量が2.0質量%、錫(Sn)の含有量が1.0質量%であるスパッタリングターゲット材を用いて厚さ16nmの金属薄膜を製膜した(スパッタリングガスはアルゴン=100%)。さらに、第一の金属酸化物薄膜と同一のスパッタリングターゲット材を用いて厚さ2nmのマスク層を成膜し(スパッタガスはアルゴン:酸素=96%:4%(流量比))、金属薄膜をマスクした。次に、マスク層上に第一の金属酸化物薄膜と同一のスパッタリングターゲット材を用いて厚さ35nmの第二の金属酸化物薄膜を成膜し(スパッタリングガスはアルゴン:酸素=90%:10%(流量比))、基材上に第一の金属酸化物薄膜/金属薄膜/マスク層/第二の金属酸化物薄膜からなる熱線反射を形成した。
次に当該熱線反射層上にSiスパッタリングターゲット材を用い厚さ25nmの保護層を製膜し(スパッタリングガスはアルゴン:酸素:窒素=50%:35%:15%)、積層体を得た。
[実施例2]
金属薄膜を製膜する際のスパッタリングターゲット材を銀(Ag)の含有量が95.0質量%、金(Au)の含有量が2.0質量%、錫(Sn)の含有量が3.0質量%に変更したことを除き、実施例1と同様の方法で積層体を得た。
金属薄膜を製膜する際のスパッタリングターゲット材を銀(Ag)の含有量が95.0質量%、金(Au)の含有量が2.0質量%、錫(Sn)の含有量が3.0質量%に変更したことを除き、実施例1と同様の方法で積層体を得た。
[実施例3]
金属薄膜を製膜する際のスパッタリングターゲット材を銀(Ag)の含有量が95.5質量%、金(Au)の含有量が3.0質量%、錫(Sn)の含有量が1.5質量%に変更したことを除き、実施例1と同様の方法で積層体を得た。
金属薄膜を製膜する際のスパッタリングターゲット材を銀(Ag)の含有量が95.5質量%、金(Au)の含有量が3.0質量%、錫(Sn)の含有量が1.5質量%に変更したことを除き、実施例1と同様の方法で積層体を得た。
[実施例4]
金属薄膜を製膜する際のスパッタリングターゲット材を銀(Ag)の含有量が94.0質量%、金(Au)の含有量が3.0質量%、錫(Sn)の含有量が3.0質量%に変更したことを除き、実施例1と同様の方法で積層体を得た。
金属薄膜を製膜する際のスパッタリングターゲット材を銀(Ag)の含有量が94.0質量%、金(Au)の含有量が3.0質量%、錫(Sn)の含有量が3.0質量%に変更したことを除き、実施例1と同様の方法で積層体を得た。
[実施例5]
金属薄膜を製膜する際のスパッタリングターゲット材を銀(Ag)の含有量が94.0質量%、金(Au)の含有量が5.0質量%、錫(Sn)の含有量が1.0質量%に変更したことを除き、実施例1と同様の方法で積層体を得た。
金属薄膜を製膜する際のスパッタリングターゲット材を銀(Ag)の含有量が94.0質量%、金(Au)の含有量が5.0質量%、錫(Sn)の含有量が1.0質量%に変更したことを除き、実施例1と同様の方法で積層体を得た。
[実施例6]
金属薄膜を製膜する際のスパッタリングターゲット材を銀(Ag)の含有量が93.5質量%、金(Au)の含有量が5.0質量%、錫(Sn)の含有量が1.5質量%に変更したことを除き、実施例1と同様の方法で積層体を得た。
金属薄膜を製膜する際のスパッタリングターゲット材を銀(Ag)の含有量が93.5質量%、金(Au)の含有量が5.0質量%、錫(Sn)の含有量が1.5質量%に変更したことを除き、実施例1と同様の方法で積層体を得た。
[実施例7]
金属薄膜を製膜する際のスパッタリングターゲット材を銀(Ag)の含有量が92.0質量%、金(Au)の含有量が5.0質量%、錫(Sn)の含有量が3.0質量%に変更したことを除き、実施例1と同様の方法で積層体を得た。
金属薄膜を製膜する際のスパッタリングターゲット材を銀(Ag)の含有量が92.0質量%、金(Au)の含有量が5.0質量%、錫(Sn)の含有量が3.0質量%に変更したことを除き、実施例1と同様の方法で積層体を得た。
[比較例1]
金属薄膜を製膜する際のスパッタリングターゲット材を銀(Ag)の含有量が98.0質量%、金(Au)の含有量が2.0質量%に変更したことを除き、実施例1と同様の方法で積層体を得た。
金属薄膜を製膜する際のスパッタリングターゲット材を銀(Ag)の含有量が98.0質量%、金(Au)の含有量が2.0質量%に変更したことを除き、実施例1と同様の方法で積層体を得た。
[比較例2]
金属薄膜を製膜する際のスパッタリングターゲット材を銀(Ag)の含有量が95.0質量%、金(Au)の含有量が5.0質量%に変更したことを除き、実施例1と同様の方法で積層体を得た。
金属薄膜を製膜する際のスパッタリングターゲット材を銀(Ag)の含有量が95.0質量%、金(Au)の含有量が5.0質量%に変更したことを除き、実施例1と同様の方法で積層体を得た。
[比較例3]
金属薄膜を製膜する際のスパッタリングターゲット材を銀(Ag)の含有量が99.0質量%、錫(Sn)の含有量が1.0質量%に変更したことを除き、実施例1と同様の方法で積層体を得た。
金属薄膜を製膜する際のスパッタリングターゲット材を銀(Ag)の含有量が99.0質量%、錫(Sn)の含有量が1.0質量%に変更したことを除き、実施例1と同様の方法で積層体を得た。
[比較例4]
金属薄膜を製膜する際のスパッタリングターゲット材を銀(Ag)の含有量が97.0質量%、錫(Sn)の含有量が3.0質量%に変更したことを除き、実施例1と同様の方法で積層体を得た。
金属薄膜を製膜する際のスパッタリングターゲット材を銀(Ag)の含有量が97.0質量%、錫(Sn)の含有量が3.0質量%に変更したことを除き、実施例1と同様の方法で積層体を得た。
[比較例5]
金属薄膜を製膜する際のスパッタリングターゲット材を銀(Ag)の含有量が98.0質量%、金(Au)の含有量が1.0質量%、錫(Sn)の含有量が1.0質量%に変更したことを除き、実施例1と同様の方法で積層体を得た。
金属薄膜を製膜する際のスパッタリングターゲット材を銀(Ag)の含有量が98.0質量%、金(Au)の含有量が1.0質量%、錫(Sn)の含有量が1.0質量%に変更したことを除き、実施例1と同様の方法で積層体を得た。
[比較例6]
金属薄膜を製膜する際のスパッタリングターゲット材を銀(Ag)の含有量が96.0質量%、金(Au)の含有量が1.0質量%、錫(Sn)の含有量が3.0質量%に変更したことを除き、実施例1と同様の方法で積層体を得た。
金属薄膜を製膜する際のスパッタリングターゲット材を銀(Ag)の含有量が96.0質量%、金(Au)の含有量が1.0質量%、錫(Sn)の含有量が3.0質量%に変更したことを除き、実施例1と同様の方法で積層体を得た。
[比較例7]
金属薄膜を製膜する際のスパッタリングターゲット材を銀(Ag)の含有量が94.0質量%、金(Au)の含有量が2.0質量%、錫(Sn)の含有量が4.0質量%に変更したことを除き、実施例1と同様の方法で積層体を得た。
金属薄膜を製膜する際のスパッタリングターゲット材を銀(Ag)の含有量が94.0質量%、金(Au)の含有量が2.0質量%、錫(Sn)の含有量が4.0質量%に変更したことを除き、実施例1と同様の方法で積層体を得た。
[比較例8]
金属薄膜を製膜する際のスパッタリングターゲット材を銀(Ag)の含有量が91.0質量%、金(Au)の含有量が5.0質量%、錫(Sn)の含有量が4.0質量%に変更したことを除き、実施例1と同様の方法で積層体を得た。
金属薄膜を製膜する際のスパッタリングターゲット材を銀(Ag)の含有量が91.0質量%、金(Au)の含有量が5.0質量%、錫(Sn)の含有量が4.0質量%に変更したことを除き、実施例1と同様の方法で積層体を得た。
[比較例9]
金属薄膜を製膜する際のスパッタリングターゲット材を銀(Ag)の含有量が99.0質量%、パラジウムの含有量1.0質量%に変更したことを除き、実施 例1と同様の方法で積層体を得た。
金属薄膜を製膜する際のスパッタリングターゲット材を銀(Ag)の含有量が99.0質量%、パラジウムの含有量1.0質量%に変更したことを除き、実施 例1と同様の方法で積層体を得た。
[比較例10]
金属薄膜を製膜する際のスパッタリングターゲット材を銀(Ag)の含有量が97.0質量%、パラジウムの含有量3.0質量%に変更したことを除き、実施例1と同様の方法で積層体を得た。
金属薄膜を製膜する際のスパッタリングターゲット材を銀(Ag)の含有量が97.0質量%、パラジウムの含有量3.0質量%に変更したことを除き、実施例1と同様の方法で積層体を得た。
[比較例11]
金属薄膜を製膜する際のスパッタリングターゲット材を銀(Ag)の含有量が95.5質量%、金(Au)の含有量3.0質量%、パラジウムの含有量1.5質量%に変更したことを除き、実施例1と同様の方法で積層体を得た。
金属薄膜を製膜する際のスパッタリングターゲット材を銀(Ag)の含有量が95.5質量%、金(Au)の含有量3.0質量%、パラジウムの含有量1.5質量%に変更したことを除き、実施例1と同様の方法で積層体を得た。
[比較例12]
金属薄膜を製膜する際のスパッタリングターゲット材を銀(Ag)の含有量が95.5質量%、錫(Sn)の含有量1.5質量%、パラジウムの含有量3.0質量%に変更したことを除き、実施例1と同様の方法で積層体を得た。
金属薄膜を製膜する際のスパッタリングターゲット材を銀(Ag)の含有量が95.5質量%、錫(Sn)の含有量1.5質量%、パラジウムの含有量3.0質量%に変更したことを除き、実施例1と同様の方法で積層体を得た。
[比較例13]
基材として実施例1記載の「”タフトップ”(登録商標)THS(東レフィルム加工株式会社製)を用い、金属薄膜のみを製膜した。なお、スパッタリングターゲット材は、銀(Ag)の含有量が94.0質量%、金(Au)の含有量3.0質量%、錫(Sn)の含有量3.0質量%のターゲット材を用い金属薄膜を形成した。
基材として実施例1記載の「”タフトップ”(登録商標)THS(東レフィルム加工株式会社製)を用い、金属薄膜のみを製膜した。なお、スパッタリングターゲット材は、銀(Ag)の含有量が94.0質量%、金(Au)の含有量3.0質量%、錫(Sn)の含有量3.0質量%のターゲット材を用い金属薄膜を形成した。
次に当該金属薄膜上にSiスパッタリングターゲット材を用い厚さ25nmの保護層を製膜し(スパッタリングガスはアルゴン:酸素:窒素=50%:35%:15%)、積層体を得た。
実施例1〜7の各試験体について、上述した測定方法を用い、遠赤外線反射率、日射熱取得率、可視光透過率、および耐久性(耐湿性、耐塩水性、耐人工汗性)を測定した結果を表1に示す。また、比較例1〜7の各試験体について、上述した測定方法を用い、遠赤外線反射率、日射熱取得率、可視光透過率、および耐久性(耐湿性、耐塩水性、耐人工汗性)を測定した結果を表2に示し、比較例8〜13の各試験体について、上述した測定方法を用い、遠赤外線反射率、日射熱取得率、可視光透過率、および耐久性(耐湿性、耐塩水性、耐人工汗性)を測定した結果を表3に示す。
金属薄膜の組成を金(Au):2〜5質量%、錫(Sn):1〜3質量%とした実施例1〜7の積層体はいずれも赤外線反射率、日射熱取得率、および可視光透過率を高いレベルで発現し、全ての耐腐食性評価で「B」以上であった。
さらに、金属薄膜の組成を金(Au):3質量%とし、錫(Sn)を1.5質量%、3質量%とした実施例3および実施例4の積層体、ならびに金属薄膜の組成を、金(Au)を5質量%とし、錫(Sn)を1.5質量%、3質量%とした実施例6および実施例7の積層体は特に耐腐食性に優れ、評価は「A」であった。
一方、銀(Ag)に加え金(Au)を2質量%、5質量%含有した金属薄膜を備える比較例1および比較例2の積層体は、赤外線反射率、日射熱取得率、可視光透過率を高いレベルで発現し、耐湿性の評価が「B」以上であるものの耐塩水性、耐人工汗性に劣り、評価は「C」であった。
また、銀(Ag)に錫(Sn)を1.0質量%、3.0質量%含有した金属薄膜を備える比較例3および比較例4の積層体は、赤外線反射率、日射熱取得率、可視光透過率を高いレベルで発現し、耐塩水性、耐人工汗性の評価が「B」以上であるものの耐湿性に劣り評価は「C」であった。さらに、金(Au)を1.0質量%含有し、錫(Sn)を1.0質量%、3.0質量%含有した金属薄膜を備える比較例5および比較例6の積層体も耐湿性に劣り、評価は「C」であった。
次に錫(Sn)を4.0質量%含有し、金(Au)を2.0質量%、5.0質量%含有した金属薄膜を備える比較例7および比較例8の積層体は、耐塩水性、耐人工汗性の評価が「B」以上であるものの耐湿性に劣り評価は「C」であった。さらに、可視光透過率にも劣る傾向にあった。
次にパラジウム(Pd)を1.0質量%、3.0質量含有する金属薄膜を備える比較例9および比較例10の積層体はいずれも耐湿性の評価は「B」以上であるものの、耐塩水性、耐人工汗性に劣り評価は「C」であった。
次に金(Au)を3.0質量%含有し、パラジウム(Pd)を1.5質量%含有する金属薄膜を備える比較例11の積層体は光学特性には優れるものの、耐塩水性、耐人工汗性に劣り評価は「C」であった。
次に錫(Sn)を1.5質量%含有し、パラジウム(Pd)を3.0質量%含有する金属薄膜を備える比較例12の積層体は耐腐食性には優れるものの、光学特性(特に、可視光透過性能)に劣るものであった。
次に、金属酸化物薄膜を有しない比較例13の積層体は、金属薄膜の反射を抑制することが出来ないとの理由により、可視光透過率が極めて劣るものであり、さらに、耐腐食性にも劣るものであった。
本発明の積層体は、日射遮蔽性、断熱性、透明性を高いレベルで備え、かつ耐久性に優れているので、住宅・ビル等の窓ガラスに好適に使用できる。
Claims (4)
- 少なくとも基材、熱線反射層、及び保護層のこの順に備え、
前記熱線反射層は第一の金属酸化物薄膜、金属薄膜、及び第二の金属酸化物薄膜を基材側からこの順に備えており、
前記金属薄膜が銀(Ag)を主成分とし、金(Au)を前記金属薄膜全体に対し2.0質量%以上含み、かつ、錫(Sn)を前記金属薄膜全体に対し1.0〜3.0質量%含むことを特徴とする積層体。 - 前記金属薄膜が銀(Ag)を主成分とし、金(Au)を前記金属薄膜全体に対し3.0質量%以上含み、かつ、錫(Sn)を前記金属薄膜全体に対し1.5質量%以上含むことを特徴とする請求項1記載の積層体。
- 前記金属薄膜の厚みが10〜25nmであることを特徴とする請求項1又は2記載の積層体。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の積層体を備えた窓貼り用フィルム。
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