JP2017144591A - 積層フィルム - Google Patents

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雅之 北川
行弘 前田
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行弘 前田
三戸 理
Osamu Mito
三戸  理
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Abstract

【課題】日射遮蔽性および断熱性を高いレベルで発現させるとともに、保護層を薄膜化した場合であっても耐久性に優れた窓貼り用途に好適な積層フィルムを提供する。
【解決手段】合成樹脂からなる基材の片面に、少なくとも金属薄膜と金属酸化物薄膜からなる熱線反射層、保護層を順に積層した積層フィルムにおいて、前記保護層が炭素および窒素を含む酸化ケイ素薄膜であり、炭素原子(C)と窒素原子(N)の組成比(C/N)が0.5〜2.5であることを特徴とする積層フィルム。
【選択図】なし

Description

本発明は、窓貼り用途に好適な積層フィルムに関する。
従来、住宅・ビルなどの開口部、例えば窓のガラスに金属薄膜/金属酸化物薄膜を交互に積層した熱線反射層、保護層を順に形成した積層フィルムが使用されている。これら積層フィルムは金属薄膜の赤外線反射機能により、室外から室内への日射熱(近赤外線)の流入、ならびに室内から室外への暖房熱(遠赤外腺)の流出を抑制することが可能であり、年間を通じて省エネ効果を得ることができる。さらに、高屈折率の金属酸化物薄膜を積層することにより透明性を向上させ外観視認性を確保し、保護層を積層することにより金属薄膜、金属酸化物薄膜を保護し、耐傷付性ならびに耐久性を発現させている。
上述した積層フィルムとして、例えば透明高分子フィルム上に金、銀、銅等の金属薄膜と金属酸化物膜を交互に積層した後、さらに保護層として酸化ケイ素またはアクリル樹脂を積層した熱線遮蔽性能を有する透明積層フィルムが提案されている(特許文献1参照)。
特開2012−135888号公報
上記特許文献1に記載の透明積層フィルムにおいては、高い日射遮蔽性と高い断熱性を両立した窓貼りに好適な透明積層フィルムを得るため、保護層に酸化ケイ素またはアクリル樹脂を含む材料を使用し、同保護層の厚みを薄膜化することにより保護層の修正放射率(赤外線の吸収率)を低下させている。しかし、本発明者は、保護層に使用している酸化ケイ素またはアクリル樹脂では、修正放射率を低減するため薄膜化した場合に窓貼り用途に充分なレベルでの耐久性を発現することができないとの課題を見出した。すなわち、上記の保護層を薄膜化すると、修正放射率が低く日射遮蔽性と断熱性に優れた透明積層フィルムを得られる一方で、保護層が薄膜であるがゆえ、金属薄膜が劣化し易く充分な耐久性が得られないとの課題を見出したのである。
そこで、本発明の課題は、日射遮蔽性および断熱性を高いレベルで発現させるとともに、保護層を薄膜化した場合であっても耐久性に優れた窓貼り用途に好適な積層フィルムを提供せんとするものである。
本発明は、かかる課題を解決するために、次のような手段を採用するものである。
(1)合成樹脂からなる基材の片面に、少なくとも金属薄膜と金属酸化物薄膜からなる熱線反射層、保護層を順に積層した積層フィルムにおいて、前記保護層が炭素および窒素を含む酸化ケイ素薄膜であり、炭素原子(C)と窒素原子(N)の組成比(C/N)が0.5〜2.5であることを特徴とする積層フィルム、
(2)前記保護層の酸化ケイ素薄膜を一般式SiOxCyNzで表したとき、xの範囲が1.0〜2.0、yの範囲が0.05〜0.5、zの範囲が0.05〜0.5であることを特徴とする積層フィルム、
(3)前記保護層の厚みが10〜50nmであることを特徴とする積層フィルム、
本発明によれば、日射遮蔽性および断熱性を高いレベルで発現させるとともに、保護層を薄膜化した場合であっても耐久性に優れた窓貼り用途に好適な積層フィルムを提供することができるものである。
本発明は、合成樹脂からなる基材の片面に、少なくとも金属薄膜と金属酸化物薄膜からなる熱線反射層、保護層を順に積層した積層フィルムにおいて、前記保護層が炭素および窒素を含む酸化ケイ素薄膜であり、炭素原子(C)と窒素原子(N)の組成比(C/N)が0.5〜2.5であることを特徴とするものである。
本発明で用いる基材は、可視光透過性能、耐候性に優れたものであれば特に限定されることはないが、窓貼り用途に使用する場合、可撓性を有し取り扱い性に優れる観点から合成樹脂を含むものであることが好ましい。
ここで、合成樹脂としては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、アクリル、ナイロンなどが好ましく、金属薄膜と金属酸化物薄膜からなる熱線反射層(以下、熱線反射層とする)を形成する際に必要となる耐熱性、コストなどを考慮するとポリエチレンテレフタレートがより好ましい。
また、基材と熱線反射層との層間の密着性を向上させる観点から、熱線反射層を積層する基材の面に易接着層を設けたり、コロナ処理、プラズマ処理、ケン化などの表面処理を施すことが好ましい。
ここで、易接着層に用いる樹脂は、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂等が挙げられる。本基材の厚みについては、特に制限はないが機械的強度、耐熱性、窓貼り用途に用いた場合の取り扱い性を考慮すると10〜150μmであることが好ましい。厚みを10μm以上とすることで、基材の表面処理工程や、金属層、金属酸化物層の形成工程で熱収縮による皺の発生を抑制することができるとともに、窓の破損の防止性能および防犯性能等を付与することができる。一方、厚みを150μm以下とすることで、必要となる材料の量を低減することができ環境負荷低減に繋がるとともに、積層フィルムを窓などに施工する際の施工性をより良好なものとすることができる。
次に熱線反射層は、金属薄膜と金属酸化物薄膜を基材上に積層したものであり、最も単純な構成として、金属薄膜の上下いずれかの片面に金属酸化物薄膜を積層した構成を挙げることができる。また、金属薄膜と金属酸化物薄膜を交互に積層し、金属酸化物薄膜/金属薄膜/金属酸化物薄膜とした3層構成としても良い。
本構成を採用することで、金属薄膜と保護層、若しくは、金属薄膜と基材との可視光線の界面反射を抑制することができ、可視光透過性能を向上させることが可能となる。
さらに、熱線反射層を(I)金属酸化物薄膜/金属薄膜/金属酸化物薄膜/金属薄膜/金属酸化物薄膜とした5層構成、または(II)金属酸化物薄膜/金属薄膜/金属酸化物薄膜/金属薄膜/金属酸化物薄膜/金属薄膜/金属酸化物薄膜とした7層構成とすることで可視光透過性能の向上に加え、赤外線反射性能を向上させることが可能となる。一般的に層の数を増やすほど可視光透過性能、赤外線反射性能に優れた積層体を得られる傾向にあるが、性能の向上と積層体の取り扱い性のバランスの観点から、本発明の積層体が有する層の数は、上限としては7層以下であることが好ましい。
本発明で用いる金属薄膜については、赤外線反射性能に優れたものであれば特に限定されることはないが、例えば、銀、金、白金、銅、アルミニウムなどが好ましく、中でも赤外線反射性能に特に優れる銀を主成分とすることが好ましい。ここで、上記の主成分とは、金属薄膜に含まれる銀の含有量が、金属薄膜の全成分を100質量%とした場合に50質量%をこえることをいい、銀の含有量としては90質量%以上であることが好ましい。さらに、銀の耐腐食性を向上させる目的で上述した金属に加え、パラジウム、ビスマス、ニッケル、ニオブ、マグネシウム、亜鉛、錫などを1種以上添加した合金とすることも好ましいことである。これら金属のうち、赤外線反射性能と耐久性を両立させる観点から、金および/またはパラジウムを含有することが特に好ましい。また、金および/またはパラジウムの含有量に特に制限はないが、耐久性とコストの観点から、金属薄膜の全成分を100質量%とした場合に、金原子およびパラジウム原子を合計で2質量%以上含むことが好ましく、3質量%以上含むことがより好ましい。上限は5質量%以下含むことが好ましい。少ないと銀の腐食を抑制する効果が得られず、耐久性に劣る。また、多すぎると、コストが上がるだけでコストアップに見合う改善効果を得ることができない。
金属薄膜の厚みについては、特に制限はないが、必要とする赤外線反射性能と可視光透過性能を考慮し、5〜20nmの範囲で適宜選択することが好ましい。厚みが薄いと可視光透過性能に優れるが、赤外線反射性能が低下してしまう。逆に厚すぎると可視光透過性能が低下し、金属の使用量が増加し経済的にも好ましくない。
次に、本発明で用いる金属酸化物薄膜には、500nmの波長における屈折率が高い金属酸化物を用いることが可視光線の界面反射を低減し、可視光透過性能を向上させる点で好ましい。具体的にはチタン、ニオブ、亜鉛、錫、インジウム、ジルコニウムなどの酸化物を挙げることができ、これら金属酸化物を1種以上選択して用いることが好ましい。さらに、可視光透過性能に優れ、耐久性に優れた積層フィルムを得る観点から、錫および/または亜鉛の酸化物を用いることがより好ましい。
金属酸化物薄膜の厚みについては、10nm以上であることが好ましく、30nm以上であることがより好ましい。一方、上限は、100nm以下であることが好ましく、60nm以下であることがより好ましい。金属酸化物薄膜の厚みを10nm以上とすることで、可視光線の反射を抑制でき可視光透過性能に優れた積層体を得ることができる。一方、金属酸化物薄膜の厚みを100nmを越えて積層しても、材料費が上がるばかりではなく、可視光透過性能をさらに向上させることができない。
また、金属酸化物薄膜は、可視光透過性を向上させる観点や、金属薄膜と金属酸化物薄膜との密着力を向上させ積層フィルムの耐久性を向上させる観点から、充分に酸素を含有するものであることが好ましい。しかし、金属酸化物薄膜を十分に酸素を含有するものとすべく、金属酸化物薄膜を酸素が多く含有される雰囲気下で成膜すると、金属酸化物薄膜の下地である金属薄膜が酸化されることとなり、積層フィルムの赤外線反射性能が低下する傾向がある。よって、十分に酸素を含有する金属酸化物層の形成の際に、その下地の金属薄膜の酸化を抑制すべく、金属薄膜と金属酸化物薄膜との間にバリア層が形成されていることが好ましい。
ここで、バリア層とは、金属酸化物薄膜より酸素の含有量が少ない層であり、化学量論組成に対し酸素が不足している金属亜酸化物の層である。バリア層を成膜する際の雰囲気における体積ベースの酸素流量率(以下、流量率とする。)を2%以上5%以下とすることで得ることができる。なお、金属酸化物薄膜を成膜する際の雰囲気における流量率は5%超15%以下であることが好ましく、金属酸化物薄膜に含まれる酸素をより十分なものとする観点から、下限は、8%以上であることがより好ましく、上限は12%以下であることがより好ましい。バリア層に用いる材料は、チタン、ニオブ、亜鉛、錫、インジウム、ジルコニウムなどの亜酸化物を挙げることができ、これら金属亜酸化物を1種以上選択して用いることが好ましい。さらに、金属酸化物薄膜と同一の金属からなる金属亜酸化物を用いることが、層間の密着性を発現させ耐久性を向上させる観点でより好ましい。例えば、金属酸化物薄膜に錫および/または亜鉛の酸化物を用いる場合、バリア層には錫および/または亜鉛の亜酸化物を用いることが好ましい。
また、バリア層の厚みについては、1nm以上であることが好ましく、2nm以上であることがより好ましい。バリア層の厚みを、1nm以上とすることで金属酸化物薄膜を形成する際に金属薄膜の酸化が抑制され、赤外線反射性能により優れる積層フィルムを得ることができる。バリア層の厚みを、2nm以上とすることで上記の効果はより顕著なものとなる。一方、上限は、10nm以下であることが好ましく、8nm以下であることがより好ましく、6nm以下であることが更に好ましく、4nm以下であることが特に好ましい。バリア層の厚みを、10nm以下とすることで、可視光透過性能により優れた積層フィルムを得ることができる。この傾向は、バリア層の厚みが薄くなるほど顕著なものとなる。なお、金属薄膜、金属酸化物薄膜、バリア層の厚みについては、透過型電子顕微鏡(TEM)、または光学膜厚計などの公知の方法を適宜用いることで分析することができる。
これら金属薄膜、金属酸化物薄膜およびバリア層は、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法などの気相成長法で成膜することができるが、成膜できる材料の種類が多岐にわたり、高品位な膜が得られるスパッタリング法を用いることが好ましい。
次に、本発明で用いる保護層は金属薄膜および金属酸化物薄膜を保護する機能を有するものであり、積層フィルムの最表面に位置する層である。よって、保護層には窓貼りフィルムとして使用した際、施工時スキージーで擦過した際に傷が付き難い耐擦過性はもちろんのこと、使用時に窓貼りフィルムの品位を維持する耐久性を得る観点から、大気中の湿気および有害物質、結露水、汚れ等の付着物から金属薄膜および金属酸化物薄膜の劣化を抑制するバリア性が必要となる。さらに、保護層には、金属薄膜の赤外線反射機能を阻害せず、高い透明性が要求されるため、より薄膜で前記性能を発現する必要がある。
上述した観点から、保護層は炭素および窒素を含む酸化ケイ素薄膜であり、炭素原子(C)と窒素原子(N)の組成比(C/N)が0.5〜2.5であることが重要である。保護層である酸化ケイ素膜の基本骨格に炭素および窒素を導入することにより、分子レベルで自由度が増加し歪みが解消し緻密化され、バリア性が向上すると推定される。その効果は炭素原子(C)と窒素原子(N)の組成比(C/N)が0.5〜2.5の範囲でより顕著となり、その下限値は0.7以上であることが好ましく、1.0以上であることがより好ましい。一方で、その上限値は2.0以下であることが好ましく、1.6以下であることがより好ましい。一方、窒素原子が極端に多く組成比(C/N)が0.5を下回る場合、炭素原子が極端に多く組成比(C/N)が2.5を上回る場合、バリア性が低下し積層フィルムとして充分な耐久性が得られない傾向にある。理由については定かではないが、炭素原子/窒素原子の比率が大きく崩れると分子レベルで新たに歪みが生じ、膜構造に欠陥が発生するためであると推定する。なお、酸化ケイ素単膜、炭素のみを含有する酸化ケイ素膜、窒素のみを含有する酸化ケイ素膜では、バリア性が低下する傾向にあり、積層フィルムとして充分な耐久性が得られない傾向にある。
また、基本骨格である酸化ケイ素膜SiOに対するC、Nの比率を一般式SiOxCyNzで表したとき、x、y、zが特定の範囲をとることにより、保護層が高いバリア性を有し耐久性に優れ、かつ、高い透明性を有する窓貼りフィルムを得る上で好ましい。
酸素の比率xの範囲は1.0以上であることが好ましく、1.5以上であることがより好ましい。xの値を1.0以上とすることで著しい酸素欠損がなく、可視光透過性能に優れた積層フィルムを得ることができる。xの値を1.5以上とすることで上記の効果は顕著となる。一方、基本骨格である酸化ケイ素の分子式がSiO2であることから上限は2.0以下であることが好ましく、1.8以下であるこがより好ましい。xの値を2.0以下とすることで炭素、窒素が導入し易くなり、保護層のバリア性が高く、耐久性に優れた積層フィルムを得ることができる。xの値を1.8以下とすることで上記の効果は顕著となる。
次に炭素の比率yの範囲は、0.05以上であることが好ましく、0.1以上であることがより好ましい。yの値を0.05以上とすることで保護層のバリア性が高く、耐久性に優れた積層フィルムを得ることができる。yの値を0.1以上とすることで上記の効果はより顕著になる。一方、上限は0.5以下であることが好ましく、0.3以下であることがより好ましい。yの値を0.5以下とすることで可視光透過性能に優れる積層フィルムを得ることができる。yの値を0.3以下とすることで上記の効果はより顕著になる。
また、窒素の比率zの範囲は、0.05以上であることが好ましく、0.1以上であることがより好ましい。zの値を0.05以上とすることで保護層のバリア性を向上させ、耐久性により優れた積層フィルムを得ることができる。zの値を0.1以上とすることで上記の効果はより顕著になる。一方、上限は0.5以下であることが好ましく、0.3以下であることがより好ましい。yの値を0.5以下とすることで可視光透過性能に優れる積層フィルムを得ることができる。yの値を0.3以下とすることで上記の効果はより顕著になる。
前記保護層の厚みは、10nm以上であることが好ましく、15nm以上であることがより好ましい。保護層の厚みを10nm以上とすることで、保護層の耐傷付性をより向上させることができるとともに、バリア性を確保でき、積層フィルムとして充分な耐久性を得ることができる。厚みを15nm以上とすることで上記効果はより顕著になる。また、保護層の厚みは50nm以下であることが好ましく、30nm以下であることがより好ましい。保護層の厚みを50nm以下とすることで、可視光透過性能をより向上させることができる。なお、これら保護層は真空蒸着法、スパッタリング法、CVD法、イオンプレーティング法などの気相成長法で成膜することができるが、金属薄膜、金属酸化物薄膜と同様にスパッタリング法で成膜することが好ましい。
以下に本発明について、実施例を用いてさらに具体的に説明する。実施例中に示す特性値の測定に供する評価用試験体の作製方法ならびに特性値の測定・算出方法は次のとおりである。
A.評価用試験体の作製
(1)積層フィルムを50mm角正方形にカットする。
(2)前記(1)項でカットしたフィルムの保護層を形成した面と反対面に粘着層を形成する。
(3)次に、(2)項で形成した粘着層を介して、3mm厚のフロートガラスに貼合する。
B.保護層の含有原子数%
(1)測定方法・算出方法
i)EDX検出器JED−2300Tを搭載した電界放出型電子顕微鏡JEM2100F(日本電子株式会社製)を用いEDXスペクトルを測定する。
ii)EDXスペクトルから保護層を構成する原子数を算出する。なお、特定原子(例えば炭素)の原子数%は、同原子の原子数を保護層に含まれる全ての原子の原子数で除し、得られた値に100を乗じて算出する。なお、原子数%が1%未満となる元素については除外した。また、炭素については、分析装置や試験体の汚染に起因して検出される場合があるため、保護層に炭素を含まない(製造工程で炭素を導入していない)試験体をブランクとして、差異分を含有原子数%とした。
C.C/N比の算出方法、
i)B項で得られた炭素(C)の原子数%を窒素(N)の原子数%で除して算出する。
D.SiOxCyNzのx、y、zの算出
i)xの算出:B項で得られた酸素(O)の原子数%をケイ素(Si)の原子数%で除して算出する。
ii)yの算出:B項で得られた炭素(C)の原子数%をケイ素(Si)の原子数%で除して算出する。
iii)zの算出:B項で得られた窒素(N)の原子数%をケイ素(Si)の原子数%で除して算出する。
E.保護層のバリア性
(1)測定方法:
i)A項で作製した試験体の表面にNaCl水溶液(0.5wt%)を50μl滴下し、恒温恒湿槽内(温度:60℃、湿度90%)に3h静置する。
ii)静置後、取り出し、形状測定レーザマイクロスコープVK−X110(キーエンス 社製)で腐食の状態を観察する。なお、対物レンズは10倍を使用する。
(2)判定基準
「◎」:腐食(変色)無し、金属層の剥離無し、
「○」:軽微な腐食(変色)有り、金属層の剥離無し、
「×」:腐食(変色)有り、金属層の剥離有り
F.遠赤外線反射率
(1)規格:JIS R3106−1998に準拠
(2)測定方法:
i)分光測光器「IR Prestige−21(株式会社島津製作所製)」、正反射測定ユニット「SRM−8000A(株式会社島津製作所製)」を用い、評価用試験体の波長5〜25μmの分光反射率を測定する。なお、標準板にはAl蒸着鏡を用いる。
ii)前記分光反射率からJIS本文付表3に記載の番号λ1(波長5.5μm)〜λ30(波長50μm)の選定波長における分光反射率を抽出する。なお、λ25(波長25.2μm)〜λ30(波長50μm)の反射率はλ24(波長23.3μm)の値を用いる。
iii)抽出した分光反射率にそれぞれJIS本文付表3に記載のAl蒸着鏡の標準反射率を乗じ、λ1〜λ30の選定波長における評価試験体の反射率とする。
iV)前記反射率の平均値を遠赤外線反射率とする。
(3)測定条件:波長範囲「5〜25μm」アボダイス係数「Happ−Genzel」、積算回数「20回」、分解能「4.0cm−1」。
G.日射熱取得率
(1)規格:JIS R3106−1998に準拠
(2)測定方法:
i)分光測光器「UV−3150(株式会社島津製作所製)」を用い、評価用試験体の波長300〜2500nmの分光透過率と分光反射率を1nm間隔で測定する。
ii)前記透過率・反射率にJIS本文付表2に記載の重価係数を乗じた後、合計値を算出し、日射透過率・日射反射率(%)とする。iii)JIS本文8.4項の算出式を用い日射熱取得率を算出する。
(3)測定条件:スキャンスピード「高速」、分解能力「10nm」。
H.可視光透過率
(1)規格:JIS R 3106−1998に準拠
(2)測定方法
i)分光測光器「UV−3150(株式会社島津製作所製)」を用い、評価用試験体の波長380〜780nmの分光透過率と分光反射率を1nm間隔で測定する。
ii)前記透過率にJIS本文に記載の重価係数を乗じた後、合計値を算出し、可視光透過率(%)とする。
(3)測定条件:スキャンスピード「高速」、分解能力「10nm」。
[実施例1]
合成樹脂からなる基材として、ハードコートフィルム「”タフトップ”(登録商標)THS(東レフィルム加工株式会社製)を用いた。
次に当該基材のアンダーコート層上に、金属組成が錫:亜鉛=65質量%:35質量%のスパッタリングターゲット材を用いて厚さ30nmの第1層目の金属酸化物薄膜を製膜した(スパッタガスはアルゴン:酸素=90%:10%(流量比))。続いて、第1層目の金属酸化物薄膜上に、銀中に金を3質量%含有するスパッタリングターゲット材を用いて厚さ16nmの金属薄膜を製膜した(スパッタリングガスはアルゴン=100%)。さらに、第1層目の金属酸化物薄膜と同一のスパッタリングターゲット材を用いて厚さ2nmのバリア層を成膜し(スパッタガスはアルゴン:酸素=98%:2%(流量比))、金属薄膜をマスキングした。次に、バリア層上に第1層目の金属酸化物薄膜と同一のスパッタリングターゲット材を用いて厚さ30nmの第2層目の金属酸化物薄膜を成膜し(スパッタリングガスはアルゴン:酸素=90%:10%(流量比))、基材上に第1金属酸化物薄膜/金属薄膜/バリア層/第2金属酸化物薄膜からなる熱線反射を形成した。
次に当該熱線反射層上にSiスパッタリングターゲット材を用い厚さ25nmの保護層を製膜し(スパッタリングガスはアルゴン:酸素:二酸化炭素:窒素=75:10:10:5)、積層フィルムを得た。
[実施例2]
保護層を製膜する際のスパッタリングガスをアルゴン:酸素:二酸化炭素:窒素=74:5:14:7に変更したことを除き、実施例1と同様の方法で積層フィルムを得た。
[実施例3]
保護層を製膜する際のスパッタリングガスをアルゴン:酸素:二酸化炭素:窒素=76:0:16:8に変更したことを除き、実施例1と同様の方法で積層フィルムを得た。
[実施例4]
保護層を製膜する際のスパッタリングガスをアルゴン:酸素:二酸化炭素:窒素=71:4:20:5に変更したことを除き、実施例1と同様の方法で積層フィルムを得た。
[実施例5]
保護層を製膜する際のスパッタリングガスをアルゴン:酸素:二酸化炭素:窒素=78:6:11:5に変更したことを除き、実施例1と同様の方法で積層フィルムを得た。
[実施例6]
保護層を製膜する際のスパッタリングガスをアルゴン:酸素:二酸化炭素:窒素=78:7:10:5に変更したことを除き、実施例1と同様の方法で積層フィルムを得た。
[実施例7]
保護層を製膜する際のスパッタリングガスをアルゴン:酸素:二酸化炭素:窒素=44:16:20:20に変更したことを除き、実施例1と同様の方法で積層フィルムを得た。
[比較例1]
保護層を製膜する際のスパッタリングガスをアルゴン:酸素:二酸化炭素:窒素=60:0:40:0に変更したことを除き、実施例1と同様の方法で積層フィルムを得た。
[比較例2]
保護層を製膜する際のスパッタリングガスをアルゴン:酸素:二酸化炭素:窒素=60:0:0:40に変更したことを除き、実施例1と同様の方法で積層フィルムを得た。
[比較例3]
保護層を製膜する際のスパッタリングガスをアルゴン:酸素:二酸化炭素:窒素=73:5:15:7に変更したことを除き、実施例1と同様の方法で積層フィルムを得た。
[比較例4]
保護層を製膜する際のスパッタリングガスをアルゴン:酸素:二酸化炭素:窒素=76:10:7:7に変更したことを除き、実施例1と同様の方法で積層フィルムを得た。
実施例1〜7および比較例1〜4の各試験体について、上述した測定方法を用い、遠赤外線反射率、日射熱取得率、可視光透過率、保護層のバリア性を測定した結果を表1および表2に示す。
保護層の酸化ケイ素膜に炭素および窒素を導入し、炭素原子(C)と窒素原子(N)の組成比(C/N)が0.5〜2.5とした実施例1〜7はいずれも保護層のバリア性が高く、耐久性に優れ、判定は「○」以上であった。なかでも、組成比(C/N)を1.0とした実施例3、1.6とした実施例4は、特にバリア性が高く、耐久性に優れる結果であった。
なお、いずれの試験体も断熱性の指標である遠赤外線反射率、遮熱性の指標である日射熱取得率、透明性の指標である可視光透過率は良好な値であった。
一方、保護層の酸化ケイ素膜に炭素のみを導入した比較例1、窒素のみを導入した比較例2はいずれもバリア性(耐久性)に劣る結果であった。さらに、保護層の酸化ケイ素膜に炭素および窒素を導入し、炭素原子(C)と窒素原子(N)の組成比(C/N)を2.7とした比較例3、0.2とした比較例4もバリア性が低く、耐久性に劣る結果であった。
Figure 2017144591
Figure 2017144591
本発明の積層フィルムは、日射遮蔽性および断熱性を高いレベルで備え、かつ耐傷付性と耐久性に優れているので、住宅・ビル等の窓ガラスに好適に使用できる。

Claims (3)

  1. 合成樹脂からなる基材の片面に、少なくとも金属薄膜と金属酸化物薄膜からなる熱線反射層、保護層を順に積層した積層フィルムにおいて、前記保護層が炭素および窒素を含む酸化ケイ素薄膜であり、炭素原子(C)と窒素原子(N)の組成比(C/N)が0.5〜2.5であることを特徴とする積層フィルム。
  2. 前記保護層の酸化ケイ素薄膜を一般式SiOxCyNzで表したとき、xの範囲が1.0〜2.0、yの範囲が0.05〜0.5、zの範囲が0.05〜0.5であることを特徴とする請求項1記載の積層フィルム。
  3. 前記保護層の厚みが10〜50nmであることを特徴とする請求項1または2記載の積層フィルム。
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