本発明の遊技機用基板ケースの好適な実施態様について、図面を用いてより具体的に説明する。以下においては、説明の便宜上、本発明に係る構成を回胴式遊技機で採用する場合を例に挙げて説明する。しかし、本発明の遊技機用基板ケースの技術的範囲は、回胴式遊技機で使用されるものに限定されず、パチンコ遊技機等、他の遊技機で使用されるものをも含んでいる。
また、図面の各図においては、説明の便宜を考慮し、x軸、y軸及びz軸を示している。x軸、y軸及びz軸の向きは、異なる図であっても、互いに一致している。以下においては、x軸方向正側を「右」側、x軸方向負側を「左」側、y軸方向正側を「後」側、y軸方向負側を「前」側、z軸方向正側を「上」側、z軸方向負側を「下」側と呼ぶことがあるが、これは、各部の相対的な位置関係を表すためのものに過ぎず、各部の絶対的な位置関係を限定するものではない。
1. 回胴式遊技機の概要
図1は、回胴式遊技機10を前方から見た図である。回胴式遊技機10は、図1に示すように、その前面側に、メダルを投入するためのメダル投入口11と、メダルを払い出すためのメダル払出口12と、その外周面に図柄が描かれた3本のリール13,14,15と、映像演出を行うための液晶ディスプレイ16と、照明演出を行うための発光ランプ(図示省略)と、音声演出を行うためのスピ−カー17等を備えたものとなっており、操作部として、1遊技当たりの最大枚数(通常3枚)のメダルをベットするためのマックスベットボタン18と、ベットするメダルを1枚ずつ増加するためのシングルベットボタン19と、リール13,14,15の回転を開始するためのスタートレバー20と、リール13,14,15の回転をそれぞれ停止するための3個のストップボタン21,22,23と、演出を切り替えるためのチャンスボタン24と、クレジットされたメダルを払い戻すための払戻しボタン25等を有するものとなっている。
この回胴式遊技機10は、メダルのクレジット枚数が所定枚数以上となった状態でスタートレバー20が操作されると、役抽選が実行されるとともにリール13,14,15が回転を開始し、ストップボタン21,22,23がそれぞれ操作されると、操作されたストップボタン21,22,23に対応するリール13,14,15の回転が停止していき、全てのリール13,14,15が停止したときにリール窓10b1の有効ライン上に表示される図柄の組み合わせが役抽選で当選した役に対応したものとなっていた場合(入賞した場合)に、その役に応じた枚数のメダルが払い出され、メダルのクレジット枚数が上限値に達しているときには、ホッパーユニット36(図2を参照)から送出されたメダルがメダル払出口12を通じて払い出されるようになっている。メダルのクレジット枚数は、メダルのクレジット枚数が上限値に達していないときに、メダル投入口11にメダルが投入される、又は、入賞によってメダルが払い出されると増加するようになっている。
図2は、前扉10bが開かれた回胴式遊技機10を前方斜め右上から見た図である。回胴式遊技機10は、図2に示すように、前方が開放された箱状を為す筺体本体10aと、筺体本体10aの前面側に開閉可能な状態で取り付けられた前扉10bとで構成された遊技機筺体の内部に各種の機器が収容されたものとなっている。以下においては、筺体本体10aと前扉10bとを合わせて「筺体10a,10b」と表記することがある。本実施態様において、遊技機筺体の内部には、メイン制御基板ユニット30、サブ制御基板ユニット31、液晶ユニット32、電源ユニット33、コネクタユニット34、リールユニット35及びホッパーユニット36等が納められている。
メイン制御基板ユニット30は、役抽選や入賞判定等、遊技における基本的な制御を行う制御基板(メイン制御基板)を備えている。サブ制御基板ユニット31は、発光ランプや音声による演出等、遊技における演出に関する制御を行う制御基板(サブ制御基板)を備えている。液晶ユニット32は、液晶ディスプレイ16(図1を参照)に表示される映像による演出に関する制御を行う制御基板(映像基板)を備えている。電源ユニット33は、回胴式遊技機10における各機器に電力を供給する制御基板(電源基板)を備えている。コネクタユニット34は、特定の機器に接続されたケーブルを仲介する制御基板(仲介基板)を備えている。リールユニット35は、リール13,14,15の回転をそれぞれ独立して制御する制御基板(リール制御基板)を備えている。ホッパーユニット36は、メダル投入口11(図1を参照)に投入されたメダルを回収するとともに、メイン制御基板ユニット30からの信号に基づいてメダル払出口12(図1を参照)へメダルを送出する制御を行う制御基板(ホッパー制御基板)を備えている。
これらのユニットに備えられた各種制御基板は、いずれも、不正アクセスの対象となり得る。例えば、メイン制御基板ユニット30に備えられた制御基板(メイン制御基板)には、回胴式遊技機10における基本的な制御を行うためのプログラムが記録された記憶装置(ROM)が搭載されているところ、この記憶装置を偽造したものに交換することによって、遊技中に特定の操作を行うと必ず大当たりになるようにする等、回胴式遊技機10に不正な改造を試みる者がいる。このため、回胴式遊技機10等の遊技機においては、この種の制御基板を、透明な基板ケース(通常、樹脂製)の内部に収容して封止することが行われている。本実施態様においても、これらの制御基板を透明な基板ケースの内部に収容することによって、当該制御基板を封止する構造を採用している。
本発明は、遊技機用の基板ケース(遊技機用基板ケース。以下、「基板ケース」と省略して称呼することがある。)に関するものであるところ、メイン制御基板を収容する基板ケース(メイン制御基板ユニット30を構成する基板ケース)として採用すると好ましい。というのも、本発明の基板ケースは、基板ケースの不正防止用連結構造に関するものであるところ、メイン制御基板を収容する基板ケースが最も不正アクセスの対象となりやすく、本発明の基板ケースに係る構成を採用する意義が大きいからである。
本実施態様においても、本発明に係る構成は、メイン制御基板を収容する基板ケース(具体的には、後掲の図3に示す基板ケース100)で採用している。以下においては、メイン制御基板を収容する基板ケースを例に挙げて説明する。ただし、このことは、本発明の基板ケースに係る構成を、メイン制御基板を収容する基板ケースにおいてのみ採用できることを意味しない。基板ケースに係る構成は、メイン制御基板ユニット30以外のユニット31〜37を構成する基板ケース等でも採用することができる。
2.基板ケース(遊技機用基板ケース)の取り付け構造
基板ケース100の具体的な構成について説明する前に、まず、基板ケース100の取り付け構造について説明する。
2.1 基板ケース(遊技機用基板ケース)の取付け構造の概要
図3は、ケース回動部材110が保持位置にあるときの基板ケース100及びケース取付部材200を、前方斜め右上から見た図である。図4は、ケース回動部材110が展開位置にあるときの基板ケース100及びケース取付部材200を、前方斜め右上から見た図である。本実施態様の基板ケース100は、図3に示すように、ケース取付部材200の前面に取り付けられ、このケース取付部材200を介して、遊技機の筺体10a,10b(図2)における所定箇所に固定されるようになっている。上述したように、本実施態様の基板ケース100は、メイン制御基板を収容するものであるところ、ケース取付部材200は、その後面を、遊技機の筺体本体10aの背板10a1(図2)の前面側に取り付けられるようになっている。
本実施態様の基板ケース100は、図3及び図4に示すように、ケース取付部材200に対して回動可能なケース回動部材110と、ケース取付部材200に対して動かない状態で取り付けられるケース一側固定部材120及びケース他側固定部材130とで構成されている。以下においては、ケース一側固定部材120及びケース他側固定部材130をまとめて「ケース固定部材120,130」と表記することがある。図5は、基板ケース100におけるケース一側固定部材120を、(a)前方斜め右上から見た図、及び、(b)後方斜め左上から見た図である。図6は、基板ケース100におけるケース他側固定部材130を、(a)前方斜め右上から見た図、及び、(b)後方斜め左上から見た図である。
この基板ケース100は、図3に示すように、ケース回動部材110の背面がケース取付部材200の前面に沿う保持位置と、図4に示すように、ケース回動部材110の背面がケース取付部材200の前面から離反してケース回動部材110を背面側から視認可能となる展開位置との間で、ケース固定部材120,130に対してケース回動部材110を回動させることができるようになっている。このため、基板ケース100への不正アクセスの痕跡の有無を点検する人(点検者)は、保持位置にあるケース回動部材110を、その正面側から確認できるとともに、ケース回動部材110を展開位置とすることによって、基板ケース100をケース取付部材200から取り外すことなく、ケース回動部材110の背面側からも確認することができるようになっている。したがって、基板ケース100が遊技機の筺体10a,10bから取り外されることによる不正行為を防止することも可能となっている。よって、基板ケース100への不正アクセスを防止することができるようになっている。
また、基板ケース100を、ケース取付部材200に対して回動するケース回動部材110と、ケース取付部材200に対して動かないケース固定部材120,130とで構成したことによって、筺体10a,10bの内部空間を有効に活用することが可能になる。というのも、基板ケース100の全体が回動するようにしておくと、遊技機筺体10a,10bの内部におけるケース取付部材200の前方には、基板ケース100の全体を回動させることができるように、基板ケース100の回動空間を広く確保しておく必要がある。この点、本実施態様の基板ケース100では、制御基板300(図5)を収容したケース回動部材110のみが回動し、ケース固定部材120,130は、回動しないようになっている。特に、本実施態様の基板ケース100においては、後述するように、ケース他側固定部材130には、B連結部として機能するB連結部用係合部401(図6)や、C連結部として機能するC連結部用係合部402(図6)を設けているため、ケース他側固定部材130の寸法はある程度大きくする必要がある。この点、基板ケース100における、B連結部用係合部401やC連結部用係合部402が設けられた部分を回動させないことによって、上記の回動空間を狭くすることができる。
ケース回動部材110の展開角度(保持位置から展開位置までに要する回転角度)をどの程度に設定するかは、特に限定されないが、小さくしすぎると、ケース回動部材110を展開位置まで回動させても、ケース回動部材110の背面側を確認しにくくなる虞がある。このため、ケース回動部材110の展開角度は、60°以上とすると好ましい。ケース回動部材110の展開角度は、70°以上とするとより好ましく、80°以上とするとさらに好ましい。一方、ケース回動部材110の展開角度を大きくしすぎると、ケース回動部材110の回動範囲が大きくなり、ケース回動部材110の周辺に他の部材等を配置しにくくなる。このため、ケース回動部材110の展開角度は、120°以下とすると好ましい。ケース回動部材110の展開角度は、110°以下とするとより好ましく、100°以下とするとさらに好ましい。本実施態様において、ケース回動部材110の展開角度は、90°に設定している。
本実施態様の基板ケース100におけるケース回動部材110は、その下縁近傍の水平方向の軸を中心として回動する構造(下縁中心回動構造)となっているが、ケース回動部材110の回動態様は、これに限定されない。例えば、ケース回動部材110は、その上縁近傍の水平方向の軸を中心として回動する構造(上縁中心回動構造)を採用することもできるし、その左縁近傍の鉛直方向の軸を中心として回動する構造(左縁中心回動構造)を採用することもできるし、その右縁近傍の鉛直方向の軸を中心として回動する構造(右縁中心回動構造)を採用することもできる。ただし、ケース回動部材110の回動スペースや、ケース回動部材110の点検のしやすさや、展開位置にあるケース回動部材110の安定性等を考慮すると、本実施態様のように、下縁中心回動構造を採用することが好ましい。
2.2 語句の定義
ところで、以下においては、「A連結部」、「B連結部」、「C連結部」、「D連結部」、「E連結部」及び「F連結部」という語句が登場する。「A連結部」、「B連結部」、「C連結部」、「D連結部」、「E連結部」及び「F連結部」という語句が意味するところは、それぞれ、以下の通りである。
「A連結部」とは、遊技機が製造工場から出荷されてから、遊技機の検査機関が基板ケース100(本実施態様では基板ケース100のケース回動部材110)を開封して制御基板300を検査するまでの間、基板ケース100が不正に開封されて基板ケース100の内部の制御基板300に不正改造等が施されないように、基板ケース100の構成部材を連結(本実施態様の基板ケース100においては、基板ケース100におけるケース回動部材110の第一ケース111と第二ケース112とを連結)するために、遊技機の製造工場等において基板ケース100の前記構成部材を連結する部分のことを云う。基板ケース100が不正に開封された際(本実施態様の基板ケース100においては、基板ケース100におけるケース回動部材110の第一ケース111(図8)と第二ケース112(図8)とが不正に分離された際)には、このA連結部又はその周辺に不正開封の痕跡が残るようになる。すなわち、基板ケース100を点検する者は、A連結部やその周辺の状態(破壊痕等の有無)を確認することによって、基板ケース100が不正に開封されたか否かを確認することができる。A連結部は、図面では「A」という符号で示している(例えば、図9及び図10を参照。)。
また、「B連結部」とは、遊技機が工場から出荷された後に、基板ケース100がケース取付部材200から不正に取り外されないように(ケース取付部材200に対する基板ケース100の取り付けは、通常、工場において行われる。)、基板ケース100とケース取付部材200とを連結する部分のことを云う。基板ケース100がケース取付部材200から不正に取り外された際には、このB連結部又はその周辺に不正な取り外しの痕跡が残るようになる。すなわち、基板ケース100やケース取付部材200を点検する者は、B連結部やその周辺の状態(破壊痕等の有無)を確認することによって、基板ケース100がケース取付部材200から不正に取り外されたか否かを確認することができる。B連結部は、図面では「B」という符号で示している(例えば、図6及び図21を参照。)。
さらに、「C連結部」とは、「B連結部」の予備として設けられた部分となっている。すなわち、基板ケース100は、遊技機が工場から出荷された後でも、検査機関等によってケース取付部材200から正規に取り外されることがある。このとき、上記のB連結部は検査機関等により正規に破壊されることになる。検査機関による検査が完了した後の基板ケース100は、再度、ケース取付部材200に取り付けられることになるが、B連結部は、既に破壊等された状態となっているため、利用することができない。このため、検査完了後の基板ケース100をケース取付部材200に取り付ける際には、この「C連結部」で、基板ケース100とケース取付部材200とを連結することになる。基板ケース100やケース取付部材200を点検する者は、C連結部やその周辺の状態(破壊痕等の有無)を確認することによって、検査機関等によって基板ケース100がケース取付部材200から正規に取り外されてから今までの間に、基板ケース100がケース取付部材200から不正に取り外されたか否かを確認することができる。C連結部は、図面では「C」という符号で示している(例えば、図6及び図21を参照。)。
さらにまた、「D連結部」は、「C連結部」の予備として設けられた部分となっている。すなわち、上記の検査機関等による検査は、1回のみとは限らず、2回以上行われることもあり得るところ、2回目の検査等の際には、上記のC連結部は検査機関等により正規に破壊されることになる。検査機関等による2回目の検査が完了した後の基板ケース100は、再度、ケース取付部材200に取り付けられることになるが、B連結部やC連結部は、既に破壊等された状態となっているため、利用することができない。このため、2回目の検査が完了した後の基板ケース100をケース取付部材200に取り付ける際には、この「D連結部」で、基板ケース100とケース取付部材200とを連結することになる。基板ケース100やケース取付部材200を点検する者は、D連結部やその周辺の状態(破壊痕等の有無)を確認することによって、検査機関等によって基板ケース100がケース取付部材200から2回目に正規に取り外されてから今までの間に、基板ケース100がケース取付部材200から不正に取り外されたか否かを確認することができる。「D連結部」の予備として「E連結部」が設けられることもある。本実施態様の基板ケース100やケース取付部材200には、D連結部及びE連結部は設けていないが、基板ケース100やケース取付部材200を、D連結部及びE連結部が設けられた構成とすることも可能である。
そして、「F連結部」は、制御基板300を収容した基板ケース100(本実施態様の基板ケース100においては、基板ケース100のケース回動部材110)がメーカー等に返却される際に、基板ケース100が不正に開封されて基板ケース100の内部の制御基板300に不正改造等が施されないように、基板ケース100の構成部材を連結(本実施態様の基板ケース100においては、基板ケース100におけるケース回動部材110の第一ケース111(図8)と第二ケース112(図8)とを連結)する部分のことを云う。すなわち、遊技機では、基板ケース100に収容された制御基板300に不具合や不審な点等が認められた場合には、制御基板300は、基板ケース100に収容された状態のままメーカー等に返却される。ところが、この制御基板300の返却過程において、基板ケース100が不正に開けられてしまうと、制御基板300の不具合等が返却前に生じていたものなのか、返却過程において生じたものなのかの判断ができなくなる。この点、制御基板300の返却を受けたメーカー等は、このF連結部やその周辺の状態(破壊混等の有無)を確認することによって、制御基板300の返却過程において基板ケース100が不正に開封されたか否かを確認することができる。F連結部は、図面では「F」という符号で示している(例えば、図28及び図29を参照。)。
上記の「A連結部」、「B連結部」、「C連結部」、「D連結部」、「E連結部」及び「F連結部」は、遊技機の業界では、通常、それぞれ、「Aカシメ部」、「Bカシメ部」、「Cカシメ部」、「Dカシメ部」、「Eカシメ部」及び「Fカシメ部」と呼ばれている。しかし、「カシメ部」という表現を用いた場合には、その連結部がカシメ(複数の部品の一部を塑性加工して接合すること)によるものだけであるとの誤解を与える虞があるため、本明細書では、「連結部」という表現を用いている。
2.3 基板ケース(遊技機用基板ケース)の組立
図7は、ケース回動部材110を前方斜め右上から見た図である。図8は、ケース回動部材の内部に制御基板300を収容する様子を、前方斜め右上から見た図である。図9は、ケース回動部材110を構成する第一ケース111を、前方から見た図である。図10は、ケース回動部材110を構成する第二ケース112を、後方から見た図である。基板ケース100におけるケース回動部材110は、図8に示すように、第一ケース111と第二ケース112とに分割可能な構造となっており、ケース回動部材110の内部には、制御基板300を収容することができるようになっている。第一ケース111は、制御基板300の後側を覆うための部材(いわゆるベース部材)となっており、第二ケース112は、第一ケース111の前側に組み付けられ、制御基板300の前側を覆うための部材(いわゆるカバー部材)となっている。
本実施態様の基板ケース100において、ケース回動部材110は、図8の矢印α1に示すように、第二ケース112の後面側に、制御基板300を組み付けた後、図8の矢印α2に示すように、その制御基板300が組み付けられた第二ケース112を、第一ケース111の前面側に組み付けることによって、制御基板300を収容するものとなっている。第二ケース112を第一ケース111に対して組み付ける際の最終段階では(組み付けが完了する直前には)、第一ケース111に対して第二ケース112を下向き(z軸方向負側)にスライドさせるようになっている。第二ケース112を第一ケース111に対して組み付けた後には、第一ケース111の封印シール貼付部111gと第二ケース112の封印シール貼付部112gとに跨るように、封印シール(図示省略)が貼り付けられる。この封止シールは、それを切断等しない限りは、ケース回動部材110を開放して制御基板300(図8)にアクセスすることができないようにするためのものとなっている。このため、この封印シールの状態を確認することで、ケース回動部材110が不正に開けられたことがあるか否かを判断する目安とすることができるようになっている。
ところで、図9に示すように、第一ケース111の前面側における左上隅角部と右上隅角部には、接着剤保持部161が設けられている一方、図10に示すように、第二ケース112の後面側における左上隅角部と右上隅角部には、対保持部用被接着部162が設けられている。接着剤保持部161は、第一ケース111に対して第二ケース112を組み付ける際に、接着剤を保持させるための部分となっている。一方、対保持部用被接着部162は、第一ケース111に対して第二ケース112を組み付ける際に、接着剤保持部161に保持された前記接着剤に接触する部分となっている。第一ケース111に対して第二ケース112を組み付けた後、前記接着剤が硬化すると、第一ケース111と第二ケース112は、接着剤保持部161に保持された前記接着剤によって接着された状態となる。
この接着剤保持部161と対保持部用被接着部162との接着は、上記のA連結部として機能する部分である。基板ケース100を正規に開封するためにこのA連結部を解除する際には、通常、後述する第二アーム部112f(図10)がニッパー等の切断具で切断される。一方、このA連結部を不正に解除する際には、第二アーム部112fを切断すると、その切断箇所に痕跡が残ってしまうため、第二アーム部112fを切断するような方法を採用することができない。このため、基板ケース100を不正に開封するために、A連結部を不正に解除して、第一ケース111を第二ケース112から不正に取り外そうとする者は、接着剤保持部161と対保持部用被接着部162との接着を解除する必要がある。しかし、本実施態様の基板ケース100は、接着剤保持部161と対保持部用被接着部162との接着を解除することも、何らかの痕跡を残さない状態では、非常に困難なものとなっている。
このように、接着剤保持部161及び対保持部用被接着部162は、上記のA連結部として機能する部分となっている。図11は、ケース回動部材110をA連結部(第一ケース111及び第二ケース112における左上隅角部のA連結部)の周辺で拡大して、左方やや斜め下側から見た図であって、図11(a)は、ケース回動部材110を構成する第一ケース111と第二ケース112とを組み付ける前の状態を、図11(b)は、第一ケース111と第二ケース112とを組み付けた後の状態を示している。図12は、第一ケース111と第二ケース112とが組み付けられた後のケース回動部材110におけるA連結部(第一ケース111及び第二ケース112における左上隅角部のA連結部)の周辺を拡大して示した図であって、図12(a)は、前方から見た状態を、図12(b)は、左方から見た状態を示している。図11及び図12においては、第一ケース111及び第二ケース112を図9におけるX1−X1面で破断して描いている。
ケース回動部材110における第一ケース111と第二ケース112との組み付けを終えると、続いて、図13及び図14に示すように、ケース回動部材110における操作手段取付部110eに操作手段610を取り付ける。図13は、ケース回動部材110に操作手段610を取り付けている様子を前方斜め右上から見た図である。図14は、操作手段610が取り付けられたケース回動部材110を、前方斜め右上から見た図である。図15は、操作手段610が取り付けられたケース回動部材110を、前方から見た図である。操作手段610は、制御基板300(図8)の設定変更操作を行うためのものであり、本実施態様の基板ケース100においては、それにキーを挿し込んで回すと設定が変更されるキースイッチとなっている。この操作手段180は、図15に示すように、ケーブル700によって、メイン制御基板300に接続されている。本実施態様の基板ケース100は、図13に示すように、取付ブラケット620を用いて、操作手段610を取り付けるようにしている。図16は、取付ブラケット620を、(a)前方斜め右上から見た図、及び、(b)後方斜め左上から図である。
操作手段180をケース回動部材110に取り付けると、続いて、ケース一側固定部材120及びケース他側固定部材130を用いて、ケース回動部材110をケース取付部材200に対して取り付ける。本実施態様の基板ケース100は、図7及び図8のケース回動部材110と、図5のケース一側固定部材120と、図6のケース他側固定部材130とを、以下の手順により、ケース取付部材200(図3及び図4)に対して取り付けるようになっている。ただし、以下で述べる手順は、飽くまで一例であり、本発明に係る基板ケースの技術的範囲は、以下の手順で行われるものに限定されない。下記の手順は、各部材が干渉等して、その手順で行うことが不可能でない限り、適宜変更することができる。
まず、図17及び図18に示すように、ケース一側固定部材120(図5)をケース回動部材110に対して組み付ける。図17は、基板ケース100におけるケース回動部材110に対してケース一側固定部材120を組み付けている様子を、前方斜め左上から見た図である。図18は、基板ケース100におけるケース回動部材100に対してケース一側固定部材120を組み付けた状態を、前方斜め左上から見た図である。
本実施態様の基板ケース100においては、図17の矢印α3に示すように、ケース回動部材110の後側からケース一側固定部材120を移動させ、ケース回動部材110に設けられた支軸部141の上側にケース一側固定部材120の上側軸受部122を引っ掛けることにより、ケース回動部材110の左側面部における下部にケース一側固定部材120を組み付けるようになっている。
ケース回動部材110に対してケース一側固定部材120を組み付け終えると、図19に示すように、そのケース回動部材110を、ケース一側固定部材120が組み付けられた状態のまま、矢印α4の向きに移動させ、ケース取付部材200の前面側に組み付ける。図19は、ケース回動部材110及びケース一側固定部材120をケース取付部材200に対して組み付けている様子を、前方斜め右上から見た図である。図20は、ケース回動部材110及びケース一側固定部材120をケース取付部材200に対して組み付けた状態を、前方斜め右上から見た図である。
図19に示すように、ケース回動部材110には、ケース回動部材110の左側面部の下部から左方に突出する支軸部141と、支軸部141の外周部を囲うように設けられた鍔部142と、ケース回動部材110の右側面部の下部から右方に突出する支軸部143(図8)と、支軸部143の外周部を囲うように設けられた鍔部144とが設けられており、ケース取付部材200には、下側軸受部201と後側軸受部202が設けられているところ、鍔部142が下側軸受部201の左側に位置し、鍔部144が後側軸受部202の右側に位置するように、ケース回動部材110の組み付けを行う。鍔部142,144は、ケース取付部材200に組み付けられたケース回動部材110がケース取付部材200に対して左右方向にスライドしないようにケース回動部材110を規制するためのものとなっている。ケース一側固定部材120の上側軸受部122は、ケース取付部材200の下側軸受部201と組み合わさって、支軸部141の外周全周部を包囲した状態となる。
ケース取付部材200に対してケース回動部材110を組み付け終えると、ケース一側固定部材120は、ケース取付部材200の前面における左下隅角部に位置するようになる。このケース一側固定部材120は、ケース取付部材200に対して固定され、ケース取付部材200に対して動かない状態とされる。本実施態様においては、ケース一側固定部材120の前面側に凹穴状に設けた固定部材挿通部123に、ネジ等の固定部材(図示省略)を挿通することによって、ケース取付部材200に対してケース一側固定部材120を固定するようにしている。固定部材を挿通した後の固定部材挿通部123には、キャップ状の封印部材(図示省略)を嵌め込んで封止し、固定部材挿通部123に嵌め込んだ封印部材とケース一側固定部材120とに跨るように、シール状の封印部材(図示省略)を貼り付ける。
固定部材挿通部123に嵌め込まれるキャップ状の封印部材は、ケース一側固定部材120がケース取付部材200から不正に取り外されないようにするためのものであり、固定部材挿通部123の奥部で係合される構造を有している。このキャップ状の封印部材を固定部材挿通部123に一旦嵌め込んでしまうと、その封印部材やケース一側固定部材120を破壊等しない限りは、上記の固定部材(ケース取付部材200に対してケース一側固定部材120を固定するネジ等の固定部材)の固定箇所にアクセスできない状態となる。換言すると、キャップ状の封印部材等に痕跡を残さない限りは、ケース取付部材200からケース一側固定部材120を取り外すことができない状態となる。
一方、固定部材挿通部123に嵌め込まれたキャップ状の封印部材とケース一側固定部材120とに跨った状態で貼り付けられるシール状の封印部材も、ケース一側固定部材120がケース取付部材200から不正に取り外されないようにするためのものである。すなわち、ケース一側固定部材120をケース取付部材200から取り外すためには、上記のキャップ状の封印部材を固定部材挿通部123から取り外す必要があるところ、シール状の封印部材を切断や剥離等しなければ、キャップ状の封印部材を固定部材挿通部123から取り外すことができないようになっている。
ケース取付部材200に対してケース一側固定部材120を固定し終えると、続いて、図21の矢印α5に示すように、ケース回動部材110の右側から軸受部材150を移動させ、軸受部材150の環状部151を、ケース回動部材110の支軸部143に外嵌するとともに、図21の矢印α6に示すように、ケース回動部材110の右側からケース他側固定部材130を移動させ、ケース回動部材110及びケース取付部材200に対してケース他側固定部材130を組み付ける。図21は、基板ケース100におけるケース回動部材110に対して軸受部材150及びケース他側固定部材130を組み付けている様子を、前方斜め右上から見た図である。図22は、基板ケース100におけるケース回動部材110に対して軸受部材150及びケース他側固定部材130を組み付けた状態を、前方斜め右上から見た図である。図23は、軸受部材150を、(a)前方斜め右上から見た図、及び、(b)後方斜め左上から見た図である。
図21に示される軸受部材150は、その環状部151をケース回動部材110の支軸部143に外嵌された後、ネジ等の固定部材(図示省略)によって、ケース取付部材200に対して固定された状態となる。この軸受部材150は、ケース回動部材110の支軸部143を軸支する軸受部分として機能するだけでなく、ケース回動部材110とケース取付部材200とを連結状態とし、ケース回動部材110とケース取付部材200とが不正に分離されないようにするための不正防止用連結構造として機能する部分となっている。換言すると、軸受部材150は、B連結部と同様の機能を発揮する部材となっている。ケース回動部材110に対してケース他側固定部材130を組み付けた状態にあっては、軸受部材150は、図22に示すように、ケース他側固定部材130に設けられた半円筒状の被覆部132によって覆われた状態となる。
ところで、図21に示すように、ケース取付部材200の前面側には、被係合用可動体501が、ケース取付部材200の可動体保持部203に対して移動可能な状態で設けられている。図24は、ケース取付部材200における可動体保持部203の周辺で拡大して前方斜め右上から見た図であって、図24(a)は、被係合用可動体501がB連結部として機能し得るB位置にある状態を、図24(b)は、被係合用可動体501がC連結部として機能し得るC位置にある状態とをそれぞれ示している。図25は、被係合用可動体を示した図であって、図25(a)は、前方斜め右上から見た状態を、図25(b)は、右方から見た状態をそれぞれ示している。図26は、ケース取付部材200を後方から見た図である。本実施態様のケース取付部材200において、被係合用可動体501は、図24(a)に示すB位置と、図24(b)に示すC位置との間でスライド可能になっている。
この被係合用可動体501は、図21に示すように、ケース回動部材110に対してケース他側固定部材130を組み付けたとき(ケース取付部材200に対してケース他側固定部材130を組み付けたとき)に、ケース他側固定部材130の後面側に設けられたB連結部用係合部401(図6(b))又はC連結部用係合部402(図6(b))が係合するための部分となっている。すなわち、被係合用可動体501がB位置(図24(a))にある状態で、ケース取付部材200に対してケース他側固定部材130を組み付けると、B連結部用係合部401が被係合用可動体501に係合する一方、被係合用可動体501がC位置(図24(b))にある状態で、ケース取付部材200に対してケース他側固定部材130を組み付けると、C連結部用係合部402が被係合用可動体501に係合するようになっている。
B連結部用係合部401と被係合用可動体501や、C連結部用係合部402と被係合用可動体501は、一旦係合した状態になると、破壊や白化等の塑性変形を伴わない状態(何らかの痕跡を残さない状態)では、その係合を解除することが極めて困難なものとなっている。換言すると、B連結部用係合部401や被係合用可動体501、又は、C連結部用係合部402や被係合用可動体501に痕跡を残さない限りは、ケース取付部材200からケース他側固定部材130を取り外すことができないようになっている。B連結部用係合部401及び被係合用可動体501は、上記のB連結部として機能する部分となっており、C連結部用係合部402及び被係合用可動体501は、上記のC連結部として機能する部分となっている。
ケース回動部材110及びケース取付部材200に対してケース他側固定部材130を所定位置までスライドさせ、B連結部用係合部401と第一被係合部501とを係合させる(若しくはC連結部用係合部402と第一被係合部501とを係合させる)と、ケース取付部材200に対してケース他側固定部材130を固定し、ケース取付部材200に対してケース他側固定部材130が動かないようにする。本実施態様の基板ケース100及びケース取付部材200においては、ケース他側固定部材130の本体部131の前面側に凹穴状に設けた固定部材挿通部131aに、ネジ等の固定部材900(図21)を挿通することによって、ケース取付部材200に対してケース他側固定部材130を固定するようにしている。固定部材を挿通した後の固定部材挿通部131aには、キャップ状の封印部材(図示省略)を嵌め込んで封止する。また、固定部材挿通部131aに嵌め込んだキャップ状の封印部材とケース他側固定部材130とに跨るように、シール状の封印部材(図示省略)も貼り付ける。このキャップ状の封印部材やシール状の封印部材も、B連結部等として機能するようになっている。
なお、図21は、ケース取付部材200に対してケース他側固定部材130を固定する前の状態を示したものであるにもかかわらず、ケース取付部材200には、固定部材900が既に取り付けられた状態で示している。これは、図示の便宜を考慮したものである。ネジ等の固定部材(例えば図21の固定部材901〜904等)は、他の箇所の固定にも用いられ、同様の固定部材が、符号を示すことなく他の図面にも描かれている。しかし、固定部材900〜904を含め、ネジ等の固定部材が示された図は、その図のタイミングでその場所にその固定部材が固定されているとは限らない。
以上により、ケース取付部材200に対する基板ケース100の取り付けが完了する。基板ケース100の取り付けが完了した後には、基板ケース100の所定箇所に、記録シール(図示省略)を貼り付けることも好ましい。既に述べたように、基板ケース100は、工場等で封止されてケース取付部材200に取り付けられ、検査機関等によって正規に開封又はケース取付部材200から正規に取り外される場合があるところ、記録シールには、その封止した時期やその際に使用した連結部等を記録することができる。この記録シールに記された記録と、基板ケース100等の各連結部の状態とを比較することによって、基板ケース100等が不正に開封されたこと又は不正にケース取付部材200から取り外されたことがあるか否かを判断する目安とすることができる。
以上の手順によってケース取付部材200に取り付けた基板ケース100のケース回動部材110は、上記の鍔部142や鍔部144がケース一側固定部材120やケース他側固定部材130やケース取付部材200に干渉することによって、左右方向に移動させることができない状態となっていることに加えて、上記の支軸部141や支軸部143がケース一側固定部材120やケース他側固定部材130やケース取付部材200に軸支されていることによって、前後方向にも移動させることができない状態となっている。このため、ケース回動部材110は、図6に示すB連結部用係合部401と図21に示す被係合用可動体501との係合を解除してケース他側固定部材130をケース取付部材200から取り外すとともに、ケース一側固定部材120をケース取付部材200から取り外さなければ、ケース取付部材200から取り外すことができない状態となっている。
本実施態様の基板ケース100においては、それをケース取付部材200に組み付けた後、基板ケース100の前面側に保護カバー630を取り付けるようにしている。図27は、ケース取付部材200に組み付けられた基板ケース100に対して保護カバー630を取り付けている様子を、前方斜め右上から見た図である。この保護カバー630を取り付けることによって、基板ケース100に設けられたコネクタ挿通口110dを塞ぐ等、基板ケース100の封止力をより高めることができる。基板ケース100に取り付けた保護カバー630は、保護カバー630の前面側に凹穴状に設けた固定部材挿通部631に、ネジ等の固定部材(図示省略)を挿通することによって、基板ケース100に対して固定するようにしている。固定部材を挿通した後の固定部材挿通部631には、キャップ状の封印部材(図示省略)を嵌め込んで封止し、固定部材挿通部631に嵌め込んだキャップ状の封印部材と保護カバー630とに跨るように、シール状の封印部材(図示省略)を貼り付ける。
3.基板ケース(遊技機用基板ケース)の構成部材
続いて、本実施態様の基板ケース100の主要な構成部材について説明する。本実施態様の基板ケース100は、主に、ケース回動部材110と、ケース一側固定部材120と、ケース他側固定部材130と、軸受部材150とで構成されている。
3.1 ケース回動部材
ケース回動部材110は、その内部に制御基板300(図8)を収容できる形態であれば、その形態を特に限定されない。本実施態様のケース回動部材110は、既に述べたように、制御基板300の後面側を覆う第一ケース111と、制御基板300の前面側を覆う第二ケース112とで構成している。
3.1.1 第一ケース
第一ケース111は、その形態を特に限定されないが、本実施態様においては、図8に示すように、前面視矩形状を為す後壁部111aと、後壁部111aの左縁部及び右縁部の付近からそれぞれ前側に突出して設けられた左右一対の案内壁部111b,111c等とで構成している。既に述べたように、第一ケース111には、第二ケース112をスライドさせて組み付ける構造となっているところ、案内壁部111b,111cは、第一ケース111に対して第二ケース112をスライドさせる際のガイドとして機能する部分となっている。また、これらの案内壁部111b,111cの間に位置する空間が、制御基板300を収容するための基板収容部として利用されるようになっている。
この第一ケース111には、図9に示すように、接着剤保持部161が設けられている。既に述べたように、接着剤保持部161は、A連結部として機能する部分となっており、第一ケース111に対して第二ケース112を組み付ける際には、この接着剤保持部161に接着剤が保持され、第二ケース112に設けられた対保持部用被接着部162(図10)がその接着剤によって接着剤保持部161に接着される。接着剤保持部161は、第一ケース111に第二ケース112を組み付けた際に外部から密閉された状態となる箇所に設けられる。本実施態様の基板ケース100においても、図12に示すように、第一ケース111に第二ケース112を組み付けた際に外部から密閉された状態となる接着用密閉室110aに、接着剤保持部161を設けている。このように、外部から密閉された接着用密閉室110aに接着剤保持部161を設けることによって、接着剤保持部161と対保持部用被接着部162とによるA連結部を不正に解除しにくくすることができる。
また、第一ケース111には、図9に示すように、F連結部用係合部403も設けている。このF連結部用係合部403は、上記のF連結部における連結部分として機能する部分となっている。F連結部用係合部403の形態等については、後述するB連結部用係合部401やC連結部用係合部402と同様であるために、説明を割愛する。このF連結部における第一ケース111と第二ケース112との連結構造についても、後で詳しく説明する。
本実施態様の基板ケース100において、接着用密閉室110aは、図12に示すように、接着用密閉室110aの後面を区画する後側の密閉室区画壁部110a1と、接着用密閉室110aの前面を区画する前側の密閉室区画壁部110a2と、接着用密閉室110aの上面を区画する上側の密閉室区画壁部110a3と、接着用密閉室110aの下面を区画する下側の密閉室区画壁部110a4と、接着用密閉室110aの左側面を区画する左側の密閉室区画壁部110a5と、接着用密閉室110aの右側面を区画する右側の密閉室区画壁部110a6とで区画されている。
本実施態様の基板ケース100において、密閉室区画壁部110a1,110a2,110a3,110a4,110a5,110a6のうち、密閉室区画壁部110a1,110a4は、第一ケース111側に設けられており、密閉室区画壁部110a2,110a3,110a5,110a6は、第二ケース112側に設けられている。また、密閉室区画壁部110a1,110a2,110a3,110a4,110a5,110a6のうち、密閉室区画壁部110a6を除く密閉室区画壁部110a1,110a2,110a3,110a4,110a5は、その外壁面が外部に露出した状態(第一ケース111と第二ケース112とを組み付けた後に外部に露出した状態)となる外部露出型の密閉室区画壁部となっている。一方、密閉室区画壁部110a6は、その外壁面が外部に露出しない(第一ケース111と第二ケース112とを組み付けた後に外部に露出した状態とならない)外部非露出型の密閉室区画壁部となっている。
密閉室区画壁部110a1〜110a6のうち、少なくとも外部露出型の密閉室区画壁部110a1,110a2,110a3,110a4,110a5の内壁面と、接着剤保持部161の外壁面との間には、熱伝導率の低い低熱伝導層110b(図12において破線で閉じた部分)を設けることが好ましい。
というのも、本実施態様の基板ケース100のように、A連結部等の連結を接着剤によるものとした場合には、接着剤が保持されている接着剤保持部161の周辺をドライヤー等で加熱して、前記接着剤を軟化させて液状とし、第一ケース111や第二ケース112における接着剤保持部161やその周辺部に目立つような痕跡が残らない状態で、A連結部等における接着を不正に解除しようとする者も現れる可能性がある。しかし、上記のように、第一ケース111と第二ケース112とを組み付けると接着剤保持部161が接着用密閉室110aの内部に収まり(必然的に、対保持部用被接着部162も接着用密閉室110aの内部に収まる。)、外部露出型の密閉室区画壁部110a1,110a2,110a3,110a4,110a5の内壁面と、接着剤が保持されている接着剤保持部161の外壁面との間に低熱伝導層110bを設けることによって、基板ケース100の外部に露出した部分をドライヤー等で加熱したとしても、その加熱している部分と接着剤保持部161との間には低熱伝導層110bが存在しているため、接着剤保持部161に保持されて硬化している接着剤までその熱が伝わりにくくすることができ、基板ケース100の不正開封の防止効果を高めることが可能になるからである。
本実施態様の基板ケース100においては、外部露出型の密閉室区画壁部110a1,110a2,110a3,110a4,110a5の内壁面と接着剤保持部161の外壁面との間だけでなく、外部非露出型の密閉室区画壁部110a6の内壁面と接着剤保持部161の外壁面との間にも、低熱伝導層110bを設けており、基板ケース100の外壁面に加えられた熱が接着剤保持部161までより伝わりにくくしている。
低熱伝導層110bの厚さ(密閉室区画壁部110a1の内壁面と接着剤保持部161の外壁面との間の低熱伝導層110である場合には、その密閉室区画壁部110a1の内壁面に垂直な方向の厚さ。他の密閉室区画壁部110a2,110a3,110a4,110a5,110a6の内壁面と接着剤保持部161の外壁面との間の低熱伝導層110においても同様。)は、特に限定されない。しかし、低熱伝導層110が薄すぎると、低熱伝導層110bを設けても、基板ケース100の外壁面に加えられた熱が接着剤保持部161に伝わりやすくなる虞がある。このため、低熱伝導層110bの厚さ(場所によって低熱伝導層110bの厚さが異なる場合にはその最小値)は、通常、0.5mm以上とされる。低熱伝導層110bの厚さは、1mm以上であると好ましく、2mm以上であるとより好ましい。低熱伝導層110bの厚さの上限は、特に限定されないが、通常、10〜20mm程度までである。
低熱伝導層110bは、グラスウールやロックウール等の繊維系残熱材や、ウレタンフォームやポリスチレンフォームや発泡ゴム等の発泡系断熱材等の断熱材を充填した層(断熱材充填層)とすることもできる。しかし、この場合には、断熱材を用いる分、コストが高くなり、密閉室区画壁部110a1〜110a6の内壁面と接着剤保持部161の外壁面との間(隙間)に断熱材を充填する作業にも手間を要するようになるし、その割には、これらの一般的な断熱材の熱伝導率は、空気よりも高い。加えて、断熱材によって接着剤保持部161や対保持部用被接着部162が視認しにくくなり、不正アクセスの際にその部分に生じた痕跡を発見しにくくなる虞もある。また、低熱伝導層110bは、低圧状態(真空状態を含む。)の気体からなる低圧気体層とすることもできる。しかし、この場合には、密閉室区画壁部110a1〜110a6の内壁面と接着剤保持部161の外壁面との隙間(接着用密閉室110a)を減圧するのに手間やコストを要するし、その低圧状態を長期間維持することも容易ではない。加えて、空気以外の気体を用いると、コストも高くなる。この点、低熱伝導層110bを空気層(特に常圧の空気層)とすれば、特にコストや手間を要することなく、低熱伝導層110bの熱伝導率を低く抑えることが可能になる。本実施態様の基板ケース100においても、低熱伝導層110bは、常圧の空気層としている。
本実施態様の基板ケース100においては、上記のように、接着剤保持部161の周囲には、低熱伝導層110bが設けられるため、接着剤保持部161は、接着用密閉室110aの内部で宙に浮いた状態で支持される。接着剤保持部161の支持構造は、特に限定されないが、本実施態様の基板ケース100においては、図12に示すように、接着用密閉室110aの内側に突出した状態となる第一アーム部111dを第一ケース111(ベース部材)に設け、この第一アーム部111dの先端部に接着剤保持部161を設けている。これにより、密閉室区画壁部110a1〜110a6と接着剤保持部161とは、第一アーム部111dが設けられた部分だけで局所的に繋がった状態となるため、密閉室区画壁部110aから接着剤保持部161に熱がさらに伝わりにくくすることが可能になる。第一アーム部111dは、第二ケース112(カバー部材)に設けてもよい。この場合には、後述する第二アーム部112fを第一ケース111(ベース部材)に設ける。
本実施態様の基板ケース100においては、図12(a)に示すように、第一アーム部111dには、第一アーム部111dにおける他の箇所よりも断面積を小さくするための断面積縮小部111d1を設けている。これにより、第一アーム部111dを通じて、密閉室区画壁部110a1〜110a6から接着剤保持部161まで熱が伝わりにくくすることが可能になる。断面積縮小部111d1としては、開口部や凹部や切欠部や空洞部等が挙げられる。第一アーム部111dに、開口部や凹部や切欠部や空洞部等を設けると、その部分で第一アーム部111dの断面積を小さくし、熱が伝わりにくくすることができる。本実施態様の基板ケース100において、断面積縮小部111d1は、開口部としている。
接着剤保持部161は、接着剤を保持できるのであれば、その形態を特に限定されない。接着剤保持部161は、接着剤を塗布可能な板状のものとすることもできる。しかし、本実施態様の基板ケース100においては、図11に示すように、接着剤保持部161を、凹部を有する箱型のものとしており、この凹部に接着剤を溜めることができるようにしている。接着剤保持部161の内部(接着剤貯留部)は、図9に示すように、複数の仕切壁161a(図9の例では2つの仕切壁161a)で仕切っている。それぞれの仕切壁161aの形態は、特に限定されないが、本実施態様の基板ケース100においては、図8に示すように、第二ケース112が組み付けられる側(y軸方向負側)に突出させた板状部で仕切壁161aを構成している。このように、接着剤保持部161における接着剤貯留部を仕切壁161で仕切ることによって、接着剤保持部161に対する接着剤の保持性を高めることができる。また、接着剤保持部161と接着剤との接触面積を増大させて、接着剤保持部161と対保持部用被接着部162とをより強固に接着することも可能になる。
また、図7に示すように、ケース回動部材110には、支軸部141,143や鍔部142,144を設けている。この支軸部141,143や鍔部142,144は、第二ケース112に設けることもできるが、本実施態様の基板ケース100においては、図9に示すように、第一ケース111に設けている。
3.1.2 第二ケース
第二ケース112は、その形態を特に限定されないが、本実施態様においては、図8に示すように、前面視矩形状を為す前壁部112aと、前壁部112aの左縁部及び右縁部の付近からそれぞれ後側に突出して設けられた左右一対の側壁部112b,112cと、
前壁部112aの上縁部から後側に突出して設けられた上壁部112dと、前壁部112aの下縁部から後側に突出して設けられた下壁部112e等とで構成している。
第二ケース112の前壁部112aの後面側には、制御基板300がネジ等の固定具を介して固定される。制御基板300には、CPUやROM等の各種電子部品が実装されるが、これらの電子部品の実装面側が第二ケース112側(前側)を向く状態で制御基板300を取り付けると好ましい。これにより、制御基板300に実装された電子部品に異常がないかを、ケース回動部材110(基板ケース100)の前面側から確認することが可能になる。また、既に述べたように、第二ケース112は、その後側に制御基板300が取り付けられた状態で、第一ケース111に組み付けられるため、制御基板300における電子部品の実装面が後側を向いていると、第二ケース112を第一ケース111に対して組み付ける際に、制御基板300の電子部品が第一ケース111に干渉等する虞があるところ、制御基板300における電子部品の実装面を前側に向けておくことによって、そのような不具合を防止することも可能になる。
図10に示すように、第二ケース112には、A連結部として機能する対保持部用被接着部162が設けられる。この対保持部用被接着部162は、第一ケース111に対して第二ケース112を組み付けた際に、第一ケース111の接着剤保持部161に重なる箇所に設けられる。本実施態様の基板ケース100においては、接着剤保持部161を、第一ケース111における左上の隅角部と右上の隅角部とに設けたため、対保持部用被接着部162は、第二ケース112における左上の隅角部と右上の隅角部に設けている。
既に述べたように、接着剤保持部161は、接着用密閉室110aの内部で宙に浮いた状態で支持されるため、接着剤保持部161に接着される対保持部用被接着部162も、接着用密閉室110aの内部で宙に浮いた状態で支持される。対保持部用被接着部162の支持構造は、特に限定されないが、本実施態様の基板ケース100においては、図12に示すように、接着用密閉室110aの内側に突出した状態となる第二アーム部112fを第二ケース111(カバー部材)に設け、この第二アーム部112fの先端部に対保持部用被接着部162を設けている。これにより、密閉室区画壁部110a1〜110a6と対保持部用被接着部162とは、第二アーム部112fが設けられた部分だけで局所的に繋がった状態となるため、密閉室区画壁部110aから対保持部用被接着部162に熱がさらに伝わりにくくすることが可能になる。第二アーム部112fは、第一ケース111(ベース部材)に設けてもよい。この場合には、第一アーム部112dを、第二ケース112(カバー部材)に設けるようになる。
本実施態様の基板ケース100においては、図12(a)に示すように、第二アーム部112fには、第二アーム部112fにおける他の箇所よりも断面積を小さくするための断面積縮小部112f1を設けている。これにより、第二アーム部112fを通じて、密閉室区画壁部110a1〜110a6から対保持部用被接着部162まで熱が伝わりにくくすることが可能になる。断面積縮小部112f1としては、開口部や凹部や切欠部や空洞部等が挙げられる。第二アーム部112fに、開口部や凹部や切欠部や空洞部等を設けると、その部分で第二アーム部112fの断面積を小さくし、熱が伝わりにくくすることができる。また、接着剤保持部161と対保持部用被接着部162との接着によるA連結部は、基板ケース100を正規に開封する際には、第二アーム部112fがニッパー等の切断具で切断されるところ、この第二アーム部112fに断面積縮小部112f1を設けることによって、その切断具の一部(例えばニッパーの刃)を断面積縮小部112f1に挿入できるようになる等、A連結部を正規に解除する際の第二アーム部112fの切断を行いやすくなるという利点もある。本実施態様の基板ケース100において、断面積縮小部112f1は、開口部としている。
第二アーム部112fは、直線状にまっすぐ延びた形態のものとしてもよいが、非直線状に曲がった形態を為すものとすることが好ましい。これにより、密閉室区画壁部110a1〜110a6から対保持部用被接着部162までの伝熱経路を長くし、第二アーム部112fを通じて対保持部用被接着部162まで熱がさらに伝わりにくくすることが可能になる。本実施態様の基板ケース100においても、第二アーム部112fは、図11に示すように、その基端部付近で折れ曲がった形態としている。なお、本実施態様の基板ケース100では採用していないが、第二アーム部112fと同様の理由で、第一アーム部111dも、非直線状に曲がった形態とすることもできる。
対保持部用被接着部162は、接着剤保持部161に保持された接着剤に接触できるのであれば、その形態を特に限定されない。対保持部用被接着部162は、単純な板状のものとすることもできる。しかし、本実施態様の基板ケース100においては、図10に示すように、対保持部用被接着部162を、複数の突片162a(図10の例では3つの突片162a)を有する形態としている。既に述べたように、接着剤保持部161の内部(接着剤貯留部)は、2つの仕切壁161aで3つの空間に仕切られているところ、この3つの空間のそれぞれに、3つの突片162aが挿入されるようにしている。これにより、対保持部用被接着部162と接着剤との接触面積を増大させて、接着剤保持部161と対保持部用被接着部162とをより強固に接着することが可能となっている。
また、本実施態様の基板ケース100においては、図12(a)に示すように、第二アーム部112fに、係合凸部112f2を左右一対に設けている。この係合凸部112f2は、第一ケース111に左右一対で設けた被係合突起111eに係合させる部分となっている。第一ケース111から第二ケース112を取り外すためには、第二ケース112を、図12(a)に示す状態からまず上側(z軸方向正側)にスライドさせる必要があり、接着剤保持部161と対保持部用被接着部162との接着が不完全であると、第二ケース112を上側にスライドさせることが可能となってしまう。この点、係合凸部112f2を設けることによって、第二ケース112を上側にスライドさせようとしても、係合凸部112f2が被係合突起111eに係合し、係合凸部112f2若しくは被係合突起111e又はその周辺に破損等の塑性変形(何らかの痕跡)を生じさせない限りは、第二ケース112を上側にスライドさせることができないようになっている。一方、第一ケース111に対する第二ケース112の取り付けが完了する直前には、第二ケース112を下側にスライドさせるところ、このときには、一対の被係合部111eが一対の係合凸部112f2によって弾性的に押し広げられるようになっている。
3.1.3 基板ケースに対する操作手段の取り付け
ところで、本実施態様の基板ケース100には、
図13及び図14に示すように、基板ケース100に操作手段610を取り付けるようにしている。操作手段610は、制御基板300(図8)の設定変更操作(遊技役の当選確率等の設定を変更する操作等)を行うためのものであるため、ケーブル700(図15)によって制御基板300に接続される。ところが、本実施態様の基板ケース100のような回動支持型の基板ケース100(ケース回動部材110を有する基板ケース100)において、操作手段610を基板ケース100における回動しない部分(ケース回動部材110以外の部分)に設けていると、ケース回動部材110を回動する際に、ケーブル700が絡まったり周囲の部材に干渉したりする虞がある。というのも、ケーブル700を制御基板300に接続するためにケーブル700のコネクタ部分を挿し込むためのコネクタ挿通口110dは、図8に示すように、制御基板300を収容するケース回動部材110の構成部材(第一ケース111又は第二ケース112)に設けられるため、操作手段610を回動しない部分に設けていると、ケース回動部材110を回動させる際に、操作手段610がコネクタ挿通口110dに対して相対的に移動するようになるからである。この点、本実施態様の基板ケース100では、以下の構成を採用することにより、この問題を解決している。
第一に、図8に示すように、ケース回動部材110を回動させたとしてもコネクタ挿通口110dとの相対的な位置が変わらない箇所(ケース回動部材110を構成する第一ケース111又は第二ケース112)に、操作手段610を取り付けるための操作手段取付部110eを設けている。このため、ケース回動部材110と一体的に回動する部分に操作手段610を取り付けて、ケース回動部材110を回動させても、コネクタ挿通口110dに対する操作手段610の相対的な位置が変化しないようにすることができるようになっている。換言すると、ケース回動部材110を回動させても、ケーブル700(図15)が変形しないようにして、回動支持型の基板ケース100でありながら、ケーブル700を絡みにくくすることが可能となっている。
本実施態様の基板ケース100においては、図9に示すように、第一ケース111に操作手段取付部110eを設けており、図10に示すように、第二ケース112にコネクタ挿通口110dを設けているが、操作手段取付部110eとコネクタ挿通口110dを設ける部材は逆にする(第一ケース111にコネクタ挿通口110dを設けて、第二ケース112に操作手段取付部110eを設ける)ことも可能である。また、第一ケース111と第二ケース112のうち、いずれか一方のみに、操作手段取付部110e及びコネクタ挿通口110dの両方を設けることも可能である。
第二に、図15に示すように、操作手段610とコネクタ挿通口110dとを接続するケーブル700を、第一ケース111と第二ケース112との境界部のうち遊技機筺体の開放面に臨む側(本実施態様の基板ケース100においては前側。以下においては、「筺体開放側」と呼ぶことがある。)に露出する開放側境界部110cに沿って前記操作手段の近傍から前記コネクタ挿通口110dの近傍に至るようにケーブル700の外周面をガイドするガイド部800を、第一ケース111又は第二ケース112における開放側境界部110cの近傍に設けている。
ケーブル700は、通常、ある程度の硬さと弾性を有するものであり、ケーブル700を思った通りの経路で取り回すことは容易ではないところ、かかる構成のように、ガイド部800を設けることによって、ケーブル700を、操作手段取付部110eの付近からコネクタ挿通口110dの付近まで取り回しやすくすることが可能となっている。
また、ケーブル700が、制御基板300の筺体開放側に重なると、制御基板300への不正アクセスの痕跡を目視により確認しにくくなるところ、かかる構成のように、ガイド部800を、第一ケース111と第二ケース112との開放側境界部110cの近傍に設けることによって、ケーブル700を開放側境界部110cに沿って取り回すことが可能になる。したがって、制御基板300への不正アクセスの痕跡を目視する際に邪魔になりにくい経路(第一ケース111と第二ケース112との境界部は、それに収容される制御基板300の筺体開放側に覆いかぶさらない状態で設けられることが多い。)に沿ってケーブル700を取り回すだけでなく、ケーブル700の取り回し作業を、基板ケース100よりも筺体開放側で容易に行うことも可能となっている。
ガイド部800は、ケーブル700を取り回す経路(開放側境界部110cに沿ったケーブル700の取り回し経路)のうち、一部のみに設けてもよいが、その経路の略全体(全区間)に、連続的又は断続的に設けることが好ましい。これにより、ケーブル700が、開放側境界部110cに沿った所望の経路上により安定して維持されやすくなる。ただし、経路の一部のみにガイド部800を設ける場合でも、ケーブル700を屈曲させる箇所等にガイド部800を配置する等、ガイド部800を効果的に配置すれば、ケーブル700を、開放側境界部110cに沿った所望の経路上で安定させることは可能である。
第三に、操作手段取付部110eを、第一ケース111又は第二ケース112の縁部近傍(本実施態様の基板ケース100では、図9に示すように、第一ケース111の縁部近傍)に設け、コネクタ挿通口110dを、第一ケース111又は第二ケース112における、操作手段取付部110eから離れた箇所の縁部近傍(本実施態様の基板ケース100では、図10に示すように、第二ケース112における、操作手段取付部110e(図9)から離れた箇所の縁部近傍)に設けている。これにより、操作手段610とコネクタ挿通口110dとをある程度離れた箇所に配置しても、ケーブル700を点検の邪魔になりにくい箇所に取り回すことが可能になる。このため、操作手段610やコネクタ挿通口110dの配置自由度が高くなり、遊技機筺体の内部の限られたスペースを効率的に使用することが可能となっている。
第四に、図15に示すように、上記のガイド部800を、第一ケース111に設けられ、開放側境界部110cにおける第一ケース111側からケーブル700の外周面をガイドする第一ガイド部801と、第二ケース112に設けられ、開放側境界部110cにおける第二ケース112側からケーブル700の外周面をガイドする第二ガイド部802とで構成している。第一ガイド部801や第二ガイド部802の形態は、ケーブル700をガイドできるのであれば特に限定されない。本実施態様においては、図30に示すように、第一ガイド部801を、板状の凸部としており、第二ガイド部802を、断面L字型の湾曲板状の部分としている。図30は、基板ケース100におけるガイド部800の周辺を、図15におけるZ1−Z1面で切断した状態を示した断面図である。図30においては、ケーブル700を太破線で示している。図30を見ると、第一ガイド部801及び第二ガイド部802によって、ケーブル700を両側からガイドできることが分かる。
これにより、ケーブル700の外周面を一側(開放側境界部110cから見て第一ケース111側)及び他側(開放側境界部110cから見て第二ケース112側)からガイドして、ケーブル700の姿勢がより安定しやすくすることが可能となっている。加えて、ケーブル700の外周面を両側(一側及び他側)からガイド可能なガイド部800(以下において「両側型のガイド部」と呼ぶことがある。)を基板ケース100に設けようとすると、基板ケース100の成形金型の制約が大きくなり、場合によっては、基板ケース100の製造コストが大幅に上昇する虞がある。特に、第一ケース111と第二ケース112とのうち一方のみに両側側のガイド部800を設けると、基板ケース100の成形金型の構造が複雑になる。なかでも、図30に示すような複雑な形態のガイド部800を1つの部材に設けることは非常に困難である。この点、かかる構成のように、第一ガイド部801と第二ガイド部802とを第一ケース111と第二ケース112とに分担して設けることによって、基板ケース100の成形金型(第一ケース111及び第二ケース112のそれぞれの成形金型)に要求される制約を少なくすることが可能となっている。
また、両側型のガイド部800を第一ケース111のみに設けた場合には、両側型のガイド部800を形成するための専用のスペースを、第一ケース111の外側に張り出した状態に設ける必要が生じ、第一ケース111周辺のスペース効率が悪化するところ、かかる構成のように、第一ガイド部801と第二ガイド部802とを第一ケース111と第二ケース112とに分担して設けることによって、両側型のガイド部800を形成するための専用のスペースを、第一ケース111の外側に張り出した状態に設ける必要がなくなり、第一ケース111周辺のスペース効率の悪化を防ぐことも可能となっている。さらに、両側型のガイド部800を第二ケース112のみに設けた場合には、第二ケース112を前方から見たときに、制御基板300に近くなる側に両側側のガイド部800やケーブル300が配されるようになり、制御基板300の視認性が低下するところ、かかる構成のように、第一ガイド部801と第二ガイド部802とを第一ケース111と第二ケース112とに分担して設けることによって、制御基板300の視認性の低下を防ぐことも可能となっている。
第五に、図8に示すように、第一ケース111を、制御基板300の後側を覆う後壁部111a(第一ケース後壁部)と、第一ケース後壁部111aの縁部近傍から前側に起立する側壁部111s,111t(第一ケース側壁部)とを有するものとし、第二ケース112を、制御基板300の前側を覆う前壁部112a(第二ケース前壁部)を有するものとし、第一ケース側壁部111s,111tに、第二ケース前壁部112aの縁部近傍まで達する前壁到達部111s1,111t1を設け、第一ガイド部801を、第一ケース側壁部111s,111tの前壁到達部111s1,111t1に設け、第二ガイド部802を、第二ケース前壁部112aの縁部近傍に設けている。これにより、基板ケース100周辺のスペース効率をより高めるだけでなく、基板ケース100に収容された制御基板300の視認性をより高く維持することも可能となっている。
第六に、図13に示すように、操作手段取付部110eに対して操作手段610を取り付けるための取付ブラケット620を用意し、図16に示すように、この取付けブラケット620に、第三ガイド部622を設けている。この第三ガイド部622は、図15に示すように、ケーブル700の外周面を覆ってケーブル700を操作手段610から開放側境界部110cの近傍までガイドするためのものとなっている。これにより、ケーブル700における、操作手段610と開放側境界部110cとの間に位置する部分もガイドし、当該部分の形態を安定させることが可能となっている。本実施態様において、第三ガイド部622は、断面略半円状のトンネル型のものとなっているが、第三ガイド部622の形態はこれに限定されない。
3.2 ケース固定部材(ケース一側固定部材及びケース他側固定部材)
ケース固定部材120,130は、ケース取付部材200に対して動かない状態で固定される部材となっている。本実施態様においては、ケース固定部材120,130を、ケース回動部材110の一側(左側)に配されるケース一側固定部材120と、ケース回動部材110の他側(右側)に配されるケース他側固定部材130とで構成している。ケース一側固定部材120は、ケース回動部材110を左側から軸支するものとなっており、ケース他側固定部材130は、ケース回動部材110を右側から軸支するものとなっている。このように、ケース回動部材110を両側から軸支することにより、ケース回動部材110を安定した状態で回動させることができる。
既に述べたように、ケース一側固定部材120には、上側軸受部122(図5(a))が設けられ、この上側軸受部122が、ケース取付部材200に設けられた下側軸受部201(図19)と組み合わさって、ケース回動部材110の左側を軸支するようになっている。このケース一側固定部材120は、必須の部材ではない。ケース一側固定部材120は、ケース取付部材200の前面側に設けた開環状のクリップ部(C字状の弾性クリップであって、その切れ目部分から内部に支軸部141を圧入できるもの。)等で代用することも可能である。
また、ケース他側固定部材130には、ケース回動部材110の支軸部143の内側に挿通して軸支するための内挿軸受部133(図6(b))が設けられており、ケース回動部材110の右側を軸支するようになっている。ただし、支軸部143は、軸受部材150の環状部151(図23)にも挿通されるとともに、ケース取付部材200の後側軸受部202(図19)にも宛がわれ、これらの部分によっても軸支されている。
ケース他側固定部材130の内部には、図6(b)に示すように、ケース取付部材200の被係合用可動体501(図21)に対して係合するための、B連結部用係合部401とC連結部用係合部402とが設けられている。 既に述べたように、ケース取付部材200の被係合用可動体501は、B位置とC位置との間で移動でき、B位置にあるときにはB連結部として、C位置にあるときにはC連結部として機能するようになっていたところ、B連結部用係合部401は、B位置にあるときの被係合用可動体501に係合し、C連結部用係合部402は、C位置にあるときの被係合用可動体501に係合するようになっている。
本実施態様の基板ケース100やケース取付部材200では採用していないが、基板ケース100及びケース取付部材200にD連結部やE連結部等を設ける場合には、ケース他側固定部材130には、さらにD連結部用係合部やE連結部用係合部を設けることもできる。ケース他側固定部材130に、B連結部用係合部401だけでなく、C連結部用係合部402やD連結部用係合部やE連結部用係合部等を設ける場合には、これらの係合部は、通常、その係合方向に非平行な方向に並列に設けられる。本実施態様においては、B連結部用係合部401とC連結部用係合部402とを、それらの係合方向に略垂直な方向に並列に設けている。
B連結部用係合部401やC連結部用係合部402は、単純な形態(例えば、1本のフックピンのみで構成される形態)としてもよい。しかし、本実施態様においては、図6(b)に示すように、B連結部用係合部401及びC連結部用係合部402のそれぞれを、上下方向(z軸方向)に2段で、前後方向(y軸方向)に2段で配した計4本のフックピン400で構成している。このように、B連結部用係合部401やC連結部用係合部402を複雑な形態とすることで、破壊や白化等の塑性変形を伴わない状態では、B連結部用係合部401やC連結部用係合部402を被係合用可動体501から取り外しにくいものとすることができる。
B連結部用係合部401及びC連結部用係合部402は、ケース他側固定部材130の本体部131の内面に支持されるところ、本体部131における、その内側にB連結部用係合部401及びC連結部用係合部402が指示される箇所は、薄肉に形成された脆弱部131b(図6(a))を設けている。このため、B連結部用係合部401やC連結部用係合部402の係合を不正に解除しようとすると、脆弱部131bに、破壊痕や白化痕等の痕跡が残りやすくなっている。
3.3 軸受部材
軸受部材150は、図23に示すように、環状部151と、環状部151からL字状に折れ曲がって延びる被固定部152と、被固定部152における環状部151が設けられた側とは逆側の端部に設けられた被係合用分離部153とを備えている。既に述べたように、環状部151は、ケース回動部材110の支軸部143(図21)を軸支する部分となっている。被固定部152は、ケース取付部材200(図21)に対して固定するための部分となっている。
被係合用分離部153は、被固定部152の端部に設けられた脆弱接合部152a(図23(b))のみで被固定部152に接合されており、軸受部材150における他の部分から容易に分離することができるようになっている。脆弱接合部152aは、ある程度の剛性を有しながらも、容易に切断できるものであれば特に限定されない。脆弱接合部152aとしては、薄肉部や小径部のほか、破断補助線が設けられた部分とすることもできる。被係合用分離部153の形態等は、後述する被係合用可動体501(図25)の被係合部501aと略同様であるため、説明を割愛する。
この軸受部材150は、通常時は、ケース回動部材110をケース取付部材200に連結するB連結部(若しくはC連結部)として機能しながらも、B連結部(若しくはC連結部)における連結が不要となったときには、被係合用分離部153を、F連結部として機能させることができるようになっている。環状部151は、F連結部の連結を行うときに、被係合用分離部153をF連結部で連結される箇所に導く治具として機能する治具機能部としても機能するようになっている。
図28は、軸受部材150でF連結部の連結を行っている様子を、前方斜め右上から見た図である。図29(a)は、軸受部材150でF連結部の連結を行う前の状態を、F連結部の周辺で拡大して前方から見た図であり、図29(b)は、軸受部材150でF連結部の連結を行った後の状態を、F連結部の周辺で拡大して前方から見た図である。図29では、ケース回動部材110や軸受部材150におけるF連結部に係る部分(F連結部をy軸方向負側で覆う部分)を破断して示している。
図29に示すように、ケース回動部材110におけるF連結部用係合部403に対し、軸受部材150の被係合用分離部153を係合することで、ケース回動部材110の第一ケース111と第二ケース112とが連結された状態となる。被係合用分離部153がF連結部用係合部403に係合されると、ケース回動部材110は、F連結部やその周辺に破壊痕等を残さない限りは、開封できない状態となる。図29(b)に示すように、被係合用分離部153がF連結部用係合部403に係合されると、環状部151を操作して、脆弱接合部152aに曲げや捩じりの力を加えることによって、軸受部材150が脆弱接合部152aの部分で切断され、環状部151及び被固定部152は、ケース回動部材110から取り外すことが可能な状態となる。一方の被係合用分離部153は、F連結部用係合部403に係合されたままの状態で、ケース回動部材110側に残るようになる。この状態にあっては、第一ケース111に対して第二ケース112を上側(z軸方向正側)にスライドさせて第一ケース111と第二ケース112とを分離しようとすると、被係合用分離部153のフランジ部153aに第二ケース112のフランジ受け面112hが当接し、被係合用分離部153も上側に移動しようとするものの、被係合用分離部153は、F連結部用係合部403に係合された状態となっているため、上側には移動することができないようになっている。
軸受部材150をこのような構成とした理由は、以下の通りである。すなわち、遊技機の基板ケース100は、通常、複数の部材(本実施態様の基板ケース100においては、第一ケース111や第二ケース112等)を組み合せることによって制御基板300を封止するものとなっており、前記複数の部材のうちいずれかの組の部材を連結状態とすることで当該組の部材が不正に分離されないようにするための不正防止用連結構造が複数種設けられていることが多い(上述したA連結部やB連結部やC連結部やD連結部やE連結部やF連結部等)。
しかし、これらの不正防止用連結構造のなかには、同時には使用されないものも存在する。例えば、「F連結部」が使用されるときには「B連結部」や「C連結部」や「D連結部」や「E連結部」は使用されない。また、「C連結部」が使用されるときには「B連結部」は使用されず、「D連結部」が使用されるときには「C連結部」は使用されず、「E連結部」が使用されるときには「D連結部」は使用されない。このように、遊技機の基板ケース100は、同時には使用されない複数種の不正防止用連結構造を有するにもかかわらず、不要になった不正防止用連結構造の構成部品は、そのまま廃棄され、不経済である。この点、遊技機の基板ケース100において、一の種の不正防止用連結構造における連結が不要となったときに、当該一の不正防止用連結構造の構成部品を、他の種の不正防止用連結構造における連結で利用することができるようにすれば、上記の問題を解決できるからである。
具体的には、
複数の部材(本実施態様の基板ケース100においては第一ケース111や第二ケース112等)を組み合せることによって遊技機の制御基板300を封止するとともに、前記複数の部材のうちいずれかの組の部材を連結状態とすることで当該組の部材が不正に分離されないようにするための不正防止用連結構造が複数種設けられた基板ケース100において、
一の種の不正防止用連結構造(本実施態様の基板ケース100においてはB連結部又はC連結部)の構成部品(本実施態様の基板ケース100においては軸受部材150)に、
前記一の種の不正防止用連結構造の連結が不要であるときに、他の種の不正防止用連結構造(本実施態様の基板ケース100においてはF連結部)における連結部分として利用可能な他種連結構造流用部(本実施態様の基板ケース100においては被係合用分離部153)と、
前記他の種の不正防止用連結構造の連結を行うときに、前記他種連結構造流用部を前記他の種の不正防止用連結構造で連結される箇所に導く治具として機能する治具機能部(本実施態様の基板ケース100においては環状部151)と
を設けることで解決される。
このように、前記一の種の不正防止用連結構造の構成部品に、前記他の種の不正防止用連結構造における連結部分として利用可能な他種連結構造流用部153と、他種連結構造流用部153を前記他の種の不正防止用連結構造で連結される箇所に導く治具として機能する治具機能部151とを設けることにより、前記一の種の不正防止用連結構造における連結が不要になったときでも、前記一の種の不正防止用連結構造の構成部品を、他種連結構造流用部153や治具機能部151として有効に活用することが可能になる。また、治具機能部151を設けたことによって、前記他の種の不正防止用連結構造の連結を行う際の他種連結構造流用部153の操作を行いやすくすることも可能になる。
前記他の種の不正防止用連結構造(本実施態様の基板ケース100においてはF連結部)の連結を行うときに前記他種連結構造流用部(本実施態様の基板ケース100においては被係合用分離部153)が連結される部分(以下においては、「他種連結構造流用部による連結部分」と呼ぶことがある。)を、基板ケース100における外壁面から奥まった箇所に設けることが好ましい。
これにより、前記他の種の不正防止用連結構造における連結を、基板ケース100における奥まった箇所で行い、当該連結が不正に解除されにくくすることが可能になる。加えて、このように奥まった箇所で他種連結構造流用部153を操作する作業は、通常であれば行いにくいところ、他種連結構造流用部153を前記他の種の不正防止用連結構造で連結される箇所に導く治具として機能する治具機能部151を設けることによって、上記の作業も比較的容易に行うことが可能になる。
他種連結構造流用部153による連結部分(本実施態様の基板ケース100においてはF連結部の連結部分)を、基板ケース100における外壁面からどの程度奥まった箇所に設けるかは特に限定されない。しかし、他種連結構造流用部153による連結部分から基板ケース100の外壁面までの距離L1(図29(a)を参照。)が短すぎると、上記の効果が奏されにくくなる。このため、距離L1は、5mm以上とすることが好ましい。距離L1は、10mm以上とすることがより好ましく、15mm以上とすることがさらに好ましい。距離L1の上限は、特に限定されないが、治具機能部151による他種連結構造流用部153の操作のしやすさや、基板ケース100における基板収容部(ケース回動部材110)の寸法を考慮すると、50mm程度までである。
前記一の種の不正防止用連結構造(本実施態様の基板ケース100においてはB連結部又はC連結部)で互いに連結される連結部分とのうち、一方を軸状部分(本実施態様の基板ケース100においてはケース回動部材110の支軸部143)として、他方を前記軸状部分を軸支するための環状部分(本実施態様の基板ケース100においては軸受部材150の環状部151)とし、
前記環状部分を前記治具機能部として、前記他の種の不正防止用連結構造(本実施態様の基板ケース100においてはF連結部)の連結を行うときに、前記環状部分に手指を掛けて前記他種連結構造流用部を操作することができるようにする
ことも好ましい。
これにより、治具機能部151を手指でより操作しやすいものとし、前記他の種の不正防止用連結構造における連結をより容易に行うことが可能になる。
本実施態様の基板ケース100のように、基板ケース100における基板収容部(ケース回動部110)を、制御基板300の一側を覆う第一ケース111と、制御基板300の他側を覆う第二ケース112とで構成する場合には、
前記一の種の不正防止用連結構造が、遊技機筺体10a,10bに取り付けられたケース取付部材200に対して基板ケース100を連結するためのもの(B連結部又はC連結部等)とされ、
前記他の種の不正防止用連結構造を、前記一の種の不正防止用連結構造の連結を正規に解除した後に、第一ケース111に対して第二ケース112を連結するためのもの(F連結部)とする
ことも好ましい。
というのも、既に述べたように、F連結部の連結を行う際には、基板ケース100は、必ず、ケース取付部材200から取り外された状態となる。換言すると、前記一の種の不正防止用連結構造(ケース取付部材200に対して基板ケース100を連結するB連結部やC連結部等)には、F連結部の連結を行う直前に、必ず連結解除の操作が行われるはずである。このように、前記一の種の不正防止用連結構造を、前記他の種の不正防止用連結構造の連結を行う直前に、必ず操作する必要があるものとすることにより、前記他の種の不正防止用連結構造の連結を忘れないようにすることが可能になるからである。
4.ケース取付部材
続いて、上記の基板ケース100が取り付けられるケース取付部材200について説明する。ケース取付部材200は、その後面側を遊技機の筺体10a,10b(図2)における所定箇所に固定される。本実施態様においては、基板ケース100をメイン制御基板ユニット30(図2)用のものとしたため、ケース取付部材200の後面は、筺体本体10a(図2)の背板10a1の前面における上部に固定するようにしている。筺体10a,10bに対してケース取付部材200を固定する方法は、特に限定されないが、通常、ネジ等の固定具が用いられる。ケース取付部材200の形態は、特に限定されない。本実施態様において、ケース取付部材200は、図19に示すように、前面視矩形状のパネル状となっている。
このケース取付部材200の前面側には、図19に示すように、B連結部又はC連結部として機能する被係合用可動体501を設けている。この被係合用可動体501は、図25に示すように、被係合部501aと、基台部501bとで構成されている。
被係合部501aは、ケース他側固定部材130に設けられたB連結部用係合部401又はC連結部用係合部402のフックピン400を挿し込んで係合するための部分となっている。本実施態様において、被係合部501aは、側面に開口部501a1を有する箱型のものとなっており、この開口部501a1の縁に、上記のフックピン400が内側から係合するようになっている。被係合部501の内部には、それに差し込まれたフックピン400を外側に押し広げて係合が解除されにくくするためのフックピン案内部501a2も設けている。
基台部501bは、被係合用可動体501をケース取付部材200に対してスライド可能な状態で取り付けるための部分となっている。本実施態様において、基台部501bは、図25に示すように、幅狭部501b1と幅広部501b2とで構成されている。幅狭部501b1は、図24に示すように、ケース取付部材200にスリット状に設けられた可動体保持部203(可動体保持スリット)に挿入する部分となっている。幅狭部501b1は、可動体保持スリット203の端部から挿入される。幅狭部501b1を可動体保持スリット203に挿入すると、図24(b)に示すように、被係合部501aがケース取付部材200の前面側に位置し、幅広部501b2がケース取付部材200の後面側に位置するようになる。このため、ケース取付部材200に取り付けた被係合用可動体501は、可動体保持スリット203に沿った方向(本実施態様においては上下方向)にスライド可能でありながら、ケース取付部材200の前側や後側には引き抜くことができないようになっている。
基台部501bにおける、ケース取付部材200の後側に位置する幅広部501b2には、図25に示すように、位置決め係合部501b3を設けている。一方、ケース取付部材200の後面側における、可動体保持スリット203の両脇には、位置決め用被係合部204と位置決め用被係合部205とを、所定間隔を隔てた状態で設けている。可動体保持スリット203に対して被係合用可動体501をスライドさせ、被係合用可動体501の位置決め係合部501b3が位置決め用被係合部204に係合されると、被係合用可動体501がB連結部として機能し得るB位置で位置決めされ、被係合用可動体501の位置決め係合部501b3が位置決め用被係合部205に係合されると、被係合用可動体501がC連結部として機能し得るC位置で位置決めされるようになっている。
このように、1つの被係合用可動体501を移動させて、その被係合用可動体501がB連結部及びC連結部のいずれとしても機能するようにすることによって、部品点数を削減することが可能になる。また、被係合用可動体501を移動可能な状態でケース取付部材200に取り付ける構造は、通常であれば複雑になり、部品点数が増大しやすいところ、被係合用可動体501を上記の形態とし、可動体保持スリット203に取り付けるようにしたことにより、より少ない部品点数で、上記構造を実現することが可能となっている。
なお、ケース他側固定部材130に、B連結部用係合部401やC連結部用被係合部402だけでなく、D連結部用係合部やE連結部用被係合部も設ける場合には、可動体保持スリット203に沿った箇所には、被係合用可動体501がD連結部として機能し得るD位置となったときに位置決めできる位置決め用被係合部や、被係合用可動体501がE連結部として機能し得るE位置となったときに位置決めできる位置決め用被係合部を設けることも好ましい。これにより、D連結部用やE連結部用の部品点数を削減することも可能になる。