JP2019135042A - 炭化水素浄化装置及びそれを用いた炭化水素浄化方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】排ガス中の炭化水素を酸化浄化することが可能な炭化水素浄化装置を提供すること。【解決手段】リン酸が担持された硫酸カルシウム粉末からなる固体電解質と、前記固体電解質の一方の面上に配置されたアノード電極膜と、前記アノード電極膜と対向するように前記固体電解質の他方の面上に配置されたカソード電極膜と、前記アノード電極膜及び前記カソード電極膜に電気的に接続された通電装置と、を備えていることを特徴とする炭化水素浄化装置。【選択図】図2
Description
本発明は、炭化水素浄化装置及びそれを用いた炭化水素浄化方法に関し、より詳しくは、炭化水素の電気化学的酸化分解を利用した炭化水素浄化装置及びそれを用いた炭化水素浄化方法に関する。
近年、電気化学素子に電圧を印加することにより排ガスを浄化させる方法が研究されており、このような方法に用いられる排ガス浄化装置として、様々な構成の装置が提案されている。
例えば、特開2004−141750号公報(特許文献1)には、水素イオンを選択的に透過させる導電性の固体電解質膜と、この固体電解質膜表面の一部に配設された電子導電性基材と陽極酸化を促進する触媒よりなる第1の電極と、前記固体電解質膜表面の他の部分に配設された電子導電性基材と陰極還元を促進する触媒よりなる第2の電極と、この第2の電極に隣接して配設された多孔体の金属酸化物に担持された白金族触媒とを備えた窒素酸化物分解素子、並びに、この窒素酸化物分解素子を備えた窒素酸化物分解装置が開示されている。
また、特開2016−104468号公報(特許文献2)には、酸化シリコンからなる多孔性電解質膜と、前記多孔性電解質膜の一方の面上に配置されたカソード電極と、前記多孔性電解質膜の他方の面上に配置されたアノード電極と、前記カソード電極及び/又は前記多孔性電解質膜に担持されている貴金属触媒と、前記アノード電極及び前記カソード電極に接続されている通電装置と、を備えているNOx浄化装置が開示されている。
しかしながら、従来の電気化学素子を用いた排ガス浄化装置は、特許文献1〜2に記載されているように、排ガス中の窒素酸化物を分解除去するものであった。
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、排ガス中の炭化水素を酸化浄化することが可能な炭化水素浄化装置及びそれを用いた炭化水素浄化方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、アノード電極膜とカソード電極膜との間に、リン酸が担持された硫酸カルシウム粉末からなる固体電解質が配置された電気化学素子(電気化学セル)を用いることによって、炭化水素を酸化浄化できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の炭化水素浄化装置は、リン酸が担持された硫酸カルシウム粉末からなる固体電解質と、前記固体電解質の一方の面上に配置されたアノード電極膜と、前記アノード電極膜と対向するように前記固体電解質の他方の面上に配置されたカソード電極膜と、前記アノード電極膜及び前記カソード電極膜に電気的に接続された通電装置と、を備えていることを特徴とするものである。
本発明の炭化水素浄化装置においては、前記アノード電極膜及び前記カソード電極膜がPt電極膜であることが好ましく、また、前記固体電解質が乾燥体又は焼結体であることが好ましい。
また、本発明の炭化水素浄化方法は、前記本発明の炭化水素浄化装置の前記アノード電極膜と前記カソード電極膜との間に電圧を印加しながら、炭化水素及び水分を含む排ガスを前記炭化水素浄化装置に導入することによって、前記アノード電極膜上で前記排ガス中の水分から水酸化物イオンを生成させ、該水酸化物イオンを前記排ガス中の炭化水素と前記アノード電極膜上で反応させて炭化水素を除去することを特徴とする。
なお、本発明によって、炭化水素の酸化浄化が可能となる理由は必ずしも定かではないが、本発明者らは以下のように推察する。すなわち、本発明にかかる電気化学セル(固体電解質とアノード電極膜とカソード電極膜とを備えるもの)に炭化水素(HC)及び水分(水蒸気、H2O)を含む排ガスを接触させ、アノード電極膜とカソード電極膜との間に電圧を印加すると、図1に示すように、アノード電極膜1上において、排ガス中の水分(水蒸気、H2O)が水酸化物イオン(OH−)や酸化物イオン(O2−)と水素イオン(プロトン、H+)に分解される。水素イオン(H+)は固体電解質2を通ってカソード電極膜3に移動する。一方、水酸化物イオン(OH−)や酸化物イオン(O2−)はアノード電極膜1上でHC(CxHy)と反応し、HCが二酸化炭素分子(CO2)と水分子(H2O)に電気化学的に酸化分解される。また、一酸化炭素(CO)が生成した場合には、COは水酸化物イオン(OH−)や酸化物イオン(O2−)と更に反応して二酸化炭素(CO2)に酸化される。これらの酸化反応において生成した電子(e−)は通電回路を通ってカソード電極膜3へ移動する。カソード電極膜3に移動した水素イオン(H+)と電子(e−)はカソード電極膜3上で反応し、水素(H2)が生成する。本発明に用いられる固体電解質2はリン酸が担持された硫酸カルシウム粉末からなるものであり、このリン酸が担持された硫酸カルシウム粉末はプロトン(H+)伝導性に非常に優れている。このため、アノード電極膜1上で生成した水素イオン(H+)は、固体電解質2を通って速やかにカソード電極膜3に移動する。その結果、アノード電極膜1上での水酸化物イオン(OH−)や酸化物イオン(O2−)の生成が促進され、さらに、HCの酸化分解が促進されるため、炭化水素除去性能が発現し、炭化水素の酸化浄化が可能になると推察される。
本発明によれば、排ガス中の炭化水素を酸化浄化することが可能な炭化水素浄化装置及びそれを用いた炭化水素浄化方法を提供することが可能となる。
以下、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明するが、本発明は前記図面に限定されるものではない。なお、以下の説明及び図面中、同一又は相当する要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する場合がある。
〔炭化水素浄化装置〕
先ず、本発明の炭化水素浄化装置について説明する。図2は本発明の炭化水素浄化装置の好適な一実施態様を模式的に示す概略縦断面図である。図2に示す炭化水素浄化装置は、リン酸が担持された硫酸カルシウム粉末からなる固体電解質2と、前記固体電解質2の一方の面上に配置されたアノード電極膜1と、前記アノード電極膜1と対向するように前記固体電解質2の他方の面上に配置されたカソード電極膜3とを備える電気化学セル4、並びに、電極配線1a及び3aによって前記アノード電極膜1及び前記カソード電極膜3に電気的に接続された通電装置5を備えるものである。
先ず、本発明の炭化水素浄化装置について説明する。図2は本発明の炭化水素浄化装置の好適な一実施態様を模式的に示す概略縦断面図である。図2に示す炭化水素浄化装置は、リン酸が担持された硫酸カルシウム粉末からなる固体電解質2と、前記固体電解質2の一方の面上に配置されたアノード電極膜1と、前記アノード電極膜1と対向するように前記固体電解質2の他方の面上に配置されたカソード電極膜3とを備える電気化学セル4、並びに、電極配線1a及び3aによって前記アノード電極膜1及び前記カソード電極膜3に電気的に接続された通電装置5を備えるものである。
本発明に用いられる固体電解質2は、リン酸が担持された硫酸カルシウム粉末(以下、「リン酸担持硫酸カルシウム粉末」ともいう)からなるものであり、耐熱性に優れている。このため、本発明の炭化水素浄化装置においては、電気化学セル4を、内燃機関等から排出された高温(例えば、600℃以上)のガスが流通する排ガス流路6内に設置することができる。また、リン担持硫酸カルシウム粉末はプロトン(H+)伝導性にも優れており、アノード電極膜1で生成した水素イオン(H+)が固体電解質2を通って速やかにカソード電極膜3へ移動するため、アノード電極膜1上での水酸化物イオン(OH−)や酸化物イオン(O2−)の生成が促進され、さらに、HCの酸化分解が促進され、高い炭化水素浄化性能が得られる。
このようなリン酸担持硫酸カルシウム粉末からなる固体電解質の厚さとしては特に制限はないが、0.01〜2mmが好ましく、0.1〜1mmがより好ましい。固体電解質の厚さが前記下限未満になると、強度が不足したり、アノード電極膜とカソード電極膜が接触したりする場合があり、他方、前記上限を超えると、抵抗が大きくなる傾向にある。
リン酸担持硫酸カルシウム粉末の製造方法としては特に制限はないが、例えば、硫酸カルシウム粉末にリン酸水溶液を含浸させた後、加熱乾燥することによってリン酸担持硫酸カルシウム粉末を得ることができる。硫酸カルシウム粉末にリン酸水溶液を含浸させる方法としては特に制限はないが、操作が簡便であるという観点から、リン酸水溶液に硫酸カルシウム粉末を浸漬する方法が好ましい。また、リン酸水溶液の濃度としては特に制限はないが、5〜80質量%が好ましく、加熱乾燥温度としては特に制限はないが、25〜110℃が好ましく、加熱乾燥時間としては特に制限はないが、12〜24時間が好ましい。
このようにして得られるリン酸担持硫酸カルシウム粉末におけるリン酸の担持量としては特に制限はないが、硫酸カルシウム粉末100質量部に対して1〜40質量部が好ましく、5〜30質量部がより好ましい。リン酸の担持量が前記下限未満になると、十分なプロトン(H+)伝導性が得られない傾向にあり、他方、前記上限を超えると、固体電解質としての強度が不足する傾向にある。
また、リン酸担持硫酸カルシウム粉末の平均粒子径としては特に制限はないが、0.1〜300μmが好ましく、1〜100μmがより好ましい。リン酸担持硫酸カルシウム粉末の平均粒子径が前記下限未満になると、成形性が低下する傾向にあり、他方、前記上限を超えると、リン酸が硫酸カルシウム粉末の内部まで均一に担持されない傾向にある。
本発明に用いられる固体電解質の製造方法としては特に制限はないが、例えば、硫酸カルシウム粉末とリン酸水溶液とを混合するだけでも成形することが可能であり、また、リン酸担持硫酸カルシウム粉末を圧縮成形(圧粉成形)することによって、リン酸担持硫酸カルシウムからなる固体電解質を得ることもできる。得られる固体電解質の形状としては特に制限はないが、板状、シート状、フィルム状、管状が好ましい。また、固体電解質の密度を増加させ、プロトン(H+)伝導性を向上させるという観点から、圧縮成形(圧粉成形)したリン酸担持硫酸カルシウムを焼成して乾燥体又は焼結体を形成することが好ましい。焼成温度としては特に制限はないが、110〜800℃が好ましく、また、焼成時間としては特に制限はないが、10分間〜5時間が好ましい。
本発明に用いられる固体電解質2の一方の面上にはアノード電極膜1が配置されており、他方の面上には前記アノード電極膜1と対向するようにカソード電極膜3が配置されている。このようなアノード電極膜及びカソード電極膜としては導電性を有する金属膜であれば特に制限はないが、アノード電極膜上における水酸化物イオン(OH−)や酸化物イオン(O2−)の生成及びHCの酸化分解並びにカソード電極膜上における水素(H2)の生成が促進されるという観点から、貴金属(Pt、Rh、Pd、Ag、Ir、Ru等)からなる電極膜が好ましく、Pt電極膜が特に好ましい。
このようなアノード電極膜及びカソード電極膜の厚さとしては特に制限はないが、0.1〜10μmが好ましく、1〜5μmがより好ましい。アノード電極膜及びカソード電極膜の厚さが前記下限未満になると、触媒としての活性点が不足し、不活性になったり、電極膜の抵抗が大きくなる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、電極膜と固体電解質との界面で生成した水酸化物イオン(OH−)がHCと十分に反応しなかったり、水分やHC等との接触性が低下する傾向にある。
アノード電極膜及びカソード電極膜の形成方法としては特に制限はないが、例えば、固体電解質の面上に電極材料を、塗布する方法、蒸着させる方法が挙げられる。電極材料としては、金属ペースト(例えば、Ptペースト)、金属ターゲット(例えば、Ptターゲット)、有機金属等が挙げられる。また、塗布又は蒸着後の電極材料を焼成して乾燥体又は焼結体を形成することが好ましい。焼成温度としては特に制限はないが、300〜600℃が好ましく、焼成時間としては特に制限はないが、1〜5時間が好ましい。
本発明の炭化水素浄化装置においては、このようなアノード電極膜1及びカソード電極膜3と通電装置5とが電極配線1a及び3aによって電気的に接続されている。このような通電装置としては直流の電圧を印加できるものであれば特に制限はなく、公知の通電装置(直流電源)を適宜採用することができる。電極配線としては特に制限はなく、Au線、Pt線、Ni線、Cu線、Ag線等が挙げられる。また、電極配線1a及び3aは、アノード電極膜1及びカソード電極膜3に直接接合されていてもよいし、電極配線1a及び3aが接合された金属メッシュ(Auメッシュ、Ptメッシュ、Niメッシュ、Agメッシュ等)を介してアノード電極膜1及びカソード電極膜3と接触させてもよい。
また、本発明の炭化水素浄化装置において、電気化学セル4(アノード電極膜1と固体電解質2とカソード電極膜3とを備えるもの)は、通常、排ガス流路6内に設置される。特に、本発明に用いられる固体電解質2が耐熱性に優れていることから、内燃機関等から排出された高温(例えば、600℃以上)のガスが流通する排ガス流路6内に電気化学セル4を設置することができる。
〔炭化水素浄化方法〕
次に、本発明の炭化水素浄化方法を、図2に示す炭化水素浄化装置を用いた場合を例に説明する。このような図2に示す炭化水素浄化装置を用いて炭化水素(HC)を浄化する炭化水素浄化方法は、本発明の炭化水素浄化方法の好適な一実施態様である。なお、前記本発明の炭化水素浄化装置の好適な一実施態様において説明した内容と重複する内容については省略する。
次に、本発明の炭化水素浄化方法を、図2に示す炭化水素浄化装置を用いた場合を例に説明する。このような図2に示す炭化水素浄化装置を用いて炭化水素(HC)を浄化する炭化水素浄化方法は、本発明の炭化水素浄化方法の好適な一実施態様である。なお、前記本発明の炭化水素浄化装置の好適な一実施態様において説明した内容と重複する内容については省略する。
本発明の炭化水素浄化方法においては、前記炭化水素浄化装置のアノード電極膜1とカソード電極膜3との間に電圧を印加しながら、HC及び水分を含む排ガスを前記炭化水素浄化装置の排ガス供給路6aから排ガス流路6に導入して、前記排ガスをアノード電極膜1に接触させる。
アノード電極膜1とカソード電極膜3との間に印加する電圧としては、1〜20Vが好ましく、2〜8Vがより好ましい。印加する電圧が前記下限未満になると、HCの酸化分解が進行しない傾向にあり、他方、前記上限を超えると、プロトン(H+)伝導に必要な固体電解質中の水分が失われたり、固体電解質や電極膜が劣化したりする傾向にある。
また、アノード電極膜1とカソード電極膜3との間の電流値としては、0.1〜50mA/cm2が好ましく、5〜40mA/cm2がより好ましい。電極膜間の電流値が前記下限未満になると、HCの酸化分解が進行しない傾向にあり、他方、前記上限を超えると、固体電解質や電極膜が劣化する傾向にある。
前記排ガスとアノード電極膜1とを接触させる方法としては特に制限はないが、例えば、内燃機関から排出されるガス中のHCを浄化する場合、内燃機関からの排ガスが流通する排ガス流路6内に電気化学セル4(アノード電極膜1と固体電解質2とカソード電極膜3とを備えるもの)を設置することによって、前記排ガスとアノード電極膜1とを接触させることができる。
このように前記排ガスをアノード電極膜1に接触させることによって、図1に示すように、アノード電極膜1上で前記排ガス中の水分(水蒸気、H2O)が水酸化物イオン(OH−)や酸化物イオン(O2−)と水素イオン(プロトン、H+)に分解される。このようにして生成した水酸化物イオン(OH−)や酸化物イオン(O2−)はアノード電極膜1上でHC(CxHy)と反応する。これにより、HCは二酸化炭素分子(CO2)と水分子(H2O)に電気化学的に酸化分解され、前記排ガス中のHCは除去される。また、アノード電極膜1上において、HCが完全に分解されず、一酸化炭素(CO)が生成した場合には、COは水酸化物イオン(OH−)と更に反応して二酸化炭素分子(CO2)と水分子(H2O)に酸化され、前記排ガス中のHCは除去される。その後、このようにHCが除去された排ガスは浄化ガスとして浄化ガス排出路6bから排出される。一方、アノード電極膜1上で生成した水素イオン(H+)は固体電解質2を通ってカソード電極膜3に移動する。また、アノード電極膜1上で前記酸化反応により生成した電子(e−)は通電回路を通ってカソード電極膜3へ移動する。カソード電極膜3上では、アノード電極膜1から移動してきた前記水素イオン(H+)と前記電子(e−)が反応して水素(H2)が生成する。
本発明の炭化水素浄化方法においては、プロトン(H+)伝導性に優れた固体電解質2を使用しているため、アノード電極膜1からカソード電極膜3への水素イオン(H+)の移動が促進される。その結果、アノード電極膜1上での水酸化物イオン(OH−)や酸化物イオン(O2−)の生成が促進され、さらに、HCの酸化分解が促進されるため、高い炭化水素浄化性能を得ることができる。
本発明の炭化水素浄化方法を適用することが可能な排ガスとしてはHC及び水分を含むものであれば特に制限はないが、例えば、H2Oを3質量%以上含む排ガスが好ましい。このような排ガスに本発明の炭化水素浄化方法を適用すると、アノード電極膜1上におけるHCと水酸化物イオン(OH−)との反応性が向上する。
以上、図2を参照して本発明の炭化水素浄化装置及び炭化水素浄化方法の好適な実施態様について説明したが、本発明の炭化水素浄化装置及び炭化水素浄化方法は上記実施形態に限定されるものではない。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
ビーカーに蒸留水38g及びリン酸11.7gを入れ、1分間攪拌した。得られた水溶液に焼石膏(CaSO4・1/2H2O)50gを投入し、マグネチックスターラーを用いて400rpmで2分間攪拌した後、2分間静置することにより脱泡処理を行なった。得られたスラリーをガラス板上にキャストした後、空気が入らないように上からガラス板を重ね、スラリーの厚さが1mmとなるように前記ガラス板を治具で挟持して4時間静置し、スラリーを乾固させた。その後、上側のガラス板を外し、固体成分を室温で24時間乾燥し、さらに、大気中、110℃で10時間乾燥して、リン酸が担持された硫酸カルシウム粉末の乾燥体(リン酸担持硫酸カルシウム板)を得た。
ビーカーに蒸留水38g及びリン酸11.7gを入れ、1分間攪拌した。得られた水溶液に焼石膏(CaSO4・1/2H2O)50gを投入し、マグネチックスターラーを用いて400rpmで2分間攪拌した後、2分間静置することにより脱泡処理を行なった。得られたスラリーをガラス板上にキャストした後、空気が入らないように上からガラス板を重ね、スラリーの厚さが1mmとなるように前記ガラス板を治具で挟持して4時間静置し、スラリーを乾固させた。その後、上側のガラス板を外し、固体成分を室温で24時間乾燥し、さらに、大気中、110℃で10時間乾燥して、リン酸が担持された硫酸カルシウム粉末の乾燥体(リン酸担持硫酸カルシウム板)を得た。
次に、得られたリン酸担持硫酸カルシウム板を0.95cm×0.95cmの大きさに切断して固体電解質板を作製し、この固体電解質板を真空チャンバー内に装入し、真空度が10−6Torrになるまで真空吸引した。その後、真空チャンバーに、圧力が2.5×10−3Torrとなるようにアルゴンガスを供給し、10秒毎に前記固体電解質板を回転させながら、100Wの条件でPtスパッタリングを30分間行い、両面に厚さ250nmのPt電極膜を有するリン酸担持硫酸カルシウム固体電解質板を得た。
次に、図3に示すように、両面にPt電極膜(図示なし)を有する前記リン酸担持硫酸カルシウム固体電解質板2を、Au線11aを取り付けたAuメッシュ11(株式会社ニラコ製「AU−178100」、面積:0.15cm2)で挟持し、さらに、これらをSUSメッシュ12(株式会社ニラコ製SUS304/金網、線径:φ0.25mm、30メッシュ)及びアルミナ板13(コーニング社製「マコール(登録商標)」)を用いて固定して電気化学セル4を作製した。その後、図4に示すように、電気化学セル4を内径20mmの石英管14に装入し、Au線11aを通電装置である直流電源(株式会社TFFケースレーインスツルメンツ製「2400−C型汎用ソースメータ」)(図示なし)に接続して炭化水素浄化装置を作製した。なお、石英管14には、排ガス供給路6a及び浄化ガス排出路6bが設けられている。
<性能評価試験>
得られた炭化水素浄化装置の性能評価試験を行なった。すなわち、先ず、電気化学セル4を挿入した石英管14に排ガス供給路6aから、炭化水素及び水分を含む混合ガス(C3H6(2400ppmC)+O2(0.4%)+H2O(5%)+He(94.12%))を室温(約25℃)、全流量120ml/分の条件で30分間以上流通させた。その後、前記条件で前記混合ガスを供給しながら、室温(約25℃)でPt電極膜間に2Vの電圧を印加した。このときの浄化ガス排出路6bからの出ガス中のC3H6濃度を、質量分析計(キャノンアネルバ株式会社製「N−201」)を用いて測定した。供給した混合ガス中のC3H6濃度と出ガス中のC3H6濃度から炭化水素処理速度を算出した。その結果を図5に示す。
得られた炭化水素浄化装置の性能評価試験を行なった。すなわち、先ず、電気化学セル4を挿入した石英管14に排ガス供給路6aから、炭化水素及び水分を含む混合ガス(C3H6(2400ppmC)+O2(0.4%)+H2O(5%)+He(94.12%))を室温(約25℃)、全流量120ml/分の条件で30分間以上流通させた。その後、前記条件で前記混合ガスを供給しながら、室温(約25℃)でPt電極膜間に2Vの電圧を印加した。このときの浄化ガス排出路6bからの出ガス中のC3H6濃度を、質量分析計(キャノンアネルバ株式会社製「N−201」)を用いて測定した。供給した混合ガス中のC3H6濃度と出ガス中のC3H6濃度から炭化水素処理速度を算出した。その結果を図5に示す。
(比較例1)
前記リン酸担持硫酸カルシウム固体電解質板の代わりに固体高分子電解質膜(デュポン社製「ナフィオン(登録商標)117」)を用いた以外は実施例1と同様にして、両面に厚さ250nmのPt電極膜を有する前記固体高分子電解質膜を得た。この両面にPt電極膜を有する固体高分子電解質膜を、両面にPt電極膜を有する前記リン酸担持硫酸カルシウム固体電解質板の代わりに用いた以外は実施例1と同様にして電気化学セルを作製した。その後、この電気化学セルを用いた以外は実施例1と同様にして炭化水素浄化装置を作製した。得られた炭化水素浄化装置の性能評価試験を実施例1と同様にして行なった。その結果を図5に示す。
前記リン酸担持硫酸カルシウム固体電解質板の代わりに固体高分子電解質膜(デュポン社製「ナフィオン(登録商標)117」)を用いた以外は実施例1と同様にして、両面に厚さ250nmのPt電極膜を有する前記固体高分子電解質膜を得た。この両面にPt電極膜を有する固体高分子電解質膜を、両面にPt電極膜を有する前記リン酸担持硫酸カルシウム固体電解質板の代わりに用いた以外は実施例1と同様にして電気化学セルを作製した。その後、この電気化学セルを用いた以外は実施例1と同様にして炭化水素浄化装置を作製した。得られた炭化水素浄化装置の性能評価試験を実施例1と同様にして行なった。その結果を図5に示す。
(比較例2)
リン酸を用いなかった以外は実施例1と同様にして硫酸カルシウム粉末の乾燥体(硫酸カルシウム板)を作製し、さらに、両面に厚さ250nmのPt電極膜を有する硫酸カルシウム固体電解質板を作製した。この両面にPt電極膜を有する硫酸カルシウム固体電解質板を、両面にPt電極膜を有する前記リン酸担持硫酸カルシウム固体電解質板の代わりに用いた以外は実施例1と同様にして電気化学セルを作製した。その後、この電気化学セルを用いた以外は実施例1と同様にして炭化水素浄化装置を作製した。得られた炭化水素浄化装置の性能評価試験を実施例1と同様にして行なった。その結果を図5に示す。
リン酸を用いなかった以外は実施例1と同様にして硫酸カルシウム粉末の乾燥体(硫酸カルシウム板)を作製し、さらに、両面に厚さ250nmのPt電極膜を有する硫酸カルシウム固体電解質板を作製した。この両面にPt電極膜を有する硫酸カルシウム固体電解質板を、両面にPt電極膜を有する前記リン酸担持硫酸カルシウム固体電解質板の代わりに用いた以外は実施例1と同様にして電気化学セルを作製した。その後、この電気化学セルを用いた以外は実施例1と同様にして炭化水素浄化装置を作製した。得られた炭化水素浄化装置の性能評価試験を実施例1と同様にして行なった。その結果を図5に示す。
図5に示した結果から明らかなように、リン酸担持硫酸カルシウム粉末からなる固体電解質と、互いに対向するように前記固体電解質の両面に配置されたカソード電極膜及びアノード電極膜とを備える本発明の炭化水素浄化装置(実施例1)は、室温での炭化水素浄化が可能であることが確認された。
これに対して、リン酸担持硫酸カルシウム粉末からなる固体電解質の代わりに、固体高分子電解質膜を用いた炭化水素浄化装置(比較例1)及びリン酸が担持されていない硫酸カルシウム粉末からなる固体電解質を用いた炭化水素浄化装置(比較例2)は、室温での炭化水素浄化が困難であることがわかった。
以上説明したように、本発明によれば、排ガス中の炭化水素を酸化浄化することが可能な炭化水素浄化装置及びそれを用いた炭化水素浄化方法を提供することが可能となる。
したがって、本発明の炭化水素浄化装置及びそれを用いた炭化水素浄化方法は、自動車排ガス処理、低温排ガス処理、分散型コージェネレーションシステム、長距離トンネルや工場等の閉鎖空間における炭化水素浄化等に使用できる。
1:アノード電極膜
1a:電極配線
2:固体電解質(板)
3:カソード電極膜
3a:電極配線
4:電気化学セル
5:通電装置
6:排ガス流路
6a:排ガス供給路
6b:浄化ガス排出路
11:Auメッシュ
11a:Au線
12:SUSメッシュ
13:アルミナ板
14:石英管
1a:電極配線
2:固体電解質(板)
3:カソード電極膜
3a:電極配線
4:電気化学セル
5:通電装置
6:排ガス流路
6a:排ガス供給路
6b:浄化ガス排出路
11:Auメッシュ
11a:Au線
12:SUSメッシュ
13:アルミナ板
14:石英管
Claims (4)
- リン酸が担持された硫酸カルシウム粉末からなる固体電解質と、前記固体電解質の一方の面上に配置されたアノード電極膜と、前記アノード電極膜と対向するように前記固体電解質の他方の面上に配置されたカソード電極膜と、前記アノード電極膜及び前記カソード電極膜に電気的に接続された通電装置と、を備えていることを特徴とする炭化水素浄化装置。
- 前記アノード電極膜及び前記カソード電極膜がPt電極膜であることを特徴とする請求項1に記載の炭化水素浄化装置。
- 前記固体電解質が乾燥体又は焼結体であることを特徴とする請求項1又は2に記載の炭化水素浄化装置。
- 請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載の炭化水素浄化装置の前記アノード電極膜と前記カソード電極膜との間に電圧を印加しながら、炭化水素及び水分を含む排ガスを前記炭化水素浄化装置に導入することによって、前記アノード電極膜上で前記排ガス中の水分から水酸化物イオンを生成させ、該水酸化物イオンを前記排ガス中の炭化水素と前記アノード電極膜上で反応させて炭化水素を除去することを特徴とする炭化水素浄化方法。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2018018597A JP2019135042A (ja) | 2018-02-05 | 2018-02-05 | 炭化水素浄化装置及びそれを用いた炭化水素浄化方法 |
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