以下、図面を参照しつつ、本発明の一実施形態を詳細に説明する。図1は、本発明の第1実施の形態に係る遊技機の主要部材の配置レイアウトを示す正面図である。図2は、本発明の第1実施の形態に係る遊技機に搭載された各種の制御基板などを示す構成図である。以下において、図1の手前側をパチンコ遊技機1の前方(前面、正面)側、奥側を背面(後方)側とし、パチンコ遊技機1を前面側から見たときの上下左右方向を基準として説明する。本実施の形態におけるパチンコ遊技機1の前面とは、該パチンコ遊技機1にて遊技を行う遊技者と対向する対向面である。
(パチンコ遊技機1の構成等)
パチンコ遊技機(遊技機)1は、大別して、遊技盤面を構成する遊技盤(ゲージ盤)2と、遊技盤2を支持固定する遊技機用枠(台枠)3とから構成されている。遊技盤2には、遊技領域が形成され、この遊技領域には、遊技媒体としての遊技球が、所定の打球発射装置から発射されて打ち込まれる。
遊技盤2の下方位置には、複数種類の特別識別情報としての特別図柄(特図ともいう)の可変表示(特図ゲームともいう)を行う第1特別図柄表示器4A及び第2特別図柄表示器4Bが設けられている。これらは、それぞれ、7セグメントのLEDなどからなる。特別図柄は、「0」〜「9」を示す数字や「−」などの点灯パターンなどにより表される。特別図柄には、LEDを全て消灯したパターンが含まれてもよい。
なお、特別図柄の「可変表示」とは、例えば、複数種類の特別図柄を変動可能に表示することである(後述の他の図柄についても同じ)。変動としては、複数の図柄の更新表示、複数の図柄のスクロール表示、1以上の図柄の変形、1以上の図柄の拡大/縮小などがある。特別図柄や後述の普通図柄の変動では、複数種類の特別図柄又は普通図柄が更新表示される。後述の飾り図柄の変動では、複数種類の飾り図柄がスクロール表示される。可変表示の最後には、表示結果として所定の特別図柄が停止表示(導出又は導出表示などともいう)される(後述の他の図柄の可変表示についても同じ)。なお、可変表示を変動表示、変動と表現する場合がある。
なお、第1特別図柄表示器4Aにおいて可変表示される特別図柄を「第1特図」ともいい、第2特別図柄表示器4Bにおいて可変表示される特別図柄を「第2特図」ともいう。また、第1特図を用いた特図ゲームを「第1特図ゲーム」といい、第2特図を用いた特図ゲームを「第2特図ゲーム」ともいう。
遊技盤2における遊技領域の中央付近には回動表示装置300が設けられている。回動表示装置300は、特図ゲームにおける特別図柄表示装置による特図の可変表示に対応して、3つのリールユニット400、500、600(以下、左から順に、「左リールユニット」、「中リールユニット」、「右リールユニット」という)がそれぞれ動作することにより、各々を識別可能な複数種類の識別情報である飾り図柄(例えば、「1」〜「8」を示す数字などを表す図柄)を遊技者に対して変動可能に表示(可変表示)する。具体的には、リールユニット400、500、600それぞれは回転するリール(回転ドラム)を備え、リールの外周面には複数種類の飾り図柄が配置されている。遊技者は、各リールユニット400、500、600の各リールのうちの遊技者側に向く面の飾り図柄を視認することができる。各リールユニット400、500、600の各リールが回動することで、視認される飾り図柄が順次変化していく(1つの飾り図柄は上から下へ移動して見え、複数種類の飾り図柄が順次上から下へ移動していくように見える)。このようなことによって飾り図柄が可変表示される。回動する各リールユニット400、500、600の各リールは、特図の可変表示の終了に対応して全て停止する(各リールの停止タイミングはそれぞれでずれてもよいし、同じであってもよい。)。これによって、飾り図柄の可変表示は終了し、可変表示結果としての飾り図柄が導出表示される。導出表示される飾り図柄は、可変表示の終了時に停止した各リールにおいて視認可能になっている飾り図柄(確定飾り図柄ともいう。)である。
回動表示装置300の周囲を取り囲むように、可変入賞装置200が設けられている。可変入賞装置200の中央には、回動表示装置300を視認可能とする開口が形成されている。可変入賞装置200の詳細については後述するが、上部に遊技球が進入可能な上部大入賞口260(図5参照)が設けられており、上部大入賞口260から進入した遊技球のうちの1つが、左側のワープ流路251(図5参照)を通って正面のステージ上に移動する。その他の遊技球は、右側の排出路252(図5参照)を通って可変入賞装置200から排出される。可変入賞装置200には、実行が保留されている可変表示の数をLEDの点灯個数と点滅個数とによって表示する保留記憶数表示器5Uが設けられている。
保留されている可変表示の数は保留記憶数ともいう。第1特図ゲームに対応する保留記憶数を第1保留記憶数、第2特図ゲームに対応する保留記憶数を第2保留記憶数ともいう。また、第1保留記憶数と第2保留記憶数との合計を合計保留記憶数ともいう。
また、遊技盤2の所定位置には、複数のLEDを含んで構成された第1保留表示器25Aと第2保留表示器25Bとが設けられ、第1保留表示器25Aは、LEDの点灯個数によって第1保留記憶数を表示し、第2保留表示器25Bは、LEDの点灯個数によって第2保留記憶数を表示する。
可変入賞装置200の下方には入賞球装置6Aが設けられている。また、可変入賞装置200の左方には可変入賞球装置6Bが設けられている。
入賞球装置6Aは、例えば所定の玉受部材によって常に遊技球が進入可能な一定の開放状態に保たれる第1始動入賞口を形成する。第1始動入賞口に遊技球が進入したときには、所定個(例えば3個)の賞球が払い出されるとともに、第1特図ゲームが開始され得る。
可変入賞球装置6B(普通電動役物)は、普通電動役物用ソレノイド81(図2参照)によって遊技球が進入容易とする状態と進入困難とする状態とに変化する第2始動入賞口を形成する。可変入賞球装置6Bは、例えば、流下する遊技球を受け止めて第2始動入賞口に導く玉受片を有している。普通電動役物用ソレノイド81がオフ状態の場合、玉受片は引っ込んだ状態にあり、遊技球を受け止めることなくそのまま流下させる。その一方で、普通電動役物用ソレノイド81がオン状態の場合、玉受片は突出した状態にあり、遊技球を受け止めて第2始動入賞口に導く。第2始動入賞口に遊技球が進入したときには、所定個(例えば3個)の賞球が払い出されるとともに、第2特図ゲームが開始され得る。なお、可変入賞球装置6Bは、いわゆる電動チューリップ型役物を備えるものであってもよい。また、可変入賞球装置6Bには、ゲートスイッチ21(図2参照)が設けられている。ゲートスイッチ21は、通過する遊技球を検出する。
遊技盤2の所定位置(図1に示す例では、遊技領域の左下領域に3箇所、右上領域に1箇所)には、所定の玉受部材によって常に一定の開放状態に保たれる一般入賞口10が設けられる。この場合には、一般入賞口10のいずれかに進入したときには、所定個数(例えば10個)の遊技球が賞球として払い出される。
入賞球装置6Aの下方には、大入賞口を有する特別可変入賞球装置7が設けられている。特別可変入賞球装置7は、大入賞口用ソレノイド82(図2参照)によって開閉駆動される大入賞口扉を備え、その大入賞口扉によって開放状態と閉鎖状態とに変化する特定領域としての大入賞口を形成する。
一例として、特別可変入賞球装置7では、大入賞口扉用(特別電動役物用)の大入賞口用ソレノイド82がオフ状態であるときに大入賞口扉が大入賞口を閉鎖状態として、遊技球が大入賞口に進入(通過)できなくなる。その一方で、特別可変入賞球装置7では、大入賞口用ソレノイド82がオン状態であるときに大入賞口扉が大入賞口を開放状態として、遊技球が大入賞口に進入しやすくなる。
大入賞口に遊技球が進入したときには、所定個数(例えば14個)の遊技球が賞球として払い出される。大入賞口に遊技球が進入したときには、例えば第1始動入賞口や第2始動入賞口及び一般入賞口10に遊技球が進入したときよりも多くの賞球が払い出される。
一般入賞口10を含む各入賞口に遊技球が進入することを「入賞」ともいう。特に、始動口(第1始動入賞口、第2始動入賞口始動口)への入賞を始動入賞ともいう。
遊技盤2の下方位置には、普通図柄表示器20が設けられている。一例として、普通図柄表示器20は、7セグメントのLEDなどからなり、特別図柄とは異なる複数種類の普通識別情報としての普通図柄の可変表示を行う。普通図柄は、「0」〜「9」を示す数字や「−」などの点灯パターンなどにより表される。普通図柄には、LEDを全て消灯したパターンが含まれてもよい。このような普通図柄の可変表示は、普図ゲームともいう。
普通図柄表示器20の右方には、普図保留表示器25Cが設けられている。普図保留表示器25Cは、例えば4個のLEDを含んで構成され、実行が保留されている普図ゲームの数である普図保留記憶数をLEDの点灯個数により表示する。
遊技盤2の表面には、上記の構成以外にも、遊技球の流下方向や速度を変化させる風車及び多数の障害釘が設けられている。遊技領域の最下方及び右方には、いずれの入賞口にも進入しなかった遊技球が取り込まれるアウト口69a及び69bが設けられている。
遊技機用枠3の左右上部位置には、効果音等を再生出力するためのスピーカ8L、8Rが設けられており、さらに遊技領域周辺部には、遊技効果用の遊技効果ランプ9が設けられている。遊技効果ランプ9は、LEDを含んで構成されている。
遊技機用枠3の右下部位置には、遊技球を打球発射装置により遊技領域に向けて発射するために遊技者等によって操作される打球操作ハンドル(操作ノブ)30が設けられている。
遊技領域の下方における遊技機用枠3の所定位置には、賞球として払い出された遊技球や所定の球貸機により貸し出された遊技球を、打球発射装置へと供給可能に保持(貯留)する上皿90(打球供給皿)が設けられている。上皿90の下方には、上皿90の満タン時に賞球が払い出される下皿91(打球供給皿)が設けられている。
遊技領域の下方における遊技機用枠3の所定位置には、遊技者が押下操作などにより所定の指示操作を可能なプッシュボタン31Bが設けられている。プッシュボタン31Bに対する操作は、プッシュセンサ35B(図2参照)により検出される。
(遊技の進行の概略)
パチンコ遊技機1が備える打球操作ハンドル30への遊技者による回転操作により、遊技球が遊技領域に向けて発射される。遊技球が可変入賞球装置6Bに設けられたゲートスイッチ21を通過すると、普通図柄表示器20による普図ゲームが開始される。なお、前回の普図ゲームの実行中の期間等に遊技球がゲートスイッチ21を通過した場合(遊技球がゲートスイッチ21を通過したが当該通過に基づく普図ゲームを直ちに実行できない場合)には、当該通過に基づく普図ゲームは所定の上限数(例えば4)まで保留される。
この普図ゲームでは、特定の普通図柄(普図当り図柄)が停止表示されれば、普通図柄の表示結果が「普図当り」となる。その一方、確定普通図柄として、普図当り図柄以外の普通図柄(普図ハズレ図柄)が停止表示されれば、普通図柄の表示結果が「普図ハズレ」となる。「普図当り」となると、可変入賞球装置6Bに遊技球が進入容易な状態とする制御が行われる。
入賞球装置6Aに形成された第1始動入賞口に遊技球が進入すると、第1特別図柄表示器4Aによる第1特図ゲームが開始される。
可変入賞球装置6Bに形成された第2始動入賞口に遊技球が進入すると、第2特別図柄表示器4Bによる第2特図ゲームが開始される。
なお、特図ゲームの実行中の期間や、後述する大当り遊技状態や小当り遊技状態に制御されている期間に、遊技球が始動入賞口へ進入(入賞)した場合(始動入賞が発生したが当該始動入賞に基づく特図ゲームを直ちに実行できない場合)には、当該進入に基づく特図ゲームは所定の上限数(例えば4)までその実行が保留される。
特図ゲームにおいて、確定特別図柄として特定の特別図柄(大当り図柄、例えば「7」)が停止表示されれば、「大当り」となり、大当り図柄とは異なる特別図柄(小当り図柄)が停止表示されれば、「小当り」となる。
特図ゲームでの表示結果が「大当り」になった後には、遊技者にとって有利な有利状態として大当り遊技状態に制御される。特図ゲームでの表示結果が「小当り」になった後には、小当り遊技状態に制御される。
大当り遊技状態では、特別可変入賞球装置7により形成される大入賞口が所定の態様で開放状態となる。当該開放状態は、所定期間(例えば29秒間)の経過タイミングと、大入賞口に進入した遊技球の数が所定個数(例えば9個)に達するまでのタイミングと、のうちのいずれか早いタイミングまで継続される。前記所定期間は、1ラウンドにおいて大入賞口を開放することができる上限期間であり、以下、開放上限期間ともいう。このように大入賞口が開放状態となる1のサイクルをラウンド(ラウンド遊技)という。大当り遊技状態では、当該ラウンドが所定の上限回数(15回や2回)に達するまで繰り返し実行可能となっている。
大当り遊技状態においては、遊技者は、遊技球を大入賞口に進入させることで、賞球を得ることができる。従って、大当り遊技状態は、遊技者にとって有利な状態である。大当り遊技状態におけるラウンド数が多い程、また、開放上限期間が長い程遊技者にとって有利となる。
小当り遊技状態では、可変入賞装置200に形成された上部大入賞口260(図4参照)の開放状態と閉鎖状態とが繰り返される。例えば、小当り遊技状態では、0.15秒の開放状態と1.0秒の閉鎖状態とが繰り返される。この繰り返しは、0.15秒の開放状態が10回実現されるか、上部大入賞口260に遊技球が10個入賞するかのいずれか早いタイミングまで継続される。上部大入賞口260に入賞した遊技球のうち、一つの遊技球は、可変入賞装置200の左側に形成されたワープ流路251(図5参照)を通り、回動表示装置300の前方まで移動してくる(図9参照)。回動表示装置300の前方まで移動した遊技球は、中リールユニット500の上部に運ばれ、図12に示す通常領域進入口811、特定領域進入口812、通常領域進入口813のいずれかに進入する。通常領域進入口811、および通常領域進入口813に遊技球が進入すると、小当り遊技状態は終了する。一方、特定領域進入口812に遊技球が進入すると、大当たり遊技状態に移行する。このように小当り遊技状態から大当たり遊技状態に移行した場合、特図ゲームでの表示結果が「大当り」になった後に大当たり遊技状態と比べて、ラウンド回数が一回少なく設定されている。
小当り遊技状態においては、遊技者は、遊技球を上部大入賞口260に進入させることで、賞球を得ることができる。従って、小当り遊技状態は、遊技者にとって有利な状態である。
大当り遊技状態が終了した後は、上記大当り種別に応じて、時短状態や確変状態に制御されることがある。
時短状態では、平均的な特図変動時間(特図を変動させる期間)を通常状態よりも短縮させる制御(時短制御)が実行される。時短状態では、平均的な普図変動時間(普図を変動させる期間)を通常状態よりも短縮させ、あるいは普図ゲームで「普図当り」となる確率を通常状態よりも向上させる等により、第2始動入賞口に遊技球が進入しやすくなる制御(高開放制御、高ベース制御)も実行される。時短状態は、特別図柄(特に第2特別図柄)の変動効率が向上する状態であるので、遊技者にとって有利な状態である。
確変状態(確率変動状態)では、時短制御に加えて、表示結果が「大当り」となる確率が通常状態よりも高くなる確変制御が実行される。確変状態は、特別図柄の変動効率が向上することに加えて「大当り」となりやすい状態であるので、遊技者にとってさらに有利な状態である。
時短状態や確変状態は、所定回数の特図ゲームが実行されたことと、次回の大当り遊技状態が開始されたこと等といった、いずれか1つの終了条件が先に成立するまで継続する。所定回数の特図ゲームが実行されたことが終了条件となるものを、回数切り(回数切り時短、回数切り確変等)ともいう。
通常状態とは、遊技者にとって有利な大当り遊技状態等の有利状態、時短状態、確変状態等の特別状態以外の遊技状態のことであり、普図ゲームにおける表示結果が「普図当り」となる確率及び特図ゲームにおける表示結果が「大当り」となる確率などのパチンコ遊技機1が、パチンコ遊技機1の初期設定状態(例えばシステムリセットが行われた場合のように、電源投入後に所定の復帰処理を実行しなかったとき)と同一に制御される状態である。
確変制御が実行されている状態を高確状態、確変制御が実行されていない状態を低確状態ともいう。時短制御が実行されている状態を高ベース状態、時短制御が実行されていない状態を低ベース状態ともいう。これらを組み合わせて、時短状態は低確高ベース状態、確変状態は高確高ベース状態、通常状態は低確低ベース状態などともいわれる。高確状態かつ低ベース状態は高確低ベース状態ともいう。
小当り遊技状態が終了した後は、遊技状態の変更が行われず、特図ゲームの表示結果が「小当り」となる以前の遊技状態に継続して制御される(但し、「小当り」発生時の特図ゲームが、上記回数切りにおける上記所定回数目の特図ゲームである場合には、当然遊技状態が変更される)。
(パチンコ遊技機1の回路構成について)
次に、パチンコ遊技機1の回路構成について説明する。パチンコ遊技機1には、例えば図2に示すような主基板11、演出制御基板12、音声制御基板13、ランプ制御基板14、表示制御基板50といった、各種の制御基板が搭載されている。また、パチンコ遊技機1には、主基板11と演出制御基板12との間で伝送される各種の制御信号を中継するための中継基板15なども搭載されている。その他にも、パチンコ遊技機1における遊技盤などの背面には、例えば払出制御基板、情報端子基板、発射制御基板、インタフェース基板、タッチセンサ基板などといった、各種の基板が配置されている。
主基板11は、メイン側の制御基板であり、パチンコ遊技機1における遊技の進行を制御するための各種回路が搭載されている。主基板11は、主として、特図ゲームにおいて用いる乱数の設定機能、所定位置に配設されたスイッチ等からの信号の入力を行う機能、演出制御基板12などからなるサブ側の制御基板に宛てて、指令情報の一例となる制御コマンドを制御信号として出力して送信する機能、ホール(遊技店)の管理コンピュータに対して各種情報を出力する機能などを備えている。また、主基板11は、第1特別図柄表示器4Aと第2特別図柄表示器4Bを構成する各LED(例えばセグメントLED)などの点灯/消灯制御を行って第1特図や第2特図の変動表示を制御することや、普通図柄表示器20の点灯/消灯/発色制御などを行って普通図柄表示器20による普通図柄の変動表示を制御することといった、所定の表示図柄の変動表示を制御する機能も備えている。また、主基板11には、例えば遊技制御用マイクロコンピュータ100や、スイッチ回路110、ソレノイド回路111、モータ回路112などが搭載されている。
主基板11には、第1特別図柄表示器4A、第2特別図柄表示器4B、普通図柄表示器20、第1保留表示器25A、第2保留表示器25B、普図保留表示器25Cなどの表示制御を行うための指令信号を伝送する配線が接続されている。
主基板11に搭載されたスイッチ回路110には、可変入賞球装置6Bを通過した遊技球を検出するゲートスイッチ21、第1始動口スイッチ22A、第2始動口スイッチ22B、下部カウントスイッチ23、上部カウントスイッチ250、排出カウントスイッチ256、通常領域スイッチ811a、特定領域スイッチ812a、通常領域スイッチ813aからの検出信号を伝送する配線が接続されている。ゲートスイッチ21は、可変入賞球装置6Bを通過した遊技球を検出するスイッチである。第1始動口スイッチ22Aは、入賞球装置6Aに形成された第1始動入賞口に進入した遊技球を検出する。第2始動口スイッチ22Bは、可変入賞球装置6Bに形成された第2始動入賞口に進入した遊技球を検出する。下部カウントスイッチ23は、特別可変入賞球装置7に設けられた大入賞口に進入した遊技球を検出する。上部カウントスイッチ250は、可変入賞装置200に形成された上部大入賞口260に進入した遊技球を検出する。排出カウントスイッチ256は、上部大入賞口260に進入した後に排出路252(図5参照)を通って排出される遊技球を検出する。通常領域スイッチ811aは、中リールユニット500の上部に運ばれた後に通常領域進入口811(図12参照)に進入した遊技球を検出する。特定領域スイッチ812aは、中リールユニット500の上部に運ばれた後に特定領域進入口812(図12参照)に進入した遊技球を検出する。通常領域スイッチ813aは、中リールユニット500の上部に運ばれた後に通常領域進入口813に進入した遊技球を検出する。
主基板11に搭載されたソレノイド回路111には、普通電動役物用ソレノイド81、大入賞口用ソレノイド82、開閉蓋用ソレノイド261、及びステージ供給用ソレノイド255の動作制御をおこなうための指令信号を伝送する配線が接続されている。開閉蓋用ソレノイド261、及びステージ供給用ソレノイド255の詳細については後述する。
主基板11に搭載されたモータ回路112には、外リール用モータ793及び振分部用モータ830の動作制御をおこなうための指令信号を伝送する配線が接続されている。外リール用モータ793及び振分部用モータ830の詳細については後述する。
主基板11から演出制御基板12に向けて伝送される制御信号は、例えば電気信号として送受信される演出制御コマンドである。演出制御コマンドには、例えば、演出図柄の変動時間及びリーチ演出の種類や擬似連の有無等の変動態様を示す変動パターンを示す変動パターン指定コマンド等が含まれている。
主基板11に搭載された遊技制御用マイクロコンピュータ100は、例えば1チップのマイクロコンピュータであり、遊技制御用のプログラムや固定データ等を記憶するROM101(Read Only Memory101)と、遊技制御用のワークエリアを提供するRAM102(Random Access Memory102)と、遊技制御用のプログラムを実行して制御動作を行うCPU103(Central Processing Unit103)と、CPU103とは独立して乱数値を示す数値データの更新を行う乱数回路104と、I/O105(Input/Output port105)と、を備えて構成される。一例として、遊技制御用マイクロコンピュータ100では、CPU103がROM101から読み出したプログラムを実行することにより、パチンコ遊技機1における遊技の進行を制御するための処理が実行される。
演出制御基板12は、主基板11とは独立したサブ側の制御基板であり、中継基板15を介して主基板11から伝送された制御信号を受信して、回動表示装置300、スピーカ8L、8R、遊技効果ランプ9、及び演出用LED10といった演出用の電気部品による演出動作を制御するための各種回路が搭載されている。すなわち、演出制御基板12は、回動表示装置300における表示動作や表示演出や、スピーカ8L、8Rからの音声出力動作の全部または一部、遊技効果ランプ9などにおける点灯/消灯動作の全部または一部といった、演出用の電気部品に所定の演出動作を実行させる機能を備えている。
音声制御基板13は、演出制御基板12とは別個に設けられた音声出力制御用の制御基板であり、演出制御基板12からの信号に基づき、スピーカ8L、8Rから音声を出力させるための音声信号処理を実行する処理回路などが搭載されている。
表示制御基板50は、演出制御基板12とは別個に設けられた、回動表示装置300の制御用の制御基板であり、演出制御基板12からの信号に基づき、回動表示装置300における表示動作(飾り図柄の可変表示)を行うためのドライバ回路などが搭載されており、リールモータ401、リールモータ771、リールモータ601を制御する。
ランプ制御基板14は、演出制御基板12とは別個に設けられたランプ出力制御用の制御基板であり、演出制御基板12からの指令や制御データなどに基づき、遊技効果ランプ9などにおける点灯/消灯駆動を行うランプドライバ回路などが搭載されている。
(パチンコ遊技機1の動作(作用)について)
次に、本実施の形態におけるパチンコ遊技機1の動作(作用)を説明する。主基板11では、所定の電源基板からの電力供給が開始されると、遊技制御用マイクロコンピュータ100が起動し、CPU103によって遊技制御メイン処理となる所定の処理が実行される。遊技制御メイン処理において遊技制御用タイマ割込み処理を開始すると、スイッチ処理、メイン側エラー処理、情報出力処理、遊技用乱数更新処理、特別図柄プロセス処理、普通図柄プロセス処理、コマンド制御処理を実行する。
特別図柄プロセス処理では、遊技制御フラグ設定部(図示略)に設けられた特図プロセスフラグの値をパチンコ遊技機1における遊技の進行状況に応じて更新し、第1特別図柄表示器4Aや第2特別図柄表示器4Bにおける表示動作の制御や、特別可変入賞球装置7における大入賞口の開閉動作設定などを、所定の手順で行うために各種の処理が選択されて実行される。
特別図柄プロセス処理において、CPU103は、まず、第1始動入賞や第2始動入賞があったか否かを判定し、入賞があった場合には、特図表示結果判定用、大当り種別判定用、変動パターン判定用などの乱数値をそれぞれ抽出して、第1特図保留記憶部や第2特図保留記憶部における空きエントリの最上位に格納(記憶)する始動入賞処理を実行する。
また、CPU103は、第1特図保留記憶部や第2特図保留記憶部に記憶されている保留データの有無などに基づいて特図ゲームを開始するか否かの判定や、特図表示結果判定用の乱数値を示す数値データに基づき、特別図柄や演出図柄の変動表示結果を「大当り」とするか「小当り」とするかを、その変動表示結果が導出表示される前に決定(事前決定)する特別図柄通常処理を実行する。つまり、CPU103は、特図ゲームの変動表示を開始するときに、始動入賞が発生したときに記憶した乱数値に基づいて、当該変動表示の表示結果として大当り表示結果あるいは小当り表示結果を導出表示するか否かを決定(抽選)する処理を実行する。
次いで、変動パターンを複数種類のいずれかに決定する変動パターン設定処理、特別図柄を変動させるための設定や特別図柄が変動を開始してからの経過時間を計測する処理を行う特別図柄変動処理、特別図柄の変動を停止させて確定特別図柄を停止表示(導出)させるための設定を行う特別図柄停止処理を行う。変動表示結果が「大当り」となった場合は、大当り遊技状態において大入賞口を開閉させる処理を行う大当り開放前処理、大当り開放中処理、大当り開放後処理、大当り終了処理を行う。変動表示結果が「小当り」となった場合は、小当り遊技状態において上部大入賞口260を開閉させる処理を行う小当り開閉前処理、小当り開閉中処理、小当り開閉後処理、小当り終了処理を行う。
次に、演出制御基板12の動作を説明する。先ず、演出制御用CPU120は、電源が投入されると、メイン処理の実行を開始する。メイン処理では、まず、RAM領域のクリアや各種初期値の設定、また演出制御の起動間隔(例えば、2ms)を決めるためのタイマの初期設定等を行うための初期化処理を行う。メイン処理においてタイマ割込が発生すると、コマンド解析処理、演出制御プロセス処理、演出用乱数更新処理を実行する。
演出制御プロセス処理では、保留記憶数表示器5Uでの保留記憶表示を、保留記憶バッファの記憶内容に応じた表示に更新する保留表示更新処理を実行する。次いで、演出制御プロセスフラグの値に応じて、遊技制御用マイクロコンピュータ100から変動パターン指定コマンドを受信しているか否か確認する変動パターン指定コマンド受信待ち処理、演出図柄の変動が開始されるように制御する演出図柄変動開始処理、演出図柄変動開始処理にてセットされたプロセスデータに応じて変動パターンを構成する各変動状態(変動速度)の切替タイミング等の制御や変動時間の終了を監視するとともに、スピーカ8L,8Rからの音出力、演出用LED10及び遊技効果ランプ9の発光制御等を行う演出図柄変動中処理、演出図柄の変動を停止し表示結果(停止図柄)を導出表示する制御を行う演出図柄変動停止処理を行う。
このように演出制御用CPU120は、遊技制御用マイクロコンピュータ100から送信された演出制御コマンド(制御情報)に基づいて、演出図柄の変動表示制御や予告演出といった遊技に関連する各種演出を実行可能とされている。
演出制御用CPU120が演出図柄の変動表示中において実行する予告演出としては、例えば、大当りの可能性を示唆する大当り予告演出や、リーチになるか否かを示唆するリーチ予告、停止図柄を予告する停止図柄予告、遊技状態が確率変動状態であるか否か(潜伏しているか否か)を予告する潜伏予告といったように、変動表示開始時やリーチ成立時において実行される複数の予告を含む。
(可変入賞装置200の詳細)
次に、可変入賞装置200の詳細を図を参照しながら説明する。図3は、図1中の“III”部に着目した可変入賞装置上部の斜視図である。図4は、図3に示した可変入賞装置200上部の分解斜視図である。図5は、開閉蓋が上部大入賞口を閉鎖した状態の時の遊技球の流れを説明するための説明図である。また、図6は、開閉蓋が上部大入賞口を開放した状態の時の遊技球の流れを説明するための説明図である。図7は、可変入賞装置における遊技球の流れを説明するための図であり、(a)は図5中の矢視VIIa‐VIIaからみた図、(b)は図6中の矢視VIIb−VIIbからみた図である。なお、図4において、第1前面板210及び第2前面板220は、後方の構造が理解できるように反転させた状態で図示している。
可変入賞装置200は、遊技盤2の中央に設けられており、図3に示すように、遊技盤2に取り付けられたベース板230と、ベース板230に前方から取り付けられる第1前面板210及び第2前面板220と、ベース板230に設けられ可変入賞装置200の外観を概略構成する本体部240と、上部大入賞口260を開放状態と閉鎖状態とに変化させる開閉部材としての開閉蓋270とを備えている。ベース板230と、第1前面板210及び第2前面板220との間には、遊技球が流下する流路が形成されている。
第1前面板210は、図4に示すように、平板部211と、平板部211から突出し上方から移動してくる遊技球を左右に振り分ける振分部212と、中央に向けて下方に傾斜した傾斜面213a、214aを有する突出部213、214と、突出部213、214の上方に形成された突起部215、216と、突出部213、214の下方に形成された突起部217、218とを有している。可変入賞装置200に上方から流下してきて傾斜面213a、214aに到達した遊技球は、第1前面板210とベース板230との間で傾斜面213a、214a上を中央に向けて転動する。第1前面板210はベース板230にねじ止めされている。
第2前面板220は、図4に示すように、平板部221と、平板部221から突出した突出部222とを有している。突出部222は、中央に向けて下方に傾斜した3つの傾斜面222a、222b、222cと、中央に向けて転がった遊技球が落下する凹部223と、上部カウントスイッチ250を保持する保持部224とを有している。保持部224に差し込まれた上部カウントスイッチ250は、凹部223に落下した遊技球を検出する。また、第2前面板220には、平板部221と凹部223とを接続し、凹部223に落下した遊技球を後方へと誘導する湾曲した誘導片225が形成されている。第2前面板220はベース板230にねじ止めされる。
本体部240は、図1に示すように概ね円形状をなしており、その外縁は内側に遊技球が進入しないように遊技盤2から立設した壁面を形成している。本体部240の上部には、図4に示すように、中央に向けて下方に傾斜した傾斜面241a、241bと、外側に向けて下方に傾斜した傾斜面242a、242bとが形成されている。傾斜面241aと傾斜面242aとの接続箇所には段差243aが形成されている。また、傾斜面241bと傾斜面242bとの接続箇所には段差243bが形成されている。このような構成のため、段差243a、243bをよりも外側に形成された傾斜面242a、242bに到達した球技球は、外側に向けて転がる。一方、段差243a、243bよりも内側に形成された傾斜面241a、241bに到達した遊技球は、中央に向けて転がるため可変入賞装置200に進入する。そのため、本実施形態では、段差243aと段差243bとによって挟まれた領域は、可変入賞装置200に進入するための開口である上部大入賞口260に設定されている。
ベース板230には、ねじ止めされた第1前面板210の突出部213、214の上方に配置される突起部231、232と、開閉蓋270の上方に配置される複数の突起部233、234と、開閉蓋270を通すための開閉蓋用開口230aと、上部大入賞口260に進入した遊技球をベース板230の後方へと通過させるための通過口230bとが形成されている。突起部231、232と、第1前面板210に形成された突起部215、216とは、図5に示すように、傾斜面213a、214aを転がる遊技球の経路上に互いに異なる位置に配置される。また、突起部233、234と、第1前面板210に形成された突起部217、218とは、図5に示すように、開閉蓋270を転がる遊技球の経路上に沿って交互に配置される。
開閉蓋270は、図4に示すように、端部から中央に向けて上方に向かう山形状をなしている。開閉蓋270には、図4、5に示すように、外側に向けて下方に傾斜した第1傾斜面271a、271bと、第1傾斜面271a、271bよりも中央に位置するとともに傾斜角度が大きい第2傾斜面272a、272bと、第2傾斜面272aと第2傾斜面272bとを接続し開閉蓋270の頂部を構成する曲面状の凸部面273とを有している。また、開閉蓋270には、両端部に下方に屈曲した屈曲部274が形成されているとともに、下面には断面が半円状の2つの突起部270a(図5参照)が形成されている。このように屈曲部274が形成されていることにより、開閉蓋270と傾斜面242a、242bとの隙間が小さくなっている。また、開閉蓋270は、ベース板230に形成された開閉蓋用開口230aに挿通されているが、開閉蓋270は、屈曲部274と突起部270aとで開閉蓋用開口230aと接触している。このように、開閉蓋270を複数箇所で開閉蓋用開口230aと接触させていることで、開閉蓋270を安定した状態で支持され、遊技球が衝突してがたついたりすることを抑制することができる。また、屈曲部274及び突起部270aの開閉蓋用開口230aと接触する部位であり下方に突出した部位の断面を半円状としている。これにより、開閉蓋270と開閉蓋用開口230aとの接触面積を小さくすることができ、開閉蓋270の移動をスムーズに実行することができる。
また、開閉蓋270は、図7(a)に示すように、屈曲部274近傍の幅がその他の部分の幅よりも広く形成されている。具体的には、開閉蓋270が上部大入賞口260を閉鎖する閉鎖位置にある場合、開閉蓋270の屈曲部274のベース板230からの突出量L2は遊技球の直径よりも大きい。一方、開閉蓋270の屈曲部274近傍以外の部分のベース板230からの突出量L1は、遊技球の半径以上直径未満である。このような形状に形成された開閉蓋270は、開閉蓋用ソレノイド261(図2参照)のプランジャに接続されており、開閉蓋用ソレノイド261のオン状態とオフ状態とを切り替えることにより、前後方向に移動する。前方へと移動した開閉蓋270は、図7(a)に示すように、ベース板230から大きく突出した状態にあり、上部大入賞口260の上方を覆う。このとき、上部大入賞口260は閉鎖状態にある。一方、後方へと移動した開閉蓋270は、図7(b)に示すように、ベース板230から小さく突出した状態にあり、上部大入賞口260の上方を開放する。このとき、上部大入賞口260は開放状態にある。
開閉蓋270が前方に大きく突出して上部大入賞口260を閉鎖している状態にある場合に、可変入賞装置200に向かった遊技球の流れを図5を参照しながら説明する。なお、図5に示す遊技球の流れは一例であり、実際の遊技球の流れは様々であることは言うまでもない。可変入賞装置200に向かって突出部214の傾斜面214aに到達した遊技球P1は、傾斜面214aを中央に向けて転がり、やがて開閉蓋270へ落下する。開閉蓋270は上部大入賞口260を閉鎖しているために、遊技球P1は、上部大入賞口260に進入することができず、開閉蓋270の凸部面273に衝突して左右のいずれかの方向に振り分けられる。また、突出部213の傾斜面213aに到達した遊技球P2も同様に、傾斜面213aを中央に向けて転がり、やがて開閉蓋270へ落下する。その後、遊技球P2は、開閉蓋の凸部面273に衝突して左右のいずれかの方向に振り分けられる。左方向に振り分けられた遊技球P1、P2は、第1傾斜面271a上を左方へと転がり、本体部240の傾斜面242aに落下する。一方、右方向に振り分けられた遊技球P1、P2は、第1傾斜面271bを右方へと転がり、本体部240の傾斜面242bに落下する。このように、傾斜面242a、242bに落下した遊技球P1、P2は、遊技盤2に設けられた遊技領域を流下する。このように、開閉蓋270が上部大入賞口260を閉鎖している状態にある場合、可変入賞装置200に向かった遊技球は、上部大入賞口260に進入することなく遊技領域を流下していく。
なお、開閉蓋270の第1傾斜面271aを流下する遊技球P1、P2は、図7(a)に示すように、流路に向けて交互に突出した突起部218と突起部233との隙間を縫いながら蛇行する。開閉蓋270の第1傾斜面271bを流下する遊技球P1、P2も同様に、突起部217と突起部234との隙間を縫いながら蛇行する。これにより、開閉蓋270上を流下する遊技球P1、P2の速度を遅くすることができる。なお、図5、6に示す突出部214に形成された傾斜面214aを転がる遊技球P1も突起部216と突起部232との隙間を縫いながら蛇行する。同様に、突出部213に形成された傾斜面213aを転がる遊技球P2も、突起部215と突起部231との隙間を縫いながら蛇行する。
一方、開閉蓋270が上部大入賞口260を開放した状態にある場合に、可変入賞装置200に向かった遊技球の流れを図6を参照しながら説明する。なお、図6に示す遊技球の流れは一例である。可変入賞装置200に向かって突出部214の傾斜面214aに到達した遊技球P3は、傾斜面214aを中央に向けて転がり、やがて下方へと落下する。同様に、突出部213の傾斜面213aに到達した遊技球P4は、傾斜面213aを中央に向けて転がり、やがて下方へと落下する。なお、開閉蓋270は上部大入賞口260を開放した状態にあるため、落下した遊技球P3、P4は、上部大入賞口260に進入し、第2前面板220に形成された突出部222に落下する。突出部222に落下した遊技球P3、P4は、傾斜面222a、222b、222c上を中央に向けて転がり凹部223へと落下する。このように凹部223に落下する際に、遊技球P3、P4は上部カウントスイッチ250によって検出される。凹部223へと落下した遊技球P3、P4は、図4に示す誘導片225により後方へと導かれ、図7(b)に示すように、ベース板230に形成された通過口230bを通過する。
通過口230bの後方には、図6に示すように、左下方に向けて延びるワープ流路251と、右下方に向けて延びる排出路252とが設けられている。図8は、可変入賞装置のベース板の後方の構成を示した図であり、図6中の矢視VIII−VIIIから見た図である。また、図9は、回動表示装置が設けられた可変入賞装置の中央部に着目した斜視図である。可変入賞装置200は、図8に示すように、略くの字状の回動片253と、オン状態とオフ状態とを切り替えることでプランジャ255aを左右方向に移動させるステージ供給用ソレノイド255とを有している。回動片253は、プランジャ255aに連結された連結突起253bを有し、ステージ供給用ソレノイド255のオン状態とオフ状態とを切り替えることにより回動軸253aを中心に回動する。
図8(a)に示すように、ステージ供給用ソレノイド255がオン状態の場合、回動片253の屈曲面253cは前方を向く。また、ワープ流路251の下面は、排出路252の下面よりも低い位置にある。そのため、通過口230bを最初に通過した遊技球P5は、図8(a)に示すように、ワープ流路251に落ちるとともに、回動片253の屈曲面253cによってその移動が制限される。これにより、遊技球P5は、回動片253により保持される。
遊技球P5に続いて通過口230bを通過した遊技球P6は、図8(b)に示すように、遊技球P5のためにワープ流路251に進入することができず右側に進行方向を変える。遊技球P6は、そのまま排出路252を流下する。なお、排出路252には、排出カウントスイッチ256が設けられており、排出路252を通った遊技球は排出カウントスイッチ256により検出される。排出路252を通った遊技球は、可変入賞装置200の外部へと排出される。
回動片253が遊技球5を保持した状態で、ステージ供給用ソレノイド255をオン状態からオフ状態とすると、図8(b)から図8(c)に示すように、プランジャ255aがステージ供給用ソレノイド255本体から飛び出す。これにより、回動片253が回動軸253aを中心に回動し、遊技球P5をワープ流路251に向けてはじく。ワープ流路251を流下した遊技球P5は、図9に示す回動表示装置300の前方に形成されたステージ通路280を通って、中リールユニット500に設けられた遊技球待機部797aまで移動する。
(回動表示装置300の構成)
次に、回動表示装置300の詳細を図9〜図12を参照しながら説明する。回動表示装置300は、図9に示すように、左リールユニット400と、中リールユニット500と、右リールユニット600とを備えている。回動表示装置300は、可変入賞装置200の中央部に遊技者から視認できるように配置されている。
(中リールユニット500の構成)
図10は、中リールユニットの斜視図である。図11は、中リールユニットにおけるリール装置の分解斜視図である。また、図12は、入賞装置800に進入する遊技球の流れを説明するための図であり、(a)は特定領域進入口に遊技球が進入する場合の図、(b)及び(c)は通常領域進入口に遊技球が進入する場合の図である。中リールユニット500は、図10に示すように、リール装置700と、リール装置700の上部に設けられた入賞装置800とを備えている。
リール装置700は、図11に示すように、中リール本体710と遊技球搬送装置790とを有している。3本の間隔保持材795、796、797が、中リール本体710のベースプレート720と、遊技球搬送装置790のベースプレート794とを接続することで、中リール本体710と遊技球搬送装置790とが一体化される。これによりリール装置700の骨組みが構築される。なお、間隔保持材797には、ワープ流路251を流下してきた遊技球が待機する遊技球待機部797aが設けられている。
遊技球搬送装置790は、透明な材料から構成された円筒状の外リール791と、外リール791の内壁の中央に取り付けられた磁性体792と、外リール791に回転駆動を与える外リール用モータ793と、遊技球を検出する非接触式の近接センサ750とを備えている。遊技球搬送装置790は、外リール用モータ793が駆動することにより矢印Y1に示す方向に外リール791を回転させる。これにより、図9に示すように、磁性体792が遊技球待機部797aで待機する遊技球P5を吸着して、外リール791の中央部で周方向に沿って遊技球P5を搬送することができる。遊技球待機部797aの下面には近接センサ750が設けられている。近接センサ750は、図9の拡大図で示すように、遊技球待機部797aの網掛け部で示した検出範囲750a内にある遊技球を検出する。なお、中リール本体710と遊技球搬送装置790とが組み合わされた状態においては、内リール770は外リール791の内部に収容されている。前述したように、外リール791は透明な材料から構成されていることから、外リール791を通して内リール770を視認することが可能である。また、中リール本体710には、内リール770を回転させるリールモータ771(図2参照)が設けられている。
入賞装置800は、リール装置700の上方に設けられている。入賞装置800には、図10に示すように、入賞装置本体810と、入賞装置本体810に設けられた振分部820と、振分部820を駆動して左右方向に沿って往復移動させる振分部用モータ830とを有している。入賞装置本体810には、図12に示すように、外リール791と接する位置に遊技球が進入可能な大きさを有する通常領域進入口811、特定領域進入口812、及び通常領域進入口813が左右方向に沿って配列されている。
入賞装置本体810には、通常領域進入口811から延びる図示しない第1排出路が形成されており、通常領域進入口811から進入した遊技球は、第1排出路を通って入賞装置800から排出される。また、第1排出路には、通常領域スイッチ811a(図2参照)が設けられている。通常領域スイッチ811aは、通常領域進入口811に進入した遊技球を検出する。
入賞装置本体810には、特定領域進入口812から延びる図示しない第2排出路が形成されており、特定領域進入口812から進入した遊技球は、第2排出路を通って入賞装置800から排出される。また、第2排出路には、特定領域スイッチ812a(図2参照)が設けられている。特定領域スイッチ812aは、特定領域進入口812に進入した遊技球を検出する。
入賞装置本体810には、通常領域進入口813から延びる図示しない第3排出路が形成されており、通常領域進入口813から進入した遊技球は、第3排出路を通って入賞装置800から排出される。また、第3排出路には、通常領域スイッチ813a(図2参照)が設けられている。通常領域スイッチ813aは、通常領域進入口813に進入した遊技球を検出する。
振分部820は、通常領域進入口811、特定領域進入口812、及び通常領域進入口813の前方に配置されている。振分部820には、右斜め前方を向いた右側傾斜面820aと、左斜め前方を向いた左側傾斜面820bと、遊技球が通過可能な通過口820cとが形成されている。振分部820は、振分部用モータ830により駆動され、図12(b)に示す右側に寄った位置と、図12(c)に示す左側に寄った位置との間で往復移動する。
振分部820が、図12(a)に示すように入賞装置800の中央に位置する場合、外リール791の中央に吸着されて上方に搬送されてきた遊技球P7は、振分部820に形成された通過口820cを通過して特定領域進入口812に進入する。特定領域進入口812に進入した遊技球は、特定領域スイッチ812a(図2参照)に検出され、入賞装置800の外部へ排出される。
振分部820が、図12(b)に示すように入賞装置800の右側に位置する場合、外リール791の中央に吸着されて上方に搬送されてきた遊技球P8は、振分部820に形成された左側傾斜面820bにぶつかり、傾斜方向に沿って左側に移動する。そして、遊技球P8は、入賞装置800の左側に形成された通常領域進入口811に進入する。通常領域進入口811に進入した遊技球P8は、通常領域スイッチ811a(図2参照)に検出され、入賞装置800の外部へ排出される。
振分部820が、図12(c)に示すように入賞装置800の左側に位置する場合、外リール791の中央に吸着されて上方に搬送されてきた遊技球P9は、振分部820に形成された右側傾斜面820aにぶつかり、傾斜方向に沿って右側に移動する。そして、遊技球P9は、入賞装置800の右側に形成された通常領域進入口813に進入する。通常領域進入口813に進入した遊技球P9は、通常領域スイッチ813a(図2参照)に検出され、入賞装置800の外部へ排出される。
(小当り演出時の動作について)
次に、特図ゲームでの表示結果が「小当り」になった後の各部材の動作態様について説明する。図13は、小当り演出時における各部材の動作を示すタイミングチャートである。
特別図柄の変動が停止し、時刻t1で小当り表示結果を表示すると、小当り演出がオンとなり時刻t1からt2までの期間Iでファンファーレを実行する。ファンファーレでは、例えば、小当りしたことをスピーカ8L、8Rで報知したり、打ち出す遊技球の狙い位置を可変入賞装置200の上部とすべきであることをスピーカ8L、8R、遊技効果ランプ9等で知らせる。ステージ供給用ソレノイド255は、時刻t1でオフ状態からオン状態へと変化する。これにより、回動片253は、図8(a)に示す状態となり、屈曲面253cで1つの遊技球を保持できる方向に向けられる。外リール用モータ793は、図13に示すように、時刻t1でオフ状態からオン状態へと変化させる。期間Iでは通常、可変入賞装置200の内部に遊技球は存在しない。しかしながら、何らかの理由で遊技球が残っている場合に備えて、開閉蓋270が開閉し始める時刻t2になる前まで図9に示す外リール791を回転させる。このような外リール791の動作は、可変入賞装置200の内部に残った遊技球を排除するための動作であり、この期間に特定領域進入口812に遊技球が進入したとしても大当たりに移行することはない。なお、小当たり演出が実行されている間は、図10に示す遊技球待機部797aに遊技球が到達し近接センサ750で検出されることになる。そのため、図13に示すように、時刻t1において近接センサ750を用いた残留球監視モードはオフ状態とする。残留球監視モードのオフ状態は、小当たり演出が実行されている間は継続する。
ファンファーレが終了する時刻t2から時刻t3までの期間IIにおいて、可変入賞装置200に形成された上部大入賞口260(図4参照)の開放状態と閉鎖状態とが繰り返される。具体的には、開閉蓋用ソレノイド261のオン状態とオフ状態とを交互に繰り返すことで、開閉蓋270を図7(a)に示す大きく突出した閉鎖位置と、図7(b)に示す引っ込めた開放位置との間で移動させる。例えば、小当り遊技状態では、0.15秒の開放状態と1.0秒の閉鎖状態とが繰り返される。この繰り返しは、0.15秒の開放状態が10回実現されるか、上部大入賞口260に遊技球が10個入賞するかのいずれか早いタイミングまで継続される。なお、上部大入賞口260に入賞した遊技球の個数は、図6に示す上部カウントスイッチ250からの信号に基づいてカウントすることができる。図13においては、開放状態が10回実現された場合を図示している。
このように、上部大入賞口260(図4参照)の1回当たりの開放時間は0.15秒間という短期間である。しかしながら、このような短期間の開放時間であっても、上部大入賞口260(図4参照)に遊技球を進入させる構成を可変入賞装置200は有している。上述したように、開閉蓋270上を転がる遊技球は、図7(a)に示すように、ベース板230に形成された突起部233、234と、第1前面板210に形成された突起部217、218との隙間を縫いながら蛇行する。そのため、遊技球が開閉蓋270上から転がり落ちるまでに多くの時間を要し、開閉蓋270を開放する際により多くの遊技球を開閉蓋270上に留まらせておくことができる。また、閉鎖位置にある開閉蓋270の突出量L1を遊技球の直径未満としている。これにより、開閉蓋270を閉鎖位置から開放位置まで移動させる際の移動量を小さくすることができ、素早く上部大入賞口260を開放状態とすることができる。これにより、上部大入賞口260の開放時間が短かったとしても、遊技球を上部大入賞口260へ進入させやすい。
上部大入賞口260の開閉動作が終了した時刻t3からt4までの期間IVは、可変入賞装置200に進入した遊技球の排出待ち状態となる。具体的には、開閉蓋270の開閉動作が終了する時刻t3において、ステージ供給用ソレノイド255がオン状態からオフ状態に移行するとともに、外リール用モータ793がオフ状態からオン状態に移行する。
ステージ供給用ソレノイド255がオフ状態となることにより、回動片253が図8(b)に示す状態から図8(c)に示す状態に変化し、遊技球P5をワープ流路251に向けて移動させる。ワープ流路251を流下する遊技球P5が、図9に示す遊技球待機部797aに到達することで、図13に示すように近接センサ750がオン状態となる。
外リール用モータ793がオン状態となることにより、図9に示す外リール791が回転する。やがて、遊技球待機部797aに到達した遊技球P5は、磁性体792(図11参照)に吸着されて、外リール791の周方向に沿って上方に搬送される。このように遊技球P5が上方に搬送されることにより、近接センサ750との距離が離れ、近接センサ750はオフ状態となる。
時刻t4において、遊技球の可変入賞装置200からの排出が完了すると、時刻t5までの期間IVでエンディングに関する演出を実行する。エンディングに関する演出とは、間もなく小当り遊技状態が終了し、特別図柄の可変表示が開始されることを報知する演出である。また、時刻t4において、外リール用モータ793はオン状態からオフ状態に切り替えられる。これにより外リール791は、遊技球の排出が完了すると同時に回動が停止する。このように、外リール用モータ793は、遊技球の排出が完了するまでオン状態を継続する。
ここで、可変入賞装置200から遊技球が排出されたか否かの判断は、次のようにして行われる。上述したように、可変入賞装置200に進入した遊技球の個数は、図6に示す上部カウントスイッチ250によってカウントされる。そして、可変入賞装置200に進入した遊技球のうち、図8(b)に示す回動片253によって保持された1つの遊技球を除いた全ての遊技球は、右側の排出路252を流下し排出カウントスイッチ256によりカウントされる。すなわち、排出カウントスイッチ256でカウントされる遊技球の数は、上部カウントスイッチ250でカウントされた遊技球の数よりも1少ない。このため、排出カウントスイッチ256が、上部カウントスイッチ250での遊技球のカウント数よりも1少ない数の遊技球をカウントしたことが、可変入賞装置200から遊技球が排出されたことの1つの条件になる。さらに、上述のように、回動片253で保持された遊技球は、図9に示すように、ワープ流路251を通り、やがて外リール791の周方向に沿って上方へと搬送される。このように上方へと搬送された遊技球は、図12に示すように、通常領域進入口811、特定領域進入口812、及び通常領域進入口813のいずれかに進入して検出スイッチにて検出される。このように、入賞装置800に入賞したことが検出されることが、可変入賞装置200から遊技球が排出されたことのもう1つの条件になる。これら2つの条件を満たすことにより、可変入賞装置200からの遊技球の排出が完了したと判断する。なお、図13においては、遊技球が、通常領域進入口811あるいは通常領域進入口813に進入した場合について図示しており、大当たり遊技状態に移行した状態については図示していない。
時刻t5において、エンディングに関する演出の終了とともに小当り演出が終了し、特別図柄の可変表示が再開する。また、小当り期間中にオフ状態となっていた残留球監視モードはオン状態に移行する。
(残留球監視処理について)
次に、可変入賞装置200に残留した遊技球を監視する処理について、図14を参照しながら説明する。図14は、残留球監視処理のフローチャートである。残留球監視処理は、可変入賞装置200内に残っているはずのない遊技球を検出しエラーを報知する処理である。残留球監視処理は、サブ側の制御基板である演出制御基板12(図2参照)により実行される。
まず、パチンコ遊技機1の電源が投入されると、演出制御基板12は起動する(S101)。次に起動した演出制御基板12に設けられた演出制御用CPU120(図2参照)は、パチンコ遊技機1を可変入賞装置200内の遊技球の有無を監視しない残留球非監視モードに設定する(S102)。続いて演出制御用CPU120は、図10に示す近接センサ750によって遊技球待機部797aで待機する遊技球を検出したか否かを判定する(S103)。近接センサ750が遊技球を検出したと判定した場合(S103:Yes)、演出制御用CPU120は残留球監視モードに移行するか否かを判定する(S104)。同様に、近接センサ750が遊技球を検出していないと判定した場合(S103:No)も、演出制御用CPU120は残留球監視モードに移行するか否かを判定する(S104)。このように、パチンコ遊技機1が残留球非監視モードに設定されている場合には、近接センサ750の検出の有無に関わらずエラー報知は行われない。
演出制御用CPU120は、客待ち状態に移行するコマンドや、小当り演出を終了させるコマンドを遊技制御用マイクロコンピュータ100(図2参照)が送信したことに基づいて、残留球監視モードに移行すると判定し(S104:Yes)、パチンコ遊技機1を残留球監視モードに設定する(S105)。一方、演出制御用CPU120は、残留球監視モードに移行しないと判定すると(S104:No)、処理をS102に戻す。
続いて、演出制御用CPU120は、近接センサ750が遊技球を検出したか否かを判定する(S106)。演出制御用CPU120は、残留球監視モードが設定されている状態で、近接センサ750が遊技球を検出したと判定すると(S106:Yes)、存在するはずのない遊技球が可変入賞装置200内にあるとしてエラーを報知する(S107)。エラーの報知は、スピーカ8L、8Rからの警告音、遊技効果ランプ9の点滅や、ホールに設置された図示しない管理コンピュータへのエラー通知等によって行われる。
続いて、演出制御用CPU120は、残留球非監視モードに移行するか否かを判定する(S108)。演出制御用CPU120は、小当り演出を開始するコマンドを受信すると残留球非監視モードに移行すると判定し(S108:Yes)、パチンコ遊技機1を残留球非監視モードに設定する(S102)。一方、演出制御用CPU120は、パチンコ遊技機1を残留球非監視モードに移行しないと判定すると(S108:No)、処理をS106に戻す。
上述のように、パチンコ遊技機1においては、小当り遊技状態にある場合に限り、可変入賞装置200内への遊技球の進入を許容している。すなわち、小当り遊技状態以外では、可変入賞装置200内に遊技球は存在しないはずであることから、この期間には可変入賞装置200に残留した遊技球を監視するモードに設定する。一方、小当り遊技状態では、可変入賞装置200内に遊技球の進入は許与されることから、可変入賞装置200内の遊技球の監視は行わず、過ってエラー報知することを防止している。
(効果等について)
以上説明したように、本発明の実施例としてのパチンコ遊技機1にあっては、図5に示すように、可変入賞装置200に設けられた上部大入賞口260を開閉する開閉蓋270が、端部から中央に向けて上方に向かう山形状をなすように形成されている。そのため、可変入賞装置200に向かった遊技球は、開閉蓋270によって両側方に振り分けられて傾斜面を転がり落ちる。このように、可変入賞装置200に向かった遊技球を、特定の方向だけでなく異なる方向に振り分けることができるため、可変入賞装置200の配置の自由度を向上させることができる。
また、開閉蓋270は、図4、5に示すように、第1傾斜面271a、271bよりも中央に傾斜角度が大きい第2傾斜面272a、272bを有している。これにより、第2傾斜面272a、272bで、第1傾斜面271a、271bを転がり上がって逆流する遊技球を止めて、第1傾斜面271a、271bを流下させることができる。そのため、遊技球の流れをスムーズにすることができる。
また、開閉蓋270の頂部を構成する凸部面273を曲面状として丸みを帯びるように形成している。これにより、凸部面273に遊技球が衝突したとしても破損やひび割れ等の不具合が生じることを抑制することができ、可変入賞装置200の耐久性を高めることができる。
また、図7(a)に示すように、閉鎖位置にある開閉蓋270の突出量L1を遊技球の直径未満としている。このように、開閉蓋270の突出量L1を直径未満とすることで、開閉蓋270を閉鎖位置と開放位置との間での移動量を小さくすることができる。そのため、上部大入賞口260を開放状態と閉鎖状態との間で速やかに移行することができる。
また、開閉蓋270の両端部には、図4、5に示すように、下方に屈曲した屈曲部274が形成されている。このように屈曲部274が形成されていることにより、開閉蓋270と傾斜面242a、242bとの隙間が小さくなっており、開閉蓋270をこじ開けて遊技球を可変入賞装置200に進入させるといった不正を抑制することができる。また、開閉蓋270の端部を補強することができ、遊技球が開閉蓋270の端部に衝突して破損するといった不具合を抑制することができる。
また、開閉蓋270は、両端部に形成された屈曲部274で開閉蓋用開口230aと接触させている。開閉蓋270を複数箇所で開閉蓋用開口230aと接触させていることで、開閉蓋270は安定した状態で保持され、遊技球が衝突して開閉蓋270ががたつくといった不具合を抑制することができる。
また、図5に示すように、開閉蓋270に形成された屈曲部274の開閉蓋用開口230aと接触する部位の断面を半円状としている。これにより、開閉蓋270と開閉蓋用開口230aとの接触面積を小さくすることができ、開閉蓋270の前後方向の移動をスムーズに実行することができる。
また、開閉蓋270が上部大入賞口260を閉鎖する閉鎖位置にある場合、開閉蓋270の屈曲部274のベース板230からの突出量L2は、その他の部位の突出量L1よりも大きく、遊技球の直径よりも大きい。これにより、開閉蓋270が閉鎖位置にある場合、図3に示すように、開閉蓋270の端部と第1前面板210との隙間を小さくすることができ、不正行為に使用される工具等を差し込みにくくすることができる。これにより、可変入賞装置200に対する不正行為を抑制することができる。
また、可変入賞装置200は、図1に示すように、遊技盤2(遊技領域)の中央に設けられている。これにより、可変入賞装置200に向けて発射された遊技球を、特定の方向に片寄らせることなく左右に振り分けることができる。そのため、遊技領域の全域にわたって好適に遊技球を流下させることができる。
また、可変入賞装置200は、図1に示すように、遊技盤2の上部に設けられているため、打球操作ハンドル30を操作して発射した遊技球で、可変入賞装置200を直接狙うことができる。これにより、狙う対象に向けて遊技球を発射するというゲーム性を提供することができる。
また、小当り遊技状態では、開閉蓋270を移動させて、0.15秒の開放状態と1.0秒の閉鎖状態とを繰り返している。このように、1回あたりの開放状態の期間を短くすることで、メリハリのある開閉動作を実現することができる。また、針金や磁石等を用いた不正行為を抑制することができる。
(他の形態について)
この発明は、上記実施の形態に限定されず、様々な変形及び応用が可能である。上記実施の形態では、凸部面273を開閉蓋270の中央に設けていた。しかしながら、凸部面273の開閉蓋における位置は、任意とすることができる。第2実施の形態に係る遊技機として、凸部面の形成位置が開閉蓋の中央に位置しない遊技機について、図15を参照しながら説明する。なお、本実施形態に係る遊技機の構成の大部分は、上記実施の形態の遊技機の構成と同様である。そのため、両実施形態で異なる構成を中心に説明するものとし、同一の構成あるいは自明の構成については説明を省略する。図15は、第2実施の形態に係る遊技機の開閉蓋を示した図であり、(a)は正面図、(b)は上方からみた図である。
本実施の形態に係る遊技機の開閉蓋370は、図15(a)に示すように、凸部面373の形成位置が開閉蓋370の中央ではなく右側に寄っている。そのため、第1傾斜面371aは、第1傾斜面371bより長い。また、開閉蓋370は、傾斜角度が大きい第2傾斜面372a、372bと、第2傾斜面372aと第2傾斜面372bとを接続し開閉蓋370の頂部を構成する曲面状の凸部面373とを有している。
図15(b)に示すように、凸部面373によって左側に振り分けられた遊技球P10は、流路に向けて交互に突出したベース板330に形成された突起部333と第1前面板310に形成された突起部318との隙間を縫いながら蛇行する。また、右側に振り分けられた遊技球P10も、流路に向けて交互に突出したベース板330に形成された突起部334と第1前面板310に形成された突起部317との隙間を縫いながら蛇行する。なお、第1傾斜面371aは第1傾斜面371bよりも長いため、対応する突起部もより多く配置されている。
このような可変入賞装置は、例えば、遊技盤2の右側に配置し、左側に振り分けられて遊技盤の中央に戻る遊技球は入賞口に進入する可能性を残させ、右側に振り分けられた遊技球はアウト口に進入するように構成してもよい。これにより、可変入賞装置で左右どちらに遊技球が振り分けられるかについて遊技者に注目させることができる。
上記実施の形態では、上部大入賞口260を有する可変入賞装置200を遊技領域の上部中央に設ける場合について説明した。しかしながら、可変入賞装置200は任意の位置に配置することができる。第3実施の形態では、図16に示すように、可変入賞装置900を、入賞球装置6Aの下方に設け、大入賞口を有する特別可変入賞球装置として用いている。可変入賞装置900は、大当り遊技状態で図示しない開閉蓋を開放位置にして大入賞口を開放状態とする。開放状態は、所定期間(例えば29秒間)の経過タイミングと、大入賞口に進入した遊技球の数が所定個数(例えば9個)に達するまでのタイミングと、のうちのいずれか早いタイミングまで継続する。可変入賞装置900は、大当たり遊技状態以外では、図示しない開閉蓋を閉鎖位置にして大入賞口を閉鎖状態とする。なお可変入賞装置900においては、図4に示す通過口230a以降のワープ流路251、排出路252の構成は不要であり、通過口を通過した遊技球をそのまま回収するようにすればよい。また、開放状態の期間は、例えば29秒間と上記実施の形態よりも長いため、開閉蓋上に多くの遊技球を留めておくための突起部217、218、233、234は設けなくてもよい。
また、可変入賞装置は、遊技球が所定のゲートを通過したことにより開閉蓋を開放する入賞球装置として遊技盤に配置してもよい。このような可変入賞装置を遊技領域の下部に設けることで、何れの入賞口に進入せずにアウト口に取り込まれてしまうと思われた遊技球が、突然開放状態となった可変入賞装置に進入させることができる。これにより、最後まで遊技領域を流下する遊技球の動きに注目させることができる。
また、開閉蓋270は、傾斜角度の小さな第1傾斜面271a、271bと、傾斜角度の大きな第2傾斜面272a、272bとを有し、傾斜角度の異なる傾斜面271a、271b、272a、272bを隣接させていた。しかしながら、開閉蓋の傾斜面を中央に向けて徐々に傾斜角度が大きくなるように構成して、遊技球の逆流を防止するようにしてもよい。
また、開閉蓋270の両端部に形成された屈曲部274の下方に突出した部位の断面形状は半円状であるとしたが、開閉蓋用開口230aとの接触範囲を小さくできるのであれば、その断面形状は限定されない。例えば、三角形状として、その頂点で開閉蓋用開口230aと接触するようにしてもよい。
また、上記実施の形態では、開閉蓋270の頂部を構成する凸部面273は曲面状であるとしたが、遊技球が衝突することにより局所的に高い力が作用しない形状であればよく、例えば平面状であってもよい。
また、開閉蓋270の両端に屈曲部274を形成することで、開閉蓋270端部の補強と、可変入賞装置200に対する不正の抑制とを実現していたが、その他の方法で実現するようにしてもよい。例えば、両端に向かうにつれて開閉蓋270の厚みを厚くするようにして、開閉蓋270端部の補強と、可変入賞装置200に対する不正の抑制とを実現してもよい。
上記実施の形態や各変形例では、遊技機の一例としてパチンコ遊技機1を例示しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、予め定められた球数の遊技球が遊技機内部に循環可能に内封され、遊技者による貸出要求に応じて貸し出された貸出球や、入賞に応じて付与された賞球数が加算される一方、遊技に使用された遊技球数が減算されて記憶される、所謂、封入式遊技機にも本発明を適用可能である。これら封入式遊技機においては遊技球ではなく得点やポイントが遊技者に付与されるので、これら付与される得点やポイントが遊技価値に該当する。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。