以下、実施形態を図面に基づいて説明する。以下の各実施形態では、エンジン(内燃機関)を駆動源として走行する車両において、各種の車載機器(負荷)に対する給電を行う車載電源システムを具体化するものとしている。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一又は均等である部分には、図中、同一符号を付しており、同一符号の部分についてはその説明を援用する。
(第1実施形態)
図1に示すように、電源システムは、鉛蓄電池11、リチウムイオン蓄電池12、スタータ13、回転電機16、非保護負荷(負荷20)、保護負荷(負荷31,32)、スイッチSW1〜SW5、バイパススイッチSW6、ヒューズF1、制御装置100を備えている。
鉛蓄電池11は周知の汎用蓄電池である。これに対して、リチウムイオン蓄電池12は、鉛蓄電池11に比べて充放電における電力損失が少なく、かつ出力密度及びエネルギー密度が高い高密度蓄電池である。すなわちリチウムイオン蓄電池12は、鉛蓄電池11よりも充放電効率が高い特性、及び充放電の繰り返しに対する耐久性が高い特性を有していると言える。
またリチウムイオン蓄電池12は、鉛蓄電池11に比べると、充電状態(SOC:State of Charge)の変動に対する電圧変動範囲が大きく、かつ内部抵抗が小さい特性を有している。更にリチウムイオン蓄電池12は、鉛蓄電池11に比べると、サイクル特性が優れており、かつ充放電による劣化が比較的に穏やかな特性を有している。なおSOCとは、満充電時の充電量に対する実際の充電量の割合を言う。
鉛蓄電池11及びリチウムイオン蓄電池12には、図示を略す電圧センサ、電流センサ及び温度センサが設けられている。また両蓄電池11,12は、回転電機16に対して電気的に並列接続されている。そのため、回転電機16の発電で発生した発電電力によって両蓄電池11,12を充電したり、少なくとも一方の蓄電池11,12からの給電で回転電機16を駆動したりできる。
回転電機16は、3相交流モータとそのモータの駆動を制御するモータ制御部とを有するモータ機能付き発電機であり、例えば図1に示すように、機電一体型のISG(Integrated Starter Generator)として構成される。回転電機16は、エンジン出力軸や車軸の回転により発電(回生発電)を行う発電機能と、エンジン出力軸に回転力を付与する力行機能とを備えている。
例えば車両の走行中には、回転電機16はその発電機能によって発電を行い、その発電電力が各蓄電池11,12等に供給される。一方、車両の停車時において、アイドリングストップ制御で自動停止されているエンジンENGが再始動される際には、回転電機16の力行機能によって、各蓄電池11,12からの電力供給でエンジン出力軸等が回転されることにより、エンジンENGが再始動される。
非保護負荷である負荷20は、入力電圧の変動が比較的に許容される車載機器EL1から構成される。例えば車載機器EL1は、シートヒータやリヤウインドウのデフロスタ用ヒータ、ヘッドライト、フロントウインドウのワイパ、空調装置の送風ファン等である。負荷20は、これらの車載機器EL1のうちの少なくとも一つから構成される。
保護負荷である負荷31,32は、入力電圧の変動の許容範囲が比較的に狭い車載機器EL2から構成される。例えば車載機器EL2は、ナビゲーション装置やオーディオ装置、メータ装置、エンジンECU等の各種ECU、電動ステアリング装置やブレーキ装置等の走行系アクチュエータ等である。各負荷31,32は、これらの車載機器EL2のうちの少なくとも一つから構成される。なお車載機器EL2に対しては、不要なリセット等が生じることを抑制するために、供給電力の電圧変動が抑えられることが求められる。よって保護負荷は、定電圧要求負荷ということもできる。
ところで、図1では車載機器EL2が2系統の負荷31、32に分けて設けられているが、仮にこれらの車載機器EL2が一系統の負荷30にまとめられており、その負荷30に対して、複数の蓄電池11,12のうちの一方のみから給電が行われる構成であるとすると、負荷30の要求電力に対して一方の蓄電池の供給可能電力が不足すると、当該蓄電池から負荷に対して給電できなくなってしまう。
なお近年では、車載機器EL2の種類や個数が増加するだけでなく、個々の車載機器EL2の消費電力量も増加傾向にある。そのため負荷30の要求電力に対して、一方の蓄電池11,12によって供給可能な電力に不足が生じやすくなっているとも考えられる。
そこで、一方の蓄電池から負荷30への給電が行えなくなった場合に、他方の蓄電池からの給電に切り替えることが考えられる。しかし電源システムに複数の蓄電池が設けられていたとしても、一方の蓄電池よりも他方の蓄電池の充放電効率が低い特性を有していたり、一方の蓄電池よりも他方の蓄電池の方が、頻繁な充放電に対して低い耐久性を有していたりすることがある。そのため、一方の蓄電池の給電に不足がある場合に他方の蓄電池からの給電に切り替えると、燃費や蓄電池の保護の点で不利になることがある。
例えば図1では、リチウムイオン蓄電池12は、鉛蓄電池11よりも充放電効率が高い特性、及び頻繁な充放電に対する耐久性が高い特性を有している。そのため、リチウムイオン蓄電池12からの給電が行われており、かつリチウムイオン蓄電池12の供給可能電力が不足した場合に、鉛蓄電池11からの給電に切り替えてしまうと、燃費効率や、鉛蓄電池11の保護を図る点で不利になってしまう。
そこで、本実施形態では、複数個の車載機器EL2を、複数系統の負荷31,32の集合に分けて設けることで、負荷31,32ごとの要求電力の最大値が抑えられるようにする。その上で、負荷31,32ごとの要求電力、蓄電池11,12ごとの供給可能電力に応じて、各蓄電池11,12から各負荷31,32へと給電する際の組み合わせを任意に設定できるようにする。すなわち、各負荷31,32に対しては、両蓄電池11,12のうちの一方が接続されるだけでなく、両方が同時に接続されることが可能な構成にする。
このように電源ユニットを構成すれば、各負荷31,32の要求電力に対して、いずれか一方の蓄電池11,12の供給可能電力が不足することを生じにくくできる。また、各負荷31,32の要求電力に対して、いずれか一方の蓄電池11,12の供給可能電力が不足したとしても、その一方の蓄電池11,12による給電を継続しつつ、一方の蓄電池11,12による供給可能電力の不足分を、他方の蓄電池からの給電によって補うことができる。
図1の例では、リチウムイオン蓄電池12からの給電が行われており、かつリチウムイオン蓄電池12の供給可能電力が不足した場合には、リチウムイオン蓄電池12による給電を継続しつつ、その不足分を鉛蓄電池11からの給電で補うようにする。これにより燃費効率や、鉛蓄電池11の保護を図りつつ、各負荷31,32に対して給電することができる。
図1に示すように、電源システムは電池ユニットUを用いて構成される。電池ユニットUは、上記構成のうち、リチウムイオン蓄電池12、スイッチSW1〜SW5、バイパススイッチSW6及び制御装置100を筐体(収容ケース)に収容して一体化することで構成される。なお、電池ユニットUにおいて、各スイッチSW1〜SW5、バイパススイッチSW6及び制御装置100は同一基板に実装されるものである(図示略)。
また電池ユニットUは、外部端子として出力端子P1〜P5を備えている。このうち出力端子P1には鉛蓄電池11、スタータ13及び負荷20(車載機器EL1)が接続される。出力端子P2には回転電機16が接続される。出力端子P3には負荷31(車載機器EL2)が接続される。出力端子P4には負荷32(車載機器EL2)が接続される。また、出力端子P5には一定以上の過電流で溶断するヒューズF1が接続される。
更に電池ユニットUは、鉛蓄電池11及びリチウムイオン蓄電池12を接続する電気経路L1を有している。具体的には、電気経路L1は、出力端子P1とリチウムイオン蓄電池12とを繋ぐ電気経路である。この電気経路L1の中間点である接続点N1と、出力端子P2とが電気的に接続されている。なお電気経路L1とN1−P2間の経路は、回転電機16に対する入出力電流を流すことを想定した大電流経路であり、この経路を介して、各蓄電池11,12及び回転電機16の相互の通電が行われる。
電気経路L1には、回転電機16と各蓄電池11,12との電気的な接続状態を切り替えるスイッチSW1が設けられている。本実施形態ではスイッチSW1として、接続点N1よりも鉛蓄電池11の側にスイッチSW1A、接続点N1よりもリチウムイオン蓄電池12の側にスイッチSW1Bが設けられている。
また電気経路L1において、スイッチSW1Aと鉛蓄電池11との間の接続点N2には、並列経路PL1(第1並列経路)が接続されている。並列経路PL1は、互いに並列接続された分岐部BL1及び分岐部BL2を備えている。分岐部BL1は出力端子P3を介して負荷31と接続されている。分岐部BL2は出力端子P4を介して負荷32と接続されている。また分岐部BL1において、接続点N2と負荷31との間にはスイッチSW2が設けられている。分岐部BL1において、接続点N2と負荷32との間にはスイッチSW3が設けられている。
更に電気経路L1において、スイッチSW1Bとリチウムイオン蓄電池12の間の接続点N3には、並列経路PL2(第2並列経路)が接続されている。並列経路PL2は、互いに並列接続された分岐部BL3及び分岐部BL4を備えている。分岐部BL3は出力端子P3を介して負荷31と接続されている。分岐部BL4は出力端子P4を介して負荷32と接続されている。また分岐部BL3において、接続点N3と負荷31との間にはスイッチSW4が設けられている。分岐部BL4において、接続点N3と負荷32との間にはスイッチSW5が設けられている。
なお、出力端子P3とスイッチSW2との間の電気経路、及び出力端子P3とスイッチSW4の間の電気経路はそれぞれ、電気経路L1側と比べて小電流を流すことを想定した小電流経路である。すなわち、電気経路L1に比べて許容電流が小さい小電流経路である。この経路を介して、各蓄電池11,12から負荷31への通電が行われる。
同様に出力端子P4とスイッチSW3の間の電気経路、出力端子P4とスイッチSW5の間の電気経路はそれぞれ、電気経路L1側と比べて流を流すことを想定した小電流経路である。この経路を介して、各蓄電池11,12から負荷32への通電が行われる。
各スイッチSW1〜SW5は、半導体スイッチ(MOSFET等)を用いて構成することができる。例えば各スイッチSW1〜SW5は、2×n個の半導体スイッチを用いて構成するとよい。詳しく説明すると、まず2個の半導体スイッチを直列接続して直列接続体を構成する。この際、互いの寄生ダイオードが逆向きとなるように接続する。このような構成とすることで、スイッチSW1〜SW5をオフにすれば、MOSFETの寄生ダイオードを介して流れる電気経路についても遮断できる。なお、このような半導体スイッチの直列接続体を複数個を並列接続すれば、各スイッチSW1〜SW5を介して流れる電流の許容量を大きくすることができる。
また負荷20と並列経路PL1とは、出力端子P5に設けられたバイパス経路L10を介して接続されている。具体的には、バイパス経路L10の一端は負荷20に接続されている。またバイパス経路L10の他端は2系統に分岐されており、一方が分岐部BL1に接続され(具体的にはスイッチSW2と負荷31との間に接続され)、他方が分岐部BL2に接続されている(具体的にはスイッチSW3と負荷32との間に接続されている)。
バイパス経路L10の途中には、システムの停止状態で導通状態となるノーマリオープン式のバイパススイッチSW6が設けられている。なおバイパススイッチSW6としては、リレー、機械式スイッチ等が用いられる。よって、システムの停止状態では、このバイパススイッチSW6を介して、鉛蓄電池11から各負荷31,32に対して暗電流が供給されることとなる。またシステムの作動状態においても、スイッチSW2,SW3に非導通となる異常が生じた場合等に、バイパススイッチSW6が導通状態に切り替えられることで、バイパス経路L10を介して、鉛蓄電池11から各負荷31,32への給電経路が確保されることとなる。
各スイッチSW1〜SW6のオン(導通状態、閉状態)とオフ(非導通状態、開状態)とは、制御装置100によって切り替えられる。制御装置100は、主に電源システムの制御を行う装置であり、CPU、ROM、RAM、I/Oインタフェース等を備えるマイコンを用いて構成されている。制御装置100は、ECU200とCAN等の通信ネットワークを介して相互に通信可能に接続されている。ECU200は、電池ユニットU外の上位制御装置である。これらの制御装置100及びECU200に記憶される各種データは互いに共有できるものとなっている。
ECU200は、電源システム及び各種車載機器EL1,EL2を制御する装置であり、CPU、ROM、RAM,I/Oインタフェース等を備えるマイコンを用いて構成されている。ECU200は、回転電機16による発電状態を制御する発電制御部201、エンジンENGの燃費向上を図るアイドリングストップ制御をするエンジン制御部202の各機能を備えている。なお、ECU200が備えるこれらの各機能は、CPUがROMに記憶されているプログラムを実行することで実現される。
発電制御部201は、回転電機16による回生発電を行う際には、各蓄電池11,12から取得した端子間電圧の検出結果に基づき、回転電機16の出力電圧を目標電圧とするための指令信号を生成する。すなわち、回転電機16の回生発電は、回転電機16の出力電圧が蓄電池の端子間電圧よりも大きいときに行われる。そして、この際の回転電機16による発電電力は、回転電機16の出力電圧と蓄電池の端子間電圧との電位差に依存する。そこでECU200は、蓄電池の端子間電圧と回転電機16の出力電圧との電位差に基づき目標電圧を設定する。
回転電機16側において、ECU200からの指令信号を受信すると、回転電機16の制御部(図示略)が、回転電機16が備える半導体スイッチング素子(図示略)のオンオフをPWM(Pulse Width Modulation)制御する。これにより、回転電機16の出力電圧が目標電圧となるように発電電力の供給量を制御する。なお回転電機16による発電電力の供給量、すなわち蓄電池の充電量、負荷への電力の供給量は、PWM制御のデューティ比が高いほど増加し、デューティ比が低いほど減少することとなる。
エンジン制御部202は、アイドリングストップ制御として、走行中の車両が停車して、車速が所定未満になる等の所定条件が成立した際にエンジンENGを自動的に停止させる。また、エンジンENGの停止状態で、アクセルがオンにされる等の所定条件が成立した際に、エンジンENGを自動的に再始動させる。
図2に示すように、制御装置100のCPUは、ROMに記憶されているプログラムを実行することで、取得部101、選択部102、判定部103、制御部104の各機能を実現する。
取得部101は、負荷31が現在要求する「要求電力RW1」、負荷32が現在要求する「要求電力RW2」をそれぞれ取得し、その合計値として両負荷31,32が要求する「総要求電力TRW」を取得する。なお、要求電力RW1は、負荷31を構成する各車載機器EL2の制御部(図示略)から取得される。要求電力RW2は、負荷32を構成する車載機器EL2の制御部から取得される。
また取得部101は、鉛蓄電池11が現時点で供給可能な「供給可能電力AW1」、リチウムイオン蓄電池12が現時点で供給可能な「供給可能電力AW2」をそれぞれ取得し、その合計値として両蓄電池11,12から供給可能な「供給可能電力AW」をそれぞれ取得する。
なお、供給可能電力AW1は、鉛蓄電池11の制御部(図示略)から取得した各種パラメータ(電圧、電流、温度等)を用いて算出されるSOCに基づき認識できる。同様に、供給可能電力AW2は、リチウムイオン蓄電池12の制御部(図示略)から取得した各種パラメータ(電圧、電流、温度等)を用いて算出されるSOCに基づき認識できる。なおSOCの算出方法は周知であるため詳述は省略するが、例えば、各蓄電池11,12の端子間電圧と、電流の積算値、温度の各パラメータを所定のマップに当てはめることで求められる。
選択部102は、蓄電池選択部102a、負荷選択部102bを備えている。蓄電池選択部102aは、両蓄電池11,12のうち、負荷31,32に対する給電の優先度が高い方の蓄電池11,12を対象蓄電池TBとして選択する。
本実施形態では、通常は充放電特性や耐久性の点で優れているリチウムイオン蓄電池12を対象蓄電池TBに選択する。一方、鉛蓄電池11のSOCが所定の上限値を超えて過充電となるおそれがあり、鉛蓄電池11の放電が必要となる場合、リチウムイオン蓄電池12の温度が許容温度を超えてしまうおそれがあり、リチウムイオン蓄電池12の充放電を行わない方がよい場合等に、鉛蓄電池11を対象蓄電池TBに選択する。
負荷選択部102bは、負荷31及び負荷32のうち電力供給の優先度の高い方の負荷を対象負荷TRに選択する。本実施形態では、負荷31及び負荷32のうち、要求電力が大きい方の負荷を対象負荷TRに選択する。
すなわち、両負荷31,32のうち、負荷31の要求電力の方が大きければ(要求電力RW1>要求電力RW2)、負荷31を対象負荷TRに選択する。負荷32の要求電力の方が大きければ(要求電力RW1<要求電力RW2)、負荷32を対象負荷TRに選択する。よって本実施形態では負荷31及び負荷32の動作状況に応じて、負荷31,32のいずれかが対象負荷TRに選択されることとなる。
判定部103は、対象蓄電池TB及び対象負荷TRの選択結果と、要求電力RW1,RW2及び供給可能電力AW1,AW2の取得結果とに基づいて、各負荷31,32に対して対象蓄電池TBとそれ以外の蓄電池の両方で給電するか、いずれか一方で給電するかを判定する。すなわち各負荷31,32に対して、鉛蓄電池11及びリチウムイオン蓄電池12のいずれか一方から給電するか、両方から給電するかを判定する。
具体的には判定部103は、対象蓄電池TBの供給可能電力よりも総要求電力TRWが大きく、対象蓄電池TBの給電によって両方の負荷31,32の要求電力を賄うことができる場合には、対象蓄電池TBから両負荷31,32に給電することを判定する。
総要求電力TRWよりも供給可能電力AW2が小さく、対象蓄電池TBのみの給電では両負荷31,32への給電を賄えない場合には、対象蓄電池TBから対象負荷TRに対して優先して給電することを判定する。この際、対象負荷TRの要求電力よりも対象蓄電池TBの供給可能電力が大きければ(要求電力<供給可能電力)、対象蓄電池TBの供給可能電力のうち、対象負荷TRによって消費されない供給可能電力の余剰分(余剰電力ΔW)が生じることとなる。
そこでこの場合には、対象負荷TR以外の負荷に対しても、対象蓄電池TBから給電することを判定する。一方、対象負荷TRの要求電力よりも対象蓄電池TBの供給可能電力が小さければ(要求電力>供給可能電力)、対象負荷TRの要求電力に対して対象蓄電池TBの給電に不足が生じることとなる。そこでこの場合には、対象蓄電池TB以外の蓄電池からも対象負荷TRに対して給電することを判定する。
更に対象蓄電池TBの供給可能電力がゼロである等、対象蓄電池TBの供給可能電力が所定の閾値Thよりも小さく、対象蓄電池TBからの給電が行えない場合には、対象蓄電池TB以外の蓄電池から、対象負荷TRを含む両負荷31,32に対して給電することを判定する。
制御部104は、各蓄電池11,12の充放電状態に基づいてスイッチSW1のオンオフを制御したり、判定部103の判定結果に基づいて、各スイッチSW2〜SW6のオンオフを制御したりする「スイッチ制御」を行う。
すなわち「スイッチ制御」として、まず制御部104は、回転電機16と各蓄電池11,12との間で通電をするか否かに基づいてスイッチSW1(スイッチSW1A,SW1B)のオンオフを切り替える。具体的には、回転電機16の発電電力で蓄電池11,12を充電する場合や、蓄電池11,12からの電力供給で回転電機16を駆動する場合には、スイッチSW1(スイッチSW1A,SW1B)をオンにする。一方、制御部104は、回転電機16と各蓄電池11,12とを電気的に非接続にする場合や、両蓄電池11,12の間を電気的に非接続にする場合にはスイッチSW1(スイッチSW1A,SW1B)をオフにする。
なお図1に示すように、回転電機16と各蓄電池11,12との間に個別にスイッチSW1A,スイッチSW1Bが設けられている構成においては、これらの各スイッチSW1A,SW1Bのオンオフを個別に切り替えれば、回転電機16と各蓄電池11,12との電気的な接続状態を個別に切り替えることができる。
具体的には、スイッチSW1Aをオンオフすれば、回転電機16と鉛蓄電池11との電気的な接続状態を切り替えられる。スイッチSW1Bをオンオフすれば、回転電機16とリチウムイオン蓄電池12との電気的な接続状態を切り替えられる。また、スイッチSW1A,SW1Bのうちの少なくとも一方をオフにすれば、両蓄電池11,12の間を電気的に非接続にすることができる。
また制御部104は、判定部103の判定結果に基づいて、各スイッチSW2〜SW5のオンオフを制御する。具体的には、制御部104は、鉛蓄電池11と負荷31とを電気的に接続する場合にはスイッチSW2をオン、非接続にする場合にはスイッチSW2をオフにする。鉛蓄電池11と負荷31とを電気的に接続する場合にはスイッチSW3をオン、非接続にする場合にはスイッチSW3をオフにする。またリチウムイオン蓄電池12と負荷31とを電気的に接続する場合にはスイッチSW4をオン、非接続にする場合にはスイッチSW4をオフにする。リチウムイオン蓄電池12と負荷32とを電気的に接続する場合にはスイッチSW5をオン、非接続にする場合にはスイッチSW5をオフにする。
ところで、ECU200からの指令信号に基づき、自動停止されたエンジンENGが再始動される際には、エンジンENGの再始動に伴う要求電力の上乗せ分が発生する。そこで本実施形態において、制御装置100の取得部101は、エンジンENGが自動停止された状態では、エンジンENGの再始動時に伴って発生する要求電力の上乗せ分としての「予測電力α」を取得する。そして予測電力αを加味して総要求電力TRWを算出する。
よって取得部101は、エンジンENGの再始動が行われる状況では、各負荷31,32の現時点での要求電力RW1,RW2と、予測電力αとの合計値として総要求電力TRWを取得する。そして判定部103は、この総要求電力TRWに基づいて、各負荷31,32に対して、各蓄電池11,12の一方又は両方を接続するかを判定することとなる。このような処理によって、エンジンENGの再始動時における要求電力の増加量を見越して、各負荷と各蓄電池との電気的な接続状態を予め切り替えることができる。
次に制御装置100が行う処理の詳細を図3〜図6のフローチャートを用いて説明する。なお図3〜図6の各処理は、電源システムの起動状態において、制御装置100が所定周期で繰り返し実施する。なお各フローチャートでは、負荷31を「負荷1」、負荷32「負荷2」、鉛蓄電池11を「Pb」、リチウムイオン蓄電池12を「Li」としている。
まず図3に示すように、制御装置100は、鉛蓄電池11の供給可能電力AW1及びリチウムイオン蓄電池12の供給可能電力AW2を取得する(S11)。また負荷31の要求電力RW1及び負荷32の要求電力RW2を取得する(S12)。そしてこれらの合計値としての総要求電力TRWを取得する(S13)。
総要求電力TRWの取得処理について、詳しくは図4のサブルーチンに示すように、まずエンジンENGが自動停止されているか否かを判定する(S131)。エンジンENGが自動停止されていれば(S131:YES)、要求電力RW1、要求電力RW2及び予測電力αを用いて、総要求電力TRW=RW1+RW2+αとして取得する(S132)。一方、車両の走行中等、エンジンENGが自動停止されていなければ(S131:NO)、総要求電力TRW=RW1+RW2として取得する(S133)。
図3の処理に戻り、両蓄電池11,12のうち、リチウムイオン蓄電池12が対象蓄電池TBであるか否かを判定する(S14)。リチウムイオン蓄電池12が対象蓄電池TBであれば(S14:YES)、リチウムイオン蓄電池12からの給電を優先する第1処理を行う(S15)。一方、リチウムイオン蓄電池12が対象蓄電池TBでなければ(S14:NO)、鉛蓄電池11が対象蓄電池TBであると判定し(S16)、鉛蓄電池11からの給電を優先する第2処理を行う(S17)。
第1処理について、詳しくは図5のサブルーチンに示すように、まず総要求電力TRWよりも供給可能電力AW2が大きいか否かを判定する(S151)。総要求電力TRWよりも供給可能電力AW2が大きければ(S151:YES)、リチウムイオン蓄電池12と両負荷31,32とを接続し、鉛蓄電池11と両負荷31,32とを非接続にするようにスイッチ制御をする(S152)。具体的にはスイッチSW2,SW3をオフ、スイッチSW4,SW5をオンにする。この場合には、リチウムイオン蓄電池12から両負荷31,32への給電が行われ、鉛蓄電池11からの給電が行われないこととなる。
総要求電力TRWよりも供給可能電力AW2が小さければ(S151:NO)、負荷31が対象負荷TRであるか否かを判定する(S153)。要求電力RW1>要求電力RW2であれば、負荷31が対象負荷TRであると判定される(S153:YES)。この場合、次に要求電力RW1よりも供給可能電力AW2が大きいか否かを判定する(S154)。供給可能電力AW2>要求電力RW1であり、リチウムイオン蓄電池12から負荷31への給電で余剰電力ΔWが生じる場合には(S154:YES)、リチウムイオン蓄電池12と両負荷31,32とを電気的に接続し、かつ鉛蓄電池11と負荷32とを電気的に接続するようにスイッチ制御をする(S155)。具体的にはスイッチSW2をオフ、スイッチSW3〜SW5をオンにする。この場合には、リチウムイオン蓄電池12から両負荷31,32に対して給電がされるとともに、鉛蓄電池11から負荷32に対して給電がされる。これにより、リチウムイオン蓄電池12から負荷32への給電の不足分が補われることとなる。
供給可能電力AW2>要求電力RW1でなく、余剰電力ΔWが生じない場合には(S154:NO)、要求電力RW1が所定の閾値Thよりも大きいか否かを判定する(S156)。なお閾値Thは、蓄電池による給電が不可となる供給電力の下限値であり、例えばゼロ付近の値に設定することができる。
要求電力RW1>Thであれば(S156:YES)、リチウムイオン蓄電池12と負荷31とを電気的に接続するとともに、鉛蓄電池11と両負荷31,32とを電気的に接続するようにスイッチ制御する(S157)。具体的には、スイッチSW2〜SW4をオン、スイッチSW5をオフにする。この場合には、リチウムイオン蓄電池12から負荷31に対して給電がされ、かつ鉛蓄電池11から両負荷31,32に対して給電がされる。これにより、リチウムイオン蓄電池12から負荷31への給電の不足分が補われることとなる。
要求電力RW1が閾値Thよりも小さければ、鉛蓄電池11と両負荷31,32とを電気的に接続するようにスイッチ制御をする(S158)。具体的にはスイッチSW2,SW3をオンにする。この際、スイッチSW4,SW5をオフにして、リチウムイオン蓄電池12と両負荷31,32とを電気的に非接続にするとよい。
一方、負荷31が対象負荷TRでなければ(S153:NO)、負荷32が対象負荷TRであるか否かを判定する(S159)。要求電力RW1<要求電力RW2であれば、負荷32が対象負荷TRであると判定される(S159:YES)。この場合には、要求電力RW2よりも供給可能電力AW2が大きいか否かを判定する(S160)。供給可能電力AW2>要求電力RW2であり、リチウムイオン蓄電池12からの給電に余剰電力ΔWが生じる場合には(S160:YES)、リチウムイオン蓄電池12と両負荷31,32とを電気的に接続し、かつ鉛蓄電池11と負荷31とを電気的に接続するようにスイッチ制御をする(S161)。具体的にはスイッチSW2,SW4,SW5をオン、スイッチSW3をオフにする。この場合には、リチウムイオン蓄電池12から両負荷31,32に対して給電がされるとともに、鉛蓄電池11からも負荷31に対して給電がされることで、リチウムイオン蓄電池12から負荷31への給電の不足分が補われることとなる。
供給可能電力AW2>要求電力RW2でなく、余剰電力ΔWが生じない場合には(S160:NO)、要求電力RW2が所定の閾値Thよりも大きいか否かを判定する(S162)。要求電力RW2>閾値Thであれば(S162:YES)、リチウムイオン蓄電池12と負荷32とを電気的に接続するとともに、鉛蓄電池11と両負荷31,32とを電気的に接続するようにスイッチ制御する(S163)。具体的には、スイッチSW2,SW3,SW5をオン、スイッチSW4をオフにする。この場合には、リチウムイオン蓄電池12から負荷32に対して給電がされ、かつ鉛蓄電池11から両負荷31,32に対して給電がされる。これによりリチウムイオン蓄電池12から負荷32への給電の不足分が補われることとなる。
一方、要求電力RW2>閾値Thでなければ(S162:NO)、鉛蓄電池11と両負荷31,32とを電気的に接続するようにスイッチ制御をする(S164)。具体的にはスイッチSW2,SW3をオンにする。この際、スイッチSW4,SW5をオフにして、リチウムイオン蓄電池12と両負荷31,32とを電気的に非接続にするとよい。
なお要求電力RW1=要求電力RW2であれば(S159:NO)、負荷31,32のうち、予め定められた優先順位の高い方のいずれかの負荷に対して、対象蓄電池TBからの給電が優先されるようにすればよい。
第2処理について、詳しくは図6のサブルーチンに示すように、まず総要求電力TRWよりも供給可能電力AW1が大きいか否かを判定する(S171)。総要求電力TRWよりも供給可能電力AW1が大きければ(S171:YES)、鉛蓄電池11と両負荷31,32とを接続し、リチウムイオン蓄電池12と両負荷31,32とを非接続にするようにスイッチ制御をする(S152)。具体的にはスイッチSW2,SW3をオン、スイッチSW4,SW5をオフにする。この場合には、鉛蓄電池11から両負荷31,32に対して給電がされ、リチウムイオン蓄電池12からの給電はされないこととなる。
総要求電力TRWよりも供給可能電力AW1が小さければ(S171:NO)、負荷31が対象負荷TRであるか否かを判定する(S173)。要求電力RW1>要求電力RW2であれば、負荷31が対象負荷TRであると判定される(S173:YES)。この場合、要求電力RW1よりも供給可能電力AW2が大きいか否かを判定する(S174)。
供給可能電力AW1>要求電力RW1であり、鉛蓄電池11からの給電に余剰電力ΔWが生じる場合には(S174:YES)、鉛蓄電池11と両負荷31,32とを電気的に接続し、かつリチウムイオン蓄電池12と負荷32とを電気的に接続するようにスイッチ制御をする(S175)。具体的にはスイッチSW2,SW3,SW5をオン、スイッチSW4をオフにする。この場合には、鉛蓄電池11から両負荷31,32に対して給電がされるとともに、リチウムイオン蓄電池12から負荷32に対して給電がされる。これにより、鉛蓄電池11から負荷32への給電の不足分が補われることとなる。
供給可能電力AW1>要求電力RW1でなく、余剰電力ΔWが生じない場合には(S174:NO)、要求電力RW1が所定の閾値Thよりも大きいか否かを判定する(S176)。要求電力RW1>Thであれば(S176:YES)、鉛蓄電池11と負荷31とを電気的に接続するとともに、リチウムイオン蓄電池12と両負荷31,32とを電気的に接続するようにスイッチ制御する(S177)。具体的には、スイッチSW2,SW4,SW5をオン、スイッチSW3をオフにする。この場合には、鉛蓄電池11から負荷31に対して給電がされ、かつリチウムイオン蓄電池12から両負荷31,32に対して給電がされる。これにより鉛蓄電池11から負荷31への給電の不足分が補われることとなる。
要求電力RW1が閾値Thよりも小さければ、リチウムイオン蓄電池12と両負荷31,32とを電気的に接続するようにスイッチ制御をする(S178)。具体的にはスイッチSW4,SW5をオンにする。この際、スイッチSW2,SW3をオフにして、鉛蓄電池11と両負荷31,32とが電気的に非接続にするとよい。
一方、負荷31が対象負荷TRではなければ(S173:NO)、負荷32が対象負荷TRであるか否かを判定する(S179)。要求電力RW1<要求電力RW2であれば、負荷32が対象負荷TRであると判定される(S179:YES)。この場合には、要求電力RW2よりも供給可能電力AW1が大きいか否かを判定する(S180)。供給可能電力AW1>要求電力RW2であり、鉛蓄電池11からの給電に余剰電力ΔWが生じる場合には(S181:YES)、鉛蓄電池11と両負荷31,32とを電気的に接続し、かつリチウムイオン蓄電池12と負荷31とを電気的に接続するようにスイッチ制御をする(S181)。具体的にはスイッチSW2〜SW4をオン、スイッチSW5をオフにする。この場合には、鉛蓄電池11から両負荷31,32に対して給電がされるとともに、リチウムイオン蓄電池12からも負荷31に対して給電されることで、鉛蓄電池11から負荷31への給電の不足分が補われることとなる。
供給可能電力AW1>要求電力RW2でなく、余剰電力ΔWが生じない場合には(S180:NO)、要求電力RW2が所定の閾値Thよりも大きいか否かを判定する(S182)。要求電力RW1>Thであれば(S182:YES)、鉛蓄電池11と負荷32とを電気的に接続するとともに、リチウムイオン蓄電池12と両負荷31,32とを電気的に接続するようにスイッチ制御する(S183)。具体的には、スイッチSW3〜SW5をオン、スイッチSW2をオフにする。この場合には、鉛蓄電池11から負荷32に対して給電がされ、かつリチウムイオン蓄電池12から両負荷31,32に対して給電がされることで、鉛蓄電池11から負荷32への給電の不足分が補われることとなる。
一方、要求電力RW2が閾値Thよりも小さければ(S182:NO)、リチウムイオン蓄電池12と両負荷31,32とを電気的に接続するようにスイッチ制御をする(S184)。具体的にはスイッチSW4,SW5をオンにする。この際、スイッチSW2,SW3をオフにして、鉛蓄電池11と両負荷31,32とを電気的に非接続にするとよい。
要求電力RW1=要求電力RW2であれば、負荷31,32のうち、予め定められた優先順位の高い方に対して対象蓄電池TBからの給電が優先されるようにすればよい。
以上の説明した第1実施形態において、負荷31が「第1負荷」、負荷32が「第2負荷」に対応している。またスイッチSW1が「第1スイッチ」、バイパススイッチSW6が「開閉部」に対応している。
また図5の第1処理では、鉛蓄電池11が「第1蓄電池」、リチウムイオン蓄電池12が「第2蓄電池」に対応している。またスイッチSW2が「第2スイッチ」、スイッチSW3が「第3スイッチ」、スイッチSW4が「第4スイッチ」、スイッチSW5が「第5スイッチ」にそれぞれ対応している。
そして、図5の第1処理において、S152,S155,S161の各処理が、スイッチSW4及びスイッチSW5をオンにして、リチウムイオン蓄電池12から両方の負荷31,32への給電を行わせる「第1態様」に対応している。またS157,S163の各処理が、スイッチSW4及びスイッチSW5の一方をオン、他方をオフにして、リチウムイオン蓄電池12から負荷31及び負荷32の一方に給電を行わせる「第2態様」に対応している。更にS158,S164の各処理が、スイッチSW4及びスイッチSW5をオフにすることで、リチウムイオン蓄電池12から両方の負荷31及び負荷32への給電を行わないようにする「第3態様」に対応している。
なお「第1態様」のうち、S152が、スイッチSW2及びスイッチSW3をオフにして、鉛蓄電池11から両方の負荷31及び負荷32への給電を行わせない制御態様に対応している。またS155,S161が、スイッチSW2及びスイッチSW3の一方をオン、他方をオフにして、鉛蓄電池11から負荷31及び負荷32のいずれか一方への給電を行わせる制御態様に対応している。
また「第2態様」であるS157,S163の両方が、スイッチSW2及びスイッチSW3をオンにして、鉛蓄電池11から両方の負荷31及び負荷32への給電を行わせる制御態様に対応している。
更に「第3態様」であるS158,S164の両方が、スイッチSW2及びスイッチSW3の両方をオンにして、鉛蓄電池11から両方の負荷31及び負荷32への給電を行わせる制御態様に対応している。
一方、図6の第2処理では、鉛蓄電池11が「第2蓄電池」、リチウムイオン蓄電池12が「第1蓄電池」に対応している。またスイッチSW2が「第4スイッチ」、スイッチSW3が「第5スイッチ」、スイッチSW4が「第2スイッチ」、スイッチSW5が「第3スイッチ」にそれぞれ対応している。
そして、図6の第2処理において、S172,S175,S181の各処理が、スイッチSW2及びスイッチSW3をオンにして、鉛蓄電池11から両方の負荷31,32への給電を行わせる「第1態様」に対応している。またS177,S183の各処理が、スイッチSW2及びスイッチSW3の一方をオン、他方をオフにして、鉛蓄電池11から負荷31及び負荷32の一方に給電を行わせる「第2態様」に対応している。更にS178,S174の各処理が、スイッチSW2及びスイッチSW3の両方オフにすることで、鉛蓄電池11から両方の負荷31及び負荷32への給電を行わせないようにする「第3態様」に対応している。
なお「第1態様」のうち、S172が、スイッチSW4及びスイッチSW5の両方をオフにして、リチウムイオン蓄電池12から両方の負荷31及び負荷32への給電を行わせない制御態様に対応している。またS175,S171が、スイッチSW4及びスイッチSW5の一方をオン、他方をオフにして、リチウムイオン蓄電池12から負荷31及び負荷32のいずれか一方へ給電をする制御態様に対応している。
また「第2態様」であるS177,S183の両方が、スイッチSW4及びスイッチSW5をオンにして、リチウムイオン蓄電池12から両方の負荷31及び負荷32への給電を行わせる制御態様に対応している。
更に「第3態様」のうち、S178,S184の両方が、スイッチSW4及びスイッチSW5の両方をオンにして、リチウムイオン蓄電池12から両方の負荷31及び負荷32への給電を行わせる制御態様に対応している。
上記によれば以下の優れた作用効果を奏することができる。
・電気経路L1,L2により互いに接続された鉛蓄電池11及びリチウムイオン蓄電池12を備え、これら各蓄電池11,12から負荷30に対する給電を可能とする電源システムにおいて、負荷30に対して一方の蓄電池11,12のみから給電が行われる構成であるとすると、例えば負荷30の要求電力に対して一方の蓄電池の供給可能電力が不足してしまうと、当該蓄電池から負荷30への給電を行えなくなってしまう。なおこのことは負荷30の要求電力が大きいほど生じやすくなると考えられる。
そこで、電源システムに接続する負荷30を、負荷31及び負荷32といった複数系統に分けるようにする。これにより、負荷ごとの要求電力の最大値が抑えられるため、負荷31及び負荷32の要求電力に対して各蓄電池11,12の供給可能電力が不足することを生じにくくできる。
その上で、各負荷31,32に対して鉛蓄電池11及びリチウムイオン蓄電池12のいずれから給電するかを個別に選択できる構成にする。具体的には、鉛蓄電池11及びリチウムイオン蓄電池12を接続する電気経路L1に第1スイッチを設ける。そして、電気経路L!においてスイッチSW1の鉛蓄電池11側に、負荷31及び負荷32を並列に接続する並列経路PL1を設け、電気経路L1においてスイッチSWのリチウムイオン蓄電池12側に、負荷31及び負荷32を並列に接続する並列経路PL2を設ける。また、並列経路PL1の一方の分岐部BL1にスイッチSW2を設け、他方の分岐部BL2にスイッチSW3を設け、並列経路PL2の一方の分岐部BL3にスイッチSW4を設け、他方の分岐部BL4にスイッチSW5を設ける。
このような構成とした上で、リチウムイオン蓄電池12により供給可能な供給可能電力AW2と、負荷31及び負荷32により要求される要求電力RWとに基づいて、並列経路PL1のスイッチSW及びスイッチS3のオンオフを個別に切り替える。これにより、負荷31に対して鉛蓄電池11及びリチウムイオン蓄電池12のいずれから給電するかを個別に選択することができるようになる。同様に並列経路PL2のスイッチSW4及びスイッチSW5のオンオフを個別に切り替える。これにより、負荷32に対して鉛蓄電池11及びリチウムイオン蓄電池12のいずれから給電するかを個別に選択することができるようになる。
以上のように、各負荷31,32に対して一方の蓄電池から給電すること、各負荷31,32に対して両方の蓄電池から同時に給電することを選択可能な構成にしたため、仮に各負荷31,32の要求電力RWに対して一方の蓄電池の供給可能電力が不足したとしても、他方の蓄電池からの給電でその不足分を補うといったことが可能となる。
・リチウムイオン蓄電池12の供給可能電力AW2と、負荷31による要求電力RW1及び負荷32による要求電力RW2に基づいて、リチウムイオン蓄電池12から負荷31及び負荷32の両方へと給電する第1態様と、リチウムイオン蓄電池12から負荷31及び負荷32のいずれか一方への給電を行わせる第2態様と、リチウムイオン蓄電池12から負荷31及び負荷32への給電を行わせない第3態様とを、供給可能電力AWと要求電力RWとに基づいて切り替えるようにした。以上により、リチウムイオン蓄電池12の状態(SOC等)に応じて、リチウムイオン蓄電池12の放電を適正に行わせることができる。
・リチウムイオン蓄電池12から負荷31,32の両方へと給電する第1態様において、リチウムイオン蓄電池の供給可能電力AW2>総要求電力TRWであれば、リチウムイオン蓄電池12からの給電で両方の負荷31,32の要求電力RW1,RW2を賄うことができる。これに対して、リチウムイオン蓄電池12の供給可能電力AW2<総要求電力TRWであれば、リチウムイオン蓄電池12からの給電で両方の負荷31,32の要求電力RW1,RW2を賄うことができず、負荷31及び負荷32のいずれかに対する給電に不足が生じてしまう。
そこで第1態様とする場合におけるスイッチSW2及びスイッチSW3の制御態様として、供給可能電力AW及び要求電力RWに基づき、スイッチSW2及びスイッチSW3の両方をオフにして、鉛蓄電池11から負荷31,32の両方への給電を行わせないようにする態様と、スイッチSW2及びスイッチSW3の一方をオン、他方をオフにすることで、鉛蓄電池11から負荷31,32のいずれか一方への給電を行わせる態様と、のいずれかを供給可能電力AWと要求電力RWとに基づいて実施するようにした。
より詳しくは、リチウムイオン蓄電池12の供給可能電力AW>総要求電力TRWであれば、スイッチSW2及びスイッチSW3の両方をオフにすることで、鉛蓄電池11から両方の負荷31,32への給電を行わせないようにする態様を実施し、リチウムイオン蓄電池12の供給可能電力AW2<総要求電力TRWであれば、スイッチSW2及びスイッチSW3の一方をオン、他方をオフにして、鉛蓄電池11から負荷31,32のいずれか一方への給電を行わせる態様を実施する。以上により、リチウムイオン蓄電池12の状態(SOC等)に応じて、鉛蓄電池11からの給電補助を適正に行わせることができる。これにより、各負荷31,32への給電を適正に行わせることができる。
・リチウムイオン蓄電池12から負荷31,32いずれか一方への給電を行わせる第2態様では、負荷31及び負荷32の両方に対して鉛蓄電池11からの給電補助が必要となる場合がある。そこで、第2態様とする場合におけるスイッチSW2及びスイッチSW3の制御態様として、スイッチSW2及びスイッチSW3をオンにして、鉛蓄電池11から負荷31,32への給電を行わせる態様を実施するようにした。以上により、リチウムイオン蓄電池12の状態(SOC等)に応じて、鉛蓄電池11からの給電補助を適正に行わせることができる。これにより、各負荷31,32への給電を適正に行わせることができる。
・リチウムイオン蓄電池12から負荷31,32のいずれか一方への給電を行わせる第2態様では、負荷31,32一方に対して鉛蓄電池11からの給電補助が必要となる場合がある。そこで第2態様とする場合におけるスイッチSW2及びスイッチSW3の制御態様として、スイッチSW2及びスイッチSW3のうち、リチウムイオン蓄電池12から給電されていない方の負荷に対応するスイッチをオンにして、当該負荷に対して鉛蓄電池11からの給電を行わせる態様を、供給可能電力AWと要求電力RWとに基づいて実施するようにした。
以上により、リチウムイオン蓄電池12の状態(SOC等)に応じて、鉛蓄電池11からの給電補助を行う場合において、リチウムイオン蓄電池12から給電がされていない方の負荷に対しては、鉛蓄電池11からの給電を行わせることができる。
・リチウムイオン蓄電池12から負荷31,32の両方に対して給電を行わない第3態様では、負荷31,32の両方に対して鉛蓄電池11からの給電が必要となる。そこで、第3態様とする場合におけるスイッチSW2,SW3の制御態様として、スイッチSW2及びスイッチSW3の両方をオンにする態様を実施するようにした。以上により、負荷31,32の両方に対して、鉛蓄電池11からの給電補助を適正に行わせることができる。
・負荷31及び負荷32から取得した要求電力RW1,RW2の合計値である総要求電力TRWに基づきスイッチ制御を実施することとしたため、各負荷31,32の現在の状態に応じて、各蓄電池11,12からの給電を適正に行わせることができる。
・負荷31及び負荷32において、現時点で要求されている総要求電力TRWに加えて、現時点以降に要求されることが予測される予測電力αを取得するようにしたため、現時点以降における各負荷31,32の要求電力RWを加味して、各蓄電池11,12からの給電を適正に行わせることができる。
・アイドリングストップ制御を行う車両に搭載される電源システムにおいて、エンジンENGが自動停止された状態から再始動される際には要求電力の上乗せ分が生じることとなる。そのため、この要求電力の上乗せ分が考慮されていないと、エンジンENGが再始動される際に、各蓄電池から各負荷への供給可能電力に不足が生じ、このことが各負荷の動作に影響するおそれがある。
そこで、エンジンENGが自動停止された状態では、予測電力αとして、エンジンENGの再始動に必要となる要求電力の上乗せ分を取得し、その要求電力の上乗せ分を加味して、蓄電池からの給電が行われるようにした。以上により、エンジンENGの再始動時における各負荷31,32に対する給電の安定化を図ることができる。
・鉛蓄電池11及びリチウムイオン蓄電池12のうち、給電の優先度の高い方の蓄電池(対象蓄電池TB)から各負荷31,32へと給電が優先して行われるようにスイッチ制御を行うようにした。例えば、鉛蓄電池11よりもリチウムイオン蓄電池12の給電の優先度が高ければ、鉛蓄電池11の給電が可能であったとしても、各負荷31,32に対してはリチウムイオン蓄電池12から優先して給電する。このような処理を行うことで、給電の優先度の低い蓄電池の保護を図ることができる。
・鉛蓄電池11及びリチウムイオン蓄電池12のうち、充放電効率が高い方、又は充放電の繰り返しに対する耐久性が高い方の蓄電池を対象蓄電池TBに選択するようにしたため、各負荷31,32に対してより効率よく給電したり、耐久性の低い方の蓄電池の保護を図ったりすることができる。
・鉛蓄電池11及びリチウムイオン蓄電池12のうち、供給可能電力の大きい方の蓄電池を対象蓄電池TBに選択するようにしたため、各負荷31,32に対する電力供給の安定化を図ることができる。
・負荷31,32のうち電力供給の優先度の高い方の負荷(対象負荷TR)に対して、対象蓄電池TBから優先して給電することができる。
・電源システムに搭載される負荷を、定常的に導通状態とされる定常負荷と、それ以外の非定常負荷とに分類する場合、定常負荷は非定常負荷に比べて駆動期間が長いため、蓄電池から給電が行われる期間が長くなる。そこでこの場合には、定常負荷を対象負荷TRに選択するようにした。
そのため、対象蓄電池TBとして充放電効率の優れている方の蓄電池が選択されている場合には、各負荷に対する給電の効率化を図ることができる。対象蓄電池TBとして耐久性に優れている方の蓄電池が選択されている場合には、他方の蓄電池の保護を図りつつ、各負荷への給電を行うことができる。また対象蓄電池TBとして供給可能電力が大きい方の蓄電池が選択されている場合には、定常負荷に対する電力供給の安定化が図られることとなる。
・電源システムに搭載される負荷を、車両の走行状態を変えることに関与する走行系負荷と、それ以外の非走行系負荷とに分類する場合、走行系負荷は非走行系負荷に比べてより安定した電力供給が求められる。
そこで走行系負荷及び非走行系負荷のうち、走行系負荷を電力供給の優先度の高い対象負荷TRに選択する。その上で、対象負荷TRである走行系負荷に対しては、対象蓄電池TBであって、供給可能電力の大きい方の蓄電池から優先して給電するようにスイッチ制御を行うようにした。
例えば、鉛蓄電池11よりもリチウムイオン蓄電池12の供給電力が大きければ、リチウムイオン蓄電池12を対象蓄電池TBに選択する。そして、走行系負荷(対象負荷TR)に対してリチウムイオン蓄電池12(対象蓄電池TB)からの給電が優先して行われるようにする。このような処理を行うことで、走行系負荷に対する電力供給の安定化を図ることができる。
・鉛蓄電池11と負荷31とを接続する経路と、鉛蓄電池11と負荷32とを接続する経路とにそれぞれシステムの停止状態で導通状態となるノーマリクローズ式のバイパススイッチSW6を設けるようにした。これにより、システムの停止状態において、鉛蓄電池11から各負荷31,32への給電経路が確保されるため、各負荷31,32を電源失陥から保護することができる。
本発明は上記実施形態の記載内容に限定されず、次のように実施されてもよい。なお以下の説明において上記と同様の構成には同じ図番号を付し詳述は省略する。また各実施形態は相互に組み合わせたり、択一的に選択したりして用いることができる。
(第2実施形態)
上記の図1において、車載機器EL2は様々な観点から分類することができる。具体的には車載機器EL2は、定常的に通電状態とされる定常負荷と、それ以外の負荷であり、定常負荷に比べると通電期間の短い非定常負荷とに分類することができる。例えば定常負荷は、シートヒータやリヤウインドウのデフロスタ用ヒータ、ヘッドライト、フロントウインドウのワイパ、空調装置の送風ファン等である。非定常負荷は、電動ステアリング装置、ブレーキ装置等である。
ところで、車載機器EL2のうち、定常負荷は非定常負荷に比べると駆動期間が長く、蓄電池による給電期間が比較的に長い傾向がある。そこで定常負荷に対しては、電力供給の安定化を図るために、両蓄電池11,12のうち、供給可能電力の大きい方の蓄電池から優先して給電がされるようにするとよい。
図1を参照しつつ第2実施形態を具体的に説明すると、まず車載機器EL2のうち、負荷31に定常負荷としての車載機器EL2を接続し、負荷32に非定常負荷としての車載機器EL2を接続する。また蓄電池選択部102aは、両蓄電池11,12のうち、供給可能電力の大きい方の蓄電池を対象蓄電池TBに選択し、負荷選択部102bは、定常負荷を対象負荷TRに選択するように設定する。そして判定部103は、対象負荷TR(定常負荷)に対して、供給可能電力の大きい方の対象蓄電池TBからの給電を優先して行いつつ、各負荷31,32に対して、両蓄電池11,12の一方及び両方で給電することを判定する。
具体的には図7のフローチャートに示すように、制御装置100は、まず定常負荷である負荷31を対象負荷TRに選択する(S20)。そして、鉛蓄電池11の供給可能電力AW1及びリチウムイオン蓄電池12の供給可能電力AW2を取得し(S21)。負荷31の要求電力RW1及び負荷32の要求電力RW2を取得する(S22)。次に、鉛蓄電池11の供給可能電力AW1よりも、リチウムイオン蓄電池12の供給可能電力AW2が大きいか否かを判定する(S23)。供給可能電力AW2>供給可能電力AW1であれば(S23:YES)、リチウムイオン蓄電池12を対象蓄電池TBに選択する(S24)。
この場合には、対象負荷TRである負荷31(定常負荷)に対して、リチウムイオン蓄電池12からの給電が優先されるようにスイッチ制御を行う(S25)。具体的には、まずスイッチSW4をオンにする。その上で、各要求電力RW1,RW2、各供給可能電力AW1,AW2の大小関係に応じて、各スイッチSW2,SW3,SW5のオンオフを切り替えるようにする。
一方、供給可能電力AW2>供給可能電力AW1でなければ(S23:NO)、鉛蓄電池11を対象蓄電池TBに選択する(S26)。この場合には、対象負荷TRである負荷31(定常負荷)に対して、鉛蓄電池11からの給電が優先されるようにスイッチ制御を行う(S27)。具体的には、まずスイッチSW2をオンにする。その上で、各要求電力RW1,RW2、各供給可能電力AW1,AW2の大小関係に応じて、各スイッチSW3〜SW5のオンオフを切り替えるようにする。
以上の処理によって、定常負荷(負荷31)に対しては、供給可能電力が大きい方の蓄電池からの給電が優先して行われることとなり、定常負荷に対する電力供給の安定化を図ることができる。
(変容例)
・第2実施形態において、定常負荷に対しては、両蓄電池11,12のうち、充放電効率が高い特性、頻繁な充放電の繰り返しに対する耐久性が高い特性を有する方の蓄電池を優先して接続した方が、充放電効率や、蓄電池を保護する観点で有利であるとも考えられる。そこで、負荷を定常負荷及び非定常負荷に分類する場合には、定常負荷に対してリチウムイオン蓄電池12からの給電が優先されるようにしてもよい。具体的にはS23,S26,S27の処理を省略して、リチウムイオン蓄電池12を対象蓄電池TBに選択し(S25)、リチウムイオン蓄電池12から対象負荷TR(負荷31)に対する給電が行われるようにしてもよい。
・第2実施形態においても、対象蓄電池TBから対象負荷TRである定常負荷に給電をする際に、余剰電力ΔWが生じる場合には、対象負荷TR以外の非定常負荷に対しても、対象蓄電池TBから給電が行われるようにするとよい。
(第3実施形態)
上記の図1において、車載機器EL2は、車両の走行状態を変えることに関与する走行系負荷と、それ以外の負荷であって、車両の走行状態を変えることに直接は関与しない非走行系負荷とに分類することができる。例えば走行系負荷は、電動ステアリング装置、ブレーキ装置、ヘッドライト等である。非走行系負荷は、シートヒータやリヤウインドウのデフロスタ用ヒータ、フロントウインドウのワイパ、空調装置の送風ファン等である。
ところで、車載機器EL2のうち、走行系負荷は非走行系負荷に比べると、より安定した電力供給が求められる。また走行系負荷は非走行系負荷に比べて優先的に給電がされることが求められる。そこで車載機器EL2を走行系負荷と非走行系負荷に分類する場合には、走行系負荷に対しては、より安定して電力供給が行われるように、鉛蓄電池11及びリチウムイオン蓄電池12のうち、供給可能電力が大きい方の蓄電池からの給電が優先されるとよい。
図1を参照しつつ第3実施形態の具体例を説明すると、まず車載機器EL2のうち、負荷31を走行系負荷とし、負荷32を非走行系負荷とする。また蓄電池選択部102aは、両蓄電池11,12のうち、供給可能電力の大きい方の蓄電池を対象蓄電池TBに選択する。更に負荷選択部102bは、走行系負荷である負荷31を対象負荷TRに選択する。そして判定部103は、対象負荷TR(走行系負荷)に対して、供給可能電力の大きい方の対象蓄電池TBからの給電を優先して行いつつ、各負荷31,32に対して、両蓄電池11,12の一方及び両方で給電することを判定する。
ここで図7のフローチャートを参照しつつ具体例を説明する。制御装置100は、まず走行負荷である負荷31を対象負荷TRに選択する(S20)。そして、鉛蓄電池11の供給可能電力AW1及びリチウムイオン蓄電池12の供給可能電力AW2を取得し(S21)。負荷31の要求電力RW1及び負荷32の要求電力RW2を取得する(S22)。次に、鉛蓄電池11の供給可能電力AW1よりもリチウムイオン蓄電池12の供給可能電力AW2が大きいか否かを判定する(S23)。供給可能電力AW2>供給可能電力AW1であれば(S23:YES)、リチウムイオン蓄電池12を対象蓄電池TBに選択する(S24)。
この場合には、対象負荷TRである負荷31(走行系負荷)に対して、リチウムイオン蓄電池12からの給電が優先されるようにスイッチ制御を行う(S25)。具体的には、まずスイッチSW4をオンにする。その上で、各要求電力RW1,RW2、各供給可能電力AW1,AW2の大小関係に応じて、各スイッチSW2,SW3,SW5のオンオフを切り替えるようにする。
一方、供給可能電力AW2>供給可能電力AW1でなければ(S23:NO)、鉛蓄電池11を対象蓄電池TBに選択する(S26)。この場合には、対象負荷TRである負荷31(走行系負荷)に対して、鉛蓄電池11からの給電が優先されるようにスイッチ制御を行う(S27)。具体的には、まずスイッチSW2をオンにする。その上で、各要求電力RW1,RW2、各供給可能電力AW1,AW2の大小関係に応じて、各スイッチSW3〜SW5のオンオフを切り替えるようにする。
以上により、走行系負荷(負荷31)に対しては、供給可能電力が大きい方の蓄電池からの給電が優先して行われることとなり、走行系負荷に対する電力供給の安定化を図ることができる。
(変容例)
第3実施形態において、供給可能電力AW2=供給可能電力AW1である場合には、走行系負荷に対して、予め定められた優先順位の高い方の蓄電池から優先して給電がされるようにするとよい。例えば図1の構成においては、鉛蓄電池11及びリチウムイオン蓄電池12のうち、走行系負荷である負荷31に対しては、充放電効率等の点で優れているリチウムイオン蓄電池12からの給電が優先して行われるようにするとよい。このような処理によって、車載機器EL2を走行系負荷と非走行系負荷とに分類する場合に、両蓄電池のうち、充放電効率や耐久性等で劣る一方の蓄電池の保護を図りつつ、走行系負荷に対して電力供給をすることができる。
(他の実施形態)
・上記の図1の電源システムでは、第1蓄電池として鉛蓄電池11、第2蓄電池としてリチウムイオン蓄電池12を設ける例を示した。これ以外にも、第1蓄電池及び第2蓄電池の両方が鉛蓄電池11、又はリチウムイオン蓄電池12であってもよく、その他の充放電可能な二次電池であってもよい。これらの場合においても、いずれか一方の蓄電池において給電の優先度が高く設定されていれば、他方の蓄電池の保護を図りつつ、各負荷31,32に対する給電を行うことができる。
・上記の図1の電源システムでは、車載機器EL2が負荷31及び負荷32といった2系統に分けて設けられるようにした。これ以外にも、車載機器EL2が3つ以上の負荷に分けて設けられるようにしてもよい。図1を参照しつつ、車載機器EL3をN個の系統に分ける場合の例を説明すると、まず、並列経路PL1にN個の分岐部を設ける。同様に並列経路PL2にN個の分岐部を設け、各分岐部には個別にスイッチを設けるようにする。このような構成とした上で、N個の分岐部に分けて車載機器EL2を接続する。このようにすれば、N個に分けて設けた負荷の各々に対しても、一方の蓄電池又は両方の蓄電池からの給電を選択的に行うことができる。
・上記の図1の電源システムでは、スイッチSW1を、スイッチSW1A及びスイッチSW1Bといった2つのスイッチを用いて構成した。これ以外にも、スイッチSW1を、スイッチSW1A及びスイッチSW1Bのうちのいずれか一方のみで構成してもよく、この場合には、構成の簡略化を図ることができる。または、スイッチSW1は、接続点N1よりも鉛蓄電池11の側に複数のスイッチを設け、接続点N2よりもリチウムイオン蓄電池12の側に複数のスイッチを設けることで構成してもよい。この場合には両蓄電池11,12の間や、各蓄電池11,12と回転電機16との間の電気経路を遮断状態とする際の機能を高めることができる。
・上記の図1の電源システムでは、各負荷31,32と鉛蓄電池11との間に共通の一つのバイパススイッチSW6を設けている。これ以外にも、負荷31及び鉛蓄電池11との間、および負荷32と鉛蓄電池11との間に個別にバイパススイッチを設けてもよい。このようにスイッチごとにバイパススイッチを設ける構成として場合、バイパススイッチの容量や体格を抑えることができる。
・図1の電源システムを図8のように変更してもよい。図8では、図1との相違点として、バイパススイッチSW6がバイパス経路L10を介して、電池ユニットU外で鉛蓄電池11側に接続されていた構成に代えて、バイパススイッチSW6が電池ユニットU内で電気経路L1に接続されている。また、ヒューズF1が電池ユニットU内に設けられている。
・上記の図3において、総要求電力TRWを算出する処理(S13)では、エンジンの自動停止状態であったとしても、総要求電力TRW=要求電力RW1+要求電力RW2として算出してもよい。
・上記の図3において、総要求電力TRWを算出する処理(S13)を省略する。そして、個々の要求電力RW1,RW2、個々の供給可能電力AW1,AW1の大小関係に応じて、各負荷31,32に対して、両蓄電池11,12のうちの一方又は両方からの給電を行うことが判定されてもよい。この場合には、図4の処理全体、及び図5のS151,S152の各処理、図6のS171,S172の各処理を省略することができ、制御装置100の演算に係る負荷の軽減を図ることができる。
・上記の図5において、「第2態様」であるS157,S163は、スイッチSW2及びスイッチSW3のうち、リチウムイオン蓄電池12から給電がされていない方の負荷に対応するスイッチをオンにして、当該負荷に対して鉛蓄電池11からの給電を行わせる制御態様としてもよい。
・上記の図6において、「第2態様」であるS177,S183の両方が、スイッチSW4及びスイッチSW5のうち、鉛蓄電池11から給電がされていない方の負荷に対応するスイッチをオンにして、当該負荷に対してリチウムイオン蓄電池12からの給電を行わせる制御態様としてもよい。
・上記の図5,図6において、対象負荷TRの判定処理を省略してもよい。そして、予め定めたいずれかの負荷31,32に対して対象蓄電池TBからの給電が優先して行われるようにしてもよい。詳しくは図5において、S153,S159の各処理を省略する。その上で、負荷31への給電を優先する場合には、S160〜S164の処理を省略する。一方、負荷32への給電を優先する場合には、S154〜S158までの処理を省略する。同様に、図6のフローチャートにおいても、S173,S179の各処理を省略する。その上で、負荷31への給電を優先する場合には、S180〜S184の処理を省略する。負荷32への給電を優先する場合には、S174〜S178の処理を省略する。
・上記の図5,図6において、要求電力RW1(又は要求電力RW2)が所定の閾値Thよりも大きいか否かに係る処理を省略してもよい。具体的には図5において、S156の処理を省略する。その上で、供給可能電力AW1>要求電力RW1ではなく、余剰電力ΔWが生じないことを判定した場合には(S154:NO)、リチウムイオン蓄電池12と負荷31とを電気的に接続する。また、鉛蓄電池11と両負荷31,32とを電気的に接続するようにスイッチ制御することを判定してもよい(S157)。同様にS162の処理を省略する。その上で、供給可能電力AW2>要求電力RW2ではなく、余剰電力ΔWが生じないことを判定した場合には(S160:NO)、リチウムイオン蓄電池12と両負荷31,32とを電気的に接続する。また、鉛蓄電池11と負荷31とを電気的に接続するようにスイッチ制御することを判定してもよい(S161)。なお図6の処理についても同様に処理の簡略化を図ることができる。
・上記の各実施形態において、制御装置100が両蓄電池11,12の給電比率を調整可能である場合には、制御装置100が両蓄電池11,12の給電比率を変えることで、一方の蓄電池からの給電を優先させることができる。この場合、制御装置100は、負荷31(負荷32)に対して両蓄電池11,12を接続するようにスイッチ制御をする。その上で、制御装置100は、鉛蓄電池11及びリチウムイオン蓄電池12のうち、優先して給電を行う方の負荷の給電比率が高くなるように、各蓄電池の給電比率を制御すればよい。
・上記において、両蓄電池11,12の給電の優先度が設定されていなくてもよい。すなわち図3において、S14〜S17の各処理を省略する。その上で、各供給可能電力AW1,AW2、各要求電力RW1,RW2に基づいて、一方の負荷に対して両蓄電池11,12のうちの一方又は両方から給電することが判定されてもよい。
・上記では、予測電力αとして、自動停止状態のエンジンENGの再始動に必要となる要求電力の上乗せ分を取得する具体例を示した。これ以外にも予測電力αは、エンジンENGの自動停止状態であるか否かに関わらず、各負荷31,32における各種状態変化の予測結果に基づき取得することができる。