JP2019132082A - 仮設式波除堤及び連接型仮設式波除堤 - Google Patents

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Abstract

【課題】コストを抑制しながら、水上工事の作業区域を静穏に保つ。【解決手段】仮設式波除堤10は、水上工事の作業区域WAの沖側に施工中に設置され、施工完了後に撤去される浮体構造のものであり、沖側に向けて配置される正面壁14を含み内部に水Wが注水される、平面視矩形の無蓋箱状をなす貯水部12を備えている。このため、沖側から到来する波浪を正面壁14により受け、これによって仮設式波除堤10が動揺し、貯水部12内の水Wも振動することになるが、同調液体ダンパーの原理を利用してスロッシングを制御し、仮設式波除堤10の動揺を抑制することで、作業区域WAに伝わる波浪を低減することができる。これにより、作業区域WAを静穏に保つことが可能となり、水上工事の安全性と施工精度とを向上することができる。更に、複数の水上工事で繰り返し使用することができ、単純な構造であるため、コストを抑制することができる。【選択図】図2

Description

本発明は、水上工事の作業区域の沖側に施工中に設置され、施工完了後に撤去される浮体構造の仮設式波除堤及び連接型仮設式波除堤に関するものである。
水上工事では、常に波浪が影響することにより、例えば、浮遊状態の躯体や作業台船等が動揺するため、施工精度が大きく低下する懸念があり、又、作業員の安全により注意を払う必要がある。このため、従来は、水上工事を行うか否かの指標となる施工限界の波浪条件を予め設定し、水上工事の現場周辺の波浪予測と施工限界の波浪条件とを比較して、作業可否を判断すると共に、適切な能力を有する作業船等を使用することで、安全かつ高精度な施工を実現していた。一方、特許文献1及び特許文献2には、浮体式の防波堤について開示されており、これらの防波堤は、沖側から到来する波浪の影響を低減し、防波堤の内側(岸側)を静穏にする目的で設置されるものである。
特開平7−216845号公報 特開平8−92939号公報
ここで、上述した施工限界の波浪条件を設定する方法では、施工実施の可否判断が波浪予測の精度に依存するため、作業可と判断した場合に予測以上の波浪が到来すると、作業の中断を余儀なくされ、手戻りや工程の遅延が生じる。又、予想以上の動揺により、施工精度の低下や、作業員の安全性への影響が懸念される。他方、上記の特許文献に記載された浮体式の防波堤を利用することを検討すると、これらの防波堤は規模が大きく、複数の水上工事で繰り返し利用することは、実質的に困難である。このため、水上工事毎に防波堤を作製及び設置する必要があり、コストの上昇が懸念される。更に、構造が複雑であることから、作製費用も嵩んでしまう。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、コストを抑制しながら、水上工事の作業区域を静穏に保つことにある。
(発明の態様)
以下の発明の態様は、本発明の構成を例示するものであり、本発明の多様な構成の理解を容易にするために、項別けして説明するものである。各項は、本発明の技術的範囲を限定するものではなく、発明を実施するための最良の形態を参酌しつつ、各項の構成要素の一部を置換し、削除し、又は、更に他の構成要素を付加したものについても、本願発明の技術的範囲に含まれ得るものである。
(1)水上工事の作業区域の沖側に施工中に設置され、施工完了後に撤去される浮体構造の仮設式波除堤であって、沖側に向けて配置される正面壁を含む、無蓋箱状をなす貯水部を備え、該仮設式波除堤の設置時に、前記貯水部の内部には水が注水され、撤去時には内部から水が排水されるものである仮設式波除堤(請求項1)。
本項に記載の仮設式波除堤は、水上工事の施工中に、作業区域の沖側に浮かべて設置される浮体構造のものであり、無蓋箱状をなし、設置時にはその内部に水が注水される貯水部を備えている。この貯水部は、箱状を構成する壁部として、沖側に向けて配置される正面壁を含んでいる。すなわち、貯水部の正面壁が沖側を向くように設置されることで、沖側から到来する波浪を正面壁により受け、岸側へ伝わる波浪エネルギーを低減するものである。このとき、波浪の作用によって仮設式波除堤が動揺し、貯水部内の水も振動することになるが、同調液体ダンパーの原理を利用してスロッシングを制御し、仮設式波除堤の動揺を抑制することで、作業区域に伝わる波浪を低減する。これにより、作業区域に向かって施工限界に近い波浪が到来する場合でも、仮設式波除堤を介して作業区域に到達する波浪のエネルギーが減衰されるため、作業区域が静穏に保たれることになる。従って、水上工事の作業の安全性と施工精度とが向上されるものである。又、作業区域に向かって予測以上の波浪が到来する場合でも、作業区域内の静穏度が一定の範囲内に保たれることになるため、安全性が確保されると共に、施工精度の低下が防止されるものとなる。
更に、本項に記載の仮設式波除堤は、施工中に作業区域の沖側に設置され、施工完了後に設置場所から撤去されるものであり、必要に応じて使用及び保管されるものである。すなわち、例えば、未使用時には陸地に近い場所に係留されて保管され、使用時には設置場所まで水上を曳航されて設置され、施工完了後には保管場所まで曳航されて、次の使用時まで再び保管されるものである。これにより、複数の水上工事の現場において、繰り返し使用されるものとなるため、複数の水上工事毎に波除堤を作製する必要がなく、コストが抑制される。更に、上述したような貯水部を備えた単純な構造のものであるため、作製が容易であると共に部材費が抑えられ、これによってもコストが抑制される。又、本項に記載の仮設式波除堤は、少なくとも曳航時には貯水部から水が排水されることで、重量が低下するため、曳航作業が容易になる。更に、繰り返しになるが、無蓋箱状をなす貯水部を備えた単純な構造であるため、貯水部からの水の注排水作業が容易であり、加えて、設置作業や曳航作業等の取り回しも容易なものである。
(2)上記(1)項において、前記貯水部は、前記正面壁と平行な後面壁、及び、前記正面壁と前記後面壁とを接続する一対の側壁を含む、平面視矩形の無蓋箱状をなすものである仮設式波除堤(請求項2)。
本項に記載の仮設式波除堤は、貯水部が平面視矩形の無蓋箱状をなすものであり、正面壁に加えて、正面壁と平行な後面壁と、正面壁と後面壁とを接続する一対の側壁とを含むものである。このように、貯水部がより単純な構造を有することで、作製費や部材費の更なる抑制や、取り回しの更なる容易化を図るものである。
(3)上記(1)(2)項において、前記貯水部に注水される水の水位が、設置時における、少なくとも前記作業区域の周辺の波浪条件に基づいて設定される仮設式波除堤(請求項3)。
本項に記載の仮設式波除堤は、貯水部に注水される水の水位が、設置時における、少なくとも作業区域の周辺の波浪条件に基づいて設定されるものである。波浪条件には、例えば波の周期や波高等が含まれ、作業区域周辺で実測或いは予測されたそのような波浪条件に基づいて、貯水部内の水の水位が設定される。このように設定された水位の水が貯水部に注水されることで、波浪条件に応じて貯水部内の水のスロッシングが制御されるため、仮設式波除堤自体の動揺がより効率よく抑制される。これにより、仮設式波除堤の沖側から岸側へと伝達する波浪エネルギーが低減され、仮設式波除堤の岸側に位置する作業区域が、より静穏に保たれるものである。更に、任意の波浪条件に応じて、波浪エネルギーが効率的に減衰する水位が設定されることから、波浪条件が異なる様々な作業区域に対応するものとなる。
(4)上記(1)から(3)項において、前記貯水部の底面から前記正面壁と平行に延びる、少なくとも1枚の突出板を備える仮設式波除堤(請求項4)
本項に記載の仮設式波除堤は、貯水部の底面から正面壁と平行に延びる、少なくとも1枚の突出板を備えるものである。すなわち、この突出板は、仮設式波除堤が設置された状態で、水中において沖側に面するように配置されることになる。これにより、沖側から到来する波浪を、正面壁だけでなく突出板によっても受けるため、波浪エネルギーがより効率よく低減されるものである。更に、突出板が貯水部の底面から下方へ延びていることで、仮設式波除堤のバランスが向上して動揺が抑制されるため、これによっても波浪エネルギーが低減されることになる。
(5)上記(4)項において、前記突出板として、前記正面壁が前記貯水部の底面よりも下方へ延ばされるようにして形成された前方突出板と、該前方突出板から沖側と反対方向に間隔を空けた位置に形成された後方突出板と、を含む仮設式波除堤(請求項5)。
本項に記載の仮設式波除堤は、突出板として、前方突出板と後方突出板との2枚の突出板を含むものである。前方突出板は、貯水部の正面壁が、貯水部の底面よりも下方へ延ばされるようにして形成されたものであり、後方突出板は、前方突出板から沖側と反対方向(岸側の方向)に間隔を空けた位置に、貯水部の底面から延びるように形成されたものである。これにより、正面壁から前方突出板にわたる広い面積の部位によって、沖側から到来する波浪を受けることになるため、波浪エネルギーが効率よく低減される。更に、水中で前方突出板と後方突出板との間に入り込む水は、側方側及び水底側から出入りが自由である一方、前方突出板側と後方突出板側からの出入りが制限されるため、沖側から岸側へ波浪エネルギーが伝わり難くなる。これにより、波浪エネルギーがより一層低減されるものである。
(6)上記(1)から(5)のいずれか1項記載の仮設式波除堤が、平面視で前記正面壁がその延在方向に連なるように隣接して、複数設置されて構成されることを特徴とする連接型仮設式波除堤(請求項6)。
本項に記載の連接型仮設式波除堤は、上記(1)から(5)のいずれか1項記載の仮設式波除堤が、複数設置されて構成されるものであり、この際、複数の仮設式波除堤は、平面視で正面壁がその延在方向に連なるように、隣接して配置される。隣接する仮設式波除堤同士は、接続される必要はなく、互いに衝突しない程度の間隔を空けて、作業区域の沖側を囲うように設置される。これにより、様々な大きさの作業区域に対応して、複数の仮設式波除堤の内側(岸側)が静穏に保たれることとなり、水上工事の作業の安全性と施工精度とが向上されるものである。なお、連接型仮設式波除堤を構成する複数の仮設式波除堤は、必ずしも直線状に並べられる必要はなく、作業区域の平面視形状に合わせて、作業区域の沖側を囲うように、隣接する仮設式波除堤間に角度差が生じて設置されてもよい。
本発明は上記のような構成であるため、コストを抑制しながら、水上工事の作業区域を静穏に保つことが可能となる。
本発明の実施の形態に係る仮設式波除堤の斜視図である。 図1の仮設式波除堤の設置状態を示すイメージ図である。 図1の仮設式波除堤を設置した場合の、波浪エネルギーが減衰する様子を示すイメージ図である。 図1の仮設式波除堤を設置した場合の、沖側の水位変動と岸側の水位変動とを比較したグラフである。 本発明の実施の形態に係る仮設式波除堤の、図1と形状が異なる実施例を示すイメージ図である。 本発明の実施の形態に係る連接型仮設式波除堤の設置例を示す概略的な平面図である。
以下、本発明を実施するための形態を、添付図面に基づき説明する。なお、図面の全体にわたって、同一部分又は対応する部分は、同一符号で示している。
図1は、本発明の実施の形態に係る仮設式波除堤10の構造の一例を示している。仮設式波除堤10は、水上に設置される浮体構造のものであり、図示のように、平面視矩形の無蓋箱状をなす貯水部12と、貯水部12の底面12aから下方へ延びる突出板20とを含んでいる。貯水部12は、正面壁14と、この正面壁14と平行な後面壁16と、正面壁14と後面壁16とを接続する一対の側壁18とによって、四方を囲う壁部が形成されている。
又、本実施例では、前方突出板20Aと後方突出板20Bとの、2枚の突出板20が形成されている。前方突出板20Aは、底面12aの図中左側の縁から下方へ延びており、正面壁14をそのまま下方へ延ばすようにして形成されている。後方突出板20Bは、底面12aの図中右側の縁から下方へ延びており、後面壁16をそのまま下方へ延ばすようにして形成されている。仮設式波除堤10は、これに限定されるものではないが、例えば鋼材によって形成される。又、仮設式波除堤10の大きさは、一例を挙げると、図中左右方向の幅が5〜15m程度、図中奥行方向(正面壁14及び後面壁16の延在方向)の長さが20m程度、図中上下方向の長さが20m程度、突出板20の図中上下方向の長さが12m程度であるが、これらに限定されるものではない。
次に、図2には、水上に設置された状態の仮設式波除堤10を示している。なお、図2(及び後述する図3並びに図5)では、便宜上、図中左側を沖側とし、図中右側を岸側として図示している。図示のように、仮設式波除堤10は、貯水部12を構成する正面壁14が沖側へ向くような配置で、例えばアンカー付きの係留索やチェーン等の係留手段30によって、水底Bに係止されることで、水上工事の作業区域WAの沖側に設置される。又、仮設式波除堤10は、設置時において、貯水部12の内部に水Wが注水されており、この状態で、突出板20の全体と貯水部12の一部とが水中に沈みこむようにして、水上に浮かべられている。
水Wの貯水部12内での水位は、例えば、設置時における、作業区域WA周辺の波浪条件(波の周期や波高等)に基づいて設定される。しかしながら、それとは別のパラメータを利用して、水Wの水位を設定してもよい。又、水Wの水位は、例えば、作業区域WA周辺の波浪条件が大きく変動した場合等の、必要に応じたタイミングで、適宜、調整することとしてもよい。水Wの注水は、作業船に搭載されたポンプや、仮設式波除堤10に一時的に設置されるポンプ等が利用されて、仮設式波除堤10の周囲の水が、貯水部12の内部に汲み上げられることで行われる。これとは逆に、水Wを排水する際には、貯水部12の内部からポンプで汲み上げて、仮設式波除堤10の周囲に排水すればよい。
ここで、本願の発明者らは、図2のように設置された状態の仮設式波除堤10に対して、沖側から波浪が到来する場合のシミュレーションを行っており、図3には、シミュレーション中の波浪と仮設式波除堤10との動向を示しており、図4には、シミュレーション結果から得られた、沖側の水位変動と岸側の水位変動とを比較したグラフを示している。なお、このシミュレーションでは、波浪が全く発生していない状態から始まり、徐々に大きくなる波浪が発生するようにしている。
まず、図3を確認すると、図3(a)では、波浪が発生した比較的初期の状態を示しており、仮設式波除堤10の沖側(図中左側)で水面が僅かに動揺し、貯水部12内の水Wが僅かに揺らいでいることが分かる。図3(b)では、波浪が比較的大きくなった状態を示しており、仮設式波除堤10の沖側で水面が隆起すると共に、仮設式波除堤10の岸側でも水面が揺らいでいる。そして、これに伴い、仮設式波除堤10が僅かに右側へ傾き、貯水部12内の水Wが動揺していることが分かる。更に、図3(c)では、引き続き大きな波浪が到来し、仮設式波除堤10の沖側で水面が沈降すると共に、仮設式波除堤10の岸側で水面が僅かに隆起している。そして、これに伴い、仮設式波除堤10が僅かに左側へ傾き、貯水部12内の水Wが動揺していることが確認できる。
次に、図4のグラフは、縦軸が水位変動を示し、横軸が時刻を示している。又、凡例欄に符号WG1及びWG2で示されているデータが、仮設式波除堤10の沖側の水位を示し、符号WG3及びWG4で示されているデータが、仮設式波除堤10の岸側の水位を示している。このため、各データグラフの上下間の大きさが波高を示すことになる。このグラフから、岸側の水位WG3及びWG4から確認できる伝達波高は、沖側の水位WG1及びWG2から確認できる入射波高よりも、大きさが小さくなっていることが分かる。なお、図4では、沖側から到来して仮設式波除堤10に反射された波の影響を除外するために、沖側の水位WG1及びWG2については、反射波の影響が出始めるタイミングよりも前のデータを示している。
続いて、図5には、本発明の実施の形態に係る仮設式波除堤10の、図1〜図3に示した実施例と形状が異なる実施例を示している。図5(a)に示す仮設式波除堤10は、水Wが注水された無蓋箱状の貯水部12と、1枚の突出板20とを含むものであり、突出板20が、貯水部12の底面12aの、図中左右方向の中央から下方へ延びている。又、図5(b)に示す仮設式波除堤10は、水Wが注水された無蓋箱状の貯水部12のみを備えたものである。このように、本発明の実施の形態に係る仮設式波除堤10は、突出板20の枚数が限定されず、1枚や3枚以上であってもよく、突出板20を備えていなくてもよいものである。
一方、図5(c)に示す仮設式波除堤10は、無蓋箱状の貯水部12と2枚の突出板20とを含み、貯水部12が二重底構造になっており、貯水部12の内部に2段構造で水Wが注水されているものである。他方、図5(d)に示す仮設式波除堤10は、無蓋箱状の貯水部12と2枚の突出板20とを含み、貯水部12の内部を図中左側と右側とに隔てる衝立が設けられ、衝立で隔てられた貯水部12の内部の夫々に水Wが注水されているものである。このように、本発明の実施の形態に係る仮設式波除堤10は、貯水部12の内部が、複数の空間に分けられていてもよいものである。なお、上述した何れの形状の実施例であっても、仮設式波除堤10の岸側への伝達波高が、沖側からの入射波高よりも小さくなることが、本願の発明者らによって確認されている。
次に、図6には、上述した仮設式波除堤10が複数設置されて構成される、本発明の実施の形態に係る連接型仮設式波除堤50を示している。図示のように、連接型仮設式波除堤50は、複数の仮設式波除堤10、本実施例では5つの仮設式波除堤10が、各々の側壁18側に隣接して円弧状に並べられた状態で、水上工事の作業区域WAの沖側(図中左側)に設置されている。なお、「連接型」と称しているが、隣接する仮設式波除堤10の間は特に接続されておらず、互いに衝突しない程度の間隔が空くように、仮設式波除堤10の各々が、図2に示したような係留手段30を用いて係留されることにより、複数の仮設式波除堤10が、連続的に隣接する態様で設置されるものである。
さて、上記構成をなす本発明の実施の形態によれば、次のような作用効果を得ることが可能である。すなわち、本発明の実施の形態に係る仮設式波除堤10は、図2に示すように、水上工事の施工中に、作業区域WAの沖側(図中左側)に浮かべて設置される浮体構造のものである。そして、図1及び図5に示すように、平面視矩形の無蓋箱状をなし、設置時にはその内部に水Wが注水される貯水部12を備えている。この貯水部12は、箱状を構成する壁部として、沖側に向けて配置される正面壁14と、正面壁14と平行な後面壁16と、正面壁14と後面壁16とを接続する一対の側壁18とを含んでいる。すなわち、貯水部12の正面壁14が沖側を向くように設置されることで、沖側から到来する波浪を正面壁14により受け、岸側へ伝わる波浪エネルギーを低減するものである。
このとき、波浪の作用によって仮設式波除堤10が動揺し、貯水部12内の水Wも振動することになるが、同調液体ダンパーの原理を利用してスロッシングを制御し、仮設式波除堤10の動揺を抑制することで、作業区域WAに伝わる波浪を低減することができる。これにより、作業区域WAに向かって施工限界に近い波浪が到来する場合でも、仮設式波除堤10を介して作業区域WAに到達する波浪のエネルギーが減衰されるため、作業区域WAを静穏に保つことが可能となる。従って、水上工事の作業の安全性と施工精度とを向上させることができる。又、作業区域WAに向かって予測以上の波浪が到来する場合でも、作業区域WA内の静穏度を一定の範囲内に保つことができるため、安全性を確保することができると共に、施工精度の低下を防止することが可能となる。
更に、本発明の実施の形態に係る仮設式波除堤10は、施工中に作業区域WAの沖側に設置され、施工完了後に設置場所から撤去されるものであり、必要に応じて使用及び保管されるものである。すなわち、例えば、未使用時には陸地に近い場所に係留されて保管され、使用時には設置場所まで水上を曳航されて設置され、施工完了後には保管場所まで曳航されて、次の使用時まで再び保管されるものである。これにより、複数の水上工事の現場において、繰り返し使用することができるため、複数の水上工事毎に波除堤を作製する必要がなく、コストを抑制することができる。更に、上述したような貯水部12を備えた単純な構造のものであるため、作製が容易であると共に部材費を抑えることができ、これによってもコストを抑制することができる。又、本発明の実施の形態に係る仮設式波除堤10は、少なくとも曳航時には貯水部12から水Wが排水されることで、重量が低下するため、曳航作業の負担を軽減することができる。更に、繰り返しになるが、無蓋箱状をなす貯水部12を備えた単純な構造であるため、貯水部12からの水Wの注排水作業を容易に行うことができ、加えて、設置作業や曳航作業等の取り回しも容易なものである。
又、本発明の実施の形態に係る仮設式波除堤10は、貯水部12に注水される水Wの水位が、設置時における、少なくとも作業区域WAの周辺の波浪条件に基づいて設定されるものである。波浪条件には、例えば波の周期や波高等が含まれ、作業区域WA周辺で実測或いは予測されたそのような波浪条件に基づいて、貯水部12内の水Wの水位が設定される。このように設定された水位の水Wが貯水部12に注水されることで、波浪条件に応じて貯水部12内の水Wのスロッシングを制御することができるため、仮設式波除堤10自体の動揺をより効率よく抑制することができる。これにより、仮設式波除堤10の沖側から岸側へと伝達する波浪エネルギーを低減することが可能となり、仮設式波除堤10の岸側に位置する作業区域WAを、より静穏に保つことができる。更に、任意の波浪条件に応じて、波浪エネルギーを効率的に減衰させる水位を設定可能であることから、波浪条件が異なる様々な作業区域に対応することができる。
更に、本発明の実施の形態に係る仮設式波除堤10は、図1、図2、及び図5(a)、(c)、(d)に示すように、貯水部12の底面12aから正面壁14と平行に延びる、換言すれば、下方及び側壁18と直交する方向へ延在する、少なくとも1枚の突出板20を備えるものである。すなわち、この突出板20は、仮設式波除堤10が設置された状態で、水中において沖側に面するように配置されることになる。これにより、沖側から到来する波浪を、正面壁14だけでなく突出板20によっても受けるため、波浪エネルギーをより効率よく低減することができる。更に、突出板20が貯水部12の底面12aから下方へ延びていることで、仮設式波除堤10のバランスが向上して動揺が抑制されるため、これによっても波浪エネルギーを低減することができる。
加えて、本発明の実施の形態に係る仮設式波除堤10は、図1、図2、及び図5(c)、(d)に示すように、突出板20として、前方突出板20Aと後方突出板20Bとの2枚の突出板20を含んでもよいものである。前方突出板20Aは、貯水部12の正面壁14が、貯水部12の底面12aよりも下方へ延ばされるようにして形成されたものである。後方突出板20Bは、前方突出板20Aから沖側と反対方向(岸側の方向)に間隔を空けた位置に、貯水部12の底面12aから延びるように、図示の例では、貯水部12の後面壁16が、貯水部12の底面12aよりも下方へ延ばされるようにして形成されたものである。これにより、正面壁14から前方突出板20Aにわたる広い面積の部位によって、沖側から到来する波浪を受けることができるため、波浪エネルギーを効率よく低減することができる。
更に、水中で前方突出板20Aと後方突出板20Bとの間に入り込む水は、側壁18側(図2及び図5における紙面と直交する方向)及び水底B側から出入りが自由である一方、前方突出板20A側と後方突出板20B側からの出入りが制限されるため、沖側から岸側へ波浪エネルギーが伝わり難くなる。これにより、波浪エネルギーをより一層低減することが可能となる。ここで、図3及び図4には、図1及び図2に示した形状の仮設式波除堤10を用いたシミュレーションについて示しており、これらが示す内容からも、仮設式波除堤10の沖側から岸側へと伝わる波浪エネルギーが低減され、伝達波高が入射波高よりも小さくなっていることが確認できる。
なお、本発明の実施の形態に係る仮設式波除堤10は、図1〜図3及び図5に示した形状に限定されるものではなく、沖側へ向けて配置される正面壁14を含み、水を注排水可能な貯水部12を備えたものであれば、他の形状であってもよいものである。例えば、仮設式波除堤10は、貯水部12の形状が平面視矩形に限定されるものではなく、異形ケーソンのような形状であってもよい。又、正面壁12の上方端から連続して、上方側へ向かうにつれて後方側へと傾斜した斜面を備えると共に、その斜面に対応した高さまで後面壁16と側壁18とが上方に延ばされた、側面視で台形をなす上部斜面堤のような形状であってもよい。更に、前方突出板20Aや後方突出板20Bに加え、一対の側壁18の双方が下方へ延ばされるようにして、前方突出板20Aの側方側端部と後方突出板20Bの側方側端部との間を接続する側方突出板が設けられていてもよい。
一方、本発明の実施の形態に係る連接型仮設式波除堤50は、図6に示すように、上述したような仮設式波除堤10が、平面視で正面壁14がその延在方向に連なるように隣接して、すなわち、一対の側壁18のうちの一方側或いは双方側に隣接して、複数設置されて構成されるものである。隣接する仮設式波除堤10同士は、接続される必要はなく、互いに衝突しない程度の間隔を空けて、作業区域WAの沖側(図中左側)を囲うように設置される。これにより、様々な大きさの作業区域WAに対応して、複数の仮設式波除堤10の内側(岸側)を静穏に保つことができ、水上工事の作業の安全性と施工精度とを向上させることができる。なお、連接型仮設式波除堤50を構成する複数の仮設式波除堤10は、作業区域WAの平面視形状に合わせて、作業区域WAの沖側を囲うように設置されていれば、図6の例のように、隣接する仮設式波除堤10間に角度差が生じて設置されてもよく、或いは、直線状に並べられて設置されてもよい。
10:仮設式波除堤、12:貯水部、12a:底面、14:正面壁、16:後面壁、18:側壁、20:突出板、20A:前方突出板、20B:後方突出板、50:連接型仮設式波除堤、W:水、WA:作業区域

Claims (6)

  1. 水上工事の作業区域の沖側に施工中に設置され、施工完了後に撤去される浮体構造の仮設式波除堤であって、
    沖側に向けて配置される正面壁を含む、無蓋箱状をなす貯水部を備え、
    該仮設式波除堤の設置時に、前記貯水部の内部には水が注水され、撤去時には内部から水が排水されるものであることを特徴とする仮設式波除堤。
  2. 前記貯水部は、前記正面壁と平行な後面壁、及び、前記正面壁と前記後面壁とを接続する一対の側壁を含む、平面視矩形の無蓋箱状をなすものであることを特徴とする請求項1記載の仮設式波除堤。
  3. 前記貯水部に注水される水の水位が、設置時における、少なくとも前記作業区域の周辺の波浪条件に基づいて設定されることを特徴とする請求項1又は2記載の仮設式波除堤。
  4. 前記貯水部の底面から前記正面壁と平行に延びる、少なくとも1枚の突出板を備えることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の仮設式波除堤。
  5. 前記突出板として、前記正面壁が前記貯水部の底面よりも下方へ延ばされるようにして形成された前方突出板と、該前方突出板から沖側と反対方向に間隔を空けた位置に形成された後方突出板と、を含むことを特徴とする請求項4記載の仮設式波除堤。
  6. 請求項1から5のいずれか1項記載の仮設式波除堤が、平面視で前記正面壁がその延在方向に連なるように隣接して、複数設置されて構成されることを特徴とする連接型仮設式波除堤。
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