JP2019131762A - 3dプリンター用造形材料及びその使用方法、並びに造形方法 - Google Patents

3dプリンター用造形材料及びその使用方法、並びに造形方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2019131762A
JP2019131762A JP2018017309A JP2018017309A JP2019131762A JP 2019131762 A JP2019131762 A JP 2019131762A JP 2018017309 A JP2018017309 A JP 2018017309A JP 2018017309 A JP2018017309 A JP 2018017309A JP 2019131762 A JP2019131762 A JP 2019131762A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
modeling material
modeling
polyacetal
printer
inorganic filler
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2018017309A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6957377B2 (ja
Inventor
俊介 武藤
Shunsuke Muto
俊介 武藤
小山 敦
Atsushi Koyama
敦 小山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Asahi Kasei Corp
Original Assignee
Asahi Kasei Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Asahi Kasei Corp filed Critical Asahi Kasei Corp
Priority to JP2018017309A priority Critical patent/JP6957377B2/ja
Publication of JP2019131762A publication Critical patent/JP2019131762A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6957377B2 publication Critical patent/JP6957377B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

【課題】3Dプリンターにより複雑な造形品を精密に造形可能な、ポリアセタールを含有する造形材料を提供する。【解決手段】ポリアセタールを含有する3Dプリンター用造形材料であって、前記造形材料は、前記ポリアセタールの含有量が45質量%以上であり、且つ、200℃における比容積に対する50℃における比容積の比として求められる収縮度が、0.875以上である、ことを特徴とする、3Dプリンター用造形材料。【選択図】なし

Description

本発明は、3Dプリンター用造形材料及びその使用方法、並びに造形方法に関する。
近年、複雑な構造を有する造形品を作製する技術の一つとして、付加製造技術が広く普及しつつある。
3Dプリンターに代表される付加製造技術は、従来の射出成形では必須であった金型を使用しない方法であるため、短期間で試作できるというメリッ卜があり、例えば機能確認用の部品の試作に用いられることが多くなってきている。また、試作への適用のみならず、少量多品種製品の直接製造への適用のニーズも増加している。
付加製造技術にはいくつかの造形方式があるが、工業用途に用いられる最終製品の造形においては、粉末状の樹脂をレーザー又は熱により溶融して造形する、粉末焼結法を採用した3Dプリンターが、近年実用化されつつある。
一方、低価格の3Dプリンターの多くは、熱溶解積層法の付加製造技術を採用している。熱溶解積層法は、フィラメント状の樹脂材料を造形ヘッド内のプーリーで押出し、その先のヒーターで当該フィラメント状の樹脂材料を溶解しながら、押出された樹脂を造形テーブルに押し付けるように積層を行う技術である。
熱溶解積層法に使用可能なフィラメントを構成する樹脂としては、ポリ乳酸が広く知られている(特許文献1)。ポリ乳酸は、融点が約170℃であり、プラスチックの中でも比較的低温で溶融させることができるため、家庭用の3Dプリンターに適している。
特開2016−94679号公報
しかしながら、ポリ乳酸は、生分解性樹脂であるため、分解又は劣化が生じやすく、機械的強度も十分ではない。そこで、熱溶解積層法の材料として、ポリアセタール等のエンジニアリングプラスチック材料の登場が期待されている。
ところで、熱溶解積層法においては、一般的に、造形過程で積層レイヤーごとに熱収縮が起こることで、造形品の反りや、積層レイヤー間の剥離又は割れが発生し、所望の形状への精密な造形が難しいという課題がある。また、粉末溶融法においても、造形時又は冷却時における造形品の反りは、大きな課題である。
このような事実の下、特にポリアセタールを3Dプリンターの材料として用いた場合には、上述の課題が顕著に表れ、未だ実用に耐えうるレベルの材料は見出されていない。また、特許文献1を含め、従来の技術では、ポリアセタールを熱溶解積層法に用いることについて十分な検討がなされておらず、造形時の反りを抑え、精密な造形を行うことが困難であった。
そこで、本発明が解決しようとする課題は、3Dプリンターにより複雑な造形品を精密に造形可能な、ポリアセタールを含有する造形材料を提供することである。また、本発明が解決しようとする課題は、上述した造形材料の使用方法、及び、複雑な造形品を精密に造形可能な造形方法を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、特定の要件を満たすポリアセタールを含有する材料を用いることで、3Dプリンターにより複雑な造形品を精密に造形可能であることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は以下の通りである。
[1]
ポリアセタールを含有する3Dプリンター用造形材料であって、前記造形材料は、
前記ポリアセタールの含有量が45質量%以上であり、且つ、
200℃における比容積に対する50℃における比容積の比として求められる収縮度が、0.875以上である、ことを特徴とする、3Dプリンター用造形材料。
[2]
無機充填剤を更に含有し、
前記無機充填剤の含有量が、前記ポリアセタール100質量部に対して5〜120質量部である、[1]に記載の造形材料。
[3]
ポリ乳酸樹脂を更に含有し、
前記ポリ乳酸樹脂の含有量が、前記ポリアセタール100質量部に対して5〜120質量部である、[1]又は[2]に記載の造形材料。
[4]
前記ポリアセタールの含有量が50体積%以上である、[1]〜[3]のいずれかに記載の造形材料。
[5]
結晶化速度が35秒以上である、[1]〜[4]のいずれかに記載の造形材料。
[6]
示差走査熱量測定(DSC)で測定される融点ピークが単一ピークを示す、[1]〜[5]のいずれかに記載の造形材料。
[7]
前記無機充填剤が、水酸化物、酸化物、珪酸塩、炭酸塩及びカーボン系物質から選ばれる1種以上である、[2]〜[6]のいずれかに記載の造形材料。
[8]
前記無機充填剤が等方性である、[2]〜[7]のいずれかに記載の造形材料。
[9]
前記無機充填剤は、平均粒径が50nm以上500nm以下である、[2]〜[8]のいずれかに記載の造形材料。
[10]
粉末溶融法の3Dプリンター用である、[1]〜[9]のいずれかに記載の造形材料。
[11]
熱溶解積層法の3Dプリンター用である、[1]〜[9]のいずれかに記載の造形材料。
[12]
モノフィラメント状であり、且つ、長径と短径の比で表される真円率が1.05以下である、[1]〜[9]のいずれかに記載の造形材料。
[13]
[12]記載の造形材料を用いることを特徴とする、熱溶解積層法の3Dプリンターで造形する方法。
[14]
熱溶解積層法の3Dプリンターに用いることを特徴とする、[12]に記載の造形材料の使用方法。
本発明によれば、3Dプリンターにより複雑な造形品を精密に造形可能な、ポリアセタールを含有する造形材料を提供することができる。また、本発明によれば、上述した造形材料の使用方法、及び、複雑な造形品を精密に造形可能な造形方法を提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、本実施形態と言う。)について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
(3Dプリンター用造形材料)
本実施形態における3Dプリンター用造形材料(以下、単に「造形材料」と称することがある。)は、樹脂として少なくともポリアセタールを含有し、上記造形材料は、上記ポリアセタールの含有量が45質量%以上であり、且つ、200℃における比容積に対する50℃における比容積の比として求められる収縮度が、0.875以上である、ことを特徴とする。また、本実施形態における造形材料は、必要に応じ、ポリ乳酸樹脂、無機充填剤、その他の成分などを更に含有してもよい。
<収縮度>
上述の通り、本実施形態における造形材料は、200℃における比容積に対する50℃における比容積の比([50℃における比容積]/[200℃における比容積])として求められる収縮度が0.875以上である。
ポリアセタールは、結晶性樹脂であるため収縮性が高く、これまで熱溶解積層法で造形することが困難であった。このような状況下、本発明者らは、材料のPVT曲線を測定してこれに着目し、溶融している200℃での比容積と、固化している50℃における比容積との比が0.875以上の値であれば、ポリアセタールを含有する造形材料を用いて熱溶解積層法で造形したとしても、造形品の反り及び層間剥離が抑制されて、精密な造形が可能となることを見出した。
また、造形材料の収縮度は、より精密な造形を可能にする観点から、0.877以上であることが好ましく、0.879以上であることがより好ましい。また、造形材料の収縮度の上限としては特に限定されないが、現実的な観点から0.950以下である。
なお、本実施形態において収縮度は、0.1MPaの圧力下で求められる。
<結晶化速度>
本実施形態における造形材料は、結晶化速度が35秒以上であることが好ましい。結晶化速度が35秒以上であることにより、造形時における反り及び層間剥離をより効果的に抑制することができる。同様の観点から、造形材料の結晶化速度は、38秒以上であることがより好ましく、40秒以上であることが更に好ましい。
ここで、結晶化速度は、示差走査熱量測定(DSC)により、例えば、Parki Elmer社製「DSC−2C」を用い、実施例に記載の手順に従うことで、測定することができる。
なお、一般に、射出成形において成形品の反りを抑制する方法としては、成形材料の結晶化速度を速くすることが挙げられ、このようにすることで、金型内で十分に結晶化させて、金型から取り出した後に反りが生じるのを抑えている。
しかし一方で、3Dプリンターによる造形では、上述の方法とは逆に、結晶化速度を十分に遅くすることによって、造形時における反りを抑制することができる。
<融点ピーク>
本実施形態における造形材料は、DSCで測定される融点ピークが単一ピークを示すことが好ましい。融点ピークが単一ピークを示すことにより、ポリアセタールと他の樹脂とが十分に相溶しているといえ、造形材料の均一化、ひいては物性の向上を図ることができる。
なお、本明細書において「単一ピークを示す」とは、2つ以上のピーク及びショルダーの存在が確認されないことを指すものとする。
次に、本実施形態における造形材料が含有し得る成分について説明する。
<ポリアセタール>
本実施形態における造形材料は、ポリアセタールの含有量(質量割合)が45質量%以上である。また、造形材料は、ポリアセタールの有利な特性を発現させる観点から、ポリアセタールの含有量が50質量%以上であることが好ましく、より好ましくは55質量%以上、更に好ましくは60質量%以上である。また、造形材料は、3Dプリンターによる造形性をより良好にする観点から、ポリアセタールの含有量が95質量%以下であることが好ましく、より好ましくは90質量%以下、更に好ましくは80質量%以下、一層好ましくは70質量%以下である。
また、本実施形態における造形材料は、ポリアセタールの含有量(体積割合)が、50体積%以上であることが好ましい。ポリアセタールの含有量(体積割合)が50体積%以上であることにより、ポリアセタール特有の機械強度及び摺動性等の優れた特性がより発現しやすい。同様の観点から、造形材料は、ポリアセタールの含有量(体積割合)が、53体積%以上であることがより好ましく、55体積%以上が更に好ましい。また、ポリアセタールの含有量(体積割合)は、3Dプリンターによる造形性の観点から、90体積%以下が好ましく、より好ましくは80体積%以下であり、更に好ましくは60体積%以下である。
本発明におけるポリアセタールとしては、例えば、ポリアセタールホモポリマー(a−1)及びポリアセタールコポリマー(a−2)などが挙げられるが、造形性、熱安定性の観点からは、ポリアセタールコポリマーが好ましい。その一方で、ポリアセタールとしては、得られる造形品の機械的強度の観点からは、ポリアセタールホモポリマーが好ましい。
[ポリアセタールホモポリマー(a−1)]
ポリアセタールホモポリマー(a−1)は、オキシメチレンユニットのみを主鎖に有するポリマーである。そして、ポリアセタールホモポリマー(a−1)は、例えば、公知のスラリー重合法(例えば、特公昭47−6420号公報及び特公昭47−10059号公報に記載の方法)により得ることができる。
また、市販されているポリアセタールホモポリマーとしては、旭化成株式会社製のテナック(商標)が挙げられる。
[ポリアセタールコポリマー(a−2)]
ポリアセタールコポリマー(a−2)は、主モノマーに由来するオキシメチレンユニットと、コモノマーに由来するコモノマーユニットとを主鎖に有する共重合ポリマーである。コモノマーユニットは、オキシメチレンユニットと共重合できるユニットであれば特に限定されないが、炭素数2以上のオキシアルキレンユニットであることが好ましい。ポリアセタールコポリマー(a−2)の両末端又は片末端は、エステル基及び/又はエーテル基により封鎖されていてもよい。
また、市販されているポリアセタールコポリマーとしては、旭化成株式会社製のテナック−C(商標)が挙げられる。
なお、ポリアセタールコポリマー(a−2)において、炭素数2以上のオキシアルキレンユニットの定量については、1H−NMR法を用いて、以下の手順で求めることができる。
即ち、ポリアセタールコポリマー(a−2)を、ヘキサフルオロイソプロパノールにより濃度1.5質量%となるように24時間かけて溶解させ、この溶解液を用いて1H−NMR解析を行い、オキシメチレンユニットと、炭素数2以上のオキシアルキレンユニットと、の帰属ピ−クの積分値の比率から、オキシメチレンユニット(a=100mol)に対する炭素数2以上のオキシアルキレンユニット(bmol)の含有割合(b/a:mol/100mol)を求めることができる。
ポリアセタールコポリマー(a−2)は、コモノマーユニットを、オキシメチレンユニット100molに対して、0.3mol以上含有することが好ましく、0.4mol以上含有することがより好ましく、0.5mol以上含有することが更に好ましく、0.6mol以上含有することが一層好ましく、1.2mol以上含有することが特に好ましい。また、ポリアセタールコポリマー(a−2)は、コモノマーユニットを、3.0mol以下含有することが好ましく、2.0mol以下含有することがより好ましく、1.5mol以下含有することが更に好ましい。オキシメチレンユニット100molに対するコモノマーユニットの含有割合を上述した好ましい範囲にすることで、3Dプリンターによる造形性と熱安定性とのバランスが良好な造形材料が得られる傾向にある。
1)主モノマー
ポリアセタールコポリマー(a−2)の製造に使用する主モノマーとしては、例えば、ホルムアルデヒド又はその3量体であるトリオキサン若しくは4量体であるテトラオキサン等の環状オリゴマーなどが挙げられる。
本実施形態において「主モノマー」とは、全モノマー量に対して50質量%以上含有されているモノマーユニットをいう。
2)コモノマー
ポリアセタールコポリマー(a−2)の製造に使用するコモノマーとしては、特に限定されないが、例えば、分子中に炭素数2以上のオキシアルキレンユニットを有する環状エーテル化合物が挙げられる。
環状エーテル化合物としては、特に限定されないが、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、1,3−ジオキソラン、1,3−プロパンジオールホルマール、1,4−ブタンジオールホルマール、1,5−ペンタンジオールホルマール、1,6−ヘキサンジオールホルマール、ジエチレングリコールホルマール、1,3,5−トリオキセパン、1,3,6−トリオキオカン、及び分子に分岐若しくは架橋構造を構成しうるモノ−若しくはジ−グリシジル化合物などが挙げられる。
環状エーテル化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本実施形態におけるポリアセタールは、当該ポリアセタールの融点より10℃低い温度で1時間保持したときの重量減少率が、5%以下であることが好ましい。上記重量減少率が5%以下であることにより、高い熱安定性を保持することができ、加熱によるホルムアルデヒド等の揮発性有機物質(VOC)の放出を十分に抑制することができる。同様の観点から、上記重量減少率は、3%以下であることがより好ましく、1%以下であることが更に好ましい。
ここで、上記重量減少率は、熱重量測定装置(Perkin Elmer社製、商品名「Pyris1 TGA」)を用いて、試料重量:5mg、空気流量:10mL/分、昇温速度(室温から155℃まで):10℃/分、155℃(調製されるポリアセタールコポリマーの融点より10℃低い温度)で1時間保持して測定する。
<ポリ乳酸樹脂>
本実施形態における造形材料は、ポリ乳酸樹脂を更に含有することが好ましい。通常、ポリアセタールは、他の樹脂と相溶させることが難しいが、一定の割合のポリ乳酸とは相溶することが可能である。従って、造形材料がポリ乳酸樹脂を更に含有することで、造形材料をより均一化することができる。また、ポリ乳酸樹脂は、結晶化し難い傾向にあるため、造形材料がポリ乳酸樹脂を更に含有することで、結晶化速度を遅くできるとともに、収縮度の値を高めることができる。
ポリ乳酸樹脂としては、例えば、市販の各種ポリ乳酸樹脂を用いることができる。また、ポリ乳酸樹脂としては、乳酸の環状2量体を重合したものを用いることもでき、ラクチドのうち、D体含有量が十分に低いL−ラクチド、又は、L体含有量が十分に低いD−ラクチドを原料として、公知の溶融重合法で、あるいは、更に固相重合法を併用して製造したものを用いることが好ましい。
ポリ乳酸樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、ポリ乳酸樹脂は、本発明の効果を損なわない範囲であれば、副成分として、ポリグリコール酸、ポリカプロラクトン、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンアジペートテレフタレート、ポリブチレンサクシネートテレフタレート等から選ばれる1種又は2種以上の樹脂を含有していてもよい。
造形材料におけるポリ乳酸樹脂の含有量は、ポリアセタール100質量部に対して5〜120質量部が好ましい。ポリ乳酸樹脂の含有量が5質量部以上であれば、造形品の反り及び層間剥離をより抑制することができ、また、50質量部以下であれば、ポリアセタールの優れた特性である摺動性等に悪影響を与えない。同様の観点から、造形材料におけるポリ乳酸樹脂の含有量は、ポリアセタール100質量部に対して、10質量部以上であることがより好ましく、20質量部以上であることが更に好ましく、また、100質量部以下であることがより好ましく、50質量部以下であることが更に好ましい。
特に、低価格の3Dプリンターは、装置を簡略化するために、造形ステージのヒーターがなかったり、造形スペースが解放系だったりするため、保温が十分にできず、反りや層間剥離が起こりやすい場合がある。また大型のプリンターの場合、造形エリア内の温度が均一でないため、材料側により高度な特性が求められる。よって、特にこれらのような場合には、造形材料がポリ乳酸樹脂を上述した割合で更に含有することが好ましい。
また、造形材料がポリ乳酸樹脂を含有する場合、当該造形材料は、後述する無機充填剤を更に含有することが好ましい。ポリ乳酸樹脂と無機充填剤とを併用することで、より相溶性が増し、組成分布の無い均一な材料とすることができる。
<無機充填剤>
本実施形態における造形材料は、無機充填剤を更に含有することが好ましい。造形材料が無機充填剤を更に含有することで、収縮度を高め、造形品の反り及び層間剥離をより抑制することができる。
無機充填剤としては、例えば、金属粉(アルミニウム、ステンレス、ニッケル、銀など)、水酸化物(水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウムなど)、酸化物(酸化ケイ素、酸化鉄、アルミナ、酸化チタン、酸化亜鉛など)、珪酸塩(ワラストナイト、タルク、マイカ、カオリン、クレイ、ベントナイト、ガラスビーズ、ガラスバルーンなど)、炭酸塩(炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ハイドロタルサイトなど)、カーボン系物質(カーボンブラック、黒鉛、カーボンファイバーなど)、硫酸塩、窒化ホウ素、窒化珪素などが挙げられる。これらの中でも、本実施形態において、無機充填剤は、水酸化物、酸化物、珪酸塩、炭酸塩及びカーボン系物質から選ばれる1種以上を含むことが好ましく、ワラストナイト、マイカ、カオリン、タルク、ガラスビーズ、ガラスバルーン、炭酸カルシウム及び炭酸マグネシウムからなる群より選択される1種以上を含むことがより好ましく、特に3Dプリンターのヘッドを傷めず、ポリアセタールとの親和性がいいという観点から、炭酸カルシウムを含むことが更に好ましい。
無機充填剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
無機充填剤は、樹脂との親和性を向上させるために、公知の表面処理剤を用いて表面処理が施されていてもよい。表面処理剤としては、例えば、アミノシラン、エポキシシラン等のシランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、脂肪酸(飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸)、脂環族カルボン酸、樹脂酸、金属石鹸、樹脂類などが挙げられる。表面処理剤の添加量は、無機充填剤に対して3質量%以下が好ましく、2質量%以下がより好ましい。
無機充填剤の形状は、粉末状、鱗片状、板状、針状、球状、立方形状、繊維状、テトラポッド状など、いずれでもよく、特に限定されるものではない。ただし、無機充填剤の形状は、造形品の異方性低減、機械的強度向上の観点から、立方形状が好ましく、平均長径(L)と平均短径(D)との比であるアスペクト比(L/D)が5以下であるものがより好ましく、3以下であるものが更に好ましい。
無機充填剤は、平均粒径が50nm以上500nm以下であることが好ましく、80nm以上300nm以下であることがより好ましく、80nm以上200nm以下であることが更に好ましい。無機充填剤の平均粒径が50nm以上であることにより、造形品が高温下に長時間曝された後であっても、その剛性及び靱性を高いレベルで維持することができる。また、無機充填剤の平均粒径が500nm以下であることにより、造形品が高温下に長時間曝された後であっても、その靱性及びギア強度を高いレベルで維持することができる。
なお、無機充填剤の平均粒径、平均長径及び平均短径は、走査型電子顕微鏡(SEM)により測定対象となる無機充填剤粒子のサンプリングを行い、その無機充填剤粒子を倍率1千倍から5万倍で撮影し、得られた画像において無作為に選んだ最低100個の無機充填剤粒子からそれぞれの径を測定し、その相加平均として求めたものである。
無機充填剤は、等方性であることが好ましい。無機充填剤が等方性であることにより、得られた造形品の機械物性の異方性を抑制できる。等方性の無機充填剤としては、例えば、ガラスビーズ、炭酸カルシウム等が挙げられる。
なお、本明細書において「等方性」とは、長径と短径の比(長径/短径)が1.5以下であることを指す。
造形材料における無機充填剤の含有量は、ポリアセタール100質量部に対して5〜120質量部であることが好ましい。無機充填剤の含有量が5質量部以上であれば、造形品の反り及び層間剥離をより抑制することができるとともに、強度等の剛性が良好となり、また、150質量部以下であれば、材料の機械強度を損なわない。同様の観点から、造形材料における無機充填剤の含有量は、ポリアセタール100質量部に対して、20質量部以上であることがより好ましい。
以下、無機充填剤の一例である炭酸カルシウムについて説明する。
本実施形態に使用可能な炭酸カルシウムの一例としては、軽質炭酸カルシウムが挙げられる。その粒子の形状としては、球形、立方形、紡鍾形、薄片形、不定形が挙げられる。また、軽質炭酸カルシウムの結晶形態としては、一般的に知られているカルサイト型、アラゴナイト型及びパテライト型のいずれであってもよく、これらのうち、ポリアセタールとの界面密着性、組成物の機械的物性のバランスを向上させる観点から、カルサイト型のものが好ましい。軽質炭酸カルシウムは、人工的に合成されるものであれば特に限定されず、コロイド状炭酸カルシウム、沈降炭酸カルシウム又は活性炭酸カルシウムと呼ばれるものが好ましい。これらの中でも、スラリー状の水酸化カルシウムに二酸化炭素を反応させて製造されたものが好ましい。
軽質炭酸カルシウムは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、炭酸カルシウムのJIS K5101試験法に準拠した煮沸抽出法によるpHは、9.2以上10.0以下であることが好ましく、9.4以上9.7以下であることがより好ましい。このpHが9.2以上10.0以下であれば、造形品の表面が着色しにくくなるため好ましい。また、炭酸カルシウムの水銀ポロシメーターを用いた水銀圧入法による最多確率空隙半径は、0.12μm以上0.16μm以下であることが好ましい。最多確率空隙半径が0.12μm以上であることにより、組成物中で炭酸カルシウムが凝集し難く良分散体が得られるという効果を有し、0.16μm以下であることにより、造形品が高温下に長時間曝された後であっても、剛性及びギア強度を高いレベルで保持できるという効果を有する。
炭酸カルシウムは、表面処理されたもの、又は表面処理されていないものであってもよい。ここでいう用語「表面処理」とは、炭酸カルシウムの製造工程において、粒子の凝集を防止する目的で、公知の表面処理剤、付着剤又は錯化剤、及び凝集防止剤の少なくとも1種が添加され、その結果、該物質によって炭酸カルシウムの表面が被覆されていることをいう。ここで、表面処理剤、付着剤又は錯化剤、及び凝集防止剤とは、例えば「分散・凝集の解明と応用技術、1992年」(北原文雄監修・株式会社テクノシステム発行)の232〜237ページに記載されているようなアニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン系界面活性剤が挙げられる。また、アミノシラン、エポキシシラン等のシラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤、脂肪酸(飽和脂肪酸及び不飽和脂肪酸)、脂肪族カルボン酸、樹脂酸及び金属セッケンが例示される。
表面処理されていない炭酸カルシウムを使用する際に添加される、表面処理剤としては、特に限定されないが、具体的には、炭素数12〜30の脂肪酸が挙げられる。炭素数12〜30の脂肪酸は、直鎖又は分岐の脂肪族炭化水素基にカルボキシル基が結合した構造の脂肪酸であり、分子内の合計炭素原子数が12〜30のものである。具体的には、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ペンタデシル酸、ステアリン酸、ナノデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ヘプタコン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラクセル酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、エライジン酸、セトレイン酸、エルカ酸、ブラシジン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、ステアロール酸が挙げられる。
これら脂肪酸は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、これらの脂肪酸は、天然のものであっても合成されたものであってもよい。また、脂肪酸は、ヒドロキシ基等の官能基で置換されていてもよい。また、脂肪酸は、合成脂肪族アルコールであるユニリンアルコールの末端をカルボキシル変性した合成脂肪酸であってもよい。
炭酸カルシウム及び炭素数12〜30の脂肪酸を用いる場合において、上述の炭酸カルシウムに対する炭素数12〜30の脂肪酸の質量比(脂肪酸)/(炭酸カルシウム)は、0.020〜0.060であることが好ましく、0.025〜0.050であることがより好ましい。0.020以上であれば、脂肪酸による炭酸カルシウム表面の中和が充分であり、0.05以下であれば、造形品表面が着色しにくくなる。
<その他の成分>
本実施形態における造形材料は、例えば、酸化防止剤、安定剤(熱安定剤等)、紫外線吸収剤、結晶核剤、導電剤・帯電防止剤、外観改良剤(顔料や染料等)などの添加剤を更に含んでいてもよい。
<造形材料の形状>
本実施形態における造形材料は、特に制限されないが、熱溶解積層法の3Dプリンターの造形材料として用いる観点からは、モノフィラメント状であることが好ましい。なお、本明細書において「モノフィラメント状」とは、1本の単糸からなる繊維状を指す。
モノフィラメント状の造形材料(以下、単に「モノフィラメント」と称することがある。)は、直径が0.5mm以上であることが好ましく、1.0mm以上であることがより好ましく、1.4mm以上のものであることが更に好ましい。モノフィラメントの直径が0.5mm未満であると、細くなりすぎて、汎用の熱溶解積層法による3Dプリンターには適さないものとなる虞がある。なお、汎用の熱溶解積層法による3Dプリンターに適したモノフィラメントの直径の上限としては、3mm程度であるが、2.0mm以下であることがより好ましく、1.6mm以下であることが更に好ましい。
なお、モノフィラメント状の造形材料の直径とは、長手方向に対して垂直に切断した断面における長径を測定したものである。
また、モノフィラメントは、長径と短径の比(長径/短径)で表される真円率が1.05以下であることが好ましく、1.03以下であることがより好ましい。真円率が1.05以下であることにより、熱溶解積層法の3Dプリンターにおいてより精密に造形品を造形することができる。
なお、長径と短径の比が1に近いほど、真円度が高いことを示すものであり、モノフィラメントの製造時に延伸を行うことにより、真円度の高いモノフィラメントを得ることが可能となる。
更に、モノフィラメントは、原料供給の安定性の観点から、径の精度が±5%以内の誤差であることが好ましく、また、任意の10箇所について測定した直径の最大値と最小値の差が0.05mm以下であることが好ましい。
なお、モノフィラメントの製造時に延伸を行うことにより、樹脂の高分子鎖が配向して十分に結晶化し、寸法公差の低いモノフィラメントを得ることができる。
<造形材料の製造>
本実施形態における造形材料は、ポリアセタール等の樹脂及び任意の他成分を、ニーダー、ロールミル、単軸押出機、二軸押出機、多軸押出機などを用いて溶融混練を行うことにより、高い均一性をもって製造することができる。
ここで、溶融混練を行う場合には、品質や作業環境の保持のために、雰囲気を不活性ガスにより置換したり、一段及び多段ベントによる脱気をしたりすることが好ましい。また、溶融混練の際の温度は、用いる樹脂の融点以上250℃以下とすることが好ましく、また、用いる樹脂の融点より20〜50℃高い温度であってもよい。
次に、造形材料をモノフィラメント状にする方法について、一例を用いて説明する。
まず、溶融混練後に得られた造形材料を、常法によって紡糸速度5〜30m/分で溶融紡出し、未延伸モノフィラメントを得る。この際の紡糸温度は、190℃〜230℃とするのが適当であり、紡糸温度が低すぎると完全に溶融させることが困難となり、高すぎるとポリマーの熱分解が起こるので好ましくない。
次いで、紡出された未延伸モノフィラメントを、0〜100℃、好ましくは20〜80℃の液浴中で冷却固化する。冷却温度が低すぎると温度管理が困難であるとともに作業性が悪くなり、高すぎると冷却固化が不完全となるので好ましくない。次いで、冷却固化した未延伸モノフィラメントを、一旦巻き取ることなく延伸する。このとき、ローラ間に非接触の乾熱ヒーターを設置し、170〜250℃で熱処理を行いながら、2〜5倍の延伸倍率で延伸を行う。更に延伸を施す必要がある場合は、同様の設備を有するローラ間で、同様の熱処理を施しながら第二段目や第三段目の延伸を行う。そして、延伸の後、ローラ間に非接触の乾熱ヒーターを設置し、130〜200℃で熱処理を行いながら、弛緩熱処理(延伸倍率は0.9〜0.99倍)を施す。
その後、ボビン等に巻き取り、カートリッジに収納するなどして、モノフィラメント状の造形材料を最終的に得ることができる。なお、造形材料をモノフィラメント状にする際は、ある程度の範囲内の倍率で延伸が施されていてもよい。
<造形材料の用途>
本実施形態における造形材料は、3Dプリンターなどの付加製造技術に好適に用いられる。なお、本実施形態における造形材料は、具体的に、熱溶解積層法の3Dプリンターに用いることができ、粉末溶融法の3Dプリンターに用いることもできる。本実施形態における造形材料を用いて付加製造を行うことにより、設計通りの精密な造形品を得ることができる。また、得られた造形品は、自動車部品、電気・電子部品、工業部品、医療用部品等の機構部品などに、広範囲に亘って適用可能である。
以下、一例として、モノフィラメント状である本実施形態における造形材料を用い、熱溶解積層法の3Dプリンターで造形する方法について説明する。
モノフィラメン卜状の造形材料(モノフィラメント)の供給においては、前述のように、モノフィラメントがボビン状に巻き取ったカー卜リッジに収納されていることが、安定した繰り出し、湿気等の環境要因からの保護、及びよれやキンクの防止等の観点から好ましい。
モノフィラメン卜を供給する場合には、ニップロールやギアロール等の駆動ロールに当該モノフィラメン卜を係合させて、引き取りながら押出ヘッドへ供給することが一般的である。
熱溶解積層法においては、加熱押出ヘッドの温度を好ましくは180〜240℃とし、また、基板温度を通常80℃以下として、安定的に造形品を製造することができる。押出ヘッドから吐出される溶融樹脂(溶融モノフィラメント)の温度は、170℃以上であることが好ましく、190℃以上であることがより好ましく、一方、250℃以下であることが好ましく、240℃以下であることがより好ましい。溶融樹脂の温度が上記下限値以上であると、押出性の観点から好ましく、また、一般に造形品中に糸引きと呼ばれる、溶融樹脂が細く伸ばされた破片が残り、外観を悪化させることを防ぐ観点からも好ましい。一方、溶融樹脂の温度が上記上限値以下であると、樹脂の熱分解や焼け、発煙、臭い、べたつきといった不具合の発生を防ぎやすく、また、高速で吐出することが可能となり、造形効率が向上する傾向にあるために好ましい。
押出ヘッドから吐出される溶融樹脂は、好ましくは直径0.01〜1mm、より好ましくは直径0.02〜0.8mmのス卜ランド状で吐出される。溶融樹脂がこのような形状で吐出されると、CADモデルの再現性が良好となる傾向にあるために好ましい。
(造形材料の使用方法)
本発明の造形材料の使用方法は、上述した本実施形態における造形材料を、熱溶解積層法の3Dプリンターに用いることを特徴とする。なお、本実施形態における造形材料の使用方法において、具体的な使用条件等は、特に制限されず、目的に応じて適宜選択して使用することができる。
(造形方法)
本発明の造形方法は、熱溶解積層法の3Dプリンターで、上述した本実施形態における造形材料を用いて造形することを特徴とする。本実施形態における造形方法によれば、上述した本実施形態における造形材料を用いるため、複雑な造形品を精密に造形することができる。なお、本実施形態における造形方法において、具体的な造形条件等は、特に制限されず、目的に応じて適宜選択して、造形することができる。
以下、本発明を、実施例を挙げて説明するが、本実施形態は、以下の実施例に限定されるものではない。実施例・比較例における各測定・評価の方法は、以下の通りである。
(1)収縮度の測定
製造した造形材料について、下記条件でPVT(圧力、比容積、温度)測定を行い、0.1MPaの圧力下での、200℃における比容積に対する50℃における比容積の比、即ち収縮度を求めた。
測定装置:PVT TEST SYSTEM (株式会社東洋精機製作所製)
測定モード:定圧温度変化
測定温度:200〜35℃(降温過程)
圧力水準:50〜200MPa(0.1MPaは、外挿計算)
予備乾燥:80℃×4h(熱風乾燥)
試料形状:ペレット
(2)結晶化速度の測定
製造したペレット状の造形材料について、示差走査熱量計(Parkin Elmer社製:DSC−2C)を用いて、下記の手順に従って結晶化速度を測定した。
1:ペレット状の造形材料3mgを測定用アルミパンの中に封入し、示差走査熱量計の加熱炉内の所定位置に配置する。
2:20℃/分の昇温速度で220℃に達するまで昇温する。
3:220℃に達してから2分間、その温度を保持する。
4:80℃/分の降温速度で149℃に達するまで降温し、10分間、その温度を保持する。
5:保持開始から発熱ピークの最高点に達するまでの時間を、結晶化速度として測定する。なお、この時間が長いほど、結晶化速度が遅いことを意味する。
6:20℃/分の昇温速度で210℃に達するまで昇温し、5分間、その温度を保持する。
7:20℃/分の降温速度で、210℃から100℃に冷却する。
8:20℃/分の昇温速度で100℃から210℃に昇温し、その際の吸熱ピーク(融点ピーク)の最高点を融点として求める。
(3)融点ピークの観察
上記(2)で得られた融点ピークを観察し、2つ以上のピーク及びショルダーの存在が確認されないものについては単一ピークと判断し、2つ以上のピーク又はショルダーの存在が確認されるものについては非単一ピークと判断した。
(4)モノフィラメントの直径及び真円率の測定
得られたモノフィラメント状の造形材料(モノフィラメント)より5m分の試料を取り出し、ランダムに20箇所を選択して、それらの直径をマイクロメーターで小数点以下第4位まで測定した。次に、それらの平均値の小数点第4位を四捨五入し、モノフィラメントの直径を求めた。
また、得られたモノフィラメントより5m分の試料を取り出し、ランダムに20箇所を選択して、それらの長径及び短径をマイクロメーターで測定するとともに、真円率=長径/短径を小数点第4位まで1箇所ずつ求めた。次に、それらの平均値の小数点第5位を四捨五入し、モノフィラメントの真円率を求めた。
(5)造形品の反りの評価
製造したモノフィラメン卜状の造形材料を原料として、造形を行った。具体的には、熱溶解積層法を採用した押出積層堆積システムとして、XYZプリンティング社製「ダヴィンチ1.0Pro」を用い、3次元物体として、上方に開口部を有するカップ形状の造形品(3次元造形品)の造形を行った。
造形品の造形に際しては、プリント速度を60mm/秒とし、また、基板温度を60℃とし、吐出温度を215℃とした。溶融樹脂は、押出ヘッドから直径0.4mmのス卜ランド状に吐出された。
得られた造形品を観察し、以下の基準で、造形品の反りを評価した。
反り
◎:ほぼ反っていない。
○:若干反っているが、造形品が得られた。
×:反りが大きく、きれいに造形できない。
(6)層間密着性の評価
上記(5)の通りにして得られた造形品を観察し、以下の基準で、造形品の層間密着性を評価した。
◎:層間がしっかり密着し、きれいな造形品が得られた。
○:わずかに層間が剥離している箇所が観察できる。
△:層間の剥離が複数個所に観察される。
×:大きく層間が剥離し、きれいな造形品が得られない。
(造形材料の製造)
表1に示される配合処方で、各成分を、二軸混練機により溶融混練(シリンダ−温度:160℃〜210℃)し、ペレッ卜状の造形材料を得た。
次に、上記で得られたペレットを、エクストルーダー型溶融紡糸機に供給し、紡糸温度200℃で溶融し、直径5mmの紡糸孔を1孔有する丸断面形状の口金から吐出した。なお、このときの吐出量は、延伸後の糸の径(断面の直径)が1.75mmになるように調整した。引き続き、50℃の液浴中で冷却固化し、20m/分の速度で引き取って、未延伸糸を得た。次いで、未延伸糸を一旦巻取ることなく専用スポンジで水分を拭き取った後、ローラ間に設置された非接触型乾熱ヒーターにて、230℃での熱処理を施しながら、4.09倍に延伸した。この後、同様にローラ間に設置された非接触型乾熱ヒーターにて、150℃での熱処理を施しながら、延伸倍率0.98倍で弛緩熱処理を施して、モノフィラメント状の造形材料(モノフィラメント)を得た。
実施例・比較例において行った各測定・評価の結果を、表1に示す。
Figure 2019131762
*1 ポリアセタール:旭化成株式会社製、「テナック−C 4520」
*2 ポリ乳酸樹脂:ネイチャーワークス社製、「Ingeo 2003D」
*3 無機充填剤:炭酸カルシウム(白石工業株式会社製)、平均粒径150nm、表面未処理、pH=9.4、最多確率空隙半径0.13μm、等方性
*4 ポリアセタールの密度:1.41g/cm3、ポリ乳酸樹脂の密度:1.24g/cm3、無機充填剤の密度:2.70g/cm3として、質量比から算出
表1に示す通り、本発明に従う実施例では、造形品の反りが抑制されるとともに層間密着性も良好であり、複雑な造形品を精密に造形できていることが分かる。
本発明によれば、3Dプリンターにより複雑な造形品を精密に造形可能な、ポリアセタールを含有する造形材料を提供することができる。また、本発明によれば、上述した造形材料の使用方法、及び、複雑な造形品を精密に造形可能な造形方法を提供することができる。

Claims (14)

  1. ポリアセタールを含有する3Dプリンター用造形材料であって、前記造形材料は、
    前記ポリアセタールの含有量が45質量%以上であり、且つ、
    200℃における比容積に対する50℃における比容積の比として求められる収縮度が、0.875以上である、ことを特徴とする、3Dプリンター用造形材料。
  2. 無機充填剤を更に含有し、
    前記無機充填剤の含有量が、前記ポリアセタール100質量部に対して5〜120質量部である、請求項1に記載の造形材料。
  3. ポリ乳酸樹脂を更に含有し、
    前記ポリ乳酸樹脂の含有量が、前記ポリアセタール100質量部に対して5〜120質量部である、請求項1又は2に記載の造形材料。
  4. 前記ポリアセタールの含有量が50体積%以上である、請求項1〜3のいずれかに記載の造形材料。
  5. 結晶化速度が35秒以上である、請求項1〜4のいずれかに記載の造形材料。
  6. 示差走査熱量測定(DSC)で測定される融点ピークが単一ピークを示す、請求項1〜5のいずれかに記載の造形材料。
  7. 前記無機充填剤が、水酸化物、酸化物、珪酸塩、炭酸塩及びカーボン系物質から選ばれる1種以上である、請求項2〜6のいずれかに記載の造形材料。
  8. 前記無機充填剤が等方性である、請求項2〜7のいずれかに記載の造形材料。
  9. 前記無機充填剤は、平均粒径が50nm以上500nm以下である、請求項2〜8のいずれかに記載の造形材料。
  10. 粉末溶融法の3Dプリンター用である、請求項1〜9のいずれかに記載の造形材料。
  11. 熱溶解積層法の3Dプリンター用である、請求項1〜9のいずれかに記載の造形材料。
  12. モノフィラメント状であり、且つ、長径と短径の比で表される真円率が1.05以下である、請求項1〜9のいずれかに記載の造形材料。
  13. 請求項12に記載の造形材料を用いることを特徴とする、熱溶解積層法の3Dプリンターで造形する方法。
  14. 熱溶解積層法の3Dプリンターに用いることを特徴とする、請求項12に記載の造形材料の使用方法。
JP2018017309A 2018-02-02 2018-02-02 3dプリンター用造形材料及びその使用方法、並びに造形方法 Active JP6957377B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018017309A JP6957377B2 (ja) 2018-02-02 2018-02-02 3dプリンター用造形材料及びその使用方法、並びに造形方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018017309A JP6957377B2 (ja) 2018-02-02 2018-02-02 3dプリンター用造形材料及びその使用方法、並びに造形方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2019131762A true JP2019131762A (ja) 2019-08-08
JP6957377B2 JP6957377B2 (ja) 2021-11-02

Family

ID=67544848

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018017309A Active JP6957377B2 (ja) 2018-02-02 2018-02-02 3dプリンター用造形材料及びその使用方法、並びに造形方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6957377B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2023136298A1 (ja) * 2022-01-17 2023-07-20 旭化成株式会社 ポリアセタール樹脂組成物

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2017130469A1 (ja) * 2016-01-26 2017-08-03 鉦則 藤田 3次元造形物の製造方法、及び3次元造形物製造用のフィラメント
JP2017530029A (ja) * 2014-07-22 2017-10-12 ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピアBasf Se 熱溶解フィラメント製造プロセスにおいて使用するための混合物

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017530029A (ja) * 2014-07-22 2017-10-12 ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピアBasf Se 熱溶解フィラメント製造プロセスにおいて使用するための混合物
WO2017130469A1 (ja) * 2016-01-26 2017-08-03 鉦則 藤田 3次元造形物の製造方法、及び3次元造形物製造用のフィラメント

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2023136298A1 (ja) * 2022-01-17 2023-07-20 旭化成株式会社 ポリアセタール樹脂組成物

Also Published As

Publication number Publication date
JP6957377B2 (ja) 2021-11-02

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Li et al. Effect of reinforcing particles on hydrolytic degradation behavior of poly (lactic acid) composites
JP4260794B2 (ja) 生分解性樹脂成形品の製造法
JP4611214B2 (ja) 生分解性樹脂組成物
JP2011153216A (ja) マスターバッチペレット及びプロピレン樹脂組成物成形体の製造方法
JP5176118B2 (ja) ポリグリコール酸の結晶化温度を高くする方法及び結晶化温度を高くしたポリグリコール酸樹脂組成物
JP2006212897A (ja) ポリ乳酸系成型品の製造方法
Patwa et al. Crystallization kinetics, morphology, and hydrolytic degradation of novel bio‐based poly (lactic acid)/crystalline silk nano‐discs nanobiocomposites
JP4252570B2 (ja) ペレットの製造法
JPWO2014112008A1 (ja) 樹脂組成物、樹脂成形体、およびこれらの製造方法
JP2007217513A (ja) ポリ乳酸系樹脂組成物および成形品
JP2007002243A (ja) ポリ乳酸樹脂組成物および成形品
de Oliveira Gama et al. Control of the Hydrophilic/Hydrophobic Behavior of Biodegradable Natural Polymers by Decorating Surfaces with Nano‐and Micro‐Components
JP2019131762A (ja) 3dプリンター用造形材料及びその使用方法、並びに造形方法
JP7076301B2 (ja) ポリアセタール粉末及びその使用方法、並びに付加製造方法
JP7325189B2 (ja) 3dプリンター用モノフィラメント及びその使用方法、並びに造形方法
JP7101061B2 (ja) ポリアセタール粉末及びその使用方法、並びに付加製造方法
JP7079699B2 (ja) 計量性向上ポリブチレンテレフタレート樹脂ペレット
KR101485386B1 (ko) 지방족 폴리에스테르 수지 성형품의 제조방법 및 그 방법에 의해 제조된 지방족 폴리에스테르 수지 성형품
CN111936297A (zh) 树脂组合物和由其构成的丝状成型体
WO2022085584A1 (ja) ポリアミド樹脂組成物およびそれからなる成形体、車載カメラ用部品
WO2021140557A1 (ja) 計量性向上ポリブチレンテレフタレート樹脂ペレット
JP2007182990A (ja) トルクリミッタ部品用樹脂組成物、それからなるトルクリミッタ部品
Pluta et al. Significant modification of the surface morphology of polylactide (PLA) and PLA-halloysite nanocomposites in the presence of N, N'-ethylenebis (stearamide) upon thermal treatment
JP2010174158A (ja) ポリアミド樹脂組成物、ポリアミド樹脂フィルム、およびポリアミド樹脂フィルムの製造法
JP4359727B2 (ja) ポリアミド樹脂組成物

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20201027

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20210707

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20210713

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20210908

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20210928

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20211006

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6957377

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150