JP2019130682A - 赤外線反射フィルムおよび赤外線反射フィルムの被着体への貼付方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】被着体に水貼りする際にポリオレフィン層の傷付きおよびフィルム端部の浮きを抑制でき、かつ、水貼り後にポリオレフィン層を露出させることが可能な赤外線反射フィルムを提供する。【解決手段】基材12の一方の面に金属層13、ポリオレフィン層14および前記ポリオレフィン層14に対して剥離可能に配置されたアプリケーションフィルム17をこの順で積層し、かつ基材12の他方の面に第1の粘着剤層11を積層してなる赤外線反射フィルム10であって、前記アプリケーションフィルム17が、二軸延伸樹脂フィルム16および前記ポリオレフィン層14に隣接する第2の粘着剤層15を含む、赤外線反射フィルム10。【選択図】図1

Description

本発明は、赤外線反射フィルムおよび赤外線反射フィルムの被着体への貼付方法に関する。
建物の窓には、夏場の太陽光透過による屋内の温度上昇や、冬場の暖房熱流出による屋内の温度低下を防ぐことを目的として、赤外線反射フィルムが施工される場合がある。
赤外線反射フィルムを窓ガラスに施工する方法としては、いわゆる水貼りで貼り付ける方法が採用されている。水貼りとは、フィルムの窓ガラスと接触する面に粘着剤層を設け、当該粘着剤層面および/または窓ガラス表面に、施工液(例えば界面活性剤水溶液)を噴霧し、フィルムを窓ガラスに仮貼りした後、スキージというへらでフィルム表面に順次均一に擦り付けて、施工液を押し出して除去しながらフィルムを窓ガラスに密着させ、水が蒸発することで粘着性を発現させる方法である。
従来、赤外線反射フィルムとしては、赤外線反射層である金属層、支持体であるPETフィルム、保護層であるアクリル系ハードコート層が順に積層してなるフィルムが使用されている。しかしながら、かようなフィルムを窓ガラスの屋内側に施工する(内貼りする)と、屋内側に配されるアクリル系ハードコート層やPETフィルムによって暖房熱が吸収され屋外に流出してしまうため、屋内の断熱性に乏しい。
一方、金属層を屋内側の最表層に配した場合、屋内の断熱性は向上するが、金属層が腐食劣化するという問題がある。そこで、特許文献1には、熱放射率(熱吸収率)が低いポリオレフィン層を金属層の上に配置することで、金属層の劣化を抑制しつつ、良好な断熱性を発揮できることが開示されている。
特開2011−104887号公報
しかしながら、金属層は水蒸気透過率が低いため、金属層上にポリオレフィン層が配置されたフィルムを被着体に水貼りした場合、施工液の水分が外部へ排出されにくい。このため、スキージ処理の際、強い力でスキージを擦り付けて、施工液を最大限掻き出す必要がある。その結果、スキージ処理によってポリオレフィン層が傷付き、フィルムの外観が損なわれるという問題が発生していた。
さらに、本発明者らの検討によれば、ポリオレフィン層を有するフィルムは、特に冬場において、フィルム端部が被着体から浮き上がるカールが発生しやすいことが判った。その結果、水貼り時は施工液の存在により粘着剤層が十分な粘着性を発現しにくいため、フィルム端部を起点として被着体からの浮きが生じる問題があることが判明した。
そこで、本発明は、被着体に水貼りする際にポリオレフィン層の傷付きおよびフィルム端部の浮きを抑制でき、かつ、水貼り後にポリオレフィン層を露出させることが可能な赤外線反射フィルムを提供することを目的とする。
本発明は、基材の一方の面に金属層、ポリオレフィン層および前記ポリオレフィン層に対して剥離可能に配置されたアプリケーションフィルムをこの順で積層し、かつ基材の他方の面に第1の粘着剤層を積層してなる赤外線反射フィルムであって、前記アプリケーションフィルムが、二軸延伸樹脂フィルムおよび前記ポリオレフィン層に隣接する第2の粘着剤層を含む、赤外線反射フィルムである。
本発明の赤外線反射フィルムは、被着体に水貼りする際に、ポリオレフィン層の傷付きを防止しつつ、フィルム端部の浮きを抑制することができる。また、水貼り後にポリオレフィン層を露出させることが可能であるため、良好な断熱性を発揮しうる。
本発明の一実施形態の赤外線反射フィルムを示す断面模式図である。 第一実施形態の赤外線反射フィルムを被着体に貼付する際の貼付方法を示す断面模式図である。
本発明の第一実施形態は、基材の一方の面に金属層、ポリオレフィン層および前記ポリオレフィン層に対して剥離可能に配置されたアプリケーションフィルムをこの順で積層し、かつ基材の他方の面に第1の粘着剤層を積層してなる赤外線反射フィルムであって、前記アプリケーションフィルムが、二軸延伸樹脂フィルムおよび前記ポリオレフィン層に隣接する第2の粘着剤層を含む、赤外線反射フィルムである。
以下、添付した図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
図1は、本発明の一実施形態の赤外線反射フィルムを示す断面模式図である。図1の赤外線反射フィルム10は、第1の粘着剤層11、基材12、金属層13、ポリオレフィン層14、第2の粘着剤層15および二軸延伸樹脂フィルム16の順に積層されている。すなわち、ポリオレフィン層14は金属層13の上に配置されている。ここで、第2の粘着剤層15および二軸延伸樹脂フィルム16はアプリケーションフィルム17を構成する。
なお、図1の赤外線反射フィルム10は、第1の粘着剤層11表面が露出した形態であるが、赤外線反射フィルムは第1の粘着剤層の粘着性によって被着体に貼付できるものであればよく、例えば、第1の粘着剤層表面が剥離ライナーによって被覆された構造であってもよい。
図2は、第一実施形態の赤外線反射フィルムを被着体に貼付する際の貼付方法を示す断面模式図である。図2に示すように、赤外線反射フィルム10が被着体20に貼付される際、第1の粘着剤層11の表面が被着体20との接触面となる。ここで、接触面とは、第1の粘着剤層面が赤外線反射フィルムの構成層の中で、被着体と貼り合わせられる面となることを意味する。この点において、(物理的に直接接触せずに)施工液である水系媒体を介して、第1の粘着剤層面と被着体面とが接触することも第1の粘着剤層が被着体との接触面であることに含まれる。
水貼りで赤外線反射フィルム10を被着体20に貼付する場合、赤外線反射フィルムの第1の粘着剤層11面および/または被着体20表面に霧状の施工液である水系媒体を噴霧した後、第1の粘着剤層11面を被着体20に接触させる(図2(A))。次いで、スキージを用いてフィルム表面をなぞるようにして水系媒体を掻き出す。これにより、水系媒体が外部へ掻き出され、第1の粘着剤層11が露出し、粘着性が発揮される(図2(B))。この際、アプリケーションフィルム17は保護層として機能し、スキージによるポリオレフィン層14の傷付きを防止する。すなわち、アプリケーションフィルム17は、最表層に配置される。
ポリオレフィン層を有するフィルムは、特に冬場においては、ポリオレフィン層の収縮によって、フィルム端部が被着体から浮き上がるカール(基材側へのカール)が発生しやすい。このようなフィルムを水貼りする際、フィルムと被着体との間に施工液が残存して粘着性が十分に発現しない状況下では、フィルムの端部が反り返って被着体から浮きが発生してしまう(本願比較例1参照)。しかし、図1に示すように、ポリオレフィン層14の上に、寸法安定性に優れ、曲げ剛性の高い二軸延伸樹脂フィルム16が配置されていることで、上述したようなカールの発生を抑制することができる。ゆえに、水貼り時のフィルム端部の被着体からの浮きを抑制することができる。
図2(C)および(D)に示すように、被着体20に貼付された赤外線反射フィルム10からは、アプリケーションフィルム17が除去される。これにより、スキージによる傷付きから保護されたポリオレフィン層14が露出することとなるため、金属層13の腐食を防止しつつ、優れた断熱性(熱線遮蔽性)を発揮することができる。
第一実施形態の赤外線反射フィルムは、第1の粘着剤層、基材、金属層、ポリオレフィン層、第2の粘着剤層および二軸延伸樹脂フィルムがこの順に配置され、かつ、ポリオレフィン層および第2の粘着剤層が隣接して配置される限り、その他の機能層を有していてもよい。その他の機能層としては、剥離ライナー、易接着層、紫外線吸収層、印刷層などが挙げられる。
赤外線反射フィルムは、透明であっても不透明であってもよい。また、赤外線反射フィルムは、無色であっても有色であってもよい。ただし、被着体が透明である場合、その透明性が損なわれないよう、赤外線反射フィルムおよびこれを構成する各層は透明であることが好ましい。なお、本明細書において「透明」とは、可視光領域における透過率が60%以上(上限値100%)であることをいい、80%以上(上限値100%)であることが好ましい。赤外線反射フィルムおよびこれを構成する各層の透過率は、JIS A5759:2016(建築窓ガラス用フィルム)により測定することができる。
以下、本実施形態の赤外線反射フィルムの構成部材について以下説明する。本明細書において、範囲を示す「X〜Y」は「X以上Y以下」を意味する。また、特記しない限り、操作および物性の測定等は、室温(20〜25℃)/相対湿度40〜50%RHの条件で行う。
[二軸延伸樹脂フィルム]
本発明に係る赤外線反射フィルムにおいて、アプリケーションフィルムは二軸延伸樹脂フィルムを含む。
二軸延伸樹脂フィルムに用いられる樹脂は、特に制限されず、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン等が挙げられるが、好ましくはPETである。すなわち、本発明の一実施形態において、二軸延伸樹脂フィルムは二軸延伸PETフィルムである。二軸延伸PETフィルムは、低温下で寸法変化しにくいため、特に冬場において、ポリオレフィン層の収縮を抑制し、赤外線反射フィルムのカールを抑制することができると考えられる。また、PETの場合、易接着処理を行わなくても第2の粘着剤層に対して優れた接着性を発現できる点でも好ましい。
二軸延伸樹脂フィルムの表面には、隣接層の密着性向上を目的としてプライマー処理、コロナ処理などによる表面処理を施すことができる。上記プライマー処理に使用し得る液剤としては、特に制限はされず、例えばアクリル系、ポリエステル系、ポリウレタン系、シリコーン系、ゴム系などの従来公知のものを用いることができる。
二軸延伸樹脂フィルムには、必要に応じて、安定剤、滑剤、充填剤、着色剤、加工助剤、軟化剤、金属粉、防曇剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防止剤、難撚剤等の添加剤を適宜に含有していてもよい。
二軸延伸樹脂フィルムは、従来公知の一般的な方法により製造することが可能である。例えば、Tダイ、カレンダー、キャスト、インフレーション等、公知の方法で未延伸の樹脂フィルムを製造した後、逐次二軸延伸、同時二軸延伸等の公知の方法を用いて製造することができる。
二軸延伸樹脂フィルムの厚さの下限は、12μm以上であることが好ましく、25μm以上であることがより好ましい。上記範囲内にある二軸延伸樹脂フィルムはスキージの力に耐えうる剛性や反発力を有するため、スキージ作業時のアプリケーションフィルムの破損、変形、位置ずれ等を防止することができる。ゆえに、スキージ処理中にアプリケーションフィルムが破れ、ポリオレフィン層が露出してスキージによる傷を受ける心配がない。また、後述の方法で二軸延伸樹脂フィルム上に第2の粘着剤層を形成する際、エージングによって形状が変化するのを防止できる。一方、二軸延伸樹脂フィルムの厚さの上限は、50μm以下であることが好ましく、38μm以下であることがより好ましい。上記範囲内であれば、スキージによって施工液を除去することが可能である。ゆえに、スキージ作業後に施工液が水泡として残存し、フィルムが膨れるのを抑制することができる。
二軸延伸樹脂フィルムの厚さは、基材の厚さに対して、10〜250%であることが好ましく、20〜200%であることがより好ましく、30〜150%であることがさらに好ましく、40〜120%であることがさらにより好ましく、50〜100%であることが特に好ましい。上記範囲内にあれば、特に冬場において、フィルムのカールの発生を良好に抑制し、水貼り時のフィルム端部の浮きを良好に防止することができる。
なお、樹脂フィルムが二軸延伸されていることは、X線回折、複屈折、ラマン分光、広幅NMRなど公知の方法で配向性を評価することにより、確認することができる。
[第2の粘着剤層]
本発明に係る赤外線反射フィルムにおいて、アプリケーションフィルムは第2の粘着剤層を含む。
第2の粘着剤に用いられる粘着剤としては、隣接するポリオレフィン層から剥離可能なものであれば、アクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、シリコーン系粘着剤等特に制限されないが、接着の信頼性の観点から、アクリル系粘着剤であることが好ましい。アクリル系粘着剤を構成するアクリル系ポリマーは、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを単量体主成分とし、必要に応じて(メタ)アクリル酸アルキルエステルに共重合可能な単量体(共重合性単量体)を用いることにより形成される。ここで、主成分とは、単量体中50質量%以上(上限100質量%)であることを指し、好ましくは65質量%以上、より好ましくは85質量%以上、さらにより好ましくは95質量%以上である。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルの例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ミリスチル、(メタ)アクリル酸パルミチル、(メタ)アクリル酸ステアリルなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。中でも、所望の剥離特性を得る観点から、(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、(メタ)アクリル酸メチルおよび/または(メタ)アクリル酸ブチルを用いることが好ましく、これらを併用することがより好ましい。
また、(メタ)アクリル酸アルキルエステルに共重合可能な共重合性単量体の例としては、(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−エトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−(n−プロポキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(n−ブトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸3−メトキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−エトキシプロピル、アクリル酸2−(n−プロポキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(n−ブトキシ)プロピルなどの(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル;(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イソクロトン酸などのカルボキシル基含有単量体またはその無水物;ビニルスルホン酸ナトリウムなどのスルホン酸基含有単量体;スチレン、置換スチレンなどの芳香族ビニル化合物;アクリロニトリルなどのシアノ基含有単量体;エチレン、プロピレン、ブタジエンなどのオレフィン類;酢酸ビニルなどのビニルエステル類;塩化ビニル;アクリルアミド、メタクリルアミド、N−ビニルピロリドン、N,N−ジメチルアクリルアミドなどのアミド基含有単量体;(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチルなどの(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル、グリセリンジメタクリレートなどの水酸基含有単量体;(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリロイルモルホリンなどのアミノ基含有単量体;シクロヘキシルマレイミド、イソプロピルマレイミドなどのイミド基含有単量体;(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸メチルグリシジルなどのエポキシ基含有単量体;2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートなどのイソシアネート基含有単量体;トリエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジビニルベンゼンなどの多官能基の共重合単量体(多官能基モノマー)などが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
中でも、(メタ)アクリル酸アルキルエステルに共重合可能なアクリル共重合性単量体として、後述の架橋剤が有する架橋性反応基と反応する官能基を有する単量体を用いることが好ましく、具体的には、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチルなどの(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルなどの水酸基含有単量体;(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イソクロトン酸などのカルボキシル基含有単量体;(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリルイルモルホリンなどのアミノ基含有単量体;(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸メチルグリシジルなどのエポキシ基含有単量体を用いることが好ましく、所望の剥離特性を得る観点から、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸を用いることがより好ましく、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチルを用いることが特に好ましい。
共重合性単量体を用いる場合、(メタ)アクリル酸系重合体を構成する単量体成分のうち、0.1〜35質量%であることが好ましく、0.5〜15質量%であることがより好ましく、1〜5質量%であることがさらにより好ましい。
アクリル系ポリマーの重量平均分子量は特に限定されるものではないが、10万〜100万であることが好ましく、50万〜80万であることがより好ましい。なお、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定したポリスチレン換算の値である。
粘着剤は、アクリル系ポリマーの他、架橋剤を含むことが好ましい。架橋剤としては、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、金属キレート系架橋剤などが挙げられる。中でも、所望の剥離特性を得る観点から、イソシアネート系架橋剤が特に好ましい。
イソシアネート系架橋剤としては、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、1,2−プロピレンジイソシアネート、1,2−ブチレンジイソシアネート、2,3−ブチレンジイソシアネート、1,3−ブチレンジイソシアネート)、ペンタメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシネート、2,6−ジイソシアネートメチルカプエート、リジンジイソシアネート、リジンエステルトリイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネートなどの脂肪族ジイソシアネート;トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネート;イソホロンジイソシアネートなどの脂環式ジイソシアネート;ならびにジイソシアネート化合物とトリメチロールプロパン等のポリオール化合物とのアダクト体、ジイソシアネート化合物のビウレット体やイソシアヌレート体などのイソシアネート誘導体が挙げられる。
また、エポキシ系架橋剤としては、ポリグリシジルアミン型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、脂環型エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂、臭素化エポキシ樹脂、アルコール型エポキシ樹脂等が挙げられる。具体的には、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン(商品名:TETRAD(登録商標)−X、三菱ガス化学株式会社製)や1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロへキサン(商品名:TETRAD(登録商標)−C、三菱ガス化学株式会社製)などがあげられる。
金属キレート系架橋剤としては、アルミニウム、チタン、ニッケル、クロム、鉄、亜鉛、コバルト、マンガン、ジルコニウム等の金属のアセチルアセトネート錯体等が挙げられる。
架橋剤の添加量は、アクリル系ポリマー100質量部に対して、0.01〜20質量部であることが好ましく、0.1〜10質量部であることがより好ましく、1〜7質量部であることがさらにより好ましい。
第2の粘着剤層には、必要に応じ、可塑剤、着色剤、充填剤、帯電防止剤、タッキファイヤー、濡れ剤、レベリング剤、増粘剤、消泡剤、防腐剤等を適宜添加することができる。
可塑剤としてはクエン酸エステル、トリメリット酸エステル、アジピン酸エステル、フタル酸エステル、エポキシ化植物油等が挙げられる。
(第2の粘着剤層の剥離特性)
第2の粘着剤層は、水貼り直後(例えば水貼り後5分以内)の第1の粘着剤層に比べて剥離力が小さいことが好ましい。
第2の粘着剤層は、例えば、JIS Z0237:2009に規定される180°引きはがし粘着力に準拠して測定される、アプリケーションフィルムのポリオレフィン層からの剥離力(剥離速度300mm/分)が100mN/25mm以下であることが好ましく、75mN/25mm以下であることがより好ましい。上記範囲内であれば、被着体に貼付された赤外線反射フィルムからアプリケーションフィルムを円滑に除去し、ポリオレフィン層を露出させることができる。一方、第2の粘着剤層は、JIS Z0237:2009に規定される180°引きはがし粘着力に準拠して測定される、アプリケーションフィルムのポリオレフィン層からの剥離力(剥離速度300mm/分)が20mN/25mm以上であることが好ましく、30mN/25mm以上であることがより好ましい。上記範囲内であれば、スキージ作業時のアプリケーションフィルムの破損、変形、位置ずれ等を防止することができる。
さらに、第2の粘着剤層は、剥離速度30m/分での剥離力が150mN/25mm以下であることが好ましく、100mN/25mm以下であることがより好ましい。上記範囲内にあれば、赤外線反射フィルムを被着体に水貼りした後、アプリケーションフィルムを高速で剥離除去できるため、フィルム施工に要する時間を短縮することができ、施工効率が向上する。一方、第2の粘着剤層は、剥離速度30m/分における剥離力が20mN/25mm以上であることが好ましく、50mN/25mm以上であることがより好ましい。ここで、剥離速度30m/分における剥離力は、JIS Z0237:2009に規定される180°引きはがし粘着力の測定方法と同様の方法により、アプリケーションフィルムをポリオレフィン層から引きはがすことで測定される値である。
第2の粘着剤層の剥離力は、例えば、上述したアクリル系ポリマーのガラス転移温度や分子量、架橋剤の添加量、可塑剤の添加量等を調整することで、所望の範囲に制御することができる。たとえば、アクリル系ポリマーのガラス転移温度を高くすることで、ポリマーの硬さが増すため、第2の粘着剤層の剥離力を小さくすることができる。また、たとえば、アクリル系ポリマーの分子量を大きくすることで、粘着剤の弾性率が増すため、第2の粘着剤層の剥離力を小さくすることができる。また、たとえば、架橋剤の添加量を多くすることで、粘着剤の架橋密度が増加するため、第2の粘着剤層の剥離力を小さくすることができる。また、たとえば、可塑剤の添加量を多くすることで、ポリマーのネットワークが疎となるため、第2の粘着剤層の剥離力を小さくすることができる。
(第2の粘着剤層の形成方法)
第2の粘着剤層の形成方法は特に限定されないが、第2の粘着剤層を構成する粘着剤を、(必要に応じて易接着処理を行った)二軸延伸樹脂フィルム上に塗布する方法が挙げられる。塗布方法は特に限定されず、例えばロールコーター、ナイフコーター、エアーナイフコーター、バーコーター、ブレードコーター、スロットダイコーター、リップコーター、グラビアコーターなどの公知の塗布装置を用いて塗布することができる。粘着剤の塗布厚としては、通常5〜50μm、好ましくは10〜30μmである。粘着剤を基材上に塗布後、乾燥処理を行うことによって、第2の粘着剤層が形成される。この際の乾燥条件としては特に限定されず、通常60〜150℃にて10〜60秒の条件で行われる。
第2の粘着剤層の厚さは、特に限定されないが、アプリケーションフィルムがスキージ作業でずれにくく、かつ水貼り後に除去しやすいことを考慮すると、5〜30μmの範囲であることが好ましく、5〜15μmであることがより好ましい。
[ポリオレフィン層]
本発明に係る赤外線反射フィルムにおいて、ポリオレフィン層は金属層の腐食を防止する機能を有する。
ポリオレフィン層は、ポリオレフィンを主成分として含み、好ましくはポリオレフィンを50質量%以上、60質量%以上、70質量%以上、80質量%以上または90質量%以上含む(上限値100質量%)。
ポリオレフィン層を構成するポリオレフィンとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、α−オレフィン(例えば1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン等)重合体、エチレン−プロピレン共重合体、シクロオレフィンポリマー(例えば、ノルボルネン、シクロブテン、シクロペンテン等の環状オレフィンの重合体)、シクロオレフィンコポリマー(例えば、環状オレフィンとポリエチレン等の鎖状オレフィンとの共重合体、または環状オレフィンと1,4−ヘキサジエン等のジエンとの共重合体)、およびこれらの混合物であって、極性基や反応性基を含むペンダントを有する材料等が例示できる。共重合体の場合、その構造は特に制限されず、ランダム共重合体、交互共重合体、周期的共重合体、ブロック共重合体を好適に用いることができる。
ポリオレフィン層は、延伸であっても無延伸であってもよく、工程材料を用いてキャスティング法等で形成したものであってもよい。ただし、カールを抑制する観点から、延伸されていることが好ましく、二軸延伸されていることがより好ましい。
ポリオレフィン層の表面には、隣接層の密着性向上を目的としてプライマー処理、酸化法、凹凸化法などによる表面処理を施すことができる。また、ポリオレフィン層には、添加剤が含有されていてもよい。表面処理や添加剤の詳細については、上記の[二軸延伸樹脂フィルム]の項で述べたものと同様である。
ポリオレフィン層は、上記の[二軸延伸樹脂フィルム]の項に記載したような従来公知の一般的な方法により製造することができる。
ポリオレフィン層の厚さの下限は、金属層の腐食を防止する観点から、1μm以上であることが好ましく、5μm以上であることがより好ましい。一方、ポリオレフィン層の厚さの上限は、赤外線反射フィルムのカールを抑制する観点から、30μm以下であることが好ましく、20μm以下であることがより好ましい。
[金属層]
本発明に係る赤外線反射フィルムにおいて、金属層は熱線反射層として機能する。
金属層は、金属を主成分として含み、好ましくは金属元素を50質量%以上、60質量%以上、70質量%以上、80質量%以上または90質量%以上含む(上限値100質量%)。
金属層に含まれる金属としては、例えば、アルミニウム、金、銀、銅、ニッケル、コバルト、クロム、チタン、ジルコニア、スズ、インジウムなどが挙げられる。この際、金属は、単体の形態で含まれてもよいし、金属酸化物の形態で含まれてもよい。また、金属層は、単層であってもよいし、複層であってもよい。したがって、金属層は、例えば特開2001−310407号公報の段落「0013」〜「0017」に記載されるような交互積層膜であってもよい。
金属層は、スパッタリング法、真空蒸着法、メッキ法、イオンプレーティング等、従来公知の方法により製造することができる。
金属層の厚さは、特に制限されないが、例えば1〜500nm、好ましくは10〜100nmである。
[基材]
本発明に係る赤外線反射フィルムにおいて、基材は支持体として機能する。
基材を形成する材料としては、特に制限されず、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン等が挙げられる。ただし、被着体の飛散防止、金属層のスパッタ加工性、第1の粘着剤層との接着性の観点から、PETであることが好ましい。
基材は、延伸フィルムであってもよいし、無延伸フィルムであってもよく、工程材料を用いてキャスティング法等で形成したものであってもよい。ただし、カールを抑制する観点から、延伸されていることが好ましく、二軸延伸されていることがより好ましい。
基材の表面には、隣接層の密着性向上を目的としてプライマー処理、コロナ処理などによる表面処理を施すことができる。また、基材には、添加剤が含有されていてもよい。表面処理や添加剤の詳細については、上記の[二軸延伸樹脂フィルム]の項で述べたものと同様である。
基材は、上記の[二軸延伸樹脂フィルム]の項に記載したような従来公知の一般的な方法により製造することができる。
基材の厚さは、被着体の飛散防止の観点から、25μm以上であることが好ましい。また、スキージによる施工液の除去を考慮すると、100μm以下であることが好ましい。
[第1の粘着剤層]
本発明に係る赤外線反射フィルムは、第1の粘着剤層を介して被着体に貼付される。
第1の粘着剤層に用いられる粘着剤としては、アプリケーションフィルムを除去する際に被着体から剥離しない程度の粘着力を発現するものであれば特に制限されず、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ポリエステル系粘着剤などを用いることができる。上記粘着剤は1種単独で用いても2種以上併用してもよい。
粘着剤としては、接着の信頼性の観点から、特にアクリル系粘着剤を好適に用いることができる。アクリル系粘着剤を構成するアクリル系ポリマーは、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを単量体主成分とし、必要に応じて(メタ)アクリル酸アルキルエステルに共重合可能な単量体(共重合性単量体)を用いることにより形成される。ここで、主成分とは、単量体中50質量%以上(上限100質量%)であることを指し、好ましくは65質量%以上、より好ましくは85質量%以上である。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルおよび(メタ)アクリル酸アルキルエステルに共重合可能な共重合性単量体の具体例は、上記の[第2の粘着剤層]の項に記載したものと同様である。中でも、所望の剥離特性を得る観点から、(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、(メタ)アクリル酸ブチルが特に好ましい。また、所望の剥離特性を得る観点から、後述の架橋剤と反応する官能基を有していることが好ましく、具体的には、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸が特に好ましい。
共重合性単量体を用いる場合、(メタ)アクリル酸系重合体を構成する単量体成分のうち、0.1〜35質量%であることが好ましく、1〜15質量%であることがより好ましく、5〜10質量%であることがさらにより好ましい。
アクリル系ポリマーの重量平均分子量は特に限定されるものではないが、10万〜100万であることが好ましく、40万〜70万であることがより好ましい。なお、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定したポリスチレン換算の値である。
粘着剤は、アクリル系ポリマーの他、架橋剤を含むことが好ましい。架橋剤の具体例は、上記の[第2の粘着剤層]の項に記載したものと同様である。中でも、所望の剥離特性を得る観点から、イソシアネート系架橋剤が特に好ましい。
架橋剤の添加量は、アクリル系ポリマー100質量部に対して、0.001〜10質量部であることが好ましく、0.005〜5質量部であることがより好ましく、0.1〜3質量部であることがさらにより好ましい。
第1の粘着剤層には、必要に応じ、紫外線吸収剤、着色剤、充填剤、帯電防止剤、タッキファイヤー、濡れ剤、レベリング剤、増粘剤、消泡剤、防腐剤等を適宜添加することができる。
第1の粘着剤層は、例えば、JIS Z0237:2009に準拠して測定される、ガラス板に対する引きはがし粘着力(剥離速度300mm/分)が1N/25mm以上であることが好ましく、値が大きければ大きいほど好ましい。施工時間の短縮化の観点から、水貼り直後(例えば水貼り後5分以内)の時点で、上記範囲を満たすことが好ましい。上記範囲内であれば、被着体に貼付された赤外線反射フィルムからアプリケーションフィルムを剥離除去する際、被着体および残余フィルムの界面で剥離が生じにくい。
さらに、第1の粘着剤層は、剥離速度30m/分における、ガラス板に対する180°引きはがし粘着力が1N/25mm以上であるとより好ましく、値が大きければ大きいほど好ましい。施工時間の短縮化の観点から、水貼り直後(例えば水貼り後5分以内)の時点で、上記範囲を満たすことが好ましい。上記範囲内であれば、被着体に貼付された赤外線反射フィルムから、アプリケーションフィルムを高速で剥離除去する際にも、被着体および残余フィルムの界面で剥離が生じにくい。ゆえに、フィルムの施工に要する時間を短縮でき、施工効率が向上する。なお、剥離速度30m/分における、ガラスに対する180°引きはがし粘着力は、JIS Z0237:2009の測定方法と同様の方法により測定される値である。
第1の粘着剤層の形成方法は特に限定されないが、粘着剤を基材または剥離ライナー上に塗布する方法が採られる。塗布方法は特に限定されず、例えばロールコーター、ナイフコーター、エアーナイフコーター、バーコーター、ブレードコーター、スロットダイコーター、リップコーター、グラビアコーターなどの公知の塗布装置を用いて塗布することができる。粘着剤の塗布量としては、固形分重量で、通常10〜100μm、好ましくは15〜60μmである。粘着剤を基材または剥離ライナー上に塗布後、乾燥処理を行うことによって、第1の粘着剤層が形成される。この際の乾燥条件としては特に限定されず、通常60〜150℃にて10〜60秒の条件で行われる。
第1の粘着剤層の厚さは、特に限定されないが、粘着性および薄膜化の観点から、10〜100μmの範囲が好ましい。
[剥離ライナー]
本発明の第一の形態に係る赤外線反射フィルムは、剥離ライナーを有していてもよい。剥離ライナーは、第1の粘着剤層を保護し、粘着性の低下を防止する機能を有する部材である。そして、剥離ライナーは、赤外線反射フィルムを貼付する際にフィルムから剥離される。このため、本発明の一形態係る赤外線反射フィルムは、剥離ライナーを有していないものも包含される。
剥離ライナーとしては、特に限定されるものではないが、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルム、ポリプロピレンやポリエチレン等のポリオレフィンフィルムなどのプラスチックフィルム;上質紙、グラシン紙、クラフト紙、クレーコート紙などの紙、これらの紙をポリエチレンラミネートしたポリエチレンラミネート紙、これらの紙をポリプロピレンラミネートしたポリプロピレンラミネート紙等が挙げられる。
剥離ライナーの厚さは、通常10〜400μm程度である。また、剥離ライナーの表面には、第1の粘着剤層の剥離性を向上させるためのシリコーンなどから構成される剥離剤からなる層が設けられてもよい。かような層が設けられる場合の当該層の厚さは、通常0.01〜5μm程度である。
[赤外線反射フィルムの製造方法]
本発明に係る赤外線反射フィルムの製造方法は特に制限されないが、例えば、第1の粘着剤層、基材、金属層およびポリオレフィン層を順に積層させて、ポリオレフィン層が最表層に配置された積層体を製造し(工程1)、二軸延伸樹脂フィルム上に第2の粘着剤層を形成してアプリケーションフィルムを製造し(工程2)、次いで、工程1で得られた積層体のポリオレフィン層面と、工程2で得られたアプリケーションフィルムの第2の粘着剤層面とを接触させる(工程3)方法が挙げられる。この際、工程1および工程2の順序は問わない。また、各層の製造方法については、それぞれ上述したとおりであるため、本項では割愛する。
工程1では、例えば、基材の一方の面上に金属層およびポリオレフィン層を積層させた積層体A、ならびに剥離ライナー上に第1の粘着剤層を形成させた積層体Bをそれぞれ準備する。積層体Aの製造方法については、特開2000−117919号公報等を参照することができる。次に、積層体Aの基材の他方の面(すなわち金属層およびポリオレフィン層が配置されていない面)と、積層体Bの第1の粘着剤層面とを接触させる。これにより、所望の層構成を有する積層体Cを得ることができる。基材に対する第1の粘着剤層の密着性を高めるため、上記接触後にエージング処理を行うことが好ましい。エージング温度は、特に制限されないが、好ましくは常温(25℃)〜40℃である。また、エージング時間も、特に制限されないが、好ましくは3〜10日である。
工程2では、上述の方法により二軸延伸樹脂フィルム上に第2の粘着剤層を形成することができるが、第2の粘着剤層が二軸延伸樹脂フィルムから剥離するのを抑制する観点から、形成された第2の粘着剤層を剥離ライナーで保護しないことが好ましい。すなわち、工程2では第2の粘着剤層が露出したアプリケーションフィルムを製造し、これを工程3に用いることが好ましい。
工程3では、ポリオレフィン層と第2の粘着剤層とを接触させた後、エージング処理を行うことが好ましい。エージング処理を行うことで、第2の粘着剤層の二軸延伸樹脂フィルムに対する密着性が向上する。ゆえに、被着体に貼付された赤外線反射フィルムからアプリケーションフィルムを除去する際、第2の粘着剤層がポリオレフィン層へ移行しにくい。ゆえに、被着体に残されたフィルムは、良好な外観や遮熱性を示す。エージング温度は、特に制限されないが、第2の粘着剤層と二軸延伸樹脂フィルムとの密着性向上および二軸延伸樹脂フィルムの変形防止の観点から、好ましくは30〜50℃である。また、エージング時間も、特に制限されないが、好ましくは1〜7日である。
[赤外線反射フィルムの貼付方法]
本発明の第二実施形態は、上述した形態に係る赤外線反射フィルムの第1の粘着剤層面および被着体の赤外線反射フィルム接触面の少なくとも一方に水系媒体を付与し(工程1)、第1の粘着剤層面を被着体上に接触させ(工程2)、水系媒体を除去した後、アプリケーションフィルムを除去する(工程3)ことを有する、赤外線反射フィルムの被着体への貼付方法である。以下、第一実施形態に係る赤外線反射フィルムを単に赤外線反射フィルムとも称する。
(工程1)
工程1では、赤外線反射フィルムの第1の粘着剤層面および被着体の赤外線反射フィルム接触面の少なくとも一方に水系媒体を付与する。
水系媒体はいわゆる施工液として用いるものである。水系媒体とは水を50質量%以上(上限100質量%)含有されたものを指し、好ましくは70質量%以上、より好ましくは85質量%以上であり、最も好ましくは水系媒体が水である。
水系媒体中に含まれる水以外の成分としては、水に溶解する有機溶剤;界面活性剤を挙げることができる。水に溶解する有機溶剤としては、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、ジメチルホルムアミド、メチルセルソルブ、テトラヒドロフランなどが挙げられる。
水貼りで用いられる施工液は、被着体およびフィルム間の滑り性を向上させる目的で、界面活性剤を含有していてもよい。界面活性剤としては、例えば、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸、アルキル硝酸エステル塩、アルキルエーテル硫酸エステル塩などの陰イオン系界面活性剤、アルキルトリメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、N−メチルビスヒドロキエチルアミン脂肪酸エステル・塩酸塩などの陽イオン系界面活性剤、アルキルアミノ脂肪酸塩、アルキルベタイン、アルキルアミンオキシドなどの両性界面活性剤、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、アルキルグリコシドなどの非イオン系界面活性剤が挙げられる。界面活性剤は1種単独で、または、2種以上を併用して用いることができる。
水系媒体が付与されるのは、赤外線反射フィルムの第1の粘着剤層面および被着体の赤外線反射フィルム接触面のいずれか一方であってもよいし、双方であってもよい。気泡抜けやしわ生成を抑制する観点からは、第1の粘着剤層面および被着体の赤外線反射フィルム接触面の双方に水系媒体を付与することが好ましい。第1の粘着剤層面および/または被着体の赤外線反射フィルム接触面に水系媒体を付与する方法としては、噴霧器を用いて水系媒体を接触面に噴霧する方法や、貯留してある水系媒体に接触面を接触させる方法などが挙げられるが、施工性を考慮すると、噴霧器を用いて水系媒体を接触面に噴霧する方法が好ましい。
(工程2)
工程2では、第1の粘着剤層面を被着体上に接触させる。すなわち、被着体に赤外線反射フィルムの第1の粘着剤層面を合わせる。図2は、第一実施形態の赤外線反射フィルムを被着体に貼付する際の貼付方法を示す断面模式図である。図2において、赤外線反射フィルム10を構成する層のうち、最表層である第1の粘着剤層11側が被着体20の施工面に貼り合わされる。この際、水系媒体(施工液)を介して、被着体に対して赤外線反射フィルムを滑らせながら、赤外線反射フィルムの施工位置を調整することができる。
(工程3)
工程3では、水系媒体を除去した後、アプリケーションフィルムを除去する。
被着体と赤外線反射フィルムとの間に存在する水系媒体を除去する(排出する)方法としては、スキージでフィルム表面を順次均一に擦りつけて、水系媒体を押し出して除去する方法が挙げられる。この工程において、赤外線反射フィルムと被着体の間に生じた気泡を押し出し、赤外線反射フィルムに生じたしわを伸ばすことができる。水系媒体の排出とともに、赤外線反射フィルムの第1の粘着剤層が露出し、被着体にフィルムが貼付される。
水系媒体を排出(除去)した後、アプリケーションフィルムを除去(剥離)する。この際、水系媒体を除去してからアプリケーションフィルムを除去するまでの時間は問わない。したがって、例えばスキージで水系媒体を掻き出した直後のように、被着体と赤外線反射フィルムとの間に施工液が残存している状態で、アプリケーションフィルムを除去してもよい。あるいは、スキージで水系媒体を掻き出した後、(必要に応じて乾燥処理等を行い)一定時間置いて水系媒体を蒸発させてから、アプリケーションフィルムを除去してもよい。
[用途]
本発明に係る赤外線反射フィルムは、建物や車両の窓の屋内側表面に施工する(内貼りする)ことで、屋内や車内の断熱性を高めることができる。
すなわち、被着体としては、例えば、ガラス、ガラス代替樹脂等の窓に用いられる部材が好適である。ガラス代替樹脂としては、特に制限されず、ポリカーボネート樹脂、ポリスルホン樹脂、アクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリスルフィド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ポリイミド樹脂、スチレン樹脂、塩化ビニル樹脂等が挙げられる。
ただし、本発明に係る赤外線反射フィルムの用途は、上記した用途に限られない。
本発明の効果を、以下の実施例および比較例を用いて説明する。ただし、本発明の技術的範囲が以下の実施例のみに制限されるわけではない。なお、下記実施例において、特記しない限り、操作は25℃で行われた。また、特記しない限り、「%」および「部」は、それぞれ、「質量%」および「質量部」を意味する。
[赤外線反射フィルムの製造]
(実施例1)
基材としてPETフィルム(厚さ50μm)の一方の面に、金属層として厚さ60nmのアルミニウム層を蒸着法で形成した後、ポリオレフィン層として二軸延伸ポリプロピレン(OPP)フィルム(厚さ15μm)を当該アルミニウム層上にポリエステル系接着剤層(厚さ2μm)を介して貼り合せ、積層体Aを作製した。また、剥離ライナー(PET製、厚さ38μm)の一方の面に、粘着剤(アクリル酸ブチル/アクリル酸(質量比90/10)共重合体(重量平均分子量60万) 100質量部、イソシアネート系架橋剤 1質量部)の溶液を塗布して乾燥し、厚さ15μmの第1の粘着剤層を有する積層体Bを作製した。次に、積層体AのPETフィルムの他方の面(アルミニウム層およびOPP層が配置されていない面)と、積層体Bの第1の粘着剤層面とを接触させ、常温(25℃)で7日間エージングし、積層体Cを作製した。
なお、第1の粘着剤層について、JIS Z0237:2009の測定方法と同様の方法により剥離速度300mm/分における、ガラス板に対する180°引きはがし粘着力を測定したところ、水貼り直後(5分以内)で、1N/25mm以上であった。また、水貼りしてから1日静置した後も、1N/25mm以上であった。また、同様にして剥離速度30m/分における、ガラス板に対する180°引きはがし粘着力を測定したところ、水貼り直後(5分以内)で、1N/25mm以上であった。また、水貼りしてから1日静置した後も、1N/25mm以上であった。
一方、二軸延伸PETフィルム(厚さ25μm)の一方の面に、粘着剤(アクリル酸ブチル/アクリル酸メチル/メタクリル酸2−ヒドロキシエチル(質量比60/35/5)共重合体(重量平均分子量75万) 100質量部、イソシアネート系架橋剤 7質量部)の溶液を塗布して乾燥し、厚さ10μmの第2の粘着剤層を有するアプリケーションフィルムを作製した。
上記で作製した積層体Cのポリオレフィン層面とアプリケーションフィルムの第2の粘着剤層面とを接触させた後、45℃で5日間エージング処理を行い、赤外線反射フィルムを作製した。
なお、第2の粘着剤層について、JIS Z0237:2009に規定する180°引きはがし力の測定方法と同様の方法により剥離速度300mm/分における剥離力を測定したところ、50mN/25mmであった。また、同様にして剥離速度30m/分における剥離力を測定したところ、75mN/25mmであった。
(実施例2)
二軸延伸PETフィルムの厚さを12μmに変更したこと以外は実施例1と同様にして、赤外線反射フィルムを製造した。
(実施例3)
二軸延伸PETフィルムの厚さを50μmに変更したこと以外は実施例1と同様にして、赤外線反射フィルムを製造した。
(比較例1)
ポリプロピレン層のアルミニウム層と接触していない面に、上記で製造したアプリケーションフィルムの第2の粘着剤層面を貼り合わせなかったこと以外は実施例1と同様にして、赤外線反射フィルムを製造した。
[赤外線反射フィルムの物性評価]
(カール値測定)
上記で製造した赤外線反射フィルムを10cm×10cmにカットし、低温環境(0℃)で1日静置した。次に、フィルムを平面上に剥離ライナーが最下層となる向きで置き、フィルムの端点について平面からの距離を測定して平均化し、カール値とした。
(フィルム端部の密着性)
低温環境(0℃)において、上記で製造した赤外線反射フィルムの第1の粘着剤層面および被着体であるガラスのフィルム貼付面に、施工液として界面活性剤の0.1%水溶液を噴霧器を用いて噴霧した後、ガラスに貼付した。貼付後、スキージを用いて施工液をフィルム外に排出した。1時間静置後、アプリケーションフィルムを除去し、フィルム端部の浮きの有無を目視で確認した。
≪フィルム端部浮き≫
○:浮きなし
×:浮きあり
この際、スキージ処理時の作業性について、以下の判定基準により判定した。
≪アプリケーションフィルム(AF)変形≫
◎:アプリケーションフィルムのずれ、しわが発生しない
○:アプリケーションフィルムのずれ、しわが多少発生する
≪水抜け≫
◎:施工液を容易に排出することができる
○:施工液を排出することができる。
(フィルム外観)
実施例1〜3で製造した赤外線反射フィルムについて、上記と同様にガラスに水貼りした後、剥離速度30m/分でアプリケーションフィルムを除去し、フィルムの外観を確認した。また、比較例1で製造した赤外線反射フィルムについて、スキージ処理後のフィルムの外観を確認した。フィルムの外観の判定基準は下記のとおりである。判定基準が○以上であれば、ポリオレフィン層の傷付きが抑制されているといえる。
◎:目視で傷が全く観察されない
○:目視で少数(1〜10本)の傷が観察される
×:目視で多数(10本超)の傷が観察される。
各試験結果を表2に示す。表2に示すように、実施例1〜3の赤外線反射フィルムは、冬場を想定した低温環境において、基材側へのカールが抑制され、被着体に水貼りした際に端部の浮きは観察されなかった。また、被着体に貼付した赤外線反射フィルムからアプリケーションフィルムを除去したところ、露出したポリオレフィン層には傷が認められなかった。スキージ作業の際、アプリケーションフィルムが保護層として機能したと言える。
一方、比較例1の赤外線反射フィルムは、冬場を想定した低温環境において、基材側への強いカールが発生し、被着体に水貼りした際に端部の浮きが認められた。また、スキージ作業によりポリオレフィン層に傷が入り、外観不良であった。
上記結果より、本発明の赤外線反射フィルムは、被着体に水貼りする際にポリオレフィン層の傷付きおよびフィルム端部の浮きを抑制でき、かつ、水貼り後にポリオレフィン層を露出させることが可能であることがわかった。
10 赤外線反射フィルム
11 第1の粘着剤層
12 基材
13 金属層
14 ポリオレフィン層
15 第2の粘着剤層
16 二軸延伸樹脂フィルム
17 アプリケーションフィルム
20 被着体。

Claims (5)

  1. 基材の一方の面に金属層、ポリオレフィン層および前記ポリオレフィン層に対して剥離可能に配置されたアプリケーションフィルムをこの順で積層し、かつ基材の他方の面に第1の粘着剤層を積層してなる赤外線反射フィルムであって、
    前記アプリケーションフィルムが、二軸延伸樹脂フィルムおよび前記ポリオレフィン層に隣接する第2の粘着剤層を含む、赤外線反射フィルム。
  2. 前記第2の粘着剤層の剥離力が、30m/分で150mN/25mm以下である、請求項1に記載の赤外線反射フィルム。
  3. 前記二軸延伸樹脂フィルムが二軸延伸PETフィルムである、請求項1または2に記載の赤外線反射フィルム。
  4. 前記二軸延伸樹脂フィルムの厚さが12〜50μmである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の赤外線反射フィルム。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の赤外線反射フィルムの第1の粘着剤層面および被着体の赤外線反射フィルム接触面の少なくとも一方に水系媒体を付与し、
    第1の粘着剤層面を被着体上に接触させ、
    水系媒体を除去した後、アプリケーションフィルムを除去する
    ことを有する、赤外線反射フィルムの被着体への貼付方法。
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