JP2019130571A - 片面サブマージアーク溶接方法及び片面サブマージアーク溶接装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】広範囲な板厚の鋼板に適用することができ、回転変形を抑制して継手終端部での溶接金属の割れを防止し、かつ溶接後の手直しを低減できる片面サブマージアーク溶接方法及び片面サブマージアーク溶接装置を提供する。【解決手段】片面サブマージアーク溶接方法又は装置は、複数の電極を用いた一方の面側からのサブマージアーク溶接により突き合わされた2枚の鋼板を接合する。サブマージアーク溶接中、前記鋼板の終端側領域における、隣り合う前記電極間の極間距離の少なくとも一つを、前記終端側領域より手前の領域における前記極間距離よりも縮小する。前記極間距離を縮小する移行領域における該極間距離を縮小するために移動する電極の入熱の変動が、前記移行領域の開始点の前記入熱に対して20%以内である。【選択図】図7B
Description
本発明は、片面サブマージアーク溶接方法及び片面サブマージアーク溶接装置に関する。
片面サブマージアーク溶接は、板継ぎ溶接として造船を中心に、広い分野に適用されている高能率の溶接施工方法である。一方、片面サブマージアーク溶接では、継手終端部に割れが発生する場合があり、その防止策として種々の提案がなされている。
例えば、特許文献1には、溶接継手終端部の継手最終端から始端側に複数層で、段状からなるシーリングカスケードビードを用いて、自動溶接の終端割れを防止する技術が記載されている。
特許文献2には、突き合わせ部の開先形状や各電極の電流値などを規定することにより,広範囲な継手板厚に対し、健全な溶接継手を得ることができる多電極サブマージアーク溶接方法が開示されている。
ところで、シーリングカスケードビードを用いた特許文献1の技術では、シーリングカスケードビードで溶接継手終端部の変形を抑制することにより、割れ防止を図っている。しかしながら、シーリングカスケードビードを形成した箇所には、裏ビードが形成されないため、溶接後に手直しが必要となる。また、予めシーリングカスケードビードを形成する必要があるため、溶接工数が増大するという課題があり、改善の余地があった。
又、特許文献2に記載の多電極サブマージアーク溶接方法では、具体的な溶接速度に応じた溶接条件の設定については考慮されておらず、より良好な溶接品質が求められる。
本発明は、前述した課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、広範囲な板厚の鋼板に適用することができ、回転変形を抑制して継手終端部での溶接金属の割れを防止し、かつ溶接後の手直しを低減できる片面サブマージアーク溶接方法及び片面サブマージアーク溶接装置を提供することにある。
本発明の上記目的は、下記の構成により達成される。
本発明は、複数の電極を用いた一方の面側からのサブマージアーク溶接により突き合わされた2枚の鋼板を接合する片面サブマージアーク溶接方法であって、
前記サブマージアーク溶接中、前記鋼板の終端側領域における、隣り合う前記電極間の極間距離の少なくとも一つを、前記終端側領域より手前の領域における前記極間距離よりも縮小し、
前記極間距離を縮小する移行領域における該極間距離を縮小するために移動する電極の入熱の変動が、前記移行領域の開始点の前記入熱に対して20%以内である。
本発明は、複数の電極を用いた一方の面側からのサブマージアーク溶接により突き合わされた2枚の鋼板を接合する片面サブマージアーク溶接方法であって、
前記サブマージアーク溶接中、前記鋼板の終端側領域における、隣り合う前記電極間の極間距離の少なくとも一つを、前記終端側領域より手前の領域における前記極間距離よりも縮小し、
前記極間距離を縮小する移行領域における該極間距離を縮小するために移動する電極の入熱の変動が、前記移行領域の開始点の前記入熱に対して20%以内である。
又、上記方法において、好ましくは、前記移行領域の電流及び電圧は、前記入熱の変動が一定となるように、前記極間距離の変更速度に応じて変更される。
本発明は、一方の面側からのサブマージアーク溶接により突き合わされる2枚の鋼板を接合する片面サブマージアーク溶接装置であって、
複数の電極と、該複数の電極に対して電力を供給する複数の電源と、を備え、該複数の電極により前記各鋼板の始端から終端まで溶接するように、所定の方向に移動可能な溶接ユニットと、
前記溶接ユニット内に配置され、前記溶接ユニットに対して、前記複数の電極のうち少なくとも一つを進退方向に移動可能な駆動機構と、
前記サブマージアーク溶接中、前記鋼板の終端側領域における、隣り合う前記電極間の極間距離の少なくとも一つを、前記終端側領域より手前の領域における前記極間距離よりも縮小するよう前記駆動機構を制御する制御部と、を有し、
前記極間距離を縮小する移行領域における該極間距離を縮小するために移動する前記電極の入熱の変動が、前記移行領域の開始点の前記入熱に対して20%以内である。
複数の電極と、該複数の電極に対して電力を供給する複数の電源と、を備え、該複数の電極により前記各鋼板の始端から終端まで溶接するように、所定の方向に移動可能な溶接ユニットと、
前記溶接ユニット内に配置され、前記溶接ユニットに対して、前記複数の電極のうち少なくとも一つを進退方向に移動可能な駆動機構と、
前記サブマージアーク溶接中、前記鋼板の終端側領域における、隣り合う前記電極間の極間距離の少なくとも一つを、前記終端側領域より手前の領域における前記極間距離よりも縮小するよう前記駆動機構を制御する制御部と、を有し、
前記極間距離を縮小する移行領域における該極間距離を縮小するために移動する前記電極の入熱の変動が、前記移行領域の開始点の前記入熱に対して20%以内である。
本発明の片面サブマージアーク溶接方法及び片面サブマージアーク溶接装置によれば、サブマージアーク溶接中、鋼板の終端側領域において、隣り合う電極間の極間距離の少なくとも一つを、前記終端側領域より手前の領域における前記極間距離よりも縮小し前記極間距離を縮小する移行領域における該極間距離を縮小するために移動する電極の入熱の変動が、前記移行領域の開始点の前記入熱に対して20%以内である。これにより、終端部領域における溶込み形状及びひずみ速度が制御されると共に、移行領域において、移行前と同様のビード幅を得ることができる。したがって、広範囲な板厚の鋼板に適用することができ、回転変形を抑制して継手終端部での溶接金属の割れを防止し、かつ溶接後の手直しを低減できる。
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態に係る片面サブマージアーク溶接方法及び片面サブマージアーク溶接装置を図面に基づいて詳細に説明する。
以下、本発明の第1実施形態に係る片面サブマージアーク溶接方法及び片面サブマージアーク溶接装置を図面に基づいて詳細に説明する。
まず、片面サブマージアーク溶接装置10(以下、溶接装置10とも称す)の主要部の概略について説明する。
図1に示すように、溶接装置10は、架台フレーム11と、溶接機(溶接ユニット)12と、溶接機ビーム13と、制御部18と、を主に備える。架台フレーム11は、鋼製の角材を枠組みして、上方が開放された断面視凹状に形成されており、内部に裏当装置50a或いは裏当装置50b(図3,図4参照)が支持されている。そして、裏当装置50aの裏当銅板55或いは裏当装置50bの耐火性キャンバス56上に鋼板20が載置されている。
溶接機ビーム13は、溶接機12を鋼板20の長手方向に沿って移動させるものである。
図1に示すように、溶接装置10は、架台フレーム11と、溶接機(溶接ユニット)12と、溶接機ビーム13と、制御部18と、を主に備える。架台フレーム11は、鋼製の角材を枠組みして、上方が開放された断面視凹状に形成されており、内部に裏当装置50a或いは裏当装置50b(図3,図4参照)が支持されている。そして、裏当装置50aの裏当銅板55或いは裏当装置50bの耐火性キャンバス56上に鋼板20が載置されている。
溶接機ビーム13は、溶接機12を鋼板20の長手方向に沿って移動させるものである。
溶接機12は、筐体12a内に、鋼板20の長手方向に沿って各々配置され、溶接時に先行する第1電極15aと、第1電極15aに追従して後行する第2電極15bと、を有する。これら電極15a、15bは、それぞれ第1トーチ16a、第2トーチ16bに内挿されて配置されている。又、これらトーチ16a、16bは、所定電圧で電流を供給する第1電源(図示せず)及び第2電源(図示せず)とにケーブルを介して接続されている。第1電極15a及び第2電極15bには、それぞれ第1トーチ16a、第2トーチ16bを介して電流が供給される。なお、電極15a、15bは、溶接ワイヤである。
そして、溶接機12は、筐体12aに対して第1トーチ16aを鋼板20の長手方向に沿って移動させる第1駆動機構(スライダー)17aと、筐体12aに対して第2トーチ16bを鋼板20の長手方向に沿って移動させる第2駆動機構(スライダー)17bとを有する。第1駆動機構17a及び第2駆動機構17bは、筐体12a内にそれぞれ配置される。これら第1駆動機構17a及び第2駆動機構17bによって第1トーチ16a及び第2トーチ16bが移動することにより、第1電極15a及び第2電極15bも移動する。
溶接機12は、架台フレーム11の上方(鋼板20の上方)に配置され、溶接機ビーム13の延在方向(所定の方向)に沿って所定速度で移動しながら、鋼板20の開先M(図3参照)の表側から電極15a、15bによって片面サブマージアーク溶接により鋼板20を溶接する。
さらに、溶接機12は、制御部18により、第1駆動機構17aと第2駆動機構17bを駆動制御することで、第1電極15aと第2電極15bを溶接機ビーム13に沿って移動させることができ、第1電極15aと第2電極15bの極間距離L1を変えることができる(図5A参照)。なお、溶接機12は、駆動機構17a,17bの一方のみを設けるようにしても良い。また、本実施形態において、極間距離とは、溶接される鋼板の表面高さにおける電極間同士の距離である。
図1及び図5Aでは、電極(溶接トーチ)として第1電極15a、第2電極15bの2本のみ図示したが、電極数は、アーク溶接される鋼板20の板厚に応じて適宜選択され、それ以上の本数を設けることは任意である。電極数に関して、電極が1電極では、厚板鋼板の溶接に不向きであり、5電極以上では、溶接の高能率化が可能となるものの、溶接品質との両立のさらなる改善の余地が生じる。電極数が2電極以上であれば、厚板鋼板の溶接に適用できる。一方、電極数が4電極以下であれば、溶接の高能率化を図ることができ、かつ溶接品質もより良好なものとなる。このように、2〜4電極とすることで、厚板にも適用でき、高能率化と溶接品質とをより両立しやすくなる。
したがって、溶接機12は、例えば、図5Bに示すように、第1〜第3電極15a、15b、15cを有するものであってもよく、図5Cに示すように、第1〜4電極15a、15b、15c、15dを有するものであってもよい。また、3本以上の電極を持つ溶接機においても、各電極に対して、電源及び駆動機構をそれぞれ設けることができる。
片面サブマージアーク溶接方法(以下、「本溶接」とも言う)とは、図3,4に示すように、突き合わされた鋼板20,20の裏面から、裏当銅板55上に層状に散布した裏当フラックス52、或いは、耐火性キャンバス56内に収容された裏当フラックス52をエアホース59などの押上機構により押圧して溶接する方法である。片面サブマージアーク溶接方法では、鋼板20の表側から表フラックス51を用いてサブマージアーク溶接を行い、鋼板20の表面と裏面に同時にビードを形成する。なお、図中符号53はスラグ、符号54は溶接金属、符号57はフラックス袋、符号58は下敷フラックスである。
本実施形態の片面サブマージアーク溶接方法が適用される鋼板20は、例えば造船用鋼板である。図2及び図3に示すように、鋼板20の板厚t1は、5mm以上、40mm以下であり、好ましくは10mm以上、30mm以下、さらに好ましくは18mm以上、25mm以下とする。また、突き合わされた2枚の鋼板20の合計の板幅B1は、300mm以上である。さらに、鋼板20の長さLaは、1000mm以上、35000mm以下である。
2枚の鋼板20を突き合わせた接合面22には、開先Mが形成されている。開先Mの形状は、Y開先、V開先などの任意の形状とすることができる。
また、本実施形態では、鋼板20の接合面22には、断続あるいは連続した面内仮付がなされている。すなわち、本実施形態において、シーリングカスケードビードは形成されていない。
また、本実施形態では、鋼板20の接合面22には、断続あるいは連続した面内仮付がなされている。すなわち、本実施形態において、シーリングカスケードビードは形成されていない。
さらに、鋼板20の始端28および終端29には、タブ板30が取り付けられている。タブ板30は、片面サブマージアーク溶接において最後に固まる溶融池(クレータ)を溶接継手から逃がす目的で、また、片面サブマージアーク溶接による継手終端部での溶接金属の割れをより効果的に防止するため用いられる。特に、タブ板30が継手終端部で鋼板20を拘束することで溶接による熱変形を抑え、継手終端部での割れを防止する。
その後、鋼板20の本溶接(片面サブマージアーク溶接)を、鋼板20の始端28から終端29にかけて行う。本溶接速度としては、例えば、300〜1500mm/min(30〜150cpm)である。本溶接速度が300〜1500mm/minであれば、5mm以上、40mm以下の板厚の鋼板20に対して安定して溶接品質を確保することができる。
なお、「本溶接」とは、仮付溶接がなされた鋼板20に対して行う溶接である。また、「本溶接速度」とは、従来において通常行われるサブマージアーク溶接の速度である。通常、本溶接での溶接速度は一定となるが、溶接処理の都合上、溶接箇所によっては、速度がやや低下する場合がある。ただし、本溶接の溶接速度は、本溶接条件の最適速度、すなわち予め設定した本溶接速度となる。
この際、始端28から終端29まで同じ溶接条件(例えば、所定の電極数、溶接速度、総入熱量、極間距離)で溶接を行うと、継手終端部において割れが生じる場合がある。例えば、本溶接速度の速い条件では、継手終端部に、鋼板20の内側から外側に向けて回転変形が生じ、終端割れが生じる場合がある。具体的には、鋼板20が内側から外側に向けて広がるひずみ速度が増加して割れる方向の駆動力が増加してしまう。また、溶接条件によっては、継手終端部において、耐割れ性の悪い溶込み形状となる場合がある。
ここで、本実施形態では、図1及び図5Aに示すように、継手終端部において、ひずみ速度が低く、耐割れ性に良好な溶込み形状が得られるように、サブマージアーク溶接中、鋼板20の終端29手前少なくとも150mm以上の位置から終端29までの間の終端側領域D2と、該終端側領域より手前の領域D1(始端28を含むものとする)とで、隣り合う電極15a,15b間の極間距離L1を狭くする。即ち、極間距離の変更は、筐体12aが開先Mに沿って移動している間に、制御部18が駆動機構17a、17bの少なくとも一方を制御して第1及び第2電極15a、15bを相対移動させることにより実行できる。
即ち、本実施形態では、終端側領域D2における極間距離を、終端側領域より手前の領域D1における電極数、溶接速度、入熱量等の溶接条件に応じた所定値に変更することで、ひずみ速度を低下させると共に、第1及び第2電極15a,15bによって溶込み形状を変化させ、耐割れ性の良い溶込み形状を確保する。これにより、継手終端部において、割れ防止を図ることができると共に、良好な表ビード外観を有する溶接継手の製作が可能となる。特に、溶接速度が速い場合、終端割れが生じやすいが、本実施形態の溶接方法によれば、溶接速度が速い場合においても、溶込み形状を良好にできるとともにひずみ速度を低減することができ、終端割れの防止を実現できる。従来のサブマージアーク溶接方法においては、溶接中に極間距離を変えるという視点がなく、本実施形態に係るサブマージアーク溶接方法は、溶込み形状およびひずみ速度に着眼して、発明者らが鋭意検討した結果、創作に至ったものである。
ここで、割れに対する材料の強さを示す指標としての溶込み形状の評価について説明する。評価対象となる溶接部において、溶接方向と垂直な方向の面で切り出し、研磨及び適切なエッチング処理を行って、図6のような断面を得る。ここで、第2電極15bにより形成される表ビードを構成する溶接金属MT1と、第1電極15aにより形成される裏ビードを構成する溶接金属MT2の交差面CLから、鋼板20の裏面までの距離をHとし,溶接金属MT1,MT2の交差面CLの幅をWとし、H/Wの値が0.1以上、0.8以下である場合、耐割れ性に対する良好な溶込み形状であるとした。H/Wの値が0.1未満である場合、裏ビード形状の安定性が劣化するため好ましくない。一方、H/Wの値が0.8を超えると、割れが生じやすくなるので、溶込み形状が不良となる。さらに、H/Wは、0.3以上、0.6以下であると、より良好な溶込み形状となる。
溶込み形状(H/W)は、第1電極15aが溶接してから第2電極15bが到達するまでの時間(溶接速度と極間距離)と入熱によって、第2電極15bが溶接するときの溶融池の温度が変化する点が影響する。この溶融池の温度が変化すると、第2電極15bの溶込み深さが変化するので、H/Wが変化する。
なお、図5Bに示す、電極数が3電極の場合には、表ビードを構成する溶接金属MT1は第3電極15cにより形成され、裏ビードを構成する溶接金属MT2は第1及び第2電極15a、15bにより形成される。この場合、第2電極15bと第3電極15cの極間距離を変えることが好ましい。
ただし、表ビードを構成する溶接金属MT1は第2及び第3電極15b,15cにより形成され、裏ビードを構成する溶接金属MT2は第1電極15aにより形成されてもよい。この場合、第1電極15aと第2電極15bの極間距離を変えることが好ましい。
ただし、表ビードを構成する溶接金属MT1は第2及び第3電極15b,15cにより形成され、裏ビードを構成する溶接金属MT2は第1電極15aにより形成されてもよい。この場合、第1電極15aと第2電極15bの極間距離を変えることが好ましい。
また、図5Cに示す、電極数が4電極の場合には、表ビードを構成する溶接金属MT1は第3及び第4電極15c、15dにより形成され、裏ビードを構成する溶接金属MT2は第1及び第2電極15a、15bにより形成される。このため、電極数が3電極又は4電極のいずれにおいても、溶接金属MT1,MT2の交差面CLが与えられる。また、この場合、第2電極15bと第3電極15cの極間距離を変えることが好ましい。
ただし、表ビードを構成する溶接金属MT1は第4電極15dにより形成され、裏ビードを構成する溶接金属MT2は第1、第2及び第3電極15a、15b,15cにより形成されてもよい。この場合、第3電極15cと第4電極15dの極間距離を変えることが好ましい。
或いは、表ビードを構成する溶接金属MT1は第2、第3及び第4電極15b,15c,15dにより形成され、裏ビードを構成する溶接金属MT2は第1電極15aにより形成されてもよい。この場合、第1電極15aと第2電極15bの極間距離を変えることが好ましい。
ただし、表ビードを構成する溶接金属MT1は第4電極15dにより形成され、裏ビードを構成する溶接金属MT2は第1、第2及び第3電極15a、15b,15cにより形成されてもよい。この場合、第3電極15cと第4電極15dの極間距離を変えることが好ましい。
或いは、表ビードを構成する溶接金属MT1は第2、第3及び第4電極15b,15c,15dにより形成され、裏ビードを構成する溶接金属MT2は第1電極15aにより形成されてもよい。この場合、第1電極15aと第2電極15bの極間距離を変えることが好ましい。
第1及び第2電極15a,15b間の極間距離L1の変更は、鋼板20の終端手前の任意の位置から終端29までの間で行われればよい。ただし、鋼板20の長さLaに対応して変形量が小さい位置から極間距離L1を変更させることが望ましい。例えば、極間距離L1の変更は、好ましくは、鋼板20の終端29手前150mm以上の位置、より好ましくは、鋼板20の終端29手前300mm以上の位置、さらに好ましくは、鋼板20の終端29手前500mm以上の位置、特に好ましくは、鋼板20の終端29手前1000mm以上の位置とする。
また、極間距離L1の変更は、終端側領域より手前の領域D1と終端側領域D2との間の移行領域D3で行われればよい。
即ち、鋼板20の溶接において、鋼板20の終端29手前少なくとも150mm以上の位置よりもやや始端28側である移行領域D3に第1及び第2電極15a、15bが来たときに、徐々に駆動機構17a、17bの少なくとも一方を制御しはじめ、終端側領域D2に第1及び第2電極15a、15bがきたときに、極間距離L1の変更が済んでいるものとする。この移行領域D3の長さは特に規定されるものではないが、例えば、50〜500mmである。
即ち、鋼板20の溶接において、鋼板20の終端29手前少なくとも150mm以上の位置よりもやや始端28側である移行領域D3に第1及び第2電極15a、15bが来たときに、徐々に駆動機構17a、17bの少なくとも一方を制御しはじめ、終端側領域D2に第1及び第2電極15a、15bがきたときに、極間距離L1の変更が済んでいるものとする。この移行領域D3の長さは特に規定されるものではないが、例えば、50〜500mmである。
図7Aは、移行領域D3における溶接機12の位置と、極間距離L1の変更速度VEとの関係を示すグラフであり、図7Bは、移行領域D3における溶接機12の位置と、入熱との関係を示すグラフであり、図8は、移行領域D3における溶接機12の位置と、電流・電圧との関係を示すグラフである。なお、極間距離の変更速度VEとは、電極間の極間距離の単位時間あたりの変位である。
具体的に、移行領域D3においては、極間距離L1の変更速度VEを図7Aに示すように変更することで、極間距離L1を縮小させている。即ち、極間距離L1の変更速度VEは、極間距離L1の変更開始から、該変更速度VEが最大に至るまでの区間Aでは、該変更速度VEを増加し、その後、区間Bの間、該変更速度VEを一定とし、さらに、該変更速度VEが最大の時点からに極間距離の変更終了までの区間Cで、該変更速度VEを減少する。
その際、溶接機12の走行速度、及び第1及び第2電極15a、15bの電流及び電圧が一定の場合(図8の一点鎖線参照)、極間距離L1を縮小するように変更速度VEを変更させると、極間距離L1を縮小するために移動する電極の入熱は、図7Bの一点鎖線で示すように変動する。この結果、ビード幅の変化や溶込深さの変化が発生し、溶接欠陥が生じることがある。
このため、本実施形態では、極間距離L1を縮小する移行領域D3における極間距離L1を縮小するために移動する電極の入熱の変動が、図7Bの実線で示すように、移行領域D3の開始点の入熱に対して20%以内であるように設定する。この結果、移行領域D3における入熱の変動が抑制されるので、ビード幅の変化や溶込深さの変化が抑制され、溶接欠陥率が低減して、手直し工数が削減できる。
図9Aは、極間距離L1を縮小するために移動する電極が第2電極15bである場合に、移行領域D3における第1及び第2電極15a、15bの電流・電圧・溶接機12の走行速度を一定とした際の表ビード形状を示す。この場合、移行領域D3の表ビードのビード幅が、移行前及び移行後のビード幅に比べて狭くなっていることがわかる。一方、移行領域D3において極間距離L1を縮小するために移動する第2電極15bの入熱の変動が、移行前の入熱に対して20%以内とした際には、表ビードのビード幅は、図9Bに示すように、移行前及び移行後のものとほぼ同等となり、良好な表ビード形状が得られていることがわかる。
具体的に、該極間距離L1を縮小するために移動する電極の入熱は、次式で与えられる。
ここで、q:入熱[kJ/mm]、I:電流[A]、E:電圧[V]、v0:溶接機の走行速度[mm/min.]、vE:極間距離の変更速度[mm/min]である。
例えば、第2電極15bを第1電極15aに近づけるように、駆動機構17bを駆動させて該変更速度VEを変更する場合、図8に実線で示すように、移行領域D3における第2電極15bの電流及び電圧は、入熱qの変動が一定となるように、極間距離L1の変更速度VEに応じて変更されることが好ましい。
なお、極間距離L1の変更速度VEの変更は、第1電極15aを第2電極15bに近づけるように、駆動機構17aを駆動させることでも可能である。ただし、この場合にも、溶接機12の走行速度、及び第1及び第2電極15a、15bの電流及び電圧が一定であると、極間距離L1を変更した際に、入熱が変動し、裏ビードの幅の変化や溶込深さの変化が発生してしまう。具体的には、移行領域D3の裏ビードのビード幅が、移行前の領域D1、移行後の領域D2の裏ビードのものと比べて大きくなってしまう。
しかしながら、この場合にも、極間距離L1を縮小する移行領域D3における移動する電極の入熱の変動が、移行領域D3の開始点の該入熱に対して20%以内であるように設定することで、移行領域D3における移動する電極の入熱の変動が抑制されるので、裏ビードの幅の変化や溶込深さの変化が抑制され、溶接欠陥率が低減して、手直し工数が削減できる。具体的には、移行領域D3における第1電極15aの電流及び電圧は、入熱qの変動が一定となるように、極間距離L1の変更速度VEに応じて変更されることが好ましい。
また、移行領域D3における変更速度VEの増減の仕方は、図7Aに示すものに限定されない。例えば、図10Aに示すように、増加区間Aにおいては、極間距離L1の変更開始点から、徐々に傾きを大きくしつつ、その後、一定の傾きで変更速度VEを増加し、該変更速度VEが最大に至る付近では、徐々に傾きを小さくするようにしてもよい。同様に、減少区間Cにおいては、変更速度VEが最大の時点から、徐々に傾きを大きくしつつ、一定の傾きで変更速度VEを減少し、極間距離L1の変更終了付近では、徐々に傾きを小さくするようにしてもよい。
或いは、図10Bに示すように、増加区間A又は減少区間Cにおいて、多段的に変更速度を増加又は減速するようにしてもよい。
或いは、図10Bに示すように、増加区間A又は減少区間Cにおいて、多段的に変更速度を増加又は減速するようにしてもよい。
なお、極間距離L1の変更は、溶接機12が、第1電極と第2電極の2本の電極を持つ場合、第1電極と第2電極との極間距離L1を250mm以下の範囲で変更する。
又、溶接機12が、第1電極と第2電極と第3電極の3本の電極を持つ場合、第1電極と第2電極との極間距離L1を250mm以下の範囲で変更し、第2電極と第3電極との極間距離L2を250mm以下の範囲で変更すると好ましい。
更に、溶接機12が、第1電極と第2電極と第3電極と第4電極の4本の電極を持つ場合、第1電極と第2電極との極間距離L1を250mm以下の範囲で変更し、第2電極と第3電極との極間距離L2を250mm以下の範囲で変更し、第3電極と第4電極との極間距離L3を250mm以下の範囲で変更すると好ましい。
また、いずれの場合の各極間距離の変更も、5mm以上250mm以下の範囲で変更することがより好ましい。
又、溶接機12が、第1電極と第2電極と第3電極の3本の電極を持つ場合、第1電極と第2電極との極間距離L1を250mm以下の範囲で変更し、第2電極と第3電極との極間距離L2を250mm以下の範囲で変更すると好ましい。
更に、溶接機12が、第1電極と第2電極と第3電極と第4電極の4本の電極を持つ場合、第1電極と第2電極との極間距離L1を250mm以下の範囲で変更し、第2電極と第3電極との極間距離L2を250mm以下の範囲で変更し、第3電極と第4電極との極間距離L3を250mm以下の範囲で変更すると好ましい。
また、いずれの場合の各極間距離の変更も、5mm以上250mm以下の範囲で変更することがより好ましい。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態の片面サブマージアーク溶接方法について説明する。なお、本実施形態において使用される溶接装置10は、第1実施形態のものと同様である。
次に、第2実施形態の片面サブマージアーク溶接方法について説明する。なお、本実施形態において使用される溶接装置10は、第1実施形態のものと同様である。
本実施形態の片面サブマージアーク溶接方法では、鋼板20の始端28から終端29まで一定の溶接速度とした第1実施形態と異なり、鋼板20の終端手前150mm以上の位置から終端29までの溶接を、本溶接の溶接速度(以下、適宜、本溶接速度という)に対して75%以下の溶接速度(以下、適宜、減速溶接速度という)で行う。
また、その際、本溶接の総入熱をQ(kJ/mm)、75%以下の溶接速度での溶接の総入熱をQ’(kJ/mm)としたとき、「Q’/Q=0.60〜1.30」としている。
また、その際、本溶接の総入熱をQ(kJ/mm)、75%以下の溶接速度での溶接の総入熱をQ’(kJ/mm)としたとき、「Q’/Q=0.60〜1.30」としている。
終端側領域D2における減速溶接速度が、本溶接速度に対して75%以下とすることで、終端側領域D2では、ひずみ速度を低下することができ、割れの駆動力を低下することができ、場合によっては、鋼板20の外側から内側に向けて回転変形が生じる収縮変形となる。なお、減速溶接速度は、好ましくは本溶接速度に対して60%以下、より好ましくは、50%以下である。なお、減速溶接速度が、本溶接速度に対して40%以上であれば、溶接能率を著しく阻害することはない。また、減速溶接速度が、本溶接速度に対して40%以上であれば、健全な溶接金属を確保するための電流値が高くなり、アークを持続するのが困難とならずビード外観が良好となる。
また、鋼板20の溶接において、溶接速度を変化させた場合、過剰な入熱となり低速による割れ防止の効果と溶接品質の確保が困難となる。つまり、減速溶接速度での溶接の総入熱が本溶接速度での総入熱に対して1.30倍を超えると、割れ防止効果が認められず、溶接品質についても裏ビードの余盛が過剰となり、健全な溶接金属にはならない。一方、減速溶接速度での溶接の総入熱が本溶接速度での総入熱に対して0.60倍未満では、割れ防止効果は認められるものの、アークを持続することが困難となり、表および裏ビード共に健全な溶接金属を得ることができない。したがって、本溶接の総入熱をQ(kJ/mm)、75%以下の溶接速度での溶接の総入熱をQ’(kJ/mm)としたとき、「Q’/Q=0.60〜1.30」としている。
なお、健全な溶接金属をより得やすくする観点から、Q’/Qの値は、好ましくは、0.70以上、より好ましくは、0.80以上とする。また、終端側領域D2の割れ防止効果および、健全な溶接金属をより得やすくする観点から、Q’/Qの値は、好ましくは、1.20以下とする。
なお、総入熱Qは、下記計算式で算出することができる。
なお、総入熱Qは、下記計算式で算出することができる。
前記式において、Qは総入熱(kJ/mm)、Eiは電圧(V)、Iiは電流(A)、viは溶接速度(mm/min)、i=1,2,3,・・・n、iは各電極を示す。また、前記式については、Q’についても同様である。また、ここでの総入熱とは、各電極15a、15b、・・・の入熱の合計を意味する。また、総入熱は上記計算式で算出した値でもよいが、実測値(計測値)であってもよい。
なお、本実施形態においても、溶接速度の変更範囲は、継手終端部での変形量の観点から、鋼板20の終端手前300mm以上の位置から終端29までの終端側領域D2とすることが好ましい。また、本溶接速度から減速溶接速度への移行領域D3も、50〜500mmの範囲で適宜設定されればよい。
さらに、極間距離の変更と溶接速度の変更は、同時に行われてもよいし、上記範囲内であれば、別々に行われてもよい。したがって、極間距離の変更は、鋼板20の終端手前の任意の位置から終端29までの間で行われればよい。
さらに、極間距離の変更と溶接速度の変更は、同時に行われてもよいし、上記範囲内であれば、別々に行われてもよい。したがって、極間距離の変更は、鋼板20の終端手前の任意の位置から終端29までの間で行われればよい。
このように、溶接速度(筐体12aの移動速度)を低速化することで、鋼板20のひずみ速度が低下するために、割れの駆動力を低下することができるが、同時に耐割れ性の悪い溶込み形状を招く場合がある。これに対し、本実施形態のように、極間距離を変更することで、鋼板20のひずみ速度を低下させつつ、耐割れ性の良い溶込み形状(H/W)を確保し、割れ防止を図ることができる。
例えば、入熱一定で、溶接速度を下げた時には、溶接金属MT1(図8参照)を形成する電極が溶接する時点での溶融池の温度が低いため、該電極の溶込みは浅くなり、H/Wが大きくなって耐割れ性が劣化する。その際に極間距離を縮めると、溶接金属MT1を形成する電極が溶接する時点での溶融池の温度が高いため、該電極の溶込みは深くなり、H/Wの耐割れ性が良好な範囲を保つことができる。
例えば、入熱一定で、溶接速度を下げた時には、溶接金属MT1(図8参照)を形成する電極が溶接する時点での溶融池の温度が低いため、該電極の溶込みは浅くなり、H/Wが大きくなって耐割れ性が劣化する。その際に極間距離を縮めると、溶接金属MT1を形成する電極が溶接する時点での溶融池の温度が高いため、該電極の溶込みは深くなり、H/Wの耐割れ性が良好な範囲を保つことができる。
特に、溶接効率の観点から溶接速度の低下は小さい方が好ましく、極間距離の変更と併せて溶接速度の変更を行う事で、例えば、減速溶接速度を、本溶接速度に対して70%より高くしつつ、割れ防止を図ることができる。
その他の構成及び作用については、第1実施形態のものと同様である。
その他の構成及び作用については、第1実施形態のものと同様である。
尚、本発明は、前述した実施形態及び実施例に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。
上記各実施形態では、鋼板20の始端28及び終端29にタブ板30を取り付けるものとして説明したが、本発明は、タブ板30を用いずに、サブマージアーク溶接方法を行うものであってよい。また、タブ板を用いる場合は、鋼板の板厚をt1、タブ板の板厚をt2とすると、鋼板とタブ板の板厚の関係が、t2≧t1であり、2枚の鋼板の板幅B1は、B1≧300mmであり、2枚のタブ板の板幅B2は、B2≧10×t1、且つ100mm≦B2≦2000mmであり、2枚の鋼板及び前記2枚のタブ板をそれぞれ突き合わせて形成される鋼板の開先及びタブ板の開先を、同じ開先形状とし、鋼板の開先及びタブ板の開先を、少なくとも鋼板の終端側からタブ板の一端部側に亘って仮付溶接する構成としても良い。
上記各実施形態では、鋼板20の始端28及び終端29にタブ板30を取り付けるものとして説明したが、本発明は、タブ板30を用いずに、サブマージアーク溶接方法を行うものであってよい。また、タブ板を用いる場合は、鋼板の板厚をt1、タブ板の板厚をt2とすると、鋼板とタブ板の板厚の関係が、t2≧t1であり、2枚の鋼板の板幅B1は、B1≧300mmであり、2枚のタブ板の板幅B2は、B2≧10×t1、且つ100mm≦B2≦2000mmであり、2枚の鋼板及び前記2枚のタブ板をそれぞれ突き合わせて形成される鋼板の開先及びタブ板の開先を、同じ開先形状とし、鋼板の開先及びタブ板の開先を、少なくとも鋼板の終端側からタブ板の一端部側に亘って仮付溶接する構成としても良い。
以下に、本発明に係る実施例について説明する。本実施例では、サブマージアーク溶接において、終端部領域で所定の電極間距離が縮むように所定の電極を移動させるとともに、移動させる電極の入熱が所定の変動となるようにしている。サブマージアーク溶接の電極数、本溶接条件、極間距離の変更方法(移動させる電極)、動かす電極の入熱(移行前、移行領域)を表1に示す。また、試験結果として、試験体の表ビード形状、裏ビード形状の評価結果、及び高温割れの評価結果を表1に示す。
なお、試験に使われる2枚の鋼板は溶接構造用圧延鋼材SM400Bであり、そのサイズは厚さ20mm、幅750mm、長さ1200mm、ワイヤはJIS Z 3351 YS−S6のソリッドワイヤ、フラックスはJIS Z 3352 SACl1のボンドフラックスである。
表ビードの形状および裏ビードの形状は、移行領域において表面および裏面のビード形状を観察し、ビード幅の変動が移行前と変わらないものを良好、移行領域でビード幅が低下又は増加したものを不良とし、表1に示している。
高温割れは、溶接完了後、鋼板の終端から手前400mmの範囲で、X線透過試験(JISZ3104)にて内部割れの有無を確認し、割れの有り、無しを表1に示している。
高温割れは、溶接完了後、鋼板の終端から手前400mmの範囲で、X線透過試験(JISZ3104)にて内部割れの有無を確認し、割れの有り、無しを表1に示している。
さらに、電極数が2電極の場合、表ビードを構成する溶接金属は、第2電極により形成され、裏ビードを構成する溶接金属は、第1電極により形成される。電極数が3電極の場合、表ビードを構成する溶接金属は、第3電極により形成され、裏ビードを構成する溶接金属は、第1電極と第2電極により形成される。電極数が4電極の場合、表ビードを構成する溶接金属は、第3電極と第4電極により形成され、裏ビードを構成する溶接金属は、第1電極と第2電極により形成される。
表1において、No.1〜No.21は実施例で、No.22〜No.30は比較例である。即ち、No.28〜No.30では、始端から終端まで同じ溶接条件でサブマージアーク溶接を行っており、継手終端部において高温割れが確認される。また、No.22〜No.27では、継手終端部において、極間距離を縮小するように電極を移動させるため、継手終端部における高温割れは防止されている。しかしながら、No.22〜No.27では、移行領域における極間距離を縮小するために移動する電極の入熱の変動が、移行前の該電極の入熱に対して20%を越えているため、移行領域での表ビード又は裏ビードのビード幅が変化している。
一方、No.1〜No.21では、継手終端部において、極間距離を縮小するように電極を移動させると共に、移行領域における極間距離を縮小するために移動する電極の入熱の変動が、移行前の該電極の入熱に対して20%以内であるので、高温割れが防止されると共に、移行領域での表ビード形状及び裏ビード形状がいずれも良好であり、本発明の効果が確認されている。
10 片面サブマージアーク溶接装置
11 架台フレーム
12 溶接機(溶接ユニット)
12a 筐体
13 溶接機ビーム
15a 第1電極
15b 第2電極
15c 第3電極
15d 第4電極
16a 第1トーチ
16b 第2トーチ
17a 第1駆動機構(スライダー)
17b 第2駆動機構(スライダー)
18 制御部
20 鋼板
22 接合面
28 始端
29 終端
30 タブ板
11 架台フレーム
12 溶接機(溶接ユニット)
12a 筐体
13 溶接機ビーム
15a 第1電極
15b 第2電極
15c 第3電極
15d 第4電極
16a 第1トーチ
16b 第2トーチ
17a 第1駆動機構(スライダー)
17b 第2駆動機構(スライダー)
18 制御部
20 鋼板
22 接合面
28 始端
29 終端
30 タブ板
Claims (3)
- 複数の電極を用いた一方の面側からのサブマージアーク溶接により突き合わされた2枚の鋼板を接合する片面サブマージアーク溶接方法であって、
前記サブマージアーク溶接中、前記鋼板の終端側領域における、隣り合う前記電極間の極間距離の少なくとも一つを、前記終端側領域より手前の領域における前記極間距離よりも縮小し、
前記極間距離を縮小する移行領域における該極間距離を縮小するために移動する前記電極の入熱の変動が、前記移行領域の開始点の前記入熱に対して20%以内である片面サブマージアーク溶接方法。 - 前記移行領域の電流及び電圧は、前記移動する電極の入熱の変動が一定となるように、前記極間距離の変更速度に応じて変更される請求項1に記載の片面サブマージアーク溶接方法。
- 一方の面側からのサブマージアーク溶接により突き合わされる2枚の鋼板を接合する片面サブマージアーク溶接装置であって、
複数の電極と、該複数の電極に対して電力を供給する複数の電源と、を備え、該複数の電極により前記各鋼板の始端から終端まで溶接するように、所定の方向に移動可能な溶接ユニットと、
前記溶接ユニット内に配置され、前記溶接ユニットに対して、前記複数の電極のうち少なくとも一つを進退方向に移動可能な駆動機構と、
前記サブマージアーク溶接中、前記鋼板の終端側領域における、隣り合う前記電極間の極間距離の少なくとも一つを、前記終端側領域より手前の領域における前記極間距離よりも縮小するよう前記駆動機構を制御する制御部と、を有し、
前記極間距離を縮小する移行領域における該極間距離を縮小するために移動する前記電極の入熱の変動が、前記移行領域の開始点の前記入熱に対して20%以内である片面サブマージアーク溶接装置。
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