JP2019130460A - ハニカム構造体 - Google Patents

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Abstract

【課題】隣接するセル間の過度な剛性差による応力集中を抑制することで構造体強度を向上可能なハニカム構造体を提供する。【解決手段】ハニカム構造体1は、ベース領域11と外周強化領域12とを有する。外周強化領域12は、外周壁4に接する起点セル21から少なくとも4セル目以上のセル2まで、セル壁3がベース領域11のセル壁3よりも厚化されている、及び/又は、補強部31の寸法がベース領域11における補強部31の寸法よりも拡大されている。ハニカム構造体1は、セル壁3の有効細長比をλとした時、起点セル21から4セル目以降に存在する各セル2におけるセル壁3の有効細長比の比λi+1/λiが0.86以上1未満である。λiは、起点セル21からiセル目のセル2のセル壁3の有効細長比、λi+1は、(i+1)セル目のセル21のセル壁3の有効細長比、iは、4〜外周強化領域12の強化最終のセル2のセル目数である。【選択図】図6

Description

本発明は、ハニカム構造体に関し、さらに詳しくは、断面六角形状のセルを有するハニカム構造体に関する。
従来、自動車等の車両分野では、内燃機関から排出される排ガスを浄化するため、排ガス浄化装置が使用されている。排ガス浄化装置は、排気管に収容されたセラミックス製のハニカム構造体と、ハニカム構造体に保持させた触媒成分とを有している。ハニカム構造体は、通常、互いに隣接する複数のセルと、複数のセルを形成する複数のセル壁と、複数のセル壁の外周に設けられてセル壁を保持する外周壁と、を有している。触媒成分は、セル壁表面に保持されている。
先行する特許文献1には、断面四角形状の複数のセルを有し、最外周セルを起点セルとしてそこから5〜20番目の範囲内のいずれかの終点セルまでのセル隔壁厚さTと、基本セル隔壁厚さTcとの比T/Tcが、1.1以上3.0以下であるハニカム構造体が開示されている。同文献には、上記構成を採用することにより、成形不良によるアイソスタティック強度の低下を抑制できる点が記載されている。
特許第4473505号公報
近年、排気規制や燃費規制の厳格化により、排ガス浄化装置には、早期暖気および低圧力損失が求められている。それに伴い、ハニカム構造体では、セル壁の壁厚が年々薄化されてきている。しかし、壁厚の薄肉化は、ハニカム構造体の構造体強度を低下させる。そのため、触媒成分を保持させたハニカム構造体を排気管に収容するキャニング工程において、径方向から負荷される圧縮応力により、ハニカム構造体が破壊しやすい。特に、断面四角形状のセルを有するハニカム構造体に比べ、排ガスの浄化性能が高く、低圧力損失である断面六角形状のセルを有するハニカム構造体は、構造体強度が低いため、キャニング時の応力集中によって破壊しやすい。
キャニング時の破壊を抑制する手法としては、上述したように、ハニカム構造体の外周部からハニカム中心軸方向に数セル目までの領域にわたってセル壁の壁厚を厚化し、構造体強度を向上させる方法がある。特許文献1は、成形時のセル歪を抑制することで構造体強度の向上を図ろうとするものであり、1.1≦T/Tc≦3.0という所定の関係を満たすことを要件とする。しかしながら、上記要件を満たしている場合でも、構造体強度が低下する場合があることが分かってきた。これは、外周強化領域におけるセル壁の壁厚をむやみに厚化すると、隣接するセル間で剛性差が大きくなり、当該セル間の剛性差に起因する大きな歪が誘発され、かえって応力集中が発生しやすくなるためである。
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、隣接するセル間の過度な剛性差による応力集中を抑制することによって構造体強度を向上可能なハニカム構造体を提供しようとするものである。
本発明の一態様は、互いに隣接する断面六角形状の複数のセル(2)と、複数の上記セルを形成する複数のセル壁(3)と、複数の上記セル壁の外周に設けられて上記セル壁を保持する外周壁(4)と、を有するハニカム構造体(1)であって、
ハニカム中心軸(10)がセル中心を通る中心セル(20)を有するベース領域(11)と、
上記ベース領域の外周に配置された領域であって、上記外周壁に接する起点セル(21)から上記ハニカム中心軸方向に少なくとも4セル目以上の上記セルまで、上記セル壁が上記ベース領域の上記セル壁よりも厚化されている、および/または、上記セル壁同士が接続するセル頂点部(30)に形成された補強部(31)の寸法が上記ベース領域における補強部(31)の寸法よりも拡大されている外周強化領域(12)と、を有しており、
上記セル壁の有効細長比λが以下の式1で定義されるとき、
上記起点セルから上記ハニカム中心軸方向へ4セル目以降に存在する各上記セルにおける上記セル壁の有効細長比の比λi+1/λが0.86以上1未満とされている、ハニカム構造体(1)にある。
式1中、p:セルピッチ、w:上記ハニカム中心軸方向に沿う上記セル壁の長さ、t:上記セル壁の壁厚、r:ハニカム外周側の上記補強部の寸法、r:ハニカム中心側の上記補強部の寸法
上記λ:上記起点セルから上記ハニカム中心軸方向へiセル目の上記セルにおける上記セル壁の有効細長比
上記λi+1:上記起点セルから上記ハニカム中心軸方向へ(i+1)セル目の上記セルにおける上記セル壁の有効細長比
上記i:4〜上記外周強化領域における最終の上記セルのセル目数
断面六角形状の複数のセルを有するハニカム構造体では、外周壁に接する起点セルからハニカム中心軸方向へ4セル目以降のセルにおけるセル壁を過度に強化すると、隣接するセル間で剛性差が大きくなり、応力集中が発生しやすくなる。キャニング時の極端な応力集中は、主に外周壁から3セル目までで起き、外周壁から4セル目以降では、わずかに応力集中が起きる程度である。そのため、外周壁から4セル目以降に存在する各セルを強化(セル壁の厚化やセル頂点部への補強部の形成など)し過ぎると、当該強化による応力低減効果以上に隣接するセル間の剛性差によって構造体強度が低下してしまう。
これに対し、上記ハニカム構造体は、上記構成を有しており、外周壁に接する起点セルからハニカム中心軸方向へ4セル目以降に存在する各セルにおけるセル壁の有効細長比の比λi+1/λが0.86以上1未満とされている。つまり、上記ハニカム構造体は、隣接するセルの壁厚の比ではなく、隣接するセルの座屈強さを左右するセル壁の有効細長比の比λi+1/λが特定の範囲内とされている。そのため、上記ハニカム構造体では、隣接するセル間の過度な剛性差による応力集中が抑制され、その結果、構造体強度を向上させることができる。
なお、特許請求の範囲及び課題を解決する手段に記載した括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものであり、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
実施形態1のハニカム構造体のハニカム中心軸に垂直な断面構造を簡素化して示した説明図である。 ベース領域におけるセル構造の一例であり、(a)はセル頂点部に補強部が形成されている例、(b)はセル頂点部に補強部が形成されていない例である。 外周強化領域におけるセル構造の一例であり、(a)はセル頂点部に補強部が形成されている例、(b)は(a)中の破線で囲まれた部分の立体的な形状を模式的に示した例である。 外周強化領域におけるセル構造の他の一例である。 外周強化領域における強化セル数の数え方を説明するための説明図である。 セル壁の有効細長比の比を説明するための説明図である。 セル壁の厚化によって強化された外周強化領域を有しており、λi+1/λが0.86以上1未満とされているハニカム構造体の一例である。 実施形態2のハニカム構造体における外周強化領域を模式的に示した説明図である。 実験例1における、λi+1/λとアイソスタティック強度比との関係を示したグラフである。 実験例1における、起点セルからのセル目数と発生応力との関係を示したグラフである。 実験例1における、λi+1/λと、起点セルから4セル目のセルと5セル目のセルとに発生する応力の差との関係を示したグラフである。 実験例2における、圧力損失の評価方法を説明するための説明図である。 実験例3における、外周強化領域の強化セル数とアイソスタティック強度との関係を示したグラフである。 実験例3における、外周強化領域の強化セル数と圧力損失との関係を示したグラフである。
(実施形態1)
実施形態1のハニカム構造体について、図1〜図7を用いて説明する。図1〜図7に例示されるように、本実施形態のハニカム構造体1は、セラミックス製(例えば、コージェライト等)であり、互いに隣接する断面六角形状の複数のセル2と、複数のセル2を形成する複数のセル壁3と、複数のセル壁3の外周に設けられてセル壁3を保持する外周壁4と、を有している。なお、図1において、セル壁3は、便宜上、線によって表されており、セル壁3の厚み等は省略されている。
本実施形態において、セル2は、ハニカム構造体1の中心を通る軸であるハニカム中心軸10に沿って延びる貫通孔より構成されている。セル2は、浄化すべき排ガスが流される流路とされる部位である。なお、上記の断面六角形状にいう断面とは、ハニカム中心軸10に垂直な断面を意味する。また、上記の断面六角形状にいう六角形状とは、必ずしも正六角形に限られず、正六角形以外にも、角部が丸みを帯びている六角形や製造上意図せず歪んだ六角形等も含む意味である。複数のセル壁3は、互いに隣接するセル壁3と接続されて一体化されている。セル壁3のセル2側の壁面には、ハニカム構造体1の使用時に触媒成分が担持される。外周壁4は、ハニカム中心軸10に垂直な断面視で円形状の形状を呈している。外周壁4の内側面には、外周壁4の内側面寄りに配置された複数のセル壁3が接続されている。これにより、複数のセル壁3は、外周壁4にて一体に保持されている。
ハニカム構造体1は、図1に例示されるように、ハニカム中心軸10に垂直な断面視で、ベース領域11と、外周強化領域12と、を有している。
ベース領域11は、ハニカム中心軸10がセル中心を通る中心セル20を有する領域である。ベース領域11は、基本的には、外周強化領域12に比べ、壁厚が厚化されていないセル壁3を複数含んで構成されている。本実施形態では、ベース領域11は、具体的には、当該ベース領域11内に含まれるセル壁3が、同等の壁厚とされている。より具体的には、中心セル20と、中心セル20を取り囲む6つのセル2と、を構成する各セル壁3の壁厚の平均値をtaveとしたとき、ベース領域11に含まれるセル壁3の壁厚は、0.97×tave〜1.03×taveの範囲内とすることができる。ベース領域11に含まれるセル壁3の壁厚が上記範囲内にあるとき、taveに対して誤差の範囲であるといえるので同等の壁厚であるということができる。なお、上記平均値taveが、ベース領域11のセル壁3の壁厚とされる。
ベース領域11は、図2(a)に例示されるように、セル壁3同士が接続するセル頂点部30に補強部31が形成されていてもよいし、図2(b)に例示されるように、セル頂点部30に補強部31が形成されていなくてもよい。また、ベース領域11が補強部31を有する場合、全てのセル頂点部30に補強部31が形成されていてもよいし、一部に補強部31が形成されていない部分があってもよい。なお、補強部31は、セル壁3同士が接続するセル頂点部30が厚肉化された部分である。つまり、セル頂点部30において、各セル壁3の平坦面部分を延長した延長線300よりもセル2側へはみ出した部分が補強部31とされる。補強部31は、具体的には、応力集中の低減等の観点から、角R面部を有する構成とすることができる。なお、角R面部は、セル頂点部30側に凸となる曲面部を表面に有する構成とすることができる。本実施形態は、ベース領域11の各セル頂点部30に、角R面部より構成される補強部31が形成されている例である。ベース領域11における補強部31の寸法は、次のようにして算出することができる。中心セル20と、中心セル20を取り囲む6つのセル2と、を構成する各セル頂点部30について、各セル頂点部30に形成された各補強部31(セル2外側、セル2内側のいずれも含む)の寸法を求める。なお、各補強部31の寸法は、図2(a)で示されるように、角R面部に接する内接円を描いたときの内接円の半径rとされる。得られた各寸法値の平均値raveが、ベース領域11における補強部31の寸法とされる。本実施形態では、ベース領域11は、具体的には、当該ベース領域11に含まれる補強部31が、同等の寸法とされている。より具体的には、ベース領域11に含まれる補強部31の寸法は、0.97×rave〜1.03×raveの範囲内とすることができる。ベース領域11に含まれる補強部31の寸法が上記範囲内にあるとき、raveに対して誤差の範囲であるといえるので同等の寸法であるということができる。
外周強化領域12は、ベース領域11の外周に配置された領域である。外周強化領域12は、具体的には、ベース領域11と一体的に繋がっている。外周強化領域12は、図3(a)および図4に例示されるように、セル壁3同士が接続するセル頂点部30に補強部31が形成されていてもよいし、図示はしないが、ベース領域11の説明で用いた図2(b)と同様に、セル頂点部30に補強部31が形成されていなくてもよい。外周強化領域12における補強部31の寸法は、図3(a)および図4で示されるように、角R面部に接する内接円を描いたときの内接円の半径rとされる。その他については、基本的には、上述のベース領域11の補強部31についての説明と同様である。
外周強化領域12は、外周壁4に接する起点セル21からハニカム中心軸10方向に少なくとも4セル目以上のセル2まで、セル壁3がベース領域11のセル壁3よりも厚化されている、および/または、セル壁3同士が接続するセル頂点部30に形成された補強部31の寸法がベース領域11における補強部31の寸法よりも拡大されている。つまり、外周強化領域12は、セル壁3の厚化によって強化された領域より構成されていてもよいし、補強部31の寸法拡大によって強化された領域より構成されていてもよいし、セル壁3の厚化および補強部31の寸法拡大の両方によって強化された領域より構成されていてもよい。以下、これら外周強化領域12のセル強化について説明する。
図1には、中心セル20のセル中心と中心セル20の各セル頂点部30とを通る6本の破線L、L60、L120、L180、L240、L300が示されている。また、中心セル20のセル中心と中心セル20の各セル壁3の中点とを通る6本の破線L30、L90、L150、L210、L270、L330が示されている。中心セル20のセル中心と、あるセル頂点部30とを通る1本の破線(図1では、12時の位置にある破線L)の方向を0度方向としたとき、そこから時計回りに30度、60度、90度、120度、150度、180度、210度、240度、270度、300度、330度の位置にある各破線L30、L60、L90、L120、L150、L180、L210、L240、L270、L300、L330の方向を、それぞれ、30度方向、60度方向、90度方向、120度方向、150度方向、180度方向、210度方向、240度方向、270度方向、300度方向、330度方向とする。
ここで、ハニカム中心軸10を通り、かつ、セル壁3に直交する直線を仮想直線Lとすする。仮想直線Lは、ハニカム中心軸10を通るハニカム径方向の直線である。図1において、30度×n(但し、n=1、3、5、7、9、11)の6方向にある各破線L30、L90、L150、L210、L270、L330は、ハニカム中心軸10を通り、かつ、セル壁3に直交しているため、仮想直線Lとされる。
ハニカム構造体1において、外周強化領域12が、外周壁4からハニカム中心軸10方向に何セル目のセルまでの領域より構成されているか、つまり、外周強化領域12における強化セル数は、以下のようにして、判断される。
図5に例示されるように、30度×n(但し、n=1、3、5、7、9、11)の方向にある仮想直線L上に沿って並ぶ複数のセル2のうち、外周壁4に接するセル2を起点セル21(1セル目のセル2)とする。なお、外周壁4に接するセル2は、通常、断面六角形状となっていないが、このような不完全なものもセル2として数えられる。30度×n(但し、n=1、3、5、7、9、11)の各方向において、仮想直線Lに沿って並ぶ複数のセル2を、起点セル21からハニカム中心軸10方向に向かって順に数えていく。
セル壁3の厚化によって外周強化領域12が強化される場合、図5に例示されるように、外周壁4に接する起点セル21から(m+1)セル目で、ベース領域11のセル壁3の壁厚と同等の壁厚のセル壁3を有するセル2が現れる。この(m+1)セル目のセル2と一つ前のmセル目のセル2との境界をなすセル壁3を外内境界壁302とする。そして、この外内境界壁302を壁厚方向で二等分する二等分線Tに接する仮想円Cを描く。仮想円Cは、中心セル20のセル中心(ハニカム中心軸10)と中心が一致する同心円である。この仮想円Cから外周壁4までにあるセル壁3の壁厚が、ベース領域11のセル壁3の壁厚よりも壁厚が厚く強化されているとき、外周強化領域12は、外周壁4に接する起点セル21からハニカム中心軸10方向にmセル目のセルまで、セル壁3がベース領域11のセル壁3よりも厚化されているということになる。つまり、この場合、外周強化領域12の強化セル数は、mセルということになる。また、仮想円Cは、ベース領域11と外周強化領域12との境界円となっている。なお、mは、4以上、外周強化領域12の最終強化セルのセル目数以下の自然数である。ハニカム構造体1において、仮想円C上のセル壁3、ベース領域11の外周縁に位置するセル壁3の一部は、ベース領域11のセル壁3より厚化されていてもよい。また、外周強化領域12におけるセル壁3の壁厚は、起点セル21から強化終点のセル2となるmセル目のセル2まで、外周強化領域12のハニカム周方向も含めて、ベース領域11のセル壁3より厚化されることができる。本実施形態では、例えば、外周強化領域12におけるセル壁3の壁厚は、いずれも同等とすることができる。なお、外周強化領域12において、各セル壁3の壁厚の平均値の0.97倍から1.03倍の範囲内にあるセル壁3は、上記平均値に対して誤差の範囲であるといえるので同等の壁厚であるということができる。
一方、補強部31の寸法拡大によって外周強化領域12が強化される場合、図示はしないが、上記とほぼ同様に、外周壁4に接する起点セル21から(m+1)セル目で、ベース領域11の補強部31の寸法と同等の寸法の補強部31を有するセル2が現れる。そして、上記と同様にして仮想円Cを描く。この仮想円Cから外周壁4までにあるセル頂点部30に形成された補強部31の寸法が、ベース領域11における補強部31の寸法よりも大きいとき、外周強化領域12は、外周壁4に接する起点セル21からハニカム中心軸10方向にmセル目のセルまで、補強部31の寸法がベース領域11における補強部31の寸法より拡大されているということになる。つまり、この場合も、外周強化領域12の強化セル数は、mセルということになる。なお、仮想円C上のセル頂点部30に形成された補強部31、ベース領域11の外周縁に位置するセル頂点部30に形成された補強部31の一部の寸法は、ベース領域11における補強部31の寸法より拡大されていてもよい。また、外周強化領域12における補強部31の寸法は、起点セル21から強化終点のセル2となるmセル目のセル2まで、外周強化領域12のハニカム周方向も含めて、ベース領域11における補強部31の寸法より拡大されることができる。本実施形態では、例えば、外周強化領域12における補強部31の寸法は、いずれも同等とすることができる。なお、外周強化領域12において、各補強部31の寸法の平均値の0.97倍から1.03倍の範囲内にある補強部31は、上記平均値に対して誤差の範囲であるといえるので同等の寸法であるということができる。
ハニカム構造体1は、外周強化領域12における補強部31の寸法が、ベース領域11における補強部31の寸法よりも大きい構成とされることによって強化されていることが好ましい。この構成によれば、外周強化領域12のセル壁3を厚化させることなく、セル2の座屈強度を高めることができる。また、この構成によれば、外周強化領域12のセル2のセル壁3を厚化させないため、ハニカム構造体1の成形時に成形速度差が発生し難くなり、成形時の欠陥発生率の低減を図りやすくなる。そのため、この構成によれば、ハニカム構造体1の構造体強度を効果的に向上させやすくなる。また、ハニカム構造体1は、外周強化領域12における補強部31の寸法が、ベース領域11における補強部31の寸法よりも大きく、かつ、補強部31が角R面部を有していることが好ましい。この構成によれば、上記効果以外にも、外周強化領域12の補強部31についても応力集中が発生し難くなることから、ハニカム構造体1の構造体強度を効果的に向上させやすくなる。
ハニカム構造体1において、外周強化領域12の強化セル数が4セル以上とされるのは、キャニング時の極端な応力集中が、主に、外周壁4から3セル目までで起きるためである。図7は、外周壁4に接する起点セル21から4セル目のセル2までについて、セル壁3の壁厚を、ベース領域11のセル壁3の壁厚よりも厚化したハニカム構造体1の一例である。また、図7では、外周強化領域12におけるセル壁3の壁厚が、起点セル21から4セル目のセル2まででいずれも同等とされている例が示されている。なお、図示はしないが、もちろん、図7において、外周壁4に接する起点セル21から4セル目のセル2までについて、補強部31の寸法を、ベース領域11における補強部31の寸法よりも拡大することもできる。また、この場合、外周強化領域12における補強部31の寸法は、起点セル21から4セル目のセル2まででいずれも同等とすることができる。
ハニカム構造体1において、外周強化領域12は、外周壁4からハニカム中心軸10方向に多くとも20セル目以内にあるいずれかのセル2までの領域より構成されていることが好ましい。外周強化領域12を、外周壁4からハニカム中心軸10方向に20セル目を超えるところにあるセル2までの領域より構成しても、ハニカム構造体1の大きな強度向上は望めない。また、ハニカム構造体1のセル数は、外周部ほど多くなる。そのため、外周部のセル壁3が厚化されると、ハニカム構造体1の圧力損失が増加する。特に、外周強化領域12の強化セル数が20セルを超えると、ハニカム構造体1の圧力損失が急激に大きくなりやすい。そのため、上記構成とすることにより、構造体強度の向上だけでなく、圧力損失の増加抑制にも有利なハニカム構造体1が得られる。
外周強化領域12は、上記効果を確実なものとするなどの観点から、より好ましくは、外周壁4からハニカム中心軸10方向に多くとも18セル目以内にあるいずれかのセル2までの領域より構成することができる。
なお、ハニカム構造体1におけるセル密度は、例えば、46.5セル/cm〜155セル/cm(300cpsi〜1000cpsi)などとすることができる。
ここで、断面六角形状のセルを有するハニカム構造体1において、セル壁3の有効細長比λは、次のようにして定義される。なお、セル壁3の有効細長比λは、セル2の座屈強さと関係があるパラメータである。図3(b)に示されるように、あるセル2のセル壁3を考える。なお、図3(b)において、セル壁3の点線で囲まれる部分は、柱状の形状を呈しており、補強部31を含んでいない。また、図3(b)に示した符合Sは、角R面部の始点を示したものである。セル壁3の有効細長比λは、以下の式2より算出される。
λ=L/R・・・(式2)
式2中、Lは、セル壁3の有効座屈長さである。Rは、セル壁3の断面二次半径である。
次いで、式2における右辺は、次のように変形することができる。
L/R=2×l/√(I/A)・・・(式3)
式3中、Iは、セル壁3の断面二次モーメントである。Aは、セル壁3の柱断面積である。lは、図3(b)に示されるセル壁3の柱長さである。
次いで、式3における右辺は、さらに、次のように変形することができる。
式4中、pは、図3(a)に示されるセルピッチである。wは、図3(b)に示される、ハニカム中心軸10方向に沿うセル壁3の長さである。tは、図3(b)に示されるセル壁3の壁厚である。図3(a)(b)に示されるように、rは、セル壁3についてみたときに、ハニカム外周側の補強部31の寸法であり、rは、ハニカム中心側(ハニカム中心軸10側)の補強部31の寸法である。また、ハニカム外周側に補強部31がない場合には、rは0となる。同様に、ハニカム中心側に補強部31がない場合には、rは0となる。なお、図3(a)では、30度方向におけるセル2を用いて説明したが、例えば、0度方向のセル2では、r、r、は、図4に例示される位置について求めた値となる。他の方向については、上記と同様にして、ハニカム外周側の補強部31、ハニカム中心側の補強部31を特定すればよい。
上記式の変形によれば、セル壁3の有効細長比λは、以下の式1より定義されることになる。
ハニカム構造体1では、上述した起点セル21からハニカム中心軸10方向へ4セル目以降に存在する各セル2におけるセル壁3の有効細長比の比λi+1/λが0.86以上1未満とされている。但し、λは、起点セル21からハニカム中心軸10方向へ向かって数えてiセル目のセル2におけるセル壁3の有効細長比である。また、λi+1は、起点セル21からハニカム中心軸10方向へ向かって数えて(i+1)セル目のセル2におけるセル壁3の有効細長比である。なお、iは、4から外周強化領域12における最終のセル2のセル目数までの値とされる。つまり、iの最小値は、4である。また、外周強化領域12における最終のセル2のセル目数をjとすると、iは、4、5、6、・・・jまでの自然数となる。ハニカム構造体1では、具体的には、起点セル21からハニカム中心軸10方向へ4セル目以降に存在する各セル2におけるセル壁3の有効細長比の比である、λ/λ、λ/λ、λ/λ、・・・λj+1/λが、いずれも0.86以上1未満とされている。4セル目以降において、λi+1/λは、0.86以上1未満であれば、同じ値であってもよいし、異なる値であってもよい。
λは、具体的には、図6に示されるように、iセル目のセル2を構成する6つのセル壁3のうち、(i−1)セル目のセル2との共通壁301を除く、5つのセル壁3a、3b、3c、3d、3eについてそれぞれ有効細長比λを求め、得られた5つのセル壁3a、3b、3c、3d、3eの各有効細長比λの平均値とされる。λi+1も同様にして算出される。本実施形態のハニカム構造体1では、より具体的には、30度×n(但し、n=1、3、5、7、9、11)の各方向で見て、起点セル21からハニカム中心軸10方向へ4セル目以降に存在する各セル2のセル壁3の有効細長比の比λi+1/λは、0.86以上1未満とされている。なお、上述した図7のハニカム構造体1の例では、セル壁3の厚化により強化された外周強化領域12は、30度×n(但し、n=1、3、5、7、9、11)の各方向で見て、λ/λが0.86以上1未満とされている。
λi+1/λは、隣接するセル2間の剛性差と関係が深いパラメータである。λi+1/λが0.86未満になると、隣接するセル2間の過度な剛性差による応力集中により、構造体強度が急激に低下する。λi+1/λは、好ましくは、0.87以上0.94以下、より好ましくは、0.87超0.94未満とすることができる。この構成によれば、隣接するセル2間の過度な剛性差による応力集中を抑制しやすく、ハニカム構造体1の構造体強度を向上させやすくなる。そのため、この構成によれば、構造体強度の向上を確実なものとしやすいハニカム構造体1が得られる。
ハニカム構造体1は、上記構成を有しており、外周壁4に接する起点セル21からハニカム中心軸10方向へ4セル目以降に存在する各セル2におけるセル壁3の有効細長比の比λi+1/λが0.86以上1未満とされている。つまり、ハニカム構造体1は、隣接するセル2の壁厚の比ではなく、隣接するセル2の座屈強さを左右するセル壁3の有効細長比の比λi+1/λが特定の範囲内とされている。そのため、ハニカム構造体1では、隣接するセル2間の過度な剛性差による応力集中が抑制される。その結果、ハニカム構造体1の構造体強度を向上させることができる。
(実施形態2)
実施形態2のハニカム構造体について、図8を用いて説明する。なお、実施形態2以降において用いられる符号のうち、既出の実施形態において用いた符号と同一のものは、特に示さない限り、既出の実施形態におけるものと同様の構成要素等を表す。
本実施形態のハニカム構造体1の外周強化領域12では、起点セル21から4セル目以降に存在する各セル2において、λi+1/λが、ハニカム中心軸10に向かって徐々に大きくなっている構成とされている点で、実施形態1と異なっている。つまり、この構成では、ハニカム構造体1が、λ/λ<λ/λ<λ/λ<・・・<λj+1/λの関係を見たしている。この構成によれば、応力集中が生じる外周強化領域12におけるセル2の壁厚を厚く、または、セル頂点部30に形成された補強部31の寸法を大きくとりやすくなるため、構造体強度を効果的に向上させやすいハニカム構造体1が得られる。
λi+1/λをハニカム中心軸に向かって徐々に大きくするには、具体的には、例えば、起点セル21から4セル目以降に存在する各セル2におけるセル壁3の壁厚を、ハニカム中心軸10に向かって徐々に小さくする方法や、起点セル21から4セル目以降に存在する各セル2における補強部31の寸法を、ハニカム中心軸10に向かって徐々に小さくする方法などを例示することができる。なお、外周壁4から起点セル21までの間の各セル2におけるセル壁3の壁厚は、ハニカム中心軸10に向かって徐々に小さくされていてもよいし、同等であってもよい。また、外周壁4から起点セル21までの間の各セル2における補強部31の寸法は、ハニカム中心軸10に向かって徐々に小さくされていてもよいし、同等であってもよい。
本実施形態では、具体的には、外周強化領域12内に、セル壁3の壁厚が異なる領域、または、補強部31の寸法が異なる領域が、中心セル20のセル中心を中心とする同心円状に複数存在した構成とすることができる。以下、これについて図8を用いて説明する。
図8に示すように、外周強化領域12内において、外周壁4に接する起点セル21からXセル目のセル2と(X+1)セル目のセル2との境界をなすセル壁3を内部境界壁303とする。そして、この内部境界壁303を壁厚方向で二等分する二等分線Tに接する仮想円Cを描く。なお、図8では、セル壁3の壁厚は簡略化されている。仮想円Cは、中心セル20のセル中心(ハニカム中心軸10)と中心が一致する同心円である。同様にして、仮想円Ck−1、Ck+1を描くことができる。仮想円Ck−1から仮想円Cまでの領域は、Xセル目のセル2を含むので、Xセル目領域とされる。同様に、仮想円Cから仮想円Ck+1までの領域は、(X+1)セル目のセル2を含むので、(X+1)セル目領域とされる。そして、Xセル目領域にある各セル頂点部30から3方向に延びる各セル壁3の壁厚を、(X+1)セル目領域にある各セル頂点部30から3方向に延びる各セル壁3の壁厚よりも厚く構成する、または、Xセル目領域にある補強部31の寸法を、(X+1)セル目領域にある補強部31の寸法よりも大きく構成する。これを隣接するセル目領域間で順次実施することにより、起点セル21から4セル目以降に存在する各セル2において、λi+1/λが、ハニカム中心軸に向かって徐々に大きくなるように構成することができる。
上記をより具体的に説明すると、実施形態1で例示した図7のハニカム構造体1は、外周強化領域12が、外周壁4から1セル目領域、2セル目領域、3セル目領域、4セル目領域より構成されている例であることがわかる。そして、図7中、Ck1は、1セル目領域と2セル目領域との分ける仮想円である。同様に、Ck2は、2セル目領域と3セル目領域とを分ける仮想円である。Ck3は、3セル目領域と4セル目領域とを分ける仮想円である。そして、実施形態1で例示した図6のハニカム構造体1では、外周領域12における各セル目領域内において、セル壁3の壁厚、または、補強部31の寸法は、同等とされている。
これに対し、本実施形態では、具体的には、例えば、外周強化領域12のセル強化数を6とする場合、外周強化領域12は、図示はしないが、外周壁4から1セル目領域、2セル目領域、3セル目領域、4セル目領域、5セル目領域、6セル目領域より構成することができる。そして、この場合、1セル目領域から6セル目領域に向けて徐々にセル壁3の壁厚、または、補強部31の寸法を小さくし、かつ、λ/λ<λ/λ<λ/λの関係を見たすように外周強化領域12を構成することができる。
その他の構成および作用効果は、実施形態1と同様である。
<実験例1>
表1〜4に示されるように、断面六角形状の複数のセルを有し、外周が強化されていないハニカム構造体より構成される各試験体と、断面六角形状の複数のセルを有し、外周が強化されたハニカム構造体より構成される各試験体を、金型による押出し成形により作製し、λi+1/λ(具体的には、λ/λ)、アイソスタティック強度比(n=20の平均値、以下省略)を算出した。
なお、試験体2〜4は、外周強化されていない試験体1に対して、セル壁をベース領域よりも厚化した外周強化領域を有するハニカム構造体の例である。同様に、試験体6〜8は、外周強化されていない試験体5に対して、セル壁をベース領域よりも厚化した外周強化領域を有するハニカム構造体の例である。試験体10〜13は、外周強化されていない試験体9に対して、セル壁をベース領域よりも厚化した外周強化領域を有するハニカム構造体の例である。試験体15〜18は、外周強化されていない試験体14に対して、セル壁をベース領域よりも厚化した外周強化領域を有するハニカム構造体の例である。試験体20は、外周強化されていない試験体19に対して、セル壁をベース領域よりも厚化した外周強化領域を有するハニカム構造体の例である。試験体22、23は、外周強化されていない試験体21に対して、セル壁をベース領域よりも厚化した外周強化領域を有するハニカム構造体の例である。試験体25、26は、外周強化されていない試験体24に対して、セル壁をベース領域よりも厚化した外周強化領域を有するハニカム構造体の例である。試験体27〜29は、外周強化されていない試験体14に対して、セル壁をベース領域よりも厚化するとともに、補強部の寸法をベース領域よりも拡大した外周強化領域を有するハニカム構造体の例である。試験体31は、外周強化されていない試験体30に対して、セル壁をベース領域よりも厚化した外周強化領域を有するハニカム構造体の例である。試験体32は、外周強化されていない試験体30に対して、セル壁をベース領域よりも厚化するとともに、補強部の寸法をベース領域よりも拡大した外周強化領域を有するハニカム構造体の例である。試験体34、35は、外周強化されていない試験体33に対して、補強部の寸法をベース領域よりも拡大した外周強化領域を有するハニカム構造体の例である。
図9に、λi+1/λi、具体的には、λ/λと、アイソスタティック強度比との関係を示す。これによれば、外周強化領域において、起点セルからハニカム中心軸方向へ4セル目以降で、λi+1/λを変化させた場合、λi+1/λ=0.85以下になると急激に構造体強度が低下することがわかる。この結果から、起点セルからハニカム中心軸方向へ4セル目以降に存在する各セルにおいて、0.86≦λi+1/λ<1の関係を満たすことにより、構造体強度を向上させることができることがわかる。これは、外周強化領域の4セル目以降において、隣接するセル間の過度な剛性差による応力集中が抑制されるためである。なお、本実験例では、外周強化領域の強化セル数を4とした例を用いて説明したが、例えば、外周強化領域の強化セル数を6とした場合において、λ/λを変化させたときも、上記と同様の傾向が確認された。
また、図9に、λi+1/λ、具体的には、λ/λと、アイソスタティック強度比との関係を示す。これによれば、起点セルからハニカム中心軸方向へ3セル目までに存在する各セルについては、λi+1/λ<0.85であっても、構造体強度の低下は見られないことが確認された。
上述した効果を生じるメカニズムについて、試験体14(λi+1/λ=λ/λ=1)、試験体16(λi+1/λ=λ/λ=0.94)、試験体18(λi+1/λ=λ/λ=0.81)を用いて検証した結果を、図10に示す。図10によれば、λi+1/λ=1の場合には、起点セルから3セル目までのセルに極度に高い応力が発生していることがわかる。これに対し、λi+1/λ=0.94の場合には、その発生応力が、起点セルから4セル目以降と同等レベルに抑えられていることがわかる。一方で、λi+1/λ=0.81になると、本実験例における外周強化領域とベース領域との境界よりもベース領域側にある、起点セルから5セル目に非常に高い応力が発生していることがわかる。そして、その発生応力は、外周強化されていない試験体14よりも大きく、構造体強度の低下の要因につながっていることがわかる。
また、図11に、λi+1/λi、具体的には、λ/λと、起点セルから4セル目のセルと5セル目のセルとに発生する応力の差との関係を示す。これによれば、λi+1/λ>0.95の範囲では、より外周側に位置する4セル目のセルまでの応力が高いが、λi+1/λ≦0.95の範囲では、より内周側に位置する5セル目のセルに高い応力がかかるようになる。起点セルから4セル目のセルと5セル目のセルとの間に生じる応力差は、λi+1/λが小さくなるほど大きくなる。なお、上述した図9のλi+1/λ<0.85で外周強化しない場合と比較して発生応力が低下した要因は、次に示す通りである。応力差が大きくなっていることから、λi+1/λ<0.85では、5セル目に最大の応力が発生し、この応力が外周強化しない場合に最外周部に発生する最大応力を上回ったためである。
また、試験体34、試験体35の結果によれば、外周強化領域におけるセル壁の壁厚を、ベース領域におけるセル壁の壁厚よりも厚化することなく、外周強化領域における補強部の寸法を、ベース領域における補強部の寸法より大きくすることだけによっても、λi+1/λを特定の範囲とすることにより、構造体強度の向上が図られていることがわかる。この結果から、外周強化領域のセル壁を厚化させることなく、セルの座屈強度を高めることができるといえる。また、この結果によれば、外周強化領域のセル壁を厚化させないため、ハニカ構造体の成形時に成形速度差が発生し難くなり、成形時の欠陥発生率の低減を図りやすくなり、ハニカム構造体の構造体強度を効果的に向上させやすくなるといえる。
<実験例2>
表5に示されるように、実験例1と同様にして、断面六角形状の複数のセルを有し、外周が強化されたハニカム構造体より構成される各試験体を、金型による押出し成形により作製し、λi+1/λ、アイソスタティック強度比を算出した。
但し、試験体36では、起点セルから1セル目のセルを含む1セル目領域におけるセル頂点部から延びるセル壁の壁厚は、0.112mmとした。同様に、2セル目領域におけるセル頂点部から延びるセル壁の壁厚は、0.112mmとした。3セル目領域におけるセル頂点部から延びるセル壁の壁厚は、0.112mmとした。4セル目領域におけるセル頂点部から延びるセル壁の壁厚は、0.079mmとした。5セル目領域におけるセル頂点部から延びるセル壁の壁厚は、0.074mmとした。6セル目領域におけるセル頂点部から延びるセル壁の壁厚は、0.0705mmとした。これに対して、試験体37では、1セル目領域〜3セル目領域におけるセル頂点部から延びるセル壁の壁厚は、試験体34と同じとしたが、4セル目領域〜6セル目領域におけるセル頂点部から延びるセル壁の壁厚は、いずれも0.079mmで一定とした。
また、各試験体の圧力損失も測定した。圧力損失の測定は、次のようにして実施した。図12に模式的に示されるように、配管部91と、ハニカム構造体1が内部に収容される収容部92と、配管部91と収容部92との間を繋ぐ拡径部93と、を有する評価コンバータ9を準備した。配管部91の直径φ1は、50.5mmとした。収容部92の直径φ2は、123mmとした。拡径部93の長さl1は、55mmとした。ハニカム構造体1の一端面と当該一端面側の拡径部93との距離l2は、5mmとした。ハニカム構造体1の他端面と当該他端面側の拡径部93との距離l3は、10mmとした。ハニカム構造体1に流す排ガスのガス流量は、7m/分、ガス温度は、600度とした。排ガスを発生させるエンジンには、4.6L V8エンジンを用いた。
表5に示されるように、試験体36は、起点セルからハニカム中心軸方向へ4セル目以降に存在する各セル(本例では、4〜6セル目の各セル)におけるセル壁の有効細長比の比λi+1/λが、ハニカム中心軸方向に向かって徐々に大きくなっている。これに対し、試験体37は、起点セルからハニカム中心軸方向へ4セル目以降に存在する各セル(本例では、4〜6セル目の各セル)におけるセル壁の有効細長比の比λi+1/λが、ハニカム中心軸方向に向かって徐々に大きくなっていない。
これら各試験体によれば、λi+1/λが、ハニカム中心軸方向に向かって徐々に大きくなっている場合には、隣接するセル壁の剛性差を効果的に低減することが可能となり、構造体強度を効果的に向上させることが可能になるといえる。また、この場合には、応力集中が生じる外周強化領域におけるセルの壁厚を厚く、または、セル頂点部に形成された補強部の寸法を大きくとりやすくなる利点もある。さらに、この場合には、圧力損失低下の効果も確認された。
<実験例3>
表6に示されるように、断面六角形状の複数のセルを有し、外周が強化されたハニカム構造体より構成される各試験体を、金型による押出し成形により作製し、λi+1/λ、アイソスタティック強度および圧力損失を測定した。なお、本実験例では、他の実験例に比べ、外周強化領域の強化セル数を多くした例である。また、本実験例では、外周強化領域のセル壁は、全て同じ壁厚にしているので、「セル壁の有効細長比λ」は全て同じになる。そのため、外周強化領域における強化最終セルのλのみを表6中に記載し、他のセルのλは省略されている。同様に、「λi+1/λ」については、セル壁厚が変化する外周強化領域とベース領域との境界部分のみの値が表中に記載されている。
図13に、外周強化領域の強化セル数とアイソスタティック強度との関係を示す。また、図14に、外周強化領域の強化セル数と圧力損失との関係を示す。これらによれば、外周強化領域の強化セル数を多くするにつれ、構造体強度が向上していくが、20セルを超えても、それほど大きな構造体強度は望めなくなることがわかる。一方、外周強化領域の強化セル数が20セルを超えると、ハニカム構造体の圧力損失が急激に大きくなる傾向が見られた。これは、排ガスが集中しやすいハニカム中心部付近までセル壁を厚化し始めているためにその影響が大きく出たことなどが原因として考えられる。これらの結果によれば、外周強化領域の強化セル数は、20セル以内とすることが好ましいことがわかる。そして、この構成によれば、隣接するセル間の過度な剛性差による応力集中を抑制することによって構造体強度の向上を図りつつ、圧力損失の増加も抑制することができるといえる。
本発明は、上記各実施形態、各実験例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。また、各実施形態、各実験例に示される各構成は、それぞれ任意に組み合わせることができる。
1 ハニカム構造体
10 ハニカム中心軸
11 ベース領域
12 外周強化領域
2 セル
20 中心セル
21 起点セル
3 セル壁
30 セル頂点部
31 補強部
4 外周壁

Claims (5)

  1. 互いに隣接する断面六角形状の複数のセル(2)と、複数の上記セルを形成する複数のセル壁(3)と、複数の上記セル壁の外周に設けられて上記セル壁を保持する外周壁(4)と、を有するハニカム構造体(1)であって、
    ハニカム中心軸(10)がセル中心を通る中心セル(20)を有するベース領域(11)と、
    上記ベース領域の外周に配置された領域であって、上記外周壁に接する起点セル(21)から上記ハニカム中心軸方向に少なくとも4セル目以上の上記セルまで、上記セル壁が上記ベース領域の上記セル壁よりも厚化されている、および/または、上記セル壁同士が接続するセル頂点部(30)に形成された補強部(31)の寸法が上記ベース領域における補強部(31)の寸法よりも拡大されている外周強化領域(12)と、を有しており、
    上記セル壁の有効細長比λが以下の式1で定義されるとき、
    上記起点セルから上記ハニカム中心軸方向へ4セル目以降に存在する各上記セルにおける上記セル壁の有効細長比の比λi+1/λが0.86以上1未満とされている、ハニカム構造体(1)。
    式1中、p:セルピッチ、w:上記ハニカム中心軸方向に沿う上記セル壁の長さ、t:上記セル壁の壁厚、r:ハニカム外周側の上記補強部の寸法、r:ハニカム中心側の上記補強部の寸法
    上記λ:上記起点セルから上記ハニカム中心軸方向へiセル目の上記セルにおける上記セル壁の有効細長比
    上記λi+1:上記起点セルから上記ハニカム中心軸方向へ(i+1)セル目の上記セルにおける上記セル壁の有効細長比
    上記i:4〜上記外周強化領域における最終の上記セルのセル目数
  2. 上記λi+1/λが、0.87以上0.94以下である、請求項1に記載のハニカム構造体。
  3. 上記外周強化領域における上記補強部の寸法は、上記ベース領域における上記補強部の寸法より大きく、かつ、上記補強部は、角R面部(311)を有している、請求項1または2に記載のハニカム構造体。
  4. 上記λi+1/λが、上記ハニカム中心軸方向に向かって徐々に大きくなっている、請求項1〜3のいずれか1項に記載のハニカム構造体。
  5. 上記外周強化領域は、上記外周壁から上記ハニカム中心軸方向に多くとも20セル目以内にあるいずれかの上記セルまでの領域より構成されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載のハニカム構造体。
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