JP2014014983A - 金型、及び、ハニカム構造体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ハニカム構造体の成形時に、外周スキンの厚さを十分に薄くでき且つ外周スキンの欠陥発生も十分に抑制できる金型を提供する。
【解決手段】スペーサ24の開口24aは、カバーリングの開口の半径よりも長い半径r0の円弧24bと、円弧24bよりも開口24aの半径を拡大する又は円弧24bよりも開口24aの半径を縮小する12個の径変更部24cと、によって形成される。円弧24bの中心を原点Oとし、かつ、金型本体の面S2において一対の隣り合う非スリット部21cの重心同士を結ぶ方向と平行な方向をX軸とし、円弧24bの中心を原点OとしかつX軸と直交する線をY軸とした座標において、原点Oと各径変更部24cとを結ぶ線がX軸となす角度θが、±10°、±45°、±70°、±110°、±135°、及び、±170°となる。
【選択図】図3
【解決手段】スペーサ24の開口24aは、カバーリングの開口の半径よりも長い半径r0の円弧24bと、円弧24bよりも開口24aの半径を拡大する又は円弧24bよりも開口24aの半径を縮小する12個の径変更部24cと、によって形成される。円弧24bの中心を原点Oとし、かつ、金型本体の面S2において一対の隣り合う非スリット部21cの重心同士を結ぶ方向と平行な方向をX軸とし、円弧24bの中心を原点OとしかつX軸と直交する線をY軸とした座標において、原点Oと各径変更部24cとを結ぶ線がX軸となす角度θが、±10°、±45°、±70°、±110°、±135°、及び、±170°となる。
【選択図】図3
Description
本発明は、成形体の製造技術に関するものであり、より詳細には金型及びこれを用いたハニカム構造体の製造方法に関する。
従来より、ハニカムフィルタ構造体が、ディーゼルパティキュレートフィルタ(Diesel particulate filter)用等として広く知られている。このハニカムフィルタ構造体は、多数の貫通孔を有するハニカム構造体の一部の貫通孔の一端側を封口材で封じると共に、残りの貫通孔の他端側を封口材で封じた構造を有する。特許文献1には、ハニカム構造体の製造に使用される金型が開示されている。
しかし、従来の金型を用いてハニカム構造体を押出成形した場合、側面を覆う外周スキンが均一に形成されない不良品が生じることが多かった。不良のない外周スキンを形成するには、外周スキンを必要以上に厚くせざるを得ないという問題があった。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、ハニカム構造体の成形時において、外周スキンの厚さを十分に薄くでき且つ外周スキンの欠陥発生も十分に抑制できる金型を提供することを目的とする。また本発明は、当該金型を用いたハニカム構造体の製造方法を提供することを目的とする。
本発明に係る金型は、ハニカム構造体を排出する面を有した金型本体と、
前記面の周縁部を覆い、前記ハニカム構造体の外径に対応する内径の開口を有するカバーリングと、
前記金型本体と前記カバーリングとの間に配置され、前記カバーリングの開口よりも大きい開口を有するスペーサと、を備える。
前記ハニカム構造体は、断面が六角形の複数の中空セルを、1つの前記中空セルが6つの他の前記中空セルに囲まれるように配置させるハニカム壁を有する。
前記面は、前記中空セルに対応する非スリット部と、前記ハニカム壁に対応するスリット部と、を有する。
前記スペーサの開口は、前記カバーリングの開口の半径よりも長い半径r0の円弧と、前記円弧よりも前記スペーサの開口の半径を拡大する又は前記円弧よりも前記スペーサの開口の半径を縮小する12個の径変更部と、によって形成される。
前記円弧の中心を原点Oとし、かつ、前記金型本体の面において一対の隣り合う前記非スリット部の重心同士を結ぶ方向と平行な方向をX軸とし、前記円弧の中心を原点Oとしかつ前記X軸と直交する線をY軸とした座標において、前記原点Oと各前記径変更部とを結ぶ線が前記X軸となす角度θが、±10°、±45°、±70°、±110°、±135°、及び、±170°となる。
前記面の周縁部を覆い、前記ハニカム構造体の外径に対応する内径の開口を有するカバーリングと、
前記金型本体と前記カバーリングとの間に配置され、前記カバーリングの開口よりも大きい開口を有するスペーサと、を備える。
前記ハニカム構造体は、断面が六角形の複数の中空セルを、1つの前記中空セルが6つの他の前記中空セルに囲まれるように配置させるハニカム壁を有する。
前記面は、前記中空セルに対応する非スリット部と、前記ハニカム壁に対応するスリット部と、を有する。
前記スペーサの開口は、前記カバーリングの開口の半径よりも長い半径r0の円弧と、前記円弧よりも前記スペーサの開口の半径を拡大する又は前記円弧よりも前記スペーサの開口の半径を縮小する12個の径変更部と、によって形成される。
前記円弧の中心を原点Oとし、かつ、前記金型本体の面において一対の隣り合う前記非スリット部の重心同士を結ぶ方向と平行な方向をX軸とし、前記円弧の中心を原点Oとしかつ前記X軸と直交する線をY軸とした座標において、前記原点Oと各前記径変更部とを結ぶ線が前記X軸となす角度θが、±10°、±45°、±70°、±110°、±135°、及び、±170°となる。
上述のハニカム壁を有するハニカム構造体では、上述の角度θのところにおいて、外周スキンの皺などの不具合を生じやすい。しかしながら、本発明ではその箇所に、径変更部を設けたことにより、当該箇所において外周スキン用の原料組成物の押出量を他の部分に比べて変化させることができる。このため、単に円形の開口を有するスペーサが装着された従来の金型を使用する場合と比較し、外周スキンの欠陥発生を十分に抑制できる。また、欠陥が生じやすい箇所にあわせて外周スキン全体を必要以上に厚くしなくてもよいため、十分に薄い外周スキンが形成できるように金型の調整(スペーサーの開口サイズ、厚さ等の調整)を行うことができる。
ここで、角度θが±10°及び±170°となる位置に設けられた前記径変更部の両端と原点Oとを結ぶ線が作る角φ1はそれぞれ2〜20°、
角度θが±45°及び±135°となる位置に設けられた前記径変更部の両端と原点Oとを結ぶ線が作る角φ2はそれぞれ2〜50°、及び、
角度θが±70°及び±110°となる位置に設けられた前記径変更部の両端と原点Oとを結ぶ線が作る角φ3はそれぞれ2〜40°であることが好ましい。
角度θが±45°及び±135°となる位置に設けられた前記径変更部の両端と原点Oとを結ぶ線が作る角φ2はそれぞれ2〜50°、及び、
角度θが±70°及び±110°となる位置に設けられた前記径変更部の両端と原点Oとを結ぶ線が作る角φ3はそれぞれ2〜40°であることが好ましい。
また、各前記径変更部は、前記円弧よりも前記スペーサの開口の半径を拡大することが好ましい。この場合、角度θが±10°及び±170°の位置にある前記径変更部が前記円弧よりも前記スペーサの開口の半径を拡大する幅の最大値をWa1、角度θが±45°及び±135°となる位置にある前記径変更部が前記円弧よりも前記スペーサの開口の半径を拡大する幅の最大値をWa2、及び、角度θが±70°及び±110°となる位置にある前記径変更部が前記円弧よりも前記スペーサの開口の半径を拡大する幅の最大値をWa3としたときに、0.1mm≦Wa1≦5.0mm、0.1mm≦Wa2≦5.0mm、0.1mm≦Wa3≦5.0mmであることが好ましい。最大値Wa1、Wa2,Wa3は、それぞれ、角度θの位置にあることが好ましい。
また、各前記径変更部は、前記円弧よりも前記スペーサの開口の半径を縮小することも好ましい。この場合、角度θが±10°及び±170°の位置にある前記径変更部が前記円弧よりも前記スペーサの開口の半径を縮小する幅の最大値をWb1、角度θが±45°及び±135°となる位置にある前記径変更部が前記円弧よりも前記スペーサの開口の半径を縮小する幅の最大値をWb2、及び、角度θが±70°及び±110°となる位置にある前記径変更部が前記円弧よりも前記スペーサの開口の半径を縮小する幅の最大値をWb3としたときに、0.1mm≦Wb1≦5.0mm、0.1mm≦Wb2≦5.0mm、0.1mm≦Wb3≦5.0mmであることが好ましい。最大値Wb1、Wb2,Wb3は、それぞれ、角度θの位置にあることが好ましい。
また、前記径変更部は、それぞれ前記半径r0よりも小さい円弧であることが好ましい。
本発明に係るハニカム構造体の製造方法は、上述の金型にペースト状の原料組成物を供給し、ハニカム構造体を得る工程を備える。
本発明によれば、ハニカム構造体の成形時において、外周スキンの厚さを十分に薄くでき且つ外周スキンの欠陥発生も十分に抑制できる。
以下、図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。まず、本発明に係る金型の説明に先立ち、焼成前のハニカム構造体(グリーン成形体)について説明する。
<ハニカム構造体>
図1に示すハニカム構造体200は、原料組成物を本発明に係る金型(詳しくは後述)で押出成形することによって得られたものである。図1に示すように、ハニカム構造体200は側面をなす円管状の外周スキン270、及び、外周スキン270内に設けられたハニカム壁260を有する。
図1に示すハニカム構造体200は、原料組成物を本発明に係る金型(詳しくは後述)で押出成形することによって得られたものである。図1に示すように、ハニカム構造体200は側面をなす円管状の外周スキン270、及び、外周スキン270内に設けられたハニカム壁260を有する。
ハニカム壁260は、略並行に配置された多数の中空セル210を形成させる。各中空セル210の断面形状は、六角形である。ハニカム壁260と接する部分では、外周スキン270によって形態が規定されるため、六角形ではなくなる場合がある。複数の中空セル210は、1つの中空セルが、6つの中空セル210で取り囲まれるように配置される。複数の中空セル210は、端面200a側から見て、三角形配置、すなわち、中空セル210の中心(重心)軸が、三角形の頂点にそれぞれ位置するように配置されている。好ましいのは、三角形の中でも正三角形である。中空セル210の六角形の断面の一辺のサイズは、例えば、一辺0.8〜2.5mmとすることができる。中空セル210の断面形状は、全て同一の形状及び大きさの六角形であっても良いが、互いに異なる複数の種類の大きさや形状の六角形を有していても良い。六角形の内角は60度であることができる。図1では、断面積の小さな六角形の中空セル210aと、断面積の相対的に大きな六角形の中空セル210bの2種類の中空セルが用いられている。ハニカム壁260の壁の厚みは特に限定されないが、0.2〜0.4mmとすることができる。
ハニカム構造体200の中空セル210が延びる方向の長さは特に限定されないが、例えば、40〜350mmとすることができる。また、ハニカム構造体200の外径も特に限定されないが、例えば、100〜320mmとすることできる。
ハニカム構造体200をなす原料組成物は特に限定されないが、ディーゼルパティキュレートフィルタ用のハニカム構造体を製造する場合にあっては、セラミクス原料である無機化合物源粉末、及び、メチルセルロース等の有機バインダ、及び、必要に応じて添加される添加剤を含む。ハニカム構造体の高温耐性の観点から、好適なセラミクス材料として、アルミナ、シリカ、ムライト、コーディエライト、ガラス、チタン酸アルミニウム等の酸化物、シリコンカーバイド、窒化珪素等が挙げられる。なお、チタン酸アルミニウムは、更に、マグネシウム及び/又はケイ素を含むことができる。
例えば、チタン酸アルミニウムのハニカム構造体を製造する場合、無機化合物源粉末は、αアルミナ粉等のアルミニウム源粉末、及び、アナターゼ型やルチル型のチタニア粉末等のチタニウム源粉末を含み、必要に応じて、更に、マグネシア粉末やマグネシアスピネル粉末等のマグネシウム源粉末及び/又は、酸化ケイ素粉末やガラスフリット等のケイ素源粉末を含むことができる。
有機バインダとしては、メチルセルロース、カルボキシルメチルセルロース、ヒドロキシアルキルメチルセルロース、ナトリウムカルボキシルメチルセルロースなどのセルロース類;ポリビニルアルコールなどのアルコール類;リグニンスルホン酸塩を例示できる。
添加物としては、例えば、造孔剤、潤滑剤及び可塑剤、分散剤、溶媒が挙げられる。
造孔剤としては、グラファイト等の炭素材;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメタクリル酸メチル等の樹脂類;でんぷん、ナッツ殻、クルミ殻、コーンなどの植物材料;氷;及びドライアイス等などが挙げられる。
潤滑剤及び可塑剤としては、グリセリンなどのアルコール類;カプリル酸、ラウリン酸、パルミチン酸、アラキジン酸、オレイン酸、ステアリン酸などの高級脂肪酸;ステアリン酸アルミニウムなどのステアリン酸金属塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル(POAAE)などが挙げられる。
分散剤としては、例えば、硝酸、塩酸、硫酸などの無機酸;シュウ酸、クエン酸、酢酸、リンゴ酸、乳酸などの有機酸;メタノール、エタノール、プロパノールなどのアルコール類;ポリカルボン酸アンモニウムなどの界面活性剤などが挙げられる。
溶媒としては、アルコール類及び水などを用いることができる。アルコール類としては、例えば、メタノール、エタノール、ブタノール、プロパノールなどの一価アルコール類;プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコールなどの二価アルコール類;などを用いることができる。
<第一実施形態に係る金型>
図2に示す金型20は、図1に示す態様のハニカム構造体200を成形するためのものである。金型20は、金型本体21と、カバーリング22と、スペーサ24と、ホルダー28とを備える。
図2に示す金型20は、図1に示す態様のハニカム構造体200を成形するためのものである。金型20は、金型本体21と、カバーリング22と、スペーサ24と、ホルダー28とを備える。
金型本体21は、押出成形装置に装着された際、上流側に配置される面S1と下流側に配置される面S2を有する。面S1には複数の原料供給穴21aが形成されており、面S2には原料供給穴21aに連通したスリット部21b及び非スリット部21cが形成されている。面S2のスリット部21b及び非スリット部21cの形状は、上述のハニカム壁260に対応する。すなわち、スリット部21bは、図3に示すように、ハニカム壁260の断面構造に対応する網目形状を有し、非スリット部21cは、ハニカム壁260の中空セル210に対応する六角形形状を有する。金型本体21の面S1側から供給される原料組成物は、原料供給穴21a及びスリット部21bを通じて面S2側に至り、面S2から上述のハニカム壁260を有するハニカム構造体200が排出される。金型本体21の材質としては、炭素鋼;ニッケル、クロム、タングステン等を含有する特殊鋼等が挙げられる。
カバーリング22は、金型本体21の面S2の周縁部を覆うように配置されている。カバーリング22は、成形すべきハニカム構造体200の外径に対応する内径の開口を有する。言い換えれば、金型本体21の外形に関わらず、所定の内径を有するカバーリング22を使用することによって所望の外径のハニカム構造体200を得ることができる。なお、カバーリング22の材質としては、炭素鋼;ニッケル、クロム、タングステン等を含有する特殊鋼等が挙げられる。
外径が100〜320mm程度のハニカム構造体200を成形する場合にあっては、カバーリングの開口の径が100〜320mmとなる。
スペーサ24は、金型本体21とカバーリング22との間に配置されている。スペーサ24は厚さ0.3〜1.0mm程度のシート状の材料からなる。スペーサ24の材質の具体例としては、銅などの金属、紙、樹脂などが挙げられる。
スペーサ24は、図2に示すように、カバーリング22の開口よりも一回り大きい開口24aを有する。このようなスペーサ24を金型本体21とカバーリング22の間に配置することで、両者の間に隙間が設けられる。この隙間を通過した原料組成物が、ハニカム構造体200の外周スキン270となる。
スペーサ24の開口24aは、カバーリング22の開口の半径よりも長い半径r0の円弧24bと、12個の径変更部24cとによって画成されている。径変更部24cは、円弧24bよりも、開口24aの開口の半径を拡げる。ここで、図3を参照して、径変更部24cの位置を指定するための角度θを定義する。角度θは、円弧24bの中心を原点Oとし、かつ、金型本体の面S2において一対の隣接する中空セルを形成する非スリット部21cの重心同士(O’とO’’)を結ぶ方向と平行な方向をX軸とし、円弧24bの中心を原点OとしかつX軸と直交する線をY軸とした座標系において、中心Oと径変更部24cとを結ぶ直線とX軸とがなす角θである。本実施形態では、12個の径変更部24cの角度θは、図4に示すように、±10°、±45°、±70°、±110°、±135°、及び、±170°となる。
角度θが±10°及び±170°の位置にある径変更部24cの両端と中心Oとを結ぶ線が作る角をφ1とし、角度θが±45°及び±135°の位置にある径変更部24cの両端と中心Oとを結ぶ線が作る角をφ2とし、角度θが±70°及び±110°の位置にある径変更部24cの両端と中心Oとを結ぶ線が作る角をφ3とした場合、2°≦φ1≦20°、2°≦φ2≦50°、2°≦φ3≦40°であることが好ましく、5°≦φ1≦10°、10°≦φ2≦20°、5°≦φ3≦10°であることがより好ましい。φ2+φ3≦25°となる。
角度θが±10°及び±170°の位置にある径変更部24cが円弧24bよりも開口24aの半径を拡大する幅の最大値をWa1(図4参照)とし、角度θが±45°及び±135°の位置にある径変更部24cが円弧24bよりも開口24aの半径を拡大する幅の最大値をWa2とし、角度θが±70°及び±110°の位置にある径変更部24cが円弧24bよりも開口24aの半径を拡大する幅の最大値をWa3とした場合、0.1mm≦Wa1≦5.0mm、0.1mm≦Wa2≦5.0mm、0.1mm≦Wa3≦5.0mmであることが好ましく、0.5mm≦Wa1≦2.0mm、0.5mm≦Wa2≦3.0mm、0.5mm≦Wa3≦2.0mmであることがより好ましい。幅Waが小さい場合には外周スキン270の欠陥を抑制する効果が不十分となる場合があり、他方、幅Waが大きい場合にはハニカム構造体の外周スキンが必要以上に厚くなりやすい。
径変更部24cの形状は、半径r0よりも小さな円弧であることが好ましい。本実施形態では、径変更部24cが、円弧24bよりも開口24aの半径を拡げるものであるため、径変更部24cの円弧の中心は、円弧24bよりも内側に位置する。好ましくは、径変更部24cの円弧の中心は、角度θが±10°、±45°、±70°、±110°、±135°、及び、±170°となる線上にあることが好ましい。
角度θが±10°及び±170°の位置にある径変更部24cの円弧の半径をr1とし、角度θが±45°及び±135°の位置にある径変更部24cの円弧の半径をr2とし、角度θが±70°及び±110°の位置にある径変更部24cの円弧の半径をr3とした場合、r1、r2、r3は、r0に合わせて、Wa1,Wa2,Wa3が上述の範囲となるように適宜設定できる。
図2に示すように、ホルダー28は金型本体21に対してカバーリング22及びスペーサを固定するためのものである。ホルダー28の材質としては、炭素鋼;ニッケル、クロム、タングステン等を含有する特殊鋼等が挙げられる。
図3,4に示すような態様のスペーサを備えた金型20によれば、径変更部24cが設けられた箇所において外周スキン270用の原料組成物の押出量を増大させることができる。このため、従来のように径変更部24cを有さない円環状のスペーサを使用する場合と比較し、外周スキンの欠陥発生を十分に抑制できる。また、欠陥が生じやすい箇所にあわせて外周スキン270全体を必要以上に厚くしなくてもよいため、十分に薄い外周スキン270が形成できるように金型の調整(スペーサーの開口サイズ、厚さ等の調整)を行うことができる。
<第二実施形態に係る金型>
続いて、図5を参照して、第二実施形態に係る金型20を説明する。本実施形態に係る金型20が、第一実施形態と異なる点は、スペーサ24の開口24aの形状のみである。すなわち、すべての径変更部24cが、円弧24bよりも開口24aの半径を縮小する点である。
続いて、図5を参照して、第二実施形態に係る金型20を説明する。本実施形態に係る金型20が、第一実施形態と異なる点は、スペーサ24の開口24aの形状のみである。すなわち、すべての径変更部24cが、円弧24bよりも開口24aの半径を縮小する点である。
角度θが±10°及び±170°の位置にある径変更部24cが円弧24bよりも開口24aの半径を縮小する幅の最大値をWb1(図5参照)とし、角度θが±45°及び±135°の位置にある径変更部24cが円弧24bよりも開口24aの半径を縮小する幅の最大値をWb2とし、角度θが±70°及び±110°の位置にある径変更部24cが円弧24bよりも開口24aの半径を縮小する幅の最大値をWb3とした場合、0.1mm≦Wb1≦5.0mm、0.1mm≦Wb2≦5.0mm、0.1mm≦Wb3≦5.0mmであることが好ましく、0.5mm≦Wb1≦2.0mm、0.5mm≦Wb2≦3.0mm、0.5mm≦Wb3≦2.0mmであることがより好ましい。
本実施形態では、径変更部24cが、円弧24bよりも開口24aの半径を縮小するものであるため、径変更部24cの円弧の中心は、円弧24bよりも外側に位置する。これら以外の点は、第一実施形態にかかるスペーサ24と同様であり、径変更部24cの円弧の角φ1、φ2、φ3等は第一実施形態と同様にすることが好ましい。本実施形態によれば、径変更部24cが設けられた箇所において外周スキン270用の原料組成物の押出量を減少させることができる。このため、従来のように径変更部24cを有さない円環状のスペーサを使用する場合と比較し、外周スキンの欠陥発生を十分に抑制できる。
<押出成形装置>
図6に示す押出成形装置10は、上述の金型20が装着されており、粉末状又はペースト状の原料組成物からハニカム構造体200を製造するためのものである。
図6に示す押出成形装置10は、上述の金型20が装着されており、粉末状又はペースト状の原料組成物からハニカム構造体200を製造するためのものである。
押出成形装置10は、ハウジング1内の上段に設けられたスクリュー2A及び下段に設けられたスクリュー2Bを備える。スクリュー2A,2Bは、入口1aから供給された原料組成物を混錬すると共に流路1bを通じて下流側へと移送するためのものである。スクリュー2A,2Bの間には、真空室3が設けられており、真空室3内を減圧することによって原料組成物を脱気処理できるようになっている。真空室3内の原料組成物はローラ3aによって下段のスクリュー2Bに導入される。
押出成形装置10は、スクリュー2Bの下流側に設けられた整流板5と、原料組成物からなる成形体200Aが押し出される金型20と、流路1bと金型20を連通する抵抗管9とを更に備える。抵抗管9は、内部の流路がテーパ状になっており、上流側から下流側に向けて流路断面積が徐々に小さくなっている。なお、スクリュー2Bの径よりも径が大きい成形体200Aを製造する場合などになっては、抵抗管9は上流から下流に向けて流路断面が大きくなる拡大部を有してもよい。金型20から押し出された成形体200Aが変形しないように、押出成形装置10の隣には成形体200Aを支持するための支持台15が設置されている。整流板5は、金型20に原料組成物を導入するに先立ち、その流速分布の均一化を図るためのものである。
整流板5は、ハウジング1に対して着脱自在に設けられており、スクリュー2Bと金型20の間に配置されている。図7に示すように、整流板5は厚さ方向に貫通する複数の開口5aを有する。整流板5は、流量調整の効果を高めるために網状の抵抗体(図示せず)を有していてもよい。図7の(a)は整流板5の正面図であり、図7の(b)は整流板5の断面図である。
整流板5は、上流側から圧力を受けてもほとんど歪みを起こさない構造体であることが好ましい。かかる観点から、整流板5の材質としては、例えば、炭素鋼等が好ましい。炭素鋼以外の好適な材質として、ニッケル、クロム、タングステン等を含有する特殊鋼を例示できる。整流板5の厚さは、十分の強度を確保する観点から、10〜100mmであることが好ましい。
整流板5は、厚さ方向に貫通する直径1〜10mmの開口5aを複数有する。整流板5の開口率は30〜80%であることが好ましい。開口率が30%未満の整流板5を使用した場合、上流側の圧力を過度に高くしないと、単位時間当たり十分な量の原料組成物を通過させることができず、圧力が装置の許容圧力以上となりやすい。他方、開口率が80%を超える整流板5は強度が不十分となりやすい。整流板5の開口率は40〜80%であることが好ましく、50〜80%であることがより好ましい。
ここでいう「開口率」とは、整流板5の一方面における開口の面積の合計を当該一方面の面積(ハウジングによって覆われる周縁部を除く)で除すことによって算出される値を意味する。なお、開口の流路断面積が一定ではない整流板の場合、開口率は原料組成物の流れ方向に垂直な、すべての整流板の断面において最小の値をいう。
<ハニカム構造体の製造方法>
次に、押出成形装置10を用いてハニカム構造体200を製造する方法について説明する。まず、金型20を押出成形装置10に装着する。押出成形装置10の準備が完了したら、原料組成物を入口1aから流路1b内に導入する。スクリュー2A,2B及びローラ3aを作動させることによって原料組成物を混練すると共に下流側に移送する。混練物を整流板5の開口5aを通過させて流速分布を均一化させた後、抵抗管9を通じて金型20に導入する。金型20の下流側における原料組成物の線速度は10〜150cm/分程度であることが好ましい。
次に、押出成形装置10を用いてハニカム構造体200を製造する方法について説明する。まず、金型20を押出成形装置10に装着する。押出成形装置10の準備が完了したら、原料組成物を入口1aから流路1b内に導入する。スクリュー2A,2B及びローラ3aを作動させることによって原料組成物を混練すると共に下流側に移送する。混練物を整流板5の開口5aを通過させて流速分布を均一化させた後、抵抗管9を通じて金型20に導入する。金型20の下流側における原料組成物の線速度は10〜150cm/分程度であることが好ましい。
流速分布の均一化が図られた原料組成物を金型20から押し出し、支持台15上に成形体200Aを回収する。成形体200Aを所定の長さに切断することによってハニカム構造体200を得る。この方法によれば、金型20の作用により、薄い外周スキンを有するハニカム構造体を十分に高い歩留まりで製造できる。
(実施例1)
図4に示す、円弧24bよりも開口24aの半径を拡大する円弧形状の径変更部24cを有するスペーサ24を用いて、図1に示す形状のハニカム構造体200を押し出し成形した。スペーサ24の円弧24bの内径は167mm、スペーサ24の厚み0.5mm、Wa1:1.0mm、Wa2:1.0mm、Wa3:1.0mm、φ1:10°、φ2:20°、φ3:10°とした。ハニカム構造体200の壁厚みは0.3mm、セル密度は330cpsiとした。
成形材料は、セラミクス粉末(アルミナ、チタニア、マグネシア、シリカの混合粉)を85.69重量部、有機バインダ(ヒドロキシプロピルメチルセルロース)を5.49重量部、造孔剤(澱粉)を14.3重量部、潤滑剤(グリセリン+POAAE)を5.04重量部、溶媒(水)を25.82重量部含んだ。
図4に示す、円弧24bよりも開口24aの半径を拡大する円弧形状の径変更部24cを有するスペーサ24を用いて、図1に示す形状のハニカム構造体200を押し出し成形した。スペーサ24の円弧24bの内径は167mm、スペーサ24の厚み0.5mm、Wa1:1.0mm、Wa2:1.0mm、Wa3:1.0mm、φ1:10°、φ2:20°、φ3:10°とした。ハニカム構造体200の壁厚みは0.3mm、セル密度は330cpsiとした。
成形材料は、セラミクス粉末(アルミナ、チタニア、マグネシア、シリカの混合粉)を85.69重量部、有機バインダ(ヒドロキシプロピルメチルセルロース)を5.49重量部、造孔剤(澱粉)を14.3重量部、潤滑剤(グリセリン+POAAE)を5.04重量部、溶媒(水)を25.82重量部含んだ。
(実施例2)
図5に示す、円弧24bよりも開口24aの半径を縮小する円弧形状の径変更部24cを有するスペーサ24を用いて、図1に示す形状のハニカム構造体200を押し出し成形した。スペーサ24の円弧の内径は167mm、スペーサ24の厚み0.5mm、Wb1:1.0mm、Wb2:1.0mm、Wb3:1.0mm、φ1:10°、φ2:20°、φ3:10°とした。ハニカム構造体200の壁厚みは0.3mm、セル密度は330cpsiとした。
図5に示す、円弧24bよりも開口24aの半径を縮小する円弧形状の径変更部24cを有するスペーサ24を用いて、図1に示す形状のハニカム構造体200を押し出し成形した。スペーサ24の円弧の内径は167mm、スペーサ24の厚み0.5mm、Wb1:1.0mm、Wb2:1.0mm、Wb3:1.0mm、φ1:10°、φ2:20°、φ3:10°とした。ハニカム構造体200の壁厚みは0.3mm、セル密度は330cpsiとした。
(比較例1)
径変更部24cを有さず、内周が円形であるスペーサを用いる以外は実施例1と同様にして、図1に示す形状のハニカム構造体200を押し出し成形した。
径変更部24cを有さず、内周が円形であるスペーサを用いる以外は実施例1と同様にして、図1に示す形状のハニカム構造体200を押し出し成形した。
実施例1、実施例2、及び、比較例1のハニカム構造体200の写真をそれぞれ、図8、図9、図10にそれぞれ示す。それぞれ、(a)はθ=70°付近、(b)はθ=45°付近、(c)はθ=10°付近である。図の矢印部分からわかるように、実施例1、2では、比較例1に比べて、外周スキンの凹凸が抑制されていた。
20…金型、21…金型本体、21a…原料供給穴、21b…スリット部、21c…非スリット部、22…カバーリング、24…スペーサ、24a…開口、24b…円弧、24c…径変更部、28…ホルダー、200…ハニカム構造体、210…中空セル、260…ハニカム壁、270…外周スキン、S1…金型本体の上流側の面、S2…金型本体の下流側の面(ハニカム構造体を排出する面)。
Claims (8)
- ハニカム構造体を排出する面を有した金型本体と、
前記面の周縁部を覆い、前記ハニカム構造体の外径に対応する内径の開口を有するカバーリングと、
前記金型本体と前記カバーリングとの間に配置され、前記カバーリングの開口よりも大きい開口を有するスペーサと、を備え、
前記ハニカム構造体は、断面が六角形の複数の中空セルを、1つの前記中空セルが6つの他の前記中空セルに囲まれるように配置させるハニカム壁を有し、
前記面は、
前記中空セルに対応する非スリット部と、前記ハニカム壁に対応するスリット部と、を有し、
前記スペーサの開口は、
前記カバーリングの開口の半径よりも長い半径r0の円弧と、
前記円弧よりも前記スペーサの開口の半径を拡大する又は前記円弧よりも前記スペーサの開口の半径を縮小する12個の径変更部と、によって形成され、
前記円弧の中心を原点Oとし、かつ、前記金型本体の面において一対の隣り合う前記非スリット部の重心同士を結ぶ方向と平行な方向をX軸とし、前記円弧の中心を原点Oとしかつ前記X軸と直交する線をY軸とした座標において、前記原点Oと各前記径変更部とを結ぶ線が前記X軸となす角度θが、±10°、±45°、±70°、±110°、±135°、及び、±170°となる金型。 - 角度θが±10°及び±170°となる位置に設けられた前記径変更部の両端と原点Oとを結ぶ線が作る角φ1はそれぞれ、2〜20°、
角度θが±45°及び±135°となる位置に設けられた前記径変更部の両端と原点Oとを結ぶ線が作る角φ2はそれぞれ、2〜50°、及び、
角度θが±70°及び±110°となる位置に設けられた前記径変更部の両端と原点Oとを結ぶ線が作る角φ3はそれぞれ、2〜40°である請求項1又は2記載の金型。 - 各前記径変更部は、前記円弧よりも前記スペーサの開口の半径を拡大する請求項1又は2記載の金型。
- 角度θが±10°及び±170°の位置にある前記径変更部が前記円弧よりも前記スペーサの開口の半径を拡大する幅の最大値をWa1とし、
角度θが±45°及び±135°となる位置にある前記径変更部が前記円弧よりも前記スペーサの開口の半径を拡大する幅の最大値をWa2とし、及び、
角度θが±70°及び±110°となる位置にある前記径変更部が前記円弧よりも前記スペーサの開口の半径を拡大する幅の最大値をWa3としたときに、0.1mm≦Wa1≦5.0mm、0.1mm≦Wa2≦5.0mm、0.1mm≦Wa3≦5.0mmである請求項3記載の金型。 - 各前記径変更部は、前記円弧よりも前記スペーサの開口の半径を縮小する請求項1又は2記載の金型。
- 角度θが±10°及び±170°の位置にある前記径変更部が前記円弧よりも前記スペーサの開口の半径を縮小する幅の最大値をWb1とし、
角度θが±45°及び±135°となる位置にある前記径変更部が前記円弧よりも前記スペーサの開口の半径を縮小する幅の最大値をWb2とし、及び、
角度θが±70°及び±110°となる位置にある前記径変更部が前記円弧よりも前記スペーサの開口の半径を縮小する幅の最大値をWb3としたときに、0.1mm≦Wb1≦5.0mm、0.1mm≦Wb2≦5.0mm、0.1mm≦Wb3≦5.0mmである請求項5記載の金型。 - 前記径変更部は、それぞれ前記半径r0よりも小さい円弧である請求項1〜6のいずれか一項記載の金型。
- 請求項1〜5のいずれか一項に記載の金型にペースト状の原料組成物を供給し、ハニカム構造体を得る工程を備えるハニカム構造体の製造方法。
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JP2012153920A JP2014014983A (ja) | 2012-07-09 | 2012-07-09 | 金型、及び、ハニカム構造体の製造方法 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2013035276A (ja) * | 2011-07-12 | 2013-02-21 | Sumitomo Chemical Co Ltd | ハニカム構造体成形用金型及びこれを用いたハニカム構造体の製造方法 |
JP2019130460A (ja) * | 2018-01-30 | 2019-08-08 | 株式会社デンソー | ハニカム構造体 |
JP2022151196A (ja) * | 2021-03-26 | 2022-10-07 | 日本碍子株式会社 | 柱状ハニカム焼成体の製造方法 |
-
2012
- 2012-07-09 JP JP2012153920A patent/JP2014014983A/ja active Pending
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