JP2019128341A - 測距装置及び測距方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】2装置間の距離を各装置間の通信によって求める通信型測距を採用して正確な距離の算出を可能にする。【解決手段】 実施形態の測距装置は、第1の搬送波周波数に対応する第1の既知信号及び第1の搬送波周波数とは異なる第2の搬送波周波数に対応する第2の既知信号を送信すると共に第1の搬送波周波数に対応する第3の既知信号及び第2の搬送波周波数に対応する第4の既知信号を受信する第1送受信器とを具備した第1装置と、第3の既知信号及び第4の既知信号を送信すると共に第1び第2の既知信号を受信する第2送受信器とを具備した第2装置と、第1から第4の既知信号の位相に基づいて、第1装置と第2装置との間の距離を算出する算出部とを具備し、第1送受信器及び第2送受信器は、第1及び第3の既知信号の1回ずつの送受信と、第2及び第4の既知信号の1回ずつの送受信との合わせて4回の送受信を行う。【選択図】図1

Description

本発明の実施形態は、測距装置及び測距方法に関する。
近年、車の施錠・開錠を容易にするキーレスエントリが多くの車に採用されている。この技術は自動車の鍵(キー)と自動車間の通信を利用してドアの施錠・開錠を行う。更に、近年、スマートキーにより、鍵に触れることなくドアロックの施錠・解錠を行ったり、エンジンを始動させたりすることができるスマートエントリシステムも採用されている。
しかしながら、攻撃者がキーと自動車間の通信に侵入し、車を盗難する事件が多発している。上述した攻撃(所謂リレーアタック)の防御策としてキーと自動車間の距離を測定し、距離が所定の距離以上と判断したときは通信による車の制御を禁止する策が検討されている。
測距技術としては、2周波CW(Continuous Wave)方式、FM(Frequency Modulated)CW方式、ドップラ方式、位相検出方式など多数ある。一般に測距は、測定装置の同一筐体内に送信器と受信器を設け、送信器から発射した電波を対象物に当て、その反射波を受信器で検出することで、測定装置から対象物までの距離を求めるようになっている。
しかしながら、対象物の反射係数が比較的小さいこと、電波法による出力電力の制限等を考慮すると、反射波を利用した測距技術では、測距可能な距離が比較的小さく、上述したリレーアタックに対する対策に利用するには十分ではない。
特開平8−166443号公報
実施形態は、2装置間の距離を各装置間の通信によって求める通信型測距を採用して正確な距離の算出を可能にすることができる測距装置及び測距方法を提供することを目的とする。
実施形態の測距装置は、少なくとも一方が移動可能な第1装置と第2装置の間の距離を、複数の搬送波周波数で伝送される第1〜第4の既知信号の位相に基づいて算出する測距装置において、第1基準信号源と、前記第1基準信号源の出力を用いて第1の搬送波周波数に対応する前記第1の既知信号及び前記第1の搬送波周波数とは異なる第2の搬送波周波数に対応する前記第2の既知信号を送信すると共に前記第1の搬送波周波数に対応する前記第3の既知信号及び前記第2の搬送波周波数に対応する前記第4の既知信号を受信する第1送受信器とを具備した前記第1装置と、前記第1基準信号源とは独立に動作する第2基準信号源と、前記第2基準信号源の出力を用いて前記第1の搬送波周波数に対応する前記第3の既知信号及び前記第2の搬送波周波数に対応する前記第4の既知信号を送信すると共に前記第1の既知信号及び前記第2の既知信号を受信する第2送受信器とを具備した前記第2装置と、前記第1装置又は第2装置に設けられ、前記第1送受信器が受信した前記第3及び第4の既知信号の位相を検出する第1の位相検出器と、前記第1装置又は第2装置に設けられ、前記第2送受信器が受信した前記第1及び第2の既知信号の位相を検出する第2の位相検出器と、前記第1装置又は第2装置に設けられ、前記第1の位相検出器が検出した前記第3及び第4の既知信号の位相の差と前記第2の位相検出器が検出した前記第1及び第2の既知信号の位相の差とに基づいて、前記第1装置と前記第2装置との間の距離を算出する算出部とを具備し、前記第1送受信器及び前記第2送受信器は、前記第1の既知信号及びこの第1の既知信号に対応する前記第3の既知信号の1回ずつの送受信と、前記第2の既知信号及びこの第2の既知信号に対応する前記第4の既知信号の1回ずつの送受信との合わせて4回の送受信を行う。
本発明の第1の実施の形態に係る測距装置を採用した測距システムを示すブロック図。 反射波を利用した位相検出方式による測距の原理及びその問題点を説明するための説明図。 反射波を利用した位相検出方式による測距の原理及びその問題点を説明するための説明図。 位相検出方式による測距の問題点を説明するための説明図。 位相検出方式による測距の問題点を説明するための説明図。 図1中の送信部14及び受信部15の具体的な構成の一例を示す回路図。 図1中の送信部24及び受信部25の具体的な構成の一例を示す回路図。 第1の実施の形態の動作を説明するためのフローチャート。 剰余系を用いた距離の算出手法を説明するための説明図。 剰余系を用いた距離の算出手法を説明するための説明図。 横軸に距離をとり縦軸に位相をとって、角周波数が異なる3つの送信波を送信する例を示す説明図。 検出した信号の振幅観測により、正しい距離を選択する方法を説明するための説明図。 第1の実施の形態を説明するためのフローチャート。 第1の実施の形態を説明するための説明図。 第1の実施の形態を説明するための説明図。 第1の実施の形態を説明するための説明図。 第1の実施の形態を説明するための説明図。 第1の実施の形態を説明するための説明図。 第1の実施の形態を説明するための説明図。 8回交番シーケンスを説明するための説明図。 第1の実施の形態において通信時間を短縮するための伝送シーケンスを示す説明図。 第1の実施の形態において通信時間を短縮するための伝送シーケンスを示す説明図。 図17のシーケンスに対応したタイミングチャート。 第1の実施の形態の効果を説明するための説明図。 第1の実施の形態の効果を説明するための説明図。 本発明の第2の実施の形態を説明するための説明図。 図21のシーケンスに対応したタイミングチャート。 本発明の第3の実施の形態を説明するための説明図。 本発明の第3の実施の形態を説明するための説明図。 本発明の第4の実施の形態を説明するための説明図。 本発明の第4の実施の形態を説明するための説明図。 本発明の第5の実施の形態を説明するための説明図。 本発明の第5の実施の形態を説明するための説明図。 本発明の第5の実施の形態を説明するための説明図。 本発明の第9の実施の形態を示す説明図。 本発明の第9の実施の形態を示す説明図。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。
(第1の実施の形態)
図1は本発明の第1の実施の形態に係る測距装置を採用した測距システムを示すブロック図である。
本実施の形態は無変調キャリアを用いた位相検出方式を採用し、各装置間の通信によって各装置間の距離を求める通信型測距を採用する例を説明する。反射波を用いた一般的な位相検出方式では、上述したように測距可能な距離が比較的短い。そこで、本実施の形態においては、装置間で通信を行う通信型測距を採用する。しかしながら、各装置の各送信器同士は独立に動作することから、各送信器からの送信電波の初期位相は相互に異なり、位相差により距離を求める従来の位相検出方式では正確な距離を求めることはできない。そこで、本実施の形態においては、後述するように、一方の装置の受信により求めた位相情報を他方の装置に伝送することにより、他方の装置において正確な距離を求めることを可能にしている。
本実施の形態は、このような測距技術を採用する場合において、後述する4回交番シーケンスのように、測距に要する通信時間を短縮することを可能にするものである。以下、本実施の形態において採用する通信型測距技術について、図2Aから図15を参照して基本構成を説明する。
<通信型測距技術の基本構成>
先ず、本実施の形態において採用する位相検出方式による測距を説明するために、図2A,2Bの説明図を参照して、反射波を利用した位相検出方式による測距の原理及びその問題点について説明する。
(位相検出方式について)
位相検出方式では、測距のために、中心角周波数ωC1から角周波数±ωB1だけずれた2つの周波数の信号を送信する。反射波を利用する測距装置においては、送信器及び受信器が同一筐体内に設けられ、送信器から発射した送信信号(電波)を対象物に反射させ、その反射波を受信する。
図2A及び図2Bはこの状態を示しており、送信器Tから発射した電波が壁Wによって反射して受信器Sにおいて受信されることを示している。なお、説明の容易化のため壁Wでの反射では、電波の位相は変化しないものとして説明する。
図2Aに示すように、送信器から発射した電波の角周波数をωC1+ωB1とし、初期位相をθ1Hとする。この場合には、送信器から発射される送信信号(送信波)tx1(t)は下記(1)式で表される。
tx1(t)=cos{(ωC1+ωB1)t+θ1H} …(1)
この送信信号が送信器から距離R[m]だけ離れた対象物(壁W)に遅延時間τで到達して反射し、受信器において受信される。電波の速度は光速c(=3×108m/s)であるので、τ=(R/c)[秒]である。受信器で受信する信号は発射された信号に対して遅延2τを受けている。従って、受信器の受信信号(受信波)rx1(t)は下記(2),(3)式で表される。
rx1(t)=cos{(ωC1+ωB1)t+θ1H−θ2×Hτ1)} …(2)
θ2×Hτ1=(ωC1+ωB1)2τ …(3)
すなわち、送信信号は、遅延時間と送信角周波数の乗算結果(θ2×Hτ1)だけ位相シフトが生じて、受信器に受信されたことになる。
同様に、図2Bに示すように、角周波数ωC1−ωB1を用いた場合の送信信号tx1(t)及び受信信号rx1(t)を、初期位相をθ1Lとして下記(4)〜(6)式に示す。
tx1(t)=cos{(ωC1−ωB1)t+θ1L} …(4)
rx1(t)=cos{(ωC1−ωB1)t+θ1L−θ2×Lτ1} …(5)
θ2×Lτ1=(ωC1−ωB1)2τ …(6)
角周波数ωC1+ωB1の送信信号が受信されるまでに生じる位相シフト量をθH1(t)とし、角周波数ωC1−ωB1の送信信号が受信されるまでに生じる位相シフト量をθL1(t)とすると、2つの受信波の位相シフトの差分は、(3)式から(6)式を引いた下記(7)式によって与えられる。
θH1(t)−θL1(t)=(θ2×Hτ1−θ2×Lτ1)=2ωB1×2τ …(7)
ここで、τ=R/cである。差分周波数ωB1は既知であるので、2つの受信波の位相シフト量の差分を測定すれば、測定結果から距離Rを、
R=c×(θ2×Hτ1−θ2×Lτ1)/(4ωB1
と算出することができる。
ところで、上記説明は位相情報のみを考慮して距離Rを算出したものである。次に、角周波数ωC1+ωB1の送信波を用いた場合において振幅についての考察を加える。上記(1)式に示す送信波は、距離R離れた対象物に到達する時点では、遅延量τ=R/cだけ遅延し、距離Rに応じた減衰L1で振幅が減衰し、下記(8)式に示す受信波rx2(t)となる。
rx2(t)=L×cos{(ωC1+ωB1)t+θ1H−(ωC1+ωB1)τ} …(8)
更に、送信波は、対象物から反射時に減衰LRFLを受ける。対象物における反射波tx2(t)は、下記(9)式で与えられる。
tx2(t)=LRFL×L×cos{(ωC1+ωB1)t+θ1H−(ωC1+ωB1)τ} …(9)
受信器で受信される受信信号はrx1(t)は、対象物から遅延量τ=R/c[秒]だけ遅延し、距離Rに応じた減衰L1で振幅が減衰するので、下記(10)式によって表される。
rx1(t)=L×LRFL×L×cos{(ωC1+ωB1)t+θ1H−2(ωC1+ωB1)τ} …(10)
このように、送信器からの送信信号は受信器に到達するまでに、L×LRFL×Lの減衰を受けることになる。測距において送信器から発射できる信号振幅は、適用周波数に応じて電波法に従う必要がある。例えば、920MHz帯の特定周波数では、送信信号電力を1mW以下に抑える制限がある。受信信号の信号雑音比の観点から、正確に測距するためには送信から受信までに受ける減衰を小さく抑える必要がある。しかしながら、上述したように、反射波を利用した測距では減衰が比較的大きいことから、正確に測距できる距離が短い。
そこで、上述したように、本実施の形態においては、反射波を利用することなく、2つの装置間で互いに信号を送信及び受信することにより、LRFL×L分だけ減衰を低減することで、正確に測距できる距離を拡大するようになっている。
しかしながら、2つの装置は、互いに距離Rだけ離間しており同一の基準信号を共有することができず、一般にその送信信号を受信に用いる局部発振信号に同期させることは困難である。つまり、2つの装置間では、信号周波数にずれが生じるだけでなく、初期位相については不明である。以下、このような非同期の送信波を用いた場合の測距における問題について説明する。
(非同期の場合の課題)
本実施の形態における測距システムでは、2物体間の測距に際して、各物体の位置にそれぞれ非同期にキャリア信号(送信信号)を射出する2つの装置(第1装置及び第2装置)を配置し、これらの2つの装置間の距離Rを求める。本実施の形態においては、第1装置において中心角周波数ωC1から角周波数±ωB1だけずれた2つの周波数のキャリア信号を送信し、第2装置において中心角周波数ωC2から角周波数±ωB2だけずれた2つの周波数のキャリア信号を送信する。
図3A及び図3Bは、2つの装置A1,A2間で、上述した位相検出方式を単に適用した場合の問題を説明する説明図である。最初に、装置A1の送信信号を装置A2で受信する場合を想定する。装置A1の局部発振器は、送信波のキャリア角周波数がωC1+ωB1とωC1−ωB1の2波をヘテロダイン方式で生成するために必要な周波数の信号を発生し、装置A1はこの角周波数の2つの送信波を送信する。また、装置A2の局部発振器は、送信波の角周波数がωC2+ωB2とωC2−ωB2の2波をヘテロダイン方式で生成するために必要な周波数の信号を発生し、装置A2は局部発振器からの信号を用いてヘテロダイン方式の受信を行うものとする。
ここで、上述した反射波を用いた場合と対応させるため、送受信器間の距離は2Rとする。また、装置A1からの角周波数ωC1+ωB1の送信信号と角周波数ωC1−ωB1の送信信号の初期位相はそれぞれθ1H、θ1Lとする。また、装置A2の角周波数がωC2+ωB2,ωC2−ωB2の2つの信号の初期位相はそれぞれθ2H、θ2Lとする。
まず、角周波数ωC1+ωB1の送信信号について位相を考える。装置A1からは上記(1)式に示す送信信号が出力される。装置A2における受信信号rx2(t)は、下記(11)式で与えられる。
rx2(t)=cos{(ωC1+ωB1)t+θ1H−θ2×Hτ1} …(11)
装置A2においては、2つの信号cos{(ωC2+ωB2)t+θ2H}及びsin{(ωC2+ωB2)t+θ2H}と式(11)の受信波とを乗算することにより、受信波を同相成分(I信号)と直交成分(Q信号)とに分離する。受信波の位相(以下、検出位相又は単に位相という)は、I,Q信号から簡単に求めることができる。即ち、検出位相θH1(t)は下記(12)式で表される。なお、下記(12)式では、角周波数ωC1+ωC2近傍の高調波の項は、復調時に除去されるので省略している。
θH1(t)=tan−1(Q(t)/I(t))=−{(ωC1−ωC2)t+(ωB1−ωB2)t+θ1H−θ2H−θ2×Hτ1} …(12)
同様に、装置A1から角周波数ωC1−ωB1の送信信号を送信した場合において、装置A2において得られるI,Q信号から求められる検出位相θL1(t)は、下記(13)式で与えられる。なお、下記(13)式では、角周波数ωC1+ωC2近傍の高調波の項は、復調時に除去されるので省略している。
θL1(t)=tan−1(Q(t)/I(t))=−{(ωC1−ωC2)t−(ωB1−ωB2)t+θ1L−θ2L−θ2×Lτ1} …(13)
これらの2つの検出位相の位相差(以下、検出位相差又は単に位相差という)θH1(t)−θL1(t)は、下記(14)式で表される。
θH1(t)−θL1(t)=−2(ωB1−ωB2)t+(θ1H−θ1L)−(θ2H−θ2L)+(θ2×Hτ1−θ2×Lτ1) …(14)
反射波を利用した従来の測距装置は、装置A1と装置A2とが同一の装置であって局部発振器を共有していることになるので、下記(15)式〜(17)式を満足する。
ωB1=ωB2 …(15)
θ1H=θ2H …(16)
θ1L=θ2L …(17)
(15)式〜(17)式が成立する場合には、(14)式は上述した(7)式と等しくなり、装置A2における受信信号に対するI,Q復調処理によって求めた位相差により、装置A1と装置A2との間の距離Rを算出できることになる。
しかしながら、装置A1と装置A2とは離間して設けられ、局部発振器は相互に独立して動作するので、上記式(15)〜式(17)は満足しない。この場合には、初期位相の差分等の未知の情報が(14)式に含まれており、正しく距離を算出することはできない。
(実施の形態の基本測距方法)
第1装置が送信した上述した2つの角周波数の信号を第2装置において受信して各信号の位相を求めると共に、第2装置が送信した上述した2つの角周波数の信号を第1装置において受信して各信号の位相を求める。更に、第1装置と第2装置のいずれか一方から他方に、位相情報を伝送する。本実施の形態においては、後述するように、第1装置の受信によって求められる2つの信号の位相差と第2装置の受信によって求められる2つの信号の位相差とを加算することにより、第1装置と第2装置との間の距離Rを求めるようになっている。なお、位相情報としては、I,Q信号であってもよく、I,Q信号から求めた位相の情報であってもよく、周波数が異なる2つの信号から求めた位相の差の情報であってもよい。
(構成)
図1において、第1装置1(以下、装置1ともいう)と第2装置2(以下、装置2ともいう)とは距離Rだけ離間して配置されている。装置1と装置2の少なくとも一方は移動自在であり、距離Rはこの移動に伴って変化する。装置1には、制御部11が設けられている。制御部11は、装置1の各部を制御する。制御部11は、CPU等を用いたプロセッサによって構成されて、メモリ12に記憶されたプログラムに従って動作して各部を制御するものであってもよい。
発振器13は、制御部11に制御されて、内蔵する基準発振器をもとに2つの周波数の発振信号(ローカル信号)を発生する。発振器13からの各発振信号は、送信部14及び受信部15に供給される。発振器13が発生する発振信号の角周波数は、送信部14の送信波の角周波数としてωC1+ωB1及びωC1−ωB1の2波を生成するために必要な角周波数に設定される。なお、発振器13が複数の発振器によって構成されている場合には、これらの各発振器は、共通の基準発振器の出力に同期して発振する。
送信部14は例えば直交変調器によって構成することができる。送信部14は、制御部11に制御されて、角周波数がωC1+ωB1の送信信号及び角周波数がωC1−ωB1の送信信号の2つの送信波を出力することができるようになっている。送信部14からの送信波はアンテナ回路17に供給される。
アンテナ回路17は、1つ以上のアンテナを有しており、送信部14からの送信波を送信することができるようになっている。また、アンテナ回路17は、後述する装置2からの送信波を受信して受信信号を受信部15に供給するようになっている。
受信部15は例えば直交復調器によって構成することができる。受信部15は、制御部11に制御されて、発振器13からの例えば角周波数がωC1,ωB1の信号を用いて、装置2からの送信波を受信して復調し、受信波の同相成分(I信号)及び直交成分(Q信号)を分離して出力することができるようになっている。
装置2の構成は装置1と同様である。すなわち、第2装置には、制御部21が設けられている。制御部21は、装置2の各部を制御する。制御部21は、CPU等を用いたプロセッサによって構成されて、メモリ22に記憶されたプログラムに従って動作して各部を制御するものであってもよい。
発振器23は、制御部21に制御されて、内蔵する基準発振器をもとに2つの周波数の発振信号を発生する。発振器23からの各発振信号は、送信部24及び受信部25に供給される。発振器23が発生する発振信号の角周波数は、送信部24の送信波の角周波数としてωC2+ωB2及びωC2−ωB2の2波を生成するために必要な角周波数に設定される。なお、発振器23が複数の発振器によって構成されている場合には、これらの各発振器は、共通の基準発振器の出力に同期して発振する。
送信部24は例えば直交変調器によって構成することができる。送信部24は、制御部21に制御されて、角周波数がωC2+ωB2の送信信号及び角周波数がωC2−ωB2の送信信号の2つの送信波を出力することができるようになっている。送信部24からの送信波はアンテナ回路27に供給される。
アンテナ回路27は、1つ以上のアンテナを有しており、送信部24からの送信波を送信することができるようになっている。また、アンテナ回路27は、装置1からの送信波を受信して受信信号を受信部25に供給するようになっている。
受信部25は例えば直交復調器によって構成することができる。受信部25は、制御部21に制御されて、発振器23からの例えば角周波数がωC2,ωB2の信号を用いて、装置1からの送信波を受信して復調し、受信波の同相成分(I信号)及び直交成分(Q信号)を分離して出力することができるようになっている。
図4は図1中の送信部14及び受信部15の具体的な構成の一例を示す回路図である。また、図5は図1中の送信部24及び受信部25の具体的な構成の一例を示す回路図である。図4及び図5はイメージ抑圧方式の送受信器を示しているが、この構成に限定されるものではない。
なお、イメージ抑圧方式の構成は公知であり、その特徴は、高周波用のローカル角周波数、ここではωC1又はωC2を中心として、より高い角周波数帯を復調するときには、より低い角周波数帯の信号は減衰され、より低い角周波数帯を復調するときには、より高い角周波数帯の信号は減衰されるというものである。このフィルタリング効果は信号処理に起因するものである。なお、送信についても同様である。ωC1又はωC2を中心としてより高い角周波数帯を復調するときは、図4及び図5中のsin(ωB1t+θB1)又はsin(ωB2t+θB2)を用い、より低い角周波数帯を復調するときは、図4及び図5中、−sin(ωB1t+θB1)又は−sin(ωB2t+θB2)を用いる。この極性の変更により復調する周波数帯が決まる。なお、θB1やθB2はt=0における各角周波数の位相、すなわち初期位相を表している。θC1やθC2も同様である。
なお、イメージ抑圧方式の受信器では、角周波数ωC1+ωC2近傍の高調波の項は、復調時に除去されるので、下記演算においては、この項を省略して示している。
送信部14は、乗算器TM01〜TM04,TM11,TM12及び加算器TS01,TS02,TS11によって構成されている。入力信号ITX1は、乗算器TM01,TM03に供給され、入力信号QTX1は、乗算器TM02,TM04に供給される。乗算器TM01,TM04には、発振器13からcos(ωB1t+θB1)が与えられ、乗算器TM02,TM03には、発振器13から±sin(ωB1t+θB1)のいずれかが与えられる。
乗算器TM01〜TM04,TM11,TM12はそれぞれ2入力を乗算し、加算器TS01は乗算器TM01,TM02の乗算結果を加算して乗算器TM11に出力し、加算器TS02は乗算器TM03の乗算結果からTM04の乗算結果を減算して乗算器TM12に出力する。
乗算器TM11には、発振器13からcos(ωC1t+θC1)が与えられ、乗算器TM12には、発振器13からsin(ωC1t+θC1)が与えられる。
乗算器TM11,TM12はそれぞれ2入力を乗算して、乗算結果を加算器TS11に与える。加算器TS11は乗算器TM11,TM12の出力を加算して加算結果を送信波tx1として出力するようになっている。
受信部15は、乗算器RM11〜RM16及び加算器RS11,RS12によって構成されている。乗算器RM11,RM12には、装置2の送信波がアンテナ回路17を介して受信信号rx1として入力される。乗算器RM11,RM12には、発振器13から角周波数がωC1で位相が相互に90度異なる発振信号がそれぞれ与えられる。乗算器RM11は2入力を乗算して乗算結果を乗算器RM13,RM14に与え、乗算器RM12は2入力を乗算して乗算結果を乗算器RM15,RM16に与える。
乗算器RM13,RM15には、発振器13から角周波数(ベースバンド用ローカル角周波数)がωB1の発振信号が与えられる。乗算器RM13は2入力を乗算して乗算結果を加算器RS11に与え、乗算器RM14は2入力を乗算して乗算結果を加算器RS12に与える。
また、乗算器RM14,RM16には、発振器13から角周波数がωB1の発振信号か又はその反転信号で乗算器RM13に与えるωB1の発振信号と直交した信号が与えられる。乗算器RM14は2入力を乗算して乗算結果を加算器RS12に与え、乗算器RM16は2入力を乗算して乗算結果を加算器RS11に与える。
加算器RS11は乗算器RM13,RM16の出力を減算して減算結果をI信号として出力するようになっている。また、加算器RS12は乗算器RM14,RM15の出力を加算して加算結果をQ信号として出力するようになっている。受信部15からのI,Q信号は制御部11に供給される。
図4及び図5の回路は同一の回路を示している。即ち、図5において、乗算器TM05〜TM08,TM21,TM22,RM21〜RM26及び加算器TS05,TS06,TS21,RS21,RS22の構成は、夫々図4の乗算器TM01〜TM04,TM11,TM12,RM11〜RM16及び加算器TS01,TS02,TS11,RS11,RS12の構成と同様である。発振器23の発振信号の周波数及び位相が発振器13と異なることから、図5においては、入力としてITX2,QTX2が供給されると共に、図4の角周波数ωB1に代えてベースバンド用ローカル角周波数ωB2が入力され、図4の角周波数ωC1に代えてωC2が入力される点が異なるのみである。受信部25からのI,Q信号は制御部21に供給される。
本実施の形態においては、装置1の制御部11は、送信部14を制御して、角周波数がωC1+ωB1及びωC1−ωB1の2つの送信波をアンテナ回路17を介して送信させる。
一方、装置2の制御部21は、送信部24を制御して、角周波数がωC2+ωB2及びωC2−ωB2の2つの送信波をアンテナ回路27を介して送信させる。
装置1の制御部11は、受信部15を制御して、装置2からの2つの送信波を受信させてI,Q信号を夫々取得する。制御部11は、2つの受信信号によりそれぞれ得られるI,Q信号から求めた2つの位相の差を求める。
同様に、装置2の制御部21は、受信部25を制御して、装置1からの2つの送信波を受信させてI,Q信号を夫々取得する。制御部21においても、2つの受信信号によりそれぞれ得られるI,Q信号から求めた2つの位相の差を求める。
本実施の形態においては、装置1の制御部11は、取得したI,Q信号に基づく位相情報を送信部14に与えて送信させる。なお、上述したように、位相情報としては、例えば所定の初期値を与えたり、2つの受信信号から求めたI,Q信号であってもよく、これらのI,Q信号から求めた位相の情報であってもよく、これらの位相の差の情報であってもよい。
例えば、制御部11は、角周波数がωB2の受信信号の位相情報に基づくI,Q信号を生成して乗算器TM11,TM12にそれぞれ供給することで、位相情報を送信するようにしてもよい。
また、制御部11は、角周波数がωB1の発振信号の出力時に、角周波数がωB1の発振信号の初期位相に角周波数ωB2の受信信号の位相情報を加算したI,Q信号を生成し、乗算器TM11,TM12にそれぞれ供給することで、位相情報を送信するようにしてもよい。
装置2の受信部25は、アンテナ回路27を介して送信部14が送信した位相情報を受信する。受信部25は受信信号を復調して、位相情報のI,Q信号を得る。このI,Q信号は制御部21に供給される。制御部21は、受信部25からの位相情報により、装置1の制御部11によって取得された位相差を含む値を得る。算出部としての制御部21は、受信部25の受信結果によって得た位相差と、装置2から送信された位相情報に基づく位相差とを加算することで、第1装置1と第2装置2との間の距離Rを算出する。
なお、図1では、第1装置1及び第2装置2のいずれも位相情報を送信する機能及び受信した位相情報を制御部に与えて距離Rを算出する機能を有する例を示してあるが、第1装置1及び第2装置2の一方において位相情報を送信する機能を有し、他方において受信した位相情報を制御部に与えて距離Rを算出する機能を有していればよい。
(通信型測距の基本動作)
次に、このような通信型測距における動作について装置2で距離を算出する場合を例として図6のフローチャートを参照して説明する。図6は左側に装置1の動作を示し、右側に装置2の動作を示している。図6において装置1,2のステップ相互間を結ぶ矢印は装置1,2間で通信が行われることを示している。なお、ステップS4、S5、S14、S15はほぼ同時に実行される。
装置1の制御部11は、ステップS1において、測距開始の指示があったか否かを判定し、測距開始の指示があると発振器13を制御して必要な発振信号の出力を開始させる。また、装置2の制御部21は、ステップS11において、測距開始の指示があったか否かを判定し、測距開始の指示があると発振器23を制御して必要な発振信号の出力を開始させる。
なお、後述するように、制御部11はステップS9において発振を終了させ、制御部21はステップS20において発振を終了させている。制御部11,21における発振の開始及び終了の制御は、測距のための送信及び受信期間中には、発振器13,23の発振を停止させないことを示すものであり、実際の発振の開始及び終了タイミングは図6のフローに限定されない。発振器13,23の発振が継続している期間には、各発振器13,23の初期位相が新たに設定されることはない。
装置1の制御部11は、ステップS3において2つの送信信号を生成して、これらの送信信号を送信波としてアンテナ回路17から送信させる(ステップS4)。また、装置2の制御部21は、ステップS13において2つの送信信号を生成して、これらの送信信号を送信波としてアンテナ回路27から送信させる(ステップS14)。
装置1の発振器13から出力される周波数がωC1の発振信号の初期位相はθC1であり、周波数がωB1の発振信号の初期位相はθB1であるものとする。なお、上述したように、これらの初期位相θC1,θB1は、発振器13の発振が継続する限り、新たに設定されることはない。
なお、装置2の発振器23から出力される周波数がωC2の発振信号の初期位相はθC2であり、周波数がωB2の発振信号の初期位相はθB2であるものとする。これらの初期位相θC2,θB2についても、発振器23の発振が継続する限り、新たに設定されることはない。
なお、2周波の同時送信、同時受信を想定した場合は、装置1に図4の無線部が2つ、装置2に図5の無線部が2つ必要となる。もしくはスーパーヘテロダイン方式等の無線機を用いる。ただし、それぞれの発振器は同一のものを使用するものとする。
(装置1からの角周波数がωC1+ωB1の送信波の送受信)
いま、図4において、ITX1=1,QTX1=0、すなわち半径1、位相0度のIQ信号を与えるものとすると、送信部14を構成する乗算器TM11,TM12及び加算器TS11によって、装置1からは角周波数がωC1+ωB1とωC1−ωB1の2送信波が出力される。角周波数がωC1+ωB1の送信信号tx1(t)は、下記(18)式で表される。
tx1(t)=cos(ωC1t+θC1)cos(ωB1t+θB1)−sin(ωC1t+θC1)sin(ωB1t+θB1
=cos{(ωC1+ωB1)t+θC1+θB1} …(18)
装置1、2相互間の距離をRとし、装置1からの送信波が装置2において受信されるまでの遅延をτとすると、装置2の受信信号rx2(t)は、下記(19),(20)式によって示すことができる。
rx2(t)=cos{(ωC1+ωB1)(t−τ)+θC1+θB1
=cos{(ωC1+ωB1)t+θC1+θB1−θτH1} …(19)
θτH1=(ωC1+ωB1)τ …(20)
この受信信号rx2(t)がアンテナ回路27によって受信されて受信部25に供給される。図5の受信器においては、受信信号rx2(t)は、乗算器RM21,RM22に入力される。次に、図5の受信器の各ノードにおける信号を順次計算する。乗算器RM21,RM23,RM24の出力を夫々I(t),I(t),I(t)とし、乗算器RM22,RM26,RM25の出力を夫々Q(t),Q(t),Q(t)とし、加算器RS21,RS22の出力を夫々I(t),Q(t)とする。これらの出力は、下記(21)式〜(26)式によって示される。
(t)=cos(ωC2t+θC2)×cos{(ωC1+ωB1)t+θC1+θB1−θτH1} …(21)
(t)=sin(ωC2t+θC2)×cos{(ωC1+ωB1)t+θC1+θB1−θτH1} …(22)
(t)=I(t)×cos(ωB2t+θB2) …(23)
(t)=Q(t)×sin(ωB2t+θB2) …(24)
(t)=I(t)×sin(ωB2t+θB2) …(25)
(t)=Q(t)×cos(ωB2t+θB2) …(26)
加算器RS21の出力I(t)は、I(t)=I(t)+Q(t)であり、加算器RS22の出力Q(t)は、Q(t)=I(t)−Q(t)である。これらのI(t),Q(t)から得られる位相θH1(t)は、下記(27)で示される。
θH1(t)=tan−1(Q(t)/I(t))=−{(ωC1−ωC2)t+(ωB1−ωB2)t+θC1−θC2+θB1−θB2−θτH1} …(27)
(装置2からの角周波数がωC2+ωB2の送信波の送受信)
同様に、図5において、ITX2=1,QTX2=0とする。この場合に、装置2から送信される角周波数ωC2+ωB2の信号tx2(t)が遅延τ後に、装置1で受信された場合において、装置1で検出するI(t),Q(t)信号から得られる位相θH2(t)を求める。
tx2(t)=cos(ωC2t+θC2)cos(ωB2t+θB2)−sin(ωC2t+θC2)sin(ωB2t+θB2
=cos{(ωC2+ωB2)t+θC2+θB2} …(28)
rx1(t)=cos{(ωC2+ωB2)(t−τ)+θC2+θB2
=cos{(ωC2+ωB2)t+θC2+θB2−θτH2} …(29)
θτH2=(ωC2+ωB2)τ …(30)
この受信信号rx1(t)がアンテナ回路17によって受信されて受信部15に供給される。図4の受信器においては、受信信号rx1(t)は、乗算器RM11,RM12に入力される。次に、図4の受信器の各ノードにおける信号を順次計算する。乗算器RM11,RM13,RM14の出力を夫々I(t),I(t),I(t)とし、乗算器RM12,RM16,RM15の出力を夫々Q(t),Q(t),Q(t)とし、加算器RS11,RS12の出力を夫々I(t),Q(t)とする。これらの出力は、下記(31)式〜(36)式によって示される。
(t)=cos(ωC1t+θC1)×cos{(ωC2+ωB2)t+θC2+θB2−θτH2} …(31)
(t)=sin(ωC1t+θC1)×cos{(ωC2+ωB2)t+θC2+θB2−θτH2} …(32)
(t)=I(t)×cos(ωB1t+θB1) …(33)
(t)=Q(t)×sin(ωB1t+θB1) …(34)
(t)=I(t)×sin(ωB1t+θB1) …(35)
(t)=Q(t)×cos(ωB1t+θB1) …(36)
加算器RS11の出力I(t)は、I(t)=I(t)+Q(t)であり、加算器RS12の出力Q(t)は、Q(t)=I(t)−Q(t)である。これらのI(t),Q(t)から得られる位相θH2(t)=tan−1(Q(t)/I(t))は、下記(37)で示される。
θH2(t)=(ωC1−ωC2)t+(ωB1−ωB2)t+θC1−θC2+θB1−θB2+θτH2 …(37)
(装置1からの角周波数がωC1−ωB1の送信波の送受信)
次に、装置1から送信される角周波数ωC1−ωB1の信号tx1(t)について、同様の演算を行う。
tx1(t)=cos(ωC1t+θC1)cos(ωB1t+θB1)+sin(ωC1t+θC1)sin(ωB1t+θB1
=cos{(ωC1−ωB1)t+θC1−θB1} …(38)
となる。装置1、装置2間の距離はRで、遅延時間はτであるので、装置2での受信信号rx2(t)は、下記(39),(40)式で与えられる。
rx2(t)=cos{(ωC1−ωB1)(t−τ)+θC1−θB1
=cos{(ωC1−ωB1)t+θC1−θB1−θτL1} …(39)
θτL1=(ωC1−ωB1)τ …(40)
装置2の各ノードの信号は、下記(43)〜(47)式に示すことができる。
(t)=cos(ωC2t+θC2)×cos{(ωC1−ωB1)t+θC1−θB1−θτL1} …(41)
(t)=sin(ωC2t+θC2)×cos{(ωC1−ωB1)t+θC1−θB1−θτL1} …(42)
(t)=I(t)×cos(ωB2t+θB2) …(43)
(t)=Q(t)×−sin(ωB2t+θB2) …(44)
(t)=I(t)×−sin(ωB2t+θB2) …(45)
(t)=Q(t)×cos(ωB2t+θB2) …(46)
加算器RS21から得られるI(t)=I(t)−Q(t)と、加算器RS22から得られるQ(t)=I(t)+Q(t)から装置2で検出する位相θL1(t)=tan−1(Q(t)/I(t))は、下記(47)式で与えられる。
θL1(t)=tan−1(Q(t)/I(t))=−{(ωC1−ωC2)t−(ωB1−ωB2)t+θC1−θC2−(θB1−θB2)−θτL1} …(47)
(装置2からの角周波数がωC2−ωB2の送信波の送受信)
同様に、装置2から送信される角周波数ωC2−ωB2の信号tx2(t)が遅延τ2後に、装置1で受信された場合において、装置1で検出するI(t),Q(t)信号から得られる位相θL2(t)を求める。
tx2(t)=cos(ωC2t+θC2)cos(ωB2t+θB2)+sin(ωC2t+θC2)sin(ωB2t+θB2
=cos{(ωC2−ωB2)t+θC2−θB2} …(48)
rx1(t)=cos{(ωC2−ωB2)(t−τ)+θC2−θB2
=cos{(ωC2−ωB2)t+θC2−θB2−θτL2} …(49)
θτL2=(ωC2−ωB2)τ …(50)
装置1の各ノードの信号は、下記(53)〜(57)式に示すことができる。
(t)=cos(ωC1t+θC1)×cos{(ωC2−ωB2)t+θC2−θB2−θτL2} …(51)
(t)=sin(ωC1t+θC1)×cos{(ωC2−ωB2)t+θC2−θB2−θτL2} …(52)
(t)=I(t)×cos(ωB1t+θB1) …(53)
(t)=Q(t)×−sin(ωB1t+θB1) …(54)
(t)=I(t)×−sin(ωB1t+θB1) …(55)
(t)=Q(t)×cos(ωB1t+θB1) …(56)
加算器RS11から得られるI(t)=I(t)−Q(t)と、加算器RS12から得られるQ(t)=I(t)+Q(t)から装置1で検出する位相θL2(t)=tan−1(Q(t)/I(t))は、下記(57)式で与えられる。
θL2(t)=(ωC1−ωC2)t−(ωB1−ωB2)t+θC1−θC2−(θB1−θB2)+θτL2 …(57)
装置1の制御部11は、図6のステップS6において、受信部15が受信したI,Q信号を取得し、ステップS7において、上記(37),(57)式に示す位相θτH2(t)及びθτL2(t)を算出する。また、装置2の制御部21は、図6のステップS16において、受信部25が受信したI,Q信号を取得し、ステップS17において、上記(27),(47)式に示す位相θτH1(t)及びθτL1(t)を算出する。
制御部11は、取得した位相情報を送信部14に与えて送信させる(ステップS8)。例えば、制御部11は、図4の乗算器TM11,TM12に供給する発振信号に代えて、位相情報に基づくI,Q信号を供給する。なお、位相情報を伝送するための別の送信器を用いてもよい。
装置2の制御部21は、ステップS18において、装置1からの位相情報を受信する。上述したように、位相情報としては、装置1の受信部15からのI,Q信号であってもよく、このI,Q信号から得られた位相の情報であってもよく、また、これらの位相の差の情報であってもよい。
制御部21は、ステップS19において、下記(58)式の演算を行って距離を算出する。下記(58)式は、(27)式と(47)式との差分と、(37)式と(57)式との差分とを加算するものである。
{θH1(t)−θL1(t)}+{θH2(t)−θL2(t)}=(θτH1−θτL1)+(θτH2−θτL2) …(58)
また、下記(59)式及び(60)式が成立する。
θτH1−θτL1=(ωC1+ωB1)τ−(ωC1−ωB1)τ
=2ωB1τ …(59)
θτH2−θτL2=(ωC2+ωB2)τ−(ωC2−ωB2)τ
=2ωB2τ …(60)
また、装置1、装置2間の電波の遅延τ,τは進行方向によらず同じなので、(58)〜(60)式から下記(61)式が得られる。
{θH1(t)−θL1(t)}+{θH2(t)−θL2(t)}=(θτH1−θτL1)+(θτH2−θτL2
=2×(ωB1+ωB2)τ …(61)
τ=(R/c)であるから、上記(61)式は、装置2で検出したI,Q信号による2周波の位相差と装置1で検出したI,Q信号による2周波の位相差の加算により距離Rの2倍に比例する値が求まることを示す。装置1の発振器13による角周波数ωB1と装置2の発振器13による角周波数ωB2とは、一般に数十ppmのオーダーの誤差で一致させることができる。従って、上記(61)式による距離Rの算出は、少なくとも1m程度の分解能以上の分解能で求めることができる。
制御部11は、ステップS9において発振器13を停止させ、制御部21は、ステップS20において発振器23を停止させる。なお、上述したように、制御部11,21は、ステップS4,S5,S14,S15における送受信の期間に発振を継続させればよく、発振器13,23の発振の開始及び終了タイミングは図6の例に限定されるものではない。
(2πの剰余による距離の算出)
ところで、装置1と装置2で検出した位相差の加算を行うとき、その結果が負の値になる場合や、2π[rad]より大きくなる場合がある。この場合には2πの剰余をとることで検出位相に対する正しい距離Rを求めることができる。
図7及び図8は剰余系を用いた距離の算出手法を説明するための説明図である。
例えば、R=11m、ωB1=ωB2=2π×5MHzとしたとき、装置1によって得られる検出位相差Δθ12と装置2によって得られる検出位相差Δθ21とが、それぞれ下記(62)式及び(63)式に示すものとなるものとする。
Δθ12=θτH1−θτL1=−1.8849[rad] …(62)
Δθ21=θτH2−θτL2=−6.0737[rad] …(63)
上記(61)式から下記(61a)式が得られる。
(1/2)[{Δθ12}+{Δθ21}]=(ωB1+ωB2)(R/c) …(61a)
図7は上記(62)式及び(63)式の位相関係を示している。位相0度を基準に時計方向に回転する一番内側の矢印で示すΔθ21と内側から2番の矢印で示すΔθ12との和の位相は、内側から3番目の矢印で示すものとなる。この位相の半分の角度は、一番外側の矢印で示す太線の位相となる。
(61a)式から、−0.3993=(ωB1+ωB2)(R/c)となる。この式を解くと、R=−19mとなり、検出位相差が−π(rad)よりも大きいことから距離を正しく求めることができていないことが分かる。
そこで、本実施の形態においては、このような場合には、図8に示すように、Δθ12及びΔθ21のいずれも2πだけ加算して計算を行う。即ち、位相0度を基準に反時計方向に回転する一番内側の矢印で示す2π+Δθ21と内側から2番の矢印で示す2π+Δθ12との和の位相は、内側から3番目の矢印で示すものとなる。この位相の半分の角度は、一番外側の矢印で示す太線の位相となる。
2π+(Δθ12+Δθ21)/2=2.3008であり、(61a)式から、R=11mと求まる。
以上から、本実施の形態においては、検出位相差を加算する場合には2πの剰余をとって距離Rを求めればよい。なお、位相加算において2πの剰余を用いる手法は、他の実施の形態においても同様に適用可能である。
(複数の距離候補からの選択)
ところで、2πを超えた検出位相差を検出することはできないことから、算出された検出位相差に対して複数の距離の候補が存在する。複数存在する距離の候補から正しい距離を選択する手法として、角周波数が異なる3つの送信波を送信する方法と、受信電力により判定する方法とがある。
図9は横軸に距離をとり縦軸に位相をとって、角周波数が異なる3つの送信波を送信する例を示す説明図である。
τ=(R/c)であるから、上記(61)式から下記(64)式が得られる。
(1/2)×{(θτH1−θτL1)+(θτH2−θτL2)}=(ωB1+ωB2)×(R/c) …(64)
左辺をθdetと記すと、距離Rとθdetの関係は、図9の実線に示すものとなる。ただし、上記(64)式で計算される検出位相差の和θdetは、−π(rad)とπ(rad)の間以外の値も取り得るが、この検出位相差の和θdetは、−π(rad)とπ(rad)の間に変換したものである。これは、一般に、位相角は範囲[−π(rad),π(rad)]内で表示されることによる。
図9を参照すると、検出位相差の和θdetによる距離の候補としては、R、R、Rがある。ここで、検出位相差の和θdetは、角周波数ωC1+ωB1,ωC1−ωB1,ωC2+ωB2,ωC2−ωB2の各送信波の送受信により得た位相の加減算結果であるが、新たに、角周波数ωC1+ωB1/Q,ωC2+ωB2/Qの送信波の送受信により得た位相の加減算結果を考える。但し、Qは下記(65)式を満足する有理数とする。
Q>1 …(65)
新たな角周波数での検出位相と距離Rとの関係は、図9の破線によって示すことができる。上記距離の候補R〜Rから正しい距離を選択するには、新たな角周波数で得られた検出位相の結果を参照する。すなわち、θdet1が検出されれば、距離Rと判断し、θdet2が検出されれば、距離Rと判断する。なお、電波のカバー範囲を小さく抑えれば、上記の位相折り返しによる検査は不要である。なお、上記説明では異なる3つの周波数の送信について述べたが、同様なことは異なる3つ以上の周波数を送信しても実現できる。
次に、図10の説明図を参照して検出した信号の振幅観測により、正しい距離を選択する方法について説明する。
上記(8)式では、距離Rに応じて減衰Lで振幅が減衰するものと説明したが、一般的に自由空間の伝搬減衰は下記(66)式で表される。
=(λ/4πR) …(66)
ここで、λは波長である。(66)式によれば、距離Rが大きければ減衰Lも大きく、距離Rが小さければ減衰Lも小さい。受信電力Pを縦軸にとった図10はこの関係を示している。送受信のアンテナ利得を1、送信電力をPと仮定すると、距離Rでの受信電力Pと距離Rでの受信電力Pはそれぞれ下記(67)式又は(68)式によって与えられる。
=(λ/4πR×P …(67)
=(λ/4πR×P …(68)
この受信電力と検出位相差の和θdetとから距離RとRの区別が可能となる。
なお、この場合、位相加算においても2πの剰余を用いることで、確実な測距が可能となる。
このように本実施の形態の基本測距方法では、第1装置及び第2装置からそれぞれ2つの角周波数の信号をそれぞれ第2装置及び第1装置に送信すると共に、第1及び第2装置においてそれぞれ角周波数が異なる2つの受信信号の2つの位相を求める。そして、第1装置と第2装置のいずれか一方から他方に、求めた位相情報を伝送する。位相情報を受信した装置は、第1装置により受信した2つの受信信号の位相差と第2装置により受信した2つの受信信号の位相差との加算結果により、第1装置と第2装置の発振器の初期位相に拘わらず、第1装置と第2装置との間の距離を正確に算出する。この測距システムでは、反射波を用いておらず、第1装置及び第2装置からの直接波のみによって、正確な測距を行っており、測距可能な距離を拡大することができる。
ところで、上記説明は、上記(58)式において電波の遅延τ,τが同一であるものとして、検出位相差の加算から距離を求める上記(61)式を求めた。しかしながら、この(58)式は、装置1,2において送受信する処理が同時に行われた場合の例である。
しかしながら、国内電波法の規定から、同時送受信ができない周波数帯が存在する。例えば、920MHz帯などがその一例となる。このような周波数帯で測距を行う場合には時系列で送受信を行わざるを得ない。本実施の形態においては、このような時系列送受信の場合に対応した例を示す。
(時系列送受信における課題)
装置1,2間において、同時刻には1波しか送受信できないものと規定した場合には、測距に必要な少なくとも4波の送受信を時系列で実施する必要がある。しかしながら、時系列送受信を実施すると、検出位相に時系列処理で生じた遅延分の位相が加算されてしまい、伝搬に要した位相が求められなくなる。上記(58)式を変形してこの理由について説明する。
なお、図6の破線部分はほぼ同時に実行されるものであるが、時系列処理で1波ずつ送受信する場合、破線の部分は図11Aのようになる。
上記と同様に、互いに距離Rだけ離間する装置1,2において、装置1から送信した角周波数ωC1+ωB1の信号を装置2において検出した場合の位相(シフト量)をθH1とし、装置1から送信された角周波数ωC1−ωB1の信号を装置2において検出した場合の位相をθL1とし、装置2から送信した角周波数ωC2+ωB2の信号を装置1において検出した場合の位相(シフト量)をθH2とし、装置2から送信された角周波数ωC2−ωB2の信号を装置1において検出した場合の位相をθL2とする。
いま、例えば、位相検出順序をθH1、θL2、θH2、θL1とする。また、図11B及び図11Cに示すように、各送信信号は、時間Tだけずれて送受信されるものとする。この場合には、上記(27)式、(37)式、(47)式及び(57)式の(t)に時間を代入し、上記(58)式を変形した下記(79)式が成立する。
{θH1(t)−θL1(t+3T)}+{θH2(t+2T)−θL2(t+T)}
=(θτH1−θτL1)+(θτH2−θτL2)+(ωC1−ωC2)4T …(79)
上記(79)式の最終項が時系列送受信により付加された位相である。この付加された位相は、受信するRF(高周波)信号の角周波数とほぼ同じローカル角周波数に対する装置1、装置2の誤差角周波数と遅延4Tの乗算結果となる。ローカル周波数を920[MHz]、周波数誤差を40[ppm]、遅延Tを0.1[ms]とした場合、付加された位相は、360°×14.7となり、付加された位相による誤差が大き過ぎて、正しく測距できないことが分かる。
次に、位相検出順序をθH1,θL1,θH2,θL2とするものとする。図12A及び図12Bはこの場合の例を示している。この場合には、下記(58)式を変形して、下記(80)式が得られる。
{θH1(t)−θL1(t+T)}+{θH2(t+2T)−θL2(t+3T)}
=(θτH1−θτL1)+(θτH2−θτL2)+(ωB1−ωB2)4T …(80)
この(80)式の最終項が時系列送受信により付加された位相である。この付加された位相は、受信する高周波信号の低い角周波数とほぼ同じベースバンド用ローカル角周波数に対する装置1、装置2の誤差角周波数と遅延4Tの乗算結果となる。ベースバンド用ローカル周波数を5[MHz]、周波数誤差を40[ppm]、遅延Tを0.1[ms]とした場合、360°×0.08=28.8°となり、前例より正確に測距できることが分かる。
しかし、この場合においても、誤差分がシステム仕様の許容誤差内にあるか否かはシステム依存となる。本実施の形態は、時系列送受信により発生する距離誤差を小さくする時系列の手順を提示するものである。なお、本実施の形態は、電波法により規定された送受信の規制を考慮した手順を示すものである。
(具体的な手順(8回交番シーケンス)の例)
先ず、送信遅延による影響を考える。
上記(58)式を変形して、下記(81)式を得る。
{θH1(t)+θH2(t)}−{θL1(t)+θL2(t)}=(θτH1+θτH2)−(θτL1+θτL2) …(81)
なお、ここで、
θH1(t)+θH2(t)=θτH1+θτH2 …(82)
θL1(t)+θL2(t)=θτL1+θτL2 …(83)
である。
無線通信において、自分宛ての信号を受信したとき、キャリアセンスなしで返信できる規定がある。これに従い、装置1から装置2へ信号を送信終了後、ただちに、装置2から装置1へ返信することにする。解析を簡単にするため、装置1が送信してからt後に装置2が装置1へ返信すると仮定する。(27)式及び(37)式から下記(84)式が得られる。
θH1(t)+θH2(t+t)=θτH1+θτH2+{(ωB1−ωB2)+(ωC1−ωC2)}t …(84)
遅延tは時系列的には最短の時間であり、装置1から装置2へ角周波数ωC1+ωB1の信号を送る時間、送受タイミングマージン、伝搬遅延を含むものである。右辺、第3項、第4項は遅延tによる位相誤差になる。周波数が高いことから第4項が特に問題となるが、これについては後で言及する。
次に、(84)式の左辺に、さらに遅延Tを追加するものとする。図13はこのような伝送手順を示している。図13に示すように、この場合の検出位相の加算値は、遅延Tの追加に拘わらず同一である。従って、下記(85)式が得られる。
θH1(t+T)+θH2(t+t+T)=θτH1+θτH2+{(ωB1−ωB2)+(ωC1−ωC2)}t …(85)
上記(85)式の右辺と上記(84)式の右辺とは同じである。即ち、相対的時間差が同一であれば(上記例ではT)、装置1から送信された信号を装置2で受信した位相と装置2から送信された信号を装置1で受信した位相の加算結果は、遅延Tに拘わらず変化しない。つまり、これらの位相の加算結果は、遅延Tに依存しない値となる。
次に、角周波数ωC1−ωB1信号の装置1、装置2間の送受信においても同様に示す。即ち、上記(47)式及び(57)式から、下記(86)式、(87)式が得られる。
θL1(t)+θL2(t+t)=θτL1+θτL2+{−(ωB1−ωB2)+(ωC1−ωC2)}t …(86)
θL1(t+T)+θL2(t+t+T)=θτL1+θτL2+{−(ωB1−ωB2)+(ωC1−ωC2)}t …(87)
上記考察から、角周波数ωC1+ωB1信号の双方向の送受信後、角周波数ωC1−ωB1信号の送受信を行うシーケンスを考える。装置1から角周波数ωC1+ωB1信号の送信開始時間を基準として、装置1から角周波数ωC1−ωB1信号の送信開始時間をTとすると、上記(84)式及び(87)式から下記(88)式が得られる。ただし、T>tである。
θH1(t)+θH2(t+t)−{θL1(t+T)+θL2(t+t+T)}
=θτH1−θτL1+θτH2−θτL2+2(ωB1−ωB2)t …(88)
上記(88)式の左辺の最終項が送信遅延による位相誤差である。受信した高周波用のローカル周波数の遅延誤差は角周波数ωC1+ωB1信号と角周波数ωC1−ωB1信号の差分をとることで打ち消されている。したがって、位相誤差は時系列的には最短の遅延時間tとベースバンド用のローカル角周波数(例えば2π×5[MHz])の誤差の乗算となる。遅延時間tを小さく設定すれば誤差は小さくなる。従って、遅延時間tの値によっては、実使用上は、精度上問題無い測距が可能と言える。
次に、距離推定誤差要因である上記(88)式の最終項を除去する手法について説明する。
上記(27)式と(37)式から、下記(89)式が得られる。
θH1(t+t)+θH2(t)=θτH1+θτH2−{(ωB1−ωB2)+(ωC1−ωC2)}t …(89)
この(89)式の左辺に所定の遅延Dを加えても、上述したように、右辺の値は変化しない。従って、下記(90)式が得られる。
θH1(t+t+D)+θH2(t+D)=θτH1+θτH2−{(ωB1−ωB2)+(ωC1−ωC2)}t …(90)
上記(84)式と(90)式を加算すると、下記(91)式が得られる。
θH1(t)+θH2(t+t)+θH1(t+t+D)+θH2(t+D)=2(θτH1+θτH2) …(91)
図14の左側は上記(91)式の状態を示している。この(91)式においてD=tとすると、下記(92)式が得られる。
θH1(t)+2θH2(t+t)+θH1(t+2t)=2(θτH1+θτH2) …(92)
上記(92)式の右辺は、時間依存のない距離に応じた電波伝搬遅延の項のみとなる。
上記(47)式及び(57)式から、下記(93)式が得られる。
θL1(t+t)+θL2(t)=θτL1+θτL2−{−(ωB1−ωB2)+(ωC1−ωC2)}t …(93)
この(93)式の左辺に所定の遅延Dを加えても、右辺の値は変化しない。従って、下記(94)式が得られる。
θL1(t+t+D)+θL2(t+D)=θτL1+θτL2−{−(ωB1−ωB2)+(ωC1−ωC2)}t …(94)
上記(86)式と(94)式を加算すると、下記(95)式が得られる。
θL1(t)+θL2(t+t)+θL1(t+t+D)+θL2(t+D)=2(θτL1+θτL2) …(95)
この(95)式において、D=tとすると、下記(96)式が得られる。
θL1(t)+2θL2(t+t)+θL1(t+2t)=2(θτL1+θτL2) …(96)
上記(96)式の右辺は、時間依存のない距離に応じた電波伝搬遅延の項のみとなる。
上記(92)式及び(96)式は、装置1の送信信号を装置2で位相検出し、t後に装置2の送信信号を装置1で位相検出し、2t後に再度装置1の送信信号を装置2で位相検出するシーケンスを意味している。以下、装置1の送信信号の送信及びこれに対する装置2の位相検出と、装置2の送信信号の送信及びこれに対する装置1の位相検出とが交番すると共に、これらの位相検出を時間をずらして再度測定することを「繰返し交番」と呼ぶことにする。
即ち、装置1,2において、それぞれ2つのキャリア信号を送信して受信すると共に、もう一度装置1又は2から他方の装置に対してt間隔でキャリア信号を送受信する繰返し交番を行うことによって、送信の順序及び時間は制限される代わりに、時間依存を受けることない正確な測距が可能となる。
更に、キャリア信号の送受信シーケンスによっては、繰返し交番をt間隔で行わなくても、時間に依存しない正確な測距が可能となる。
即ち、上記(95)式の左辺に固定遅延Tを加えても右辺は一定なので、
θL1(t+T)+θL2(t+t+T)+θL1(t+t+D+T)+θL2(t+D+T)=2(θτL1+θτL2) …(97)
上記(91)式と(97)式から、下記(98)式が得られる。
θH1(t)+θH2(t+t)+θH1(t+t+D)+θH2(t+D)
−{θL1(t+T)+θL2(t+t+T)+θL1(t+t+D+T)+θL2(t+D+T)}
=2{(θτH1−θτL1)+(θτH2−θτL2)}=4×(ωB1+ωB2)τ …(98)
上記(98)式は、角周波数ωC1+ωB1、ωC2+ωB2の往復を時間間隔Dで繰返し交番したのち、測定開始からT後に角周波数ωC1−ωB1、ωC2−ωB2の往復を時間間隔Dで繰返し交番するシーケンスを示しており、このシーケンスを採用することで、上記(88)式の最終項の距離推定誤差要因を除去して、正確な測距が可能であることを示している。
図14及び図15はこのシーケンスを示している。このようなシーケンスで位相を計測することにより伝搬遅延成分のみ取り出すことができる。即ち、装置1の制御部11は、所定タイミングで角周波数がωC1+ωB1の送信波(以下、送信波H1Aという)を送信する。装置2の制御部21は、送信波H1Aの受信直後に、角周波数がωC2+ωB2の送信波(以下、送信波H2Aという)を送信する。更に、装置2の制御部21は、送信波H2Aの送信後に角周波数がωC2+ωB2の送信波(以下、送信波H2Bという)を再度送信する。装置1の制御部11は、2回目の送信波H2Bの受信後に、再び角周波数がωC1+ωB1の送信波(以下、送信波H1Bという)を送信する。
また、更に制御部11は、角周波数がωC1−ωB1の送信波(以下、送信波L1Aという)を送信する。装置2の制御部21は、送信波L1Aの受信直後に、角周波数がωC2−ωB2の送信波(以下、送信波L2Aという)を送信する。更に、装置2の制御部21は、送信波L2Aの送信後に角周波数がωC2−ωB2の送信波(以下、送信波L2Bという)を再度送信する。装置1の制御部11は、2回目の送信波L2Bの受信後に、再び角周波数がωC1−ωB1の送信波(以下、送信波L1Bという)を送信する。
こうして、図14及び図15に示すように、装置2の制御部21は、所定の基準時間0から所定時間において送信波H1Aに基づく位相θH1(t)を取得し、時間t+Dから所定時間において送信波H1Bに基づく位相θH1(t+t+D)を取得し、時間Tから所定時間において送信波L1Aに基づく位相θL1(t+T)を取得し、時間t+D+Tから所定時間において送信波L1Bに基づく位相θL1(t+t+D+T)を取得する。
また、装置1の制御部11は、時間tから所定時間において送信波H2Aに基づく位相θH2(t+t)を取得し、時間Dから所定時間において送信波H2Bに基づく位相θH2(t+D)を取得し、時間t+Tから所定時間において送信波L2Aに基づく位相θL2(t+t+T)を取得し、時間D+Tから所定時間において送信波L2Bに基づく位相θL2(t+D+T)を取得する。
装置1又は2の少なくとも一方は、他方に、位相情報、即ち、求めた4つの位相又は2つの位相差又は位相差の上記(98)式の演算結果を送信する。位相情報を受信した装置1又は2の制御部は、上記(98)式の演算によって、距離を算出する。なお、図6のステップS7、S17では位相差算出と記載したが、この場合、必ずしもステップS7、S17で位相差を算出する必要はなく、S19の距離算出時に位相差の算出を行なってもよい。
このように図14及び図15の例は、第1装置及び第2装置からのキャリア信号を繰返し交番させることで、同時にキャリア信号を送受信できない場合でも、正確な測距が可能である。例えば、第1装置及び第2装置はそれぞれ2つの角周波数の信号を2回ずつそれぞれ第2装置及び第1装置に所定のシーケンスで送信して、第1及び第2装置のそれぞれにおいて位相差を求める。そして、第1装置と第2装置のいずれか一方から他方に、求めた位相情報を伝送し、位相情報を受信した装置は、第1装置及び第2装置により求めた8つの位相に基づいて、第1装置と第2装置との間の距離を算出する。これにより、第1装置と第2装置の発振器の初期位相に拘わらず、第1装置と第2装置との間の距離を正確に算出する。このように、各角周波数の信号を同時に送ることなく、相互にずれたタイミングで送受信した場合でも、距離推定の誤差を除去して正確な測距が可能である。
なお、図14及び図15の例では、装置1と装置2との間でキャリア信号の送受信の方向を交番させて、4回の送受信が行われ、装置1,2で計8回の送信及び位相検出が行われているが、以下、図14及び図15の送受信シーケンスを8回交番シーケンスという。
<通信時間を短縮するための伝送シーケンス>
以上説明したように、本実施の形態において採用する通信型測距技術においては、8回交番シーケンスを採用することで、時間ずれによる影響を完全になくして、正確な測距を行うことができる。しかし、8回交番シーケンスでは、装置1,2が2波を2回ずつ、つまり、装置1が4回、装置2も4回の送信を行う必要があり、測距に要する時間が比較的長い。
(4回交番シーケンス)
そこで、本実施の形態においては、正確な測距を可能にしつつ、より短時間に測距する手法(4回交番シーケンス)を提案する。
図16及び図17は本実施の形態において通信時間を短縮するための伝送シーケンスを示す説明図である。また、図18は図17のシーケンスに対応したタイミングチャートである。
図16に示すように、この伝送シーケンスにおいては、装置1は送信波ωC1+ωB1を送信し、装置2は送信波ωC2+ωB2を送信し、装置1はωC1−ωB1を生成して送信し、装置2はωC2−ωB2を生成して送信する。このように、図16及び図17の伝送シーケンスは、送信が4回交番して行われるので、4回交番シーケンスというものとする。
次に、4回交番シーケンスを採用した場合にも、8回交番シーケンスと同様に、時間ずれによる影響を完全になくして正確な測距を行う手法について説明する。
時系列伝送を考慮して求めた上述の(84)式〜(87)式は、それぞれ以下の(112)式〜(115)式に変形できる。即ち、(84)式のtを2tに置き換えることで(112)式が得られる。また、(85)式のTをtに置き換えることで(113)式が得られる。また、上述したように相対的に同一の遅延が加えられても算出された位相の加算結果に変化はないので、(86)式の左辺に所定の遅延Tを加え、tを2tに置き換えることで(114)式が得られる。同様に、(87)式のTをT+tに置き換えることで(115)式が得られる。
θH1(t)+θH2(t+2t)=θτH1+θτH2+2{(ωB1−ωB2)+(ωC1−ωC2)}t …(112)
θH1(t+t)+θH2(t+2t)=θτH1+θτH2+{(ωB1−ωB2)+(ωC1−ωC2)}t …(113)
θL1(t+T)+θL2(t+2t+T)=θτL1+θτL2+2{−(ωB1−ωB2)+(ωC1−ωC2)}t …(114)
θL1(t+t+T)+θL2(t+2t+T)=θτL1+θτL2+{−(ωB1−ωB2)+(ωC1−ωC2)}t …(115)
次に、2×(113)式−(112)式−{2×(115)式−(114)式}を求めると、下記(116)式が得られる。
θH2(t+2t)+2θH1(t+t)−θH1(t)−{θL2(t+2t+T)+2θL1(t+t+T)−θL1(t+T)}
=(θτH1−θτL1)+(θτH2−θτL2)=2×(ωB1+ωB2)τ …(116)
この(116)式は、装置1,2において求めた位相差の加算によって、遅延時間τを求めることができることを示している。即ち、(116)式は、上述した8回交番シーケンスを示す(98)式と同様に、距離推定誤差要因を除去して、正確な測距が可能であることを示している。
また、(116)式は、計6回の位相の測定を行うことを示している。即ち、装置2の時間t=0の検出位相θH1(t)、装置2の時間t=tの検出位相θH1(t+t)、装置1の時間t=2tの検出位相θH2(t+2t)、装置2の時間t=Tの検出位相θL1(t+T)、装置2の時間t=t+Tの検出位相θL1(t+t+T)、装置1の時間t=2t+Tの検出位相θL2(t+2t+T)を順次行えば良いことを示している。
この場合において、θH1(t)及びθH1(t+t)は、1回の伝送シーケンスによって位相を測定することができ、また、θL1(t+T)及びθL1(t+t+T)は、1回の伝送シーケンスによって位相を測定することができる。
図17はこのシーケンスを示している。なお、図17のシーケンスを実現する場合には、図6の破線部分は例えば図18に示すものとなる。図17のシーケンスを実現するために、装置1の制御部11は、t=0及びt=tに対応するタイミングで角周波数がωC1+ωB1の送信波を装置2に送信する。装置2の制御部21は、この送信波の受信直後のt=2tに対応するタイミングで、角周波数がωC2+ωB2の送信波を送信する。
更に、装置1の制御部11は、t=T及びt=t+Tに対応するタイミングで角周波数がωC1−ωB1の送信波を送信する。装置2の制御部21は、この送信波の受信直後のt=2t+Tに対応するタイミングで、角周波数がωC2−ωB2の送信波を送信する。
こうして、図17に示すように、装置2の制御部21は、時間t=0及びt=tにおける受信信号に基づいて位相θH1(t)及びθH1(t+t)を取得し、時間t=T及びt=t+Tにおける受信信号に基づいて位相θL1(t+T)及びθL1(t+t+T)を取得する。
また、装置1の制御部11は、時間t=2tにおける受信信号に基づいて位相θH2(t+2t)を取得し、時間t=2t+Tにおける受信信号に基づいて位相θL2(t+2t+T)を取得する。
4回交番シーケンスで位相を計測した装置1及び装置2の一方は、自機において取得した位相情報を、装置1及び装置2の他方に送信する。装置1及び装置2のうち位相情報の提供を受けた装置は、上記(116)式の演算によって、距離を算出する。こうして、4回交番シーケンスを採用した場合においても、伝搬遅延成分のみを抽出して、正確な測距が可能である。
図19及び図20は実施の形態の効果を説明するための説明図である。図19及び図20は水平方向に時間をとり、1回の測距に必要な装置1,装置2からの送信シーケンスを示している。図19は図15の8回交番シーケンスに対応したシーケンスを示し、図20は図17の4回交番シーケンスに対応したシーケンスを示している。
なお、図19及び図20は、電波法において同時送受信が禁止された周波数帯(日本国内サブGHz(920MHz帯))が存在することを考慮したものである。なお、図19及び図20において、装置1から出力される2つの送信波を送信波A1,B1とし、装置2から出力される2つの送信波を送信波A2,B2とする。図19及び図20の例は、送信波A1,A2を928MHz帯のチャンネルCH61によって送受信し、送信波B1,B2を922.4MHz帯のチャンネルCH33によって送受信する例を示している。
8回交番シーケンスを示す図19において、装置1は、キャリアセンスを例えば128μS(秒)間実施した後、送信波A1を送信する。装置2は、送信波A1を受信した後、キャリアセンスを例えば128μS間実施した後、送信波A2を送信する。更に、装置2は、送信波A2の送信に続けて送信波A2を再度送信する。装置1は、装置2からの送信波A2を受信した後、キャリアセンスを例えば128μS(秒)間実施した後、送信波A1を送信する。
次に、装置1は、送信波A1の送信に続けてキャリアセンスを例えば128μS(秒)間実施した後、送信波B1を送信する。装置2は、送信波B1を受信した後、キャリアセンスを例えば128μS間実施した後、送信波B2を送信する。更に、装置2は、送信波B2の送信に続けて送信波B2を再度送信する。装置1は、装置2からの送信波B2を受信した後、キャリアセンスを例えば128μS(秒)間実施した後、送信波B1を送信する。
一方、4回交番シーケンスを示す図20において、装置1は、キャリアセンスを例えば128μS(秒)間実施した後、送信波A1を送信する。なお、装置1は、装置2が時間t=0,t=tのタイミングで2回送信波A1を受信できるように送信波A1の送信を行えばよい。装置2は、送信波A1を2回受信した後、キャリアセンスを例えば128μS間実施して送信波A2を送信する。
次に、装置1は、装置2からの送信波A2を受信した後、キャリアセンスを例えば128μS(秒)間実施し、送信波B1を送信する。なお、装置1は、装置2が時間t=T,t=t+Tのタイミングで2回送信波B1を受信できるように送信波B1の送信を行えばよい。装置2は、送信波B1を2回受信した後、キャリアセンスを例えば128μS間実施して送信波B2を送信する。
図19と図20との比較から明らかなように、4回交番シーケンスは、通信に要する時間が8回交番シーケンスの6/8倍であり、通信時間を短縮することができる。なお、キャリアセンス実施時において、4回交番シーケンスのキャリアセンス回数は、8回交番シーケンスのキャリアセンス回数の4/6倍である。
ところで、8回交番シーケンスを示す上記(98)式は、検出位相の演算結果が2πの剰余系、すなわち0〜2πの間で求めた場合に成立する。(98)式の左辺をS8Aとし、ある整数をn8Aとすると、下記(99)式が成立する。
8A+n8A×2π=4(ωB1+ωB2)τ …(99)
この(99)式を変形して、下記(100)式が得られる。
(ωB1+ωB2)τ=(S8A/4)+(n8A×π/2) …(100)
上記(100)式は、(ωB1+ωB2)τがπ/2周期の不確定性を持つことを示している。即ち、(ωB1+ωB2)τは、π/2の剰余系で求められることになる。
従って、τ=(R/c)であるから、8回交番シーケンスにおいて測距可能な最大距離(以下、最大測距距離という)は、4波を同時に送信して上記(61)式により距離を求める場合の1/2である。
一方、4回交番シーケンスを示す上記(116)式も、検出位相の演算結果が2πの剰余系、すなわち0〜2πの間で求めた場合に成立する。(116)式の左辺をS4Aとし、ある整数をn4Aとすると、下記(117)式が成立する。
(ωB1+ωB2)τ=(S4A/2)+(n4A×π) …(117)
上記(117)式は、(ωB1+ωB2)τがπ周期の不確定性を持つことを示している。即ち、(ωB1+ωB2)τは、πの剰余系で求められることになる。
以上から、4回交番シーケンスの測距可能な最大距離(以下、最大測距距離という)は、8回交番シーケンスの最大測距距離の2倍であり、上記(61)式により距離を求める場合と同じ最大測距距離が得られることが分かる。
最大測距距離以上の距離を計測した結果は、近距離を計測した結果と同様となり、距離の区別がつかなくなることから、最大測距距離が大きい4回交番シーケンスは、8回交番シーケンスに比べて有利である。また、最大測距距離は、(ωB1+ωB2)が小さい程大きくなるが、4回交番シーケンスではこの値が2倍になった場合でも、8回交番シーケンスと同じ最大測距距離が得られる。つまり、4回交番シーケンスは、8回交番シーケンスと同じ最大測距距離を得られればよい場合には、使用可能な周波数(チャンネル)の組み合わせを増やすことができ、空チャンネルでの測定がし易くなるという利点がある。
このように本実施の形態においては、第1装置及び第2装置からのキャリア信号を繰返し交番させることで、正確な測距が可能である。この場合において、4回交番シーケンスを採用することにより、8回交番シーケンスに比べて、測距に必要な通信時間を短縮することが可能である。しかも、4回交番シーケンスは、8回交番シーケンスに比べて、最大測距距離を2倍に増加させることが可能であり、使用周波数の自由度を増大させることができる。
(第2の実施の形態)
図21は本発明の第2の実施の形態を説明するための説明図である。図21は通信時間を短縮するための伝送シーケンスを示している。また、図22は図21のシーケンスに対応したタイミングチャートである。本実施の形態におけるハードウェア構成は第1の実施の形態と同様である。本実施の形態は、第1の実施の形態における4回交番シーケンスに対して送信順序が異なる4回交番シーケンスを採用した点が第1の実施の形態と異なるのみである。
本実施の形態の伝送シーケンスにおいても、図16に示すように、装置1は2つの送信波ωC1+ωB1,ωC1−ωB1を生成して送信し、装置2は2つの送信波ωC2+ωB2,ωC2−ωB2を生成して送信する。
第1の実施の形態の4回交番シーケンスにおいては、装置1の送信時間は、装置2の送信時間の約2倍である。これと同様に、装置2の送信時間を装置1の送信時間の約2倍にして測距することも可能である。本実施の形態はこの場合の例を示している。
時系列伝送を考慮して求めた上述の(84)式〜(87)式は、それぞれ以下の(118)式〜(121)式に変形できる。即ち、(118)式は、(84)式と同じ式である。(85)式のTをT=0とし、tを2tに置き換えることで(119)式が得られる。また、(86)式の左辺に所定の遅延Tを加えることで(120)式が得られる。同様に、(87)式のtを2tに置き換えることで(121)式が得られる。
θH1(t)+θH2(t+t)=θτH1+θτH2+{(ωB1−ωB2)+(ωC1−ωC2)}t …(118)
θH1(t)+θH2(t+2t)=θτH1+θτH2+2{(ωB1−ωB2)+(ωC1−ωC2)}t …(119)
θL1(t+T)+θL2(t+t+T)=θτL1+θτL2+{−(ωB1−ωB2)+(ωC1−ωC2)}t …(120)
θL1(t+T)+θL2(t+2t+T)=θτL1+θτL2+2{−(ωB1−ωB2)+(ωC1−ωC2)}t …(121)
次に、2×(118)式−(119)式−{2×(120)式−(121)式}を求めると、下記(122)式が得られる。
θH1(t)+2θH2(t+t)−θH2(t+2t)−{θL1(t+T)+2θL2(t+t+T)−θL2(t+2t+T)}
=(θτH1−θτL1)+(θτH2−θτL2)=2×(ωB1+ωB2)τ …(122)
この(122)式からτを求めることができる。即ち、(122)式は、第1の実施の形態の4回交番シーケンスと同様に、距離推定誤差要因を除去して、正確な測距が可能であることを示している。
また、(122)式は、計6回の位相の測定を行うことを示している。即ち、装置2の時間t=0の検出位相θH1(t)、装置1の時間t=tの検出位相θH2(t+t)、装置1の時間t=2tの検出位相θH2(t+2t)、装置2の時間t=Tの検出位相θL1(t+T)、装置1の時間t=t+Tの検出位相θL2(t+t+T)、装置1の時間t=2t+Tの検出位相θL2(t+2t+T)を順次行えば良いことを示している。
この場合において、θH2(t+t)及びθH2(t+2t)は、1回の伝送シーケンスによって位相を測定することができ、また、θL2(t+t+T)及びθL2(t+2t+T)は、1回の伝送シーケンスによって位相を測定することができる。
図21はこのシーケンスを示している。なお、図21のシーケンスを実現する場合には、図6の破線部分は例えば図22に示すものとなる。図21のシーケンスを実現するために、装置1の制御部11は、t=0に対応するタイミングで角周波数がωC1+ωB1の送信波を装置2に送信する。装置2の制御部21は、この送信波の受信直後のt=t及びt=2tに対応するタイミングで、角周波数がωC2+ωB2の送信波を送信する。
更に、装置1の制御部11は、t=Tに対応するタイミングで角周波数がωC1−ωB1の送信波を送信する。装置2の制御部21は、この送信波の受信直後のt=t+T及びt=2t+Tに対応するタイミングで、角周波数がωC2−ωB2の送信波を送信する。
こうして、図21に示すように、装置2の制御部21は、時間t=0における受信信号に基づいて位相θH1(t)を取得し、時間t=Tにおける受信信号に基づいて位相θL1(t+T)を取得する。
また、装置1の制御部11は、時間t=t及びt=2tにおける受信信号に基づいて位相θH2(t+t)及びθH2(t+2t)を取得し、時間t=t+T及びt=2t+Tにおける受信信号に基づいて位相θL2(t+t+T)及びθL2(t+2t+T)を取得する。
図21に示す4回交番シーケンスで位相を計測した装置1及び装置2の一方は、自機において取得した位相情報を、装置1及び装置2の他方に送信する。装置1及び装置2のうち位相情報の提供を受けた装置は、上記(122)式の演算によって、距離を算出する。こうして、図21の4回交番シーケンスを採用した場合においても、伝搬遅延成分のみを抽出して、正確な測距が可能である。
本実施の形態を採用して測距を行う場合の通信シーケンスは、図20のA1期間の長さとA2期間の長さとを入れ替え、B1期間の長さとB2期間の長さとを入れ替えたものに相当する。従って、本実施の形態においても、測距に必要な通信時間を短縮可能である。
また、本実施の形態における4回交番シーケンスにおいても、最大測距距離は、8回交番シーケンスの最大測距距離の2倍であり、上記(61)式により距離を求める場合と同じ最大測距距離が得られることは明らかである。
このように本実施の形態においては、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
なお、一般的に、無線送受信装置においては、受信時消費電力よりも送信時消費電力の方が大きい。従って、第1の実施の形態においては装置1の方が装置2よりも測距のための通信に必要な消費電力が大きく、第2の実施の形態においては装置2の方が装置1よりも測距のための通信に要する消費電力が大きい。従って、2つの装置1,2のうち消費電力を低減したい装置がいずれの装置であるかに応じて第1及び第2の実施の形態のいずれを採用するかを決定すればよい。例えば、装置1が固定装置、装置2がバッテリで駆動される携帯装置の場合等においては、装置2の消費電力が小さい第1の実施の形態を採用した方がよい。
(第3の実施の形態)
図23及び図24は本発明の第3の実施の形態を説明するための説明図である。図23及び図24は通信時間を短縮するための伝送シーケンスを示している。本実施の形態におけるハードウェア構成は第1の実施の形態と同様である。本実施の形態は、第1及び第2の実施の形態における4回交番シーケンスに対して送信順序が異なる4回交番シーケンスを採用した点が第1及び第2の実施の形態と異なるのみである。
本実施の形態の伝送シーケンスにおいても、図16に示すように、装置1は2つの送信波ωC1+ωB1,ωC1−ωB1を生成して送信し、装置2は2つの送信波ωC2+ωB2,ωC2−ωB2を生成して送信する。
第1の実施の形態の(116)式を求めるために求めた2×(113)式−(112)式の値と、第2の実施の形態の(122)式を求めるために求めた2×(118)式−(119)式の値とは、いずれも同一の値(θτH1+θτH2)である。
同様に、第1の実施の形態の(116)式を求めるために求めた2×(115)式−(114)式の値と、第2の実施の形態の(122)式を求めるために求めた2×(120)式−(121)式の値とは、いずれも同一の値(θτL1+θτL2)である。
従って、{2×(113)式−(112)式}と{2×(118)式−(119)式}とを入れ替え、(118)式、(119)式、(114)式及び(115)式を用いて得られる下記(116a)式を用いても、(116)式及び(122)式と同様の結果を得ることができる。
θH1(t)+2θH2(t+t)−θH2(t+2t)−{θL2(t+2t+T)+2θL1(t+t+T)−θL1(t+T)}
=(θτH1−θτL1)+(θτH2−θτL2)=2×(ωB1+ωB2)τ …(116a)
また、同様に、{2×(115)式−(114)式}と{2×(120)式−(121)式}とを入れ替え、(112)式、(113)式、(120)式及び(121)式を用いて得られる下記(116b)式を用いても、(116)式及び(122)式と同様の結果を得ることができる。
θH2(t+2t)+2θH1(t+t)−θH1(t)−{θL1(t+T)+2θL2(t+t+T)−θL2(t+2t+T)}
=(θτH1−θτL1)+(θτH2−θτL2)=2×(ωB1+ωB2)τ …(116b)
図23は(116b)式を用いた場合の4回交番シーケンスを示している。また、図24は(116a)式を用いた場合の4回交番シーケンスを示している。
図23の例では、装置1の制御部11は、t=0及びt=tに対応するタイミングで角周波数がωC1+ωB1の送信波を装置2に送信する。装置2の制御部21は、この送信波の受信直後のt=2tに対応するタイミングで、角周波数がωC2+ωB2の送信波を送信する。
更に、装置1の制御部11は、t=Tに対応するタイミングで角周波数がωC1−ωB1の送信波を送信する。装置2の制御部21は、この送信波の受信直後のt=t+T及びt=2t+Tに対応するタイミングで、角周波数がωC2−ωB2の送信波を送信する。
こうして、図23に示すように、装置2の制御部21は、時間t=0及びt=tにおける受信信号に基づいて位相θH1(t)及びθH1(t+t)を取得し、時間t=Tにおける受信信号に基づいて位相θL1(t+T)を取得する。
また、装置1の制御部11は、時間t=2tにおける受信信号に基づいて位相θH2(t+2t)を取得し、時間t=t+T及びt=2t+Tにおける受信信号に基づいて位相θL2(t+t+T)及びθL2(t+2t+T)を取得する。
装置1,2において求めたこれらの位相を元に(116b)式を用いて、距離の算出が可能である。
また、図24の例では、装置1の制御部11は、t=0に対応するタイミングで角周波数がωC1+ωB1の送信波を装置2に送信する。装置2の制御部21は、この送信波の受信直後のt=t及びt=2tに対応するタイミングで、角周波数がωC2+ωB2の送信波を送信する。
更に、装置1の制御部11は、t=T及びt=t+Tに対応するタイミングで角周波数がωC1−ωB1の送信波を送信する。装置2の制御部21は、この送信波の受信直後のt=2t+Tに対応するタイミングで、角周波数がωC2−ωB2の送信波を送信する。
こうして、図24に示すように、装置2の制御部21は、時間t=0における受信信号に基づいて位相θH1(t)を取得し、時間t=T及びt=t+Tにおける受信信号に基づいて位相θL1(t+T)及びθL1(t+t+T)を取得する。
また、装置1の制御部11は、時間t=t及びt=2tにおける受信信号に基づいて位相θH2(t+t)及びθH2(t+2t)を取得し、時間t=2t+Tにおける受信信号に基づいて位相θL2(t+2t+T)を取得する。
装置1,2において求めたこれらの位相を元に(116a)式を用いて、距離の算出が可能である。
他の構成及び作用は第1及び第2の実施の形態と同様である。
このように本実施の形態においても、第1及び第2の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
(第4の実施の形態)(6回交番シーケンス)
図25及び図26は本発明の第4の実施の形態を説明するための説明図である。図25及び図26は通信時間を短縮するための伝送シーケンスを示している。本実施の形態におけるハードウェア構成は第1の実施の形態と同様である。本実施の形態は、4回交番シーケンスと略同様の通信時間で測距が可能な6回交番シーケンスを採用した点が第1から第3の実施の形態と異なる。
図25に示すように、この伝送シーケンスにおいては、装置1は送信波ωC1+ωB1を生成して送信し、装置2は送信波ωC2+ωB2を生成して送信し、装置1は送信波ωC1+ωB1を生成して再度送信する。次いで、装置1はωC1−ωB1を生成して送信し、装置2はωC2−ωB2を生成して送信し、装置1は送信波ωC1−ωB1を生成して再度送信する。このように、図25及び図26の伝送シーケンスは、送信が6回交番して行われるので、6回交番シーケンスというものとする。
図15の伝送シーケンスを示す(98)式においては、装置2から装置1に計4回の送信が行われているが、時間t=tとt=Dの送信波は、装置1での位相計測時間が異なるだけで同一の信号である。また、同様に、装置2からの時間t=t+Tとt=D+Tの送信波は、装置1での位相計測時間が異なるだけで同一の信号である。そこで、本実施の形態においては、これらの送信波を1回に纏めて送信することで、送信時間を短縮するようになっている。即ち、(98)式において、D=tとすると、下記(98’)式が導かれる。
θH1(t)+2θH2(t+t)+θH1(t+2t
−{θL1(t+T)+2θL2(t+t+T)+θL1(t+2t+T)}
=2{(θτH1−θτL1)+(θτH2−θτL2)}=4×(ωB1+ωB2)τ …(98’)
この(98’)式は、6回交番シーケンスによっても、上述した8回交番シーケンスを示す(98)式と同様に、装置1,2において求めた位相差の加算によって、遅延時間τ、即ち、装置1,2間の距離を、正確に測距することができることを示している。
図26はこのシーケンスを示している。図26のシーケンスを実現するために、装置1の制御部11は、t=0に対応するタイミングで角周波数がωC1+ωB1の送信波を装置2に送信する。装置2の制御部21は、この送信波の受信直後のt=tに対応するタイミングで、角周波数がωC2+ωB2の送信波を送信する。装置1の制御部11は、この送信波の受信直後のt=2tに対応するタイミングで、角周波数がωC1+ωB1の送信波を再度送信する。
更に、装置1の制御部11は、t=Tに対応するタイミングで角周波数がωC1−ωB1の送信波を送信する。装置2の制御部21は、この送信波の受信直後のt=t+Tに対応するタイミングで、角周波数がωC2−ωB2の送信波を送信する。装置1の制御部11は、この送信波の受信直後のt=2t+Tに対応するタイミングで、角周波数がωC1−ωB1の送信波を再度送信する。
こうして、図26に示すように、装置2の制御部21は、時間t=0及びt=2tにおける受信信号に基づいて位相θH1(t)及びθH1(t+2t)を取得し、時間t=T及びt=2t+Tにおける受信信号に基づいて位相θL1(t+T)及びθL1(t+2t+T)を取得する。
また、装置1の制御部11は、時間t=tにおける受信信号に基づいて位相θH2(t+t)を取得し、時間t=t+Tにおける受信信号に基づいて位相θL2(t+t+T)を取得する。
6回交番シーケンスで位相を計測した装置1及び装置2の一方は、自機において取得した位相情報を、装置1及び装置2の他方に送信する。装置1及び装置2のうち位相情報の提供を受けた装置は、上記(98’)式の演算によって、距離を算出する。こうして、6回交番シーケンスを採用した場合においても、伝搬遅延成分のみを抽出して、正確な測距が可能である。
なお、6回交番シーケンスでの測距に必要な通信時間は、4回交番シーケンスでの測距に必要な通信時間と略同様である。
(最大測距距離の2倍化)
ところで、6回交番シーケンスを示す(98’)式では、上記(99)式及び(100)式と同様の式が成立し、検出可能な最大測距距離は、4回交番シーケンスの1/2となる。しかし、式の変形によって最大測距距離を4回交番シーケンスと同じ距離に伸ばすことが可能である。以下、この方法について説明する。
装置2において装置1からの送信波の受信後に送信波を装置1に送信する場合を示す上記(84)式と、距離推定誤差要因を除去するために用いた上記(90)との差分を計算すると、下記(101)式が得られる。
θH1(t)+θH2(t+t)−θH1(t+t+D)−θH2(t+D)=2{(ωB1−ωB2)+(ωC1−ωC2)}t …(101)
同様に、(86)式−(94)式を計算すると、下記(102)式が得られる。
θL1(t)+θL2(t+t)−θL1(t+t+D)−θL2(t+D)=2{−(ωB1−ωB2)+(ωC1−ωC2)}t …(102)
(102)式の左辺のtに固定遅延Tを加えても右辺は一定なので、(103)式が得られる。
θL1(t+T)+θL2(t+t+T)−θL1(t+t+D+T)−θL2(t+D+T)
=2{−(ωB1−ωB2)+(ωC1−ωC2)}t …(103)
式(101)−式(103)を計算すると、下記(104)式が得られる。
θH1(t)+θH2(t+t)−θH1(t+t+D)−θH2(t+D)
−θL1(t+T)−θL2(t+t+T)+θL1(t+t+D+T)+θL2(t+D+T)=4(ωB1−ωB2)t …(104)
この(104)式において、D=tとすると、下記(110)式が得られる。
θH1(t)−θH1(t+2t)−θL1(t+T)+θL1(t+2t+T)=4(ωB1−ωB2)t …(110)
この(110)式の結果は、2πの剰余系で求まる。(110)式の左辺をSとおくと整数nを用いて、下記(105)式が得られる。
(ωB1−ωB2)t=(S/4)+(nπ/2) …(105)
(105)式の(ωB1−ωB2)tはπ/2周期の不確定性をもつ。
装置の設計値として、ベースバンド用ローカル周波数を5[MHz]、送受信間の周波数誤差を最大±40[ppm]、遅延tを0.1[ms]とした場合、360°×(5×10×±40[ppm])=±7.2°となる。即ち、上記(105)式の左辺は−π/4〜π/4[rad]=−45〜45°に収まることが明らかであり、不確定性を排除することができることが分かる。従って、−π〜π[rad]の間で求めたSを用いて、下記(111)式が得られる。
(ωB1−ωB2)t=S/4 …(111)
このように(111)式によって、(ωB1−ωB2)tを一意に求めることができる。
次に、(88)式に、(20)式、(30)式、(40)式及び(50)式を代入して、τ=τとすると、下記(107)式が得られる。
θH1(t)+θH2(t+t)−{θL1(t+T)+θL2(t+t+T)}
=2(ωB1+ωB2)τ+2(ωB1−ωB2)t …(107)
この(107)式は2πの剰余系で求まるので、左辺の値をSとすると、整数nを用いて、下記(108)式が得られる。
(ωB1+ωB2)τ=S/2+(ωB1−ωB2)t+nπ …(108)
(111)式から(ωB1−ωB2)tを一意に求めることができるので、この(111)式を(108)式に代入することにより、(ωB1+ωB2)τを、π周期の不確定性をもって求めることができる。
即ち、τ=(R/c)であるから、(98’)式を直接計算する代わりに、(110)式と(111)式から(ωB1−ωB2)tを求め、(107)式に代入して(ωB1+ωB2)τを計算することにより、最大測距距離を8回交番シーケンスの倍、即ち、4回交番シーケンスと同様に、上記(61)式により距離を求める場合と同じ最大測距距離まで延ばすことができる。
(110)式を得るにはθH1(t),θH1(t+2t),θL1(t+T),θL1(t+2t+T)を検出し、式(107)を得るにはθH1(t),θH2(t+t),θL1(t+T),θL2(t+t+T)を検出する必要がある。これはすなわち、図26に示した6回交番シーケンスで位相を計測することにより、4回交番シーケンスの最大測距距離まで測距できることを示している。
このように本実施の形態においても、6回交番シーケンスを採用して、正確な測距が可能であり、8回交番シーケンスに比べて約6/8倍に通信時間を短縮することが可能である。また、6回交番シーケンスにおいても、最大測距距離を上記(61)式により距離を求める場合と同じ最大測距距離まで延ばすことができる。
(送受信周波数の一般化)
次に、送受信周波数を一般化する例について説明する。
(8回交番シーケンスで位相計算を一度に計算する場合の周波数の一般化)
送信波がω+ω、ω−ωの場合には、上記(84)式、(20)式及び(30)式が得られる。
θH1(t)+θH2(t+t)=θτH1+θτH2+{(ωB1−ωB2)+(ωC1−ωC2)}t …(84)
θτH1=(ωC1+ωB1)τ …(20)
θτH2=(ωC2+ωB2)τ …(30)
角周波数を一般化して、装置1の送信波をωC1+ωH1、ωC1+ωL1とし、装置2の送信波の角周波数をωC2+ωH2、ωC2+ωL2と置き換えた場合、下記(123)式〜(130)式が成立する。なお、上記一般化した角周波数における検出位相は、Θ(t)と表記する。
ΘH1(t)+ΘH2(t+t)=ΘτH1+ΘτH2+(ωH1−ωH2)t+(ωC1−ωC2)t …(123)
ΘH1(t+t+D)+ΘH2(t+D)=ΘτH1+ΘτH2−(ωH1−ωH2)t−(ωC1−ωC2)t …(124)
ΘL1(t+T)+ΘL2(t+t+T)=ΘτL1+ΘτL2+(ωL1−ωL2)t+(ωC1−ωC2)t …(125)
ΘL1(t+t+D+T)+ΘL2(t+D+T)=ΘτL1+ΘτL2−(ωL1−ωL2)t−(ωC1−ωC2)t …(126)
ΘτH1=(ωC1+ωH1)τ …(127)
ΘτH2=(ωC2+ωH2)τ …(128)
ΘτL1=(ωC1+ωL1)τ …(129)
ΘτL2=(ωC2+ωL2)τ …(130)
よって、(98)式に相当する式は、下記(131)式で与えられる。
ΘH1(t)+ΘH2(t+t)+ΘH1(t+t+D)+ΘH2(t+D)
−{ΘL1(t+T)+ΘL2(t+t+T)+ΘL1(t+t+D+T)+ΘL2(t+D+T)}
=2(ΘτH1−ΘτL1)+2(ΘτH2−ΘτL2
=2(ωH1−ωL1)τ+2(ωH2−ωL2)τ …(131)
ここで、ωH1及びωH2の設計値をωとし、ωL1及びωL2の設計値をωとする。測距システムの目標仕様を考慮すると、ωに対するωH1,ωH2の誤差、ωに対するωL1,ωL2の誤差は、数10[ppm]のオーダーとなり、1m程度の分解能であれば設計値を用いても全く問題がない。τ=τとし、ωH1,ωH2に代えてωを用い、ωL1,ωL2に代えてωを用いて(131)式を改めると、下記(134)式が得られる。
ΘH1(t)+ΘH2(t+t)+ΘH1(t+t+D)+ΘH2(t+D)
−{ΘL1(t+T)+ΘL2(t+t+T)+ΘL1(t+t+D+T)+ΘL2(t+D+T)}
≒4(ω−ω)τ …(134)
この(134)式によってτを求めて、R=cτによって、距離を算出することができる。
(8回交番シーケンスにおいて位相計算を分割する場合の周波数の一般化)
8回交番シーケンスでは、最大測距距離は、(61)式により距離を求める場合の1/2になるものと説明したが、6回交番シーケンスの場合と同様に、位相計算を分割することによって最大測距距離を(61)式により距離を求める場合と同じ距離に延ばすことができる。
一般化した角周波数を用いて、(104)式を表すと、下記(135)式となる。
ΘH1(t)+ΘH2(t+t)−ΘH1(t+t+D)−ΘH2(t+D)
−ΘL1(t+T)−ΘL2(t+t+T)+ΘL1(t+t+D+T)+ΘL2(t+D+T)
=2{(ωH1−ωL1)−(ωH2−ωL2)}t …(135)
上記(135)式は2πの剰余系で求まるので、左辺をΣとおくと、整数mを用いて、下記(136)式が得られる。
{(ωH1−ωL1)−(ωH2−ωL2)}t=(Σ/2)+mπ …(136)
ここで、装置の設計値として、ωH1とωL1の角周波数差、ωH2とωL2の角周波数差を2π×10[MHz]とし、送受間の周波数誤差を最大±40[ppm]、遅延tを0.1[ms]とした場合、360°×(10×10×±40[ppm])=±14.4°なので、(136)式の左辺は、−π/2〜π/2[rad]=−90〜90°に収まることが明らかであり不確定性を排除することができる。すなわち、−π〜π[rad]の間で求めたΣをもちいて、下記(137)式が与えられる。
{(ωH1−ωL1)−(ωH2−ωL2)}t=Σ/2 …(137)
こうして、(137)式より、{(ωH1−ωL1)−(ωH2−ωL2)}tを一意に求めることができる。
上記(107)式に相当する式は、(134)式の導出時と同様に、下記(138)式として求められる。
ΘH1(t)+ΘH2(t+t)−{ΘL1(t+T)+ΘL2(t+t+T)}
=(ΘτH1−ΘτL1)+(ΘτH2−ΘτL2)+{(ωH1−ωL1)−(ωH2−ωL2)}t
=2(ω−ω)τ+{(ωH1−ωL1)−(ωH2−ωL2)}t …(138)
この(138)式に、(137)式の結果を代入することで、τを求めることができ、距離R=cτ から、距離を求めることができる。この場合には、(134)式により距離を求める場合の2倍の最大測距距離が得られ、(61)式により距離を求める場合と同じ最大測距距離に延ばすことができる。
(6回交番シーケンスで位相計算を分割して計算する場合の周波数の一般化)
上記(135)式において、D=tとすると、下記(139)式が得られる。
ΘH1(t)−ΘH1(t+2t)−ΘL1(t+T)−+ΘL1(t+2t+T)
=2{(ωH1−ωL1)−(ωH2−ωL2)}t …(139)
(139)式の左辺を−π〜π[rad]の間で求めた結果をΣとおくと、上記(137)式の導出時の説明と同様に不確定性を排除することができ、下記(140)式が得られる。
{(ωH1−ωL1)−(ωH2−ωL2)}t=Σ/2 …(140)
この(140)式を、(138)式に代入することで、τを求めることができ、距離R=cτ から、距離を求めることができる。
(4回交番シーケンスで位相計算を一度に計算する場合の周波数の一般化)
同様に、上記(116)式及び(122)式は、角周波数ω,ωの設計値を用いて、それぞれ下記(141)式及び(142)式で表される。
ΘH2(t+2t)+2ΘH1(t+t)−ΘH1(t)−{ΘL2(t+2t+T)+2ΘL1(t+t+T)−ΘL1(t+T)}
≒2(ω−ω)τ …(141)
ΘH1(t)+2ΘH2(t+t)−ΘH2(t+2t)−{ΘL1(t+T)+2ΘL2(t+t+T)−ΘL2(t+2t+T)}
≒2(ω−ω)τ …(142)
これらの(ω−ω)τは、(117)式と同様にπ周期の不確定性をもって算出できる。従って、(141)式や(142)式を用いることで、任意の2波や3波以上を用いた測距にも4回交番シーケンスを適用可能である。
(第5の実施の形態)(3周波短縮交番シーケンス)
図27から図29は本発明の第5の実施の形態を説明するための説明図である。図27から図29は3周波6回交番シーケンスを示している。本実施の形態におけるハードウェア構成は第1の実施の形態と同様である。上述した図9では、3つの送信波を用いた測距によって測距できる距離を延ばす例を説明した。これらの3つの周波数の送信波を4回交番シーケンスと同様の手法によって伝送することが考えられる。図27はこの場合の伝送シーケンスにおいて装置1,2から送信される送信信号を示しており、図28は図27の伝送シーケンスにおける位相検出を示している。
本実施の形態においては、図27に示すように、装置1は送信波ωC1+ωH1を生成して送信し、装置2は送信波ωC2+ωH2を生成して送信し、装置1は送信波ωC1+ωL1を生成して送信し、装置2は送信波ωC2+ωL2を生成して送信する。更に、3波目として、装置1は送信波ωC1+ωM1を生成して送信し、装置2は送信波ωC2+ωM2を生成して送信する。3つの周波数の送信波を6回交番させて伝送するので、以下、図28のシーケンスを3周波6回交番シーケンスという。
τ=(R/c)を用いて、上記(141)式から下記(143)式が得られる。
(1/2)×ΘH2(t+2t)+2ΘH1(t+t)−ΘH1(t)−{ΘL2(t+2t+T)+2ΘL1(t+t+T)−ΘL1(t+T)}
≒(ω−ω)×(R/c) …(143)
また、これまでの説明と同様に計算すると(144)式が得られるのは明らかである。
(1/2)×ΘM2(t+2t+D)+2ΘM1(t+t+D)−ΘM1(t+D)−{ΘL2(t+2t+T)+2ΘL1(t+t+T)−ΘL1(t+T)}
≒(ω−ω)×(R/c) …(144)
図28に示した3周波6回交番シーケンスにおいて、「装置1が送信波ωC1+ωH1を生成して送信してから、装置2から送信された送信波ωC2+ωH2を受信するまでの部分」で得られた位相から(143)式の左辺を計算でき、この値をΘdetと記す。同様に、「装置1が送信波ωC1+ωL1を生成して送信してから、装置2から送信された送信波ωC2+ωM2を受信するまでの部分」で得られた位相から(144)式の左辺が計算でき、この値をΘdet1と記す。ΘdetとΘdet1を用いれば、図9を用いて説明したのと同様に測距できる距離を延ばすことができる。
更に、本実施の形態においては、図29に示すように、図28のシーケンスと比べて、3波目の送受信タイミングが異なり、3波目の送信波ωC1+ωM1の送信時間を短縮1回の送信を省略した3周波6回交番シーケンス(以下、3周波短縮交番シーケンスともいう)によって、正確な測距を可能にするものである。すなわち図29では、装置1の制御部11は、t=Dに対応するタイミングで角周波数がωC1+ωM1の送信波を装置2に送信する。装置2の制御部21は、この送信波の受信直後のt=t+Dに対応するタイミングで、角周波数がωC2+ωM2の送信波を送信する。また、装置1の制御部11は、時間t=t+Dにおける受信信号に基づいて位相ΘM2(t+t+D)を取得し、装置2の制御部21は、時間t=Dにおける受信信号に基づいて位相ΘM1(t+D)を取得する。
以下、図29の3周波短縮交番シーケンスによって、正確な測距が可能となる理由について説明する。
下記4式は上述した(27)式、(37)式、(47)式及び(57)式を示している。
θH1(t)=−{(ωC1−ωC2)t+(ωB1−ωB2)t+θC1−θC2+θB1−θB2−θτH1} …(27)
θH2(t)=(ωC1−ωC2)t+(ωB1−ωB2)t+θC1−θC2+θB1−θB2+θτH2 …(37)
θL1(t)=−{(ωC1−ωC2)t−(ωB1−ωB2)t+θC1−θC2−(θB1−θB2)−θτL1} …(47)
θL2(t)=(ωC1−ωC2)t−(ωB1−ωB2)t+θC1−θC2−(θB1−θB2)+θτL2 …(57)
これらの(27)式、(37)式、(47)式及び(57)式において、装置1の送信波の角周波数をωC1+ωH1、ωC1+ωL1、装置2の送信波の角周波数をωC2+ωH2、ωC2+ωL2と置き換えて一般化した場合、(127)〜(130)式を用いて以下の(201)〜(204)式が成立する。
ΘH1(t)=−{(ωC1−ωC2)t+(ωH1−ωH2)t+(ΘC1−ΘC2)+(ΘH1−ΘH2)−ΘτH1} …(201)
ΘH2(t)=(ωC1−ωC2)t+(ωH1−ωH2)t+(ΘC1−ΘC2)+(ΘH1−ΘH2)+ΘτH2 …(202)
ΘL1(t)=−{(ωC1−ωC2)t+(ωL1−ωL2)t+(ΘC1−ΘC2)+(ΘL1−ΘL2)−ΘτL1} …(203)
ΘL2(t)=(ωC1−ωC2)t+(ωL1−ωL2)t+(ΘC1−ΘC2)+(ΘL1−ΘL2)+ΘτL2 …(204)
同様に、3つ目の角周波数ωC1+ωM1、ωC2+ωM2を用いると、下記(205)式,(206)式が成立することは明らかである。
ΘM1(t)=−{(ωC1−ωC2)t+(ωM1−ωM2)t+(ΘC1−ΘC2)+(ΘM1(t)−ΘM2)−ΘτM1} …(205)
ΘM2(t)=(ωC1−ωC2)t+(ωM1−ωM2)t+(ΘC1−ΘC2)+(ΘM1−ΘM2)+ΘτM2 …(206)
ただし、
ΘτM1=(ωC1+ωM1)τ …(129a)
ΘτM2=(ωC2+ωM2)τ …(130a)
とする。
上記(201)式〜(206)式の関係から、下記(207)式〜(211)式が成立する。
ΘH1(t)+ΘH2(t+2t)=ΘτH1+ΘτH2+2{(ωC1−ωC2)+(ωH1−ωH2)}t …(207)
ΘH1(t+t)+ΘH2(t+2t)=ΘτH1+ΘτH2+{(ωC1−ωC2)+(ωH1−ωH2)}t …(208)
ΘL1(t+T)+ΘL2(t+2t+T)=ΘτL1+ΘτL2+2{(ωC1−ωC2)+(ωL1−ωL2)}t …(209)
ΘL1(t+t+T)+ΘL2(t+2t+T)=ΘτL1+ΘτL2+{(ωC1−ωC2)+(ωL1−ωL2)}t …(210)
ΘM1(t+D)+ΘM2(t+t+D)=ΘτM1+ΘτM2+{(ωC1−ωC2)+(ωM1−ωM2)}t …(211)
なお、上述したように、装置1内の複数の発振器は共通の基準発振源に同期して発振しており、装置2内の複数の発振器も共通の基準発振源に同期して発振しているものとする。このとき、設計値とした理想的な角周波数をそれぞれω、ω、ωとし、送受間の周波数誤差をkとおくと、次の(212)式が成立する。
k=(ωH1−ωH2)/ω=(ωL1−ωL2)/ω=(ωM1−ωM2)/ω …(212)
このkを用いると、(207)式〜(211)式から下記(213)式及び(214)式が成立する。
ΘH1(t)−ΘH1(t+t)−ΘL1(t+T)+ΘL1(t+t+T)
={(ωH1−ωH2)−(ωL1−ωL2)}t
=k(ω−ω)t …(213)
ΘH1(t+t)+ΘH2(t+2t)−{ΘM1(t+D)+ΘM2(t+t+D)}
=ΘτH1+ΘτH2−ΘτM1+ΘτM2+{(ωH1−ωH2)−(ωM1−ωM2)}t
=ΘτH1+ΘτH2−ΘτM1+ΘτM2+k(ω−ω)t …(214)
ここで装置の設計値として仮に、kを最大±40[ppm]、ω−ωを2π×10[MHz]、遅延tを0.1[ms]とした場合、(213)式の右辺を計算すると±40[ppm]×2π×10[MHz]×0.1[ms])=±0.08πなので、式(213)の左辺は2πの不確定性をもつことなく一意に求まる。すなわちkが±40[ppm]程度あっても、送受信パラメータを適切に選択すれば、式(213)の左辺の2πの不確定性を排除できることがわかる。
よって、(213)式及び(214)式から次の(215)式が成立する。
ΘH1(t+t)+ΘH2(t+2t)−ΘM1(t+D)−ΘM2(t+t+D)
−(ω−ω)/(ω−ω){ΘH1(t)−ΘH1(t+t)−ΘL1(t+T)+ΘL1(t+t+T)}
=(ΘτH1−ΘτM1)+(ΘτH2−ΘτM2)≒2(ω−ω)τ …(215)
同様に、(207)式〜(211)式から次の(216)式が成立する。
ΘL1(t+t+T)+ΘL2(t+2t+T)−ΘM1(t+D)−ΘM2(t+t+D)
−(ω−ω)/(ω−ω){ΘH1(t)−ΘH1(t+t)−ΘL1(t+T)+ΘL1(t+t+T)}
=(ΘτL1−ΘτM1)+(ΘτL2−ΘτM2)≒2(ω−ω)τ …(216)
また、(201)式〜(204)式の関係から、次の(217)式が成立する。
ΘH2(t+2t)+2ΘH1(t+t)−ΘH1(t)
−{ΘL2(t+2t+T)+2ΘL1(t+t+T)−ΘL1(t+T)}
=(ΘτH1−ΘτL1)+(ΘτH2−ΘτL2)≒2(ω−ω)τ …(217)
すなわち、(215)式、(216)式及び(217)式を用いれば、3つの角周波数ω、ω、ωのいずれの2つの組み合わせによっても測距が可能であることが分かる。
このように本実施の形態においては、4回交番シーケンスと同様の手法によって、3周波を用いた測距が可能である。そして、3周波6回交番シーケンスにより、3通りの測距が可能である。3周波短縮交番シーケンスでは、3つ目の周波数における装置2による位相取得は1回でよく、装置1の送信時間を短縮できる。同様に考えれば、4波以上の場合も同様に短縮することが可能である。また、(213)式は、受信を2回ずつ行った周波数から求めればよく、最初の2つの周波数である必要はない。3つ以上の周波数を用いた場合の、その中の2つの周波数で一方の装置(例えば装置1)が「送送受」とすればよい。これらは上記から容易に類推できるので説明は省略する。
(第6の実施の形態)(位相情報の伝送方法の具体例)
次に、本発明の第6の実施の形態について説明する。本実施の形態におけるハードウェア構成は第1の実施の形態と同様である。
上記各実施の形態においては、装置1又は装置2の一方が、取得したI,Q信号に基づく位相情報を他方に送信し、他方の装置において装置1,2において求めた位相情報を合成して距離を求める方法を説明した。この場合において、装置1,2の一方が他方において測定した位相情報を入手するために別途データ通信を行うものとすると、データ通信確立のために測距完了までの時間が長引いたりプロトコルが複雑になることが考えられる。本実施の形態は、このようなデータ通信を省略した位相情報の伝送を可能にする具体例を示すものである。
上述した図4及び図5に示すように、装置1は、ITX1,QTX1の入力が可能であり、装置2は、ITX2,QTX2の入力が可能である。上述した(装置2からの角周波数がωC2+ωB2の送信波の送受信)においては、装置2が送信する際にITX2=1,QTX2=0、すなわち半径1、位相0度のIQ信号を与えるものとして説明した。
いま、装置2において、入力の半径1は変えずに位相オフセットとしてθD2H又はθD2Lを与えて送信するものとする。このことは送信するキャリア信号の位相をずらすことに相当する。すなわち、装置2が角周波数ωC2+ωB2で送信する場合には、ITX2=cos(θD2H),QTX2=sin(θD2H)を入力し、角周波数ωC2−ωB2で送信する場合には、ITX2=cos(θD2L),QTX2=sin(θD2L)を入力するものとする。以下、この場合の送受信信号について説明する。
まず、高い角周波数ωC2+ωB2の送信波での位相検出について説明する。角周波数ωC2、ωB2の初期位相をそれぞれθC2、θB2とすると、装置2から送信される角周波数ωC2+ωB2の信号tx2(t)は、下記(301)式にて表される。
tx2(t)=cos(ωC2t+θC2){cos(ωB2t+θB2)cos(θD2H)+sin(ωB2t+θB2)sin(θD2H)}−sin(ωC2t+θC2){sin(ωB2t+θB2)cos(θD2H)−cos(ωB2t+θB2)sin(θD2H)}
=cos(ωC2t+θC2)cos{ωB2t+θB2−θD2H}−sin(ωC2t+θC2)sin{ωB2t+θB2−θD2H
=cos{(ωC2+ωB2)t+θC2+θB2−θD2H} …(301)
装置2、装置1間の距離をR、装置2からの送信波が遅延時間τ後に装置1において受信されるものとすると、その受信信号rx1(t)は、下記(302)式で表される。
rx1(t)=cos{(ωC2+ωB2)(t−τ)+θC2+θB2−θD2H
=cos{(ωC2+ωB2)t+θC2+θB2−θD2H−θτH2} …(302)
なお、θτH2=(ωC2+ωB2)τ …(303)
である。よって上記(29)式及び(30)式と、(302)式及び(303)式との比較から、装置1で検出される位相θH2(t)は、上記(37)式と同様の下記(304)式で与えられることは容易に類推できる。
θH2(t)=(ωC1−ωC2)t+(ωB1−ωB2)t+θC1−θC2+θB1−θB2+θD2H+θτH2 …(304)
次に、低い角周波数ωC2−ωB2の送信波での位相検出について説明する。装置1で検出する位相θL2(t)は、上記(304)式の導出と同様に考えることで、次の(305)式で求めることができる。
θL2(t)=(ωC1−ωC2)t−(ωB1−ωB2)t+θC1−θC2−(θB1−θB2)+θD2L+θτL2 …(305)
なお、
θτL2=(ωC2−ωB2)τ …(306)
である。
ここで、上述した図17に示す4回交番シーケンスで測距をする場合を考える。
装置1、装置2間の距離をRとし、装置1の送信波が装置2に到達するまでの遅延時間をτとする。ITX1=1,QTX1=0であれば、装置2における検出位相θH1(t),θL1(t)は、上記(20)式、(27)式、(40)式及び(47)によって与えられる。これらの式を再掲する。
θτH1=(ωC1+ωB1)τ …(20)
θH1(t)=−{(ωC1−ωC2)t+(ωB1−ωB2)t+θC1−θC2+θB1−θB2−θτH1} …(27)
θτL1=(ωC1−ωB1)τ …(40)
θL1(t)=−{(ωC1−ωC2)t−(ωB1−ωB2)t+θC1−θC2−(θB1−θB2)−θτL1} …(47)
ここで、上記(116)式から、装置2において受信信号から求めた位相情報を初期位相に加えて装置1に送信することで、装置1は、受信信号から求めた位相情報により測距が可能であることが類推される。以下、この類推について検証する。
いま、装置2は、受信信号の検出位相から下記(307)式及び(308)式に示す位相オフセットθD2H,θD2Lを設定するものとする。
θD2H=2θH1(t+t)−θH1(t) …(307)
θD2L=2θL1(t+t+T)−θL1(t+T) …(308)
装置2は、受信信号から求めた位相情報を元に計算した、θD2H、θD2Lを用いた送信を行う。装置1は、図17のt=2t及びt=2t+Tのタイミングの受信信号によって得た2つの位相情報を加算して下記(309)式を得る。
θH2(t+2t)−θL2(t+2t+T)
=(ωC1−ωC2)(t+2t)+(ωB1−ωB2)(t+2t)+θC1−θC2+θB1−θB2+θD2H+θτH2
−{(ωC1−ωC2)(t+2t+T)−(ωB1−ωB2)(t+2t+T)+θC1−θC2−(θB1−θB2)+θD2L+θτL2
=−(ωC1−ωC2)T+(ωB1−ωB2)T+2(ωB1−ωB2)(t+2t)+2(θB1−θB2)+(θτH2−θτL2)+θD2H−θD2L …(309)
ここで、θD2H−θD2Lは下記(310)式で与えられる。
θD2H−θD2L
=2θH1(t+t)−θH1(t)−{2θL1(t+t+T)−θL1(t+T)}
=−2{(ωC1−ωC2)(t+t)+(ωB1−ωB2)(t+t)+θC1−θC2+θB1−θB2−θτH1
+{(ωC1−ωC2)t+(ωB1−ωB2)t+θC1−θC2+θB1−θB2−θτH1
+2{(ωC1−ωC2)(t+t+T)−(ωB1−ωB2)(t+t+T)+θC1−θC2−(θB1−θB2)−θτL1
−{(ωC1−ωC2)(t+T)−(ωB1−ωB2)(t+T)+θC1−θC2−(θB1−θB2)−θτL1
=(ωC1−ωC2)T−(ωB1−ωB2)T−2(ωB1−ωB2)(t+2t)−2(θB1−θB2)−(θτH1−θτL1) …(310)
装置1、装置2間の電波の遅延は進行方向によらず同じ、すなわち、τ=τなので、上記(309)式及び(310)式から下記(311)式が成立する。
θH2(t+2t)−θL2(t+2t+T)=(θτH1−θτL1)+(θτH2−θτL2)=2(ωB1+ωB2)τ …(311)
この(311)式は、装置1で測定した位相情報だけを用いて測距できることを意味している。すなわち、装置2は、測定した位相情報を元に、(307)式及び(308)式で与えられるθD2H,θD2Lを使って送信すれば、装置1は装置1で測定した位相情報だけを用いて測距できることが可能であることが分かる。
このように本実施の形態においては、装置1,2の一方は、測定した位相情報に基づいて得た位相により送信するキャリア信号の位相をずらした送信波を他方の装置に送信することで、他方の装置において測距が可能となる。これにより、本実施の形態においては、位相情報を別途通信することが不要となり、測距完了までの時間が長引いたりプロトコルが複雑になることを防止することができる。
(変形例)
次に、第6の実施の形態の変形例について説明する。
上記(310)式は、装置2が受信信号の検出位相から下記(312)式及び(313)式に示す位相オフセットθD2H,θD2Lを設定した場合にも成立することを示している。
θD2H=0 …(312)
θD2L=2θL1(t+t+T)−θL1(t+T)−{2θH1(t+t)−θH1(t)} …(313)
装置2がこのθD2H、θD2Lを用いて生成した送信波を装置1に送信した場合でも、装置1は測定した位相情報だけを用いて測距できる。
このように、装置2の送信時にどのような位相を与えるかは設計事項であり、様々に変形しても本実施の形態の効果を得ることができる。
また、(102)式から分かるように、同様の位相の変化をθC2やθB2に与えても同様の効果が得られる。ここでは送信するキャリア信号の位相をずらす方法として、図4及び図5に示した無線部の構成を元にITX2,QTX2に与える位相情報として説明したが、他の構成でも活用できる。
更に、同様の考え方を用いれば、他の送受シーケンスでも装置1で測定した位相情報だけで測距を可能にすることができる。すなわち、送受信シーケンスの最後を装置2から装置1に対する送信とし、装置2から送信する際に、装置2は受信した位相情報を元に所定の演算を行い、その結果を元に装置2の位相をずらして送信するようにしてもよい。
(第7の実施の形態)(3周波6回交番シーケンスにおける位相情報の伝送方法の例)
次に、本発明の第7の実施の形態について説明する。本実施の形態におけるハードウェア構成は第1の実施の形態と同様である。
上述したように、2πを超えた検出位相差を検出することはできないことから、算出された検出位相差に対して複数の距離の候補が存在する。複数存在する距離の候補から正しい距離を選択する手法として、上述の図28の3周波6回交番シーケンスを示した。本実施の形態は、この3周波6回交番シーケンスのように、3波以上を用いた測距において位相情報の別途のデータ通信を不要とする例を示すものである。
送信波がω+ω、ω−ωで、装置2が角周波数ωC2+ωB2で送信する場合に位相オフセットをITX2=cos(θD2H),QTX2=sin(θD2H)と入力し、角周波数ωC2−ωB2で送信する場合にITX2=cos(θD2L),QTX2=sin(θD2L)と入力するものとする。この場合の送受信信号は、以下に再掲する上記各式によって示される。
θH1(t)=−{(ωC1−ωC2)t+(ωB1−ωB2)t+θC1−θC2+θB1−θB2−θτH1} …(27)
θH2(t)=(ωC1−ωC2)t+(ωB1−ωB2)t+θC1−θC2+θB1−θB2+θD2H+θτH2 …(304)
θL1(t)=−{(ωC1−ωC2)t−(ωB1−ωB2)t+θC1−θC2−(θB1−θB2)−θτL1} …(47)
θL2(t)=(ωC1−ωC2)t−(ωB1−ωB2)t+θC1−θC2−(θB1−θB2)+θD2L+θτL2 …(305)
θτH1=(ωC1+ωB1)τ …(20)
θτH2=(ωC2+ωB2)τ …(303)
θτL2=(ωC2−ωB2)τ …(306)
θτL1=(ωC1−ωB1)τ …(40)
まず、3つの周波数のうち、任意の2つの周波数で測距が可能であることを説明するために角周波数を一般化した場合の測距の式を説明する。
装置1の送信波の角周波数をωC1+ωH1,ωC1+ωL1,ωC1+ωM1、装置2の送信波の角周波数をωC2+ωH2,ωC2+ωL2,ωC2+ωM2とし、装置2が角周波数ωC2+ωH2で送信する場合にITX2=cos(ΘD2H),QTX2=sin(ΘD2H)を入力し、角周波数ωC2+ωL2で送信する場合にITX2=cos(ΘD2L),QTX2=sin(ΘD2L)を入力し、角周波数ωC2+ωM2で送信する場合にITX2=cos(ΘD2M),QTX2=sin(ΘD2M)を入力するものとする。これまでの説明と同様に計算すると以下の(320)式〜(332)式が成立する。なお、ωH1>ωM1>ωL1とし、上記一般化した角周波数における検出位相の表記はΘ(t)とする。
ΘH1(t)+ΘH2(t+2t)=ΘτH1+ΘτH2+ΘD2H+2{(ωH1−ωH2)+(ωC1−ωC2)}t …(320)
ΘH1(t+t)+ΘH2(t+2t)=ΘτH1+ΘτH2+ΘD2H+{(ωH1−ωH2)+(ωC1−ωC2)}t …(321)
ΘL1(t+T)+ΘL2(t+2t+T)=ΘτL1+ΘτL2+ΘD2L+2{(ωL1−ωL2)+(ωC1−ωC2)}t …(322)
ΘL1(t+t+T)+ΘL2(t+2t+T)=ΘτL1+ΘτL2+ΘD2L+{(ωL1−ωL2)+(ωC1−ωC2)}t …(323)
ΘM1(t+D)+ΘM2(t+2t+D)=ΘτM1+ΘτM2+ΘD2M+2{(ωM1−ωM2)+(ωC1−ωC2)}t …(324)
ΘM1(t+t+D)+ΘM2(t+2t+D)=ΘτM1+ΘτM2+ΘD2M+{(ωM1−ωM2)+(ωC1−ωC2)}t …(325)
ΘτH1=(ωC1+ωH1)τ …(326)
ΘτH2=(ωC2+ωH2)τ …(327)
ΘτL1=(ωC1+ωL1)τ …(328)
ΘτL2=(ωC2+ωL2)τ …(329)
ΘτM1=(ωC1+ωM1)τ …(330)
ΘτM2=(ωC2+ωM2)τ …(331)
ここで、装置2は取得した位相情報を元に、下記(332)式〜(334)式に示す位相オフセットを設定する。
ΘD2H=2ΘH1(t+t)−ΘH1(t) …(332)
ΘD2L=2ΘL1(t+t+T)−ΘL1(t+T) …(333)
ΘD2M=2ΘM1(t+t+D)−ΘM1(t+D) …(334)
装置2が設定した位相オフセットを有する送信波を送信する場合において、上記(221)式×2−(220)式−{(223)式×2−(222)式}を計算して整理すると、下記(335)式が得られる。
ΘH2(t+2t)−ΘL2(t+2t+T)
=(ΘτH1−ΘτL1)+(ΘτH2−ΘτL2
=(ωH1−ωL1)τ+(ωH2−ωL2)τ …(335)
ここで、角周波数ωH1、ωH2及びωL1、ωL2をそれらの設計値ω、ωに置き換えても、測距システムの目標仕様を考慮すると、ωに対するωH1,ωH2の誤差及びωに対するωL1,ωL2の誤差は、数10[ppm]のオーダーであり、この置き換えは実用上問題がない。そこで、τ=τとし、ωH1,ωH2に代えてωを用い、ωL1,ωL2に代えてωを用いて(335)式を改めると、下記(336)式が得られる。
ΘH2(t+2t)−ΘL2(t+2t+T)
≒2(ω−ω)τ …(336)
この(336)式からτが求まり、R=cτから距離を求めることができる。
同様に、(321)下記×2−(320)式−{(325)式×2−(324)式}及び(325)式×2−(324)式−{(323)式×2−(322)式}を計算して整理すると、下記(337)式及び(338)式が得られる。
ΘH2(t+2t)−ΘM2(t+2t+D)
=(ΘτH1−ΘτM1)+(ΘτH2−ΘτM2
=(ωH1−ωM1)τ+(ωH2−ωM2)τ
≒2(ω−ω)τ …(337)
ΘM2(t+2t+D)−ΘL2(t+2t+T)
=(ΘτM1−ΘτL1)+(ΘτM2−ΘτL2
=(ωM1−ωL1)τ+(ωM2−ωL2)τ
≒2(ω−ω)τ …(338)
ただし、角周波数ωは、角周波数ωM1、ωM2の設計値である。
上記(336)式〜(338)式は、装置1は自機が測定した位相情報だけを用いて測距できることを意味している。すなわち、装置2は、測定した位相情報を元に(332)式〜(334)式で与えられるΘD2H,ΘD2L,ΘD2Mを用いた送信波を送信すれば、装置1は装置1で測定した位相情報だけを用いて測距できることが可能であることが分かる。
このように本実施の形態においては、3周波6回交番シーケンスにおいても、装置1,2の一方は、測定した位相情報に基づいて得た位相により送信するキャリア信号の位相をずらした送信波を他方の装置に送信することで、位相情報を別途通信することなく、他方の装置において測距が可能となり、測距完了までの時間が長引いたりプロトコルが複雑になることを防止することができる。
(第8の実施の形態)(3周波短縮交番シーケンスにおける位相情報の伝送方法の例)
次に、本発明の第8の実施の形態について説明する。本実施の形態におけるハードウェア構成は第1の実施の形態と同様である。
上述したように、3周波6回交番シーケンスにおいては、3波目の1回の送受信を省略した図29に示す3周波短縮交番シーケンスが採用可能である。本実施の形態は、この3周波短縮交番シーケンスにおいて、位相情報の別途のデータ通信を不要とする例を示すものである。
3周波短縮交番シーケンスを採用する場合においても、上記(320)式〜(323)式及び(326)〜(329)式は成立する。また、(330)式及び(331)式を用いることで、下記(339)式が成立する。
ΘM1(t+D)+ΘM2(t+t+D)=ΘτM1+ΘτM2+ΘD2M+{(ωM1−ωM2)+(ωC1−ωC2)}t …(339)
なお、上述したように、装置1内の複数の発振器は共通の基準発振源に同期して発振しており、装置2内の複数の発振器も共通の基準発振源に同期して発振しているものとする。このとき、理想的な角周波数をそれぞれω、ω、ωとし、送受間の周波数誤差をkとおくと、次の(340)式が成立する。
k=(ωH1−ωH2)/ω=(ωL1−ωL2)/ω=(ωM1−ωM2)/ω …(340)
ここで、装置2は取得した位相情報を元に、下記(341)式〜(343)式に示す位相オフセットを設定する。
ΘD2H=2ΘH1(t+t)−ΘH1(t) …(341)
ΘD2L=2ΘL1(t+t+T)−ΘL1(t+T) …(342)
ΘD2M=ΘM1(t+D)−{(ω−ω)/(ω−ω)}{ΘH1(t)−ΘH1(t+t)}−{(ω−ω)/(ω−ω)}{ΘL1(t+T)−ΘL1(t+t+T)} …(343)
装置2が設定した位相オフセットを有する送信波を送信する場合、上記図28と図29との対比から、上記(336)式が成立することは明らかである。また、(321)式−(339)式−{(ω−ω)/(ω−ω)}{(320)式−(321)式−(322)式+(323)式}を計算すると、下記(344)式が得られる。
ΘH1(t+t)+ΘH2(t+2t)−ΘM1(t+D)−ΘM2(t+t+D)
−{(ω−ω)/(ω−ω)}{ΘH1(t)−ΘH1(t+t)−ΘL1(t+T)+ΘL1(t+t+T)}
=ΘτH1+ΘτH2+ΘD2H−{ΘτM1+ΘτM2+ΘD2M}+{(ωH1−ωH2)−(ωM1−ωM2)}t−{(ω−ω)/(ω−ω)}{(ωH1−ωH2)−(ωL1−ωL2)}t …(344)
上記(344)式に(340)式、(341)式及び(343)式を代入すると、下記(345)式が得られる。
ΘH1(t+t)+ΘH2(t+2t)−ΘM1(t+D)−ΘM2(t+t+D)
−{(ω−ω)/(ω−ω)}{ΘH1(t)−ΘH1(t+t)−ΘL1(t+T)+ΘL1(t+t+T)}
=ΘτH1+ΘτH2−(ΘτM1+ΘτM2)+{(ωH1−ωH2)−(ωM1−ωM2)}t−{(ω−ω)/(ω−ω)}{(ωH1−ωH2)−(ωL1−ωL2)}t+2ΘH1(t+t)−ΘH1(t)+{(ω−ω)/(ω−ω)}{ΘH1(t)−ΘH1(t+t)}+{(ω−ω)/(ω−ω)}{ΘL1(t+T)−ΘL1(t+t+T)}−ΘM1(t+D) …(345)
τ=τを用いて整理すると、下記(346)式が得られる。
ΘH2(t+2t)−ΘM2(t+t+D)
=(ΘτH1−ΘτM1)+(ΘτH2−ΘτM2
≒2(ω−ω)τ …(346)
また、(339)式−(323)式−{(ω−ω)/(ω−ω)}{(320)式−(321)式−(322)式+(323)式}を計算すると、下記(347)式が得られる。
ΘM1(t+D)+ΘM2(t+t+D)−ΘL1(t+t+T)−ΘL2(t+2t+T)−{(ω−ω)/(ω−ω)}{ΘH1(t)−ΘH1(t+t)−ΘL1(t+T)+ΘL1(t+t+T)}
=ΘτM1+ΘτM2+ΘD2M−{ΘτL1+ΘτL2+ΘD2L}+{(ωM1−ωM2)−(ωL1−ωL2)}t−{(ω−ω)/(ω−ω)}{(ωM1−ωM2)−(ωL1−ωL2)}t …(347)
上記(347)式に(340)式、(342)式及び(343)式を代入すると、下記(348)式が得られる。
ΘM1(t+D)+ΘM2(t+t+D)−ΘL1(t+t+T)−ΘL2(t+2t+T)−{(ω−ω)/(ω−ω)}{ΘH1(t)−ΘH1(t+t)−ΘL1(t+T)+ΘL1(t+t+T)}
=ΘτM1+ΘτM2−(ΘτL1+ΘτL2)+{(ωM1−ωM2)−(ωL1−ωL2)}t−{(ω−ω)/(ω−ω)}{(ωM1−ωM2)−(ωL1−ωL2)}t+{(ω−ω)/(ω−ω)}{ΘH1(t)−ΘH1(t+t)}−{(ω−ω)/(ω−ω)}{ΘL1(t+T)−ΘL1(t+t+T)}+ΘM1(t+D)−2ΘL1(t+t+T)+ΘL1(t+T) …(348)
τ=τを用いて整理すると、下記(349)式が得られる。
ΘM2(t+t+D)−ΘL2(t+2t+T)
=(ΘτM1−ΘτL1)+(ΘτM2−ΘτL2
≒2(ω−ω)τ …(349)
上記(336)式、(346)式及び(349)式は、装置1は自機が測定した位相情報だけを用いて測距できることを意味している。すなわち、装置2は、測定した位相情報を元に(341)式〜(343)式で与えられるΘD2H,ΘD2L,ΘD2Mを用いた送信波を送信すれば、装置1は装置1で測定した位相情報だけを用いて測距できることが可能であることが分かる。
このように本実施の形態においては、3周波短縮交番シーケンスにおいても、装置1,2の一方は、測定した位相情報に基づいて得た位相により送信するキャリア信号の位相をずらした送信波を他方の装置に送信することで、位相情報を別途通信することなく、他方の装置において測距が可能となり、測距完了までの時間が長引いたりプロトコルが複雑になることを防止することができる。
(第9の実施の形態)
図30及び図31は本発明の第9の実施の形態を示す説明図である。本実施の形態は上記各測距システムをスマートエントリシステムに適用した例を示すものである。
図30において、キー31は自動車32のドアの解錠及び施錠並びに自動車32のエンジンの起動を可能にする信号を無線によって送信することができるようになっている。即ち、キー31は図示しないデータ送受信部を有しており、データ送受信部によって認証のための暗号化された固有データを送信することができるようになっている。キー31のデータ送受信部からの電波は、自動車32に搭載された図示しない車両制御装置35において受信される。
図31に示すように車両制御装置35には、制御部36が設けられている。制御部36は、車両制御装置35の各部を制御する。制御部36は、CPU等を用いたプロセッサによって構成されて、メモリ38に記憶されたプログラムに従って動作して各部を制御するものであってもよい。
車両制御装置35には、データ送受信部37が設けられている。データ送受信部37は、アンテナ35aを介してキー31のデータ送受信部との間で無線通信を行うことができる。データ送受信部37は、キー31から送信された固有データを受信し、所定の応答データをキー31に送信することで、キー31と自動車32との認証を行うようになっている。
データ送受信部37は、電界強度を細かく設定できるようになっており、キー31がデータ送受信部37の送信データを受信可能な比較的近い位置、即ち、自動車32の近傍に位置しなければ、認証は行われない。
例えば、図30の破線に示すように、キー31が自動車32の十分近くに位置するものとする。この場合には、データ送受信部37はキー31との間で互いに通信が可能であり、データ送受信部37はメモリ37aに記録されている固有データとの照合によってキー31を認証する。データ送受信部37は、制御部36に対してキー31を認証したことを示す信号を出力する。これにより、制御部36は、解錠・施錠装置39を制御して、解錠及び施錠の許可を与える。
図30において中継装置33,34はリレーアタックの攻撃者が所持する。中継装置33はキー31との間で通信が可能であり、中継装置34は自動車32内のデータ送受信部37との間で通信が可能であって、中継装置33,34はキー31とデータ送受信部37との間の通信を中継する。これにより、キー31が図30のように十分に自動車32から離間して、キー31とデータ送受信部37との直接通信ができない場合においても、中継装置33,34を経由することで、データ送受信部37はキー31を認証できてしまう。
そこで、本実施の形態においては、制御部36は、データ送受信部37の認証結果と第2装置2からの測距結果とに基づいて、解錠及び施錠並びにエンジンの始動等を許可するか否かを決定するようになっている。
キー31には上記各実施の形態における第1装置1が内蔵されている。一方、車両制御装置35には上記各実施の形態における第2装置2が搭載されている。装置1からの送信波は、アンテナ27aを介して装置2において受信され、装置2からの送信波は、アンテナ27aを介して装置1において受信される。装置1からの送信波は、直接アンテナ27aに受信される場合と、中継装置33,34を経由してアンテナ27aに受信される場合とがある。同様に、第2装置2からの送信波は、アンテナ27aから直接装置1に受信される場合と、アンテナ27aから中継装置34,33を経由して装置1に受信される場合とがある。
中継装置33,34において装置1,装置2からの送信波の位相が変化しないものとすると、装置1,2において求めた位相に基づいて、装置2はキー31との間の距離を算出することができる。装置2は、算出した距離を制御部36に出力する。メモリ38には、キー31の認証を許可する距離閾値が格納されており、制御部36は、装置2によって算出された距離がメモリ38から読み出した距離閾値以内の場合には、キー31が認証されたものとして、解錠及び施錠並びにエンジンの始動等を許可する。また、制御部36は、装置2によって算出された距離がメモリ38から読み出した距離閾値よりも大きい場合には、キー31の認証を許可しない。従って、この場合には、解錠及び施錠並びにエンジンの始動等は許可されない。
なお、中継装置33,34において、装置1,装置2からの送信波の位相を変化させることができるものとする。この場合でも、装置1,2の初期位相が不明であることから、装置2によって算出される距離がメモリ38から読み出された距離閾値以内の値とするために必要な移相量を中継装置33,34において求めることはできない。このため、中継装置33,34を用いたとしても、キー31の認証が許可される可能性は十分に小さい。
このように本実施の形態においては、上記各実施の形態における測距システムを利用することで、スマートエントリシステムに対するリレーアタックによって、車両の解錠等が行われることを防止することができる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。例えば、図17において、装置2は、装置1から送信された同じ周波数の送信波を2回ずつ受信するものとして説明しているが、2回を越えて受信しても良いことはもちろんである。雑音やインパルス妨害が重畳された信号を受信した場合、受信回数を増やして平均化したり異常値を除去するなどの信号処理が一般的に行われるが、その場合にも本発明が適用できる。また、距離を算出するための位相計算の式が受信間隔t0に依存していることに着目すれば、受信間隔の変化に応じた様々な式の変形や組み合わせが可能であり、受信間隔が既知(いわゆる所定の間隔)であれば、必ずしも等間隔で送受信しなくても良いことは容易に理解できるであろう。
また、上記実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適当な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
1,2…装置、11,21…制御部、12,22…メモリ、13,23…発振器、14,24…送信部、15,25…受信部、17,27…アンテナ回路。

Claims (13)

  1. 少なくとも一方が移動可能な第1装置と第2装置の間の距離を、複数の搬送波周波数で伝送される第1〜第4の既知信号の位相に基づいて算出する測距装置において、
    第1基準信号源と、前記第1基準信号源の出力を用いて第1の搬送波周波数に対応する前記第1の既知信号及び前記第1の搬送波周波数とは異なる第2の搬送波周波数に対応する前記第2の既知信号を送信すると共に前記第1の搬送波周波数に対応する前記第3の既知信号及び前記第2の搬送波周波数に対応する前記第4の既知信号を受信する第1送受信器とを具備した前記第1装置と、
    前記第1基準信号源とは独立に動作する第2基準信号源と、前記第2基準信号源の出力を用いて前記第1の搬送波周波数に対応する前記第3の既知信号及び前記第2の搬送波周波数に対応する前記第4の既知信号を送信すると共に前記第1の既知信号及び前記第2の既知信号を受信する第2送受信器とを具備した前記第2装置と、
    前記第1装置又は第2装置に設けられ、前記第1送受信器が受信した前記第3及び第4の既知信号の位相を検出する第1の位相検出器と、
    前記第1装置又は第2装置に設けられ、前記第2送受信器が受信した前記第1及び第2の既知信号の位相を検出する第2の位相検出器と、
    前記第1装置又は第2装置に設けられ、前記第1の位相検出器が検出した前記第3及び第4の既知信号の位相の差と前記第2の位相検出器が検出した前記第1及び第2の既知信号の位相の差とに基づいて、前記第1装置と前記第2装置との間の距離を算出する算出部とを具備し、
    前記第1送受信器及び前記第2送受信器は、前記第1の既知信号及びこの第1の既知信号に対応する前記第3の既知信号の1回ずつの送受信と、前記第2の既知信号及びこの第2の既知信号に対応する前記第4の既知信号の1回ずつの送受信との合わせて4回の送受信を行う測距装置。
  2. 前記第2送受信器は、前記第1及び第3の既知信号の1回ずつの送受信において前記第1の既知信号を所定の間隔で2回受信し、前記第2及び第4の既知信号の1回ずつの送受信において前記第2の既知信号を所定の間隔で2回受信し、前記算出部は前記第2送受信器の受信間隔に基づいて距離を算出する
    請求項1に記載の測距装置。
  3. 前記第1送受信器は、前記第1及び第3の既知信号の1回ずつの送受信において前記第3の既知信号を所定の間隔で2回受信し、前記第2及び第4の既知信号の1回ずつの送受信において前記第4の既知信号を所定の間隔で2回受信し、前記算出部は前記第1送受信器の受信間隔に基づいて距離を算出する
    請求項1に記載の測距装置。
  4. 前記第2送受信器は、前記第1及び第3の既知信号の1回ずつの送受信において前記第1の既知信号を所定の間隔で2回受信し、前記第1送受信器は、前記第2及び第4の既知信号の1回ずつの送受信において前記第4の既知信号を所定の間隔で2回受信し、前記算出部は前記第1送受信器及び前記第2送受信器の受信間隔に基づいて距離を算出する
    請求項1に記載の測距装置。
  5. 前記第1送受信器は、前記第1及び第3の既知信号の1回ずつの送受信において前記第3の既知信号を所定の間隔で2回受信し、前記第2送受信器は、前記第2及び第4の既知信号の1回ずつの送受信において前記第2の既知信号を所定の間隔で2回受信し、前記算出部は前記第1送受信器及び前記第2送受信器の受信間隔に基づいて距離を算出する
    請求項1に記載の測距装置。
  6. 前記第1送受信器及び前記第2送受信器は、前記第1及び第3の既知信号の1回ずつの送受信に続けて前記第1の既知信号の1回の送受信を行うと共に、前記第2及び第4の既知信号の1回ずつの送受信に続けて前記第2の既知信号の1回の送受信を行うことで合わせて6回の送信を行う
    請求項1に記載の測距装置。
  7. 前記算出部は、前記第1及び第3の既知信号についても求めた位相による演算結果を、前記第1から第4の既知信号についても求めた位相による演算結果に代入することによって、前記位相の差をπ周期の不確定性をもって算出する
    請求項6に記載の測距装置。
  8. 前記第1送受信器は、前記第1基準信号源の出力を用いて前記第1の搬送波周波数とも前記第2の搬送波周波数とも異なる第3の搬送波周波数に対応する第5の既知信号を送信すると共に前記第3の搬送波周波数に対応する第6の既知信号を受信し、
    前記第2送受信器は、第2基準信号源の出力を用いて前記第6の既知信号を送信すると共に前記第5の既知信号を受信し、
    前記第1送受信器及び前記第2送受信器は、前記第1及び第3の既知信号の1回ずつの送受信及び前記第2及び第4の既知信号の1回ずつの送受信に続けて、前記第5及び第6の既知信号の1回ずつの送受信を行い、
    前記第2送受信器は、前記第5及び第6の既知信号の1回ずつの送受信において前記第5の既知信号を所定の間隔で2回受信する
    請求項1に記載の測距装置。
  9. 前記第2送受信器は、前記第5及び第6の既知信号の1回ずつの送受信における前記第5の既知信号の2回受信のうちの1回を省略する
    請求項8に記載の測距装置。
  10. 前記第1及び第2送受信器の一方は、前記第1及び第2送受信器の他方に対して、受信信号に基づいて前記第1又は第2位相検出器が検出した位相情報を位相オフセットとして付加して生成した既知信号を送信する
    請求項1に記載の測距装置。
  11. 前記第1及び第2送受信器の一方は、前記第1及び第2送受信器の他方に対して、受信信号に基づいて前記第1又は第2位相検出器が検出した位相情報を位相オフセットとして付加して生成した既知信号を送信する
    請求項6に記載の測距装置。
  12. 前記第1及び第2送受信器の一方は、前記第1及び第2送受信器の他方に対して、受信信号に基づいて前記第1又は第2位相検出器が検出した位相情報を位相オフセットとして付加して生成した既知信号を送信する
    請求項9に記載の測距装置。
  13. 少なくとも一方が移動可能な第1装置と第2装置の間の距離を、複数の搬送波周波数で伝送される第1〜第4の既知信号の位相に基づいて算出する測距方法であって、
    前記第1装置に設けられた第1送受信器が、第1基準信号源の出力を用いて第1の搬送波周波数に対応する前記第1の既知信号を送信し、
    前記第2装置に設けられた第2送受信器が、前記第1基準信号源とは独立に動作する第2基準信号源の出力を用いて前記第1の既知信号を所定の間隔で2回受信し、この受信の後前記第1の搬送波周波数に対応する第3の既知信号を送信し、
    前記第1送受信器が、前記第1基準信号源の出力を用いて前記第3の既知信号を受信し、この受信の後前記第1基準信号源の出力を用いて前記第1の搬送波周波数とは異なる第2の搬送波周波数に対応する第2の既知信号を送信し、
    前記第2送受信器が、前記第2基準信号源の出力を用いて前記第2の既知信号を所定の間隔で2回受信し、この受信の後前記第2の搬送波周波数に対応する第4の既知信号を送信し、
    前記第1送受信器が、前記第1基準信号源の出力を用いて前記第3の既知信号を受信し、
    前記第2装置に設けられた第2の位相検出器が前記第2送受信器によって受信された前記第1及び第2の既知信号の位相を検出し、
    前記第1装置に設けられた第1の位相検出器が前記第1送受信器によって受信された前記第3及び第4の既知信号の位相を検出し、
    前記第1装置もしくは第2装置に設けられた算出部が、前記第1及び第2の位相検出器が検出した前記第1〜第4の既知信号の位相に基づいて、前記第1装置と前記第2装置との間の距離を算出する測距方法。
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