JP2019128341A - 測距装置及び測距方法 - Google Patents
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Abstract
Description
(第1の実施の形態)
図1は本発明の第1の実施の形態に係る測距装置を採用した測距システムを示すブロック図である。
<通信型測距技術の基本構成>
先ず、本実施の形態において採用する位相検出方式による測距を説明するために、図2A,2Bの説明図を参照して、反射波を利用した位相検出方式による測距の原理及びその問題点について説明する。
(位相検出方式について)
位相検出方式では、測距のために、中心角周波数ωC1から角周波数±ωB1だけずれた2つの周波数の信号を送信する。反射波を利用する測距装置においては、送信器及び受信器が同一筐体内に設けられ、送信器から発射した送信信号(電波)を対象物に反射させ、その反射波を受信する。
tx1(t)=cos{(ωC1+ωB1)t+θ1H} …(1)
この送信信号が送信器から距離R[m]だけ離れた対象物(壁W)に遅延時間τ1で到達して反射し、受信器において受信される。電波の速度は光速c(=3×108m/s)であるので、τ1=(R/c)[秒]である。受信器で受信する信号は発射された信号に対して遅延2τ1を受けている。従って、受信器の受信信号(受信波)rx1(t)は下記(2),(3)式で表される。
rx1(t)=cos{(ωC1+ωB1)t+θ1H−θ2×Hτ1)} …(2)
θ2×Hτ1=(ωC1+ωB1)2τ1 …(3)
すなわち、送信信号は、遅延時間と送信角周波数の乗算結果(θ2×Hτ1)だけ位相シフトが生じて、受信器に受信されたことになる。
tx1(t)=cos{(ωC1−ωB1)t+θ1L} …(4)
rx1(t)=cos{(ωC1−ωB1)t+θ1L−θ2×Lτ1} …(5)
θ2×Lτ1=(ωC1−ωB1)2τ1 …(6)
角周波数ωC1+ωB1の送信信号が受信されるまでに生じる位相シフト量をθH1(t)とし、角周波数ωC1−ωB1の送信信号が受信されるまでに生じる位相シフト量をθL1(t)とすると、2つの受信波の位相シフトの差分は、(3)式から(6)式を引いた下記(7)式によって与えられる。
θH1(t)−θL1(t)=(θ2×Hτ1−θ2×Lτ1)=2ωB1×2τ1 …(7)
ここで、τ1=R/cである。差分周波数ωB1は既知であるので、2つの受信波の位相シフト量の差分を測定すれば、測定結果から距離Rを、
R=c×(θ2×Hτ1−θ2×Lτ1)/(4ωB1)
と算出することができる。
rx2(t)=L1×cos{(ωC1+ωB1)t+θ1H−(ωC1+ωB1)τ1} …(8)
更に、送信波は、対象物から反射時に減衰LRFLを受ける。対象物における反射波tx2(t)は、下記(9)式で与えられる。
tx2(t)=LRFL×L1×cos{(ωC1+ωB1)t+θ1H−(ωC1+ωB1)τ1} …(9)
受信器で受信される受信信号はrx1(t)は、対象物から遅延量τ1=R/c[秒]だけ遅延し、距離Rに応じた減衰L1で振幅が減衰するので、下記(10)式によって表される。
rx1(t)=L1×LRFL×L1×cos{(ωC1+ωB1)t+θ1H−2(ωC1+ωB1)τ1} …(10)
このように、送信器からの送信信号は受信器に到達するまでに、L1×LRFL×L1の減衰を受けることになる。測距において送信器から発射できる信号振幅は、適用周波数に応じて電波法に従う必要がある。例えば、920MHz帯の特定周波数では、送信信号電力を1mW以下に抑える制限がある。受信信号の信号雑音比の観点から、正確に測距するためには送信から受信までに受ける減衰を小さく抑える必要がある。しかしながら、上述したように、反射波を利用した測距では減衰が比較的大きいことから、正確に測距できる距離が短い。
(非同期の場合の課題)
本実施の形態における測距システムでは、2物体間の測距に際して、各物体の位置にそれぞれ非同期にキャリア信号(送信信号)を射出する2つの装置(第1装置及び第2装置)を配置し、これらの2つの装置間の距離Rを求める。本実施の形態においては、第1装置において中心角周波数ωC1から角周波数±ωB1だけずれた2つの周波数のキャリア信号を送信し、第2装置において中心角周波数ωC2から角周波数±ωB2だけずれた2つの周波数のキャリア信号を送信する。
rx2(t)=cos{(ωC1+ωB1)t+θ1H−θ2×Hτ1} …(11)
装置A2においては、2つの信号cos{(ωC2+ωB2)t+θ2H}及びsin{(ωC2+ωB2)t+θ2H}と式(11)の受信波とを乗算することにより、受信波を同相成分(I信号)と直交成分(Q信号)とに分離する。受信波の位相(以下、検出位相又は単に位相という)は、I,Q信号から簡単に求めることができる。即ち、検出位相θH1(t)は下記(12)式で表される。なお、下記(12)式では、角周波数ωC1+ωC2近傍の高調波の項は、復調時に除去されるので省略している。
θH1(t)=tan−1(Q(t)/I(t))=−{(ωC1−ωC2)t+(ωB1−ωB2)t+θ1H−θ2H−θ2×Hτ1} …(12)
同様に、装置A1から角周波数ωC1−ωB1の送信信号を送信した場合において、装置A2において得られるI,Q信号から求められる検出位相θL1(t)は、下記(13)式で与えられる。なお、下記(13)式では、角周波数ωC1+ωC2近傍の高調波の項は、復調時に除去されるので省略している。
θL1(t)=tan−1(Q(t)/I(t))=−{(ωC1−ωC2)t−(ωB1−ωB2)t+θ1L−θ2L−θ2×Lτ1} …(13)
これらの2つの検出位相の位相差(以下、検出位相差又は単に位相差という)θH1(t)−θL1(t)は、下記(14)式で表される。
θH1(t)−θL1(t)=−2(ωB1−ωB2)t+(θ1H−θ1L)−(θ2H−θ2L)+(θ2×Hτ1−θ2×Lτ1) …(14)
反射波を利用した従来の測距装置は、装置A1と装置A2とが同一の装置であって局部発振器を共有していることになるので、下記(15)式〜(17)式を満足する。
ωB1=ωB2 …(15)
θ1H=θ2H …(16)
θ1L=θ2L …(17)
(15)式〜(17)式が成立する場合には、(14)式は上述した(7)式と等しくなり、装置A2における受信信号に対するI,Q復調処理によって求めた位相差により、装置A1と装置A2との間の距離Rを算出できることになる。
(実施の形態の基本測距方法)
第1装置が送信した上述した2つの角周波数の信号を第2装置において受信して各信号の位相を求めると共に、第2装置が送信した上述した2つの角周波数の信号を第1装置において受信して各信号の位相を求める。更に、第1装置と第2装置のいずれか一方から他方に、位相情報を伝送する。本実施の形態においては、後述するように、第1装置の受信によって求められる2つの信号の位相差と第2装置の受信によって求められる2つの信号の位相差とを加算することにより、第1装置と第2装置との間の距離Rを求めるようになっている。なお、位相情報としては、I,Q信号であってもよく、I,Q信号から求めた位相の情報であってもよく、周波数が異なる2つの信号から求めた位相の差の情報であってもよい。
(構成)
図1において、第1装置1(以下、装置1ともいう)と第2装置2(以下、装置2ともいう)とは距離Rだけ離間して配置されている。装置1と装置2の少なくとも一方は移動自在であり、距離Rはこの移動に伴って変化する。装置1には、制御部11が設けられている。制御部11は、装置1の各部を制御する。制御部11は、CPU等を用いたプロセッサによって構成されて、メモリ12に記憶されたプログラムに従って動作して各部を制御するものであってもよい。
(通信型測距の基本動作)
次に、このような通信型測距における動作について装置2で距離を算出する場合を例として図6のフローチャートを参照して説明する。図6は左側に装置1の動作を示し、右側に装置2の動作を示している。図6において装置1,2のステップ相互間を結ぶ矢印は装置1,2間で通信が行われることを示している。なお、ステップS4、S5、S14、S15はほぼ同時に実行される。
(装置1からの角周波数がωC1+ωB1の送信波の送受信)
いま、図4において、ITX1=1,QTX1=0、すなわち半径1、位相0度のIQ信号を与えるものとすると、送信部14を構成する乗算器TM11,TM12及び加算器TS11によって、装置1からは角周波数がωC1+ωB1とωC1−ωB1の2送信波が出力される。角周波数がωC1+ωB1の送信信号tx1(t)は、下記(18)式で表される。
tx1(t)=cos(ωC1t+θC1)cos(ωB1t+θB1)−sin(ωC1t+θC1)sin(ωB1t+θB1)
=cos{(ωC1+ωB1)t+θC1+θB1} …(18)
装置1、2相互間の距離をRとし、装置1からの送信波が装置2において受信されるまでの遅延をτ1とすると、装置2の受信信号rx2(t)は、下記(19),(20)式によって示すことができる。
rx2(t)=cos{(ωC1+ωB1)(t−τ1)+θC1+θB1}
=cos{(ωC1+ωB1)t+θC1+θB1−θτH1} …(19)
θτH1=(ωC1+ωB1)τ1 …(20)
この受信信号rx2(t)がアンテナ回路27によって受信されて受信部25に供給される。図5の受信器においては、受信信号rx2(t)は、乗算器RM21,RM22に入力される。次に、図5の受信器の各ノードにおける信号を順次計算する。乗算器RM21,RM23,RM24の出力を夫々I1(t),I2(t),I3(t)とし、乗算器RM22,RM26,RM25の出力を夫々Q1(t),Q2(t),Q3(t)とし、加算器RS21,RS22の出力を夫々I(t),Q(t)とする。これらの出力は、下記(21)式〜(26)式によって示される。
I1(t)=cos(ωC2t+θC2)×cos{(ωC1+ωB1)t+θC1+θB1−θτH1} …(21)
Q1(t)=sin(ωC2t+θC2)×cos{(ωC1+ωB1)t+θC1+θB1−θτH1} …(22)
I2(t)=I1(t)×cos(ωB2t+θB2) …(23)
Q2(t)=Q1(t)×sin(ωB2t+θB2) …(24)
I3(t)=I1(t)×sin(ωB2t+θB2) …(25)
Q3(t)=Q1(t)×cos(ωB2t+θB2) …(26)
加算器RS21の出力I(t)は、I(t)=I2(t)+Q2(t)であり、加算器RS22の出力Q(t)は、Q(t)=I3(t)−Q3(t)である。これらのI(t),Q(t)から得られる位相θH1(t)は、下記(27)で示される。
θH1(t)=tan−1(Q(t)/I(t))=−{(ωC1−ωC2)t+(ωB1−ωB2)t+θC1−θC2+θB1−θB2−θτH1} …(27)
(装置2からの角周波数がωC2+ωB2の送信波の送受信)
同様に、図5において、ITX2=1,QTX2=0とする。この場合に、装置2から送信される角周波数ωC2+ωB2の信号tx2(t)が遅延τ2後に、装置1で受信された場合において、装置1で検出するI(t),Q(t)信号から得られる位相θH2(t)を求める。
tx2(t)=cos(ωC2t+θC2)cos(ωB2t+θB2)−sin(ωC2t+θC2)sin(ωB2t+θB2)
=cos{(ωC2+ωB2)t+θC2+θB2} …(28)
rx1(t)=cos{(ωC2+ωB2)(t−τ2)+θC2+θB2}
=cos{(ωC2+ωB2)t+θC2+θB2−θτH2} …(29)
θτH2=(ωC2+ωB2)τ2 …(30)
この受信信号rx1(t)がアンテナ回路17によって受信されて受信部15に供給される。図4の受信器においては、受信信号rx1(t)は、乗算器RM11,RM12に入力される。次に、図4の受信器の各ノードにおける信号を順次計算する。乗算器RM11,RM13,RM14の出力を夫々I1(t),I2(t),I3(t)とし、乗算器RM12,RM16,RM15の出力を夫々Q1(t),Q2(t),Q3(t)とし、加算器RS11,RS12の出力を夫々I(t),Q(t)とする。これらの出力は、下記(31)式〜(36)式によって示される。
I1(t)=cos(ωC1t+θC1)×cos{(ωC2+ωB2)t+θC2+θB2−θτH2} …(31)
Q1(t)=sin(ωC1t+θC1)×cos{(ωC2+ωB2)t+θC2+θB2−θτH2} …(32)
I2(t)=I1(t)×cos(ωB1t+θB1) …(33)
Q2(t)=Q1(t)×sin(ωB1t+θB1) …(34)
I3(t)=I1(t)×sin(ωB1t+θB1) …(35)
Q3(t)=Q1(t)×cos(ωB1t+θB1) …(36)
加算器RS11の出力I(t)は、I(t)=I2(t)+Q2(t)であり、加算器RS12の出力Q(t)は、Q(t)=I3(t)−Q3(t)である。これらのI(t),Q(t)から得られる位相θH2(t)=tan−1(Q(t)/I(t))は、下記(37)で示される。
θH2(t)=(ωC1−ωC2)t+(ωB1−ωB2)t+θC1−θC2+θB1−θB2+θτH2 …(37)
(装置1からの角周波数がωC1−ωB1の送信波の送受信)
次に、装置1から送信される角周波数ωC1−ωB1の信号tx1(t)について、同様の演算を行う。
tx1(t)=cos(ωC1t+θC1)cos(ωB1t+θB1)+sin(ωC1t+θC1)sin(ωB1t+θB1)
=cos{(ωC1−ωB1)t+θC1−θB1} …(38)
となる。装置1、装置2間の距離はRで、遅延時間はτ1であるので、装置2での受信信号rx2(t)は、下記(39),(40)式で与えられる。
rx2(t)=cos{(ωC1−ωB1)(t−τ1)+θC1−θB1}
=cos{(ωC1−ωB1)t+θC1−θB1−θτL1} …(39)
θτL1=(ωC1−ωB1)τ1 …(40)
装置2の各ノードの信号は、下記(43)〜(47)式に示すことができる。
I1(t)=cos(ωC2t+θC2)×cos{(ωC1−ωB1)t+θC1−θB1−θτL1} …(41)
Q1(t)=sin(ωC2t+θC2)×cos{(ωC1−ωB1)t+θC1−θB1−θτL1} …(42)
I2(t)=I1(t)×cos(ωB2t+θB2) …(43)
Q2(t)=Q1(t)×−sin(ωB2t+θB2) …(44)
I3(t)=I1(t)×−sin(ωB2t+θB2) …(45)
Q3(t)=Q1(t)×cos(ωB2t+θB2) …(46)
加算器RS21から得られるI(t)=I2(t)−Q2(t)と、加算器RS22から得られるQ(t)=I3(t)+Q3(t)から装置2で検出する位相θL1(t)=tan−1(Q(t)/I(t))は、下記(47)式で与えられる。
θL1(t)=tan−1(Q(t)/I(t))=−{(ωC1−ωC2)t−(ωB1−ωB2)t+θC1−θC2−(θB1−θB2)−θτL1} …(47)
(装置2からの角周波数がωC2−ωB2の送信波の送受信)
同様に、装置2から送信される角周波数ωC2−ωB2の信号tx2(t)が遅延τ2後に、装置1で受信された場合において、装置1で検出するI(t),Q(t)信号から得られる位相θL2(t)を求める。
tx2(t)=cos(ωC2t+θC2)cos(ωB2t+θB2)+sin(ωC2t+θC2)sin(ωB2t+θB2)
=cos{(ωC2−ωB2)t+θC2−θB2} …(48)
rx1(t)=cos{(ωC2−ωB2)(t−τ2)+θC2−θB2}
=cos{(ωC2−ωB2)t+θC2−θB2−θτL2} …(49)
θτL2=(ωC2−ωB2)τ2 …(50)
装置1の各ノードの信号は、下記(53)〜(57)式に示すことができる。
I1(t)=cos(ωC1t+θC1)×cos{(ωC2−ωB2)t+θC2−θB2−θτL2} …(51)
Q1(t)=sin(ωC1t+θC1)×cos{(ωC2−ωB2)t+θC2−θB2−θτL2} …(52)
I2(t)=I1(t)×cos(ωB1t+θB1) …(53)
Q2(t)=Q1(t)×−sin(ωB1t+θB1) …(54)
I3(t)=I1(t)×−sin(ωB1t+θB1) …(55)
Q3(t)=Q1(t)×cos(ωB1t+θB1) …(56)
加算器RS11から得られるI(t)=I2(t)−Q2(t)と、加算器RS12から得られるQ(t)=I3(t)+Q3(t)から装置1で検出する位相θL2(t)=tan−1(Q(t)/I(t))は、下記(57)式で与えられる。
θL2(t)=(ωC1−ωC2)t−(ωB1−ωB2)t+θC1−θC2−(θB1−θB2)+θτL2 …(57)
装置1の制御部11は、図6のステップS6において、受信部15が受信したI,Q信号を取得し、ステップS7において、上記(37),(57)式に示す位相θτH2(t)及びθτL2(t)を算出する。また、装置2の制御部21は、図6のステップS16において、受信部25が受信したI,Q信号を取得し、ステップS17において、上記(27),(47)式に示す位相θτH1(t)及びθτL1(t)を算出する。
{θH1(t)−θL1(t)}+{θH2(t)−θL2(t)}=(θτH1−θτL1)+(θτH2−θτL2) …(58)
また、下記(59)式及び(60)式が成立する。
θτH1−θτL1=(ωC1+ωB1)τ1−(ωC1−ωB1)τ1
=2ωB1τ1 …(59)
θτH2−θτL2=(ωC2+ωB2)τ2−(ωC2−ωB2)τ2
=2ωB2τ2 …(60)
また、装置1、装置2間の電波の遅延τ1,τ2は進行方向によらず同じなので、(58)〜(60)式から下記(61)式が得られる。
{θH1(t)−θL1(t)}+{θH2(t)−θL2(t)}=(θτH1−θτL1)+(θτH2−θτL2)
=2×(ωB1+ωB2)τ1 …(61)
τ1=(R/c)であるから、上記(61)式は、装置2で検出したI,Q信号による2周波の位相差と装置1で検出したI,Q信号による2周波の位相差の加算により距離Rの2倍に比例する値が求まることを示す。装置1の発振器13による角周波数ωB1と装置2の発振器13による角周波数ωB2とは、一般に数十ppmのオーダーの誤差で一致させることができる。従って、上記(61)式による距離Rの算出は、少なくとも1m程度の分解能以上の分解能で求めることができる。
(2πの剰余による距離の算出)
ところで、装置1と装置2で検出した位相差の加算を行うとき、その結果が負の値になる場合や、2π[rad]より大きくなる場合がある。この場合には2πの剰余をとることで検出位相に対する正しい距離Rを求めることができる。
Δθ12=θτH1−θτL1=−1.8849[rad] …(62)
Δθ21=θτH2−θτL2=−6.0737[rad] …(63)
上記(61)式から下記(61a)式が得られる。
図7は上記(62)式及び(63)式の位相関係を示している。位相0度を基準に時計方向に回転する一番内側の矢印で示すΔθ21と内側から2番の矢印で示すΔθ12との和の位相は、内側から3番目の矢印で示すものとなる。この位相の半分の角度は、一番外側の矢印で示す太線の位相となる。
(複数の距離候補からの選択)
ところで、2πを超えた検出位相差を検出することはできないことから、算出された検出位相差に対して複数の距離の候補が存在する。複数存在する距離の候補から正しい距離を選択する手法として、角周波数が異なる3つの送信波を送信する方法と、受信電力により判定する方法とがある。
(1/2)×{(θτH1−θτL1)+(θτH2−θτL2)}=(ωB1+ωB2)×(R/c) …(64)
左辺をθdetと記すと、距離Rとθdetの関係は、図9の実線に示すものとなる。ただし、上記(64)式で計算される検出位相差の和θdetは、−π(rad)とπ(rad)の間以外の値も取り得るが、この検出位相差の和θdetは、−π(rad)とπ(rad)の間に変換したものである。これは、一般に、位相角は範囲[−π(rad),π(rad)]内で表示されることによる。
Q>1 …(65)
新たな角周波数での検出位相と距離Rとの関係は、図9の破線によって示すことができる。上記距離の候補R1〜R3から正しい距離を選択するには、新たな角周波数で得られた検出位相の結果を参照する。すなわち、θdet1が検出されれば、距離R1と判断し、θdet2が検出されれば、距離R2と判断する。なお、電波のカバー範囲を小さく抑えれば、上記の位相折り返しによる検査は不要である。なお、上記説明では異なる3つの周波数の送信について述べたが、同様なことは異なる3つ以上の周波数を送信しても実現できる。
L1=(λ/4πR)2 …(66)
ここで、λは波長である。(66)式によれば、距離Rが大きければ減衰L1も大きく、距離Rが小さければ減衰L1も小さい。受信電力Pを縦軸にとった図10はこの関係を示している。送受信のアンテナ利得を1、送信電力をP0と仮定すると、距離R1での受信電力P1と距離R2での受信電力P2はそれぞれ下記(67)式又は(68)式によって与えられる。
P1=(λ/4πR1)2×P0 …(67)
P2=(λ/4πR2)2×P0 …(68)
この受信電力と検出位相差の和θdetとから距離R1とR2の区別が可能となる。
(時系列送受信における課題)
装置1,2間において、同時刻には1波しか送受信できないものと規定した場合には、測距に必要な少なくとも4波の送受信を時系列で実施する必要がある。しかしながら、時系列送受信を実施すると、検出位相に時系列処理で生じた遅延分の位相が加算されてしまい、伝搬に要した位相が求められなくなる。上記(58)式を変形してこの理由について説明する。
{θH1(t)−θL1(t+3T)}+{θH2(t+2T)−θL2(t+T)}
=(θτH1−θτL1)+(θτH2−θτL2)+(ωC1−ωC2)4T …(79)
上記(79)式の最終項が時系列送受信により付加された位相である。この付加された位相は、受信するRF(高周波)信号の角周波数とほぼ同じローカル角周波数に対する装置1、装置2の誤差角周波数と遅延4Tの乗算結果となる。ローカル周波数を920[MHz]、周波数誤差を40[ppm]、遅延Tを0.1[ms]とした場合、付加された位相は、360°×14.7となり、付加された位相による誤差が大き過ぎて、正しく測距できないことが分かる。
{θH1(t)−θL1(t+T)}+{θH2(t+2T)−θL2(t+3T)}
=(θτH1−θτL1)+(θτH2−θτL2)+(ωB1−ωB2)4T …(80)
この(80)式の最終項が時系列送受信により付加された位相である。この付加された位相は、受信する高周波信号の低い角周波数とほぼ同じベースバンド用ローカル角周波数に対する装置1、装置2の誤差角周波数と遅延4Tの乗算結果となる。ベースバンド用ローカル周波数を5[MHz]、周波数誤差を40[ppm]、遅延Tを0.1[ms]とした場合、360°×0.08=28.8°となり、前例より正確に測距できることが分かる。
(具体的な手順(8回交番シーケンス)の例)
先ず、送信遅延による影響を考える。
{θH1(t)+θH2(t)}−{θL1(t)+θL2(t)}=(θτH1+θτH2)−(θτL1+θτL2) …(81)
なお、ここで、
θH1(t)+θH2(t)=θτH1+θτH2 …(82)
θL1(t)+θL2(t)=θτL1+θτL2 …(83)
である。
θH1(t)+θH2(t+t0)=θτH1+θτH2+{(ωB1−ωB2)+(ωC1−ωC2)}t0 …(84)
遅延t0は時系列的には最短の時間であり、装置1から装置2へ角周波数ωC1+ωB1の信号を送る時間、送受タイミングマージン、伝搬遅延を含むものである。右辺、第3項、第4項は遅延t0による位相誤差になる。周波数が高いことから第4項が特に問題となるが、これについては後で言及する。
θH1(t+T)+θH2(t+t0+T)=θτH1+θτH2+{(ωB1−ωB2)+(ωC1−ωC2)}t0 …(85)
上記(85)式の右辺と上記(84)式の右辺とは同じである。即ち、相対的時間差が同一であれば(上記例ではT)、装置1から送信された信号を装置2で受信した位相と装置2から送信された信号を装置1で受信した位相の加算結果は、遅延Tに拘わらず変化しない。つまり、これらの位相の加算結果は、遅延Tに依存しない値となる。
θL1(t)+θL2(t+t0)=θτL1+θτL2+{−(ωB1−ωB2)+(ωC1−ωC2)}t0 …(86)
θL1(t+T)+θL2(t+t0+T)=θτL1+θτL2+{−(ωB1−ωB2)+(ωC1−ωC2)}t0 …(87)
上記考察から、角周波数ωC1+ωB1信号の双方向の送受信後、角周波数ωC1−ωB1信号の送受信を行うシーケンスを考える。装置1から角周波数ωC1+ωB1信号の送信開始時間を基準として、装置1から角周波数ωC1−ωB1信号の送信開始時間をTとすると、上記(84)式及び(87)式から下記(88)式が得られる。ただし、T>t0である。
θH1(t)+θH2(t+t0)−{θL1(t+T)+θL2(t+t0+T)}
=θτH1−θτL1+θτH2−θτL2+2(ωB1−ωB2)t0 …(88)
上記(88)式の左辺の最終項が送信遅延による位相誤差である。受信した高周波用のローカル周波数の遅延誤差は角周波数ωC1+ωB1信号と角周波数ωC1−ωB1信号の差分をとることで打ち消されている。したがって、位相誤差は時系列的には最短の遅延時間t0とベースバンド用のローカル角周波数(例えば2π×5[MHz])の誤差の乗算となる。遅延時間t0を小さく設定すれば誤差は小さくなる。従って、遅延時間t0の値によっては、実使用上は、精度上問題無い測距が可能と言える。
θH1(t+t0)+θH2(t)=θτH1+θτH2−{(ωB1−ωB2)+(ωC1−ωC2)}t0 …(89)
この(89)式の左辺に所定の遅延Dを加えても、上述したように、右辺の値は変化しない。従って、下記(90)式が得られる。
θH1(t+t0+D)+θH2(t+D)=θτH1+θτH2−{(ωB1−ωB2)+(ωC1−ωC2)}t0 …(90)
上記(84)式と(90)式を加算すると、下記(91)式が得られる。
θH1(t)+θH2(t+t0)+θH1(t+t0+D)+θH2(t+D)=2(θτH1+θτH2) …(91)
図14の左側は上記(91)式の状態を示している。この(91)式においてD=t0とすると、下記(92)式が得られる。
θH1(t)+2θH2(t+t0)+θH1(t+2t0)=2(θτH1+θτH2) …(92)
上記(92)式の右辺は、時間依存のない距離に応じた電波伝搬遅延の項のみとなる。
θL1(t+t0)+θL2(t)=θτL1+θτL2−{−(ωB1−ωB2)+(ωC1−ωC2)}t0 …(93)
この(93)式の左辺に所定の遅延Dを加えても、右辺の値は変化しない。従って、下記(94)式が得られる。
θL1(t+t0+D)+θL2(t+D)=θτL1+θτL2−{−(ωB1−ωB2)+(ωC1−ωC2)}t0 …(94)
上記(86)式と(94)式を加算すると、下記(95)式が得られる。
θL1(t)+θL2(t+t0)+θL1(t+t0+D)+θL2(t+D)=2(θτL1+θτL2) …(95)
この(95)式において、D=t0とすると、下記(96)式が得られる。
θL1(t)+2θL2(t+t0)+θL1(t+2t0)=2(θτL1+θτL2) …(96)
上記(96)式の右辺は、時間依存のない距離に応じた電波伝搬遅延の項のみとなる。
θL1(t+T)+θL2(t+t0+T)+θL1(t+t0+D+T)+θL2(t+D+T)=2(θτL1+θτL2) …(97)
上記(91)式と(97)式から、下記(98)式が得られる。
θH1(t)+θH2(t+t0)+θH1(t+t0+D)+θH2(t+D)
−{θL1(t+T)+θL2(t+t0+T)+θL1(t+t0+D+T)+θL2(t+D+T)}
=2{(θτH1−θτL1)+(θτH2−θτL2)}=4×(ωB1+ωB2)τ1 …(98)
上記(98)式は、角周波数ωC1+ωB1、ωC2+ωB2の往復を時間間隔Dで繰返し交番したのち、測定開始からT後に角周波数ωC1−ωB1、ωC2−ωB2の往復を時間間隔Dで繰返し交番するシーケンスを示しており、このシーケンスを採用することで、上記(88)式の最終項の距離推定誤差要因を除去して、正確な測距が可能であることを示している。
<通信時間を短縮するための伝送シーケンス>
以上説明したように、本実施の形態において採用する通信型測距技術においては、8回交番シーケンスを採用することで、時間ずれによる影響を完全になくして、正確な測距を行うことができる。しかし、8回交番シーケンスでは、装置1,2が2波を2回ずつ、つまり、装置1が4回、装置2も4回の送信を行う必要があり、測距に要する時間が比較的長い。
(4回交番シーケンス)
そこで、本実施の形態においては、正確な測距を可能にしつつ、より短時間に測距する手法(4回交番シーケンス)を提案する。
θH1(t)+θH2(t+2t0)=θτH1+θτH2+2{(ωB1−ωB2)+(ωC1−ωC2)}t0 …(112)
θH1(t+t0)+θH2(t+2t0)=θτH1+θτH2+{(ωB1−ωB2)+(ωC1−ωC2)}t0 …(113)
θL1(t+T)+θL2(t+2t0+T)=θτL1+θτL2+2{−(ωB1−ωB2)+(ωC1−ωC2)}t0 …(114)
θL1(t+t0+T)+θL2(t+2t0+T)=θτL1+θτL2+{−(ωB1−ωB2)+(ωC1−ωC2)}t0 …(115)
次に、2×(113)式−(112)式−{2×(115)式−(114)式}を求めると、下記(116)式が得られる。
θH2(t+2t0)+2θH1(t+t0)−θH1(t)−{θL2(t+2t0+T)+2θL1(t+t0+T)−θL1(t+T)}
=(θτH1−θτL1)+(θτH2−θτL2)=2×(ωB1+ωB2)τ1 …(116)
この(116)式は、装置1,2において求めた位相差の加算によって、遅延時間τ1を求めることができることを示している。即ち、(116)式は、上述した8回交番シーケンスを示す(98)式と同様に、距離推定誤差要因を除去して、正確な測距が可能であることを示している。
この(99)式を変形して、下記(100)式が得られる。
上記(100)式は、(ωB1+ωB2)τ1がπ/2周期の不確定性を持つことを示している。即ち、(ωB1+ωB2)τ1は、π/2の剰余系で求められることになる。
上記(117)式は、(ωB1+ωB2)τ1がπ周期の不確定性を持つことを示している。即ち、(ωB1+ωB2)τ1は、πの剰余系で求められることになる。
(第2の実施の形態)
図21は本発明の第2の実施の形態を説明するための説明図である。図21は通信時間を短縮するための伝送シーケンスを示している。また、図22は図21のシーケンスに対応したタイミングチャートである。本実施の形態におけるハードウェア構成は第1の実施の形態と同様である。本実施の形態は、第1の実施の形態における4回交番シーケンスに対して送信順序が異なる4回交番シーケンスを採用した点が第1の実施の形態と異なるのみである。
θH1(t)+θH2(t+t0)=θτH1+θτH2+{(ωB1−ωB2)+(ωC1−ωC2)}t0 …(118)
θH1(t)+θH2(t+2t0)=θτH1+θτH2+2{(ωB1−ωB2)+(ωC1−ωC2)}t0 …(119)
θL1(t+T)+θL2(t+t0+T)=θτL1+θτL2+{−(ωB1−ωB2)+(ωC1−ωC2)}t0 …(120)
θL1(t+T)+θL2(t+2t0+T)=θτL1+θτL2+2{−(ωB1−ωB2)+(ωC1−ωC2)}t0 …(121)
次に、2×(118)式−(119)式−{2×(120)式−(121)式}を求めると、下記(122)式が得られる。
θH1(t)+2θH2(t+t0)−θH2(t+2t0)−{θL1(t+T)+2θL2(t+t0+T)−θL2(t+2t0+T)}
=(θτH1−θτL1)+(θτH2−θτL2)=2×(ωB1+ωB2)τ1 …(122)
この(122)式からτ1を求めることができる。即ち、(122)式は、第1の実施の形態の4回交番シーケンスと同様に、距離推定誤差要因を除去して、正確な測距が可能であることを示している。
(第3の実施の形態)
図23及び図24は本発明の第3の実施の形態を説明するための説明図である。図23及び図24は通信時間を短縮するための伝送シーケンスを示している。本実施の形態におけるハードウェア構成は第1の実施の形態と同様である。本実施の形態は、第1及び第2の実施の形態における4回交番シーケンスに対して送信順序が異なる4回交番シーケンスを採用した点が第1及び第2の実施の形態と異なるのみである。
θH1(t)+2θH2(t+t0)−θH2(t+2t0)−{θL2(t+2t0+T)+2θL1(t+t0+T)−θL1(t+T)}
=(θτH1−θτL1)+(θτH2−θτL2)=2×(ωB1+ωB2)τ1 …(116a)
また、同様に、{2×(115)式−(114)式}と{2×(120)式−(121)式}とを入れ替え、(112)式、(113)式、(120)式及び(121)式を用いて得られる下記(116b)式を用いても、(116)式及び(122)式と同様の結果を得ることができる。
θH2(t+2t0)+2θH1(t+t0)−θH1(t)−{θL1(t+T)+2θL2(t+t0+T)−θL2(t+2t0+T)}
=(θτH1−θτL1)+(θτH2−θτL2)=2×(ωB1+ωB2)τ1 …(116b)
図23は(116b)式を用いた場合の4回交番シーケンスを示している。また、図24は(116a)式を用いた場合の4回交番シーケンスを示している。
(第4の実施の形態)(6回交番シーケンス)
図25及び図26は本発明の第4の実施の形態を説明するための説明図である。図25及び図26は通信時間を短縮するための伝送シーケンスを示している。本実施の形態におけるハードウェア構成は第1の実施の形態と同様である。本実施の形態は、4回交番シーケンスと略同様の通信時間で測距が可能な6回交番シーケンスを採用した点が第1から第3の実施の形態と異なる。
θH1(t)+2θH2(t+t0)+θH1(t+2t0)
−{θL1(t+T)+2θL2(t+t0+T)+θL1(t+2t0+T)}
=2{(θτH1−θτL1)+(θτH2−θτL2)}=4×(ωB1+ωB2)τ1 …(98’)
この(98’)式は、6回交番シーケンスによっても、上述した8回交番シーケンスを示す(98)式と同様に、装置1,2において求めた位相差の加算によって、遅延時間τ1、即ち、装置1,2間の距離を、正確に測距することができることを示している。
(最大測距距離の2倍化)
ところで、6回交番シーケンスを示す(98’)式では、上記(99)式及び(100)式と同様の式が成立し、検出可能な最大測距距離は、4回交番シーケンスの1/2となる。しかし、式の変形によって最大測距距離を4回交番シーケンスと同じ距離に伸ばすことが可能である。以下、この方法について説明する。
θH1(t)+θH2(t+t0)−θH1(t+t0+D)−θH2(t+D)=2{(ωB1−ωB2)+(ωC1−ωC2)}t0 …(101)
同様に、(86)式−(94)式を計算すると、下記(102)式が得られる。
θL1(t)+θL2(t+t0)−θL1(t+t0+D)−θL2(t+D)=2{−(ωB1−ωB2)+(ωC1−ωC2)}t0 …(102)
(102)式の左辺のtに固定遅延Tを加えても右辺は一定なので、(103)式が得られる。
θL1(t+T)+θL2(t+t0+T)−θL1(t+t0+D+T)−θL2(t+D+T)
=2{−(ωB1−ωB2)+(ωC1−ωC2)}t0 …(103)
式(101)−式(103)を計算すると、下記(104)式が得られる。
θH1(t)+θH2(t+t0)−θH1(t+t0+D)−θH2(t+D)
−θL1(t+T)−θL2(t+t0+T)+θL1(t+t0+D+T)+θL2(t+D+T)=4(ωB1−ωB2)t0 …(104)
この(104)式において、D=t0とすると、下記(110)式が得られる。
θH1(t)−θH1(t+2t0)−θL1(t+T)+θL1(t+2t0+T)=4(ωB1−ωB2)t0 …(110)
この(110)式の結果は、2πの剰余系で求まる。(110)式の左辺をS4とおくと整数n4を用いて、下記(105)式が得られる。
(ωB1−ωB2)t0=(S4/4)+(n4π/2) …(105)
(105)式の(ωB1−ωB2)t0はπ/2周期の不確定性をもつ。
(ωB1−ωB2)t0=S4/4 …(111)
このように(111)式によって、(ωB1−ωB2)t0を一意に求めることができる。
θH1(t)+θH2(t+t0)−{θL1(t+T)+θL2(t+t0+T)}
=2(ωB1+ωB2)τ1+2(ωB1−ωB2)t0 …(107)
この(107)式は2πの剰余系で求まるので、左辺の値をS6とすると、整数n6を用いて、下記(108)式が得られる。
(ωB1+ωB2)τ1=S6/2+(ωB1−ωB2)t0+n6π …(108)
(111)式から(ωB1−ωB2)t0を一意に求めることができるので、この(111)式を(108)式に代入することにより、(ωB1+ωB2)τ1を、π周期の不確定性をもって求めることができる。
(送受信周波数の一般化)
次に、送受信周波数を一般化する例について説明する。
(8回交番シーケンスで位相計算を一度に計算する場合の周波数の一般化)
送信波がωC+ωB、ωC−ωBの場合には、上記(84)式、(20)式及び(30)式が得られる。
θH1(t)+θH2(t+t0)=θτH1+θτH2+{(ωB1−ωB2)+(ωC1−ωC2)}t0 …(84)
θτH1=(ωC1+ωB1)τ1 …(20)
θτH2=(ωC2+ωB2)τ2 …(30)
角周波数を一般化して、装置1の送信波をωC1+ωH1、ωC1+ωL1とし、装置2の送信波の角周波数をωC2+ωH2、ωC2+ωL2と置き換えた場合、下記(123)式〜(130)式が成立する。なお、上記一般化した角周波数における検出位相は、Θ(t)と表記する。
ΘH1(t)+ΘH2(t+t0)=ΘτH1+ΘτH2+(ωH1−ωH2)t0+(ωC1−ωC2)t0 …(123)
ΘH1(t+t0+D)+ΘH2(t+D)=ΘτH1+ΘτH2−(ωH1−ωH2)t0−(ωC1−ωC2)t0 …(124)
ΘL1(t+T)+ΘL2(t+t0+T)=ΘτL1+ΘτL2+(ωL1−ωL2)t0+(ωC1−ωC2)t0 …(125)
ΘL1(t+t0+D+T)+ΘL2(t+D+T)=ΘτL1+ΘτL2−(ωL1−ωL2)t0−(ωC1−ωC2)t0 …(126)
ΘτH1=(ωC1+ωH1)τ1 …(127)
ΘτH2=(ωC2+ωH2)τ2 …(128)
ΘτL1=(ωC1+ωL1)τ1 …(129)
ΘτL2=(ωC2+ωL2)τ2 …(130)
よって、(98)式に相当する式は、下記(131)式で与えられる。
ΘH1(t)+ΘH2(t+t0)+ΘH1(t+t0+D)+ΘH2(t+D)
−{ΘL1(t+T)+ΘL2(t+t0+T)+ΘL1(t+t0+D+T)+ΘL2(t+D+T)}
=2(ΘτH1−ΘτL1)+2(ΘτH2−ΘτL2)
=2(ωH1−ωL1)τ1+2(ωH2−ωL2)τ2 …(131)
ここで、ωH1及びωH2の設計値をωHとし、ωL1及びωL2の設計値をωLとする。測距システムの目標仕様を考慮すると、ωHに対するωH1,ωH2の誤差、ωLに対するωL1,ωL2の誤差は、数10[ppm]のオーダーとなり、1m程度の分解能であれば設計値を用いても全く問題がない。τ1=τ2とし、ωH1,ωH2に代えてωHを用い、ωL1,ωL2に代えてωLを用いて(131)式を改めると、下記(134)式が得られる。
ΘH1(t)+ΘH2(t+t0)+ΘH1(t+t0+D)+ΘH2(t+D)
−{ΘL1(t+T)+ΘL2(t+t0+T)+ΘL1(t+t0+D+T)+ΘL2(t+D+T)}
≒4(ωH−ωL)τ1 …(134)
この(134)式によってτ1を求めて、R=cτ1によって、距離を算出することができる。
(8回交番シーケンスにおいて位相計算を分割する場合の周波数の一般化)
8回交番シーケンスでは、最大測距距離は、(61)式により距離を求める場合の1/2になるものと説明したが、6回交番シーケンスの場合と同様に、位相計算を分割することによって最大測距距離を(61)式により距離を求める場合と同じ距離に延ばすことができる。
ΘH1(t)+ΘH2(t+t0)−ΘH1(t+t0+D)−ΘH2(t+D)
−ΘL1(t+T)−ΘL2(t+t0+T)+ΘL1(t+t0+D+T)+ΘL2(t+D+T)
=2{(ωH1−ωL1)−(ωH2−ωL2)}t0 …(135)
上記(135)式は2πの剰余系で求まるので、左辺をΣ8とおくと、整数m8を用いて、下記(136)式が得られる。
{(ωH1−ωL1)−(ωH2−ωL2)}t0=(Σ8/2)+m8π …(136)
ここで、装置の設計値として、ωH1とωL1の角周波数差、ωH2とωL2の角周波数差を2π×10[MHz]とし、送受間の周波数誤差を最大±40[ppm]、遅延t0を0.1[ms]とした場合、360°×(10×106×±40[ppm])=±14.4°なので、(136)式の左辺は、−π/2〜π/2[rad]=−90〜90°に収まることが明らかであり不確定性を排除することができる。すなわち、−π〜π[rad]の間で求めたΣ8をもちいて、下記(137)式が与えられる。
{(ωH1−ωL1)−(ωH2−ωL2)}t0=Σ8/2 …(137)
こうして、(137)式より、{(ωH1−ωL1)−(ωH2−ωL2)}t0を一意に求めることができる。
ΘH1(t)+ΘH2(t+t0)−{ΘL1(t+T)+ΘL2(t+t0+T)}
=(ΘτH1−ΘτL1)+(ΘτH2−ΘτL2)+{(ωH1−ωL1)−(ωH2−ωL2)}t0
=2(ωH−ωL)τ1+{(ωH1−ωL1)−(ωH2−ωL2)}t0 …(138)
この(138)式に、(137)式の結果を代入することで、τ1を求めることができ、距離R=cτ1 から、距離を求めることができる。この場合には、(134)式により距離を求める場合の2倍の最大測距距離が得られ、(61)式により距離を求める場合と同じ最大測距距離に延ばすことができる。
(6回交番シーケンスで位相計算を分割して計算する場合の周波数の一般化)
上記(135)式において、D=t0とすると、下記(139)式が得られる。
ΘH1(t)−ΘH1(t+2t0)−ΘL1(t+T)−+ΘL1(t+2t0+T)
=2{(ωH1−ωL1)−(ωH2−ωL2)}t0 …(139)
(139)式の左辺を−π〜π[rad]の間で求めた結果をΣ6とおくと、上記(137)式の導出時の説明と同様に不確定性を排除することができ、下記(140)式が得られる。
{(ωH1−ωL1)−(ωH2−ωL2)}t0=Σ6/2 …(140)
この(140)式を、(138)式に代入することで、τ1を求めることができ、距離R=cτ1 から、距離を求めることができる。
(4回交番シーケンスで位相計算を一度に計算する場合の周波数の一般化)
同様に、上記(116)式及び(122)式は、角周波数ωH,ωLの設計値を用いて、それぞれ下記(141)式及び(142)式で表される。
ΘH2(t+2t0)+2ΘH1(t+t0)−ΘH1(t)−{ΘL2(t+2t0+T)+2ΘL1(t+t0+T)−ΘL1(t+T)}
≒2(ωH−ωL)τ1 …(141)
ΘH1(t)+2ΘH2(t+t0)−ΘH2(t+2t0)−{ΘL1(t+T)+2ΘL2(t+t0+T)−ΘL2(t+2t0+T)}
≒2(ωH−ωL)τ1 …(142)
これらの(ωH−ωL)τ1は、(117)式と同様にπ周期の不確定性をもって算出できる。従って、(141)式や(142)式を用いることで、任意の2波や3波以上を用いた測距にも4回交番シーケンスを適用可能である。
(第5の実施の形態)(3周波短縮交番シーケンス)
図27から図29は本発明の第5の実施の形態を説明するための説明図である。図27から図29は3周波6回交番シーケンスを示している。本実施の形態におけるハードウェア構成は第1の実施の形態と同様である。上述した図9では、3つの送信波を用いた測距によって測距できる距離を延ばす例を説明した。これらの3つの周波数の送信波を4回交番シーケンスと同様の手法によって伝送することが考えられる。図27はこの場合の伝送シーケンスにおいて装置1,2から送信される送信信号を示しており、図28は図27の伝送シーケンスにおける位相検出を示している。
(1/2)×ΘH2(t+2t0)+2ΘH1(t+t0)−ΘH1(t)−{ΘL2(t+2t0+T)+2ΘL1(t+t0+T)−ΘL1(t+T)}
≒(ωH−ωL)×(R/c) …(143)
また、これまでの説明と同様に計算すると(144)式が得られるのは明らかである。
(1/2)×ΘM2(t+2t0+D)+2ΘM1(t+t0+D)−ΘM1(t+D)−{ΘL2(t+2t0+T)+2ΘL1(t+t0+T)−ΘL1(t+T)}
≒(ωM−ωL)×(R/c) …(144)
図28に示した3周波6回交番シーケンスにおいて、「装置1が送信波ωC1+ωH1を生成して送信してから、装置2から送信された送信波ωC2+ωH2を受信するまでの部分」で得られた位相から(143)式の左辺を計算でき、この値をΘdetと記す。同様に、「装置1が送信波ωC1+ωL1を生成して送信してから、装置2から送信された送信波ωC2+ωM2を受信するまでの部分」で得られた位相から(144)式の左辺が計算でき、この値をΘdet1と記す。ΘdetとΘdet1を用いれば、図9を用いて説明したのと同様に測距できる距離を延ばすことができる。
θH1(t)=−{(ωC1−ωC2)t+(ωB1−ωB2)t+θC1−θC2+θB1−θB2−θτH1} …(27)
θH2(t)=(ωC1−ωC2)t+(ωB1−ωB2)t+θC1−θC2+θB1−θB2+θτH2 …(37)
θL1(t)=−{(ωC1−ωC2)t−(ωB1−ωB2)t+θC1−θC2−(θB1−θB2)−θτL1} …(47)
θL2(t)=(ωC1−ωC2)t−(ωB1−ωB2)t+θC1−θC2−(θB1−θB2)+θτL2 …(57)
これらの(27)式、(37)式、(47)式及び(57)式において、装置1の送信波の角周波数をωC1+ωH1、ωC1+ωL1、装置2の送信波の角周波数をωC2+ωH2、ωC2+ωL2と置き換えて一般化した場合、(127)〜(130)式を用いて以下の(201)〜(204)式が成立する。
ΘH1(t)=−{(ωC1−ωC2)t+(ωH1−ωH2)t+(ΘC1−ΘC2)+(ΘH1−ΘH2)−ΘτH1} …(201)
ΘH2(t)=(ωC1−ωC2)t+(ωH1−ωH2)t+(ΘC1−ΘC2)+(ΘH1−ΘH2)+ΘτH2 …(202)
ΘL1(t)=−{(ωC1−ωC2)t+(ωL1−ωL2)t+(ΘC1−ΘC2)+(ΘL1−ΘL2)−ΘτL1} …(203)
ΘL2(t)=(ωC1−ωC2)t+(ωL1−ωL2)t+(ΘC1−ΘC2)+(ΘL1−ΘL2)+ΘτL2 …(204)
同様に、3つ目の角周波数ωC1+ωM1、ωC2+ωM2を用いると、下記(205)式,(206)式が成立することは明らかである。
ΘM1(t)=−{(ωC1−ωC2)t+(ωM1−ωM2)t+(ΘC1−ΘC2)+(ΘM1(t)−ΘM2)−ΘτM1} …(205)
ΘM2(t)=(ωC1−ωC2)t+(ωM1−ωM2)t+(ΘC1−ΘC2)+(ΘM1−ΘM2)+ΘτM2 …(206)
ただし、
ΘτM1=(ωC1+ωM1)τ1 …(129a)
ΘτM2=(ωC2+ωM2)τ2 …(130a)
とする。
ΘH1(t)+ΘH2(t+2t0)=ΘτH1+ΘτH2+2{(ωC1−ωC2)+(ωH1−ωH2)}t0 …(207)
ΘH1(t+t0)+ΘH2(t+2t0)=ΘτH1+ΘτH2+{(ωC1−ωC2)+(ωH1−ωH2)}t0 …(208)
ΘL1(t+T)+ΘL2(t+2t0+T)=ΘτL1+ΘτL2+2{(ωC1−ωC2)+(ωL1−ωL2)}t0 …(209)
ΘL1(t+t0+T)+ΘL2(t+2t0+T)=ΘτL1+ΘτL2+{(ωC1−ωC2)+(ωL1−ωL2)}t0 …(210)
ΘM1(t+D)+ΘM2(t+t0+D)=ΘτM1+ΘτM2+{(ωC1−ωC2)+(ωM1−ωM2)}t0 …(211)
なお、上述したように、装置1内の複数の発振器は共通の基準発振源に同期して発振しており、装置2内の複数の発振器も共通の基準発振源に同期して発振しているものとする。このとき、設計値とした理想的な角周波数をそれぞれωH、ωL、ωMとし、送受間の周波数誤差をkとおくと、次の(212)式が成立する。
k=(ωH1−ωH2)/ωH=(ωL1−ωL2)/ωL=(ωM1−ωM2)/ωM …(212)
このkを用いると、(207)式〜(211)式から下記(213)式及び(214)式が成立する。
ΘH1(t)−ΘH1(t+t0)−ΘL1(t+T)+ΘL1(t+t0+T)
={(ωH1−ωH2)−(ωL1−ωL2)}t0
=k(ωH−ωL)t0 …(213)
ΘH1(t+t0)+ΘH2(t+2t0)−{ΘM1(t+D)+ΘM2(t+t0+D)}
=ΘτH1+ΘτH2−ΘτM1+ΘτM2+{(ωH1−ωH2)−(ωM1−ωM2)}t0
=ΘτH1+ΘτH2−ΘτM1+ΘτM2+k(ωH−ωM)t0 …(214)
ここで装置の設計値として仮に、kを最大±40[ppm]、ωH−ωLを2π×10[MHz]、遅延t0を0.1[ms]とした場合、(213)式の右辺を計算すると±40[ppm]×2π×10[MHz]×0.1[ms])=±0.08πなので、式(213)の左辺は2πの不確定性をもつことなく一意に求まる。すなわちkが±40[ppm]程度あっても、送受信パラメータを適切に選択すれば、式(213)の左辺の2πの不確定性を排除できることがわかる。
ΘH1(t+t0)+ΘH2(t+2t0)−ΘM1(t+D)−ΘM2(t+t0+D)
−(ωH−ωM)/(ωH−ωL){ΘH1(t)−ΘH1(t+t0)−ΘL1(t+T)+ΘL1(t+t0+T)}
=(ΘτH1−ΘτM1)+(ΘτH2−ΘτM2)≒2(ωH−ωM)τ1 …(215)
同様に、(207)式〜(211)式から次の(216)式が成立する。
ΘL1(t+t0+T)+ΘL2(t+2t0+T)−ΘM1(t+D)−ΘM2(t+t0+D)
−(ωL−ωM)/(ωH−ωL){ΘH1(t)−ΘH1(t+t0)−ΘL1(t+T)+ΘL1(t+t0+T)}
=(ΘτL1−ΘτM1)+(ΘτL2−ΘτM2)≒2(ωL−ωM)τ1 …(216)
また、(201)式〜(204)式の関係から、次の(217)式が成立する。
ΘH2(t+2t0)+2ΘH1(t+t0)−ΘH1(t)
−{ΘL2(t+2t0+T)+2ΘL1(t+t0+T)−ΘL1(t+T)}
=(ΘτH1−ΘτL1)+(ΘτH2−ΘτL2)≒2(ωH−ωL)τ1 …(217)
すなわち、(215)式、(216)式及び(217)式を用いれば、3つの角周波数ωH、ωL、ωMのいずれの2つの組み合わせによっても測距が可能であることが分かる。
(第6の実施の形態)(位相情報の伝送方法の具体例)
次に、本発明の第6の実施の形態について説明する。本実施の形態におけるハードウェア構成は第1の実施の形態と同様である。
tx2(t)=cos(ωC2t+θC2){cos(ωB2t+θB2)cos(θD2H)+sin(ωB2t+θB2)sin(θD2H)}−sin(ωC2t+θC2){sin(ωB2t+θB2)cos(θD2H)−cos(ωB2t+θB2)sin(θD2H)}
=cos(ωC2t+θC2)cos{ωB2t+θB2−θD2H}−sin(ωC2t+θC2)sin{ωB2t+θB2−θD2H}
=cos{(ωC2+ωB2)t+θC2+θB2−θD2H} …(301)
装置2、装置1間の距離をR、装置2からの送信波が遅延時間τ2後に装置1において受信されるものとすると、その受信信号rx1(t)は、下記(302)式で表される。
rx1(t)=cos{(ωC2+ωB2)(t−τ2)+θC2+θB2−θD2H}
=cos{(ωC2+ωB2)t+θC2+θB2−θD2H−θτH2} …(302)
なお、θτH2=(ωC2+ωB2)τ2 …(303)
である。よって上記(29)式及び(30)式と、(302)式及び(303)式との比較から、装置1で検出される位相θH2(t)は、上記(37)式と同様の下記(304)式で与えられることは容易に類推できる。
θH2(t)=(ωC1−ωC2)t+(ωB1−ωB2)t+θC1−θC2+θB1−θB2+θD2H+θτH2 …(304)
次に、低い角周波数ωC2−ωB2の送信波での位相検出について説明する。装置1で検出する位相θL2(t)は、上記(304)式の導出と同様に考えることで、次の(305)式で求めることができる。
θL2(t)=(ωC1−ωC2)t−(ωB1−ωB2)t+θC1−θC2−(θB1−θB2)+θD2L+θτL2 …(305)
なお、
θτL2=(ωC2−ωB2)τ2 …(306)
である。
θτH1=(ωC1+ωB1)τ1 …(20)
θH1(t)=−{(ωC1−ωC2)t+(ωB1−ωB2)t+θC1−θC2+θB1−θB2−θτH1} …(27)
θτL1=(ωC1−ωB1)τ1 …(40)
θL1(t)=−{(ωC1−ωC2)t−(ωB1−ωB2)t+θC1−θC2−(θB1−θB2)−θτL1} …(47)
ここで、上記(116)式から、装置2において受信信号から求めた位相情報を初期位相に加えて装置1に送信することで、装置1は、受信信号から求めた位相情報により測距が可能であることが類推される。以下、この類推について検証する。
θD2H=2θH1(t+t0)−θH1(t) …(307)
θD2L=2θL1(t+t0+T)−θL1(t+T) …(308)
装置2は、受信信号から求めた位相情報を元に計算した、θD2H、θD2Lを用いた送信を行う。装置1は、図17のt=2t0及びt=2t0+Tのタイミングの受信信号によって得た2つの位相情報を加算して下記(309)式を得る。
θH2(t+2t0)−θL2(t+2t0+T)
=(ωC1−ωC2)(t+2t0)+(ωB1−ωB2)(t+2t0)+θC1−θC2+θB1−θB2+θD2H+θτH2
−{(ωC1−ωC2)(t+2t0+T)−(ωB1−ωB2)(t+2t0+T)+θC1−θC2−(θB1−θB2)+θD2L+θτL2}
=−(ωC1−ωC2)T+(ωB1−ωB2)T+2(ωB1−ωB2)(t+2t0)+2(θB1−θB2)+(θτH2−θτL2)+θD2H−θD2L …(309)
ここで、θD2H−θD2Lは下記(310)式で与えられる。
θD2H−θD2L
=2θH1(t+t0)−θH1(t)−{2θL1(t+t0+T)−θL1(t+T)}
=−2{(ωC1−ωC2)(t+t0)+(ωB1−ωB2)(t+t0)+θC1−θC2+θB1−θB2−θτH1}
+{(ωC1−ωC2)t+(ωB1−ωB2)t+θC1−θC2+θB1−θB2−θτH1}
+2{(ωC1−ωC2)(t+t0+T)−(ωB1−ωB2)(t+t0+T)+θC1−θC2−(θB1−θB2)−θτL1}
−{(ωC1−ωC2)(t+T)−(ωB1−ωB2)(t+T)+θC1−θC2−(θB1−θB2)−θτL1}
=(ωC1−ωC2)T−(ωB1−ωB2)T−2(ωB1−ωB2)(t+2t0)−2(θB1−θB2)−(θτH1−θτL1) …(310)
装置1、装置2間の電波の遅延は進行方向によらず同じ、すなわち、τ1=τ2なので、上記(309)式及び(310)式から下記(311)式が成立する。
θH2(t+2t0)−θL2(t+2t0+T)=(θτH1−θτL1)+(θτH2−θτL2)=2(ωB1+ωB2)τ1 …(311)
この(311)式は、装置1で測定した位相情報だけを用いて測距できることを意味している。すなわち、装置2は、測定した位相情報を元に、(307)式及び(308)式で与えられるθD2H,θD2Lを使って送信すれば、装置1は装置1で測定した位相情報だけを用いて測距できることが可能であることが分かる。
(変形例)
次に、第6の実施の形態の変形例について説明する。
θD2H=0 …(312)
θD2L=2θL1(t+t0+T)−θL1(t+T)−{2θH1(t+t0)−θH1(t)} …(313)
装置2がこのθD2H、θD2Lを用いて生成した送信波を装置1に送信した場合でも、装置1は測定した位相情報だけを用いて測距できる。
(第7の実施の形態)(3周波6回交番シーケンスにおける位相情報の伝送方法の例)
次に、本発明の第7の実施の形態について説明する。本実施の形態におけるハードウェア構成は第1の実施の形態と同様である。
θH1(t)=−{(ωC1−ωC2)t+(ωB1−ωB2)t+θC1−θC2+θB1−θB2−θτH1} …(27)
θH2(t)=(ωC1−ωC2)t+(ωB1−ωB2)t+θC1−θC2+θB1−θB2+θD2H+θτH2 …(304)
θL1(t)=−{(ωC1−ωC2)t−(ωB1−ωB2)t+θC1−θC2−(θB1−θB2)−θτL1} …(47)
θL2(t)=(ωC1−ωC2)t−(ωB1−ωB2)t+θC1−θC2−(θB1−θB2)+θD2L+θτL2 …(305)
θτH1=(ωC1+ωB1)τ1 …(20)
θτH2=(ωC2+ωB2)τ2 …(303)
θτL2=(ωC2−ωB2)τ2 …(306)
θτL1=(ωC1−ωB1)τ1 …(40)
まず、3つの周波数のうち、任意の2つの周波数で測距が可能であることを説明するために角周波数を一般化した場合の測距の式を説明する。
ΘH1(t)+ΘH2(t+2t0)=ΘτH1+ΘτH2+ΘD2H+2{(ωH1−ωH2)+(ωC1−ωC2)}t0 …(320)
ΘH1(t+t0)+ΘH2(t+2t0)=ΘτH1+ΘτH2+ΘD2H+{(ωH1−ωH2)+(ωC1−ωC2)}t0 …(321)
ΘL1(t+T)+ΘL2(t+2t0+T)=ΘτL1+ΘτL2+ΘD2L+2{(ωL1−ωL2)+(ωC1−ωC2)}t0 …(322)
ΘL1(t+t0+T)+ΘL2(t+2t0+T)=ΘτL1+ΘτL2+ΘD2L+{(ωL1−ωL2)+(ωC1−ωC2)}t0 …(323)
ΘM1(t+D)+ΘM2(t+2t0+D)=ΘτM1+ΘτM2+ΘD2M+2{(ωM1−ωM2)+(ωC1−ωC2)}t0 …(324)
ΘM1(t+t0+D)+ΘM2(t+2t0+D)=ΘτM1+ΘτM2+ΘD2M+{(ωM1−ωM2)+(ωC1−ωC2)}t0 …(325)
ΘτH1=(ωC1+ωH1)τ1 …(326)
ΘτH2=(ωC2+ωH2)τ2 …(327)
ΘτL1=(ωC1+ωL1)τ1 …(328)
ΘτL2=(ωC2+ωL2)τ2 …(329)
ΘτM1=(ωC1+ωM1)τ1 …(330)
ΘτM2=(ωC2+ωM2)τ2 …(331)
ここで、装置2は取得した位相情報を元に、下記(332)式〜(334)式に示す位相オフセットを設定する。
ΘD2H=2ΘH1(t+t0)−ΘH1(t) …(332)
ΘD2L=2ΘL1(t+t0+T)−ΘL1(t+T) …(333)
ΘD2M=2ΘM1(t+t0+D)−ΘM1(t+D) …(334)
装置2が設定した位相オフセットを有する送信波を送信する場合において、上記(221)式×2−(220)式−{(223)式×2−(222)式}を計算して整理すると、下記(335)式が得られる。
ΘH2(t+2t0)−ΘL2(t+2t0+T)
=(ΘτH1−ΘτL1)+(ΘτH2−ΘτL2)
=(ωH1−ωL1)τ1+(ωH2−ωL2)τ2 …(335)
ここで、角周波数ωH1、ωH2及びωL1、ωL2をそれらの設計値ωH、ωLに置き換えても、測距システムの目標仕様を考慮すると、ωHに対するωH1,ωH2の誤差及びωLに対するωL1,ωL2の誤差は、数10[ppm]のオーダーであり、この置き換えは実用上問題がない。そこで、τ1=τ2とし、ωH1,ωH2に代えてωHを用い、ωL1,ωL2に代えてωLを用いて(335)式を改めると、下記(336)式が得られる。
ΘH2(t+2t0)−ΘL2(t+2t0+T)
≒2(ωH−ωL)τ1 …(336)
この(336)式からτ1が求まり、R=cτ1から距離を求めることができる。
ΘH2(t+2t0)−ΘM2(t+2t0+D)
=(ΘτH1−ΘτM1)+(ΘτH2−ΘτM2)
=(ωH1−ωM1)τ1+(ωH2−ωM2)τ2
≒2(ωH−ωM)τ1 …(337)
ΘM2(t+2t0+D)−ΘL2(t+2t0+T)
=(ΘτM1−ΘτL1)+(ΘτM2−ΘτL2)
=(ωM1−ωL1)τ1+(ωM2−ωL2)τ2
≒2(ωM−ωL)τ1 …(338)
ただし、角周波数ωMは、角周波数ωM1、ωM2の設計値である。
(第8の実施の形態)(3周波短縮交番シーケンスにおける位相情報の伝送方法の例)
次に、本発明の第8の実施の形態について説明する。本実施の形態におけるハードウェア構成は第1の実施の形態と同様である。
ΘM1(t+D)+ΘM2(t+t0+D)=ΘτM1+ΘτM2+ΘD2M+{(ωM1−ωM2)+(ωC1−ωC2)}t0 …(339)
なお、上述したように、装置1内の複数の発振器は共通の基準発振源に同期して発振しており、装置2内の複数の発振器も共通の基準発振源に同期して発振しているものとする。このとき、理想的な角周波数をそれぞれωH、ωL、ωMとし、送受間の周波数誤差をkとおくと、次の(340)式が成立する。
k=(ωH1−ωH2)/ωH=(ωL1−ωL2)/ωL=(ωM1−ωM2)/ωM …(340)
ここで、装置2は取得した位相情報を元に、下記(341)式〜(343)式に示す位相オフセットを設定する。
ΘD2H=2ΘH1(t+t0)−ΘH1(t) …(341)
ΘD2L=2ΘL1(t+t0+T)−ΘL1(t+T) …(342)
ΘD2M=ΘM1(t+D)−{(ωM−ωL)/(ωH−ωL)}{ΘH1(t)−ΘH1(t+t0)}−{(ωH−ωM)/(ωH−ωL)}{ΘL1(t+T)−ΘL1(t+t0+T)} …(343)
装置2が設定した位相オフセットを有する送信波を送信する場合、上記図28と図29との対比から、上記(336)式が成立することは明らかである。また、(321)式−(339)式−{(ωH−ωM)/(ωH−ωL)}{(320)式−(321)式−(322)式+(323)式}を計算すると、下記(344)式が得られる。
ΘH1(t+t0)+ΘH2(t+2t0)−ΘM1(t+D)−ΘM2(t+t0+D)
−{(ωH−ωM)/(ωH−ωL)}{ΘH1(t)−ΘH1(t+t0)−ΘL1(t+T)+ΘL1(t+t0+T)}
=ΘτH1+ΘτH2+ΘD2H−{ΘτM1+ΘτM2+ΘD2M}+{(ωH1−ωH2)−(ωM1−ωM2)}t0−{(ωH−ωM)/(ωH−ωL)}{(ωH1−ωH2)−(ωL1−ωL2)}t0 …(344)
上記(344)式に(340)式、(341)式及び(343)式を代入すると、下記(345)式が得られる。
ΘH1(t+t0)+ΘH2(t+2t0)−ΘM1(t+D)−ΘM2(t+t0+D)
−{(ωH−ωM)/(ωH−ωL)}{ΘH1(t)−ΘH1(t+t0)−ΘL1(t+T)+ΘL1(t+t0+T)}
=ΘτH1+ΘτH2−(ΘτM1+ΘτM2)+{(ωH1−ωH2)−(ωM1−ωM2)}t0−{(ωH−ωM)/(ωH−ωL)}{(ωH1−ωH2)−(ωL1−ωL2)}t0+2ΘH1(t+t0)−ΘH1(t)+{(ωM−ωL)/(ωH−ωL)}{ΘH1(t)−ΘH1(t+t0)}+{(ωH−ωM)/(ωH−ωL)}{ΘL1(t+T)−ΘL1(t+t0+T)}−ΘM1(t+D) …(345)
τ1=τ2を用いて整理すると、下記(346)式が得られる。
ΘH2(t+2t0)−ΘM2(t+t0+D)
=(ΘτH1−ΘτM1)+(ΘτH2−ΘτM2)
≒2(ωH−ωM)τ1 …(346)
また、(339)式−(323)式−{(ωM−ωL)/(ωH−ωL)}{(320)式−(321)式−(322)式+(323)式}を計算すると、下記(347)式が得られる。
ΘM1(t+D)+ΘM2(t+t0+D)−ΘL1(t+t0+T)−ΘL2(t+2t0+T)−{(ωM−ωL)/(ωH−ωL)}{ΘH1(t)−ΘH1(t+t0)−ΘL1(t+T)+ΘL1(t+t0+T)}
=ΘτM1+ΘτM2+ΘD2M−{ΘτL1+ΘτL2+ΘD2L}+{(ωM1−ωM2)−(ωL1−ωL2)}t0−{(ωM−ωL)/(ωH−ωL)}{(ωM1−ωM2)−(ωL1−ωL2)}t0 …(347)
上記(347)式に(340)式、(342)式及び(343)式を代入すると、下記(348)式が得られる。
ΘM1(t+D)+ΘM2(t+t0+D)−ΘL1(t+t0+T)−ΘL2(t+2t0+T)−{(ωM−ωL)/(ωH−ωL)}{ΘH1(t)−ΘH1(t+t0)−ΘL1(t+T)+ΘL1(t+t0+T)}
=ΘτM1+ΘτM2−(ΘτL1+ΘτL2)+{(ωM1−ωM2)−(ωL1−ωL2)}t0−{(ωM−ωL)/(ωH−ωL)}{(ωM1−ωM2)−(ωL1−ωL2)}t0+{(ωM−ωL)/(ωH−ωL)}{ΘH1(t)−ΘH1(t+t0)}−{(ωH−ωM)/(ωH−ωL)}{ΘL1(t+T)−ΘL1(t+t0+T)}+ΘM1(t+D)−2ΘL1(t+t0+T)+ΘL1(t+T) …(348)
τ1=τ2を用いて整理すると、下記(349)式が得られる。
ΘM2(t+t0+D)−ΘL2(t+2t0+T)
=(ΘτM1−ΘτL1)+(ΘτM2−ΘτL2)
≒2(ωM−ωL)τ1 …(349)
上記(336)式、(346)式及び(349)式は、装置1は自機が測定した位相情報だけを用いて測距できることを意味している。すなわち、装置2は、測定した位相情報を元に(341)式〜(343)式で与えられるΘD2H,ΘD2L,ΘD2Mを用いた送信波を送信すれば、装置1は装置1で測定した位相情報だけを用いて測距できることが可能であることが分かる。
(第9の実施の形態)
図30及び図31は本発明の第9の実施の形態を示す説明図である。本実施の形態は上記各測距システムをスマートエントリシステムに適用した例を示すものである。
Claims (13)
- 少なくとも一方が移動可能な第1装置と第2装置の間の距離を、複数の搬送波周波数で伝送される第1〜第4の既知信号の位相に基づいて算出する測距装置において、
第1基準信号源と、前記第1基準信号源の出力を用いて第1の搬送波周波数に対応する前記第1の既知信号及び前記第1の搬送波周波数とは異なる第2の搬送波周波数に対応する前記第2の既知信号を送信すると共に前記第1の搬送波周波数に対応する前記第3の既知信号及び前記第2の搬送波周波数に対応する前記第4の既知信号を受信する第1送受信器とを具備した前記第1装置と、
前記第1基準信号源とは独立に動作する第2基準信号源と、前記第2基準信号源の出力を用いて前記第1の搬送波周波数に対応する前記第3の既知信号及び前記第2の搬送波周波数に対応する前記第4の既知信号を送信すると共に前記第1の既知信号及び前記第2の既知信号を受信する第2送受信器とを具備した前記第2装置と、
前記第1装置又は第2装置に設けられ、前記第1送受信器が受信した前記第3及び第4の既知信号の位相を検出する第1の位相検出器と、
前記第1装置又は第2装置に設けられ、前記第2送受信器が受信した前記第1及び第2の既知信号の位相を検出する第2の位相検出器と、
前記第1装置又は第2装置に設けられ、前記第1の位相検出器が検出した前記第3及び第4の既知信号の位相の差と前記第2の位相検出器が検出した前記第1及び第2の既知信号の位相の差とに基づいて、前記第1装置と前記第2装置との間の距離を算出する算出部とを具備し、
前記第1送受信器及び前記第2送受信器は、前記第1の既知信号及びこの第1の既知信号に対応する前記第3の既知信号の1回ずつの送受信と、前記第2の既知信号及びこの第2の既知信号に対応する前記第4の既知信号の1回ずつの送受信との合わせて4回の送受信を行う測距装置。 - 前記第2送受信器は、前記第1及び第3の既知信号の1回ずつの送受信において前記第1の既知信号を所定の間隔で2回受信し、前記第2及び第4の既知信号の1回ずつの送受信において前記第2の既知信号を所定の間隔で2回受信し、前記算出部は前記第2送受信器の受信間隔に基づいて距離を算出する
請求項1に記載の測距装置。 - 前記第1送受信器は、前記第1及び第3の既知信号の1回ずつの送受信において前記第3の既知信号を所定の間隔で2回受信し、前記第2及び第4の既知信号の1回ずつの送受信において前記第4の既知信号を所定の間隔で2回受信し、前記算出部は前記第1送受信器の受信間隔に基づいて距離を算出する
請求項1に記載の測距装置。 - 前記第2送受信器は、前記第1及び第3の既知信号の1回ずつの送受信において前記第1の既知信号を所定の間隔で2回受信し、前記第1送受信器は、前記第2及び第4の既知信号の1回ずつの送受信において前記第4の既知信号を所定の間隔で2回受信し、前記算出部は前記第1送受信器及び前記第2送受信器の受信間隔に基づいて距離を算出する
請求項1に記載の測距装置。 - 前記第1送受信器は、前記第1及び第3の既知信号の1回ずつの送受信において前記第3の既知信号を所定の間隔で2回受信し、前記第2送受信器は、前記第2及び第4の既知信号の1回ずつの送受信において前記第2の既知信号を所定の間隔で2回受信し、前記算出部は前記第1送受信器及び前記第2送受信器の受信間隔に基づいて距離を算出する
請求項1に記載の測距装置。 - 前記第1送受信器及び前記第2送受信器は、前記第1及び第3の既知信号の1回ずつの送受信に続けて前記第1の既知信号の1回の送受信を行うと共に、前記第2及び第4の既知信号の1回ずつの送受信に続けて前記第2の既知信号の1回の送受信を行うことで合わせて6回の送信を行う
請求項1に記載の測距装置。 - 前記算出部は、前記第1及び第3の既知信号についても求めた位相による演算結果を、前記第1から第4の既知信号についても求めた位相による演算結果に代入することによって、前記位相の差をπ周期の不確定性をもって算出する
請求項6に記載の測距装置。 - 前記第1送受信器は、前記第1基準信号源の出力を用いて前記第1の搬送波周波数とも前記第2の搬送波周波数とも異なる第3の搬送波周波数に対応する第5の既知信号を送信すると共に前記第3の搬送波周波数に対応する第6の既知信号を受信し、
前記第2送受信器は、第2基準信号源の出力を用いて前記第6の既知信号を送信すると共に前記第5の既知信号を受信し、
前記第1送受信器及び前記第2送受信器は、前記第1及び第3の既知信号の1回ずつの送受信及び前記第2及び第4の既知信号の1回ずつの送受信に続けて、前記第5及び第6の既知信号の1回ずつの送受信を行い、
前記第2送受信器は、前記第5及び第6の既知信号の1回ずつの送受信において前記第5の既知信号を所定の間隔で2回受信する
請求項1に記載の測距装置。 - 前記第2送受信器は、前記第5及び第6の既知信号の1回ずつの送受信における前記第5の既知信号の2回受信のうちの1回を省略する
請求項8に記載の測距装置。 - 前記第1及び第2送受信器の一方は、前記第1及び第2送受信器の他方に対して、受信信号に基づいて前記第1又は第2位相検出器が検出した位相情報を位相オフセットとして付加して生成した既知信号を送信する
請求項1に記載の測距装置。 - 前記第1及び第2送受信器の一方は、前記第1及び第2送受信器の他方に対して、受信信号に基づいて前記第1又は第2位相検出器が検出した位相情報を位相オフセットとして付加して生成した既知信号を送信する
請求項6に記載の測距装置。 - 前記第1及び第2送受信器の一方は、前記第1及び第2送受信器の他方に対して、受信信号に基づいて前記第1又は第2位相検出器が検出した位相情報を位相オフセットとして付加して生成した既知信号を送信する
請求項9に記載の測距装置。 - 少なくとも一方が移動可能な第1装置と第2装置の間の距離を、複数の搬送波周波数で伝送される第1〜第4の既知信号の位相に基づいて算出する測距方法であって、
前記第1装置に設けられた第1送受信器が、第1基準信号源の出力を用いて第1の搬送波周波数に対応する前記第1の既知信号を送信し、
前記第2装置に設けられた第2送受信器が、前記第1基準信号源とは独立に動作する第2基準信号源の出力を用いて前記第1の既知信号を所定の間隔で2回受信し、この受信の後前記第1の搬送波周波数に対応する第3の既知信号を送信し、
前記第1送受信器が、前記第1基準信号源の出力を用いて前記第3の既知信号を受信し、この受信の後前記第1基準信号源の出力を用いて前記第1の搬送波周波数とは異なる第2の搬送波周波数に対応する第2の既知信号を送信し、
前記第2送受信器が、前記第2基準信号源の出力を用いて前記第2の既知信号を所定の間隔で2回受信し、この受信の後前記第2の搬送波周波数に対応する第4の既知信号を送信し、
前記第1送受信器が、前記第1基準信号源の出力を用いて前記第3の既知信号を受信し、
前記第2装置に設けられた第2の位相検出器が前記第2送受信器によって受信された前記第1及び第2の既知信号の位相を検出し、
前記第1装置に設けられた第1の位相検出器が前記第1送受信器によって受信された前記第3及び第4の既知信号の位相を検出し、
前記第1装置もしくは第2装置に設けられた算出部が、前記第1及び第2の位相検出器が検出した前記第1〜第4の既知信号の位相に基づいて、前記第1装置と前記第2装置との間の距離を算出する測距方法。
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