JP6851925B2 - 測距装置 - Google Patents
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Description
(第1の実施の形態)
図1は本発明の第1の実施の形態に係る測距装置を採用した測距システム示すブロック図である。
(位相検出方式について)
位相検出方式では、測距のために、中心角周波数ωC1から角周波数だけずれた2つの周波数の信号を送信する。反射波を利用する測距装置においては、送信器及び受信器が同一筐体内に設けられ、送信器から発射した送信信号(電波)を対象物に反射させ、その反射波を受信する。
tx1(t)=cos{(ωC1+ωB1)t+θ1H} …(1)
この送信信号が送信器から距離Rだけ離れた対象物(壁W)に遅延時間τ1で到達して反射し、受信器において受信される。電波の速度は光速c(=3×108m/s)であるので、τ1=(R/c)(秒)である。受信器で受信する信号は発射された信号に対して遅延2τ1を受けている。従って、受信器の受信信号(受信波)rx1(t)は下記(2),(3)式で表される。
rx1(t)=cos{(ωC1+ωB1)t+θ1H−θ2×Hτ1)} …(2)
θ2×Hτ1=(ωC1+ωB1)2τ1 …(3)
すなわち、送信信号は、遅延時間と送信角周波数の乗算結果(θ2×Hτ1)だけ位相シフトが生じて、受信器に受信されたことになる。
tx1(t)=cos{(ωC1−ωB1)t+θ1L} …(4)
rx1(t)=cos{(ωC1−ωB1)t+θ1L−θ2×Lτ1} …(5)
θ2×Lτ1=(ωC1−ωB1)2τ1 …(6)
角周波数ωC1+ωB1の送信信号が受信されるまでに生じる位相シフト量をθH1(t)とし、角周波数ωC1−ωB1の送信信号が受信されるまでに生じる位相シフト量をθL1(t)とすると、2つの受信波の位相シフトの差分は、(3)式から(6)式を引いた下記(7)式によって与えられる。
θH1(t)−θL1(t)=(θ2×Hτ1−θ2×Lτ1)=2ωB1×2τ1 (7)
ここで、τ1=R/cである。差分周波数ωB1は既知であるので、2つの受信波の位相シフト量の差分を測定すれば、測定結果から距離Rを、
R=c×(θ2×Hτ1−θ2×Lτ1)/(4ωB1)
と算出することができる。
rx2(t)=L1cos{(ωC1+ωB1)t+θ1H−(ωC1+ωB1)τ1} …(8)
更に、送信波は、対象物から反射時に減衰LRFLを受ける。対象物における反射波tx2(t)は、下記(9)式で与えられる。
tx2(t)=LRFLL1cos{(ωC1+ωB1)t+θ1H−(ωC1+ωB1)τ1} …(9)
受信器で受信される受信信号はrx1(t)は、対象物から遅延量1=R/c(s)だけ遅延し、距離Rに応じた減衰L1で振幅が減衰するので、下記(10)式によって表される。
rx1(t)=L1×LRFL×L1cos{(ωC1+ωB1)t+θ1H−2(ωC1+ωB1)τ1} …(10)
このように、送信器からの送信信号は受信器に到達するまでに、L1×LRFL×L1の減衰を受けることになる。測距において送信器から発射できる信号振幅は、適用周波数に応じて電波法に従う必要がある。例えば、920MHz帯の特定周波数では、送信信号電力を1mW以下に抑える制限がある。受信信号の信号雑音比の観点から、正確に測距するためには送信から受信までに受ける減衰を小さく抑える必要がある。しかしながら、上述したように、反射波を利用した測距では減衰が比較的大きいことから、正確に測距できる距離が短い。
(非同期の場合の課題)
本実施の形態における測距システムでは、2物体間の測距に際して、各物体の位置にそれぞれ非同期にキャリア信号(送信信号)を出射する2つの装置(第1装置及び第2装置)を配置し、これらの2つの装置間の距離Rを求める。本実施の形態においては、第1装置において中心角周波数ωC1から角周波数±ωB1だけずれた2つの周波数のキャリア信号を送信し、第2装置において中心角周波数ωC2から角周波数±ωB2だけずれた2つの周波数のキャリア信号を送信する。
rx2(t)=cos{(ωC1+ωB1)t+θ1H−θ2×Hτ1} …(11)
装置A2においては、2つの信号cos{(ωC2+ωB2)t+θ2H}及びsin{(ωC2+ωB2)t+θ2H}と式(11)の受信波とを乗算することにより、受信波を同相成分(I信号)と直交成分(Q信号)とに分離して復調する。受信波の位相(以下、検出位相又は単に位相という)は、I,Q信号から簡単に求めることができる。即ち、検出位相θH1(t)は下記(12)式で表される。なお、下記(12)式では、角周波数ωC1+ωC2近傍の高調波の項は、復調時に除去されるので省略している。
θH1(t)=tan−1(Q(t)/I(t))=−{(ωC1−ωC2)t+(ωB1−ωB2)t+θ1H−θ2H−θ2×Hτ1} …(12)
同様に、装置A1から角周波数ωC1−ωB1の送信信号を送信した場合において、装置A2において得られるI,Q信号から求められる検出位相θL1(t)は、下記(13)式で与えられる。なお、下記(13)式では、角周波数ωC1+ωC2近傍の高調波の項は、復調時に除去されるので省略している。
θL1(t)=tan−1(Q(t)/I(t))=−{(ωC1−ωC2)t−(ωB1−ωB2)t+θ1L−θ2L−θ2×Lτ1} …(13)
これらの2つの検出位相の位相差(以下、検出位相差又は単に位相差という)θH1(t)−θL1(t)は、下記(14)式で表される。
θH1(t)−θL1(t)=−2(ωB1−ωB2)t+(θ1H−θ1L)−(θ2H−θ2L)+(θ2×Hτ1−θ2×Lτ1) …(14)
反射波を利用した従来の測距装置は、装置A1と装置A2とが同一の装置であって局部発振器を共有していることになるので、下記(15)式〜(17)式を満足する。
ωB1=ωB2 …(15)
θ1H=θ2H …(16)
θ1L=θ2L …(17)
(15)式〜(17)式が成立する場合には、(14)式は上述した(7)式と等しくなり、装置A2における受信信号に対するI,Q復調処理によって求めた位相差により、装置A1と装置A2との間の距離Rを算出できることになる。
(実施の形態の基本的な測距方法)
第1装置が送信した上述した2つの角周波数の信号を第2装置において受信して各信号の位相を求めると共に、第2装置が送信した上述した2つの角周波数の信号を第1装置において受信して各信号の位相を求める。更に、第1装置と第2装置のいずれか一方から他方に、位相情報を伝送する。本実施の形態においては、後述するように、基本的には第1装置の受信によって求められる2つの信号の位相差と第2装置の受信によって求められる2つの信号の位相差とを加算することにより、第1装置と第2装置との間の距離Rを求めるようになっている。なお、位相情報としては、I,Q信号であってもよく、I,Q信号から求めた位相の情報であってもよく、周波数が異なる2つの信号から求めた位相の差の情報であってもよい。
(構成)
図1において、第1装置1(以下、装置1ともいう)と第2装置2(以下、装置2ともいう)とは距離Rだけ離間して配置されている。装置1と装置2の少なくとも一方は移動自在であり、距離Rはこの移動に伴って変化する。装置1には、制御部11が設けられている。制御部11は、装置1の各部を制御する。制御部11は、CPU等を用いたプロセッサによって構成されて、図示しないメモリに記憶されたプログラムに従って動作して各部を制御するものであってもよい。
(2波を用いた測距の説明)
次に、このような測距システムの動作を2波を用いた場合について図6のフローチャートを参照して説明する。図6は左側に装置1の動作を示し、右側に装置2の動作を示している。図6において装置1,2のステップ相互間を結ぶ矢印は装置1,2間で通信が行われることを示している。なお、ステップS4、S5、S14、S15はほぼ同時に実行される。
(装置1からの角周波数がωC1+ωB1の送信波の送受信)
送信部14を構成する乗算器TM11,TM12及び加算器TS11によって、装置1からは角周波数がωC1+ωB1とωC1−ωB1の2送信波が出力される。角周波数がωC1+ωB1の送信信号tx1(t)は、下記(18)式で表される。
tx1(t)=cos(ωC1t+θC1)cos(ωB1t+θB1)−sin(ωC1t+θC1)sin(ωB1t+θB1)
=cos{(ωC1+ωB1)t+θC1+θB1} …(18)
装置1、2相互間の距離をRとし、装置1からの送信波が装置2において受信されるまでの遅延をτ1とすると、装置2の受信信号rx2(t)は、下記(19),(20)式によって示すことができる。
rx2(t)=cos{(ωC1+ωB1)(t−τ1)+θC1+θB1}
=cos{(ωC1+ωB1)t+θC1+θB1−θτH1} …(19)
θτH1=(ωC1+ωB1)τ1 …(20)
この受信信号rx2(t)がアンテナ回路27によって受信されて受信部25に供給される。図5の受信器においては、受信信号rx2(t)は、乗算器RM21,RM22に入力される。次に、図5の受信器の各ノードにおける信号を順次計算する。乗算器RM21,RM23,RM24の出力を夫々I1(t),I2(t),I3(t)とし、乗算器RM22,RM26,RM25の出力を夫々Q1(t),Q2(t),Q3(t)とし、加算器RS21,RS22の出力を夫々I(t),Q(t)とする。これらの出力は、下記(21)式〜(26)式によって示される。
I1(t)=cos(ωC2t+θC2)×cos{(ωC1+ωB1)t+θC1+θB1−θτH1} …(21)
Q1(t)=sin(ωC2t+θC2)×cos{(ωC1+ωB1)t+θC1+θB1−θτH1} …(22)
I2(t)=I1(t)×cos(ωB2t+θB2) …(23)
Q2(t)=Q1(t)×sin(ωB2t+θB2) …(24)
I3(t)=I1(t)×sin(ωB2t+θB2) …(25)
Q3(t)=Q1(t)×cos(ωB2t+θB2) …(26)
加算器RS21の出力I(t)は、I(t)=I2(t)+Q2(t)であり、加算器RS22の出力Q(t)は、Q(t)=I3(t)−Q3(t)である。これらのI(t),Q(t)から得られる位相θH1(t)は、下記(27)で示される。
θH1(t)=tan−1(Q(t)/I(t))=−{(ωC1−ωC2)t+(ωB1−ωB2)t+θC1−θC2+θB1−θB2−θτH1} …(27)
(装置2からの角周波数がωC2+ωB2の送信波の送受信)
同様に、装置2から送信される角周波数ωC2+ωB2の信号tx2(t)が遅延τ2後に、装置1で受信された場合において、装置1で検出するI(t),Q(t)信号から得られる位相θH2(t)を求める。
tx2(t)=cos(ωC2t+θC2)cos(ωB2t+θB2)−sin(ωC2t+θC2)sin(ωB2t+θB2)
=cos{(ωC2+ωB2)t+θC2+θB2} …(28)
rx1(t)=cos{(ωC2+ωB2)(t−τ2)+θC2+θB2}
=cos{(ωC2+ωB2)t+θC2+θB2−θτH2} …(29)
θτH2=(ωC2+ωB2)τ2 …(30)
この受信信号rx1(t)がアンテナ回路17によって受信されて受信部15に供給される。図4の受信器においては、受信信号rx1(t)は、乗算器RM11,RM12に入力される。次に、図4の受信器の各ノードにおける信号を順次計算する。乗算器RM11,RM13,RM14の出力を夫々I1(t),I2(t),I3(t)とし、乗算器RM12,RM16,RM15の出力を夫々Q1(t),Q2(t),Q3(t)とし、加算器RS11,RS12の出力を夫々I(t),Q(t)とする。これらの出力は、下記(31)式〜(36)式によって示される。
I1(t)=cos(ωC1t+θC1)×cos{(ωC2+ωB2)t+θC2+θB2−θτH2} …(31)
Q1(t)=sin(ωC1t+θC1)×cos{(ωC2+ωB2)t+θC2+θB2−θτH2} …(32)
I2(t)=I1(t)×cos(ωB1t+θB1) …(33)
Q2(t)=Q1(t)×sin(ωB1t+θB1) …(34)
I3(t)=I1(t)×sin(ωB1t+θB1) …(35)
Q3(t)=Q1(t)×cos(ωB1t+θB1) …(36)
加算器RS11の出力I(t)は、I(t)=I2(t)+Q2(t)であり、加算器RS12の出力Q(t)は、Q(t)=I3(t)−Q3(t)である。これらのI(t),Q(t)から得られる位相θH2(t)=tan−1(Q(t)/I(t))は、下記(37)で示される。
θH2(t)=(ωC1−ωC2)t+(ωB1−ωB2)t+θC1−θC2+θB1−θB2+θτH2 …(37)
(装置1からの角周波数がωC1−ωB1の送信波の送受信)
次に、装置1から送信される角周波数ωC1−ωB1の信号tx1(t)について、同様の演算を行う。
tx1(t)=cos(ωC1t+θC1)cos(ωB1t+θB1)+sin(ωC1t+θC1)sin(ωB1t+θB1)
=cos{(ωC1−ωB1)t+θC1−θB1} …(38)
となる。装置1、装置2間の距離はRで、遅延時間はτ1であるので、装置2での受信信号rx2(t)は、下記(39),(40)式で与えられる。
rx2(t)=cos{(ωC1−ωB1)(t−τ1)+θC1−θB1}
=cos{(ωC1−ωB1)t+θC1−θB1−θτL1} (39)
θτL1=(ωC1−ωB1)τ1 (40)
装置2の各ノードの信号は、下記(43)〜(47)式に示すことができる。
I1(t)=cos(ωC2t+θC2)×cos{(ωC1−ωB1)t+θC1−θB1−θτL1} …(41)
Q1(t)=sin(ωC2t+θC2)×cos{(ωC1−ωB1)t+θC1−θB1−θτL1} …(42)
I2(t)=I1(t)×cos(ωB2t+θB2) …(43)
Q2(t)=Q1(t)×−sin(ωB2t+θB2) …(44)
I3(t)=I1(t)×−sin(ωB2t+θB2) …(45)
Q3(t)=Q1(t)×cos(ωB2t+θB2) …(46)
加算器RS21から得られるI(t)=I2(t)−Q2(t)と、加算器RS22から得られるQ(t)=I3(t)+Q3(t)から装置2で検出する位相θH1(t)=tan−1(Q(t)/I(t))は、下記(47)式で与えられる。
θL1(t)=tan−1(Q(t)/I(t))=−{(ωC1−ωC2)t−(ωB1−ωB2)t+θC1−θC2−(θB1−θB2)−θτL1} …(47)
(装置2からの角周波数がωC2−ωB2の送信波の送受信)
同様に、装置2から送信される角周波数ωC2−ωB2の信号tx2(t)が遅延τ2後に、装置1で受信された場合において、装置1で検出するI(t),Q(t)信号から得られる位相θL2(t)を求める。
tx2(t)=cos(ωC2t+θC2)cos(ωB2t+θB2)+sin(ωC2t+θC2)sin(ωB2t+θB2)
=cos{(ωC2−ωB2)t+θC2−θB2} …(48)
rx1(t)=cos{(ωC2−ωB2)(t−τ2)+θC2−θB2}
=cos{(ωC2−ωB2)t+θC2−θB2−θτL2} …(49)
θτL2=(ωC2−ωB2)τ2 …(50)
装置1の各ノードの信号は、下記(53)〜(57)式に示すことができる。
I1(t)=cos(ωC1t+θC1)×cos{(ωC2−ωB2)t+θC2−θB2−θτL2} …(51)
Q1(t)=sin(ωC1t+θC1)×cos{(ωC2−ωB2)t+θC2−θB2−θτL2} …(52)
I2(t)=I1(t)×cos(ωB1t+θB1) …(53)
Q2(t)=Q1(t)×−sin(ωB1t+θB1) …(54)
I3(t)=I1(t)×−sin(ωB1t+θB1) …(55)
Q3(t)=Q1(t)×cos(ωB1t+θB1) …(56)
加算器RS11から得られるI(t)=I2(t)−Q2(t)と、加算器RS12から得られるQ(t)=I3(t)+Q3(t)から装置1で検出する位相θH1(t)=tan−1(Q(t)/I(t))は、下記(57)式で与えられる。
θL2(t)=(ωC1−ωC2)t−(ωB1−ωB2)t+θC1−θC2−(θB1−θB2)+θτL2 …(57)
装置1の制御部11は、図6のステップS6において、受信部15が受信したI,Q信号を取得し、ステップS7において、上記(27),(47)式に示す位相θτH1(t)及びθτL1(t)を算出する。また、装置2の制御部21は、図6のステップS16において、受信部25が受信したI,Q信号を取得し、ステップS17において、上記(37),(57)式に示す位相θτH2(t)及びθτL2(t)を算出する。
{θH1(t)−θL1(t)}+{θH2(t)−θL2(t)}=(θτH1−θτL1)+(θτH2−θτL2) …(58)
また、下記(59)式及び(60)式が成立する。
θτH1−θτL1=(ωC1+ωB1)τ1−(ωC1−ωB1)τ1
=2ωB1τ1 …(59)
θτH2−θτL2=(ωC2+ωB2)τ2−(ωC2−ωB2)τ2
=2ωB2τ2 …(60)
また、装置1、装置2間の電波の遅延τ1,τ2は進行方向によらず同じなので、式(58)から下記(61)式が得られる。
{θH1(t)−θL1(t)}+{θH2(t)−θL2(t)}=(θτH1−θτL1)+(θτH2−θτL2)
=2×(ωB1+ωB2)τ1 …(61)
上記(61)式は、装置2で検出したI,Q信号による2周波の位相差と装置1で検出したI,Q信号による2周波の位相差の加算により距離Rの2倍に比例する値が求まることを示す。装置1の発振器13による角周波数ωB1と装置2の発振器13による角周波数ωB2とは、一般に数十ppmのオーダーの誤差で一致させることができる。従って、上記(61)式による距離Rの算出は、少なくとも1m程度の分解能以上の分解能で求めることができる。
(2πの剰余による距離の算出)
ところで、装置1と装置2で検出した位相差の加算を行うとき、その結果が−π(rad)以下になる場合や、π(rad)より大きくなる場合がある。この場合には2πの剰余をとることで検出位相に対する正しい距離Rを求めることができる。
Δθ12=θτH1−θτL1=−1.8849 …(62)
Δθ21=θτH2−θτL2=−6.0737 …(63)
上記(61)式から下記(61a)式が得られる。
図7は上記(62)式及び(63)式の位相関係を示している。位相0度を基準に時計方向に回転する一番内側の矢印で示すΔθ21と内側から2番の矢印で示すΔθ12との和の位相は、内側から3番目の矢印で示す+Δθ21の加算分(破線)だけ加算した位相(破線太線)に示すものとなる。この位相の半分の角度は、一番外側の矢印で示す太線の位相となる。
(複数の距離候補からの選択)
ところで、2πを超えた検出位相差を検出することはできないことから、算出された検出位相差に対して複数の距離の候補が存在する。複数存在する距離の候補から正しい距離を選択する手法として、角周波数が異なる3つ目の送信波を送信する方法と、受信電力により判定する方法とがある。
(1/2)×{(θτH1−θτL1)+(θτH2−θτL2)}=(ωB1+ωB2)×(R/c) …(64)
左辺をθdetと記すと、距離Rとθdetの関係は、図9の実線に示すものとなる。ただし、上記(64)式で計算される検出位相差の和θdetは、−π(rad)とπ(rad)の間以外の値も取り得るが、この検出位相差の和θdetは、−π(rad)とπ(rad)の間に変換したものである。これは、一般に、位相角は範囲[−π(rad),π(rad)]内で表示されることによる。
Q>1 …(65)
新たな角周波数での検出位相と距離Rとの関係は、図9の破線によって示すことができる。上記距離の候補R1〜R3から正しい距離を選択するには、新たな角周波数で得られた検出位相の結果を参照する。すなわち、θdet1が検出されれば、距離R1と判断し、θdet2が検出されれば、距離R2と判断する。なお、電波のカバー範囲を小さく抑えれば、上記の位相折り返しによる検査は不要である。なお、上記説明では異なる3つの周波数の送信について述べたが、同様なことは異なる3つ以上の周波数を送信しても実現できる。
L1=(λ/4πR)2 …(66)
ここで、λは波長である。(66)式によれば、距離Rが大きければ減衰L1も大きく、距離Rが小さければ減衰L1も小さい。図10はこの関係を示している。送受信のアンテナ利得を1、送信電力をP0と仮定すると、距離R1での受信電力P1と距離R2での受信電力P2はそれぞれ下記(67)式又は(68)式によって与えられる。
P1=(λ/4πR1))2×P0 …(67)
P2=(λ/4πR2))2×P0 …(68)
この受信電力と検出位相差の和θdetから距離R1とR2の区別が可能となる。
(時系列送受信における課題)
上述の説明では、上記(58)式において電波の遅延τ1,τ2が同一であるものとして、検出位相差の加算から距離を求める上記(61)式を求めた。しかしながら、この(58)式は、装置1,2において送受信する処理が同時に行われた場合の例である。
{θH1(t)−θL1(t+3T)}+{θH2(t+2T)−θL2(t+T)}
=(θτH1−θτL1)+(θτH2−θτL2)+(ωC1−ωC2)4T …(120)
上記(120)式の最終項が時系列送受信により付加された位相である。この付加された位相は、受信するRF(高周波)信号の角周波数とほぼ同じローカル角周波数に対する装置1、装置2の誤差角周波数と遅延4Tの乗算結果となる。ローカル周波数を920MHz、周波数誤差を40ppm、遅延Tを0.1msとした場合、付加された位相は、360°×14.7となり、付加された位相による誤差が大き過ぎて、正しく測距できないことが分かる。
{θH1(t)−θL1(t+T)}+{θH2(t+2T)−θL2(t+3T)}
=(θτH1−θτL1)+(θτH2−θτL2)+(ωB1−ωB2)4T …(121)
この(121)式の最終項が時系列送受信により付加された位相である。この付加された位相は、受信する高周波信号の低い角周波数とほぼ同じベースバンド用ローカル角周波数に対する装置1、装置2の誤差角周波数と遅延4Tの乗算結果となる。ローカル周波数を5MHz、周波数誤差を40ppm、遅延Tを0.1msとした場合、360°×0.08=28.8°となり、前例より正確に測距できることが分かる。
(具体的な手順)
先ず、送信遅延による影響を考える。
{θH1(t)+θH2(t)}−{θL1(t)+θL2(t)}=(θτH1+θτH2)−(θτL1+θτL2) (122)
なお、ここで、
θH1(t)+θH2(t)=θτH1+θτH2 …(123)
θL1(t)+θL2(t)=θτL1+θτL2 …(124)
である。
θH1(t)+θH2(t+t0)=θτH1+θτH2+{(ωB1−ωB2)+(ωC1−ωC2)}t0 …(125)
遅延t0は時系列的には最短の時間であり、装置1から装置2へ角周波数ωC1+ωB1の信号を送る時間、送受タイミングマージン、伝搬遅延を含むものである。右辺、第3項、第4項は遅延t0による位相誤差になる。周波数が高いことから第4項が特に問題となるが、これについては後で言及する。
θH1(t+T)+θH2(t+t0+T)=θτH1+θτH2+{(ωB1−ωB2)+(ωC1−ωC2)}t0 …(126)
上記(126)式の右辺と上記(125)式の右辺とは同じである。即ち、相対的時間差が同一であれば(上記例ではT)、装置1から送信された信号を装置2で受信した位相と装置2から送信された信号を装置1で受信した位相の加算結果は、遅延Tに拘わらず変化しない。つまり、これらの位相の加算結果は、遅延Tに依存しない値となる。
θL1(t)+θL2(t+t0)=θτL1+θτL2+{−(ωB1−ωB2)+(ωC1−ωC2)}t0 …(127)
θL1(t+T)+θL2(t+t0+T)=θτL1+θτL2+{−(ωB1−ωB2)+(ωC1−ωC2)}t0 …(128)
上記考察から、角周波数ωC1+ωB1の双方向の送受信後、角周波数ωC1−ωB1信号の送受信を行うシーケンスを考える。装置1から角周波数ωC1+ωB1信号の送信開始時間を基準として、装置1から角周波数ωC1−ωB1信号の送信開始時間をTとすると、上記(125)式及び(128)式から下記(129)式が得られる。ただし、T>t0である。
θH1(t)+θH2(t+t0)−{θL1(t+T)+θL2(t+t0+T)}
=θτH1−θτL1+θτH2−θτL2+2(ωB1−ωB2)t0 …(129)
上記(129)式の左辺の最終項が送信遅延による位相誤差である。受信した高周波用のローカル周波数の遅延誤差は角周波数ωC1+ωB1信号と角周波数ωC1−ωB1信号の差分をとることで打ち消されている。したがって、位相誤差は時系列的には最短の遅延時間t0とベースバンド用のローカル角周波数(例えば2π×5MHz)の誤差の乗算となる。遅延時間t0を小さく設定すれば誤差は小さくなる。従って、遅延時間t0の値によっては、実使用上は、精度上問題無い測距が可能と言える。
θH1(t+t0)+θH2(t)=θτH1+θτH2−{(ωB1−ωB2)+(ωC1−ωC2)}t0 …(130)
この(130)式の左辺に所定の遅延Dを加えても、上述したように、右辺の値は変化しない。従って、下記(131)式が得られる。
θH1(t+t0+D)+θH2(t+D)=θτH1+θτH2−{(ωB1−ωB2)+(ωC1−ωC2)}t0 …(131)
上記(125)式と(131)式を加算すると、下記(132)式が得られる。
θH1(t)+θH2(t+t0)+θH1(t+t0+D)+θH2(t+D)=2(θτH1+θτH2) …(132)
図14の左側は上記(132)式の状態を示している。この(132)式においてD=t0とすると、下記(133)式が得られる。
θH1(t)+2θH2(t+t0)+θH1(t+2t0)=2(θτH1+θτH2) …(133)
上記(133)式の右辺は、時間依存のない距離に応じた電波伝搬遅延の項のみとなる。
θL1(t+t0)+θL2(t)=θτL1+θτL2−{−(ωB1−ωB2)+(ωC1−ωC2)}t0 …(134)
この(134)式の左辺に所定の遅延Dを加えても、右辺の値は変化しない。従って、下記(135)式が得られる。
θL1(t+t0+D)+θL2(t+D)=θτL1+θτL2−{−(ωB1−ωB2)+(ωC1−ωC2)}t0 …(135)
上記(127)式と(135)式を加算すると、下記(136)式が得られる。
θL1(t)+θL2(t+t0)+θL1(t+t0+D)+θL2(t+D)=2(θτL1+θτL2) …(136)
この(136)式において、D=t0とすると、下記(137)式が得られる。
θL1(t)+2θL2(t+t0)+θL1(t+2t0)=2(θτL1+θτL2 …(137)
上記(137)式の右辺は、時間依存のない距離に応じた電波伝搬遅延の項のみとなる。
θL1(t+T)+θL2(t+t0+T)+θL1(t+t0+D+T)+θL2(t+D+T)=2(θτL1+θτL2) …(138)
上記(132)式と(138)式から、下記(139)式が得られる。
θH1(t)+θH2(t+t0)+θH1(t+t0+D)+θH2(t+D)
−{θL1(t+T)+θL2(t+t0+T)+θL1(t+t0+D+T)+θL2(t+D+T)}
=2{(θτH1−θτL1)+(θτH2−θτL2)}=4×(ωB1+ωB2)τ1 …(139)
上記(139)式は、角周波数ωC1+ωB1、ωC2+ωB2の往復を時間間隔Dで繰返し交番したのち、測定開始からT後に角周波数ωC1−ωB1、ωC2−ωB2の往復を時間間隔Dで繰返し交番するシーケンスを示しており、このシーケンスを採用することで、上記(129)式の最終項の距離推定誤差要因を除去して、正確な測距が可能であることを示している。
(マルチパスの課題)
上記説明では、装置1からの角周波数ωC1+ωB1、ωC1−ωB1の送信信号2波を装置2で受信して位相θH1(t)、θL1(t)を検出し、装置2からの角周波数ωC2+ωB2、ωC2−ωB2の送信信号2波を装置1で受信して位相θH2(t)、θL2(t)を検出し、これら4つの位相を用いることにより距離測定が可能であることを示した。
y(t’)=sin{ω(t’−τ)}+Asin{ω(t’−τ−τ1)+θ1} …(69)
ここで、θ1は壁で反射したときに生じる位相シフトを示し、Aは反射による損失及び距離誤差ΔR分の伝搬損失を考慮した振幅を示す。ここで、計算を簡単にするため、t=t’−τとして、キーKにおける時間tの信号を下記(70)式に示す。
y(t)=sinωt+Asin{ω(t−τ1)+θ1}
={1+Acos(ωτ1−θ1)}sinωt−Asin(ωτ1−θ1)cosωt …(70)
上記(70)式を三角関数の合成公式を用いて変形すると、下記(71)式及び(72)式が得られる。
y(t)={1+A2+2Acos(ωτ1−θ1)}1/2sin(ωt+φ) …(71)
φ=−tan−1(Asin(ωτ1−θ1)/{1+Acos(ωτ1−θ1)} …(72)
式(71)、式(72)から壁Wを反射した遅延波Asin{ω(t−τ1)+θ1}の影響によって、キーKの受信信号は、振幅及び位相が直接波のみの場合に比べて変化することが分かる。この位相変化分のうち角周波数ω=ωC1+ωB1に対応する位相変化分をφHとし、角周波数ω=ωC1−ωB1に対する位相変化分をφLとする。この位相変化分の差分φL−φHを計算すると、下記(73)式となる。
φL−φH=−tan−1[Asin{(ωC1−ωB1)τ1−θ1}]/[1+Acos{(ωC1−ωB1)τ1−θ1}]+tan−1[Asin{(ωC1+ωB1)τ1−θ1}]/[1+Acos{(ωC1+ωB1)τ1−θ1}] …(73)
上記(73)式は、遅延波が存在することにより生ずる位相検出誤差を示している。τ1は直接波に対する遅延波の遅延時間を表し、伝搬距離の差分に比例した値である。(73)式からわかるように、φL−φHは、θ1にも依存するが、伝搬距離に関係はない、反射物、入射角度に依存する。
φH=(ωC1+ωB1)τ1 …(74)
φL=(ωC1−ωB1)τ1 …(75)
(74)式、(75)式から、τ1=(φH−φL)/2ωB1なので、パスの差による距離誤差ΔRは、下記(76)式によって示される。
ΔR=cτ1=c×(φH−φL)/(2ωB1) …(76)
ここで、ωB1=2π×5M(Hz)とすると、τ1が16(ns)近傍では、−0.8≦φH−φL≦0.4なので、距離誤差ΔRは1.9mから3.8m程度になる。即ち、このような条件の測距システムにおける距離精度として2mが要求される場合には、許容できない距離誤差で測距が行われることになる。従って、この場合、マルチパスによる影響を補償する必要がある。
(課題を解決する具体例)
そこで、本実施の形態においては、送信部14,24は、角周波数ω=ωC1+ωB1、ω=ωC1−ωB1の送信波とは別に、角周波数ω=ωC1の信号を送信するようになっている。
AH=[1+A2+2Acos{(ωC1+ωB1)τ1−θ1}]1/2 …(77)
A0={1+A2+2Acos(ωC1τ1−θ1)}1/2 …(78)
AL=[1+A2+2Acos{(ωC1−ωB1)τ1−θ1}]1/2 …(79)
ただし、反射時に壁Wによって生じる位相シフトθ1は、適用する周波数範囲では同一の値と仮定する。上記(77)式〜(79)式から、振幅比ΔAH0及びΔAL0をデシベル表示した下記(80)式及び(81)式が求められる。
ΔAH0=10log{1+A2+2Acos{(ωC1+ωB1)τ1−θ1)}
−10log{1+A2+2Acos(ωC1τ1−θ1)} …(80)
ΔAL0=10log{1+A2+2Acos{(ωC1+ωB1)τ1−θ1)}
−10log{1+A2+2Acos(ωC1τ1−θ1)} …(81)
図18は図17と同様の表示によって、上記(80)式、(81)式およびΔsum=ΔAH0+ΔAL0とτ1との関係を示すグラフである。図18はθ1=0(rad)として示している。なお、θ1の変化は横軸τ1がシフトすることと等価であり、グラフ中の各特性曲線の形状が変わることはない。
ΔR={φL−φH|in rad−(ΔAH0+ΔAL0|in dB)/4}×c/(2ωB1) …(82)
図20は図17〜図19と同様の表示によって、補正無しの距離誤差ΔRと補正有りの距離誤差ΔRとを示すグラフである。なお、図20の縦軸は距離誤差ΔR(m)である。上記(82)式から、τ1が0(ns)から20(ns)の範囲では、検出した位相から(ΔAH0+ΔAL0)/4を引くことにより、距離誤差ΔRを1.8m以下にすることができることが分かる。また、τ1が0(ns)から10(ns)の範囲では、距離誤差ΔRを1.2mに抑えることができる。このように、本実施の形態においては、3波目を用いた振幅比の情報を利用することにより、距離精度を改善することができる。
(マルチパスに対応した3波を用いた測距の動作)
次に、このような測距システムの動作を3波を用いた場合について図21のフローチャートを参照して説明する。図21において図6と同一の手順には同一符号を付して説明を省略する。図21は左側に装置1の動作を示し、右側に装置2の動作を示している。図21において装置1,2のステップ相互間を結ぶ矢印は装置1,2間で通信が行われることを示している。
(第2の実施の形態)
図22及び図23は本発明の第2の実施の形態を示す説明図である。本実施の形態は上記各測距システムをスマートエントリシステムに適用した例を示すものである。
(送信シーケンス)
図24〜図35は上記各実施の形態で採用可能な各種シーケンスを示す説明図である。
(マルチパスに関する変形例)
図36はマルチパスを考慮した変形例における動作を示すフローチャートであり、図21に対応したものである。図36において図21と同一の手順には同一符号を付して説明を省略する。
(変形例)
図37から図39は変形例を示す。この変形例は初期位相を固定すべき期間を説明するものである。図37は送信シーケンスと初期位相を維持する期間との関係を示す説明図。図38は測距に用いるキャリア周波数を示す説明図であり、図39は変形例を示すフローチャートである。
(2つのキャリア信号について)
しかし、上記各実施の形態における測距においては、以下に示すように、装置1,2は、夫々所定の周波数差を有する2つのキャリア信号を送信すればよい。
ωC+ωB=(ωC−ΔωC)+(ΔωC+ωB)=ω’C+ωH …(201)
ωC−ωB=(ωC−ΔωC)+(ΔωC−ωB)=ω’C+ωL …(202)
いま、角周波数がωCと角周波数がωBの送信波を周波数軸上でfC,fBとして示すと、角周波数がωC+ωBと角周波数ωC−ωBの送信波は図38の左側に示すものとなる。
ωC−ωB=(ωC−2ωB)+(2ωB−ωB)=ω”C+ωB …(203)
図38の右側は(203)式の表現に基づく送信波を示しており、角周波数がω”Cの送信波を周波数軸上でf”Cとして示すと、図38の左側の周波数fC−fBの送信波は、同一周波数のf”C+fBの送信波として表現できることを示している。
(キャリア周波数の変更)
このように、装置1,2は、測距に際して夫々所定の周波数差を有する2つのキャリア信号を送信すればよい。しかも、図15のシーケンスのように2つのキャリアのうち高い周波数のキャリアの送受信が交番して行われ、次に、低い周波数のキャリアの送受信が交番して行われる場合には、高い周波数のキャリアの送受信と低い周波数のキャリアの送受信とで、初期位相が異なっていてもよい。
(発振器と送受信器の構成例)
このように、装置1,2は、所定の周波数差を有する2つのキャリア信号を生成して送信できればよく、図1の発振器13,23、送信部14,24及び受信部15,25としては種々の構成の回路を採用することができる。
(位相情報の伝送例)
上記各実施の形態においては、第1装置と第2装置のいずれか一方から他方に、位相情報を伝送しているが、上述したように、位相情報の伝送方法は特に限定されるものではない。例えば、受信信号から得た位相分だけ、送信するキャリア信号の位相をずらすことで、位相情報を伝送するようにしてもよい。
Claims (13)
- キャリア位相検出に基づいて距離を算出する測距装置において、
少なくとも一方が移動自在な第1装置及び第2装置により取得した位相情報に基づいて前記第1装置と第2装置との間の距離を算出する算出部を有し、
前記第1装置は、
第1基準信号源と、
前記第1基準信号源の出力を用いて複数の第1キャリア信号を送信すると共に複数の第2キャリア信号を受信する第1送受信器とを具備し、
前記第2装置は、
前記第1基準信号源とは独立に動作する第2基準信号源と、
前記第2基準信号源の出力を用いて前記複数の第2キャリア信号を送信すると共に前記複数の第1キャリア信号を受信する第2送受信器とを具備し、
前記第1及び第2送受信器は、3つ以上の前記第1キャリア信号を送受信すると共に2つ以上の前記第2キャリア信号を送受信するか、又は、2つ以上の前記第1キャリア信号を送受信すると共に3つ以上の前記第2キャリア信号を送受信し、
前記算出部は、前記第1及び第2キャリア信号の受信によって得られる位相検出結果に基づいて前記距離の算出を行うと共に、算出した距離を、前記第2送受信器によって受信された前記第1キャリア信号同士の振幅比の情報に基づいて補正する測距装置。 - 前記第1及び第2基準信号源は、前記第1及び第2送受信器によって前記第1及び第2キャリア信号が送受信される期間中は継続して動作する請求項1に記載の測距装置。
- 前記第1送受信器の受信器は、前記2つ以上の第2キャリア信号の位相を検出する第1位相検出器を具備し、
前記第2送受信器の受信器は、前記2つ以上の第1キャリア信号の位相を検出する第2位相検出器を具備する請求項1に記載の測距装置。 - 前記第1及び第2位相検出器は、直交復調器によって構成される請求項3に記載の測距装置。
- 前記第1送受信器は、前記第1基準信号源の出力を用いて3つの第1キャリア信号を送信すると共に2つ以上の第2キャリア信号を受信し、
前記第2送受信器は、前記第2基準信号源の出力を用いて前記2つ以上の第2キャリア信号を送信すると共に前記3つの第1キャリア信号を受信し、
前記算出部は、前記第1及び第2キャリア信号の受信によって得られる4つの位相検出結果に基づいて前記距離の算出を行うと共に、前記3つの第1キャリア信号のうちの1つのキャリア信号と他の2つのキャリア信号との2つの振幅比を加算して補正値を求め、算出した前記距離から前記補正値を減算する請求項1に記載の測距装置。 - 前記算出部は、
前記第1送受信器によって得られる前記2つ以上の第2キャリア信号の各位相の第1位相差と、前記第2送受信器によって得られる前記2つ以上の第1キャリア信号の各位相の第2位相差とを加算して、前記距離を求める請求項5に記載の測距装置。 - 前記第1送受信器は、前記第1基準信号源の出力を用いて3つの第1キャリア信号を送信すると共に2つ以上の第2キャリア信号を受信し、
前記3つの第1キャリア信号のうちの1つのキャリア信号の周波数は、他の2つのキャリア信号の周波数の略平均値である請求項1又は5に記載の測距装置。 - 前記第1及び第2装置の少なくとも一方は、前記算出部を有し、
前記第1及び第2装置は、前記位相情報を前記算出部に送信するための通信部を有する請求項1乃至7のいずれか1つに記載の測距装置。 - 前記第1及び第2基準信号源は、2種類のローカル信号を発生し、
前記第1及び第2送受信器は、前記2種類のローカル信号を用いたイメージ抑圧方式の無線受信器によって構成される請求項1乃至8のいずれか1つに記載の測距装置。 - 前記第1送受信器は、前記第1基準信号源の出力を用いて前記第1キャリア信号の第1波を送信し、次いで第2波を送信し、次いで再度第1波を送信し、
前記第2送受信器は、前記第2基準信号源の出力を用いて、前記第1送受信器から送信された第1波、第2波、第1波を順に受信した後に、前記第2キャリア信号の第1波を送信し、次いで第2波を送信し、次いで再度第1波を送信し、
前記第1送受信器は、前記第1基準信号源の出力を用いて、前記第2送受信器から送信された第1波、第2波、第1波を順に受信した後に、前記第1キャリア信号の第3波を送信し、
前記第2送受信器は、前記第2基準信号源の出力を用いて、前記第1送受信器からの前記第3波を受信した後に、前記第2キャリア信号の第3波を送信し、
前記第1送受信器は、前記第1基準信号源の出力を用いて、前記第2送受信器から送信された第3波を受信する請求項1に記載の測距装置。 - 前記第1キャリア信号は、周波数が異なる3つのキャリア信号であり、
前記第2キャリア信号は、前記第1キャリア信号の3つのキャリア信号にそれぞれ対応する周波数を有する3つのキャリア信号であり、
前記第1及び第2送受信器は、前記第1及び第2キャリア信号の相互に対応する周波数のキャリア信号を送受信する期間中は前記第1及び第2のキャリア信号の初期位相及び周波数を変化させない請求項1又は2に記載の測距装置。 - 前記第1及び第2装置のうちの一方の装置は、前記第1及び第2装置のうちの他方の装置からのキャリア信号の受信によって得た位相検出結果を初期位相に加算したキャリア信号を生成して前記他方の装置に送信する請求項1、5及び6のいずれか1つに記載の測距装置。
- 前記算出部は、前記第1及び第2キャリア信号の受信によって得られる4つの位相検出結果に基づいて前記距離の算出を行うと共に、前記3つの第1キャリア信号のうちの1つのキャリア信号と他の2つのキャリア信号との2つの振幅比を計算し、前記2つの振幅比が所定の第1閾値より小さいか又は所定の第2閾値より大きい場合には、前記第1及び第2キャリア信号の周波数を再設定して再度測距を実行することを特徴とする請求項1又は5に記載の測距装置。
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