JP2019123898A - 銅合金焼結材料の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明では、銅粉末のCuに錫粉末のSnが拡散するように焼結した際に、銅合金焼結材料の密度の低下を抑制することができる銅合金焼結材料の製造方法を提供する。【解決手段】銅合金焼結材料の製造方法は、黒鉛粉末、錫粉末、硬質粉末、および銅粉末を混合した混合粉末から、焼結合金用成形体を圧粉成形する工程と、前記銅粉末のCuに錫粉末のSnが拡散するように、前記焼結合金用成形体を焼結する工程と、を含む。硬質粉末を構成する硬質粒子が、Mo、Mn、および残部がFeと不可避不純物からなる合金またはMo、Mn、C、および残部がFeと不可避不純物からなる合金であり、混合粉末は、混合粉末の全量に対して、黒鉛粉末を1質量%以下、錫粉末を2〜15質量%、および硬質粉末を5質量%以上含有している。【選択図】図1
Description
本発明は、銅合金焼結材料の製造方法に関する。
例えば、エンジンバルブのバルブシート等には、銅粉末等を焼結した焼結材料が適用される場合がある。たとえば、このような焼結材料の製造方法として、特許文献1には、銅合金を基地とした銅合金焼結材料の製造方法が開示されている。この製造方法では、銅粉末と、錫、鉄、およびマンガン等の元素の2以上の合金粉末と、黒鉛または二硫化モリブデン等の固体潤滑材となる粉末と、を混合した混合粉末を作製し、これを圧粉成形後、焼結している。
しかしながら、特許文献1に開示された製造方法では、混合粉末に対して、銅粉末のCuにSnが拡散するように焼結した場合、SnがCuに拡散する前に、その一部のSnが蒸発してしまい、銅合金焼結材料に気孔が生じてしまうことがあった。
本発明は上記点に鑑みてなされたものであり、本発明では、銅粉末のCuに錫粉末のSnが拡散するように焼結した際に、銅合金焼結材料の密度の低下を抑制することができる銅合金焼結材料の製造方法を提供する。
上記課題を解決するために、本発明は、黒鉛粉末、錫粉末、硬質粉末、および銅粉末を混合した混合粉末から、焼結合金用成形体を圧粉成形する工程と、前記銅粉末のCuに錫粉末のSnが拡散するように、前記焼結合金用成形体を焼結する工程と、を含み、前記硬質粉末を構成する硬質粒子が、Mo、Mn、および残部がFeと不可避不純物からなる合金またはMo、Mn、C、および残部がFeと不可避不純物からなる合金であり、前記混合粉末は、前記混合粉末の全量に対して、前記黒鉛粉末を1質量%以下、前記錫粉末を2〜15質量%、および前記硬質粉末を5質量%以上含有していることを特徴とする。
本発明によれば、硬質粒子として、Mo、Mn、および残部がFeと不可避不純物からなる合金またはMo、Mn、C、および残部がFeと不可避不純物からなる合金のものを使用する。また、黒鉛粉末、錫粉末、および硬質粉末の含有量を上述した範囲とする。これにより、CuにSnが拡散するように、焼結合金用成形体を焼結する際に、Snの蒸発を抑制して、焼結合金用成形体の密度を上昇することができる。
以下に、本発明に係る実施形態について説明する。本実施形態の銅合金焼結材料は、混合粉末を圧粉成形して、焼結合金用成形体(圧粉成形体)を成形し、この焼結合金用成形体を焼結したものである。以下に、まず、混合粉末を説明し、次いで銅合金焼結材料の製造方法を説明する。
1.混合粉末について
本実施形態の混合粉末は、黒鉛粉末、錫粉末、硬質粉末、および、銅粉末を含む。混合粉末は、混合粉末の全量に対して、黒鉛粉末を1質量%以下、錫粉末を2〜15質量%、および硬質粉末を5質量%以上含有している。ここで、混合粉末の全量とは、黒鉛粉末、錫粉末、硬質粉末、および銅粉末の合計量をいう。以下、各粉末について詳細する。
本実施形態の混合粉末は、黒鉛粉末、錫粉末、硬質粉末、および、銅粉末を含む。混合粉末は、混合粉末の全量に対して、黒鉛粉末を1質量%以下、錫粉末を2〜15質量%、および硬質粉末を5質量%以上含有している。ここで、混合粉末の全量とは、黒鉛粉末、錫粉末、硬質粉末、および銅粉末の合計量をいう。以下、各粉末について詳細する。
1.1.硬質粉末について
硬質粉末は、硬質粒子からなる粉末であり、言い換えると、硬質粒子の集合物である。硬質粒子は、銅合金焼結材料の銅系基地に対して硬度が高い粒子である。硬質粉末の含有量(混合割合)は、混合粉末の全量に対して5質量%以上である。硬質粉末の含有量が5質量%未満の場合、銅合金焼結材料の密度向上の効果が得難い。なお、硬質粉末の含有量が高すぎると、加工性が低下するため、硬質粉末の含有量は40質量%以下が好ましい。
硬質粉末は、硬質粒子からなる粉末であり、言い換えると、硬質粒子の集合物である。硬質粒子は、銅合金焼結材料の銅系基地に対して硬度が高い粒子である。硬質粉末の含有量(混合割合)は、混合粉末の全量に対して5質量%以上である。硬質粉末の含有量が5質量%未満の場合、銅合金焼結材料の密度向上の効果が得難い。なお、硬質粉末の含有量が高すぎると、加工性が低下するため、硬質粉末の含有量は40質量%以下が好ましい。
本実施形態では、硬質粉末を構成する硬質粒子が、Mo、Mn、および残部がFeと不可避不純物からなる合金、またはMo、Mn、C、および残部がFeと不可避不純物からなる合金である。このような硬質粒子の例として、例えば、Mo:40質量%、Mn:6質量%、および残部(54質量%)がFeと不可避不純物からなる硬質粒子、またはMo:40質量%、Mn:6質量%、C:1.5質量%、および残部がFeと不可避不純物からなる硬質粒子を挙げることができる。硬質粒子は、例えば、上述した組成を上述した割合に配合した溶湯を準備し、この溶湯を噴霧化するアトマイズ処理で製造することができる。
以下に、硬質粉末(硬質粒子)の成分について詳細する。
<Moについて>
硬質粒子の成分のうちMoは、焼結時に炭素粉末のCとMo炭化物を生成して硬質粒子の硬さ、耐摩耗性を向上させると共に、高温使用環境下において固溶しているMoおよびMo炭化物がMo酸化皮膜を形成し、良好なる固体潤滑性を得ることができる。Moは、たとえば、30〜50質量%の範囲で硬質粉末に含有することが好ましい。
硬質粒子の成分のうちMoは、焼結時に炭素粉末のCとMo炭化物を生成して硬質粒子の硬さ、耐摩耗性を向上させると共に、高温使用環境下において固溶しているMoおよびMo炭化物がMo酸化皮膜を形成し、良好なる固体潤滑性を得ることができる。Moは、たとえば、30〜50質量%の範囲で硬質粉末に含有することが好ましい。
<Mnについて>
硬質粒子の成分のうちMnは、後述する実施例で説明するように、焼結時に、Snに拡散してSn−Mnとなり、Snよりも融点が上昇する。その結果、焼結時のSnの蒸発を防止することができ、銅合金焼結材料の密度を向上することができる。また、焼結時に硬質粒子から銅合金焼結材料の銅系基地へ効率よく拡散するため、銅合金焼結材料の密度を上昇させることができる。また、硬質粒子と銅系基地との密着性を向上させるのにも有効である。Mnは、たとえば、3〜10質量%の範囲で硬質粉末に含有することが好ましい。
硬質粒子の成分のうちMnは、後述する実施例で説明するように、焼結時に、Snに拡散してSn−Mnとなり、Snよりも融点が上昇する。その結果、焼結時のSnの蒸発を防止することができ、銅合金焼結材料の密度を向上することができる。また、焼結時に硬質粒子から銅合金焼結材料の銅系基地へ効率よく拡散するため、銅合金焼結材料の密度を上昇させることができる。また、硬質粒子と銅系基地との密着性を向上させるのにも有効である。Mnは、たとえば、3〜10質量%の範囲で硬質粉末に含有することが好ましい。
<Cについて>
硬質粒子の組成のうちCは、必要に応じて硬質粒子に添加され、Moと結合してMo炭化物を形成し、硬質粒子の硬さ、耐摩耗性を向上させるのに有効である。Cは、たとえば、1.5質量%以下で硬質粉末に含有することが好ましい。
硬質粒子の組成のうちCは、必要に応じて硬質粒子に添加され、Moと結合してMo炭化物を形成し、硬質粒子の硬さ、耐摩耗性を向上させるのに有効である。Cは、たとえば、1.5質量%以下で硬質粉末に含有することが好ましい。
<Feについて>
硬質粒子の成分のうちFeは、硬質粒子の基地であり、上述した組成を含むことを前提に、硬質粒子に残部として含まれる。
硬質粒子の成分のうちFeは、硬質粒子の基地であり、上述した組成を含むことを前提に、硬質粒子に残部として含まれる。
1.2.黒鉛粉末について
本実施形態では、黒鉛粉末は、銅合金焼結材料の密度を向上させる。混合粉末の全量に対する黒鉛粉末の含有量は1質量%以下である。後述する実施例から明らかなように、1質量%を超えると、銅合金焼結材料の密度が低下する。
本実施形態では、黒鉛粉末は、銅合金焼結材料の密度を向上させる。混合粉末の全量に対する黒鉛粉末の含有量は1質量%以下である。後述する実施例から明らかなように、1質量%を超えると、銅合金焼結材料の密度が低下する。
黒鉛粉末は、焼結時に黒鉛粉末のCが銅系基地および硬質粉末に固溶拡散することができるのであれば、天然黒鉛または人造黒鉛のいずれの黒鉛粒子からなる粉末であってもよく、これらが混合した粉末であってもよい。
1.3.錫粉末について
錫粉末はSnおよび不可避不純物からなり、焼結時、銅粉末のCuに拡散して、強度を上昇させる。本実施形態では、混合粉末の全量に対して錫粉末の含有量は2〜15質量%である。含有量が2質量%未満になると、強度上昇が小さくなる。一方、含有量が15質量%を超えると、相手攻撃性が高まってしまう。
錫粉末はSnおよび不可避不純物からなり、焼結時、銅粉末のCuに拡散して、強度を上昇させる。本実施形態では、混合粉末の全量に対して錫粉末の含有量は2〜15質量%である。含有量が2質量%未満になると、強度上昇が小さくなる。一方、含有量が15質量%を超えると、相手攻撃性が高まってしまう。
1.4.銅粉末について
銅粉末は、銅合金焼結材料の基地となる。銅粉末は、Cuを主成分とする銅系粒子から構成される。銅粉末は、銅および不可避不純物からなる純銅粉末が好ましいが、圧粉成形時の成形性が阻害さず、上述したSn、またはMn等の拡散が阻害されない範囲で、その他の元素を含有した低合金粉末であってもよい。
銅粉末は、銅合金焼結材料の基地となる。銅粉末は、Cuを主成分とする銅系粒子から構成される。銅粉末は、銅および不可避不純物からなる純銅粉末が好ましいが、圧粉成形時の成形性が阻害さず、上述したSn、またはMn等の拡散が阻害されない範囲で、その他の元素を含有した低合金粉末であってもよい。
2.銅合金焼結材料の製造方法
以下、本実施形態の製造方法を説明する。
以下、本実施形態の製造方法を説明する。
<成形工程>
本実施形態の製造方法では、まず、成形工程を行う。この工程では、黒鉛粉末、錫粉末、硬質粉末、および銅粉末を混合した混合粉末から、焼結合金用成形体を圧粉成形する。
本実施形態の製造方法では、まず、成形工程を行う。この工程では、黒鉛粉末、錫粉末、硬質粉末、および銅粉末を混合した混合粉末から、焼結合金用成形体を圧粉成形する。
具体的には、まず、上述した黒鉛粉末、錫粉末、硬質粉末、および銅粉末を準備し、これらを所望の混合割合になるように、混合して混合粉末を得る。次いで、成形型を用いて、得られた混合粉末を所定の成形圧力で圧粉成形し、焼結合金用成形体(圧粉成形体)を形成する。なお、必要に応じて、ステアリン酸亜鉛粉末などの潤滑剤と混合粉末とを混合して、圧粉成形用粉末を調製し、これを圧粉成形してもよい。
<焼結工程>
次いで、焼結工程を行う。この工程では、銅粉末のCuに錫粉末のSnが拡散するように、焼結合金用成形体を焼結する焼結温度としては、700〜900℃が好ましい。焼結時間としては、0.5〜2.0時間が好ましい。焼結雰囲気としては、不活性ガス雰囲気などの非酸化性雰囲気であってもよく、非酸化性雰囲気としては、窒素ガス雰囲気、アルゴンガス雰囲気、又は真空雰囲気を挙げることができる。
次いで、焼結工程を行う。この工程では、銅粉末のCuに錫粉末のSnが拡散するように、焼結合金用成形体を焼結する焼結温度としては、700〜900℃が好ましい。焼結時間としては、0.5〜2.0時間が好ましい。焼結雰囲気としては、不活性ガス雰囲気などの非酸化性雰囲気であってもよく、非酸化性雰囲気としては、窒素ガス雰囲気、アルゴンガス雰囲気、又は真空雰囲気を挙げることができる。
本実施形態によれば、硬質粒子として、Mo、Mn、および残部がFeと不可避不純物からなる合金またはMo、Mn、C、および残部がFeと不可避不純物からなる合金のものを使用する。また、黒鉛粉末、錫粉末、および硬質粉末を上述した範囲とする。これにより、CuにSnが拡散するように焼結した際にSnの蒸発を抑制して、焼結後の銅合金焼結材料の密度を上昇させることができる。
このようにして、本実施形態の製造方法により、Sn:2〜15質量%、Mo:1〜20質量%(好ましくは、2〜16質量%)、Mn:0.2〜3質量%(好ましくは、0.3〜2.4質量%)、Fe:2〜30質量%(好ましくは、3〜22質量%)、C:1質量%以下、および残部がCuと不可避不純物からなる銅合金焼結材料を得ることができる。このような銅合金焼結材料は、バルブガイドまたはバルブシートに好適に用いることができる。
以下に、本発明に係る実施例を説明する。なお、後述する実施例、比較例、および参考例に係る試験体の組成、並びに、試験体作製に用いた硬質粒子および混合粉末の組成を以下に表示する表1〜表5に示す。
(1)最適な硬質粒子の確認
硬質粒子に含有すべき元素の評価するために以下の実施例1−1〜1−4および比較例1−1〜1−3の試験体を作製した。
硬質粒子に含有すべき元素の評価するために以下の実施例1−1〜1−4および比較例1−1〜1−3の試験体を作製した。
<実施例1−1>
まず、Mo:40質量%、Mn:6質量%、および残部(54質量%)がFeと不可避不純物(「Fe−40Mo−6Mn」)からなる硬質粒子の集合物である硬質粉末、錫粉末、および銅粉末を準備した。
まず、Mo:40質量%、Mn:6質量%、および残部(54質量%)がFeと不可避不純物(「Fe−40Mo−6Mn」)からなる硬質粒子の集合物である硬質粉末、錫粉末、および銅粉末を準備した。
次に、準備した硬質粉末、錫粉末、および銅粉末を、硬質粉末:20質量%、錫粉末:8質量%、銅粉末(残部):72質量%からなる含有条件を満たすように、混合して、混合粉末を得た(表1参照)。
次いで、得られた混合粉末と、混合粉末に対して0.8質量%のステアリン酸亜鉛粉末と、を混合して、圧粉成形用粉末を調製した。この圧粉成形用粉末を、成形型を用いて、784MPaの成形圧力で圧粉成形し、直径11mm、高さ10mmの焼結合金用成形体(圧粉成形体)を形成した。この圧粉成形体を780℃の不活性雰囲気(窒素ガス雰囲気)中で60分間、焼結し、銅合金焼結材料を形成して、実施例1−1の試験体とした。
得られた試験体の組成は、Sn:8質量%、Fe:11質量%、Mo:8質量%、Mn:1.2質量%、および残部(71.8質量%)がCuと不可避不純物(「Cu−8Sn−11Fe−8Mo−1.2Mn」)であった。
<実施例1−2>
実施例1−1と同様にして、実施例1−2の試験体を作製した。実施例1−1と相違する点は、表1に示すように、硬質粉末に、Mo:40質量%、Mn:6質量%、C:1.5質量%、および残部がFeと不可避不純物(「Fe−40Mo−6Mn―1.5C」)を用いた点である。
実施例1−1と同様にして、実施例1−2の試験体を作製した。実施例1−1と相違する点は、表1に示すように、硬質粉末に、Mo:40質量%、Mn:6質量%、C:1.5質量%、および残部がFeと不可避不純物(「Fe−40Mo−6Mn―1.5C」)を用いた点である。
<実施例1−3>
実施例1−1と同様にして、実施例1−3試験体を作製した。実施例1−1と相違する点は、表1に示すように、Fe−40Mo−6Mn―1.5Cからなる硬質粒子(硬質粉末)を用いた点と、混合粉末全量に対して、硬質粉末の混合割合を10質量%とした点である。
実施例1−1と同様にして、実施例1−3試験体を作製した。実施例1−1と相違する点は、表1に示すように、Fe−40Mo−6Mn―1.5Cからなる硬質粒子(硬質粉末)を用いた点と、混合粉末全量に対して、硬質粉末の混合割合を10質量%とした点である。
<実施例1−4>
実施例1−1と同様にして、実施例1−4の試験体を作製した。実施例1−1と相違する点は、表1に示すように、混合粉末全量に対して、硬質粉末の混合割合を5質量%とし、黒鉛粉末をさらに添加し、その混合割合を0.05質量%とした点である。
実施例1−1と同様にして、実施例1−4の試験体を作製した。実施例1−1と相違する点は、表1に示すように、混合粉末全量に対して、硬質粉末の混合割合を5質量%とし、黒鉛粉末をさらに添加し、その混合割合を0.05質量%とした点である。
<比較例1−1>
実施例1−1と同様にして、比較例1−1の試験体を作製した。実施例1−1と相違する点は、表1に示すように、Mo:62質量%、Si:1質量%、および残部がFeと不可避不純物(以下、「Fe−62Mo−1Si」)からなる硬質粒子(硬質粉末)を用いた点である。
実施例1−1と同様にして、比較例1−1の試験体を作製した。実施例1−1と相違する点は、表1に示すように、Mo:62質量%、Si:1質量%、および残部がFeと不可避不純物(以下、「Fe−62Mo−1Si」)からなる硬質粒子(硬質粉末)を用いた点である。
<比較例1−2>
実施例1−1と同様にして、比較例1−2の試験体を作製した。実施例1−1と相違する点は、表1に示すように、Fe−62Mo−1Siからなる硬質粒子(硬質粉末)を用いた点と、混合粉末全量に対して、硬質粉末の混合割合を5質量%とした点である。
実施例1−1と同様にして、比較例1−2の試験体を作製した。実施例1−1と相違する点は、表1に示すように、Fe−62Mo−1Siからなる硬質粒子(硬質粉末)を用いた点と、混合粉末全量に対して、硬質粉末の混合割合を5質量%とした点である。
<比較例1−3>
実施例1−1と同様にして、比較例1−3の試験体を作製した。実施例1−1と相違する点は、表1に示すように混合粉末に硬質粉末を添加しなかった点である。
実施例1−1と同様にして、比較例1−3の試験体を作製した。実施例1−1と相違する点は、表1に示すように混合粉末に硬質粉末を添加しなかった点である。
〔試験体の密度測定について〕
実施例1−1〜1−4および比較例1−1〜1−3に係る試験体の密度を測定した。これらの試験体の重量を秤で測定し、次いで、試験体の寸法から体積を算出して、各試験体の密度を得た。結果を表1に示す。
実施例1−1〜1−4および比較例1−1〜1−3に係る試験体の密度を測定した。これらの試験体の重量を秤で測定し、次いで、試験体の寸法から体積を算出して、各試験体の密度を得た。結果を表1に示す。
〔試験体の硬さ試験について〕
実施例1−1〜1−4および比較例1−1〜1−3に係る試験体の硬さを測定荷重0.1kgfのマイクロビッカース硬度計を用いて測定した。この結果も表1に示す。
実施例1−1〜1−4および比較例1−1〜1−3に係る試験体の硬さを測定荷重0.1kgfのマイクロビッカース硬度計を用いて測定した。この結果も表1に示す。
〔試験体の組織観察について〕
実施例1−1、実施例1−2、比較例1−1、および比較例1−3の試験体の組織を顕微鏡で観察した。この結果を図1〜図4に示す。図1〜図4は、それぞれ実施例1−1、実施例1−2、比較例1−1、および比較例1−3の試験体に係る断面の組織写真である。
実施例1−1、実施例1−2、比較例1−1、および比較例1−3の試験体の組織を顕微鏡で観察した。この結果を図1〜図4に示す。図1〜図4は、それぞれ実施例1−1、実施例1−2、比較例1−1、および比較例1−3の試験体に係る断面の組織写真である。
(結果1および考察1)
硬質粒子を含んでいない比較例1−3と比較して、硬質粒子の種類としてFe−62Mo−1Siを用いた比較例1−1、1−2では、試験体の密度および硬さは大きかった。しかし、比較例1−1、1−2よりも、硬質粒子の種類としてFe−40Mo−6Mnを用いた実施例1−1、1−4、およびFe−40Mo−6Mn―1.5Cを用いた実施例1−2、1−3では、試験体の密度および硬さが大きかった。
硬質粒子を含んでいない比較例1−3と比較して、硬質粒子の種類としてFe−62Mo−1Siを用いた比較例1−1、1−2では、試験体の密度および硬さは大きかった。しかし、比較例1−1、1−2よりも、硬質粒子の種類としてFe−40Mo−6Mnを用いた実施例1−1、1−4、およびFe−40Mo−6Mn―1.5Cを用いた実施例1−2、1−3では、試験体の密度および硬さが大きかった。
詳細には、硬質粉末の混合割合が20質量%の場合、実施例1−1および実施例1−2では、試験体の密度および硬さは、比較例1−1のものよりも大きかった。混合粉末に対する混合割合が5質量%の場合も、実施例1−4では、試験体の密度および硬さは、比較例1−2のものが大きかった。
実施例1−1(図1参照)および実施例1−2(図2参照)に係る試験体の組織には、比較例1−1(図3参照)、比較例1−3(図4参照)のものに比べて気孔が少なかった。これは、比較例1−1、比較例1−3の場合、CuにSnが固溶するように焼結した際に、Snが蒸発したことが原因と考えられる。
以上のことから、硬質粒子の種類としては、Mo、Mn、および残部がFeと不可避不純物(以下「Fe−Mo−Mn」)からなる合金またはMo、Mn、C、および残部がFeと不可避不純物(以下「Fe−Mo−Mn−C」)からなる合金が好ましい。
(2)硬質粒子の適正混合割合の確認
上述したように、好適な硬質粒子として、選択されたFe−Mo−Mn硬質粒子(合金)およびFe−Mo−Mn−C硬質粒子(合金)のうち、Fe−Mo−Mn硬質粒子を用いて、混合粉末全量に対する硬質粒子の混合割合を以下に検討した。
上述したように、好適な硬質粒子として、選択されたFe−Mo−Mn硬質粒子(合金)およびFe−Mo−Mn−C硬質粒子(合金)のうち、Fe−Mo−Mn硬質粒子を用いて、混合粉末全量に対する硬質粒子の混合割合を以下に検討した。
<実施例2−1>
実施例1−1と同様にして、実施例2−1の試験体を作製した。実施例1−1と相違する点は、混合粉末全量に対して、硬質粉末の混合割合を5質量%とし、黒鉛粉末をさらに添加し、その混合割合を0.05質量%にした点である。なお、実施例2−1は実施例1−4に相当する。
実施例1−1と同様にして、実施例2−1の試験体を作製した。実施例1−1と相違する点は、混合粉末全量に対して、硬質粉末の混合割合を5質量%とし、黒鉛粉末をさらに添加し、その混合割合を0.05質量%にした点である。なお、実施例2−1は実施例1−4に相当する。
<実施例2−2〜2−4>
実施例2−1と同様にして、表2に示すように実施例2−2〜2−4に係る試験体を作製した。
実施例2−2が実施例2−1と相違する点は、混合粉末全量に対して、硬質粉末の混合割合が10質量%とし、黒鉛粉末を含まない点である。
実施例2−3が実施例2−1と相違する点は、混合粉末全量に対して、硬質粉末の混合割合が20質量%とし、黒鉛粉末を含まない点である。
実施例2−4が実施例2−1と相違する点は、混合粉末全量に対して、硬質粉末の混合割合が40質量%とし、黒鉛粉末の混合割合が0.40質量%である点である。
実施例2−1と同様にして、表2に示すように実施例2−2〜2−4に係る試験体を作製した。
実施例2−2が実施例2−1と相違する点は、混合粉末全量に対して、硬質粉末の混合割合が10質量%とし、黒鉛粉末を含まない点である。
実施例2−3が実施例2−1と相違する点は、混合粉末全量に対して、硬質粉末の混合割合が20質量%とし、黒鉛粉末を含まない点である。
実施例2−4が実施例2−1と相違する点は、混合粉末全量に対して、硬質粉末の混合割合が40質量%とし、黒鉛粉末の混合割合が0.40質量%である点である。
<比較例2−1>
実施例2−1と同様にして、表2に示すように比較例2−1に係る試験体を作製した。比較例2−1が実施例2−1と相違する点は、硬質粉末および黒鉛粉末を含まない点である。なお、比較例2−1は比較例1−3に相当する。
実施例2−1と同様にして、表2に示すように比較例2−1に係る試験体を作製した。比較例2−1が実施例2−1と相違する点は、硬質粉末および黒鉛粉末を含まない点である。なお、比較例2−1は比較例1−3に相当する。
実施例2−1〜2−4および比較例2−1の試験体について、上述した密度測定および硬さ試験を行なった。結果を表2に示す。
(結果2および考察2)
実施例2−1〜2−4では、混合粉末に5質量%以上の硬質粉末が含まれているので、比較例2−1に比べて、試験体の密度および硬さが大きかった。よって、5質量%以上の硬質粉末を含有することにより、試験体の密度上昇および硬度向上の効果が十分に発揮されることがわかる。
実施例2−1〜2−4では、混合粉末に5質量%以上の硬質粉末が含まれているので、比較例2−1に比べて、試験体の密度および硬さが大きかった。よって、5質量%以上の硬質粉末を含有することにより、試験体の密度上昇および硬度向上の効果が十分に発揮されることがわかる。
(3)黒鉛粉末の適正混合割合の確認
Fe−Mo−Mn硬質粒子を用いて、混合粉末に対する黒鉛粉末の混合割合を検討した。
Fe−Mo−Mn硬質粒子を用いて、混合粉末に対する黒鉛粉末の混合割合を検討した。
<実施例3−1>
実施例1−1と同様にして、実施例3−1に係る試験体を作製した。実施例3−1が実施例1−1とは相違する点は、黒鉛粉末をさらに添加し、混合粉末全量に対して、その混合割合を、0.2質量%とした点である。
実施例1−1と同様にして、実施例3−1に係る試験体を作製した。実施例3−1が実施例1−1とは相違する点は、黒鉛粉末をさらに添加し、混合粉末全量に対して、その混合割合を、0.2質量%とした点である。
<実施例3−2、3−3>
実施例3−1と同様にして、実施例3−2および実施例3−3に係る試験体を作製した。実施例3−2および実施例3−3が、実施例3−1と異なる点は、表3に示すように、混合粉末全量に対して、黒鉛粉末の混合割合を、それぞれ、0.4質量%、および1.0質量%とした点である。
実施例3−1と同様にして、実施例3−2および実施例3−3に係る試験体を作製した。実施例3−2および実施例3−3が、実施例3−1と異なる点は、表3に示すように、混合粉末全量に対して、黒鉛粉末の混合割合を、それぞれ、0.4質量%、および1.0質量%とした点である。
<比較例3−1>
実施例3−1と同様にして、比較例3−1に係る試験体を作製した。比較例3−1が、実施例3−1と異なる点は、表3に示すように、混合粉末全量に対して、黒鉛粉末の混合割合を、2.0質量%とした点である。
実施例3−1と同様にして、比較例3−1に係る試験体を作製した。比較例3−1が、実施例3−1と異なる点は、表3に示すように、混合粉末全量に対して、黒鉛粉末の混合割合を、2.0質量%とした点である。
実施例3−1〜3−3および比較例3−1の試験体について、上述した密度測定および硬さ試験を行なった。結果を表3に示す。
(結果3および考察3)
実施例3−1〜3−3に対して、比較例3−1では、黒鉛粉末の量が2質量%の場合は、試験体の密度・硬さが小さかった。これは、黒鉛粉末が多過ぎると、焼結時に硬質粒子の一部が溶融し、硬質粒子の硬度が低下したと考えられる。また、硬質粒子が溶融した部分が気孔となることが考えられる。したがって、黒鉛粉末の混合粉末に対する含有量は、1質量%以下が好ましい。
実施例3−1〜3−3に対して、比較例3−1では、黒鉛粉末の量が2質量%の場合は、試験体の密度・硬さが小さかった。これは、黒鉛粉末が多過ぎると、焼結時に硬質粒子の一部が溶融し、硬質粒子の硬度が低下したと考えられる。また、硬質粒子が溶融した部分が気孔となることが考えられる。したがって、黒鉛粉末の混合粉末に対する含有量は、1質量%以下が好ましい。
(4)錫粉末の混合割合に対する硬質粒子の効果の確認
以下に、錫粉末に混合割合に対する硬質粒子の効果を評価した。
以下に、錫粉末に混合割合に対する硬質粒子の効果を評価した。
<実施例4−1>
実施例1−1と同様にして、実施例4−1に係る試験体を作製した。
実施例1−1と同様にして、実施例4−1に係る試験体を作製した。
<実施例4−2>
実施例4−1と同様にして、実施例4−2に係る試験体を作製した。実施例4−1と相違する点は、表4に示すように、Fe−40Mo−6Mn―1.5C硬質粒子を用いた点である。実施例4−2は、実施例1−2の試験体に相当する。
実施例4−1と同様にして、実施例4−2に係る試験体を作製した。実施例4−1と相違する点は、表4に示すように、Fe−40Mo−6Mn―1.5C硬質粒子を用いた点である。実施例4−2は、実施例1−2の試験体に相当する。
<実施例4−3>
実施例4−1と同様にして、実施例4−3に係る試験体を作製した。実施例4−1と相違する点は、表4に示すように、黒鉛粉末をさらに添加して、混合粉末全量に対して、黒鉛粉末の混合割合を0.2質量%にした点である。なお、実施例4−3の試験体は、実施例3−1の試験体に相当する。
実施例4−1と同様にして、実施例4−3に係る試験体を作製した。実施例4−1と相違する点は、表4に示すように、黒鉛粉末をさらに添加して、混合粉末全量に対して、黒鉛粉末の混合割合を0.2質量%にした点である。なお、実施例4−3の試験体は、実施例3−1の試験体に相当する。
<実施例4−4>
実施例4−1と同様にして、実施例4−4に係る試験体を作製した。実施例4−1と相違する点は、表4に示すように、混合粉末全量に対する錫粉末の混合割合を15質量%にし、黒鉛粉末をさらに添加して、混合粉末全量に対して、黒鉛粉末の混合割合を0.2質量%にした点である。
実施例4−1と同様にして、実施例4−4に係る試験体を作製した。実施例4−1と相違する点は、表4に示すように、混合粉末全量に対する錫粉末の混合割合を15質量%にし、黒鉛粉末をさらに添加して、混合粉末全量に対して、黒鉛粉末の混合割合を0.2質量%にした点である。
<実施例4−5>
実施例4−1と同様にして、実施例4−5に係る試験体を作製した。実施例4−1と相違する点は、表4に示すように、混合粉末全量に対して、硬質粉末の混合割合を10質量%とし、さらに黒鉛粉末を添加し、その混合割合を0.1質量%とした点である。
実施例4−1と同様にして、実施例4−5に係る試験体を作製した。実施例4−1と相違する点は、表4に示すように、混合粉末全量に対して、硬質粉末の混合割合を10質量%とし、さらに黒鉛粉末を添加し、その混合割合を0.1質量%とした点である。
<実施例4−6>
実施例4−1と同様にして、実施例4−6に係る試験体を作製した。実施例4−1と相違する点は、表4に示すように、混合粉末全量に対して、硬質粉末の混合割合を10質量%とし、さらに黒鉛粉末を添加し、混合粉末全量に対して、その混合割合を0.2質量%とした点である。
実施例4−1と同様にして、実施例4−6に係る試験体を作製した。実施例4−1と相違する点は、表4に示すように、混合粉末全量に対して、硬質粉末の混合割合を10質量%とし、さらに黒鉛粉末を添加し、混合粉末全量に対して、その混合割合を0.2質量%とした点である。
<比較例4−1〜4−3>
実施例4−1と同様にして、比較例4−1〜4−3に係る試験体を作製した。実施例4−1と相違する点は、表4に示すように、硬質粉末および黒鉛粉末を含まない点と、錫粉末の混合割合をそれぞれ、4質量%、8質量%および15質量%とした点である。なお、比較例4−2は、比較例1−3に相当する。
実施例4−1と同様にして、比較例4−1〜4−3に係る試験体を作製した。実施例4−1と相違する点は、表4に示すように、硬質粉末および黒鉛粉末を含まない点と、錫粉末の混合割合をそれぞれ、4質量%、8質量%および15質量%とした点である。なお、比較例4−2は、比較例1−3に相当する。
実施例4−1〜4−6および比較例4−1〜4−3の試験体について、上述した密度測定および硬さ試験を行なった。結果を表4に示す。
(結果4および考察4)
比較例4−1〜4−3では、錫粉末の混合割合が増加するに従って、試験体の密度および硬さが低下していることがわかる。これは、Snを添加しすぎると、焼結時、Snの蒸発が起因して、密度が低下するからであると考えられる。それに対して、実施例4−3および実施例4−4の如く、硬質粉末を添加すると、錫粉末の混合割合が増加しても、試験体の密度および硬さは上昇している。
比較例4−1〜4−3では、錫粉末の混合割合が増加するに従って、試験体の密度および硬さが低下していることがわかる。これは、Snを添加しすぎると、焼結時、Snの蒸発が起因して、密度が低下するからであると考えられる。それに対して、実施例4−3および実施例4−4の如く、硬質粉末を添加すると、錫粉末の混合割合が増加しても、試験体の密度および硬さは上昇している。
さらに、比較例4−2は、錫粉末の添加量が8質量%であり、実施例4−1〜4−3および4−5、4−6も、錫粉末の添加量が8質量%であるが、実施例4−1〜4−3および4−5、4−6は、比較例4−2とは異なり硬質粉末を含んでいる。したがって、得られた焼結材料の硬さは、比較例4−2のものに比べて高い。本来ならば、硬質粉末を含むことにより、成形体の成形性が低下するため、実施例4−1〜4−3および4−5、4−6の試験体の密度は、比較例4−2のもよりも低くなるとも考えられる。しかしながら、実際には、表4に示すように、実施例4−1〜4−3および4−5、4−6の試験体の密度は、比較例4−2よりも高い。さらに、実施例4−4と比較例4−3とを対比しても、同様のことがいえる。これらの結果から、実施例4−1〜4−6では、硬質粒子の添加により、錫の蒸発が抑制されたと考えられる。
(5)硬質粒子に含まれる有効な元素の確認
上述のように、硬質粒子を混合粉末に添加すると試験体の密度が上昇することが認められたため、密度上昇に対する硬質粒子の成分について検討した。
上述のように、硬質粒子を混合粉末に添加すると試験体の密度が上昇することが認められたため、密度上昇に対する硬質粒子の成分について検討した。
<参考例5−1〜5−3>
実施例1−1と同様にして、参考例5−1〜5−3の試験体を作製した。参考例5−1〜5−3が実施例1−1とは相違する点は、硬質粉末の代わりに、硬質粉末(硬質粒子)を構成する成分(Fe、Mo、Mn)を添加した点である。具体的には、表5に示すように、硬質粉末を添加せずに、混合粉末全量に対して10質量%の鉄粉、モリブデン粉、およびマンガン粉をそれぞれ参考例5−1〜5−3の混合粉末に添加した点である。
実施例1−1と同様にして、参考例5−1〜5−3の試験体を作製した。参考例5−1〜5−3が実施例1−1とは相違する点は、硬質粉末の代わりに、硬質粉末(硬質粒子)を構成する成分(Fe、Mo、Mn)を添加した点である。具体的には、表5に示すように、硬質粉末を添加せずに、混合粉末全量に対して10質量%の鉄粉、モリブデン粉、およびマンガン粉をそれぞれ参考例5−1〜5−3の混合粉末に添加した点である。
<参考比較例5−1>
参考例5−1と同様にして、参考比較例5−1の試験体を作製した。参考例5−1と相違する点は、鉄粉を添加しなかった点である。なお、比較例5−1は比較例1−3に相当する。
参考例5−1と同様にして、参考比較例5−1の試験体を作製した。参考例5−1と相違する点は、鉄粉を添加しなかった点である。なお、比較例5−1は比較例1−3に相当する。
<試験体の元素濃度分析>
参考例5−1〜5−3の試験体について、電子プローブマイクロアナライザー(EPMA)により元素分析を行なった。この結果を図5〜7に示す。図5〜7はそれぞれ参考例5−1〜5−3の焼結体元素濃度分析(EPMA面分析)の結果を示す。図5〜7中、(a)はCuの分布を、(c)はSnの分布を示す。また、図5(b)、図6(b)、および図7(b)は、それぞれ、Fe、Mo、およびMnの分布を示す。
参考例5−1〜5−3の試験体について、電子プローブマイクロアナライザー(EPMA)により元素分析を行なった。この結果を図5〜7に示す。図5〜7はそれぞれ参考例5−1〜5−3の焼結体元素濃度分析(EPMA面分析)の結果を示す。図5〜7中、(a)はCuの分布を、(c)はSnの分布を示す。また、図5(b)、図6(b)、および図7(b)は、それぞれ、Fe、Mo、およびMnの分布を示す。
さらに、参考例5−1〜5−3および参考比較例5−1について上述した密度測定および硬さ試験を行なった。結果を表5に示す。
(結果5および考察5)
図5〜7からわかるように、参考例5−1(図5)および参考例5−2(図6)では、Fe、Mnの濃度の高い箇所では、Snがほとんどなく、これらは、ほとんど合金化していないと言える。それに対して、参考例5−3(図7)では、Cu、MnにSnが均一に拡散していることがわかる。この結果より、FeおよびMoと比較して、MnはCuおよびSnに拡散しやすいことがいえる。なお、付言すると、2元系状態図(不図示)から、FeおよびMoはCuに拡散し難いことが知られている。
図5〜7からわかるように、参考例5−1(図5)および参考例5−2(図6)では、Fe、Mnの濃度の高い箇所では、Snがほとんどなく、これらは、ほとんど合金化していないと言える。それに対して、参考例5−3(図7)では、Cu、MnにSnが均一に拡散していることがわかる。この結果より、FeおよびMoと比較して、MnはCuおよびSnに拡散しやすいことがいえる。なお、付言すると、2元系状態図(不図示)から、FeおよびMoはCuに拡散し難いことが知られている。
表5からわかるように、参考比較例5−1と比較して、参考例5−3の如く、混合粉末にマンガン粉に添加された場合は、密度・硬さが上昇した。
以上の結果から、硬質粉末として、Fe−Mo−Mn硬質粒子またはFe−Mo−Mn−C硬質粒子を用いた場合、FeおよびMoと比較して、周囲に存在する錫粉末にMnが多く拡散して、固溶する。このようなSn−MnはSnよりも融点が高い。よって、焼結時のSnの蒸発が抑制されたため、試験体の密度が上昇したと考えられる。
以上、本発明の一実施形態について詳述したが、本発明は、前記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の精神を逸脱しない範囲で、種々の設計変更を行うことができるものである。
Claims (1)
- 黒鉛粉末、錫粉末、硬質粉末、および銅粉末を混合した混合粉末から、焼結合金用成形体を圧粉成形する工程と、
前記銅粉末のCuに錫粉末のSnが拡散するように、前記焼結合金用成形体を焼結する工程と、を含み、
前記硬質粉末を構成する硬質粒子が、Mo、Mn、および残部がFeと不可避不純物からなる合金またはMo、Mn、C、および残部がFeと不可避不純物からなる合金であり、
前記混合粉末は、前記混合粉末の全量に対して、前記黒鉛粉末を1質量%以下、前記錫粉末を2〜15質量%、および前記硬質粉末を5質量%以上含有していることを特徴とする銅合金焼結材料の製造方法。
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JP2018003799A JP2019123898A (ja) | 2018-01-12 | 2018-01-12 | 銅合金焼結材料の製造方法 |
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-
2018
- 2018-01-12 JP JP2018003799A patent/JP2019123898A/ja active Pending
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CN116710219A (zh) * | 2020-12-25 | 2023-09-05 | 千住金属工业株式会社 | 滑动构件、轴承、滑动构件的制造方法、轴承的制造方法 |
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