JP2019122999A - 複合体の成形方法 - Google Patents
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Abstract
Description
当該複合体の製造方法として、特許文献1には、カーボンナノ材料の造粒体とセラミックス繊維材を含む媒質体を所要形状に成形し、焼成してプリフォームとする工程と、前記プリフォームに溶融した金属を含浸させて固化させる工程を含む特定の製造方法が開示されている。しかしながら特許文献1の実施例に示されるように、当該手法では、複合体の熱伝導性は向上しなかった。
特許文献2によれば、上記製造方法により、ナノカーボンと液状アルミニウムとの反応を抑制できるとされている。しかしながら上記製造方法は、製造工程が多く、生産性や製造コストの点で課題があった。
本発明者らは、電子部品の周囲に高熱伝導性の部材を配置することで放熱性を向上することを検討した。一つの手段として、例えば、高熱伝導性の銅や、ダイヤモンド等を使用することが考えられたが、重量の増大やコストの課題があった。
一方、車両中の金属部材は、生産性などの点から、一部に鋳造品が用いられている。本発明者らは、このような金属部材に着目し熱伝導性を高める検討を行った。
熱伝導材料が分散された複合体の成形方法であって、
金属の単体からなる繊維材と、前記熱伝導材料とを含む混合体、及び、
前記金属を含む合金からなる溶湯を準備する工程と、
前記混合体を、金型内、又は、前記溶湯の注入経路内に配置する工程と、
前記溶湯を前記金型内に注入し鋳造する工程と、を有する。
上記特許文献1においては、繊維材として融点の高いアルミナ等のセラミック繊維材が用いられている。このようなセラミック繊維材は鋳造時においても溶融せず、成形後に基材となるアルミニウムなどとの間に界面を生じるものと推定される。また、カーボンナノ材料にも熱がかかるため、炭化アルミニウム(Al4C3)などの生成が促進されるものと推定される。これらの結果、熱伝導率が低下するものと推定される。
一方、本実施においては、後述する溶湯用の合金の融点よりもやや高い融点(例えば合金の融点+500℃以下)を有する金属の単体からなる繊維材を用いている。そのため、鋳造時に当該繊維材が合金と溶融して界面を形成しにくいものと推定される。また、繊維材が融解する際に融解熱を必要として吸熱するため、熱伝導材料の表面が高温化することが抑制され、熱伝導率の低下が抑制されるものと推定される。
このようなことから、本実施の複合体の成形方法によれば熱伝導率の高い複合体を得ることができる。
本実施において繊維材の金属は、融点や、熱伝導性、軽量性、機械強度等の点から、中でも、アルミニウム(融点:660℃)、亜鉛(融点:420℃)、マグネシウム(融点:650℃)が好ましく、アルミニウムがより好ましい。
本実施において、金属の単体からなる繊維材は、実質的に単一の金属からなる繊維材であるが、不可避的に混入する他の金属を含有してもよい。不可避的に混入する他の金属としては、例えば、鉄、ケイ素などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。本実施において、金属の単体からなる繊維材は、98質量%以上が単一の金属であればよく、99質量%以上が単一の金属であることが好ましい。
炭素系材料としては、例えば、カーボンナノチューブ、カーボンナノコイル、カーボンナノフィラメントなどのカーボンナノ材料や、ダイヤモンド粒子などが挙げられ、中でも、カーボンナノ材料が好ましい。
カーボンナノ材料の形状は特に限定されないが、例えば、直径が0.4nm以上200nm以下のものから適宜選択することができる。
分散剤は、公知のものの中から適宜選択することができる。中でも、前記金属がアルミニウムの場合には、分散剤として硝酸アンモニウムを用いることが好ましい。硝酸アンモニウムを用いた場合には、鋳造時に窒化アルミニウムを生成し、高い熱伝導性が得られる。
亜鉛を主成分とする合金としては、中でも、アルミニウム、マグネシウム、及び銅より選択される1種以上を含有する合金が好ましく、アルミニウムを含有する合金がより好ましい。具体的には、JIS H 2201(2015)に規定されるダイガスト用亜鉛合金地金などが挙げられる。
また、マグネシウムを主成分とする合金としては、中でも、アルミニウム、及び亜鉛より選択される1種以上を含有する合金が好ましい。具体的には、JIS H 2221(2006)に規定される鋳物用マグネシウム合金地金や、JIS H 2222(2006)に規定されるダイカスト用マグネシウム合金地金などが挙げられる。
混合体は前述の顆粒状で用いてもよく、当該顆粒状の混合体を、鋳造時の加熱により溶融するアルミ箔等に包んで用いてもよく、また、鋳造時の加熱により蒸発又は分解する粘着剤等に貼り付けて用いてもよい。
上記本実施の複合体の成形方法により得られる複合体は、合金内に熱伝導材料が分散され、例えば、熱伝導材料の含有割合が1体積%以下であっても、熱伝導性に優れた複合体となる。
本実施により得られる複合体は、熱伝導材料の含有割合が、1体積%以上50体積%以下であることが好ましく、20体積%以上30体積%以下であることがより好ましい。
直径150nmのカーボンナノチューブと、直径150μmの純アルミ繊維と、分散剤とを質量比で、1:3:1となるように、エタノールに投入し、分散して、スラリー状の分散液を調製した。次いで、当該分散液を成形し乾燥することで、顆粒状の混合体を得た。
製造例1で得られた混合体13gを図2の製造装置の金型1内に配置した後、アルミニウム合金(ADC12)の溶湯を金型1に注入し、鋳造して、実施例1の複合体を得た。
製造例1で得られた混合体13gを図2の製造装置のスリーブ3内(溶湯6内)に配置した後、アルミニウム合金(ADC12)の溶湯6とともに混合体を金型1に注入し、鋳造して、実施例2の複合体を得た。
実施例2において、混合体の量を26gに変更した以外は、実施例2と同様にして実施例3の複合体を得た。
実施例1において、混合体を用いなかった以外は実施例1と同様にして、比較例1の鋳造品を得た。
実施例及び比較例で得られた複合体又は鋳造品をそれぞれヒーターに貼り付け、当該ヒーターを720秒間加熱し、その間のヒーターの温度をモニターし、相対的な評価を行った。ヒーターの測定温度が低いほど、放熱性、即ち熱伝導性に優れていると評価できる。結果を図3に示す。
図3の結果に示されるように、比較例1はヒーターが最大で80℃まで上昇したのに対し、例えば、実施例2では44℃までしか上昇せず、放熱性に優れていることが示された。このように本実施により製造された複合体は、熱伝導性に優れている。
2 キャビティ
3 スリーブ
4 プランジャー
5 開口部
6 溶湯
Claims (1)
- 熱伝導材料が分散された複合体の成形方法であって、
金属の単体からなる繊維材と、前記熱伝導材料とを含む混合体、及び、
前記金属を含む合金からなる溶湯を準備する工程と、
前記混合体を、金型内、又は、前記溶湯の注入経路内に配置する工程と、
前記溶湯を前記金型内に注入し鋳造する工程と、を有する、複合体の成形方法。
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JP2018006485A JP7035549B2 (ja) | 2018-01-18 | 2018-01-18 | 複合体の成形方法 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JPH10219370A (ja) * | 1997-02-12 | 1998-08-18 | Toyota Motor Corp | Al基複合部材の製造方法 |
JPH1162698A (ja) * | 1997-08-11 | 1999-03-05 | Toyota Motor Corp | 軽合金製内燃機関用シリンダヘッド |
JP2005097534A (ja) * | 2003-07-23 | 2005-04-14 | Nissin Kogyo Co Ltd | 炭素繊維複合材料及びその製造方法、炭素繊維複合成形品及びその製造方法、炭素繊維複合金属材料及びその製造方法、炭素繊維複合金属成形品及びその製造方法 |
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2018
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Patent Citations (3)
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