JP5944751B2 - 中子砂、同中子砂から造型される砂中子および同砂中子を用いたダイカスト鋳造方法 - Google Patents
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精密鋳造法として、一般的なシェルモールド法などでは、粘結剤を添加された鋳物砂を加熱した金型にふりかけて覆うことで、粘結剤が砂粒を結合して熱硬化してシェル状の砂型を成形するもので、鋳物砂は熱硬化した粘結剤により石垣構造をなし、溶湯注入時の高圧にも耐える強度を確保することができ、かつ溶湯の高温の作用で粘結剤が分解されて砂粒間の結合作用が失われ砂型を崩壊させることができる。
その結果、低温の300℃でも良好な崩壊性を示したとされる。
特に、砂中子の場合に、中央部分が崩壊せずに残ると除去が面倒となり、鋳物製品の生産効率が低下する。
熱硬化性樹脂である粘結剤(r)により表面を被覆された不規則な粒形の天然砂(Sn)と、熱硬化性樹脂である粘結剤(r)により表面を被覆された球状粒形のアルミナ系人工砂(Sa)とが、前記天然砂(Sn)の間の隙間に前記アルミナ系人工砂(Sa)が介入するように混合されたことを特徴とする中子砂である。
熱硬化性樹脂であるフェノール樹脂粘結剤(r)により表面を被覆された不規則な粒形の天然砂(Sn)と、熱硬化性樹脂である粘結剤(r)により表面を被覆された球状粒形のアルミナ系人工砂(Sa)とが、前記天然砂(Sn)の間の隙間に前記アルミナ系人工砂(Sa)が介入するように混合され、
前記天然砂(Sn)の粒度分布における平均粒径より小さい粒径範囲に、前記アルミナ系人工砂(Sa)の粒径が入ることを特徴とする中子砂である。
また、崩壊性に優れているので、必ずしも崩壊剤を必要とせずコストを抑えることができる。
本実施の形態に係る中子砂Sは、不規則な粒形の天然砂Snと球状粒形のアルミナ系人工砂Saを加熱して粘結剤としてフェノール樹脂rを添加して混合したものである。
天然砂Snは、平均粒径が160μmで分散も比較的大きい粒度分布を示しており、粒径が広い範囲に分散している。
天然の各種山砂や天然珪砂を混合して、このような粒度分布を示す天然砂Snを構成する。
このアルミナ系人工砂Saは、球状をなして流動性が良く充填性に優れ強度もあるとともに、熱膨張率が低く、また熱伝導率が高い特性を有している。
このような天然砂Snとアルミナ系人工砂Saを、天然砂Snに対するアルミナ系人工砂Saの混合割合が20%程度に混合する。
なお、中子砂Sには、リン酸エステル等の崩壊剤を添加してもよい。
本実施の形態では、内燃機関のシリンダブロックをアルミダイカスト鋳造方法に基づいて鋳造するシリンダブロック鋳造装置10においてシリンダブロックのウォータジャケットに相当する円筒状空洞部分を成形する砂中子Cを造型する。
中子金型1は、円筒状の砂中子Cの外周面を造型する概ね円形の凹部を有する固定型2と、固定型2の凹部に挿入され円筒状の砂中子Cの内周面を造型する円柱状の可動内型3と、可動内型3を摺動自在に支持して固定型2に合体する可動外型4とからなる。
送給路2pにより外部からキャビティに前記中子砂Sを送り込む。
固定型2および可動内型3の内部には、キャビティの周囲に図示されないが電熱線が埋設されて加熱されるようになっている。
アルミナ系人工砂Saは熱伝導率が良いので、砂中子Cの内部まで容易に熱伝達可能な石垣構造を形成する。
該砂中子Cは、シリンダブロックのウォータジャケットを成形する中子であり、円筒状の砂中子Cの4箇所が外側に膨出し、その各膨出部に支持ピン5が貫通している。
図5に示す模式図では、不規則な粒形である天然砂Snを便宜上球形(図5で白抜き大径の円)として示している。
アルミナ系人工砂Saは、実際と同じ略球形(図5で内部を散点で示される円)をしている。
したがって、砂中子Cは、この適正な石垣構造により注湯圧力に十分耐える強度を有する。
このコーティング層によりアルミダイカストの鋳造時にアルミニウムが砂中子Cに染み込むのを防止することができる。
図6は、シリンダブロック鋳造装置10の概略説明図であり、主な金型や中子を仮想線(2点鎖線)で示し、溶湯通路15およびシリンダブロックの形状に形成されたキャビティ16を実線で輪郭をとって破線の格子ハッチを施して示している。
外側の金型である固定側金型12と可動側金型13およびシリンダボアを形成するボアピン20が主型であり、砂中子Cが中子である。
図7を参照して、ボアピン20の外周面20aの内側近傍に外周面20aに沿って螺旋状に冷媒螺旋通路25が形成されている。
このようにして冷媒がボアピン20の外周面20a近くの冷媒螺旋通路25を循環するので、ボアピン20の外周面20a近傍を効率良く冷却することができる。
可動側金型13は、水平にしたボアピン20の冷媒螺旋通路25が形成された側の反対側を保持することでボアピン20を固定側金型2内の所定位置に支持するとともに、4本の支持ピン5を保持することにより砂中子Cをボアピン20の周囲の所定位置に支持している。
なお、シリンダブロック40の4つのボルト孔を成形する4本のボルト孔用ピン6が可動側金型13に保持されて所定位置に支持されている。
このシリンダブロック40の鋳造に際して、ボアピン20の内部の冷媒螺旋通路25に冷却水が供給される。
冷却水を供給する冷却水回路には制御弁30が介装され(図6参照)、制御弁30の開閉により、冷却水が冷媒螺旋通路25を循環したり循環を停止したりする。
シリンダブロック鋳造装置10は、この制御弁30を制御する制御装置31を備えている(図6参照)。
砂中子Cは、前記したように、高い強度の石垣構造により注湯の高い圧力に十分耐えることができる。
よって、砂中子Cは、内側中央部に至るまで、熱硬化していたフェノール樹脂rが溶湯の高温の作用で容易に分解されて砂粒の結合作用が失われ、砂中子Cを崩壊させることができる。
フェノール樹脂rは分解により砂粒間の結合作用を失っている。
体積変化は、温度に対応する体積変化を20℃のときの体積を100%とした体積パーセントで示している。
その後、温度が低下するとともに体積も減少し、約600℃近辺で凝固し始め、特に570℃辺りでアルミニウム合金中のシリコンが固まり始まると、一気に体積の収縮が進行し、その後、再び温度低下と体積減少が同時に進む。
図11(b)が、図11(a)のアルミナ系人工砂Saに残ったフェノール樹脂rの接着跡を拡大して示した画像である。
なお、コスト高とはなるが崩壊剤を添加してもよく、崩壊剤を添加することで、砂中子Cを内部までより細かく崩壊することができ、排砂しにくい形状の砂中子などに用いることができる。
C…砂中子、
1…中子金型、2…固定型、3…可動内型、4…可動外型、5…支持ピン、6…ボルト孔用ピン、
10…シリンダブロック鋳造装置、12…固定側金型、13…可動側金型、15…溶湯通路、16…キャビティ、20…ボアピン、21…支持ピン、23…冷媒導入通路、24…冷媒放射通路、25…冷媒螺旋通路、26…冷媒導出通路、30…制御弁、31…制御装置、
40…シリンダブロック。
Claims (7)
- 熱硬化性樹脂である粘結剤(r)により表面を被覆された不規則な粒形の天然砂(Sn)と、熱硬化性樹脂である粘結剤(r)により表面を被覆された球状粒形のアルミナ系人工砂(Sa)とが、前記天然砂(Sn)の間の隙間に前記アルミナ系人工砂(Sa)が介入するように混合されたことを特徴とする中子砂。
- 熱硬化性樹脂であるフェノール樹脂粘結剤(r)により表面を被覆された不規則な粒形の天然砂(Sn)と、熱硬化性樹脂である粘結剤(r)により表面を被覆された球状粒形のアルミナ系人工砂(Sa)とが、前記天然砂(Sn)の間の隙間に前記アルミナ系人工砂(Sa)が介入するように混合され、
前記天然砂(Sn)の粒度分布における平均粒径より小さい粒径範囲に、前記アルミナ系人工砂(Sa)の粒径が入ることを特徴とする中子砂。 - 請求項1ないし請求項2のいずれかに記載された中子砂(S)から構成された造形物からなることを特徴とする砂中子。
- 密度が1.5〜1.8g/cm3であることを特徴とする請求項3記載の砂中子。
- 請求項3または請求項4に記載された砂中子(C)を主型(12,13,20)にセットし、
主型(12,13,20)のキャビティ(16)に溶湯を高圧で注入し、
充填された溶湯を冷却凝固させて鋳物製品(40)を鋳造することを特徴とするダイカスト鋳造方法。 - 前記溶湯は、アルミニウム合金であることを特徴とする請求項5記載のダイカスト鋳造方法。
- 前記主型(20)の所要箇所に冷媒を所要タイミングで循環させて前記溶湯を冷却することを特徴とする請求項6記載のダイカスト鋳造方法。
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