JP6414181B2 - 酸化物鋳造体の製造方法 - Google Patents

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本発明は、溶融酸化物を、表面に亀裂を発生させないで塊状に鋳造する酸化物鋳造体の製造方法に関する。
近年、溶融した鉄鋼スラグ(以後、溶融スラグと称する)を冷却して凝固させ、粗破砕し、粒度調整して粒状の凝固スラグを得た後、粒状の凝固スラグを高炉スラグ微粉末またはセメント等の結合剤と水とを混練し、打設・養生し、粗破砕し、分級して塊状の人工石を製造する鉄鋼スラグ水和固化体の技術(非特許文献1)が普及している。
しかしながら、人工石の製造には、図1に示すように多くの工程が必要である。そのため、仮に、溶融スラグから直接、塊状の人工石を鋳造できれば、人工石の製造におけるスラグの破砕工程、混練工程および粗破砕工程が削減できる。溶融スラグを塊状に鋳造するスラグ鋳造体を製造する方法として、以下の方法が知られている。
特許文献1には、溶融スラグを鋳型に流し込み、厚さが10mm以上300mm以下に凝固させるスラグ凝固システムが開示されている。当該凝固システムにおいて、鋳型に入れられた溶融スラグは、水冷されず空冷により冷却される。
特許文献2には、大型の鋳型で溶融スラグを凝固させる溶融スラグの凝固方法が開示されている。溶融スラグを大型の鋳型で凝固させる際に、鋳型注入後の凝固中のスラグ上面をバーナで加熱することによって溶融させる。これにより、溶融スラグが凝固する過程で生じた気泡を上面側から放出させるとともに、溶融スラグが凝固する過程で生じた収縮分をバーナの加熱により溶解させた溶融スラグによって埋めている。
特許文献3にも大型の鋳型で溶融スラグを凝固させる溶融スラグの凝固方法が開示されている。スラグを大型の鋳型で凝固させる際に、酸化物粒子を連続的または断続的に投入することによって、溶融スラグを速やかに凝固させている。
特開2008−121958号公報 特開2005−306655号公報 特開2005−306656号公報
鉄鋼スラグ水和固化体技術マニュアル(改訂版)、(財)沿岸技術研究センター、2008年2月
しかしながら、特許文献1の方法で製造している凝固スラグの厚さは、10mm以上300mm以下である。スラグの大きさをこれ以上大きくすると、鋳型内における表面と内部との冷却速度差によって温度差が生じる。この温度差による熱応力によって、凝固スラグに亀裂が発生する。
特許文献2の方法では、気泡および凝固収縮孔のないスラグインゴットを製造できたとしているが、溶融スラグの上面をバーナで加熱しており、バーナの設備費やガス等のエネルギーコストが必要となる。さらに、バーナで加熱される上面については内部との温度差は緩和されるものの、その他の領域では、表面と内部とで温度差が生じる。この温度差による熱応力によって、スラグインゴットに亀裂が発生する。
特許文献3の方法では、酸化物粒子を連続的あるいは断続的に投入して溶融スラグ全体の温度を低下させ、これにより表面と内部との温度差を緩和させている。しかしながら、酸化物粒子を投入する効果が溶融スラグ全体の温度を下げることである以上、表面と内部との温度差は生じるので、当該温度差による応力割れが発生する。また、表面と内部との温度差を無くすには、多量の酸化物粒子を投入することが必要になり、当該酸化物粒子を準備する工程および酸化物粒子を投入する工程の追加を鑑みると、溶融スラグから効率的にスラグ鋳造体を製造できる方法とはいえない。
本発明は、従来技術が抱える上記課題を鑑みてなされたものであり、その目的は、溶融酸化物から、亀裂を発生させることなく酸化物鋳造体を鋳造できる酸化物鋳造体の製造方法を提供することにある。
このような課題を解決するための本発明の特徴は、以下の通りである。
(1)溶融酸化物を凝固させて酸化物鋳造体を製造する酸化物鋳造体の製造方法であって、
前記溶融酸化物を固液共存酸化物にし、前記固液共存酸化物を金型に注入した後、前記固液共存酸化物の表面部分は凝固しているが中心部分まで凝固する前に前記金型から取り出し、保温することを特徴とする酸化物鋳造体の製造方法。
(2)前記固液共存酸化物は、固相率が1〜30%の範囲内の酸化物であることを特徴とする(1)に記載の酸化物鋳造体の製造方法。
(3)前記固液共存酸化物を前記金型に注入してから前記金型から取り出すまでの時間は、前記金型に注入した前記固液共存酸化物の量と、注入した前記固液共存酸化物の固相率とに基づいて決定されることを特徴とする(1)または(2)に記載の酸化物鋳造体の製造方法。
(4)前記保温は、前記金型から取り出した前記固液共存酸化物を、前記酸化物鋳造体の熱伝導率以下の物質で構成されるトンネル内を通過させることで実行されることを特徴とする(1)から(3)のいずれか1つに記載の酸化物鋳造体の製造方法。
(5)前記物質は、600℃における熱伝導率が1.0W/m・K以下であって、耐熱温度が1200℃以上であることを特徴とする(4)に記載の酸化物鋳造体の製造方法。
(6)前記金型から取り出した前記固液共存酸化物の表面温度は、固相線温度以下であることを特徴とする(1)から(5)のいずれか1つに記載の酸化物鋳造体の製造方法。
(7)前記金型から取り出した前記固液共存酸化物の寸法は、1辺1.6m以下であることを特徴とする(1)から(6)のいずれか1つに記載の酸化物鋳造体の製造方法。
(8)前記固液共存酸化物を金型に注入する際、注入圧力を付与し、前記固液共存酸化物の表面部分が凝固するまで保持圧力を付与し続けることを特徴とする(1)から(7)のいずれか1つに記載の酸化物鋳造体の製造方法。
(9)前記溶融酸化物は、溶融状態のスラグであることを特徴とする(1)から(8)のいずれか1つに記載の酸化物鋳造体の製造方法。
(10)前記溶融酸化物は、溶融状態の鉄鋼スラグであることを特徴とする(1)から(8)のいずれか1つに記載の酸化物鋳造体の製造方法。
本発明の酸化物鋳造体の製造方法を実施することで、亀裂を発生させることなく溶融酸化物から目的の大きさの酸化物鋳造体を製造できる。
人工石の製造工程を示す図である。 本実施形態に係る酸化物鋳造体の製造方法が適用されるスラグ鋳造体製造装置10の一例を示す断面模式図である。
溶融酸化物を固液共存酸化物とし、注入圧力を付与しながら金型に注入する。そして金型内にて固液共存酸化物の表面部分が凝固するまで保持圧力を付与する。固液共存酸化物の表面部分は凝固しているが内部はまだ凝固していない状態で、保持していた圧力を解除して金型から取り出す。これにより、金型の寿命を延ばすこと、および、製造に使用する金型の数を少なくでき、効率的に酸化物鋳造体を製造できる。
また、金型から取り出された表面部分が凝固した固液共存酸化物を、当該酸化物が凝固した酸化物鋳造体の熱伝導率以下の熱伝導率の部材を用いて保温する。これにより、冷却中の表面部分が凝固した固液共存酸化物における表面と中心部との温度差は小さくなり、酸化物鋳造体の熱歪による熱応力割れの発生を抑制できる。このように、本発明の酸化物鋳造体の製造方法を実施すれば、効率的であって、亀裂を生じさせることなく酸化物鋳造体を製造できることを見出して本発明を完成させた。以下、本発明を、酸化物として鉄鋼製造工程で発生した鉄鋼スラグである製鋼スラグ用いた実施形態を通じて説明する。
まず、本実施形態で用いた製鋼スラグの各状態における名称を定義する。以下の説明において、溶融スラグは、固相率0%の溶融したスラグと定義する。また、固液共存スラグは、固相率0%超100%未満の溶融したスラグと定義し、半凝固スラグは、表面部分は凝固しているが中心部分は溶融スラグまたは固液共存スラグであるスラグと定義し、凝固スラグは、固相率が100%の塊状のスラグ鋳造体と定義する。なお、固相率は、質量基準であって、固相スラグの質量割合を示す。
図2は、本実施形態に係る酸化物鋳造体の製造方法を実施できるスラグ鋳造体製造装置10の一例を示す断面模式図である。スラグ鋳造体製造装置10は、成形装置20と、保温装置40とを備える。
まず、成形装置20について説明する。成形装置20は、スラグ鍋22を傾動させるスラグ鍋傾動アーム24と、2つの酸素を吹き出すノズル26と、ロート28と、ロート28の下方端部を封止するシャッタ30と、射出棒32と、金型34とを備える。スラグ鍋傾動アーム24は、鉄鋼製造工程で発生した製鋼スラグが装入されたスラグ鍋22を左右方向の2点で軸支し、クレーンを用いてスラグ鍋22を傾動させる。スラグ鍋傾動アーム24は、スラグ鍋22の傾動角度を制御して、スラグ鍋22から排出される溶融スラグ50の流量を制御する。なお、製鋼スラグは、酸化物の一例であり、製鋼スラグに代えて、同じく鉄鋼スラグである高炉スラグを用いてもよく、一般廃棄物、下水汚泥、又はこれらの焼却灰を溶融したごみ溶融スラグを用いてもよく、また、シリカといった金属酸化物を用いてもよい。
ノズル26は、スラグ鍋22から排出される溶融スラグ50にガスを吹き付ける。これにより、溶融スラグ50は冷却され固液共存スラグ52にされる。本実施形態において、溶融スラグ50を冷却して、固相率が1〜30%の固液共存スラグ52にしている。また、ノズル26から吹き出すガスの流量は、例えば、実験的にガスの流量を変えて複数種類の固液共存スラグ52を製造し、当該固液共存スラグ52の固相率を測定することによって定める。すなわち、測定した固相率が1〜30%の範囲内の固液共存スラグを製造した場合のガスの流量の範囲内に定めてよい。なお、固液共存スラグ52の固相率は、熱力学平衡計算または固液共存スラグ52の粘度測定により算出できる。
また、溶融スラグ50が製鋼スラグである場合に、溶融スラグ50に吹き付けるガスを酸化性ガスにすることが好ましい。溶融スラグ50に酸化性ガスを吹き付けることによって、溶融スラグ50中のFeOを酸化してFeにすることができ、2CaO・Feを生成させるので、凝固した後の凝固スラグ中のフリーCaOを1質量%以下に低減できる。これにより、凝固スラグの水和膨張を抑制できる。なお、酸化性ガスとしては、酸素、空気または酸素を富化した空気を用いてよい。
溶融スラグ50は、冷却されて固液共存スラグ52となって、ロート28に滴下する。ロート28は、広がった口部でガスの吹き付けにより広がった固液共存スラグ52を受け、固液共存スラグ52をロート28の中央部に案内する。ロート28の下方には、ロート28の排出口を封止するシャッタ30が設けられている。ロート28内の固液共存スラグ52は、シャッタ30が開かれることによって下方に供給され、シャッタ30が閉じられることによって供給が停止される。シャッタ30の開閉は、予め定められた量の固液共存スラグ52が下方に供給されるように、例えば、シャッタ30が開いた時間で制御される。また、供給される固液共存スラグ52の量は、例えば、後述する金型34の内容積と凝固スラグの密度等により予め定める。
射出棒32は、例えば、直径1.0m、長さが5.0mの円柱形状である鋳鋼製の棒である。射出棒32は、金型34に接近する方向に移動することによって、固液共存スラグ52を金型34の方向に移動させて、金型34内に押し出す。金型34は、例えば、内面形状が縦1.6m以下、横1.6m以下および高さ1.6m以下である鋳鋼製の金型である。金型34は、上金型36および下金型38から構成される。図2に示すように、上金型36および下金型38が上下に接合した状態で固液共存スラグ52が押し出される。そして、固液共存スラグ52が半凝固スラグ54になった後、上金型36と下金型38とが例えば、上下に分離する。これによって、金型34から半凝固スラグ54が取り出される。なお、金型34の内部の形状は、目的とする凝固スラグ56の大きさに対応させて、任意の形状に定めてよい。
ロート28の下方に供給された固液共存スラグ52は、射出棒32によって予め定められた注入圧力で押し出されて金型34に注入される。なお、固液共存スラグ52を金型34に注入する注入圧力は、固液共存スラグ52が金型34内に十分に充填される圧力であればよい。固液共存スラグ52が金型34に十分に充填されたか否かは、金型34から取り出された半凝固スラグ54の表面に金型34の内部形状が転写されているか否かで判断してよい。
射出棒32は、金型34に注入された固液共存スラグ52の表面部分が凝固するまで、注入圧力と同じ圧力を保持圧力として固液共存スラグ52に付与する。このように、表面部分が凝固するまで保持圧力を付与することで、半凝固スラグ54を金型34の内壁に押し付けるとともに、その反作用で金型34から凝固界面に圧縮応力が加えられる。これにより、金型34内において、表面部分が凝固する過程で生じる割れを抑制できる。射出棒32は、固液共存スラグ52の表面部分が凝固した後に、固液共存スラグ52を押し出す前の位置に戻る。
固液共存スラグ52は、例えば、表面から10cm程度が凝固した状態、すなわち、表面部分は凝固しているが中心部分まで凝固する前の半凝固スラグ54となった後に金型34から取り出される。固液共存スラグ52を金型34に注入してから金型34から半凝固スラグ54を取り出すまでの時間は、金型34に注入した固液共存スラグ52の量と、注入した固液共存スラグ52の固相率と、に基づいて決定されてよい。本実施形態において、金型34に注入されるスラグは、溶融スラグ50にガスを吹き付けて冷却した固液共存スラグ52である。このため、金型34で冷却する時間は、溶融スラグ50にガスを吹き付けない場合と比較して短くなる。これにより、効率的に溶融スラグ50から凝固スラグ56を製造できる。
また、内部が凝固するまで金型34内で当該スラグを保持すると、金型34の温度が上昇し、金型の強度が低下して変形し、金型の寿命が短くなる。このように、半凝固スラグ54の状態で金型34から取り出すことで、金型34の温度が上昇することを抑制できる。これにより、金型34の寿命は延長する。また、金型34の使用時間も短くできるので、準備する金型34の数も少なくできる。これにより、効率的に溶融スラグ50から凝固スラグ56を製造できる。
次に、保温装置40について説明する。一般的な凝固スラグの600℃における熱伝導率は、1.0W/m・Kより大きく、半凝固スラグ54の表面温度は約600℃となるので、保温装置40は、600℃における熱伝導率が、1.0W/m・K以下であり、耐熱温度が1200℃以上である物質で構成されることが好ましい。
保温装置40は、トンネル42とコンベア44を備えることが好ましい。トンネル42は、例えば、断面が直径2mの半円の筒である。トンネル42の長さは、トンネル42の出口において、凝固スラグ56の表面の温度が400℃以下になるような長さであればよい。
トンネル42は、断熱ボードと断熱ウールとから構成されることが好ましい。本実施形態において、断熱ボードは、例えば、イソライト工業株式会社製のファイバーマックス(登録商標)1800ボードである。ファイバーマックス(登録商標)1800ボードの600℃における熱伝導率は、0.21W/m・Kであり、耐熱温度は1800℃である。また、断熱ウールは、例えば、ニチアス株式会社の生体分解性断熱ウールであるファインフレックス(登録商標)−Eブランケットである。ファインフレックス(登録商標)−Eブランケットの600℃における熱伝導率は0.15W/m・Kであり、耐熱温度は、1260℃である。
コンベア44は、床材46と回転部材48とを有することが好ましい。床材46は、トンネル42と同じ断熱ボードと断熱ウールから構成されることが好ましい。回転部材48は、床材46を右周りに回転させて、床材46の上に載置された半凝固スラグ54をトンネル42の出口方向(図2中右方向)に搬送する。このように、保温装置40には、凝固スラグの熱伝導率以下の物質で構成されたトンネル42および床材46によって囲まれた空間が形成されることが好ましい。
金型34から取り出された半凝固スラグ54は、保温装置40で保温される。半凝固スラグ54は、床材46の上に載置され、トンネル42を通過する。これにより、半凝固スラグ54の保温が実行される。
保温装置40の内部において、半凝固スラグ54は、保温装置40内の温度を上昇させる。保温装置40の内部は、凝固スラグの熱伝導率以下の低熱伝導率の物質で囲まれているので、保温装置40の内部の温度低下は抑制され、保温装置40の内部の温度は、半凝固スラグ54の表面温度に近い温度まで上昇する。保温装置40の内部の温度が半凝固スラグ54の表面温度に近くなると、半凝固スラグ54の表面からの抜熱速度は、半凝固スラグ54内部の伝熱速度よりも遅くなる。これにより、半凝固スラグ54内の温度の均一化が進み、スラグ半凝固スラグ54の中心部分と表面部分との温度差は小さくなる。
冷却時において半凝固スラグ54の表面に発生する亀裂は、半凝固スラグ54の中心部分と表面部分との温度差による熱応力によって発生する。このため、保温装置40内で半凝固スラグ54を保温し、中心部分と表面部分との温度差を小さくすることによって、半凝固スラグ54に亀裂が発生することを抑制することができる。これにより、亀裂のない凝固スラグ56を安定的に製造できる。
また、保温装置40内において、半凝固スラグ54の中心部分の熱は表面側まで伝熱するので、半凝固スラグ54の中心温度は低下し、表面温度は上昇する。この場合において、半凝固スラグ54の表面温度がスラグの固相線温度以下になるように、トンネル42および床材46の材料を定めることが好ましい。ここで、スラグの固相線温度とは、固相スラグから液相が生成し始める温度である。
半凝固スラグ54の表面温度がスラグの固相線温度を超えると、保温装置40内において、半凝固スラグ54の表面は変形する。半凝固スラグ54の表面が変形すると、当然、凝固スラグ56の表面も変形する。表面が変形した凝固スラグ56の価値は、著しく低下する。このため、トンネル42および床材46の材料の熱伝導率を高めることで半凝固スラグ54の表面から抜熱させ、半凝固スラグ54の表面温度をスラグの固相線温度以下にすることが好ましい。なお、保温装置40内における半凝固スラグ54の表面温度がスラグの固相線温度以下になるように、金型34内で固液共存スラグ52を冷却する時間を長くしてもよい。
保温装置40内において、半凝固スラグ54は、中心部分と表面部分との温度差を小さくされた上で、さらに冷却されて凝固スラグ56になる。このように、本実施形態に係るスラグ鋳造体の製造方法を実施することで、亀裂を発生させることなく効率的に溶融スラグ50から目的の大きさの凝固スラグ56を製造できる。
なお、本実施形態において、固液共存スラグ52の固相率が10〜30%になるように、溶融スラグ50にガスを吹き付ける例を示した。しかしながら、上記固相率の範囲は、あくまで好ましい範囲であって、この範囲に限られない。凝固に伴うスラグの収縮量は、溶融スラグから凝固させた場合と比較して、固相率の高い状態から凝固させる方が小さくなる。固相率を10%以上とすることで、凝固に伴うスラグの収縮量を小さくでき、この結果、凝固スラグの中心部分に生じる凝固収縮孔の生成を抑制できる。また、固液共存スラグ52の固相率を30%以下にすることで、固液共存スラグ52の粘度が高くなりすぎることを抑制できる。これにより、固液共存スラグ52を、射出棒32を用いて金型34に円滑に注入でき、半凝固スラグ54を成形できる。
また、本実施形態において、2つのノズル26から溶融スラグ50にガスを吹き付けて、溶融スラグ50を凝固共存スラグ52にする例を示した。しかしながら、溶融スラグ50を均一に冷却できれば、ノズル26の数は、1つであってもよく、3つ以上であってもよい。また、ノズル26で冷却することに代えて、内部に撹拌手段を設けた冷却鍋を用いて溶融スラグ50を均一に冷却させ、固液共存スラグ52としてもよい。
また、本実施形態において、保持圧力と注入圧力とを同じ圧力とした例を示したが、これに限られない。固液共存スラグ52の表面部分が凝固するまで付与し続ける保持圧力は、注入圧力よりも高くてもよく、また、低くてもよい。なお、固液共存スラグ52の表面部分が凝固した後においても保持圧力を付与し続けると当該保持圧力によって表面形状が複雑になるおそれがある。そのため、表面部分の凝固とともに保持圧力を低くしてもよい。
図2に示したスラグ鋳造体製造装置10を用いて、製造条件を変えながら、一辺の寸法が1.6mの立方体形状であって、1個の質量が10000kgの凝固スラグ56を製造した実施例および比較例を説明する。表1は、実施例および比較例における製造条件および、当該製造条件で製造された凝固スラグの状態を示す。
表1において、「原料」の列に記載された「予備処理スラグ」、「ごみ溶融スラグ」および「シリカ」は、溶融酸化物として用いた酸化物の種類を示す。「予備処理スラグ」、「ごみ溶融スラグ」および「シリカ」の成分を下記表2に示す。
また、「成形方法」の列に記載された「注入」は、射出棒32を用いて固液共存スラグに注入圧力を付与して固液共存スラグを金型34に注入して成形したことを示す。また、「流し込み」は、射出棒32を用いることなく、注入圧力を付与せずに金型34に固液共存スラグを流し込んで成形したことを示す。
また、「圧力」の列における「有」は、固液共存スラグの表面部分が凝固するまで、金型34に固液共存スラグを押し出した注入圧力を保持圧力として付与したことを示す。また、「無」は、当該圧力を付与しなかったことを示す。
また、「固相率」の列における数値は、固液共存スラグの固相率(%)を示す。また、「脱型タイミング」の列における数値は、固液共存スラグを金型34に注入してから、金型34から取り出すまでの時間(min)を示す。なお、「脱型タイミング」の列における記号「−」は、金型34から取り出さず、金型34内で冷却して凝固スラグを製造したことを示す。
また、「保温」の列における「有」は、半凝固スラグを、保温装置40を用いて保温したことを示す。また、「無」は、半凝固スラグを保温しなかったことを示す。
また、「凝固収縮孔」の列における「有」は、凝固スラグの中心部分に凝固収縮孔が生成したことを示す。また、「無」は、凝固収縮孔が生成しなかったことを示す。「亀裂」の列に記載された「有」は、凝固スラグに亀裂が生じたことを示す。また、「無」は、凝固スラグに亀裂が生じなかったことを示す。「表面状態」の列に記載された「○」は、凝固スラグの表面に金型34の内部形状が転写されて、平滑な形状に成形されたことを示す。また、「△」は、凝固スラグの表面に金型34の内部形状が転写されず、複雑な形状になったことを示す。
実施例1〜5に示した酸化物鋳造体の製造方法で製造した凝固スラグには凝固収縮孔および亀裂はなく、凝固スラグの表面は、金型34の内部形状が転写されて平滑な形状になっていた。また、実施例6に示した製造方法で製造した凝固スラグには、亀裂の発生はなく、凝固スラグの表面は、金型34の内部形状が転写されて平滑な形状になっていたが、中心部分に凝固収縮孔が確認された。これは、固液共存スラグの固相率が5%と低く凝固による収縮量を小さくできなかったので、中心部分に凝固収縮孔が生成したと考えられる。また、実施例1〜6における凝固スラグの表面が、金型34の内部形状が転写されて平滑な形状になっていたことから、保温装置40内における半凝固スラグ54の表面温度は、スラグの固相線温度以下になっていたと考えられる。
実施例7に示した酸化物鋳造体の製造方法で製造した凝固スラグには亀裂はなく、凝固収縮孔も発生しなかったが、凝固スラグの表面は、金型34の内部形状が転写されず、複雑な形状になった。固相率が30%の固液共存スラグは粘度が高いので、注入圧力を付与せずに流し込むだけでは凝固スラグに金型34の内部形状が転写されず、表面形状が複雑になったと考えられる。
実施例8、9に示した酸化物鋳造体の製造方法で製造した凝固スラグ及び実施例10に示した酸化物鋳造体の製造方法で製造した凝固酸化物には亀裂はなく、表面は金型34の内部形状が転写されて平滑な形状になっていたが、中心部分に凝固収縮孔が確認された。これは、固液共存スラグの固相率が1%と低く凝固による収縮量を小さくできなかったので、中心部分に凝固収縮孔が生成したと考えられる。
比較例1に示した酸化物鋳造体の製造方法で製造した凝固スラグには凝固収縮孔はなく、凝固スラグの表面は、金型34の内部形状が転写されて平滑な形状になっていた。しかしながら、凝固スラグには亀裂が生じ、ぼろぼろに崩れてしまう状態であった。比較例1に示した製造方法は、金型34内で固液共存スラグを冷却して、凝固スラグを製造している。このため、半凝固スラグの表面部分と中心部分との温度差を小さくできず、中心部分と表面部分との温度差による熱応力によって凝固スラグの表面に亀裂が生じたと考えられる。
比較例2に示したスラグ鋳造体の製造方法で製造した凝固スラグの中心部分には凝固収縮孔はなかった。しかしながら、凝固スラグの表面は、金型34の内部形状が転写されず、また、凝固スラグには亀裂が生じ、ぼろぼろに崩れてしまう状態であった。固相率が30%の固液共存スラグは粘度が高いので、注入圧力を付与せずに流し込むだけでは凝固スラグに金型の内部形状が転写されず、表面形状が複雑になり、さらに、半凝固スラグの表面部分と中心部分との温度差を小さくできず、中心部分と表面部分との温度差による熱応力によって凝固スラグの表面に亀裂が生じたと考えられる。
比較例3に示した酸化物鋳造体の製造方法で製造した凝固スラグの表面は、金型34の内部形状が転写されていた。しかしながら、凝固スラグの中心部分には凝固収縮孔が確認され、また、表面には亀裂が生じ、ぼろぼろに崩れてしまう状態であった。固液共存スラグの固相率が5%と低く凝固による収縮量を小さくできず、中心部分に凝固収縮孔が生成し、さらに、半凝固スラグの表面部分と中心部分との温度差を小さくできず、中心部分と表面部分との温度差による熱応力によって凝固スラグの表面に亀裂が生じたと考えられる。
比較例4、5に示した酸化物鋳造体の製造方法で製造した凝固スラグ及び比較例6に示した酸化物鋳造体の製造方法で製造した凝固酸化物の表面は、金型34の内部形状が転写されていた。しかしながら、中心部分には凝固収縮孔が確認され、また、表面には亀裂が生じ、ぼろぼろに崩れてしまう状態であった。この場合も、固液共存スラグの固相率が1%と低く凝固による収縮量を小さくできず、中心部分に凝固収縮孔が生成し、さらに、表面部分と中心部分との温度差を小さくできず、中心部分と表面部分との温度差による熱応力によって亀裂が生じたと考えられる。
これら本発明の実施例および比較例の結果から、本発明の酸化物鋳造体の製造方法を実施して製造した凝固酸化物においては、凝固酸化物に亀裂が生じてぼろぼろに崩れることはなかった。このように、本発明の酸化物鋳造体の製造方法を実施することで、亀裂を発生させることなく、溶融酸化物から効率的に目的の大きさの酸化物鋳造体を製造できることが確認できた。
10: スラグ鋳造体製造装置
20: 成形装置
22: スラグ鍋
24: スラグ鍋傾動アーム
26: ノズル
28: ロート
30: シャッタ
32: 射出棒
34: 金型
36: 上金型
38: 下金型
40: 保温装置
42: トンネル
44: コンベア
46: 床材
48: 回転部材
50: 溶融スラグ
52: 固液共存スラグ
54: 半凝固スラグ
56: 凝固スラグ

Claims (9)

  1. 融酸化物を固液共存酸化物にし、前記固液共存酸化物を金型に注入した後、前記固液共存酸化物の表面部分は凝固しているが中心部分まで凝固する前に前記金型から取り出し、保温して酸化物鋳造体を製造する酸化物鋳造体の製造方法であって、
    前記金型から取り出した前記固液共存酸化物の表面温度は、固相線温度以下であることを特徴とする酸化物鋳造体の製造方法。
  2. 前記固液共存酸化物は、固相率が1〜30%の範囲内の酸化物であることを特徴とする請求項1に記載の酸化物鋳造体の製造方法。
  3. 前記固液共存酸化物を前記金型に注入してから前記金型から取り出すまでの時間は、前記金型に注入した前記固液共存酸化物の量と、注入した前記固液共存酸化物の固相率とに基づいて決定されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の酸化物鋳造体の製造方法。
  4. 前記保温は、前記金型から取り出した前記固液共存酸化物を、前記酸化物鋳造体の熱伝導率以下の物質で構成されるトンネル内を通過させることで実行されることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の酸化物鋳造体の製造方法。
  5. 前記物質は、600℃における熱伝導率が1.0W/m・K以下であって、耐熱温度が1200℃以上であることを特徴とする請求項4に記載の酸化物鋳造体の製造方法。
  6. 前記金型から取り出した前記固液共存酸化物の寸法は、1辺1.6m以下であることを特徴とする請求項1から請求項のいずれか1項に記載の酸化物鋳造体の製造方法。
  7. 前記固液共存酸化物を金型に注入する際、注入圧力を付与し、前記固液共存酸化物の表面部分が凝固するまで保持圧力を付与し続けることを特徴とする請求項1から請求項のいずれか1項に記載の酸化物鋳造体の製造方法。
  8. 前記溶融酸化物は、溶融状態のスラグであることを特徴とする請求項1から請求項のいずれか1項に記載の酸化物鋳造体の製造方法。
  9. 前記溶融酸化物は、溶融状態の鉄鋼スラグであることを特徴とする請求項1から請求項のいずれか1項に記載の酸化物鋳造体の製造方法。
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