JP4888796B2 - 鋳造法 - Google Patents

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Description

本発明は通気性鋳型の鋳型上部又は側部から重力注湯する鋳造法において、高い注入歩留りと高い生産性を両立させる技術に関するものである。
通気性鋳型としては砂粒子を用いて造型された鋳型が最も一般的であるが、その他に、セラミックス粒子や金属粒子を用いて造型された鋳型も広く使われている。また、石膏などのほとんど通気性のない鋳型でも、通気性材料を混在させたり、部分的に用いて通気性を付与したものは通気性鋳型とみなせる。また、全く通気性のない金型の場合でも、通気穴やベントホールを設けて通気性を付与したものは通気性鋳型とみなせる。本発明における通気性鋳型とは前記したこれらの通気性鋳型を含むものである。
一般に鋳造においては、鋳型キャビティーは湯口部、湯道部、押湯部及び製品部から構成されている。また、必要に応じて、不要な溶湯を製品部から排出するための吐かせ部などを設けることもあるが、ここでは説明を簡単にするために、基本要素である湯口部、湯道部、押湯部及び製品部から構成されているとする。
一般鋳造法及び特殊な鋳造法である減圧鋳造法などいずれの鋳造法においても、注湯はこれらの4つのキャビティー部分を充填して完了する。そして凝固完了後、これら4つの部分のうち必要な製品部のみを分離して取り出し、仕上げを行って最終の鋳物製品を得る。
つまり、製品部を除く湯口部、湯道部及び押湯部は最終的には不要な部分として製品部から分離され、再びリターン材として再溶解に供されるのである。この不要な部分のうち押湯部は製品部の健全性を補償するために凝固過程で必要なものであるが、湯道部と湯口部は注湯中にキャビティーの充填のためにのみ必要なものである。
また、鋳鉄鋳物などでは凝固過程で黒鉛が晶出して体積膨張が生じるため、溶湯の収縮分の一部を補償するので、ある条件下では押湯なしでも健全性の高い鋳物を鋳造できることがわかっている。この場合には押湯部も不要で、製品部のみに溶湯を充填すればよいことになる。
以上のように従来のいずれの鋳造法においても、本来目的とする製品部を得るために、最終的には不必要な湯口部、湯道部及び押湯部にも溶湯を充填するという注湯過程をとっている。これは極めて不合理なことである。これに対して何らかの方法によって、製品部のみ又は製品部と押湯部などの必要な所望のキャビティー部分のみに溶湯を充填して凝固させることができれば、製品部重量/総注入重量で表示される注入歩留りが大幅に向上することはもとより、解枠、製品分離などの後工程も大幅に簡略化することが可能となる。
そこで先行技術について調査を行ったが、通気性鋳型の鋳型上部又は側部から重力注湯する鋳造法において、鋳型キャビティーのうちの一部である所望のキャビティー部分のみに溶湯を充填する鋳造法を開示した文献は、本発明者らによる特許第4076568号及び特許第4150764号のみである。
特許第4076568号では、鋳型を減圧して所望のキャビティー部分のみに溶湯を充填し、その減圧を保持した状態で凝固させることを特徴とする鋳造法が開示されている。また、特許第4150764号では、湯口部から圧縮ガスを送気して溶湯を所望のキャビティー部分に充填して凝固させることを特徴とする鋳造法が開示されている。
これらの方法で鋳型キャビティーのうちの一部である所望のキャビティー部分のみに溶湯を充填することは可能であるが、充填された溶湯の少なくとも一部が凝固して流動を停止するまで減圧を保持する又は圧縮ガスを送気して加圧を保持する必要があった。そのため、溶湯材質、製品形状、キャビティー形状などによっては、溶湯の充填工程完了までの所要時間が長いという生産性上の問題点があった。特に鋳造品の主流である鉄系鋳物におけるように溶湯温度が高い場合にはこれが大きな問題であった。
なお、溶湯の充填工程完了までの所要時間とは、注湯された溶湯を所望のキャビティー部分へ充填する工程を開始してから、充填された溶湯が流動を停止して、その他のキャビティー部分へ逆流しなくなるまでの時間とする。また、その他のキャビティー部分とは、所望のキャビティー部分以外のキャビティー部分を示すものとする。
また、特許第4150764号では、この溶湯の充填工程完了までの所要時間を短縮するためいくつかの手段が開示されている。いずれも所望のキャビティー部分に充填された溶湯の最後部付近にたいして、通気穴から冷却して溶湯の流動を止める、シェルモールドの鋳型片を圧縮ガスで押して溶湯の流動を止める、シェルモールドの遮断片を浮上させて逆流を止める、遮断板を鋳型に貫入させて溶湯の流動を止める、などである。
しかしながら、前の2つの手段では、ある程度の時間短縮の効果はあるが、それでも鉄系鋳物で通常2分以上の保持時間が必要であった。後の2つの手段では、時間短縮の効果は大きいが、複数個込めの製品キャビティーにたいし湯道が複数に分かれている場合には、これらの手段を複数個所に適用する必要がありその工数が多大であった。
以上をまとめると、先行技術では、(1)溶湯の充填工程完了までの所要時間が長い、又は(2)複数個込めキャビティーの場合の対応に多大の工数がかかる、という2つの課題があった。したがって、先行技術を近年の例えば1枠30秒以下のような高速鋳造ラインへ適用する場合には、1枠あたりのタクトを落さざるをえなかった。つまり、所望のキャビティー部分のみに溶湯を充填して高い注入歩留りを得ることはできても、一方で鋳造スピードを下げて生産性を低下せざるをえないという矛盾があった。
特許第4076568号 特許第4150764号
本発明は以上の先行技術の問題点に鑑み、鋳型キャビティーのうちの一部である所望のキャビティー部分のみに溶湯を充填する鋳造法において、溶湯の充填工程完了までの所要時間を大幅に短縮するとともに、複数個込めのキャビティーにたいしても生産性を落すことなく適用できる新規な鋳造技術を確立しようとするものである。これによって、高い注入歩留りを有し、かつ高速鋳造ラインに適用可能な鋳造法を得ることを目的とする。
(手段1)
金属溶湯を通気性鋳型に重力注湯する鋳造法であって、該通気性鋳型の全キャビティーのうちの一部である溶湯を充填させたい所望のキャビティー部分の体積とほぼ等しい体積の溶湯を注湯開始後、溶湯が所望のキャビティー部分に充填される前に、湯口部から添加材をキャビティー内へ送り込み、注湯された溶湯を前記所望のキャビティー部分に充填するとともに、前記添加材をその他のキャビティー部分の少なくとも一部に充填するようにした。
まず本発明において、所望のキャビティー部分の体積とほぼ等しい体積の溶湯とは、溶湯の計量精度及び鋳型の膨張や型張りなどを考慮した上で決めることを意味する。通常は安全をみて、所望のキャビティー部分の体積より少し大きい体積の溶湯を注湯することが望ましい。このときには、余分の溶湯はその他のキャビティー部分の一部にも充填される。また、溶湯を所望のキャビティー部分に充填するとは、注湯された溶湯で所望のキャビティー部分を満たすことを意味する。
前述の先行技術では、減圧又は加圧によって溶湯が所望のキャビティー部分へ充填されたとき、その他のキャビティー部分は空洞の状態であった。そのため、充填された溶湯の凝固が進行し流動が停止するまで減圧又は加圧を保持する必要があった。したがって、溶湯の充填工程完了までの所要時間が長かった。
これにたいし本手段では、溶湯が所望のキャビティー部分へ充填されたとき、その他のキャビティー部分の一部には添加材が充填されている。これが先行技術と本発明の大きな相違である。所望のキャビティー部分へ充填された溶湯の流動(その他のキャビティー部分への逆流)は、その他のキャビティー部分に充填された添加材の拘束力によって、添加材の充填完了とほぼ同時又は極めて短時間後に止められる。この結果、溶湯の充填工程完了までの所要時間を大幅に短縮することができる。
添加材としては、その他のキャビティー部分に流動的に分散して充填されうる特性を有するものを用いる。したがって、複数個込めキャビティーにたいしても、添加材は複数の湯道に分散充填されて各キャビティー部分の溶湯の流動を止めることができる。なお、ここでいう添加材とは、所望のキャビティー部分に充填された溶湯の流動を短時間で止める目的のため、その他のキャビティー部分に充填する充填物とするものであって、溶湯の材質特性などを変化させるためのものではない。本手段の詳細は手段2及び手段3で説明する。
(手段2)
手段1記載の鋳造法において、添加材のキャビティー内への送り込みが、湯口部から圧縮ガスと添加材をキャビティー内へ吹込むことによって行われるようにした。
本手段について詳細に説明する。全鋳型キャビティーのうちの一部である溶湯を充填させたい所望のキャビティー部分の体積とほぼ等しい体積の溶湯を注湯開始後、溶湯が所望のキャビティー部分に充填される前に、湯口部から圧縮ガスと添加材を同時又は前後してキャビティー内に吹込むことによって、注湯された溶湯を前記所望のキャビティー部分に充填するとともに、添加材をその他のキャビティー部分の少なくとも一部に充填するようにした。
さらに具体的に説明する。鋳型のキャビティーは湯口部、湯道部、押湯部及び製品部で構成されているとする。そして、一例として溶湯を充填させたい所望のキャビティー部分は製品部と押湯部であるとする。
注湯開始後、湯口部から圧縮ガスと添加材を同時又は前後して吹込むことによって、注湯された溶湯を所望のキャビティー部分に充填する。溶湯の体積は所望のキャビティー部分である製品部と押湯部とほぼ等しい体積であるので、これによって溶湯は所望のキャビティー部分である製品部と押湯部に充填される。
それとともに添加材をその他のキャビティー部分、すなわちこの場合は湯口部と湯道部の少なくとも一部に充填する。この添加材の充填による拘束力によって所望のキャビティー部分に充填された溶湯の流動は止められるので、圧縮ガスと添加材のキャビティー内への吹込みを添加材の充填完了とほぼ同時又は極めて短時間後に止めることができる。すなわち、溶湯の充填工程完了までの所要時間を大幅に短縮することができる。なお、添加材の充填による拘束力については後段に詳細に説明する。
注湯開始後とは、注湯された最後の溶湯が湯口部を通過後又は通過中に、湯口部から圧縮ガスと添加材をキャビティー内に吹込むことが可能になった適宜の時期を意味している。つまり、必ずしも注湯された溶湯がキャビティー内で停止するのを待つ必要はない。適宜の時期とは、遅くなれば溶湯の流動性が低下して充填不良をまねく可能性が高まるので、一般的には速やかに圧縮ガスと添加材のキャビティー内への吹込みを開始する方がよい。これは、溶湯の材質、注湯温度、製品形状、キャビティー形状などを考慮して決める。
圧縮ガスと添加材の吹込みは、同時に吹込んでもよいし、圧縮ガスを先に吹込みその後添加材を吹込んでもよいし、また添加材を先に吹込んでその後圧縮ガスを吹込んでもよい。いずれの場合も圧縮ガスは鋳型の通気性によって鋳型外へ排出され、添加材はその他のキャビティー部分に充填される。
同時に吹込む場合には、溶湯は圧縮ガスの圧力と添加材の圧力(これは圧縮ガスの圧力で付与されたものである)によって所望のキャビティー部分に充填されるとともに、添加材はその他のキャビティー部分に充填される。この場合には、添加材が最初から溶湯に接することになるので、溶湯への巻込みによる異物噛み不良などに注意する。
圧縮ガスを先に吹込み、その後添加材を吹込む場合には、溶湯はまず圧縮ガスの圧力によって所望のキャビティー部分に充填され、その後、添加材が圧縮ガスによってその他のキャビティー部分に充填される。
添加材を先に吹込み、その後圧縮がスを吹込む場合には、添加材はまず湯口部の溶湯に接する程度に軽く吹込まれ(重力落下程度でもよい)、その後、添加材は圧縮ガスの圧力で溶湯を押込む作用をしながらキャビティー内に充填される。この場合も、溶湯は所望のキャビティー部分に充填され、添加材はその他のキャビティー部分に充填される。この場合にも、添加材が最初から溶湯に接することになるので、溶湯への巻込みによる異物噛み不良などに注意する。
本手段のいずれの吹込み方法においても、圧縮ガスによって湯口部から吹込まれた添加材は、所望のキャビティー部分に充填された溶湯の最後部(湯口部に近い側)に接するところから逐次その他のキャビティー部分に充填される。なお、添加材の吹込みは、溶湯を充填するための圧縮ガスとは別の圧縮ガス源を用いて行っても作用効果は同じである。
圧縮ガスの加圧圧力は、溶湯を所望のキャビティー部分に充填するのに十分な圧力が必要である。理論的には、溶湯の比重量がγであるとき、所望のキャビティー部分への溶湯の流入口から所望のキャビティー部分の最上部までの高さHによって決まる溶湯静圧γHの値以上が必要である。この溶湯静圧γHは、所望のキャビティー部分に充填された溶湯がその他のキャビティー部分に流出しようとする流体力学的な溶湯静圧である。
したがって、圧縮ガスの加圧圧力をこれ以上にすれば溶湯を所望のキャビティー部分に充填することができる。ここで、圧縮ガスの加圧圧力は、供給される圧縮ガス自体の元の圧力を意味するのではなく、鋳型キャビティーから鋳型外面への圧縮ガスの漏れを考慮した上で、溶湯を所望のキャビティー部分に充填するために溶湯に作用させる実効圧力を意味している。
圧縮ガスとしては、一般的には圧縮空気が簡便安価である。また、圧縮した不活性の窒素ガスなども溶湯の酸化を防止する意味で有効である。
添加材をその他のキャビティー部分に充填する場合、添加材を必ずしもその他のキャビティー部分の全てに充填する必要はなく、所望のキャビティー部分に充填された溶湯を流動させない拘束力を発生する程度の体積をその他のキャビティー部分の一部に充填すればよい。すなわち、添加材をその他のキャビティー部分の少なくとも一部に充填する。
なお、添加材を圧縮ガスによってキャビティー内に吹込む際に、添加材及び圧縮ガスの一部が所望のキャビティー部分に充填された溶湯に混入することが心配される場合には、注湯する溶湯の体積を所望のキャビティー部分の体積よりも少し大きめにすることで対処することができる。このことは以下に示す手段においても同様である。
圧縮ガスの作用効果は次の3つである。1つは溶湯を所望のキャビティー部分へ充填することであり、2つ目は添加材をその他のキャビティー部分へ充填することである。3つ目は、圧縮ガスが鋳型を通して鋳型外へ排出されることで溶湯が冷却されて凝固が促進され、その結果、充填された溶湯の流動を速やかに止める作用をすることである。
その他のキャビティー部分へ充填された添加材の作用は次の通りである。その他のキャビティー部分に充填された添加材同士の摩擦力、及び添加材と鋳型キャビティー内面の間の摩擦力によって溶湯の流動を止める拘束力が働く。これが手段1で述べた拘束力である。
一方、所望のキャビティー部分に充填された溶湯には、その溶湯静圧によって充填されたキャビティー部分からその他のキャビティー部分へ流出しようとする流動力が働く。このとき、溶湯の流動力より添加材による拘束力が大きくなるように適宜の体積の添加材を充填すれば、充填された溶湯の流動を止めることができる。この作用によって、添加材がその他のキャビティー部分に充填されると、添加材の充填完了とほぼ同時又は極めて短時間後に圧縮ガスの送気を止めることができる。
この結果、溶湯の充填工程完了までの所要時間を大幅に短縮することができる。溶湯の凝固はこの状態で進行するので、圧縮ガスと添加材を吹込む装置は次の注湯枠の吹込み作業に移動することができる。これが圧縮ガスと添加材を吹込む大きな効果である。また、添加材を吹込むことは複数個込めキャビティーにたいしても対応することができる。
本例では溶湯を充填したい所望のキャビティー部分として製品部と押湯部としたが、これは任意に選択して決めることができる。例えば、所望のキャビティー部分として、製品部のみの場合、製品部と押湯部及び湯道部の一部の場合、製品部、押湯部、湯道部及び湯口部の一部の場合などを適宜に選ぶことができる。また、添加材の充填は前記各場合について、押湯部の少なくとも一部、押湯部と湯道部の少なくとも一部、押湯部、湯道部及び湯口部の少なくとも一部など、溶湯を充填したい所望のキャビティー部分に応じてこれも適宜選ぶことができる。本手段の詳細は実施例1乃至3に示す。
(手段3)
手段1記載の鋳造法において、添加材のキャビティー内への送り込みが、湯口部から添加材を加圧部材によってキャビティー内へ押込むことによって行われるようにした。
本手段では、全鋳型キャビティーのうちの一部である溶湯を充填させたい所望のキャビティー部分の体積とほぼ等しい体積の溶湯を注湯開始後、溶湯が所望のキャビティー部分に充填される前に、湯口部に添加材を供給して加圧部材によってキャビティー内に押込むことで、注湯された溶湯を所望のキャビティー部分に充填するとともに、添加材をその他のキャビティー部分に充填するようにした。
ここで加圧部材とは、添加材と直接又は間接に接触しながら機械的加圧力で駆動される部材を意味する。間接に接触しながらとは、加圧部材と添加材の間に何らかの中間部材を用いることを意味する。加圧力を付与する駆動源ならびに加圧部材の材質及び形状は、添加材をキャビティー内へ押込む作用をなしうるものであればいずれも適用できる。例えば、空圧又は油圧のシリンダーのロッド、あるいは歯車やねじで駆動されたロッドなどが簡便である。
このとき添加材はその他のキャビティー部分に充填されて、手段2の添加材と同じように所望のキャビティー部分に充填された溶湯の流動を止める作用をもたらす。このことによって充填工程完了までの所要時間を大幅に短縮することができる。なお、添加材の湯口部への最初の供給は必ずしも湯口部全体を満たす必要はなく、充填された溶湯の流動を止めうる程度の体積でよい。
本手段では、手段2のように添加材を圧縮ガスで吹込みを行う必要はなく、添加材を湯口部に供給後、加圧部材で押込むことで実施できるので装置を簡略化することができる。また、押込みは吹込みに比べ添加材をゆっくりキャビティー内へ送り込むので、添加材が溶湯に巻込まれる危険性が低いという効果がある。なお、本手段も複数個込めキャビティーにたいしても対応することができる。本手段の詳細は実施例4及び5に示す。
(手段4)
手段1乃至3記載の鋳造法において、添加材として耐火性粒状物を用いるようにした。
本手段における耐火性粒状物は、溶湯の温度によって融解、燃焼、消失しない耐火材質であって、粒状又は小片状で吹込み又は押込みによって流動性が付与されるものであれば形状は問わずいずれでも適用できる。砂鋳型の場合は、鋳型と同じ砂が最も簡便、安価である。その他の鋳型の場合は、鋳型と同じ材料が簡便である。耐火性粒状物の作用は、手段2において説明した添加材の作用と同じである。本手段の詳細は実施例1、2、4に示す。
(手段5)
手段1乃至3記載の鋳造法において、添加材として溶湯と同一材種の固体金属を用いるようにした。
本手段では、溶湯と同一材種の固体金属を湯口部から吹込む又は押込むことで2つの作用効果を目的とした。1つは固体金属が湯口部付近の溶湯に融解して生じる融解潜熱によってその部分の溶湯の冷却を促進することである。2つ目は未融解の固体金属がその他のキャビティー部分に充填されて生じる摩擦力による拘束力を利用することである。
湯口部付近の溶湯の冷却を促進する目的は、溶湯が圧縮ガスによる吹込み又は加圧部材による押込みよって所望のキャビティー部分に充填されたとき、湯口部付近の溶湯が充填された溶湯の最後部となるので、これを冷却してできるだけ早く凝固を進行させて溶湯の流動を止めるためである。
送り込まれた固体金属は一部が溶湯に融解する。未融解の固体金属はその他のキャビティー部分に充填され、その作用は手段4の耐火性粒状物と同じである。この場合も、その他のキャビティー部分の全てを充填する必要はなく、少なくともその一部に充填すればよい。
なお、稀に注湯量と固体金属の体積比や方案条件などによって、固体金属が全部溶解することや、ほとんど全部未融解となることがある。しかし、前者では溶湯の冷却効果が大きくなり、後者では摩擦力による拘束力が大きくなることで、いずれの場合も一部溶解と同程度に速やかに、充填された溶湯の流動を止める作用が生じる。
固体金属は吹込み又は押込みに適した形状、大きさとするが、小片状、球状、粒状物などの吹込み又は押込みによって流動性が付与されうるものを用いる。これによって、複数個込めキャビティーにたいしても対応が可能となる。またその材種は、融解しても、あるいは未融解で残留しても問題が発生しないよう溶湯と同一の材種とする。なお、同一材種とは、例えば、鋳鉄と鋼など混入しても支障のない材種を意味している。未融解固体金属は磁選又は分粒などによって鋳型材から分離される。
以上のように本手段では、湯口付近の溶湯の冷却作用と、未融解の固体金属の摩擦力による拘束力の作用の2つの作用によって、手段4と同様に溶湯の充填工程完了までの所要時間を大幅に短縮することができる。本手段の詳細は実施例3及び5に示す。
(手段6)
手段4記載の鋳造法において、耐火性粒状物として湯口部又はその近傍の鋳型を削ることによって得られる鋳型材粒子を用いるようにした。
本手段では、手段4で用いた耐火性粒状物として、湯口部又はその近傍の鋳型材を鋳型削り具などによって削ることで得られる鋳型材粒子を用いるようにした。
手段4では、吹込む又は押込むべき耐火性粒状物を鋳型材とは別に供給したが、本手段では湯口部又はその近傍の鋳型を削って得られる鋳型材粒子を耐火性粒状物として供給することが可能になった。これによって、耐火性粒状物の供給のための付帯装置及び作業が大幅に簡略化された。また、耐火性粒状物と鋳型材との性状の差異によって生じる問題もなくなった。
鋳型を削る位置は、湯口部又はその近傍の鋳型としたが、通常は湯口カップ部又はその近傍の鋳型上面などが簡便で適している。手段5の詳細は実施例6に示す。
(手段7)
手段1乃至6記載の鋳造法において、湯口部から添加材をキャビティー内へ送り込む前に、湯口部付近の溶湯を予備冷却するようにした。
本手段では、溶湯を注湯開始後、添加材を送り込む前に、湯口部付近の溶湯を適宜の温度に予備冷却したのち、手段1乃至6によって溶湯を所望のキャビティー部分へ充填し、添加材をその他のキャビティー部分に充填する。予備冷却の方法としては、できるだけ溶湯全体を冷却せず、湯口部付近の溶湯のみを局部的に冷却するようにする。例えば、湯口部への圧縮ガスの吹込み、圧縮ガスの溶湯内への吹込み、攪拌部材による溶湯攪拌、溶湯と同一材種の固体金属の添加融解などが有効である。
この湯口部付近の溶湯の予備冷却は2つの作用効果がある。1つは湯口部付近の溶湯が所望のキャビティー部分の最後尾となるので、溶湯充填後の溶湯の流動停止が促進されることである。2つ目は予備冷却によって溶湯の粘性が増し、添加材の溶湯への混入が防止されることである。これによって、溶湯の充填完了までの所要時間をさらに短縮することができ、かつ異物噛み不良などの危険度を低減することができる。但し、本手段による予備冷却は、溶湯の酸化や流動性の低下などの問題が生じない材種に適用するようにする。本手段の詳細は実施例7その1乃至その4に示す。
引用文献に示した2つの先行技術の鋳造法に比べ、本発明では次のような効果が得られた。すなわち、従来の鋳造法では、所望のキャビティー部分へ充填された溶湯がそのキャビティー部分から流出しなくなるまで減圧又は加圧を保持する必要があり、溶湯材質、製品形状、キャビティー形状などによっては溶湯の充填工程完了までの所要時間が長かった。また、この所要時間を短縮するいくつかの手段は、複数個込めキャビティーに対して多大の工数を必要とするものであった。そのため、高速鋳造ラインへの適用が難しかった。
本発明では、手段1乃至7によって、所望のキャビティー部分に溶湯を充填するとともに、添加材をその他のキャビティー部分に充填するようにしたので、所望キャビティーに充填された溶湯の流動を極めて短時間で止めることができるようになった。この作用効果によって溶湯の充填工程完了までの所要時間が大幅に短縮された。また、いずれの手段も複数個込めキャビティーにたいしても鋳造スピードを低下させることなく適用できるものである。この結果、高い注入歩留りで、かつ高速鋳造ラインに適用できる鋳造法を得ることができた。
最良の形態として、通気性鋳型でもっとも一般的な砂型の場合について説明する。全キャビティーのうちの一部である溶湯を充填させたい所望のキャビティー部分の体積とほぼ等しい体積の溶湯を注湯開始後、注湯された溶湯が所望のキャビティー部分に充填される前に、湯口部から圧縮空気と鋳型砂をキャビティー内に吹込むことによって、注湯された溶湯を所望のキャビティー部分に充填するとともに、鋳型砂をその他のキャビティー部分の少なくとも一部に充填する鋳造法である。
以下実施例により本発明を詳細に説明するが、これら実施例により本発明が限定されるものではない。
図1、図2、図3に実施例1を示す。本実施例では手段1、2、4を用いて平込めの砂鋳型の場合について、圧縮ガスとして圧縮空気を、耐火性粒状物として鋳型砂と同じ砂を使用した例を示す。
図1において、鋳型は上鋳型1と下鋳型2によって構成され型合わせされて定盤3の上に置かれている。鋳型キャビティー4は、湯口部5、湯道部6、押湯部7、製品部8から構成されている。本実施例では鋳型キャビティー4のうち、溶湯を充填したい所望のキャビティー部分9は押湯部7と製品部8とする。その他のキャビティー部分10は湯口部5と湯道部6とする。
図1は、注湯取鍋11によって溶湯を充填したい所望のキャビティー部分9である押湯部7と製品部8にほぼ等しい体積の溶湯を注湯した状態である。注湯された溶湯12は全キャビティーを満たす体積はないので、各キャビティー部分に分散した状態となる。
次に図2に示すように、湯口カップ13の上部に耐火性粒状物供給装置14を圧着し、圧縮空気15と砂16を吹込めるようにする。ここで耐火性粒状物供給装置14は、下端に圧縮空気15及び砂16の漏れを防ぐためにシール部材17が取付けられており、圧縮空気15は送気管18と開閉バルブ19によって供給されるようになっている。また、その他のキャビティー部分10へ充填する添加材としての砂16を供給する砂タンク20、砂供給管21、開閉スライド22を設けており、砂供給管21は送気管18と交差している。
まず、送気管18の開閉バルブ19を開けて圧縮空気15をキャビティー内に吹込む。これによって注湯された溶湯12は所望のキャビティー部分9に充填される。なお、本例では注湯量のばらつき等を考慮し、安全をみて所望のキャビティー部分9より少し多目に注湯しており、その余分の部分が溶湯の最後部40に相当する。以下の実施例でも同じである。
その後、砂供給管21の開閉スライド22を開けて砂タンク20から砂16を圧縮空気15の流れに乗せてキャビティー内に吹込む。吹込まれた砂16は所望のキャビティー部分9に充填された溶湯12の最後部40付近から順次に充填され、その他のキャビティー部分10の一部に充填される。図3に砂16の充填が完了した状態を示す。
図3では、注湯された溶湯12は所望のキャビティー部分9に充填されており、砂16はその他のキャビティー部分10の一部に充填されている。このとき、充填された溶湯12の最上部41は、最後部40よりも高い位置にある。そのため、溶湯には図1の状態に戻ろうとする溶湯静圧による流動力が作用するが、充填された砂16による摩擦力にもとづく拘束力よってその流動は止められている。充填された砂のこの作用は、砂同士の摩擦力と、砂とキャビティー内面の間の摩擦力によるものである。この砂の摩擦力によって圧縮空気の送気は、砂の充填完了と同時又は極めて短時間の後に止めることができる。
すなわち、圧縮空気15と砂16をキャビティーに吹込むことによって、所望のキャビティー部分9のみに溶湯12を充填し、続いて砂16をその他のキャビティー部分10の一部に充填することで、所望のキャビティー部分のみに溶湯を充填する工程を速やかに完了することができた。
なお、圧縮空気を送気する時期は手段2で説明したように、必ずしも上記のように溶湯がキャビティー内に停滞するのを待つ必要はない。図1の溶湯が停滞した状態は、溶湯が所望のキャビティー部分に充填される前のひとつの状態を示したものである。これは本発明の原理を説明するために示したものであって、必ずしも本発明の好ましい実施形態ではない。一般的には注湯開始後、最後の溶湯が湯口部を通過中又は通過後に速やかに送気する方がよい。以下の実施例の説明でも、注湯開始後の圧縮空気を送気する時期については同様である。
また、本例では圧縮空気を先に吹込んだ後、砂を吹込んだが、圧縮空気と砂を同時に吹き込んでも、また砂を先に吹込んだ後、圧縮空気を吹込んでも作用効果は同じである。いずれの場合も、圧縮空気と砂の溶湯への巻込みが起こらないように吹込条件や鋳造方案などに留意する。
なお、圧縮空気を送気するとき、鋳型は通気性があるので圧縮空気の一部は鋳型粒子間を抜けるため溶湯を充填する作用が減少する。このことを考慮して圧縮空気の圧力と風量を適宜に調節して十分な充填作用を行うことができるようにする。また、必要に応じて鋳型を非通気性部材で覆って通気性を下げることが有効な場合もある。
本例では圧縮ガスとしては最も簡便安価な圧縮空気を利用したが、その他には圧縮した窒素などの不活性ガスなどが溶湯の酸化防止の効果があり有効である。また、冷却した圧縮ガスは溶湯の最後部の冷却を促進する効果があり、溶湯の充填完了時間の短縮に有効である。圧縮ガスの圧力と風量は鋳型の通気度、鋳枠の形状、全体の密閉度、鋳造方案などを考慮して決める。
砂の充填は必ずしもその他のキャビティー部分を全て充填する必要はなく、充填した溶湯の流動を止めうる程度の体積でよい。すなわちその他のキャビティー部分の少なくとも一部でよい。充填される砂の体積はキャビティーの形状及び充填される耐火性粒状物の材質、形状に応じて適宜に決める。砂を充填するその他のキャビティー部分は、押湯部の少なくとも一部、押湯部と湯道部の少なくとも一部、押湯部と湯道部及び湯口部の一部など、溶湯を充填したい所望のキャビティー部分に応じて適宜選ぶことができる。
耐火性粒状物供給装置は、本例では圧縮空気の送気管と砂供給管をY字形で交差させた一体形状としたが、特にこれにこだわる必要はなく、別体として添加材を別の圧縮空気源によって吹込んでも作用効果は同じである。また、一般の鋳造用中子の成型に使われている砂吹込み装置などを用いてもよい。
本例では溶湯を充填したい所望のキャビティー部分として製品部と押湯部としたが、これは任意に選択して決めることができる。例えば、製品部のみ、製品部と押湯部と湯道部の一部、製品部と押湯部と湯道部及び湯口部の一部など、溶湯材質、キャビティー形状などに応じて適宜決める。
本例では耐火性粒状物として砂を用いたが、鋳型と同種のものなら大きな問題はない。また、鋳型と異種のものでも、後工程で鋳型材と分離可能であれば使用することができる。なお、砂は吹込みによって流動性が付与されるので、複数個込めキャビティーにたいしても対応が可能である。
本発明によって溶湯の充填工程完了までの所要時間が大幅に短縮された。すなわち、本発明を高速鋳造ラインに適用した場合にも生産性を落さずに実施できるようになった。
図4、図5、図6に実施例2を示す。本実施例では手段1,2,4を用いて縦込めの砂鋳型について、圧縮ガスとして圧縮空気を、耐火性粒状物として砂を使用した例を示す。
図4において、鋳型キャビティーは、湯口部5、下段横湯道部23、上段横湯道部24、縦湯道部25、押湯部7、製品部8(A,B,C,Dからなる)から構成されている。本実施例では鋳型キャビティーのうち、溶湯を充填したい所望のキャビティー部分は押湯部7と製品部8の全部及び、下段湯道部23と上段横湯道24の一部とする。
図4は、注湯取鍋11によって溶湯を充填したい所望のキャビティー部分とほぼ等しい体積の溶湯12を注湯した状態である。注湯された溶湯12は全キャビティーを満たす体積はないので、各キャビティー部分に分散した状態となる。製品部C,Dは完全に充填されており、製品部A、Bは全く充填されていない。
次に図5に示すように湯口カップ13の上部に実施例1と同じように耐火性粒状物供給装置14を圧着し、圧縮空気15と砂16を吹込む。吹込みが完了した状態を図6に示す。注湯された溶湯12は所望のキャビティー部分に充填され、その他のキャビティー部分10には砂16が充填されている。砂16の作用効果は実施例1で説明したことと同様である。この場合には、砂は下段湯道部23の一部、上段湯道部24の一部、縦湯道部25の全部、及び湯口部5の一部に充填さているだけであるが、これで充填された溶湯の流動を止めるに十分である。この結果、溶湯の充填工程完了までの所要時間が大幅に短縮された。
本例では縦型鋳型の押上げ方案での例を説明したが、落込み方案においても同様に実施可能である。本例によって、実施例1の平込め鋳型だけでなく縦込め鋳型においても本発明は有効に作用し、高い注入歩留りでかつ高い生産性を有する鋳造法を確立できた。
図7、図8に実施例3を示す。本実施例では手段1、2、5を用いて横込めの砂鋳型の場合について、圧縮ガスとして圧縮空気を、溶湯と同種の固体金属として鋼球を使用した例を示す。
図7に鋼球の供給状況を示す。鋼球供給装置26は実施例1及び2の耐火性粒状物供給装置14とほぼ同一の構成であり、砂タンク20の代わりに鋼球タンク27を設けた。まず所望のキャビティー部分9とほぼ等しい体積の溶湯12を注湯後、開閉スライド22と圧縮空気15の開閉バルブ19を開け、適宜の容量の鋼球28を湯口部5に供給する。本例では鋼球28の供給に圧縮空気15を用いたが、重力落下程度で供給してもよい。
次に鋼球28が湯口部付近の溶湯36に接した後、圧縮空気15によって鋼球28をキャビティー内部へ吹込むことによって注湯された溶湯12を所望のキャビティー部分9に充填する。充填が完了した状態を図8に示す。この時、鋼球12の一部は溶湯に融解することで溶湯12の最後部40の冷却が促進される。また、未融解の鋼球29はその他のキャビティー部分10の一部に充填される。
これで溶湯12と鋼球28の充填は完了する。充填された溶湯12の流動は次の2つの作用で鋼球の吹込み後極めて短時間で止められる。1つは充填された溶湯12の最後部40が鋼球12の融解潜熱で冷却が促進されていることである。2つ目は未融解の鋼球29がその他のキャビティー部分10の一部に充填され、溶湯12の流動を止める拘束力の作用をなしていることである。以上によって、溶湯の充填工程完了までの所要時間を大幅に短縮することができる。
本実施例では、鋼球を先に吹込んでその後に圧縮空気で溶湯と鋼球をキャビティー内に吹込んだが、圧縮空気と鋼球を同時に吹込んでも、圧縮空気を先に吹込んで溶湯を所望のキャビティー部分に充填した後に鋼球を圧縮ガスで吹込んでも作用効果はほぼ同じである。溶湯材質、製品形状、湯道方案などによって適切な手順を選ぶようにする。
本例では固体金属として鋼球を用いたが、金属ショット玉、金属打抜き小片など、吹込みによって流動性が付与されるものであれば作用効果は同じである。また本例では、鋼球を吹込む圧縮空気と溶湯を充填する圧縮空気を鋼球供給装置として共用化としたが、別体として鋼球の吹込みを別の圧縮空気源を用いても作用効果は同じである。
図9、図10に実施例4を示す。本実施例では手段1、3、4を用いて横込めの砂鋳型の場合について、圧縮ガスとして圧縮空気を、耐火性粒状物として砂を使用した例を示す。
図9は溶湯12を注湯した後、湯口部5に砂16を供給した状態を示す。砂16は必ずしも湯口部全体を満たす必要はない。湯口部5の上部には砂16を押込むための空気圧シリンダー30が設置されている。
図10は空気圧シリンダー30のロッド31を湯口部5に押込むことによって、先に注湯された溶湯12を、砂16を媒体として所望のキャビティー部分9に充填した状態を示す。この時、溶湯には所望のキャビティー部分9から流出しようとする流動力が作用するが、その他のキャビティー部分10には砂16が充填されているのでその拘束力によって溶湯12の流動は止められる。すなわち、これで注湯工程は完了することになる。この結果、溶湯の充填工程完了までの所要時間は大幅に短縮された。
図11、図12に実施例5を示す。本実施例では手段1,3,5を用いて横込めの砂鋳型の場合について、圧縮ガスとして圧縮空気を、添加材である固体金属として鋼球を使用した例を示す。
図11は湯口部5に鋼球28を供給した状態を示す。鋼球28の供給は必ずしも湯口部全体を満たす必要はない。湯口部5の上部には鋼球28を押込むための空気圧シリンダー30が設置されている。
図12は空気圧シリンダー30のロッド31を湯口部5に押込むことによって、先に注湯された溶湯12を、鋼球28を媒体として所望のキャビティー部分9に充填した状態を示す。この時、鋼球28の一部は溶湯12に融解し、未融解の鋼球29はその他のキャビティー部分10の一部に充填される。本例では、押込みに空気圧シリンダーのロッドを用いたが、鋼球をキャビティー内に押込む作用を付与しうる方法であればいずれを用いてもよい。
ここで、溶湯には所望のキャビティー部分9から流出しようとする流動力が作用するが、充填された溶湯12の最後部40はすでに鋼球28の融解潜熱によって冷却されているので、速やかに凝固して溶湯の流動を止める作用を及ぼす。また、その他のキャビティー部分10に充填された未融解の鋼球29は鋼球同士及び鋼球とキャビティーの摩擦力で溶湯の流動を止める作用を及ぼす。すなわち、この2つの作用で溶湯の充填工程完了までの所要時間は大幅に短縮された。
図13に実施例6を示す。本実施例では手段6を用いて横込めの砂鋳型の場合について、圧縮ガスとして圧縮空気を、耐火性粒状物として砂を使用した例を示す。本例では、実施例1において砂を砂タンクから供給したのにたいし、湯口部付近の鋳型を削って得られる砂を用いるようにした。
図13は溶湯を注湯した後、回転駆動装置32の先端に取り付けられた鋳型削り具33を湯口カップ13に押し付けながら回転して鋳型を削っている状態を示す。削られた砂16は圧縮空気15によってキャビティー内に送り込まれてその他のキャビティー部分に充填されるとともに、先に注湯された溶湯12は所望のキャビティー部分9に充填される。最終的に充填された溶湯と砂の状況は実施例1の図3と同じで、充填された砂の作用効果も同様である。
本例では、充填する砂を湯口カップの砂を削ることによって供給したので、砂供給タンクを設ける必要がなくなった。なお本例では、鋳型削り具と圧縮空気の供給を一体化した装置として示したが、別体として別工程で行っても作用効果は同じである。鋳型を削る位置は湯口部近傍が便利であり、湯口カップ近くの鋳型上面部などを削った砂を用いることも可能である。
図14〜17に実施例7その1〜その4を示す。本実施例では手段7を用いて、溶湯を注湯後、添加材をキャビティー内へ送り込む前に、湯口部付近を予備冷却するいくつかの方法について説明する。
図14の実施例7その1では、溶湯12を注湯後、湯口部5へ圧縮空気15を吹込むことによって、湯口部付近を適宜の温度に予備冷却している状態を示す。図15の実施例7その2では、湯口部5から圧縮空気送気管37を湯口部付近の溶湯36に差し込んで圧縮空気15をその中に吹込むことによって、湯口部付近の溶湯36を予備冷却している状態を示す。
図16の実施例7その3では、湯口部5から攪拌シャフト38の先端に設けられた攪拌扇39を湯口部付近の溶湯36に挿入して攪拌することによって湯口部付近の溶湯36を予備冷却している状態を示す。図17の実施例7その4では、湯口部5から固体金属として鋼球28を供給することによって、その融解潜熱によって湯口部付近の溶湯36を予備冷却している状態を示す。この他に、できるだけ溶湯全体の冷却を生じないで湯口部付近を局部的に冷却できる方法であれば適宜の冷却方法を適用することができる。
溶湯はこれらの方法によって予備冷却された後に、手段1乃至6を用いて所望キャビティー部分に充填される。この時、充填された溶湯12の最後部40は既に冷却されているので速やかに凝固が進行し、充填された溶湯の流動を止めることができる。すなわち、溶湯の充填工程完了までの所要時間をさらに短縮することができる。また、溶湯は予備冷却されることで粘性が増すので、添加材及び圧縮ガスの溶湯への巻込みの危険性が低くなる効果も得られる。
本発明の実施例1の注湯後の状態を示す図である。 本発明の実施例1の圧縮空気と砂の吹込みを示す図である。 本発明の実施例1の充填工程完了後の状態を示す図である。 本発明の実施例2の注湯後の状態を示す図である。 本発明の実施例2の圧縮空気と砂の吹込みを示す図である。 本発明の実施例2の充填工程完了後の状態を示す図である。 本発明の実施例3の圧縮空気と鋼球の吹込みを示す図である。 本発明の実施例3の充填工程完了後の状態を示す図である。 本発明の実施例4の砂を供給した状態を示す図である。 本発明の実施例4の充填工程完了後の状態を示す図である。 本発明の実施例5の鋼球を供給した状態を示す図である。 本発明の実施例5の充填工程完了後の状態を示す図である。 本発明の実施例6の実施状況を示す図である。 本発明の実施例7その1の実施状況を示す図である。 本発明の実施例7その2の実施状況を示す図である。 本発明の実施例7その3の実施状況を示す図である。 本発明の実施例7その4の実施状況を示す図である。
1 上鋳型
2 下鋳型
3 定盤
4 鋳型キャビティー
5 湯口部
6 湯道部
7 押湯部
8 製品部
9 所望のキャビティー部分
10 その他のキャビティー部分
11 注湯取鍋
12 注湯された溶湯
13 湯口カップ
14 耐火性粒状物供給装置
15 圧縮空気
16 砂
17 シール材
18 送気管
19 開閉バルブ
20 砂タンク
21 砂供給管
22 開閉スライド
23 下段湯道部
24 上段湯道部
25 縦湯道部
26 鋼球供給装置
27 鋼球タンク
28 鋼球
29 未融解の鋼球
30 空気圧シリンダー
31 ロッド
32 回転駆動装置
33 鋳型削り具
34 昇降装置アーム
35 圧縮空気供給ボックス
36 湯口部付近の溶湯
37 圧縮空気送気管
38 攪拌シャフト
39 攪拌扇
40 充填された溶湯の最後部
41 充填された溶湯の最上部

Claims (7)

  1. 金属溶湯を通気性鋳型に重力注湯する鋳造法であって、該通気性鋳型の全キャビティーのうちの一部である溶湯を充填させたい所望のキャビティー部分の体積とほぼ等しい体積の溶湯を注湯開始後、溶湯が所望のキャビティー部分に充填される前に、湯口部から流動的に分散して充填されうる充填物をキャビティー内へ圧力によって送り込み、注湯された溶湯を前記所望のキャビティー部分に充填するとともに、前記充填物所望のキャビティー部分に充填された溶湯の最後部に接するところから逐次その他のキャビティー部分の少なくとも一部に充填することを特徴とする鋳造法。
  2. 請求項1記載の鋳造法において、充填物のキャビティー内への圧力による送り込みが、湯口部から圧縮ガスと充填物をキャビティー内へ吹込むことによって行われることを特徴とする鋳造法。
  3. 請求項1記載の鋳造法において、充填物のキャビティー内への圧力による送り込みが、湯口部から充填物を加圧部材によってキャビティー内へ押込むことによって行われることを特徴とする鋳造法。
  4. 請求項1乃至3記載の鋳造法において、充填物として耐火性粒状物を用いることを特徴とする鋳造法。
  5. 請求項1乃至3記載の鋳造法において、充填物として溶湯と同一材種の固体金属を用いることを特徴とする鋳造法。
  6. 請求項4記載の鋳造法において、耐火性粒状物として湯口カップ又はその近くの鋳型上面部を削ることによって得られる鋳型材粒子を用いることを特徴とする鋳造法。
  7. 請求項1乃至6記載の鋳造法において、湯口部から充填物をキャビティー内へ圧力によって送り込む前に、湯口部付近の充填された溶湯の最後部を予備冷却することを特徴とする鋳造法。
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