JP5363418B2 - 高熱伝導性複合材料の製造方法 - Google Patents
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金属より炭素の熱伝導率が高いため、ヒートシンクとして、金属材料と炭素繊維との複合成形品が推奨され、それの製造技術は各種提案されている(例えば、特許文献1(請求項10、請求項13)参照。)。
マトリックス金属粉末に、カーボンファイバを添加して混合する工程と、
得られた混合材料を、真空、不活性ガス若しくは非酸化性ガス雰囲気中にて所定の加圧力で圧縮した状態で前記マトリックス金属の融点未満の焼結温度まで昇温し、この焼結温度に保ち焼結処理を行い一次成形体を得る工程と、
この一次成形体を前記マトリックス金属の融点に加熱して前記マトリックス金属の全てが溶融した形態の溶湯を得る工程と、
この溶湯を高圧鋳造金型へ移し、加圧することで二次成形体を得る工程と、
この二次成形体を押出成形することで高熱伝導性複合材料を得る工程と、からなることを特徴とする。
そして、請求項1に係る発明では、多孔体を生成させる必要はない。
また、一次成形体は、マトリックス金属の焼結品であり、この焼結品では拡散接合したマトリックス金属粉の間にカーボンファイバが挟まれている。一次成形体に外力が加わっても、マトリックス金属が保護作用を発揮するため、カーボンファイバが切れることはない。
さらには、カーボンナノチューブに比較してカーボンファイバは、外径が10〜1000倍であるため、この点からも本発明のカーボンファイバは切れにくくなる。
続いて、押出されると、カーボンファイバが押出方向に延びるように、整列される。ただし、固相のマトリックスで囲まれているカーボンファイバが凝集する心配はない。
アルミニウム、アルミニウム合金、マグネシウム、マグネシウム合金は軽く、熱伝導性に優れているため、ヒートシンクに好適である。
本発明によれば、健全なカーボンファイバが整列しているヒートシンクが提供される。すなわち、カーボンファイバの伝熱作用が十分に発揮され得る高熱伝導性ヒートシンクが提供される。
図1(a)に示すように、撹拌容器11に、エタノール12を満たす。撹拌羽根13で撹拌し且つエタノール12を超音波振動させながら、エタノール12へマトリクス金属粉末14とカーボンファイバ15とを投入する。
このカーボンナノ材は、繊維径が1.0nm(ナノメートル)〜150nm、すなわち、0.001〜0.15μmであり、サイズ的にカーボンファイバ15と異なる。
そこで、本発明では、カーボンファイバ15に、カーボンナノ材料を含めないことにする。
次に、(c)に示すホットプレス型焼結炉20で混合材料16を焼結処理する。
ホットプレス型焼結炉20は、耐圧炉体21と、この耐圧炉体21の底を貫通している下パンチ22と、耐圧炉体21の天井を貫通している上パンチ23と、上下パンチ22、23間に配置されるダイ24と、耐圧炉体21の内部を加熱するヒータ25と、耐圧炉体21の内部雰囲気ガスを排出する真空ポンプ26と、耐圧炉体21内へ不活性ガスの一種であるアルゴンガスを吹き込むアルゴンガス容器27とからなる。
すると、マトリクス金属粉末14同士が拡散接合作用により、互いに繋がる。この結果、カーボンファイバ15は移動が制限され、凝集が抑制され、分散状態が維持される。
高熱伝導性複合材料45は、高熱伝導性能を有するため、ヒートシンクに好適である。
本発明に係る実験例を以下に述べる。なお、本発明は実験例に限定されるものではない。
マトリックス金属粉末:純アルミニウム粉末、マグネシウム合金粉末(JIS MD1D)
カーボンファイバ:繊維径8μm、繊維長さ200μm
5〜30質量%のカーボンファイバと残部の純アルミニウム粉末とをエタノール溶液内で撹拌及び超音波振動を付与して混合する。カーボンファイバの含有率は後述する表1、表2に示す。
加熱温度500℃、加圧力25MPa、アルゴンガス雰囲気の条件で、直径60mmの一次成形体(焼結品)を得る。
・熱伝導率の測定:一部の試料については、この段階の試料(一次成形体)で熱伝導率を測定する。
一次成形体を加熱温度700℃で溶解する。溶湯を金型で加圧力200MPaに加圧し、二次成形体(鋳造品)を得る。
・熱伝導率の測定:一部の試料については、この段階の試料(二次成形体)で熱伝導率を測定する。
・熱伝導率の測定:試料(高熱伝導性複合材料)の熱伝導率を測定する。
・試料02:95質量%の純アルミニウムと5質量%のカーボンファイバとを混合し、500℃、25MPa、アルゴンガス雰囲気の条件で焼結することで、一次成形品を得た。この一次成形品の熱伝導率は、222W/mKであり、試料01より低い値となった。
そこで、これらの熱伝導率のさらなる評価を行う。
したがって、カーボンファイバの含有率は30質量%を上限として、マトリックス金属に添加することが推奨される。
そこで、これらの熱伝導率のさらなる評価を行う。
したがって、カーボンファイバの含有率は30質量%を上限として、マトリックス金属に添加することが推奨される。
25MPaの加圧力を0、10、45、50、100MPaに変更し、他の条件は表1に示す試料09と同じにして、試料を作製し、熱伝導率を測定した。結果を、表4に示す。
すなわち、試料31は、圧縮不足から、取扱いに支障がでるほどぼろぼろになった。このことから、加圧力がゼロでは好ましくないことが判明した。
図6に示すように、加圧力が50MPa以上になると、熱伝導率が低下することが判明した。これは、加圧力によりカーボンファイバが切断されたためと考えられる。
Claims (6)
- 高熱伝導性複合材料の製造方法であって、
マトリックス金属粉末に、カーボンファイバを添加して混合する工程と、
得られた混合材料を、真空、不活性ガス若しくは非酸化性ガス雰囲気中にて所定の加圧力で圧縮した状態で前記マトリックス金属の融点未満の焼結温度まで昇温し、この焼結温度に保ち焼結処理を行い一次成形体を得る工程と、
この一次成形体を前記マトリックス金属の融点に加熱して前記マトリックス金属の全てが溶融した形態の溶湯を得る工程と、
この溶湯を高圧鋳造金型へ移し、加圧することで二次成形体を得る工程と、
この二次成形体を押出成形することで高熱伝導性複合材料を得る工程と、からなることを特徴とする高熱伝導性複合材料の製造方法。 - 前記一次成形体を得る工程では、10〜45MPaで加圧しながら行うことを特徴とする請求項1記載の高熱伝導性複合材料の製造方法。
- 前記高熱伝導性複合材料を得る工程での押出成形は、前記マトリック金属の再結晶温度以上で融点以下の条件で実施することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の高熱伝導性複合材料の製造方法。
- 前記高熱伝導性複合材料の組成は、30質量%を上限とするカーボンファイバと、残部のマトリックス金属とからなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の高熱伝導性複合材料の製造方法。
- 前記マトリックス金属は、アルミニウム、アルミニウム合金、マグネシウム、マグネシウム合金の何れかであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の高熱伝導性複合材料の製造方法。
- 前記高熱伝導性複合材料は、ヒートシンク又はヒートシンク用素材であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載の高熱伝導性複合材料の製造方法。
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