JP2019122265A - 育毛作用の予測方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】短期間で、脱毛等のトラブルを有しない部位の体毛あるいは周辺組織を利用した薄毛や脱毛の予防や改善に奏功する処置方法の探索を可能にする方法の提供。【解決手段】以下の工程を含む頭部における育毛作用の予測方法。(1)ヒト頭部以外の体の一部位を被験部、別部位を対象部として、試験対象の処置を行う工程(2)被験部および対象部からそれぞれ体毛を抜去する工程(3)抜去した体毛からRNAを抽出する工程(4)育毛に関連する遺伝子発現量を測定する工程(5)被験部の遺伝子発現量を対象部の遺伝子発現量と比較した場合に、毛髪成長シグナル物質をコードする少なくとも一つ以上の遺伝子の発現量を増加させ、かつ男性ホルモン依存的体毛成長時特徴的に変動する物質をコードする遺伝子の発現量を変化させない処置を、育毛作用を有する処置と判断する工程【選択図】図2

Description

本発明は、育毛作用の予測方法に関する。より詳細には、任意の処置の薄毛や脱毛の予防や改善に奏功する作用(以下、単に育毛作用とすることがある)を短期間で予測する方法に関する。更に詳しくは、頭部における男性ホルモン抑制作用以外の作用による育毛効果を有する処置を選別する方法に関する。
頭部の薄毛や脱毛は、第一印象に大きな影響を与えるため、予防や改善への期待は高く、日常的に容易に取り入れることのできる施術や予防・改善剤の適用に作用を期待する声が大きい。しかし、美容・化粧品業界では、一般に医師の診断が介在せず、脱毛の原因を特定できない状況で皮膚外用剤の適用や施術等の処置を薦める必要があった。そこで、脱毛の原因を問わず、薄毛や脱毛の予防や改善に奏功する処置方法の提供が期待されている。
適切な処置を探るため、薄毛や脱毛の発生部位に直接試験対象の処置を行って毛髪成長の経過を観察・評価するのが最も正確な作用の評価方法である。しかし、薄毛や脱毛の発生部位、特に毛周期の比較的長い頭部では、毛成長に数カ月の時間を要し、効率的に研究を進めることが難しい。
一方、薄毛や脱毛の発生部位から毛髪や周辺組織を採取して、得られた試料の形態や成分から薄毛や脱毛の発生原因や奏功する治療方法を予測する方法が開示されている(特許文献1、2)。しかし、見た目の第一印象に大きな影響を与える頭部から、特に薄毛を気にされている方複数から試料を得ることは難しい。また、そもそも薄毛や脱毛の発生部位を試験部位とする場合、試験に足る十分量の組織を得ることは難しく、試料採取部位が軽度の薄毛や脱毛を有する部位に限定されてしまうという問題もある。
培養毛髪組織由来細胞を用いて様々の研究を行う方法も考えられるが、生きた毛の細胞は、生体では毛孔の最奥部に皮膚に埋没した形で存在しており、処置の到達の問題を加味できない点や、細胞へのダメージを考慮すると、培地に溶解できる試料や非接触の施術に評価対象が限られ、マッサージやその他の頭皮ケアの影響を評価することはできないという点で問題があった。
上記の問題を解決するには、できるだけ短期間で、脱毛等のトラブルを有しない部位の、特に頭部以外の体毛あるいは周辺組織を利用した薄毛や脱毛の予防や改善に奏功する処置方法の探索を可能にする方法が求められていた。
しかしながら、前述のとおり、生きた毛の細胞は毛孔の最奥部に埋没した形で存在するため、単に体毛を抜去しただけでは十分に生きた細胞が得られず、体毛を含んだ組織を外科的方法で摘出する必要があると考えられていた。
仮に、体毛の抜去によって十分な細胞が得られたとしても、一般に頭髪と頭部以外の体毛は性質が異なり、たとえば頭部脱毛の原因となる男性ホルモンの影響が頭髪と頭部以外の体毛で逆に現れることが知られている。頭髪では男性ホルモンがTGFβ1を介して脱毛を促進するのに対し、頭部以外の体毛ではIGF1を介して発毛を促進する。また、頭髪と頭部以外の体毛では毛の生まれ変わりのサイクルである毛周期に差があるため、性質が大きく異なる。そのため、頭部以外の体毛を用いた頭部育毛作用の評価は困難であると考えられてきた。
特開2010−200971 特表2014−528727
本発明は、短期間で、脱毛等のトラブルを有しない部位の体毛あるいは周辺組織を利用した薄毛や脱毛の予防や改善に奏功する処置方法の探索を可能にする方法の提供を課題とする。
本発明者らは、鋭意研究した結果、以下の工程を経ることで、任意の処置の育毛作用の予測が可能であることを見出し、短期間で、脱毛等のトラブルを有しない部位の体毛あるいは周辺組織を利用した薄毛や脱毛の予防や改善に奏功する処置方法の探索を可能にする方法を提供するに至った。
〔1〕第1発明としては、
本発明は以下の工程を含むことを特徴とする、任意の処置の育毛作用の予測方法を提供する。
(1) ヒト頭部以外の体の一部位を被験部、別部位を対象部として、試験対象の処置を行う工程
(2) 被験部および対象部からそれぞれ体毛を抜去する工程
(3) 抜去した体毛からRNAを抽出する工程
(4) 育毛に関連する遺伝子発現量を測定する工程
(5) 被験部の遺伝子発現量を対象部の遺伝子発現量と比較した場合に、毛髪成長シグナル物質をコードする少なくとも一つ以上の遺伝子発現量を増加させ、かつ男性ホルモン依存的体毛成長時特徴的に変動する物質をコードする遺伝子の発現量も変化させない処置を、育毛作用を有する処置と判断する工程
〔2〕第2発明としては、第1発明における(5)の工程において、
毛髪成長シグナル物質をコードする少なくとも一つ以上の遺伝子発現量を1.2以上に増加させる処置を、育毛作用を有するとして判断する育毛作用の予測方法。
〔3〕第3発明としては、第1、第2発明における(3)の工程において、
ホモジナイザーにより試料を破砕する工程を含む請求項1または請求項2に記載の育毛作用の予測方法。
〔4〕第4発明としては、第1乃至第3発明における、毛髪成長シグナル物質をコードする遺伝子がHGF、KGF、VEGF、またはBMP2の少なくともいずれか一つである育毛作用の予測方法。
〔5〕第5発明としては第1乃至第4発明における、男性ホルモン依存的体毛成長時特徴的に変動する物質をコードする遺伝子が、IGF1である育毛作用の予測方法。
本発明によれば、短期間で、脱毛等のトラブルを有しない部位の毛髪あるいは周辺組織を利用した薄毛や脱毛の予防や改善に奏功する処置方法の探索を可能にする方法を提供することができる。
試料の破砕方法の違いによるRNA分解度の違い 青色光照射による頭部薄毛改善試験結果1 青色光照射による頭部薄毛改善試験結果2 クロレラエキス塗布の結果
本発明で予測できる処置は、特に限定されないが、マッサージ、電気刺激、熱刺激、鍼刺激等の物理的処置、ガンマ線、X線、紫外線、可視光線、赤外線、電波、マイクロ波等の電磁波、音波、磁気等の非接触処置、各種薬剤、抽出物、成分等の塗布、噴霧、貼り付け等又はこれらの組み合わせによる任意の処置が対象である。処置回数は特に限定されない。1回のみの処置であっても、同じ処置を複数回繰り返しても、異なる処置を1回ずつ、異なる処置を複数回行ってもよい。各処置による頭髪での育毛効果を予測することが可能である。
本発明で使用するヒト頭部以外の体の部位は、特に限定されないが腕部、手部、脚部、腹部、背中部等、体毛が一定程度生えている部位から選択できる。体の部位は被験部と対象部を異なる部位としても良いが、部位差による影響を避けるため、同種部位、例えば、腕部であれば腕部内で被験部と対象部を設けることが好ましい。一方の腕部を被験部とし、他方の腕部を対象部としても良いし、片方の腕部において被験部と対象部を設けても良い。片方の腕部で実験を行う場合には、処置の影響を避ける意味で、被験部と対象部は一定の距離を空けて設けることが望ましい。手部、脚部、腹部、背中部等においても同様に考えればよい。
老若男女特に限定されないが、試験への参加に同意が得られ、特に経口での薄毛治療剤の投与を受けておらず、外観上、被験部と対象部に皮膚状態や体毛生育状態などの様子に大きな差が見られないヒトの脛部、下腕部を用いることが望ましい。
本発明の体毛の抜去方法は、特に限定されないが、処置後の被験部位での遺伝子発現に必要な時間を確保する観点から試験対象の処置から任意の時間が経過した後行うことが望ましい。処置内容によっても異なるが、電気刺激、光刺激等、毛の細胞に処置の到達が早いものは、例えば処置直後、1時間後、3時間後等比較的短時間で抜去することができる。薬剤塗付等の処置の場合は、薬剤が毛の細胞に浸透する時間を考慮することが好ましく、例えば、薬剤塗付後2時間後、4時間後、8時間後等一定時間経過後に抜去することが好ましい。確認する遺伝子の発現時期の相違を考慮すると、8時間後から36時間後、より好ましくは16時間後から24時間後に抜去することが好ましい。
抜去する体毛の本数は、得られるRNA量が以降に使用するcDNA合成やReal−time PCRで使用する試薬や装置等の適用可能範囲に入るように採取できれば何本でも構わないが、特に微量用のシステムを使わない場合、20本以上が望ましい。20本よりも少ないと、十分量のRNAが得られない場合がある。得られた体毛については、採取直後にRNAの分解防止措置を講じておくのが望ましい。特に限定されないが、公知の方法では、例えば、液体窒素、RNA Later (ThermoFischer SCIENTIFIC)、Lysis Buffer (Total RNA Purification Kit, JenaBioscience)、Buffer RLT (RNeasy Mini Kit, QIAGEN)のいずれかに直ちに浸漬すれば良く、特にBuffer RLTに浸漬した場合に収量が高いので好ましい。
本発明のRNA抽出方法は特に限定されず、たとえば、チオシアン酸グアニジン・塩化セシウム超遠心法、チオシアン酸グアニジン・ホットフェノール法、グアニジン塩酸法、酸性チオシアン酸グアニジン・フェノール・クロロホルム法(Chomczynski P et al. Anal Biochem. 162, 156−159,1987)等を採用することができる。例えば、市販品であるRNeasy Mini Kit(QIAGEN)などが使用できる。どの方法においても組織溶解のステップで、ポリトロンホモジナイザーにより試料を破砕することが望ましい。ペッスルを用いたグラインドではRNA抽出の効率が悪く、超音波破砕ではRNAの分解が生じた。抽出されたTotal RNAは、必要に応じてさらにmRNAのみに精製して用いてもよい。
本発明の毛髪成長シグナル物質をコードする遺伝子は、既知のものでは、HGF、KGF、VEGF、またはBMP2が挙げられる。HGFはHepatocyte Growth Factorをコードする遺伝子である。KGFはKERATINOCYTE GROWTH FACTORをコードする遺伝子で、FGF7とも呼ばれる。VEGFはVASCULAR ENDOTHELIAL GROWTH FACTOR Aをコードする遺伝子で、VEGFAとも呼ばれる。BMP2はBONE MORPHOGENETIC PROTEIN 2をコードする遺伝子である。
本発明の男性ホルモン依存的体毛成長時特徴的に変動する物質をコードする遺伝子は、既知のものでは、IGF1が挙げられる。IGF1はINSULIN−LIKE GROWTH FACTOR Iをコードする遺伝子である。IGF1は体毛において男性ホルモンに応答して毛成長を促すもので、他のパスウェイを介して変動した可能性も考えられるが、この遺伝子発現の変動が起こる処置については、男性ホルモンに対する応答性の改変を介する作用を発揮している可能性があり、男性ホルモンによって薄毛が亢進する頭部では、男性ホルモンに関連するパスウェイを介して毛成長を制御するのか、他のパスウェイを介するのかが特定できず、作用を予測できない。この問題は、IGF1の発現量が変動しない処置を選択すれば解決でき、この選択を行うことで、薄毛や脱毛の原因にかかわらず奏効する処置を選択することができる。
各遺伝子の発現量の測定方法は、特に限定されない。遺伝子チップ、アレイ等の固相化試料を用いた核酸ハイブリダイゼーション法、RT−PCR法、リアルタイムPCR法、サブトラクション法、ディファレンシャル・ディスプレイ法、ディファレンシャル・ハイブリダイゼーション法、ならびにクロスハイブリダイゼーション法など公知の方法を用いて測定することができる。
本発明でいう遺伝子の発現量を増加させるとは、被験部と対象部の遺伝子の発現量を比較した際に、毛髪成長シグナル物質をコードする遺伝子の内、少なくとも一つ以上の遺伝子の発現量が増加していれば良く、必ずしも毛髪成長シグナル物質をコードするすべての遺伝子を増加させている必要はない。また、必ずしも複数の遺伝子の発現量を測定する必要はないが、より確実に効果がある処置を選択するという観点から、毛髪成長シグナル物質をコードする遺伝子の中から、複数の遺伝子を選択して発現量の変化を確認することが好ましい。増加の程度は特に限定されないが、対象部と比較して概ね1.2以上であることが好ましい。
本発明でいう遺伝子の発現量を変化させないとは、通常想定される実験誤差を考慮して実質的に変化がない場合を含むという趣旨であり、被験部と対象部の遺伝子の発現量を比較した際に、数値的に全く同じである場合だけでなく、当業者が実験誤差と判断する場合、統計的に差がない場合も含まれる。
以下、本発明の実施例について具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
―試料の破砕方法の違いによるRNA分解度の違い―
抜去した毛髪試料からのRNA抽出に際する試料の破砕方法の違いがRNA分解度に与える影響を評価した。脛部から50本の体毛を抜去し、直ちにBuffer RLT 2mLに浸漬した。その後ホモジナイザーによる破砕( レベル4.5, 10秒 × 3回 ON ice, POLYTRON, KINEMATICA AG)、あるいは超音波破砕(Ampl. 20%, 30秒 ×1〜3回 on ice, QSONICA)を試みた。その後RNeasy Mini Kit(QIAGEN)を利用して、RNAを抽出した。それぞれ、600ng、300ngのRNAが得られた。RNA分解度は、得られたRNAの電気泳動パターン(Agilent 2100 Bioanalyzer)を観察することで評価した。すなわち、Total RNAの分解に伴ってリボソーマルRNAの28Sサブユニットと18Sサブユニットのバンド強度比が低下し、18Sよりも分子量の小さいバンドが増えることを利用して分解の程度を評価した。電気泳動は下記の方法で行った。得られたRNAサンプルを熱処理しRNA高次構造を変性させた後、速やかに氷上に移し、急冷した。電気泳動装置Agilent 2100 Bioanalyzer内のゲルにRNAサンプルをアプライした。電圧をかけ電気泳動を行った。電気泳動後、各RNAサンプルの蛍光シグナルをバンド強度として検出した。電気泳動の結果を図1に示す。
図1より、超音波破砕では28S、18Sサブユニットのバンドが明瞭でないか、あるいは28Sのバンド強度比が低下しており、分解が進行していることがわかった。一方、ポリトロンホモジナイザーによる破砕では明瞭な28S、18Sサブユニットのバンドが確認され、分解の程度が小さいことが示された。
−育毛作用の予測試験−
脛部の毛髪成長シグナル物質をコードする遺伝子発現量を増加させ、かつ男性ホルモン依存的毛成長時特徴的に変動する物質をコードする遺伝子発現量を変化させない処置を選択することで頭部への育毛作用を予測することができるとの仮説を立て、その仮説を立証するための実験を行った。男性6名に依頼し、ヒト脛部の被験部(3.5cm×3.5cm)に、装置による処置の例として自作した接触型青色光照射装置(波長464nm、出力8mW)を用いて30分間青色光を照射し、薬剤塗布処置の例として1%クロレラエキス水溶液を塗布、0.1%グリチルレチン酸60%エタノール水溶液を塗布、水を塗布した。処置を行っていない部位を対象部位とした。グリチルレチン酸は、すでに頭部の男性ホルモン依存的な薄毛に対する有用性が確認された成分である。処置終了から24時間後、各被験部および処置を行っていない対象部から、それぞれ60本の体毛を抜去し、〔0025〕に記載の方法でRNAを抽出した。その後、Prime Script RT PCR KIT (TaKaRa) を用いて逆転写を行い、cDNAを合成した。得られたcDNAを鋳型として、HGF、KGF、VEGF、BMP2、IGF1、TGFB1、GAPDHの発現量を以下のプライマー及びPCR試薬SYBR Select Master Mix(Applied Biosystems)を用いて、リアルタイムPCR(7500 Real Time PCR System 、Applied Biosystems)にて測定した。TGFB1、は毛髪の休止期移行に関与する遺伝子であり、TRANSFORMING GROWTH FACTOR β 1をコードする遺伝子である。GAPDHは多くの組織や細胞中に共通して一定量発現しているためリアルタイムPCRのコントロールとして使用されるハウスキーピング遺伝子であり、GLYCERALDEHYDE−3−PHOSPHATE DEHYDROGENASEをコードする遺伝子である。
プライマーは、HGF用センスプライマー(5‘−AAAAAGTGAATACTGCAGACCAATGT−3’)、アンチセンスプライマー(5‘−AAAGCCTTGCAAGTGAATGGA−3’)、KGF用センスプライマー(5‘−CAAGAGCACAATGCCCAAAA−3’)、アンチセンスプライマー(5‘−CCTCAAGCCTTCATGACATTCA−3’)、VEGF用センスプライマー(5‘−CGAGGGCCTGGAGTGTGT−3’)、アンチセンスプライマー(5‘−CCGCATAATCTGCATGGTGAT−3’)、BMP2用センスプライマー(5‘−CCAACACTGTGCGCAGCTT−3’)、アンチセンスプライマー(5‘−CCCACTCGTTTCTGGTAGTTCTTC−3’)、IGF1用センスプライマー(5‘−CTCTTCTACCTGGCGCTGTG−3’)、アンチセンスプライマー(5‘−CATACCCTGTGGGCTTGTTG−3’)TGFB1用センスプライマー(5‘−CACCCGCGTGCTAATGG−3’)、アンチセンスプライマー(5‘−GCTGTGTGTACTCTGCTTGAACTTG−3’)、GAPDH(グリセルアルデヒド3−リン酸 デヒドロゲナーゼ;ハウスキーピング遺伝子として使用)用センスプライマー(5‘−CCACATCGCTCAGACACCAT−3’)、アンチセンスプライマー(5‘−TGACCAGGCGCCCAATA−3’)を用いた。遺伝子発現の解析は比較CT法にて行い、6人の平均値を算出した。結果は表1に示す。
表1より、青色光照射部では対象部と比較して毛髪成長シグナル物質をコードする遺伝子HGF、KGF、VEGF発現量が増加していた。また、クロレラエキス塗布部では毛髪成長シグナル物質をコードする遺伝子KGF、BMP2の発現量が増加していた。
また、男性ホルモンは男性ホルモン依存的体毛成長時特徴的に変動する物質をコードする遺伝子IGF1を変動させる作用があることが知られているが、青色照射、クロレラエキス塗布によって男性ホルモン依存的体毛成長時特徴的に変動する物質をコードする遺伝子IGF1はほぼ変動しなかった。
つまり、これらの処置は男性ホルモン様作用のある頭部において薄毛促進する処置ではないことが予測された。
一方で、頭部の男性ホルモン依存的な薄毛に対する有用性が確認された成分であるグリチルレチン酸は毛髪成長シグナル物質をコードする遺伝子のいずれも実質的に変化していなかった。これはグリチルレチン酸の頭部での育毛作用が男性ホルモンの阻害によるものであるため、多量の活性な男性ホルモンにより生じる男性ホルモン依存的な薄毛部位では男性ホルモンの阻害により毛髪成長シグナル物質の誘導につながるものの、被験者の被験部周辺に多量の活性な男性ホルモンが存在するとは限らないため、そういった場合には男性ホルモンの阻害により必ずしも男性ホルモン依存的体毛成長時特徴的に変動する物質の減少を伴わず、体毛部位における毛髪成長シグナル物質の上昇も引き起こさなかったと考えられた。
一方、被験者の被験部周辺に多量の活性な男性ホルモンが存在する場合には、男性ホルモンの阻害により男性ホルモン依存的体毛成長時特徴的に変動する物質の減少が起きることが知られている。そのため、育毛効果を有する処置を、体毛を用いて予測する場合には、男性ホルモン依存的体毛成長時特徴的に変動する物質をコードする遺伝子の発現量を変化させない処置を、育毛作用を有するとして判断する工程を設けることが、男性ホルモン抑制作用以外の作用による育毛効果を有する処置を選抜するにあたって重要な工程であり、これにより、薄毛に対する男性ホルモンの阻害による有用性を有する成分を、育毛作用を有する処置として検出しないことができると言える。
尚、毛髪の休止期移行に関与する遺伝子であるTGFB1は実施例1、2、比較例1、2、3間で特定の傾向は示さなかった。よって、脛の体毛を用いての頭部における育毛作用の予測法として休止期関連遺伝子は指標とはならないことも確認された。
図示していないが、すでに非男性ホルモン依存的な育毛作用が知られている赤色光照射装置による赤色光照射処置についても、青色LED照射と同様の方法で実験を行ったところ、青色LED照射と同様毛髪成長シグナル物質をコードする遺伝子を増加させ、男性ホルモン依存的体毛成長時特徴的に変動する物質をコードする遺伝子IGF1が変化させないことを確認された。
表1の実施例1、2の毛髪成長シグナル物質をコードする遺伝子の増加(1.2以上)が頭部育毛作用を予測するための指標となるかを確認する実験を下記に行った。
−育毛作用の確認試験1−
頭部の薄毛に悩む男性5名に依頼し、〔0027〕と同じ自作の接触型青色光照射装置を1日10分間、半年間にわたって頭部で薄毛が気になる部位中心に適用してもらい、前後の毛髪状態を評価した。5名の被験部位の毛髪本数、成長速度、成長期毛率の平均を算出した。毛髪状態の評価は、測定の1日目に薄毛が気になる部位に近接した1×1cmの領域をシェーバーにて剃毛し、直後と2日後に同部位をマイクロスコープにて画像取得して、該画像を解析することにより行った。毛髪本数は、剃毛直後の画像にて、剃毛した1×1cmの領域内に毛孔を有する毛髪の本数を計測することによって得た。成長期毛率は、剃毛した1×1cmの領域内毛孔を有する毛髪の、剃毛直後から2日後までの伸長を計測し、その誤差よりも伸長が大きい毛髪を成長期毛、小さい毛髪を休止期毛とし、測定対象とした毛髪本数に対する成長期毛の本数を成長期毛率とした。成長速度は、成長期毛率と同じ方法で選別した成長期毛について、剃毛直後から2日後までの伸長を、直後から2日後の測定の間の時間で除することで、時間当たりの毛髪伸長を算出し、これを成長速度とした。結果を図2に示す。また、顕著に育毛作用が認められた男性の頭部の写真撮影結果を図3に示す。
図2、3より、青色LED照射処置には頭髪の育毛効果があることが確認された。
−育毛作用の確認試験2−
頭部の薄毛に悩む男性5名に依頼し、1%クロレラエキス配合トニックを1日2回、4ヶ月間にわたって頭部で薄毛が気になる部位中心に適用してもらい、前後の毛髪状態を評価した。5名の被験部位の成長期毛率の平均を算出した。毛髪状態の評価は、育毛作用の確認試験1と同様の方法で行った。結果を図4に示す。
図4より、クロレラエキス塗布処置には頭髪の育毛効果があることが確認された。
以上の結果より、毛髪成長シグナル物質をコードする少なくとも1つの遺伝子を増加させること、および男性ホルモン依存的体毛成長時特徴的に変動する物質をコードする遺伝子を変化させないことを指標とすることで短期間に予測できることが示された。
本発明の育毛作用の予測方法で育毛作用を有するとして判断した処置は、培養細胞を用いた試験では有用性の評価が難しかった、接触タイプの施術の作用の評価も可能であることが示された。
本発明によれば、短期間で、脱毛等のトラブルを有しない部位の毛髪あるいは周辺組織を利用した、男性ホルモン抑制作用以外の作用による育毛効果を有する処置を選別することができ、脱毛の原因を問わない薄毛や脱毛の予防や改善に奏功する処置方法の探索を可能にする方法を提供することができる。

Claims (5)

  1. 以下の工程を含む頭部における育毛作用の予測方法。
    (1) ヒト頭部以外の体の一部位を被験部、別部位を対象部として、試験対象の処置を行う工程
    (2) 被験部および対象部からそれぞれ体毛を抜去する工程
    (3) 抜去した体毛からRNAを抽出する工程
    (4) 育毛に関連する遺伝子発現量を測定する工程
    (5) 被験部の遺伝子発現量を対象部の遺伝子発現量と比較した場合に、毛髪成長シグナル物質をコードする少なくとも一つ以上の遺伝子の発現量を増加させ、かつ男性ホルモン依存的体毛成長時特徴的に変動する物質をコードする遺伝子の発現量を変化させない処置を、育毛作用を有する処置と判断する工程
  2. 前記(5)の工程において、
    毛髪成長シグナル物質をコードする少なくとも一つ以上の遺伝子発現量を1.2以上に増加させる処置を、育毛作用を有するとして判断する請求項1の育毛作用の予測方法。
  3. 前記(3)の工程において、
    ホモジナイザーにより試料を破砕する工程を含む請求項1または請求項2に記載の育毛作用の予測方法。
  4. 前記毛髪成長シグナル物質をコードする遺伝子がHGF、KGF、VEGF、またはBMP2の少なくともいずれか一つである請求項1から請求項3に記載の育毛作用の予測方法。
  5. 前記男性ホルモン依存的体毛成長時特徴的に変動する物質をコードする遺伝子が、IGF1である請求項1から請求項4に記載の育毛作用の予測方法。
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