JP2019120633A - 表面形状測定機 - Google Patents

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山内 康弘
Yasuhiro Yamauchi
康弘 山内
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Abstract

【課題】触針を破損することなくワークの内面の表面形状を測定することができる表面形状測定機を提供する。【解決手段】揺動支点を中心として揺動自在に支持されるアームと、アームの先端部に設けられた棒状の測定子と、測定子の先端部に設けられ、測定子の長手方向に垂直又は斜め方向に延びる触針と、揺動支点を中心とする回転方向のうち、測定子が触針の形成側に回転する第1回転方向に向かって、アームを第1付勢力で付勢する第1付勢部材と、揺動支点を中心とする回転方向のうち、第1回転方向とは反対側である第2回転方向に向かって、アームを第2付勢力で付勢する第2付勢部材と、第2付勢部材を、第2付勢力が第1付勢力よりも大きくなる状態と、第2付勢力が第1付勢力よりも小さくなる状態とに切り替える付勢力切替部材と、を備える。【選択図】図6

Description

本発明は、ワークの表面形状を測定する表面形状測定機に関する。
ワーク(被測定物)の表面の輪郭形状及び表面粗さ等の表面形状を測定する表面形状測定機が知られている。この表面形状測定機は、揺動支点を支点として揺動自在に取り付けられたアームと、アームの先端に設けられた測定子(スタイラス)であって且つ触針(下向き触針)を有する測定子と、を備える。
このような表面形状測定機では、触針をワーク表面に接触させた状態で、測定子とワークとを水平方向に相対移動させることにより、触針でワーク表面をトレースしながら測定子の揺動による変位を検出し、この変位検出結果に基づきワーク表面の表面形状を測定する(特許文献1参照)。
特開2017−161548号公報
ところで、ワークに形成された穴の内面等のワークの内面の表面形状(表面粗さ等)を表面形状測定機により測定する回数が増えている。この場合、測定子の触針を穴の内面から離した状態で測定子を穴の奥側(例えば右から左側)に挿入する。そして、触針が穴の奥の測定開始位置に到達した後、この触針を穴の内面に接触させてから、測定子を測定方向(例えば左から右側)に水平移動させることにより、穴の内面の表面形状を測定する。
しかしながら、近年ではワークに形成される穴が小径化されているため、穴の内部に挿入された測定子の先端をオペレータが目視することができない。従って、触針の破損を防止するため、上記測定方法は穴の内面に段差部(障害物)が形成されていない場合に限定されていた。
一方、穴の内面に段差部が形成されている場合、例えば表面形状測定機として測定子の位置決め精度を高精度化(高精度ガイド及びスケールを備える)している自動測定機を用いて、測定子の触針を穴の内面に接触しないように測定開始位置まで移動させる方法が考えられる。しかし、この場合には、測定子の触針を測定開始位置まで移動させるプログラムを予め作成する必要があり、このプログラムの作成時に触針を段差部に誤って接触させて破損させるおそれがある。
また、穴の内面に段差部が形成されている場合には、例えば穴の中心軸に沿ってカットされたワーク(カットワーク)を作成して、このカットワークを用いて穴の内面の表面形状を測定する方法も考えられる。しかし、この場合には、実際の製品(ワーク)の穴の内面の表面形状を測定することができない。さらに、ワークが量産品ではなく試作品等の一品物である場合にも穴の内面の表面形状を測定することができない。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、触針を破損することなくワークの内面の表面形状を測定することができる表面形状測定機を提供することを目的とする。
本発明の目的を達成するための表面形状測定機は、揺動支点を中心として揺動自在に支持されるアームと、アームの先端部に設けられた棒状の測定子と、測定子の先端部に設けられ、測定子の長手方向に垂直又は斜め方向に延びる触針と、揺動支点を中心とする回転方向のうち、測定子が触針の形成側に回転する第1回転方向に向かって、アームを第1付勢力で付勢する第1付勢部材と、揺動支点を中心とする回転方向のうち、第1回転方向とは反対側である第2回転方向に向かって、アームを第2付勢力で付勢する第2付勢部材と、第2付勢部材を、第2付勢力が第1付勢力よりも大きくなる状態と、第2付勢力が第1付勢力よりも小さくなる状態とに切り替える付勢力切替部材と、を備える。
この表面形状測定機によれば、第2付勢部材の第2付勢力を第1付勢部材の第1付勢力よりも大きくすることにより、揺動支点を中心としてアーム及び測定子を第2回転方向に付勢することができるので、ワークの内面上の被測定領域の測定開始位置まで測定子の先端部を移動させる際に、測定子の触針が被測定領域に接触することが防止される。
本発明の他の態様に係る表面形状測定機において、第2付勢部材は弾性部材であり、且つ付勢力切替部材は第2付勢部材のアームとは反対側に設けられ、付勢力切替部材は、第2付勢部材を押圧した状態で第2付勢力を第1付勢力よりも大きくする押圧位置と、第2付勢部材の押圧を解除した状態で第2付勢力を第1付勢力よりも小さくする押圧解除位置との間で移動する。これにより、第2付勢部材の第2付勢力を、第1付勢力よりも大きくすることで揺動支点を中心としてアーム及び測定子を第2回転方向に付勢したり、第1付勢力よりも小さくすることで揺動支点を中心としてアーム及び測定子を第1回転方向に付勢したりすることができる。
本発明の他の態様に係る表面形状測定機において、測定子の先端部で且つ触針の形成側とは反対側が、凸曲面で構成されている。これにより、測定子の先端部をワークの内面(穴等)に挿入する場合に、揺動支点を中心としてアーム及び測定子が第2回転方向に付勢されている状態でも、測定子の先端部が穴の内面に形成された段差部等の障害物に引っ掛かることが防止される。
本発明の他の態様に係る表面形状測定機において、凸曲面は、測定子の先端部で且つ触針の形成側とは反対側に転動自在に取り付けられたガイドボールの外面により構成される。これにより、測定子の先端部をワークの内面(穴等)に挿入する場合に、測定子の先端部が穴の内面に形成された障害物に引っ掛かることが防止される。
本発明の他の態様に係る表面形状測定機において、揺動支点、アーム、第1付勢部材、第2付勢部材、及び付勢力切替部材を保持するケースと、ワークがセットされる測定台と、測定台に対してケースを、揺動支点の軸方向に垂直な水平方向のうち、測定子が設けられている側の第1水平方向に相対移動させる第1移動処理と、第1水平方向とは反対側の第2水平方向に相対移動させる第2移動処理とを行う水平移動部と、を備える。これにより、第1移動処理でワークの被測定領域の測定開始位置まで測定子の先端部を移動させ、第2移動処理で触針により被測定領域をトレースすることができる。
本発明の他の態様に係る表面形状測定機において、ケースに設けられ、ケースから第1水平方向に延びた棒状のストッパを備え、ストッパの先端部は、第1水平方向において測定子の先端部とケースとの間に位置する。これにより、第1移動処理で測定子の先端部をワークの穴等に挿入する場合に、ストッパの先端部がワークに当接して更なる第1移動処理を規制することで、ワークの被測定領域の測定開始位置への測定子の先端部の位置決めと、過剰挿入による触針の破損防止とが図れる。
本発明の他の態様に係る表面形状測定機において、ストッパは、第1水平方向に伸縮自在である。これにより、ストッパを、ワークの種類に応じて、測定子の測定開始位置への位置決め及び過剰挿入防止の双方が可能な長さに調整することができる。
本発明の表面形状測定機は、触針を破損することなくワークの内面の表面形状を測定する。
表面形状測定機の概略図である。 表面形状測定機の測定対象物であるワークの断面図である。 検出ユニットの正面図である。 検出ユニットのX軸方向に沿った断面図である。 測定子先端部の拡大図である。 符号6Aは姿勢変更機構による付勢解除状態を説明する説明図であり、符号6Bは姿勢変更機構による付勢状態を説明する説明図である。 演算装置の機能ブロック図である。 表面形状測定機によるワークの小穴の被測定領域の表面形状測定の流れを示すフローチャートである。 図8に示したフローチャートのステップS2からステップS4を説明するための説明図である。 図9の符号9Zに示した測定子先端部の拡大図である。 図8に示したフローチャートのステップS6を説明するための説明図である。 図8に示したフローチャートのステップS8からステップS9を説明するための説明図である。 他実施形態のワークの側面図(符号13A参照)及び正面図(符号13B参照)である。 他の実施形態の測定子先端部の側面図である。 他実施形態の小穴の断面図である。
[表面形状測定機の構成]
図1は、表面形状測定機10の概略図である。図2は、表面形状測定機10の測定対象物であるワークWの断面図である。なお、図中のXYZ軸は互いに直交し、且つXY軸は水平方向に平行な軸である。
図1及び図2に示すように、表面形状測定機10は、ワークWに形成された略長穴形状の小穴9の内面の表面形状(輪郭形状又は表面粗さ等)を測定する。なお、小穴9とは、例えば直径が1mm〜2mmの穴であるが、その直径については特に限定はされない。
ワークWの一面には小穴9の開口部9Aが形成されている。そして、小穴9の直径は、小穴9の奥方向側に向かって2段階(1段階、又は3段階以上でも可)で段階的に小さくなるように形成されている。これにより、小穴9の略円筒形状の内面9Bには、小穴9の直径が異なる領域間の境界ごとに段差部Dが形成されている。各段差部Dは、小穴9の奥方向側に向かうに従って小穴9の中心に次第に近づく傾斜面(テーパー面)として形成されている。
小穴9の内面9Bの中で、小穴9の長手方向(図2ではX軸方向)に沿った領域で且つZ軸方向下方側に位置する領域が、表面形状測定機10により表面形状の測定を行う被測定領域MRとなる。また、内面9Bの中で、被測定領域MRに対向する領域(小穴9の長手方向に沿った領域で且つZ軸方向上方側に位置する領域)が対向領域CRとなる。従って、小穴9は本発明の空間に相当する。
表面形状測定機10は、平板状の測定台12と、コラム14と、送り装置16と、X軸方向検出器18と、検出ユニット20と、コンピュータ22と、を有している。
測定台12の上面には、ワークWが不図示のワークホルダに保持された状態でセットされる。ワークホルダを用いることで、検出ユニット20に対するワークWの小穴9の姿勢(向き)を任意に調整することができる(図9等参照)。なお、ワークホルダを介さずに、ワークWを測定台12の上面に直接セットしてもよい。
また、測定台12の上面には、Z軸方向(上下方向)に延びたコラム14が設けられている。このコラム14には、送り装置16がZ軸方向に移動自在に取り付けられている。
送り装置16は、本発明の水平移動部に相当するものであり、ホルダ17をX軸方向に移動自在に保持する。また、送り装置16にはX軸方向検出器18が設けられている。
X軸方向検出器18は、例えばX軸方向(左右方向)に延びたリニアスケールと、このリニアスケールを光学的又は磁気的等の各種方法で読み取る読取ヘッドとを有する。X軸方向検出器18は、送り装置16によりX軸方向に移動されるホルダ17のX軸方向の変位(変位方向及び変位量)を検出することで、後述の検出ユニット20(測定子30等)のX軸方向の変位を検出する。そして、X軸方向検出器18が検出した検出信号は、X軸方向検出器18からコンピュータ22へ出力される。なお、X軸方向検出器18として、スケール型検出器以外の検出器を用いてもよい。
ホルダ17には、検出ユニット20が設けられている。これにより、検出ユニット20は、ホルダ17を介して送り装置16にX軸方向に移動自在に保持される。また、検出ユニット20は、ホルダ17及び送り装置16を介して、コラム14によりZ軸方向に位置調整自在に保持される。
図3は検出ユニット20の正面図である。図4は検出ユニット20のX軸方向に沿った断面図である。図3及び図4に示すように、検出ユニット20は、揺動支点26と、アーム28と、測定子30と、付勢部材32と、Z軸方向検出器34と、姿勢変更機構36と、ストッパ38と、これら各部を収納又は保持するケース40と、を備える。
揺動支点26は、水平で且つY軸方向に平行な回転軸(揺動軸)を備える。この揺動支点26は、アーム28を揺動自在に支持する。
アーム28は、揺動支点26に揺動自在に支持されるアーム本体部28aと、アーム本体部28aからケース40外に向けてX軸方向の左方向側(測定子30側或いはワークW側)に延びたアーム先端部28bと、アーム本体部28aからX軸方向の右方向側に延びたアーム基端部28cと、を備える。アーム先端部28bの先端側には、測定子30が設けられている。また、アーム基端部28cには、後述のZ軸方向検出器34の一部を構成するコア42が設けられている。
測定子30は、略棒状に形成されており、その基端部である測定子基端部30aと、その先端部である測定子先端部30bとを有している。測定子基端部30aはアーム先端部28bの先端に保持される。
図5は、測定子先端部30bの拡大図である。図5に示すように、測定子先端部30bには触針44及びガイドボール46が設けられている。具体的に測定子先端部30bには、測定子30が小穴9内に挿入された場合において、既述の被測定領域MRに対向する側に触針44が設けられ、且つ既述の対向領域CRに対向する側(触針44の形成側とは反対側)にガイドボール46が設けられている。
触針44は、測定子30の長手方向に対して垂直又は斜め方向(Z軸方向の略下方側)に突出した下向き触針である。なお、触針44の突出方向は、図5に示した例に限定されず、適宜調整可能である。また、触針44の長さについても、小穴9内に挿入可能な長さであれば特に限定はされない。
ガイドボール46は、測定子先端部30bに転動自在に取り付けられている。このガイドボール46の外面により、測定子先端部30bの触針44の形成側とは反対側が凸曲面で構成される。そして、詳しくは後述するが、ガイドボール46は対向領域CRに接触して転動(対向領域CR上を滑動)する。
図3及び図4に戻って、測定子30は、アーム28を介して揺動支点26に揺動自在に支持される。これにより、小穴9内に挿入された測定子30は、揺動支点26を中心する回転方向のうち、触針44の形成側(被測定領域MR側)に回転する第1回転方向SW1と、第1回転方向SW1とは反対側(ガイドボール46が対向領域CRに向けて変位する側)に回転する第2回転方向SW2とに揺動される。
また、検出ユニット20のケース40は、ホルダ17を介して送り装置16によりX軸方向(揺動支点26の軸方向に垂直な水平方向)に水平移動される。具体的に送り装置16は、ケース40をX軸方向のうち、測定子30が設けられている側の第1水平方向HR1に水平移動させる第1移動処理と、第1水平方向HR1とは反対側の第2水平方向HR2とに水平移動させる第2移動処理と、を行う。第1水平方向HR1は、ワークWの小穴9内に測定子30を挿入する挿入方向であり、本実施形態ではX軸方向の左方向である。また、第2水平方向HR2は、ワークWの小穴9内に挿入された測定子30を小穴9から引き抜く引抜方向であり、本実施形態ではX軸方向の右方向である。
従って第1移動処理は、測定子先端部30b(触針44)を小穴9の奥側に位置する被測定領域MRの測定開始位置まで移動させるための処理である。また、第2移動処理は、測定開始位置に移動された測定子先端部30bの触針44により被測定領域MRをトレースさせるための処理である。
付勢部材32は、本発明の第1付勢部材に相当するものであり、アーム基端部28cをZ軸方向の上方側に第1付勢力で付勢する。この付勢部材32としては、例えばコイルバネ及び板バネ等の各種バネが用いられる。なお、バネ以外の公知の付勢方法でアーム基端部28cの付勢を行ってもよい。これにより、アーム28及び測定子30は、揺動支点26を中心として、付勢部材32により第1回転方向SW1に第1付勢力で付勢される。
Z軸方向検出器34は、線形可変差動変圧器(Linear Variable Differential Transformer:LVDT)であり、既述のアーム基端部28cに設けられたコア42と、ケース40内に設けられたコイル48とにより構成される。
コア42は、アーム基端部28cの下面側に固定され、且つZ軸方向の略下方側に延びた形状の鉄心である。コイル48は、ケース40内においてアーム基端部28cの下面に対向する位置に設けられている。コイル48にはその内部にコア42が非接触で挿入される。コイル48は、図示は省略するが、一次コイルと、2種類の二次コイルとにより構成されている。コイル48の一次コイルが後述のコンピュータ22の制御の下で励磁されると、2種類の二次コイルからコア42のZ軸方向の位置(変位)を示す信号が出力される。その結果、揺動支点26、測定子30(触針44)、及びコア42の位置関係と、Z軸方向検出器34で検出されたコア42のZ軸方向の位置とに基づき、アーム28及び測定子30(触針44)の揺動によるZ軸方向の変位を検出することができる。
Z軸方向検出器34が検出した検出信号は、このZ軸方向検出器34からインタフェース50を介してコンピュータ22へ出力される。なお、Z軸方向検出器34としてLVDT以外の公知の検出器を用いてもよい。
図6の符号6Aは姿勢変更機構36による付勢解除状態を説明する説明図であり、符号6Bは姿勢変更機構36による付勢状態を説明する説明図である。図6に示すように、姿勢変更機構36は、アーム28及び測定子30を第2回転方向SW2に付勢する付勢状態(符号6B参照)と、この付勢を解除した付勢解除状態(符号6A参照)とに切替可能である。
姿勢変更機構36は、アーム本体部28aに突き当てられる突き当てピン52と、コイルバネ54(本発明の弾性部材)と、押圧部56と、を備える。突き当てピン52及びコイルバネ54は本発明の第2付勢部材に相当し、押圧部56は本発明の付勢力切替部材に相当する。
突き当てピン52は、アーム本体部28aの中でアーム28を第2回転方向SW2に回転可能な位置に突き当てられている。また、突き当てピン52は、アーム本体部28aに突き当てられた状態で、ケース40によりピン長手軸方向(本例ではX軸方向)に変位自在に保持されている。
コイルバネ54は、アーム本体部28aに突き当てられる突き当てピン52の先端側とは反対の基端側に設けられている。
押圧部56は、コイルバネ54に対して突き当てピン52側(アーム本体部28a側)とは反対側に設けられており、後述のコンピュータ22の制御の下、コイルバネ54を突き当てピン52に向けて押圧する押圧位置(符号6B参照)と、この押圧を解除した押圧解除位置(符号6A参照)との間で移動する。押圧部56が押圧位置に移動すると、この押圧部56によりコイルバネ54がX軸方向に圧縮され、その弾性復元力により突き当てピン52がアーム本体部28a(測定子30)を第2回転方向SW2に付勢する。
この際に姿勢変更機構36では、コイルバネ54によりアーム28及び測定子30を第2回転方向SW2に付勢する第2付勢力が、既述の付勢部材32による第1付勢力よりも大きくなるように、コイルバネ54のバネ定数及び圧縮量等を調整している。これにより、押圧部56が押圧位置に移動された場合、すなわち姿勢変更機構36が付勢状態に切り替えられた場合、姿勢変更機構36による第2付勢力が付勢部材32による第1付勢力よりも大きくなるため、揺動支点26を中心としてアーム28及び測定子30が第2回転方向SW2に回転される(符号6B参照)。その結果、測定子先端部30bのガイドボール46が対向領域CRに当接し、且つ測定子先端部30bの触針44が被測定領域MRから離間する。
一方、押圧部56が押圧解除位置に移動された場合、すなわち姿勢変更機構36が付勢解除状態に切り替えられた場合、姿勢変更機構36による第2付勢力は、付勢部材32による第1付勢力よりも小さくなる(第2付勢力が零となる場合を含む)。このため、付勢部材32による第1付勢力よって、アーム28及び測定子30が揺動支点26を中心として第1回転方向SW1に回転される(符号6A参照)。その結果、測定子先端部30bの触針44が被測定領域MRに当接する。
図3及び図4に戻って、ケース40のワークWに対向する前面(正面)には、アーム28の揺動を妨げない位置にストッパ38が設けられている。ストッパ38は、検出ユニット20(測定子30)と一体にX軸方向に移動可能であり、X軸方向に平行で且つケース40から第1水平方向HR1に延びた棒形状を有している。このストッパ38の先端部は、第1水平方向HR1において測定子先端部30bとケース40との間に位置する。
具体的に、ストッパ38の先端部の位置、すなわちストッパ38の長さは、小穴9内に挿入された測定子先端部30b(触針44)が被測定領域MRの測定開始位置に到達した場合に、ストッパ38の先端部がワークWの例えば小穴9の開口周辺部に当接するように調整されている。これにより、測定子先端部30bの測定開始位置への位置決めを行うことができ、且つ測定子先端部30bを必要以上に小穴9の奥に挿入することが規制される。
また、ストッパ38は、図示は省略するがX軸方向に伸縮自在な構造を有している。これにより、ストッパ38を、ワークWの種類及び小穴9の種類(小穴9の長さ)等に応じて、測定子先端部30bの測定開始位置への位置決め及び小穴9内への過剰挿入防止の双方が可能な長さに調整することができる。
図1に戻って、コンピュータ22は、表面形状測定機10の各部の動作を統括制御すると共に、X軸方向検出器18及びZ軸方向検出器34の双方の検出信号に基づき小穴9の被測定領域MRの表面形状の解析を行う。また、コンピュータ22は、測定子30を小穴9の奥に挿入する際に、測定子先端部30bの位置を検出する。このコンピュータ22は、演算装置58と、モニタ60と、キーボード及びマウス等の操作部62と、を有する。
演算装置58は、CPU(central processing unit)を含む各種演算処理回路とメモリ等の記憶媒体とを有し、操作部62の入力操作に応じた表面形状測定機10の各部の動作制御と、被測定領域MRの表面形状の解析と、測定子先端部30bの位置の解析と、を行う。モニタ60は、被測定領域MRの表面形状の検出結果と、測定子先端部30bの位置検出結果とを表示する。
[演算装置の機能]
図7は、演算装置58の機能ブロック図である。図7に示すように、演算装置58は、予め記憶された所定の制御プログラムを実行することで、記憶部64、移動制御部66、姿勢変更制御部68、検出結果取得部70、及び解析処理部72として機能する。
記憶部64には、上述の制御プログラムが記憶されている他、設計値記憶部64a及び測定データ記憶部64bが設けられている。
設計値記憶部64aには、測定対象のワークWの既知の設計情報、すなわち、小穴9の設計情報が予め記憶されている。この小穴9の設計情報には、例えば、被測定領域MR及び対向領域CRの平坦部(平滑部)の設計情報(幅寸法等)と、各段差部Dの設計情報(幅寸法、高さ寸法、及び傾斜角度等)とが含まれている。この設計値記憶部64aに記憶されている小穴9の設計情報は、解析処理部72による測定子先端部30bの位置解析に用いられる。
移動制御部66は、操作部62への測定準備操作の入力に応じて、送り装置16を制御して、検出ユニット20(ケース40)を第1水平方向HR1に水平移動させる第1移動処理を行う。この第1移動処理は、操作部62への停止操作の入力がなされるまで継続する。なお、この停止操作は、後述するが、測定子先端部30bが小穴9の奥側にある被測定領域MRの測定開始位置まで到達した場合に実行される。
また、移動制御部66は、操作部62への測定開始操作の入力に応じて、送り装置16を制御して、検出ユニット20を第2水平方向HR2に水平移動させる第2移動処理を行う。この第2移動処理についても、操作部62への停止操作の入力がなされるまで継続する。
姿勢変更制御部68は、押圧部56を押圧位置と押圧解除位置とに移動させることにより、姿勢変更機構36を、図6に示した付勢状態(符号6B参照)と付勢解除状態(符号6A)とに切替制御する。具体的に姿勢変更制御部68は、送り装置16による第1移動処理が実行される場合は、押圧部56を押圧位置に移動させることにより、姿勢変更機構36を付勢状態に切り替える。これにより、小穴9内の測定子30は揺動支点26を中心として第2回転方向SW2に回転されるため、測定子先端部30bのガイドボール46が小穴9の内面9Bの対向領域CRに接触し、且つ測定子先端部30bの触針44が被測定領域MRから離間する。
また、姿勢変更制御部68は、送り装置16による第2移動処理が実行される場合、例えば操作部62への測定開始操作の入力に応じて、押圧部56を押圧解除位置に移動させることにより、姿勢変更機構36を付勢解除状態に切り替える。これにより、小穴9内の測定子30は揺動支点26を中心として第1回転方向SW1に回転されるため、測定子先端部30bの触針44が小穴9の内面9Bの被測定領域MRに接触する。
検出結果取得部70は、X軸方向検出器18及びZ軸方向検出器34の作動を制御する。この検出結果取得部70は、送り装置16により第1移動処理と第2移動処理とがそれぞれ実行されている場合に、X軸方向検出器18及びZ軸方向検出器34からそれぞれ検出信号を取得して、解析処理部72へ出力する。
解析処理部72は、測定子先端部30bの位置の解析を行う位置解析部72aと、被測定領域MRの表面形状の解析を行う表面形状解析部72bとして機能する。
位置解析部72aは、例えば送り装置16による第1移動処理が実行されている場合に、検出結果取得部70から入力されるX軸方向検出器18及びZ軸方向検出器34の双方の検出信号に基づき、既述の設計値記憶部64aを参照して、測定子先端部30bの位置を解析する。
具体的に、送り装置16による第1移動処理が実行されている場合、測定子30は揺動支点26を中心として第2回転方向SW2に回転されるため、測定子先端部30bはガイドボール46を介して対向領域CRに接触する。そして、測定子30の第1水平方向HR1の移動に応じてガイドボール46が対向領域CR上を転動(滑動)することで、測定子先端部30bが対向領域CRに沿って小穴9の奥側に移動する。そこで、位置解析部72aは、X軸方向検出器18及びZ軸方向検出器34の双方の検出信号から、対向領域CRの表面に沿って移動する測定子先端部30bの第1水平方向HR1の変位及びZ軸方向の下方側への変位を検出する。
一方、設計値記憶部64aには、既述の通り小穴9の設計情報が記憶されている。このため、位置解析部72aは、小穴9の設計情報を参照することで、例えば測定子先端部30bがZ軸方向の下方側に急激に変位した場合に、この変位の原因が段差部Dによるものであると判別することができる。従って、位置解析部72aは、測定子先端部30bの第1水平方向HR1の変位及びZ軸方向の下方側への変位と、小穴9の設計情報とを比較することで、小穴9内での測定子先端部30bの位置を解析することができる。
また、位置解析部72aは、例えば送り装置16による第2移動処理が実行されている場合にも同様に、検出結果取得部70から入力されるX軸方向検出器18及びZ軸方向検出器34の双方の検出信号に基づき、既述の設計値記憶部64aを参照して、測定子先端部30bの位置を解析することができる。
位置解析部72aによる測定子先端部30bの位置の解析結果は、モニタ60に表示される。これにより、オペレータは、モニタ60に表示される測定子先端部30bの位置解析結果に基づき、第1移動処理及び第2移動処理をそれぞれ停止させるための停止操作を行うタイミングを判別することができる。
なお、小穴9(ワークW)の設計情報については、設計値記憶部64aに記憶させる代わりに、外部(サーバ、他の表面形状測定機10、メーカ)から各種情報記録媒体或いは通信ネットワークを介して取得してもよい。
表面形状解析部72bは、送り装置16による第2移動処理が実行されている場合に作動する。なお、送り装置16による第2移動処理が実行されている場合、測定子30は揺動支点26を中心として第1回転方向SW1に回転されるため、測定子先端部30bの触針44が被測定領域MRに接触する。そして、測定子30の第2水平方向HR2の移動に応じて触針44が被測定領域MRをトレースする。従って、表面形状解析部72bは、検出結果取得部70から入力されるX軸方向検出器18及びZ軸方向検出器34の双方の検出信号に基づき、触針44がトレースした被測定領域MRの表面形状(表面粗さ等)を公知の方法で解析する。
また、表面形状解析部72bは、被測定領域MRの表面形状の解析結果を、被測定領域MRの表面形状の測定データとして測定データ記憶部64bに記憶させると共に、モニタ60に表示させる。
[表面形状測定機の作用]
図8は、表面形状測定機10によるワークWの小穴9の被測定領域MRの表面形状測定の流れを示すフローチャートである。図9は、図8に示したフローチャートのステップS2からステップS4を説明するための説明図である。図10は、図9の符号9Zに示した測定子先端部30bの拡大図である。図11は、図8に示したフローチャートのステップS6を説明するための説明図である。図12は、図8に示したフローチャートのステップS8からステップS9を説明するための説明図である。
図8に示すように、最初に、測定対象のワークWが不図示のワークホルダに保持された状態で測定台12の上面にセットされる(ステップS1)。なお、本実施形態では、被測定領域MRの表面形状測定時(第2移動処理時)に触針44が被測定領域MRに対して略垂直な姿勢で接触するように、ワークWの姿勢を調整している。また、本実施形態では、姿勢変更機構36が付勢状態に切り替えられた場合に、測定子先端部30bが小穴9の開口部9Aに対向するように、検出ユニット20のZ軸方向の位置が調整されている。
ワークWのセット後、オペレータは、操作部62に対して測定準備操作の入力を行う(ステップS2)。この測定準備操作を受けて、演算装置58の姿勢変更制御部68は、押圧部56を押圧位置に移動させることにより、姿勢変更機構36を付勢状態に切り替える(ステップS3)。姿勢変更機構36による第2付勢力が付勢部材32による第1付勢力よりも大きくなるため、既述の図6の符号6Bに示したように、揺動支点26を中心としてアーム28及び測定子30が第2回転方向SW2に回転される。また、測定準備操作を受けて、検出結果取得部70がX軸方向検出器18及びZ軸方向検出器34を作動させる。
姿勢変更機構36が付勢状態に切り替えられると、移動制御部66は、送り装置16を制御して、検出ユニット20(ケース40)を第1水平方向HR1に水平移動させる第1移動処理を開始する(ステップS4)。これにより、測定子30がその測定子先端部30bから小穴9の内部に挿入される。この際に、付勢状態の姿勢変更機構36により測定子30は揺動支点26を中心として第2回転方向SW2に回転付勢される。このため、図9の符号9Xに示すように、測定子先端部30bは、ガイドボール46を介して小穴9の内面9Bの対向領域CRに接触する。また、測定子先端部30bの触針44は、被測定領域MRから離間するため、触針44と被測定領域MRの段差部Dとの接触が防止される。その結果、触針44の破損が防止される。
そして、送り装置16による第1移動処理が継続すると、図9の符号9Yに示すように、ガイドボール46が対向領域CR上を転動(滑動)することにより、測定子先端部30bが対向領域CRに沿って小穴9の奥側に移動する。これにより、測定子先端部30bが、被測定領域MRに沿って小穴9の奥側へ挿入される。
また、第1移動処理が開始されると、検出結果取得部70は、X軸方向検出器18及びZ軸方向検出器34からそれぞれ検出信号を取得して、解析処理部72の位置解析部72aに出力する。そして、位置解析部72aは、検出結果取得部70から入力されるX軸方向検出器18及びZ軸方向検出器34の双方の検出信号に基づき、ワークWに対応する設計値記憶部64aを参照して、測定子先端部30bの位置を解析し、この解析結果をモニタ60へ出力する(ステップS5)。これにより、オペレータは、小穴9内での測定子先端部30bの位置を判別することができる。
以下、測定子先端部30b(触針44)が小穴9内の被測定領域MRの測定開始位置に到達するまで、既述のステップS4,S5の処理が繰り返し実行される(ステップS6でNO)。なお、被測定領域MRの測定開始位置は、揺動支点26よりもZ軸方向の下方側に位置するため、測定子先端部30bが対向領域CRに沿って測定開始位置に近づくのに従って、測定子30(アーム28)が姿勢変更機構36の第2付勢力に抗して第1回転方向SW1に徐々に回転する。
この際に、図9の符号9Z及び図10に示すように、対向領域CRには段差部Dが形成されているが、測定子先端部30bはガイドボール46を介して対向領域CRに接触している。このため、ガイドボール46が段差部Dに接触して転動(滑動)することで、測定子先端部30bの段差部Dへの引っ掛かりが防止される。そして、ガイドボール46が段差部Dに接触した状態で第1移動処理が継続すると、アーム28及び測定子30が姿勢変更機構36の第2付勢力に抗して第1回転方向SW1に回転することにより、ガイドボール46が段差部Dを乗り越えることができる。
図8及び図11に示すように、測定子先端部30bの位置が、被測定領域MRの測定開始位置に到達したか否かは、モニタ60に表示される測定子先端部30bの位置、或いはストッパ38の先端がワークWに当接したか否かに基づき判別することができる。
この際に、測定子先端部30bが被測定領域MRの測定開始位置に到達するのに合わせてストッパ38の先端部がワークWに当接するように、ストッパ38の第1水平方向HR1の長さを調整している。このため、測定子先端部30bが被測定領域MRの測定開始位置に到達した場合、ストッパ38の先端部がワークWに当接することにより、小穴9の奥への測定子先端部30bの過剰挿入が防止される。これにより、触針44の破損が防止される。
オペレータは、測定子先端部30bが被測定領域MRの測定開始位置に到達したと判断した場合(ステップS6でYES)、操作部62に対して第1移動処理の停止操作を行う。この停止操作を受けて送り装置16は第1移動処理を停止させる。
次いで、図8及び図12に示すように、オペレータが操作部62に対して測定開始操作を行うと、姿勢変更制御部68が押圧部56を押圧解除位置に移動させることにより、姿勢変更機構36を付勢解除状態に切り替える(ステップS7,S8)。これにより、付勢部材32の第1付勢力によってアーム28及び測定子30が揺動支点26を中心として第1回転方向SW1に回転される。その結果、触針44が被測定領域MRに接触する(ステップS9)。
次いで、移動制御部66は、送り装置16を制御して、検出ユニット20の測定子30を第2水平方向HR2に水平移動させる第2移動処理を開始する(ステップS10)。これにより、触針44が被測定領域MRに接触した状態のまま測定子30が第2水平方向HR2に水平移動される。その結果、測定開始位置から小穴9の開口部9Aに向かって、触針44による被測定領域MRのトレースが開始される。
送り装置16による第2移動処理が開始されると、検出結果取得部70は、X軸方向検出器18及びZ軸方向検出器34からそれぞれ検出信号を取得して、解析処理部72の位置解析部72a及び表面形状解析部72bに出力する。
位置解析部72aは、第1移動処理時と同様に、X軸方向検出器18及びZ軸方向検出器34の双方の検出信号に基づき、設計値記憶部64aを参照して、測定子先端部30bの位置を解析し、この解析結果をモニタ60へ出力する。これにより、オペレータは、小穴9内での測定子先端部30bの位置を判別することができる。そして、オペレータは、測定子先端部30bが被測定領域MRの測定終了位置(例えば開口部9Aの近傍)に到達した場合、操作部62に対して第2移動処理の停止操作を行う。この停止操作を受けて送り装置16は第2移動処理を停止させる。
一方、表面形状解析部72bは、検出結果取得部70から入力されるX軸方向検出器18及びZ軸方向検出器34の双方の検出信号に基づき、触針44がトレースした被測定領域MRの表面形状(表面粗さ等)を公知の方法で解析する(ステップS11)。そして、表面形状解析部72bは、被測定領域MRの表面形状の解析結果を、モニタ60に出力すると共に、被測定領域MRの表面形状の測定データとして測定データ記憶部64bに記憶させる。
[本実施形態の効果]
以上のように本実施形態の表面形状測定機10では、測定子30の第1移動処理を行う場合に、揺動支点26を中心としてアーム28及び測定子30を第2回転方向SW2に付勢するため、触針44との小穴9の内面9B(被測定領域MR)とを接触させることなく、測定子先端部30bを小穴9の奥に挿入することができる。その結果、触針44と内面9Bの段差部D等との接触が防止されるため、触針44を破損することなくワークWの小穴9の内面9Bの表面形状を測定することができる。
また、測定子先端部30bにガイドボール46を設け、第1移動処理時にガイドボール46を対向領域CRに接触させることにより、小穴9の内面9Bの対向領域CRに段差部Dが形成されている場合でも、測定子先端部30bが段差部Dに引っ掛かることが防止される。このため、測定子先端部30bを対向領域CRに沿って小穴9の奥に挿入することができる。その結果、触針44を破損することなく測定子先端部30bを、ワークWの小穴9の内面9Bにある被測定領域MRの測定開始位置まで移動させることができる。
[その他]
上記実施形態では、付勢部材32により揺動支点26を中心としてアーム28等を第1回転方向SW1に付勢しているが、付勢部材32の構成及びその位置は図4等に示した例に限定されるものではなく、アーム28等を第1回転方向SW1に付勢可能であれば適宜変更してよい。また、上記実施形態では、姿勢変更機構36により揺動支点26を中心としてアーム28等を第2回転方向SW2に付勢しているが、姿勢変更機構36の構成及びその位置は図4等に示した例に限定されるものではなく、付勢部材32の第1付勢力よりも大きな第2付勢力でアーム28等を第2回転方向SW2に付勢可能であれば適宜変更してよい。例えば、付勢部材32及び姿勢変更機構36として、バネ以外の弾性部材を用いたり、或いは磁石(電磁石を含む)の引力又は斥力を利用して付勢を行うものを用いたりしてもよい。
上記実施形態では、送り装置16によりケース40をX軸方向(第1水平方向HR1、第2水平方向HR2)に移動させることにより、測定台12(ワークW)に対してケース40(検出ユニット20)をX軸方向に相対移動させているが、測定台12をX軸方向に移動させることより、測定台12に対してケース40をX軸方向に相対移動させてもよい。なお、ケース40及びワークWの相対移動方法は特に限定されない。
上記実施形態の表面形状測定機10による測定処理では、オペレータが第1移動処理及び第2移動処理の停止操作を行っているが、予め測定開始位置及び測定終了位置を移動制御部66等に設定しておくことにより、位置解析部72aの解析結果を利用して、図8のステップS2からステップS11までの処理を自動で行ってもよい。すなわち、オペレータが、ワークWを測定台12にセットした後、1回の操作開始操作を行うだけで測定が自動で行われるようにしてもよい。なお、同種のワークWの2回目以降の測定については、公知の方法で作成した測定プログラムを実行することにより、自動で行ってもよい。
図13は、他実施形態のワークWAの側面図(符号13A参照)及び正面図(符号13B参照)である。上記実施形態では、表面形状測定機10によりワークWの小穴9の内面9Bの表面形状を測定する例を説明したが、例えば図13に示すように、ワークWAに形成された溝80の内面の被測定領域MRの表面形状を測定してもよい。この場合も、溝80の奥に測定子先端部30bを挿入する際に、揺動支点26を中心としてアーム28等を第2回転方向SW2に揺動させてガイドボール46を対向領域CRに接触させる。これにより、溝80の内面に段差部Dが形成されている場合でも、この段差部Dに触針44を接触して破損させることなく、測定子先端部30bを溝80の奥に挿入することができる。このように表面形状測定機10は、被測定領域MRと対向領域CRとを有する各種のワークWの内面(被測定領域MR)の形状を測定することができる。
上記実施形態では、被測定領域MR及び対向領域CRに段差部Dが形成されているが、段差部D以外の突起及び壁部等の各種障害物が形成されている場合であっても、障害物に触針44を接触させることなく、測定子先端部30bを被測定領域MRの測定開始位置まで挿入することができる。
上記実施形態では、測定子先端部30bにガイドボール46を転動自在に設けているが、第1移動処理時に対向領域CRに接触する凸曲面(球面及び円筒面等を含む)を有する各種形状の滑動部又は摺動部(球体、半球体、円筒体、及び半円筒体等)を測定子先端部30bに設けてもよい。
図14は、他の実施形態の測定子先端部30bの側面図である。図14に示すように、測定子先端部30bの先端面86を略凸曲面に構成することで、この先端面86を、対向領域CR上を滑動する滑動部(摺動する摺動部)として機能させるようにしてもよい。なお、先端面86については、段差部Dとの接触により測定子30に対して第1回転方向SW1に力を加えることを目的としているため、曲面状ではなく平面状(斜面状)に形成されていてもよい。
このように測定子先端部30bの触針44の形成側とは反対側、或いは測定子先端部30bの先端面86は、段差部D等の障害物を乗り越えることが可能な構造又は形状、すなわち、障害物との接触によりアーム28等に対して第1回転方向SW1に力を加えることが可能な構造又は形状であれば特に限定はされない。
上記実施形態では対向領域CRに段差部D等の障害物が形成されている場合を例に挙げて説明したが、対向領域CRに障害物が形成されていない場合、或いは障害物が測定子先端部30bの移動を妨げない程度の大きさである場合、測定子先端部30bにガイドボール46等を設けなくともよい。
上記実施形態では送り装置16により測定子30をX軸方向(第1水平方向HR1、第2水平方向HR2)に移動させているが、測定台12等をX軸方向に移動させることにより、ワークWに対して測定子30をX軸方向に相対移動させてもよい。
上記実施形態の表面形状測定機10は、ワークWの内面の表面形状のみならず、ワークWの外面(外表面)の表面形状の測定にも使用することができる。
上記実施形態では、送り装置16による測定子30の第1移動処理の際に、揺動支点26を基準として第2回転方向SW2に回転された測定子30の測定子先端部30bが、ガイドボール46を介して対向領域CRに接触しているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば測定子30の揺動可能範囲に対して穴9の直径が十分に大きい場合には、ガイドボール46が対向領域CRに接触することなく、測定子30が小穴9の奥に挿入される。
図15は他実施形態の小穴9の断面図である。上記実施形態では、ワークWの小穴9の直径が小穴9の奥方向側に向かって段階的に小さくなっているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば図15に示すように、小穴9の少なくとも一部の領域ARの直径が、その手前側(開口部9A側)の直径よりも大きくなるように形成されていてもよい。この場合においても、測定子先端部30bにガイドボール46を設け、第1移動処理時にガイドボール46を対向領域CRに接触させているので、測定子先端部30bが領域ARに引っ掛かることが防止される。
上記実施形態では、コンピュータ22により表面形状測定機10の各部の動作の統括制御と、被測定領域MRの表面形状の解析と、測定子先端部30bの位置の解析と、を行っているが、コンピュータ22と同様の機能を有する制御部が、表面形状測定機10の本体(測定台12及びコラム14等)に設けられていてもよい。また、この場合、被測定領域MRの表面形状の解析と、測定子先端部30bの位置の解析との少なくとも一方を外部のコンピュータ22等で行ってもよい。
9…小穴,
10…表面形状測定機,
16…送り装置,
18…X軸方向検出器,
20…検出ユニット,
22…コンピュータ,
26…揺動支点,
28…アーム,
30…測定子,
32…付勢部材,
34…Z軸方向検出器,
36…姿勢変更機構,
38…ストッパ,
44…触針,
46…ガイドボール,
72a…位置解析部,
72b…表面形状解析部

Claims (7)

  1. 揺動支点を中心として揺動自在に支持されるアームと、
    前記アームの先端部に設けられた棒状の測定子と、
    前記測定子の先端部に設けられ、前記測定子の長手方向に垂直又は斜め方向に延びる触針と、
    前記揺動支点を中心とする回転方向のうち、前記測定子が前記触針の形成側に回転する第1回転方向に向かって、前記アームを第1付勢力で付勢する第1付勢部材と、
    前記揺動支点を中心とする回転方向のうち、前記第1回転方向とは反対側である第2回転方向に向かって、前記アームを第2付勢力で付勢する第2付勢部材と、
    前記第2付勢部材を、前記第2付勢力が前記第1付勢力よりも大きくなる状態と、前記第2付勢力が前記第1付勢力よりも小さくなる状態とに切り替える付勢力切替部材と、
    を備える表面形状測定機。
  2. 前記第2付勢部材は弾性部材であり、且つ前記付勢力切替部材は前記第2付勢部材の前記アームとは反対側に設けられ、
    前記付勢力切替部材は、前記第2付勢部材を押圧した状態で前記第2付勢力を前記第1付勢力よりも大きくする押圧位置と、前記第2付勢部材の押圧を解除した状態で前記第2付勢力を前記第1付勢力よりも小さくする押圧解除位置との間で移動する請求項1に記載の表面形状測定機。
  3. 前記測定子の先端部で且つ前記触針の形成側とは反対側が、凸曲面で構成されている請求項1又は2に記載の表面形状測定機。
  4. 前記凸曲面は、前記測定子の先端部で且つ前記触針の形成側とは反対側に転動自在に取り付けられたガイドボールの外面により構成される請求項3に記載の表面形状測定機。
  5. 前記揺動支点、前記アーム、前記第1付勢部材、前記第2付勢部材、及び前記付勢力切替部材を保持するケースと、
    ワークがセットされる測定台と、
    前記測定台に対して前記ケースを、前記揺動支点の軸方向に垂直な水平方向のうち、前記測定子が設けられている側の第1水平方向に相対移動させる第1移動処理と、前記第1水平方向とは反対側の第2水平方向に相対移動させる第2移動処理とを行う水平移動部と、
    を備える請求項1から4のいずれか1項に記載の表面形状測定機。
  6. 前記ケースに設けられ、前記ケースから前記第1水平方向に延びた棒状のストッパを備え、
    前記ストッパの先端部は、前記第1水平方向において前記測定子の先端部と前記ケースとの間に位置する請求項5に記載の表面形状測定機。
  7. 前記ストッパは、前記第1水平方向に伸縮自在である請求項6に記載の表面形状測定機。
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