JP2019120407A - 無段変速機用の駆動ベルト用の横断セグメントおよび該横断セグメントを含む駆動ベルト - Google Patents

無段変速機用の駆動ベルト用の横断セグメントおよび該横断セグメントを含む駆動ベルト Download PDF

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Abstract

【課題】駆動ベルトにおけるリングスタックと横断セグメントとの間の高さ方向の隙間を、駆動ベルトの組み立てを妨害することなしに小さく形成する。【解決手段】リングスタック8と、リングスタックの周囲に沿って配置された複数の横断セグメント1とを備える駆動ベルト50用の横断セグメント1に関する。横断セグメントは、ベース部分10と、2つのピラー部分11と、2つのフック部分9を有している。これらのピラー部分はそれぞれ、高さ方向でベース部分のそれぞれの側から延びており、2つのフック部分は、それぞれ各ピラー部分から、それぞれ反対の側のピラー部分に向かう方向で延びている。本発明によれば、横断セグメントの一方のフック部分9は、横断セグメントの他方のフック部分9よりもベース部分に対して近傍に配置されている。【選択図】図2

Description

本開示は、2つのプーリと駆動ベルトとを備える無段変速機用の駆動ベルトの部分になるための横断セグメントに関する。このような駆動ベルトは一般的に公知であり、主に2つの変速機プーリの周囲に巻き掛けられてその間で走行するために用いられている。これらのプーリはそれぞれ、可変の幅を有するV字形の溝を画定しており、V字形の溝内において、駆動ベルトの各周縁部分が保持されている。
公知のタイプの駆動ベルトは、横断セグメントの実質的に連続した列を有している。これらの横断セグメントは、複数の無端のベルトまたはリングの周縁部に接触して取り囲むように取り付けられている。これらの無端のベルトまたはリングは、互いに組み付けられている、つまり半径方向で互いに重ねられている。横断セグメントはそれぞれ、中心開口を画定している。この中心開口は、駆動ベルトの半径方向の外側に向かって部分的に開いており、上述のようなリングスタックの各周縁区分を収容しかつ拘束する一方で、横断セグメントが、リングスタックの周囲に沿って移動することを可能にする。駆動ベルトのこの特別なタイプは、たとえば英国特許第1286777号明細書および欧州特許出願公開第1219860号明細書から公知である。
変速機において、駆動ベルトは2つのプーリの周囲に巻き掛けられて摩擦接触している。これらのプーリは、それぞれ可変の幅を有するV字形の溝を画定している。このV字形の溝内において、駆動ベルトの各部分が可変の半径において支持されている。変速機プーリにおいてこのようなベルト半径を変化させることにより、変速機の速度比が可変である。このタイプの変速機は広く公知であり、乗用車または別のエンジン車両のドライブトレインにおいて一般的に使用されている。
上記および下記の説明では、軸方向、半径方向および周方向は、環状に配置されているときの駆動ベルトに関して規定されている。横断セグメントの厚さ方向および厚さ寸法は、駆動ベルトの周方向で規定されており、横断セグメントの高さ方向および高さ寸法は、駆動ベルトの半径方向で規定されており、横断セグメントの幅方向および幅寸法は、駆動ベルトの軸方向で規定されている。リングスタックの厚さ方向および厚さ寸法は駆動ベルトの半径方向で規定されており、リングスタックの幅方向および幅寸法は駆動ベルトの軸方向で規定されており、リングスタックの長さ方向および長さ寸法は、駆動ベルトの周方向で規定されている。上下方向および上下位置は、重力の方向に関連して、つまり鉛直方向に関連して規定されている。
横断セグメントの中心開口は、横断セグメントの、中心開口の半径方向内側に配置されたベース部分と、横断セグメントの、ベース部分のそれぞれの軸方向側からそれぞれ半径方向外方へと延びる2つのピラー部分と、2つのフック部分との間に画定されている。2つのフック部分はそれぞれ、それぞれのピラー部分から軸方向で中心開口の一部にわたって延びている。これらのフック部分の間の軸方向のギャップは、駆動ベルトの組立て時に横断セグメントをリングスタック上に取り付けることを可能にする。したがって、駆動ベルトの運転中に、ベース部分の上面、つまり半径方向外側の面は、リングスタックの半径方向内側からリングスタックに係合するので、フック部分の底面、つまり半径方向内側の面は、リングスタックを半径方向外方に向かう方向で、横断セグメントの中心開口に拘束する。
両方のピラー部分には、横断セグメントの後面から厚さ方向に突出する突起またはピンと、それぞれのピラー部分の反対の側、つまり横断セグメントの後面の対応する孔とが設けられている。駆動ベルトにおいて、第1の横断セグメントのピンが、隣接する第2の横断セグメントの孔内に、その間に設けられた制限された隙間を伴って収容されている。互いに隣接し合う横断セグメントの連続した対のピンと孔との間のこのような相互作用により、駆動ベルトの横断セグメント間の相対運動は、周方向に対して垂直なあらゆる方向で防止されている。
駆動ベルトを組み立てるために、つまり、横断セグメントをリングスタック上に取り付けるために、横断セグメントは、まず、リングスタックに向かって相対的に回転された向きで移動され、これによりリングスタックは、ピラー部分のうちの第1のピラー部分を超えることができる一方で、リングスタックの一方の軸方向側が、反対に位置する第2のピラー部分のフック部分と、ベース部分との間に挿入されている。その後に、横断セグメントは、リングスタックと軸方向で整合するように回転させられる。このためには、リングスタックの他方の軸方向側が、上述の第1のピラー部分のフック部分を超える必要がある。組み立てられた駆動ベルトにおいて、駆動ベルトの横断セグメントは、相互に隣接し合う横断セグメントのピンと孔との間の上記の相互作用により実質的に軸方向で整合して維持されている。
駆動ベルトのこのような取付け、ひいては組立てを可能にするために、ベース部分の上面と、フック部分の下面との間の半径方向間隔は、比較的大きくなければならない。特に、このような間隔は、リングスタックと横断セグメントのピラー部分との間で妨害が生じることなしに、横断セグメントのフック部分とベース部分との間にリングスタックが挿入されることを可能にするために十分に大きくなければならない。結果として、組み立てられた駆動ベルトの横断セグメントのベース部分の上面にリングスタックが載置している場合に、フック部分とリングスタックとの間には比較的に大きな隙間が存在している。一方では、変速機における駆動ベルトの性能を最適化する観点において、典型的には小さな半径方向の隙間が好まれる。たとえば、小さな半径方向の隙間は、リングスタックに対して相対的な横断セグメントの回転を制限することを支援する。このことは、運転中に駆動ベルトと変速機プーリとの間の衝撃力を制限することによって、駆動ベルトの耐久性を向上させることが判った。
理論的には、横断セグメントのフック部分とベース部分との間の半径方向間隔を減少させることが可能であるが、このことは、駆動ベルトの組立てのために、リングスタックに対して相対的にこれらのフック部分の軸方向での張出しを制限することを要求する。軸方向の最小限の張出しは、運転中の駆動ベルトの完全性を確実に保証するために常に要求される。したがって、本開示の根底を成す課題は、横断セグメントの設計における上述の半径方向間隔を、好適には横断セグメントのフック部分とリングスタックとの間の上述の張出しを減じる必要なしに、減じることにある。
本開示によれば、横断セグメントのフック部分は、半径方向で見てベース部分から互いに異なる間隔に配置されている、つまり、ベース部分に対して、半径方向で互いに異なる距離に設けられている。横断セグメントの一方の軸方向側では、このような半径方向間隔は、リングスタックの自由な挿入を可能にするために十分に大きく設けられている。このことは、リングスタックへのセグメントの取付けのために、かつ取付け中に要求される。これに対して横断セグメントの他方の軸方向側では、この半径方向間隔はより小さく設けられている。駆動ベルトおよび特にその横断セグメントのこの新規の設計は、横断セグメントをリングスタック上に取り付けるために、リングスタックがまず、横断セグメントの一方の軸方向側のみで、横断セグメントのフック部分とベース部分との間に、相対的に回転された向きで挿入されるという洞察に基づいている。リングスタックは、次いでベース部分の反対に位置する軸方向側で他方のフック部分を超えて回動させられ、このベース部分と軸方向で整合された後にのみ、この他方のフック部分とベース部分との間でスライドさせられる。したがって、この他方のフック部分とベース部分との間の半径方向間隔は小さくてもよく、これにより駆動ベルトにおいて、この他方のフック部分とリングスタックとの間の半径方向の隙間も比較的小さくなり、特に、リングスタックと横断セグメントの反対の側に位置するフック部分との間の半径方向の隙間よりも小さくなる。本開示によれば特に、大小2つの半径方向隙間のうちの小さな半径方向の隙間は、好適には0.3mmよりも小さく、好適には0.2mmよりも小さい一方で、大きな半径方向の隙間は、好適には0.3mmよりも大きく、好適には0.4mmよりも大きい。
好適には2つのタイプの横断セグメントが駆動ベルトにおいて組み合わせられる。2つのタイプの横断セグメントの間で、それぞれのフック部分とベース部分との間の小さな半径方向間隔は、ベース部分の互いに反対に位置する軸方向側に設けられている。したがって、第1のタイプの横断セグメントでは、たとえばその右側のフック部分は、その左側のフック部分よりもベース部分に対して近傍に設けられており、この場合、第2のタイプの横断セグメントは、右側のフック部分よりもベース部分に対して近傍に設けられた左側のフック部分を有している、これら2つのタイプの横断セグメントが、リングスタックの互いに異なる軸方向側から、相対的に回動された向きでリングスタックに向かって移動されて、リングスタック上に取り付けられる。より好適には、これら2つのタイプの横断セグメントは、駆動ベルトの横断セグメントの上述の列に互いに連続して配置されているので、対称的な駆動ベルト設計が、少なくとも、2つの異なるタイプの横断セグメントが使用されているという制約の範囲内で、好適にはできるだけ最良に近づけられる。
本開示による新規の横断セグメントを図面に関連してさらに説明する。
リングスタックおよびこのリングスタックの周囲に沿ってリングスタックに取り付けられた横断セグメントの列から成る駆動ベルトと、2つのプーリとを備える変速機の簡略化された概略的な側面図である。 公知の形式による駆動ベルトを、その周方向に向いた横断面で示す概略図であり、駆動ベルトの横断セグメントのみの別個の側面図を含んでいる。 駆動ベルトの組み立ての部分として、リングスタック上への横断セグメントの取り付けのプロセスを示す概略図である。 本開示による新規の横断セグメントを概略的に示す正面図である。 2つのタイプの横断セグメントを含む本開示による新規の駆動ベルトを示す概略図である。
図1は、たとえば乗用自動車の動力伝達経路において使用するための無段変速機51の中心部分をその横断面で概略的に図示している。この変速機51はよく知られており、少なくとも1つの第1の可変プーリ52と、第2の可変プーリ53とを有している。動力伝達経路において、第1のプーリ52は、電動モータまたは燃焼エンジンのような原動機に連結され、かつこれにより駆動されており、第2のプーリ53は、典型的には複数のギアを介して自動車の被駆動輪に連結され、かつこれを駆動している。
各トラスミッションプーリ52,53は典型的には、それぞれのプーリ52,53のプーリシャフト54,55に固定されている第1の円錐形プーリシーブと、それぞれのプーリシャフト54,55に対して相対的に軸方向に移動可能であり、かつそれぞれのプーリシャフトに回転方向でのみで固定されている第2のプーリシーブとを有している。変速機51の駆動ベルト50は、プーリ52,53の周囲に巻き掛けられている一方で、プーリのプーリシーブの間に収容されている。図1から判る用に、変速機51における駆動ベルト50の軌道は、2つの直線部分STと、2つの湾曲部分CTとを含んでおり、駆動ベルト50は、2つの変速機プーリ52,53のそれぞれ1つの周囲に巻き掛けられている。駆動ベルト50は、リングスタック8と、複数の横断セグメント1から構成されている。複数の横断セグメント1は、少なくとも実質的に連続した列で、リングスタックの周囲に沿ってリングスタック8に取り付けられている。単純にするために、図1にはこれらの横断セグメント1のうちの幾つかしか示していない。さらにこれらの横断セグメント1は、たとえばプーリ52,53の直径に関して正しい縮尺で示されていない。
駆動ベルト50において、横断セグメント1は、リングスタック8の周囲に沿って可動である。このリングスタック8は、典型的には、相互に組み付けられた比較的薄くフレキシブルである無端の複数の金属ベルトまたはリングにより構成されている。変速機51の運転中に、駆動ベルト50の横断セグメント1は、第1のプーリ52によって、このプーリ52の回転方向に摩擦により駆動され得る。この駆動された横断セグメント1は駆動ベルト50のリングスタック8の周囲に沿って先行する横方向セグメメント1を押圧し、最終的には第2のプーリ53をやはり摩擦により回転駆動させる。横断セグメント1と変速機プーリ52,53との間でこのような摩擦(力)を形成するために、各プーリ52,53の上述のプーリシーブは、互いに向かって押圧され、これにより、ここでは横断セグメントの軸方向で横断セグメント1に圧迫力が加えられる。この目標を達成するために、各プーリ52,53の可動のプーリシーブに作用する、電気的にコントロール可能かつ液圧式に作用する移動手段(図示せず)が変速機51において設けられている。これらの移動手段は、プーリ52,53において駆動ベルト50のそれぞれの半径方向位置R1およびR2を制御し、したがってプーリ52,53のプーリシャフト54,55の間で変速機51により提供される速度比を制御する。
図2には、公知の駆動ベルト50が概略的に図示されている。図2に左側には、駆動ベルト50が横断面で示されており、図2の右側には、駆動ベルト50の横断セグメント1だけの側面図が含まれている。図2からは、駆動ベルト50の横断セグメント1が概して「V」字に類似して形成されていることが判る。つまり、横断セグメント1は、概してV字形である。言い換えると、横断セグメント1の、変速機プーリ52,53と(摩擦)接触する側面12は、それらのプーリ52,53の円錐形プーリシーブの間で存在する角度にほぼ一致する角度で、相互に配向されている。横断セグメント1のプーリ接触面12は、微視的なプロフィールにより波形に形成されているか、または粗い表面構造を提供されている。これにより、波形プロフィールまたは表面粗さの高い位置にある頂点のみが変速機プーリ52,53と接触するようになっている。横断セグメント設計のこの特別な特徴は、波状プロフィールまたは表面粗さの低い位置にある部分に公知の変速機51において使用される冷却オイルが収容されることを可能にすることによって、駆動ベルト50と変速機プーリ52,53との間の摩擦が最適化されているようにする。
各横断セグメント1は、ベース部分10と2つのピラー部分11とを画定している。それらのうち、ベース部分10は、主に駆動ベルト50の軸方向に延びており、各ピラー部分11は、ベース部分のそれぞれの軸方向側から、主に駆動ベルト50の半径方向に延びている。各横断セグメント1は、その厚さ方向において、前面2と後面3との間で延びており、これらの前面2および後面3は両方とも、少なくとも概して駆動ベルト50の周方向に向けられている。各横断セグメント1のピラー部分11とベース部分10との間で中心に開口5が画定されている。この場合、リングスタック8の周縁区分が収容されている。半径方向外方に向かって、中心開口5は、横断セグメント1の2つのフック部分9によって部分的に閉じられている。各フック部分は、それぞれのピラー部分11から軸方向で、それぞれ反対の側にあるピラー部分11に向かって延びている。したがって、フック部分9の、半径方向内側に向かった面部分、つまり下面14は、半径方向外方に向かう方向で横断セグメント1の中心開口5にリングスタックを拘束する。中心開口5の半径方向内側の境界線を形成する、ベース部分10の周面の半径方向外方に向かった部分、つまり上面13は、半径方向内側からリングスタック8を支持し、以下では支持面13と呼ばれる。この支持面13は、運転中、つまり変速機51における駆動ベルト50の回転中に、リングスタック8のセンタリングされた好適な整列を促進するために、典型的には凸状に湾曲されているか、または頂部を形成されている。
横断セグメント1の両方のピラー部分11には、横断セグメント1の前面2から厚さ方向で突出するピン6と、それぞれのピラー部分11の反対の側、つまり横断セグメント1の後面3に設けられた対応する孔7とが設けられている。駆動ベルト50において、第1の横断セグメント1のピン6が、隣接する第2の横断セグメント1の孔7内に収容されている。隣接し合う横断セグメント1のピン6と孔7とのこの係合により、横断セグメント1は、互いに連結し、少なくとも半径方向で、しかし典型的には軸方向でも駆動ベルト50における横断セグメント1の上述の列において互いに整列する。
駆動ベルト50の横断セグメント1の上述の列において、第1の横断セグメント1の前面2の少なくとも一部は、隣接する第2の横断セグメント1の後面3の少なくとも一部に接触する。接触している横断セグメント1は、互いに対して相対的に傾動することができる一方で、横断セグメント1の前面2の軸方向に延びる凸状に湾曲された面部分4における相互の接触は維持される。この面部分4は、以下に傾動エッジ4と呼ばれる。図2に示した横断セグメント1の側面図において判るように、このような傾動エッジ4の下側、つまり半径方向内方で、横断セグメント1は先細りさせられている。これにより、横断セグメントの傾動エッジ4の下側で接触している横断セグメント1同士のそれぞれのベース部分10間での妨害なしに、このような相対的な傾動を可能にする。図2では、傾動エッジ4が横断セグメント1のベース部分10に配置されているが、横断セグメント1のピラー部分11に、つまり軸方向で分離されているが、半径方向で整列した2つの傾動エッジ区分に傾動エッジ4を少なくとも部分的に配置することも公知である。
横断セグメント1のフック部分9の間の軸方向のギャップは、駆動ベルト50を組み立てるときに、横断セグメント1をリングスタック8に取り付けることを可能にする。この組立てステップを、図3に概略的に図示する。しかし図3では、リングスタック8は、1つの実線の輪郭8Bと、3つの破線の輪郭8A、8Cおよび8Dとで示される、横断セグメント1に対して相対的な4つの位置で示されている。実際には横断セグメント1をリングスタック8に取り付けるときに、横断セグメント1が操作され、リングスタック8が固定された位置に保持されている。
図3では、横断セグメント1が、まず、リングスタック8に向かって相対的に回転された向きで移動されている。これにより、リングスタック8(輪郭8A)は、左側の第1のピラー部分11−lを超えて、反対の側、または右側のピラー部分11−rのフック部分9−rと、横断セグメント1のベース部分10との間に所定の角度で挿入されている(輪郭8B)。その後に、横断セグメント1は、リングスタック8に軸方向で整合するように回転させられる(輪郭8D)。このためには、リングスタック8の反対に位置する軸方向側が、左側の第1のピラー部分11−lのフック部分9−lを超える必要がある(輪郭8C)。横断セグメント1のフック部分9の下面14と、ベース部分10の支持面13との間の、半径方向の最小の相互間隔MRSで横断セグメント1のフック部分9とベース部分10とが設けられている。この相互間隔は、所定の角度でのリングスタック8の挿入を可能にし、この角度は、幾何学的な考慮により規定されてもよく、少なくとも挿入角度、リングスタック8の厚さおよび中心開口5上でのフック部分9の軸方向の延在長さまたは張出しに比例する。
公知の駆動ベルト50の実際の設計では、フック部分9とベース部分10との間の実際の相互間隔は、少なくともほぼ実質的に、その最小値MRSを上回らない。なぜならば、リングスタック8と横断セグメント1との間の半径方向間隙は、好適にはできるだけ小さく実現されているからである。本開示によれば、図4に示すように、横断セグメント1の2つのフック部分9;9−l,9−rを、ベース部分10からのそれぞれ異なる実際の半径方向間隔ARS−l,ARS−rに配置することによって、後者の観点において改善が行われ得る。
特に、ベース部分10と横断セグメント1の左側のフック部分9−lとの間の実際の半径方向間隔ARS−lおよびベース部分10と横断セグメント1の右側のフック部分9−rとの間の実際の半径方向間隔ARS−rは、横断セグメント1の一方の軸方向側のみで上述の最小の半径方向間隔MRSに一致して設けられている。横断セグメント1の、それぞれ反対の側に位置する軸方向側では、このような実際の半径方向間隔ARS−lは、小さく形成されている。これにより、駆動ベルト50における、これらの間の半径方向の隙間も好適には小さくなる。
図4に図示された新規の横断セグメント1の特定の実施例では、右側のフック部分9−rのみが、上述の最小半径方向間隔MRSに一致する実際の半径方向間隔ARS−rにおいてベース部分10に対して相対的に配置されている一方、左側のフック部分9−lは、ベース部分10に対してより近傍に、すなわちより小さな実際の半径方向間隔ARS−lにおいて配置されている。横断セグメント1のこの実施形態では、リングスタック8上に横断セグメント1を取り付けるときに、リングスタック8の破線の輪郭8−Cにより示されているように、リングスタック8は右側のフック部分9−rとベース部分10との間に挿入されている。
当然のことながら、横断セグメント1の択一的な実施形態では、横断セグメント1に、ベース部分10に対してより近傍に配置された右側のフック部分9−rが設けられている一方で、駆動ベルト50を組み立てるときに、リングスタック8を収容することができるように、その左側のフック部分9−lがベース部分10からより離れて配置されていていてもよい。実際に、このような両実施形態、つまり新規の横断セグメント1のこれら両方のタイプI,IIが、図5に図示されているように、駆動ベルト50において組み合わせられていると有利である。
図5には、駆動ベルト50が、2つのタイプI,IIの横断セグメント1から組み立ててられていることを図示している。タイプIの横断セグメント1は、右側のフック部分9−rよりもベース部分10に対して近傍に配置されている左側のフック部分9−lを備えるように画定されているのに対して、タイプIIの横断セグメント1は、左側のフック部分9−lよりもベース部分に対して近傍に配置されている右側のフック部分9−rを備えるように画定されている。実際に、タイプI,IIの横断セグメントは、軸方向で互いに鏡像対称的に形成されている。これらの2つのタイプI,IIの新規の横断セグメント1が、リングスタック8の互いに反対に位置する軸方向側からリングスタック8に取り付けられていることが明らかである。特に、タイプIの横断セグメント1は、リングスタック8の右側から取り付けられ、タイプIIの横断セグメント1は、リングスタック8の左側から取り付けられている。
結果として、リングスタック8は、好適には横断セグメント1の両方の軸方向側において等しい量で、(2つのタイプI,IIの)横断セグメント1の中心開口5内に半径方向で拘束されている。特に、リングスタック8と横断セグメント1との間の半径方向の隙間は、横断セグメント1の両軸方向側で、(2つのタイプI,IIの)軸方向セグメント1のベース部分10とフック部分9;9−l、9−rとの間の小さな間隔により画定されている。好適にはこれら2つのタイプI,IIの横断セグメント1は、駆動ベルト50の横断セグメント1の列において相互に連続して配置されている。
本開示は、前記説明の全体および添付図面の全ての詳細に加えて、添付の特許請求の範囲の全ての特徴にも関しかつこれらの特徴を含む。請求項における括弧書きの符号は、請求項の範囲を限定するのではなく、単に、それぞれの特徴の拘束しない例として提供されている。請求項に記載された特徴は、場合によって、任意の製品または任意の方法において別々に適用することができるが、これらの特徴の2つ以上のあらゆる組合せを適用することが可能であり得る。
本開示によって表された発明は、明細書に明示的に言及された実施の形態および/または実施例に限定されるのではなく、その補正、変更および実用的な適用、特に当業者の手の届くものも包含する。

Claims (4)

  1. リングスタック(8)と、該リングスタック(8)の周囲に沿って配置された複数の横断セグメント(1)とを備える駆動ベルト(50)用の横断セグメント(1)であって、
    前記横断セグメント(1)は、ベース部分(10)と2つのピラー部分(11)とを有し、前記ピラー部分(11)は、前記ベース部分(10)のそれぞれの側から高さ方向に延びていて、前記ピラー部分(11)の間に前記横断セグメント(1)の中心開口(5)が、前記リングスタック(8)を収容するように画定されており、前記中心開口(5)は、前記横断セグメント(1)の2つのフック部分(9)により上方に向かう方向で部分的に閉じられており、前記フック部分(9)がそれぞれ、それぞれ反対の側に位置するピラー部分(11)に向かう方向でそれぞれのピラー部分(11)から延びている、横断セグメント(1)において、
    前記横断セグメント(1)の前記フック部分(9)のうちの第1のフック部分(9−l)が、前記横断セグメント(1)の前記フック部分(9;9−r)のうちのそれぞれ別の第2のフック部分(9−r)よりも、高さ方向で前記ベース部分(10)に対して近傍に配置されていることを特徴とする、駆動ベルト(50)用の横断セグメント(1)。
  2. 前記第1のフック部分(9;9−l)の間の高さ方向の距離が、該高さ方向での前記リングスタック(8)の寸法と少なくとも等しく、かつ前記リングスタック(8)の寸法よりも最大でも0.5mmだけ大きく形成されており、かつ前記第2のフック部分(9;9−r)の間の高さ方向での距離が、前記リングスタック(8)の寸法よりも少なくとも1.0mmだけ大きく形成されている、請求項1記載の横断セグメント(1)。
  3. リングスタック(8)と、該リングスタック(8)の周囲に沿って配置されている、請求項1または2記載の複数の横断セグメント(1)とを備える駆動ベルト(50)であって、前記駆動ベルト(50)は、2つのタイプ(I,II)の前記横断セグメント(1)を有し、第1のタイプ(I)の前記横断セグメント(1)では、該横断セグメント(1)の左側のフック部分(9;9−l)が、該横断セグメント(1)の右側のフック部分(9;9−r)よりも、前記横断セグメント(1)のそれぞれのベース部分(10)に対して近傍に配置されており、第2のタイプ(II)の前記横断セグメント(1)では、該横断セグメント(1)の右側のフック部分(9;9−r)が、該横断セグメント(1)の左側のフック部分(9;9−l)よりも、前記横断セグメント(1)のそれぞれのベース部分(10)に対して近傍に配置されていることを特徴とする、駆動ベルト(50)。
  4. 前記駆動ベルト(50)の前記2つのタイプ(I,II)の前記横断セグメント(1)は、前記リングスタック(8)の周囲に沿って交互に配置されている、請求項3記載の駆動ベルト(50)。
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