JP2019120120A - フラップゲートおよびこれに用いられる水密ゴム - Google Patents

フラップゲートおよびこれに用いられる水密ゴム Download PDF

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Abstract

【課題】 海岸等で使用されるような比較的多く繰り返される扉体閉鎖時の衝突に対して耐久性と水密性を保持することができる、フラップゲートおよびこれに用いられる水密ゴムを提供する。【解決手段】 扉体5の開口部21側の面における戸当たり22と当接しうる位置に沿って固定されている略矩形枠状の枠状固定部81と、この枠状固定部81から段差を設けるようにして枠状に突出されているとともに、その上端面が平坦状に形成され、かつ中空を有しない中実状態に形成されている荷重支持部82と、この荷重支持部82の平坦状上端面86からさらに段差を設けるようにして枠状に突出形成されている凸状止水部83とを有する。【選択図】 図6

Description

本発明は、水門の開口部を閉鎖するフラップゲートおよびこれに用いられる水密ゴムに関するものである。
水門や樋門には、排水を行うために河川や湖、海岸等に向けて開口部が設けられている。また、前記開口部には、津波や高潮等による逆流を防止するフラップゲートが設けられている。このフラップゲートは、前記開口部を開閉させる扉体が扉体支持軸周りに揺動自在に支持されており、前記扉体が自重や水圧によって前記開口部の開口端の戸当たりに当接することで前記開口部を閉鎖するようになっている。
従来、閉鎖時に戸当たりとの水密を確保する水密ゴムが設けられたフラップゲートに関する発明が提案されている。例えば、特開平9−132937号公報には、円形または角形扉体の上部両側にアーム取付部を設け、その両アーム取付部に、それぞれ戸当りに設けたブラケットに上端を枢着したアームの下端を枢着し、かつ前記扉体に外側を前記戸当りとの接触面より突出させたタガ状の水密ゴムを装着した管渠用フラップゲートが開示されている(特許文献1)。
また、特許文献1を含め従来のフラップゲートに設けられる水密ゴムには、図15の試験体14に係る図で示すように、断面形状がPの字形状のP型水密ゴムが使用されている。このP型水密ゴムは、戸当たりに接触する部分の内部に空隙があり、閉鎖時の荷重によって変形することにより戸当たりにフィットし、水密を確保するようになっている。
特開平9−132937号公報
しかしながら、本発明者らは、特許文献1に記載された発明に用いられるP型水密ゴムが閉鎖時の荷重を繰り返し受けると外周部に引張力が働き、破損しやすいことを見い出した。従来のフラップゲートは河川等で使用されることが多く、開閉動作が比較的少ない水門に用いられていたため、問題とされていなかったが、近年、海岸に設置されるフラップゲートが増えてくると、波浪によって繰り返し戸当たりに打ち付けられることで水密ゴムの劣化や損傷が生じやすい。このため、フラップゲートおよびこれに用いられる水密ゴムとして、単に閉鎖時の水密性を確保するだけではなく、例えば海岸のような波浪によって扉体の開閉による衝突が比較的多く繰り返される使用下における耐久性の向上が必要であるとの課題を見い出した。
本発明は、以上のような問題点を解決するためになされたものであって、海岸等で使用されるような比較的多く繰り返される扉体閉鎖時の衝突に対して耐久性と水密性を保持することができる、フラップゲートおよびこれに用いられる水密ゴムを提供することを目的としている。
本発明に係るフラップゲートは、比較的多く繰り返される閉鎖時の衝突に対する耐久性を向上させるという課題を解決するために、水門の開口部を閉鎖するフラップゲートであって、前記開口部を開閉させる扉体が扉体支持軸周りに揺動自在に支持されているとともに、前記扉体には閉鎖時に前記開口部における開口端の戸当たりに当接して水密を確保する水密ゴムが設けられており、前記水密ゴムは、前記扉体の開口部側の面における前記戸当たりと当接しうる位置に沿って密着固定されている略矩形枠状の枠状固定部と、この枠状固定部から段差を設けるようにして枠状に突出されているとともに、その上端面が平坦状に形成され、かつ中空を有しない中実状態に形成されている荷重支持部と、この荷重支持部の平坦状上端面からさらに段差を設けるようにして枠状に突出形成されている凸状止水部とを有する。
また、本発明の一態様として、比較的多く繰り返される閉鎖時の衝突に対して安定的に耐久性を高めるという課題を解決するために、前記凸状止水部が、前記荷重支持部の平坦状上端面における幅方向の略中央位置に沿って枠状に突出形成されていてもよい。
さらに、本発明の一態様として、比較的多く繰り返し衝突する扉体閉鎖時の戸当たりとの隙間における止水性に適した凸状止水部の形状を提供するという課題を解決するために、前記凸状止水部が、その縦断面形状において半円状をなす凸曲面状に形成されていてもよい。
また、本発明の一態様として、比較的多く繰り返し衝突する扉体閉鎖時の戸当たりとの隙間における止水性に適した凸状止水部の形状を提供するという課題を解決するために、前記凸状止水部が、その縦断面形状において三角形凸状に形成されていてもよい。
さらに、本発明の一態様として、比較的多く繰り返し衝突する扉体閉鎖時の戸当たりとの隙間における止水性に適した凸状止水部の形状を提供するという課題を解決するために、前記凸状止水部が、その縦断面形状において四角形凸状に形成されていてもよい。
また、本発明の一態様として、比較的多く繰り返される衝突に対する耐久性および閉鎖時の戸当たりとの隙間における止水性を向上させるとともに、製作精度を確保するという課題を解決するために、前記荷重支持部の平坦状上端面から前記凸状止水部の頂部までの高さ寸法が、前記荷重支持部の平坦状上端面の幅寸法に対して0.075倍から0.25倍の範囲内で形成されていてもよい。
さらに、本発明の一態様として、比較的多く繰り返される衝突時の衝撃を緩和させて耐久性を向上させるという課題を解決するために、前記枠状固定部の前記扉体と当接する側に、枠状の前記凸状止水部の裏側に当たる位置に沿って凹状に形成された凹状緩衝溝と、この凹状緩衝溝を挟んで外縁側および内縁側の両側に前記扉体の開口部側の面に密接して水密性を確保する水密面とを有するようにしてもよい。
本発明に係る水密ゴムは、フラップゲートによる水門の扉体閉鎖時において繰り返される複数回の衝突に対する耐久性を向上させるという課題を解決するために、水門の開口部を閉鎖するフラップゲートにおける扉体の前記開口部側に設けられ、閉鎖時に前記開口部の開口端の戸当たりに当接して水密を確保する水密ゴムであって、前記扉体の開口部側の面における前記戸当たりと当接しうる位置に沿って密着固定されている略矩形枠状の枠状固定部と、この枠状固定部から段差を設けるようにして枠状に突出されているとともに、その上端面が平坦状に形成され、かつ中空を有しない中実状態に形成されている荷重支持部と、この荷重支持部の平坦状上端面からさらに段差を設けるようにして枠状に突出形成されている凸状止水部とを有する。
本発明によれば、海岸等で使用されるような比較的多く繰り返される扉体閉鎖時の衝突に対して耐久性と水密性を保持することができる。
本発明に係るフラップゲートの第一実施形態を示す側面断面図である。 本第一実施形態のフラップゲートを示す正面図である。 本第一実施形態のフラップゲートにおける背面側から見た斜視図である。 本第一実施形態のフラップゲートにおける正面側から見た斜視図である。 本第一実施形態の水密ゴムを示す正面図である。 図5に示すA−A線断面図である。 荷重支持部の縦断面形状を略台形状とした第一実施形態の水密ゴムを示す切断部端面図である。 平坦状上端面および枠状固定部の角部を面取りした第一実施形態の水密ゴムを示す断面図である。 凸状止水部の縦断面形状を三角形凸状に形成した第一実施形態の水密ゴムを示す断面図である。 凸状止水部の縦断面形状を四角形凸状に形成した第一実施形態の水密ゴムを示す断面図である。 本第一実施形態の水密ゴムが戸当たりと当接している状態を示す拡大断面図図である。 本発明に係るフラップゲートの第二実施形態における水密ゴムを示す断面図である。 本第二実施形態の水密ゴムを示す背面図である。 本第二実施形態において略三角形状の凹状緩衝溝が形成された水密ゴムを示す断面図である。 本実施例1において試作した水密ゴムの切断端面図および寸法を示す図である。 本実施例1における耐久性の試験状況を示すデジタル写真画像である。 本実施例1において耐久性の検証に用いた耐久試験機を示す側面図である。
以下、本発明に係るフラップゲートおよびこれに用いられる水密ゴムの第一実施形態について図面を用いて説明する。
本第一実施形態のフラップゲート1は、水門2の開口部21を閉鎖するものであって、図1から図4に示すように、主に、水門2の開口部21の上方に設けられる扉体支持軸3と、この扉体支持軸3に固定される左右一対の揺動アーム4と、この揺動アーム4の下端に設けられるとともに前記水門2の前記開口部21を開閉する扉体5と、この扉体5の開閉に係る重量バランスを調整するバランスウェイト6と、前記扉体5に係る浮力を調整するフロート7と、前記扉体5の背面側(水門2の開口部21側)の面に設けられる水密ゴム8とを有する。以下、各構成について詳細に説明する。
扉体支持軸3は、揺動アーム4を介して扉体5を揺動自在に支持するためのものである。本第一実施形態における扉体支持軸3は、1本の円柱状に形成されており、図1および図2に示すように、水門2の上部に設置された一対の軸受31を介して略水平状態でかつ揺動自在に支持されている。また、一対の前記軸受31は、開口部21の上方に設けられた軸受固定具32を介して水門2に固定されている。
なお、扉体支持軸3は、1本に限定されるものではなく、支持する扉体5の重量が重い場合には、1枚の扉体5を略水平方向に沿って並べた複数本の扉体支持軸3によって支持するように構成してもよい。また、軸受31は、一対のものに限定されるものではなく、1本の扉体支持軸3を3箇所以上に配置された軸受31で支持するように構成してもよい。
揺動アーム4は、図1から図4に示すように、略上下方向に長尺板状に形成された鋼材等により形成されている。本第一実施形態における揺動アーム4は、左右対称に一対に配置されているとともに、上下方向の略中間位置において扉体支持軸3に対して貫通した状態で溶接等によって固定されている。
なお、揺動アーム4は、一対で構成されるものに限定されるものではなく、1本または3本以上で構成されていてもよい。また、揺動アーム4は、扉体支持軸3に対して固定されるものに限定されるものではなく、例えば、扉体支持軸3を水門2の上部に略水平状態で固定し、前記揺動アーム4と前記扉体支持軸3との間に軸受31を設けて前記扉体支持軸3に対して揺動自在に支持されていてもよい。
扉体5は、水門2の開口部21を開閉するものであり、開口部21を閉塞可能な大きさに形成されており、本第一実施形態では、前記開口部21より一回り大きい寸法の略矩形状に形成されている。また、扉体5の前記開口部21の端面に配置される戸当たり22と当接しうる位置には、ボルトおよびナットによって水密ゴム8を固定するための複数の固定孔51が形成されている。この扉体5は、一対の揺動アーム4の各下端部に固定されており、扉体支持軸3周りに揺動しうるように支持されている。
なお、扉体5は、略矩形状に限定されるものではなく、水門2の開口部21の形状に応じて適宜形成してよく、複数枚の扉体5を併設するように構成してもよい。
バランスウェイト6は、扉体支持軸3を中心とした扉体5との重量バランスを調整するためのものであり、本第一実施形態では、図1に示すように、一対の揺動アーム4の各上端に跨るように取り付けられている。本第一実施形態におけるバランスウェイト6は、扉体5に浮力や水圧または風圧等の外力を受けていない場合において、図1に示すように、扉体5が開口部21を僅かに開放する重量バランスに調整されている。
なお、浮力や水圧または風圧等の外力を受けていない初期位置の扉体5の状態については、僅かに開放する状態に限定されるものではなく、全閉、全開または所定の角度位置で開放する状態等に適宜選択してよい。また、バランスウェイト6は、扉体支持軸3周りに支持される扉体5によって予め所定の重量バランスが取られている場合には、取り付けられていなくてもよい。
フロート7は、扉体5に働く浮力を調整するものであり、発泡ウレタンや発泡スチロールなどの単位体積当たりの重量が軽い素材によって形成されている。本第一実施形態におけるフロート7は、図2に示すように、扉体5の開口部21側の面に突出するように設置されている。これによりフロート7による浮力は、上流側の水位が上昇した場合には扉体5を開放させるように作用するとともに、扉体5の閉鎖時にはその浮力の中心が扉体支持軸3よりも上流側に位置するため、前記扉体5を閉鎖する方向に作用する。
なお、フロート7は、扉体5に働く浮力が十分な場合には、前記扉体5に設置しなくてもよい。
次に、水密ゴム8について説明する。本第一実施形態の水密ゴム8は、比較的多く繰り返される扉体閉鎖時の衝突に対する耐久性を向上させる構成を備えており、図5および図6に示すように、扉体5の開口部21側の面に密着固定する枠状固定部81と、この枠状固定部81から段差を設けるように突出形成される荷重支持部82と、この荷重支持部82からさらに段差を設けるように突出形成される凸状止水部83とを有する。
枠状固定部81は、扉体5の開口部21側の面に密着固定する部分であって扉体5と水密ゴム8との水密性を確保するためのものである。本第一実施形態における枠状固定部81は、図5に示すように、開口部21の形状に応じて略矩形枠状に形成されているとともに、扉体5にボルトおよびナットによる締結固定するための複数の固定孔84が開口されている。また、図6に示すように、枠状固定部81の扉体5側の角部85は、耐久性を高めるためにR形状に形成されている。
荷重支持部82は、従来の河川における使用状態とは異なり、海岸で使用されることにより波浪によって繰り返し受ける扉体閉鎖時の衝突や大きな水圧、さらに海岸用の扉体5は大型の扉体5が使用されるため、その大荷重にも耐えられるような構成とされている。図5および図6に示すように、本第一実施形態の荷重支持部82は枠状固定部81から段差を設けるようにして枠状に突出形成されている。また、荷重支持部82の上端面は、戸当たり22に当接した場合の単位面積当たりの前記荷重を軽くするため、前記戸当たり22と当接する面積が広くなるように略平坦状に形成されている。また、平坦状上端面86の角部87は、繰り返される衝突によって破損しにくいように、所定の半径を有するR形状に形成されている。
平坦状上端面86の面積は、枠に沿った長手方向の長さ寸法と、これに直交する幅方向の寸法との積によって算出することができるが、枠に沿った長手方向の長さは戸当たり22と当接する位置の長さによって予め定まる寸法である。よって、平坦状上端面86に必要な面積は、幅方向の寸法によって設定される。この幅方向の寸法は、想定される荷重に応じて適宜設定される寸法であるが、例えば約1500mm四方の水密ゴム8の場合、R形状の角部87を含めて約30mmから約50mmの範囲で設定されることが好ましい。
また、荷重支持部82は、上述のような用途によって荷重を受けた際に必要以上に変形しないようにするために、中空を有しない中実状態に形成されている。本第一実施形態における荷重支持部82は、図6に示すように、中実状態でかつ断面形状が略矩形状に形成されている。このとき荷重支持部82を枠状固定部81から突出させる高さは、特に限定されるものではないが、扉体5に締結固定されている状態ではボルトまたはナットが枠状固定部81の上面より突出するため、扉体閉鎖時に前記ボルトまたは前記ナットが扉体5に当接しない高さ寸法に形成されている。
なお、荷重支持部82の断面形状は、略矩形状に限定されるものではなく、例えば図7に示すように、平坦状上端面86の幅寸法に比べて枠状固定部81側の幅寸法を長くした略台形状であってもよい。また、平坦状上端面86の角部87および枠状固定部81の角部85は、R形状に限定されるものではなく、図8に示すように、45度等に面取りされた形状であってもよい。
凸状止水部83は、扉体閉鎖時に戸当たり22との水密性を確保する部分であり、図6に示すように、荷重支持部82の平坦状上端面86からさらに段差を設けるようにして前記荷重支持部82に沿って枠状に突出形成されている。つまり、凸状止水部83は、前記荷重支持部82の平坦状上端面86より幅を狭くして突出されている。これにより凸状止水部83は、前記荷重支持部82よりも変形し易くなっており、扉体閉鎖時に戸当たり22にフィットするように変形して、水密性を確保することができる。
また、本第一実施形態における凸状止水部83は、荷重支持部82の平坦状上端面86から突出されていればどの位置に形成されていても良いが、安定的な耐久性を確保するためには、前記荷重支持部82の平坦状上端面86における幅方向の略中央位置に突出形成されていることが好ましい。これにより荷重支持部82においてバランスよく荷重を受けられる。
さらに、本第一実施形態における凸状止水部83は、図6に示すように、縦断面形状において半円状をなす凸曲面状に形成されている。これにより、後述する実施例1で説明するように、扉体閉鎖時の戸当たり22との隙間における止水性を確保するとともに、比較的頻繁に繰り返される扉体閉鎖時の衝突に対する耐久性が得られる。
なお、前記凸状止水部83の縦断面形状は、半円状をなす凸曲面状に限定されるものではなく、例えば、図9に示すように、三角形凸状であって、一辺が前記荷重支持部82の平坦状上端面86に沿うように配置されるとともにその頂点が戸当たり22側に配置されるようにしてもよい。また、図10に示すように、矩形状や台形状からなる四角形凸状であって、一辺が前記荷重支持部82の平坦状上端面86に沿うように配置されていてもよい。
また、本第一実施形態における凸状止水部83は、製作精度や接合部精度を考慮すると、前記荷重支持部82の平坦状上端面86から前記凸状止水部83の頂部88までの高さ寸法が、前記荷重支持部82の平坦状上端面86の幅寸法に対して0.075倍から0.25倍の範囲内で形成されていることが好ましい。このように規定することにより、扉体5の大きさに応じて適宜構成される荷重支持部82の大きさに対して凸状止水部83の高さを適切に設定することが可能となる。例えば、前記平坦状上端面86の幅寸法が約40mmの場合は、約3mmから約10mmの範囲内で形成されることが好ましい。
また、本第一実施形態の水密ゴム8の素材として、合成ゴム素材や天然ゴム素材、またはこれらに炭素材や繊維材等を適宜添加、または混合したゴム素材が例示される。製造方法としては、合成ゴム素材等を図6に示すような断面形状の外形線に沿った型枠を用いた押し出し加工によって棒状の水密ゴム8を作成するとともに、図5に示すように、端部89を45度等の所定の角度に形成し前記端部89同士を加硫接着や接着材で貼り合わせることで枠状に形成している。このように棒状の水密ゴム8の端部89同士を貼り合わせて形成することで、種々の大きさの枠状に形成することができる。また、同素材により一体的に形成することで、押し出し加工等の既存の製造方法によって安価でかつ大量に形成することが可能となるとともに、熱膨張率の異なる素材同士を貼り合わせて形成したときに生じる撓みが生じることもなくなる。
なお、水密ゴム8は、合成ゴム素材等に限定されるものではなく、扉体閉鎖時に受ける荷重によって凸状止水部83が変形可能な柔軟性とともに、必要な耐久性等を考慮して適宜選択してよい。また、水密ゴム8の製造方法は、押し出し加工に限定されるものではなく、金型に合成ゴム素材等を注入して一体的に形成してもよい。さらに、水密ゴム8の枠状角部の構成は、所定の角度に形成した端部89同士を貼り合わせてなる構成に限定されるものではなく、別途L字状の枠状角部を形成し、前記棒状のL字状の枠状角部の各端部に、水密ゴム8の端部89を貼り合わせることで略矩形枠状に形成してもよい。
以上のように枠状に形成された水密ゴム8は、図3に示すように、枠状固定部81の固定孔84に沿うように略矩形板状に形成されたゴム押さえ板9を介して、ボルトおよびナットによって扉体5に締結固定される。
次に、本第一実施形態のフラップゲート1およびこれに用いられる水密ゴム8の各構成における作用について説明する。
本第一実施形態のフラップゲート1では、水門2の上流側から排水が流れてきた場合、扉体5が排水の水圧によって下流側へと押される。前記扉体5は、扉体5側の重量とバランスウエイト6側の重量とがバランスする状態で支持されているため、少しの水圧で開放する方向に揺動する。また、フロート7が、上流側の水位の上昇に応じて扉体5を開放する方向に浮力を生じさせる。よって、扉体5は水圧や水位に応じて自動的に開口部21を開放する方向に揺動し、排水の妨げとならない。
次に、高潮等によって下流の水位が上昇し水門2に逆流する水圧を受ける場合または波浪による水圧受ける場合について説明する。この場合、扉体5は水圧によって閉鎖する方向に揺動し前記開口部21を閉鎖する。フロート7は、浮力の中心位置が扉体支持軸3よりも上流側に配置されているため、開口部21より上流側の水位の上昇とともに浮力が生じ、扉体5を閉鎖する方向に揺動させる回転モーメントを生じさせる。よって、扉体5は水圧やフロート7による浮力等によって閉鎖方向に荷重を受ける。
水密ゴム8は、図11に示すように、扉体5にかかる閉鎖方向への荷重によって戸当たり22に当接する。凸状止水部83は、戸当たり22に当接することで押し潰されるように変形する。これにより凸状止水部83が前記荷重支持部82の平坦状上端面86と前記戸当たり22との間の隙間を埋めて止水する。また、枠状固定部81が扉体5の開口部21側の面と密着固定されている。よって、水密ゴム8は、閉鎖時の扉体5と戸当たり22との水密を確保することができる。また、荷重支持部82は、締結固定用のボルトやナットの高さよりも高く形成されているため、扉体閉鎖時に前記ボルトや前記ナットが戸当たり22に当接することなく、水密を保つことができる。
また、凸状止水部83は、後述の実施例1に示すように、従来のP型水密ゴムと比較して、繰り返される衝突に対して損傷し難い。荷重支持部82も、中空を有しない中実状態に形成されているとともに、前記凸状止水部83が完全に潰れるような大きな荷重によって戸当たり22と当接しても平坦状上端面86によって単位面積当たりの荷重が分散されため、変形し難く亀裂等が生じることがない。また、本第一実施形態では、凸状止水部83が平坦状上端面86における幅方向の略中央位置に突出形成されているため、荷重を前記凸状止水部83を挟んだ両側で受けることができ、衝突に対する耐久性をより安定的に高めることができる。よって、本第一実施形態の水密ゴム8は、荷重支持部82と凸状止水部83との作用により、波浪等によって戸当たり22に何度も繰り返される大きな衝突に対する耐久性と水密性が高い。
以上のような本第一実施形態のフラップゲート1およびこれに用いられる水密ゴム8によれば、以下の効果を得ることができる。
1.平坦状上端面86を備えるとともに中実状態に形成されている荷重支持部82によって、海岸等で使用されるような比較的多く繰り返される扉体閉鎖時の衝突に対して耐久性を向上させることができる。
2.平坦状上端面86から突出する凸状止水部83を備えることで繰り返される扉体閉鎖時の衝突に対する耐久性とともに水密性を確保することができる。
3.凸状止水部83を縦断面形状において半円状をなす凸曲面状、三角形凸状または四角形凸状にすることで、衝突を繰り返す扉体閉鎖時の戸当たり22との隙間における止水性を確保することができる。
4.一体的な形成が可能であり、押し出し加工等の既存の製造方法によって安価でかつ大量に形成することができる。
5.熱膨張率の異なる素材同士を貼り合わせて形成したときに生じる撓みが生じることもなく、安定的に高い耐久性および止水性を得ることができる。
次に、本発明に係るフラップゲートおよびこれに用いられる水密ゴムの第二実施形態について図面を用いて説明する。なお、前述した第一実施形態で説明した構成と同一または相当する構成については同一の符号を付して再度の説明を省略する。
本第二実施形態における枠状固定部81は、比較的多く繰り返される衝突時の衝撃を緩和させて耐久性を向上させため、扉体5と接する側の面に、枠状に形成された枠状緩衝溝811と、この枠状緩衝溝811を境にして外縁側および内縁側に平坦状に形成された接触面812とを有する。
枠状緩衝溝811は、扉体5に固定された状態において、前記扉体5の開口部21側の面と水密ゴム8との間に、前記水密ゴム8の変形を可能にする空間を確保するために形成された溝であり、本第二実施形態では、図12に示すように、断面が半円状に湾曲されてなる凹状の溝によって構成されている。この枠状緩衝溝811は、図13に示すように、枠状の凸状止水部83に対応して裏側に当たる位置に枠状に形成されており、前記凸状止水部83で受けた衝撃をその裏側で緩衝するようになっている。また、枠状緩衝溝811は、前記凸状止水部83で受けた衝撃を十分に緩衝させることができるように、平坦状上端面86から前記凸状止水部83の頂部88までの高さと同程度の深さと、その高さの4倍程度の幅(前記凸状止水部83の基端幅の2倍程度の幅)とを有することが好ましい。なお、凹状緩衝溝811の断面形状は、半円状のものに限定されるものではなく、図14に示すように、略三角形状や図示しないがその他、四角以上の多角形状に形成してもよい。
接触面812は、扉体5の開口部21側の面に接する面である。この接触面812は、枠状緩衝溝811を境界にして外縁側および内縁側の両側に平坦状に形成されており、密着性が確保されている。また、凸状止水部83が衝撃を受けた場合には、脚のように前記枠状緩衝溝811の形状を支持するようになっている。本第二実施形態における接触面812は、図12に示すように、平坦に形成されており、扉体5との密接性を高めている。なお、接触面812は、枠状緩衝溝811を挟んで外縁側および内縁側の両側の全範囲にかかる面で扉体5と接するように構成されているが、これに限定されるものではなく、所定の密着性を確保することができれば外縁側および内縁側の一部範囲からなる面によって構成されていてもよい。
以上のような、本第二実施形態のフラップゲート1および水密ゴム8によれば、第一実施形態と同様の効果を奏するとともに、凸状止水部83に衝撃を受けた場合、枠状緩衝溝811が水密ゴム8を変形させることのできる空間となって、受けた衝撃を緩和することができる。また、接触面812が、脚のように前記枠状緩衝溝811を支持するため、その形状を保持することができる。これらによって、凸状止水部83が繰り返し受ける衝突時の衝撃を緩和させるとともに、水密ゴム8の耐久性を向上させることができる。
つぎに、本発明に係るフラップゲートおよびこれに用いられる水密ゴムの具体的な実施例について説明する。
本実施例1では、本発明に係る水密ゴムについて凸状止水部の形状が異なる複数種の水密ゴムを試作し、耐久性、止水性、製作精度および接合部の精度について試験を行った。また、比較のため、凸状止水部を有しない水密ゴムおよび従来型であるP型水密ゴムについても同様の試験を行った。
『試験体の形状と物性値』
本実施例1では、本発明に係る水密ゴムが従来製品と比べて耐久性が向上するのか、凸状止水部の形状の相違によってどの程度耐久性に影響があるのかについて検証するために実証試験を行った。図15に示すように、本実施例1に係る試験体は12種類を用意し、それぞれ試験体1〜12の番号を付している。また、比較例として凸状止水部のない水密ゴムを試験体13とし、従来品である空隙を有するP型水密ゴムを試験体14として用意した。図15の図内に記載の数値はmm単位の寸法を表している。
各試験体は、圧力釜で約150℃に加熱した合成ゴム素材を押し出し加工することにより製造した。耐久性の検証における試験体は、後述するように、長さが約150mmにカットしたものを使用した。その他の検証においては、一辺が1510mmの正方形枠体状のものを使用した。なお、正方形枠体状の試験体における角部は直線状の水密ゴムの端部を45度の角度でカットし、それぞれ端部同士を加硫接着により固定することで構成されている。また、各試験体の素材には、引張強度14.7N/mm〜16.7N/mm、伸び350%〜450%、ショア硬度50°〜60°の合成ゴム素材が使用されている。
また、図15に示すように、試験体1〜12の枠状固定部は、厚さを15mmとするとともに幅を90mmとした。また、枠状固定部から凸状止水部の頂部までの高さ寸法を40mmとした。さらに、荷重支持部の平坦状上端面の幅は、R形状の角部を含んだ寸法を40mmとした。
試験体1〜12の各凸状止水部の形状および寸法は以下の形状となるように作製した。
試験体1から試験体3までは、凸状止水部の形状を縦断面形状において半円状をなす凸曲面状に形成するとともに、それぞれの半円状の半径を3mm、5mm、10mmとなるように形成した。
試験体4から試験体6までは、凸状止水部の形状を縦断面形状において、先端の角度が約90度となる三角形凸状に形成した。試験体4では凸状止水部が底辺6mm、高さ3mmの二等片三角形状となるように形成した。試験体5では凸状止水部が底辺10mm、高さ5mmの二等片三角形状となるように形成した。試験体6では凸状止水部が底辺20mm、高さ10mmの二等片三角形状となるように形成した。
試験体7から試験体9までは、凸状止水部の形状を縦断面形状において、先端の角度が約60度となる三角形凸状に形成した。試験体7では凸状止水部が底辺3.5mm、高さ3mmの二等片三角形状となるように形成した。試験体8では凸状止水部が底辺5.8mm、高さ5mmの二等片三角形状となるように形成した。試験体9では凸状止水部が底辺11.5mm、高さ10mmの二等片三角形状となるように形成した。
試験体10から試験体12までは、凸状止水部の形状を縦断面形状において四角形凸状に形成した。試験体10では凸状止水部が一辺3mmの正方形状となるように形成し、試験体11では凸状止水部が一辺5mmの正方形状となるように形成し、試験体12では凸状止水部が一辺10mmの正方形状となるように形成した。
一方、試験体13は、本発明に係る水密ゴムにおける凸状止水部のない形状の比較例として形成されている。枠状固定部は、本発明に係る水密ゴムと同様、厚さを15mmとするとともに幅を90mmとした。また、枠状固定部から荷重支持部の平坦状上端面までの高さ寸法を40mmとした。さらに、荷重支持部の平坦状上端面の幅は40mmとした。
また、試験体14は、従来のフラップゲートに用いられるP型の水密ゴムである。戸当たりと当接する部分の外周部の直径は40mmとし、内部に直径25mmの空洞が形成されている。
『耐久性の検証』
耐久性の検証方法として、図16および図17に示すように、振り子式の耐久試験機を用いた。前記耐久試験機は、図17に示すように、重量が約100kg、回転軸からの長さが875mmの鋼製の振り子を備える。また、前記振り子は、各試験体に衝突させる衝突板を有する。この衝突板は、各試験体の横幅よりやや広い略矩形状に形成されているとともに、前記回転軸から約596mmの位置で各試験体に当接するように設置されている。
また、振り子の上端には、回転モータが配置されており、この回転モータに設けられたクランクシャフトが前記振り子を垂直状態からから約38度の傾斜角度まで持ち上げるようになっている。前記振り子は持ち上げられた後、自重によって揺り戻されるようになっている。
各試験体は、長さが約150mmにカットしたものを使用した。前記各試験体は、図17に示すように、衝突板が略垂直状態のときに、凸状止水部の頂部が前記衝突板に衝突する位置に固定されている。
本実施例1では、毎分30回で各試験体に衝突させるように回転モータを回転させ、前記各試験体が損傷(破断や裂傷など)する衝突回数に基づき耐久性を評価した。当該性能評価の結果を表1に示す。
表1の耐久性の欄において、○は10万回以上の衝突に対して損傷がなかったものであり、耐久性が極めて高いと評価した。△は5万回以上10万回未満の衝突に対して損傷があったものであり、耐久性が高いと評価した。×は5万回未満の衝突に対して損傷があったものであり、耐久性が低いと評価した。
表1に示すように、本発明に係る試験体1〜3の凸状止水部の形状を縦断面形状において半円状をなす凸曲面状に形成した水密ゴムは、いずれも10万回以上の衝突に対して損傷がなく、耐久性が極めて高かった。
また、本発明に係る試験体4〜9の凸状止水部の形状を縦断面形状において三角形凸状に形成した水密ゴムは、いずれも5万回までの衝突に対して損傷がなく、耐久性が高かった。
さらに、本発明に係る試験体10〜12の凸状止水部の形状を縦断面形状において四角形凸状に形成した水密ゴムは、いずれも○または△の評価結果であって5万回までの衝突に対して損傷がなく、凸状止水部の高さが3mmのものは10万回以上の衝突にも耐えられた。
試験体13の凸状止水部のない水密ゴムは、10万回以上の衝突に対して損傷がなく評価は○だった。
これらに対し、従来品である試験体14のP型水密ゴムについては、5万回未満の衝突で損傷が生じてしまい、他の形状に比べて明らかに耐久性が低かった。
以上より、従来のP型水密ゴムは繰り返される衝突に対する耐久性が低いのに対して、他の水密ゴムは耐久性が高かった。試験体13の凸状止水部のない水密ゴムも、繰り返される衝突に対する耐久性が高かったことから、荷重支持部を中空を有しない中実状態に形成したこと、および、上端面を平坦状にして衝撃を面で受けるように構成したことが耐久性向上に影響しているものと思われる。なお、目視によると、試験体9は試験体6に比べて先端部の破損の程度が大きかった。これは、凸状止水部の先端の角度が鋭角であってその高さが高いため応力が集中し、先端部が破損し易くなったものと考えられる。
『扉体閉鎖時の止水性の検証』
止水性の検証方法は、まず試験体1〜14を扉体に設置し、扉体下部を背面(開口部側に相当)から1.5kNの力で引張り、各試験体の水密ゴムと戸当り金物との隙間を計測することにより止水性を評価した。
表1の止水性の欄において、○は0.2mmの隙間ゲージが入る箇所がなかったものであり、止水性が極めて高いと評価した。△は0.3mmの隙間ゲージが入る箇所がなかったものであり、止水性が高いと評価した。×は0.3mmの隙間ゲージが入る箇所があったものであり、止水性が低いと評価した。
表1に示すように、従来品のP型水密ゴムは、0.2mmの隙間ゲージが入る箇所がなく、止水性が極めて高い。
この点、試験体1および試験体2の凸状止水部の形状を縦断面形状において半円状をなす凸曲面状に形成した水密ゴムは、いずれも0.2mmの隙間ゲージが入る箇所がなく、極めて高い止水性が得られる。また、試験体3の半円状の半径を大きくしたものも、0.3mmの隙間ゲージが入る箇所がなく、高い止水性が得られる。
また、試験体4〜6の凸状止水部の形状を縦断面形状において先端の角度が約90度となる三角形凸状に形成した水密ゴムは、いずれも0.2mmの隙間ゲージが入る箇所がなく、極めて高い止水性が得られる。
さらに、試験体7および8の凸状止水部の形状を縦断面形状において先端の角度が約60度となる三角形凸状に形成した水密ゴムは、いずれも0.2mmの隙間ゲージが入る箇所がなく、極めて高い止水性が得られる。また、試験体9の凸状止水部の高さを10mmに大きくしたものも、0.3mmの隙間ゲージが入る箇所がなく、高い止水性が得られる。
また、試験体10〜12の凸状止水部の形状を縦断面形状において四角形凸状に形成した水密ゴムは、いずれも0.2mmの隙間ゲージが入る箇所がなく、極めて高い止水性が得られる。
これらに対し、試験体13の凸状止水部のない水密ゴムは、0.3mmの隙間ゲージが入る箇所があり、止水性は低い。試験体13の場合、平坦状上端面と戸当たりとは面同士で接するが、前記水密ゴムの製造精度や扉体との固定時の寸法精度によって隙間が生じるが、荷重支持部が荷重によって変形し難く、生じた隙間を埋められないため、他の水密ゴムより隙間が大きくなったものと考えられる。
以上より、本発明に係る水密ゴムは、いずれも実用上十分な止水性が得られることがわかった。一方、凸状止水部を有しない場合では、止水性が低く、十分な水密性を確保できないことがわかった。
『製作精度の検証』
つぎに、凸状止水部の形状の違いによって製作精度にどのような影響があるか検証した。製作精度の検証方法としては、正方形枠体状に形成した水密ゴムにおいて、各辺2箇所(各辺中央位置から対称に500mmの2箇所)ずつ、計8箇所について、底面から凸状止水部の頂点までの高さhの寸法を計測することで製作精度を評価した。
表1の製作精度(成型時)の欄において、○はh=40mmに対して誤差が全ての計測箇所において±1.0mm未満の場合であって極めて精度が高いと評価した。△はh=40mmに対して誤差が全ての計測箇所において±1.0mm以上、±1.5mm未満の場合であって精度が高いと評価した。×はh=40mmに対して誤差が全ての計測箇所において±1.5mm以上の場合であって精度が低いと評価した。
製作精度については、各試験体すべての水密ゴムにおいて、△以上の精度、つまり誤差が±1.0mm以上、±1.5mm未満よりも高い精度が得られた。特に凸状止水部を適正な大きさに製造することにより、極めて高い製作精度が得られることがわかった。
また、本発明に係る各水密ゴムについては、凸状止水部の高さが低くなると、製作精度が低くなる傾向があった。これは平坦状上端面に対して凸状止水部が低く、押し出し加工による製造方法では製作精度が出しにくいためと考えられる。
『接合部精度の検証』
接合部精度の検証方法は、端部同士を接着固定した接合箇所において、各々の高さを計測し、その高さのズレから接合部の精度を評価した。
表1の接合部精度(接着時)の欄において、○は高さのズレが0.5mm未満の場合であって精度が極めて高いと評価した。△は高さのズレが0.5mm以上、1.0mm未満の場合であって精度が高いと評価した。×は高さのズレが1.0mm以上の場合であって精度が低いと評価した。
この接合部精度については、いずれの水密ゴムにおいても△以上の精度、つまり高さのズレが0.5mm以上、1.0mm未満よりも高い精度が得られた。特に凸状止水部を適正な大きさに製造することにより極めて高い接合部精度が得られることがわかった。
また、本発明に係る各水密ゴムについては、凸状止水部の高さが低くなると、接合部精度が低くなる傾向があった。これは端部同士を接着する際に凸状止水部が低いと、高さを合わせ難く、端部接着による製造方法では接合部精度が出しにくいためと考えられる。
『まとめ』
以上より、本実施例1で試作した本発明に係る試験体1〜12の水密ゴムは、いずれも繰り返される衝突に対する耐久性が従来のP型水密ゴムより極めて優れているとともに、扉体の閉鎖時にも高い止水性が得られることがわかった。特に、試験体2である荷重支持部の平坦状上端面の幅が40mmで、凸状止水部が半径5mmの半円状に平坦状上端面から突出形成させた水密ゴムは、全ての性能評価において○の評価が得られ、総合評価として最も優れていた。また、本発明に係る水密ゴムの寸法は、本実施例1で試作した試験体1〜12の寸法程度にするのが好ましいと考えられる。具体的には、荷重支持部の平坦状上端面から凸状止水部の頂部までの高さ寸法が、荷重支持部の平坦状上端面の幅寸法に対して0.075倍から0.25倍の範囲内で形成されていることが好ましい。
なお、本発明に係るフラップゲートおよびこれに用いられる水密ゴムは、前述した各実施形態に限定されるものではなく、適宜変更することができる。例えば、水密ゴム8の固定方法はボルトおよびナットによるものに限定されるものではなく、接着材等によって固定してもよい。
1 フラップゲート
2 水門
3 扉体支持軸
4 揺動アーム
5 扉体
6 バランスウェイト
7 フロート
8 水密ゴム
9 ゴム押さえ板
21 開口部
22 戸当たり
31 軸受
32 軸受固定具
51 固定孔
81 枠状固定部
82 荷重支持部
83 凸状止水部
84 固定孔
85 枠状固定部の角部
86 平坦状上端面
87 平坦状上端面の角部
88 凸状止水部の頂部
89 端部
811 枠状緩衝溝
812 接触面

Claims (8)

  1. 水門の開口部を閉鎖するフラップゲートであって、前記開口部を開閉させる扉体が扉体支持軸周りに揺動自在に支持されているとともに、前記扉体には閉鎖時に前記開口部における開口端の戸当たりに当接して水密を確保する水密ゴムが設けられており、
    前記水密ゴムは、前記扉体の開口部側の面における前記戸当たりと当接しうる位置に沿って固定されている略矩形枠状の枠状固定部と、
    この枠状固定部から段差を設けるようにして枠状に突出されているとともに、その上端面が平坦状に形成され、かつ中空を有しない中実状態に形成されている荷重支持部と、
    この荷重支持部の平坦状上端面からさらに段差を設けるようにして枠状に突出形成されている凸状止水部とを有する、前記フラップゲート。
  2. 前記凸状止水部が、前記荷重支持部の平坦状上端面における幅方向の略中央位置に沿って枠状に突出形成されている、請求項1に記載のフラップゲート。
  3. 前記凸状止水部が、その縦断面形状において半円状をなす凸曲面状に形成されている、請求項1または請求項2に記載のフラップゲート。
  4. 前記凸状止水部が、その縦断面形状において三角形凸状に形成されている、請求項1または請求項2に記載のフラップゲート。
  5. 前記凸状止水部が、その縦断面形状において四角形凸状に形成されている、請求項1または請求項2に記載のフラップゲート。
  6. 前記荷重支持部の平坦状上端面から前記凸状止水部の頂部までの高さ寸法が、前記荷重支持部の平坦状上端面の幅寸法に対して0.075倍から0.25倍の範囲内で形成されている、請求項1から請求項5のいずれかに記載のフラップゲート。
  7. 前記枠状固定部のうち前記扉体と接する面には、前記凸状止水部に対応する裏側位置に枠状の溝に形成された枠状緩衝溝と、この枠状緩衝溝を境にして外縁側および内縁側の両側に平坦状に形成されて前記扉体と接触する接触面とを有する、請求項1から請求項6のいずれかに記載のフラップゲート。
  8. 水門の開口部を閉鎖するフラップゲートにおける扉体の前記開口部側に設けられ、閉鎖時に前記開口部の開口端の戸当たりに当接して水密を確保する水密ゴムであって、
    前記扉体の開口部側の面における前記戸当たりと当接しうる位置に沿って固定される略矩形枠状の枠状固定部と、
    この枠状固定部から段差を設けるようにして枠状に突出されているとともに、その上端面が平坦状に形成され、かつ中空を有しない中実状態に形成されている荷重支持部と、
    この荷重支持部の平坦状上端面からさらに段差を設けるようにして枠状に突出形成されている凸状止水部とを有する、前記水密ゴム。
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