JP2019119905A - 厚鋼板の製造設備及び製造方法 - Google Patents

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【課題】降伏比の同一の鋼板内におけるばらつきが少ない高強度かつ低降伏比の厚鋼板を製造することができる、厚鋼板の製造設備及び製造方法を提供する。【解決手段】厚鋼板の製造設備は、100℃以下の厚鋼板Sをオーステナイト温度域まで加熱する加熱炉2と、冷却装置3とを備える。冷却装置3は、加熱炉2から抽出された厚鋼板Sを急冷却する第1急冷却装置4と、第1急冷却装置4の下流側に配置された第2急冷却装置5とを備える。第1急冷却装置4及び第2急冷却装置5のそれぞれは、上下複数対の急冷却ノズル6a,6b、7a,7bを厚鋼板Sの搬送方向に沿って並べて配置し、少なくとも第1急冷却装置4及び第2急冷却装置5のそれぞれにおける最上流にある上側の急冷却ノズル6a、7aの上流側及び最下流にある上側の急冷却ノズル6a、7aの下流側とに水切り装置9を配置する。第1急冷却装置4と第2急冷却装置5との間の距離を5m以上とする。【選択図】図1

Description

本発明は、厚鋼板の製造設備及び製造方法に関する。
近年、日本国内では大規模な震災が発生しており、高層建築物を中心に安全性の観点から、大地震が発生しても建物の崩壊を招かないように、鋼板の高強度化(引張強度が490MPa以上)に加えて、降伏強度と引張強度の比である降伏比が80%以下の低降伏比鋼のニーズが高まっている。このような高強度かつ低降伏比を有する鋼板の製造方法として、従来、例えば、特許文献1に示すものが知られている。高強度を保ったうえで、低降伏比を達成するためには、鋼板の組織として軟らかいフェライト相(α)と硬いベイナイト(β)若しくはマルテンサイト(M)等とを強度に応じた適当な割合で分散させる方法が広く利用されている。
ここで、特許文献1に示す低降伏比低炭素低合金高張力鋼の製造方法では、所定成分を有する鋼片を熱間圧延に際し950℃以下での累積圧下率25%以上の圧延を行い、その後、熱間圧延ラインとは別の場所にある加熱炉及び冷却装置を用いたいわゆるオフラインでの熱処理を行う。このオフラインでの熱処理では、鋼片をAc1変態点とAc3変態点の中間の適当な温度に加熱し、変態オーステナイト相がマルテンサイト若しくは低温変態生成物あるいは両者の混合組織を得るのに十分な空冷以上の冷却速度で冷却し、その後、Ac1変態点温度以下で焼戻すものである。オフラインで熱処理された鋼板を一般的には調質鋼と呼ぶ。
一方、オフラインでの熱処理を伴わずに低降伏比の鋼板を得るものとして、例えば、特許文献2及び3に示すものが知られている。この特許文献2及び3に示す方法では、熱間圧延直後の高温の鋼板を直接冷却する工程を有しており、これをオンラインの熱処理と称する。
特許文献2に示す高靱性高張力鋼の製造法は、所定成分の鋼を1000℃〜1300℃に加熱し、少なくとも980℃以下Ar3の温度範囲で断面率80%以上に熱間圧延する。そして、その直後に鋼板をフェライトが生成するAr3変態温度以下まで空冷若しくはそれに準じた冷却を行うことにより先にフェライトを生成させ、その後、鋼板を急冷してフェライト・マルテンサイトの2相層状組織となすものである。
また、特許文献3に示す低降伏比高張力鋼の製造方法は、所定成分範囲の鋼を熱間圧延後、板厚中心部のオーステナイト分率が90%以下になるまで5℃/s以上の冷却速度で冷却した後、Ac1変態点+20℃〜Ac3変態点−20℃まで、昇温、加熱保持後、5〜30℃/sの冷却速度で強制冷却し、600〜400℃で強制冷却を停止するものである。
なお、特許文献2、3に示す方法のように、オフラインの熱処理工程なしで製造された鋼板は、一般的には非調質鋼と呼ばれている。
また、低降伏比厚鋼板の効率的大量生産を可能にする厚鋼板の制御冷却装置として、例えば、特許文献4に示すものが知られている。
特許文献4に示す厚鋼板の制御冷却装置は、圧延機の出側に、圧延された厚鋼板を緩冷却し、厚鋼板の表面層を部分的にフェライト変態させる緩冷却帯と、緩冷却帯で表面層がフェライト変態した厚鋼板を急冷却し、フェライト変態しなかった残りのオーステナイト相をパーライト、ベイナイト、マルテンサイトなどに変態制御する急冷却帯とを備え、緩冷却帯と急冷却帯との間に空冷部を設け、この空冷部に緩冷却帯通過鋼板の表面温度測定用の温度計を設置し、この温度計からの温度に基づいて、急冷却帯の冷却停止温度が所定の値になるように、通板速度や冷却水量などの冷却条件を制御するようにしている。
特開昭55−97425号公報 特開昭55−41927号公報 特開平6−271934号公報 特開2005−313223号公報
ところで、一般的に高温の鋼板を水冷すると、図12に示すように、高温域では熱流束が小さい膜沸騰が発生し、鋼板の表面温度が低下するにつれて、冷却が不安定な遷移沸騰状態を経て核沸騰状態となる。
ここで、遷移沸騰領域では、鋼板の表面温度が低温であるほど熱流束が増加するため、冷却開始時に鋼板内に温度偏差を有している場合、冷却が進行するにつれて温度偏差が拡大する。冷却が遷移沸騰領域で行われる限り、局所的な温度むらは積算されて拡大し、冷却後の鋼板の材質にばらつきが生じる。
これに対して、膜沸騰領域や核沸騰領域での冷却は、高温部は熱流束が大きいため冷却が促進されるのに対し、低温部は熱流束が小さいため冷却が遅れ、結果として両者の温度差が縮小して温度むらは減少する。従って、高温の鋼板を水冷する場合、遷移沸騰領域を避け、膜沸騰領域または核沸騰領域で冷却することで均一の冷却が可能となる。一般的に、鋼板に噴射される冷却水の水量密度が低いと膜沸騰、高いと核沸騰が発生しやすいため、均一の冷却を実現するには遷移沸騰領域を避けて、低水量密度あるいは高水量密度で水冷する。
更に、膜沸騰から遷移沸騰に移行する温度(以下、遷移沸騰温度と呼ぶ)は、鋼板の表面に生成するスケールの影響を受け、一般的にはスケールが厚いほど遷移沸騰温度が高温化する。本願発明者らが検討したところ、冷却時におけるスケール厚と鋼板の温度履歴の関係は、図13に示すようになり、特に低水量密度の緩冷却の場合にスケール厚の影響を受けやすい。スケールの影響を考慮すると、高水量密度の急冷却を実施することで、より安定して均一に鋼板を冷却することが可能となる。
また、オンラインの熱処理において冷却を実施する際に、近年広く使われている通過型冷却装置を用いた場合、鋼板の先端と尾端とで冷却装置に進入するタイミングにずれが生じる。つまり、鋼板の搬送速度をV(m/s)、鋼板の長さをL(m)とした時、鋼板の尾端は先端と比較してL/V(s)だけ長く放冷されるので、冷却開始温度が鋼板の先端と尾端とで異なる。図14には、冷却時の鋼板の先端及び尾端の温度履歴を示す。冷却開始温度が鋼板の先端と尾端とで異なることにより、フェライト分率が板内で変化し、降伏比が同一の鋼板内でばらついてしまう問題がある。
ここで、特許文献1に示す低降伏比低炭素低合金高張力鋼の製造方法にあっては、オフラインの熱処理における中間熱処理温度(Ac1変態点とAc3変態点の中間温度)を適切に選ぶことで低降伏比の鋼板が再現良く得られるものの、熱間圧延後に複数回の加熱及び冷却を熱処理工程が必要となり、エネルギーコストが高くなると共に鋼板の生産性の低下を回避することができない。
また、特許文献2に示す高靱性高張力鋼の製造法にあっては、オンラインの熱処理であり、熱間圧延後に再加熱を行わないため、エネルギーコストの観点からは非常に有利である。しかしながら、特許文献2に示す方法においては、熱間圧延直後に鋼板をフェライトが生成するAr3変態温度以下まで空冷若しくはそれに準じた冷却を行うが、この待機期間中は、その他の素材を圧延することができず熱間圧延ラインの生産性の阻害要因となる。
また、特許文献3に示す低降伏比高張力鋼の製造方法にあっては、オンラインの熱処理であるが、板厚中心部のオーステナイト分率が90%以下になるまで5℃/s以上の冷却速度で冷却した後に昇温過程が必要であることから、熱間圧延ラインに加熱装置を設置する必要がある。特許文献3においては、この加熱装置についての記載はなく、そもそも熱間圧延ラインにこのような加熱装置を設置すること自体が技術的な難易度が高い。
また、特許文献2及び3に示すような方法におけるオンラインの熱処理の問題として、前述したように、冷却開始温度が鋼板の先端と尾端とで異なることにより、フェライト分率が板内で変化し、降伏比が同一の鋼板内でばらついてしまう問題がある。
また、特許文献4に示す厚鋼板の制御冷却装置にあっては、緩冷却帯で圧延された厚鋼板を緩冷却し、厚鋼板の表面層を部分的にフェライトを生成させ、次に急冷却帯で緩冷却帯で表面層がフェライト変態した厚鋼板を急冷却し、フェライト変態しなかった残りのオーステナイト相をパーライト、ベイナイト、マルテンサイトなどに変態制御する。しかし、水量密度が低い緩冷却だと、前述したように、スケール厚の影響を受けやすく、遷移沸騰温度が高温化して膜沸騰領域が小さくなり均一に鋼板を冷却することができずに鋼板の材質にばらつきが生じる問題がある。また、特許文献4に示す厚鋼板の制御冷却装置の場合、緩冷却帯と急冷却帯との間の空冷部に設置された温度計によって緩冷却帯通過鋼板の表面温度を測定し、その測定結果に基づいて、急冷却帯の冷却停止温度が所定の値になるように、通板速度や冷却水量などの冷却条件を制御し、第二相の組織をコントロールできるが、フェライトの生成量を制御することができない。
従って、本発明はこれら従来の問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、エネルギーコストを安価にするともに鋼板の生産性の低下を招くことなく、降伏比の同一の鋼板内におけるばらつきが少ない高強度かつ低降伏比の厚鋼板を製造することができる、厚鋼板の製造設備及び製造方法を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る厚鋼板の製造設備は、100℃以下の厚鋼板をオーステナイト温度域まで加熱する加熱炉と、該加熱炉で加熱された厚鋼板を冷却する冷却装置とを備えた厚鋼板の製造設備であって、前記冷却装置は、前記加熱炉から抽出された厚鋼板を急冷却する第1急冷却装置と、該第1急冷却装置の搬送方向下流側に設置され、前記厚鋼板を急冷却する第2急冷却装置とを備え、前記第1急冷却装置及び前記第2急冷却装置のそれぞれは、上下複数対の急冷却ノズルを厚鋼板の搬送方向に沿って並べて配置するとともに、少なくとも前記第1急冷却装置及び前記第2急冷却装置のそれぞれにおける最上流にある上側の急冷却ノズルの上流側及び最下流にある上側の急冷却ノズルの下流側とに水切り装置を配置し、前記第1急冷却装置と前記第2急冷却装置との間の距離を5m以上とすることを要旨とする。
また、本発明の別の態様に係る厚鋼板の製造方法は、100℃以下の厚鋼板を加熱炉でオーステナイト温度域まで加熱する加熱工程と、該加熱工程で加熱された厚鋼板を冷却装置で冷却する冷却工程とを備えた厚鋼板の製造方法であって、前記冷却工程は、前記加熱炉から抽出された厚鋼板を、前記冷却装置の第1急冷却装置により急冷却する第1急冷却工程と、該第1急冷却工程で急冷却された厚鋼板を、前記冷却装置の前記第1急冷却装置との間の距離が5m以上離れた位置に設置された前記冷却装置の第2急冷却装置により冷却する前に空冷待機する空冷待機工程と、該空冷待機工程で空冷待機した厚鋼板を、前記第2急冷却装置により急冷却する第2急冷却工程とを備え、前記第1急冷却工程及び前記第2急冷却工程のそれぞれでは、上下複数対の急冷却ノズルを厚鋼板の搬送方向に沿って並べて配置した前記第1急冷却装置及び前記第2急冷却装置のそれぞれの前記急冷却ノズルから冷却水を前記厚鋼板に噴射して急冷却を行い、少なくとも前記第1急冷却装置及び前記第2急冷却装置のそれぞれにおける最上流にある上側の急冷却ノズルの上流側及び最下流にある上側の急冷却ノズルの下流側とに水切り装置を配置し、前記第1急冷却装置及び前記第2急冷却装置のそれぞれの前記上側の急冷却ノズルから冷却水を前記水切り装置で拘束して冷却区間外への冷却水の漏洩を防止することを要旨とする。
本発明に係る厚鋼板の製造設備及び製造方法によれば、エネルギーコストを安価にするともに鋼板の生産性の低下を招くことなく、降伏比の同一の鋼板内におけるばらつきが少ない高強度かつ低降伏比の厚鋼板を製造することができる、厚鋼板の製造設備及び製造方法を提供できる。
本発明の第1実施形態に係る厚鋼板の製造設備を表すオフラインの熱処理設備の概略構成図である。 本発明における厚鋼板の製造設備を適用して冷却した時の厚鋼板の表層及び板厚方向中心の温度履歴及び厚鋼板の組織変化についてCCT線図を用いて説明した図であり、加熱炉を出て空冷の後、冷却初期を急冷却(第1急冷却)とし、その後空冷して厚鋼板の表層及び板厚方向中心のフェライト分率が所定の分率となったところで急冷却(第2急冷却)としてほぼ室温まで冷却し、第二相としてマルテンサイトを主体とした組織としたときのものである。 本発明における厚鋼板の製造設備を適用して冷却した時の厚鋼板の表層及び板厚方向中心の温度履歴及び厚鋼板の組織変化についてCCT線図を用いて説明した図であり、加熱炉を出て空冷の後、冷却初期を急冷却(第1急冷却)とし、その後空冷して厚鋼板の表層及び板厚方向中心のフェライト分率が所定の分率となったところで急冷却(第2急冷却)とし、厚鋼板の板厚方向の平均温度がベイナイト生成温度となったところで急冷却を停止し、第二相としてベイナイトを主体とした組織としたときのものである。 参考例に係る厚鋼板の製造設備を適用して冷却した時の厚鋼板の表層及び板厚方向中心の温度履歴及び厚鋼板の組織変化についてCCT線図を用いて説明した図である。 厚鋼板の長さが第1急冷却装置と第2急冷却装置との間の距離よりも長い場合の空冷待機の方法を説明するための図である。 第1急冷却装置及び第2急冷却装置における入側の急冷却ノズルの入側、入側の急冷却ノズルと出側の急冷却ノズルとの間及び出側の急冷却ノズルの出側に水切り装置を配置した場合と当該水切り装置を配置しない場合との状況を示すもので、(a)は当該水切り装置を配置しない場合の状況を示す図、(b)は当該水切り装置を配置した場合の状況を示す図である。 第1急冷却装置及び第2急冷却装置における急冷却ノズルを変形例のものに代えた場合の図6(b)と同様の図である。 水切り装置を変形例のものに代えた場合の図6(b)と同様の図である。 第1急冷却装置及び第2急冷却装置における急冷却ノズルを変形例のものに代え、かつ水切り装置を変形例のものに代えた場合の図6(b)と同様の図である。 本発明の第2実施形態に係る厚鋼板の製造設備を表すオフラインの熱処理設備の概略構成図である。 温度計による測定値に基づいて、空冷待機時間の算出方法を説明するための図である。 膜沸騰、遷移沸騰及び核沸騰を説明ずるためのグラフである。 冷却時におけるスケール厚と鋼板の温度履歴との関係を示すグラフである。 冷却時の鋼板の先端及び尾端の温度履歴を示すグラフである。
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記の実施形態に特定するものではない。また、図面は模式的なものである。そのため、厚みと平面寸法との関係、比率等は現実のものとは異なることに留意すべきであり、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている。
(第1実施形態)
図1には、本発明の第1実施形態に係る厚鋼板の製造設備を表すオフラインの熱処理設備の概略構成が示されており、熱処理設備1は、オフライン型の熱処理設備であり、100℃以下の厚鋼板Sをオーステナイト温度域まで加熱する加熱炉2と、加熱炉2で加熱された厚鋼板Sを冷却する冷却装置3とを備えている。なお、熱処理設備1は、板厚12mmから100mm、引張強度490MPa以上の高強度厚鋼板を、低降伏比(80%以下)とするための熱処理に用いられる。
加熱炉2には、熱処理設備1とは別の熱間圧延ライン(図示せず)で所定の厚み(例えば15mm)、幅(例えば3000mm)及び長さ(例えば15m)に予め熱間圧延され、室温になった後にスケール除去機構(図示せず)により鋼板表面のスケールを除去した厚鋼板Sが装入される。そして、加熱炉2では、厚鋼板Sをオーステナイト温度域(例えば、910℃程度)まで加熱する。
加熱炉2から抽出された厚鋼板Sは、加熱炉2の出側に設置されている複数のテーブルロール8により搬送されながら冷却装置3で冷却される。
ここで、冷却装置3は、加熱炉2から抽出された厚鋼板Sを急冷却する第1急冷却装置4と、第1急冷却装置4の搬送方向下流側に設置され、厚鋼板Sを急冷却する第2急冷却装置5とを備えている。
第1急冷却装置4は、搬送ラインに対して上下で対をなす上側の急冷却ノズル6a及び下側の急冷却ノズル6bを複数対(本実施形態にあっては、5対)、厚鋼板Sの搬送方向に沿って所定ピッチで並べて配置している。各上側の急冷却ノズル6a及び下側の急冷却ノズル6bから厚鋼板Sに向けて冷却水12が噴射される。
また、第2急冷却装置5は、搬送ラインに対して上下で対をなす上側の急冷却ノズル7a及び下側の急冷却ノズル7bを複数対(本実施形態にあっては、4対)、厚鋼板Sの搬送方向に沿って所定ピッチで並べて配置している。各上側の急冷却ノズル7a及び下側の急冷却ノズル7bから厚鋼板Sに向けて冷却水12が噴射される。
ここで、図1に示す熱処理設備1は、厚鋼板S内における降伏比のばらつきを少なくするために、オンライン型ではなくオフライン型の熱処理設備とし、また、可能な限り少ないエネルギーで製造してエネルギーコストを安価にするために、1回の熱処理工程(加熱が1回)で低降伏比(降伏強度と引張強度の比である降伏比が80%以下)の厚鋼板を製造するものである。
先ず、オンライン型の熱処理設備ではなく、オフライン型の熱処理設備とする理由について述べる。オンライン型の熱処理設備とした場合の最大の課題は、冷却前の厚鋼板Sの先端と尾端の温度偏差によって機械的特性が同一の鋼板内でばらついてしまうことである。そこで、厚鋼板Sの全長にわたって冷却開始温度を一定とするために、オンライン型ではなくオフライン型の熱処理設備とし、加熱炉2と冷却装置3とを近接配置し、加熱炉2から厚鋼板Sを抽出するとほぼ同時に冷却装置3で冷却を実施するようにしている。これにより、厚鋼板Sの先端と尾端の冷却開始温度のばらつきを小さくすることができる。
ここで、厚鋼板Sの先端及び尾端が加熱炉2から抽出されてから冷却装置3の第1急冷却装置4に進入するまでの温度低下を説明する。
図1に示す熱処理設備1おいて、加熱炉2では、厚鋼板Sが一定の温度になるように均熱加熱する。一般的に、加熱炉2内での厚鋼板Sの板内温度偏差を±5〜10℃程度で加熱することができ、且つ加熱炉2の炉温まで厚鋼板Sが昇温されることから、加熱炉2の炉内温度はほぼ狙いの温度に対して均一にすることができる。また、加熱炉2から冷却装置3までの距離がL(m)の場合において、例えば、加熱炉2から厚鋼板Sの先端が抽出され、厚鋼板Sが搬送速度V(m/s)で搬送され、厚鋼板Sの先端が冷却装置3に進入したとする。この場合、厚鋼板Sが加熱炉2を出てから外気により厚鋼板Sの温度低下が開始するため、厚鋼板Sの先端は加熱炉2と冷却装置3との間の距離L(m)だけ移動する時間L/V(s)だけ冷却されることになる。加熱炉2から冷却装置3までの距離Lとは、図1に示すように、加熱炉2の抽出口から第1急冷却装置4の最上流にあるテーブルロール8迄の距離で定義される。
一方、厚鋼板Sの尾端についても、加熱炉2から厚鋼板Sの尾端が抽出され、厚鋼板Sが搬送速度V(m/s)で搬送され、厚鋼板Sの尾端が冷却装置3に進入したとする。この場合、厚鋼板Sが加熱炉2を出てから外気により厚鋼板Sの温度低下が開始するため、厚鋼板Sの尾端は加熱炉2と冷却装置3との間の距離L(m)だけ移動する時間L/V(s)だけ冷却されることになる。ここで、厚鋼板Sの搬送速度V(m/s)が一定とすると、加熱炉2内で厚鋼板Sの先尾端に温度偏差がなく、また、同一時間放冷されて、冷却装置3に進入するため、冷却装置3の進入時において厚鋼板Sの先尾端に温度偏差はない。このため、板材ごとの厚鋼板Sの先尾端の温度にばらつきは少なく、厚鋼板Sの先尾端について同一温度で冷却を開始することができる。なお、厚鋼板Sの先尾端について同一温度で冷却を開始するためには、厚鋼板Sの先端が加熱炉2を出てから、厚鋼板Sの尾端が冷却装置3に進入するまで一定の速度で通板することが好ましい。
また、冷却装置3を、第1急冷却装置4と第2急冷却装置5とで構成し、緩冷却装置を用いていないので、次の問題点を回避できる。即ち、水量密度が低い緩冷却だと、前述したように、スケール厚の影響を受けやすく、遷移沸騰温度が高温化して膜沸騰領域が小さくなり均一に鋼板を冷却することができずに鋼板の材質にばらつきが生じる問題がある。緩冷却装置を用いないで急冷却装置を用いることによって、核沸騰状態で冷却することができ、遷移沸騰が発生せず、スケールの影響も受けずに均一に冷却することができる。
また、冷却装置3において、第1急冷却装置4と第2急冷却装置5との間の距離を5m以上としている。ここで、第1急冷却装置と前記第2急冷却装置との間の距離とは、図1に示すように、第1急冷却装置4における最下流のテーブルロール8と第2急冷却装置5における最上流のテーブルロール8との間の距離Lで定義される。当該距離を5m以上としたのは、第1急冷却装置4で厚鋼板Sを急冷却した後、所定の時間だけ、第2急冷却装置5の搬送方向上流側で厚鋼板Sを空冷待機させることができ、厚鋼板Sに対して先ずフェライトを所定の分率だけ生成させ、その後に第2急冷却装置5で急冷却を実施して、残りのオーステナイト相をベイナイト相若しくはマルテンサイト相とする。これにより、厚鋼板の組織として軟らかいフェライト相と硬質相のベイナイト相若しくはマルテンサイト相とを強度に応じた適当な割合で分散させることができ、引張強度を保った上で低降伏比を達成することができるからである。
例えば、板厚30mmの厚鋼板Sにおいて、このような第1急冷却装置4と第2急冷却装置5との間の距離を5m以上とした厚鋼板の製造設備で実現する厚鋼板Sの表層及び板厚方向中心の温度履歴及び厚鋼板の組織変化についてCCT線図を用いた図2に示す。
加熱炉2から抽出された厚鋼板Sに対し、空冷(放冷)の後、第1急冷却装置4により厚鋼板Sの板厚断面平均温度が550〜800℃となるように急冷却した後、空冷待機させて先ずフェライトを所定の分率だけ生成させ。その後、第2急冷却装置5により急冷却を実施して残りのオーステナイト相をベイナイト相若しくはマルテンサイト相とする。これにより、1回の熱処理工程で第一相のフェライト分率のコントロールをするとともに、第二相のベイナイト相若しくはマルテンサイト相を作り込む。これにより、厚鋼板の組織として軟らかいフェライト相と硬質相のベイナイト相若しくはマルテンサイト相とを強度に応じた適当な割合で分散させることができ、引張強度を保った上で低降伏比を達成することができる。そして、オフラインの熱処理設備1としてあるから、フェライト分率が板内で変化することなく、降伏比が同一の鋼板内でばらつくことのない厚鋼板を得ることができる。
ここで、図2においては、第2急冷却装置5により急冷却を実施して板厚断面平均温度が室温に至るまで厚鋼板Sを冷却しているが、厚鋼板Sの強度に応じて図3に示すように、第2急冷却装置5による急冷却を、厚鋼板Sの板厚断面平均温度が400〜550℃(ベイナイト生成温度)となったところで停止する場合もある。この場合、第一相としてフェライトを第二相としてベイナイトを主体とした組織を作り込むことができる。
一方、図4は、参考例に係る厚鋼板の製造設備を適用して冷却した時の厚鋼板の表層及び板厚方向中心の温度履歴及び厚鋼板の組織変化についてCCT線図を用いて説明した図である。厚鋼板の板厚は、30mm程度である。
参考例に係る厚鋼板の製造設備では、加熱炉2から抽出された厚鋼板Sに対し、空冷(放冷)の後、急冷却を実施し、ほぼ水温に至るまで厚鋼板を冷却している。この冷却方法では、急冷却の後、厚鋼板Sの板厚断面平均温度が550〜800℃となった時点で空冷待機させるものではないため、厚鋼板Sの表層はフェライト変態をせず、マルテンサイト変態をしている。このため、参考例に係る厚鋼板の製造設備では、1回の熱処理工程で複相組織を作り込むことができない。
これに対して、本実施形態に係る厚鋼板の製造設備では、前述したように、冷却装置3を、加熱炉2から抽出された厚鋼板Sを急冷却する第1急冷却装置4と、第1急冷却装置4の搬送方向下流側に設置され、厚鋼板Sを急冷却する第2急冷却装置5とを備え、第1急冷却装置4と第2急冷却装置5との間の距離を5m以上としているので、第1急冷却装置4で厚鋼板Sを急冷却した後、所定の時間だけ、第2急冷却装置5の搬送方向上流側で厚鋼板Sを空冷待機させることができ、厚鋼板Sに対して先ずフェライトを所定の分率だけ生成させ、その後に第2急冷却装置5で急冷却を実施して、残りのオーステナイト相をベイナイト相若しくはマルテンサイト相とする。このため、1回の熱処理工程で第一相のフェライト分率のコントロールをするとともに、第二相のベイナイト相若しくはマルテンサイト相を作り込むことができる。
なお、一般的なオフライン型の熱処理設備で処理する厚鋼板Sの長さは、4〜15m程度である。従って、第1急冷却装置4と第2急冷却装置5との間の距離が5m以上あれば、板長が5m以下の厚鋼板Sは第1急冷却装置4と第2急冷却装置5との間で空冷待機させることができる。一方、第1急冷却装置4と第2急冷却装置5との間の距離Lよりも厚鋼板Sの長さが長い場合には、図5(a)に示すように、厚鋼板Sが第1急冷却装置4を通過後、図5(b)に示すように、第1急冷却装置4の急冷却ノズル6a,6bからの冷却水を停止させるとともに、厚鋼板Sを上流側に逆搬送させて空冷待機させ、空冷待機後、図5(c)に示すように、厚鋼板Sを下流側に搬送させて第2急冷却装置5により冷却させればよい。
第1急冷却装置4と第2急冷却装置5との間の距離を5m未満とすると、板長の長い厚鋼板Sの場合、厚鋼板Sの尾端が加熱炉2と干渉する問題が生じて第2急冷却装置5の前で空冷待機させることができない。
なお、長尺材でも逆搬送や冷却水の注水停止タイミングなどの制御を必要とせず、第1急冷却装置4で冷却した後に第1急冷却装置4と第2急冷却装置5との間で空冷待機できるようにするのは、第1急冷却装置4と第2急冷却装置5との間の距離は好ましくは10m以上、さらに好ましくは15m以上であるとよい。一方、第1急冷却装置4と第2急冷却装置5との間の距離が長すぎると、設備長が長くなりすぎて設備スペースの問題があるため、好ましくは25m以下がよい。
また、冷却装置3において、第1急冷却装置4及び第2急冷却装置5のそれぞれにおける冷却水の水量密度を、1.0m/(min・m)以上4.0m/(min・m)以下としてある。これにより、急冷却を実現し、冷却速度を厚鋼板Sの板厚方向中心で4℃/s以上に制御でき、厚鋼板S内で均一な材質、特に降伏比のばらつきが小さい高強度の低降伏比調質鋼板を製造することができる。当該水量密度を1.0m/(min・m)以上とすることにより、核沸騰状態で冷却することができ、遷移沸騰が発生せず、スケールの影響も受けずに均一に冷却することができる。当該水量密度が1.0m/(min・m)未満だと、緩冷却となり、遷移沸騰が発生して温度むらが生じ、冷却後の厚鋼板Sの材質、特に降伏比のばらつきが大きくなる。厚鋼板Sをより均一に冷却するには、当該水量密度を好ましくは1.2m/(min・m)以上、さらに好ましくは当該水量密度を1.5m/(min・m)以上とするのがよい。一方、当該水量密度が大きくなりすぎると、設備コストが膨大となるため、水量密度の上限としては4.0m/(min・m)とするのがよい。
また、第1急冷却装置4においては、図1に示すように、第1急冷却装置4における搬送方向に隣接する上側の急冷却ノズル6a間及び最上流にある上側の急冷却ノズル6aの上流側及び最下流にある上側の急冷却ノズル6aの下流側とに水切り装置9を配置している。同様に、第2急冷却装置5においても、第2急冷却装置5における搬送方向に隣接する上側の急冷却ノズル7a間及び最上流にある上側の急冷却ノズル7aの上流側及び最下流にある上側の急冷却ノズル7aの下流側とに水切り装置9を配置している。第1急冷却装置4における水切り装置9及び第2急冷却装置5における水切り装置9のぞれぞれは水切りロールで構成されている。
このように、第1急冷却装置4及び第2急冷却装置5のそれぞれにおいて水切り装置9を設置した理由について述べると、図6(a)に示すように、水切り装置9がないと、上側の急冷却ノズル6a,7aから噴射された冷却水12が冷却区間外へ漏洩水13として漏洩して、厚鋼板S上に滞留した冷却水によって厚鋼板Sの温度が狙いの温度よりも低下してしまう問題がある。これに対して、図6(b)に示すように、第1急冷却装置4及び第2急冷却装置5のそれぞれにおいて水切り装置9を設置すると、第1急冷却装置4及び第2急冷却装置5のそれぞれの上側の急冷却ノズル6a,7aからの冷却水12を水切り装置9で拘束して冷却区間外への冷却水12の漏洩を防止することができる。これにより、厚鋼板Sの安定した冷却を実現することができる。特に、第2急冷却装置5において水切り装置9を設置すると、第2急冷却装置5で厚鋼板Sの板厚断面平均温度が400〜550℃となるように急冷却を停止させる際に、冷却区間外へ冷却水12の漏洩を防止することができ、精度よく冷却停止温度を制御することができる。
ここで、各水切り装置9は、搬送ラインに対して上方に位置しており、昇降機能を有することで、様々な板厚の厚鋼板Sを一定の押圧力で拘束することができる。良好な水切り性を得るには冷却中の厚鋼板Sの表面形状を平坦とするのがよく、各水切り装置9の押付け力は好ましくは4ton以上、より好ましくは6ton以上、さらに好ましくは8ton以上がよい。一方、各水切り装置9の押付け力が大きすぎると、水切り装置(水切りロール)9がたわんで厚鋼板Sと水切り装置9との間に隙間が生じて水切り性が悪化する可能性があるため、押付け力は20ton以下が好ましい。
また、第1急冷却装置4及び第2急冷却装置5のそれぞれにおける上側の急冷却ノズル6a,7a及び下側の急冷却ノズル6b,7bは、衝突形状が円形、楕円あるいは矩形のスプレー冷却としてある。
なお、第1急冷却装置4及び第2急冷却装置5のそれぞれにおける上側の急冷却ノズル6a,7aは、図7及び図9に示すように、冷却ヘッダ60aに設けられた円管ノズルで構成し、この円管ノズルから円管噴流を噴射するようにしてもよい。また、第1急冷却装置4及び第2急冷却装置5のそれぞれにおける下側の急冷却ノズル6b,7bも、図7及び図9に示すように、冷却ヘッダ60bに設けられた円管ノズルで構成し、この円管ノズルから円管噴流14を噴射するようにしてもよい。
また、各水切り装置9は、水切りロールではなく、図8及び図9に示すように、パージ水15を噴射して冷却水を拘束するパージノズルで構成してもよい。但し、水冷適用区間外に冷却水を漏洩させずに、より安定した冷却を実施するためには、水切り装置9として水切りロールを用いることが好ましい。
なお、図7には、上側の急冷却ノズル6a,7a及び下側の急冷却ノズル6b,7bとして円管ノズルを採用し、水切り装置9として水切りロールを採用した例が示され、図8には、上側の急冷却ノズル6a,7a及び下側の急冷却ノズル6b,7bとして冷却スプレーを採用し、水切り装置9としてパージノズルを採用した例が示され、図9には、上側の急冷却ノズル6a,7a及び下側の急冷却ノズル6b,7bとして円管ノズルを採用し、水切り装置9としてパージノズルを採用した例が示されている。
次に、熱処理設備1においては、厚鋼板Sの、第1急冷却装置4の終点時における板厚断面平均温度が550℃〜800℃の範囲内の目標温度となるように、冷却水を噴射する急冷却ノズル6a,6bの数(急冷却ノズル6a,6bの対数)、第1急冷却装置4における冷却水の水量密度、及び第1急冷却装置4内の厚鋼板Sの搬送速度を制御する制御装置10が設けられている。
この制御装置10は、第1急冷却制御装置として機能するものであり、第1急冷却装置4における上側の急冷却ノズル6a及び下側の急冷却ノズル6bに接続されるとともに、上位コンピュータ11に接続されている。
そして、制御装置10は、上位コンピュータ11から、加熱温度、板厚などの情報に加えて、厚鋼板Sの、第1急冷却装置4の終点時における板厚断面平均温度である550℃〜800℃の範囲内の目標温度の情報を取得する。そして、制御装置10は、厚鋼板Sの、第1急冷却装置4の終点時における板厚断面平均温度が目標温度となるような冷却水を噴射する急冷却ノズル6a,6bの数(急冷却ノズル6a,6bの対数)、第1急冷却装置4における冷却水の水量密度、及び第1急冷却装置4内の厚鋼板Sの搬送速度を算出する。第1急冷却装置4における冷却水の水量密度については、前述したように、1.0m/(min・m)以上4.0m/(min・m)以下とする。そして、制御装置10は、第1急冷却装置4において、この算出された搬送速度で厚鋼板Sを搬送しつつ、算出された急冷却ノズル6a,6bの数(急冷却ノズル6a,6bの対数)及び第1急冷却装置4における冷却水の水量密度で急冷却ノズル6a,6bから厚鋼板Sに向けて冷却水を噴射する。これにより、厚鋼板Sの、第1急冷却装置4の終点時における板厚断面平均温度は、550℃〜800℃の範囲内の目標温度とされる。
また、熱処理設備1において、この制御装置10は、第2急冷却制御装置としても機能し、厚鋼板Sの、第2急冷却装置5の終点時における板厚断面平均温度が室温〜550℃の範囲内の目標温度で停止するように、冷却水を噴射する第2急冷却装置5における急冷却ノズル7a,7bの数(急冷却ノズル7a,7bの対数)、第2急冷却装置5における冷却水の水量密度、及び第2急冷却装置5内の厚鋼板Sの搬送速度を制御する。
具体的に述べると、制御装置10は、第2急冷却装置5における上側の急冷却ノズル7a及び下側の急冷却ノズル7bに接続されるとともに、上位コンピュータ11に接続されている。
そして、制御装置10は、上位コンピュータ11から、加熱温度、板厚などの情報に加えて、厚鋼板Sの、第2急冷却装置5の終点時における板厚断面平均温度である室温〜550℃の範囲内の目標温度の情報を取得する。そして、制御装置10は、厚鋼板Sの、第2急冷却装置5の終点時における板厚断面平均温度が目標温度となるような冷却水を噴射する急冷却ノズル7a,7bの数(急冷却ノズル7a,7bの対数)、第2急冷却装置5における冷却水の水量密度、及び第2急冷却装置5内の厚鋼板Sの搬送速度を算出する。第2急冷却装置5における冷却水の水量密度については、前述したように、1.0m/(min・m)以上4.0m/(min・m)以下とする。そして、制御装置10は、第2急冷却装置5において、この算出された搬送速度で厚鋼板Sを搬送しつつ、算出された急冷却ノズル7a,7bの数(急冷却ノズル7a,7bの対数)及び第2急冷却装置5における冷却水の水量密度で急冷却ノズル7a,7bから厚鋼板Sに向けて冷却水を噴射する。これにより、厚鋼板Sの、第2急冷却装置5の終点時における板厚断面平均温度は、室温〜550℃の範囲内の目標温度とされる。
また、熱処理設備1において、加熱炉2で加熱される厚鋼板Sは、加熱炉2で加熱する前に予めスケール除去機構(図示せず)により鋼板表面のスケールを除去したものであり、加熱炉2から第1急冷却装置4までの距離を4m以下としている。これにより、スケールの影響をほとんど受けずにより均一に厚鋼板Sを冷却することができる。
加熱炉2に装入される前の厚鋼板Sの表面には、熱間圧延時に生成したスケールが形成されている。このスケールは、一般的に10〜50μm程度の厚みであるが、予めスケール除去機構、例えばショットブラストや酸洗などの工程でスケールを除去することで、加熱炉2に挿入される前のスケールの厚みを1μm未満とすることができる。また、加熱炉2内は窒素雰囲気などの無酸化雰囲気で加熱することで、炉内でのスケール生成を抑えるのがよく、炉内の酸素濃度を1%未満とするのが好ましい。
加熱炉2で加熱する前に予めスケール除去機構により鋼板表面のスケールを除去し、かつ加熱炉2内を無酸化雰囲気で加熱することにより、加熱炉2から抽出するまでの厚鋼板Sの表面におけるスケールの生成を防止することができるが、加熱炉2抽出後に高温の厚鋼板Sは大気雰囲気に暴露されてやはりスケールが生成する。そこで、スケールの抑制の観点から、加熱炉2抽出から冷却装置3に侵入までの時間は少なくとも120sec以下、好ましくは100sec以下とするのがよい。一般的なオフライン型の熱処理設備における搬送速度は2〜20mpm程度であり、スケールを可能な限り防止する観点から、最低の搬送速度を2mpmとした場合、加熱炉2から第1急冷却装置4までの距離は、4m以下が好ましく、3.3m以下となると更に好適である。
また、加熱炉2から第1急冷却装置4までの距離が短すぎると、第1急冷却装置4から飛散した冷却水が加熱炉2内に入って、加熱炉2が劣化する問題がある。このため、加熱炉2から第1急冷却装置4までの距離は0.5m以上であることが好ましい。
次に、図1に示す熱処理設備1を用いた厚鋼板の製造方法について説明する。
先ず、熱処理設備1とは別の熱間圧延ライン(図示せず)で所定の厚み(例えば15mm)、幅(例えば3000mm)及び長さ(例えば15m)に予め熱間圧延され、室温になった後にスケール除去機構(図示せず)でスケールを除去した厚鋼板Sを加熱炉2に装入する。そして、加熱炉2において、厚鋼板Sをオーステナイト温度域(例えば、910℃程度)まで加熱する(加熱工程)。
次いで、厚鋼板Sは加熱炉2から抽出され、加熱炉2の出側に設置されている複数のテーブルロール8により搬送され、冷却装置3で冷却される(冷却工程)。
この冷却工程では、先ず、加熱炉2から4m以内に配置された、冷却装置3の第1急冷却装置4により、加熱炉2から抽出された厚鋼板Sを急冷却する(第1急冷却工程)。
この第1急冷却工程では、上下複数対の急冷却ノズル6a,6bを厚鋼板Sの搬送方向に沿って並べて配置した第1急冷却装置4の急冷却ノズル6a,6bから冷却水を厚鋼板Sに噴射して急冷却を行う。
ここで、第1急冷却工程では、第1急冷却装置4における冷却水の水量密度を、1.0m/(min・m)以上4.0m/(min・m)以下として急冷却ノズル6a,6bから冷却水を厚鋼板Sに噴射して急冷却を行う。
また、第1急冷却工程において、第1急冷却装置4の上側の急冷却ノズル6aからの冷却水12を水切り装置9で拘束して冷却区間外への冷却水の漏洩を防止する。
また、第1急冷却工程において、厚鋼板Sの、第1急冷却装置4の終点時における板厚断面平均温度が550℃〜800℃の範囲内の目標温度となるように、制御装置10で冷却水を噴射する急冷却ノズル6a,6bの数、第1急冷却装置4における冷却水の水量密度、及び第1急冷却装置4内の厚鋼板Sの搬送速度を制御して急冷却を行う。
次に、冷却工程では、第1急冷却工程で急冷却された厚鋼板Sを、冷却装置3の第1急冷却装置4との間の距離が5m以上離れた位置に設置された冷却装置3の第2急冷却装置5により冷却する前に空冷待機する(空冷待機工程)。
その後、冷却工程では、空冷待機工程で空冷待機した厚鋼板Sを、第2急冷却装置5により急冷却する(第2急冷却工程)。
この第2急冷却工程では、上下複数対の急冷却ノズル7a,7bを厚鋼板Sの搬送方向に沿って並べて配置した第2急冷却装置5の急冷却ノズル7a,7bから冷却水を厚鋼板Sに噴射して急冷却を行う。
ここで、第2急冷却工程では、第2急冷却装置5における冷却水の水量密度を、1.0m/(min・m)以上4.0m/(min・m)以下として急冷却ノズル7a,7bから冷却水を厚鋼板Sに噴射して急冷却を行う。
また、第2急冷却工程において、第2急冷却装置5の上側の急冷却ノズル7aからの冷却水12を水切り装置9で拘束して冷却区間外への冷却水の漏洩を防止する。
また、第2急冷却工程において、厚鋼板Sの、第2急冷却装置5の終点時における板厚断面平均温度が室温〜550℃の範囲内の目標温度で停止するように、制御装置10で冷却水を噴射する急冷却ノズル7a,7bの数、第2急冷却装置5における冷却水の水量密度、及び第2急冷却装置5内の厚鋼板Sの搬送速度を制御して急冷却を行う。
そして、冷却工程を経た厚鋼板Sは、後工程に供される。
このように、第1実施形態に係る厚鋼板Sの製造方法によれば、加熱炉2から抽出された厚鋼板Sに対し、第1急冷却工程により厚鋼板Sの板厚断面平均温度が550〜800℃となるように急冷却した後、空冷待機工程で空冷待機させて先ずフェライトを所定の分率だけ生成させ。その後、第2急冷却工程により急冷却を実施して厚鋼板Sの、第2急冷却装置5の終点時における板厚断面平均温度が室温〜550℃の範囲内の目標温度で停止ささせ、残りのオーステナイト相をベイナイト相若しくはマルテンサイト相とする。これにより、1回の熱処理工程で第一相のフェライト分率のコントロールをするとともに、第二相のベイナイト相若しくはマルテンサイト相を作り込む。これにより、厚鋼板の組織として軟らかいフェライト相と硬質相のベイナイト相若しくはマルテンサイト相とを強度に応じた適当な割合で分散させることができ、引張強度を保った上で低降伏比を達成することができる。そして、1回の熱処理工程で低降伏比の厚鋼板Sを得ることができるので、可能な限り少ないエネルギーで製造してエネルギーコストを安価にすることができる。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係る厚鋼板の製造設備及び製造方法について、図10及び図11を参照して説明する。
図10には、本発明の第2実施形態に係る厚鋼板の製造設備を表すオフラインの熱処理設備の概略構成が示されており、図10に示す熱処理設備1は、図1に示す熱処理設備1と基本構成は同様であるが、温度計20を備えて制御装置10が空冷待機時間を制御する機能を備えている点と、制御装置(第1急冷却制御装置及び第2急冷却制御装置)10が第1急冷却装置4内の厚鋼板Sの搬送速度と第2急冷却装置5内の厚鋼板Sの搬送速度とを同じに制御する搬送速度制御機能を備えている点とが相違している。
具体的に述べると、熱処理設備1において、第1急冷却装置4と第2急冷却装置5との間には、第1急冷却装置4による冷却終了時の厚鋼板Sの表層温度を測定する温度計20が設置されている。
また、制御装置10は、空冷待機時間制御装置として機能し、温度計20による測定値に基づいて、厚鋼板Sの組織が狙いのフェライト分率となるための第2急冷却装置5の前での空冷待機時間を算出するとともに、第1急冷却装置4を出た厚鋼板Sが、算出された空冷待機時間の経過後に第2急冷却装置5により冷却されるように、厚鋼板Sの搬送速度を制御する制御装置10を備えている。
制御装置10は、テーブルロール8及び温度計20に接続されるとともに、上位コンピュータ11に接続されている。そして、制御装置10は、上位コンピュータ11で算出された第1急冷却装置4による冷却終了後の狙いの厚鋼板Sの表層温度を取得するとともに、図10に示す熱処理設備1を用いて冷却した時の厚鋼板Sの表層及び板厚方向中心の温度履歴及び厚鋼板の組織変化を表す情報を取得し、その一方で、温度計20からの測定値(第1急冷却装置4による冷却終了時の厚鋼板Sの表面温度)を取得する。そして、制御装置10は、上位コンピュータ11で算出された第1急冷却装置4による冷却終了後の狙いの厚鋼板Sの表層温度を、温度計20から取得した測定値に修正する。次いで、制御装置10は、図11に示す温度測定点(温度計20から取得)からフェライト変態が開始するPs線に入るまでの時間tと厚鋼板Sが狙いのフェライト分率となるための保持時間tを算出し、空冷待機時間(t+t)を算出する。ここで、保持時間tの算出に際しては、例えばジョンソン・メール・アブラミの式(Johnson-Mehl-Avrami Equation)により変態率を計算することで、狙いの変態率となる保持時間tを求める。そして、制御装置10は、第1急冷却装置4を出た厚鋼板Sが、算出された空冷待機時間(t+t)の経過後に第2急冷却装置5により冷却されるように、厚鋼板Sの搬送速度を制御する。これにより、温度計20から取得した測定値が、上位コンピュータ11で算出された第1急冷却装置4による冷却終了後の狙いの厚鋼板Sの表層温度から外れていた場合でも、空冷待機時間を制御することで、精度よくフェライト分率を制御することができ、降伏比のばらつきが小さい高強度の低降伏比調質鋼板を製造することができる。
また、熱処理設備1において、厚鋼板Sが第1急冷却装置4内及び第2急冷却装置5内を同じ速度で通板することで、第2急冷却装置5前での空冷待機時間を厚鋼板Sの先端部と尾端部とで同じにすることができ、厚鋼板Sの長手方向で降伏比のばらつきが小さい、高強度の低降伏比調質鋼板を製造することが可能となる。
ここで、厚鋼板Sの先端部の空冷待機時間をtTopとし、厚鋼板Sの尾端部の空冷待機時間をtBotとした場合、tTop及びtBotはそれぞれ次の(1)式及び(2)式で表される。
Top=t+L÷V ……(1)
Bot=t+L÷V ……(2)
ここで、Lは厚鋼板Sの板長、Vは第1急冷却装置4内の通板速度、Vは第2急冷却装置5内の通板速度、tは厚鋼板Sの尾端部が第1急冷却装置4で冷却終了してから厚鋼板Sの先端部が第2急冷却装置5で冷却を開始するまでの時間である。
第1急冷却装置4内の通板速度と第2急冷却装置5内の通板速度が異なる場合(V≠V)、(1)式と(2)式とからわかるように、厚鋼板Sの先端部の空冷待機時間と厚鋼板Sの尾端部の空冷待機時間とが異なってしまう。一方、第1急冷却装置4内の通板速度と第2急冷却装置5内の通板速度とが同じ場合(V=V)、厚鋼板Sの全長にわたって同じ空冷待機時間とすることができる。
ここで、熱処理設備1においては、制御装置(第1急冷却制御装置及び第2急冷却制御装置)10が、第1急冷却装置4内の厚鋼板Sの搬送速度と第2急冷却装置5内の厚鋼板Sの搬送速度とを同じに制御する搬送速度制御装置としての機能も兼ね備えている。
制御装置10は、上位コンピュータ11から、加熱温度、板厚などの情報に加えて、厚鋼板Sの、第1急冷却装置4の終点時における板厚断面平均温度である550℃〜800℃の範囲内の目標温度の情報を取得するとともに、厚鋼板Sの、第2急冷却装置5の終点時における板厚断面平均温度である室温〜550℃の範囲内の目標温度の情報を取得する。
そして、制御装置10は、厚鋼板Sの、第1急冷却装置4の終点時における板厚断面平均温度が550℃〜800℃の範囲内の目標温度となり、かつ厚鋼板Sの、第2急冷却装置5の終点時における板厚断面平均温度が室温〜550℃の範囲内の目標温度で冷却停止することを前提とした上で、第1急冷却装置4内の厚鋼板Sの搬送速度及び第2急冷却装置5内の厚鋼板Sの搬送速度とが同じになるような、冷却水を噴射する第1急冷却装置4における急冷却ノズル6a,6bの数(急冷却ノズル6a,6bの対数)、第1急冷却装置4における冷却水の水量密度、冷却水を噴射する第2急冷却装置5における急冷却ノズル7a,7bの数(急冷却ノズル7a,7bの対数)、第2急冷却装置5における冷却水の水量密度、及び第1急冷却装置4及び第2急冷却装置5内の厚鋼板Sの搬送速度を算出する。但し、第1急冷却装置4及び第2急冷却装置5のそれぞれにおける冷却水の水量密度については、前述したように、1.0m/(min・m)以上4.0m/(min・m)以下とする。
そして、制御装置10は、算出された厚鋼板Sの搬送速度で厚鋼板Sを第1急冷却装置4内及び第2急冷却装置5内を同一速度で搬送しつつ、算出された第1急冷却装置4における急冷却ノズル6a,6bの数(急冷却ノズル6a,6bの対数)、第1急冷却装置4における冷却水の水量密度、冷却水を噴射する第2急冷却装置5における急冷却ノズル7a,7bの数(急冷却ノズル7a,7bの対数)及び第2急冷却装置5における冷却水の水量密度で冷却水を噴射する。これにより、第1急冷却装置4内の通板速度と第2急冷却装置5内の通板速度とを同じにし、厚鋼板Sの全長にわたって空冷待機時間を同じにし、加熱炉2を抽出してから冷却終了までの温度履歴を厚鋼板Sの全長にわたって揃えることができ、厚鋼板Sの長手方向での降伏比のばらつきが小さい、高強度の低降伏比調質鋼板を製造することができる。
次に、図10に示す熱処理設備1を用いた厚鋼板の製造方法について説明する。
先ず、熱処理設備1とは別の熱間圧延ライン(図示せず)で所定の厚み(例えば15mm)、幅(例えば3000mm)及び長さ(例えば15m)に予め熱間圧延され、室温になった後にスケール除去機構(図示せず)でスケールを除去した厚鋼板Sを加熱炉2に装入する。そして、加熱炉2において、厚鋼板Sをオーステナイト温度域(例えば、910℃程度)まで加熱する(加熱工程)。
次いで、厚鋼板Sは加熱炉2から抽出され、加熱炉2の出側に設置されている複数のテーブルロール8により搬送され、冷却装置3で冷却される(冷却工程)。
この冷却工程では、先ず、加熱炉2から4m以内に配置された、冷却装置3の第1急冷却装置4により、加熱炉2から抽出された厚鋼板Sを急冷却する(第1急冷却工程)。
この第1急冷却工程では、上下複数対の急冷却ノズル6a,6bを厚鋼板Sの搬送方向に沿って並べて配置した第1急冷却装置4の急冷却ノズル6a,6bから冷却水を厚鋼板Sに噴射して急冷却を行う。
ここで、第1急冷却工程では、第1急冷却装置4における冷却水の水量密度を、1.0m/(min・m)以上4.0m/(min・m)以下として急冷却ノズル6a,6bから冷却水を厚鋼板Sに噴射して急冷却を行う。
また、第1急冷却工程において、第1急冷却装置4の上側の急冷却ノズル6aからの冷却水12を水切り装置9で拘束して冷却区間外への冷却水の漏洩を防止する。
また、第1急冷却工程において、制御装置10は、厚鋼板Sの、第1急冷却装置4の終点時における板厚断面平均温度が550℃〜800℃の範囲内の目標温度となり、かつ後述の第2急冷却工程において、厚鋼板Sの、第2急冷却装置5の終点時における板厚断面平均温度が室温〜550℃の範囲内の目標温度で冷却停止することを前提とした上で、第1急冷却装置4内の厚鋼板Sの搬送速度及び第2急冷却装置5内の厚鋼板Sの搬送速度とが同じになるような、冷却水を噴射する第1急冷却装置4における急冷却ノズル6a,6bの数(急冷却ノズル6a,6bの対数)、第1急冷却装置4における冷却水の水量密度、冷却水を噴射する第2急冷却装置5における急冷却ノズル7a,7bの数(急冷却ノズル7a,7bの対数)、第2急冷却装置5における冷却水の水量密度、及び第1急冷却装置4及び第2急冷却装置5内の厚鋼板Sの搬送速度を算出する。但し、第1急冷却装置4及び第2急冷却装置5のそれぞれにおける冷却水の水量密度については、前述したように、1.0m/(min・m)以上4.0m/(min・m)以下とする。
そして、制御装置10は、第1急冷却工程において、算出された第1急冷却装置4における急冷却ノズルの数6a,6bの数、及び第1急冷却装置4における冷却水の水量密度で厚鋼板Sを冷却しつつ、算出された搬送速度で厚鋼板Sを搬送する。
次に、冷却工程では、第1急冷却工程で急冷却された厚鋼板Sを、冷却装置3の第1急冷却装置4との間の距離が5m以上離れた位置に設置された冷却装置3の第2急冷却装置5により冷却する前に空冷待機する(空冷待機工程)。
ここで、制御装置10は、第1急冷却装置4による冷却終了後の厚鋼板Sの表層温度を測定する温度計20による測定値に基づいて、厚鋼板Sの組織が狙いのフェライト分率となるための第2急冷却装置5の前での空冷待機時間を算出するとともに、第1急冷却装置4を出た厚鋼板Sが、算出された空冷待機時間の経過後に第2急冷却装置5により冷却されるように、厚鋼板Sの搬送速度を制御する。
その後、冷却工程では、空冷待機工程で空冷待機した厚鋼板Sを、第2急冷却装置5により急冷却する(第2急冷却工程)。
この第2急冷却工程では、上下複数対の急冷却ノズル7a,7bを厚鋼板Sの搬送方向に沿って並べて配置した第2急冷却装置5の急冷却ノズル7a,7bから冷却水を厚鋼板Sに噴射して急冷却を行う。
ここで、第2急冷却工程では、第2急冷却装置5における冷却水の水量密度を、1.0m/(min・m)以上4.0m/(min・m)以下として急冷却ノズル7a,7bから冷却水を厚鋼板Sに噴射して急冷却を行う。
また、第2急冷却工程において、第2急冷却装置5の上側の急冷却ノズル7aからの冷却水12を水切り装置9で拘束して冷却区間外への冷却水の漏洩を防止する。
また、第2急冷却工程において、制御装置10は、前述で算出された第2急冷却装置5における急冷却ノズルの数7a,7bの数、及び第2急冷却装置5における冷却水の水量密度で厚鋼板Sを冷却しつつ、算出された搬送速度で厚鋼板Sを搬送する。
そして、冷却工程を経た厚鋼板Sは、後工程に供される。
このように、第2実施形態に係る厚鋼板Sの製造方法によれば、加熱炉2から抽出された厚鋼板Sに対し、第1急冷却工程により厚鋼板Sの板厚断面平均温度が550〜800℃となるように急冷却した後、空冷待機工程で空冷待機させて先ずフェライトを所定の分率だけ生成させ。その後、第2急冷却工程により急冷却を実施して厚鋼板Sの、第2急冷却装置5の終点時における板厚断面平均温度が室温〜550℃の範囲内の目標温度で停止ささせ、残りのオーステナイト相をベイナイト相若しくはマルテンサイト相とする。これにより、1回の熱処理工程で第一相のフェライト分率のコントロールをするとともに、第二相のベイナイト相若しくはマルテンサイト相を作り込む。これにより、厚鋼板の組織として軟らかいフェライト相と硬質相のベイナイト相若しくはマルテンサイト相とを強度に応じた適当な割合で分散させることができ、引張強度を保った上で低降伏比を達成することができる。そして、1回の熱処理工程で低降伏比の厚鋼板Sを得ることができるので、可能な限り少ないエネルギーで製造してエネルギーコストを安価にすることができる。
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明はこれに限定されずに種々の変更、改良を行うことができる。
例えば、水切り装置9は、第1急冷却装置4における搬送方向に隣接する上側の急冷却ノズル6a間及び最上流にある上側の急冷却ノズル6aの上流側及び最下流にある上側の急冷却ノズル6aの下流側とに水切り装置9を配置している。同様に、第2急冷却装置5においても、第2急冷却装置5における搬送方向に隣接する上側の急冷却ノズル7a間及び最上流にある上側の急冷却ノズル7aの上流側及び最下流にある上側の急冷却ノズル7aの下流側とに水切り装置9を配置している。しかし、水切り装置9は、少なくとも第1急冷却装置4及び第2急冷却装置5のそれぞれにおける最上流にある上側の急冷却ノズル6a,7aの上流側及び最下流にある上側の急冷却ノズル6a,7aの下流側とに配置されていればよく、上側の急冷却ノズル6a間及び上側の急冷却ノズル7a間に配置する必要は必ずしもない。
本発明の効果を検証すべく、図10に示す熱処理設備1において、室温状態の厚鋼板(板厚15mm×板幅3000mm×板長15m)を、加熱炉2で910℃まで加熱した後に、本発明例1〜8及び比較例1〜3の冷却条件で冷却して、引張強度490MPa以上600MPa以下、降伏比は80%以下を目標とした低降伏比厚鋼板を製造した。降伏比は80%以下で合格(○)、80%より大きければ不合格(×)だが、狙いの降伏比として75%となるように製造した。また、材質のばらつきが小さい厚鋼板を製造するためには、第2急冷却装置5の出側の鋼板面内の温度偏差を30%以下に抑える必要があり、当該温度偏差が30%以下のものを合格(○)とし、30%より大きいものを不合格(×)とした。鋼板面内の温度偏差は、走査型放射温度計を用いて、厚鋼板の表面全面に対して測定された鋼板表面温度のうち、最大値から最小値を引いた値として評価した。なお、材料試験は厚鋼板の先端部及び尾端部の一部からサンプルを採取して実施した。
なお、図10に示す熱処理設備1において、第1急冷却装置4と第2急冷却装置5との間の距離は5mとし、急冷却ノズル6a,6b、7a,7bとしてスプレー冷却を用い、水切り装置9として水切りロールを設置した。また、第1急冷却装置4と第2急冷却装置5の入側、出側の上方に鋼板面内の温度分布を測定可能な走査型の放射温度計を設置した。また、目標とする材質を確保するために、制御装置10は、厚鋼板の、第1急冷却装置4の終点時における板厚断面平均温度が700℃となるように、冷却水を噴射する急冷却ノズル6a,6bの数、第1急冷却装置4における冷却水の水量密度、及び第1急冷却装置4内の厚鋼板の搬送速度を制御した。また、制御装置10は、厚鋼板の、第2急冷却装置5の終点時における板厚断面平均温度が400℃となるように、冷却水を噴射する急冷却ノズル7a,7bの数、第2急冷却装置5における冷却水の水量密度、及び第2急冷却装置5内の厚鋼板の搬送速度を制御した。また、加熱炉2から第1急冷却装置4までの距離は4mであった。
結果を表1に示す。
Figure 2019119905
本発明例1では、厚鋼板を第1急冷却装置4による急冷却の後に空冷待機させてフェライトを生成させた後、第2急冷却装置5でベイナイトを生成し、80%以下(厚鋼板の先端で74%、尾端で73%)の降伏比の厚鋼板を得ることができた。また、本発明例1で得られた厚鋼板の鋼板面内の温度偏差は25℃で合格であった。
一方、比較例1では、厚鋼板を第1急冷却装置4による急冷却で終了し、その後は第2急冷却装置5による急冷却なしに室温まで空冷した。その結果、厚鋼板の組織にフェライトが生成せずにベイナイト+マルテンサイト組織となったため、厚鋼板の先端及び尾端で85%の降伏比の厚鋼板となってしまった。一方、比較例1で得られた厚鋼板の鋼板面内の温度偏差は21℃で合格であった。
本発明例2では、第1急冷却装置4及び第2急冷却装置5における冷却水の水量密度がそれぞれ1.2m/(min・m)、1.2m/(min・m)と大きいため、本発明例1よりも均一に冷却することができ、降伏比を80%以下(厚鋼板の先端で74%、尾端で73%)を達成しつつ、鋼板面内の温度偏差が22℃となって材質のばらつきの少ない高品質の低降伏比調質鋼板が得られた。
また、本発明例3でも同様に、第1急冷却装置4及び第2急冷却装置5における冷却水の水量密度がそれぞれ1.5m/(min・m)、1.5m/(min・m)と大きいため、本発明例1よりも均一に冷却することができ、降伏比を80%以下(厚鋼板の先端で74%、尾端で73%)を達成しつつ、鋼板面内の温度偏差が19℃となって材質のばらつきの少ない高品質の低降伏比調質鋼板が得られた。
一方、比較例2では、第1急冷却装置4における冷却水の水量密度が0.9m/(min・m)と小さく、また、比較例3では、第2急冷却装置5における冷却水の水量密度が0.9m/(min・m)と小さく、緩冷却となっているため、それぞれ冷却途中で遷移沸騰が発生して、それぞれ鋼板面内の温度偏差が34℃、33℃と大きく不合格となった。
また、本発明例4では、第1急冷却装置4による急冷却終了時の鋼板表面温度の測定値に基づき、厚鋼板先端の空冷待機時間の制御をしたので、フェライト分率を精度よく制御することができ、厚鋼板先端の降伏比は狙いの75%とすることができた。
また、本発明例5では、第1急冷却装置4内の厚鋼板の搬送速度及び第2急冷却装置5内の厚鋼板の搬送速度とを同じにする搬送速度制御を行ったので、加熱炉2抽出から冷却終了までの温度履歴を厚鋼板の全長にわたって揃えることができ、厚鋼板の先端及び尾端で降伏比が74%と同じになって、厚鋼板の全面、特に長手方向の降伏比のばらつきが小さい、低降伏比調質鋼板を製造することができた。
また、本発明例6では、空冷待機時間制御及び搬送速度制御の双方を実施したので、フェライト分率を精度よく制御し、かつ加熱炉2抽出から冷却終了までの温度履歴を厚鋼板の全長にわたって揃えることができたので、厚鋼板の先端及び尾端で降伏比が狙いの75%と同じになって、厚鋼板の全面、特に長手方向の降伏比のばらつきが小さい、低降伏比調質鋼板を製造することができた。
更に、本発明例7及び8では、それぞれ水切りロールの押付け力が6ton、8tonであったため、水切り性が非常によく、本発明例1と比較して鋼板面内の温度偏差がそれぞれ23℃、21℃と小さくなった。
1 オフラインの熱処理設備(厚鋼板の製造設備)
2 加熱炉
3 冷却装置
4 第1急冷却装置
5 第2急冷却装置
6a 上側の急冷却ノズル
6b 下側の急冷却ノズル
7a 上側の急冷却ノズル
7b 下側の急冷却ノズル
8 テーブルロール
9 水切り装置
10 制御装置(第1急冷却制御装置、第2急冷却制御装置、空冷待機時間制御装置)
11 上位コンピュータ
12 冷却水
13 漏洩水
14 円管噴流
15 パージ水
60a 冷却ヘッダ
60b 冷却ヘッダ
S 厚鋼板

Claims (14)

  1. 100℃以下の厚鋼板をオーステナイト温度域まで加熱する加熱炉と、該加熱炉で加熱された厚鋼板を冷却する冷却装置とを備えた厚鋼板の製造設備であって、
    前記冷却装置は、前記加熱炉から抽出された厚鋼板を急冷却する第1急冷却装置と、該第1急冷却装置の搬送方向下流側に設置され、前記厚鋼板を急冷却する第2急冷却装置とを備え、
    前記第1急冷却装置及び前記第2急冷却装置のそれぞれは、上下複数対の急冷却ノズルを厚鋼板の搬送方向に沿って並べて配置するとともに、少なくとも前記第1急冷却装置及び前記第2急冷却装置のそれぞれにおける最上流にある上側の急冷却ノズルの上流側及び最下流にある上側の急冷却ノズルの下流側とに水切り装置を配置し、
    前記第1急冷却装置と前記第2急冷却装置との間の距離を5m以上とすることを特徴とする厚鋼板の製造設備。
  2. 前記第1急冷却装置及び前記第2急冷却装置のそれぞれにおける冷却水の水量密度を、1.0m/(min・m)以上4.0m/(min・m)以下とすることを特徴とする請求項1に記載の厚鋼板の製造設備。
  3. 前記厚鋼板の、前記第1急冷却装置の終点時における板厚断面平均温度が550℃〜800℃の範囲内の目標温度となるように、冷却水を噴射する急冷却ノズルの数、第1急冷却装置における冷却水の水量密度、及び前記第1急冷却装置内の厚鋼板の搬送速度を制御する第1急冷却制御装置を備えていることを特徴とする請求項2に記載の厚鋼板の製造設備。
  4. 前記厚鋼板の、前記第2急冷却装置の終点時における板厚断面平均温度が室温〜550℃の範囲内の目標温度となるように、冷却水を噴射する急冷却ノズルの数、第2急冷却装置における冷却水の水量密度、及び前記第2急冷却装置内の厚鋼板の搬送速度を制御する第2急冷却制御装置を備えていることを特徴とする請求項3に記載の厚鋼板の製造設備。
  5. 前記第1急冷却装置と前記第2急冷却装置との間に設置され、前記第1急冷却装置による冷却終了時の厚鋼板の表層温度を測定する温度計と、該温度計による測定値に基づいて、前記厚鋼板の組織が狙いのフェライト分率となるための前記第2急冷却装置の前での空冷待機時間を算出するとともに、前記第1急冷却装置を出た厚鋼板が、算出された前記空冷待機時間の経過後に前記第2急冷却装置により冷却されるように、前記厚鋼板の搬送速度を制御する空冷待機時間制御装置とを備えていることを特徴とする請求項4に記載の厚鋼板の製造設備。
  6. 前記第1急冷却制御装置及び前記第2急冷却制御装置は、前記厚鋼板の、前記第1急冷却装置の終点時における板厚断面平均温度が550℃〜800℃の範囲内の目標温度となり、かつ前記厚鋼板の、前記第2急冷却装置の終点時における板厚断面平均温度が室温〜550℃の範囲内の目標温度で冷却停止することを前提とした上で、前記第1急冷却装置内の厚鋼板の搬送速度及び前記第2急冷却装置内の厚鋼板の搬送速度とが同じになるような、冷却水を噴射する前記第1急冷却装置における急冷却ノズルの数、前記第1急冷却装置における冷却水の水量密度、冷却水を噴射する前記第2急冷却装置における急冷却ノズルの数、前記第2急冷却装置における冷却水の水量密度、及び前記第1急冷却装置及び前記第2急冷却装置内の厚鋼板の搬送速度を算出し、算出された前記第1急冷却装置における急冷却ノズルの数、前記第1急冷却装置における冷却水の水量密度、前記第2急冷却装置における急冷却ノズルの数、及び前記第2急冷却装置における冷却水の水量密度で前記厚鋼板を冷却した状態で、前記厚鋼板を算出された搬送速度で前記第1急冷却装置内及び前記第2急冷却装置内を同一速度で搬送することを特徴とする請求項4又は5に記載の厚鋼板の製造設備。
  7. 前記100℃以下の厚鋼板は、前記加熱炉で加熱する前に、スケール除去機構により鋼板表面のスケールを除去したものであり、前記加熱炉から前記第1急冷却装置までの距離を4m以下とすることを特徴とする請求項1乃至6のうちいずれか一項に記載の厚鋼板の製造設備。
  8. 100℃以下の厚鋼板を加熱炉でオーステナイト温度域まで加熱する加熱工程と、該加熱工程で加熱された厚鋼板を冷却装置で冷却する冷却工程とを備えた厚鋼板の製造方法であって、
    前記冷却工程は、前記加熱炉から抽出された厚鋼板を、前記冷却装置の第1急冷却装置により急冷却する第1急冷却工程と、該第1急冷却工程で急冷却された厚鋼板を、前記冷却装置の前記第1急冷却装置との間の距離が5m以上離れた位置に設置された前記冷却装置の第2急冷却装置により冷却する前に空冷待機する空冷待機工程と、該空冷待機工程で空冷待機した厚鋼板を、前記第2急冷却装置により急冷却する第2急冷却工程とを備え、
    前記第1急冷却工程及び前記第2急冷却工程のそれぞれでは、上下複数対の急冷却ノズルを厚鋼板の搬送方向に沿って並べて配置した前記第1急冷却装置及び前記第2急冷却装置のそれぞれの前記急冷却ノズルから冷却水を前記厚鋼板に噴射して急冷却を行い、
    少なくとも前記第1急冷却装置及び前記第2急冷却装置のそれぞれにおける最上流にある上側の急冷却ノズルの上流側及び最下流にある上側の急冷却ノズルの下流側とに水切り装置を配置し、前記第1急冷却装置及び前記第2急冷却装置のそれぞれの前記上側の急冷却ノズルから冷却水を前記水切り装置で拘束して冷却区間外への冷却水の漏洩を防止することを特徴とする厚鋼板の製造方法。
  9. 前記第1急冷却工程及び前記第2急冷却工程のそれぞれでは、前記第1急冷却装置及び前記第2急冷却装置のそれぞれにおける冷却水の水量密度を、1.0m/(min・m)以上4.0m/(min・m)以下として前記急冷却ノズルから冷却水を前記厚鋼板に噴射して急冷却を行うことを特徴とする請求項8に記載の厚鋼板の製造方法。
  10. 前記厚鋼板の、前記第1急冷却装置の終点時における板厚断面平均温度が550℃〜800℃の範囲内の目標温度となるように、第1急冷却制御装置で冷却水を噴射する急冷却ノズルの数、第1急冷却装置における冷却水の水量密度、及び前記第1急冷却装置内の厚鋼板の搬送速度を制御することを特徴とする請求項9に記載の厚鋼板の製造方法。
  11. 前記厚鋼板の、前記第2急冷却装置の終点時における板厚断面平均温度が室温〜550℃の範囲内の目標温度となるように、第2急冷却制御装置で冷却水を噴射する急冷却ノズルの数、第2急冷却装置における冷却水の水量密度、及び前記第2急冷却装置内の厚鋼板の搬送速度を制御することを特徴とする請求項10に記載の厚鋼板の製造方法。
  12. 前記第1急冷却装置と前記第2急冷却装置との間に設置され、前記第1急冷却装置による冷却終了後の厚鋼板の表層温度を測定する温度計による測定値に基づいて、前記厚鋼板の組織が狙いのフェライト分率となるための前記第2急冷却装置の前での空冷待機時間を算出するとともに、前記第1急冷却装置を出た厚鋼板が、算出された前記空冷待機時間の経過後に前記第2急冷却装置により冷却されるように、前記厚鋼板の搬送速度を制御することを特徴とする請求項11に記載の厚鋼板の製造方法。
  13. 前記第1急冷却制御装置及び前記第2急冷却制御装置は、前記厚鋼板の、前記第1急冷却装置の終点時における板厚断面平均温度が550℃〜800℃の範囲内の目標温度となり、かつ前記厚鋼板の、前記第2急冷却装置5の終点時における板厚断面平均温度が室温〜550℃の範囲内の目標温度で冷却停止することを前提とした上で、前記第1急冷却装置内の厚鋼板の搬送速度及び前記第2急冷却装置内の厚鋼板の搬送速度とが同じになるような、冷却水を噴射する前記第1急冷却装置における急冷却ノズルの数、前記第1急冷却装置における冷却水の水量密度、冷却水を噴射する前記第2急冷却装置における急冷却ノズルの数、前記第2急冷却装置における冷却水の水量密度、及び前記第1急冷却装置及び前記第2急冷却装置内の厚鋼板の搬送速度を算出し、算出された前記第1急冷却装置における急冷却ノズルの数、前記第1急冷却装置における冷却水の水量密度、前記第2急冷却装置における急冷却ノズルの数、及び前記第2急冷却装置における冷却水の水量密度で前記厚鋼板を冷却した状態で、前記厚鋼板を算出された搬送速度で前記第1急冷却装置内及び前記第2急冷却装置内を同一速度で搬送することを特徴とする請求項11又は12に記載の厚鋼板の製造方法。
  14. 前記100℃以下の厚鋼板は、前記加熱炉で加熱する前に、スケール除去機構により鋼板表面のスケールを除去したものであり、前記加熱炉から前記第1急冷却装置までの距離を4m以下とすることを特徴とする請求項8乃至13のうちいずれか一項に記載の厚鋼板の製造方法。
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