JP2019119536A - シート搬送装置及び画像形成装置 - Google Patents

シート搬送装置及び画像形成装置 Download PDF

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隼一 諏訪
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Abstract

【課題】 原稿の側端辺の一部が搬送ガイドに接触した状態で搬送が継続されると、例えば、原稿に座屈等のダメージを与えてしまう可能性がある。【解決手段】 給紙ローラ4を駆動するモータにおける電流値iqが閾値iqth以上である場合は原稿の給送を停止し、電流値iqが閾値iqth未満である場合は原稿の給送を継続する。このように、搬送方向における比較的上流側の搬送ローラを駆動するモータにおける電流値iqに基づいて給送動作が制御されることによって、原稿が搬送ガイドに接触した状態で搬送が継続されて原稿に座屈等のダメージを与えてしまうことを抑制することができる。【選択図】 図9

Description

本発明は、シート搬送装置及び画像形成装置におけるモータの制御に関する。
従来、原稿積載部から給送された原稿の画像を読み取る原稿読取装置が知られている(特許文献1)。
特開2013−49542号公報
原稿が搬送される搬送方向における原稿の先端側の辺及び後端側の辺に交わる側端辺が搬送方向に平行でない状態で原稿が給送されると、原稿の側端辺の一部が搬送ガイドに接触してしまう可能性がある。原稿の側端辺が搬送ガイドに接触した状態で搬送が継続されると、例えば、原稿に座屈等のダメージを与えてしまう可能性がある。
上記課題に鑑み、本発明は、シートにダメージを与えてしまうことを抑制することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明にかかるシート搬送装置は、
シートを積載する積載部と、
前記積載部に積載された前記シートの搬送方向に直交する幅方向における前記シートの位置を規制する規制部材と、
前記積載部に積載された前記シートを前記搬送方向に送り出すピックアップローラと、
前記ピックアップローラに隣接し、前記搬送方向において前記ピックアップローラよりも下流側に設けられた給紙ローラと、
前記給紙ローラを駆動するモータと、
前記モータの回転子の回転位相を決定する位相決定手段と、
前記回転子の目標位相を表す指令位相と前記位相決定手段によって決定された前記回転位相との偏差が小さくなるように、前記位相決定手段によって決定された前記回転子の回転位相を基準とした回転座標系において表される、前記回転子にトルクを発生させるトルク電流成分に基づいて、前記モータの巻線に流れる駆動電流を制御する第1の制御手段と、
前記巻線に流れる前記駆動電流を検出する検出手段と、
前記検出手段によって検出された前記駆動電流の前記トルク電流成分の値に基づいて、前記シートの搬送を制御する第2の制御手段と、
を有し、
前記第2の制御手段は、前記検出手段によって検出された前記駆動電流の前記トルク電流成分の値が所定値よりも大きい場合は、前記シートの搬送を停止することを特徴とする。
本発明によれば、シートにダメージを与えてしまうことを抑制することができる。
画像形成装置を説明する断面図である。 原稿読取装置の制御構成を示すブロック図である。 前記画像形成装置の制御構成を示すブロック図である。 ピックアップローラが原稿積載部に積載された原稿を搬送方向に送り出す構成を説明する図である。 原稿積載部に積載された原稿が2枚重なった状態で給送される様子を説明する図である。 A相及びB相から成る2相のモータと、d軸及びq軸によって表される回転座標系との関係を示す図である。 モータ制御装置の構成を示すブロック図である。 原稿積載部に積載された原稿が給送される様子を説明する図である。 第1実施形態に係る電流値iqの波形を示す図である。 第1実施形態に係る原稿の搬送方法を説明するフローチャートである。 第2実施形態に係る電流値iqの波形を示す図である。 第2実施形態に係る原稿の搬送方法を説明するフローチャートである。 速度フィードバック制御を行うモータ制御装置の構成を示すブロック図である。
以下に図面を参照して、本発明の好適な実施の形態を説明する。ただし、この実施の形態に記載されている構成部品の形状及びそれらの相対配置などは、この発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものであり、この発明の範囲が以下の実施の形態に限定される趣旨のものではない。なお、以下の説明においては、モータ制御装置が画像形成装置に設けられる場合について説明するが、モータ制御装置が設けられるのは画像形成装置に限定されるわけではない。例えば、記録媒体や原稿等のシートを搬送するシート搬送装置等にも用いられる。
〔第1実施形態〕
[画像形成装置]
図1は、本実施形態で用いられるシート搬送装置を有するモノクロの電子写真方式の複写機(以下、画像形成装置と称する)100の構成を示す断面図である。なお、画像形成装置は複写機に限定されず、例えば、ファクシミリ装置、印刷機、プリンタ等であっても良い。また、記録方式は、電子写真方式に限らず、例えば、インクジェット等であっても良い。更に、画像形成装置の形式はモノクロ及びカラーのいずれの形式であっても良い。
以下に、図1を用いて、画像形成装置100の構成および機能について説明する。図1に示すように、画像形成装置100は、原稿読取装置200及び画像印刷装置301を有する。
<原稿読取装置>
図2は、原稿読取装置200の制御構成の例を示すブロック図である。
まず、図1及び図2を用いて、原稿読取装置200の構成および機能について説明する。
原稿読取装置200には、原稿を読取位置に給送する原稿給送装置201が設けられている。原稿給送装置201の原稿積載部2に積載された原稿Pは、ピックアップローラ3によって1枚ずつ給送され、その後、給紙ローラ4によって搬送される。即ち、ピックアップローラ3は、給紙ローラ4と隣接するローラである。給紙ローラ4と対向する位置には、給紙ローラ4に圧接する分離ローラ5が設けられている。分離ローラ5は、該分離ローラ5に所定のトルク以上の負荷トルクがかかると、回転する構成となっており、2枚重なった状態で給送された原稿を分離する機能を有する。
ピックアップローラ3と給紙ローラ4は揺動アーム12によって連結されている。揺動アーム12は、給紙ローラ4の回転軸を中心にして回動できるように給紙ローラ4の回転軸によって支持されている。即ち、搖動アーム12は、連結部材として機能する。
原稿Pは、給紙ローラ4等によって搬送されて、排紙ローラ11によって排紙トレイ10へ排紙される。なお、図1に示すように、原稿積載部2には、原稿積載部2に原稿が積載されているか否かを検知する原稿セットセンサSS1が設けられている。また、原稿が通過する搬送路には、原稿の先端を検知する(原稿の有無を検知する)シートセンサSS2が設けられている。
原稿読取装置201には、搬送される原稿の第1面の画像を読み取る原稿読取部16が設けられている。原稿読取部16に読み取られた画像情報は、画像印刷装置301へ出力される。
また、原稿読取装置200には、搬送される原稿の第2面の画像を読み取る原稿読取部17が設けられている。原稿読取部17に読み取られた画像情報は、原稿読取部16において説明した方法と同様にして画像印刷装置301へ出力される。
前述の如くして、原稿の読取が行われる。即ち、原稿給送装置201及び読取装置202は、原稿読取装置として機能する。
システムコントローラ251は、図2に示すように、CPU251a、ROM251b、RAM251cを備えている。また、システムコントローラ251は、原稿セットセンサSS1及びシートセンサSS2と接続されている。更に、システムコントローラ251は、ピックアップローラ3及び給紙ローラ4を駆動するモータM1を制御するモータ制御装置261、揺動アーム12を回動するモータM2を制御するモータ制御装置262、原稿読取部16,17、画像印刷装置301等と接続されている。システムコントローラ251は、接続された各ユニットとの間でデータやコマンドの送受信をすることが可能である。なお、システムコントローラ251に接続されているユニットは図2に示すものに限らず、例えば、原稿読取装置200内部に設けられた負荷を駆動するモータを制御するモータ制御装置等のユニットも接続されている。
CPU251aは、ROM251bに格納された各種プログラムを読み出して実行することによって、予め定められた画像形成シーケンスに関連する各種シーケンスを実行する。
RAM251cは記憶デバイスである。RAM251cには、例えば、モータ制御装置に対する指令値及び原稿読取部16,17から受信される情報等の各種データが格納される。
システムコントローラ251は、各種装置から出力される信号に基づいて、原稿読取装置200を制御する。なお、本実施形態においては、モータ1個に対してモータ制御装置が1個設けられているが、これに限定されるものではない。例えば、モータ制御装置1個で複数個のモータを制御する構成であっても良い。また、図2においては、原稿読取装置200のモータとしてモータM1、M2のみが記載されているが、原稿読取装置200には3個以上のモータが設けられている。更に、図2においては、モータ制御装置が2個しか設けられていないが、3個以上のモータ制御装置が原稿読取装置200に設けられている。
前述の如くして、システムコントローラ251は、原稿読取装置200の動作シーケンスを制御する。
<画像印刷装置>
画像印刷装置301の内部には、シート収納トレイ302、304が設けられている。シート収納トレイ302、304には、それぞれ異なる種類の記録媒体を収納することができる。例えば、シート収納トレイ302にはA4サイズの普通紙が収納され、シート収納トレイ304にはA4サイズの厚紙が収納される。なお、記録媒体とは、画像形成装置によって画像が形成されるものであって、例えば、用紙、樹脂シート、布、OHPシート、ラベル等は記録媒体に含まれる。
シート収納トレイ302に収納された記録媒体は、ピックアップローラ303によって搬送方向へ送り出されて、搬送ローラ306によってレジストレーションローラ308へ送り出される。また、シート収納トレイ304に収納された記録媒体は、ピックアップローラ305によって搬送方向へ送り出されて、搬送ローラ307及び306によってレジストレーションローラ308へ送り出される。
読取装置202から出力された画像信号は、半導体レーザ及びポリゴンミラーを含む光走査装置311に入力される。また、感光ドラム309は、帯電器310によって外周面が帯電される。感光ドラム309の外周面が帯電された後、読取装置202から光走査装置311に入力された画像信号に応じたレーザ光が、光走査装置311からポリゴンミラー及びミラー312、313を経由し、感光ドラム309の外周面に照射される。この結果、感光ドラム309の外周面に静電潜像が形成される。
続いて、静電潜像が現像器314内のトナーによって現像され、感光ドラム309の外周面にトナー像が形成される。感光ドラム309に形成されたトナー像は、感光ドラム309と対向する位置(転写位置)に設けられた転写帯電器315によって記録媒体に転写される。この転写タイミングに合わせて、レジストレーションローラ308は記録媒体を転写位置へ送り込む。
前述の如くして、トナー像が転写された記録媒体は、搬送ベルト317によって定着器318へ送り込まれ、定着器318によって加熱加圧されて、トナー像が記録媒体に定着される。このようにして、画像形成装置100によって記録媒体に画像が形成される。
片面印刷モードで画像形成が行われる場合は、定着器318を通過した記録媒体は、排紙ローラ319、324によって、不図示の排紙トレイへ排紙される。また、両面印刷モードで画像形成が行われる場合は、定着器318によって記録媒体の第1面に定着処理が行われた後に、記録媒体は、排紙ローラ319、搬送ローラ320、及び反転ローラ321によって、反転パス325へと搬送される。その後、記録媒体は、搬送ローラ322、323によって再度レジストレーションローラ308へと搬送され、前述した方法で記録媒体の第2面に画像が形成される。その後、記録媒体は、排紙ローラ319、324によって不図示の排紙トレイへ排紙される。
また、第1面に画像形成された記録媒体がフェースダウンで画像形成装置100の外部へ排紙される場合は、定着器318を通過した記録媒体は、排紙ローラ319を通って搬送ローラ320へ向かう方向へ搬送される。その後、記録媒体の後端が搬送ローラ320のニップ部を通過する直前に搬送ローラ320の回転が反転することによって、記録媒体の第1面が下向きになった状態で、記録媒体が排紙ローラ324を経由して、画像形成装置100の外部へ排出される。
図1に示すように、画像印刷装置301には、シートを積載するシート積載部327が設けられている。シート積載部327に積載されたシートSは、搬送方向へ送り出されてピックアップローラ328によって搬送方向へ送り出され、その後、給紙ローラ329によって搬送される。
ピックアップローラ328と給紙ローラ329は揺動アーム330によって連結されている。揺動アーム330は、給紙ローラ329の回転軸を中心にして回動できるように給紙ローラ329の回転軸によって支持されている。
給紙ローラ329によって搬送ローラ306へ搬送されたシートには、上述の方法で画像が形成される。
以上が画像形成装置100の構成および機能についての説明である。なお、ピックアップローラ3、328、レジストレーションローラ308及び排紙ローラ319等の各種ローラ(搬送ローラ)は負荷に対応する。本実施形態のモータ制御装置は、これら負荷を駆動するモータに適用することができる。
図3は、画像印刷装置301の制御構成の例を示すブロック図である。システムコントローラ151は、図2に示すように、CPU151a、ROM151b、RAM151cを備えている。また、システムコントローラ151は、画像処理部112、操作部152、アナログ・デジタル(A/D)変換器153、高圧制御部155、モータ制御装置157、158、センサ類159、ACドライバ160と接続されている。システムコントローラ151は、接続された各ユニットとの間でデータやコマンドの送受信をすることが可能である。
CPU151aは、ROM151bに格納された各種プログラムを読み出して実行することによって、予め定められた画像形成シーケンスに関連する各種シーケンスを実行する。
RAM151cは記憶デバイスである。RAM151cには、例えば、高圧制御部155に対する設定値、モータ制御装置157に対する指令値及び操作部152から受信される情報等の各種データが記憶される。
システムコントローラ151は、画像処理部112における画像処理に必要となる、画像形成装置100の内部に設けられた各種装置の設定値データを画像処理部112に送信する。更に、システムコントローラ151は、センサ類159からの信号を受信して、受信した信号に基づいて高圧制御部155の設定値を設定する。
高圧制御部155は、システムコントローラ151によって設定された設定値に応じて、高圧ユニット156(帯電器310、現像器314、転写帯電器315等)に必要な電圧を供給する。
モータ制御装置157は、CPU151aから出力された指令に応じて、ピックアップローラ328及び給紙ローラ329を駆動するモータM3を制御する。また、モータ制御装置158は、CPU151aから出力された指令に応じて、搖動アーム330を駆動するモータM4を制御する。なお、図3においては、画像印刷装置のモータとしてモータM3、M4のみが記載されているが、画像形成装置には3個以上のモータが設けられている。また、1個のモータ制御装置が複数個のモータを制御する構成であっても良い。更に、図3においては、モータ制御装置が2個しか設けられていないが、3個以上のモータ制御装置が画像印刷装置に設けられている。
A/D変換器153は、定着ヒータ161の温度を検出するためのサーミスタ154が検出した検出信号を受信し、検出信号をアナログ信号からデジタル信号に変換してシステムコントローラ151に送信する。システムコントローラ151は、A/D変換器153から受信したデジタル信号に基づいてACドライバ160の制御を行う。ACドライバ160は、定着ヒータ161の温度が定着処理を行うために必要な温度となるように定着ヒータ161を制御する。なお、定着ヒータ161は、定着処理に用いられるヒータであり、定着器318に含まれる。
システムコントローラ151は、使用する記録媒体の種類(以下、紙種と称する)等の設定をユーザが行うための操作画面を、操作部152に設けられた表示部に表示するように、操作部152を制御する。システムコントローラ151は、ユーザが設定した情報を操作部152から受信し、ユーザが設定した情報に基づいて画像形成装置100の動作シーケンスを制御する。また、システムコントローラ151は、画像形成装置の状態を示す情報を操作部152に送信する。なお、画像形成装置の状態を示す情報とは、例えば、画像形成枚数、画像形成動作の進行状況、原稿読取装置201及び画像印刷装置301におけるシート材のジャムや重送等に関する情報である。操作部152は、システムコントローラ151から受信した情報を表示部に表示する。
前述の如くして、システムコントローラ151は画像印刷装置301の動作シーケンスを制御する。
<給送制御>
次に、ピックアップローラ3が原稿積載部2に積載された原稿を搬送方向に送り出す構成について説明する。なお、ピックアップローラ328がシート積載部327に積載されたシートを給送する構成は、ピックアップローラ3が原稿積載部2に積載された原稿を給送する構成と同様の構成であるため、説明を省略する。
図4は、ピックアップローラ3が原稿読取装置200の原稿積載部2に積載された原稿を給送して搬送する(給送する)構成を説明する図である。
図4に示すように、ピックアップローラ3及び給紙ローラ4はモータM1によって駆動される。また、モータM1は、モータ制御装置261によって制御される。モータ制御装置261は、CPU251aから出力される指令に基づいてモータM1を制御する。
また、揺動アーム12は、モータM2によって回動される。なお、モータM2は、モータ制御装置262によって制御される。モータ制御装置262は、CPU251aから出力される指令に基づいてモータM2を制御する。
なお、搬送ローラ6は、不図示のモータによって駆動され、当該モータは不図示のモータ制御装置によって制御される。
ピックアップローラ3が原稿P1を搬送方向に送り出したあとにピックアップローラ3が回転している状態が継続すると、ピックアップローラ3は、原稿P1の後端がピックアップローラ3を通過した直後に、原稿P2を給送してしまう。この結果、例えば、原稿P1の後端側と原稿P2の先端側とが重なった状態で原稿P1及び原稿P2が搬送されてしまう。
本実施形態においては、揺動アーム12を回動させることによって、ピックアップローラ3を退避位置と給紙位置との間で移動させることができる。なお、プリントジョブが開始されるまでは、ピックアップローラ3は予め退避位置に退避しており、プリントジョブが開始されると、CPU251aはピックアップローラ3を給紙位置に移動させる(下降させる)。
給紙ローラ4の下流側には、原稿の先端を検知するシートセンサSS2が設けられている。シートセンサSS2が原稿の先端を検知する(シートセンサSS2からの信号が‘L’になる)と、CPU251aは、ピックアップローラ3を上昇させるようにモータ制御装置262を制御する。この結果、揺動アーム12が回動してピックアップローラ3を退避位置に移動させることができ、原稿P1の後端側と原稿P2の先端側とが重なった状態で原稿P1及び原稿P2が搬送されてしまうことを抑制することができる。
原稿の後端がシートセンサSS2を通過する(シートセンサSS2からの信号が‘L’から‘H’になる)と、CPU251aは、ピックアップローラ3を下降させるようにモータ制御装置262を制御する。この結果、揺動アーム12が回動してピックアップローラ3を給紙位置に移動させることができ、ピックアップローラ3による原稿の給送を再開することができる。
なお、ピックアップローラ3は、モータM1によって駆動された状態で、退避位置と給紙位置との間を回動する。
原稿積載部2に積載された原稿がピックアップローラ3によって送り出される際には、原稿が2枚重なった状態で給送されることがある。本実施形態においては、図4に示すように、給紙ローラ4と対向する位置に、給紙ローラ4に圧接する分離ローラ5が設けられている。分離ローラ5は、該分離ローラ5に所定のトルク以上の負荷トルクがかかると、回転する構成となっている。
以下に、2枚重なった状態で給送された原稿を分離ローラ5が分離する構成について説明する。
図5は、原稿が2枚重なった状態で給送される様子を説明する図である。
原稿が2枚重なった状態で給送される場合、原稿P1には、原稿P1と原稿P2との摩擦によって搬送方向と逆方向に摩擦力F1が働く。更に、原稿P1には、給紙ローラ4が回転することによって生じる給紙ローラ4と原稿P1との摩擦による摩擦力F2が搬送方向に働く。通常、摩擦力F2は摩擦力F1よりも大きい力となる。したがって、原稿P1は搬送方向へ搬送される。
また、原稿が2枚重なった状態で給送される場合、原稿P2には、原稿P1と原稿P2との摩擦によって摩擦力F1が搬送方向に働いている。給紙ローラ4と分離ローラ5とのニップ部に原稿が2枚重なった状態で到達すると、原稿P2には、原稿P2と分離ローラ5との摩擦によって搬送方向と逆方向に摩擦力F3が働く。通常、摩擦力F3は摩擦力F1よりも大きい力となる。したがって、原稿P2は分離ローラ5によって原稿P1から分離されて搬送方向に搬送されなくなる。
上述のように、分離ローラ5は、2枚重なった状態で給送された原稿を分離する機能を有する。
[モータ制御装置]
次に、本実施形態におけるモータ制御装置について説明する。本実施形態におけるモータ制御装置は、ベクトル制御を用いてモータを制御する。
<ベクトル制御>
まず、図6及び図7を用いて、本実施形態におけるモータ制御装置261がベクトル制御を行う方法について説明する。なお、モータ制御装置157の構成は、モータ制御装置261の構成と同様であるため、説明を省略する。また、以下の説明におけるモータには、モータの回転子の回転位相を検出するためのロータリエンコーダなどのセンサは設けられていないが、ロータリエンコーダなどのセンサが設けられていてもよい。
図6は、A相(第1相)とB相(第2相)との2相から成るステッピングモータ(以下、モータと称する)M1と、d軸及びq軸によって表される回転座標系との関係を示す図である。図6では、静止座標系において、A相の巻線に対応した軸であるα軸と、B相の巻線に対応した軸であるβ軸とが定義されている。また、図6では、回転子402に用いられている永久磁石の磁極によって作られる磁束の方向に沿ってd軸が定義され、d軸から反時計回りに90度進んだ方向(d軸に直交する方向)に沿ってq軸が定義されている。α軸とd軸との成す角度はθと定義され、回転子402の回転位相は角度θによって表される。ベクトル制御では、回転子402の回転位相θを基準とした回転座標系が用いられる。具体的には、ベクトル制御では、巻線に流れる駆動電流に対応する電流ベクトルの、回転座標系における電流成分であって、回転子にトルクを発生させるq軸成分(トルク電流成分)と巻線を貫く磁束の強度に影響するd軸成分(励磁電流成分)とが用いられる。
ベクトル制御とは、回転子の目標位相を表す指令位相と実際の回転位相との偏差が小さくなるようにトルク電流成分の値と励磁電流成分の値とを制御する位相フィードバック制御を行うことによってモータを制御する制御方法である。また、回転子の目標速度を表す指令速度と実際の回転速度との偏差が小さくなるようにトルク電流成分の値と励磁電流成分の値とを制御する速度フィードバック制御を行うことによってモータを制御する方法もある。
図7は、モータM1を制御するモータ制御装置261の構成の例を示すブロック図である。なお、モータ制御装置261は、少なくとも1つのASICで構成されており、以下に説明する各機能を実行する。
図7に示すように、モータ制御装置261は、ベクトル制御を行う回路として、位相制御器502、電流制御器503、座標逆変換器505、座標変換器511、モータの巻線に駆動電流を供給するPWMインバータ506等を有する。座標変換器511は、モータM1のA相及びB相の巻線に流れる駆動電流に対応する電流ベクトルを、α軸及びβ軸で表される静止座標系からq軸及びd軸で表される回転座標系に座標変換する。この結果、巻線に流れる駆動電流は、回転座標系における電流値であるq軸成分の電流値(q軸電流)とd軸成分の電流値(d軸電流)とによって表される。なお、q軸電流は、モータM1の回転子402にトルクを発生させるトルク電流に相当する。また、d軸電流は、モータM1の巻線を貫く磁束の強度に影響する励磁電流に相当し、回転子402のトルクの発生には寄与しない。モータ制御装置261は、q軸電流及びd軸電流をそれぞれ独立に制御することができる。この結果、モータ制御装置261は、回転子402にかかる負荷トルクに応じてq軸電流を制御することによって、回転子402が回転するために必要なトルクを効率的に発生させることができる。即ち、ベクトル制御においては、図6に示す電流ベクトルの大きさは、回転子402にかかる負荷トルクに応じて変化する。
モータ制御装置261は、モータM1の回転子402の回転位相θを後述する方法により決定し、その決定結果に基づいてベクトル制御を行う。CPU151aは、モータM1の回転子402の目標位相を表す指令位相θ_refを生成し、指令位相θ_refをモータ制御装置261へ出力する。なお、指令位相θ_refは、給紙ローラ4の周速度の目標速度に対応するモータM1の回転子の目標速度に基づいて設定される。
減算器101は、位相決定器513から出力された、モータM1の回転子402の回転位相θと指令位相θ_refとの偏差Δθを演算して出力する。
位相制御器502は、偏差Δθを周期T(例えば、200μs)で取得する。位相制御器502は、比例制御(P)、積分制御(I)、微分制御(D)に基づいて、減算器101から取得する偏差Δθが小さくなるように、q軸電流指令値iq_ref及びd軸電流指令値id_refを生成して出力する。具体的には、位相制御器502は、P制御、I制御、D制御に基づいて減算器101から取得する偏差Δθが0になるように、q軸電流指令値iq_ref及びd軸電流指令値id_refを生成して出力する。なお、P制御とは、制御する対象の値を指令値と推定値との偏差に比例する値に基づいて制御する制御方法である。また、I制御とは、制御する対象の値を指令値と推定値との偏差の時間積分に比例する値に基づいて制御する制御方法である。また、D制御とは、制御する対象の値を指令値と推定値との偏差の時間変化に比例する値に基づいて制御する制御方法である。本実施形態における位相制御器502は、PID制御に基づいてq軸電流指令値iq_ref及びd軸電流指令値id_refを生成しているが、これに限定されるものではない。例えば、位相制御器502は、PI制御に基づいてq軸電流指令値iq_ref及びd軸電流指令値id_refを生成しても良い。なお、回転子402に永久磁石を用いる場合、通常は巻線を貫く磁束の強度に影響するd軸電流指令値id_refは0に設定されるが、これに限定されるものではない。
モータM1のA相及びB相の巻線に流れる駆動電流は、電流検出器507、508によって検出され、その後、A/D変換器510によってアナログ値からデジタル値へと変換される。なお、電流検出器507、508が電流を検出する周期は、例えば、位相制御器502が偏差Δθを取得する周期T以下の周期(例えば、25μs)である。
A/D変換器510によってアナログ値からデジタル値へと変換された駆動電流の電流値は、静止座標系における電流値iα及びiβとして、図6に示す電流ベクトルの位相θeを用いて次式によって表される。なお、電流ベクトルの位相θeは、α軸と電流ベクトルとの成す角度と定義される。また、Iは電流ベクトルの大きさを示す。
iα=I*cosθe (1)
iβ=I*sinθe (2)
これらの電流値iα及びiβは、座標変換器511と誘起電圧決定器512に入力される。
座標変換器511は、次式によって、静止座標系における電流値iα及びiβを回転座標系におけるq軸電流の電流値iq及びd軸電流の電流値idに変換する。
id= cosθ*iα+sinθ*iβ (3)
iq=−sinθ*iα+cosθ*iβ (4)
座標変換器511は、変換された電流値iqを減算器102及び異常検出器520に出力する。また、座標変換器511は、変換された電流値idを減算器103に出力する。異常検出器520については後述する。
減算器102は、q軸電流指令値iq_refと電流値iqとの偏差を演算し、該偏差を電流制御器503に出力する。
また、減算器103は、d軸電流指令値id_refと電流値idとの偏差を演算し、該偏差を電流制御器503に出力する。
電流制御器503は、PID制御に基づいて、入力される偏差がそれぞれ小さくなるように駆動電圧Vq及びVdを生成する。具体的には、電流制御器503は、入力される偏差がそれぞれ0になるように駆動電圧Vq及びVdを生成して座標逆変換器505に出力する。即ち、電流制御器503は、生成手段として機能する。なお、本実施形態における電流制御器503は、PID制御に基づいて駆動電圧Vq及びVdを生成しているが、これに限定されるものではない。例えば、電流制御器503は、PI制御に基づいて駆動電圧Vq及びVdを生成しても良い。
座標逆変換器505は、電流制御器503から出力された回転座標系における駆動電圧Vq及びVdを、次式によって、静止座標系における駆動電圧Vα及びVβに逆変換する。
Vα=cosθ*Vd−sinθ*Vq (5)
Vβ=sinθ*Vd+cosθ*Vq (6)
座標逆変換器505は、逆変換されたVα及びVβを誘起電圧決定器512及びPWMインバータ506に出力する。
PWMインバータ506は、フルブリッジ回路を有する。フルブリッジ回路は座標逆変換器505から入力された駆動電圧Vα及びVβに基づくPWM信号によって駆動される。その結果、PWMインバータ506は、駆動電圧Vα及びVβに応じた駆動電流iα及びiβを生成し、駆動電流iα及びiβをモータM2の各相の巻線に供給することによって、モータM1を駆動させる。即ち、PWMインバータ506は、モータM2の各相の巻線に電流を供給する供給手段として機能する。なお、本実施形態においては、PWMインバータはフルブリッジ回路を有しているが、PWMインバータはハーフブリッジ回路等であっても良い。
次に、回転位相θの決定方法について説明する。回転子402の回転位相θの決定には、回転子402の回転によってモータM2のA相及びB相の巻線に誘起される誘起電圧Eα及びEβの値が用いられる。誘起電圧の値は誘起電圧決定器512によって決定(算出)される。具体的には、誘起電圧Eα及びEβは、A/D変換器510から誘起電圧決定器512に入力された電流値iα及びiβと、座標逆変換器505から誘起電圧決定器512に入力された駆動電圧Vα及びVβとから、次式によって決定される。
Eα=Vα−R*iα−L*diα/dt (7)
Eβ=Vβ−R*iβ−L*diβ/dt (8)
ここで、Rは巻線レジスタンス、Lは巻線インダクタンスである。巻線レジスタンスR及び巻線インダクタンスLの値は使用されているモータM2に固有の値であり、ROM151b又はモータ制御装置261に設けられたメモリ(不図示)等に予め格納されている。
誘起電圧決定器512によって決定された誘起電圧Eα及びEβは位相決定器513に出力される。
位相決定器513は、誘起電圧決定器512から出力された誘起電圧Eαと誘起電圧Eβとの比に基づいて、次式によってモータM1の回転子402の回転位相θを決定する。
θ=tan^−1(−Eβ/Eα) (9)
なお、本実施形態においては、位相決定器513は、式(9)に基づく演算を行うことによって回転位相θを決定したが、この限りではない。例えば、位相決定器513は、ROM151b等に記憶されている、誘起電圧Eα及び誘起電圧Eβと誘起電圧Eα及び誘起電圧Eβとに対応する回転位相θとの関係を示すテーブルを参照することによって回転位相θを決定してもよい。
前述の如くして得られた回転子402の回転位相θは、減算器101、座標逆変換器505、座標変換器511に入力される。
モータ制御装置261は、上述の制御を繰り返し行う。
以上のように、本実施形態におけるモータ制御装置261は、指令位相θ_refと回転位相θとの偏差が小さくなるように回転座標系における電流値を制御するベクトル制御を行う。ベクトル制御を行うことによって、モータが脱調状態となることや、余剰トルクに起因してモータ音が増大すること及び消費電力が増大することを抑制することができる。
[異常検出器]
図8は、原稿積載部2に積載された原稿Pが給送される様子を説明する図である。図8(a)は、原稿Pの側端辺が搬送方向に略平行である状態で原稿Pが給送される様子を説明する図である。図8(b)は、原稿Pの側端辺が搬送方向に平行でない状態で原稿Pが給送される様子を説明する図である。
図8(b)に示すように、原稿の側端辺が搬送方向に平行でない状態で原稿Pが給送されると、原稿Pの側端辺が搬送ガイド1に接触してしまう可能性がある。原稿Pの側端辺が搬送ガイド1に接触した状態で搬送が継続されると、例えば、原稿Pに座屈等のダメージを与えてしまう可能性がある。なお、搬送ガイド1は、シートの搬送方向に直交する幅方向における前記シートの位置を規制する規制部材として機能する。
本実施形態では、以下の構成が適用されることによって、原稿(シート)にダメージを与えてしまうことを抑制する
図9は、本実施形態における、原稿が搬送される際の電流値iqの波形の一例を示す図である。図9(a)は、図8(a)に示すように原稿Pが原稿積載部2に積載された状態で原稿が給送された場合の電流値iqの波形の一例を示す図である。図9(b)は、図8(b)に示すように原稿Pが原稿積載部2に積載された状態で原稿が給送された原稿に座屈が生じた場合の電流値iqの波形の一例を示す図である。
図9(a)に示すように、モータM1によりピックアップローラ3の駆動が開始されると(時刻t0)、モータM1における電流値iqがiq1に増大する。
その後、ピックアップローラ3によって送り出される原稿の先端が給紙ローラ4のニップ部に到達すると(時刻t1)、モータM1における電流値iqはiq1からiq2に増大する。
そして、給紙ローラ4によって下流側へ搬送される原稿の後端が給紙ローラ4のニップ部を抜けると(時刻t2)、電流値iqはiq2からiq1に減少する。
そして、シートセンサSS2が原稿を検知しなくなると、ピックアップローラ3が給紙位置に移動する。その結果、ピックアップローラ3による原稿の給送が再開され(時刻t1´)、電流値iqはiq1からiq2まで増大する。
一方、図8(b)に示すように原稿Pが原稿積載部2に積載された状態で原稿が給送されると、原稿Pの側端辺が搬送ガイド1に接触してしまう。原稿Pの側端辺が搬送ガイド1に接触した状態で搬送が継続されると、ピックアップローラ3及び給紙ローラ4が原稿Pを搬送方向に搬送することを妨げる力がピックアップローラ3及び給紙ローラ4に働く。その結果、ピックアップローラ3及び給紙ローラ4を駆動するモータM1にかかる負荷トルクが増大する。具体的には、図9(b)に示すように、電流値iqが増大する。なお、図9(b)には、ピックアップローラ3が退避位置に退避し、原稿が給紙ローラ4によって搬送されている状態において負荷トルクの増大が生じた場合における電流値iqが示されている。
図9(b)に示すように、本実施形態では、電流値iqの閾値として閾値iqthが設定されている。異常検出器520は、座標変換器511から出力される電流値iqと閾値iqthとを比較し、比較結果を検出結果としてCPU151aに出力する。
具体的には、電流値iqが閾値iqth以上の値(iq≧iqth)である場合、異常検出器520は、電流値iqが閾値iqth以上の値であることを示す信号を検出結果としてCPU251aに出力する。また、電流値iqが閾値iqth未満の値(iq<iqth)である場合、異常検出器520は、電流値iqが閾値iqth未満の値であることを示す信号を検出結果としてCPU251aに出力する。
なお、閾値iqthは、電流値iq2よりも大きい値であり、且つ、原稿が搬送ガイドに接触したり原稿が折れてしまったりすることに起因して増大する電流値iqの最大値よりも小さい値に設定される。
なお、異常検出器520は、電流値iqが入力される毎に、検出結果をCPU251aに出力する。また、閾値iqthは、異常検出器520に設けられたメモリ520aに記憶されている。
CPU251aは、電流値iqが閾値iqth以上の値であることを示す信号が異常検出器520から出力されると、原稿の搬送を停止し、原稿の搬送に異常が生じたことをCPU151aに通知する。この結果、CPU151aは、原稿の搬送に異常が生じたことを操作部152の表示部に表示することによってユーザに通知する。
図10は、原稿の搬送方法を説明するフローチャートである。以下に、図10を用いて、原稿の搬送方法を説明する。このフローチャートの処理は、CPU251aによって実行される。
原稿を給送することが指示されると、モータM1を駆動する指示をモータ制御装置261に出力する。その結果、ピックアップローラ3及び給紙ローラ4の駆動が開始される。
S1001において、CPU251aは、ピックアップローラ3を給紙位置に移動させる指示をモータ制御装置262に出力する。その結果、モータM2が駆動され、搖動アーム12が回動することによってピックアップローラ3が給紙位置に移動する。
その後、S1002において、シートセンサSS2が原稿の先端を検知すると、S1003において、CPU251aは、ピックアップローラ3を退避位置に退避させる指示をモータ制御装置262に出力する。その結果、モータM2が駆動され、搖動アーム12が回動することによってピックアップローラ3が退避位置に退避する。
次に、S1004において、電流値iqが閾値iqth未満の値であることを示す信号が入力されると、CPU251aは処理をS1005に進める。
そして、S1005において、シートセンサSS2が原稿を検知しなくなると、処理はS1006に進む。
S1006において、原稿セットセンサSS1が原稿を検知している(原稿セットセンサSS1から出力される信号が‘L’である)場合は、CPU251aは、処理をS1001に戻す。
一方、S1006において、原稿セットセンサSS1が原稿を検知していない(原稿セットセンサSS1から出力される信号が‘H’である)場合は、CPU251aはこのフローチャートの処理を終了する。
また、S1004において、電流値iqが閾値iqth以上の値であることを示す信号が入力されると、S1007において、CPU251aは原稿の搬送を停止する。
その後、S1008において、CPU251aは、原稿の搬送に異常が生じたことをCPU151aに通知する。その結果、CPU151aは、操作部152の表示部に原稿の搬送に異常が生じたことを表示してユーザに通知する。
以上のように、本実施形態では、給紙ローラ4を駆動するモータにおける電流値iqに基づいて、原稿の給送動作が制御される。具体的には、電流値iqが閾値iqth以上である場合は原稿の給送を停止し、電流値iqが閾値iqth未満である場合は原稿の給送を継続する。このように、搬送方向における比較的上流側の搬送ローラを駆動するモータにおける電流値iqに基づいて給送動作が制御されることによって、原稿が搬送ガイドに接触した状態で搬送が継続されて原稿に座屈等のダメージを与えてしまうことを抑制することができる。
なお、本実施形態では、ピックアップローラ3及び給紙ローラ4はモータM1によって駆動されるが、ピックアップローラ3を駆動するモータが給紙ローラ4を駆動するモータとは異なるモータであってもよい。
〔第2実施形態〕
画像形成装置及びモータ制御装置の構成が第1実施形態と同様である部分については説明を省略する。また、以下の説明における時刻t0乃至時刻t2は、第1実施形態における時刻t0乃至時刻t2に対応するため、説明を省略する。
図11は、本実施形態における、原稿が搬送される際の電流値iqの波形の一例を示す図である。本実施形態では、時刻t0から時刻t1まで期間が第1期間と定義され、時刻t1から時刻t3までの期間が第2期間と定義される。また、時刻t3から再び時刻t1に対応するタイミング(時刻t1´)までの期間が第3期間と定義される。
第1実施形態では、第1期間、第2期間及び第3期間において、原稿の搬送の異常を検出するための閾値が電流値iq2よりも大きい所定の値iqthに設定された。図11に示すように、第1期間及び第3期間において原稿が正常に搬送される際の電流値iq(=iq1)は、第2期間において原稿が正常に搬送される際の電流値iq(=iq2)よりも小さい。例えば、原稿Pの側端辺が搬送ガイド1に接触することに起因する電流値iqの増大が第1期間又は第3期間に起こった場合、電流値iqが増大したとしても閾値iqthを超えない可能性がある。
そこで、本実施形態では、原稿の先端位置に応じて(第1期間乃至第3期間のそれぞれに応じて)適切な閾値が設定されることによって、原稿の搬送の異常をより高精度に検出する。
<異常検出器>
図11には、原稿が給紙されてから当該原稿の先端をシートセンサSS2が検知するまでの期間に、搬送の異常が生じた場合の電流値iqの波形の一例が示されている。
本実施形態では、第1期間及び第3期間における電流値iqの閾値として閾値iqth2が設定されている。また、第2期間における電流値iqの閾値として閾値iqthが設定されている。
異常検出器520は、第1期間及び第3期間において、座標変換器511から出力される電流値iqと閾値iqth2とを比較し、比較結果を検出結果としてCPU251aに出力する。
具体的には、電流値iqが閾値iqth2以上の値(iq≧iqth2)である場合、異常検出器520は、電流値iqが閾値iqth以上の値であることを示す信号を検出結果としてCPU251aに出力する。また、電流値iqが閾値iqth2未満の値(iq<iqth)である場合、異常検出器520は、電流値iqが閾値iqth2未満の値であることを示す信号を検出結果としてCPU251aに出力する。
なお、閾値iqth2は、電流値iq1よりも大きい値であり、且つ、第1期間及び第3期間において原稿が搬送ガイドに接触したり原稿が折れてしまったりすることに起因して増大する電流値iqの最大値よりも小さい値に設定される。
なお、閾値iqth2は、異常検出器520に設けられたメモリ520aに記憶されている。
また、異常検出器520は、第2期間において、座標変換器511から出力される電流値iqと閾値iqthとを比較し、比較結果を検出結果としてCPU251aに出力する。なお、電流値iqと閾値iqthとの比較方法は、第1実施形態において説明した方法と同様であるため、説明を省略する。
CPU251aは、第1期間及び第3期間において、電流値iqが閾値iqth2以上の値であることを示す信号が異常検出器520から出力されると、原稿の搬送を停止し、原稿の搬送に異常が生じたことをCPU151aに通知する。この結果、CPU151aは、操作部152の表示部に原稿の搬送に異常が生じたことを表示してユーザに通知する。
また、CPU251aは、第2期間において、電流値iqが閾値iqth以上の値であることを示す信号が異常検出器520から出力されると、原稿の搬送を停止し、原稿の搬送に異常が生じたことをCPU151aに通知する。この結果、CPU151aは、操作部152の表示部に原稿の搬送に異常が生じたことを表示してユーザに通知する。
図12は、原稿の搬送方法を説明するフローチャートである。以下に、図12を用いて、原稿の搬送方法を説明する。このフローチャートの処理は、CPU251aによって実行される。
原稿を給紙することが指示されると、モータM1を駆動する指示をモータ制御装置261に出力する。その結果、ピックアップローラ3及び給紙ローラ4の駆動が開始される。
S2001において、CPU251aは、ピックアップローラ3を給紙位置に移動させる指示をモータ制御装置262に出力する。その結果、モータM2が駆動され、搖動アーム12が回動することによってピックアップローラ3が給紙位置に移動する。
S2002において、電流値iqが閾値iqth2未満の値であることを示す信号が入力されると、CPU251aは処理をS2003に進める。
S2003において、シートセンサSS2が原稿の先端を検知していない場合は、処理は再びS2002に戻る。
一方、S2003において、シートセンサSS2が原稿の先端を検知すると、S2004において、CPU251aは、ピックアップローラ3を退避位置に退避させる指示をモータ制御装置262に出力する。その結果、モータM2が駆動され、搖動アーム12が回動することによってピックアップローラ3が退避位置に退避する。
S2005からS2009までの処理は、図10におけるS1004からS1008までの処理と同様であるため、説明を省略する。
以上のように、本実施形態では、原稿の先端位置に応じて適切な閾値が設定される。具体的には、第1期間及び第3期間では、電流値iqの閾値として閾値iqth2が設定される。また、第2期間では、電流値iqの閾値として閾値iqthが設定される。この結果、第1期間乃至第3期間まで閾値iqthが設定されている場合よりも、より高精度に原稿の搬送の異常を検出することができ、原稿が搬送ガイドに接触した状態で搬送が継続されて原稿に座屈等のダメージを与えてしまうことを抑制することができる。
なお、第1実施形態及び第2実施形態における異常検出器520の機能をCPU151aが有する構成であってもよい。
また、第1実施形態及び第2実施形態においては、閾値iqth及びiqth2は、搬送されるシートの種類(紙種)に拘わらず所定の値に設定されたが、この限りではない。例えば、ユーザによって設定された紙種に応じて閾値iqth及びiqth2が設定されてもよい。なお、厚紙に対応する閾値iqth及びiqth2は薄紙に対応する閾値iqth及びiqth2、普通紙に対応する閾値iqth及びiqth2より大きい値に設定される。また、普通紙に対応する閾値iqth及びiqth2は薄紙に対応する閾値iqth及びiqth2より大きい値に設定される。
また、第1実施形態及び第2実施形態において説明した搬送の異常を検出する構成は、シート積載部327に積載されたシートSがピックアップローラ328によって給送される際にも適用可能である。
また、第1実施形態及び第2実施形態においては、負荷を駆動するモータとしてステッピングモータが用いられているが、DCモータ等の他のモータであっても良い。また、モータは2相モータである場合に限らず、3相モータ等の他のモータであっても第1実施形態及び第2実施形態を適用することができる。なお、DCモータ等の他のモータが用いられる場合も、ベクトル制御に用いられる電流値iqに基づいて原稿の搬送の異常が検出される。
また、第1実施形態及び第2実施形態におけるベクトル制御では、位相フィードバック制御を行うことによってモータを制御しているが、これに限定されるものではない。例えば、回転子402の回転速度ωをフィードバックしてモータを制御する構成であっても良い。具体的には、図13に示すように、モータ制御装置内部に速度決定器514を設け、速度決定器514が位相決定器513から出力された回転位相θの所定期間における変化量に基づいて回転速度ωを決定する。なお、速度の決定には、以下の式(10)が用いられるものとする。
ω=dθ/dt (10)
そして、CPU151aは回転子の目標速度を表す指令速度ω_refを出力する。更に、モータ制御装置内部に速度制御器500を設け、速度制御器500が回転速度ωと指令速度ω_refとの偏差が小さくなるように、q軸電流指令値iq_ref及びd軸電流指令値id_refを生成して出力する構成とする。このような速度フィードバック制御を行うことによって、モータを制御する構成であっても良い。
また、第1実施形態及び第2実施形態においては、回転子として永久磁石が用いられているが、これに限定されるものではない。
2 原稿積載部
3 ピックアップローラ
4 給紙ローラ
251a CPU
261 モータ制御装置
402 回転子
502 位相制御器
513 位相決定器
M1 ステッピングモータ

Claims (15)

  1. シートを積載する積載部と、
    前記積載部に積載された前記シートの搬送方向に直交する幅方向における前記シートの位置を規制する規制部材と、
    前記積載部に積載された前記シートを前記搬送方向に送り出すピックアップローラと、
    前記ピックアップローラに隣接し、前記搬送方向において前記ピックアップローラよりも下流側に設けられた給紙ローラと、
    前記給紙ローラを駆動するモータと、
    前記モータの回転子の回転位相を決定する位相決定手段と、
    前記回転子の目標位相を表す指令位相と前記位相決定手段によって決定された前記回転位相との偏差が小さくなるように、前記位相決定手段によって決定された前記回転子の回転位相を基準とした回転座標系において表される、前記回転子にトルクを発生させるトルク電流成分に基づいて、前記モータの巻線に流れる駆動電流を制御する第1の制御手段と、
    前記巻線に流れる前記駆動電流を検出する検出手段と、
    前記検出手段によって検出された前記駆動電流の前記トルク電流成分の値に基づいて、前記シートの搬送を制御する第2の制御手段と、
    を有し、
    前記第2の制御手段は、前記検出手段によって検出された前記駆動電流の前記トルク電流成分の値が所定値よりも大きい場合は、前記シートの搬送を停止することを特徴とするシート搬送装置。
  2. シートを積載する積載部と、
    前記積載部に積載された前記シートの幅方向を規制する規制部材と、
    前記積載部に積載された前記シートを搬送方向に送り出すピックアップローラと、
    前記ピックアップローラに隣接し、前記搬送方向において前記ピックアップローラよりも下流側に設けられた給紙ローラと、
    前記給紙ローラを駆動するモータと、
    前記モータの回転子の回転位相を決定する位相決定手段と、
    前記回転子の回転速度を決定する速度決定手段と、
    前記回転子の目標速度を表す指令速度と前記速度決定手段によって決定された前記回転速度との偏差が小さくなるように、前記位相決定手段によって決定された前記回転子の回転位相を基準とした回転座標系において表される、前記回転子にトルクを発生させるトルク電流成分に基づいて、前記モータの巻線に流れる駆動電流を制御する第1の制御手段と、
    前記巻線に流れる前記駆動電流を検出する検出手段と、
    前記検出手段によって検出された前記駆動電流の前記トルク電流成分の値に基づいて、前記シートの搬送を制御する第2の制御手段と、
    を有し、
    前記第2の制御手段は、前記検出手段によって検出された前記駆動電流の前記トルク電流成分の値が所定値よりも大きい場合は、前記シートの搬送を停止することを特徴とするシート搬送装置。
  3. 前記シート搬送装置は、前記検出手段によって検出された前記駆動電流の前記トルク電流成分の値が前記所定値よりも大きい場合に、前記シートの搬送の異常を通知する通知手段を有することを特徴とする請求項1又は2に記載のシート搬送装置。
  4. 前記第2の制御手段は、前記検出手段によって検出された前記駆動電流の前記トルク電流成分の値が前記所定値よりも小さい場合は、前記シートの搬送を継続することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のシート搬送装置。
  5. 前記シート搬送装置は、前記検出手段によって検出された前記駆動電流の前記トルク電流成分の値と前記所定値とを比較する比較手段を有し、
    前記第2の制御手段は、前記駆動電流の前記トルク電流成分の値が前記所定値よりも大きいことを示す信号が前記比較手段から出力された場合は前記シートの搬送を停止し、前記駆動電流の前記トルク電流成分の値が前記所定値よりも小さいことを示す信号が前記比較手段から出力された場合は前記シートの搬送を継続することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のシート搬送装置。
  6. 前記モータは、前記ピックアップローラを駆動することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載のシート搬送装置。
  7. 前記所定値は、前記シートが前記ピックアップローラと前記給紙ローラの両方によって搬送される期間において前記検出手段によって検出される前記駆動電流の前記トルク電流成分の値よりも大きい値に設定されることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載のシート搬送装置。
  8. 前記シート搬送装置は、前記ピックアップローラと前記給紙ローラとを連結し、前記給紙ローラの回転軸を中心にして回動する連結部材を有し、
    前記第2の制御手段は、前記連結部材を回動させて前記ピックアップローラを退避位置に退避させることによって前記ピックアップローラによる前記シートの給送を停止させ、
    更に、前記第2の制御手段は、前記連結部材を回動させて前記ピックアップローラを給紙位置に移動させることによって前記ピックアップローラによる前記シートの給送を開始させることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載のシート搬送装置。
  9. 前記シート搬送装置は、前記搬送方向において前記給紙ローラよりも下流側に、前記シートの有無を検出する第2検出手段を有し、
    前記第2の制御手段は、前記第2検出手段が前記シートの先端を検出すると前記連結部材を回動させて前記ピックアップローラを前記退避位置に退避させ、前記第2検出手段が前記シートを検出しなくなると前記ピックアップローラを前記給紙位置に移動させることを特徴とする請求項8に記載のシート搬送装置。
  10. 前記第2の制御手段は、前記ピックアップローラが前記給紙位置に位置している状態において、前記検出手段によって検出された前記駆動電流の前記トルク電流成分の値が前記所定値よりも小さい第2所定値より大きい場合は前記シートの搬送を停止させ、前記ピックアップローラが前記退避位置に位置している状態において、前記検出手段によって検出された前記駆動電流の前記トルク電流成分の値が前記所定値より大きい場合は前記シートの搬送を停止させることを特徴とする請求項8又は9に記載のシート搬送装置。
  11. 前記第2の制御手段は、前記ピックアップローラが前記給紙位置に位置している状態において、前記検出手段によって検出された前記駆動電流の前記トルク電流成分の値が前記第2所定値より小さい場合は前記シートの搬送を継続し、前記ピックアップローラが前記退避位置に位置している状態において、前記検出手段によって検出された前記駆動電流の前記トルク電流成分の値が前記所定値より小さい場合は前記シートの搬送を継続することを特徴とする請求項10に記載のシート搬送装置。
  12. 前記第2所定値は、前記シートが前記ピックアップローラと前記搬送ローラの両方によって搬送される期間において前記検出手段によって検出される前記駆動電流の前記トルク電流成分の値よりも小さく且つ前記ピックアップローラによって搬送される前記シートの先端が前記給紙ローラのニップ部に到達するまでの期間において前記検出手段によって検出される前記駆動電流の前記トルク電流成分の値よりも大きい値に設定されることを特徴とする請求項10又は11に記載のシート搬送装置。
  13. 前記回転子にかかる負荷トルクは、前記規制部材に前記シートの側端辺が接触した状態で前記シートが前記搬送方向に搬送されることに起因して増大することを特徴とする請求項1乃至12のいずれか一項に記載のシート搬送装置。
  14. 請求項1乃至13のいずれか一項に記載のシート搬送装置と、
    前記シート搬送装置によって搬送された前記原稿を読み取る読取手段と、
    を有することを特徴とする原稿読取装置。
  15. 請求項1乃至13のいずれか一項に記載のシート搬送装置と、
    記録媒体に画像を形成する画像形成手段と、
    を有し、
    前記画像形成手段は、前記シート搬送装置によって搬送された前記記録媒体に画像を形成することを特徴とする画像形成装置。
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