JP2019119210A - ストレッチ包装用フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】自動包装機に対応でき、仮にフィルムの破片が混入した際にも気づきやすく、食品を包装した場合には光照射による劣化を軽減できるストレッチ包装用フィルムを提供する。【解決手段】少なくとも3層から構成されるストレッチ包装用フィルムであって、表面層用樹脂を含有する表面層2層と、表面層2層の間に設けられ、中間層用樹脂を含有する中間層と、を備え、青色着色剤を含有し、フィルムの正接損失tanδ(動的粘弾性測定法、振動周波数10Hz、歪み0.1%)が20℃で0.15以上である、ストレッチ包装用フィルム。少なくとも3層から構成されるストレッチ包装用フィルムであって、表面層用樹脂を含有する表面層2層と、表面層2層の間に設けられ、中間層用樹脂を含有する中間層と、を備え、青色着色剤を含有し、前記表面層用樹脂がエチレン系樹脂を含む、ストレッチ包装用フィルム。【選択図】なし

Description

本発明は、ストレッチ包装用フィルムに関する。
従来から、青果物、精肉、惣菜等を発泡ポリスチレン製等の軽量トレーに載せてオーバーラップするフィルム、いわゆるプリパッケージ用のストレッチ包装用フィルムとして、主にポリオレフィン系樹脂が使用されてきた。中でも、ストレッチ包装用フィルムとして良好な表面特性、透明性、適度な耐熱性、材料設計の自由度、経済性等の理由から、表裏層にエチレン−酢酸ビニル共重合体を主成分として用い、中間層に各種ポリプロピレン系樹脂を主成分として用いてなる2種3層構成のストレッチ包装用フィルムの検討が活発に行われている。
例えば、特許文献1及び特許文献2では、中間層のポリプロピレン樹脂に、石油樹脂、テルペン樹脂、クマロン−インデン樹脂、ロジン樹脂又はこれらの水素添加誘導体を混合しポリプロピレン樹脂の結晶性を低下させ、ゴム弾性を有するビニル芳香族系化合物とイソブチレンとのブロック共重合体を混合し、包装に必要な伸展性及び弾性をフィルムに付与する技術が開示されている。
特開平9−154479号公報 特開2014−111367号公報
プリパッケージ用のストレッチ包装用フィルムにおいては、自動包装機でオーバーラップを行うことがある。しかし、ストレッチ包装用フィルムの一部がトレー内部に混入してしまい、そのまま封がされてしまうことがあった。また、ストレッチ包装用フィルムは、様々な食材をトレイ包装し、デパートやスーパーなどの店頭に並べて使用されているが、包装された食品が蛍光灯や太陽光などの光に長時間曝された場合、食材が劣化する恐れがあった。包装した食品を店頭に並べる場合、見栄えをよくするために光の強度を高く設定することが多く、長時間の光照射による食品の劣化は大きな課題の一つになっていた。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、自動包装機に対応でき、仮にフィルムの破片が混入した際にも気づきやすく、食品を包装した場合には光照射による劣化を軽減できるストレッチ包装用フィルムを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、以下の[1]〜[18]に示すストレッチ包装用フィルムであれば前記課題を解決できることを見出した。
すなわち、
[1]少なくとも3層から構成されるストレッチ包装用フィルムであって、表面層用樹脂を含有する表面層2層と、前記表面層2層の間に設けられ、中間層用樹脂を含有する中間層と、を備え、青色着色剤を含有し、
前記フィルムの正接損失tanδ(動的粘弾性測定法、振動周波数10Hz、歪み0.1%)が20℃で0.15以上である、ストレッチ包装用フィルム。
[2]少なくとも3層から構成されるストレッチ包装用フィルムであって、表面層用樹脂を含有する表面層2層と、前記表面層2層の間に設けられ、中間層用樹脂を含有する中間層と、を備え、青色着色剤を含有し、前記表面層用樹脂がエチレン系樹脂を含む、ストレッチ包装用フィルム。
[3]前記エチレン系樹脂がポリエチレンを含む、[2]に記載のストレッチ包装用フィルム。
[4]前記ポリエチレンの含有量が、前記表面層の全量基準で、50質量%以上である、[3]に記載のストレッチ包装用フィルム。
[5]前記中間層用樹脂がエチレン系樹脂、アミド系樹脂及びプロピレン系樹脂からなる群から選択される少なくとも一種を含む、[1]〜[4]のいずれかに記載のストレッチ包装用フィルム。
[6]前記中間層が前記青色着色剤を含有する、[1]〜[5]のいずれかに記載のストレッチ包装用フィルム。
[7]前記中間層として、第1の中間層用樹脂を含有する第1の中間層と、第2の中間層用樹脂を含有する第2の中間層と、第3の中間層用樹脂を含有する第3の中間層とをこの順に備える、[1]〜[6]のいずれかに記載のストレッチ包装用フィルム。
[8]前記第1の中間層用樹脂及び前記第3の中間層用樹脂がエチレン系樹脂を含む、[7]に記載のストレッチ包装用フィルム。
[9]前記エチレン系樹脂がポリエチレンを含む、[8]に記載のストレッチ包装用フィルム。
[10]前記ポリエチレンの含有量が、前記第1の中間層及び前記第3の中間層それぞれの全量基準で、5質量%以上である、[9]に記載のストレッチ包装用フィルム。
[11]前記第1の中間層及び前記第3の中間層が前記青色着色剤を含有する、[7]〜[10]のいずれか一項に記載のストレッチ包装用フィルム。
[12]前記第2の中間層用樹脂がアミド系樹脂を含む、[7]〜[11]のいずれかに記載のストレッチ包装用フィルム。
[13]前記アミド系樹脂が、ポリアミド6、ポリアミド6/66、ポリアミド6/12、及びポリアミド6/66/12からなる群から選択される少なくとも一種を含む、[12]に記載のストレッチ包装用フィルム。
[14]前記アミド系樹脂の含有量が、前記第2の中間層の全量基準で、20質量%以上である、[12]又は[13]に記載のストレッチ包装用フィルム。
[15]横方向(TD)の100%伸び引張応力が、3.9MPa以上13.7MPa未満である、[1]〜[14]のいずれかに記載のストレッチ包装用フィルム。
[16]前記フィルムの正接損失tanδ(動的粘弾性測定法、振動周波数10Hz、歪み0.1%)が0℃で0.1以上である、[1]〜[15]のいずれかに記載のストレッチ包装用フィルム。
本発明によれば、自動包装機に対応でき、仮にフィルムの破片が混入した際にも気づきやすく、食品を包装した場合には光照射による劣化を軽減できるストレッチ包装用フィルムを提供できる。
以下、本発明の実施形態の一例としてのストレッチ包装用フィルム(以下「フィルム」と称することもある)について説明する。但し、本発明の範囲が以下に説明する実施形態に限定されるものではない。
「ストレッチ包装用フィルム」とは、ストレッチ包装に用いられるフィルムであり、例えば、伸び性と自己粘着性を有するストレッチ包装用フィルムを広く包含することができる。典型的には、青果物、精肉、惣菜等を軽量トレーに載せてオーバーラップするプリパッケージ用のストレッチ包装用フィルム、荷物運搬時に荷物を固定するためにオーバーラップする包装用フィルムなどを挙げることができる。
本実施形態に係るフィルムは、不透明であってよい。なお、本明細書において、不透明とは、無色透明ではないことを意味し、着色されている透明を含む。
本明細書において「主成分」とは、特に記載しない限り、組成物の全量基準で、50質量%以上含まれる成分を意味する。主成分の含有量は、組成物の全量基準で、好ましくは70質量%以上、更に好ましくは90質量%以上である。
本実施形態に係るフィルムは、少なくとも3層で構成され、表面層2層と、当該表面層2層の間に設けられた中間層と、を備える。以下に、各層及び各層を構成する成分について説明する。表面層を形成し、積層構成とすることで、両表面層に防曇剤や粘着剤等の添加剤を含有させることができるため、フィルムの防曇性、密着性等を高めることができる。
<表面層>
(表面層用樹脂(A))
本実施形態に係るフィルムの表面層は、表面層用樹脂(A)を含有する。表面層は、表面層用樹脂(A)を主成分として50質量%以上含有する層であってもよい。
表面層用樹脂(A)は、低温でのヒートシール性、底シール性、自己粘着性、インフレーションした際の成形性等を担う。表面層用樹脂(A)は、例えばエチレン系樹脂(A’)であってよい。なお、本明細書中、エチレン系樹脂(A’)とは、樹脂中のエチレンモノマー比率が50質量%以上のものを意味する。
エチレン系樹脂(A’)としては、ポリエチレン(エチレン単独重合体)及びエチレンをモノマー単位として含む共重合体が挙げられる。
ポリエチレンとしては、例えば、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、線状超低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン等であってよく、好ましくは低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、及び線状超低密度ポリエチレンである。
エチレン系樹脂(A’)として、植物由来ポリエチレンを用いてもよい。植物由来ポリエチレンとしては、サトウキビより抽出されたエタノールを用いて作製された、線状低密度ポリエチレン及び高密度ポリエチレンからなる群から選択される少なくとも一種を含む混合組成物等を挙げることができる。植物由来ポリエチレンの密度は、0.910〜0.960g/cmが好ましく、0.915〜0.940g/cmがより好ましく、0.915〜0.925g/cmがさらに好ましい。ここで、植物由来ポリエチレンの密度が0.915g/cm以上であると、ストレッチ包装用フィルムに求められる弾性回復性を維持することができる。一方、0.940g/cm以下であると、ストレッチ包装用フィルムに求められる、接触時のフィルムの柔らかさを付与することが可能となる。
植物由来ポリエチレンの植物度(%)(ASTM6866、放射性炭素14Cの含有率測定)は、好ましくは80%以上である。植物度が80%以上であると、石油由来ポリエチレンに比べCOを70〜74%程度削減が可能となり、枯渇性資源の有効利用、及び温室効果ガスの原因となるCO発生量を大幅に削減することが可能となる。
ポリエチレンの含有量は、表面層の全量基準で、例えば40質量%以上であってよく、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上である。ポリエチレンの含有量は、表面層の全量基準で、例えば100質量%以下であってよく、好ましくは98質量%以下、より好ましくは95質量%以下である。
エチレンを含有する共重合体としては、例えば、エチレンと、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、4−メチルペンテン−1、ヘプテン−1、オクテン−1等の炭素数3〜10のα−オレフィン、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル等の不飽和カルボン酸エステル及びそのアイオノマー、共役ジエン、非共役ジエン等の不飽和化合物の中から選ばれる一種又は二種以上のコモノマーとの共重合体又は多元共重合体、或いは、それらの混合組成物などを挙げることができ、好ましくはエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、及びエチレン−メタクリル酸エステル共重合体である。
エチレン系樹脂(A’)としては、酢酸ビニル単位含有量が5質量%以上25質量%以下で、かつメルトフローレート(JIS K 7210、温度190℃、荷重21.18N)が0.2g/10分以上10g/10分以下のエチレン−酢酸ビニル共重合体が好ましい。酢酸ビニル単位含有量の下限は8質量%以上がより好ましく、上限は20質量%以下がさらに好ましい。酢酸ビニル単位含有量が5質量%以上であると、フィルムの柔軟性及び弾性回復性が良好な上、表面粘着性を付与することができる。酢酸ビニル単位含有量が25質量%以下であると、フィルムの巻き出し性及び外観を良好にすることができる。メルトフローレートの下限は、0.5g/10分以上がより好ましく、1g/10分以上がさらに好ましい。メルトフローレートの上限は、8g/10分以下がより好ましく、6g/10分以下がさらに好ましい。メルトフローレートが0.2g/10分以上であると、押出加工性を良好にできる。10g/10分以下であると、フィルム製膜安定性が良好で、厚みむら、力学強度のバラツキ等を抑制できる。
表面層は、上記のエチレン系樹脂(A’)のほか、防曇剤を配合することによりフィルムの防曇性を高めることができ、また、粘着剤を配合することによりフィルムの密着性をさらに高めることができる。
より具体的には、防曇性、帯電防止性、滑り性、粘着性等の性能をさらに向上させるために、次のような各種添加剤を適宜配合することができる。各種添加剤としては、例えば、炭素数が1〜12、好ましくは1〜6の脂肪族アルコールと、炭素数が10〜22、好ましくは12〜18の脂肪酸との化合物である脂肪族アルコール系脂肪酸エステル、具体的には、モノグリセリンオレート、ポリグリセリンオレート、ポリグリセリンポリリシノレート、グリセリントリリシノレート、グリセリンアセチルリシノレート、ポリグリセリンステアレート、ポリグリセリンラウレート、グリセリンアセチルラウレート、メチルアセチルリシレート、エチルアセチルリシレート、ブチルアセチルリシレート、プロピレングリコールオレート、プロピレングリコールラウレート、ペンタエリスリトールオレート、ポリエチレングリコールオレート、ポリプロピレングリコールオレート、ソルビタンオレート、ソルビタンラウレート、ポリエチレングリコールソルビタンオレート、ポリエチレングリコールソルビタンラウレート等、並びに、ポリアルキレンエーテルポリオール、具体的には、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等、さらに、パラフィン系オイル等から選ばれた化合物の少なくとも1種を、各種を構成する樹脂成分100質量部に対して例えば0.1〜12質量部配合させることができ、好ましくは1〜8質量部配合させることができる。
<中間層>
本実施形態に係るフィルムの中間層は、中間層用樹脂(B)を含有する。中間層用樹脂(B)は、エチレン系樹脂、アミド系樹脂、及びプロピレン系樹脂からなる群から選択される少なくとも一種を含んでいてよい。
エチレン系樹脂は、上述のエチレン系樹脂であってよく、酸素バリア性能及び吸湿性を有し、かつ熱成形可能である観点から、好ましくはエチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)である。すなわち、エチレン系樹脂として、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)を用いると、食品を包装するストレッチ包装用フィルムという点から見ると、コストが過大に上昇しないで品質を向上させることが可能となる。
本実施形態に係るフィルムにおいて、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)を中間層に用いる場合は、酸素バリア性能及び製膜安定性を保持する観点から、EVOH中のエチレン含有量は、例えば20モル%以上であってよく、好ましくは25モル%以上であり、例えば47モル%以下であってよく、好ましくは44モル%以下である。また、EVOHけん化度は、例えば90%以上であってよく、好ましくは95モル%以上である。エチレン−ビニルアルコール共重合体けん化物中のエチレン含有量及びけん化度を上記範囲に保つことにより、良好な酸素バリア性を維持できるとともに、共押出性及びフィルムの強度を良好なものにすることができる。
エチレン−ビニルアルコール共重合体のメルトフローレート(MFR)は、特に制限されるものではないが、MFR(JISK7210、温度:190℃、荷重:21.18N)は、0.2g/10分以上が好ましく、0.5〜18g/10分がより好ましく、1〜15g/10分がさらに好ましい。MFRが0.2g/10分以上であると、押出加工性が安定し、20g/10分以下であると、成形時に安定した製膜が可能となると共に、厚みムラや力学強度の低下やバラツキ等が少なくなる。
エチレン系樹脂がポリエチレンを含む場合、ポリエチレンの含有量は、中間層の全量基準で、例えば30質量%以上であってよく、好ましくは40質量%以上、より好ましくは50質量%以上である。ポリエチレンの含有量は、中間層の全量基準で、例えば100質量%以下であってよく、好ましくは98質量%以下、より好ましくは95質量%以下である。
アミド系樹脂としては、例えば、芳香族ポリアミド樹脂、脂肪族ポリアミド樹脂、及びそれらの混合物等が挙げられるが、ストレッチ包装用フィルムとして必要な耐熱性、バリア性及び原料コストの観点から、好ましくは脂肪族ポリアミド樹脂である。
脂肪族ポリアミド樹脂としては、例えば、ジカルボン酸とジアミンとの重縮合物、アミノカルボン酸の重縮合物、環状ラクタムの開環重合物等が挙げられる。ジカルボン酸とジアミンとの重縮合物としては、例えばヘキサメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、1,3−又は1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ビス(p−アミノシクロヘキシルメタン)、m−又はp−キシリレンジアミン等の脂肪族、脂環式、又は芳香族のジアミンと、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸等の脂肪族、脂環式、又は芳香族ジカルボン酸との重縮合によって得られる脂肪族ポリアミド樹脂が挙げられる。アミノカルボン酸の重縮合物としては、例えば、ε−アミノカプロン酸、11−アミノウンデカン酸等のアミノカルボン酸の縮合によって得られる脂肪族ポリアミド樹脂が挙げられる。環状ラクタムの開環重合物としては、例えば、ε−カプロラクタム、ε−ラウロラクタム等のラクタムから得られる脂肪族ポリアミド樹脂が挙げられる。具体的には、ポリアミド−6、ポリアミド−6,6、ポリアミド−6,10、ポリアミド−9、ポリアミド−11、ポリアミド−12、ポリアミド−6/6,6、ポリアミド−6,6/6,10、ポリアミド−6/11等が挙げられる。脂肪族ポリアミド樹脂は、成形性の観点からは、融点が170〜250℃のものが好ましく、低温下での衝撃性に優れているものが好ましい。
脂肪族ポリアミド樹脂としては、フィルムが電子レンジ内で加熱される際の耐熱性の観点から、好ましくはポリアミド−6及びポリアミド−11である。また、脂肪族ポリアミド樹脂としては、押出成形用途として安価に入手でき、かつ、種々のガスバリア性能も優れていることが求められるため、コスト及び品質の観点からも、好ましくはポリアミド−6及びポリアミド−11である。なお、ポリアミド−6はε−カプロラクタムの単独重合体であり、ポリアミド−11はウンデカンラクタムを開環重縮合した単独重合体である。ポリアミド11は、ヒマから抽出されたヒマシ油より合成される植物由来のポリアミド樹脂であり、低温性能が他のアミド系樹脂に比べ優れているのが特徴である、すなわち、ポリアミド11を中間層に使用することで、枯渇性資源の削減及び低温環境下でのフィルムの性能低下を防止することができる。
中間層がアミド系樹脂を含む場合、アミド系樹脂の含有量は、中間層の全量基準で、例えば10質量%以上であってよく、好ましくは20質量%以上、より好ましくは30質量%以上である。アミド系樹脂の含有量は、中間層の全量基準で、例えば100質量%以下であってよく、好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下である。
プロピレン系樹脂として、例えばプロピレンの単独重合体、プロピレンと「共重合可能な他の単量体」とのランダム共重合体又はブロック共重合体等を挙げることができる。このようなプロピレン系樹脂を中間層の主成分することで、容器密着性等の各種包装適性、ペレット保管安定性、並びに中間層を構成する中間層用樹脂の強度及び耐熱性を高めることができる。なお、本明細書中、プロピレン系樹脂とは、樹脂中のプロピレンモノマー比率が50質量%以上のものを示す。
「共重合可能な他の単量体」としては、エチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチルペンテン−1、1−オクテン等の炭素数4〜20のα−オレフィン、及びジビニルベンゼン、1,4−シクロヘキサジエン、ジシクロペンタジエン、シクロオクタジエン、エチリデンノルボルネン等のジエン類等が挙げられるが、これらの二種以上が共重合されていてもよい。なお、「共重合可能な他の単量体」としてエチレンを使用する共重合体において、エチレンモノマー比率が50質量%、かつ、プロピレンモノマー比率が50質量%である場合、当該共重合体はプロピレン系樹脂とする。
プロピレン系樹脂において、示差走査熱量計(DSC)にて10℃/分の降温速度で測定したときの結晶化熱量(ΔHc)が30J/g以上であると、強度及びヒートシール性を保持することができる。
本実施形態において、中間層の結晶化熱量(ΔHc)は、所定の範囲(10J/g以上60J/g以下)であることが好ましい。結晶化熱量(ΔHc)が10J/g未満であると、結晶性が低すぎて製膜性が悪くなることに加えて、常温ではフィルムが柔らかすぎたり、強度が不足したりするため実用上問題となることがある。また、結晶化熱量(ΔHc)が60J/gを超えると、フィルム伸展時に大きな力を要し、不均一な伸びしか示さず、ストレッチ包装用フィルムに適さない。結晶化熱量(ΔHc)を所定の範囲に調整する手法は、特に制限されるものではないが、プロピレン系樹脂(B)と異なる樹脂とを混合する手法が好適に用いられる。その中でも、各種包装機適性(カット性、包装シワ、底折り込み安定性、ちぎれ性、及びパック後の透明性)を付与させる点において、好ましくは後述するビニル芳香族系エラストマー(C)を混合する手法を用いることである。
本明細書において、結晶化熱量(ΔHc)とは、結晶化熱量(ΔHc)は、用いるプロピレン系樹脂の分子量、エチレン含有量(共重合比)、ランダム度(エチレン成分の共重合体中の分散性)、立体規則性等に依存する。一般的に、結晶化熱量(ΔHc)が大きいほど、当該ピーク温度も上昇する傾向にあり、総じて耐熱性に優れると言える。このような観点から結晶化熱量(ΔHc)は、好ましくは30J/g以上、より好ましくは40J/g以上、更に好ましくは50J/g以上である。上限値としては特に限定されるものではないが、実用上は150J/g以下である。
プロピレン系樹脂は、容器密着性等の性能を付与するという観点から柔軟性が求められるため、好ましくはプロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−エチレン−ブテン−1共重合体、リアクタータイプのポリプロピレン系エラストマー、プロピレン−エチレン共重合体、及びプロピレン−α−オレフィン共重合体である。プロピレン系樹脂は、一種を単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
プロピレン系樹脂が、ポリプロピレン系樹脂のブロック共重合体である場合、含有されるゴム成分径は1μm以下であると透明性を損なうことなく、ストレッチ時に発生する衝撃も緩和されるため、ストレッチ包装用フィルム用途として好ましい。なお、ゴム成分径が1μm以上であると、ストレッチ時の破断の基点となるおそれがある。
プロピレン系樹脂のメルトフローレート(MFR)は、特に制限されるものではないが、MFR(JISK7210、温度:230℃、荷重:21.18N)が、0.2g/10分以上が好ましく、0.5〜18g/10分がより好ましく、1〜15g/10分がさらに好ましい。MFRが0.2g/10分以上であると、押出加工性が安定し、20g/10分以下であると、成形時に安定した製膜が可能となると共に、厚みムラや力学強度の低下、バラツキ等が少なくなる。
プロピレン系樹脂として、具体的には、例えば日本ポリプロ株式会社製の商品名「ノバテックPP」「WINTEC」、住友化学株式会社製の商品名「ノーブレン」、株式会社プライムポリマー製の商品名「プライムポリプロ」「プライムTPO」、ダウ・ケミカル日本株式会社製の商品名「バーシファイ」等を挙げることができる。
中間層は、エチレン系樹脂(B’)を主成分として50質量%以上含有する層であってもよい。エチレン系樹脂(B’)を用いることで、本フィルムのガスバリア性が向上し、かつ、ストレッチ包装用フィルムとしての物性を備えることができる。
エチレン系樹脂(B’)は、表面層を構成するエチレン系樹脂(A’)と同じエチレン系樹脂であっても、異なるエチレン系樹脂であってもよいが、好ましくは同じエチレン系樹脂である。エチレン系樹脂(B’)と表面層を構成するエチレン系樹脂(A)とが同じエチレン系重合体であれば、中間層と表面層との密着性を高めることができ、フィルム全体での力学特性を高めることができるほか、例えば製膜したフィルムの両端をカットしてトリミングした際に発生するトリミングロスを、中間層の構成原料として添加するようにして調製できるから、材料の無駄を無くし、材料コストの軽減を図ることができる。
エチレン系樹脂(B’)として、酢酸ビニル単位含有量が5〜25質量%で、メルトフローレート(JISK7210、温度:190℃、荷重:21.18N)が0.2〜10g/10分のエチレン−酢酸ビニル共重合体が好ましく、0.5〜8g/10分のエチレン−酢酸ビニル共重合体がより好ましく、1〜6g/10分のエチレン−酢酸ビニル共重合体がさらに好ましい。
中間層におけるエチレン系樹脂(B’)として、例えばエチレン単独重合体、及びエチレンとエチレン以外のモノマー成分、特にα−オレフィンとの共重合体が挙げられる。また、これらの混合物を用いることもできる。
エチレン単独共重合体としては、例えば低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、線状超低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン等が挙げられる。エチレン単独共重合体は、これらの中でも、フィルムの柔軟性の点から、好ましくは低密度ポリエチレン及び線状低密度ポリエチレンである。
エチレンと共重合するα−オレフィンとしては、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、へキセン−1、へプテン−1、オクテン−1、ノネン−1、デセン−1、3−メチル−ブテン−1、4−メチル−ペンテン−1等を例示することができる。エチレンと共重合するα−オレフィンは、これらの中でも、工業的な入手し易さや諸特性、経済性などの観点から、好ましくはプロピレン、ブテン−1、へキセン−1、及びオクテン−1である。エチレンと共重合するα−オレフィンは、1種のみを単独で、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、エチレンとα−オレフィンとの共重合体(エチレン−α−オレフィン共重合体)を用いる場合、α−オレフィンモノマーの含有量は、エチレン−α−オレフィン共重合体の全量基準で、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.3質量%以上、更に好ましくは0.5質量以上である。また、α−オレフィンモノマーの含有量は、エチレン−α−オレフィン共重合体の全量基準で、好ましくは15.0質量%以下、より好ましくは10.0質量%以下、更に好ましくは3.0質量%以下である。α−オレフィンモノマーの含有量が上記範囲にあると、フィルムの包装適性、防湿性及び透明性が良好となる。
中間層におけるエチレン系樹脂(B’)は、好ましくはシングルサイト触媒を用いて重合される樹脂が少なくとも1種類以上用いられる。シングルサイト触媒を用いて重合されるエチレン系重合体は、分子鎖の長さが比較的均一であり、分子量分布が狭く、分子量分布指数Mw/Mnが小さい特徴を持つことから、結晶核剤を添加した場合に微細な結晶を形成することが可能となり、フィルムの透明性及び防湿性を向上させることができる。また、シングルサイト触媒を用いて重合されるエチレン系樹脂は、チーグラー触媒を用いて重合されるエチレン系樹脂と比べ、同等密度であっても結晶融解熱量ΔHmが低く、後述のフィルムの透明性と防湿性との両立に有効である。
シングルサイト触媒としては、例えばメタロセン化合物とメチルアルミノオキサンとを組み合わせたメタロセン触媒等を挙げることができる。
エチレン系樹脂(B’)の分子量分布指数Mw/Mnは、フィルムの透明性及び防湿性を向上させる観点から、好ましくは2.5以上、より好ましくは2.6以上、更に好ましくは3.0以上である。分子量分布指数Mw/Mnは、フィルムの透明性及び防湿性を向上させる観点から、好ましくは5.0以下、より好ましくは4.5以下、更に好ましくは4.0以下である。
エチレン系樹脂(B’)に用いる少なくとも1種類において、結晶融解ピーク温度Tmは、好ましくは100℃以上145℃以下であり、かつ、結晶融解熱量ΔHmは、120J/g以上190J/g以下である。結晶融解ピーク温度Tm及び結晶融解熱量ΔHmが上記範囲にあると、フィルムの透明性と防湿性との両立が可能となる。結晶融解ピーク温度Tmは、より好ましくは115℃以上、更に好ましくは130℃以上である。結晶融解ピーク温度Tmは、より好ましくは140℃以下である。また、結晶融解熱量ΔHmは、より好ましくは135J/g以上、更に好ましくは150J/g以上である。結晶融解熱量ΔHmは、より好ましくは185J/g以下、更に好ましくは180J/g以下である。エチレン系樹脂(B’)の結晶融解ピーク温度Tm、結晶融解熱量ΔHmは、示差走査熱量計DSCを用いて、JIS K 7121、JIS K 7122に準じて測定することができる。
エチレン系樹脂(B’)のメルトフローレート(JIS K 7210、温度190℃、荷重21.18N)は、特に制限されるものではないが、好ましくは0.2g/10分以上、より好ましくは0.5g/10分以上、更に好ましくは1g/10分以上である。上記メルトフローレートは、好ましくは20g/10分以下、より好ましくは18g/10分以下、更に好ましくは15g/10分である。上記メルトフローレートが、0.2g/10分以上であると押出加工性は安定する。上記メルトフローレートが20g/10分以下であると、フィルムの厚みムラ、力学強度の低下及びバラツキ等を抑制することができる。
エチレン系樹脂(B’)として、フィルムの透明性、防湿性、及びフィルム製膜性を兼備する観点から、エチレン単独重合体とエチレン−α−オレフィン共重合体とを両方用いることが好ましい。エチレン系樹脂(B’)における、エチレン単独重合体とエチレン−α−オレフィン共重合体の質量組成比は、好ましくは50:50〜90:10、より好ましくは55:45〜85:15が、更に好ましくは60:40〜80:20である。
(ビニル芳香族系エラストマー(C))
本実施形態に係るフィルムの中間層は、好ましくはビニル芳香族系エラストマー(C)を含有する。ビニル芳香族系エラストマー(C)は、そのゴム弾性及び柔軟性により、フィルムに弾性回復性を付与するとともに、(B)成分の引張弾性率の低減に有効に作用する。
ビニル芳香族系エラストマー(C)は、例えば、ビニル芳香族系化合物と共役ジエンとのブロック共重合体又はその水素添加物であってよい。ビニル芳香族系化合物としては、例えばスチレンであってよく、α−メチルスチレン等のスチレン同族体であってもよい。共役ジエンとしては、例えば1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、イソブチレン等が挙げられ、これらは1種のみを単独で、又は2種以上を混合して使用することができる。また、ブロック共重合体は、二元ブロック共重合体、三元ブロック共重合体等の何れのブロック共重合体であってもよい。このような共重合体は、一般的にゴム弾性を有し柔軟であるため、フィルムに弾性回復性を付与するとともに(B)成分の引張弾性率の低減に有効に作用する。
ビニル芳香族系エラストマー(C)としては、例えば、スチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン−エチレン−ブテン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)、スチレン−イソブチレンブロック共重合体(SIB)、スチレン−イソブチレン−スチレンブロック共重合体(SIBS)、等が挙げられ、これらの混合物であってもよい。ビニル芳香族系エラストマー(C)は、これらの中でも、ビニルゴム弾性及びガスバリア性の観点から、好ましくはスチレン−イソブチレンブロック共重合体(SIB)及びスチレン−イソブチレン−スチレンブロック共重合体(SIBS)である。
ビニル芳香族系化合物の含有量は、ビニル芳香族系エラストマー(C)の全量基準で、好ましくは3質量%以上40質量%以下である。上記含有量が3%以上であると、共重合体に適度な剛性が付与され、ペレット重合生産性が良好となる。また、上記含有量が40質量%以下であると、フィルムの弾性回復性や(B)成分に対する引張弾性率の低減等の効果が十分となる。
共役ジエンとしてイソブチレンを用いる場合、イソブチレンの含有量に対するビニル芳香族系化合物含有量の比は、質量比で3/97以上40/60以下であることが好ましい。上記比が3/97未満であると、共重合体自体の剛性が低下しすぎ、ペレット化が困難になる等の重合生産性が低下しやすくなる。また、上記比が40/60以下を越えると、共重合体自体の剛性が高くなり、(B)成分添加の目的であるフィルムに弾性回復性を付与したり、引張弾性率の低減等の効果が不十分となったりしやすいことがある。
共役ジエンとしてイソブチレンを用いるビニル芳香族系エラストマー(C)としては、具体的には、スチレン−イソブチレン共重合体エラストマー(株式会社カネカ製商品名「SIBSTAR」)等の市販品を用いることができる。
中間層におけるビニル芳香族系エラストマー(C)の含有量は、中間層の全量基準で、好ましくは1質量%以上、より好ましくは5質量%以上、更に好ましくは10質量%以上である。また、中間層におけるビニル芳香族系エラストマー(C)の含有量は、中間層の全量基準で、好ましくは50質量%未満、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは35質量%以下である。上記含有量が1質量%以上であると、ストレッチ包装用フィルムに必要な弾性回復性を付与させることができる。また、上記含有量が50質量%未満であると、(B)成分との相溶性が良くフィルムの透明性を向上できる。
(石油樹脂、テルペン樹脂、クロマン−インデン樹脂、ロジン系樹脂、それらの水素添加誘導体(D))
本実施形態に係るフィルムは、石油樹脂、テルペン樹脂、クロマン−インデン樹脂、ロジン系樹脂、及びそれらの水素添加誘導体からなる群(以下、「石油樹脂等(D)」と称する)から選択される少なくとも1種を含有していてもよい。石油樹脂等(D)は、好ましくは中間層に含有される。石油樹脂等(D)は、ガラス転移温度を調節することができ、ストレッチ包装用フィルムの腰、カット性、底折り込み安定性等の包装適性を良好にし、透明性を更に向上させることができる。
石油樹脂としては、例えば、シクロペンタジエン又はその二量体から得られた脂環式石油樹脂、C9成分から得られた芳香族石油樹脂、脂環式と芳香族石油樹脂との共重合系石油樹脂等を挙げることができる。
テルペン樹脂としては、例えば、β−ピネンから得られたテルペン樹脂、テルペン−フェノール樹脂等を挙げることができる。
クマロン−インデン樹脂としては、例えば、タールの160〜180℃留分を精製し、炭素数8のクマロン及び炭素数9のインデンを主要なモノマーとして重合した熱可塑性合成樹脂等を挙げることができる。
ロジン系樹脂としては、ガムロジン、ウッドロジン等のロジン樹脂、グリセリン、ペンタエリスリトール等で変性したエステル化ロジン樹脂等を挙げることができる。
石油樹脂等(D)は、色調、熱安定性及び相溶性の観点から、水素添加誘導体を用いることが好ましい。石油樹脂等(D)の軟化温度は、フィルムの強度及び包装適性を向上させる観点から、好ましくは100℃以上、より好ましくは110℃以上、更に好ましくは150℃以下である。また、石油樹脂等(D)の軟化温度は、好ましくは140℃以下である。
石油樹脂等(D)としては、例えば、三井化学株式会社製「ハイレッツ」及び「ペトロジン」、荒川化学工業株式会社製「アルコン」、ヤスハラケミカル株式会社製「クリアロン」、出光石油化学株式会社製「アイマーブ」、イーストマンケミカルジャパン株式会社製「エスコレッツ」、「リガライト」等が挙げられる。
石油樹脂等(D)の含有量は、中間層の全量基準で、好ましくは1質量%以上、より好ましくは5質量%以上、更に好ましくは10質量%以上である。石油樹脂等(D)の含有比率は、中間層の全量基準で、好ましくは40質量%以下、より好ましくは35質量%以下、更に好ましくは30質量%以下である。上記含有量が1質量%以上であると、ストレッチ包装用フィルムに必要なカット性、折り込み安定性、及び低温適性を付与できる。また、上記含有量が40質量%以下であると、低分子物のブリードによるフィルムのブロッキングが発生し難くなる。
中間層における、(B)成分と、ビニル芳香族系エラストマー(C)と石油樹脂等(D)との合計量((C)+(D))との質量配合比は、ストレッチ包装用フィルムとしてのフィルム特性及びガスバリア性を兼備する観点から、好ましくは95:5〜40:60、より好ましくは80:20〜50:50、更に好ましくは75:25〜55:45である。
中間層における、ビニル芳香族系エラストマー(C)と石油樹脂等(D)との質量配合比は、低温から常温におけるフィルムの柔軟性及び弾性のバランスの観点から、好ましくは80:20〜20:80、より好ましくは70:30〜30:70、更に好ましくは60:40〜40:60である。
(結晶核剤(E))
中間層用樹脂(B)としてエチレン系樹脂(B’)を用いる場合、本実施形態に係るフィルムの中間層は、結晶核剤(E)を含有することが好ましい。結晶核剤(E)は、エチレン系樹脂(B’)に対して作用し、結晶化温度の高温化及び結晶サイズの均等微細化により、フィルムの防湿性及び透明性を向上させる効果を及ぼす。
結晶核剤(E)としては、例えば、次の化合物を挙げることができる。
・ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の脂肪酸金属塩
・その他の脂肪族、脂環族、及び芳香族のカルボン酸、ジカルボン酸又は多塩基性ポリカルボン酸、相当する無水物及び金属塩等の有機酸の金属塩
・環式ビス−フェノールホスフェート、2ナトリウムビシクロ[2.2.1]ヘプテンジカルボン酸などの二環式ジカルボン酸、及びその金属塩
・ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−ジカルボキシレートなどの二環式ジカルボキシレート、及びその金属塩
・1・3,2・4−ジベンジリデンソルビトール、1・3,2・4−ジ(4−メチルベンジリデン)ソルビトール、1・3,2・4−ジ(4−エチルベンジリデン)ソルビトール、1・3,2・4−ジ(ジメチルベンジリデン)ソルビトール、1,3−(4−メチルベンジリデン)−2,4−ベンジリデンソルビトール、1・3−(ジメチルベンジリデン)−2・4−ベンジリデンソルビトール、1・3−(4−クロルベンジリデン)−2・4−(4−メチルベンジリデン)ソルビトール等のジベンジリデンソルビトール系化合物
・グリセロール、グリセリンモノエステルなどの高級脂肪酸エステル
・ナトリウム2,2’−メチレン−ビス−(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスフェート、アルミニウムビス[2,2’−メチレン−ビス−(4−6−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスフェート]、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)ナトリウムホスフェートなどのリン酸エステル化合物
・カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、マーガリン酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘニン酸、モンタン酸等の脂肪酸、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、ステアリン酸アミド、ヘベニン酸アミドなどの脂肪酸アミド
・シリカ、タルク、カオリン、炭化カルシウム等の無機粒子
結晶核剤(E)は、上述した結晶核剤(E)の中でも、好ましくは脂肪酸金属塩及び脂肪酸アミドである。これらの結晶核剤(E)は、一種を単独で用いても、二種類以上を選択して組み合わせて用いてもよい。また、結晶核剤(E)は、エチレン樹脂をバインダーとしたマスターバッチで用いてもよく、その場合のエチレン樹脂は単独重合体が好ましい。
結晶核剤(E)の含有量は、エチレン系樹脂(B’)に対する作用に効果がある範囲で適宜選択できる。結晶核剤(E)の含有量は、中間層の全量基準で、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.03質量%以上、更に好ましくは0.05質量%以上である。結晶核剤(E)の含有量は、中間層の全量基準で、好ましくは2.0質量%以下、より好ましくは1.0質量%以下である。上記含有量が0.01質量%以上であると、フィルムの透明性及び防湿性を効果的に向上できる。また、上記含有量が2.0質量%以下であると、フィルムの透明性低下を抑制できる。
(青色着色剤(F))
本実施形態に係るフィルムは、青色着色剤(F)を含有する。青色着色剤(F)を含有することで、フィルムの破片が食品に混入した際に見やすく、混入したまま提供されることを抑えることができる。また、青色着色剤(F)を含有することでフィルムが青色となるため、食品に当たる光を軽減し、劣化を軽減することができる。
青色着色剤としては、例えば380〜750nmの範囲での最大吸収波長が600〜750nmの範囲内にあるものを用いることができる。このような着色剤としては、例えば、ヘキサシアノ鉄(ii)酸鉄(III)、フタロシアニンブルー、酸化第一コバルト・酸化アルミニウム混合物、インジゴ、ウルトラマリン等であってよく、好ましくはフタロシアニンブルーである。フタロシアンブルーの代表的な例としては、銅フタロシアニンブルー及びその誘導体(ピグメントブルー15)を挙げることができる。フタロシアニンブルーとしては、銅フタロシアニンブルーが好適に用いられる。青色着色剤(F)は、表面層又は中間層のいずれに含有していてもよいが、着色剤を保護する観点から、好ましくは中間層に含まれている。
青色着色剤の含有量は、フィルム全量基準で、例えば0.5質量%以上であってよく、2.0質量%以下であってよい。また、青色着色剤の含有量は、フィルム全量基準で、例えば25質量%以下であってよい。
青色着色剤(F)と共に青色着色剤以外の着色剤(その他の着色剤)を併用してもよい。その他の着色剤は、黒色、白色、茶色、シアン色、緑色、紫色、マゼンタ色、赤色、又は黄色の着色剤であってよく、それらの混合物であってもよい。その他の着色剤は、有色顔料であってよく、例えば、アントラキノン、フタロシアニングリーン、ジアゾ、モノアゾ、ピラントロン、ペリレン、ヘテロ環イエロー、キナクリドン、及び(チオ)インディゴイド等の有機顔料であってよい。
赤色着色剤としては、例えばC.I.ピグメントレッド1、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド9、C.I.ピグメントレッド97、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド180、C.I.ピグメントレッド192、C.I.ピグメントレッド215、C.I.ピグメントレッド216、C.I.ピグメントレッド224、C.I.ピグメントレッド254、赤色酸化鉄(III)、カドミウム赤のレッド系ピグメントが挙げられる。
黄色着色剤としては、例えばC.I.ピグメントイエロー1、C.I.ピグメントイエロー3、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー20、C.I.ピグメントイエロー24、C.I.ピグメントイエロー83、C.I.ピグメントイエロー86、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー109、C.I.ピグメントイエロー110、C.I.ピグメントイエロー117、C.I.ピグメントイエロー125、C.I.ピグメントイエロー137、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー139、C.I.ピグメントイエロー147、C.I.ピグメントイエロー148、C.I.ピグメントイエロー150、C.I.ピグメントイエロー153、C.I.ピグメントイエロー154、C.I.ピグメントイエロー166、C.I.ピグメントイエロー173、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー185、黄色鉛、亜鉛黄等のイエロー系ピグメントが挙げられる。
上記以外の着色剤としては、C.I.ピグメントオレンジ48、C.I.ピグメントオレンジ49、C.I.ピグメントレッド202、C.I.ピグメントレッド206、C.I.ピグメントレッド207、C.I.ピグメントレッド209、C.I.ピグメントバイオレット19、ピグメントバイオレット42、C.I.ピグメントレッド43、C.I.ピグメントレッド194(ペリノンレッド)、C.I.ピグメントレッド226(ピアントロンレッド)、ピグメントレッド179(マロン)、C.I.ピグメントレッド190(レッド)、C.I.ピグメントバイオレット、C.I.ピグメントレッド189(イエローシェイドレッド)、C.I.ピグメントレッド86、C.I.ピグメントレッド87、C.I.ピグメントレッド88、C.I.ピグメントレッド181、C.I.ピグメントレッド198、C.I.ピグメントバイオレット36、C.I.ピグメントバイオレット38、ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー65、C.I.ピグメントイエロー73、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー128等を挙げることができる。
そのような顔料は、多くの供給者から粉末又は圧縮ケークの形で商業的に入手可能である。この供給者としては、BASF社、Engelhard社、及びSunChemical社を挙げることができる。他の適当な有色顔料の例は、ColourIndex、第3版(The Society of Dyers and Colourists、1982年)で示されている。
黒色顔料の代表的な例としては、チャンネルブラック、ファーネスブラック、及びランプブラックのような様々なカーボンブラック(ピグメントブラック7)を挙げることができ、これは例えば、Regal(登録商標)、BlackPearls(登録商標)、Elftex(登録商標)、Monarch(登録商標)、Mogul(登録商標)、及びVulcan(登録商標)(Cabot社から入手可能)(例えばBlack Pearls2000、Black Pearls1400、Black Pearls1300、Black Pearls1100、BlackPearls1000、Black Pearls900、Black Pearls880、Black Pearls800、Black Pearls700、Black PearlsL、Elftex8、Monarch1400、Monarch1300、Monarch1100、Monarch1000、Monarch900、Monarch880、Monarch800、Monarch700、MogulL、Regal330、Regal400、VulcanP)である。
カーボンブラックとしては、限定するわけではないが、Printex 40、Printex 80、Printex 300、Printex L、Printex U、Printex V、Special Black 4、Special Black 5、FW 200、(Degussa社から入手可能)、Raven 780、Raven 890、Raven 1020、Raven 1040、Raven 1255、Raven 1500、Raven 5000、Raven 5250(Columbian Chemical社から入手可能)、並びにMA100及びMA440(三菱化学から入手可能)を挙げることができる。
典型的な有色顔料のBET表面積は大きく、これは窒素吸着によって測定する。有色顔料の表面積は、好ましくは85m/g以上、より好ましくは100m/g以上であり、これは比較的小さい一次/凝集体粒度に対応している。そのような表面積は、比較的均一な分散及び顔料表面における処理剤の有効レベルをもたらすし、並びに後処理技術の後での表面を改質された有色顔料の収率を比較的大きくする。有色顔料の好ましい比較的大きい表面積(従って対応する比較的小さい粒度)が容易には得られない場合、有色顔料に従来の微細化又は粒度減少技術、例えばボールミル処理又はジェットミル処理を行って、顔料の粒度を小さくして所望の粒度にすることができる。
(その他の添加剤)
本フィルムの表面層又は中間層には、防曇性、帯電防止性、滑り性、粘着性等の性能を付与するために、次のような各種添加剤を適宜配合することができる。
添加剤としては、例えば、以下の化合物を挙げることができ、これらのうち1種類を単独で使用しても2種類以上を併用してもよい。ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキルエーテルポリオール;モノグリセリオレート、メチルアセチルリシノレート、エチルアセチルリシノレート、ブチルアセチルリシノレート、プロピレングリコールオレート、プロピレングリコールラウレート、ペンタエリスリトールオレート、ポリエチレングリコールオレート、ポリプロピレングリコールオレート、ソルビタンオレート、ソルビタンラウレート、ポリグリセリンオレート、グリセリントリリシノレート、グリセリンアセチルリシノレート、ポリグリセリンステアレート、グリセリンラウレート、ポリグリセリンラウレート、ポリエチレングリコールソルビタンオレート、ポリエチレングリコールソルビタンラウレート等の、炭素数が1〜12、好ましくは1〜6の脂肪酸アルコールと、炭素数が10〜22、好ましくは12〜18の脂肪酸との脂肪族アルコール系脂肪酸エステル;パラフィン系オイル等が挙げられる。
添加剤の含有量は、当該添加剤を含有する層の全量基準で、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上である。添加剤の含有量は、当該添加剤を含有する層の全量基準で、好ましくは12質量%以下、より好ましくは8質量%以下である。
本実施形態において、中間層の結晶化ピーク温度Tcは、好ましくは70℃以上、より好ましくは90℃以上、更に好ましくは100℃以上である。結晶化ピークが複数存在する場合は、高温側の結晶化ピーク温度が上記範囲であることが好ましい。中間層の結晶化ピーク温度Tcが70℃以上であると、フィルム製膜中の結晶化が促進され防湿性が良好となる。
本実施形態において、中間層の結晶化熱量ΔHcは、10J/g以上110J/g以下が好ましい。中間層の結晶化熱量ΔHcの下限は、30J/g以上がより好ましく、50J/g以上がさらに好ましい。中間層の結晶化熱量ΔHcの上限は、100J/g以下がより好ましい。結晶化熱量ΔHcが10J/g以上であると、フィルム製膜性が良好となり、また、常温において十分なフィルム柔軟性及び強度を得ることができる。結晶化熱量ΔHcが110J/g以下であると、フィルム伸展を適度な力で均等に行うことができる。
中間層の結晶化ピーク温度Tcは、中間層用樹脂(B)の結晶性に依存するため、中間層用樹脂(B)の組成の選定、及び結晶核剤の混合によって調整される。中間層の結晶化熱量ΔHcを所定の範囲に調整する手法は、特に制限されるものではなく、フィルム製膜時の冷却条件等の製造方法、中間層の樹脂構成等で調整できる。中でも、中間層用樹脂(B)に異なる樹脂を混合する手法が好ましく用いられる。混合する樹脂としては、カット性、包装シワ、底折り込み安定性、ちぎれ性、パック後の透明性等の各種包装機適性を付与させる観点から、好ましくはビニル芳香族系エラストマー(C)及び石油樹脂等(D)である。これらの樹脂を混合することにより、中間層用樹脂(B)の結晶化熱量ΔHcが低減する。
中間層の結晶化ピーク温度Tc及び結晶化熱量ΔHcは、JIS K 7121、JIS K 7122に準じて、示差走査熱量計DSCを用い、中間層を構成する中間層用樹脂を混練したものを試料として測定してもよいし、フィルムの断面切片を用いてその中間層をマイクロ熱分析して求めてもよい。結晶化ピークが重なって複数存在する(ショルダーピーク)の場合は、主ピークのベースラインに基づいてΔHcを算出する。結晶化ピークが別個にベースラインを有して複数存在する場合は、各ピークのΔHcを加算する。
<フィルム構成>
(層構成)
本実施形態に係るフィルムの性能を阻害しない範囲であれば、表面層と中間層の層間剥離を防止するために、例えば接着性樹脂層を備えてもよい。接着性樹脂層を構成する接着性樹脂は、一般的に用いられる酸変性ポリオレフィン樹脂等を使用することができる。接着性樹脂層は、層間接着力と原料コストの観点から、エチレン樹脂、植物由来ポリエチレン、石油由来線状低密度ポリエチレン等を更に含有してもよい。
接着性樹脂が酸変性ポリオレフィンと植物由来ポリエチレンとを含む場合、酸変性ポリオレフィンの含有量に対する植物由来ポリエチレンの含有量の比(植物由来ポリエチレン/酸変性ポリオレフィン)は、層間接着力及び原料コストの観点から、好ましくは80〜40/20〜60より好ましくは30〜50/70〜50である。上記比が上記範囲内にあると、表面層と中間層との層間接着力を保持し、かつ原料コストを抑えることが可能となる。
本実施形態に係るフィルムは、表面層用樹脂(A)を主成分として用いた両表面層と、中間層用樹脂(B)を主成分として用いた中間層との、少なくとも3層を備えるフィルムである。
本実施形態に係るフィルムは、両表面層と中間層とを備えた積層フィルムであり、少なくとも表面層/中間層/表面層をこの順に有する3層以上の積層フィルムであればよい。本実施形態に係るフィルムは、例えば中間層を2層以上備えていてもよく、容器への粘着性により優れる観点からは、中間層を3層備えていることが好ましい。
本実施形態において、中間層は、第1の中間層用樹脂を含有する第1の中間層と、第2の中間層用樹脂を含有する第2の中間層と、第3の中間層用樹脂を含有する第3の中間層とをこの順に備えていてよい。
本実施形態において、表面層をS層、中間層をM層と略記すると、例えば、次の層構成を例示できる。
・(S層1)/(M層1)/(S層2)
・(S層1)/(M層1)/(M層2)/(M層3)/(S層2)
これらの層構成において、各層の樹脂組成や厚み比は、同一であっても異なっていてもよい。また、フィルム中に複数のS層又はM層を備える場合、例えば上記の例示の層構成においてS層1及び2、M層1、2及び3を備える場合、各層1、2及び3の樹脂組成及び厚み比は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
本実施形態において、第1の中間層用樹脂及び第3の中間層用樹脂は、エチレン系樹脂を含んでいてよい。エチレン系樹脂は、上述のエチレン系樹脂であってよく、ポリエチレンを含んでいてよい。
エチレン系樹脂がポリエチレンを含む場合、ポリエチレンの含有量は、第1の中間層及び第3の中間層それぞれの全量基準で、例えば1質量%以上であってよく、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上である。ポリエチレンの含有量は、第1の中間層及び第3の中間層それぞれの全量基準で、例えば100質量%以下であってよく、好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下である。
本実施形態において、第1の中間層及び第3の中間層は、上述の青色着色剤を含有していてよい。この場合、青色着色剤の含有量は、第1の中間層及び第3の中間層それぞれの全量基準で、例えば1質量%以上であってよく、好ましくは3質量%以上、より好ましくは6量%以上である。青色着色剤の含有量は、第1の中間層及び第3の中間層それぞれの全量基準で、例えば40質量%以下であってよく、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下である。
本実施形態において、第2の中間層用樹脂は、アミド系樹脂を含んでいてよい。アミド系樹脂は、上述のアミド系樹脂であってよく、例えば、ポリアミド4、ポリアミド6、ポリアミド7、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド4,6、ポリアミド6,6、ポリアミド6,9、ポリアミド6,10、ポリアミド6,11、ポリアミド6T、ポリアミド6I、ポリアミドMXD6(ポリメタキシリレンアジパミド)、ポリアミド6−6,6、ポリアミド6−6,10、ポリアミド6−6,11、ポリアミド6,12、ポリアミド6−6,12、ポリアミド6−6T、ポリアミド6−6I、ポリアミド6−6,6−6,10、ポリアミド6−6,6−12、ポリアミド6−6,6−6,12、ポリアミド6,6−6T、ポリアミド6,6−6I、ポリアミド6T−6I、ポリアミド6,6−6T−6I等であってよい。アミド系樹脂は、ホモポリマー又は共重合体であってよく、ホモポリマー及び共重合体の混合物であってもよい。アミド系樹脂は、上述したアミド系樹脂の中でも、ポリアミド6、ポリアミド6/66、ポリアミド6/12、及びポリアミド6/66/12からなる群から選択される少なくとも一種を含むことが好ましく、ポリアミド6を含むことがより好ましい。また、アミド系樹脂は、ポリアミド6、ポリアミド6/66、ポリアミド6/12、及びポリアミド6/66/12からなる群から選択される少なくとも一種を主成分として用いることが、好適である。
第2の中間層用樹脂がアミド系樹脂を含む場合、アミド系樹脂の含有量は、第2の中間層の全量基準で、例えば10質量%以上であってよく、好ましくは20質量%以上、より好ましくは30質量%以上である。アミド系樹脂の含有量は、第2の中間層の全量基準で、例えば100質量%以下であってよく、好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下である。
(フィルム総厚)
本実施形態に係るフィルムの総厚は、一般的なストレッチ包装用フィルムとして用いられる範囲として、例えば5μm以上30μm以下であってよく、8μm以上20μmであってもよい。フィルムの総厚は、5μm以上、6μm以上、7μm以上、8μm以上、9μm以上、又は10μm以上であってよい。また、フィルムの総厚は、30μm以下、28μm以下、26μm以下、24μm以下、22μm以下、20μm以下、18μm以下又は16μm以下であってよい。総厚が5μm以上であると、使用に堪えるフィルム強度が得られ、フィルムの総厚が30μm以下であると、自動包装機で良好な包装ができる。
(層の厚み比率)
本実施形態に係るフィルムにおいて、両表面層と中間層の厚み比率(両表面層:中間層)は、好ましくは10〜65:90〜35、より好ましくは20〜60:80〜40である。なお、各表面層の厚みは異なってもよいが、同等の厚みであるとフィルム製膜性が安定し易い。両表面層と中間層の厚み比率が上記範囲であると、フィルム製膜安定性が得られ、ストレッチ包装用フィルムに好適な表面粘着性及び包装適性を付与することができる。
なお、接着性樹脂層に用いられる組成物には、ストレッチ包装用フィルムの機能を損なわない範囲で、相溶化剤を配合することができるほか、防曇性、帯電防止性、滑り性、粘着性等の性能を付与するために次のような各種添加剤を適宜配合することができる。例えば、炭素数が1〜12、好ましくは1〜6の脂肪族アルコールと、炭素数が10〜22、好ましくは12〜18の脂肪酸との化合物である脂肪族アルコール系脂肪酸エステル、具体的には、モノグリセリンオレート、ポリグリセリンオレート、ポリグリセリンポリリシノレート、グリセリントリリシノレート、グリセリンアセチルリシノレート、グリセリンモノアセトモノステアレート、グリセリンジアセトモノラウレート、グリセリンジアセトモノオレート、ポリグリセリンステアレート、ポリグリセリンラウレート、メチルアセチルリシレート、エチルアセチルリシレート、ブチルアセチルリシレート、プロピレングリコールオレート、プロピレングリコールラウレート、ペンタエリスリトールオレート、ポリエチレングリコールオレート、ポリプロピレングリコールオレート、ソルビタンオレート、ソルビタンラウレート、ポリエチレングリコールソルビタンオレート、ポリエチレングリコールソルビタンラウレート等、並びに、ポリアルキレンエーテルポリオール、具体的には、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等、さらに、パラフィン系オイル、ポリブテン、テルペン樹脂、石油樹脂等から選ばれた化合物の少なくとも1種を配合することができる。各種添加剤の合計含有量は、各層を構成する樹脂成分100質量部に対して、0.1〜30質量部であってよく、好ましくは3〜25質量部である。
接着性樹脂層の厚みは、その機能から好ましくは0.3〜5μmである。接着性樹脂層の厚みがかかる範囲内であれば、両表面層と中間層との接着性を発現させることができ、また、フィルム成形の際に製膜安定性が得られる。中間層の厚み比をより確保したい場合には、より好ましくは0.5〜3μmである。
本実施形態に係るフィルムは、力学特性及び層間接着性の改良等の観点から、必要に応じて他の層を備えてもよい。他の層としては、表面層と中間層の間に備える接着層、表面層と中間層との間に備える再生層等が挙げられる。
本実施形態において、表面層をS層、中間層をM層、他の層をP層と略記すると、例えば、次の層構成を例示できる。
・(S層1)/(P層1)/(M層1)/(S層2)
・(S層1)/(P層1)/(M層1)/(P層2)/(S層2)
・(S層1)/(M層1)/(P層1)/(M層2)/(S層2)
これらの層構成において、各層の樹脂組成や厚み比は、同一であっても異なっていてもよい。また、フィルム中に複数のS層、M層、又はP層を備える場合、例えば上記の例示の層構成においてS層1及び2、M層1、2及び3、P層1及び2を備える場合、各層1、2及び3の樹脂組成及び厚み比は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
例えば、表面層Aと同様の組成からなる層A’が、両表面層以外に介在してもかまわないし、また、中間層Bと同様の組成からなる層が、両表面層の間に2層以上介在してもかまわない。具体的には、接着層をC、再生層をDで表すと次のとおりである。A/C/B/C/Aからなる5層構成のほか、A/C/B/B/C/A、A/D/C/B/C/A、A/C/D/B/C/Aなどからなる6層構成、A/C/B/A’/B/C/A、A/C/B/C/B/C/A、A/D/C/B/C/D/A、A/C/D/B/D/C/Aなどからなる7層構成などを例示することができる。この場合、各層の樹脂組成や厚み比に関しては同一であっても異なってもよい。
本実施形態において、フィルム全体の厚みに対する中間層の厚みの比は、5〜50%であることが好ましい。フィルム全体の厚みに対する中間層の厚みの比が上記範囲であると、動的粘弾性による各特性値(E’、tanδ)を満足するフィルムの設計が容易となり、例えばTダイ法にてフィルムを成形する際、好ましい製膜安定性が得られるほか、ストレッチ包装用フィルムに好適なカット性を発現させるための力学特性や、容器の密着性を発現させるための緩和特性を比較的容易に付与することができる。また、製膜したフィルムを巻いた状態で保管しておいてもブロッキングが生じず、防曇性や容器密着性が良好であり、経時により加水分解による分子量低下が生じ難いことに加えて、各層間の接着性が良好であるストレッチ包装用フィルムとすることができる。さらに、安定した製膜加工性及び柔軟性を重視する場合には、フィルム全体の厚みに対する中間層の厚みの比は、好ましくは10〜40%、より好ましくは15〜30%である。
なお、上述したように中間層が2層以上ある場合には、全ての中間層の合計厚みを用いて厚み比を計算すればよい。
前述のように、本発明のストレッチ包装用フィルムは、本発明の効果を損なわない範囲で、再生層を備えることができる。再生層としては、例えば製膜したフィルムの両端をカットしてトリミングした際に発生するトリミングロス、各層に用いた後の余剰分や成形不良品等を用いることができるため、材料の無駄を無くし、材料コストの軽減を図ることができる。
再生層は、表面層と接着層の間や、中間層と接着層との間に備えることができる。例えば、表面層、中間層、又は接着層の構成を2層構成にしておき、一方の層にフィルム両端のトリミングロスをリターンすることによって、表面層と接着層との間、又は中間層と接着層との間に再生層を設けることができる。この場合、各層の厚みの比や組成比のほか、リターンを含有する層が表面層、中間層、又は接着層のいずれをベースとしているかによって、3成分の混合比が調整できる。
本実施形態に係るフィルムにおいて、両表面層のうち少なくとも一つの表面層は、ストレッチ包装用フィルムとしての滑り性と自己粘着性のバランス、熱融着性、外観及び変形回復性の観点から、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体樹脂、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体樹脂等、好ましくはエチレン−酢酸ビニル共重合体を含有することが好ましい。
なお、ここでのエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂は、従来よりストレッチ包装用フィルムに用いられているものであってよい。エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂における酢酸ビニル含有量は、例えば5〜25質量%であってよく、好ましくは10〜20質量%である。190℃でのメルトフローレートは、例えば0.3〜5g/10分であってよく、好ましくは1〜3g/10分である。
また、これら表面層の構成樹脂にも、樹脂組成物に配合すると同じ上述の脂肪族アルコール系脂肪酸エステル、ポリアルキレンエーテルポリオール等を配合することが好ましい。
本実施形態に係るフィルムを成形するには、Tダイ法及びインフレーション法等の公知のフィルム成形法を用いればよく、その際のフィルムの厚みは、5〜30μmとし、積層フィルムの場合には、この発明の樹脂組成物の層を2〜10μm、表面層を3〜10μmとする。
本実施形態に係るフィルムの厚さ(全体)は、ストレッチ包装用フィルムとして用いられる範囲、具体的には6〜30μmであればよく、好ましくは8〜20μmである。
本実施形態に係るフィルムは、(1)動的粘弾性測定により、周波数10Hz、ひずみ0.1%において測定した20℃における貯蔵弾性率(E’)が100MPa以上4GPa以下であり、(2)−40〜0℃の正接損失(tanδ)の平均値が0.08以上とする必要がある。
上記の(1)及び(2)を両方備えているフィルムであれば、ストレッチ包装用フィルムとして好適に利用することができる。すなわち、貯蔵弾性率(E’)が100MPa未満であると、フィルムが柔らか過ぎて変形に対して応力が小さ過ぎるため、例えば紙箱から引き出してカットする際のカット性が悪くなることがある。その一方、E’が4GPaを超えると、硬くて伸び難いフィルムになり、紙箱から引き出した際の引き出し性が悪くなることがある。また、正接損失(tanδ)の平均値の−40〜0℃の値が0.08以上であれば、低温環境下であってもフィルムの変形に対する復元挙動が瞬間的に起こることがないため、低温環境下での容器への密着性が良好となるので好ましい。
なお、tanδ(正接損失)とは、貯蔵弾性率(E’)に対する損失弾性率(E”)の比、すなわち正接損失(tanδ=E”/E’)であり、この値が高い温度領域では、材料の損失弾性率(E”)、すなわち粘弾性特性のうち粘性の寄与率が大きいことを意味している。このtanδのピーク値及びピーク温度を評価することにより、包装時の容器への密着性や包装工程におけるフィルムの応力緩和挙動などを判断する大きな目安となる。
上記の条件(1)及び(2)を両方満足するフィルムを作製するには、例えば中間層、表面層、及び接着層(場合により再生層)における構成成分の選択(主成分となる樹脂の種類、Tg、成分の配合割合など)、中間層、表面層、及び接着層(場合により再生層)の厚み比率、製膜方法、加工条件(例えばフィルム製膜後の熱処理条件など)等を適宜バランスよく調整することによって作製することができる。
(その他の実施形態)
本発明のその他の実施形態として、例えば、塩化ビニル系樹脂又は塩化ビニリデン系樹脂を用いた実施形態があげられる。
塩化ビニル系樹脂を用いた実施形態の具体例としては、例えば下記の(イ)(ロ)(ハ)の塩化ビニル系樹脂組成物を用いて製膜してなるストレッチ包装用フィルム(塩化ビニル系ストレッチ包装用フィルム)が挙げられる。
(イ)塩化ビニル系樹脂と、青色着色剤とを含有する、塩化ビニル系樹脂組成物。
(ロ)塩化ビニル系樹脂と、ポリエステル系可塑剤と、エポキシ化植物油と、エチレン−酢酸ビニル−一酸化炭素共重合体と、青色着色剤とを含有する、塩化ビニル系樹脂組成物。
(ハ)塩化ビニル系樹脂100質量部に対して、ポリエステル系可塑剤1〜30質量部、エポキシ化植物油1〜25質量部、エチレン−酢酸ビニル−一酸化炭素共重合体1〜60質量部、青色着色剤を含んでなる、(イ)又は(ロ)に記載の塩化ビニル系樹脂組成物。
本実施形態において、塩化ビニル系樹脂は、塩化ビニル単独重合体のほか、塩化ビニルと共重合可能な単量体との共重合体(以下、塩化ビニル共重合体とする)、この塩化ビニル共重合体以外の重合体に塩化ビニルをグラフト共重合させたグラフト共重合体等であってよい。これらの共重合体は共重合体中の塩化ビニル以外の構成単位含有量が多くなると機械的特性が低下するので、塩化ビニルの含有量は、共重合体の全量基準で、好ましくは60質量%以上である。なお、上記各重合体は乳化重合法、懸濁重合法、溶液重合法、塊状重合法等いずれの重合方法で得られたものでもよく、それぞれの単独又は2種以上の重合体の組み合わせであってもよい。上記の塩化ビニルと共重合可能な単量体としては、分子中に反応性二重結合を有するものであればよく、例えば、エチレン、プロピレン、ブチレン等のα−オレフィン類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;ブチルビニルエーテル、セチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;アクリル酸、メタクリル酸等の不飽和カルボン酸類;アクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸フェニル等のアクリル酸又はメタクリル酸のエステル類;スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル類;塩化ビニリデン、フッ化ビニル等のハロゲン化ビニル類;N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等のN−置換マレイミド類等が挙げられ、これらは単独又は2種以上の組み合わせで用いられる。
また、上記塩化ビニル共重合体以外の重合体としては、塩化ビニルをグラフト共重合できるものであればよく、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル−一酸化炭素共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−エチルアクリレート−一酸化炭素共重合体、エチレン−ブチルアクリレート共重合体、エチレン−ブチルアクリレート−一酸化炭素共重合体、エチレン−メチルメタクリレート共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、ポリウレタン、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン等が挙げられ、これらは1種単独又は2種以上の組み合わせで用いられる。
本実施形態において、塩化ビニル系樹脂の平均重合度は、例えば700〜1,500であってよく、好ましくは900〜1,400である。平均重合度が700未満であると、耐破断性や他の機械物性に劣る。また、平均重合度が1,500を越えると、溶融粘度の増大が著しく、成形加工温度と分解温度とが近くなり、生産安定性に劣る。
本実施形態において、ポリエステル系可塑剤の分子量は、例えば1,000〜3,500であってよい。分子量が1,000未満であると、n−ヘプタンに対する耐抽出性に劣る。また、分子量が3,500を越えると、可塑化効果が小さくなり、また成形加工機の金属面に貼り付き劣化しやすくなり生産性を低下させる。ポリエステル系可塑剤の分子量は、好ましくは1,500〜3,000である。このようなポリエステル系可塑剤としては、例えば、ポリ(エチレングリコール/アジピン酸)エステル、ポリ(1,3ブタンジオール/アジピン酸)エステル、ポリ(プロピレングリコール/セバチン酸)エステル等が挙げられる。このようなポリエステル系可塑剤の添加量は、塩化ビニル系樹脂組成物100質量部に対して、好ましくは1〜50質量部、より好ましくは5〜45質量部である。添加量が1質量部未満であると、柔軟性付与効果が小さい。また、添加量が50質量部を越えると、抽出量が多くなり、また成形加工機の金属面への貼り付き、劣化による生産性の低下が起こる。
本実施形態において、エポキシ化植物油は、ストレッチ包装用フィルムの押出成形性、特には押出成形時における熱安定性を向上させるために添加されるものである。エポキシ化植物油としては、例えばエポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油、エポキシ化サフラワー油等であってよく、熱安定性向上の観点から、好ましくはエポキシ化大豆油である。エポキシ化植物油の添加量は、ポリ塩化ビニル系樹脂100質量部に対して、好ましくは1〜25質量部、より好ましくは5〜20質量部である。エポキシ化植物油の添加量は、ポリ塩化ビニル系樹脂100質量部に対して1質量部未満であると、押出成形時の熱安定性が悪い。また、エポキシ化植物油の添加量は、ポリ塩化ビニル系樹脂100質量部に対して25質量部を超えると、臭気の発生及び抽出量の増加が問題となる。
本実施形態において、エチレン−酢酸ビニル−一酸化炭素共重合体は、ポリエステル系可塑剤の添加量を減らしてもフィルムに柔軟性を付与できるとともに、共重合成分であるエチレンの効果で成形加工時の金属面への貼り付きや減粘効果による焼け防止のために添加するものである。
エチレン−酢酸ビニル−一酸化炭素共重合体の添加量は、塩化ビニル系樹脂組成物100質量部に対して、好ましくは1〜60質量部、より好ましくは5〜50質量部である。エチレン−酢酸ビニル−一酸化炭素共重合体の添加量は、塩化ビニル系樹脂組成物100質量部に対して1質量部未満であると、ポリエステル系可塑剤の添加量を減らせるまでの柔軟性付与効果が得られない。また、エチレン−酢酸ビニル−一酸化炭素共重合体の添加量は、塩化ビニル系樹脂組成物100質量部に対して60質量部を越えると、フィルムの腰(剛性)が低下し、包装後の仕上がりが悪くなる。また、酢酸ビニル系共重合体特有の酢酸臭が強くなる。
エチレン−酢酸ビニル−一酸化炭素共重合体は、好ましくはエチレン単位40〜80質量%、酢酸ビニル単位10〜60質量%及び一酸化炭素単位3〜30質量%からなる三元共重合体である。このような三元共重合体は、公知のものであってもよく、例えば、三井・デユポンポリケミカル株式会社製の商品名「Elvaroy741」等であってもよい。
本実施形態に係る塩化ビニル系ストレッチ包装用フィルムは、上述した成分に加え、必要に応じて防曇剤、安定剤、滑剤等を適宜選択して配合することができる。
防曇剤としては、モノグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル及びポリオキシエチレンアルキルエーテルが挙げられる。モノグリセリン脂肪酸エステルは、好ましくは炭素原子数が12〜18の飽和又は不飽和脂肪酸のモノグリセリンエステルであり、具体的にはモノグリセリンラウレート、モノグリセリンミリステート、モノグリセリンパルミテート、モノグリセリンステアレート、モノグリセリンオレート、モノグリセリンリノレート等が挙げられる。ポリグリセリン脂肪酸エステルは、好ましくは炭素原子数が12〜18の飽和又は不飽和脂肪酸のポリグリセリンエステルであり、具体的にはポリグリセリンラウレート、ポリグリセリンミリステート、ポリグリセリンパルミテート、ポリグリセリンステアレート、ポリグリセリンオレート、ポリグリセリンリノレート等が挙げられる。ソルビタン脂肪酸エステルは、好ましくは炭素原子数が12〜18の飽和又は不飽和脂肪酸のソルビタンエステルがであり、具体的にはソルビタンラウレート、ソルビタンミリステート、ソルビタンパルミテート、ソルビタンステアレート、ソルビタンオレート、ソルビタンリノレート等が挙げられる。ポリオキシエチレンアルキルエーテルは、好ましくは炭素数が12〜18の飽和アルコールのポリオキシエチレンアルキルエーテル、より好ましくはエチレンオキサイドの付加モル数が3〜7であるポリオキシエチレンアルキルエーテルであり、具体的にはポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンミリスチルエーテル、ポリオキシエチレンパルミチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル等が挙げられる。
防曇剤は、更に好ましくはモノグリセリンラウレート、モノグリセリンオレート、モノグリセリンリノレート、ポリグリセリンラウレート、ポリグリセリンオレート、ポリグリセリンリノレート、ソルビタンラウレート、ソルビタンオレート、ソルビタンリノレート、及びポリオキシエチレンラウリルエーテルであり、これらは1種又は2種以上の組み合わせで使用してもよい。
安定剤としては、2−エチルヘキシル酸、炭素数8〜22の高級脂肪酸、クエン酸、グルコン酸、ソルビン酸、安息香酸、イソデカン酸、ネオデカン酸等のカルシウム塩類、及び2−エチルヘキシル酸、炭素数8〜22の高級脂肪酸、イソデカン酸、ネオデカン酸等の亜鉛塩類からなるCa−Zn系塩類が挙げられ、これらは1種又は2種以上の組み合わせで使用される。なお、上記の安定剤に対して安定化助剤として4,4’イソブチリデンビス−(3−メチル6−tert−ブチルフェニル−ジトリデシルホスファイト)等のリン系化合物、ステアロイルベンゾイルメタン(SBM)、デヒドロ酢酸等のβ−ジケトン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等のポリオール化合物、酸化防止剤、紫外線吸収剤等のポジティブリスト記載の化合物等を併用してもよい。助剤の各添加量は、塩化ビニル系樹脂100質量部に対して、好ましくは1質量部以下である。
滑剤としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸等の炭素数が8〜22の高級脂肪酸;12−ヒドロキシステアリン酸;ラウリン酸アミド、ステアリン酸アミド等の炭素数が8〜22の高級脂肪酸アミド;流動パラフィン、塩素化流動パラフィン、合成パラフィン等の脂肪族炭化水素;グリセリン、プロピレングリコール等のモノグリコール;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリグリコールが挙げられ、これらは1種又は2種以上の組み合わせで使用してもよい。滑剤の各添加量は、塩化ビニル系樹脂100質量部に対し、好ましくは1質量部以下である。
塩化ビニリデン系樹脂を用いた実施形態の具体例としては、例えば下記の(ニ)にかかる塩化ビニリデン系樹脂組成物を用いて製膜してなるストレッチ包装用フィルム(塩化ビニリデン系ストレッチ包装用フィルム)が挙げられる。
(ニ)塩化ビニリデン系樹脂、エポキシ化植物油、可塑剤、青色着色剤を含有する塩化ビニリデン系樹脂組成物。
(可塑剤)
可塑剤としては、本発明の効果を損なわない範囲であれば特に限定されないが、例えば、アセチルクエン酸トリブチル等のクエン酸エステル、セバシン酸ジブチル等のセバシン酸エステル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジオクチル等のフタル酸エステル、グリセリン、グリセリンエステル、ワックス、流動パラフィン、リン酸エステル等が挙げられる。可塑剤は、好ましくはクエン酸エステル及びセバシン酸エステル、より好ましくはクエン酸エステルである。このような可塑剤を用いると、塩化ビニリデン系ストレッチ包装用フィルムは、手触り感及び引出性がさらに向上する傾向にある。可塑剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
本実施形態の塩化ビニリデン系ストレッチ包装用フィルムにおいて、可塑剤の含有量は、塩化ビニリデン系樹脂組成物の全量基準で、1.0〜6.0質量%であることが好ましく、1.5〜5.5質量%であることがより好ましく、2.0〜5.0質量%であることがさらに好ましい。可塑剤の含有量が前記下限値以上であると、塩化ビニリデン系ストレッチ包装用フィルムは、低温下の密着性がさらに向上する傾向にある。また、可塑剤の含有量が前記上限値以下であると、塩化ビニリデン系ストレッチ包装用フィルムは、手触り感及び引出性がさらに向上する傾向にある。
(エポキシ化植物油)
エポキシ化植物油としては、本発明の効果を損なわない範囲であれば特に限定されず、例えば、エポキシ化大豆油、エポキシ化亜麻仁油、エポキシ化ひまし油、エポキシ化コーン油、エポキシ化菜種油、エポキシ化サフラワー油、エポキシ化ひまわり油、エポキシ化パーム油、エポキシ化綿実油、エポキシ化オリーブ油、エポキシ化ココアバター等が挙げられる。上述したエポキシ化植物油の中でも、エポキシ化大豆油及びエポキシ化亜麻仁油が好ましく用いられる。このようなエポキシ化植物油を用いると、熱劣化による着色が抑制でき、低温下の密着性がさらに向上する傾向にある。エポキシ化植物油は、1種単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
本実施形態の塩化ビニリデン系ストレッチ包装用フィルムにおいて、エポキシ化植物油の含有量は、塩化ビニリデン系樹脂組成物の全量基準で、0.5〜5.0質量%であることが好ましく、1.0〜3.0質量%であることがより好ましく、1.2〜2.5質量%であることがさらに好ましい。エポキシ化植物油の含有量が前記下限値以上であると、塩化ビニリデン系ストレッチ包装用フィルムは、熱劣化による着色を抑制でき、低温下の密着性がさらに向上する傾向にある。また、エポキシ化植物油の含有量が前記上限値以下であると、塩化ビニリデン系ストレッチ包装用フィルムは、手触り感及び引出性がさらに向上する傾向にある。
(可塑剤及びエポキシ化植物油の合計含有量)
本実施形態の塩化ビニリデン系ストレッチ包装用フィルムにおいて、エポキシ化植物油及び可塑剤の合計含有量は、塩化ビニリデン系樹脂組成物の全量基準で、3.0〜11.0質量%であることが好ましく、3.5〜8.5質量%であることがより好ましく、4.0〜7.5質量%であることがさらに好ましい。
本実施形態の塩化ビニリデン系ストレッチ包装用フィルムにおいて、エポキシ化植物油及び可塑剤の各々の含有量を上記範囲内とし、かつ、エポキシ化植物油及び可塑剤の合計含有量を上記範囲内とすることが好ましい。エポキシ化植物油及び可塑剤の各々の含有量、並びにエポキシ化植物油及び可塑剤の合計含有量を上述した範囲内で適宜調整することにより、得られる塩化ビニリデン系ストレッチ包装用フィルムは、60℃で3週間保管した後のオリゴマーのフィルム表面へのブリードアウト量を上述した範囲内に制御することができる。このように60℃で3週間保管したのちのオリゴマーのフィルム表面へのブリードアウト量を上述した範囲内に制御した塩化ビニリデン系ストレッチ包装用フィルムは、通常熱履歴による使用環境下での良好な密着性や引出性を発現する。
(塩化ビニリデン系樹脂)
本実施形態において、塩化ビニリデン系樹脂は、塩化ビニリデン単位を含む樹脂であれば特に限定されないが、好ましくは塩化ビニリデン単位以外に、塩化ビニリデン単量体と共重合可能な単量体単位をさらに含む樹脂である。塩化ビニリデン単量体と共重合可能な単量体としては、特に限定されないが、例えば、塩化ビニル、メチルアクリレート、ブチルアクリレート等のアクリル酸エステル;メチルメタアクリレート、ブチルメタアクリレート等のメタアクリル酸エステル;アクリロニトリル;酢酸ビニルが挙げられる。これらの単量体は、1種単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。さらに塩化ビニリデン系樹脂共重合体は、1種単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
本実施形態において、塩化ビニリデン系樹脂の重量平均分子量は、好ましくは7.5万〜9.5万、より好ましくは8.0万〜9.0万である。重量平均分子量が上記範囲にあると、エポキシ化植物油との親和性が増加する。その結果、塩化ビニリデン系樹脂を用いたストレッチ包装用フィルムは、長期間高温下で保管した場合であっても、エポキシ化植物油のブリードアウトを適度に抑制することができるため、手触り感及び引出性がより一層優れる傾向にある。
重量平均分子量が上記範囲にある塩化ビニリデン系樹脂は、例えば、塩化ビニリデンモノマーと塩化ビニルモノマーの仕込み比率や、重合開始剤の量、又は重合温度を制御することにより得ることができる。
なお、本実施形態において、塩化ビニリデン系樹脂の重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定することができる。
塩化ビニリデン系樹脂を用いたストレッチ包装用フィルムにおいて、塩化ビニリデン系樹脂の含有量は、塩化ビニリデン系樹脂組成物の全量基準で、92.0〜95.5質量%であることが好ましく、92.5〜94.0質量%であることがより好ましい。塩化ビニリデン系樹脂の含有量が前記範囲内であると、塩化ビニリデン系樹脂を用いたストレッチ包装用フィルムは、溶融押出成形時の加工性に優れる傾向にある。
本実施形態に用いる塩化ビニリデン系樹脂において、塩化ビニリデン単位の含有量が72〜93mol%であることが好ましく、81〜90mol%であることがより好ましい。塩化ビニリデン単位の含有量が前記範囲内である塩化ビニリデン系樹脂は、エポキシ化植物油との親和性が増加する。その結果、塩化ビニリデン系ストレッチ包装用フィルムは、エポキシ化植物油のブリードアウトを適度に抑制することができるため、ストレッチ包装用フィルムとした場合の手触り感及び引出性がより一層優れる傾向にある。
なお、本実施形態において、塩化ビニリデン単位の含有量は、核磁気共鳴(NMR)装置により測定することができる。
(その他の添加剤)
本実施形態に係る塩化ビニリデン系ストレッチ包装用フィルムは、本発明の効果を損なわない範囲であれば、その他の添加剤を含有させてもよい。その他の添加剤としては、特に限定されないが、例えば、上述のエポキシ化植物油以外の安定剤、耐候性向上剤、着色剤(染料、顔料等)、防曇剤、抗菌剤、滑剤、核剤等が挙げられる。これらの添加剤は1種単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
上述のエポキシ化植物油以外の安定剤としては、特に限定されないが、例えば、2,5−t−ブチルハイドロキノン、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、4,4’−チオビス−(6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)ブロピオネート、及び4,4’−チオビス−(6−t−ブチルフェノール)等の酸化防止剤;ラウリン酸塩、ミリスチン酸塩、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩、イソステアリン酸塩、オレイン酸塩、リシノール酸塩、2−エチル−ヘキシル酸塩、イソデカン酸塩、ネオデカン酸塩、及び安息香酸カルシウム等の熱安定剤等が挙げられる。
耐候性向上剤としては、特に限定されないが、例えば、エチレン−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレート、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾリトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)5−クロロベンゾトリアゾール、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、及び2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン等の紫外線吸収剤等が挙げられる。
着色剤としては、特に限定されないが、例えば、カーボンブラック、フタロシアニン、キナクリドン、インドリン、アゾ系顔料、ベンガラ等が挙げられる。
防曇剤としては、特に限定されないが、例えば、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸アルコールエーテル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等が挙げられる。
抗菌剤としては、特に限定されないが、例えば、銀系無機抗菌剤等が挙げられる。
滑剤としては、特に限定されないが、例えば、エチレンビスステロアミド、ブチルステアレート、ポリエチレンワックス、パラフィンワックス、カルナバワックス、ミリスチン酸ミリスチル、ステアリン酸ステアリル等の脂肪酸炭化水素系滑剤、高級脂肪酸滑剤、脂肪酸アミド系滑剤、脂肪酸エステル滑剤等が挙げられる。
核剤としては、特に限定されないが、例えば、リン酸エステル金属塩等が挙げられる。
<フィルム物性>
以上説明した各実施形態におけるフィルムは、以下で説明するような物性を有していてよい。
(貯蔵弾性率E’)
本実施形態に係るフィルムの20℃における貯蔵弾性率E’は、好ましくは500MPaより大きい。また、上記貯蔵弾性率E’は、好ましくは1000MPa以下、より好ましくは800MPa以下、更に好ましくは600MPa以下である。20℃における貯蔵弾性率E’が500MPaより大きいと、室温において、フィルム同士の密着による作業性の悪化が起こりにくい。また、上記貯蔵弾性率E’1000MPa以下であると、フィルムが硬すぎることがなく、ポリ塩化ビニル系フィルムと同等の低張力及び柔軟性を有するため、自動包装機で包装しやすくなる。
(正接損失tanδ)
本実施形態に係るフィルムの正接損失tanδは、20℃において、好ましくは0.15以上、より好ましくは0.18以上、更に好ましくは0.20以上である。上記正接損失tanδは、20℃において、好ましくは0.50以下、より好ましくは0.40以下である。20℃における正接損失tanδが上記範囲であると、常温から低温の環境下においてストレッチ包装用フィルムとして良好な包装適性が得られる。特に、20℃における正接損失tanδが0.15以上であると、常温におけるフィルムの応力緩和性が大きく、底折り込み性が安定する。
本実施形態に係るフィルムの正接損失tanδは、0℃において、好ましくは0.10以上、より好ましくは0.11以上、更に好ましくは0.12以上である。上記正接損失tanδは、0℃において、好ましくは0.30以下、より好ましくは0.20以下である。0℃における正接損失tanδが0.10以上であると、低温下においてもフィルム応力緩和性を発揮でき、底折り込み性が安定する。
正接損失tanδのピーク値は、力が加わった場合の変形の遅れを示す物性であり、応力緩和挙動を示すパラメータの一つである。すなわち、正接損失の値が小さいと応力緩和が速く、フィルムの変形に対する復元挙動が瞬間的に起こり、逆に正接損失の値が大きいと応力緩和が遅く、フィルムの変形に対する復元挙動が遅くなる。
本実施形態に係るフィルムの正接損失tanδのピーク値が0.2以上であると、フィルムの変形に対する復元挙動が瞬間的に起こることがないから、例えばフィルムを伸ばしてオーバーラップする場合に伸ばす力を取り除いた瞬間に元に戻ってしまうことがなく、皺なく綺麗に包装することができる。他方、0.8以下であると、復元挙動が遅過ぎることがないため、普通に使っている分には塑性的な変形を示すことがない。
本実施形態に係るフィルムの正接損失tanδは、表面層と中間層を構成する樹脂の種類や層の厚比により調整される。中間層の中間層用樹脂(B)と、ビニル芳香族系エラストマー(C)と石油樹脂等(D)の合計量((C)+(D))との質量配合比は、好ましくは80:20〜50:50、より好ましくは75:25〜55:45である。
貯蔵弾性率E’、及び正接損失tanδは、JIS K 7244に基づき、動的粘弾性測定法により、振動周波数10Hz、歪み0.1%の条件で測定できる。
(引張応力)
本実施形態に係るフィルムの横方向(TD)の100%伸び引張応力は、ストレッチ包装用フィルムとして、好ましくは3.9MPa以上13.7MPa未満、より好ましくは4.9MPa以上8.8MPa未満である。
引張応力は、JIS K 7161に準じて、温度20℃、引張速度200mm/分の条件で引張試験を行って測定できる。
(最大吸収波長)
本実施形態に係るフィルムの可視光領域(380〜750nm)中における最大吸収波長は、好ましくは600〜750nmである。上記最大吸収波長が上記範囲にないと、フィルムの色が青色ではなくなり、その結果、食品にも存在する色になるため、目視判断ができなくなり、好ましくない。例えば、最大吸収波長が波長600nm未満であると、フィルムの色が紫色又は赤色になる。
本実施形態に係るフィルムの最大吸収波長における吸光度は、波長470nmにおける吸光度の2倍以上であってもよく、好ましくは3倍以上である。最大吸収波長における吸光度が2倍未満であると、フィルムの色が薄くなる。
(水蒸気透過率)
本実施形態に係るフィルムの40℃における水蒸気透過率は、包装された食品の鮮度保持と乾燥抑制の観点から、好ましくは25g/m/day以下、より好ましくは20g/m/day以下である。
水蒸気透過率は、例えば、中間層用樹脂(B)の組成、結晶核剤(E)の添加等の方法で、中間層の結晶化ピーク温度を高温にすることで、低減できる。
水蒸気透過率は、JIS K7129Bに準じて、40℃、90%RH(relative humidity、相対湿度)の雰囲気下で測定できる。
<フィルム製造方法>
本実施形態に係るフィルムは、公知の製法により製造できる。例えば、押出機から原材料を溶融押出し、インフレーション成形又はTダイ成形により、フィルム状に成形して製造でき、複数の押出機を用いて多層ダイにより共押出するのが好ましい。
実用的には、環状ダイから材料樹脂を溶融押出してインフレーション成形する方法が用いられ、その際のブローアップ比(チューブ径/ダイ径)は好ましくは3以上、より好ましくは4以上10以下である。その際の冷却方法としては、チューブの外面から冷却する方法、又はチューブの内外両面から冷却する方法のどちらでもよい。さらに、得られたフィルムを結晶化温度以下に加熱し、ニップロール間の速度差を利用してフィルムの縦方向に1.2倍以上5倍以下程度に延伸、又はフィルムの縦横方向に1.2倍以上5倍以下程度に二軸延伸してもよい。これにより、カット性の改良や熱収縮性の付与などを行うことができる。
本実施形態に係るフィルムの製造方法は、例えば、次のようなものであってよい。まず、各層の構成原料が混合組成物である場合には、あらかじめ各層の構成原料を混合しておき、必要に応じてペレット化しておくことが好ましい。この際の混合方法としては、例えば、あらかじめ同方向2軸押出機、ニーダー、ヘンシェルミキサー等を用いてプレコンパウンドしてもよく、各原料をドライブレンドして直接フィルム押出機に投入してもよい。いずれの混合方法においても、原料の分解による分子量の低下を考慮する必要があるが、均一に混合させるためにはプレコンパウンドすることが好ましい。
なお、各層の構成原料については上記で説明したとおりであるが、接着層形成樹脂の原料には、ストレッチ包装用フィルムのトリミングロスに酸変性ポリエチレン樹脂を加えるなど成分調整して得られたペレットを用いることが可能である。
次に、各層の構成原料を、それぞれ別々の押出機に投入して溶融押出し、Tダイ成形又はインフレーション成形により共押出して積層してもよい。この際、実用的にはTダイより押出した溶融物をそのまま、キャスティングロールなどで急冷しながら引き取るようにしてフィルムを製膜することが好ましい。
フィルムの耐熱性やカット性を重視する場合には、溶融押出シートを冷却ロールによって冷却固化した後、樹脂の結晶化温度以下に加熱し、ニップロール間の速度差を利用してフィルムの縦方向に1.2〜5.0倍延伸する縦延伸、又はフィルムの横方向に1.2〜5.0倍延伸するテンター延伸法を採用することが好ましい。
また、本発明の効果を損なわない範囲で、逐次二軸延伸法及び、同時二軸延伸するフラット延伸法を採用してもよい。
押出シートの延伸温度は、70〜115℃の範囲に設定とすることが好ましく、90〜110℃の範囲とすることがより好ましい。延伸温度が上記範囲内であれば、中間層形成組成物と、表面層の植物由来ポリエチレン樹脂の両方を延伸に好適な弾性率に近づけることができる。また、延伸倍率は1.2〜5.0倍の範囲内とすることが好ましく、1.5〜3.0倍の範囲とすることがより好ましい。延伸倍率が上記範囲内であれば、押出シートの破断や白化等のトラブルが生じることなくカット性を向上させることができる。
また、生産性及び経済性を重視する場合には、環状ダイから材料樹脂を溶融押出してインフレーション成形することが好ましい。その際の冷却方法としては、チューブの外面から冷却する方法、又はチューブの外面及び内面の両面から冷却する方法であってよい。
このようにして得られたフィルムは、熱収縮率や自然収縮率の軽減、幅収縮の発生の抑制等の目的に応じて、必要に応じて加熱ロール間での縦延伸、各種の熱固定、エージング等の熱処理を行うようにしてもよい。
熱処理条件として、熱処理温度は40〜100℃の範囲に設定することが好ましく、さ60〜90℃の範囲とすることがより好ましい。熱処理温度が40℃以上であると、熱処理の効果を十分に得ることができ、100℃以下であると、フィルムがロールにべたつく等の成形性の問題を生じることがない。
また、防曇性、帯電防止性、粘着性等を付与又は促進させる目的で、コロナ処理、熟成等の処理、又は、印刷、コーティング等の表面処理若しくは表面加工を行ってもよい。
得られたフィルムは、両端をトリミングした後、目的の幅にスリットして製品化することができる。
本実施形態に係るフィルムの柔軟性は、JIS Z1702に準じて温度20℃、引張速度200mm/分で引張試験を行って測定されるフィルム横方向(TD)の100%伸び引張応力が40〜140kgf/cm2であることが好ましく、50〜130kgf/cm2であることがより好ましい。
上記の各物性は、中間層に使用する各成分の配合比率を適宜調整することによって達成することができる。例えば、樹脂(C)の配合比率を10〜40質量%にすること、中間層に使用する樹脂(B)成分の示差走査熱量計(DSC)にて10℃/分の降温速度で測定したときの結晶化熱量(ΔHc)を10〜60J/gとすること等によって達成することができる。
本実施形態に係るフィルムの曇り度は、フィルム厚み(μm)に対するJIS−K7105に準じて測定した光線透過率(%)の比、すなわち光線透過率(%)/フィルム厚み(μm)が0.1%/μm以下であることが好ましく、0.07%/μm以下であることがより好ましい。光線透過率(%)/フィルム厚み(μm)が0.1以上であるとフィルム全体の曇り度が上昇し、ストレッチ包装用フィルムとしては好適ではない。
上記の各物性は、中間層に使用するプロピレン系樹脂(B)成分の示差走査熱量計(DSC)にて10℃/分の降温速度で測定したときの結晶化熱量(ΔHc)が10〜60J/gであることによって達成することができる。
また、一般的に「シート」とは、JISにおける定義上、薄く、一般にその厚さが長さと幅のわりには小さく平らな製品をいい、一般的に「フィルム」とは、長さ及び幅に比べて厚さが極めて小さく、最大厚さが任意に限定されている薄い平らな製品で、通常、ロールの形で供給されるものをいう(日本工業規格JISK6900)。例えば、厚さの観点から、狭義では100μm以上のものをシートと称し、100μm未満のものをフィルムと称すことがある。しかし、シートとフィルムの境界は定かでなく、本明細書において文言上両者を区別する必要がないので、本発明においては、「フィルム」と称する場合でも「シート」を含むものとし、「シート」と称する場合でも「フィルム」を含むものとする。
以下に、本発明を実施例でさらに詳しく説明するが、これらにより本発明は何ら制限を受けるものではない。フィルムの押出機からの流れ方向を縦方向(MD)、その直角方向を横方向(TD)と呼ぶ。
<測定・評価方法>
原材料、フィルムの測定及び評価は次のようにして行い、結果を表1に示した。
(1)結晶化ピーク温度Tc(単位℃)、結晶化熱量ΔHc(単位J/g)
JIS K 7121、JIS K 7122に基づき、パーキンエルマー社製DSC−7を用いて測定した。
(2)メルトフローレートMFR(単位g/10分)
JIS K 7210に基づき、エチレン系樹脂は、温度190℃、荷重21.18Nの条件で測定した。また、ビニル芳香族系エラストマー及びプロピレン系樹脂は、温度230℃、荷重21.18Nの条件で測定した。
(3)貯蔵弾性率E'、正接損失tanδ
JIS K 7244に基づき、アイティー計測制御株式会社製動的粘弾性測定装置DVA−200を用い、フィルム横方向について、振動周波数10Hz、歪み0.1%、昇温速度1℃/分で−100℃から200℃まで測定し、得られたデータから、20℃での貯蔵弾性率E’と、0℃及び20℃での正接損失tanδを得た。
(4)引張応力(単位MPa)
JIS K 7161に準じて、温度20℃、引張速度200mm/分の条件で引張試験を行い、フィルム横方向の100%伸び引張応力(MPa)を測定し、下記の基準でフィルムの柔軟性を評価した。
◎; 4.9以上8.8未満
○; 3.9以上4.9未満、又は8.8以上13.7未満
×; 3.9未満、又は13.7以上
(5)水蒸気透過率(単位g/m/day)
JIS K 7129Bに基づき、MOCON社製PERMATRAN W 3/31を用いて、40℃90%RH条件下で測定した。
(6)包装機適性
各実施例で得られたフィルム(幅350mm)を用い、自動包装機(株式会社イシダ製ISHIDA・Wmini−UNI)により、発泡ポリスチレン樹脂トレー(長さ330mm、幅230mm、高さ38mm)を連続500パック包装し、次の基準で評価した。
(6)−1 カット
◎; 美麗にカットできる。
○; カット面が一直線にならないものがあるが、カットできる。
△; カットし難く、自動包装機内でフィルム搬送が不安定となる。
×; カットが出来ない。
(6)−2 包装皺(包装したトレー上面の皺)
◎; 皴が発生しない。
○; 皺の面積がフィルム面積の30%未満。
△; 皺の面積がフィルム面積の30%以上。
×; 皺がフィルムのほぼ全面に発生する。
(6)−3 底折り込み安定
◎; 綺麗に折り畳め、ごわつきや剥がれがない。
○; ほぼ良好に折り込めるが、一部ごわつきがある。
△; 少し剥がれが発生する。
×; フィルムが折り畳まらず、団子状になる。
(6)−4 ちぎれ
◎; フィルムちぎれ片が発生しない。
○; フィルムちぎれ片の発生数が4個以下。
△; フィルムちぎれ片の発生数が5個以上29個以下。
×; フィルムちぎれ片の発生数が30個以上。
(7)最大吸収波長
日立ハイテクノロジーズ社製分光光度計(型式:U−4000)にてフィルム1枚での380〜750nmの吸光度を測定した。得られたスペクトルから最大吸収波長(λmax)を求めた。
(8)全光線透過率
日本電色工業社製ヘーズメーター(型式:NDH5000)にて、JISK7361−1に準じて全透過光量を測定し、
全光線透過率=(全透過光量)/(入射光量)×100 として算出した。
(9)破片判別容易性
各実施例で得られたフィルムの破片を食品に混入させ、当該フィルムの破片が目視で判別できるかを、次の基準で評価した。
○; 容易に判別できる。
×; 容易に判別できない。
<原材料>
実施例に用いた原材料は、次の通りである。
・エチレン系樹脂(A1);
エチレン−酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル含有量15質量%、MFR2.0g/10分
・防曇剤(1);
ジグリセリンオレート
・エチレン系樹脂(B1);
低密度ポリエチレン、Tc=95.0℃、ΔHc=121.1J/g、MFR=1.5g/10分、Mw/Mn=4.1
・エチレン系樹脂(B2);
エチレン−ヘキセン−オクテン共重合体、質量組成比エチレン:ヘキセン−1:オクテン−1=96:3:1、Tc=110.4℃、ΔHc=156.9J/g、MFR=3.5g/10分、Mw/Mn=3.4
・エチレン系樹脂(B3);
エチレン−ヘキセン−オクテン共重合体、質量組成比エチレン:ヘキセン−1:オクテン−1=97:1:2、Tc=110.6℃、ΔHc=166.1J/g、MFR=4.0g/10分、Mw/Mn=3.1
・ビニル芳香族系エラストマー(C1);
スチレン−イソブチレン−スチレンブロック共重合体、MFR6.0g/10分
・石油樹脂等(D1);
荒川化学工業株式会社製水素添加石油樹脂「アルコンP125」、軟化温度125℃
・結晶核剤(E1);
ステアリン酸亜鉛と1,2−シクロヘキサンジカルボン酸カルシウム塩、質量混合比34:66
・青色着色剤(F):
銅フタロシアニンを主成分とする着色剤を含んだカラーMB、東京インキ社製「PEX3170BLUE」
(実施例1)
両表面層の原材料構成は、エチレン系樹脂(A1)と防曇剤(1)とを質量比97:3で混合した。中間層の原材料構成は、エチレン系樹脂(B’)として、エチレン系樹脂(B1)とエチレン系樹脂(B2)を質量比65:35で混合し、ビニル芳香族系エラストマー(C1)と、粘着付与樹脂(D1)と、結晶核剤(E1)とを、(B)59.9質量部、(C1)20.0質量部、(D1)20.0質量部、(E1)0.1質量部、青色着色剤(F)10.0質量部となるように混合した。表面層と中間層を構成する原材料は、それぞれ混合及び溶融混練し、環状三層ダイを用い、190℃、ブローアップ比5.0で共押出インフレーション成形して、総厚12μm、各層厚2μm/8μm/2μmの3層共押出フィルムを得た。
(実施例2)
実施例1において、中間層のエチレン系樹脂(B2)をエチレン系樹脂(B3)に変更した以外は、同様にしてフィルムを得た。
Figure 2019119210
実施例1のフィルムは、動的粘弾性が良好であり、低張力で包装を実施する自動包装機に対しても高い適応性を示した。実施例2のフィルムは、実施例1のフィルムに比べて20℃の正接損失tanδが低いため、自動包装機での底折り込みにおいて、剥がれが少し発生したが、実用上は問題ない。
実施例1及び2のフィルムは、全光線透過率が低い(90%以下である)ため、光照射による劣化が軽減されることが示された。また、実施例1及び2のフィルムは、フィルムの破片が混入した場合であっても容易に判別できることが示された。
本発明のストレッチ包装用フィルムは、食品製造業及び販売業において、生鮮食品、惣菜等をオーバーラップした食品陳列等に利用できる。

Claims (16)

  1. 少なくとも3層から構成されるストレッチ包装用フィルムであって、
    表面層用樹脂を含有する表面層2層と、前記表面層2層の間に設けられ、中間層用樹脂を含有する中間層と、を備え、
    青色着色剤を含有し、
    前記フィルムの正接損失tanδ(動的粘弾性測定法、振動周波数10Hz、歪み0.1%)が20℃で0.15以上である、ストレッチ包装用フィルム。
  2. 少なくとも3層から構成されるストレッチ包装用フィルムであって、
    表面層用樹脂を含有する表面層2層と、前記表面層2層の間に設けられ、中間層用樹脂を含有する中間層と、を備え、
    青色着色剤を含有し、
    前記表面層用樹脂がエチレン系樹脂を含む、ストレッチ包装用フィルム。
  3. 前記エチレン系樹脂がポリエチレンを含む、請求項2に記載のストレッチ包装用フィルム。
  4. 前記ポリエチレンの含有量が、前記表面層の全量基準で、50質量%以上である、請求項3に記載のストレッチ包装用フィルム。
  5. 前記中間層用樹脂がエチレン系樹脂、アミド系樹脂及びプロピレン系樹脂からなる群から選択される少なくとも一種を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載のストレッチ包装用フィルム。
  6. 前記中間層が前記青色着色剤を含有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載のストレッチ包装用フィルム。
  7. 前記中間層として、第1の中間層用樹脂を含有する第1の中間層と、第2の中間層用樹脂を含有する第2の中間層と、第3の中間層用樹脂を含有する第3の中間層とをこの順に備える、請求項1〜6のいずれか一項に記載のストレッチ包装用フィルム。
  8. 前記第1の中間層用樹脂及び前記第3の中間層用樹脂がエチレン系樹脂を含む、請求項7に記載のストレッチ包装用フィルム。
  9. 前記エチレン系樹脂がポリエチレンを含む、請求項8に記載のストレッチ包装用フィルム。
  10. 前記ポリエチレンの含有量が、前記第1の中間層及び前記第3の中間層それぞれの全量基準で、5質量%以上である、請求項9に記載のストレッチ包装用フィルム。
  11. 前記第1の中間層及び前記第3の中間層が前記青色着色剤を含有する、請求項7〜10のいずれか一項に記載のストレッチ包装用フィルム。
  12. 前記第2の中間層用樹脂がアミド系樹脂を含む、請求項7〜11のいずれか一項に記載のストレッチ包装用フィルム。
  13. 前記アミド系樹脂が、ポリアミド6、ポリアミド6/66、ポリアミド6/12及びポリアミド6/66/12からなる群から選択される少なくとも一種を含む、請求項12に記載のストレッチ包装用フィルム。
  14. 前記アミド系樹脂の含有量が、前記第2の中間層の全量基準で、20質量%以上である、請求項12又は13に記載のストレッチ包装用フィルム。
  15. 横方向(TD)の100%伸び引張応力が、3.9MPa以上13.7MPa未満である、請求項1〜14のいずれか一項に記載のストレッチ包装用フィルム。
  16. 前記フィルムの正接損失tanδ(動的粘弾性測定法、振動周波数10Hz、歪み0.1%)が0℃で0.1以上である、請求項1〜15のいずれか一項に記載のストレッチ包装用フィルム。
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