JP2019114257A - タッチパネルシステム、タッチパネルペン用筆記性部材の選別方法、タッチパネルペン用筆記性部材、タッチパネル、表示装置及びタッチパネルペン - Google Patents

タッチパネルシステム、タッチパネルペン用筆記性部材の選別方法、タッチパネルペン用筆記性部材、タッチパネル、表示装置及びタッチパネルペン Download PDF

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周望 田谷
玄 古井
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玄 古井
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陽亮 高山
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Tomohiro Ogawa
智洋 小川
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Abstract

【課題】筆記感を良好にできるタッチパネルシステムの提供。【解決手段】タッチパネルシステムは、タッチパネルペン用筆記性部材10の表面に、JIS C9606:1993の「付属書4汚染布作成方法」に規定された汚染液を付着させ、汚染液を付着させたタッチパネルペン用筆記性部材を、汚染液を付着させた側の面が回転台座81とは反対側を向くように回転台座に固定する。回転台座に固定したタッチパネルペン用筆記性部材の表面に対して、回転台座の中心81cから40mmの位置に、タッチパネルペン200を90度の角度で接触させた状態で固定する。タッチパネルペンに重り82により荷重250gfをかけながら、回転台座を回転速度30rpmで1000回転させ、タッチパネルペン用筆記性部材とタッチパネルペンとの間を摺動させた際に、摺動により削れたタッチパネルペンのペン先の摩耗量が1.5×107μm3以上15×107μm3以下を示す。【選択図】図3

Description

本発明は、タッチパネルシステム、タッチパネルペン用筆記性部材の選別方法、タッチパネルペン用筆記性部材、タッチパネル、表示装置及びタッチパネルペンに関する。
近年、タッチパネルは多くの携帯情報端末に搭載されるようになったこともあり、流通量が増加している。タッチパネルの表面には、種々の目的のために表面保護シートが貼着される場合がある。
従来主流であった抵抗膜式タッチパネルは、指やペンで繰り返し打点するような操作を行うことから、表面保護シートには高度な耐擦傷性が求められていた。
一方、現在の主流である静電容量式タッチパネルの表面保護シートには、指で操作する際の滑り性が求められている。従来の抵抗膜式は、複数個所を同時に検知できないため、画面上で指を動かすことはなかったものの、静電容量式タッチパネルは、複数個所を同時に検知可能であり、画面上で指を動かす操作が多いためである。
また、抵抗膜式及び静電容量式に共通して、タッチパネル用の表面保護シートには、指で操作した際の指紋の付着を抑制したり、付着した指紋を拭取りやすくする性能が求められている。
上記のようなタッチパネル用の表面保護シートとしては、例えば、特許文献1〜2が提案されている。
特開2015−114939号公報 特開2014−109712号公報
静電容量式タッチパネルは、静電容量の変化を計測して触れた箇所を認識することから、接触物には一定の導電性が必要である。このため、静電容量式タッチパネルの出現当初は、指での操作性のみが検討されており、タッチパネルペンにより文字や絵を描くなどの筆記性は検討されていなかった。抵抗膜式タッチパネルにおいても、タッチパネルペンを用いた際の操作は打点が主流であり、文字や絵を描く際の筆記性は重視されていなかった。
しかし、静電容量式タッチパネルや電磁誘導型タッチパネルに入力可能なタッチパネルペンが提案され始めたこと、及び、タッチパネルペンによる文字入力や描画に対応したアプリケーションが増加してきたことから、タッチパネル用の表面保護シートには、タッチパネルペンでの良好な筆記感が求められるようになってきた。
しかしながら、従来提案された特許文献1〜2のタッチパネル用の表面保護シートは、タッチパネルペンでの筆記感について何ら検討していない。
また、タッチパネルペンでの筆記感は、タッチパネルペンとタッチパネル用の表面保護シートとの組み合わせ次第で変化すると考えられるが、これまで、両者を如何なる組み合わせにすれば筆記感を良好にできるかについて十分な検討がなされていなかった。
本発明は、筆記感を良好にすることができるタッチパネルシステム、タッチパネルペン用筆記性部材の選別方法、タッチパネルペン用筆記性部材、タッチパネル、表示装置及びタッチパネルペンを提供することを課題とする。
上記課題を解決すべく、本発明は、以下[1]〜[6]のタッチパネルシステム、タッチパネルペン用筆記性部材の選別方法、タッチパネルペン用筆記性部材、タッチパネル及び表示装置を提供する。
[1]表面にタッチパネルペン用筆記性部材を有するタッチパネルと、タッチパネルペンとからなるタッチパネルシステムであって、下記条件1を満たすタッチパネルシステム。
<条件1>
タッチパネルペン用筆記性部材の表面に、JIS C9606:1993の「付属書4 汚染布作成方法」に規定された汚染液を付着させる。汚染液を付着させたタッチパネルペン用筆記性部材を、汚染液を付着させた側の面が回転台座とは反対側を向くように回転台座に固定する。回転台座に固定したタッチパネルペン用筆記性部材の表面に対して、回転台座の中心から40mmの位置に、タッチパネルペンを90度の角度で接触させた状態で固定する。前記タッチパネルペンに荷重250gfをかけながら、前記回転台座を回転速度30rpmで1000回転させ、タッチパネルペン用筆記性部材とタッチパネルペンとの間を摺動させた際に、前記摺動によって削れたタッチパネルペンのペン先の摩耗量が1.5×10μm以上15×10μm以下を示す。
[2]上記条件1を満たすものをタッチパネルペン用筆記性部材として選別する、タッチパネルペン用筆記性部材の選別方法。
[3]上記条件1を満たす表面を有するタッチパネルペン用筆記性部材。
[4]表面に筆記性部材を有するタッチパネルであって、前記筆記性部材として、上記[3]に記載のタッチパネルペン用筆記性部材の上記条件1を満たす側の面がタッチパネルの表面を向くように配置してなるタッチパネル。
[5]表示素子上にタッチパネルを有する表示装置であって、前記タッチパネルが上記[4]に記載のタッチパネルである、タッチパネル付きの表示装置。
[6]ペン先を形成する組成物中に芳香族ポリイミドを含むタッチパネルペン。
本発明のタッチパネルシステム、タッチパネルペン用筆記性部材、タッチパネル、表示装置及びタッチパネルペンは、筆記感を良好にすることができる。また、本発明のタッチパネルペン用筆記性部材の選別方法は、タッチパネルペンによる筆記試験を行わなくても、筆記感が良好な筆記性部材を選別することができ、筆記性部材の製品設計、品質管理を効率よくすることができる。
本発明のタッチパネルペン用筆記性部材の一実施形態を示す断面図である。 本発明のタッチパネルペン用筆記性部材の他の実施形態を示す断面図である。 タッチパネルペン用筆記性部材とタッチパネルペンとの間を摺動させる試験を説明する図である。 タッチパネルペンのペン先の直径Dの算出方法を説明する図である。 平均傾斜角θaの算出方法を説明する図である。 本発明のタッチパネルの一実施形態を示す断面図である。 本発明のタッチパネルの他の実施形態を示す断面図である。 摩擦力の測定方法を説明する概略図である。 実施例において汚染液を滴下する場所を説明する概略図である。
以下、本発明のタッチパネルシステム、タッチパネルペン用筆記性部材の選別方法、タッチパネルペン用筆記性部材、タッチパネル及び表示装置の実施の形態を説明する。
[タッチパネルシステム]
本発明のタッチパネルシステムは、表面にタッチパネルペン用筆記性部材を有するタッチパネルと、タッチパネルペンとからなるタッチパネルシステムであって、下記条件1を満たすものである。
<条件1>
タッチパネルペン用筆記性部材の表面に、JIS C9606:1993の「付属書4 汚染布作成方法」に規定された汚染液を付着させる。汚染液を付着させたタッチパネルペン用筆記性部材を、汚染液を付着させた側の面が回転台座とは反対側を向くように回転台座に固定する。回転台座に固定したタッチパネルペン用筆記性部材の表面に対して、回転台座の中心から40mmの位置に、タッチパネルペンを90度の角度で接触させた状態で固定する。前記タッチパネルペンに荷重250gfをかけながら、前記回転台座を回転速度30rpmで1000回転させ、タッチパネルペン用筆記性部材とタッチパネルペンとの間を摺動させた際に、前記摺動によって削れたタッチパネルペンのペン先の摩耗量が1.5×10μm以上15×10μm以下を示す。
図1及び図2は、本発明のタッチパネルペン用筆記性部材10の一実施形態を示す断面図である。図1及び図2のタッチパネルペン用筆記性部材10は、基材1の一方の面に樹脂層2を有している。なお、図2の樹脂層2は、第一樹脂層2a、第二樹脂層2bの二層構造となっている。
本発明のタッチパネルペン用筆記性部材は、一方の表面が条件1を満たしていてもよいし、両方の表面が条件1を満たしていてもよい。
以下、タッチパネルペン用筆記性部材のことを「筆記性部材」、条件1を満たす表面のことを「筆記面」と称する場合がある。
<<条件1>>
本発明のタッチパネルシステムは、上記条件1を満たすものである。
まず、条件1の技術思想を説明する。
本発明者らは、良好な筆記感を検討するために、様々なタッチパネルペンおよび筆記性部材を用いて、摩擦力の測定等の検証を行った。その結果、摩擦力と筆記感との間にはある程度の関係はあるものの、摩擦力だけでは筆記感を適切に評価できない場合があった。
本発明者らは、筆記感を適切に評価する手法について鋭意研究した結果、筆記性部材とタッチパネルペンとの間を摺動させた際の、タッチパネルペンのペン先の摩耗量によって、筆記感を適切に評価し得ることを見出した。ペン先の摩耗量によって筆記感を適切に評価できる理由は、条件1の摩耗量と、紙に鉛筆で筆記する際に鉛筆の先端が削れる感覚とに一定の相関関係があるためと考えられる。
すなわち、条件1では、所定条件下でのペン先の摩耗量を規定することによって、筆記感が良好なタッチパネルペンと筆記性部材との組み合わせ(タッチパネルシステム)を規定している。
また、本発明では、条件1の試験において、筆記性部材の表面にJIS C9606:1993の「付属書4 汚染布作成方法」に規定された汚染液を付着させている。該汚染液は人工垢とも呼ばれ、人間の皮脂を再現したものである。タッチパネルはタッチパネルペンで操作することもあるが、操作の主体は人間の指であるため、筆記性部材の表面には人間の皮脂が付着しやすい。また、筆記性部材に皮脂が付着した場合、筆記性部材の表面を布帛等で拭いてきれいにするが、きれいに見える理由は皮脂が薄く均一に広がったためであって、皮脂が完全に取り除かれたためではない。皮脂を完全に取り除くためには、薬品等を用いない限り困難である。すなわち、条件1の試験は、皮脂の存在が前提となるタッチパネルの実用条件を再現したものである。
条件1では、所定条件下でのペン先の摩耗量が1.5×10μm以上15×10μm以下であることを規定している。ペン先の摩耗量が1.5×10μm未満の場合、鉛筆の先端が削れるような感覚を受けることができず、筆記感を良好にすることができない。また、ペン先の摩耗量が15×10μmを超える場合、ペン先が過度に削れるような感覚を受けることがあり、筆記感を良好にすることができない。なお、ペン先の摩耗量を15×10μm以下とすることは、タッチパネルペンの使用寿命を伸ばす点でも好ましい。
なお、筆記性部材に汚染液を付着させない状態でペン先の摩耗量を条件1の範囲としても、筆記感は必ずしも良好にすることはできない。すなわち、汚染液(≒人間の皮脂)は潤滑剤としても作用するため、汚染液が存在しない状態でペン先の摩耗量が条件1の範囲であったとしても、タッチパネルの実用条件(皮脂が存在する条件)では皮脂の潤滑作用によってペン先の摩耗量が減少し、鉛筆の先端が削れるような感覚を受けにくくなるためである。
条件1において、ペン先の摩耗量は1.6×10μm以上13×10μm以下であることが好ましく、1.7×10μm以上12×10μm以下であることがより好ましく、1.8×10μm以上10×10μm以下であることがさらに好ましい。
なお、本明細書において、ペン先のことを「タッチパネルペンの先端領域」と称する場合がある。
図3は、筆記性部材10とタッチパネルペン200との間を摺動させる試験を説明する図である。
図3では、筆記性部材10は回転台座81に固定されている。この際、筆記性部材10の汚染液を付着させた側の面が回転台座81とは反対側を向くように回転台座81に固定されている。言い換えると、筆記性部材10の汚染液を付着させた側の面がタッチパネルペン200側を向くようにして、筆記性部材10を回転台座81に固定している。
また、図3では、回転台座81に固定した筆記性部材10の表面に対して、回転台座の中心81cから40mmの位置に、タッチパネルペン200を90度の角度で接触させた状態で固定している。また、タッチパネルペン200を保持する保持具84上には、タッチパネルペンに250gfの荷重がかかるように重り82が設置されている。
図3に示す構造を有する装置としては、新東科学社製のトルク式摩擦抵抗測定器「HEIDON(登録商標) TYPE:20」が挙げられる。
条件1において、表面に汚染液(JIS C9606:1993の「付属書4 汚染布作成方法」に規定される汚染液)を付着させた筆記性部材は、筆記性部材の表面に汚染液を滴下し、汚染液の存在が視認されないように、布帛等を用いて薄く均一に塗り広げた状態をいう。
上述したように、筆記性部材の表面に付着した皮脂は、薬品等を用いない限り完全に除去することはできないが、薬品を用いずに布帛等で複数回ふき取れば皮脂が薄く均一に広がるため、人間の目には皮脂が残存しているようには見えず、きれいに見える。すなわち、条件1の表面に汚染液を付着させた筆記性部材とは、一般常識の範囲で筆記性部材の表面に汚染液を薄く均一に塗り広げた状態をいう。汚染液は、例えば、実施例の記載の手法により、筆記面の表面に薄く均一に塗り広げることができる。
なお、汚染液からなる皮膜は、およそ厚み50nm以下であれば人間の目には残存しているようには見えない。
汚染液を塗り広げる布帛等は特に限定されず、例えば、汎用のクリーンルーム用のポリエステル製のウエスを用いることができる。
なお、条件1の測定前に、筆記性部材やタッチパネルペンのペン先に油脂(例えば、人間の指等から転写した皮脂成分)が付着していると、条件1の摩耗量に影響を与える可能性がある。このため、条件1の測定前に、筆記性部材やタッチパネルペンのペン先に油脂が付着した場合には、筆記性部材及びタッチパネルペンのペン先の形状、物性に影響を与えない範囲で脱脂処理を行った後に摩耗量を測定することが好ましい。
また、タッチパネルペンが芯を出し入れするシャープペンシル型のである場合、条件1及び後述する条件2は芯を出して測定するものとする。すなわち、シャープペンシル型のタッチパネルペンのペン先は、芯により形成される。また、シャープペンシル型の場合、芯を0.7〜1.8mm出した状態(=ペン先の長さを0.7〜1.8mmとした状態)で測定することが好ましい。
芯の形状は、棒形状であるものであれば特に限定されない。芯の断面形状は、円及び多角形であることが好ましい。なお、断面形状が多角形の場合、各頂点が丸みを帯びていてもよい。
本発明のタッチパネルシステムは、下記条件2を満たすことが好ましい。
<条件2>
タッチパネルペン用筆記性部材の表面に対してタッチパネルペンを60度の角度で接触させた状態で固定し、前記タッチパネルペンに垂直荷重250gfをかけながら、前記タッチパネルペン用筆記性部材を14mm/秒の速度で片道40mmの長さを移動させた際の前記タッチパネルペンにかかる前記移動方向の動摩擦力f[gf]を1m秒間隔で測定する。1m秒ごとの動摩擦力の平均が25gf以上75gf以下。
動摩擦力の平均を25gf以上とすることにより、筆記時に滑る感覚を抑制し、筆記感をより良好にすることができる。また、動摩擦力の平均を75gf以下とすることにより、タッチパネルペンのペン先が過度に摩耗することを抑制しやすくできる。
なお、本明細書において、動摩擦力の平均は、筆記性部材の移動が開始してから1m秒〜2850m秒の動摩擦力を平均したものである。
<タッチパネルペン>
タッチパネルシステムを構成するタッチパネルペンは条件1を満たす限り特に限定されないが、下記の実施形態のものが好ましい。
タッチパネルペンは、ペン先の直径が0.3〜2.5mmであることが好ましく、0.5〜2.0mmであることがより好ましく、0.6〜1.5mmであることがさらに好ましい。ペン先の形状は、図4(a)及び(b)のように略半球状であることが好ましい。
ペン先の直径Dは、ペン軸に対して垂直方向側からタッチパネルペンを撮像した写真を基準として算出する。図4は、ペン軸に対して垂直方向側からタッチパネルペンを撮像した際のタッチパネルペンの外形を点線で表示したものである。図4(a)に示すように、該写真に対して、該写真の頂点を通り、かつ該写真からはみ出ない円を重ね合わせた際に、最大となる円の直径をペン先の直径Dとする。ただし、図4(b)に示すように、該写真が斜面を有し、かつ該斜面のペン軸に対する角度が40〜90度であれば、該斜面をはみ出して該円を重ね合わせてもよい。
タッチパネルペンの先端領域(ペン先)を形成する組成物は、所定量の樹脂を含むことが好ましい。具体的には、該組成物中の樹脂の含有割合は、15質量%以上であることが好ましく、より好ましくは30質量%以上、さらに好ましくは50質量%以上、よりさらに好ましくは70質量%以上、特に好ましくは90質量%以上である。
タッチパネルペンの先端領域を形成する組成物を顔料及びガラス等の無機物とすると、ペン先が削れにくくなるため条件1を満たし難くなり、また、無機物の硬さに起因して筆記性部材に筆記の痕跡が残りやすくなる。また、タッチパネルペンの先端領域を形成する組成物に樹脂を含んでいても割合が少ない場合は、前述した無機物による悪影響が生じたり、ペン先の固形分全体の結着性が低下してペン先が過度に削れたりする場合がある。このため、タッチパネルペンの先端領域は所定量の樹脂を含むことが好ましい。
また、平均粒子径が5.0μm以上の大きな無機粒子は、ペン先の削れを助長する傾向がある。このため、タッチパネルペンの先端領域を形成する組成物が無機粒子を含む場合、無機粒子の平均粒子径は5.0μm未満であることが好ましい。
なお、タッチパネルペンの先端領域(ペン先)とは、タッチパネルペンの最先端と同一素材及び同一色で一体形成されている部位のことをいう。上述したように、シャープペンシル型のタッチパネルペンの場合は、芯がペン先を形成する。シャープペンシル型の場合、先端領域(ペン先)の長さは、タッチパネルペンの最先端から0.7〜1.8mmであることが好ましい。また、シャープペンシル型以外のタッチパネルペンの場合、タッチパネルペンの最先端から少なくとも1.8mm(好ましくは0.7〜1.5mm)の領域を先端領域(ペン先)として、該領域を上述した特定の組成及び後述する特定の物性とすることが好ましい(もちろん、タッチパネルペン全体を、上述した特定の組成及び後述する特定の物性とすることも好ましい。)。
タッチパネルペンの先端領域を構成する組成物は、23℃の曲げ弾性率が2.3GPa以上であることが好ましく、2.5GPa以上であることがより好ましく、3.0GPa以上であることがさらに好ましい。該組成物の23℃の曲げ弾性率を2.3GPa以上とすることにより、ペン先の摩耗量が増えすぎることを抑制し、条件1を満たしやすくできる。
一方、タッチパネルペンの先端領域を構成する組成物の23℃の曲げ弾性率が大きすぎる場合、ペン先が硬くなり、筆記性部材に筆記の痕跡が残りやすくなる。また、該組成物の23℃の曲げ弾性率が大きすぎる場合、ペン先が摩耗しにくくなり、条件1を満たし難くなる場合がある。このため、該組成物の23℃の曲げ弾性率は7.5GPa以下であることが好ましく、5.0GPa以下であることがより好ましく、3.5GPa以下であることがさらに好ましい。
タッチパネルペンの先端領域を構成する樹脂は、ガラス転移温度が80℃以上であることが好ましく、100℃以上であることがより好ましく150℃以上であることがさらに好ましい。該樹脂のガラス転移温度を80℃以上とすることにより、筆記時の摩擦熱によってタッチパネルペンのペン先の強度が弱くなることを抑制し、過度な摩耗が抑制され、条件1を満たしやすくできる。
なお、本明細書において、ガラス転移温度がAA℃以上とは、ガラス転移温度がAA℃以上の樹脂の他、ガラス転移温度が観測されない樹脂を含むものとする。
タッチパネルペンの先端領域を構成する樹脂の具体例としては、ポリアセタール、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ナイロン、メラミン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリウレタン等の一種又は二種以上が挙げられる。これらの中でも曲げ弾性率を上述した範囲にしやすくする観点からポリイミドが好ましく、ポリイミドの中でも芳香族ポリイミドが好ましい。
また、タッチパネルペンの先端領域を構成する組成物は、樹脂のバルクであってもよいが、平均粒子径5.0μm未満の無機粒子を含むものであってもよい。平均粒子径は5.0μm未満の無機粒子は組成物の曲げ弾性率を高める役割を有し、さらに、平均粒子径が5.0μm未満であれば、ペン先が適度に削れ、筆記感を良好にしやすくできる。なお、平均粒子径が5.0μm以上の大きな無機粒子はペン先の削れを助長する傾向があることからも、無機粒子の平均粒子径は5.0μm未満であることが好ましい。また、タッチパネルペンの先端領域を構成する組成物を構成する樹脂は、ペン先が過度に削れにくくするために、単一樹脂の場合は結晶構造が均一に形成されてなることが好ましく、混合樹脂の場合は各樹脂が均一に相溶されてなることが好ましい。
無機粒子の平均粒子径は、0.05〜5.0μmであることがより好ましく、0.1〜1.0μmであることがさらに好ましい。
無機粒子を構成する無機物は特に限定されないが、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア等の無機酸化物が好適である。
タッチパネルペンの先端領域を構成する組成物中の無機粒子の含有割合は、50質量%以下であることが好ましく、0.5〜30質量%であることがより好ましく、1〜20質量%であることがさらに好ましく、2〜15質量%であることがよりさらに好ましい。
タッチパネルペンの先端領域を構成する組成物が平均粒子径5.0μm未満の無機粒子を含む場合、該組成物の残部の主成分は樹脂であり、その種類は特に限定されない。該樹脂としては、ポリアセタール、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ナイロン、メラミン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリウレタン等が挙げられる。
<タッチパネル>
タッチパネルシステムを構成するタッチパネルは、表面にタッチパネルペン用筆記性部材を有するものである。
タッチパネルとしては、抵抗膜式タッチパネル、静電容量式タッチパネル、インセルタッチパネル、光学式タッチパネル、超音波式タッチパネル及び電磁誘導式タッチパネル等が挙げられる。
抵抗膜式タッチパネル100は、図6に示すように、導電膜30を有する上下一対の透明基板20の導電膜30同士が対向するようにスペーサー40を介して配置されてなる基本構成に、図示しない回路が接続されてなるものである。
抵抗膜式タッチパネルの場合、例えば、上部透明基板20として筆記性部材10を用い、該筆記性部材10の条件1を満たす側の面がタッチパネル100の表面を向くようにして用いる構成が挙げられる。また、図示しないが、抵抗膜式タッチパネルは、上部透明基板上に、筆記性部材を、条件1を満たす側の面が表面を向くようにして貼り合わせた構成や、上部透明基板上に、筆記性部材を、条件1を満たす側の面が表面を向くようにして載置し、フレーム等で固定した構成であってもよい。
静電容量式タッチパネルは、表面型及び投影型等が挙げられ、投影型が多く用いられている。投影型の静電容量式タッチパネルは、X軸電極と、該X軸電極と直交するY軸電極とを絶縁体を介して配置した基本構成に、回路が接続されてなるものである。該基本構成をより具体的に説明すると、1枚の透明基板上の別々の面にX軸電極及びY軸電極を形成する態様、透明基板上にX軸電極、絶縁体層、Y軸電極をこの順で形成する態様、図7に示すように、透明基板20上にX軸電極50を形成し、別の透明基板20上にY軸電極60を形成し、接着剤層等の絶縁体層70を介して積層する態様等が挙げられる。また、これら基本態様に、さらに別の透明基板を積層する態様が挙げられる。
静電容量式タッチパネルの場合、例えば、表面側の透明基板20として筆記性部材10を用い、該筆記性部材10の条件1を満たす側の面がタッチパネル100の表面を向くようにして用いる構成が挙げられる。また、図示しないが、静電容量式タッチパネルは、表面側の透明基板上に、筆記性部材を、条件1を満たす側の面が表面を向くようにして貼り合わせた構成や、表面側の透明基板上に、筆記性部材を、条件1を満たす側の面が表面を向くようにして載置し、フレーム等で固定した構成であってもよい。
電磁誘導式タッチパネルは、磁界を発生する専用ペンを用いるタッチパネルである。電磁誘導式タッチパネルは、ペンから生じる電磁エネルギーを検出するセンサー部を少なくとも有し、さらにセンサー部上に透明基板を有する。該透明基板は多層構成であってもよい。
電磁誘導式タッチパネルの場合、例えば、センサー部上に位置する透明基板のうち、最表面の透明基板として、筆記性部材を用い、該筆記性部材の条件1を満たす側の面がタッチパネルの表面を向くようにして用いる構成が挙げられる。あるいは、電磁誘導式タッチパネルの場合、センサー部上に位置する透明基板のうち、最表面の透明基板上に、筆記性部材を、条件1を満たす側の面が表面を向くようにして貼り合わせた構成や、該最表面の透明基板上に、筆記性部材を、条件1を満たす側の面が表面を向くようにして載置し、フレーム等で固定した構成であってもよい。
インセルタッチパネルは、2枚のガラス基板に液晶を挟んでなる液晶素子の内部に、抵抗膜式、静電容量式、光学式等のタッチパネル機能を組み込んだものである。
インセルタッチパネルの場合、表面側のガラス基板上に、筆記性部材の条件1を満たす側の面がタッチパネルの表面を向くように配置して用いる。なお、インセルタッチパネルの表面側のガラス基板と、筆記性部材との間には、偏光板等の他の層を有していてもよい。
<筆記性部材>
タッチパネルの表面に位置する筆記性部材は、条件1を満たす限りその構成は特に限定されない。
例えば、筆記性部材10の構成としては、図1及び図2のように、基材1上に樹脂層2を有し、該樹脂層2の一方の表面が条件1を満たすものが挙げられる。樹脂層2は、図2のように、第一樹脂層2a、第二樹脂層2bの多層構造であってもよい。
なお、図示しないが、筆記性部材10の構成は、基材を有さない樹脂層単層であってもよく、あるいは、基材及び樹脂層以外の他の層を有し、該他の層の表面が条件1を満たしていてもよい。他の層としては、帯電防止層、防汚層等が挙げられる。
筆記面は、「エンボス、サンドブラスト、エッチング等の物理的又は化学的処理」、「型による成型」、「コーティング」等により形成することができる。これら方法の中では、表面形状の再現性の観点からは「型による成型」が好適であり、生産性及び多品種対応の観点からは「コーティング」が好適である。
筆記性部材が条件1を満たしやすくするためには、筆記性部材の筆記面が以下の物性(a)〜(d)を満たすことが好ましい。
なお、後述するRt、θa、Raを測定する際のカットオフ値は何れも0.8mmである。カットオフの値は、想定するペン先の直径が、好ましくは0.3〜2.5mm、より好ましくは0.5〜2.0mm、さらに好ましくは0.6〜1.5mmであることに鑑み、JISに規定されているカットオフ値の中から、前記直径のサイズを網羅するカットオフ値を選択したものである。
なお、最大断面高さRtは、カットオフ値0.8mmのJISB0601:1994に基づき算出された粗さ曲線の、評価長さにおける山高さ(平均線から山頂(粗さ曲線の山における最も高い標高点)までの高さ)の最大値と、谷深さ(平均線から谷底(粗さ曲線の谷における最も低い標高点)までの深さ)の最大値との和を意味する。
(a)筆記面の最大断面高さRtが0.7μm以上7.0μm以下。
(b)筆記面の平均傾斜角θaが1.0度以上10.0度以下。
(c)平均傾斜角θaと算術平均粗さRaとの比である[平均傾斜角θa(度)/算術平均粗さRa(μm)]が、8.0以上20.0以下。
(d)算術平均粗さRaが0.10μm以上1.00μm以下。
なお、本明細書において、上記(a)〜(d)は、16箇所の測定値の平均値とする。
本明細書において、上記(a)〜(d)、ヘイズ及び全光線透過率の平均値を算出する16の測定箇所は、測定サンプルの外縁から1cmの領域を余白として、該余白よりも内側の領域に関して、縦方向及び横方向を5等分する線を引いた際の、交点の16箇所を測定の中心とすることが好ましい。なお、測定サンプルが円形、楕円形、三角形、五角形等の四角形以外の形状の場合、これら形状に内接する四角形を描き、該四角形に関して、上記手法により16箇所の測定を行うことが好ましい。
上記物性(a)〜(d)を満たすことは、筆記面の凹凸に極端に高い山や極端に低い谷が数多く存在せず、適度な大きさの凹凸が存在すること、及び、筆記面の凸部が適度に密集していることを意味している。筆記面が上記物性(a)〜(d)を満たすことにより、タッチパネルペンと筆記性部材との間を摺動させた際にペン先が適度に摩耗され、条件1を満たしやすくすることができる。特に、上記物性(c)を満たすことが、条件1を満たすための重要なファクターであると考えられる。
また、上記物性(a)〜(d)を満たすこと(筆記面の凹凸に極端に高い山や極端に低い谷が数多く存在せず、適度な大きさの凹凸が存在すること、及び、筆記面の凸部が適度に密集していること)は、ギラツキ(映像光に微細な輝度のばらつきが見える現象)の抑制につながる点で好ましい。
上記(a)のRtは、1.0μm以上6.0μm以下であることがより好ましく、1.2μm以上5.0μm以下であることがさらに好ましい。
上記(b)のθaは、1.2度以上8.0度以下であることがより好ましく、1.5度以上6.0度以下であることがより好ましい。
上記(c)の[θa(度)/Ra(μm)]は、9.0以上17.0以下であることがより好ましく、10.0以上15.0以下であることがさらに好ましい。
上記(d)のRaは、0.12μm以上0.80μm以下であることがより好ましく、0.13μm以上0.60μm以下であることがさらに好ましい。
上記(b)の「平均傾斜角θa」は、小坂研究所社製の表面粗さ測定器(商品名:SE−3400)の取り扱い説明書(1995.07.20改訂)に定義されている値であり、図5に示すように、基準長さL内での高さ方向の変化量の総和(h+h+h+・・・+h)を基準長さLで割ったもののアークタンジェントθa=tan−1{(h+h+h+・・・+h)/L}で求めることができる。なお、本明細書では、基準長さを1500分割し、1500点の高さデータを得て、該1500点の高さデータを元に平均傾斜角θaを算出するものとする。
また、筆記性部材は、筆記面の耐擦傷性を向上しつつ、タッチパネルペンの摩耗を抑制する観点から、筆記面のJIS K5600−5−4:1999の鉛筆硬度が2H以上9H以下であることが好ましく、3H以上7H以下であることがより好ましく、5H以上6H以下であることがさらに好ましい。
コーティングによる樹脂層の形成は、樹脂成分、粒子及び溶剤を含有してなる樹脂層形成塗布液を、グラビアコーティング、バーコーティング等の公知の塗布方法により基材上に塗布、乾燥、硬化することにより形成できる。コーティングにより形成した樹脂層が条件1を満たしやすくするためには、粒子の平均粒子径、粒子の含有量、及び樹脂層の厚み等を後述の範囲とすることが好ましい。
なお、図2のように、樹脂層が2層以上から形成される場合は、少なくとも何れかの樹脂層に粒子を含有していればよいが、条件1を満たしやすくする観点からは、最表面の樹脂層に粒子を含むことが好ましい。また、最表面の樹脂層が粒子を含み、下層の樹脂層が粒子を含まない構成とすることにより、筆記面の鉛筆硬度を向上しやすくできる。
樹脂層の粒子は、有機粒子及び無機粒子の何れも用いることができる。有機粒子としては、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリル−スチレン共重合体、メラミン樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ベンゾグアナミン−メラミン−ホルムアルデヒド縮合物、シリコーン、フッ素系樹脂及びポリエステル系樹脂等からなる粒子が挙げられる。無機粒子としては、シリカ、アルミナ、アンチモン、ジルコニア及びチタニア等からなる粒子が挙げられる。これら粒子の中でも、有機粒子は、粒子の凝集を抑制しやすく、上記物性(a)〜(d)を満たしやすくできる点で好適である。
また、粒子は、タッチパネルペンのペン先が過度に摩耗されることを抑制するために、球形粒子であることが好ましい。
樹脂層中の粒子の平均粒子径は、樹脂層の厚みにより異なるため一概には言えないが、条件1を満たしやすくする観点から、1.0〜10.0μmが好ましく、2.0〜8.0μmであることがより好ましく、3.0〜6.0μmであることがさらに好ましい。粒子が凝集している場合、凝集粒子の平均粒子径が前記範囲を満たすことが好ましい。
粒子の平均粒子径は、以下の(y1)〜(y3)の作業により算出できる。タッチパネルペンの先端領域を構成する組成物に含まれる無機粒子の平均粒子径も、下記の作業に準じて算出できる。
(y1)本発明の筆記性部材を光学顕微鏡にて透過観察画像を撮像する。倍率は500〜2000倍が好ましい。
(y2)観察画像から任意の10個の粒子を抽出し、個々の粒子の粒子径を算出する。粒子径は、粒子の断面を任意の平行な2本の直線で挟んだとき、該2本の直線間距離が最大となるような2本の直線の組み合わせにおける直線間距離として測定される。
(y3)同じサンプルの別画面の観察画像において同様の作業を5回行って、合計50個分の粒子径の数平均から得られる値を 樹脂層中の粒子の平均粒子径とする。
粒子は、粒子径分布が広いもの(単一粒子で粒子径分布が広いもの、あるいは、粒子径分布が異なる2種類以上の粒子を混合した混合粒子の粒子径分布が広いもの)であってもよいが、ギラツキを抑制する観点から、粒子径分布が狭い方が好ましい。具体的には、粒子の粒子径分布の変動係数は、25%以下であることが好ましく、20%以下であることがより好ましく、15%以下であることがさらに好ましい。
樹脂層中の粒子の含有量は、条件1を満たしやすくする観点から、樹脂成分100質量部に対して、10〜30質量部であることが好ましく、12〜25質量部であることがより好ましく、15〜20質量部であることがさらに好ましい。
樹脂層の膜厚の好適な範囲は、樹脂層の実施形態によって若干異なる。例えば、粒子を含む樹脂層の厚みは、条件1を満たしやすくする観点、筆記面の鉛筆硬度を向上させる観点及びカールを抑制する観点から、2.0〜12.0μmが好ましく、3.0〜10.0μmがより好ましく、4.0〜9.0μmがさらに好ましい。
また、条件1を満たしやすくする観点から、[粒子の平均粒子径]/[粒子を含む樹脂層の膜厚]の比は、0.3〜1.3であることが好ましく、0.4〜1.2であることがより好ましく、0.5〜1.0であることがさらに好ましい。
粒子を含まない樹脂層は、粒子を含む樹脂層よりも基材側に位置することが好ましく、その厚みは、筆記面の鉛筆硬度を向上させる観点及びカールを抑制する観点から、3.0〜15.0μmとすることが好ましく、6.0〜10.0μmとすることがより好ましい。
樹脂層の膜厚は、例えば、樹脂層の膜厚は、走査型透過電子顕微鏡(STEM)を用いて撮影した断面の画像から20箇所の厚みを測定し、20箇所の値の平均値から算出できる。STEMの加速電圧は10kv〜30kV、STEMの倍率は1000〜7000倍とすることが好ましい。
樹脂層の樹脂成分は、熱硬化性樹脂組成物又は電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物を含むことが好ましく、筆記面の鉛筆硬度を向上する観点から、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物を含むことがより好ましく、その中でも紫外線硬化性樹脂組成物の硬化物を含むことがさらに好ましい。
熱硬化性樹脂組成物は、少なくとも熱硬化性樹脂を含む組成物であり、加熱により、硬化する樹脂組成物である。
熱硬化性樹脂としては、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、尿素メラミン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられる。熱硬化性樹脂組成物には、これら硬化性樹脂に、必要に応じて硬化剤が添加される。
電離放射線硬化性樹脂組成物は、電離放射線硬化性官能基を有する化合物(以下、「電離放射線硬化性化合物」ともいう)を含む組成物である。電離放射線硬化性官能基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基等のエチレン性不飽和結合基、及びエポキシ基、オキセタニル基等が挙げられる。電離放射線硬化性化合物としては、エチレン性不飽和結合基を有する化合物が好ましく、エチレン性不飽和結合基を2つ以上有する化合物がより好ましく、中でも、エチレン性不飽和結合基を2つ以上有する、多官能性(メタ)アクリレート系化合物が更に好ましい。多官能性(メタ)アクリレート系化合物としては、モノマー及びオリゴマーのいずれも用いることができる。
なお、電離放射線とは、電磁波又は荷電粒子線のうち、分子を重合あるいは架橋し得るエネルギー量子を有するものを意味し、通常、紫外線(UV)又は電子線(EB)が用いられるが、その他、X線、γ線などの電磁波、α線、イオン線などの荷電粒子線も使用可能である。
多官能性(メタ)アクリレート系化合物のうち、2官能(メタ)アクリレート系モノマーとしては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAテトラエトキシジアクリレート、ビスフェノールAテトラプロポキシジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート等が挙げられる。
3官能以上の(メタ)アクリレート系モノマーとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸変性トリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、上記(メタ)アクリレート系モノマーは、分子骨格の一部を変性しているものでもよく、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、カプロラクトン、イソシアヌル酸、アルキル、環状アルキル、芳香族、ビスフェノール等による変性がなされたものも使用することができる。
また、多官能性(メタ)アクリレート系オリゴマーとしては、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート等のアクリレート系重合体等が挙げられる。
ウレタン(メタ)アクリレートは、例えば、多価アルコール及び有機ジイソシアネートとヒドロキシ(メタ)アクリレートとの反応によって得られる。
また、好ましいエポキシ(メタ)アクリレートは、3官能以上の芳香族エポキシ樹脂、脂環族エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂等と(メタ)アクリル酸とを反応させて得られる(メタ)アクリレート、2官能以上の芳香族エポキシ樹脂、脂環族エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂等と多塩基酸と(メタ)アクリル酸とを反応させて得られる(メタ)アクリレート、及び2官能以上の芳香族エポキシ樹脂、脂環族エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂等とフェノール類と(メタ)アクリル酸とを反応させて得られる(メタ)アクリレートである。
上記電離放射線硬化性化合物は1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
電離放射線硬化性化合物が紫外線硬化性化合物である場合には、電離放射線硬化性組成物は、光重合開始剤や光重合促進剤等の添加剤を含むことが好ましい。
光重合開始剤としては、アセトフェノン、ベンゾフェノン、α−ヒドロキシアルキルフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾイン、ベンジルメチルケタール、ベンゾイルベンゾエート、α−アシルオキシムエステル、チオキサンソン類等から選ばれる1種以上が挙げられる。
これら光重合開始剤は、融点が100℃以上であることが好ましい。光重合開始剤の融点を100℃以上とすることにより、筆記性部材の製造過程や、タッチパネルの透明導電膜の形成過程で、残留した光重合開始剤が昇華して、製造装置や透明導電膜の汚染を防止することができる。
また、光重合促進剤は、硬化時の空気による重合阻害を軽減させ硬化速度を速めることができるものであり、例えば、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル等から選ばれる1種以上が挙げられる。
樹脂層形成塗布液には、通常、粘度を調節したり、各成分を溶解または分散可能としたりするために溶剤を用いる。溶剤の種類によって、塗布、乾燥過程した後の樹脂層の表面状態が異なるため、溶剤の飽和蒸気圧、透明基材への溶剤の浸透性等を考慮して溶剤を選定することが好ましい。具体的には、溶剤は、例えば、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等)、エーテル類(ジオキサン、テトラヒドロフラン等)、脂肪族炭化水素類(ヘキサン等)、脂環式炭化水素類(シクロヘキサン等)、芳香族炭化水素類(トルエン、キシレン等)、ハロゲン化炭素類(ジクロロメタン、ジクロロエタン等)、エステル類(酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等)、アルコール類(ブタノール、シクロヘキサノール等)、セロソルブ類(メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等)、セロソルブアセテート類、スルホキシド類(ジメチルスルホキシド等)、アミド類(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等)等が例示でき、これらの混合物であってもよい。
溶剤の乾燥が遅すぎる場合、樹脂層のレベリング性が過度になることにより、条件1を満たしやすい表面形状を形成しづらくなる。したがって、溶剤としては、蒸発速度(n−酢酸ブチルの蒸発速度を100としたときの相対蒸発速度)が180以上である溶剤を、全溶剤中の60質量%以上含むことが好ましく、70質量%以上含むことがより好ましい。また、樹脂層を適度にレベリングさせる観点からは、蒸発速度が180以上である溶剤の割合は、全溶剤中の90質量%以下であることが好ましく、85質量%以下であることがより好ましい。相対蒸発速度が180以上の溶剤としては、トルエンが挙げられる。トルエンの相対蒸発速度は195である。一方、相対蒸発速度が180未満の溶剤としては、メチルイソブチルケトン(MIBK)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PMA)、イソプロピルアルコール(IPA)等が挙げられる。
また、表面形状を適度に滑らかにして、筆記性部材の表面形状を上述した範囲にしやすくする観点からは、樹脂層形成塗布液には、レベリング剤を含有させることが好ましい。レベリング剤は、フッ素系レベリング剤、シリコーン系レベリング剤、フッ素シリコーン共重合体系レベリング剤等が挙げられる。レベリング剤の添加量としては、樹脂層形成塗布液の全固形分に対して0.01〜0.50重量%が好ましく、0.05〜0.40重量%がより好ましく、0.07〜0.30質量%がさらに好ましい。
基材としては、光透過性を有する基材が好ましく、プラスチックフィルム、ガラス等が挙げられ、プラスチックフィルムが好適である。
プラスチックフィルムは、ポリエステル、トリアセチルセルロース(TAC)、セルロースジアセテート、セルロースアセテートブチレート、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアセタール、ポリエーテルケトン、ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネート、ポリウレタン及び非晶質オレフィン(Cyclo−Olefin−Polymer:COP)等の樹脂から形成することができる。
これらプラスチックフィルムの中でも、機械的強度、寸法安定性及び上記物性(f)を満たしやすくする観点からは、延伸加工、特に二軸延伸加工されたポリエステルフィルムが好ましい。ポリエステルフィルムの中では、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートが好ましい。
基材の厚みは、5〜200μmであることが好ましく、10〜150μmであることがより好ましい。
筆記性部材は、ギラツキを抑制する観点から、JIS K7136:2000のヘイズが20.0%以上であることが好ましく、25.0%以上であることがより好ましく、30.0%以上であることがさらに好ましく、35.0%以上であることがよりさらに好ましい。
また、表示素子の解像性の低下の抑制の観点から、ヘイズは99.0%以下であることが好ましく、70.0%以下であることがより好ましく、60.0%以下であることがさらに好ましく、50.0%以下であることがよりさらに好ましい。
ヘイズ及び後述の全光線透過率を測定する際は、筆記性部材の筆記面(上記条件1を満たす面)とは反対側の表面から光を入射するものとする。筆記性部材の両面が筆記面の場合、光入射面はどちらの面であってもよい。なお、本明細書において、ヘイズ及び全光線透過率は、16箇所の測定値の平均値とする。
また、本発明の筆記性部材は、JIS K7361−1:1997の全光線透過率が87.0%以上であることが好ましく、88.0%以上であることがより好ましく、89.0%以上であることがさらに好ましい。全光線透過率を87.0%以上とすることにより、表示素子の輝度の低下を抑制できる。
筆記性部材の筆記面は、n−ヘキサデカンに対する接触角が72度以下であることが好ましく、70度以下であることがより好ましい。接触角が前述の条件であると、筆記面の表面に皮脂が塗れ広がりやすくなり、条件1を満たしやすくできる。
接触角は、被測定面に1.0μLの液滴を滴下し、着滴10秒後の静的接触角をθ/2法に従って計測するものとする。
接触角の測定時の雰囲気は、温度は23℃±5℃、相対湿度40〜65%とする。また、筆記性部材を前記雰囲気に10分以上放置してから測定するものとする。
[タッチパネルペン用筆記性部材の選別方法]
本発明のタッチパネルペン用筆記性部材の選別方法は、下記条件1を満たすものをタッチパネルペン用筆記性部材として選別するものである。
<条件1>
タッチパネルペン用筆記性部材の表面に、JIS C9606:1993の「付属書4 汚染布作成方法」に規定された汚染液を付着させる。汚染液を付着させたタッチパネルペン用筆記性部材を、汚染液を付着させた側の面が回転台座とは反対側を向くように回転台座に固定する。回転台座に固定したタッチパネルペン用筆記性部材の表面に対して、回転台座の中心から40mmの位置に、タッチパネルペンを90度の角度で接触させた状態で固定する。前記タッチパネルペンに荷重250gfをかけながら、前記回転台座を回転速度30rpmで1000回転させ、タッチパネルペン用筆記性部材とタッチパネルペンとの間を摺動させた際に、前記摺動によって削れたタッチパネルペンのペン先の摩耗量が1.5×10μm以上15×10μm以下を示す。
また、本発明の筆記性部材の選別方法は、さらに、下記条件2〜4の何れか一以上を満たすものをタッチパネルペン用筆記性部材として選別することが好ましく、下記条件2〜4の何れか二以上を満たすものを選別することがより好ましく、下記条件2〜4の全てを満たすものを選別することがさらに好ましい。
<条件2>
タッチパネルペン用筆記性部材の表面に対してタッチパネルペンを60度の角度で接触させた状態で固定し、前記タッチパネルペンに垂直荷重250gfをかけながら、前記タッチパネルペン用筆記性部材を14mm/秒の速度で片道40mmの長さを移動させた際の前記タッチパネルペンにかかる前記移動方向の動摩擦力f[gf]を1m秒間隔で測定する。1m秒ごとの動摩擦力の平均が25gf以上75gf以下。
<条件3>
ヘイズが20.0%以上
<条件4>
JIS K7361−1:1997の全光線透過率が87.0%以上
本発明のタッチパネルペン用筆記性部材の選別方法の条件1〜2の好適な範囲は、上述したタッチパネルシステムの条件1〜2の好適な範囲と同様である。また、本発明のタッチパネルペン用筆記性部材の選別方法の条件3〜4(ヘイズ、全光線透過率)の好適な範囲は、上述したタッチパネルシステムを構成する筆記性部材のヘイズ及び全光線透過率の好適な範囲と同様である。
本発明のタッチパネルペン用筆記性部材の選別方法は、タッチパネルペンによる筆記試験を行わなくても、筆記感の良好な筆記性部材を選別することができ、筆記性部材の製品設計、品質管理を効率よくすることができる。
条件1及び条件2の判定に用いるタッチパネルペンは特に限定されず、市販のタッチパネルペンの中から適宜選択できるが、上述した本発明のタッチパネルシステムを構成するタッチパネルペンの実施形態のタッチパネルペンを用いることが好ましい。
なお、本発明のタッチパネルペン用筆記性部材の選別方法を応用すれば、任意の筆記性部材に適したタッチパネルペンを選定することもできる。
[タッチパネルペン用筆記性部材]
本発明のタッチパネル用筆記性部材は、下記条件1を満たす表面を有するものである。
<条件1>
タッチパネルペン用筆記性部材の表面に、JIS C9606:1993の「付属書4 汚染布作成方法」に規定された汚染液を付着させる。汚染液を付着させたタッチパネルペン用筆記性部材を、汚染液を付着させた側の面が回転台座とは反対側を向くように回転台座に固定する。回転台座に固定したタッチパネルペン用筆記性部材の表面に対して、回転台座の中心から40mmの位置に、タッチパネルペンを90度の角度で接触させた状態で固定する。前記タッチパネルペンに荷重250gfをかけながら、前記回転台座を回転速度30rpmで1000回転させ、タッチパネルペン用筆記性部材とタッチパネルペンとの間を摺動させた際に、前記摺動によって削れたタッチパネルペンのペン先の摩耗量が1.5×10μm以上15×10μm以下を示す。
また、本発明の筆記性部材は、さらに、下記条件2〜4の何れか一以上を満たすことが好ましく、下記条件2〜4の何れか二以上を満たすことがより好ましく、下記条件2〜4の全てを満たすことがさらに好ましい。
<条件2>
タッチパネルペン用筆記性部材の表面に対してタッチパネルペンを60度の角度で接触させた状態で固定し、前記タッチパネルペンに垂直荷重250gfをかけながら、前記タッチパネルペン用筆記性部材を14mm/秒の速度で片道40mmの長さを移動させた際の前記タッチパネルペンにかかる前記移動方向の動摩擦力f[gf]を1m秒間隔で測定する。1m秒ごとの動摩擦力の平均が25gf以上75gf以下。
<条件3>
ヘイズが20.0%以上
<条件4>
JIS K7361−1:1997の全光線透過率が87.0%以上
本発明のタッチパネルペン用筆記性部材の条件1〜2の好適な範囲は、上述したタッチパネルシステムの条件1〜2の好適な範囲と同様である。また、本発明のタッチパネルペン用筆記性部材の条件3〜4(ヘイズ、全光線透過率)の好適な範囲は、上述したタッチパネルシステムを構成する筆記性部材のヘイズ及び全光線透過率の好適な範囲と同様である。
タッチパネルペン用筆記性部材は、所定の大きさにカットした枚葉状の形態でもよいし、長尺シートをロール状に巻き取ったロール状の形態であってもよい。また、枚葉の大きさは特に限定されないが、最大径が2〜500インチ程度である。「最大径」とは、タッチパネルペン用筆記性部材の任意の2点を結んだ際の最大長さをいうものとする。例えば、タッチパネルペン用筆記性部材が長方形の場合は、該領域の対角線が最大径となる。また、タッチパネルペン用筆記性部材が円形の場合は、直径が最大径となる。
ロール状の幅及び長さは特に限定されないが、一般的には、幅は50〜3000mm、長さは500〜5000m程度である。ロール状の形態のタッチパネルペン用筆記性部材は、タッチパネルの大きさに合わせて、枚葉状にカットして用いることができる。カットする際、物性が安定しないロール端部は除外することが好ましい。
また、枚葉の形状も特に限定されず、例えば、多角形(三角形、四角形、五角形等)や円形であってもよいし、ランダムな不定形であってもよい。より具体的には、タッチパネルペン用筆記性部材が四角形状である場合には、その縦横比は、タッチパネル(≒画像表示装置の縦横比)として問題がなければ特に限定されない。例えば、横:縦=1:1、4:3、16:10、16:9、2:1等が挙げられるが、デザイン性に富む車載用途やデジタルサイネージにおいては、このような縦横比に限定されない。
タッチパネルの大きさは特に限定されないが、最大径が2〜500インチのものが好適であり、より好ましくは5〜350インチである。
本発明のタッチパネルペン用筆記性部材は、上述した本発明のタッチパネルシステムの実施形態として例示したタッチパネルペン用の筆記性部材として用いることが好ましい。その中でも、後述する本発明のタッチパネルペンのように、ペンの先端領域を形成する組成物中に芳香族ポリイミドを含むタッチパネルペン用の筆記性部材として用いることが好ましい。さらにその中でも、後述する実施例のタッチパネルペン1用の筆記性部材として用いることが好ましい。
[タッチパネル]
本発明のタッチパネルは、表面に筆記性部材を有するタッチパネルであって、前記筆記性部材として、本発明のタッチパネルペン用筆記性部材の条件1を満たす側の面がタッチパネルの表面を向くように配置してなるものである。
タッチパネルとしては、抵抗膜式タッチパネル、静電容量式タッチパネル、インセルタッチパネル、光学式タッチパネル、超音波式タッチパネル及び電磁誘導式タッチパネル等が挙げられる。これら各種タッチパネルの実施の形態は、上述した本発明のタッチパネルシステムを構成するタッチパネルの実施の形態と同様である。
本発明のタッチパネルを構成する筆記性部材の実施の形態は、上述した本発明のタッチパネルシステムを構成する筆記性部材の実施の形態と同様である。
[タッチパネル付きの表示装置]
本発明のタッチパネル付きの表示装置は、表示素子上にタッチパネルを有する表示装置であって、前記タッチパネルが上述した本発明のタッチパネルであるものである。
表示素子としては、液晶表示素子、EL表示素子、プラズマ表示素子、電子ペーパー素子等が挙げられる。表示素子が液晶表示素子、EL表示素子、プラズマ表示素子、電子ペーパー素子の場合、これらの表示素子上に本発明のタッチパネルを載置する。
[タッチパネルペン]
本発明のタッチパネルペンは、ペンの先端領域(ペン先)を形成する組成物中に芳香族ポリイミドを含むものである。
ペンの先端領域(ペン先)を形成する組成物中に芳香族ポリイミドを含むタッチパネルペンは、筆記性部材への筆記時に適度に摩耗され、筆記感を良好にしやすくできる。ペンの先端領域(ペン先)とは、上述したように、タッチパネルペンの最先端と同一素材及び同一色で一体形成されている部位のことをいう。なお、上述したように、シャープペンシル型のタッチパネルペンの場合は、芯がペン先を形成する。また、シャープペンシル型の場合、先端領域(ペン先)の長さは、タッチパネルペンの最先端から0.7〜1.8mmであることが好ましい。また、シャープペンシル型以外のタッチパネルペンの場合、タッチパネルペンの最先端から少なくとも1.8mm(好ましくは0.7〜1.5mm)の領域を先端領域(ペン先)として、該領域を上述した特定の組成及び後述する特定の物性とすることが好ましい(もちろん、タッチパネルペン全体を、上述した特定の組成及び後述する特定の物性とすることも好ましい。)。
また、先端領域を形成する組成物は所定量の芳香族ポリイミドを含むことが好ましい。具体的には、該組成物中の芳香族ポリイミドの含有割合は、15質量%以上であることが好ましく、より好ましくは30質量%以上、さらに好ましくは50質量%以上、よりさらに好ましくは70質量%以上、特に好ましくは90質量%以上である。
先端領域には、芳香族ポリイミド以外の樹脂や無機粒子を含有していてもよい。なお、平均粒子径が5.0μm以上の大きな無機粒子は、ペン先の削れを助長する傾向がある。このため、タッチパネルペンの先端領域を形成する組成物が無機粒子を含む場合、無機粒子の平均粒子径は5.0μm未満であることが好ましく、0.05〜5.0μmであることがより好ましく、0.1〜1.0μmであることがさらに好ましい。
また、先端領域を形成する組成物の樹脂が芳香族ポリイミドの単独の場合、ペン先が過度に削れにくくするために、芳香族ポリイミドの結晶構造が均一に形成されてなることが好ましい。また、先端領域を形成する組成物の樹脂が芳香族ポリイミドと他の樹脂との混合物の場合、各樹脂が均一に相溶されてなることが好ましい。
先端領域を構成する組成物は、23℃の曲げ弾性率が2.3GPa以上であることが好ましく、2.5GPa以上であることがより好ましく、3.0GPa以上であることがさらに好ましい。また、該組成物の23℃の曲げ弾性率は7.5GPa以下であることが好ましく、5.0GPa以下であることがより好ましく、3.5GPa以下であることがさらに好ましい。
同様に、芳香族ポリイミドは、23℃の曲げ弾性率が2.3GPa以上であることが好ましく、2.5GPa以上であることがより好まし、3.0GPa以上であることがさらに好ましい。また、芳香族ポリイミドは、23℃の曲げ弾性率が7.5GPa以下であることが好ましく、5.0GPa以下であることがより好ましく、3.5GPa以下であることがさらに好ましい。
また、芳香族ポリイミドは、ガラス転移温度が300℃以上であることが好ましく、350℃以上であることがより好ましく、400℃以上であることがさらに好ましい。
タッチパネルペンは、ペン先の直径が0.3〜2.5mmであることが好ましく、0.5〜2.0mmであることがより好ましく、0.6〜1.5mmであることがさらに好ましい。ペン先の形状は、図4(a)及び(b)のように略半球状であることが好ましい。
また、本発明のタッチパネルペンの他の実施形態は、ペンの先端領域を形成する組成物中に平均粒子径5.0μm未満の無機粒子を含むものである。
無機粒子の平均粒子径は、0.05〜5.0μmであることがより好ましく、0.1〜1.0μmであることがさらに好ましい。
無機粒子を構成する無機物は特に限定されないが、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア等の無機酸化物が好適である。
上記の他の実施形態において、タッチパネルペンの先端領域を構成する組成物中の無機粒子の含有割合は、50質量%以下であることが好ましく、0.5〜30質量%であることがより好ましく、1〜20質量%であることがさらに好ましく、2〜15質量%であることがよりさらに好ましい。
上記の他の実施形態において、タッチパネルペンの先端領域を構成する組成物の残部の主成分は樹脂であり、その種類は特に限定されない。該樹脂としては、ポリアセタール、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ナイロン、メラミン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリウレタン等が挙げられる。
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、この例によってなんら限定されるものではない。なお、「部」は質量基準である。
1.タッチパネル用筆記性部材の作製
[筆記性部材1]
基材としてポリエチレンテレフタレートフィルム(厚み100μm、東洋紡社製、商品名A4300)を用い、該基材上に、下記処方の樹脂層塗布液1を乾燥後の厚みが8μmとなるように塗布、乾燥、紫外線照射して、樹脂層を形成し、筆記性部材1を得た。筆記性部材1の樹脂層側の表面(筆記面)のn−ヘキサデカンに対する接触角を明細書本文の記載に従って測定したところ、65度であった。
<樹脂層塗布液1>
・ペンタエリスリトールトリアクリレート 60部
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 40部
・有機粒子 2部
(球状ポリスチレン粒子、平均粒子径5.0μm)
・無機粒子 15部
(ゲル法不定形シリカ、疎水化処理、平均粒子径4.0μm)
・光重合開始剤 3.5部
(BASF社製、イルガキュア184)
・シリコーン系レベリング剤 0.1部
(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製、TSF4460)
・溶剤1(トルエン) 120部
・溶剤2(シクロヘキサノン) 50部
2.筆記性部材の表面形状等の測定
2−1.筆記性部材の表面粗さ
筆記性部材1を10cm四方に切断した。切断箇所は、目視でゴミや傷などの異常点がない事を確認の上、ランダムな部位から選択した。切断した筆記性部材を東レ社製の光学透明粘着シート(屈折率:1.47、厚み100μm)を介して、縦10cm×横10cmの大きさの黒色板(クラレ社製、商品名:コモグラス 品番 :DFA502K、厚み2.0mm)を貼り合わせたサンプルAを作製した。
表面粗さ測定器(型番:SE−3400/小坂研究所株式会社製)を用いて、計測ステージにサンプルAが固定かつ密着した状態となるようにセットしたのち、下記の測定条件により、下記の測定項目について、サンプルAのタッチパネルペン用筆記性部材の樹脂層側の表面形状を測定した。測定は16箇所行い、16箇所の平均値をRa、Rt及びθaとした。測定時の雰囲気は、温度は23℃±5℃、相対湿度40〜65%とした。また、測定開始前にサンプルAを23℃±5℃、相対湿度40〜65%の雰囲気に10分以上放置した。結果は下記の通りである。
<測定結果>
Ra:0.499μm、Rt:4.6μm、θa:5.24度、[θa(度)/Ra(μm)]:10.5
<測定条件>
[表面粗さ検出部の触針]
小坂研究所社製の商品名SE2555N(先端曲率半径:2μm、頂角:90度、材質:ダイヤモンド)
[表面粗さ測定器の測定条件]
・評価長さ:カットオフ値λcの5倍
・予備長さ:カットオフ値λcの0.5倍
・触針の送り速さ:0.5mm/s
・縦倍率:2000倍
・横倍率:5倍
・ダイナミックレンジ:ワイド
・オーバースケール:エラーモード
・動作モード:ノーマル
・検出器:PUDJ2US(レバー水平時高さ7.85mm、長さ30mm)
・スキッド:用いない(測定面に接触なし)
・カットオフフィルタ種類:ガウシャン
・レベリング:オールデータ
・サンプリングモード:c=1500
・JISモード:JIS1994
・不感帯レベル:10%
・tp/PC曲線:ノーマル
<測定項目>
・カットオフ値0.8mmのJIS B0601:1994の算術平均粗さRa
・カットオフ値0.8mmのJISB0601:1994に基づき算出された粗さ曲線の、評価長さにおける山高さ(平均線から山頂(粗さ曲線の山における最も高い標高点)までの高さ)の最大値と、谷深さ(平均線から谷底(粗さ曲線の谷における最も低い標高点)までの深さ)の最大値との和(最大断面高さRt)
・カットオフ値0.8mmの平均傾斜角θa
2−2.ヘイズ、全光線透過率
筆記性部材1を10cm四方に切断したサンプルBを作製した。ヘイズメーター(HM−150、村上色彩技術研究所製)を用いて、ヘイズ(JIS K−7136:2000)、及び全光線透過率(JIS K7361−1:1997)を測定した。そして、16箇所の測定値の平均値を、ヘイズ及び全光線透過率とした。測定時の雰囲気は、温度は23℃±5℃、相対湿度40〜65%とした。また、測定開始前に、サンプルBを23℃±5℃、相対湿度40〜65%の雰囲気に10分以上放置した。光入射面は基材側とした。
測定結果は、ヘイズが41.3%、全光線透過率が90.4%であった。
3.タッチパネルペンの準備
下記のタッチパネルペン1〜6を準備した。
(1)タッチパネルペン1
コクヨ製「鉛筆シャープ(登録商標);品番PS-FP102CB-1P」に、下記の芯1を半球部側が先端となるように入れ、芯1を露出させてペン先を形成し、ペン先が1.5mmのタッチパネルペン1を得た。
<芯1>
芳香族ポリイミド(デュポン社製の商品名「SP−1」、23℃の曲げ弾性率:3.1GPa)のバルクからなる平板を1mm幅の線状に切り出し、側面および端面を研磨し、円柱形状の胴部と該胴部の一方の先端の半球部とからなる芯1(半球部直径0.7mm、全長25mm)を作製した。
(2)タッチパネルペン2
コクヨ製「鉛筆シャープ(登録商標);品番PS-FP102CB-1P」に、下記の芯2を半球部側が先端となるように入れ、芯2を露出させてペン先を形成し、ペン先が1.5mmのタッチパネルペン2を得た。
<芯2>
芳香族ポリイミド(デュポン社製の商品名「SP−1」、23℃の曲げ弾性率:3.1GPa)のバルクからなる平板を1mm幅の線状に切り出し、側面および端面を研磨し、円柱形状の胴部と該胴部の一方の先端の半球部とからなる芯2(半球部直径0.9mm、全長25mm)を作製した。
(3)タッチパネルペン3
コクヨ製「鉛筆シャープ(登録商標);品番PS-FP102CB-1P」に、下記の芯3を半球部側が先端となるように入れ、芯3を露出させてペン先を形成し、ペン先が1.5mmのタッチパネルペン3を得た。
<芯3>
型(先端の形状:半球、半球部直径:0.9mm、全長:25mm)に、溶融したポリアセタール(23℃の曲げ弾性率:2.5GPa)を射出して成型することにより、円柱形状の胴部と該胴部の一方の先端の半球部とからなる芯3(直径0.9mm、長さ25mm)を作製した。
(4)タッチパネルペン4
コクヨ製「鉛筆シャープ(登録商標);品番PS-FP102CB-1P」に、下記の芯4を半球部側が先端となるように入れ、芯4を露出させてペン先を形成し、ペン先が1.5mmのタッチパネルペン4を得た。
<芯4>
ポリアミドイミド(ソルベイ社製の商品名「トーロン」、23℃の曲げ弾性率:4.0GPa)のバルクからなる線材を準備し、切り出した後、側面および端面を研磨し、円柱形状の胴部と該胴部の一方の先端の半球部とからなる芯4(半球部直径0.9mm、全長25mm)を作製した。
(5)タッチパネルペン5
コクヨ製「鉛筆シャープ(登録商標);品番PS-FP102CB-1P」に、下記の芯5を半球部側が先端となるように入れ、芯5を露出させてペン先を形成し、ペン先が1.5mmのタッチパネルペン5を得た。
<芯5>
ポリエーテルエーテルケトン(結晶構造がランダムで不均一、23℃の曲げ弾性率:4.2GPa)のバルクからなる線材を準備し、切り出した後、側面および端面を研磨し、円柱形状の胴部と該胴部の一方の先端の半球部とからなる芯5(半球部直径0.9mm、全長25mm)を作製した。
(6)タッチパネルペン6
コクヨ製「鉛筆シャープ(登録商標);品番PS-FP102CB-1P」に、下記の芯6を半球部側が先端となるように入れ、芯6を露出させてペン先を形成し、ペン先が1.5mmのタッチパネルペン6を得た。
<芯6>
ガラスのバルクからなる円棒を準備し、切り出した後、側面および端面を研磨し、円柱形状の胴部と該胴部の一方の先端の半球部とからなる芯6(半球部直径0.9mm、全長25mm)を作製した。
4.測定及び評価
表1に記載の筆記性部材とタッチパネルペンとの組み合わせにより、以下の測定及び評価を行った。
4−1.摩耗量
上記2−1で作製したサンプルAを構成するタッチパネルペン用筆記性部材1の樹脂層側の表面に、JIS C9606:1993の「付属書4 汚染布作成方法」に規定された汚染液(伊勢久社製の試薬「人工汚染液」)を、スポイト(サンプラテック社製、商品名「エコノスポイト」)を用いて図9の斜線部の4箇所に滴下した。汚染液の滴下量は合計で2mlとした。
クリーンルーム用のウエス(アズワン社製の商品名「アズピュアスーパーワイパーエコノ AS909」、材質:ポリエステル100%、形状:1辺9インチの正方形)を横半分に折り畳み、さらに縦半分に折り畳んだ。前述のようにウエスを折り畳んだ状態で、滴下した汚染液を縦方向に10回、横方向に10回拭取った後、ウエスを交換して同様の拭取りを行った。汚染液が塗り広がり目視で視認できなくなるまで拭取りを続けた。本実施例では、4枚目のウエスの拭取りが終了した段階で拭取りを終了した。当該作業によって、上記2−1で作製したサンプルAを構成するタッチパネルペン用筆記性部材1の樹脂層側の表面に、汚染液を付着させた。なお、汚染液が塗り広がり目視で視認できなくなれば、拭取り回数及びウエスの交換回数は適宜変更しても構わない。
測定装置として、新東科学社製のトルク式摩擦抵抗測定器「HEIDON(登録商標) TYPE:20」を用いた(図3参照)。
測定装置の回転台座81に、汚染液を付着した筆記性部材10を固定した。この際、筆記性部材10の汚染液を付着させた側の面が回転台座81とは反対側を向くように回転台座81に固定した。
回転台座81に固定した筆記性部材10の表面に対して、回転台座の中心81cから40mmの位置に、タッチパネルペン200を90度の角度で接触させた状態で固定した。また、タッチパネルペン200を保持する保持具84上に、タッチパネルペンに250gfの荷重がかかるように重り82を設置した。
タッチパネルペンに荷重250gfをかけながら、回転台座81を回転速度30rpmで1000回転させ、タッチパネルペン用筆記性部材とタッチパネルペンとの間を摺動させた。
なお、測定開始前に、筆記性部材及びタッチパネルペンを23℃±5℃、相対湿度40〜65%の雰囲気に10分以上放置した。
摺動前のタッチパネルペンの先端領域の体積と、摺動後のタッチパネルペンの先端領域の体積との差分を、各タッチパネルペンの摩耗量とした。結果を表1に示す。
4−2.摩擦力
測定装置として新東科学社製の商品名「HEIDON−18L」を用い、図8に示すように、タッチパネルペン用筆記性部材10の樹脂層側の表面に、タッチパネルペン200を60度の角度で接触させ、保持具94で固定した。保持具上部の土台95に重り93を乗せ、タッチパネルペンに垂直荷重250gfがかかるようにした。荷重をかけたまま、筆記性部材を固定した可動台92を、可動台とタッチパネルペンとの成す角の鋭角方向側(図8の右側)に14mm/秒の速度で移動させた。片道40mmの長さを移動した際の該ペンにかかる可動台の移動方向(ペンの鋭角方向)の摩擦力を測定した。
サンプリング時間(測定間隔)は0.001秒とし、測定時の雰囲気は、温度は23℃±5℃、相対湿度40〜65%とした。なお、測定開始前に、筆記性部材及びタッチパネルペンを23℃±5℃、相対湿度40〜65%の雰囲気に10分以上放置した。その他の解析条件等を以下に示す。
計測された結果を元に、動摩擦力の平均を算出した。結果を表1に示す。なお、タッチパネルペン5及び6の動摩擦力は測定していない。
<装置設定>
・RANGE:100%FS
・FILTER:PASS
・POLARITY:OFF
・ロードセルのキャリブレーション(ゼロとスパン値の入力):アナログダイヤル設定
<解析条件等>
・計測ソフト名:Surface Track Version 3,00D
・Load:100gf
・Scale:100%
・Sample Rate:1ms
・Samples:4000
・Max Inst Load:1000gf
4−3.筆記感
筆記性部材1の樹脂層側の面と反対側の面を、東レ社製の光学透明粘着シート(厚み100μm)を介してガラス板に貼り合わせたサンプルCを作製した。上記タッチパネルペン1〜6を用い、サンプルCの筆記性部材側の面に対して、自由な文字及び図形等を30秒間筆記した。
筆記を終了した後、筆記感が良好と感じるものを2点、どちらともいえないものを1点、筆記感が良好ではないと感じたものを0点として、25人(10歳台が5人、20歳台が5人、30歳台が5人、40歳台が5人、50歳台が5人)が評価を行った。25人の平均点が1.6点以上のものを「A」、1.2点以上1.6点未満のものを「B」、1.0点以上1.2点未満のものを「C」、1.0点未満のものを「D」とした。結果を表1に示す。
筆記感の評価時の雰囲気は、温度は23℃±5℃、相対湿度40〜65%とした。なお、評価開始前に、サンプル及びタッチパネルペンを23℃±5℃、相対湿度40〜65%の雰囲気に10分以上放置した。
4−4.筆記の痕跡
上記4−1の摩耗量の測定後に、筆記性部材の表面をエタノール含浸ウエスで拭取り、蛍光灯の照明下で筆記性部材の表面に筆記の痕跡が残っているか否かを目視で評価した。その結果、筆記の痕跡が観察されないものを「A」、筆記の痕跡がわずかに観察されるものを「B」、筆記の痕跡がひどく観察されるものを「C」とした。結果を表1に示す。
表1に示すように、条件1を満たす筆記性部材とタッチパネルペンとの組み合わせは、筆記感の評価がA又はBである一方、条件1を満たさない筆記性部材とタッチパネルペンとの組み合わせは、筆記感の評価がC又はDとなっている。
該結果は、条件1を満たす、筆記性部材を備えたタッチパネルとタッチパネルペンとの組み合わせは、筆記感が良好であることを示している。また、該結果から、条件1を満たす筆記性部材を選択することは、筆記感を良好にできる筆記性部材の選択につながるといえる。
5.タッチパネルの作製
タッチパネルペン用筆記性部材1の樹脂層側の表面に、JIS C9606:1993の「付属書4 汚染布作成方法」に規定された汚染液を付着させた。次いで、筆記性部材1の基材側の面に、厚み20nmのITOの導電性膜をスパッタリング法で形成し、上部電極板とした。次いで、厚み1mmの強化ガラス板の一方の面に、厚み約20nmのITOの導電性膜をスパッタリング法で形成し、下部電極板とした。次いで、下部電極板の導電性膜を有する面に、スペーサー用塗布液として電離放射線硬化型樹脂(Dot Cure TR5903:太陽インキ社)をスクリーン印刷法によりドット状に印刷した後、高圧水銀灯で紫外線を照射して、直径50μm、高さ8μmのスペーサーを1mmの間隔で配列させた。
次いで、上部電極板と下部電極板とを、導電性膜どうしを対向するように配置させ、厚み30μm、幅3mmの両面接着テープで縁を接着し、抵抗膜式タッチパネル1を作製した。
抵抗膜式タッチパネル1に上記タッチパネルペン1〜6で筆記したところ、評価感に関する評価は、表1の評価と同様であった。
6.表示装置の作製
タッチパネルペン用筆記性部材1の樹脂層側の表面に、JIS C9606:1993の「付属書4 汚染布作成方法」に規定された汚染液を付着させた。次いで、該タッチパネルペン用筆記性部材1と、市販の超高精細液晶表示装置(シャープ製のスマートフォン、商品名:SH−03G、画素密度480ppi)とを、透明粘着剤を介して貼り合わせ、表示装置を作製した。なお、貼り合わせの際は、タッチパネルペン用筆記性部材の基材側の面が表示素子側を向くようにした。
得られた表示装置に上記タッチパネルペン1〜6で筆記したところ、評価感に関する評価は、表1の評価と同様であった。
本発明のタッチパネルシステム、タッチパネルペン用筆記性部材、タッチパネル、表示装置及びタッチパネルペンは、筆記感を良好にすることができる点で有用である。また、本発明のタッチパネルペン用筆記性部材の選別方法は、筆記性部材の製品設計、品質管理を効率良くできる点で有用である。
1:基材
2:樹脂層
10:タッチパネルペン用筆記性部材
20:透明基板
30:導電膜
40:スペーサー
50:X軸電極
60:Y軸電極
70:絶縁体層
81:回転台座
81c:回転台座の中心
82:重り
83:土台
84:保持具
92:可動台
93:重り
94:保持具
95:土台
100:タッチパネル
200:タッチパネルペン

Claims (6)

  1. 表面にタッチパネルペン用筆記性部材を有するタッチパネルと、タッチパネルペンとからなるタッチパネルシステムであって、下記条件1を満たす、タッチパネルシステム。
    <条件1>
    タッチパネルペン用筆記性部材の表面に、JIS C9606:1993の「付属書4 汚染布作成方法」に規定された汚染液を付着させる。汚染液を付着させたタッチパネルペン用筆記性部材を、汚染液を付着させた側の面が回転台座とは反対側を向くように回転台座に固定する。回転台座に固定したタッチパネルペン用筆記性部材の表面に対して、回転台座の中心から40mmの位置に、タッチパネルペンを90度の角度で接触させた状態で固定する。前記タッチパネルペンに荷重250gfをかけながら、前記回転台座を回転速度30rpmで1000回転させ、タッチパネルペン用筆記性部材とタッチパネルペンとの間を摺動させた際に、前記摺動によって削れたタッチパネルペンのペン先の摩耗量が1.5×10μm以上15×10μm以下を示す。
  2. 下記条件1を満たすものをタッチパネルペン用筆記性部材として選別する、タッチパネルペン用筆記性部材の選別方法。
    <条件1>
    タッチパネルペン用筆記性部材の表面に、JIS C9606:1993の「付属書4 汚染布作成方法」に規定された汚染液を付着させる。汚染液を付着させたタッチパネルペン用筆記性部材を、汚染液を付着させた側の面が回転台座とは反対側を向くように回転台座に固定する。回転台座に固定したタッチパネルペン用筆記性部材の表面に対して、回転台座の中心から40mmの位置に、タッチパネルペンを90度の角度で接触させた状態で固定する。前記タッチパネルペンに荷重250gfをかけながら、前記回転台座を回転速度30rpmで1000回転させ、タッチパネルペン用筆記性部材とタッチパネルペンとの間を摺動させた際に、前記摺動によって削れたタッチパネルペンのペン先の摩耗量が1.5×10μm以上15×10μm以下を示す。
  3. 下記条件1を満たす表面を有するタッチパネルペン用筆記性部材。
    <条件1>
    タッチパネルペン用筆記性部材の表面に、JIS C9606:1993の「付属書4 汚染布作成方法」に規定された汚染液を付着させる。汚染液を付着させたタッチパネルペン用筆記性部材を、汚染液を付着させた側の面が回転台座とは反対側を向くように回転台座に固定する。回転台座に固定したタッチパネルペン用筆記性部材の表面に対して、回転台座の中心から40mmの位置に、タッチパネルペンを90度の角度で接触させた状態で固定する。前記タッチパネルペンに荷重250gfをかけながら、前記回転台座を回転速度30rpmで1000回転させ、タッチパネルペン用筆記性部材とタッチパネルペンとの間を摺動させた際に、前記摺動によって削れたタッチパネルペンのペン先の摩耗量が1.5×10μm以上15×10μm以下を示す。
  4. 表面に筆記性部材を有するタッチパネルであって、前記筆記性部材として、請求項3に記載のタッチパネルペン用筆記性部材の前記条件1を満たす側の面がタッチパネルの表面を向くように配置してなるタッチパネル。
  5. 表示素子上にタッチパネルを有する表示装置であって、前記タッチパネルが請求項4に記載のタッチパネルである、タッチパネル付きの表示装置。
  6. ペン先を形成する組成物中に芳香族ポリイミドを含むタッチパネルペン。
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