JP2019112541A - 水性エマルジョン組成物用分散安定剤 - Google Patents
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Abstract
Description
[1]エチレン性不飽和ジカルボン酸の誘導体(a1)に由来する構造単位の含有量(X)が0.05モル%以上10モル%以下であり、けん化度が80.0モル%以上99.9モル%以下であり、ヘッドスペースガスクロマトグラフィーで測定した場合のメタノール含有量が3.0質量%未満であり、かつ、90℃、濃度5質量%の水溶液に不溶な成分の量が0.1ppm以上2000ppm未満である変性ビニルアルコール系重合体(A)を含有する、水性エマルジョン組成物用分散安定剤。
[2]前記エチレン性不飽和ジカルボン酸の誘導体(a1)が、エチレン性不飽和ジカルボン酸のモノエステル、ジエステル又は無水物である、前記[1]の水性エマルジョン組成物用分散安定剤。
[3]前記エチレン性不飽和ジカルボン酸の誘導体(a1)が、マレイン酸モノアルキルエステル、マレイン酸ジアルキルエステル、無水マレイン酸、フマル酸モノアルキルエステル、及びフマル酸ジアルキルエステルからなる群から選択される少なくとも1種である、前記[1]又は[2]の水性エマルジョン組成物用分散安定剤。
[4]前記エチレン性不飽和ジカルボン酸の誘導体(a1)に由来する構造単位の少なくとも一部が、下記式(I)
で表される構造単位であり、前記エチレン性不飽和ジカルボン酸の誘導体(a1)に由来する構造単位の含有量(X)と式(I)で表される構造単位の含有量(Y)の値が下記式(Q)を満たす、前記[1]〜[3]のいずれかの水性エマルジョン組成物用分散安定剤。
0.05≦Y/X<0.98 (Q)
[5]前記変性ビニルアルコール系重合体(A)は、目開き1.00mmの篩を通過する量が全体の95質量%以上である、前記[1]〜[4]のいずれかの水性エマルジョン組成物用分散安定剤。
[6]前記[1]〜[5]のいずれかの水性エマルジョン組成物用分散安定剤及びエチレン性不飽和単量体単位を含む重合体(B)を含み、ヘッドスペースガスクロマトグラフィーで測定した場合のメタノール含有量が0.1質量%未満である水性エマルジョン組成物。
[7]前記エチレン性不飽和単量体が、ビニルエステル系単量体、スチレン系単量体及びジエン系単量体からなる群から選択される少なくとも1種である、前記[6]の水性エマルジョン組成物。
本発明の水性エマルジョン組成物用分散安定剤(以下、単に「分散安定剤」ともいう)は、エチレン性不飽和ジカルボン酸の誘導体(a1)に由来する構造単位の含有量(X)が0.05モル%以上10モル%以下であり、けん化度が80.0モル%以上99.9モル%以下であり、ヘッドスペースガスクロマトグラフィーで測定した場合のメタノール含有量が3.0質量%未満であり、かつ、90℃、濃度5質量%の水溶液に不溶な成分の量が0.1ppm以上2000ppm未満である変性ビニルアルコール系重合体(A)(以下、「変性PVA(A)」と略記することがある。)を含有する。
変性PVA(A)のエチレン性不飽和ジカルボン酸の誘導体(a1)に由来する構造単位の含有量(X)は0.05モル%以上10モル%以下であることが重要であり、0.1モル%以上8.0モル%以下が好ましく、0.2モル%以上7.0モル%以下がより好ましく、0.3モル%以上5.0モル%以下が特に好ましい。変性PVA(A)は、例えば、エチレン性不飽和ジカルボン酸の誘導体(a1)とビニルエステル系単量体(a2)とを共重合させてビニルエステル系共重合体(A’)とし、ビニルエステル系共重合体(A’)をけん化することで得られる。エチレン性不飽和ジカルボン酸の誘導体(a1)に由来する構造単位の含有量(X)が0.05モル%未満の場合には、カルボン酸の導入量が少なく、多量に変性PVA(A)を添加しないと水性エマルジョン組成物の高粘度化が達成できず、工業的に不利である。一方、含有量(X)が10モル%を超える場合には、安定な水性エマルジョン組成物が得られない。また、水性エマルジョン組成物が得られたとしても、変性PVA(A)の製造時に架橋により水溶液に不溶な成分の量が多くなるため、水性エマルジョン組成物中にも水に不溶な成分の塊が生成し、水性エマルジョン組成物の塗工性が悪くなる。エチレン性不飽和ジカルボン酸の誘導体(a1)に由来する構造単位の含有量(X)は、けん化前のビニルエステル系共重合体(A’)の1H−NMR解析により算出できる。
<検量線の作成>
イソプロピルアルコールを内部標準として、メタノール含有量が既知の水溶液を3種類準備し、ヘッドスペースサンプラー(Turbo Matrix HS40、Parkin Elmer社製)を装着したガスクロマトグラフ(GC−2010、島津製作所製)を用いて測定を行い、検量線を作成する。
<変性PVA(A)中に存在するメタノール含有量の測定>
蒸留水を1000mLメスフラスコの標線に合わせて採取し、内部標準液のイソプロピルアルコールをメスピペットにて0.1mL添加し、よく撹拌する。この液を「溶解液」とする。次に変性PVA(A)500mgをヘッドスペースガスクロマトグラフィー測定用のバイアル瓶中に秤量し、撹拌子を投入した後、前記溶解液をホールピペットで10mL測りとり、バイアル瓶中に投入する。キャップをバイアル瓶に取り付け、ロックがかかるまで締め付けた後、バイアル瓶をホットスターラー上に乗せて、変性PVA(A)を加熱溶解する。変性PVA(A)が完全に溶解したことを目視で確認後、ヘッドスペースガスクロマトグラフィー測定を行い、前記のようにして作成した検量線から変性PVA(A)中のメタノール含有量を決定する。
20℃に設定した水浴中に、撹拌機及び還流冷却管を装着した500mLのフラスコを準備し、蒸留水を285g投入して、300rpmで撹拌を開始する。変性PVA(A)15gを秤量し、フラスコ中に該変性PVA(A)を徐々に投入する。変性PVA(A)を全量(15g)投入したのち、直ちに30分程度かけて水浴の温度を90℃まで上昇させる。温度が90℃に到達後、さらに60分間300rpmで撹拌しながら溶解を継続した後、未溶解で残留する粒子(未溶解粒子)を目開き63μmの金属製フィルターで濾過する。フィルターを90℃の温水でよく洗浄し、付着した溶液を取り除いた後、フィルターを120℃の加熱乾燥機で1時間乾燥する。こうして採取した未溶解粒子の質量から、水溶液に不溶な成分の量が決定される。
で表される構造単位であり、前記エチレン性不飽和ジカルボン酸の誘導体(a1)に由来する構造単位の含有量(X)(以下、変性量(X)ともいう。)と式(I)で表される構造単位の含有量(Y)(以下、変性量(Y)ともいう。)が下記式(Q)を満たすことが、水溶液に不溶な成分の量を抑制できる面で好ましい。
0.05≦Y/X<0.98 (Q)
Y/Xが前記式(Q)で示される範囲を満たすことにより、前記水溶液に不溶な成分の量が低減された変性PVA(A)を工業的に容易に製造することが可能となり、得られる水性エマルジョン組成物は塗工性にも優れる。前記Y/Xの下限は0.06以上であることがより好ましい。一方、Y/Xの上限は0.80以下であることがより好ましく、0.60以下であることがさらに好ましく、0.40以下が特に好ましい。なお、式(I)で表される構造単位の含有量(Y)とは、変性PVA(A)の主鎖を構成する単量体単位の総モル数に対する式(I)の構造単位のモル数の比である。
当該水性エマルジョン組成物用分散安定剤の製造方法は特に限定されないが、例えば変性PVA(A)を製造する工程及び変性PVA(A)を水に溶解する工程を備える。
以下、本発明の水性エマルジョン組成物用分散安定剤に用いる変性PVA(A)の製造方法について、詳細に説明する。なお、これらの実施態様に限定されるものではない。
製造上の観点から飽和炭化水素系の溶媒を必要としない(1)又は(2)の方法が好ましく、メタノール含有量を低減させる観点から(2)がより好ましい。さらに、(2)の製造方法は、後に続く洗浄工程及び乾燥工程を従来よりも弱めて行う場合においてもメタノール含有量が低減され、かつ、水溶液に不溶な成分も微量にでき、工業的に有利である点から好ましい。前記(2)において、メタノールを含む溶媒中に溶解しているビニルエステル系共重合体(A’)及びその部分けん化物の濃度は8.0質量%未満が好ましく、5.0質量%未満がより好ましく、4.0質量%未満がさらに好ましい。
本発明の水性エマルジョン組成物用分散安定剤、及びエチレン性不飽和単量体単位を含む重合体(B)を含み、ヘッドスペースガスクロマトグラフィーで測定した場合のメタノール含有量が0.1質量%未満である水性エマルジョン組成物も本発明の好適な実施態様である。前記メタノール含有量は0.07質量%未満が好ましく、0.05質量%未満がより好ましく、0.03質量%未満がさらに好ましい。
<水性エマルジョン組成物中に存在するメタノール含有量の測定>
水性エマルジョン組成物10mLをヘッドスペースガスクロマトグラフィー測定用のバイアル瓶中に秤量し、ヘッドスペースガスクロマトグラフィー測定を行い、変性PVA(A)のメタノール含有量分析で使用した検量線と同様にして作成した検量線から水性エマルジョン組成物中のメタノール含有量を決定する。
本発明の水性エマルジョン組成物は、エチレン性不飽和単量体単位を含む重合体(B)を分散質として含有する。前記エチレン性不飽和単量体としては、例えばビニルエステル系単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単量体、α,β−不飽和モノ又はジカルボン酸系単量体、ジエン系単量体、オレフィン系単量体、(メタ)アクリルアミド系単量体、ニトリル系単量体、芳香族ビニル系単量体、複素環式ビニル系単量体、ビニルエーテル系単量体、アリル系単量体、多官能性アクリレート系単量体等が挙げられる。これらは1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。中でも、ビニルエステル系単量体、スチレン系単量体及びジエン系単量体からなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましく、ビニルエステル系単量体がより好ましい。ただし、重合体(B)は、ポリビニルアルコールではない。
本発明の水性エマルジョン組成物の製造方法は特に限定されないが、(i)本発明の分散安定剤の存在下、エチレン性不飽和単量体を乳化重合する方法、(ii)エチレン性不飽和単量体単位を含む重合体(B)を含有する水性エマルジョン組成物を作製後に変性PVA(A)を添加する方法などが挙げられる。特に前記(i)の製造方法に関して、以下に説明する。
変性PVA(A)の粘度平均重合度はJIS K 6726:1994に準じて測定した。具体的には、変性PVAのけん化度が99.5モル%未満の場合には、けん化度99.5モル%以上になるまでけん化し、得られた変性PVAについて、水中、30℃で測定した極限粘度[η](リットル/g)を用いて下記式により粘度平均重合度(P)を求めた。
P=([η]×104/8.29)(1/0.62)
変性PVAのけん化度は、JIS K 6726:1994に記載の方法により求めた。
1H−NMRスペクトル解析によって、変性種のスペクトルから算出した。
[式(I)で表される構造単位の含有量(Y)]
ジメチルスルホキシド溶媒で測定した1H−NMRスペクトル解析において6.8〜7.2ppmに検出されるスペクトルから算出した。
実施例及び比較例の変性PVA中に存在するメタノール含有量はヘッドスペースガスクロマトグラフィーを用いて、以下の方法で決定した。
<検量線の作成>
イソプロピルアルコールを内部標準として、メタノール含有量が既知の水溶液を3種類準備し、ヘッドスペースサンプラー(Turbo Matrix HS40、Parkin Elmer社製)を装着したガスクロマトグラフ(GC−2010、島津製作所製)を用いて測定を行い、検量線を作成する。
<変性PVA(A)中に存在するメタノール含有量の測定>
蒸留水を1000mLメスフラスコの標線に合わせて採取し、内部標準液のイソプロピルアルコールをメスピペットにて0.1mL添加し、よく撹拌する。この液を「溶解液」とする。次に、試料として実施例及び比較例の変性PVA(A)500mgをヘッドスペースガスクロマトグラフィー測定用のバイアル瓶中に秤量し、撹拌子を投入した後、前記溶解液をホールピペットで10mL測りとり、バイアル瓶中に投入する。キャップをバイアル瓶に取り付け、ロックがかかるまで締め付けた後、バイアル瓶をホットスターラー上に乗せて、試料の変性PVA(A)を加熱溶解する。変性PVA(A)が完全に溶解したことを目視で確認後、ヘッドスペースガスクロマトグラフィー測定を行い、前記のようにして作成した検量線から変性PVA(A)中のメタノール含有量を決定した。
20℃に設定した水浴中に、撹拌機及び還流冷却管を装着した500mLのフラスコを準備し、蒸留水を285g投入して、300rpmで撹拌を開始する。実施例及び比較例の変性PVA(A)15gを秤量し、フラスコ中に該変性PVAを徐々に投入する。変性PVA(A)を全量(15g)投入したのち、直ちに30分程度かけて水浴の温度を90℃まで上昇させる。温度が90℃に到達後、さらに60分間300rpmで撹拌しながら溶解を継続した後、未溶解で残留する粒子(未溶解粒子)を目開き63μmの金属製フィルターで濾過する。フィルターを90℃の温水でよく洗浄し、付着した溶液を取り除いた後、フィルターを120℃の加熱乾燥機で1時間乾燥する。こうして採取した未溶解粒子の質量から、水溶液に不溶な成分の量を決定した。
JIS Z 8815:1994に記載の乾式篩法により、実施例及び比較例で得られた変性PVA(A)の粒度分布を測定した。実施例及び比較例で得られた変性PVA(A)を目開き1.00mmの篩(フィルター)にかけて、篩をパスした変性PVA(A)の質量を測定し、篩にかける前の変性PVA(A)の質量から、篩をパスした変性PVA(A)粒子の割合(質量%)を算出した。同様に、実施例及び比較例で得られた変性PVA(A)を目開き500μmの篩(フィルター)にかけて、篩をパスした変性PVA(A)の質量を測定し、篩にかける前の変性PVA(A)の質量から、篩をパスした変性PVA(A)粒子の割合(質量%)を算出した。なお、前記目開きは、JIS Z 8801−1−2006の公称目開きWに準拠する。
還流冷却器、原料供給ライン、温度計、窒素導入口、及び撹拌翼を備えた重合容器(連続重合装置;以下、「重合槽」という。)と、還流冷却器、原料供給ライン、反応液取出ライン、温度計、窒素導入口及び撹拌翼を備えた装置を用いた。重合槽に酢酸ビニル(VAM)876L/hr、メタノール(MeOH)157L/hr、変性種としてマレイン酸モノメチル(MMM)の20%メタノール溶液12.9L/hr、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)(AMV)の2%メタノール溶液13.6L/hrを定量ポンプを用いて連続的に供給した。重合槽内の液面が一定になるように重合槽から重合液を連続的に取り出した。重合槽から取り出される重合液中の酢酸ビニルの重合率が43%になるように調整した。重合槽の滞留時間は4時間であった。重合槽から取り出された重合液の温度は63℃であった。重合槽から重合液を取り出し、当該重合液にメタノール蒸気を導入することで未反応の酢酸ビニルの除去を行い、ビニルエステル系共重合体(PVAc)のメタノール溶液(濃度32%)を得た。
表1及び表2に記載した条件に変更したこと以外は、合成例1のPVA−1の製造方法と同様の方法により、PVA−2〜PVA−10を得た。得られた変性PVAの分析結果を表2に示す。
(水性エマルジョン用分散安定剤の調製、水性エマルジョン組成物の製造)
還流冷却器、滴下ロート、温度計及び窒素吹込口を備えた1リットルガラス製重合容器に、イオン交換水を292.0g、PVA−1を10.7g、酢酸ナトリウムを0.2g仕込み90℃で1時間撹拌し完全に溶解して水性エマルジョン用分散安定剤の水溶液を得た。次に、この分散安定剤の水溶液を冷却、窒素置換後、200rpmで撹拌しつつ80℃に昇温した後、2%過硫酸カリウム水溶液9.6gを添加し、酢酸ビニル163.6gを4時間かけて連続的に滴下し、乳化重合を開始した。乳化重合開始30分後から2%過硫酸カリウム8.6gと5%のPVA−1水溶液114gを4時間連続的に滴下し、乳化重合を完結させた。水性エマルジョン組成物として、固形分濃度29.5%の酢酸ビニルエマルジョンが得られた。得られた水性エマルジョン組成物について、以下の基準により粘度、メタノール含有量及び塗工性を評価した。結果を表3に示す。
得られた水性エマルジョン組成物について、BH型粘度計(東機産業社のBII型粘度計)を用いて、30℃、2rpmの条件下における粘度を測定した。
得られた水性エマルジョン組成物中に存在するメタノール含有量をヘッドスペースガスクロマトグラフィーを用いて、以下の方法で決定した。
<検量線の作成>
イソプロピルアルコールを内部標準として、メタノール含有量が既知の水溶液を3種類準備し、ヘッドスペースサンプラー(Turbo Matrix HS40、Parkin Elmer社製)を装着したガスクロマトグラフ(GC−2010、島津製作所製)を用いて測定を行い、検量線を作成する。
<水性エマルジョン組成物中に存在するメタノール含有量の測定>
得られた水性エマルジョン組成物を10mg測りとり、バイアル瓶中に投入する。キャップをバイアル瓶に取り付け、ロックがかかるまで締め付けた後、ヘッドスペースガスクロマトグラフィーにて測定を行い、前記のようにして作成した検量線から水性エマルジョン組成物中のメタノール含有量を決定した。
塗工用ハンドローラーを用いて、平滑な木板上に得られた水性エマルジョン組成物を塗布した。目視で異物のあり、なしを評価した。
A:異物なし
B:異物あり
(分散安定剤の調製、水性エマルジョン組成物の調製)
前記用いたPVA−1の種類を表3に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして水性エマルジョン用分散安定剤を調製し、水性エマルジョン組成物を製造した。得られた水性エマルジョン組成物の固形分濃度を表3に示す。得られた水性エマルジョン組成物について、実施例1と同様の方法により粘度、メタノール含有量及び塗工性を評価した。結果を表3に示す。なお、比較例3のPVA−8は水溶液に不溶な成分が多かったため、水性エマルジョン組成物の製造を中断した。比較例5のPVA−10は水溶液に不溶な成分が多く、また、変性量が多かったため、水性エマルジョン組成物の製造途中で重合安定性が悪くなり、重合を中断した。
(分散安定剤の調製、水性エマルジョン組成物の調製)
還流冷却器、滴下ロート、温度計及び窒素吹込口を備えた1リットルガラス製重合容器に、イオン交換水を270g、PVA−5を30g入れ、90℃で1時間撹拌し、完全に溶解して水性エマルジョン用分散安定剤の水溶液を得た。得られた分散安定剤の水溶液70gと、比較例1で得られた水性エマルジョン組成物30gとを混合し、新たな水性エマルジョン組成物を製造した。得られた水性エマルジョン組成物の固形分濃度を表3に示す。得られた水性エマルジョン組成物について、実施例1と同様の方法により粘度、メタノール含有量及び塗工性を評価した。結果を表3に示す。
Claims (7)
- エチレン性不飽和ジカルボン酸の誘導体(a1)に由来する構造単位の含有量(X)が0.05モル%以上10モル%以下であり、けん化度が80.0モル%以上99.9モル%以下であり、ヘッドスペースガスクロマトグラフィーで測定した場合のメタノール含有量が3.0質量%未満であり、かつ、90℃、濃度5質量%の水溶液に不溶な成分の量が0.1ppm以上2000ppm未満である変性ビニルアルコール系重合体(A)を含有する、水性エマルジョン組成物用分散安定剤。
- 前記エチレン性不飽和ジカルボン酸の誘導体(a1)が、エチレン性不飽和ジカルボン酸のモノエステル、ジエステル又は無水物である、請求項1に記載の水性エマルジョン組成物用分散安定剤。
- 前記エチレン性不飽和ジカルボン酸の誘導体(a1)が、マレイン酸モノアルキルエステル、マレイン酸ジアルキルエステル、無水マレイン酸、フマル酸モノアルキルエステル、及びフマル酸ジアルキルエステルからなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1又は2に記載の水性エマルジョン組成物用分散安定剤。
- 前記変性ビニルアルコール系重合体(A)は、目開き1.00mmの篩を通過する量が全体の95質量%以上である、請求項1〜4のいずれかに記載の水性エマルジョン組成物用分散安定剤。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の水性エマルジョン組成物用分散安定剤及びエチレン性不飽和単量体単位を含む重合体(B)を含み、ヘッドスペースガスクロマトグラフィーで測定した場合のメタノール含有量が0.1質量%未満である水性エマルジョン組成物。
- 前記エチレン性不飽和単量体が、ビニルエステル系単量体、スチレン系単量体及びジエン系単量体からなる群から選択される少なくとも1種である、請求項6に記載の水性エマルジョン組成物。
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