JP2019112522A - 樹脂組成物及び樹脂成形体の製造方法 - Google Patents

樹脂組成物及び樹脂成形体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】シリコーンオイルを高濃度で含有し、かつブリードすることがない樹脂組成物を提供する。【解決手段】本発明の樹脂組成物は、熱可塑性樹脂と、シリコーンガムと、シリコーンオイルとを含み、前記熱可塑性樹脂の含有量が40質量%以上であり、前記シリコーンオイルの含有量が10質量%以上である。【選択図】なし

Description

本発明は、樹脂組成物及び樹脂成形体の製造方法に関するものである。
熱可塑性樹脂を用いて樹脂成形品やフィルム、繊維などを形成する際に、滑り性や撥水性を持たせるために熱可塑性樹脂にシリコーンオイルを練り込んだり、成形時に熱可塑性樹脂のペレットにシリコーンオイルを塗布して成形することは従来から行われている。
一般に練り込みする場合は、シリコーンオイルを高濃度に添加したマスターバッチを作製してからニートレジンとマスターバッチを混合して成形することが多い。しかし、シリコーンオイルを高濃度に添加したマスターバッチの製造は難しく、シリコーンオイルを数%から10%程度までしか練り込むことが出来なかった。仮に10%を超える濃度で練り込んだとしてもマスターバッチの製造工程が安定しなかったり、時間が経つにつれてシリコーンオイルがブリードしてペレットがべたついたりシリコーンオイルが滴ったりしてしまい、実用的なマスターバッチの作製は非常に困難であった。
またマスターバッチにおけるシリコーンオイルの濃度が10%以下であっても、成形時に溶融した時点でシリコーンオイルが急激にブリードして成形機の軸に絡み、樹脂が成形機の軸に対してスリップしてしまい、樹脂を安定して押し出せなくなり成形が困難になる場合が多かった。
マスターバッチを用いない場合は、マスターバッチにより添加できる量よりも少量のシリコーンオイルしか樹脂ペレットに塗布することが出来ず、そのうえシリコーンオイルを塗布したペレットがホッパー中でブロッキングしたり、シリコーンオイルが滴り落ちて均一な組成の成形品を得るのが難しかったり、滴り落ちたシリコーンオイルが成形機の軸に絡みスリップを引き起こし安定した原料供給が出来ず成形が困難な場合が多かった。
特開昭61−254644号公報 特開平11−342750号公報
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、シリコーンオイルを高濃度で含有し、かつブリードすることがない樹脂組成物を提供することにある。
本願発明者らはシリコーンオイルを樹脂に安定して担持させるための手法を検討した結果、高分子量のシリコーンガムをシリコーンオイルの担持体として用いることで熱可塑性樹脂中に安定してシリコーンオイルを担持させることが可能なことを見出した。
本発明の樹脂組成物は、熱可塑性樹脂と、シリコーンガムと、シリコーンオイルとを含み、前記熱可塑性樹脂の含有量が40質量%以上であり、前記シリコーンオイルの含有量が10質量%以上である構成を有している。
前記シリコーンオイルがブリードしない樹脂組成物を得るという観点から、前記シリコーンガムの含有量が前記シリコーンオイルの含有量の1/4以上であることが好ましい。
前記シリコーンガムと前記シリコーンオイルとは、同じ種類の変性基を有していることが好ましい。同じ種類の変性基を有しているとは、シリコーンガムがアルキル変性基を有している場合、シリコーンオイルもアルキル変性基を有している、というように、双方の有している変性基の官能基が同じであることを意味している。
また、シリコーンガムとシリコーンオイルはシロキサン骨格に結合している有機基が同組成であると、相溶性があるため好ましい。ただし、シリコーンガムとシリコーンオイルとに相溶性があれば、シロキサン骨格に結合している有機基が異なる組成のものでも構わない。
本発明の樹脂成形体の製造方法は、希釈用の熱可塑性樹脂を準備する工程と、前記希釈用の熱可塑性樹脂と、上述の樹脂組成物とを混合して混合物を形成する混合工程と、前記混合物から成形体を形成する成形工程とを含む構成を有している。
本発明の樹脂組成物は、シリコーンガムとシリコーンオイルとを熱可塑性樹脂に混合させているので、シリコーンオイルが10質量%以上含有されていてもシリコーンオイルのブリードがなく、これを熱可塑性樹脂によって希釈して成形品を形成する際にも安定して成形を行うことが出来る。
実施形態について説明を行う前に、本発明に至った経緯について説明を行う。
特許文献1には、4−メチル−1−ペンテンに、25℃における粘度が50〜8×10センチポアズのシリコーンオイルを混合させ、シリコーンオイルはその混合物全体の2〜60重量%を占めるすべり性改良剤が開示されているが、これは4−メチル−1−ペンテンという特殊な合成樹脂に限定されるすべり性改良剤である。
特許文献2には、オレフィン系熱可塑性エラストマーにシリコーンオイルを混合させ、シリコーンオイルはその混合物全体の10〜25wt%を占めるグラスラン用表面処理材料が開示されているが、異なるシリコーン成分を複数使用した記載はない。
また、特許文献1,2のいずれにも、熱可塑性樹脂とシリコーンガムとシリコーンオイルとの混合物は開示されていない。
本発明者らは、種々の熱可塑性樹脂に多量のシリコーンオイルを容易に含有させる方法を検討し、本発明を想到するに至った。
以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
実施形態に係る樹脂組成物は、熱可塑性樹脂と、シリコーンガムと、シリコーンオイルとを含み、前記熱可塑性樹脂の含有量が40質量%以上であり、前記シリコーンオイルの含有量が10質量%以上である。より好ましくは、熱可塑性樹脂の含有量が50質量%以上、シリコーンオイルの含有量が20質量%以上であり、さらに好ましくは熱可塑性樹脂の含有量が55質量%以上、シリコーンオイルの含有量が30質量%以上である。熱可塑性樹脂の含有量が40質量%未満では、樹脂組成物が柔らか過ぎたり、目やに等のトラブルが発生したりする。シリコーンオイルの含有量が10質量%未満では、本発明の樹脂組成物をマスターバッチとして用いる場合、生産性が低下する。シリコーンオイルの含有量の上限については特に制限はないが、ベントアップの懸念や、軟化しすぎることでの加工工程の安定性の観点から、40質量%以下が好ましい。
熱可塑性樹脂としては特に種類は限定されないが、シリコーンオイルの熱分解温度よりも低い温度で加工出来る樹脂が好ましく、ポリオレフィン系樹脂(ポリエチレン(PE)樹脂(高密度ポリエチレン(HDPE)樹脂、低密度ポリエチレン(LDPE)樹脂、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)樹脂)、ポリプロピレン(PP)樹脂(ホモPP樹脂、ランダムPP樹脂、ブロックPP樹脂、変性PP樹脂)、エチレン‐酢酸ビニル共重合(EVA)樹脂、熱可塑性エラストマー(TPE)等のオレフィン系エラストマー等)、アクリロニトリル‐ブタジエン−スチレン共重合(ABS)系樹脂、ポリスチレン(PS)系樹脂(汎用ポリスチレン(GPPS)樹脂、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)樹脂等)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリエステル系樹脂(ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂等)、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂等を好適な熱可塑性樹脂として挙げることができる。
シリコーンガムはガム状の固形物(流動性の低い液状物を含む)のシリコーンであって、後述する方法で測定した動粘度が10000mm/s以上のものである。シリコーンオイルは流動性のある液状物のシリコーンであって、動粘度が10000mm/s未満のものである。
ここでシリコーンとはポリオルガノシロキサンであって、ケイ素原子が酸素原子を介して他のケイ素原子と結合した構造に有機基が付加している高分子物質である。そしてポリオルガノシロキサンは分子量により性状が変わり、高分子量のものはガム状であり、低分子量のものはオイル状である。従来技術では、ポリオルガノシロキサンを性状に関わらず単にシリコーンオイルと表現しているものもあるが、本実施形態では性状の違いのみならず本実施形態の効果に大きく差を生じるためシリコーンガムとシリコーンオイルを分けて表現をしている。本実施形態では、ポリオルガノシロキサンの動粘度が10000mm/s以上のものをシリコーンガム、動粘度が10000mm/s未満のものをシリコーンオイルとする。
ポリオルガノシロキサンの骨格は、直鎖状、分岐状、環状でもよく、又はこれらを組み合わせたものでもよい。
シリコーンガムの具体的な例としては、ポリジメチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン、ポリメチルハイドロジェンシロキサン、アラルキル変性ポリジメチルシロキサン、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、アルキル変性ポリジメチルシロキサン、高級脂肪酸変性ポリジメチルシロキサン、フルオロアルキル変性ポリジメチルシロキサン、アミノ変性ポリジメチルシロキサン、エポキシ変性ポリジメチルシロキサン、カルビノール変性ポリジメチルシロキサン、カルボキシル変性ポリジメチルシロキサン、フェノール変性ポリジメチルシロキサン、シラノール変性ポリジメチルシロキサン等が挙げられる。これらは、単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。これらのうち、入手性や経済性の観点からポリジメチルシロキサンを用いることが好ましい。
シリコーンガムが含有する有機基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基及び3−クロロプロピル基等のアルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、フェニル基、キシリル基等のアリール基、ベンジル基、フェネチル基、3−フェニルプロピル基等のアラルキル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等のアルコキシ基、ポリエーテル基等の非反応性の有機基、カルビノール基、カルボキシル基、アミノ基、エポキシ基、ビニル基等の反応性の有機基が挙げられるが、非反応性の有機基が好ましい。反応性の有機基を含有するシリコーンガムを用いる場合は、他の物質と反応してシリコーンガムの性能が変化するおそれがあるため、反応しない条件で用いることが好ましい。
本実施形態で用いられるシリコーンガムの動粘度としては、シリコーンオイルを十分に包含すること、押出機から押し出した後のストランドの軟化が生じないこと、及びペレタイザーの刃への付着を防ぐという観点から10000mm/s以上であることが好ましい。
本実施形態で用いられるシリコーンガムの分子量としては10万以上であればよく、好ましくは20万以上である。シリコーンガムの分子量が10万未満の場合、シリコーンオイルの包含量が不十分になったり、ストランドが軟化してカットできなくなったり、ペレタイザーの刃に付着して刃の切れ味が悪くなってしまうおそれがある。
実施形態におけるシリコーンオイルの種類は特に限定されないが、例えば、シリコーンガムと同様にポリジメチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン、ポリメチルハイドロジェンシロキサン、アラルキル変性ポリジメチルシロキサン、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、アルキル変性ポリジメチルシロキサン、高級脂肪酸変性ポリジメチルシロキサン、フルオロアルキル変性ポリジメチルシロキサン、アミノ変性ポリジメチルシロキサン、エポキシ変性ポリジメチルシロキサン、カルビノール変性ポリジメチルシロキサン、カルボキシル変性ポリジメチルシロキサン、フェノール変性ポリジメチルシロキサン、シラノール変性ポリジメチルシロキサン等を挙げることができる。
シリコーンオイルが含有する有機基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基及び3−クロロプロピル基等のアルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、フェニル基、キシリル基等のアリール基、ベンジル基、フェネチル基、3−フェニルプロピル基等のアラルキル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等のアルコキシ基、ポリエーテル基等の非反応性の有機基、カルビノール基、カルボキシル基、アミノ基、エポキシ基、ビニル基等の反応性の有機基が挙げられるが、非反応性の有機基が好ましい。反応性の有機基を含有するシリコーンオイルを用いる場合は、他の物質と反応してシリコーンオイルの性能が変化するおそれがあるため、反応しない条件で用いることが好ましい。
本実施形態で用いられるシリコーンオイルは、ポンプ等での搬送のしやすさ、加工温度での蒸散の少なさ、及びシリコーンガムへの包含性の観点から、動粘度が10000mm/s未満であり、動粘度が30mm/s以上1000mm/s以下の範囲のものがより好ましい。
本実施形態で用いられるシリコーンオイルは、分子量が10万未満であれば特に制限はないが、分子量が2万以下であることが好ましい。シリコーンオイルの分子量が10万を超えると、粘度が高くなってポンプ等での搬送が困難になり、加工性が悪くなるおそれがある。また、シリコンーンガムへの包含性が低下してシリコーンオイルを高濃度で添加することが難しくなるおそれがある。
また、本実施形態で用いられるシリコーンガムの含有量は、シリコーンオイルの含有量の1/4以上であることが好ましい。より好ましくは1/3以上であり、さらに好ましくは1/2以上である。シリコーンガムの含有量がシリコーンオイルの含有量の1/4未満の場合、包含できるシリコーンオイルの量が低下するため、シリコーンオイルがブリードしやすくなる。
さらに、本実施形態で用いられるシリコーンガムとシリコーンオイルが変性基を有している場合、相溶性の観点から両者の変性基は同じ種類であることが好ましい。
本実施形態に係る樹脂成形体の製造方法は、希釈用の熱可塑性樹脂を準備する工程と、前記希釈用の熱可塑性樹脂と、上述の本実施形態に係る樹脂組成物とを混合して混合物を形成する混合工程と、前記混合物から成形体を形成する成形工程とを含んでいる。
希釈用の熱可塑性樹脂の種類は特に限定されない。例えば、ポリオレフィン系樹脂(ポリエチレン(PE)樹脂(高密度ポリエチレン(HDPE)樹脂、低密度ポリエチレン(LDPE)樹脂、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)樹脂)、ポリプロピレン(PP)樹脂(ホモPP樹脂、ランダムPP樹脂、ブロックPP樹脂、変性PP樹脂)、エチレン‐酢酸ビニル共重合(EVA)樹脂、熱可塑性エラストマー(TPE)等のオレフィン系エラストマー等)、アクリロニトリル‐ブタジエン−スチレン共重合(ABS)系樹脂、ポリスチレン(PS)系樹脂(汎用ポリスチレン(GPPS)樹脂、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)樹脂等)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリエステル系樹脂(ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂等)、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂等を挙げることができる。希釈用の熱可塑性樹脂は、上述の本実施形態に係る樹脂組成物と構成する熱可塑性樹脂と相溶するものが好ましく、同じ種類(例えばポリオレフィン同士、ポリアミド同士など)であることがより好ましい。
混合工程において、希釈用の熱可塑性樹脂と上述の本実施形態に係る樹脂組成物との混合割合は特に限定されない。目的の性能が得られるように、最終的なシリコーンガム及びシリコーンオイルの含有量を設定し、それからマスターバッチのシリコーン濃度を換算して希釈倍率を設定すればよい。好ましくは、希釈用の熱可塑性樹脂が上述の本実施形態に係る樹脂組成物に対して質量換算で2倍以上50倍以下であることが好ましい。50倍を超えるとシリコーンオイルの濃度が低すぎてシリコーンの特性である滑り性や撥水性が十分に発現しないおそれがある。2倍未満であると、シリコーンガム及びシリコーンオイルが希釈用の熱可塑性樹脂に均一に分散せず成型性が悪化し、生産コストが大きくなるおそれがある。また、希釈用の熱可塑性樹脂は複数種類を混合して用いてもよい。さらに、希釈用の熱可塑性樹脂と上述の本実施形態に係る樹脂組成物以外に炭酸カルシウムやタルクなどの無機フィラーや紫外線遮蔽剤、酸化防止剤等を混合させてもよい。
成形工程は、射出成形、押出成形、ブロー成形及び繊維の紡糸等どのような成形方法でも構わない。
本実施形態に係る樹脂組成物は、シリコーンオイルを10質量%以上含んでいるとともにその状態でシリコーンオイルのブリードが無く、安定して貯蔵することができる。この樹脂組成物をマスターバッチとして用いて熱可塑性樹脂によって希釈を行った場合、成形も安定して行うことが出来る。そして成形された樹脂成形品にはマスターバッチの添加量によって適度な撥水性や滑り性が付与される。シリコーンガムも撥水性や滑り性等に寄与するため本実施形態に係る樹脂成形品はマスターバッチの添加量が少なくても所望の撥水性や滑り性を得ることができ、コストを下げることができる。また、本実施形態に係る樹脂組成物は、種々の熱可塑性樹脂にシリコーンガムとシリコーンオイルを加えることで形成できるので、様々な種類の熱可塑性樹脂を用いた樹脂成形品にマスターバッチとして添加して、撥水性や滑り性等を与えることができる。
以下に、実施例を挙げて本実施形態を詳細に説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。
(実施例1)
熱可塑性樹脂としてプライムポリマー社製ホモPP樹脂「J107G」、シリコーンガムとして旭化成ワッカーシリコーン社製「GENIOPLAST PELLET S」、シリコーンオイルとして信越化学社製「KF-96-30cs」をそれぞれ60質量%、20質量%、20質量%の割合で、池貝製2軸混練機PCM30(11ブロック)を用いて200℃にて混練してマスターバッチペレットを得た。このとき、熱可塑性樹脂とシリコーンガムはそれぞれペレットなので予めドライブレンドし混練機のホッパーに投入し、シリコーンオイルは混練機の第一区から液添注入した。工程は安定しており、シリコーンオイルが混練機の押出口から垂れ落ちる目ヤニという現象や、ベントアップなどはなく、また得られたペレットにブリードは無かった。
(実施例2)
熱可塑性樹脂としてプライムポリマー社製ホモPP樹脂「J107G」を70質量%、シリコーンガムとして旭化成ワッカーシリコーン社製「GENIOPLAST PELLET S」を10質量%、シリコーンオイルとして信越化学社製「KF-96-30cs」を20質量%の割合で実施例1と同様の工程で混練・押出を行い、マスターバッチペレットを得た。実施例1と同様に工程は安定しており、得られたペレットにブリードは無かった。
(実施例3)
熱可塑性樹脂としてプライムポリマー社製ホモPP樹脂「J107G」を55質量%、シリコーンガムとして旭化成ワッカーシリコーン社製「GENIOPLAST PELLET S」を15質量%、シリコーンオイルとして信越化学社製「KF-96-30cs」を30質量%の割合で実施例1と同様の工程で混練・押出を行い、マスターバッチペレットを得た。実施例1と同様に工程は安定しており得られたペレットにブリードは無かった。
(実施例4)
熱可塑性樹脂としてクラレ社製「セプトン2002」を72.5質量%、シリコーンガムとして旭化成ワッカーシリコーン社製「GENIOPLAST PELLET S」を12.5質量%、シリコーンオイルとして信越化学社製「KF-96-30cs」を15質量%の割合で実施例1と同様の工程で混練・押出を行い、マスターバッチペレットを得た。実施例1と同様に工程は安定しており得られたペレットにブリードは無かった。
(実施例5)
熱可塑性樹脂としてイーストマンケミカル社製変性PET「EB062」を65質量%、シリコーンガムとして旭化成ワッカーシリコーン社製「GENIOPLAST PELLET S」を25質量%、シリコーンオイルとして信越化学社製「KF-96-300cs」を10質量%の割合で、220℃にて混練した以外は実施例1と同様の工程で混練・押出を行い、マスターバッチペレットを得た。工程は、ストランドはやや凹凸があるものの目ヤニも無く安定しており得られたペレットにブリードは無かった。
(実施例6)
熱可塑性樹脂としてプライムポリマー社製ホモPP樹脂「J700GP」を60質量%、シリコーンガムを含有するPPコンパウンドとして信越化学社製「X22-2101」(PP:50質量%、シリコーンガム:50質量%)を20質量%(すなわち、実質的に熱可塑性樹脂が70質量%、シリコーンガムが10質量%となる)、シリコーンオイルとして信越化学社製「KF-96-30cs」を20質量%の割合で、実施例1と同様の工程で混練・押出を行い、マスターバッチペレットを得た。実施例1と同様に工程は安定しており得られたペレットにブリードは無かった。
(実施例7)
熱可塑性樹脂として東レ社製ポリアミド66樹脂「CM3001M」を60質量%、シリコーンガムとして旭化成ワッカーシリコーン社製「GENIOPLAST PELLET S」を20質量%、シリコーンオイルとして信越化学社製「KF-96-30cs」を20質量%の割合で、実施例1と同様の工程で混練・押出を行い、マスターバッチペレットを得た。混練機の温度は275℃に設定した。実施例1と同様に工程は安定しており得られたペレットにブリードは無かった。
(実施例8)
熱可塑性樹脂としてプライムポリマー社製ホモPP樹脂「J700GP」を70質量%、シリコーンガムを含有するPPコンパウンドとして信越化学社製「X22-2101」(PP:50質量%、シリコーンガム:50質量%)を10質量%(すなわち、実質的に熱可塑性樹脂が75質量%、シリコーンガムが5質量%となる)、シリコーンオイルとして信越化学社製「KF-96-30cs」を20質量%の割合で、実施例1と同様の工程で混練・押出を行い、マスターバッチペレットを得た。実施例1と同様に工程は安定しており得られたペレットにブリードは無かった。
(実施例9)
熱可塑性樹脂としてプライムポリマー社製ホモPP樹脂「J700GP」を72質量%、シリコーンガムを含有するPPコンパウンドとして信越化学社製「X22-2101」(PP:50質量%、シリコーンガム:50質量%)を8質量%(すなわち、実質的に熱可塑性樹脂が76質量%、シリコーンガムが4質量%となる)、シリコーンオイルとして信越化学社製「KF-96-30cs」を20質量%の割合で、実施例1と同様の工程で混練・押出を行い、マスターバッチペレットを得た。実施例1と同様に工程は安定していたが、得られたペレットに若干ブリードが見られた。
(比較例1)
熱可塑性樹脂としてプライムポリマー社製ホモPP樹脂「J107G」、シリコーンオイルとして信越化学社製「KF-96-30cs」を用いてそれぞれ90質量%、10質量%の割合で、池貝製2軸混練機PCM30(11ブロック)を用いて200℃にて混練した。ホッパーにはJ107Mのみを投入し、シリコーンオイルは混練機の第一区から液添注入した。混練は樹脂の吐出が安定せずストランドも凸凹でノズルから大量に目ヤニが発生しストランド冷却水に油膜が多量に発生した。ペレットを安定的に採取することは出来なかった。採取したペレットサンプルは若干シリコーンオイルがブリードしていた。
(比較例2)
熱可塑性樹脂としてプライムポリマー社製ホモPP樹脂「J107G」を95質量%、シリコーンオイルとして信越化学社製「KF-96-30cs」を5質量%の割合で、実施例1と同様に混練・押出を行い、マスターバッチペレットを得た。混練は比較的安定して行うことができたがノズルから目ヤニが発生しストランド冷却水に少し油膜が発生した。得られたペレットにブリードは無かった。
<樹脂組成物の2次加工性>
得られた実施例1−4,6,8,9及び比較例1,2の各シリコーンオイルマスターバッチをポリプロピレンと混合を行って、その後射出成形して成形性(2次加工性)を調査した。実施例5のシリコーンオイルマスターバッチは変性PET「EB062」と混合を行い、実施例7のシリコーンオイルマスターバッチはポリアミド66樹脂「CM3001M」と混合を行い、射出成形して成形性を調べた。
PPニートレジン(プライムポリマー社製ホモPP樹脂「J107G」)に実施例1−4,6,8,9及び比較例1,2の各マスターバッチを10質量%、20質量%、30質量%添加して射出成形(平板:8cm×8cm×3mm)したところ実施例1、2、3、4、6、8はどの添加率でも成形出来たが、比較例2は10質量%添加しか成形出来なかった。比較例2の20質量%以上の添加では、成形機シリンダー内でシリコーンオイルがブリードしたため、成形機の吐出が安定しなかった。実施例5のシリコーンオイルマスターバッチは変性PET「EB062」に10,20,30質量%となるように混合を行い、実施例7のシリコーンオイルマスターバッチはポリアミド66樹脂「CM3001M」に10,20,30質量%となるように混合を行い、同様に射出成形を行ったところ、実施例5,7もどの添加率でも成形できた。
工程安定性の評価は、○:ベントアップ、ノズルへの目やに発生がなく、安定して平滑なストランドが形成できる、△:ベントアップ、ノズルへの目やに発生がなく、安定しているが、ストランドに凹凸がある、×:ノズルへの目やにが多く、安定してストランドが形成できない、というものである。
ブリード性の評価は、○:ペレット表面に染み出しがなく、乾いた状態、△:ペレット表面に僅かに染み出しがある状態、×:ペレット表面に染み出しがあり、濡れた状態、というものである。
2次加工性評価は、○:いずれの添加量でも問題なく成型できる、△:10質量%の添加量では成型できたが、20質量%以上では成型できない、×:10質量%の添加量でも成型が安定せず、良品の成形品が採取できない、というものである。
なお、シリコーンガム、シリコーンオイルの動粘度は、JIS Z 8803に記載されている方法で、1g/100mlのトルエン溶液を調整して、比粘度ηSP(25℃)を求めることで測定をした。
Figure 2019112522

Claims (4)

  1. 熱可塑性樹脂と、シリコーンガムと、シリコーンオイルとを含み、
    前記熱可塑性樹脂の含有量が40質量%以上であり、前記シリコーンオイルの含有量が10質量%以上である、樹脂組成物。
  2. 前記シリコーンガムの含有量が前記シリコーンオイルの含有量の1/4以上である、請求項1に記載されている樹脂組成物。
  3. 前記シリコーンガムと前記シリコーンオイルとは、同じ種類の変性基を有している、請求項1又は2に記載されている樹脂組成物。
  4. 希釈用の熱可塑性樹脂を準備する工程と、
    前記希釈用の熱可塑性樹脂と、請求項1から3のいずれか一つに記載されている樹脂組成物とを混合して混合物を形成する混合工程と、
    前記混合物から成形体を形成する成形工程と
    を含む、樹脂成形体の製造方法。
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