JP2019111165A - ゴルフボール - Google Patents

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Abstract

【課題】打球感と、ロングアイアンでのショットにおける飛距離とに優れたゴルフボールの提供。【解決手段】ゴルフボールは、コア、インナーカバー、メインカバー及びアウターカバーを有する。このゴルフボールは、その表面に複数のディンプル12と、ランド14とを有する。このゴルフボールはさらに、ディンプル12及びランド14の表面に形成された多数の微小突起18を有する。ディンプル12の平均深さFavと微小突起18の平均高さHavとは、下記数式(3)を満たす。Hav <Fav ・ 0.05 (3)【選択図】図2

Description

本発明は、ゴルフボールに関する。詳細には、本発明は、コア、インナーカバー、メインカバー、アウターカバー及びディンプルを有するゴルフボールに関する。
ゴルフボールに対するゴルフプレーヤーの最大の関心事は、飛距離である。大きな飛距離が得られるゴルフボールは、好スコアに寄与しうる。
特開2013−9916公報には、コアとカバーとを有するゴルフボールが開示されている。このコアは、カルボン酸塩を含むゴム組成物が架橋されることで形成されている。このコアは、大きな飛距離に寄与しうる。
特開2013−248262公報には、コア、インナーカバー及びアウターカバーを有するゴルフボールが開示されている。このコアは、直線的な硬度分布を有する。このコアは、大きな飛距離に寄与しうる。
ゴルフクラブのフェースは、ロフト角を有している。このゴルフクラブでゴルフボールが打撃されると、ゴルフボールは、ロフト角に応じた打ち出し角度を伴って打ち出される。ゴルフボールにはさらに、ロフト角に起因するバックスピンが生じる。ゴルフボールは、バックスピンを伴って飛行する。
ゴルフボールは、その表面に多数のディンプルを備えている。ディンプルは、飛行時のゴルフボール周りの空気の流れを乱し、乱流剥離を起こさせる。この現象は、「乱流化」と称される。乱流化によって空気のゴルフボールからの剥離点が後方にシフトし、抗力が低減される。乱流化によってバックスピンに起因するゴルフボールの上側剥離点と下側剥離点とのズレが助長され、ゴルフボールに作用する揚力が高められる。抗力の低減及び揚力の向上は、「ディンプル効果」と称される。優れたディンプルは、よりよく空気の流れを乱す。優れたディンプルは、大きな飛距離を生む。
特開2015−142599公報には、粗さが大きな表面を有するゴルフボールが開示されている。この粗さは、ブラスト処理等によって形成されうる。この粗さは、ディンプルとの相乗効果により、ゴルフボールの空力特性を高める。
特開2011−72776公報には、粒子を含む塗料によって形成されたコーティングを有するゴルフボールが開示されている。この粒子は、ディンプルとの相乗効果により、ゴルフボールの空力特性を高める。
特開平2−68077号公報には、その底部に1つの凸部を有するディンプルを備えたゴルフボールが開示されている。この凸部を有するディンプルは、ゴルフボールの空力特性を高める。
ゴルフボールに対するゴルフプレーヤーの他の関心事は、打球感である。プレーヤーは概して、ソフトな打球感を好む。
特開2013−9916公報 特開2013−248262公報 特開2015−142599公報 特開2011−72776公報 特開平2−68077号公報
ゴルフプレーヤーは、飛行性能のさらなる向上を望んでいる。スイングスピードの速いプレーヤーは、特に、ロングアイアンで打撃されたときの飛距離に優れたゴルフボールを求めている。
本発明の目的は、打球感と、ロングアイアンでの打撃されたときの飛距離とに優れたゴルフボールの提供にある。
本発明に係るゴルフボールは、コアと、このコアの外側に位置するインナーカバーと、このインナーカバーの外側に位置するメインカバーと、このメインカバーの外側に位置するアウターカバーとを有する。このメインカバーにおける厚みT2(mm)とショアC硬度H2との積TH2、及びコアにおける半径(mm)の5%の値と表面のショアC硬度Hsとの積THsは、下記の数式(1)を満たす。
15≦ (TH2−THs) ≦ 100 (1)
インナーカバーにおける厚みT1(mm)とショアC硬度H1との積TH1、アウターカバーにおける厚みT3(mm)とショアC硬度H3との積TH3、及び積TH2は、下記数式(2)を満たす。
0.25 < ((TH1 + TH3) / 2) / TH2 <0.65 (2)
このゴルフボールは、複数のディンプルと、ランドと、このディンプル及び/又はランドの表面に形成された多数の微小突起をさらに有する。ディンプルの平均深さFavと微小突起の平均高さHavとは、下記数式(3)を満たすゴルフボール。
Hav <Fav ・ 0.05 (3)
好ましくは、厚みT2は、厚みT1と同じかこれよりも大きい。好ましくは、厚みT2は、厚みT3と同じかこれよりも大きい。
好ましくは、厚みT2は、1.00mm以上である。好ましくは、厚みT1は1.00mm以下である。好ましくは、厚みT3は、1.00mm以下である。
好ましくは、硬度H2は、90以上である。好ましくは、硬度H1は、70以下である。好ましくは、硬度H3は、70以下である。
好ましくは、ある微小突起とこの微小突起に隣接する他の微小突起との間のピッチPの平均値Pavは、10μm以上2000μm以下である。
好ましくは、ディンプルの平均面積Savと微小突起の底面の平均面積Qavとは、下記数式(4)を満たす。
Qav <Sav ・ 0.015 (4)
ゴルフボールが、本体とこの本体の外側に位置するペイント層とを有してもよい。好ましくは、微小突起は、本体の表面形状が反映された形状を有する。
本発明に係るゴルフボールのメインカバーでは、厚みT2とショアC硬度H2との積TH2が大きい。このメインカバーは、ゴルフボールの反発性能に寄与する。このメインカバーはさらに、ロングアイアンで打撃されたときのスピンを抑制しうる。優れた反発性能と、抑制されたスピンとは、ロングアイアンで打撃されたときの大きな飛距離を達成する。
このゴルフボールでは、インナーカバー及びアウターカバーがメインカバーを挟んでいるので、ソフトな打球感が達成される。換言すれば、インナーカバー及びアウターカバーが、メインカバーの欠点を補う。
このゴルフボールでは、微小突起が揚力を抑制する。アウターカバーはスピン速度を高めるが、微小突起が揚力を抑制するので、ロングアイアンでのショットにおいて、ゴルフボールのホップが抑制される。従って、大きな飛距離が達成される。換言すれば、微小突起がアウターカバーの欠点を補う。
このゴルフボールは、打球感と、ロングアイアンで打撃されたときの飛距離とに優れる。
図1は、本発明の一実施形態に係るゴルフボールが示された模式的断面図である。 図2は、図1のゴルフボールの一部が示された拡大断面図である。 図3は、図1のゴルフボールの表面の一部が示された拡大斜視図である。 図4は、図1のゴルフボールの一部が示された拡大断面図である。 図5は、図4のV−V線に沿った断面図である。
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
図1に示されたゴルフボール2は、球状のコア4と、このコア4の外側に位置するインナーカバー6と、このインナーカバー6の外側に位置するメインカバー8と、このメインカバー8の外側に位置するアウターカバー10とを有している。このゴルフボール2は、その表面に複数のディンプル12を有している。ゴルフボール2の表面のうちディンプル12以外の部分は、ランド14である。このゴルフボール2は、カバーの外側にペイント層及びマーク層を備えているが、これらの層の図示は省略されている。
このゴルフボール2の直径は、40mm以上45mm以下が好ましい。米国ゴルフ協会(USGA)の規格が満たされるとの観点から、直径は42.67mm以上が特に好ましい。空気抵抗抑制の観点から、直径は44mm以下がより好ましく、42.80mm以下が特に好ましい。
このゴルフボール2の質量は、40g以上50g以下が好ましい。大きな慣性が得られるとの観点から、質量は44g以上がより好ましく、45.00g以上が特に好ましい。USGAの規格が満たされるとの観点から、質量は45.93g以下が特に好ましい。
コア4は、ゴム組成物が架橋されることで形成されている。好ましい基材ゴムとして、ポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレン−ブタジエン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体及び天然ゴムが例示される。ロングアイアンで打撃されたときの飛距離の観点から、ポリブタジエンが好ましい。ポリブタジエンと他のゴムとが併用される場合、ポリブタジエンが主成分であることが好ましい。具体的には、全基材ゴムに対するポリブタジエンの比率は、50質量%以上が好ましく、80質量%以上が特に好ましい。シス−1,4結合の比率が80%以上であるポリブタジエンが、特に好ましい。
コア4のゴム組成物は、好ましくは、共架橋剤を含む。ゴルフボール2の耐久性及び反発性能の観点から好ましい共架橋剤は、炭素数が2から8であるα,β−不飽和カルボン酸の、1価又は2価の金属塩である。好ましい共架橋剤として、アクリル酸亜鉛、アクリル酸マグネシウム、メタクリル酸亜鉛及びメタクリル酸マグネシウムが例示される。ゴルフボール2の耐久性の観点、及びゴルフボール2がロングアイアンで打撃されたときの飛距離の観点から、アクリル酸亜鉛及びメタクリル酸亜鉛が特に好ましい。
ゴム組成物が、炭素数が2から8であるα,β−不飽和カルボン酸と、酸化金属とを含んでもよい。両者はゴム組成物中で反応し、塩が得られる。この塩が、共架橋剤として機能する。好ましいα,β−不飽和カルボン酸として、アクリル酸及びメタクリル酸が挙げられる。好ましい酸化金属として、酸化亜鉛及び酸化マグネシウムが挙げられる。
共架橋剤の量は、基材ゴム100質量部に対して10質量部以上45質量部以下が好ましい。この量が10質量部以上であるゴルフボール2は、反発性能に優れる。この観点から、この量は15質量部以上がより好ましく、20質量部以上が特に好ましい。この量が45質量部以上であるゴルフボール2は、打球感に優れる。この観点から、この量は40質量部以下がより好ましく、35質量部以下が特に好ましい。
好ましくは、コア4のゴム組成物は、有機過酸化物を含む。有機過酸化物は、架橋開始剤として機能する。有機過酸化物は、ゴルフボール2の耐久性に寄与し、かつゴルフボールがロングアイアンで打撃されたときの飛距離に寄与する。好適な有機過酸化物として、ジクミルパーオキサイド、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン及びジ−t−ブチルパーオキサイドが例示される。特に汎用性の高い有機過酸化物は、ジクミルパーオキサイドである。
有機過酸化物の量は、基材ゴム100質量部に対して0.1質量部以上3.0質量部以下が好ましい。この量が0.1質量部以上であるゴルフボール2は、反発性能に優れる。この観点から、この量は0.3質量部以上がより好ましく、0.5質量部以上が特に好ましい。この量が3.0質量部以下であるゴルフボール2は、打球感に優れる。この観点から、この量は2.5質量部以下がより好ましく、2.0質量部以下が特に好ましい。
好ましくは、コア4のゴム組成物は、有機硫黄化合物を含む。有機硫黄化合物は、ゴルフボール2がロングアイアンで打撃されたときの飛距離に寄与する。有機硫黄化合物には、ナフタレンチオール系化合物、ベンゼンチオール系化合物及びジスルフィド系化合物が含まれる。
ナフタレンチオール系化合物として、1−ナフタレンチオール、2−ナフタレンチオール、4−クロロ−1−ナフタレンチオール、4−ブロモ−1−ナフタレンチオール、1−クロロ−2−ナフタレンチオール、1−ブロモ−2−ナフタレンチオール、1−フルオロ−2−ナフタレンチオール、1−シアノ−2−ナフタレンチオール及び1−アセチル−2−ナフタレンチオールが例示される。
ベンゼンチオール系化合物として、ベンゼンチオール、4−クロロベンゼンチオール、3−クロロベンゼンチオール、4−ブロモベンゼンチオール、3−ブロモベンゼンチオール、4−フルオロベンゼンチオール、4−ヨードベンゼンチオール、2,5−ジクロロベンゼンチオール、3,5−ジクロロベンゼンチオール、2,6−ジクロロベンゼンチオール、2,5−ジブロモベンゼンチオール、3,5−ジブロモベンゼンチオール、2−クロロ−5−ブロモベンゼンチオール、2,4,6−トリクロロベンゼンチオール、2,3,4,5,6−ペンタクロロベンゼンチオール、2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゼンチオール、4−シアノベンゼンチオール、2−シアノベンゼンチオール、4−ニトロベンゼンチオール及び2−ニトロベンゼンチオールが例示される。
ジスルフィド系化合物として、ジフェニルジスルフィド、ビス(4−クロロフェニル)ジスルフィド、ビス(3−クロロフェニル)ジスルフィド、ビス(4−ブロモフェニル)ジスルフィド、ビス(3−ブロモフェニル)ジスルフィド、ビス(4−フルオロフェニル)ジスルフィド、ビス(4−ヨードフェニル)ジスルフィド、ビス(4−シアノフェニル)ジスルフィド、ビス(2,5−ジクロロフェニル)ジスルフィド、ビス(3,5−ジクロロフェニル)ジスルフィド、ビス(2,6−ジクロロフェニル)ジスルフィド、ビス(2,5−ジブロモフェニル)ジスルフィド、ビス(3,5−ジブロモフェニル)ジスルフィド、ビス(2−クロロ−5−ブロモフェニル)ジスルフィド、ビス(2−シアノ−5−ブロモフェニル)ジスルフィド、ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)ジスルフィド、ビス(2−シアノ−4−クロロ−6−ブロモフェニル)ジスルフィド、ビス(2,3,5,6−テトラクロロフェニル)ジスルフィド、ビス(2,3,4,5,6−ペンタクロロフェニル)ジスルフィド及びビス(2,3,4,5,6−ペンタブロモフェニル)ジスルフィドが例示される。
反発性能の観点から、有機硫黄化合物の量は、基材ゴム100質量部に対して0.1質量部以上が好ましく、0.2質量部以上がより好ましく、0.3質量部以上が特に好ましい。ソフトな打球感の観点から、この量は1.5質量部以下が好ましく、1.0質量部以下がより好ましく、0.8質量部以下が特に好ましい。2以上の有機硫黄化合物が、併用されてもよい。
好ましくは、コア4のゴム組成物は、カルボン酸又はカルボン酸塩を含む。カルボン酸及びカルボン酸塩は、コア4の硬度分布の適正化に寄与しうる。好ましいカルボン酸として、安息香酸が挙げられる。好ましいカルボン酸塩として、オクタン酸亜鉛及びステアリン酸亜鉛が挙げられる。特に好ましい化合物は、安息香酸である。
カルボン酸及びカルボン酸塩の量は、基材ゴム100質量部に対して0.5質量部以上が好ましく、0.8質量部以上がより好ましく、1.0質量部以上が特に好ましい。この量は、20質量部以下が好ましく、15質量部以下がより好ましく、10質量部以下が特に好ましい。
コア4のゴム組成物が、比重調整等を目的とした充填剤を含んでもよい。好適な充填剤として、酸化亜鉛、硫酸バリウム、炭酸カルシウム及び炭酸マグネシウムが例示される。充填剤の量は、コア4の意図した比重が達成されるように適宜決定される。
コア4のゴム組成物が、硫黄、老化防止剤、着色剤、可塑剤、分散剤等の各種添加剤を適量含んでもよい。このゴム組成物が、架橋ゴム粉末又は合成樹脂粉末を含んでもよい。
コア4の直径は、35.0mm以上40.5mm以下が好ましい。直径が35.0mm以上であるコア4を有するゴルフボール2は、反発性能に優れる。この観点から、直径は36.0mm以上がより好ましく、36.5mm以上が特に好ましい。直径が40.5mm以下であるコア4を有するゴルフボール2は、耐久性に優れる。この観点から、直径は39.5mm以下がより好ましく、39.0mm以下が特に好ましい。
コア4の中心の硬度Hoは、35以上70以下が好ましい。硬度Hoが35以上であるゴルフボール2は、反発性能に優れる。この観点から、硬度Hoは40以上がより好ましく、45以上が特に好ましい。硬度Hoが70以下であるゴルフボール2は、打球感に優れる。この観点から、硬度Hoは65以下がより好ましく、60以下が特に好ましい。
硬度Hoは、自動硬度計(H.バーレイス社の商品名「デジテストII」)に取り付けられたショアC型硬度計によって測定される。この硬度計が、ゴルフボール2が切断されて得られる半球の断面中心に押しつけられる。測定は、23℃の環境下でなされる。
コア4の表面の硬度Hsは、55以上95以下が好ましい。硬度Hsが55以上であるゴルフボール2は、反発性能に優れる。この観点から、硬度Hsは60以上がより好ましく、65以上が特に好ましい。硬度Hsが95以下であるゴルフボール2は、打球感に優れる。この観点から、硬度Hsは90以下がより好ましく、85以下が特に好ましい。
硬度Hsは、自動硬度計(H.バーレイス社の商品名「デジテストII」)に取り付けられたショアC型硬度計によって測定される。この硬度計が、コア4の表面に押しつけられる。測定は、23℃の環境下でなされる。
コア4における半径(mm)の5%の値と、表面のショアC硬度Hsとの積THsは、55以上90以下が好ましい。積THsが55以上であるゴルフボール2は、反発性能に優れる。このゴルフボールは、ロングアイアンで打撃されたときの飛距離に優れる。この観点から、積THsは60以上がより好ましく、65以上が特に好ましい。積THsが90以下であるゴルフボール2は、打球感に優れる。この観点から、積THsは85以下がより好ましく、80以下が特に好ましい。
コア4の質量は、10g以上42g以下が好ましい。コア4の架橋温度は、140℃以上180℃以下である。コア4の架橋時間は、10分以上60分以下である。
インナーカバー6は、コア4の外側に位置している。インナーカバー6は、熱可塑性樹脂組成物から成形されている。この樹脂組成物の基材ポリマーとして、アイオノマー樹脂、熱可塑性ポリエステルエラストマー、熱可塑性ポリアミドエラストマー、熱可塑性ポリウレタンエラストマー、熱可塑性ポリオレフィンエラストマー及び熱可塑性ポリスチレンエラストマーが例示される。特に、アイオノマー樹脂が好ましい。アイオノマー樹脂は、高弾性である。アイオノマー樹脂を含むインナーカバー6を有するゴルフボール2は、反発性能に優れる。このゴルフボール2は、ロングアイアンで打撃されたときの飛距離に優れる。
アイオノマー樹脂と他の樹脂とが併用されてもよい。併用される場合は、反発性能の観点から、アイオノマー樹脂が基材ポリマーの主成分とされる。全基材ポリマーに対するアイオノマー樹脂の比率は、50質量%以上が好ましい。
好ましいアイオノマー樹脂として、α−オレフィンと炭素数が3以上8以下のα,β−不飽和カルボン酸との二元共重合体が挙げられる。好ましい二元共重合体は、80質量%以上90質量%以下のα−オレフィンと、10質量%以上20質量%以下のα,β−不飽和カルボン酸とを含む。この二元共重合体は、反発性能に優れる。好ましい他のアイオノマー樹脂として、α−オレフィンと炭素数が3以上8以下のα,β−不飽和カルボン酸と炭素数が2以上22以下のα,β−不飽和カルボン酸エステルとの三元共重合体が挙げられる。好ましい三元共重合体は、70質量%以上85質量%以下のα−オレフィンと、5質量%以上30質量%以下のα,β−不飽和カルボン酸と、1質量%以上25質量%以下のα,β−不飽和カルボン酸エステルとを含む。この三元共重合体は、反発性能に優れる。二元共重合体及び三元共重合体において、好ましいα−オレフィンはエチレン及びプロピレンであり、好ましいα,β−不飽和カルボン酸はアクリル酸及びメタクリル酸である。特に好ましいアイオノマー樹脂は、エチレンとアクリル酸との共重合体である。特に好ましい他のアイオノマー樹脂は、エチレンとメタクリル酸との共重合体である。
二元共重合体及び三元共重合体において、カルボキシル基の一部は金属イオンで中和されている。中和のための金属イオンとして、ナトリウムイオン、カリウムイオン、リチウムイオン、亜鉛イオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、アルミニウムイオン及びネオジムイオンが例示される。中和が、2種以上の金属イオンでなされてもよい。ゴルフボール2の反発性能及び耐久性の観点から特に好適な金属イオンは、ナトリウムイオン、亜鉛イオン、リチウムイオン及びマグネシウムイオンである。
アイオノマー樹脂の具体例として、三井デュポンポリケミカル社の商品名「ハイミラン1555」、「ハイミラン1557」、「ハイミラン1605」、「ハイミラン1706」、「ハイミラン1707」、「ハイミラン1856」、「ハイミラン1855」、「ハイミランAM7311」、「ハイミランAM7315」、「ハイミランAM7317」、「ハイミランAM7329」及び「ハイミランAM7337」;デュポン社の商品名「サーリン6120」、「サーリン6910」、「サーリン7930」、「サーリン7940」、「サーリン8140」、「サーリン8150」、「サーリン8940」、「サーリン8945」、「サーリン9120」、「サーリン9150」、「サーリン9910」、「サーリン9945」、「サーリンAD8546」、「HPF1000」及び「HPF2000」;並びにエクソンモービル化学社の商品名「IOTEK7010」、「IOTEK7030」、「IOTEK7510」、「IOTEK7520」、「IOTEK8000」及び「IOTEK8030」が挙げられる。2種以上のアイオノマー樹脂が併用されてもよい。
好ましくは、インナーカバー6の樹脂組成物は、スチレンブロック含有熱可塑性エラストマーを含む。スチレンブロック含有熱可塑性エラストマーは、ハードセグメントとしてのポリスチレンブロックと、ソフトセグメントとを備えている。典型的なソフトセグメントは、ジエンブロックである。ジエンブロックの化合物として、ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン及び2,3−ジメチル−1,3−ブタジエンが例示される。ブタジエン及びイソプレンが好ましい。2以上の化合物が併用されてもよい。
スチレンブロック含有熱可塑性エラストマーには、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、スチレン−イソプレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SIBS)、SBSの水添物、SISの水添物及びSIBSの水添物が含まれる。SBSの水添物として、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)が挙げられる。SISの水添物として、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)が挙げられる。SIBSの水添物として、スチレン−エチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEEPS)が挙げられる。
ゴルフボール2の反発性能の観点から、スチレンブロック含有熱可塑性エラストマーにおけるスチレン成分の含有率は10質量%以上が好ましく、12質量%以上がより好ましく、15質量%以上が特に好ましい。ゴルフボール2の打球感の観点から、この含有率は50質量%以下が好ましく、47質量%以下がより好ましく、45質量%以下が特に好ましい。
本発明において、スチレンブロック含有熱可塑性エラストマーには、SBS、SIS、SIBS、SEBS、SEPS及びSEEPSからなる群から選択された1種又は2種以上と、オレフィンとのアロイが含まれる。このアロイ中のオレフィン成分は、他の基材ポリマーとの相溶性向上に寄与すると推測される。このアロイは、ゴルフボール2の反発性能に寄与しうる。炭素数が2以上10以下のオレフィンが好ましい。好適なオレフィンとして、エチレン、プロピレン、ブテン及びペンテンが例示される。エチレン及びプロピレンが特に好ましい。
ポリマーアロイの具体例として、三菱化学社の商品名「ラバロンT3221C」、「ラバロンT3339C」、「ラバロンSJ4400N」、「ラバロンSJ5400N」、「ラバロンSJ6400N」、「ラバロンSJ7400N」、「ラバロンSJ8400N」、「ラバロンSJ9400N」及び「ラバロンSR04」が挙げられる。スチレンブロック含有熱可塑性エラストマーの他の具体例として、ダイセル化学工業社の商品名「エポフレンドA1010」及びクラレ社の商品名「セプトンHG−252」が挙げられる。
後述するとおり、このゴルフボールでは、メインカバーの積TH2が比較的大きい。積TH2が大きくても優れた打球感が達成されるとの観点から、全基材ポリマーに対するスチレンブロック含有熱可塑性エラストマーの比率は10量%以上が好ましく、15質量%以上がより好ましく、20質量%以上が特に好ましい。反発性能の観点から、この比率は50質量%以下が好ましい。
インナーカバー6の樹脂組成物が、着色剤、充填剤、分散剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、蛍光剤、蛍光増白剤等を適量含んでもよい。ゴルフボール2の色相が白である場合、典型的な着色剤は二酸化チタンである。
インナーカバー6の厚みT1は、0.50mm以上1.30mm以下が好ましい。厚みT1が0.50mm以上であるゴルフボール2は、打球感に優れる。この観点から、厚みT1は0.70mm以上がより好ましく、0.80mm以上が特に好ましい。厚みT1が1.30mm以下であるゴルフボール2は、反発性能に優れる。この観点から、厚みT1は1.10mm以下がより好ましく、1.00mm以下が特に好ましい。厚みは、ランド14の直下において測定される。
インナーカバー6の硬度H1は、45以上75以下が好ましい。硬度H1が45以上であるゴルフボール2は、反発性能に優れる。この観点から、硬度H1は50以上がより好ましく、55以上が特に好ましい。硬度H1が75以下であるゴルフボール2は、打球感に優れる。この観点から、硬度H1は70以下がより好ましく、65以下が特に好ましい。
インナーカバー6の硬度H1は、「ASTM−D 2240−68」の規定に準拠して測定される。自動硬度計(H.バーレイス社の商品名「デジテストII」)に取り付けられたショアC型硬度計により、硬度H1が測定される。測定には、熱プレスで成形された、インナーカバー6の材料と同一の材料からなる、厚みが約2mmであるシートが用いられる。測定に先立ち、シートは23℃の温度下に2週間保管される。測定時には、3枚のシートが重ね合わされる。
インナーカバー6における厚みT1(mm)とショアC硬度H1との積TH1は、25以上75以下が好ましい。積TH1がこの範囲内であるゴルフボール2は、打球感と、ロングアイアンで打撃されたときの飛距離とに優れる。この観点から、積TH1は30以上70以下がより好ましく、35以上65以下が特に好ましい。
メインカバー8は、インナーカバー6の外側に位置している。メインカバー8は、熱可塑性樹脂組成物から成形されている。この樹脂組成物の基材ポリマーとして、アイオノマー樹脂、熱可塑性ポリエステルエラストマー、熱可塑性ポリアミドエラストマー、熱可塑性ポリウレタンエラストマー、熱可塑性ポリオレフィンエラストマー及び熱可塑性ポリスチレンエラストマーが例示される。特に、アイオノマー樹脂が好ましい。アイオノマー樹脂は、高弾性である。アイオノマー樹脂を含むメインカバー8を有するゴルフボール2は、反発性能に優れる。このゴルフボール2は、ロングアイアンで打撃されたときの飛距離に優れる。インナーカバー6に関して前述されたアイオノマー樹脂が、メインカバー8に用いられうる。
アイオノマー樹脂と他の樹脂とが併用されてもよい。併用される場合は、ゴルフボール2がロングアイアンで打撃されたときの飛距離の観点から、アイオノマー樹脂が基材ポリマーの主成分とされる。全基材ポリマーに対するアイオノマー樹脂の比率は、50質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、80質量%以上が特に好ましい。
メインカバー8の樹脂組成物が、着色剤、充填剤、分散剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、蛍光剤、蛍光増白剤等を適量含んでもよい。ゴルフボール2の色相が白である場合、典型的な着色剤は二酸化チタンである。
メインカバー8の厚みT2は、0.80mm以上2.00mm以下が好ましい。厚みT2が0.80mm以上であるゴルフボール2は、反発性能に優れ、かつスピンが抑制される。このゴルフボール2は、ロングアイアンで打撃されたときの飛距離に優れる。この観点から、厚みT2は0.90mm以上がより好ましく、1.00mm以上が特に好ましい。厚みT2が2.00mm以下であるゴルフボール2は、打球感に優れる。この観点から、厚みT2は1.80mm以下がより好ましく、1.60mm以下が特に好ましい。厚みは、ランド14の直下において測定される。
メインカバー8の硬度H2は、86以上100以下が好ましい。硬度H2が86以上であるゴルフボール2は、反発性能に優れ、かつスピンが抑制される。このゴルフボール2は、ロングアイアンで打撃されたときの飛距離に優れる。この観点から、硬度H2は88以上がより好ましく、90以上が特に好ましい。硬度H2が100以下であるゴルフボール2は、打球感に優れる。この観点から、硬度H2は98以下がより好ましく、97以下が特に好ましい。
メインカバー8の硬度H2は、「ASTM−D 2240−68」の規定に準拠して測定される。自動硬度計(H.バーレイス社の商品名「デジテストII」)に取り付けられたショアC型硬度計により、硬度H2が測定される。測定には、熱プレスで成形された、メインカバー8の材料と同一の材料からなる、厚みが約2mmであるシートが用いられる。測定に先立ち、シートは23℃の温度下に2週間保管される。測定時には、3枚のシートが重ね合わされる。
メインカバー8における厚みT2(mm)とショアC硬度H2との積TH2は、70以上180以下が好ましい。積TH2がこの範囲内であるゴルフボール2は、打球感と、ロングアイアンで打撃されたときの飛距離とに優れる。この観点から、積TH2は80以上170以下がより好ましく、90以上160以下が特に好ましい。
アウターカバー10は、マーク層及びペイント層を除けば、最も外側の層である。アウターカバー10は、樹脂組成物から成形されている。この樹脂組成物の基材ポリマーとして、ポリウレタン、アイオノマー樹脂、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン及びポリスチレンが例示される。打球感及びスピン性能の観点から、好ましい基材ポリマーは、ポリウレタンである。アウターカバー10にポリウレタンと他の樹脂とが併用される場合、全基材樹脂に対するポリウレタンの比率は50質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましく、70質量%以上が特に好ましい。
アウターカバー10の樹脂組成物が、熱可塑性ポリウレタンを含んでもよく、熱硬化性ポリウレタンを含んでもよい。ゴルフボール2の生産性の観点から、熱可塑性ポリウレタンが好ましい。熱可塑性ポリウレタンは、ハードセグメントとしてのポリウレタン成分と、ソフトセグメントとしてのポリエステル成分又はポリエーテル成分とを含む。熱可塑性ポリウレタンは、軟質である。このポリウレタンが用いられたアウターカバー10は、耐擦傷性に優れる。
熱可塑性ポリウレタンは、分子内にウレタン結合を有する。このウレタン結合は、ポリオールとポリイソシアネートとの反応によって形成されうる。ウレタン結合の原料であるポリオールは、複数のヒドロキシル基を有する。低分子量ポリオール及び高分子量ポリオールが用いられうる。
低分子量のポリオールとして、ジオール、トリオール、テトラオール及びヘキサオールが挙げられる。ジオールの具体例として、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、2,3−ジメチル−2,3−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、オクタンジオール及び1,6−シクロヘキサンジメチロールが例示される。アニリン系ジオール又はビスフェノールA系ジオールが用いられてもよい。トリオールの具体例として、グリセリン、トリメチロールプロパン及びヘキサントリオールが挙げられる。テトラオールの具体例として、ペンタエリスリトール及びソルビトールが挙げられる。
高分子量のポリオールとして、ポリオキシエチレングリコール(PEG)、ポリオキシプロピレングリコール(PPG)及びポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMG)のようなポリエーテルポリオール;ポリエチレンアジぺート(PEA)、ポリブチレンアジペート(PBA)及びポリヘキサメチレンアジペート(PHMA)のような縮合系ポリエステルポリオール;ポリ−ε−カプロラクトン(PCL)のようなラクトン系ポリエステルポリオール;ポリヘキサメチレンカーボネートのようなポリカーボネートポリオール;並びにアクリルポリオールが挙げられる。2種以上のポリオールが併用されてもよい。ゴルフボール2の打球感の観点から、高分子量のポリオールの数平均分子量は400以上が好ましく、1000以上がより好ましい。数平均分子量は、10000以下が好ましい。
ウレタン結合の原料であるポリイソシアネートとして、芳香族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネート及び脂肪族ジイソシアネートが例示される。2種以上のジイソシアネートが併用されてもよい。
芳香族ジイソシアネートとして、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、1,5−ナフチレンジイソシアネート(NDI)、3,3’−ビトリレン−4,4’−ジイソシアネート(TODI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)及びパラフェニレンジイソシアネート(PPDI)が例示される。脂肪族ジイソシアネートとして、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)が例示される。脂環式ジイソシアネートとして、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI)、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(HXDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)及びトランス−1,4−シクロヘキサンジイソシアネート(CHDI)が例示される。4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートが好ましい。
熱可塑性ポリウレタンの具体例として、BASFジャパン社の商品名「エラストランNY80A」、「エラストランNY82A」、「エラストランNY83A」、「エラストランNY84A」、「エラストランNY85A」、「エラストランNY88A」、「エラストランNY90A」、「エラストランNY95A」、「エラストランNY97A」、「エラストランNY585」及び「エラストランKP016N」;並びに大日精化工業社の商品名「レザミンP4585LS」及び「レザミンPS62490」が挙げられる。
アウターカバー10の樹脂組成物が、着色剤、充填剤、分散剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、蛍光剤、蛍光増白剤等を適量含んでもよい。ゴルフボール2の色相が白である場合、典型的な着色剤は二酸化チタンである。
アウターカバー10の厚みT3は、0.30mm以上1.00mm以下が好ましい。厚みT3が0.30mm以上であるゴルフボール2は、打球感及びスピン性能に優れる。この観点から、厚みT3は0.40mm以上がより好ましく、0.45mm以上が特に好ましい。厚みT3が1.00mm以下であるゴルフボール2は、ロングアイアンで打撃されたときの飛距離に優れる。この観点から、厚みT3は0.80mm以下がより好ましく、0.60mm以下が特に好ましい。厚みは、ランド14の直下において測定される。
アウターカバー10の硬度H3は、50以上80以下が好ましい。硬度H3が50以上であるゴルフボール2は、ロングアイアンで打撃されたときの飛距離に優れる。この観点から、硬度H3は53以上がより好ましく、55以上が特に好ましい。硬度H3が80以下であるゴルフボール2は、打球感及びスピン性能に優れる。この観点から、硬度H3は75以下がより好ましく、70以下が特に好ましい。
アウターカバー10の硬度H3は、「ASTM−D 2240−68」の規定に準拠して測定される。自動硬度計(H.バーレイス社の商品名「デジテストII」)に取り付けられたショアC型硬度計により、硬度H3が測定される。測定には、熱プレスで成形された、アウターカバー10の材料と同一の材料からなる、厚みが約2mmであるシートが用いられる。測定に先立ち、シートは23℃の温度下に2週間保管される。測定時には、3枚のシートが重ね合わされる。
アウターカバー10における厚みT3(mm)とショアC硬度H3との積TH3は、15以上70以下が好ましい。積TH3がこの範囲内であるゴルフボール2は、打球感と、ロングアイアンで打撃されたときの飛距離とに優れる。この観点から、積TH3は20以上60以下がより好ましく、25以上55以下が特に好ましい。
ゴルフボール2が、メインカバー8とアウターカバー10との間に、補強層を備えてもよい。補強層は、メインカバー8と堅固に密着し、アウターカバー10とも堅固に密着する。補強層は、メインカバー8からのアウターカバー10の剥離を抑制する。補強層は、樹脂組成物から形成されている。補強層の好ましい基材ポリマーとして、二液硬化型エポキシ樹脂及び二液硬化型ウレタン樹脂が例示される。補強層の厚みは5μm以上30μm以下が好ましい。
好ましくは、このゴルフボール2では、メインカバー8の厚みT2はインナーカバー6の厚みT1と同じかこれよりも大きい。両者の差(T2−T1)は、0.00mm以上0.80mm以下が好ましい。差(T2−T1)が上記範囲内であるゴルフボール2は、打球感と、ロングアイアンで打撃されたときの飛距離とに優れる。この観点から、差(T2−T1)は0.05mm以上0.70mm以下が特に好ましい。
好ましくは、このゴルフボール2では、メインカバー8の硬度H2はインナーカバー6の硬度H1よりも大きい。両者の差(H2−H1)は、15以上55以下が好ましい。差(H2−H1)が上記範囲内であるゴルフボール2は、打球感と、ロングアイアンで打撃されたときの飛距離とに優れる。この観点から、差(H2−H1)は20以上50以下がより好ましく、25以上45以下が特に好ましい。
好ましくは、このゴルフボール2では、メインカバー8の厚みT2はアウターカバー10の厚みT3と同じかこれよりも大きい。両者の差(T2−T3)は、0.20mm以上2.00mm以下が好ましい。差(T2−T3)が上記範囲内であるゴルフボール2は、打球感と、ロングアイアンで打撃されたときの飛距離とに優れる。この観点から、差(T2−T3)は0.25mm以上1.50mm以下がより好ましく、0.30mm以上1.20mm以下が特に好ましい。
好ましくは、このゴルフボール2では、メインカバー8の硬度H2はアウターカバー10の硬度H3よりも大きい。両者の差(H2−H3)は、15以上55以下が好ましい。差(H2−H3)が上記範囲内であるゴルフボール2は、打球感と、ロングアイアンで打撃されたときの飛距離とに優れる。この観点から、差(H2−H3)は20以上50以下がより好ましく、25以上45以下が特に好ましい。
インカバーにおける厚みT2とショアC硬度H2との積TH2、及びコア4における半径の5%の値と表面のショアC硬度Hsとの積THsは、下記の数式を満たす。
15≦ (TH2−THs) ≦ 100
換言すれば、差(TH2−THs)は15以上100以下である。差(TH2−THs)がこの範囲内であるゴルフボール2は、打球感と、ロングアイアンで打撃されたときの飛距離とに優れる。この観点から、差(TH2−THs)は15以上90以下がより好ましく、16以上85以下が特に好ましい。
このゴルフボール2は、下記数式を満たす。
0.25 < ((TH1 + TH3) / 2) / TH2 <0.65
換言すれば、インナーカバー6における積TH1とアウターカバー10における積TH3との平均の、メインカバー8における積TH2に対する比は、0.25を超えて0.65未満である。この比が上記範囲内であるゴルフボール2は、打球感と、ロングアイアンで打撃されたときの飛距離とに優れる。この観点から、この比は0.26以上0.63以下がより好ましく、0.27以上0.60以下が特に好ましい。
ゴルフボール2の圧縮変形量Sbは、2.5mm以上4.0mm以下が好ましい。圧縮変形量Sbが2.5mm以上であるゴルフボール2は、打球感に優れる。この観点から、圧縮変形量Sbは2.8mm以上が好ましく、3.2mm以上が特に好ましい。圧縮変形量Sbが4.0mm以下であるゴルフボール2は、ロングアイアンで打撃されたときの飛距離に優れる。この観点から、圧縮変形量Sbは3.8mm以下がより好ましく、3.6mm以下が特に好ましい。
圧縮変形量の測定には、YAMADA式コンプレッションテスター「SCH」が用いられる。このテスターでは、ゴルフボール2が金属製の剛板の上に置かれる。このゴルフボール2に向かって金属製の円柱が徐々に降下する。この円柱の底面と剛板との間に挟まれたゴルフボール2は、変形する。ゴルフボール2に98Nの初荷重がかかった状態から1274Nの終荷重がかかった状態までの円柱の移動距離が、測定される。初荷重がかかるまでの円柱の移動速度は、0.83mm/sである。初荷重がかかってから終荷重がかかるまでの円柱の移動速度は、1.67mm/sである。
このゴルフボール2は、下記表1に示されたタイプIのディンプル仕様を有している。それぞれのディンプル12の輪郭は円である。このゴルフボール2は、直径が4.60mmであるディンプルAと、直径が4.50mmであるディンプルBと、直径が4.30mmであるディンプルCと、直径が4.20mmであるディンプルDと、直径が4.00mmであるディンプルEと、直径が2.90mmであるディンプルFとを備えている。ディンプル12の種類数は、6である。ゴルフボール2が円形ディンプル12に代えて、又は円形ディンプル12と共に、非円形ディンプルを有してもよい。
ディンプルAの数は72個であり、ディンプルBの数は54個であり、ディンプルCの数は30個であり、ディンプルDの数は54個であり、ディンプルEの数は108個であり、ディンプルFの数は12である。ディンプル12の総数は、330個である。これらのディンプル12とランド14とにより、ディンプルパターンが形成されている。
図2には、ディンプル12の中心及びゴルフボール2の中心を通過する平面に沿った、ゴルフボール2の断面が示されている。図2における上下方向は、ディンプル12の深さ方向である。図2において二点鎖線16で示されているのは、仮想球である。仮想球16の表面は、ディンプル12及び微小突起(後に詳説)が存在しないと仮定されたときのゴルフボール2の表面である。仮想球16の直径は、ゴルフボール2の直径と同一である。ディンプル12は、仮想球16の表面から凹陥している。ランド14は、仮想球16の表面と一致している。
図2において矢印Dmで示されているのは、ディンプル12の直径である。この直径Dmは、ディンプル12の両側に共通する接線Tgが画かれたときの、一方の接点Edと他方の接点Edとの距離である。接点Edは、ディンプル12のエッジでもある。エッジEdは、ディンプル12の輪郭を画定する。
それぞれのディンプル12の直径Dmは、2.0mm以上6.0mm以下が好ましい。直径Dmが2.0mm以上であるディンプル12は、乱流化に寄与する。この観点から、直径Dmは2.5mm以上がより好ましく、2.8mm以上が特に好ましい。直径Dmが6.0mm以下であるディンプル12は、実質的に球であるというゴルフボール2の本質を損ねない。この観点から、直径Dmは5.5mm以下がより好ましく、5.0mm以下が特に好ましい。
非円形ディンプルの場合、この非円形ディンプルの面積と同じ面積を有する円形ディンプル12が仮想される。この仮想されたディンプル12の直径が、非円形ディンプルの直径と見なされる。
図2において両矢印Fで示されているのは、ディンプル12の深さである。この深さFは、ディンプル12の最深部と仮想球16の表面との距離である。全てのディンプル12の深さFが合計され、この合計がディンプル12の総数で除されることにより、平均深さFavが算出される。飛行中のゴルフボール2のホップが抑制されるとの観点から、平均深さFavは100μm以上が好ましく、130μm以上がより好ましく、150μm以上が特に好ましい。飛行中のゴルフボール2のドロップが抑制されるとの観点から、平均深さFavは500μm以下が好ましく、450μm以下がより好ましく、400μm以下が特に好ましい。
ディンプル12の面積sは、無限遠からゴルフボール2の中心を見た場合の、ディンプル12の輪郭に囲まれた領域の面積である。円形ディンプル12の場合、面積Sは下記数式によって算出される。
S = (Dm / 2)* π
全てのディンプル12の面積Sが合計され、この合計がディンプル12の数で除されることにより、平均面積Savが算出される。
本実施形態に係るゴルフボール2では、ディンプルAの面積は16.62mmであり、ディンプルBの面積は15.90mmであり、ディンプルCの面積は14.52mmであり、ディンプルDの面積は13.85mmであり、ディンプルEの面積は12.57mであり、ディンプルFの面積は6.61mmである。このゴルフボール2の平均面積Savは、14、17mmである。
本発明では、全てのディンプル12の面積Sの合計の、仮想球16の表面積に対する比率は、占有率Soと称される。十分な乱流化が得られるとの観点から、占有率Soは78.0%以上が好ましく、80.0%以上がより好ましく、81.0%以上が特に好ましい。占有率は、95%以下が好ましい。本実施形態に係るゴルフボール2では、ディンプル12の合計面積は4675.6mmである。このゴルフボール2の仮想球16の表面積は5728.0mmなので、占有率は81.6%である。
十分な占有率Soが達成されるとの観点から、ディンプル12の総数Nは250個以上が好ましく、280個以上がより好ましく、300個以上が特に好ましい。個々のディンプル12が乱流化に寄与しうるとの観点から、総数Nは450個以下が好ましく、400個以下がより好ましく、380個以下が特に好ましい。
本発明において「ディンプルの容積」とは、仮想球16の表面とディンプル12の表面とに囲まれた部分の容積を意味する。飛行中のゴルフボール2のホップが抑制されるとの観点から、ディンプル12の総容積は450mm以上が好ましく、480mm以上がより好ましく、500mm以上が特に好ましい。飛行中のゴルフボール2のドロップが抑制されるとの観点から、総容積は750mm以下が好ましく、730mm以下がより好ましく、710mm以下が特に好ましい。
図3は、図1のゴルフボール2の表面の一部が示された拡大斜視図である。図3から明らかなように、このゴルフボール2は、その表面に多数の微小突起18を備えている。図2から明らかなように、微小突起18は、ディンプル12の表面に形成されており、かつ、ランド14の表面にも形成されている。それぞれの微小突起18は、ゴルフボール2の半径方向外向きに起立している。この微小突起18は、飛行中のゴルフボール2の揚力を抑制する。ゴルフボール2がロングアイアンで打撃されたときに過剰のスピンが発生しても、微小突起18がこのゴルフボール2のホップを抑制する。この微小突起18を有するゴルフボール2は、ロングアイアンで打撃されたときの飛行性能に優れる。
図3には、第一列Iに属する3つの微小突起18aと、第二列IIに属する3つの微小突起18bとが示されている。図3において矢印Aで示される方向は、列の延在方向である。それぞれの列において、微小突起18は、等ピッチで並んでいる。換言すれば、微小突起18は規則的に並んでいる。ゴルフボール2の表面の一部において、微小突起18が不規則に並んでもよい。
第一列Iに属する微小突起18aと第二列IIに属する微小突起18bとが、ジグザグに配置されてもよい。換言すれば、第一列Iに属する微小突起18aの位置が、延在方向Aにおいて、第二列IIに属する微小突起18bの位置とずれてもよい。
図4は、図1のゴルフボール2の一部が示された拡大断面図である。図4には、本体の一部であるカバー8と、ペイント層20とが示されている。図4には、微小突起18が示されている。カバー8は、凸部22を有している。微小突起18は、この凸部22とペイント層20とによって形成されている。凸部22がゴルフボール2の半径方向外向き(図4における上向き)に起立しているので、微小突起18もゴルフボール2の半径方向外向きに起立している。換言すれば、微小突起18は、本体10(カバー8)の表面形状が反映された形状を有する。図4において符号24で示されているのは、微小突起18の底面である。
図5は、図4のV−V線に沿った断面図である。図5には、微小突起18の底面24が示されている。底面24は、カバー8とペイント層20とを含んでいる。
図5には、第一の微小突起18cの底面24cと共に、二点鎖線にて、第二の微小突起18dの底面24dも示されている。第二の微小突起18dは、第一の微小突起18cに隣接している。図5において二点鎖線26で示されているのは、第一の微小突起18cの底面24cの重心Ocと、第二の微小突起18dの底面24dの重心Odとを通過する直線である。
図5において矢印Pで示されているのは、ピッチである。ピッチPは、第一の微小突起18cと、この第一の微小突起18cに隣接する第二の微小突起18dとの距離である。ピッチPは、第一の微小突起18cの底面24cの重心Ocと、第二の微小突起18dの底面24dの重心Odとの距離である。「第一の微小突起に隣接する第二の微小突起」とは、第一の微小突起18cの周辺に存在する微小突起18のうち、第一の微小突起18cとの距離L(後に詳説)が最も小さい微小突起18である。
それぞれの微小突起18に、1つのピッチPが決定される。全ての微小突起18のピッチPが合計され、この合計が微小突起18の数で除されることにより、平均ピッチPavが算出される。平均ピッチPavは、10μm以上3000μm以下が好ましい。平均ピッチPavがこの範囲内であるゴルフボール2では、微小突起18がゴルフボール2のホップを抑制する。この観点から、平均ピッチPavは100μm以上がより好ましく、200μm以上が特に好ましい。平均ピッチPavは、2500μm以下がより好ましく、2000μm以下が特に好ましい。
図5において矢印Lで示されているのは、第一の微小突起18cとこの第一の微小突起18cに隣接する第二の微小突起18dとの間の距離である。それぞれの微小突起18に、1つの距離Lが決定される。全ての微小突起18の距離Lが合計され、この合計が微小突起18の数で除されることにより、平均距離Lavが算出される。平均距離Lavは、5μm以上2500μm以下が好ましい。平均距離Lavがこの範囲内であるゴルフボール2では、微小突起18がゴルフボール2のホップを抑制する。この観点から平均距離Lavは50μm以上がより好ましく、100μm以上が特に好ましい。平均距離Lavは、2000μm以下がより好ましく、1500μm以下が特に好ましい。
図4において矢印Hで示されているのは、微小突起18の高さである。高さHは、ゴルフボール2の半径方向に沿って測定される。全ての微小突起18の高さHが合計され、この合計が微小突起18の数で除されることにより、平均高さHavが算出される。ゴルフボール2がロングアイアンで打撃されたときに過剰なスピンが発生しても、微小突起18がゴルフボール2のホップを抑制するとの観点から、平均高さHavは0.5μm以上が好ましく、1.0μm以上がより好ましく、3.0μm以上が特に好ましい。微小突起18がディンプル効果を阻害せず、従って十分な揚力が得られうるとの観点から、平均高さHavは25μm以下が好ましく、22μm以下がより好ましく、20μm以下が特に好ましい。
このゴルフボール2では、ディンプル12の平均深さFavと微小突起18の平均高さHavとは、下記数式(3)を満たす。
Hav <Fav ・ 0.05 (3)
換言すれば、平均高さHavは、(Fav・0.05)よりも小さい。このゴルフボール2では、微小突起18がディンプル効果を阻害しない。このゴルフボール2では、十分な揚力が得られうる。この観点から、平均高さHavは(Fav・0.04)以下がより好ましく、(Fav・0.03)以下が特に好ましい。ゴルフボール2がロングアイアンで打撃されたときに過剰なスピンが生じても、微小突起18がゴルフボール2のホップを抑制するとの観点から、平均高さHavは(Fav・0.005)以上が好ましく、(Fav・0.008)以上がより好ましく、(Fav・0.010)以上が特に好ましい。
全ての微小突起18の底面24の面積Qが合計され、この合計が微小突起18の数で除されることにより、平均面積Qavが算出される。ゴルフボール2がロングアイアンで打撃されたときに過剰なスピンが生じても、微小突起18がゴルフボール2のホップを抑制するとの観点から、平均面積Qavは10μm以上が好ましく、100μm以上がより好ましく、500μm以上が特に好ましい。ディンプル効果を微小突起18が阻害しないとの観点から、平均面積Qavは4000000μm以下が好ましく、1000000μm以下がより好ましく、300000μm以下が特に好ましい。
ゴルフボール2がロングアイアンで打撃されたときに過剰なスピンが生じても、微小突起18がゴルフボール2のホップを抑制するとの観点から、全ての微小突起18の底面24の面積Qの合計の、仮想球16の表面積に対する比率は、5%以上が好ましく、15%以上がより好ましく、20%以上が特に好ましい。微小突起18がディンプル効果を阻害しないとの観点から、この比率は80%以下が好ましく、60%以下がより好ましく、50%以下が特に好ましい。
ゴルフボール2がロングアイアンで打撃されたときに過剰なスピンが生じても、微小突起18がゴルフボール2のホップを抑制するとの観点から、微小突起18の総数は500個以上が好ましく、1000個以上がより好ましく、2000個以上が特に好ましい。微小突起18がディンプル効果を阻害しないとの観点から、この総数は500000個以下が好ましく、300000個以下がより好ましく、100000個以下が特に好ましい。
好ましくは、ディンプル12の平均面積Savと微小突起18の底面24の平均面積Qavとは、下記数式(4)を満たす。
Qav <Sav ・ 0.015 (4)
換言すれば、微小突起18の底面24の平均面積Qavは、(Sav・0.015)よりも小さい。このゴルフボール2では、微小突起18がディンプル効果を阻害しない。このゴルフボール2では、十分な揚力が得られうる。この観点から、平均面積Qavは(Sav・0.010)以下がより好ましく、(Sav・0.005)以下が特に好ましい。ゴルフボール2がロングアイアンで打撃されたときに過剰なスピンが生じても、微小突起18がゴルフボール2のホップを抑制するとの観点から、平均高さQavは(Sav・0.000001)以上が好ましく、(Sav・0.00001)以上がより好ましく、(S・0.00003)以上が特に好ましい。
前述の通り、微小突起18は、本体10の凸部22とペイント層20とを含んでいる(図4参照)。従って、ゴルフクラブで打撃されたり、地面に衝突することによって、ペイント層20が本体10から剥離しても、微小突起18の形状が概ね維持され、空力特性が概ね維持される。この微小突起18の形成に、特殊なペイントは必要ない。このゴルフボール2は、容易に製造されうる。凸部22がペイント層20で覆われているので、このゴルフボール2は汚れにくい。
前述の通り、微小突起18はディンプル12の表面に形成されており、かつ、ランド14の表面にも形成されている(図2参照)。従ってこのゴルフボール2は、空力特性に極めて優れる。微小突起18が、ディンプル12の表面のみに形成されてもよい。微小突起18が、ランド14の表面のみに形成されてもよい。
図3−5に示された微小突起18の形状は、概ね円柱である。ゴルフボール2が、他の形状の微小突起18を有してもよい。他の形状として、角柱、角錐台、円錐台、角錐及び円錐が例示される。微小突起18の形状が、球の一部であってもよい。微小突起18が、複数の立体が組み合わされた形状を有してもよい。ゴルフボール2が、互いに形状の異なる複数種類の微小突起18を有してもよい。ゴルフボール2が、互いにサイズの異なる複数種類の微小突起18を有してもよい。
本体10の凸部22は、本体10の成形時に同時に成形される。この成形には、成形型が用いられる。この成形型のキャビティ面は、多数の微小な凹部を有している。それぞれの凹部は、凸部22の形状がほぼ反転した形状を有する。
この成形型は、ディンプル12を有するマスター型から得られうる。このディンプル12の形状が転写されて、成形型にピンプルが形成される。この成形型に、切削加工、レーザー照射加工等により、微小凹部が形成される。この成形型から得られたゴルフボール2では、ピンプルの形状が転写されてディンプル12が形成され、微小凹部の形状が転写されて微小突起18が形成される。
マスター型からの転写ではなく、切削加工により、ダイレクトに、ピンプルを有する成形型が製作されてもよい。この場合も、切削加工、レーザー照射加工等により、成形型に微小凹部が形成される。
以下、実施例によって本発明の効果が明らかにされるが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるべきではない。
[実施例1]
100質量部のハイシスポリブタジエン(JSR社の商品名「BR−730」)、28.5質量部のアクリル酸亜鉛、12質量部の酸化亜鉛、適量の硫酸バリウム、0.5質量部のジフェニルジスルフィド、0.9質量部のジクミルパーオキサイド及び2質量部の安息香酸を混練し、ゴム組成物(i)を得た。このゴム組成物(i)を共に半球状キャビティを備えた上型及び下型からなる金型に投入し、165℃で20分間加熱して、直径が37.80mmであるコアを得た。所定の質量のコアが得られるように、硫酸バリウムの量を調整した。
26質量部のアイオノマー樹脂(前述の「ハイミランAM7337」)、26質量部の他のアイオノマー樹脂(前述の「ハイミランAM7329」)、48質量部のスチレンブロック含有熱可塑性エラストマー(前述の「ラバロンT3221C」)、4質量部の二酸化チタン及び0.2質量部の光安定剤(城北化学社の商品名「JF−90」)を二軸混練押出機で混練し、樹脂組成物bを得た。それぞれが半球状キャビティを備えた上型及び下型からなる金型に、コアを投入した。樹脂組成物bを射出成形法にてコアの周りに被覆し、インナーカバーを形成した。このインナーカバーの厚みは、0.950mmであった。
55質量部のアイオノマー樹脂(前述の「ハイミランAM7329」)、45質量部の他のアイオノマー樹脂(前述の「ハイミラン1555」)、4質量部の二酸化チタン及び0.2質量部の光安定剤(前述の「JF−90」)を二軸混練押出機で混練し、樹脂組成物fを得た。それぞれが半球状キャビティを備えた上型及び下型からなる金型に、コア及びインナーカバーからなる球を投入した。樹脂組成物fを射出成形法にて球の周りに被覆し、メインカバーを形成した。このメインカバーの厚みは、1.00mmであった。
二液硬化型エポキシ樹脂を基材ポリマーとする塗料組成物(神東塗料社の商品名「ポリン750LE)を、調製した。この塗料組成物の主剤液は、30質量部のビスフェノールA型エポキシ樹脂と、70質量部の溶剤とを含む。この塗料組成物の硬化剤液は、40質量部の変性ポリアミドアミンと、55質量部の溶剤と、5質量部の二酸化チタンとを含む。主剤液と硬化剤液との質量比は、1/1である。この塗料組成物をメインカバーの表面にスプレーガンで塗布し、23℃の雰囲気下で12時間保持して、補強層を得た。この補強層の厚みは、10μmであった。
30質量部の熱可塑性ポリウレタンエラストマー(前述の「エラストランNY85A」)、70質量部の他の熱可塑性ポリウレタンエラストマー(前述の「エラストランNY88A」)、0.2質量部の光安定剤(商品名「チヌビン770」)、4質量部の二酸化チタン及び0.04質量部のウルトラマリンブルーを二軸混練押出機で混練し、樹脂組成iを得た。この樹脂組成物iから、圧縮成形法にて、ハーフシェルを得た。このハーフシェル2枚で、コア、インナーカバー及びメインカバーからなる球を被覆した。これらのハーフシェル及び球を、それぞれが半球状キャビティを備え、キャビティ面に多数のピンプル及び多数の微小凹部を備えた上型及び下型からなるファイナル金型に投入し、圧縮成形法にてカバーを得た。カバーの厚みは、0.50mmであった。カバーには、ピンプルの形状が反転した形状を有するディンプルが形成された。カバーにはさらに、微小凹部の形状が反転した形状を有する微小な凸部が形成された。
このカバーの周りに二液硬化型ポリウレタンを基材とするクリアー塗料を塗装し、直径が約42.7mmであり質量が約45.6gである実施例1のゴルフボールを得た。このゴルフボールの、ディンプル仕様Iの詳細が、下記の表5に示されている。このゴルフボールの、ディンプル及び微小突起の仕様の詳細が、下記の表6に示されている。
[実施例2−7及び比較例1−7]
ディンプル及び微小突起の仕様を下記の表9−11に示される通りとした他は実施例1と同様にして、実施例2−7及び比較例1−7のゴルフボールを得た。ディンプル及び微小突起の仕様の詳細が、下記の表5−8に示されている。
[実施例8−13及び比較例8−14]
コア、インナーカバー、メインカバー、アウターカバー、ディンプル及び微小突起の仕様を下記の表12−14に示される通りとした他は実施例1と同様にして、実施例2−7及び比較例8−14のゴルフボールを得た。コアの組成の詳細が、下記の表1に示されている。インナーカバーの組成の詳細が、下記の表2に示されている。メインカバーの組成の詳細が、下記の表3に示されている。アウターカバーの組成の詳細が、下記の表4に示されている。ディンプル及び微小突起の仕様の詳細が、下記の表5−8に示されている。
[フライトテスト]
ゴルフラボラトリー社のスイングマシンに、#5アイアンクラブ(ダンロップスポーツ社の商品名「SRIXON Z725」、シャフト硬度:S、ロフト角:32.0°)を装着した。このゴルフボールを、ヘッド速度が41m/secである条件で打撃して、打撃直後のスピン速度及び飛距離を測定した。飛距離は、発射地点から静止地点までの距離である。テスト時は、ほぼ無風であった。12回の測定で得られたデータの平均値が、下記の表9−14に示されている。
[打球感]
20名のテスターに#5アイアンにてゴルフボールを打撃させ、打球感を聞き取った。「打球感がソフト」と答えたゴルファーの数に基づき、下記の格付けを行った。
A:16人以上
B:10−15人
C:3−9人
D:2人以下
この結果が、下記の表9−14に示されている。
Figure 2019111165
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表9−14に示されるように、各実施例のゴルフボールは、飛行性能及び打球感に優れている。この評価結果から、本発明の優位性は明らかである。
本発明に係るゴルフボールは、ゴルフコースでのプレイ、ドライビングレンジでのプラクティス等に適している。
2・・・ゴルフボール
4・・・コア
6・・・インナーカバー
8・・・メインカバー
10・・・アウターカバー
12・・・ディンプル
14・・・ランド
16・・・仮想球
18・・・微小突起
20・・・ペイント層
22・・・凸部
24・・・底面

Claims (9)

  1. コアと、このコアの外側に位置するインナーカバーと、このインナーカバーの外側に位置するメインカバーと、このメインカバーの外側に位置するアウターカバーとを備えており、
    上記メインカバーにおける厚みT2(mm)とショアC硬度H2との積TH2、及び上記コアにおける半径(mm)の5%の値と表面のショアC硬度Hsとの積THsが、下記の数式を満たし、
    15≦ (TH2−THs) ≦ 100
    上記インナーカバーにおける厚みT1(mm)とショアC硬度H1との積TH1、上記アウターカバーにおける厚みT3(mm)とショアC硬度H3との積TH3、及び上記積TH2が、下記数式を満たし、
    0.25 < ((TH1 + TH3) / 2) / TH2 <0.65
    複数のディンプルと、ランドと、このディンプル及び/又はランドの表面に形成された多数の微小突起をさらに備えており、
    上記ディンプルの平均深さFavと上記微小突起の平均高さHavとが、下記数式(3)を満たすゴルフボール。
    Hav <Fav ・ 0.05 (3)
  2. 上記厚みT2が、上記厚みT1と同じかこれよりも大きく、
    かつ、上記厚みT2が、上記厚みT3と同じかこれよりも大きい請求項1に記載のゴルフボール。
  3. 上記厚みT2が1.00mm以上である請求項1又は2に記載のゴルフボール。
  4. 上記厚みT1が1.00mm以下であり、かつ上記厚みT3が1.00mm以下である請求項1から3のいずれかに記載のゴルフボール。
  5. 上記硬度H2が90以上である請求項1から4のいずれかに記載のゴルフボール。
  6. 上記硬度H1が70以下であり、かつ上記硬度H3が70以下である請求項1から5のいずれかに記載のゴルフボール。
  7. 上記微小突起とこの微小突起に隣接する他の微小突起との間のピッチPの平均値Pavが10μm以上2000μm以下である請求項1から6のいずれかに記載のゴルフボール。
  8. 上記ディンプルの平均面積Savと上記微小突起の底面の平均面積Qavとが、下記数式(4)を満たす請求項1から7のいずれかに記載のゴルフボール。
    Qav <Sav ・ 0.015 (4)
  9. 本体とこの本体の外側に位置するペイント層とを有しており、
    上記微小突起が上記本体の表面形状が反映された形状を有する請求項1から8のいずれかに記載のゴルフボール。
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