JP2019107787A - キャスティングドラム装置およびこのキャスティングドラム装置を用いた合成樹脂フィルム・シートの製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
溶融押出成型法は、最も一般的な合成樹脂フィルム・シートの製造方法であり、押出機内で加熱して溶融させた熱可塑性樹脂を押出金型の吐出口から押し出し、ドラム上で冷却することにより、合成樹脂フィルム・シートが製造される。
すなわち、本発明の課題は、キャスティングドラムを大型化した場合でも、経済的・効率的に回転駆動することができ、合成樹脂フィルム・シートの膜厚を均一に保つことができると共に、合成樹脂フィルム・シートの材料樹脂、合成樹脂フィルム・シートに求められる物性・特性等に応じて、キャスティングドラム表面温度を自由自在に設定・制御することができる、キャスティングドラム装置およびこのキャスティングドラム装置を用いた合成樹脂フィルム・シートの製造方法を提供することにある。
(1)合成樹脂フィルム・シートを成形する際に用いられるキャスティングドラム装置であって、
固定軸と、
前記固定軸の表面に配置された加熱手段および/または冷却手段と、
前記加熱手段および/または冷却手段を覆うように、前記固定軸に対して回転可能に設けられた中空円筒形の回転環とを備え、
前記加熱手段および/または冷却手段により、前記回転環を加熱および/または冷却することを特徴とする、キャスティングドラム装置。
(2)前記加熱手段および/または冷却手段が、前記合成樹脂フィルム・シートの材料樹脂、前記合成樹脂フィルム・シートに求められる物性・特性等に応じて、前記固定軸の表面に配置されることを特徴とする、(1)に記載のキャスティングドラム装置。
(3)前記加熱手段および/または冷却手段が、回転環の中心軸と直交する断面において、前記加熱手段および/または冷却手段の前記回転環側の表面が、前記回転環の内側表面と略平行となるように配置されることを特徴とする、(1)または(2)に記載のキャスティングドラム装置。
(4)前記加熱手段および/または冷却手段が、前記回転環の中心軸と略平行となるように、前記固定軸の表面に配置されることを特徴とする、(1)〜(3)のいずれかに記載のキャスティングドラム装置。
(5)前記加熱手段および/または冷却手段が、複数の帯状の加熱手段および/または冷却手段であることを特徴とする、(1)〜(4)のいずれかに記載のキャスティングドラム装置。
(6)前記加熱手段が誘導コイルであり、この誘導コイルに交流電流を流して強度の変化する磁力線を発生させることにより、前記回転環を加熱することを特徴とする、(1)〜(5)のいずれかに記載のキャスティングドラム装置。
(7)前記加熱手段が赤外線ヒーターであり、この赤外線ヒーターに電流を流して赤外線を発生させることにより、前記回転環を加熱することを特徴とする、(1)〜(5)のいずれかに記載のキャスティングドラム装置。
(8)前記冷却手段が、経路に冷却媒体を供給する冷却手段および/または前記回転環の内側表面に冷却媒体を吹き付ける冷却手段であることを特徴とする、(1)〜(7)のいずれかに記載のキャスティングドラム装置。
(9)前記回転環が、ステンレス製の中空円筒であることを特徴とする、(1)〜(8)のいずれかに記載のキャスティングドラム装置。
(10)前記回転環が、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)の内層、ステンレス製の外層から形成された積層中空円筒、または炭素繊維強化プラスチック(CFRP)製の中空円筒であることを特徴とする、(1)〜(8)のいずれかに記載のキャスティングドラム装置。
(11)前記回転環の周囲に、前記回転環の表面に向けて冷却媒体を吹き付ける冷却装置を備えることを特徴とする、(1)〜(10)のいずれかに記載のキャスティングドラム装置。
(12)前記(1)〜(11)のいずれかに記載のキャスティングドラム装置を用いることにより、合成樹脂を溶媒に溶解させた溶液または溶融させた合成樹脂から、合成樹脂フィルム・シートを成形することを特徴とする、合成樹脂シート・フィルムの製造方法。
合成樹脂フィルム・シートは、溶融押出成型法、溶液流延法等により製造される。
溶融押出成型法は、最も一般的な合成樹脂フィルム・シートの製造方法であり、押出機内で加熱し溶融させた熱可塑性樹脂を押出金型の吐出口から押し出し、ドラム上で冷却することにより、合成樹脂フィルム・シートが製造される。
本発明のキャスティングドラム装置の実施形態を図1〜3に示す。図1は回転環4の中心軸9を含む断面の模式図であり、図2は図1のA−A断面を示す模式図であり、図3は図2の部分拡大図である。
1)表面に加熱手段および/または冷却手段3が配置された固定軸2と、該固定軸2に対して回転可能に取り付けられた中空円筒形の回転環4とを備えるように構成されていること、および
2)固定軸2の表面に配置された加熱手段および/または冷却手段3により、回転環4を加熱および/または冷却するように構成されていること
にある。
a)加熱手段および/または冷却手段3が配置される固定軸2の形状および/またはb)固定軸2の表面における加熱手段および/または冷却手段3の配置を調整することにより、回転環4の表面温度を自由自在に設定・制御することができる。すなわち、加熱手段および/または冷却手段3の配置を調整することにより、回転環4の回転方向(合成樹脂フィルム・シート5の長手方向)および回転環4の中心軸9と平行方向(合成樹脂フィルム・シート5の幅方向)における回転環4の表面温度を、自由自在に設定・制御することができる。
本件発明の基本的な技術思想は、回転環4の表面温度を、回転環4から分離して配置した加熱手段および/または冷却手段3によって、設定・制御することにあり、固定軸2は、これらの加熱手段および/または冷却手段3を、所定位置に配置するための好適な手段として用いる。
固定軸2の形状(表面形状、断面形状等)としては、回転環4の表面温度を適切に設定・制御できる位置に、加熱手段および/または冷却手段3を配置可能な適宜の形状を採用できる。
加熱手段および/または冷却手段3としては、特許文献1〜3にも記載されているような、キャスティングドラムで一般に用いられている加熱手段、冷却手段を採用することができる。具体的には、加熱手段としては、電磁誘導を用いる加熱手段、赤外線ヒーターを用いる加熱手段、加熱媒体を用いる加熱手段、ガスヒーターを用いる加熱手段等が挙げられ、また、冷却手段としては、経路に冷却媒体を供給したり、冷却媒体を吹き付けたりする冷却手段等が挙げられる。
回転環4の表面温度を設定・制御するために、次のような方法を用いることができる。
1)固定軸2の表面における、加熱手段および/または冷却手段3の配置を調整する方法、
2)固定軸2の形状(表面形状、断面形状等)の設定により、回転環4と加熱手段および/または冷却手段3との距離を調整する方法、
3)加熱手段および/または冷却手段3に供給される電気の電力・周波数、加熱媒体・冷却媒体の温度等を調整する方法、
4)上記1)〜3)の方法を併用する方法
上記の方法により、回転環4の表面温度を回転環4の回転方向(合成樹脂フィルム・シート5の長手方向)および回転環4の中心軸9と平行方向(合成樹脂フィルム・シート5の幅方向)に自由自在に設定・制御することができる。
a)回転環4の中心軸9と直交する断面形状が、均一な円形または多角形である固定軸2を用い、
b)複数の帯状の加熱手段および/または冷却手段3を、回転環4の中心軸9と略平行となるように、固定軸2の表面に配置して、
上記1)の方法により、回転環4の表面温度の設定・制御を行うことが好ましい。
加熱手段および/または冷却手段3における加熱手段としては、離間する回転環4を加熱できる公知の誘導加熱手段を用いることができるが、応答性が良好であり、回転環4の表面温度をきめ細かく設定・制御できることから、誘導コイルを用いる誘導加熱手段、赤外線ヒーターを用いる加熱手段等を採用することが好ましい。
加熱手段および/または冷却手段3における冷却手段としては、固定軸2の表面に管路等の経路を設け、この経路に冷却媒体を供給する冷却手段および/または固定軸2の表面にノズル等の吹き出し口を設け、この吹き出し口から回転環4の内側表面4Aに冷却媒体を吹き付ける冷却手段等を用いることができるが、応答性、冷却効率等の観点からは、回転環4の内側表面4Aに冷却媒体を吹き付ける冷却手段を用いることが好ましい。
固定軸2および回転環4の材質としては、特に限定されないが、物性・特性、価格等の観点から、好適にはステンレスを用いることができる。
本発明のキャスティングドラム装置は、回転環4の周囲に、回転環4の表面に向けてエアー、ミスト等の冷却媒体を供給する冷却装置8を備えることが好ましい。冷却装置8を用いる補助的な冷却により、液状合成樹脂7および/または合成樹脂フィルム・シート5の温度をより適切に設定・制御することができる。
本発明のキャスティングドラム装置を用いた合成樹脂フィルム・シートの製造方法は、上記のようなキャスティングドラム装置を用いて、合成樹脂フィルム・シート5を製造することにより、キャスティングドラムを大型化した場合でも、経済的・効率的に回転駆動することができ、また、回転部分の支持間隔を短くすることができるため、キャスティングドラムの自重による撓みを小さく抑えることができ、膜厚の均一な合成樹脂フィルム・シート5を容易に製造することができる。さらに、a)加熱手段および/または冷却手段3が配置される固定軸2の形状および/またはb)固定軸2の表面における加熱手段および/または冷却手段3の配置を調整することにより、回転環4の回転方向(合成樹脂フィルム・シート5の長手方向)および回転環4の中心軸9と平行方向(合成樹脂フィルム・シート5の幅方向)における回転環4の表面温度を、自由自在に設定・制御することが可能となり、合成樹脂フィルム・シート5の材料樹脂、合成樹脂フィルム・シート5に求められる物性・特性等に応じて、キャスティングドラム表面温度を自由自在に設定・制御することができる。
以上に説明したように、本発明のキャスティングドラム装置は、固定軸と、固定軸に回転可能に取り付けられた中空円筒形の回転環とを備えるように構成したことにより、回転部分を軽量化することができ、キャスティングドラムを大型化した場合でも、経済的・効率的に回転駆動することができる。さらに、回転部分を軽量化することができ、また、回転部分の支持間隔を短くすることができ、また、断面剛性を高めることができるため、キャスティングドラムの自重による撓みを小さく抑えることができ、合成樹脂フィルム・シートの膜厚を均一に保つことができる。さらに、a)加熱手段および/または冷却手段が配置される固定軸の形状および/またはb)固定軸の表面における加熱手段および/または冷却手段の配置を調整することにより、回転環の回転方向(合成樹脂フィルム・シート5の長手方向)および回転環の中心軸と平行方向(合成樹脂フィルム・シート5の幅方向)における回転環の表面温度を、自由自在に設定・制御することが可能となり、合成樹脂フィルム・シートの材料樹脂、合成樹脂フィルム・シートに求められる物性・特性等に応じて、キャスティングドラム表面温度を自由自在に設定・制御することができる。
2 固定軸
3 加熱手段および/または冷却手段
3A 加熱手段および/または冷却手段の回転環側の表面
4 回転環
4A 回転環の内側表面
5 合成樹脂フィルム・シート
6 ボールベアリング
7 合成樹脂を溶媒に溶解させた溶液または溶融させた合成樹脂(液状合成樹脂)
8 冷却装置
9 回転環の中心軸
20 キャスティングドラム
21 外筒
22 内筒
23 外筒と内筒間の空隙
24 らせん溝隔壁
25 一方の軸
26 他方の軸
27 液状熱媒分岐管
Claims (12)
- 合成樹脂フィルム・シートを成形する際に用いられるキャスティングドラム装置であって、
固定軸と、
前記固定軸の表面に配置された加熱手段および/または冷却手段と、
前記加熱手段および/または冷却手段を覆うように、前記固定軸に対して回転可能に設けられた中空円筒形の回転環とを備え、
前記加熱手段および/または冷却手段により、前記回転環を加熱および/または冷却することを特徴とする、キャスティングドラム装置。 - 前記加熱手段および/または冷却手段が、前記合成樹脂フィルム・シートの材料樹脂、前記合成樹脂フィルム・シートに求められる物性・特性等に応じて、前記固定軸の表面に配置されることを特徴とする、請求項1に記載のキャスティングドラム装置。
- 前記加熱手段および/または冷却手段が、回転環の中心軸と直交する断面において、前記加熱手段および/または冷却手段の前記回転環側の表面が、前記回転環の内側表面と略平行となるように配置されることを特徴とする、請求項1または2に記載のキャスティングドラム装置。
- 前記加熱手段および/または冷却手段が、前記回転環の中心軸と略平行となるように、前記固定軸の表面に配置されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のキャスティングドラム装置。
- 前記加熱手段および/または冷却手段が、複数の帯状の加熱手段および/または冷却手段であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載のキャスティングドラム装置。
- 前記加熱手段が誘導コイルであり、この誘導コイルに交流電流を流して強度の変化する磁力線を発生させることにより、前記回転環を加熱することを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載のキャスティングドラム装置。
- 前記加熱手段が赤外線ヒーターであり、この赤外線ヒーターに電流を流して赤外線を発生させることにより、前記回転環を加熱することを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載のキャスティングドラム装置。
- 前記冷却手段が、経路に冷却媒体を供給する冷却手段および/または前記回転環の内側表面に冷却媒体を吹き付ける冷却手段であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載のキャスティングドラム装置。
- 前記回転環が、ステンレス製の中空円筒であることを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載のキャスティングドラム装置。
- 前記回転環が、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)の内層、ステンレス製の外層から形成された積層中空円筒、または炭素繊維強化プラスチック(CFRP)製の中空円筒であることを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載のキャスティングドラム装置。
- 前記回転環の周囲に、前記回転環の表面に向けて冷却媒体を吹き付ける冷却装置を備えることを特徴とする、請求項1〜10のいずれかに記載のキャスティングドラム装置。
- 前記請求項1〜11のいずれかに記載のキャスティングドラム装置を用いることにより、合成樹脂を溶媒に溶解させた溶液または溶融させた合成樹脂から、合成樹脂フィルム・シートを成形することを特徴とする、合成樹脂シート・フィルムの製造方法。
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