JP6879090B2 - 溶融押出成形用ロール及びシート成形品の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、溶融押出成形用ロール及びシート成形品の製造方法に関する。
熱可塑性樹脂シートの溶融押出成形を行う際、平滑な面を有する溶融押出成形用ロールを溶融した熱可塑性樹脂に押し付けることで平滑で薄い樹脂フィルムを製造することや、表面に微細構造が形成された溶融押出成形用ロールを用いてその微細構造を熱可塑性樹脂シートの表面に転写し、シート成形品の表面に様々な機能を付与することが行われている。
微細構造が形成された熱可塑性樹脂シートの製造では、Tダイやコートハンガーダイのリップ部から流れ出る溶融した熱可塑性樹脂シートに対し、表面に微細構造が形成された溶融押出成形用ロール(主ロール)と圧着用ロール(従ロール)との間で圧力を加えて微細構造を表面に転写すること等により、微細構造が形成された熱可塑性樹脂シート(シート成形品)が製造される。
一般に、主ロールの温度を制御し、主ロールに接触する溶融した熱可塑性樹脂シートの温度を高く保つことにより、熱可塑性樹脂シートへの微細構造の転写性を向上させることができる。しかしながら、主ロールの温度を高くしすぎると、主ロール及と従ロールとの間で溶融した熱可塑性樹脂シートに圧力を加えた後、主ロールから熱可塑性樹脂シートを剥がすまでの間に、熱可塑性樹脂シートの冷却が十分に行われず、微細構造が転写された熱可塑性樹脂シートが主ロールに粘着したままとなることがある。このような問題に対し、特許文献1(特許第4598574号)は、ダイから出た帯状溶融樹脂を冷却又は固化した帯状樹脂の加熱を行なう加熱冷却ロールにおいて、帯状樹脂が加熱冷却ロールへの接触を開始する箇所の温度と、帯状樹脂が加熱冷却ロールから引き離される箇所の温度とを個別にコントロールすることで、粘着の問題を克服する構成を開示する。
また、主ロールの温度を制御する構成として、主ロールの表面に設けられた導電部に電流を流し、導電部を発熱させて主ロールの温度を制御する構成が知られている。特許文献2(特開平6−128623号公報)は、プラスチックフィルムの熱延伸等に使用される加熱ロールとして、外殻スリーブ、その内側に密着して嵌合した内殻スリーブ、及び内殻スリーブの内周に接して置かれた又は埋め込まれた発熱体を有し、内殻スリーブが熱伝導性の優れた金属から成る加熱ロールを開示する。外殻スリーブがステンレス鋼(熱伝導率:16W/m・K)で作製され、内殻スリーブが銅やアルミニウム、それらの合金など(熱伝導率:約200W/m・K〜約400W/m・K)で作製されることが開示される。
特許第4598574号 特開平6−128623号公報
溶融押出成形用ロールの表面に設けられ、電流が流れることにより発熱する発熱体である導電層に電流を流し、溶融押出成形用ロールの温度を制御する構成において、導電層を流れる電流が溶融押出成形用ロールの芯であるロール本体部に流れ出て、電流のロスが生じ、発熱効率が低下するという問題がある。
そこで、本発明は、溶融押出成形用ロールの発熱体である導電層を流れる電流がロール本体部へ流れ出るのを防止又は低減する構成を備えた溶融押出成形用ロール及びシート成形品の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の実施形態には以下の構成が含まれる。
[1]
熱可塑性樹脂の溶融押出成形において使用される溶融押出成形用ロールであって、
内部に熱媒流路が設けられたロール本体部と、
ロール本体部の表面に設けられた第1絶縁層と、
第1絶縁層上に設けられ、電流が流れることにより発熱する導電層とを備えた溶融押出成形用ロール。
[2]
第1絶縁層は、金属製のロール本体部の表面を直接処理して得られた絶縁体で構成される、上記[1]に記載の溶融押出成形用ロール。
[3]
絶縁体は、リン酸塩皮膜である、上記[2]に記載の溶融押出成形用ロール。
[4]
導電層は、銅、鉄、亜鉛、クロム、ニッケル、ニッケル−鉄合金、ニッケル−銅合金、ニッケル−クロム合金、ニッケル−クロム−鉄合金、ニッケル−モリブデン合金、ニクロム(III,V)クロメルB、ニクロムIクロメルC、及びカンタル(A,D)からなる群から選択される1つ以上の金属で構成される、上記[1]〜[3]のいずれかに記載の溶融押出成形用ロール。
[5]
導電層上に設けられた第2絶縁層と、
第2絶縁層上に設けられたメッキ層と
をさらに備えた上記[1]〜[4]のいずれかに記載の溶融押出成形用ロール。
[6]
ロール本体部、導電層、及びメッキ層がそれぞれ電気的に絶縁されている、上記[5]に記載の溶融押出成形用ロール。
[7]
第2絶縁層は、導電層上に形成された金属蒸着膜の表面を直接処理して得られた絶縁体で構成される、上記[5]又は[6]に記載の溶融押出成形用ロール。
[8]
絶縁体は、リン酸塩皮膜である、上記[7]に記載の溶融押出成形用ロール。
[9]
メッキ層に微細構造が形成されている、上記[5]〜[8]のいずれかに記載の溶融押出成形用ロール。
[10]
上記[1]〜[9]のいずれかに記載の溶融押出成形用ロールと、溶融押出成形用ロールに対向して配置された対向ロールとを備えた装置を用いたシート成形品の製造方法であって、
導電層に電流を流すステップと、
溶融押出成形用ロールと対向ロールの間で溶融した熱可塑性樹脂シートに圧力を加え、シート成形品を形成するステップと
を含む製造方法。
本発明の一実施形態に係る溶融押出成形用ロールでは、発熱体である導電層に流れる電流が、ロール本体部に流れ出ることが防止又は低減される。
一実施形態に係る溶融押出成形用ロールの模式的な断面図である。 一実施形態に係る溶融押出成形用ロールを備えたシート成形品の製造装置の概念図である。
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態について説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、種々の数値、寸法、材料、及び形状などは例示である。
図1は、本発明の一実施形態に係る溶融押出成形用ロール10の模式的な断面図である。
溶融押出成形用ロール10は、ロールの芯であるロール本体部11、ロール本体部の内部に設けられた熱媒流路12、ロール本体部11の表面に設けられた第1絶縁層13、及び、第1絶縁層13上に設けられた発熱体としての導電層14、導電層14上に設けられた第2絶縁層15、及び前記第2絶縁層15上に設けられたメッキ層16を備える(図1)。
ロール本体部11は、金属製の円柱状の部材であり、不図示の駆動機構からの駆動力により、ロール本体部11の中心軸の周りで回転するように構成されている。ロール本体部11を構成する金属は、常温において30W/m・K〜120W/m・K、好ましくは40W/m・K〜100W/m・Kの熱伝導率を有する金属である。例えば、ロール本体部11を構成する金属は、炭素鋼、クロム鋼、クロムモリブデン鋼、鋳鉄、タングステン鋼、アルミニウム、又はこれらの組み合わせであり、好ましくは構造用合金鋼材であるクロムモリブデン鋼SCM440又は炭素含有炭素鋼S45Cである。ロール本体部11の外径は、限定されないが、100mm〜1000mmであってもよい。
炭素鋼、クロム鋼、クロムモリブデン鋼、鋳鉄、タングステン鋼、クロムモリブデン鋼SCM440、及び炭素含有炭素鋼S45Cの常温(20℃)における熱伝導率は、炭素鋼:45〜53W/m・K、クロム鋼:52〜60W/m・K、クロムモリブデン鋼:40〜48W/m・K、鋳鉄:48W/m・K、タングステン鋼:53〜66W/m・K、クロムモリブデン鋼SCM440:44.5W/m・K、及び炭素含有炭素鋼S45C:45W/m・Kである。
ロール本体部11の内部に設けられた熱媒流路12は、切削ドリルによってロール本体部11の側面(円柱底面)から円環状に、ロール本体部11の軸方向に対して平行に所謂ドリルドロール状に形成した1つ又は複数の熱媒流路であってもよいし、ロール本体部11の軸方向にスパイラル状に形成された1つ又は複数の熱媒流路であってもよい。熱媒流路を流れる熱媒は、例えば水又は熱媒油である。
溶融押出成形時に、溶融した熱可塑性樹脂シートが溶融押出成形用ロール10に接触すると、その接触面(メッキ層16の表面)は温度が上昇し、その接触面から熱媒流路12までの部分に温度勾配が生じる。該接触面の温度上昇の度合いは、該接触面から熱媒流路までの距離に依存する。この距離が短い場合、熱媒流路12を流れる熱媒による温調効率が高く、熱可塑性樹脂シートは比較的速やかに冷却されるが、該距離が長い場合、熱媒による温調効率が低く、熱可塑性樹脂シートは比較的ゆっくりと冷却される。
ロール本体部11の軸方向中央近傍において、ロール本体部11の表面から熱媒流路12までの距離を短くして熱媒流路12による冷却効率を高くし、ロール本体部11の軸方向端部近傍においてはその距離を長くして熱媒流路12による冷却効率を低下させる構成をとるようにしてもよい。この構成により、熱可塑性樹脂シートの端部(ロールの軸方向端部)における微細構造の転写条件を、熱可塑性樹脂シートの中央部(ロールの軸方向中央部)における転写条件に近づけることができる。このため、エアギャップにおける熱可塑性樹脂シートの端部の温度低下に起因した転写性の悪化を防止又は低減することができる。
第1絶縁層13は、導電層14を流れる電流が、ロール本体部11に流れ出るのを防止又は低減するための層である。第1絶縁層13は、ロール本体部11全体に設けられていてもよいし、ロール本体部11の円周面全体、又はロール本体部11の円周面上であって導電層14が取り付けられる部分に設けられていてもよい。第1絶縁層13は、溶融した熱可塑性樹脂シートの高温(例えば100〜200℃程度)に耐えられる耐熱性の樹脂で構成されていてもよい。耐熱性の樹脂として、例えば、ポリイミド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリテトラフルオロエチレン樹脂、ポリフェニレンスルファイド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリアセタール樹脂、ユリア樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、シリコン樹脂、又はエポキシ樹脂などを用いてもよい。好ましくは、第1絶縁層13は、ロール本体部11の表面を直接処理して得られる絶縁体で構成される。該絶縁体は、好ましくは、ロール本体部11の表面をパーカライジング処理して得られるリン酸塩皮膜、又はロール本体部11の表面をアルマイト処理して得られる酸化膜である。第1絶縁層13をロール本体部11の表面を直接処理して得られる絶縁体で構成することで比較的強固な絶縁層とすることができる。また、該絶縁体の膜厚は、比較的高い寸法精度で、数μm〜数十μm程度と薄くすることができるため、第1絶縁層13の熱容量を小さくすることができ、導電層14が発する熱及び熱可塑性樹脂シートが発する熱を効率よく隣接する部材へ伝達することができる。
第1絶縁層13にピンホールなどの異常部位が複数形成されると、導電層14を流れる電流が複数の異常部位からロール本体部11に流れるため、第1絶縁層13は、異常部位が存在しない層であることが好ましい。第1絶縁層13の厚さは、ピンホールなどの異常部位を発生させない程度の厚さであって、ロール本体部11を導電層14から絶縁するのに十分な厚さであればよく、導電層14に流す電流量に応じて異なるようにしてもよい。上記のとおり、第1絶縁層13を薄く形成し、熱容量を小さくすることで、隣接する部材への効率良い熱の伝達が可能となる。
導電層14は、第1絶縁層13上に設けられ、電流が流れることで発熱する金属、例えば、銅、鉄、亜鉛、クロム、ニッケル、ニッケル−鉄合金、ニッケル−銅合金、ニッケル−クロム合金、ニッケル−クロム−鉄合金、ニッケル−モリブデン合金、ニクロム(III,V)クロメルB、ニクロムIクロメルC、及びカンタル(A,D)からなる群から選択される1つ以上の金属で構成される。好ましくは、導電層14は、無電解メッキ法又は電解メッキ法などのメッキ法にて形成する上記金属のメッキで構成され、好ましくはニッケル−リン合金のメッキで構成される。導電層14が発する熱は、第2絶縁層15を通じてメッキ層16に伝わり、メッキ層16から熱可塑性樹脂シートに伝わる。
導電層14に電流を流す際には、導電層14の(ロールの軸方向)両端のテラス部分14aに、電源41に接続されたカーボンブラシなどの電流端子40が接触することになる。そのため、導電層14とその上に設けられる第2絶縁層15は、両端部において階段状に形成される。導電層14の抵抗値を大きくし、導電層14を流れる電流値を小さくするために、導電層14はできるだけ薄く形成しておくことが好ましい(例えば10μm以下)。
第2絶縁層15は、導電層14上に設けられ、導電層14を流れる電流がメッキ層16に流れ出るのを防止又は低減する。第2絶縁層15は、導電層14の表面上であってメッキ層16が取り付けられる部分に設けられていてもよい。第2絶縁層15は、溶融した熱可塑性樹脂シートの高温(例えば100〜200℃程度)に耐えられる耐熱性の樹脂で構成されていてもよい。耐熱性の樹脂として、例えば、ポリイミド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリテトラフルオロエチレン樹脂、ポリフェニレンスルファイド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリアセタール樹脂、ユリア樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、シリコン樹脂、又はエポキシ樹脂などを用いてもよい。好ましくは、第2絶縁層15は、導電層14の表面に鉄、亜鉛、マンガン、アルミニウム、又はこれらの合金などの金属をスパッタリングにより蒸着させ、蒸着させた該金属の膜(金属蒸着膜)の表面を直接処理して得られる絶縁体で構成される。該絶縁体は、好ましくは、該金属蒸着膜の表面をパーカライジング処理して形成するリン酸塩皮膜、又は該金属蒸着膜の表面をアルマイト処理して得られる酸化膜である。第2絶縁層15を該金属蒸着膜の表面を直接処理して得られる絶縁体で構成することで比較的強固な絶縁層とすることができる。また、該絶縁体の膜圧は、比較的高い寸法精度で、数μm〜数十μm程度と薄くすることができるため、第2絶縁層15の熱容量を小さくすることができ、導電層14が発する熱及び熱可塑性樹脂シートが発する熱を効率よく隣接する部材へ伝達することができる。
第2絶縁層15にピンホールなどの異常部位が複数形成されると、導電層14を流れる電流が複数の異常部位からメッキ層16に流れ出るため、第2絶縁層15は、異常部位が存在しない層であることが好ましい。第2絶縁層15の厚さは、ピンホールなどの異常部位を発生させない程度の厚さであるが、発熱した導電層14の熱をメッキ層16に効率的に伝えるために、できるだけ薄い方が好ましい。また、第2絶縁層15は、メッキ層16の硬度に合わせて、比較的硬い材料で構成してもよい。上記のとおり、第2絶縁層13を薄く形成し、熱容量を小さくすることで、隣接する部材への効率良い熱の伝達が可能となる。
メッキ層16は、溶融した熱可塑性樹脂シートに接し、溶融押出成形用ロール10に対向して配置されたロールとともに溶融した熱可塑性樹脂シートに圧力を加える層であって、導電層14が発する熱を熱可塑性樹脂シートに伝える層である。メッキ層16の表面に微細構造が形成されている場合には、微細構造も熱可塑性樹脂シートに転写される。
微細構造は、例えば、マットパターン、プリズムパターン、マイクロレンズアレイパターン、又は外装材等に使用するための装飾用の図柄であってもよい。マットパターンは、サンドブラスト、放電加工、又はケミカルエッチングなどの方法により形成することができ、プリズムパターンやマイクロレンズアレイパターンは、ダイヤモンドバイトによる切削などによって形成することができる。
メッキ層16は、銅、鉄、亜鉛、クロム、ニッケル、ニッケル−鉄合金、ニッケル−銅合金、ニッケル−クロム合金、ニッケル−クロム−鉄合金、ニッケル−モリブデン合金、ニクロム(III,V)クロメルB、ニクロムIクロメルC、及びカンタル(A,D)からなる群から選択される1つ以上の金属で構成される。例えば、メッキ層16は、銅メッキ層、ニッケルメッキ層、無電解ニッケル−リンメッキ層、電解ニッケル−リンメッキ層、又はクロム層で構成される。メッキ層16の表面に微細構造が形成される場合には、ビッカース硬度が低く加工性に富む銅又はニッケルでメッキ層16を構成することが好ましい。一方、高いビッカース硬度が要求される場合にはクロムでメッキ層16を構成することが好ましい。適度に高いビッカース硬度と微細加工の容易性の両方が要求される場合、ニッケル−リン合金でメッキ層16を構成することが好ましい。また、メッキ層16の電気抵抗率が導電層14と等しい、或いは大きい場合は第2の絶縁層15を省略することもできる。
以上のように、溶融押出成形用ロール10では、ロール本体部11と電流が流れることにより発熱する導電層14との間に第1絶縁層13が設けられていることにより、導電層14を流れる電流がロール本体部11に流れ出ることは防止又は低減される。また、導電層14とメッキ層16との間に第2絶縁層15が設けられていることにより、導電層14を流れる電流がメッキ層16に流れ出ることは防止又は低減される。ロール本体部11、導電層14、及びメッキ層16がそれぞれ電気的に絶縁され、電流が導電層14を選択的に流れるため、電流ロスが低減され、発熱効率が向上する。さらに、第1絶縁層13及び第2絶縁層15が、それぞれロール本体部11及び導電層14をパーカライジング処理して形成したリン酸塩皮膜で構成される場合、第1絶縁層13及び第2絶縁層15を比較的薄く構成することができ、導電層14が発する熱や熱可塑性樹脂シートが発する熱をメッキ層16や熱媒流路12へ効率的に伝達することが可能となる。
図2は、本発明の一実施形態に係る溶融押出成形用ロール10を含むシート成形品の製造装置30の概念図である。図2は、溶融押出成形用ロール10の底面側から(回転軸方向に)見た図である。
シート成形品の製造装置30は、溶融押出成形用ロール10(主ロール)及び溶融押出成形用ロール10に対向して配置された対向ロール20(従ロール)を備える。また、シート成形品の製造装置30は、任意で、溶融した熱可塑性樹脂を押し出すダイ50を備える。対向ロール20は、溶融押出成形用ロール10に対向して配置され、金属や樹脂(弾性と耐熱性を有する樹脂など)などで構成されたロールである。対向ロール20は、溶融押出成形用ロール10とともに溶融した熱可塑性樹脂シートに圧力を加えるのに用いるロールであってもよいし、対向ロール20の表面に形成された微細構造を熱可塑性樹脂シートへ転写するのに用いるロールであってもよい。ダイ50から押し出された溶融した熱可塑性樹脂シート51は、溶融押出成形用ロール10と対向ロール20との間で圧力が加わえられる(圧着される)。このとき、溶融押出成形用ロール10上に微細構造が形成されている場合にはその微細構造が熱可塑性樹脂シート51に転写される。このようにして、シート成形品52が製造される。
熱可塑性樹脂は、例えば、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、熱可塑性ポリエステル樹脂、環状ポリオレフィン樹脂、ポリメチル−1−ペンテン樹脂、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される1つ以上の樹脂である。シート成形品は、圧力が加わり固化した熱可塑性樹脂シート、マットパターンが形成された光拡散シート、又はプリズムパターンが形成された輝度向上シートなどである。
溶融押出成形用ロール10と、それに対向して配置された対向ロール20とを備えたシート成形品の製造装置30を用いたシート成形品52の製造方法は、導電層14に電流を流すステップと、溶融押出成形用ロール10と対向ロール20の間で溶融した熱可塑性樹脂シート51に圧力を加え、シート成形品52を形成するステップとを含む。また、シート成形品52の製造方法は、導電層14に電流を流すステップの前に、導電層14のテラス部分14aに電流端子を接触させるステップをさらに含む。
溶融した熱可塑性樹脂シート51が溶融押出成形用ロール10のメッキ層16のある接触面(ここにおいて第1接触面と称する。)と接触する前に、該第1接触面の下に設けられた導電部14に電源41から電流端子40を介して電流が流され発熱し、加熱された該第1接触面が融押出成形用ロール10の回転により回転移動し、溶融した熱可塑性樹脂シート51は該第1接触面と接触し、加圧される。加圧の際に、該第1接触面上に微細構造が形成されている場合は、該微細構造が熱可塑性樹脂シートに転写される。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明はこの実施形態に限定されるものではない。
10 溶融押出成形用ロール
11 ロール本体部
12 熱媒流路
13 第1絶縁層
14 導電層
15 第2絶縁層
16 メッキ層
20 対向ロール
30 シート成形品の製造装置
40 電流端子
41 電源
50 ダイ
51 熱可塑性樹脂シート
52 シート成形品

Claims (9)

  1. 熱可塑性樹脂の溶融押出成形において使用される溶融押出成形用ロールであって、
    内部に熱媒流路が設けられたロール本体部と、
    前記ロール本体部の表面に設けられた第1絶縁層と、
    前記第1絶縁層上に設けられ、電流が流れることにより発熱する導電層と
    前記導電層上に設けられた第2絶縁層と、
    前記第2絶縁層上に設けられたメッキ層と
    を備えた前記溶融押出成形用ロール。
  2. 前記第1絶縁層は、金属製の前記ロール本体部の表面を直接処理して得られた絶縁体で構成される、請求項1に記載の溶融押出成形用ロール。
  3. 前記絶縁体は、リン酸塩皮膜である、請求項2に記載の溶融押出成形用ロール。
  4. 前記導電層は、銅、鉄、亜鉛、クロム、ニッケル、ニッケル−鉄合金、ニッケル−銅合金、ニッケル−クロム合金、ニッケル−クロム−鉄合金、ニッケル−モリブデン合金、ニクロム(III,V)クロメルB、ニクロムIクロメルC、及びカンタル(A,D)からなる群から選択される1つ以上の金属で構成される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の溶融押出成形用ロール。
  5. 前記ロール本体部、前記導電層、及び前記メッキ層がそれぞれ電気的に絶縁されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の溶融押出成形用ロール。
  6. 前記第2絶縁層は、前記導電層上に形成された金属蒸着膜の表面を直接処理して得られた絶縁体で構成される、請求項1〜5のいずれか1項に記載の溶融押出成形用ロール。
  7. 前記絶縁体は、リン酸塩皮膜である、請求項に記載の溶融押出成形用ロール。
  8. 前記メッキ層に微細構造が形成されている、請求項1〜7のいずれか1項に記載の溶融押出成形用ロール。
  9. 請求項1〜のいずれか1項に記載の溶融押出成形用ロールと、前記溶融押出成形用ロールに対向して配置された対向ロールとを備えた装置を用いたシート成形品の製造方法であって、
    前記導電層に電流を流すステップと、
    前記溶融押出成形用ロールと前記対向ロールの間で溶融した熱可塑性樹脂シートに圧力を加え、シート成形品を形成するステップと
    を含む、前記製造方法。
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