JP2008238725A - 電鋳成形型及びその製造方法 - Google Patents

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Kimihiro Iimura
公浩 飯村
Muneo Furuya
宗雄 古谷
Shoji Araki
昭次 荒木
Nobuyoshi Tanaka
伸佳 田中
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Abstract

【課題】媒体流路の耐久性がよく、冷却特性に優れた電鋳成形型及びその製造方法を提供する。
【解決手段】電鋳成形型7は、成形面10を有し電鋳加工により形成された電鋳シェル1と、電鋳シェル1に裏打ちされたバッキング材71と、電鋳シェル1の内部に形成され成形面10の温度調整を行うよう熱媒体を流通させる媒体流路2とを有する。電鋳シェル1は、表面が成形面10となる成形層11と、互いに同材料からなる第一熱伝導層12と第二熱伝導層13との間に媒体流路2を形成してなる温度調整部16と、温度調整部16を挟んで成形層11と反対側に形成された補強層14とを有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、樹脂製品の射出成形、中空成形などに用いる電鋳成形型及びその製造方法に関し、特に電鋳技術を用いて成形面が形成され、加熱・冷却用の熱媒体流路を有するものに関する。
電鋳成形型は、成形面を電鋳加工で形成したものであり、対象表面形状を高い精度で細部まで転写することができるため、近年、精密表面形状をもつ樹脂製品の成形に用いられている。
かかる電鋳形成型としては、特許文献1に開示されているように、図12に示すように、金型外枠97と、金型外枠97の内部に装着され成形面971を有する入子95とをもち、成形面971は電鋳シェル972により形成されている。電鋳シェル972の裏面側にはバッキング材973が裏打ちされており、電鋳シェル972とバッキング材973との境界には温度調整用の媒体流路974が形成されている。また、金型外枠97にも温度調整用の媒体流路975が形成されている。樹脂射出時には、媒体流路974,975に高温蒸気を流通させて成形面971を急速に昇温させて、樹脂製品976のヒケ、ウェルドが発生することを抑制している。また、樹脂射出終了後には、媒体流路974,975に水を流通させて成形面971を急速に冷却して、樹脂製品976を取り出す。この電鋳形成型では、成形面971の近傍に媒体流路974が形成されているため、成形面971を急速に加熱、冷却でき、加熱、冷却時間が短く、またウェルド、ヒケなどの温度斑も少ない。
かかる電鋳成形型を製造するにあたっては、成形面に応じた転写面をもつマスタを作成し、その転写面にニッケル、銅などを析出させて電鋳シェルを形成する。電鋳シェルの表面に媒体流路形成用の低融点部材からなる中実体を蛇行状に配設した後にバッキング材で裏打ちする。その後、低融点部材の融点よりも高い温度に加熱して中実体を融解させて除去する。
また、特許文献2には、成形面にNi−Crで形成された薄板を配置し、その表面にワックスなどの中実体を配設し、Ni電鋳膜を形成し、その後中実体を溶出することが開示されている。また、特許文献3には、多孔シート表面に成形面となるNi合金電鋳シェルを形成し、その裏面側には媒体流路形成用のスチールパイプを配設し、その表面にNi合金電鋳シェルを形成してスチールパイプを固定することが開示されている。
特許第2656876号公報 特開平10−29215号公報 特開2004−195758号公報
しかしながら、特許文献1では、電鋳シェル972とバッキング材973との境界に媒体流路974が形成されている。このため、電鋳シェル972とバッキング材973との熱膨張係数の差異等により境界面に隙間が生じて媒体流路974から熱媒体が漏れ出るおそれがあり、耐久性がよくない。
特許文献2では、薄板の中実体を配設した位置が凸部となり、その凸部に集中的に電鋳金属が多く析出する一方、中実体の周縁は凹部となり、その凹部には電鋳シェルが析出しにくく薄くなってしまう。このため、中実体の周縁の凹部のような析出厚みが薄い部分で剛性が確保できず、成形穴内の射出圧などによって媒体流路が変形するおそれがある。また、薄板で成形面を形成しているため、複雑な形状の成形面を形成することが困難である。
また、特許文献3では、多孔シートの表面に、スチールパイプを配設し、これらの表面を電鋳膜で被覆している。スチールパイプはある程度の剛性があるため、媒体流路が内圧によって変形することは防止できる。しかし、パイプは、その剛性により変形しにくく、多孔シートの細部まで配設することができない。たとえ、パイプを曲げたとしても、パイプ間のピッチが大きくなってしまう。このため、高密度にパイプを配設することができず、迅速な温度調整を行うことができない。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、媒体流路の耐久性がよく、冷却特性に優れた電鋳成形型及びその製造方法を提供しようとするものである。
本発明の請求項1に係る発明は、成形面を有し電鋳加工により形成された電鋳シェルと、電鋳シェルに裏打ちされたバッキング材と、電鋳シェルの内部に形成され成形面の温度調整を行うよう熱媒体を流通させる媒体流路とを有する電鋳成形型において、電鋳シェルは、表面が成形面となる成形層と、互いに同材料からなる第一熱伝導層と第二熱伝導層との間に媒体流路を形成してなる温度調整部と、温度調整部を挟んで成形層と反対側に形成された補強層とを有することを特徴とする。
本発明の請求項2に係る発明は、補強層が、成形層と同材料で形成されていることを特徴とする。
本発明の請求項3に係る発明は、第一熱伝導層と第二熱伝導層とが、Cuからなることを特徴とする。
本発明の請求項4に係る発明は、補強層及び成形層が、Niからなることを特徴とする。
本発明の請求項5に係る発明は、成形面を有し内部に温度調整用の熱媒体を流通させる媒体流路を形成してなる電鋳シェルを有する電鋳成形型の製造方法において、成形面の形状に応じた転写面を持つマスタの転写面に、電鋳加工により順次成形層及び熱伝導層を析出させる工程と、熱伝導層の表面に、導電処理を施した媒体流路形成用の流路形成部材を配設する工程と、流路形成部材を配設した熱伝導層の表面に、更に電鋳加工により熱伝導層及び補強層を析出させて電鋳シェルを形成する工程と、電鋳シェルから流路形成部材を除去して媒体流路を形成する工程と、を含むことを特徴とする。
本発明の請求項6に係る発明は、流路形成部材が、ポリスチレンからなることを特徴とする。
本発明の請求項7に係る発明は、流路形成部材が、表面に微細孔をもつことを特徴とする。
本発明の請求項8に係る発明は、電鋳シェルの表面に配設したときに、流路形成部材の側面と電鋳シェルの表面とのなす角度が90°以上となる非アンダーカット形状をもつことを特徴とする。
請求項1に係る発明によれば、媒体流路が第一熱伝導層と第二熱伝導層の間に形成されて温度調整部を構成している。第一熱伝導層と第二熱伝導層は、互いに同材料で構成されている。それゆえ、第一熱伝導層と第二熱伝導層とは互いに強固に密着する。ゆえに、媒体流路は、第一熱伝導層と第二熱伝導層との間で気密性を保持できる。また、媒体流路は、熱伝導性の高い第一熱伝導層と第二熱伝導層により囲まれているため、媒体の温度を迅速に成形面へ伝達することができる。
また、電鋳シェルの媒体流路を形成した部位にはバッキング材の側に、媒体流路の高さに相当する突出量をもつリブが媒体流路の長さ方向に沿って形成されることになる。このリブ効果によって電鋳シェル全体の剛性が更に高くなる。
また、温度調整部を挟んで成形層と反対側には、補強層が形成されている。このため、温度調整部が補強されて、電鋳シェル全体の剛性を確保できる。
請求項2に係る発明によれば、補強層は、成形層と同材料により形成されている。このため、温度調整部が、互いに同材料の層により挟み込まれることになる。ゆえに、成形層と温度調整部との間の熱膨張差は、補強層と温度調整部との間の熱膨張差とほぼ近似することになる。したがって、温度調整部の両側で熱膨張差のバランスがとれて、電鋳シェルの変形が抑制される。
請求項3に係る発明によれば、第一熱伝導層と第二熱伝導層とがCuからなるため、優れた熱伝導性が得られ、媒体流路の熱変化を迅速に成形面へ伝達できる。
請求項4に係る発明によれば、成形層と補強層とがNiからなるため、優れた剛性が得られ、電鋳シェル全体の剛性を更に高くすることができる。また、Niからなる成形層は転写率が高く、優れた形状転写性を発揮できる。
請求項5に係る発明によれば、前記電鋳成形型を形成できる。また、媒体流路形成用部材が柔軟に湾曲可能な流路形成部材で形成されている場合には、媒体流路を自在な形状に配置でき、高密度に媒体流路を形成できる。
請求項6に係る発明によれば、流路形成部材がポリスチレンから構成されているため、流路形成部材が柔軟性をもち、媒体流路のより自在な回路形成を行うことができる、また、ポリスチレンは、多数の微細孔をもつため、金属のアンカー効果がより一層効果的に発揮できる。
請求項7に係る発明によれば、流路形成部材の表面に複数の微細孔が形成されているため、流路形成部材表面に金属が進入してアンカー効果が発揮される。ゆえに、流路形成部材表面に金属が確実に付着して、流路形成部材の表面全体に導電性を付与することができる。
請求項8に係る発明によれば、流路形成部材が、その側面と電鋳シェルの表面とのなす角度が90°以上となる非アンダーカット部をもつため、その角度が90°未満となるアンダーカット部をもつ場合に比べて、電鋳金属のつきがよくなる。
以上のように本発明によれば、媒体流路の耐久性がよく、冷却特性に優れた電鋳成形型及びその製造方法を提供することができる。
本発明の電鋳成形型に形成された電鋳シェルは、表面が成形面となる成形層と、互いに同材料からなる第一熱伝導層と第二熱伝導層との間に前記媒体流路を形成してなる温度調整部と、該温度調整部を挟んで前記成形層と反対側に形成された補強層とを有する。
成形層、第一熱伝導層、第二熱伝導層及び補強層は、電鋳加工により形成される。電鋳加工を行うにあたっては、電気化学反応を利用して、金属イオンを含んだ電解質溶液に電流を通じて目的の金属をマスタ転写面上に析出させる。
第一熱伝導層と第二熱伝導層とは同材料より構成されている。第一、第二熱伝導層は、Cuを始めとし、Alなどの熱伝導性のよい材料からなる。
第一熱伝導層と第二熱伝導層は、それぞれ3〜5mmであることが好ましい。3mm未満の場合には、成形材料の圧力(射出圧など)によって媒体流路が変形するおそれがある。5mmを越える場合には、電鋳加工に時間がかかりすぎる。第一熱伝導層と第二熱伝導層は、電鋳シェルの熱膨張のバランスをとるため、いずれも同じ厚みであることが好ましい。
電鋳加工を凹凸表面に対して行うと、凹部は凸部に比べて膜厚が薄くなる傾向にある。この場合にも、第一熱伝導層と第二熱伝導層は、それぞれ最も薄い部分の膜厚が3〜5mmであることが好ましい。
補強層は、成形層と略同一の熱膨張係数を有することが好ましい。この場合には、成形層と温度調整部との間の熱膨張差は、補強層と温度調整部との間の熱膨張差とほぼ近似することになる。したがって、温度調整部の両側で熱膨張差のバランスがとれて、電鋳シェルの変形が抑制される。
成形層は、電鋳シェルの中で成形面に面する層である。成形層は、転写率のよいNiからなることが好ましい。また、成形層は、Fe、Crから構成されていてもよい。補強層は、たとえば、成形層と同材料のNi、Fe、Crなどより構成されている。
成形層及び補強層は、それぞれ2〜5mmであることが好ましい。2mm未満の場合には、剛性が低く、成形材料の圧力(射出圧など)によって媒体流路が変形するおそれがある。5mmを越える場合には、電鋳シェルの析出に時間がかかりすぎる。また、成形層と補強層は、膜厚が不均一の場合にも、それぞれ最も薄い部分の膜厚が3〜5mmであることが好ましい。成形層と補強層は、電鋳シェルの熱膨張のバランスをとるため、互いに同程度の厚みであることが好ましい。
第一熱伝導層と第二熱伝導層との間には、温度調整用の媒体流路が形成されている。媒体流路は、電鋳シェルの成形面とほぼ平行に蛇行状等に折り曲げられて配設されている。媒体流路の断面は、媒体流路側面と第一熱伝導層の表面とのなす角度が90°以上となる非アンダーカット形状であることが好ましい。この場合には、アンダーカット形状の場合に比べて、媒体流路と第一熱伝導層との間の境界に電鋳金属が析出しやすくなる。非アンダーカット形状としては、たとえば、半円、長方形、台形などがある。
媒体流路の幅は、5〜15mmであることが好ましい。5mm未満の場合には、媒体流路の温度調整を迅速に行うことができないおそれがある。15mmを越える場合には、媒体流路の強度が低下するおそれがある。
媒体流路を形成するにあたっては、表面に微細孔をもつ流路形成部材が用いられる。流路形成部材は、柔軟に屈曲、湾曲させることが可能な材料であることが好ましく、単糸でもよいし、複数の糸を編成したものであってもよい。流路形成部材は、溶剤に可溶か、または加熱により溶融する材料を用いて形成されている。かかる材料としては、ポリスチレン、ワックスなどがある。
流路形成部材の断面形状は、電鋳金属のつきを考慮して、半円(図9)、長方形(図10(a))、正方形、台形(図10(b))などの、熱伝導層上に配置したときに熱伝導層との間の境界部分が非アンダーカット形状であることが好ましい。流路形成部材の表面に微細な孔を形成するにあたっては、たとえば、ポリスチレンのように流路形成部材用材料自体に微細孔があるものを用いる。
流路形成部材には、導電処理が施される。これは、流路形成部材の表面にも電鋳シェルを形成するためである。導電処理としては、たとえば、銀粉をバインダに溶かしてなる銀ペーストを、流路形成部材表面に塗布したり、または銀鏡反応により銀を析出させる銀鏡処理を行う。
電鋳シェルに裏打ちされるバッキング材は、電鋳シェルの裏面形状に沿った形状であり、電鋳シェル裏面に配設されている。バッキング材は、たとえば、耐熱性樹脂、セメント、アルミニウムなどの金属などがあり、アルミニウム粉末などの導電性材料、炭素繊維などの繊維、シートなどの強化材を含んでいてもよい。
バッキング材の電鋳シェルに裏打ちする面は、たとえば、放電加工により形成できる。放電加工された裏打ち面に接着剤を用いて電鋳シェルに接着して、電鋳シェルにバッキング材を裏打ちすることができる。また、電鋳シェルの成形面と反対側の面にバッキング材の溶湯を流し込んで裏打ちすることもできる。
電鋳成形型は、媒体流路に熱媒体を流通させることにより温度調整を自在に行うことができる。このため、特に、薄い形状、細長い形状、微細な意匠面の形状をもつ製品の成形や、ウェルドやヒケ防止に好適に用いられる。
本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。
本例の電鋳成形型7は、図1,図2に示すように、成形面10を有し電鋳加工により形成された電鋳シェル1と、電鋳シェル1に裏打ちされたバッキング材71と、電鋳シェル1の内部に形成され成形面10の温度調整を行うよう熱媒体を流通させる媒体流路2とを有する。電鋳シェル1は、表面が成形面10となる成形層11と、互いに同材料からなる第一熱伝導層12と第二熱伝導層13との間に媒体流路2を形成してなる温度調整部16と、温度調整部16を挟んで成形層11と反対側に形成された補強層14とを有する。
第一熱伝導層12と第二熱伝導層13とは、いずれも熱伝導性のよいCuからなる電鋳層である。成形層11と補強層14は、いずれも剛性及び転写率が高いNiからなる電鋳層である。成形層11,第一熱伝導層12,第二熱伝導層13及び補強層14の厚みは、順に3mm、4mm、4mm、3mmである。 媒体流路2の断面は半円状であり、その直径は8mmである。バッキング材71は、アルミニウムで形成されており、電鋳シェル1と、耐熱性樹脂であるエポキシ樹脂材料とアルミニウム粉末とが混合されてなる接着剤で接着されている。
電鋳成形型7は、上型721と下型722とをもち、上型721と下型722との間にキャビティ720を形成している。キャビティ720の中には、電鋳シェル1とバッキング材71が中子として配設される。上型721,下型722及びバッキング材71には、温度調整用の熱媒体を流通させる金属製のパイプ75が埋設されている。
次に、電鋳成形型の製造方法について説明する。
まず、図3に示すように、成形面10の形状に応じた転写面50を持つマスタ5を準備する。マスタ5は、導電性の付与されたエポキシ樹脂材料から構成されている。図4に示すように、マスタ5に対して電鋳加工を施して、成形層11及び第一熱伝導層12を順次形成する。電鋳加工は、Niイオン、Cuイオンをそれぞれ含んだ電解質溶液にマスタ5を浸漬し、電流を通じて目的の金属を転写面50上に析出させる。これにより、順次、Niからなる成形層11及びCuからなる熱伝導層12を析出させる。
次に、図9に示すように、表面に微細孔40をもつ媒体流路形成用の流路形成部材4を準備する。流路形成部材4は、ポリスチレンからなる直径8mmの断面半円状のモノフィラメントを用いる。流路形成部材4には銀粉をバインダに溶かしてなる銀ペーストを塗布して、流路形成部材4表面に導電性を付与する。
次に、図5に示すように、流路形成部材4を第一熱伝導層12の上に配置する。流路形成部材4は、断面半円状であり、その直線部41を第一熱伝導層12に当接させ、半円弧部42は上方に向くように配置する。このとき、図11に示すように、流路形成部材4は、第一熱伝導層12の全体に所定間隔をおいて蛇行状に配置する。
次に、図6に示すように、流路形成部材4を配置した第一熱伝導層12の上に、電鋳加工にて、更に、Cuからなる第二熱伝導層13及びNiからなる補強層14を順に形成する。流路形成部材4は銀ペーストにより被覆されていて導電性をもつため、流路形成部材4表面にも電鋳金属が析出して、第二熱伝導層13及び補強層14が形成される。以上により、マスタ5の表面に、成形層11,第一熱伝導層12,第二熱伝導層13及び補強層14からなる電鋳シェル1が形成される。次に、溶剤にて流路形成部材4を溶出させて、媒体流路2を形成する。次に、図11に示すように、媒体流路2の上流側、下流側に流入管21、流出管22を接続する。
次に、図7に示すように、アルミからなるバッキング材71の表面に、おおよそ電鋳シェル1の表面形状になるように表面加工(例えば切削加工)をする。ついで、その加工面711を電鋳シェル1に対向させた状態で、油81の中で放電処理を行う。そして、加工面711と電鋳シェル1との間の距離を近づけていくと、電鋳シェル1と加工面711との間で放電が発生する。やがて、図8に示すように、加工面711が電鋳シェル1の表面形状に沿うように加工される。次に、エポキシ樹脂とアルミニウム粉末とを混合してなる接着剤により加工面711を電鋳シェル1の表面に接着する。次に、電鋳シェル1からマスタ5を離型する。その後、このバッキング材7に裏打ちされた電鋳シェル1を中子として、電鋳成形型7の上型721と下型722との間のキャビティ720に設置する。以上により、本例の電鋳成形型7が得られる。
電鋳成形型7は、例えば、図1に示すように、薄い樹脂製品3の射出成形に用いられる。まず、媒体流路2及びパイプ75に120〜170℃の水蒸気を流通させる。すると、数十秒後に成形面10が水蒸気と同程度の温度に到達する。続いて、成形面10に開口するノズル70から樹脂を射出する。電鋳成形型7は、水蒸気により高温に加熱されているため、射出された樹脂は、成形面10に囲まれた成形穴100の中にスムーズに流動し、成形穴100を充満させる。射出終了後に、媒体流路2及びパイプ75の中に、水蒸気の代わりに冷却水を供給する。すると、数十秒後に成形面10が冷却水と同程度の温度に冷却されて、成形穴内部の樹脂が冷却、固化される。その後、型開きして、樹脂製品3を取り出す。
本例においては、媒体流路2が第一熱伝導層12と第二熱伝導層13との間に形成されて温度調整部16を構成している。第一熱伝導層12及び第二熱伝導層13は、Cuからなる同材料で構成されている。それゆえ、第一熱伝導層12及び第二熱伝導層13は互いに強固に密着する。ゆえに、媒体流路2は、第一熱伝導層12と第二熱伝導層13との間で気密性を保持できる。また、媒体流路2は、熱伝導性の高い第一熱伝導層12と第二熱伝導層13により囲まれているため、媒体の温度を迅速に成形面10へ伝達することができる。
また、電鋳シェル1の媒体流路2を形成した部位にはバッキング材71の側に、媒体流路2の長さ方向に沿ったリブ19が形成されることになる。このリブ19によって電鋳シェル全体の剛性が更に高くなる。
また、温度調整部16を挟んで成形層11と反対側には、補強層14が形成されている。このため、温度調整部16が補強されて、電鋳シェル1全体の剛性を確保できる。
また、補強層14は、成形層11と同じNi材料により形成されている。このため、温度調整部16が、互いに同材料の層により挟み込まれることになる。ゆえに、成形層11と温度調整部16との間の熱膨張差が、補強層14と温度調整部16との間の熱膨張差とほぼ近似することになる。したがって、温度調整部16の両側で熱膨張差のバランスがとれて、電鋳シェル1が変形することが抑制される。
媒体流路を形成するにあたって、柔軟に湾曲可能な流路形成部材4を用いている。このため、流路形成部材4は、自在な形状に配置できる。ゆえに、流路形成部材4を小さい曲率で湾曲させて小ピッチに配置することができる。また、流路形成部材4を段差部に配置したときにも段差部との間に空隙が形成されない。ゆえに、媒体流路2を自在な形状に高密度に形成できる。
また、流路形成部材4はポリスチレンからなり、複数の微細孔40が形成されている。このため、流路形成部材4表面に銀ペーストが進入してアンカー効果が発揮される。ゆえに、流路形成部材4表面に銀が確実に付着して、流路形成部材4の表面全体に導電性を付与することができる。
また、流路形成部材4は、半円弧部42を有する。このため、第一熱伝導層12に配置したときに、流路形成部材4の円弧状の側面と第一熱伝導層12の表面とのなす角度が90°以上となる非アンダーカット部411が形成される。したがって、その角度が90°未満となるアンダーカット部をもつ場合に比べて、流路形成部材4と電鋳シェル1との間に電鋳金属のつきがよくなる。
なお、本例においては、予め形成したバッキング材を接着剤にて電鋳層に接着しているが、電鋳層の裏面側に、耐熱性樹脂であるエポキシ樹脂材料とアルミニウム粉末とが混合されたバッキング材用材料を注入してバッキング材を形成することもできる。
本発明の電鋳成形型は、たとえば、車両部品、家電製品などの樹脂部品などの成形に用いることができる。
実施例1の電鋳成形型の断面図である。 実施例1の電鋳シェルの断面図である。 実施例1の電鋳成形型の製造方法に用いられるマスタの断面図である。 実施例1の、マスタに電鋳シェルを電鋳加工により形成する方法を示す説明図である。 図4に続く、電鋳シェルの形成方法を示す説明図である。 図5に続く、電鋳シェルの形成方法を示す説明図である。 図6に続く、電鋳シェルにバッキング材を裏打ちする方法を示す説明図である。 図7に続く、電鋳シェルの裏打ち方法を示す説明図である。 実施例1の流路形成部材の斜視説明図である。 本発明に用いられる流路形成部材の斜視説明図であって、(a)は流路形成部材が断面長方形状、(b)は断面台形状の場合を示す。 実施例1の媒体流路の平面説明図である。 従来例の電鋳シェルの断面図である。
符号の説明
1:電鋳シェル、2:媒体流路、4:流路形成部材、5:マスタ、7:電鋳成形型、10:成形面、11:成形層、12,13:熱伝導層、14:補強層、16:温度調整部、

Claims (8)

  1. 成形面を有し電鋳加工により形成された電鋳シェルと、該電鋳シェルに裏打ちされたバッキング材と、前記電鋳シェルの内部に形成され前記成形面の温度調整を行うよう熱媒体を流通させる媒体流路とを有する電鋳成形型において、
    前記電鋳シェルは、表面が前記成形面となる成形層と、互いに同材料からなる第一熱伝導層と第二熱伝導層との間に前記媒体流路を形成してなる温度調整部と、該温度調整部を挟んで前記成形層と反対側に形成された補強層とを有することを特徴とする電鋳成形型。
  2. 前記補強層は、前記成形層と同材料で形成されていることを特徴とする請求項1記載の電鋳成形型。
  3. 前記第一熱伝導層と前記第二熱伝導層とは、Cuからなることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電鋳成形型。
  4. 前記補強層及び前記成形層は、Niからなることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の電鋳成形型。
  5. 成形面を有し内部に温度調整用の熱媒体を流通させる媒体流路を形成してなる電鋳シェルを有する電鋳成形型の製造方法において、
    前記成形面の形状に応じた転写面を持つマスタの該転写面に、電鋳加工により順次成形層及び熱伝導層を析出させる工程と、
    前記熱伝導層の表面に、導電処理を施した媒体流路形成用の流路形成部材を配設する工程と、
    前記流路形成部材を配設した前記熱伝導層の表面に、更に電鋳加工により熱伝導層及び補強層を析出させて電鋳シェルを形成する工程と、
    前記電鋳シェルから前記流路形成部材を除去して前記媒体流路を形成する工程と、を含むことを特徴とする電鋳成形型の製造方法。
  6. 前記流路形成部材は、ポリスチレンからなることを特徴とする請求項5記載の電鋳成形型の製造方法。
  7. 前記流路形成部材は、表面に微細孔をもつことを特徴とする請求項5または請求項6に記載の電鋳成形型の製造方法。
  8. 前記電鋳シェルの表面に配設したときに、前記流路形成部材の側面と前記電鋳シェルの表面とのなす角度が90°以上となる非アンダーカット形状をもつことを特徴とする請求項5ないし請求項7のいずれか1項に記載の電鋳成形型の製造方法。
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JP2014205319A (ja) * 2013-04-15 2014-10-30 株式会社イケックス工業 金型の製造方法及び金型

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