JP2019104643A - 乾式吹付工法用水硬性組成物 - Google Patents

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誉久 羽根井
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Abstract

【課題】荷重負荷のかかる壁体構造物の形成にも適用可能な中長期の材齢28日で100N/mm2以上の高強度発現性を具備し、また吹付時に良好な付着性が得られ、しかも施工作業性に優れる乾式吹付工法用の水硬性組成物の提供。【解決手段】(a)ポルトランドセメント100質量部、(b)(b1)メタカオリン及び(b2)石膏を含有質量比(b1/b2)0.5〜2.0で合計7.5〜26質量部、又は(b3)シリカフューム8〜14質量部、(c)含水率12〜25%の吸水性多孔質細骨材3〜70質量部、及び(d)吸水率0.2%以下の非多孔質普通細骨材50〜145質量部を含有する乾式吹付工法用水硬性組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、壁体などの建造物への乾式吹付工法に用いるセメント系の水硬性組成物に関する。
法面や崖面の補強、地中坑、地山の補強や止水、また構築物の壁面形成や外装仕上げに、モルタルやコンクリート等のセメント系水硬性組成物が吹付工法で施工されている。吹付工法は、広範囲の面に対し、短時間で機械的に施工できる利点があり、用いる原材料の状態によって湿式吹付と乾式吹付に工法が大別される。前者は、予めセメントや他の混和成分と共に水も添加し、混練したものを吹付に供すため、吹付までの練置時間の経過に伴う性状変化が起こるので、調整・管理が必要で、施工作業に制約を受け易い。一方、後者の多くは、予めセメントや混練水以外の成分を混合し、吹付直前に注水するため、水との混合性向上と粉塵対策をはかる必要はあるが、施工作業面での制約は少なく、高強度の施工物が得易いという利点がある。吹付工法で建造物を建設する場合、必然的に強固な壁体を形成しなければならないため、付着性は勿論、恒久的な強度安定性が不可欠となる。特に、形成する壁体の高さが高くなるほど、壁体下部に掛かる重量負荷は非常に大きくなり、これに耐える高い強度が必要になる。このような建造物や高い壁体の形成等においては高強度の施工物を得やすい乾式吹付工法が好ましい。
また、吹付工法に使用する水硬性組成物は、概ね安息角程度かそれ以下の傾斜の法面や崖面等への吹付用を除き、対象面への付着性を重要な必須特性としてきたことから、多くは、湿式吹付工法において、急結剤もしくはセメントと共に結合相形成に寄与するセメント用のポリマーと増粘剤を加えることで、付着性を担保している。急結剤を配合したもの(例えば、特許文献1参照。)は、一般に、初期強度発現性が高いため吹付直後の付着力や変形抵抗に優れるが、長期強度は低い。また、練り置きが実質できないため、急結剤の形態や施工法に制約があり、吹付装置内の残存物の固結、目詰りといった吹付障害を避けるのに要する装置メンテナンス負担も大きい。湿式吹付工法において、ポリマーセメント用ポリマーや高分子増粘剤を配合したもの(例えば、特許文献2参照。)は、粘性が高いほど付着性も強くなるが、施工性は低下し、硬化に時間が掛かり、高い強度は得にくい。一方、例えば法面等の、比較的緩やかな角度の斜面に吹付る水硬性組成物では、吹付直後の強い付着力は特に要さないため、施工性に制約がある急結剤を配合使用せずに、施工作業性と施工物の耐久性を優先することもある。
吹付工法で建造物を作る場合は、必然的に強固な壁体を形成しなければならないため、施工する水硬性組成物に安定した強度発現性が不可欠となる。とりわけ、形成する壁体が高くなるほど、壁下部の重量負荷は非常に大きくなり、これに耐える強度が必要である。水硬性組成物の吹付工法でない一般的な高強度化策としては、セメント含有比率を高める、水の配合比率を下げる、ポゾラン反応性物質のような高緻密化混和剤を導入する等がある。そして、硬化時の大きな収縮による変形が起こらず、また混練作業性も良好なため、シリカフュームやメタカオリン等の前記高緻密化混和剤が使用されることが多い(例えば、特許文献3、4参照)。加えて、建造物の壁面の多くは、地面に概ね垂直に構築されるため、剥落や液垂れ防止の上で、前記のような適度の付着性も必要となる。
特開2008−137817号公報 特開2006−327865号公報 特開平11−199297号公報 特開2011−136887号公報
このため、本発明は、高い中長期強度発現性、特に中長期の材齢28日で100N/mm2以上の高強度発現性を具備し、また吹付時に良好な付着性が得られ、しかも練り置き条件や可使時間等を考慮する必要が無いなど施工作業性に優れ、例えば、垂直な壁面や壁体構造物の形成にも十分適した乾式吹付工法用の水硬性組成物の提供を課題とする。
本発明者は、前記課題解決のため検討した結果、乾式吹付工法用の水硬性組成物に、施工作業性の阻害要因となる可能性のあるセメント用ポリマーや急結剤の使用を極力避け、メタカオリン及び石膏、又はシリカフュームを一定量配合するとともに、細骨材として含水率の高い吸水性多孔質細骨材を使用することにより、ポゾラン反応による高密強固化と中長期における自己養生機能を具備させることができ、付着性や中長期の強度発現性を大きく改善することができることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、次の[1]〜[4]を提供するものである。
[1](a)ポルトランドセメント100質量部、
(b)(b1)メタカオリン及び(b2)石膏を含有質量比(b1/b2)0.5〜2.0で合計7.5〜26質量部、又はシリカフューム8〜14質量部、
(c)含水率12〜25%の吸水性多孔質細骨材3〜70質量部、及び
(d)吸水率0.2%以下の非多孔質普通細骨材50〜145質量部
を含有する乾式吹付工法用水硬性組成物。
[2]吸水性多孔質細骨材中の含水量を除いた水セメント比(添加水の質量/ポルトランドセメントの質量)が0.25〜0.35である前記[1]の乾式吹付工法用水硬性組成物。
[3]急結成分及びセメント用ポリマーを含まないことを特徴とする前記[1]又は[2]の乾式吹付工法用水硬性組成物。
[4]壁体又は壁面の形成に使用する前記[1]〜[3]のいずれかの乾式吹付工法用水硬性組成物。
本発明により、施工作業効率に優れる乾式吹付工法に適した水硬性組成物が得られる。斯かる水硬性組成物は、急結剤やセメント用ポリマーを使用せずとも、良好な付着性と中長期にわたり高い強度発現性を容易に具備できる。このため、施工の際に、可使時間や練り置き時間の調整・管理といった作業から解放されると共に、高さが高い壁体などの構造物の建設に対しても、施工効率に優れた吹付工法を使用することができる。
本発明の乾式吹付工法用水硬性組成物は、(a)ポルトランドセメントを水硬質結合相形成成分として含有する。ポルトランドセメントは何れのものでも使用でき、例えば、普通、早強、超早強、低発熱、中庸熱、耐硫酸塩等のポルトランドセメントが使用できる。好ましくは、経済性と強度発現性の観点からは、普通ポルトランドセメントの使用が良く、より好ましくは、付着性がさらに向上する点から、普通ポルトランドセメント(NC)と早強ポルトランドセメント(HC)の併用が良い。その場合の両者の含有質量比(HC/NC)は概ね10〜19.5であることが望ましい。使用するポルトランドセメントの粒度は制限されず、例えば、市販品並の3000〜4000cm2/g程度のものを使用することができる。一方、高炉セメントやフライアッシュセメント等の混合セメントの多くは付着性が芳しくないので、セメント源として推奨されない。
本発明の乾式吹付工法用水硬性組成物は、特定割合の(b1)メタカオリン及び及び(b2)石膏を含むか、あるいは(b3)シリカフュームを含む。(b1)メタカオリン及び(b2)石膏を含む場合は、両者の含有質量比(b1/b2)を0.5〜2.0の範囲にし、両者の合計含有量を、ポルトランドセメント含有量100質量部に対し、7.5〜26質量部にし、好ましくは、15〜22質量部にする。(b1)メタカオリン及び(b2)石膏の含有質量比(b1/b2)が、0.5未満では強度発現性が低くなり過ぎるので好ましくなく、2.0を超えると長期強度発現性が低いため好ましくない。また、合計含有量が7.5質量部未満では良好な付着性が得られないため好ましくなく、26質量部を超えると混合性が著しく低下し、付着性や強度発現性が十分得られないので好ましくない。使用するメタカオリンは含水ケイ酸塩粘土鉱物であるカオリナイト(カオリン)から無含水のムライトへの脱水過程で見られる中間体であり、かかる中間体であれば、特に限定されずに使用できる。また、石膏は無水、半水、二水の何れか1種又は2種以上が使用できるが、好ましくは反応活性が比較的高く、強度に延びがでて、中長期強度発現性が向上し易くることから無水石膏(無水硫酸カルシウム)を用いる。
また、(b3)シリカフュームを使用する場合は、何れのシリカフュームでも使用できる。好ましくは、反応活性と施工作業性の点でBET比表面積が約8万〜15万cm2/gのシリカフュームを使用する。(b3)シリカフュームは、ポルトランドセメント100質量部に対し、8〜14質量部含有し、好ましくは9〜13質量部含有する。シリカフュームの含有量が8質量部未満では良好な付着性が得られず、14質量部を超えると強度発現性が十分でない。
前記メタカオリンと石膏類又はシリカフュームを特定量含有させ、添加水の調整によって、注水後の早い時期から水硬性組成物の緻密化が速く進行するため、良好な付着性を担保できる。一方、典型的なポゾラン物質であるフライアッシュや潜在水硬性物質としても知られている高炉スラグでは、注水後の早い時期から緻密化が速くは進まないため、所望の付着性が得難い。また、シリカフュームとメタカオリンを併用すると、メタカオリンの反応が阻害され、メタカオリンによる前記作用が得られ難くなるので好ましくない。尚、ポルトランドセメント中には一般に少量の石膏が含まれるが、それはポルトランドセメントの構成成分であるため、ポルトランドセメントそのものに入れ、本発明の吹付コンクリートに配合される無水石膏の石膏源とは見なさない。
本発明の乾式吹付工法用水硬性組成物は、(c)吸水性多孔質細骨材(PS)を含有する。吸水性多孔質細骨材(PS)は、開口気孔を有する細骨材で、開口気孔部に吸水し、一定の量の含水状態になることができる。含水率は、骨材に吸収されて骨材中に含まれる水の量の骨材質量に対する割合である。本発明では、添加水注水前の配合時の含水率が12〜25%(質量百分率)の含水状態の吸水性多孔質細骨材を使用する。好ましくは15〜22%の含水率の吸水性多孔質細骨材を使用する。このような含水状態の吸水性多孔質細骨材の配合で、添加水による水和反応において、凝結が概ね終結した後も、前記多孔質細骨材から緩やかに水分が水硬性組成物に供給される。これによって、中長期に亘り内部から組成物全体に養生作用が安定して継続し、中長期の強度発現性が飛躍的に向上する。含水率が12%未満では、十分養生ができず、中長期強度が低迷するので好ましくない。また、含水率が25%を超えると、水量過多となり、強度低下を起こすので好ましくない。吸水性多孔質細骨材として使用できる可能性のある具体例は、国内市販品では(商品名)メサライトや(商品名)アサノライト等の人工軽量細骨材、抗火石等の天然軽石を挙げられるが、例示に限定されるものではない。吸水性多孔質細骨材の絶乾単位質量あたりの吸水可能な量、則ちその吸水率は、JIS A 1134に準じた方法で求めることができる。本発明の吸水性多孔質細骨材の吸水率は、前記含水率が確保できる吸水可能な量のものであれば、特に限定されない。吸水性多孔質細骨材を所望の含水率にするには、例えば、少なくとも所望含水率を得ることが可能な吸水率の吸水性多孔質細骨材を水中に48〜72時間程度浸漬し、望ましくは浸漬中の骨材を定期的に適宜かき混ぜ、浸漬後は大気中か乾燥機中で、所望の含水率になるまで乾燥させることで得られる。
また、吸水性多孔質細骨材の乾式吹付工法用水硬性組成物中の含有量は、ポルトランドセメント含有量100質量部に対し、前記の含水率での含水状態での質量で3〜70質量部、即ち、吸水性多孔質細骨材の絶乾質量とこの骨材に吸水され含まれる水の質量との合計量が3〜70質量部である。好ましくは、3〜50質量部であり、より好ましくは4〜30質量部である。乾式吹付工法用水硬性組成物中の含有量が3質量部未満では吹付施工後の養生に十分貢献できないので好ましくなく、また70質量部を超える含有量では、相対的にセメント含有量の割合が低下し、強度が低くなるので好ましくない。何れも骨材表面の付着水は実質無視できるほど少量のため、前記の吸水量や含有量には考慮しない。
また、本発明の乾式吹付工法用水硬性組成物は、(d)吸水率0.2%以下の非多孔質細骨材(NS)を含有する。前記非多孔質細骨材(NS)は、開口気孔を殆ど有さないか全く有さない細骨材であり、従って吸水性も殆ど無い。その具体例としては、川砂、山砂、陸砂、海砂等で産出する珪砂や石灰石砂等の天然の普通細骨材を挙げることができるが、例示に限定されるものではない。非多孔質細骨材(NS)の吸水率が0.2%を超えるものは、骨材構造に吸水容積の割合が増えて脆弱化し、また組成物強度に支障をきたすほどの吸水量になる虞もあるので好ましくない。非多孔質細骨材(NS)の吸水率は、JIS A1109に準じた方法で求めることができる。吸水率が0.2%以下の非多孔質細骨材(NS)の含有により、吹付て形成される壁体の収縮を抑制でき、強度的にも安定する。ここで、本発明における細骨材の吸水率とは、開放空隙(開口気孔)の存在に基づく吸水能力的な尺度を表したものであり、含水状態の細骨材を表わす意味ではない。吸水能力的な尺度としての吸水率は、次の式から算出することができる。
吸水率=(表乾質量−絶乾質量)/絶乾質量×100(%)
配合に用いる非多孔質細骨材(NS)は、仮に最大量含水された状態の含水骨材であっても、その含水量は、本発明の効果に実質的に影響を及ぼさないほどの微量のため、非多孔質細骨材の質量には、含水量を考慮しない。また、骨材表面の付着水は、通常の取扱いでは、少量存在する可能性があるので、配合の際には、少なくとも表乾状態にした骨材の使用が推奨される。仮に大量の付着水が存在する細骨材を使用する場合は、当該付着水は骨材質量中に含めず、後述する添加水の一部として扱うのが望ましい。非多孔質細骨材の乾式吹付工法用水硬性組成物中の含有量は、ポルトランドセメント含有量100質量部に対し、表乾質量で50〜145質量部である。好ましい表乾質量は、80〜140質量部である。50質量部未満では、収縮が大きくなり、高い寸法精度で壁体構造物が構築できない虞があって好ましくなく、145質量部を超えると、相対的にセメント含有量の割合が低下して結合相が減少し、高い強度が得難くなるので好ましくない。
本発明の乾式吹付工法用水硬性組成物では、少なくとも施工作業性や強度発現性の低下を避ける上で、急結成分やポリマーセメント用ポリマーは、含有しないことが好ましい。急結成分は、例えば、カルシウムアルミネート、カルシウムアルミノケート、アルミン酸ナトリウム、硫酸アルミニウム、コロイダルシリカ等を挙げることができる。また、ポリマーセメント用ポリマーは、セメントと共に組成物中の結合相形成に寄与するポリマーであり、例えばJIS A 6203で規定するポリマーディスパーション又は再乳化型粉末樹脂に該当するものなら限定されない。また、例えば保水能力があるデンプンやセルロース誘導体のような高分子系増粘剤も、同様の理由で含有しないことが好ましく、保水目的に含有しても施工性に支障を及ぼさない3質量部以下とする。
本発明の乾式吹付工法用水硬性組成物は、本発明の効果を実質的に喪失させないものであれば、前記以外の成分を含有することができる。含有可能成分を例示すると、短繊維、凝結促進剤、乾燥収縮低減剤、膨張材等を挙げることができる。このうち、短繊維は、付着垂防止と靱性強化による耐久性向上に寄与するが、モルタルやコンクリートに使用できる有機高分子、炭素、鋼、ガラス、セラミックス等の材質からなる繊維であれば使用は特に限定されず、短繊維の長さや径の大きさも制限されないが、好ましい長さは5〜20mm、径は1mm以下である。また、凝結促進剤としては、セメントペースト、モルタルまたはコンクリートに使用可能なものなら何れのものでも良く、例えば、アルカリ金属炭酸塩等が挙げられる。
本発明の乾式吹付工法用水硬性組成物の配合時の水/セメント比は、0.25〜0.35が好ましい。則ち、添加水をポルトランドセメント100質量部に対し、25〜35質量部配合するのが好ましい。より好ましい水/セメント比は、0.27〜0.33である。この添加水は、水和反応性成分との水和反応にほぼ全量が供せられる。かかる添加水は、養生目的に予め多孔質細骨材中に含水された水分とは別のものとして扱い、添加水の配合量には多孔質細骨材中の含水量は含まない。添加水の配合量が少ないと、吹付施工性の低下と水和反応に必要な水が不足するため好ましくなく、また、多すぎると強度低下を起こすので好ましくない。
本発明の乾式吹付工法用水硬性組成物の壁体乃至壁面への施工は、予め成分(a)〜(d)を乾式混合し、吹付直前に注水して吹付を行う方法であり、例えば、次のような手順で行うが、記載例に限定されるものではない。所望の含水率を得ることが可能な吸水率の吸水性多孔質細骨材を、予め水槽で水に浸漬して含水させ、望ましくは調湿機能付乾燥機乃至無調湿の乾燥機又は乾燥容器中で一定時間経過させて含水率の調整を行う。このようにして得た含水状態の吸水性多孔質細骨材、吸水率0.2%以下の非多孔質細骨材及びポルトランドセメントを混合装置に前記含有量の範囲で投入し、次にメタカオリン及び石膏かシリカフュームの何れかを加え、乾式混合する。望ましくは、注水用の水以外の材料はプレミックス化し、これを圧送し、吹付装置で注水する。即ち、乾式混合物を空気圧送で吹付装置に送り、装置の吹付ノズルに至る途中で圧送混合物に注水し、ノズル孔よりモルタル質の水硬性組成物を対象面に吹付る。対象面は特に制限されず、例えば壁体構築用に仮設した支持体、固定設置された配筋からなるもの等を挙げることができる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、記載した実施例に限定されるものではない。尚、実施例は特記ない限り、20℃(±1℃)の環境下で製造および測定を行った。
[使用材料とその調整]
次に表す材料(< >内は略号。)を、表1の配合となるよう選定・秤量し、レーディゲミキサに一括投入した。尚、吸水性多孔質細骨材については、その配合に先立ち、市販の乾燥機で絶乾状態にした骨材を、水槽内にはられた約17℃の水中に72時間浸漬し、12時間ごとに浸漬中の骨材を1〜2分程度かき回し、浸漬後は取出し、所望の含水率になるまで気中乾燥若しくは乾燥機中で加温し、配合に供した。
・早強ポルトランドセメント<HC>(市販品。ブレーン比表面積約4490cm2/g)
・普通ポルトランドセメント<NC>(市販品。ブレーン比表面積約3320cm2/g)
・無水石膏<JG>(市販品。ブレーン比表面積約7000cm2/g)
・メタカオリン<MK>(市販品。商品名「メタマックス」。ブレーン比表面積約25000cm2/g)
・シリカフューム<FS>(市販品。ブレーン比表面積約160000cm2/g)
・フライアッシュ<FA>(JIS II種、ブレーン比表面積3910cm2/g、嵩比重2.29)
・ポリ酢酸ビニル系再乳化型粉末樹脂<PL>(市販品)
・プロピルメチルセルロース系増粘剤<MC>(市販品)
・カルシウムアルミネート<CA>(12CaO・7Al23の試製品。ブレーン比表面積約5100cm2/g)
・非多孔質細骨材<SS>(吸水率<0.1%、日瓢産3号珪砂。)
・含水率25%の吸水性多孔質細骨材<SA>(人工軽量細骨材、商品名「アサノライト」、最大粒径約2.5mm)
・含水率18%の吸水性多孔質細骨材<SB>(軽石砂、最大粒径約3mm)
・含水率12%の吸水性多孔質細骨材<SC>(人工軽量細骨材、商品名「アサノライト」、最大粒径約2.5mm)
・含水率15%の吸水性多孔質細骨材<SD>(人工軽量細骨材、商品名「アサノライト」、最大粒径約2.5mm)
・含水率31%の吸水性多孔質細骨材<SE>(軽石砂、最大粒径約3mm)
Figure 2019104643
[吹付施工試験]
作製した混合物は貯留容器に保管し、そこから搬送用ホースを介し、空気圧送によって乾式吹付装置に圧送した。混合物の圧送量は毎分約25kgになるよう圧送用空気流量を調整した。混合物圧送量の確認は、計量センサー付の混合物貯留容器に入れた混合物の単位分あたりの減少量の計測をもって行った。前記乾式吹付装置は、円筒形の圧送用鋼管を具備し、その先に端部に噴射孔(以下、ノズル孔という。)を有するノズルが接続され、接続部付近の圧送鋼管に、添加水を圧送中の混合物に注水するために、管内周から噴水する無数の噴水孔を有する環状のシャワー装置(以下、シャワーリングという。)が取付けられたものである。乾式吹付装置に圧送された混合物に、混合物中のポルトランドセメント含有量100質量部に対し、概ね25、30又は35質量部の水がそれぞれ添加されるように注水した。添加水の量は、シャワーリングと水道の接続部に設置された水量調整バルブで調整した。注水直後からノズル孔通過までの間に、前記混合物と添加水との混合・混練が行われ、吹付材が得られる。これを、吹付装置のノズル孔から1.0m離れ、地面に垂直に設置した鋼製平板(横0.9m、高さ1.8m)に向かって吹付た。
[施工性評価]
吹付施工性の評価として、(1)定量の混合物を一定の圧送空気量で量的変動無く搬送できるかを調べる圧送性と(2)吹付装置の経路内にセメント質等の残留物の固結化による狭窄や閉塞の発生状況を調べた。試験方法は、3分ごとに吹付装置による前記吹付材の吹付と停止状態を交互に繰り返し、これを5回連続して行った。但し、各停止状態開始から約1分間は水のみ供給し、ノズル孔よりこの水を排出した。(前記鋼製平板へは吹付ない。)その結果、(1)初期調整を除き途中で圧送空気量を変動させることなく、混合物の単位分あたりの圧送量が一定値を維持でき、かつノズル孔から注水された吹付材が噴射できたものを、圧送性が「良好」と判断し、それ以外の状況であったものは、圧送性「不良」と判断した。また、(2)吹付試験終了後、吹付装置の圧送鋼管とノズルの経路及び孔に付着物が残留し、経路内が閉塞又は狭窄しているかを目視及び水のみを供給したときの通流状況から確認した。狭窄や閉塞が無かったものを発生「無」と判断し、狭窄や閉塞が多少とも起こったものを発生「有」と判断した。
[付着性評価]
付着性の評価として、(3)吹付た際に、吹付材の吹付対象面からの跳ね返りがあったか、(4)吹付対象面に吹付た吹付材が、一部でも、垂れたり、剥落したりしなかったか、(5)重ね吹付によって厚肉吹付物が、一体物として形成できるか、について目視で調べた。即ち、(3)吹付た際に、吹付材の吹付対象面からの跳ね返りが、実質的に見られなかったものは跳ね返り「無」と判断した。跳ね返りが多少なりとも見られたものや、短時間でも付着できなかったものは、跳ね返りが「有」と判断した。また(4)吹付対象面に吹付た吹付材が、硬化するまでの間に、垂れたり、剥落することが全くなかったものを、垂れ・剥落発生が「無」と判断した。一部でも垂れや剥落が見られたものは、垂れ・剥落発生が「有」と判断した。尚、吹付時に跳ね返りがあったものも、全く付着できないものを除き、同様の確認を行った。また、(5)対象面に吹付た吹付材の上に、同じ吹付材を重ねて吹付、厚さ3cm以上の吹付材層が一体物として形成できたものを厚肉吹付が「可」と判断し、形成できなかったものを厚肉吹付は「不可」と判断した。尚、吹付材層が一体物となっているかの判断は、吹付直後に、外観的に乾燥した状態の部位が観察されず、かつ吹付材層間に亀裂や空隙が見られなかったものを一体物と判断した。
[強度評価]
前記施工性及び付着性が良好であったものに対し、材齢1日及び28日の圧縮強度を測定した。測定のための供試体作成方法とその測定方法は次の通りである。表1の配合にした混合物を、前記乾式吹付装置を使用し、圧送しながら、混合物中のポルトランドセメント含有量100質量部に対し、約30質量部の添加水となるよう注水を行った。得られた吹付材を、吹付装置のノズル端から1.0m離れ、ノズルと水平な高さに設置され、ノズル端の方向に向かって開口する、内寸20cm×30cm×15cmの直方体形の木製型枠に向かって吹付、型枠内を充填した。充填後は、屋内静置24時間後又は28日後に脱型した。脱型物から直径5cm×高さ10cmの円柱状硬化体を切り出し加工し、強度測定用供試体として、圧縮強度をJIS A 1108に準じた方法で測定した。
以上の評価結果は、表2に纏めて記す。
Figure 2019104643
表2から、本発明の乾式吹付工法用水硬性組成物を用いて乾式吹付工法を行えば、圧送性が良好で圧送ホースやノズルに狭窄・閉塞の発生がなく、吹付面からの跳ね返り、垂れ、剥落の発生もなく、付着性に優れ、厚付けが可能であった。また得られた壁面の中長期の圧縮強度も100N/mm2以上と高強度発現性が得られた。

Claims (4)

  1. (a)ポルトランドセメント100質量部、
    (b)(b1)メタカオリン及び(b2)石膏を含有質量比(b1/b2)0.5〜2.0で合計7.5〜26質量部、又は(b3)シリカフューム8〜14質量部、
    (c)含水率12〜25%の吸水性多孔質細骨材3〜70質量部、及び
    (d)吸水率0.2%以下の非多孔質普通細骨材50〜145質量部
    を含有する乾式吹付工法用水硬性組成物。
  2. 吸水性多孔質細骨材中の含水量を除いた水セメント比(添加水の質量/ポルトランドセメントの質量)が0.25〜0.35である請求項1記載の乾式吹付工法用水硬性組成物。
  3. 急結成分及びセメント用ポリマーを含まないことを特徴とする請求項1又は2記載の乾式吹付工法用水硬性組成物。
  4. 壁体又は壁面の形成に使用する請求項1〜3の何れか1項記載の乾式吹付工法用水硬性組成物。
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