JP2019104164A - 画像記録装置及び画像記録方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】反応液の膜厚のばらつきが生じたときでも、記録物における画像のムラを抑える。【解決手段】画像記録装置1は、ニップ部11を形成する転写体2と圧胴42とを有し、ニップ部11で、転写体2に形成された記録液の像が記録媒体P1に転写される転写ユニット4と、記録液を吐出し、転写体2に記録液の像を形成する記録ユニット3と、記録ユニット3の前段に位置し、記録液の粘度を増加させる反応液の膜を予め転写体2に形成する反応液付与ユニット5Aと、転写体2に形成された反応液の膜の膜厚を検出する膜厚検出器12と、膜厚に応じて記録液の像を形成するか否かを判断し、判断結果に基づき反応液付与ユニット5Aを作動させるか否かを決定する制御部13Bと、を有する。【選択図】図1
Description
本発明は、転写体に形成された記録液の像を記録媒体に転写することによって記録媒体に記録を行う画像記録装置と画像記録方法に関する。
インクジェット記録方法の一つとして転写体を用いる画像記録装置及び画像記録方法が知られている。特許文献1には、転写体に形成されたインク像が記録媒体に転写されることで記録媒体に記録を行う画像記録装置と画像記録方法が開示されている。インクの粘度を高めるため、転写体にインク像を形成する前に、粉体からなる吸水性のセット剤が転写体に塗布される。これによって、インクは適度な粘度をもったゲル状物質となる。
特許文献1に記載されたセット剤は粉体であるが、インクの粘度を高める液体が予め転写体に塗布されることもある。本明細書では、このような液体を反応液という。反応液は液体であるため塗布が容易であり、膜厚を均一化することも容易である。しかし、反応液は通常ローラなどで塗布されるため、反応液の膜厚を完全に均一にすることは困難である。塗布量を制御して膜厚を均一化することも可能であるが、ローラの回転を制御する機構が必要となり、安価な構成にはならない。このため、反応液の膜厚は転写体の部位によってばらつくこととなる。膜厚のばらつきは反応液とインク液滴との反応のばらつきを生じ、結果として記録物における画像のムラを生じる。
本発明は反応液の膜厚のばらつきが生じたときでも、記録物における画像のムラを抑えることが可能な画像記録装置及び画像記録方法を提供することを目的とする。
本発明は反応液の膜厚のばらつきが生じたときでも、記録物における画像のムラを抑えることが可能な画像記録装置及び画像記録方法を提供することを目的とする。
本発明の画像記録装置は、ニップ部を形成する転写体と圧胴とを有し、ニップ部で、転写体に形成された記録液の像が記録媒体に転写される転写ユニットと、記録液を吐出し、転写体に記録液の像を形成する記録ユニットと、記録ユニットの前段に位置し、記録液の粘度を増加させる反応液の膜を予め転写体に形成する反応液付与ユニットと、転写体に形成された反応液の膜の膜厚を検出する検出器と、膜厚に応じて記録液の像を形成するか否かを判断し、判断結果に基づき記録ユニットを作動させるか否かを決定する制御部と、を有する。
本発明の画像記録方法は、記録ユニットによって転写体に形成された記録液の像が記録媒体に転写されることによって、記録媒体に記録を行うものである。本画像記録方法は、転写体に記録液の粘度を増加させる反応液の膜を形成することと、転写体に形成された反応液の膜の膜厚を検出することと、膜厚に応じて記録液の像を形成するか否かを判断し、判断結果に基づき記録ユニットを作動させるか否かを決定することと、を有する。
本発明によれば、反応液の膜厚に応じて記録液の像を形成するか否かが判断され、判断結果に基づき記録ユニットが制御される。従って、本発明によれば、反応液の膜厚のばらつきが生じたときでも、記録物における画像のムラを抑えることが可能となる。
図面を参照して本発明のいくつかの実施形態について説明する。まず、本発明の一実施形態に係る画像記録装置の構成と基本的な動作例について説明する。各図において、矢印X及びYは水平方向を示し、互いに直交する。矢印Zは上下方向を示す。本発明における「記録」は、文字、図形等の有意の情報を形成することのみならず、有意無意を問わず、広く記録媒体上に画像、模様、パターン等を形成すること及び記録媒体の加工を行うことを含む。「記録」される対象は人間が視覚で知覚し得るように顕在化したものであるか否かを問わない。「記録媒体」は本実施形態ではシート状の紙であるが、布、プラスチックフィルム等であってもよい。本実施形態では、記録ユニットによって転写体に形成される物質はインクであるが、広く様々な用途に用いられる記録液を対象とすることができる。インクの成分については特に限定されないが、本実施形態で用いられるインクは、色材である顔料と、水と、樹脂とを含む水性顔料インクである。
<画像記録装置>
図1は本発明の一実施形態に係る画像記録装置1を概略的に示した正面図である。画像記録装置1は、転写体2から記録媒体P1にインク像を転写することで記録物P2を製造する枚葉式のインクジェットプリンタである。画像記録装置1は、記録装置1Aと、搬送装置1Bとを含む。記録装置1Aは、記録ユニット3と、転写ユニット4と、周辺ユニット5A〜5Dと、供給ユニット6とを含む。X方向、Y方向、Z方向はそれぞれ、画像記録装置1の幅方向(全長方向)、奥行き方向、高さ方向を示している。記録媒体P1はX方向に搬送される。
図1は本発明の一実施形態に係る画像記録装置1を概略的に示した正面図である。画像記録装置1は、転写体2から記録媒体P1にインク像を転写することで記録物P2を製造する枚葉式のインクジェットプリンタである。画像記録装置1は、記録装置1Aと、搬送装置1Bとを含む。記録装置1Aは、記録ユニット3と、転写ユニット4と、周辺ユニット5A〜5Dと、供給ユニット6とを含む。X方向、Y方向、Z方向はそれぞれ、画像記録装置1の幅方向(全長方向)、奥行き方向、高さ方向を示している。記録媒体P1はX方向に搬送される。
<記録ユニット>
記録ユニット3は、複数の記録ヘッド30と、複数の記録ヘッド30を支持するキャリッジ31とを含んでいる。複数の記録ヘッド30は、中心軸の周りを回転する転写体2の周囲に放射状に配置されている。記録ヘッド30は、転写体2に液体インクを吐出し、転写体2上に記録画像のインク像を形成する。各記録ヘッド30は、Y方向に延びるフルラインヘッドであり、使用可能な最大サイズの記録媒体の画像記録領域の幅をカバーする範囲に複数のノズルが配列されている。記録ヘッド30は、その下面に、複数のノズルが開口したインクノズル面を有している。インクノズル面は、微小隙間(例えば数mm)を介して転写体2の外周面と対向している。インクノズル面と転写体2の外周面の隙間はキャリッジ31により正確に維持される。キャリッジ31は、X方向両側側部に設けられたスライド部32を介し、一対の案内部材RLによってY方向に変位可能に支持されている。一対の案内部材RLは、キャリッジ31のX方向両側に設けられY方向に延びるレール部材である。図示は省略するが、記録ユニット3のY方向側方には回復ユニットが設けられている。記録ユニット3は、案内部材RLの案内により回復ユニットまで移動することができる。
記録ユニット3は、複数の記録ヘッド30と、複数の記録ヘッド30を支持するキャリッジ31とを含んでいる。複数の記録ヘッド30は、中心軸の周りを回転する転写体2の周囲に放射状に配置されている。記録ヘッド30は、転写体2に液体インクを吐出し、転写体2上に記録画像のインク像を形成する。各記録ヘッド30は、Y方向に延びるフルラインヘッドであり、使用可能な最大サイズの記録媒体の画像記録領域の幅をカバーする範囲に複数のノズルが配列されている。記録ヘッド30は、その下面に、複数のノズルが開口したインクノズル面を有している。インクノズル面は、微小隙間(例えば数mm)を介して転写体2の外周面と対向している。インクノズル面と転写体2の外周面の隙間はキャリッジ31により正確に維持される。キャリッジ31は、X方向両側側部に設けられたスライド部32を介し、一対の案内部材RLによってY方向に変位可能に支持されている。一対の案内部材RLは、キャリッジ31のX方向両側に設けられY方向に延びるレール部材である。図示は省略するが、記録ユニット3のY方向側方には回復ユニットが設けられている。記録ユニット3は、案内部材RLの案内により回復ユニットまで移動することができる。
各ノズルにはインク吐出素子(図示せず)が組み合わされている。インク吐出素子としては、例えば電気−熱変換体によりインクに膜沸騰を生じさせ気泡を形成することでインクを吐出する素子、電気−機械変換体によってインクを吐出する素子、静電気を利用してインクを吐出する素子等が挙げられる。高速で高密度の記録を行う場合、電気−熱変換体を利用したインク吐出素子を用いることができる。
本実施形態では9つの記録ヘッド30が設けられている。各記録ヘッド30は、互いに異なる種類のインク、例えばイエロー、マゼンタ、シアン、ブラック等のインクを吐出する。いずれかの記録ヘッド30は色材を含まないインク(例えばクリアインク)を吐出してもよい。1つの記録ヘッド30は1種類のインクを吐出するが、1つの記録ヘッド30が複数種類のインクを吐出してもよい。印字プロセスにおける最下流側(図1における一番右側)の記録ヘッド30は転写率向上剤を吐出する。転写率向上剤は、色材を含まない透明な液体であり、転写体2上に形成されたインクの像の表面に吐出され、転写率を向上させる。
<転写ユニット>
転写ユニット4は、転写体41と圧胴42とを含んでいる。転写体41と圧胴42は、Y方向に延びる回転軸の周りを回転する回転体であり、円筒形状の外周面を有している。図1において、転写体41及び圧胴42の内部に示した矢印は、これらの循環方向ないし回転方向を示しており、転写体41は時計回りに、圧胴42は反時計回りに回転する。すなわち、転写体41と圧胴42は互いに逆方向に回転する。
転写ユニット4は、転写体41と圧胴42とを含んでいる。転写体41と圧胴42は、Y方向に延びる回転軸の周りを回転する回転体であり、円筒形状の外周面を有している。図1において、転写体41及び圧胴42の内部に示した矢印は、これらの循環方向ないし回転方向を示しており、転写体41は時計回りに、圧胴42は反時計回りに回転する。すなわち、転写体41と圧胴42は互いに逆方向に回転する。
転写体41は、その外周面に転写体2を支持する支持体である。転写体2は、転写体41の外周面上に、周方向に連続的にあるいは間欠的に設けられる。連続的に設けられる場合、転写体2は無端の帯状に形成される。間欠的に設けられる場合、転写体2は、有端の帯状の複数のセグメントで形成され、複数のセグメントが転写体41の外周面に等ピッチで円弧状に配置される。転写体2は、単層から構成されるが、複数層の積層体、例えば、表面層と、圧縮層と、表面層と圧縮層との間に位置する弾性層の3層で構成されてもよい。表面層はインク像が形成される画像記録面を有する最外層である。圧縮層は変形吸収性能を有し、局所的な圧力変動を分散し、高速記録時においても転写性を維持することができる。
転写体41の回転により、転写体2は円軌道上を循環的に移動する。転写体41の回転位相により、転写体2は、吐出前処理領域R1、吐出領域R2、吐出後処理領域R3,R4、転写領域R5、転写後処理領域R6に区別される。転写体2はこれらの領域を循環的に通過する。時計の文字盤に喩えると、図1において、吐出前処理領域R1は概ね10時の位置であり、吐出領域R2は概ね11時から1時の範囲であり、吐出後処理領域R3は概ね2時の位置であり、吐出後処理領域R4は概ね4時の位置である。転写領域R5は概ね6時の位置であり、転写後処理領域R6は概ね8時の領域である。
吐出前処理領域R1では、記録ユニット3によるインクの吐出前に、周辺ユニット5Aによる転写体2に対する前処理が行われる。具体的には、転写体2の外周面に反応液が付与される。吐出領域R2では、記録ユニット3により転写体2の外周面にインクが吐出され、転写体2の外周面にインク像が形成される。吐出後処理領域R3,R4では、インクの吐出後かつインク像の転写前にインク像に対する処理が行われる。吐出後処理領域R3では周辺ユニット5Bによる処理が行われ、吐出後処理領域R4では周辺ユニット5Cによる処理が行われる。転写領域R5では転写ユニット4により転写体2上のインク像が記録媒体P1に転写される。転写後処理領域R6では、周辺ユニット5Dにより、インク像の転写後の転写体2に対する後処理が行われる。領域R1〜R6は一定の角度範囲を有しているが。領域R1、R3〜R6の角度範囲は、吐出領域R2の角度範囲より小さい。
圧胴42は、その外周面が転写体2に圧接されている。圧胴42は、搬送される記録媒体P1を転写体41との間でニップするニップ部11を形成し、転写体2の外周面に形成されたインク像をニップ部11で記録媒体に転写させる。すなわち、記録媒体P1が圧胴42と転写体2とによって形成されたニップ部11を搬送されながら通過する際に、その圧胴42と対向する面に転写体2上のインク像が転写される。圧胴42の外周面には、記録媒体P1の先端部を保持する少なくとも一つのグリップ機構(図示せず)が設けられている。グリップ機構は圧胴42の周方向に離間して複数設けてもよい。
<周辺ユニット>
周辺ユニット5A〜5Dは転写体2の周囲に配置されている。本実施形態の場合、周辺ユニット5A〜5Dは、順に、反応液付与ユニット5A、吸収ユニット5B、加熱ユニット5C、清掃ユニット5Dである。反応液付与ユニット5Aは転写体2が回る方向に関し記録ユニット3の前段に位置している。
周辺ユニット5A〜5Dは転写体2の周囲に配置されている。本実施形態の場合、周辺ユニット5A〜5Dは、順に、反応液付与ユニット5A、吸収ユニット5B、加熱ユニット5C、清掃ユニット5Dである。反応液付与ユニット5Aは転写体2が回る方向に関し記録ユニット3の前段に位置している。
反応液付与ユニット5Aは、記録ユニット3によるインクの吐出前に、転写体2上に反応液を付与する。反応液は、インクを高粘度化する成分を含有する液体である。インクの高粘度化とは、インクを構成している色材や樹脂等がインクを高粘度化する成分と接触することによって化学的に反応し、あるいは物理的に吸着し、これによってインクの粘度の上昇が認められることである。インクの高粘度化には、インク全体の粘度上昇が認められる場合のみならず、色材や樹脂等のインクを構成する成分の一部が凝集することにより局所的に粘度の上昇が生じる場合も含まれる。反応液は0.7〜1.4μm程度の膜厚で塗布されることが好ましい。このため、反応液付与ユニット5Aは転写体2に塗布された反応液の膜厚を検出する膜厚検出器12を備えている。膜厚の検出方法は特に限定されないが、例えば、以下の方法を採用することができる。
−反応液に光源から光を照射し、照射された光の反射光を検出部により検出した後、検出された電気信号を画像データとして取得して、反応液の膜厚を検出する方法。
−白色光源から光を照射し膜の上面で反射された光と膜の下面で反射された光の光路の差を検出し、反応液の膜厚を検出する方法。
インクを高粘度化する成分は、金属イオン、高分子凝集剤など、特に制限はないが、インクのpH変化を引き起こして、インク中の色材を凝集させる物質を用いることができ、有機酸を用いることができる。反応液の付与機構としては、例えば、ローラ、記録ヘッド、ダイコーティング装置(ダイコータ)、ブレードコーティング装置(ブレードコータ)などが挙げられる。転写体2に対するインクの吐出前に反応液を転写体2に付与しておくと、転写体2に達したインクを直ちに定着させることができる。これにより、隣接するインク同士が混ざり合うブリーディングを抑制することができる。
−反応液に光源から光を照射し、照射された光の反射光を検出部により検出した後、検出された電気信号を画像データとして取得して、反応液の膜厚を検出する方法。
−白色光源から光を照射し膜の上面で反射された光と膜の下面で反射された光の光路の差を検出し、反応液の膜厚を検出する方法。
インクを高粘度化する成分は、金属イオン、高分子凝集剤など、特に制限はないが、インクのpH変化を引き起こして、インク中の色材を凝集させる物質を用いることができ、有機酸を用いることができる。反応液の付与機構としては、例えば、ローラ、記録ヘッド、ダイコーティング装置(ダイコータ)、ブレードコーティング装置(ブレードコータ)などが挙げられる。転写体2に対するインクの吐出前に反応液を転写体2に付与しておくと、転写体2に達したインクを直ちに定着させることができる。これにより、隣接するインク同士が混ざり合うブリーディングを抑制することができる。
吸収ユニット5Bは、インク像の転写前に、転写体2上のインク像から液体成分の一部を吸収する。インク像の液体成分を減少させることで、記録媒体P1に記録される画像のにじみ等を抑制することができる。液体成分の減少を異なる視点で説明すれば、転写体2上のインク像を構成するインクを濃縮すると表現することもできる。インクを濃縮するとは、インクに含まれる液体成分が減少することによって、インクに含まれる色材や樹脂といった固形分の液体成分に対する含有割合が増加することを意味する。
吸収ユニット5Bは、例えば、インク像に接触してインク像の液体成分の量を減少させる液吸収部材を含む。液吸収部材はローラの外周面に形成されてもよいし、液吸収部材が無端のシート状に形成され、ローラ搬送によって循環的に走行されるものでもよい。インク像の保護の点で、液吸収部材の移動速度を転写体2の周速度と同じにして液吸収部材を転写体2と同期して移動させてもよい。
液吸収部材は、インク像に接触する多孔質体を含んでもよい。液吸収部材へのインク固形分の付着を抑制するため、インク像に接触する面の多孔質体の孔径は、10μm以下であってもよい。ここで、孔径とは平均直径のことを示し、公知の手段、例えば水銀圧入法や、窒素吸着法、SEM画像観察等で測定可能である。なお、液体成分は、一定の形を有さず、流動性があり、ほぼ一定の体積を有するものであれば、特に限定されるものではない。例えば、インクや反応液に含まれる水や有機溶媒等が液体成分として挙げられる 。
加熱ユニット5Cは、インク像の転写前に、転写体2上のインク像を加熱する。インク像を加熱することで、インク像中の樹脂が溶融し、記録媒体P1への転写性が向上する。インク像を高温で加熱することで、吸収ユニット5Bの通過後に残留したインク像の液体成分の一部を気化して除去することも可能である。加熱温度は、樹脂の最低造膜温度(MFT)以上とすることができる。MFTは一般的に知られている手法、例えばJIS K 6828−2:2003や、ISO2115:1996に準拠した各装置で測定することが可能である。転写性及び画像の堅牢性の観点から、MFTよりも10℃以上高い温度で加熱してもよく、更に、20℃以上高い温度で加熱してもよい。加熱ユニット5Cは、例えば、赤外線等の各種ランプ、温風ファン等、公知の加熱デバイスを用いることができる。加熱効率の点で、赤外線ヒータを用いることができる。
清掃ユニット5Dは、転写後に転写体2の外周面を清掃する。清掃ユニット5Dは、転写体2上に残留したインクや、転写体2上のごみ等を除去する。清掃ユニット5Dは、例えば、多孔質部材を転写体2の外周面に接触させる方式、ブラシで転写体2の外周面を擦る方式、ブレードで転写体2の外周面をかきとる方式等の公知の方式を適宜用いることができる。また、清掃に用いる清掃部材は、ローラ形状、ウェブ形状等、公知の形状を用いることができる。
反応液付与ユニット5A、吸収ユニット5B、加熱ユニット5C、清掃ユニット5Dのいずれかは転写体2の冷却機能を備えていてもよい。あるいは、冷却ユニットを追加してもよい。加熱ユニット5Cの熱により転写体2の温度が上昇する場合がある。記録ユニット3により転写体2にインクを吐出した後、インク像がインクの主溶剤である水の沸点を超えると、吸収ユニット5Bによる液体成分の吸収性能が低下する場合がある。吐出されたインクが水の沸点未満に維持されるように転写体2を冷却することで、液体成分の吸収性能を維持することができる。冷却ユニットは、転写体2に送風する送風機構や、転写体2に部材(例えばローラ)を接触させ、この部材を空冷または水冷で冷却する機構であってもよい。冷却ユニットは、清掃ユニット5Dの清掃部材を冷却する機構であってもよい。冷却タイミングは、転写後、反応液の付与前までの期間であってもよい。
<供給ユニット>
供給ユニット6は、記録ユニット3の各記録ヘッド30にインクを供給する。供給ユニット6は、インクの種類毎に、インクを貯留する貯留部TKを備える。各貯留部TKと各記録ヘッド30とは流路6aで連通し、貯留部TKから記録ヘッド30へインクが供給される。流路6aは、貯留部TKと記録ヘッド30との間でインクを循環させる流路であってもよく、供給ユニット6はインクを循環させるポンプ等を備えてもよい。
供給ユニット6は、記録ユニット3の各記録ヘッド30にインクを供給する。供給ユニット6は、インクの種類毎に、インクを貯留する貯留部TKを備える。各貯留部TKと各記録ヘッド30とは流路6aで連通し、貯留部TKから記録ヘッド30へインクが供給される。流路6aは、貯留部TKと記録ヘッド30との間でインクを循環させる流路であってもよく、供給ユニット6はインクを循環させるポンプ等を備えてもよい。
<搬送装置>
搬送装置1Bは、記録媒体P1を転写ユニット4へ給送し、インク像が転写された記録物P2を転写ユニット4から排出する装置である。搬送装置1Bは、給送ユニット7、複数の搬送胴8、8a、二つのスプロケット8b、チェーン8c及び回収ユニット8dを含む。図1において、搬送装置1Bの各要素の内側の矢印はその要素の循環方向を示し、外側の矢印は記録媒体P1または記録物P2の搬送経路を示している。記録媒体P1は給送ユニット7から転写ユニット4へ搬送され、記録物P2は転写ユニット4から回収ユニット8dへ搬送される。給送ユニット7側を搬送方向で上流側と呼び、回収ユニット8d側を下流側と呼ぶ場合がある。
搬送装置1Bは、記録媒体P1を転写ユニット4へ給送し、インク像が転写された記録物P2を転写ユニット4から排出する装置である。搬送装置1Bは、給送ユニット7、複数の搬送胴8、8a、二つのスプロケット8b、チェーン8c及び回収ユニット8dを含む。図1において、搬送装置1Bの各要素の内側の矢印はその要素の循環方向を示し、外側の矢印は記録媒体P1または記録物P2の搬送経路を示している。記録媒体P1は給送ユニット7から転写ユニット4へ搬送され、記録物P2は転写ユニット4から回収ユニット8dへ搬送される。給送ユニット7側を搬送方向で上流側と呼び、回収ユニット8d側を下流側と呼ぶ場合がある。
給送ユニット7は、複数の記録媒体P1が積載される積載部を含むと共に、積載部から一枚ずつ記録媒体P1を、最上流の搬送胴8に給送する給送機構を含む。各搬送胴8、8aはY方向の回転軸周りに回転する回転体であり、円筒形状の外周面を有している。各搬送胴8、8aの外周面には、記録媒体P1(または記録物P2)の先端部を保持するグリップ機構が少なくとも一つ設けられている。各グリップ機構は、隣接する搬送胴間で記録媒体P1が受け渡されるように、その把持動作及び解除動作が制御される。
二つの搬送胴8aは、記録媒体P1の反転用の搬送胴である。記録媒体P1を両面記録する場合、外周面への転写後に、圧胴42から下流側に隣接する搬送胴8へ記録媒体P1を渡さずに、搬送胴8aに渡す。記録媒体P1は、二つの搬送胴8aを経由して表裏が反転され、圧胴42の上流側の搬送胴8を経由して再び圧胴42へ渡される。これにより、記録媒体P1の裏面が転写体41に面することになり、裏面にインク像が転写される。チェーン8cは、二つのスプロケット8b間に巻き回されている。二つのスプロケット8bの一方は駆動スプロケットであり他方は従動スプロケットである。駆動スプロケットの回転によりチェーン8cが循環的に走行する。チェーン8cには、その長手方向に離間して複数のグリップ機構が設けられている。グリップ機構は、記録物P2の端部を把持する。下流端に位置する搬送胴8からチェーン8cのグリップ機構に記録物P2が渡され、グリップ機構に把持された記録物P2はチェーン8cの走行により回収ユニット8dへ搬送され、把持が解除される。これにより記録物P2が回収ユニット8d内に積載される。
<後処理ユニット>
搬送装置1Bには、後処理ユニット10A、10Bが設けられている。後処理ユニット10A、10Bは転写ユニット4よりも下流側に配置され、記録物P2に対して後処理を行う機構である。後処理ユニット10Aは、記録物P2の表面に対する処理を行い、後処理ユニット10Bは、記録物P2の裏面に対する処理を行う。処理の内容としては、例えば、記録物P2の画像記録面への、画像の保護や艶出し等を目的としたコーティングを挙げることができる。コーティングの内容としては、例えば、液体の塗布、記録媒体の溶着、ラミネート等を挙げることができる。
搬送装置1Bには、後処理ユニット10A、10Bが設けられている。後処理ユニット10A、10Bは転写ユニット4よりも下流側に配置され、記録物P2に対して後処理を行う機構である。後処理ユニット10Aは、記録物P2の表面に対する処理を行い、後処理ユニット10Bは、記録物P2の裏面に対する処理を行う。処理の内容としては、例えば、記録物P2の画像記録面への、画像の保護や艶出し等を目的としたコーティングを挙げることができる。コーティングの内容としては、例えば、液体の塗布、記録媒体の溶着、ラミネート等を挙げることができる。
<検査ユニット>
搬送装置1Bには、検査ユニット9A、9Bが設けられている。検査ユニット9A、9Bは転写ユニット4よりも下流側に配置され、記録物P2の検査を行う機構である。検査ユニット9Aは、記録物P2に記録された画像を撮影する撮影装置であり、例えば、CCDセンサやCMOSセンサ等の撮影素子を含む。検査ユニット9Aは、連続的に行われる記録動作中に、記録画像を撮影する。検査ユニット9Aが撮影した画像に基づいて、記録画像の色味などの経時変化を確認し、画像データあるいは記録データの補正の可否を判断することができる。検査ユニット9Aは、圧胴42の外周面に撮影範囲が設定されており、転写直後の記録画像を部分的に撮影可能に配置されている。検査ユニット9Aにより全ての記録画像の検査を行ってもよいし、所定数毎に検査を行ってもよい。検査ユニット9Bも、記録物P2に記録された画像を撮影する撮影装置であり、例えば、CCDセンサやCMOSセンサ等の撮影素子を含む。検査ユニット9Bは、テスト記録動作において記録画像を撮影する。検査ユニット9Bは、記録画像の全体を撮影し、検査ユニット9Bが撮影した画像に基づいて、記録データに関する各種の補正の基本設定を行うことができる。検査ユニット9Bはチェーン8cで搬送される記録物P2を撮影する位置に配置されている。検査ユニット9Bにより記録画像を撮影する場合、チェーン8cの走行を一時的に停止して、その全体を撮影する。検査ユニット9Bは、記録物P2上を走査するスキャナであってもよい。
搬送装置1Bには、検査ユニット9A、9Bが設けられている。検査ユニット9A、9Bは転写ユニット4よりも下流側に配置され、記録物P2の検査を行う機構である。検査ユニット9Aは、記録物P2に記録された画像を撮影する撮影装置であり、例えば、CCDセンサやCMOSセンサ等の撮影素子を含む。検査ユニット9Aは、連続的に行われる記録動作中に、記録画像を撮影する。検査ユニット9Aが撮影した画像に基づいて、記録画像の色味などの経時変化を確認し、画像データあるいは記録データの補正の可否を判断することができる。検査ユニット9Aは、圧胴42の外周面に撮影範囲が設定されており、転写直後の記録画像を部分的に撮影可能に配置されている。検査ユニット9Aにより全ての記録画像の検査を行ってもよいし、所定数毎に検査を行ってもよい。検査ユニット9Bも、記録物P2に記録された画像を撮影する撮影装置であり、例えば、CCDセンサやCMOSセンサ等の撮影素子を含む。検査ユニット9Bは、テスト記録動作において記録画像を撮影する。検査ユニット9Bは、記録画像の全体を撮影し、検査ユニット9Bが撮影した画像に基づいて、記録データに関する各種の補正の基本設定を行うことができる。検査ユニット9Bはチェーン8cで搬送される記録物P2を撮影する位置に配置されている。検査ユニット9Bにより記録画像を撮影する場合、チェーン8cの走行を一時的に停止して、その全体を撮影する。検査ユニット9Bは、記録物P2上を走査するスキャナであってもよい。
<制御ユニット>
次に、画像記録装置1の制御ユニットについて説明する。図2,3は画像記録装置1の制御ユニット13のブロック図である。制御ユニット13は、上位装置(DFE)HC2に通信可能に接続され、また、上位装置HC2はホスト装置HC1に通信可能に接続される。
次に、画像記録装置1の制御ユニットについて説明する。図2,3は画像記録装置1の制御ユニット13のブロック図である。制御ユニット13は、上位装置(DFE)HC2に通信可能に接続され、また、上位装置HC2はホスト装置HC1に通信可能に接続される。
ホスト装置HC1では、記録画像の元になる原稿データが生成、あるいは保存される。原稿データは、例えば、文書ファイルや画像ファイル等の電子ファイルの形式で生成される。原稿データは上位装置HC2へ送信され、上位装置HC2は、受信した原稿データを制御ユニット13で利用可能なデータ形式(例えば、RGBで画像を表現するRGBデータ)に変換する。変換後のデータは、画像データとして上位装置HC2から制御ユニット13へ送信され、制御ユニット13は受信した画像データに基づき、記録動作を開始する。
制御ユニット13は、メインコントローラ13Aと、エンジンコントローラ13Bとに大別される。メインコントローラ13Aは、処理部131、記憶部132、操作部133、画像処理部134、通信I/F(インタフェース)135、バッファ136及び通信I/F137を含む。処理部131は、CPU等のプロセッサであり、記憶部132に記憶されたプログラムを実行し、メインコントローラ13A全体の制御を行う。記憶部132は、RAM、ROM、ハードディスク、SSD等の記憶デバイスであり、CPU131が実行するプログラムや、データを格納し、また、CPU131にワークエリアを提供する。操作部133は、例えば、タッチパネル、キーボード、マウス等の入力デバイスであり、ユーザの指示を受け付ける。画像処理部134は例えば画像処理プロセッサを有する電子回路である。通信I/F135は上位装置HC2との通信を行う。バッファ136は、例えば、RAM、ハードディスクやSSDである。通信I/F137はエンジンコントローラ13Bとの通信を行う。
図2において破線矢印は、画像データの処理の流れを例示している。上位装置HC2から通信IF135を介して受信された画像データは、バッファ136に蓄積される。画像処理部134はバッファ136から画像データを読み出し、読み出した画像データに所定の画像処理を施して、再びバッファ136に格納する。バッファ136に格納された画像処理後の画像データは、プリントエンジンが用いる記録データとして、通信I/F137からエンジンコントローラ13Bへ送信される。吐出領域R2上の吐出スタート位置を決めるための画像オフセットレジスタが設けられている。バッファ136内の印刷データの印刷タイミングは画像オフセットレジスタによってずらされ、これによって印刷位置が制御される。
図3に示すように、エンジンコントローラ13Bは、制御部14、15A〜15Eを含み、画像記録装置1が備えるセンサ群及びアクチュエータ群16の検出結果の取得及び駆動制御を行う。これらの各制御部は、CPU等のプロセッサ、RAMやROM等の記憶デバイス、外部デバイスとのインタフェースを含む。なお、制御部の区分けは一例であり、一部の制御を更に細分化した複数の制御部で実行してもよいし、逆に、複数の制御部を統合して、それらの制御内容を一つの制御部で行うように構成してもよい。
エンジン制御部14は、エンジンコントローラ13Bの全体の制御を行う。記録制御部15Aは、メインコントローラ13Aから受信した記録データをラスタデータ等、記録ヘッド30の駆動に適したデータ形式に変換する。記録制御部15Aは、各記録ヘッド30の吐出制御を行う。転写制御部15Bは、反応液付与ユニット5Aの制御、吸収ユニット5Bの制御、加熱ユニット5Cの制御、及び清掃ユニット5Dの制御を行う。信頼性制御部15Cは、供給ユニット6の制御、回復ユニットの制御、及び記録ユニット3を吐出位置と回復位置との間で移動させる駆動機構の制御を行う。搬送制御部15Dは、搬送装置1Bの制御を行う。検査制御部15Eは、検査ユニット9A,9Bの制御を行う。センサ群及びアクチュエータ群16は、可動部の位置や速度を検出するセンサ、温度を検出するセンサ、撮影素子等のセンサ群を含み、アクチュエータ群はモータ、電磁ソレノイド、電磁バルブ等を含む。
<記録動作>
図4は記録動作の例を模式的に示す図である。転写体41及び圧胴42が回転されつつ、以下の各工程が循環的に行われる。状態ST1に示すように、始めに転写体2上に反応液付与ユニット5Aから反応液Lが付与される。転写体2上の反応液Lが付与された部位は転写体41の回転に伴って移動していく。反応液Lが付与された部位が記録ヘッド30の下に到達すると、状態ST2に示すように記録ヘッド30から転写体2にインクが吐出される。これによりインク像IMが形成される。その際、吐出されるインクが転写体2上の反応液Lと混ざりあうことで、色材の凝集が促進される。吐出されるインクは、供給ユニット6の貯留部TKから記録ヘッド30に供給される。
図4は記録動作の例を模式的に示す図である。転写体41及び圧胴42が回転されつつ、以下の各工程が循環的に行われる。状態ST1に示すように、始めに転写体2上に反応液付与ユニット5Aから反応液Lが付与される。転写体2上の反応液Lが付与された部位は転写体41の回転に伴って移動していく。反応液Lが付与された部位が記録ヘッド30の下に到達すると、状態ST2に示すように記録ヘッド30から転写体2にインクが吐出される。これによりインク像IMが形成される。その際、吐出されるインクが転写体2上の反応液Lと混ざりあうことで、色材の凝集が促進される。吐出されるインクは、供給ユニット6の貯留部TKから記録ヘッド30に供給される。
転写体2上のインク像IMは転写体2の回転に伴って移動していく。インク像IMが吸収ユニット5Bに到達すると状態ST3に示すように吸収ユニット5Bによりインク像IMから液体成分が吸収される。インク像IMが加熱ユニット5Cに到達すると状態ST4に示すように加熱ユニット5Cによりインク像IMが加熱され、インク像IM中の液体成分が蒸発するとともにインク像IM中の樹脂が溶融し、インク像IMが造膜される。このようなインク像IMの形成に同期して、搬送装置1Bにより記録媒体P1が搬送される。
状態ST5に示すように、インク像IMと記録媒体P1とが転写体2と圧胴42とのニップ部11に到達し、記録媒体P1にインク像IMが転写され、記録物P2が製造される。ニップ部11を通過すると、記録物P2に記録された画像が検査ユニット9Aにより撮影され、記録画像が検査される。記録物P2は搬送装置1Bにより回収ユニット8dへ搬送される。
転写体2上のインク像IMが形成されていた部分は、清掃ユニット5Dに到達すると状態ST6に示すように清掃ユニット5Dにより清掃される。清掃後、転写体2は一回転したことになり、同様の手順で記録媒体P1へのインク像の転写が繰り返し行われる。上記の説明では理解を容易にするために、転写体2の一回転で一枚の記録媒体P1へのインク像IMの転写が行われるように説明したが、転写体2の一回転で複数枚の記録媒体P1へのインク像IMの転写を連続的に行うことができる。
図5は転写体2の部分展開図であり、反応液が塗布される領域、すなわち反応液の膜の形成領域(以下、塗布領域93と称する)と、インク像の形成予定領域(以下、印刷領域92と称する)と、を示している。印刷領域92は記録媒体に印刷が行われる予定の領域に対応している。本実施形態ではB2サイズの記録媒体への記録が可能であり、反応液はB2サイズの塗布領域93に塗布される。また、本実施形態では、印刷領域92、すなわち記録物の大きさはこれより小さいA3サイズとされており、印刷領域92は塗布領域93の右上部に設定されている。反応液の膜厚のムラが大きな領域(具体的には、以下に述べる膜厚最大差分が第3の許容値を上回る領域のことをいい、以下、塗布ムラ領域122と称する)は塗布領域93の左下部にあると仮定している。インク像の形成予定領域は塗布領域93の右上部に限定されず、塗布領域93の所定の領域に予め割り当てられる。以下に説明するように、インク像は実際にインク像の形成予定領域に形成される場合もあるし、塗布領域93の別の領域に形成される場合もあるし、インク像の形成そのものが行われない場合もある。
図6は本発明の画像記録方法を実行するためのフローチャートの一例を示している。このフローチャートはエンジンコントローラ13B(制御部)内に格納されているプログラムで実行される。エンジンコントローラ13Bの上流のメインコントローラ13Aからの印刷指示により一連の印刷プロセスが開始される(ステップS101)。まず、反応液が転写体2に塗布され、反応液の膜が転写体2の外周面に形成される(ステップS102)。次に、反応液の最大膜厚と最小膜厚の差分(以下、膜厚最大差分と称する)の許容値(以下、第3の許容値と称する)が設定される(ステップS103)。反応液の膜厚は反応液の濃度と言い換えることもできるため、第3の許容値は反応液の最大濃度と最小濃度の差分の許容値ということもできる。第3の許容値は記録媒体により異なり、一例では0.5μmであり、他の例では0.3μmである。反応液の濃淡差が目立たない記録媒体では第3の許容値を大きな値に設定することができ、反応液の濃淡差が目立つ記録媒体では第3の許容値は小さな値に設定される。第3の許容値は記録媒体の種類だけでなく、環境温度や環境湿度を考慮してより細かく設定することもできる。第3の許容値は記録媒体毎に予め記憶部132に記憶されている。記録媒体の種類はユーザが操作部133等の入力手段に入力してもよいし、機械的な検出手段によって自動的に検出するようにしてもよい。
次に、塗布領域93内の反応液の膜の膜厚を横方向と縦方向で検出する(ステップS104)。具体的には、反応液の膜の膜厚が、膜厚検出器12によって、転写体2の回転軸方向と平行な複数の第1のライン120a〜120fと、転写体2の周方向と平行な複数の第2のライン121a〜121dとに沿って計測される。図7はこれらのラインに沿って検出された膜厚の一例、すなわち膜厚検出器12の出力値の一例を示している。次に、各第1のライン120a〜120fと各第2のライン121a〜121dの交点で当該第1のライン上の膜厚と当該第2のライン上の膜厚とを合算する(ステップS105)。すなわち、各交点における第1のライン120a〜120f上の出力値と第2のライン121a〜121d上の出力値が合算される。これによって、図5に示す各格子点G11〜G14,G21〜G24,G31〜G34,G41〜G44,G51〜G54,G61〜G64での膜厚合算値が算出され、反応液の膜厚の2次元分布を求めることができる。なお、膜厚合算値は膜厚検出器12の測定値の概ね2倍となっているため、合算値を2で割った値を各格子点における膜厚としてもよい。第1のライン120a〜120fの測定値と第2のライン121a〜121dの測定値を単独で適用した場合、膜厚検出器12の誤差によって正確な測定ができないことがあるが、2つの出力を合算することで膜厚測定の精度を高めることができる。次に、膜厚合算値から各格子点での膜厚の差分が求められる(ステップS106)。
次に、反応液の膜厚のムラ検知のサブルーチンが呼ばれ、印刷可能かどうかが判断される(ステップS107)。図8はステップS107で呼ばれるムラ検知のサブルーチンのフローチャートを示している。まず、ムラ検知が開始され(ステップS201)、次に、塗布領域93における最大膜厚及び最小膜厚、並びに膜厚最大差分が調べられる。次に、最大膜厚が第1の許容値と比較され、最小膜厚が第2の許容値と比較される。第1の許容値は反応液の許容される最大膜厚であり、例えば1.4μmに設定される。第2の許容値は反応液の許容される最小膜厚であり、例えば0.7μmに設定される。第1の許容値と第2の許容値は予め記憶部132に記憶されており、記録媒体の種類毎に異なる値であってもよい。最大膜厚が第1の許容値を上回ったとき、または最小膜厚が第2の許容値を下回ったときは印刷不可能と判断し、エラー信号を返す(ステップS211)。
最大膜厚が第1の許容値以下であり、最小膜厚が第2の許容値以上であるときは、膜厚最大差分が第3の許容値と比較される(ステップS204)。第3の許容値は前述のように記録媒体の種類毎に予め設定されている。膜厚最大差分が第3の許容値以下であるときは印刷可能と判断される(ステップS210)。膜厚最大差分が第3の許容値を上回る場合は、塗布領域93と印刷領域92の大きさの関係が調べられる。例えば塗布領域93がB2サイズであり、印刷領域92もB2サイズであるときは塗布領域93と印刷領域92は同じ大きさであると判断される。塗布領域93がB2サイズであり、印刷領域92がA3サイズであるときは、印刷領域92は塗布領域93よりも小さいと判断される。印刷領域92が塗布領域93と同じ大きさであるときは印刷不可能と判断される(ステップS211)。印刷領域92が塗布領域93よりも小さいときは、現在の印刷領域92における膜厚最大差分が調べられる(ステップS206)。印刷領域92は塗布領域93よりも小さいため、塗布領域93における膜厚最大差分が第3の許容値を上回っていても、印刷領域92における膜厚最大差分は第3の許容値以下である可能性があるためである。膜厚最大差分が第3の許容値以下であるときは印刷可能と判断される(ステップS210)。
膜厚最大差分が第3の許容値を上回るときは、塗布領域93の印刷領域92と異なる他の領域で印刷が可能であるかが検索される(ステップS208)。具体的には印刷領域92を少しずつX方向及びY方向にずらし、各印刷領域での膜厚最大差分を求め、第3の許容値と比較する。膜厚最大差分が第3の許容値以下となる領域が発見されたら、印刷可能と判断され(ステップS210)、その領域が新たな印刷領域92に設定される。あるいは、膜厚最大差分が第3の許容値以下となる領域が発見された後も印刷領域92を少しずつX方向及びY方向にずらし、塗布領域93の全域を印刷領域92で走査し、膜厚最大差分が最小となる領域を新たな印刷領域92に設定してもよい。後者の方法は処理により長い時間を要するが、画像の品質に優れた記録物を作成することができる。一方、膜厚最大差分が第3の許容値以下となる領域が発見されなかった場合は印刷不可能と判断される(ステップS211)。このようにして、第1〜第3の許容値のいずれかを満たさない場合は印刷不可能と判断され、第1〜第3の許容値のいずれも満たす場合は印刷可能と判断され、その際、必要に応じて新たな印刷領域92が設定される。以上の処理が終了するとサブルーチンは終了する(ステップS212)。
反応液の膜厚のムラは、転写体2の正面側と背面側、あるいは転写体2の上流側と下流側で生じることがある。図5に示す例では、塗布ムラ領域は格子点G11、G12、G21、G22で囲まれた領域に存在する。図7は図5の塗布ムラ領域に対応している。第1のライン120a〜120dは比較的平坦で、膜厚の変動はほとんど生じていないことから、反応液の膜厚はほぼ均一であると判断される。これに対し、第1のライン120e,120fでは左側の領域122aで膜厚の増加が検出されている。これは塗布領域93の下側領域で反応液の膜厚の大きい部分が存在することを示している。第2のライン121c、121dは比較的平坦で、膜厚の変動はほとんど生じていないことから、反応液の膜厚はほぼ均一であると判断される。これに対し、第2のライン121a、121bでは、右側の領域122bで膜厚の増加が検出されている。これは塗布領域93の右側領域で反応液の膜厚の大きい部分が存在することを示している。これらのことから、図5の塗布領域93の左下の格子点G11、G12、G21、G22で囲まれた領域で膜厚が大きく変動していること、つまり塗布ムラができていると判断される。このため、印刷領域92はG11、G12、G21、G22で囲まれた領域を避けた位置に設定されている。図9に示す他の例では、格子点G11、G14、G23、及び、G21、G22、G31、G32に囲まれた領域で膜厚最大差分が第3の許容値を上回っている。本実施形態では反応液の膜厚を2次元状に把握できるため、格子点G11、G14、G23で膜厚が大きく増加していることだけでなく、格子点で囲まれた領域の膜厚の傾向も推定することができる。このため、図9の例では、G21、G22、G31、G32に囲まれた領域で膜厚最大差分が第3の許容値を上回っていると判断される。
ステップS108では、ムラ検知サブルーチンで印刷不可能エラーが発生したかが調べられる。エラーが発生していなければ、印刷が開始され(ステップS109)、印刷が終了すると一連の印刷プロセスが終了する(ステップS111)。ステップS108でエラーが発生していれば、上流のメインコントローラ13Aにエラー通知が行われ(ステップS110)、一連の印刷プロセスが終了する(ステップS111)。なお、ステップS103からステップS109のプロセスは転写体2が吐出前処理領域R1から吐出領域R2に移動する間に実行される。
このように、本実施形態によれば、反応液の膜厚に応じてインク像を形成するか否かを判定し、判断結果に基づき記録ユニット3を作動させるか否かを決定するため、品質の劣る記録物が作成される可能性が低減する。
以上、本発明を実施形態に基づき説明したが、本発明は実施形態に限定されない。以下、いくつかの変形例を説明する。記録ユニット3は、複数の記録ヘッド30ではなく、一つの記録ヘッド30だけを有していてもよい。記録ヘッド30はY方向に走査しながらインク像を形成するシリアル方式であってもよい。記録媒体P1の搬送機構は、ローラ対によって記録媒体P1を挟持して搬送する方式であってもよい。この場合、記録媒体Pはロールシートであってもよく、転写後にロールシートをカットすることで記録物P2を製造することができる。転写体2は転写胴41の外周面に設ける方法に限らず、転写体2を無端の帯状に形成し、循環的に走行させる方式であってもよい。上述の機能を実現するプログラムは画像記録装置の記憶部に記憶させる代わりに、ネットワークまたは記憶媒体を介して供給してもよい。その場合、画像記録装置のプロセッサがプログラムを読出し実行することができる。また、上述の機能は1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。反応液を塗布方法としては、反応液を多めに塗布し、塗布後に反応液をゴム製のワイパなどで処理(削る、延ばす、広げる、吸い取るなど)することも可能で、これによって反応液の膜厚を最適化することもできる。
塗布する反応液の膜厚のムラが頻繁に変動しない場合は、工場出荷時に設定した状態で画像記録装置を使用し、定期的なメンテナンス時に反応液の膜厚を確認してもよい。その後、ムラが頻繁に変化する場合は、周期ハンドラなどで周期的にムラを確認することもできる。反応液の最小膜厚、最大膜厚及び膜厚最大差分、並びに第3の許容値は印刷ジョブ毎に変更されるが、変更を反映させるタイミングは複数回のジョブに対して1回でもよく、画像記録装置の電源オン時のみでもよく、数週間毎、数か月毎に1回でもよい。格子点における膜厚の検出結果が不安定であるときは、第1のラインまたは第2のラインでの膜厚検出結果に基づき最大膜厚、最小膜厚及び膜厚最大差分を算出してもよい。
膜厚最大差分が第3の許容値以下となる領域が発見されない場合、以下の方法をとることができる。これらの方法によれば、膜厚最大差分が第3の許容値以下となる領域が発見されない場合でも印刷を行うことができる。
−印刷不可能と判断せず、膜厚最大差分の小さい領域、好ましくは最小となる領域に印刷する。
−画像データを解析し、膜厚最大差分が第3の許容値を上回る領域に印刷する画像データがない場合(すなわち、インクの吐出がされない場合)は、印刷領域92の移動や、印刷不可能の判断を行うことなく印刷する。具体的には、膜厚最大差分が第3の許容値を上回る部分が、インクが実際に吐出される部分であるかどうかが判断される。そして、その部分にインクが吐出されない場合は、画像データのムラの問題は生じないので印刷を続行することができる。薄い画像やムラが目立たない画像である場合も同様である。画像データにムラが目立つ画像領域とムラが目立たない画像領域とがある場合、ムラが目立たない画像領域を膜厚最大差分が第3の許容値を上回る領域に割り当てることも可能である。
−記録物の品質要求が高くない場合、例えばテスト印刷やドラフト印刷の場合は、第3の許容値以下となる領域が発見されない場合であっても、印刷領域92の移動や、印刷不可能の判断を行わず印刷を続行することもできる。
−印刷不可能と判断せず、膜厚最大差分の小さい領域、好ましくは最小となる領域に印刷する。
−画像データを解析し、膜厚最大差分が第3の許容値を上回る領域に印刷する画像データがない場合(すなわち、インクの吐出がされない場合)は、印刷領域92の移動や、印刷不可能の判断を行うことなく印刷する。具体的には、膜厚最大差分が第3の許容値を上回る部分が、インクが実際に吐出される部分であるかどうかが判断される。そして、その部分にインクが吐出されない場合は、画像データのムラの問題は生じないので印刷を続行することができる。薄い画像やムラが目立たない画像である場合も同様である。画像データにムラが目立つ画像領域とムラが目立たない画像領域とがある場合、ムラが目立たない画像領域を膜厚最大差分が第3の許容値を上回る領域に割り当てることも可能である。
−記録物の品質要求が高くない場合、例えばテスト印刷やドラフト印刷の場合は、第3の許容値以下となる領域が発見されない場合であっても、印刷領域92の移動や、印刷不可能の判断を行わず印刷を続行することもできる。
B2の塗布領域93の内側にA3の印刷領域92があるような場合、印刷領域92をどこに移動しても中央部は必ず印刷される共通領域となる。その場合、中央の共通領域の膜厚最大差分を基準にして、これと同等の膜厚最大差分となる領域に印刷領域92を設定してもよい。この際、膜厚の検出ポイントを共通領域の中央と、塗布領域93の四隅の5点に絞ってもよい。この方法によれば、膜厚の検出プロセスを簡略化することができる。
1 画像記録装置。
2 転写体
3 記録ユニット
4 転写ユニット
5A 記録ユニット
14、15A〜15E 制御部
42 圧胴
2 転写体
3 記録ユニット
4 転写ユニット
5A 記録ユニット
14、15A〜15E 制御部
42 圧胴
Claims (8)
- ニップ部を形成する転写体と圧胴とを有し、前記ニップ部で、前記転写体に形成された記録液の像が記録媒体に転写される転写ユニットと、
前記記録液を吐出し、前記転写体に前記記録液の像を形成する記録ユニットと、
前記記録液の粘度を増加させる反応液の膜を、前記記録液の像が形成される前に、前記転写体に形成する反応液付与ユニットと、
前記転写体に形成された前記反応液の膜の膜厚を検出する検出器と、
前記膜厚に応じて前記記録液の像を形成するか否かを判断し、判断結果に基づき前記記録ユニットを作動させるか否かを決定する制御部と、を有する画像記録装置。 - 前記制御部は、前記反応液の膜の最大膜厚が第1の許容値以下であり、前記反応液の膜の最小膜厚が第2の許容値以上であり、前記最大膜厚と前記最小膜厚の差分が第3の許容値を上回り、前記像の形成予定領域が前記反応液の膜の形成領域より小さいときは、前記像の形成予定領域における前記差分が前記第3の許容値以下であるかどうかを判定し、前記第3の許容値以下であるときは前記像の形成予定領域に前記記録液の像を形成するように前記記録ユニットを制御する、請求項1に記載の画像記録装置。
- 前記像の形成予定領域における前記差分が前記第3の許容値を上回るときは、前記制御部は、前記差分が前記第3の許容値以下となる他の領域を検索し、当該他の領域が発見されたときは当該他の領域に前記記録液の像を形成するように前記記録ユニットを制御する、請求項2に記載の画像記録装置。
- 前記制御部は、前記差分が最小となる領域に前記記録液の像を形成するように前記記録ユニットを制御する、請求項3に記載の画像記録装置。
- 前記制御部は、前記反応液の膜の最大膜厚が第1の許容値以下であり、前記反応液の膜の最小膜厚が第2の許容値以上であり、前記最大膜厚と前記最小膜厚の差分が第3の許容値を上回るときは、前記差分が前記第3の許容値を上回る部分が、前記記録液が吐出される部分であるかどうかを判断し、前記差分が前記第3の許容値を上回る部分が前記記録液が吐出される部分でない場合、前記像の形成予定領域に前記記録液の像を形成するように前記記録ユニットを制御する、請求項1に記載の画像記録装置。
- 記録媒体の種類毎に前記第3の許容値を記憶する記憶部と、
記録媒体の種類の入力手段または検出手段と、を有し、
前記制御部は、前記入力手段から入力されまたは検出手段で検出された記録媒体に対応する前記第3の許容値を前記差分と比較する、請求項2から5のいずれか1項に記載の画像記録装置。 - 前記検出器は、前記膜厚を前記転写体の回転軸方向と平行な複数の第1のラインと周方向と平行な複数の第2のラインとに沿って計測し、各第1のラインと各第2のラインの交点で当該第1のライン上の膜厚と当該第2のライン上の膜厚とを合算することで、前記膜厚の2次元分布を検出する、請求項1から6のいずれか1項に記載の画像記録装置。
- 記録ユニットによって転写体に形成された記録液の像が記録媒体に転写されることによって、記録媒体に記録を行う記録方法であって、
前記転写体に記録液の粘度を増加させる反応液の膜を形成することと、
前記転写体に形成された前記反応液の膜の膜厚を検出することと、
前記膜厚に応じて前記記録液の像を形成するか否かを判断し、判断結果に基づき前記記録ユニットを作動させるか否かを決定することと、を有する画像記録方法。
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