JP2019104043A - 被覆アーク溶接棒 - Google Patents
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Abstract
Description
一方、上進法によるルートパス溶接ではキーホールの形成を視認しながら溶接ができるため、余盛高さの調整が比較的容易であり、十分な溶け込みおよび溶融、余盛高さを確保しやすい。
さらに、上進法と比較すると下進法によるルートパス溶接では、ショートが発生しやすく、グラインダー作業などの溶接外作業の時間が長く、欠陥の発生頻度も高い。
MgO:0.1〜10質量%、
酸化鉄(FeO換算値):5〜20質量%、
TiO2:10質量%超25質量%以下、
金属又は合金としてのFe(合金の場合はFe換算値):0.1〜10質量%、
炭酸塩化合物(CO2換算値):0.5〜5.0質量%、
Al2O3:0.3〜5.0質量%、
ZrO2:0.3〜5.0質量%、
セルロース:25〜45質量%、
水ガラス及び硅酸鉱物を含む群の合計(SiO2換算値):10〜30質量%、
金属又は合金としてのMn(合金の場合はMn換算値):3〜10質量%、及び
アルカリ金属化合物の合計:0.5〜5.0質量%を含有し、
前記TiO2は、前記TiO2全量あたり粒径75μm以下のものが90質量%以上、及び粒径5μm以下のものが50質量%以下であり、前記被覆剤の前記鋼心線に対する被覆率が溶接棒全質量あたり12〜21%である。
本実施形態の被覆アーク溶接棒は、被覆剤を鋼心線外周に被覆してなる被覆アーク溶接棒である。以下に、被覆剤及び鋼心線について説明する。
以下において、本実施形態の被覆アーク溶接棒における被覆剤に含有される各成分の数値限定理由について説明する。
なお、本明細書において、各成分の含有量における「%」は、特に断りのない限り「質量%」である。
また、本明細書において、「〜」とはその下限の値以上、その上限の値以下であることを意味する。
MgOはスラグの粘性及び流動性に寄与する。MgOの含有量が0.1質量%未満であると、溶接作業能率を向上させる目的で行う運棒操作において、溶融金属の粘性不足によって溶融金属及びスラグの垂れの発生、耐ピット性の低下、及び溶接継手部性能の低下が発生しやすくなる。一方、MgOの含有量が10質量%を超えるとスラグの流動性が過大となり、下進溶接作業性が低下する。従って、MgOの含有量は0.1〜10質量%である。
また、上記観点よりMgO含有量は好ましくは0.3質量%以上であり、より好ましくは0.5質量%以上である。また、好ましくは9質量%以下であり、より好ましくは8質量%以下である。
酸化鉄にはスラグを多孔質にしてスラグの剥離性を向上させると共に、脱酸過剰によるピットの発生を防止する効果がある。酸化鉄の含有量がFeO換算で5質量%未満であると、スラグ剥離性の向上及びピット発生抑制効果が十分に得られず、20質量%を超えるとスラグの流動性が過大となり、下進溶接作業性が低下する。従って、酸化鉄(FeO換算値)の含有量は5〜20質量%である。
また、上記観点より酸化鉄含有量(FeO換算値)は好ましくは5.5質量%以上であり、より好ましくは6.0質量%以上である。また、好ましくは18質量%以下であり、より好ましくは15質量%以下である。
TiO2はアークの安定性及び強度に寄与し、スラグ形成剤として作用する成分である。TiO2の含有量が10質量%以下であると上進法においてアークの安定性が低下する。一方、25質量%を超えるとスラグの形成量が多くなり、運棒が困難となる。従って、TiO2の含有量は10質量%超25質量%以下である。
また、上記観点よりTiO2含有量は好ましくは12質量%超であり、より好ましくは13質量%超である。また、好ましくは23質量%以下であり、より好ましくは20質量%以下である。
被覆材に含有されるTiO2の粒径も溶接作業性に影響を及ぼす。被覆材に含有されるTiO2の全質量に対して、粒径が75μm以下のTiO2の含有量が90質量%未満であると、アーク安定性が劣化し、スパッタ発生量が多くなる。
一方、被覆材に含有されるTiO2の全質量に対して、粒径が5μm以下のTiO2の含有量が50質量%を超えると、アークの吹き付けが弱くなり、溶接作業性が劣化する。
したがって、TiO2全量あたり粒径75μm以下のものを90質量%以上とし、粒径5μm以下のものを50質量%以下とする。
また、上記観点より、TiO2全量あたりの粒径が75μm以下のものの含有量は好ましくは92質量%以上であり、より好ましくは95質量%以上である。また、TiO2全量あたりの粒径が5μm以下のものの含有量は好ましくは47質量%以下である。
なお、粒径の測定は、ふるい振とう機を用いて行うことができる。具体的には、株式会社セイシン企業製RPS−105を使用し、JIS Z8801−1:2006に準じたふるいを用いて、粒径75μm以下、5μm以下のTiO2を分離して測定を行うことができる。
Feは鉄粉及び/又はFe−MnやFe−Si等の合金によって添加される。Feは溶接作業性、溶接部におけるクレータの拡がり性、及び溶接金属の母材へのなじみ性を向上させる作用があるが、被覆剤中の金属又は合金としてのFe含有量(合金の場合はFe換算値)が0.1質量%未満であるとこれらの作用は十分に得られない。一方、被覆剤中の金属又は合金としてのFe含有量(合金の場合はFe換算値)が10質量%を超えるとアークの強度及び安定性が低下するため、アークの持続性が低下して耐ショート性が低下する。従って、Fe含有量は0.1〜10質量%である。
また、上記観点より金属又は合金としてのFe含有量(合金の場合はFe換算値)は好ましくは2質量%以上であり、より好ましくは3質量%以上である。また、好ましくは8質量%以下であり、より好ましくは7質量%以下である。
炭酸塩化合物は主として石灰によって添加され、シールドガス発生剤及びスラグ形成剤として作用する。炭酸塩化合物の含有量(CO2換算値)が0.5質量%未満であるとアーク部における大気シールド性が低下して合金元素が適正に溶融部に供給されず、継手部性能が低下する。また、溶接金属内の酸素量が多くなって溶接金属の靱性が低下する。一方、炭酸塩化合物の含有量(CO2換算値)が5.0質量%を超えるとスラグの生成量が多くなって下進溶接の作業性が低下する。従って、炭酸塩化合物の含有量(CO2換算値)は0.5〜5.0質量%である。なお、炭酸塩化合物としては、CaCO3、MgCO3、BaCO3等が使用される。
また、上記観点より炭酸塩化合物の含有量(CO2換算値)は好ましくは0.6質量%以上であり、より好ましくは0.7質量%以上である。また、好ましくは4.5質量%以下であり、より好ましくは4.0質量%以下である。
Al2O3はアークの安定性及びスラグの粘性を上昇させ、スラグ形成剤として作用する。また、Al2O3は溶融部におけるクレータの拡がり性を上昇させる。Al2O3の含有量が0.3質量%未満であるとアークの安定性、スラグの粘性、及びクレータの拡がり性上昇が十分に得られず、5.0質量%を超えるとスラグの生成量が増加し、スラグ剥離性も低下するため溶接作業性が低下する。従って、Al2O3の含有量は0.3〜5.0質量%である。
また、上記観点よりAl2O3含有量は好ましくは0.5質量%以上であり、より好ましくは0.8質量%以上である。また、好ましくは4.5質量%以下であり、より好ましくは4.0質量%以下である。
ZrO2は発生アークの集中性及びビード表面の光沢を上昇させる作用がある。また、ZrO2は溶接金属の母材へのなじみ性を向上させる。ZrO2の含有量が0.3質量%未満であると、アーク集中性、ビード表面の光沢、及び溶接金属の母材へのなじみ性の向上が十分得られず、5.0質量%を超えると発生スラグが緻密になって剥離性が低下する。従って、ZrO2の含有量は0.3〜5.0質量%である。
また、上記観点よりZrO2含有量は好ましくは0.5質量%以上であり、より好ましくは0.7質量%以上である。また、好ましくは4.5質量%以下であり、より好ましくは4.0質量%以下である。
セルロースは発生アークの安定性に寄与し、十分な強度の発生アークを安定して得られることによって耐ショート性を向上させる作用を有する。セルロースの含有量が25質量%未満であるとアークが弱く、不安定になり、耐ショート性も低下する。セルロースの含有量が45質量%を超えると発生アーク強度が強くなり、裏波ビードが形成されにくくなる。従って、セルロースの含有量は25〜45質量%である。
また、上記観点よりセルロース含有量は好ましくは26質量%以上であり、より好ましくは28質量%以上である。また、好ましくは43質量%以下であり、より好ましくは40質量%以下である。
SiO2はアーク強度を上昇させ、クレータの拡がり性、及び溶接金属の母材へのなじみ性を向上させる。水ガラス、硅酸鉱物を含む群の含有量の合計(SiO2換算値)が10質量%未満であるとアーク強度の上昇、クレータの拡がり性、及び溶接金属の母材へのなじみ性向上が十分得られず、30質量%を超えるとスラグ発生量が過剰になると共に、スラグの流動性が過大となるため、下進溶接の作業性が低下する。従って、水ガラス、硅酸鉱物を含む群の含有量の合計(SiO2換算値)は10〜30質量%である。
また、上記観点より水ガラス及び硅酸鉱物を含む群の含有量の合計(SiO2換算値)は好ましくは12質量%以上であり、より好ましくは15質量%以上である。また、好ましくは28質量%以下であり、より好ましくは25質量%以下である。
Mnは脱酸剤として不可欠な成分であり、更に、溶接金属の強度上昇に寄与する。金属又は合金としてのMn含有量(合金の場合はMn換算値)が3質量%未満であると脱酸不足によって健全な溶接金属が得られなくなり、10質量%を超えると脱酸過剰となってビード表面にピットが発生しやすくなる。従って、金属又は合金としてのMn含有量(合金の場合はMn換算値)は3〜10質量%である。
また、上記観点より金属又は合金としてのMn含有量(合金の場合はMn換算値)は好ましくは4質量%以上であり、より好ましくは5質量%以上である。また、好ましくは9質量%以下であり、より好ましくは8質量%以下である。
アルカリ金属化合物は、アーク安定性及び耐ブローホール性を改善するため添加される。このアルカリ金属化合物は、水ガラスの1種の成分でもある。アルカリ金属化合物含有量は、各アルカリ金属を酸化物に換算した値の合計とする。アルカリ金属化合物の含有量が合計で0.5質量%未満であると、アーク安定性及び耐ブローホール性改善の効果が十分に得られず、5.0質量%を超えると、アークの拡がり性が低下してビード幅が狭くなり、ビードが過剰に盛り上がる。また、耐吸湿性が劣化しやすくなる。従って、アルカリ金属化合物は、合計で0.5〜5.0質量%とする。
また、上記観点よりアルカリ金属化合物含有量の合計は好ましくは0.6質量%以上であり、より好ましくは0.7質量%以上である。また、好ましくは4.9質量%以下であり、より好ましくは4.8質量%以下である。
本実施形態の被覆剤は、上記以外の成分を本発明の効果を損なわない範囲で、弗化物、アーク安定剤、スラグ形成剤、脱酸剤、金属単体、合金剤、固着剤、増粘剤、無機粘結剤、有機化合物等を含有しても良い。具体的には、例えばNi、Cr、Mo等を含有しうる。また、不可避的不純物としてP、S、V、Nb、Sn等も含み得る。
被覆アーク溶接棒の被覆剤の被覆率(%)は、(被覆剤の質量(質量%)/溶接棒全質量(質量%))×100により算出される。被覆率を増加することは合金成分の添加比率の調整範囲を広げることになり、被覆剤へのセルロース添加範囲が拡大する。被覆率が12%未満であると保護筒としての被覆の機能が不十分になると共に、溶接棒の電極によるつかみ付近の被覆が焼け落ちて溶接棒が使用できなくなる棒焼けが発生しやすくなる。一方、被覆率が21%を超えるとアークの集中性が低下して裏波ビードが形成されにくくなり、更に、2層目以降の溶接において発生アークが弱くなり、スラグ発生量も増えるため下進溶接作業性が低下する。従って、被覆剤の溶接棒に対する被覆率は12〜21%である。
また、上記観点より被覆剤の鋼心線に対する被覆率は好ましくは13%以上であり、より好ましくは14%以上である。また、好ましくは19%以下であり、より好ましくは18%以下である。
粘結剤として添加される水ガラスに含有されるSiO2とM2O(Mはアルカリ金属であり、具体的にはNa、K、又はLiなどである)のモル比(SiO2/M2O)が2.7以上であると、特に良好な耐吸湿性を得ることができ、発生アークの強度及び安定性が向上し、溶接作業性が向上する。一方、当該モル比が4.0以下であると溶接棒の乾燥工程において被覆剤表面の割れが発生しづらくなり、溶接棒の生産性が向上する。従って、水ガラスに含有されるSiO2とM2Oのモル比(SiO2/M2O)は2.7〜4.0であることが好ましい。
また、上記観点より水ガラスに含有されるSiO2とM2Oのモル比(SiO2/M2O)はより好ましくは2.9以上であり、さらに好ましくは3.0以上である。また、より好ましくは3.8以下であり、さらに好ましくは3.7以下である。
本実施形態の被覆アーク溶接棒における鋼心線は、母材や溶接条件等に応じて適宜選択することができる。特に限定されないが、例えば実施例において示すJIS G 3523 SWY11:2008に規定されている鋼心線を用いることができる。
実施例1〜21、比較例1〜6、9〜26:TiO2の全量あたり、粒径75μm以下のものが90質量%以上、かつ、粒径5μm以下のものが50質量%以下。
比較例7:TiO2の全量あたり、粒径75μm以下のものが90質量%未満、かつ、粒径5μm以下のものが50質量%以下。
比較例8:TiO2の全量あたり、粒径75μm以下のものが90質量%以上、かつ、粒径5μm以下のものが50質量%超。
また、被覆剤の鋼心線への塗布に用いる粘結剤としては水ガラスを使用し、この水ガラス中に含有されるSiO2とM2O(Mはアルカリ金属であり、具体的にはNa、K、又はLiなどである)のモル比(SiO2/M2O)を表2に示すよう種々変化させた。
なお、鋼心線の組成の残部は鉄及び不可避的不純物である。また、被覆剤の組成の残部は増粘剤及び不可避的不純物である。
母材は表3に示す組成を有する外径1240mm、肉厚16.6mmの管を用いた。なお、母材の組成の残部は鉄及び不可避的不純物である。
比較例2は被覆剤中のMgOの含有量が過少であった。そのため、衝撃性能に劣った。
比較例3は被覆剤中の水ガラス及び硅酸鉱物を含む群の含有量の合計(SiO2換算値)が過多であった。そのため、耐ショート性、スラグの剥離性に劣った。
比較例4は被覆剤中の水ガラス及び硅酸鉱物を含む群の含有量の合計(SiO2換算値)が過少であった。そのため、アーク強さ、アーク安定性、耐ショート性、裏波ビードの安定性に劣った。また、放射線透過試験による溶接部等級評価も劣る結果であった。
比較例5は被覆剤中のTiO2の含有量が過少であった。そのため、耐ショート性、裏波ビードの安定性に劣った。
比較例6は被覆剤中のTiO2の含有量が過多であった。そのため、アーク強さ、耐ショート性、裏波ビードの安定性に劣った。
比較例7は被覆剤中のTiO2全量あたりの粒径75μm以下のものの含有量が過少であった。そのため、アーク安定性、耐ショート性、裏波ビードの安定性に劣った。また、放射線透過試験による溶接部等級評価も劣る結果であった。
比較例8は被覆剤中のTiO2全量あたりの粒径5μm以下のものの含有量が過大であった。そのため、アーク強さ、耐ショート性、裏波ビードの安定性に劣った。
比較例9は被覆剤中の金属又は合金としてのFeの含有量(合金の場合はFe換算値)が過多であった。そのため、アーク強さ、アーク安定性、耐ショート性、裏波ビードの安定性に劣った。また、放射線透過試験による溶接部等級評価の結果も劣る結果であった。
比較例10は被覆剤中の金属又は合金としてのFeの含有量(合金の場合はFe換算値)が過少であった。そのため、裏波ビードの安定性に劣った。
比較例11は被覆剤中の酸化鉄の含有量(FeO換算値)が過多であった。そのため、アーク安定性、耐ショート性に劣った。また、放射線透過試験による溶接部等級評価も劣る結果であった。
比較例12は被覆剤中の酸化鉄の含有量(FeO換算値)が過少であった。そのため、スラグの剥離性、衝撃性能に劣った。
比較例13は被覆剤中の金属又は合金としてのMnの含有量(合金の場合はMn換算値)が過多であった。そのため、スラグの剥離性、裏波ビードの安定性に劣った。
比較例14は被覆剤中の金属又は合金としてのMnの含有量(合金の場合はMn換算値)が過少であった。そのため、衝撃性能に劣った。
比較例15は被覆剤中のセルロースの含有量が過多であった。そのため、裏波ビードの安定性に劣った。
比較例16は被覆剤中のセルロースの含有量が過少であった。そのため、アーク強さ、アーク安定性、耐ショート性、裏波ビードの安定性に劣った。また、放射線透過試験による溶接部等級評価も劣る結果であった。
比較例17は被覆剤中のAl2O3の含有量が過多であった。そのため、スラグの剥離性に劣った。
比較例18は被覆剤中のAl2O3の含有量が過少であった。そのため、アーク安定性、裏波ビードの安定性に劣った。
比較例19は被覆剤中のZrO2の含有量が過多であった。そのため、スラグの剥離性、裏波ビードの安定性に劣った。
比較例20は被覆剤中のZrO2の含有量が過少であった。そのため、アーク強さ、アーク安定性、耐ショート性、裏波ビードの安定性に劣った。また、放射線透過試験による溶接部等級評価も劣る結果であった。
比較例21は被覆剤中の炭酸塩化合物の含有量(CO2換算値)が過多であった。そのため、耐ショート性、スラグの剥離性、裏波ビードの安定性に劣った。
比較例22は被覆剤中の炭酸塩化合物の含有量(CO2換算値)が過少であった。そのため、アーク安定性、耐ショート性、衝撃性能に劣った。また、放射線透過試験による溶接部等級評価も劣る結果であった。
比較例23は被覆材中のアルカリ金属化合物の合計の含有量が過多であった。そのため、アーク安定性に劣った。
比較例24は被覆材中のアルカリ金属化合物の合計の含有量が過少であった。そのため、アーク安定性に劣った。
比較例25は被覆剤の鋼心線に対する被覆率が過大であった。そのため、アーク強さ、アーク安定性、衝撃性能に劣った。また、放射線透過試験による溶接部等級評価も劣る結果であった。
比較例26は被覆剤の鋼心線に対する被覆率が過小であった。そのため、耐ショート性、裏波ビードの安定性に劣った。また、放射線透過試験による溶接部等級評価も劣る結果であった。
なお、実施例1〜21では鋼心線は直径3.2mmのものを用いたが、直径2.4mm、4.0mm、4.8mmの鋼心線を使用した場合においても同様に溶接作業性の評価、衝撃性能の評価、及び、放射線透過試験による溶接部等級評価の全てにおいて優れるものであった。
11:鋼心線
12:被覆剤
2:母材
3:溶接機
4:開先
g:開先のルートギャップ
Claims (2)
- 被覆剤を鋼心線外周に被覆してなる被覆アーク溶接棒であって、前記被覆剤は被覆剤全質量あたり、
MgO:0.1〜10質量%、
酸化鉄(FeO換算値):5〜20質量%、
TiO2:10質量%超25質量%以下、
金属又は合金としてのFe(合金の場合はFe換算値):0.1〜10質量%、
炭酸塩化合物(CO2換算値):0.5〜5.0質量%、
Al2O3:0.3〜5.0質量%、
ZrO2:0.3〜5.0質量%、
セルロース:25〜45質量%、
水ガラス及び硅酸鉱物を含む群の合計(SiO2換算値):10〜30質量%、
金属又は合金としてのMn(合金の場合はMn換算値):3〜10質量%、及び
アルカリ金属化合物の合計:0.5〜5.0質量%を含有し、
前記TiO2は、前記TiO2全量あたり粒径75μm以下のものが90質量%以上、及び粒径5μm以下のものが50質量%以下であり、
前記被覆剤の前記鋼心線に対する被覆率が溶接棒全質量あたり12〜21%である被覆アーク溶接棒。 - 前記被覆剤は、被覆剤原料を増粘剤と共に混練してなり、
前記増粘剤として水ガラスを含有し、
前記水ガラス中に含有されるSiO2とM2O(Mはアルカリ金属)のモル比(SiO2/M2O)が2.7〜4.0である請求項1に記載の被覆アーク溶接棒。
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