JP2009050865A - 多電極サブマージアーク溶接方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 下向き多電極サブマージアーク溶接により引張強度が800MPa〜1200MPaの溶接金属を作成する際において、複数の電極ワイヤのうちの何れか1電極または2電極以上がワイヤ全体に対する質量%でO:0.03%〜0.50%を含有するメタルコアードワイヤで、残りの電極がソリッドワイヤであり且つ、特定の成分系のフラックスを用いることにより、溶接欠陥の無い高強度高靭性の溶接金属を得ることができる1溶融池を作成する下向き多電極サブマージアーク溶接方法。
【選択図】 図5
Description
B=6.05N[CaO]+4.0N[MgO]+5.1N[CaF2]−0.2N[Al2O3]−6.3N[SiO2] (1)
ここで式(1)中の、N[CaO]、N[MgO]、N[CaF2]、N[Al2O3]、および、N[SiO2]は、それぞれCaO、MgO、CaF2、Al2O3、および、SiO2のモル分率を意味する。
前記複数の電極のうちの何れか1電極または2電極以上を、鋼製外皮中に金属粉末または合金粉末を充填し、かつワイヤ全体に対する質量%でO:0.03%〜0.50%を含有するメタルコアードワイヤとし、残りの電極をソリッドワイヤとするとともに、
前記高塩基性フラックスの成分組成が、該フラックスに対する質量%で、SiO2:5.0%〜20.0%未満、CaF2:30.0%〜50.0%、CaO:5.0%〜25.0%、MgO:1.0%〜5.0%、Al2O3:15.0%〜30.0%を含有し、かつ、該フラックスの成分組成が下記(1)式で計算される塩基度Bの値が1.1〜3.2を満足し、
前記溶接金属の成分組成が、該溶接金属に対する質量%で、
C:0.03%〜0.12%、
Si:0.03%〜0.40%、
Mn:0.5%〜3.0%、
Ti:0.002%〜0.025%、
Al:0.002%〜0.030%、
O:0.018%〜0.035%を含有し、
Nb:0.04%以下に制限し、
さらに、Cr:0.1%〜1.5%、Ni:0.1%〜4.0%、および、Mo:0.1%〜2.0%のうちの何れか1種または2種以上を含み、残部がFeおよび不可避の不純物であり、かつ、該溶接金属の化学組成が下記(2)式で求められるPcmの値が0.22〜0.38を満足することを特徴とする、多電極サブマージアーク溶接方法。
B=6.05×N[CaO]+4.0×N[MgO]+5.1×N[CaF2]−0.2×N[Al2O3]−6.3×N[SiO2] ・・・(1)
Pcm=[C]+[Si]/30+([Mn]+[Cr])/20+[Ni]/60+[Mo]/15 ・・・(2)
但し、
上記N[CaO]、N[MgO]、N[CaF2]、N[Al2O3]、および、N[SiO2]は、それぞれCaO、MgO、CaF2、Al2O3、および、SiO2のモル分率を示し、
[C]、[Si]、[Mn]、[Cr]、[Ni]、および、[Mo]は、それぞれC、Si、Mn、Cr、Ni、および、Moの質量%を示す。
C:0.03%〜0.15%、
Si:0.01%〜0.50%、
Mn:0.5%〜3.0%、
Ti:0.001%〜0.03%、
Al:0.001%〜0.04を含有し、
残部がFeおよび不可避の不純物であることを特徴とする、上記(1)に記載の多電極サブマージアーク溶接方法。
C:0.03%〜0.15%、
Si:0.02%〜0.80%、
Mn:0.2%〜4.0%、
Ti:0.002%〜0.10%、
Al:0.001%〜0.02%を含有し、
さらに、Cr:0.25%〜3.0%、Ni:0.25%〜8.0%、および、Mo:0.25%〜4.0%のうちの何れか1種または2種以上を含み、残部がFeおよび不可避の不純物であり、
前記メタルコアードワイヤの成分組成が、質量%で、
C:0.03%〜0.15%、
Si:0.02%〜0.80%、
Mn:0.2%〜4.0%以下、
Ti:0.002%〜0.10%、
Al:0.001%〜0.02%、
O:0.03%〜0.50%を含有し、
さらに、Cr:0.25%〜3.0%、Ni:0.25%〜8.0%、および、Mo:0.25%〜4.0%のうちの何れか1種または2種以上を含み、残部がFeおよび不可避の不純物であることを特徴とする、上記(1)〜(3)の何れかに記載の多電極サブマージアーク溶接方法。
M(CW)=M(g)×a(g)+M(p)×a(p) (3)
但し、
M(CW):メタルコアードワイヤの元素Mの平均の質量%、
M(g) :外皮の元素Mの質量%、
a(g) :金属粉末と外皮の単位長さの質量の和に対する外皮の単位長さの質量の比、
M(p) :金属粉末中の元素Mの平均質量(%)、
a(p) :金属粉末と外皮の単位長さの質量の和に対する金属粉末の単位長さの質量の比、
a(g)+a(p)=1
B=6.05N[CaO]+4.0N[MgO]+5.1N[CaF2]−0.2N[Al2O3]−6.3N[SiO2] ・・・・・(1)
ここで、N[CaO]、N[MgO]、N[CaF2]、N[Al2O3]、および、N[SiO2]は、CaO、MgO、CaF2、Al2O3、および、SiO2のモル分率を意味する。
Cは、溶接金属の焼き入れ性を確保し、強度と靭性を得るために重要な元素である。0.03%未満では強度が得られない。一方、0.12%を超えると強度が過剰となる。また、炭化物が形成し靭性が低下する。そのため、0.12%以下とした。
Siは脱酸元素として必要であり、0.03%以上は必要である。一方、0.40%を超えて添加するとSiが過剰となり、過剰Siは溶接金属中に固溶し靭性を低下する。そのため、上限を0.40%とした。
Mnは、焼き入れ性を向上させ溶接金属の強度を得るために0.5%以上必要である。一方、3.0%を超えると強度が過剰となり靭性が低下するため、上限を3.0%とした。
Tiは溶接金属の組織を微細化するのに最低限0.002%以上は必要である。しかし、0.025%を越えると、固溶Tiが増加し溶接金属の靭性が低下する。そのため、上限を0.025%とした。
Alは、母材、ワイヤおよびフラックスから移行してくるため溶接金属中には不純物として存在する。しかし、0.030%を超えると粗大な酸化物が形成し溶接金属の靭性が低下する。そのため、上限を0.030%とした。下限は本発明の効果からは特に限定する必要がないが、母材やフラックスかの不可避の不純物として0.002%以上は含まれる。
Nbは溶接材料には不可避の不純物程度にしか含まれない。しかし、母材にはNbを添加する場合もあるため、母材から溶接金属に供給される。しかし、過剰に溶接金属に含有すると炭化物を形成し靭性が低下する原因となる。そのため、上限を0.04%とした。
Oは溶接金属の靭性を確保するために重要な元素である。0.018%未満では、組織を微細化して靭性を向上させるのに必要な酸化物を形成することができない。そのため0.018%以上は必要である。しかし、0.035%を超えると、粗大な酸化物を形成するようになり、溶接金属の靭性は低下する。そのため、上限を0.035%とした。
Cr、NiおよびMoは溶接金属の強度を向上させる元素であるため添加する。しかし、過剰添加は靭性あるいは溶接性を低下させるため上限をきめた。
Crは、焼き入れ性を向上させ溶接金属の強度を得るため添加する。この効果を得るためには0.1%以上必要である。しかし、1.5%を超えると、過剰のCrは溶接金属の靭性を低下させる。そのため、上限を1.5%とした。
Cは焼き入れ性を高め、組織を微細化するために重要名元素であり。母材の強度を確保するためには0.03%以上必要である。また、溶接金属に安定してCを供給するために、0.03%以上必要である。一方、0.15%を越えて添加するとCが過剰となる。そのため、母材の溶接熱影響部の硬化が著しく、靭性に悪影響を及ぼす。そのため上限を0.15%とした。
Siは母材の製造時に脱酸元素として必要であり、その効果を得るために0.005%以上必要である。一方、0.50%を超えて添加すると母材の靭性が低下する。また、溶接金属への移行するSi量が過剰となり溶接金属の靭性も低下させる危険性があるため、上限を0.5%とした。
Mnは母材の焼き入れ性を高め強度を得るために必要な元素で、少なくとも0.5%以上必要である。一方、3.0%を超えて添加すると強度が高くなりすぎ靭性を低下させる。また、偏析が大きくなり、鋼材の組織も不均一にする。そのため、上限を3.0%とした。
Tiは、微量添加により母材の強度を向上させ靭性も改善するため、0.001%以上必要である。しかし、過剰のTiは母材強度を過剰にする。そのため上限を0.02%とした。
Alは脱酸元素として母材に必要で、0.001%以上添加される必要がある。しかし、0.04%を超えて添加すると粗大な酸化物を形成して母材の靭性は低下すため、上限を0.04%とした。
Cr、Ni、Mo、Nbは何れも母材の強度を向上させるために何れかを1種あるいは2種以上添加するが、過剰添加により、母材の靭性を低下させるため、上限を決めた。
Cは焼き入れ性を高めて、溶接金属の強度を確保するために重要な元素である。溶接金属に必要なC量を供給するために、0.03%以上必要である。しかし、0.15%を超えて添加すると溶接金属のC量が過剰となり強度が高くなり靭性が低下する。またソリッドワイヤも硬くなるため、製造性が阻害される。そのため、上限を0.15%とした。
Siは溶融した溶接金属の粘性を高める元素であり、作業性の観点から0.02%以上は必要である。しかし。0.80%を超えて添加すると溶接金属中のSi量が過剰となり靭性が低下するため、上限を0.80%とした。
MnもCと同様、溶接金属の焼き入れ性を高め強度を確保するために添加する元素である。そのため、0.2%以上は必要である。しかし、4.0%を超えて添加すると、溶接金属中のMn量が過剰となり靭性が低下するため、上限を4.0%とした。
Tiは酸素と結合して酸化物を形成して、溶接金属の組織の微細化に役立つ重要な元素である。0.002%未満ではワイヤからの添加量が足らず、その効果が得られないため、溶接金属の靭性が低下する。そのため、0.002%以上は必要である。しかし。0.10%を超えてワイヤに添加すると、酸化物を形成するに必要なTi以上が溶接金属に供給されるため固溶したTiが溶接金属中に増加し、溶接金属の靭性が低下する。そのため、上限を0.10%とした。
Alは溶接金属の靭性に対して酸化物を形成して低下させる。当然ワイヤからも溶接金属に移行するため、上限を定めた。0.02%を超えてワイヤに含まれると、溶接金属のAl量が過剰となり靭性が低下する。下限は特に溶接金属の靭性の観点からは必要ないが通常0.001%以上は不可避の不純物として含まれる。
Cr、Ni、Moは溶接金属の強度を確保するために1種または2種以上添加する。そのため、母材から供給される量の不足分は溶接材料から供給される。
メタルコアードワイヤの酸素量を質量%で0.03%〜0.50%に限定した。本発明では、メタルコアードワイヤから酸素を溶接金属に添加するのが目的である。そのため、メタルコアードワイヤの酸素量を規定する。0.03%未満では酸素量が少なく、溶接金属中に十分な酸素量が供給されない。そのため0.03%以上は必要である。一方、0.50%を超えると、酸素量が過剰となった結果、ガス成分が多くなりブローホール等の欠陥が生じ易くなる。そのため上限を0.50%以下とした。好ましくは0.20〜0.50%である。また、0.50%以下の酸素量のメタルコアードワイヤであれば、式(1)で計算される塩基度が本発明の範囲のフラックスを用いている限り、溶接金属は酸素過剰にはならない。
A:かしめ型メタルコアードワイヤの外皮
B:シームレスメタルコアードワイヤの外皮
C:金属粉末あるいは合金粉末
W:シームレスメタルコアードワイヤの外皮の溶接部
K:かしめ型メタルコアードワイヤのかしめ部
d:開先深さ
Wb:溶け込み
Ts:引張り試験片
Tp:シャルピー試験片
Claims (5)
- 引張強度が800〜1200MPaの鋼材を、該鋼材の開先内に高塩基性フラックスを充填し、複数の電極を用いて一つの溶融池を作成してサブマージアーク溶接することにより、引張強度が800〜1200MPaの溶接金属を形成する多電極サブマージアーク溶接方法において、
前記複数の電極のうちの何れか1電極または2電極以上を、ワイヤ全体に対する質量%でO:0.03%〜0.50%を含有するメタルコアードワイヤとし、残りの電極をソリッドワイヤとするとともに、
前記高塩基性フラックスの成分組成が、該フラックスに対する質量%で、SiO2:5.0%〜20.0%未満、CaF2:30.0%〜50.0%、CaO:5.0%〜25.0%、MgO:1.0%〜5.0%、Al2O3:15.0%〜30.0%を含有し、かつ、該フラックスの成分組成が下記(1)式で計算される塩基度Bの値が1.1〜3.2を満足し、
前記溶接金属の成分組成が、該溶接金属に対する質量%で、
C:0.03%〜0.12%、
Si:0.03%〜0.40%、
Mn:0.5%〜3.0%、
Ti:0.002%〜0.025%、
Al:0.002%〜0.030%、
O:0.018%〜0.035%を含有し、
Nb:0.04%以下に制限し、
さらに、Cr:0.1%〜1.5%、Ni:0.1%〜4.0%、および、Mo:0.1%〜2.0%のうちの何れか1種または2種以上を含み、残部がFeおよび不可避の不純物であり、かつ、該溶接金属の化学組成が下記(2)式で求められるPcmの値が0.22〜0.38を満足することを特徴とする、多電極サブマージアーク溶接方法。
B=6.05×N[CaO]+4.0×N[MgO]+5.1×N[CaF2]−0.2×N[Al2O3]−6.3×N[SiO2] ・・・(1)
Pcm=[C]+[Si]/30+([Mn]+[Cr])/20+[Ni]/60+[Mo]/15 ・・・(2)
但し、
上記N[CaO]、N[MgO]、N[CaF2]、N[Al2O3]、および、N[SiO2]は、それぞれCaO、MgO、CaF2、Al2O3、および、SiO2のモル分率を示し、
[C]、[Si]、[Mn]、[Cr]、[Ni]、および、[Mo]は、それぞれC、Si、Mn、Cr、Ni、および、Moの質量%を示す。 - 前記鋼材の成分組成が、質量%で、
C:0.03%〜0.15%、
Si:0.01%〜0.50%、
Mn:0.5%〜3.0%、
Ti:0.001%〜0.03%、
Al:0.001%〜0.04を含有し、
残部がFeおよび不可避の不純物であることを特徴とする、請求項1に記載の多電極サブマージアーク溶接方法。 - 前記鋼材の成分組成が、質量%で、さらに、
Cr:0.1%〜1.5%、Ni:0.1%〜2.5%、Mo:0.1%〜2.0%、および、Nb:0.005%〜0.06%のうちの何れか1種または2種以上を含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の多電極サブマージアーク溶接方法。 - 前記ソリッドワイヤの成分組成が、質量%で、
C:0.03%〜0.15%、
Si:0.02%〜0.80%、
Mn:0.2%〜4.0%、
Ti:0.005%〜0.10%、
Al:0.001%〜0.02%を含有し、
さらに、Cr:0.25%〜3.0%、Ni:0.25%〜8.0%、および、Mo:0.25%〜4.0%のうちの何れか1種または2種以上を含み、残部がFeおよび不可避の不純物であり、
前記メタルコアードワイヤの成分組成が、質量%で、
C:0.03%〜0.15%、
Si:0.02%〜0.80%、
Mn:0.2%〜4.0%以下、
Ti:0.005%〜0.10%、
Al:0.001%〜0.02%、
O:0.03%〜0.50%を含有し、
さらに、
Cr:0.25%〜3.0%、Ni:0.25%〜8.0%、および、Mo:0.25%〜4.0%のうちの何れか1種または2種以上を含み、残部がFeおよび不可避の不純物であることを特徴とする、請求項1〜3の何れかに記載の多電極サブマージアーク溶接方法。 - 前記複数の電極のうち、第2電極以降の少なくとも1電極を前記メタルコアードワイヤとし、残りの電極を前記ソリッドワイヤとすることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の多電極サブマージアーク溶接方法。
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