JP2019104017A - Au−Sn合金はんだペースト、及びAu−Sn合金はんだペーストを用いた接合方法 - Google Patents
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ところで、このような電子部品は、近年、車両用のヘッドライト等のように高温環境下で使用されることが多く、例えば、250℃以上の高温環境下で使用可能なものが望まれている。
この高温環境下で使用可能なAu−Sn合金はんだを得ることが可能なAu−Sn合金はんだペーストとして、特許文献1に記載のAu−Sn合金はんだペーストが知られている(特許文献1参照)。
このAu−Sn合金はんだペーストにより形成されるAu−Sn合金はんだは、Sn:38質量%以上54質量%以下、残部がAu及び不可避不純物により構成されているので、融点が300℃以上となり、300℃以上の高温環境下で使用することが可能になる。
しかしながら、このようなAu−Sn合金はんだを用いて光デバイスパッケージをサブマウント用基板に接合する場合、Au−Sn合金はんだの溶融温度が300℃以上であると、リフロー時の熱により光デバイスパッケージが劣化するおそれがある。
このため、Au−Sn合金はんだとして優れた耐熱性を有しながら、低温でリフロー処理できるAu−Sn合金はんだペーストが望まれている。
また、本発明では、Au−Sn粉末にAu粉末が添加されていることから、Au−Sn合金はんだペーストをリフローし、Au−Sn合金はんだの温度が固相線温度(217℃)を超えると、Au−Sn合金はんだが溶融し、溶融したAu−Sn合金はんだ内にAu粉末が拡散する。このため、溶融したAu−Sn合金はんだに含まれるAuの量が増え、Au−Sn合金はんだ内のSnが占める比率が減少する。その結果、Au−Sn合金はんだにおける金属成分中のSn成分が38.1質量%〜82.3質量%となるので、リフロー後のAu−Sn合金はんだの固相線温度は、252℃以上となる。
このため、リフロー温度をSn:38.1質量%〜82.3質量%、残部がAu及び不可避不純物からなるAu−Sn粉末のみにより構成されるはんだペーストよりも低くすることができ、リフロー時の熱による光デバイスパッケージの劣化を抑制でき、かつ、高温環境下における耐熱性に優れたAu−Sn合金はんだを提供できる。
これに対し、本発明では、Au−Sn粉末の平均粒径が1.0μm以上50.0μm以下であるので、フラックスがAu−Sn合金はんだ内に確実にいきわたり、かつ、Au−Sn粉末の酸化に基づく溶融のしにくさを抑制している。
また、Au粉末の平均粒径が0.02μm未満である場合、Au−Sn合金はんだペーストのリフロー時にAu粉末が凝集してAu−Sn合金はんだ内に拡散しにくい。また、Au粉末の平均粒径が5.0μmを超えている場合にも、Au−Sn合金はんだ内への拡散が不十分になり、耐熱性が低下するおそれがある。
これに対し、本発明では、Au粉末の平均粒径が0.02μm以上5.0μm以下であるためAu粉末が確実にAu−Sn合金はんだ内に確実に拡散し、耐熱性が低下することを抑制できる。
上記態様では、Au−Sn合金はんだにおける金属成分中のSn成分が38.1質量%以上61質量%以下の場合、固相線温度が309℃となり、より高い耐熱性が得られる。
このような構成によれば、ペースト塗布工程により塗布されたAu−Sn合金はんだペーストを加熱して溶融させるリフロー工程において、加熱温度(上記リフロー温度)が高くなりすぎることがないので、光デバイスパッケージなどの接合対象物のリフロー時の熱による劣化を抑制できる。また、基板に接合対象物が接合された後、Au−Sn合金はんだの固相線温度が上昇することから、例えば、250℃以上の高温環境下においても、接合対象物の基板に対する固定状態を確実に維持できる。
図1は、本実施形態のLED基板10を示す図であり、図2は、LED基板10を図1のA1−A1線にて切断した断面の一部を示す断面図である。
LED基板10は、例えば、車両用のヘッドライトの一部として用いられ、図1及び図2に示すように、光デバイスパッケージ1と、光デバイスパッケージ1がAu−Sn合金はんだ層5により固定されるサブマウント用基板6と、を備え、平面視で矩形板状の部材である。このサブマウント用基板6には、外部からの電力を供給するためのコネクタ部7が接続され、このコネクタ部7に供給される電力が光デバイスパッケージ1に印加され、LED2が点灯する。
このLED2とパッケージ基板4とは、図示を省略するが、金はんだペーストがパッケージ基板4に塗布された後、この金はんだペースト上にLED2を配置し、これらをリフロー(加熱)することにより金はんだペーストが溶融して金はんだとなり、該金はんだによりLED2とパッケージ基板4とが接合され、これらの間には金はんだ層3が配置されることとなる。
以下に、Au−Sn粉末の組成及び平均粒径、Au粉末の組成及び平均粒径、並びにAu粉末の添加量を、上述のように規定した理由について説明する。
Au−Sn粉末におけるSn含有量を82.4質量%以上95.0質量%以下の範囲内に設定したのは、図4のAu−Sn合金状態図に示されるように、固相線温度が217℃であり、リフロー時の溶融開始温度を低温とするためである。
以上のことから、本実施形態では、Au−Sn粉末の平均粒径を1.0μm以上50.0μm以下に設定している。
Au粉末としては、純度99.00質量%以上の純金が用いられる。
(Au粉末の平均粒径)
また、Au粉末の平均粒径が0.02μm未満の場合には、Au−Sn合金はんだペースト5Aのリフロー時にAu粉末が凝集してAu−Sn合金はんだ層5内に拡散しにくい。また、Au粉末の平均粒径が5.0μmを超えている場合にも、Au−Sn合金はんだ層5内への拡散が不十分になり、耐熱性が低下するおそれがある。
以上のことから、本実施形態では、Au粉末の平均粒径が0.02μm以上5.0μm以下の範囲内に設定している。
Sn:82.4質量%以上95.0質量%以下、残部がAu及び不可避不純物により構成されたAu−Sn粉末とAu粉末とを合わせた金属成分の合計量を100質量%とした時に、Au粉末を、金属成分中のSn成分が38.1質量%以上82.3質量%以下となるように添加する。
Au−Sn合金はんだペースト5Aにおいて、フラックスの含有量がAu−Sn合金はんだペースト5A全体の5質量%未満の場合には、Au−Sn合金はんだペースト5Aの粘度が高くなりすぎて、Au−Sn合金はんだペースト5Aの印刷性が低下する。一方、フラックスの含有量がペースト全体の40質量%を超える場合には、Au−Sn合金はんだペースト5Aを印刷する際に印刷ダレが発生しやすくなる。
以上のことから、本実施形態では、フラックスの含有量を、ペースト全体の5質量%以 上40質量%以下の範囲内に設定している。
なお、フラックスとしては、例えば、一般的なフラックス(例えば、ロジン、活性剤、溶剤、増粘剤等を含むフラックス)を用いることができる。また、Au−Sn合金はんだペースト5Aの濡れ性の観点から、例えば、弱活性(RMA)タイプのフラックスや活性(RA)タイプのフラックス等を用いることが好ましい。
次に、Au−Sn合金はんだペースト5Aの製造方法について簡単に説明する。
始めに、Snを82.4質量%以上95.0質量%以下の範囲で含み、残部がAu及び不可避不純物よりなるAu−Sn粉末を準備する。具体的には、上述の組成となるように溶融原料を秤量して溶解することにより、Au−Sn合金溶湯を得て、Au−Sn合金溶湯を所定温度に保持して撹拌する。
次に、上述のAu−Sn合金溶湯をガスアトマイズ法により粉末状に形成する。
そして、上述のガスアトマイズ法によって得られたAu−Sn粉末を分級することにより、平均粒径が1.0μm以上50.0μm以下の範囲内とされたAu−Sn粉末が製造される。
最後に、Au−Sn粉末と、Au粉末と、フラックスと、を上述した混合比で混合することにより、Au−Sn合金はんだペースト5Aが製造される。
次に、Au−Sn合金はんだペースト5Aを用いた光デバイスパッケージ1のサブマウント用基板6への接合方法を説明する。
この製造方法においては、Au−Sn合金はんだペースト5Aをサブマウント用基板6に塗布して、塗布されたAu−Sn合金はんだペースト5A上に光デバイスパッケージ1を載置してリフロー処理することによりサブマウント用基板6上に複数の光デバイスパッケージ1を接合する。以下、ペースト塗布工程、リフロー工程の順に詳細を説明する。
まず、Au−Sn合金はんだペースト5Aを、図3に示すように、サブマウント用基板6の所定位置に所定間隔で印刷塗布する。なお、Au−Sn合金はんだペースト5Aは、印刷塗布されることとしたが、ディスペンサ等による吐出供給でもよい。
次に、ペースト塗布工程おいてサブマウント用基板6上に印刷塗布されたAu−Sn合金はんだペースト5A上に光デバイスパッケージ1を図3の二点鎖線にて示すように載置し、これらを加熱(リフロー)する。このリフロー工程では、加熱温度を二段階で段階的に上昇させる。すなわち、Au−Sn粉末の融点(固相線温度)より低い温度で光デバイスパッケージ1及びサブマウント用基板6を加熱するプレヒート工程の後、Au−Sn粉末の融点(固相線温度)より、高い温度(例えば30℃)で光デバイスパッケージ1及びサブマウント用基板6を加熱する本ヒート工程を実行する。そして、Au−Sn合金はんだが冷却されると、Au−Sn合金はんだ層5となり、光デバイスパッケージ1がAu−Sn合金はんだ層5を介してサブマウント用基板6に固定される。
例えば、本実施形態では、プレヒート工程では、150℃にて光デバイスパッケージ1及びサブマウント用基板6を加熱し、本ヒート工程では、Au−Sn粉末の融点である216℃より30℃高い温度である246℃で加熱される。
なお、リフロー時間は、例えば、1分以上15分以下であり、プレヒート時間と本ヒート時間は略等しく設定されている。
また、リフロー工程によりAu−Sn合金はんだペースト5Aの温度がAu−Sn合金粉末の固相線温度(217℃)を超えると、Au−Sn合金粉末が溶融し、Au粉末が溶融したAu−Sn合金粉末に拡散するので、Au−Sn合金はんだ内のSnが占める比率が減少し、Au−Sn合金はんだにおける金属成分中のSn成分が38.1質量%〜82.3質量%となるので、リフロー後に固化したAu−Sn合金はんだ層5の固相線温度は、252℃〜309℃となる。例えば、1分間のリフロー処理で金属成分中のSn成分が82.3質量%以下となり、固相線温度が252℃以上となり、特に、Au−Sn合金はんだにおける金属成分中のSn成分が38.1質量%〜61質量%の場合、リフロー後に固化したAu−Sn合金はんだ層5の固相線温度は309℃となる。
このため、リフロー温度がSn:38.1質量%〜82.3質量%、残部がAu及び不可避不純物からなるAu−Sn粉末のみにより構成されるはんだペーストよりも低くすることができ、リフロー時の熱による光デバイスパッケージ1の劣化を抑制でき、かつ、高温環境下における耐熱性に優れたAu−Sn合金はんだを得ることができるAu−Sn合金はんだペースト5Aを提供できる。
上記実施形態では、リフロー工程においてプレヒート工程及び本ヒート工程を実行することで、加熱温度を二段階で段階的に上昇させることとしたが、これに限らず、本ヒート工程のみを実行してもよい。また、本ヒート工程の温度は、Au−Sn粉末の融点(固相線温度)より30℃高い温度に設定したが、これに限らず、適宜変更できる。また、加熱温度を三段階以上で段階的に上昇させてもよい。
このようにして、各試料について100個の枠状はんだペーストを形成した評価用基板を用いて、各種評価を下記手法により行った。
始めに、窒素雰囲気下において、評価用基板を加熱することで、枠状はんだペーストをリフロー処理させた。このとき、ピーク温度は247℃(217℃+30℃)とし、リフロー時間は、実施例8及び9を除く実施例及び比較例については1分とし、実施例8及び9については15分とした。
その後、光学顕微鏡を用いて、リフロー処理された100個の枠状はんだペーストを観察し、溶け残りのある枠状はんだペーストの数が2個以下の場合には、○と判定し、溶け残りのある枠状はんだペーストの数が3個以上の場合には、×と判定した。このとき、未凝集粉がある場合を溶け残りがあると判定した。
上述のようにしてリフロー処理した評価用基板を加熱して、固化状態のAu−Sn合金はんだ(Au−Sn合金はんだ層)の温度を1秒ごとに1℃ずつ上昇させ、その様子を光学顕微鏡にて観察した。この場合、Au−Sn合金はんだの温度は、252℃まで上昇させる低温加熱と、309℃まで上昇させる高温加熱と、の2種類とした。
低温加熱では、Au−Sn合金はんだ層が252℃まで溶融しなかった場合を○、溶融した場合を×と判定し、高温加熱では、Au−Sn合金はんだ層が309℃まで溶融しなかった場合を○、溶融した場合を×と判定した。
光デバイスパッケージを模したパッケージ体を搭載したAu−Sn合金はんだの接合性を、シェア強度を測定することにより評価した。このシェア強度の測定は、一般的なシェアテスターにより行われ、ツールによりパッケージ体を接合界面に沿って押圧して接合部の破壊時の強度を測定した。なお、Au−Sn合金はんだ層の厚さは50μm、ツールの押圧位置はAu−Sn合金はんだ層とパッケージ体との接合面から70nmの位置、ツールの移動速度を50μm/secに設定した。
この接合性の評価は、測定されたAu−Sn合金はんだ層の破壊時の強度が20MPa以上の場合を○とし、20MPa未満の場合を×とした。
また、Au−Sn合金はんだペーストにおけるAu−Sn粉末及びAu粉末を合わせた金属成分中のSn成分が38.1質量%以上82.3質量%以下である実施例1〜13は、252℃での耐熱性及び接合性のいずれも良好であった。その中でも、Au−Sn合金はんだにおける金属成分中のSn成分が38.1質量%以上61質量%以下の範囲内である実施例5、8、9、10及び13は、特に耐熱性に優れ、309℃での耐熱性も良好であった。
また、比較例3は、Au−Sn粉末におけるSn成分が82.4質量%以上95.0質量%以下の範囲内であることから、溶融性は良好であったものの、Au粉末の平均粒径が0.005μmであることから、凝集して取り扱いが困難となり、耐熱性が実施例1〜13よりも劣っていた。さらに、比較例4は、Au粉末の平均粒径が5.5μmであるため、Au粉末のAu成分がAu−Sn粉末に拡散しきれなかったことから、耐熱性及び接合性が実施例1〜13に対して劣っていた。
また、比較例5及び6は、Au−Sn粉末の平均粒径が1.0μm未満、又は50.0μmを超えているため、リフロー時に溶融せず、溶融性、耐熱性及び接合性の全てにおいて実施例1〜13よりも劣っていた。
2 LED
3 金はんだ層
4 パッケージ基板
5 Au−Sn合金はんだ層(Au−Sn合金はんだ)
5A Au−Sn合金はんだペースト
6 サブマウント用基板(基板)
7 コネクタ部
10 LED基板
Claims (3)
- Sn:82.4質量%以上95.0質量%以下、残部がAu及び不可避不純物からなるAu−Sn粉末と、
金属成分中のSn成分が38.1質量%以上82.3質量%以下となるように添加されたAu粉末と、
前記Au−Sn粉末及び前記Au粉末と混合されるフラックスと、を有し、
前記Au−Sn粉末の平均粒径は1.0μm以上50.0μm 以下であり、
前記Au粉末の平均粒径は、0.02μm以上5.0μm以下であることを特徴とするAu−Sn合金はんだペースト。 - 前記金属成分中のSn成分が38.1質量%以上61質量%以下であることを特徴とする請求項1に記載のAu−Sn合金はんだペースト。
- 請求項1又は2に記載のAu−Sn合金はんだペーストを基板に塗布するペースト塗布工程と、
前記ペースト塗布工程により塗布された前記Au−Sn合金はんだペースト上に接合対象物を載置した後、加熱して前記Au−Sn合金はんだペーストを溶融させて、前記基板に前記接合対象物を接合させるリフロー工程と、を備えることを特徴とするAu−Sn合金はんだペーストを用いた接合方法。
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