JP2019103589A - 吸収性物品 - Google Patents
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Abstract
【課題】吸収性物品を装着する着用者の快適性を確保する。【解決手段】吸収性物品1は、肌面側の第一領域11と第一領域11よりも非肌面側の第二領域12とを有し、吸水性樹脂を含有する吸収体10と、吸収体10に対して肌面側に積層され、肌面側の第一層21と第一層21よりも非肌面側の第二層22とを有する表面シート2と、を備える。また、表面シート2は、厚み方向の圧縮回復率が所定の圧縮回復率以上であり、第一層21のほうが第二層22よりも親水性が低い。さらに、吸収体10は、第一領域11のほうが第二領域12よりも吸水性樹脂の含有率が大きく、第一領域11における吸水性樹脂の含有率が所定の含有率に設定されている。【選択図】図3
Description
本発明は、紙おむつや尿パッドといった吸収性物品に関する。
従来、吸収体に対して表面シートの積層された吸収性物品が知られている。吸収性物品を装着した着用者の排泄時には、尿や水様便などの排泄物の水分(以下「排泄水分」という)が表面シートを透過して吸収体に吸収される。この吸収性物品は、下記の機能1,2を満たすことにより、着用者の快適性を向上させることができる。
機能1:排泄水分を速やかに吸収すること
機能2:吸収された排泄水分の肌面側への漏出を抑えること
機能1:排泄水分を速やかに吸収すること
機能2:吸収された排泄水分の肌面側への漏出を抑えること
上記の機能1,2を満たす観点から、種々の吸収性物品が開発されている。
たとえば、排泄水分の吸収体への引き込み性を調節するために、表面シートにおいて肌面側の上層と非肌面側の下層とで吸水性あるいは親水性を相違させる技術が提案されている(特許文献1,2参照)。また、吸収体の保水性を高めるために、吸収体において肌面側の上部領域のほうが非肌面側の下部領域よりも含有される吸水性樹脂の含有率を高めた技術が検討されている(特許文献3)。
たとえば、排泄水分の吸収体への引き込み性を調節するために、表面シートにおいて肌面側の上層と非肌面側の下層とで吸水性あるいは親水性を相違させる技術が提案されている(特許文献1,2参照)。また、吸収体の保水性を高めるために、吸収体において肌面側の上部領域のほうが非肌面側の下部領域よりも含有される吸水性樹脂の含有率を高めた技術が検討されている(特許文献3)。
しかしながら、吸収体の上部領域における吸水性樹脂の含有率が過剰に高いと、この吸水性樹脂が吸水で膨潤することによって、非肌面側への排泄水分の移動が阻害(いわゆる「ゲルブロック」)されるおそれがある。このように吸収体の上部領域で厚み方向の移動が阻害された排泄水分は、表面シートに吸水性や親水性の配向をもたせたとしても、非肌面側から肌面側へ表面シートを再び透過して漏出するおそれがある。そのため、上述した表面シートに関する技術と上述した吸収体に関する技術とを単に組み合わせただけでは、排泄水分を適切に処理することができるとはいえない。よって、着用者の快適性を高めるうえで改善の余地がある。
本件は、上記のような課題に鑑みて創案されたものであり、着用者の快適性を確保することを目的の一つとする。
本発明者は、上記の課題を鋭意検討した。その結果、下記の構成A,B,CおよびDを組み合わせることにより、排泄水分の吸収性とその保持性との双方を両立することができ、これらの性能を維持することができることを見出した。
・構成A:表面シートの圧縮回復率が所定の圧縮回復率以上であること
・構成B:表面シートの第一層が第二層よりも低い親水性であること
・構成C:吸収体の第一領域が第二領域よりも吸水性樹脂の含有率が大きいこと
・構成D:吸収体の第一領域に所定の含有率で吸水性樹脂が含有されること
・構成A:表面シートの圧縮回復率が所定の圧縮回復率以上であること
・構成B:表面シートの第一層が第二層よりも低い親水性であること
・構成C:吸収体の第一領域が第二領域よりも吸水性樹脂の含有率が大きいこと
・構成D:吸収体の第一領域に所定の含有率で吸水性樹脂が含有されること
具体的には、以下の吸収性物品を完成するに至った。
ここで開示する吸収性物品は、肌面側の第一領域と前記第一領域よりも非肌面側の第二領域とを有し、吸水性樹脂を含有する吸収体と、前記吸収体に対して肌面側に積層され、肌面側の第一層と前記第一層よりも非肌面側の第二層とを有する表面シートと、を備える。前記表面シートは、厚み方向の圧縮回復率が所定の圧縮回復率以上であり、前記第一層のほうが前記第二層よりも親水性が低い。さらに、前記吸収体は、前記第一領域のほうが前記第二領域よりも前記吸水性樹脂の含有率が大きく、前記第一領域における前記吸水性樹脂の含有率が所定の含有率に設定されている。
ここで開示する吸収性物品は、肌面側の第一領域と前記第一領域よりも非肌面側の第二領域とを有し、吸水性樹脂を含有する吸収体と、前記吸収体に対して肌面側に積層され、肌面側の第一層と前記第一層よりも非肌面側の第二層とを有する表面シートと、を備える。前記表面シートは、厚み方向の圧縮回復率が所定の圧縮回復率以上であり、前記第一層のほうが前記第二層よりも親水性が低い。さらに、前記吸収体は、前記第一領域のほうが前記第二領域よりも前記吸水性樹脂の含有率が大きく、前記第一領域における前記吸水性樹脂の含有率が所定の含有率に設定されている。
本件によれば、排泄水分の吸収性とその保持性との双方を両立することができ、吸収性物品を装着する着用者の快適性を確保することができる。
以下、本件を実施するための形態を述べる。この実施形態はあくまでも例示に過ぎず、下記の実施形態で明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。本実施形態の各構成は、それらの趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。また、必要に応じて取捨選択することができ、適宜組み合わせることもできる。
本実施形態の吸収性物品は、着用者に装着され、着用者から排泄される尿や経血の水分を吸収し保持する衛生用品である。この吸収性物品としては、テープ型やパンツ型のおむつ(いわゆる「使い捨て紙おむつ」),尿パッド,生理用ナプキン,パンティーライナーなどが挙げられる。以下の実施形態では、吸収性物品としておむつを例示する。
本実施形態の吸収性物品は、着用者に装着され、着用者から排泄される尿や経血の水分を吸収し保持する衛生用品である。この吸収性物品としては、テープ型やパンツ型のおむつ(いわゆる「使い捨て紙おむつ」),尿パッド,生理用ナプキン,パンティーライナーなどが挙げられる。以下の実施形態では、吸収性物品としておむつを例示する。
本実施形態で説明に用いる方向については、下記のように定義する。
おむつにおいては、着用者の腹部に対向して配置される前身頃と背部に対向して配置される後身頃とを結ぶ方向を長手方向とする。これらの前身頃と後身頃との間には、着用者の股下に配置(股間に対向して配置)される股下部が位置する。また、おむつが着用者に装着された状態(以下「装着状態」と略称する)において、着用者の肌に向かう側(装着状態で内側)を肌面側とし、肌面側の反対側(装着状態で外側)を非肌面側とする。さらに、肌面側と非肌面側とを結ぶ方向を厚み方向とし、長手方向および厚み方向の何れにも直交する方向を幅方向とする。
そのほか、特に断らない限り「数値X〜数値Y」なる表記は、「数値X以上であって数値Y以下である」ことを意味する。
おむつにおいては、着用者の腹部に対向して配置される前身頃と背部に対向して配置される後身頃とを結ぶ方向を長手方向とする。これらの前身頃と後身頃との間には、着用者の股下に配置(股間に対向して配置)される股下部が位置する。また、おむつが着用者に装着された状態(以下「装着状態」と略称する)において、着用者の肌に向かう側(装着状態で内側)を肌面側とし、肌面側の反対側(装着状態で外側)を非肌面側とする。さらに、肌面側と非肌面側とを結ぶ方向を厚み方向とし、長手方向および厚み方向の何れにも直交する方向を幅方向とする。
そのほか、特に断らない限り「数値X〜数値Y」なる表記は、「数値X以上であって数値Y以下である」ことを意味する。
[1.構成]
まず、図1および図2を参照して、おむつ1の基本的な構成を説明する。
おむつ1には吸収体10が内蔵され、この吸収体10に対して種々のシート2,3,4,5が重ね合わせられている。
吸収体10は、吸水性部材である。この吸収体10には、粉砕あるいは解繊されたパルプ繊維(繊維材料)に高吸水性樹脂の混合されたマット状部材が用いられている。上記した吸収体10に対して、肌面側にはセンターシート2(表面シート)およびサイドシート3が積層され、非肌面側にはバックシート4およびカバーシート5が積層されている。なお、吸収体10は、ラップシート9によって被包されることが好ましい。ラップシート9には、ティッシュや液透過性の不織布などの一般的なシートが用いられる。
まず、図1および図2を参照して、おむつ1の基本的な構成を説明する。
おむつ1には吸収体10が内蔵され、この吸収体10に対して種々のシート2,3,4,5が重ね合わせられている。
吸収体10は、吸水性部材である。この吸収体10には、粉砕あるいは解繊されたパルプ繊維(繊維材料)に高吸水性樹脂の混合されたマット状部材が用いられている。上記した吸収体10に対して、肌面側にはセンターシート2(表面シート)およびサイドシート3が積層され、非肌面側にはバックシート4およびカバーシート5が積層されている。なお、吸収体10は、ラップシート9によって被包されることが好ましい。ラップシート9には、ティッシュや液透過性の不織布などの一般的なシートが用いられる。
センターシート2は、水分を透過させて吸収体10に吸収させるため、透水性をもつ。また、センターシート2は、おむつ1において最も肌面側の表面に配置される(このことから「トップシート」とも称される)。このセンターシート2は、吸収体10よりも幅方向寸法が大きく、肌面側から吸収体10を被覆する。
サイドシート3は、吸収体10よりも肌面側において幅方向側方への液漏れを防ぐため、疎水性をもつ。このサイドシート3は、おむつ1において最も肌面側に配置される(このことからセンターシート2と同様に「トップシート」とも称される)。
また、バックシート4は、吸収体10から非肌面側への液漏れを防ぐため、非透水性をもつ。
サイドシート3は、吸収体10よりも肌面側において幅方向側方への液漏れを防ぐため、疎水性をもつ。このサイドシート3は、おむつ1において最も肌面側に配置される(このことからセンターシート2と同様に「トップシート」とも称される)。
また、バックシート4は、吸収体10から非肌面側への液漏れを防ぐため、非透水性をもつ。
カバーシート5は、上記した吸収体10およびシート2,3,4を非肌面側から被覆する。このカバーシート5は、バックシート4を補強するとともに触感(たとえば手触り)を向上させるために設けられ、おむつ1において最も非肌面側の表面に配置される。なお、カバーシート5は、単層構造に限らず、インナーカバーシートおよびアウターカバーシートを有する多層構造であってもよい。
そのほか、おむつ1には、装着状態における着用者への追従性を高めるため、立体ギャザー6,レッグギャザー7,ウエストギャザー8といった種々のギャザーが設けられている。これらのギャザー6,7,8では、糸ゴムや伸縮フィルムといった伸縮性部材によってサイドシート3やカバーシート5などが皺寄せられる。
つぎに、図3を参照して、おむつ1において着用者の快適性を高めるための構成を詳述する。具体的には、センターシート2および吸収体10の構成を詳細に述べる。
つぎに、図3を参照して、おむつ1において着用者の快適性を高めるための構成を詳述する。具体的には、センターシート2および吸収体10の構成を詳細に述べる。
〈センターシート〉
以下、センターシート2について、圧縮回復率および層構造のそれぞれを述べる。
――圧縮回復率――
センターシート2は、厚み方向の圧縮回復率が所定の圧縮回復率以上に設定されている。「圧縮回復率」とは、厚み方向に圧縮した後に回復する度合いを表すパラメータである。たとえば圧縮回復率が高いほど、クッション性が高い特性を有する。具体的には、下記の厚み寸法1に対する下記の厚み寸法2の百分率で「圧縮回復率」が定義される。
・厚み寸法1:圧縮されたことのないまたはほぼ圧縮されたことのないセンターシー
ト2の厚み寸法
・厚み寸法2:所定の荷重で厚み方向に圧縮されたセンターシート2の回復が完了し
たまたはほぼ完了したときの厚み寸法
以下、センターシート2について、圧縮回復率および層構造のそれぞれを述べる。
――圧縮回復率――
センターシート2は、厚み方向の圧縮回復率が所定の圧縮回復率以上に設定されている。「圧縮回復率」とは、厚み方向に圧縮した後に回復する度合いを表すパラメータである。たとえば圧縮回復率が高いほど、クッション性が高い特性を有する。具体的には、下記の厚み寸法1に対する下記の厚み寸法2の百分率で「圧縮回復率」が定義される。
・厚み寸法1:圧縮されたことのないまたはほぼ圧縮されたことのないセンターシー
ト2の厚み寸法
・厚み寸法2:所定の荷重で厚み方向に圧縮されたセンターシート2の回復が完了し
たまたはほぼ完了したときの厚み寸法
なお、厚み寸法2に関する「所定の荷重」は、着用者が着座した際にセンターシート2に対して作用する荷重の大きさのように、センターシート2に対して印加されることが想定される大きさに設定される。
上記した圧縮回復率は、着用者からの圧力を繰り返し分散させる観点より、70%以上であることが好ましく、85%以上であることが更に好ましく、100%であることが最も好ましい。
上記した圧縮回復率は、着用者からの圧力を繰り返し分散させる観点より、70%以上であることが好ましく、85%以上であることが更に好ましく、100%であることが最も好ましい。
上記した圧縮回復率の測定装置および圧縮荷重(所定の荷重)は下記の通りである。
・測定装置:圧縮試験機(KES-G5,カトーテック社製)
・圧縮荷重:0〜50gf/cm2
また、圧縮回復率の測定方法は、下記の手順に示す通りである。
・手順:センターシート2に対応する試験片を、測定装置を用いて、0.02mm/
secの速度で、0〜50gf/cm2の荷重を1往復かける
圧縮回復率は、下記の厚み1に対する下記の厚み2の百分率(厚み2÷厚み1×100[%])により求められる。
・厚み1:往路の0.5gf/cm2荷重時の厚み
・厚み2:復路の0.5gf/cm2荷重時の厚み
・測定装置:圧縮試験機(KES-G5,カトーテック社製)
・圧縮荷重:0〜50gf/cm2
また、圧縮回復率の測定方法は、下記の手順に示す通りである。
・手順:センターシート2に対応する試験片を、測定装置を用いて、0.02mm/
secの速度で、0〜50gf/cm2の荷重を1往復かける
圧縮回復率は、下記の厚み1に対する下記の厚み2の百分率(厚み2÷厚み1×100[%])により求められる。
・厚み1:往路の0.5gf/cm2荷重時の厚み
・厚み2:復路の0.5gf/cm2荷重時の厚み
――層構造――
さらに、センターシート2は、少なくとも二層をもつ層構造をなしている。
ここでは、肌面側の上層(第一層)21および非肌面側の下層(第二層)22の二層構造をなすセンターシート2を例に挙げる。なお、ここでいう二層構造は、別体に形成された上層21および下層22が積層された構造であってもよいし、上層21および下層22が一体的に積層された構造であってもよい。
さらに、センターシート2は、少なくとも二層をもつ層構造をなしている。
ここでは、肌面側の上層(第一層)21および非肌面側の下層(第二層)22の二層構造をなすセンターシート2を例に挙げる。なお、ここでいう二層構造は、別体に形成された上層21および下層22が積層された構造であってもよいし、上層21および下層22が一体的に積層された構造であってもよい。
このセンターシート2では、下層22から上層21への水分の移動を抑える観点から、上層21のほうが下層22よりも親水性が低く設定されている。「親水性」とは、吸水性に関するパラメータである。たとえば親水性が高いほど、排泄水分を速やかに吸収する特性を有する。具体的には、下記の水滴数1に対する下記の水滴数2の百分率で「親水性」が定義される。
・水滴数1:センターシート2に滴下される水滴の数(複数)
・水滴数2:水滴数1のうち所定時間内に吸収される水滴の数
なお、水滴数2に関する「所定時間」は、着用者の排泄から排泄水分が吸収されるまでの時間のうち、着用者の快適性が確保されうる時間として設定される。
・水滴数1:センターシート2に滴下される水滴の数(複数)
・水滴数2:水滴数1のうち所定時間内に吸収される水滴の数
なお、水滴数2に関する「所定時間」は、着用者の排泄から排泄水分が吸収されるまでの時間のうち、着用者の快適性が確保されうる時間として設定される。
上層21の親水性は、センターシート2に対して肌面側の排泄水分を速やかに吸収させる観点から、50%以上であることが好ましく、60%以上であることが更に好ましい。一方、下層22から上層21への水分の移動(吸収体10への排泄水分の吸収方向とは逆方向への移動,いわゆる濡れ戻りの一形態)を抑える観点から、90%以下であることが好ましく、80%以下であることが更に好ましい。
下層22の親水性は、上層21の排泄水分を吸収して肌面側から非肌面側へ排泄水分を速やかに移動させる観点から、80%以上であることが好ましく、90%以上であることが更に好ましく、100%であることが最も好ましい。
上記した「親水性」は、センターシート2は吸水したことが無い(未吸水)という前提で規定される。
上記した「親水性」は、センターシート2は吸水したことが無い(未吸水)という前提で規定される。
さらに、上層21および下層22のそれぞれには、繰り返し吸水(透水)した後の親水性(繰り返し親水性)が所定の繰り返し親水性を満たすものが採用されている。以下、吸水したことが無い前提で規定される先述の親水性を「第一親水性」と称し、ここで述べる繰り返し吸水した後の親水性を「第二親水性」と称する。
「第一親水性」が初めて吸水したときの吸水性に関するパラメータであるのに対し、「第二親水性」は、吸水した後に再び吸水するときの吸水性に関するパラメータである。具体的には、下記の水滴数1′に対する下記の水滴数2′の百分率で「第二親水性」が定義される。
・水滴数1′:第一親水性にかかる吸水から所定経過時間後に、第一親水性にかかる
吸水箇所と同箇所に滴下される水滴の数(複数)
・水滴数2′:水滴数1′のうち所定時間内に吸収される水滴の数
・水滴数1′:第一親水性にかかる吸水から所定経過時間後に、第一親水性にかかる
吸水箇所と同箇所に滴下される水滴の数(複数)
・水滴数2′:水滴数1′のうち所定時間内に吸収される水滴の数
上層21および下層22の各第二親水性は、センターシート2に対して肌面側の排泄水分を速やかに吸収させる観点と下層22から上層21への水分の移動を抑える観点との双方を両立するためには、第一親水性と同様の範囲に設定されることが好ましい。
ただし、第一親水性よりも第二親水性のほうが低下する傾向を考慮し、上層21の第二親水性は40〜90[%]であることが好ましく、下層22の第二親水性は70〜100[%]であることが好ましい。たとえば、第一親水性に対する第二親水性の低下が10[%]以内に抑えられた上層21および下層22を採用することが好ましい。
ただし、第一親水性よりも第二親水性のほうが低下する傾向を考慮し、上層21の第二親水性は40〜90[%]であることが好ましく、下層22の第二親水性は70〜100[%]であることが好ましい。たとえば、第一親水性に対する第二親水性の低下が10[%]以内に抑えられた上層21および下層22を採用することが好ましい。
上記した第一親水性の測定方法は、下記の手順A,Bに示す通りである。
・手順A:センターシート2に対応する試験片に対して位置の異なる十箇所のそれぞ
れに生理食塩水を一滴だけ滴下する
・手順B:手順Aで滴下された水滴が2秒以内に吸収される水滴(箇所)を数える
また、第二親水性の測定方法は、下記の手順C,Dに示す通りである。
・手順C:手順Bから3分経過後に手順Aと同じ箇所のそれぞれに生理食塩水を一
滴だけ滴下する
・手順D:手順Cで滴下された水滴が2秒以内に吸収される水滴(箇所)を数える
上記した手順A〜Dでは、排泄水分に対応するサンプルとして生理食塩水を用いている。手順A,Cによれば上記した水滴数1,1′が何れも「10」に設定され、手順B,Dによれば、上記した水滴数2,2′の「所定時間」が「2秒」に設定される。
・手順A:センターシート2に対応する試験片に対して位置の異なる十箇所のそれぞ
れに生理食塩水を一滴だけ滴下する
・手順B:手順Aで滴下された水滴が2秒以内に吸収される水滴(箇所)を数える
また、第二親水性の測定方法は、下記の手順C,Dに示す通りである。
・手順C:手順Bから3分経過後に手順Aと同じ箇所のそれぞれに生理食塩水を一
滴だけ滴下する
・手順D:手順Cで滴下された水滴が2秒以内に吸収される水滴(箇所)を数える
上記した手順A〜Dでは、排泄水分に対応するサンプルとして生理食塩水を用いている。手順A,Cによれば上記した水滴数1,1′が何れも「10」に設定され、手順B,Dによれば、上記した水滴数2,2′の「所定時間」が「2秒」に設定される。
ここでは、各層21,22を構成する繊維の直径(以下「構成繊維径」と略称する)が異なるものを採用している。構成繊維径が小さくなるほど、着用者に対する肌触りが向上し、着用者の快適性に優れる傾向がある。一方、構成繊維径が大きくなるほど、繊維の剛性が高いため、センターシート2の圧縮回復率が向上する傾向がある。このことから、上層21の構成繊維径よりも下層22の構成繊維径のほうを大きくし、着用者の快適性を向上させつつ、センターシート2の圧縮回復率を調整している。
上層21の構成繊維径は、所定の圧縮回復率を得る観点から、10[μm]以上であることが好ましく、12[μm]以上であることが更に好ましい。また、上層21の構成繊維径は、着用者に対する肌触りを向上させる観点から、22[μm]以下であることが好ましく、20[μm]以下であることが更に好ましい。
一方、下層22の構成繊維径は、所定の圧縮回復率を得る観点から、20[μm]以上であることが好ましく、25[μm]以上であることが更に好ましい。また、下層22の構成繊維径は、所定の圧縮回復率を得るとともに、上層21に対する下層22の積層性を確保する観点から、35[μm]以下であることが好ましく、30[μm]以下であることが好ましい。
上記した構成繊維径は、センターシート2のうち上層21,下層22のそれぞれに対応する試験片を電子顕微鏡で撮影し、その画像から測定した各繊維の直径の50点の平均値から算出される。
一方、下層22の構成繊維径は、所定の圧縮回復率を得る観点から、20[μm]以上であることが好ましく、25[μm]以上であることが更に好ましい。また、下層22の構成繊維径は、所定の圧縮回復率を得るとともに、上層21に対する下層22の積層性を確保する観点から、35[μm]以下であることが好ましく、30[μm]以下であることが好ましい。
上記した構成繊維径は、センターシート2のうち上層21,下層22のそれぞれに対応する試験片を電子顕微鏡で撮影し、その画像から測定した各繊維の直径の50点の平均値から算出される。
〈吸収体〉
つぎに、吸収体10について、吸水性樹脂(図3ではドットで模式的に示す)の含有率を述べる。ここでは、吸水性樹脂の含有率を説明する前提として、吸収体10を肌面側の上領域11(第一領域)と非肌面側の下領域12(第二領域)とに大別する。
吸収体10における吸水性樹脂の含有率は、排泄水分を速やかに吸収する観点から、上領域11のほうが下領域12よりも大きく設定されている。
つぎに、吸収体10について、吸水性樹脂(図3ではドットで模式的に示す)の含有率を述べる。ここでは、吸水性樹脂の含有率を説明する前提として、吸収体10を肌面側の上領域11(第一領域)と非肌面側の下領域12(第二領域)とに大別する。
吸収体10における吸水性樹脂の含有率は、排泄水分を速やかに吸収する観点から、上領域11のほうが下領域12よりも大きく設定されている。
そのうえ、吸水した吸水性樹脂の膨潤によって非肌面側への排泄水分の移動が阻害されることを抑える観点から、上領域11における吸水性樹脂の含有率が所定の含有率に抑えられている。これに関し、排泄水分の吸収性を確保する観点だけからすれば、上領域11における吸水性樹脂の含有率を高めるほど良い。しかし、この含有率が過剰に高い場合には、ゲルブロックのような弊害を招くおそれがあることから、過剰に高い含有率を除外した所定の含有率を設定している。
ここでいう「含有率」は、下記の質量1に対する下記の質量2の百分率で定義される。
・質量1:吸水性樹脂の質量+パルプの質量
・質量2:吸水性樹脂の質量
上領域11における吸水性樹脂の含有率は、排泄水分を速やかに吸収する観点から、60[%]以上であることが好ましく、70[%]以上であることが更に好ましい。一方、ゲルブロックの発生を抑える観点から、90[%]以下であることが好ましく、80[%]以下であることが更に好ましい。
・質量1:吸水性樹脂の質量+パルプの質量
・質量2:吸水性樹脂の質量
上領域11における吸水性樹脂の含有率は、排泄水分を速やかに吸収する観点から、60[%]以上であることが好ましく、70[%]以上であることが更に好ましい。一方、ゲルブロックの発生を抑える観点から、90[%]以下であることが好ましく、80[%]以下であることが更に好ましい。
なお、下領域12における吸水性樹脂の含有率は、上領域11からの排泄水分を確実に吸収する観点から、10[%]以上であることが好ましく、20[%]以上であることが更に好ましい。一方、上記した機能を確保したうえで吸水性樹脂の使用量を抑える観点から、40[%]以下であることが好ましく、30[%]以下であることが更に好ましい。
そのほか、上述した含有率に設定される、平面視での吸収体10における領域は、排泄箇所に対応する領域が少なくとも含まれるように設定されることが好ましい。具体的には、排泄水分を効率よく吸収して保持する観点から、おむつ1の股下部1Bの幅方向中央領域において、上述した含有率に設定された上領域11や下領域12が配置されることが好ましい。
そのほか、上述した含有率に設定される、平面視での吸収体10における領域は、排泄箇所に対応する領域が少なくとも含まれるように設定されることが好ましい。具体的には、排泄水分を効率よく吸収して保持する観点から、おむつ1の股下部1Bの幅方向中央領域において、上述した含有率に設定された上領域11や下領域12が配置されることが好ましい。
[2.作用および効果]
本実施形態のおむつ1は、上述したように下記の構成A,B,CおよびDを備えて構成される。
・構成A:センターシート2の圧縮回復率が所定の圧縮回復率以上であること
・構成B:センターシート2の上層21が下層22よりも低い親水性であること
・構成C:吸収体10の上領域11が下領域12よりも吸水性樹脂の含有率が大きい
・構成D:吸収体10の上領域11に所定の含有率で吸水性樹脂が含有されること
本実施形態のおむつ1は、上述したように下記の構成A,B,CおよびDを備えて構成される。
・構成A:センターシート2の圧縮回復率が所定の圧縮回復率以上であること
・構成B:センターシート2の上層21が下層22よりも低い親水性であること
・構成C:吸収体10の上領域11が下領域12よりも吸水性樹脂の含有率が大きい
・構成D:吸収体10の上領域11に所定の含有率で吸水性樹脂が含有されること
そのため、下記の吸収性およびその保持性の双方を両立することができる。
・吸収性:排泄水分を速やかに吸収すること
・保持性:吸収された排泄水分の肌面側への漏出を抑えること
・吸収性:排泄水分を速やかに吸収すること
・保持性:吸収された排泄水分の肌面側への漏出を抑えること
具体的に言えば、構成Aによって、着用者からセンターシート2へ印加される圧力が分散され、吸収体10あるいはセンターシート2に保持された排泄水分の漏出が抑えられるため、上記した保持性を得ることができる。
また、構成Bによって、上層21の排泄水分が下層22へ移動しやすくなることから上記した吸収性を得ることができ、下層22から上層21へ排泄水分が移動しにくくなることから上記した保持性を得ることができる。
また、構成Bによって、上層21の排泄水分が下層22へ移動しやすくなることから上記した吸収性を得ることができ、下層22から上層21へ排泄水分が移動しにくくなることから上記した保持性を得ることができる。
さらに、構成Cによって、センターシート2から吸収体10への排泄水分が速やかに吸収され、上記した吸収性を得ることができる。
そのうえ、構成Dによって、吸収体10の上領域11における吸水性樹脂の過度な膨潤が抑えられ、ゲルブロックによる排泄水分の肌面側への漏出が抑えられる。よって、上記した吸収性および保持性の双方を両立することができる。
これらの構成A〜Dが協働することによって、上記した吸収性および保持性の双方を確実に両立することができる。
そのうえ、構成Dによって、吸収体10の上領域11における吸水性樹脂の過度な膨潤が抑えられ、ゲルブロックによる排泄水分の肌面側への漏出が抑えられる。よって、上記した吸収性および保持性の双方を両立することができる。
これらの構成A〜Dが協働することによって、上記した吸収性および保持性の双方を確実に両立することができる。
1 おむつ(吸収性物品)
2 センターシート(表面シート)
3 サイドシート
4 バックシート
5 カバーシート
6 立体ギャザー
7 レッグギャザー
8 ウエストギャザー
9 ラップシート
10 吸収体
11 上領域(第一領域)
12 下領域(第二領域)
21 上層(第一層)
22 下層(第二層)
2 センターシート(表面シート)
3 サイドシート
4 バックシート
5 カバーシート
6 立体ギャザー
7 レッグギャザー
8 ウエストギャザー
9 ラップシート
10 吸収体
11 上領域(第一領域)
12 下領域(第二領域)
21 上層(第一層)
22 下層(第二層)
Claims (9)
- 肌面側の第一領域と前記第一領域よりも非肌面側の第二領域とを有し、吸水性樹脂を含有する吸収体と、
前記吸収体に対して肌面側に積層され、肌面側の第一層と前記第一層よりも非肌面側の第二層とを有する表面シートと、を備え、
前記表面シートは、厚み方向の圧縮回復率が所定の圧縮回復率以上であり、前記第一層のほうが前記第二層よりも親水性が低く、
前記吸収体は、前記第一領域のほうが前記第二領域よりも前記吸水性樹脂の含有率が大きく、前記第一領域における前記吸水性樹脂の含有率が所定の含有率に設定された
吸収性物品。 - 前記所定の含有率は、60〜90[%]である
請求項1に記載された吸収性物品。 - 前記第一領域は、股下部の幅方向中央領域に設定された
請求項1または2に記載された吸収性物品。 - 前記所定の圧縮回復率は、70〜100[%]である
請求項1〜3の何れか1項に記載された吸収性物品。 - 前記表面シートは、前記第一層の親水性が50〜90[%]であり、前記第二層の親水性が80〜100[%]である
請求項1〜4の何れか1項に記載された吸収性物品。 - 前記第一層は、繰り返し透水した後の親水性である繰り返し親水性が所定の繰り返し親水性である
請求項1〜5の何れか1項に記載された吸収性物品。 - 前記所定の繰り返し親水性は、40〜90[%]である
請求項6に記載された吸収性物品。 - 前記表面シートは、前記第二層のほうが前記第一層よりも構成繊維径が大きい
請求項1〜7の何れか1項に記載された吸収性物品。 - 前記第二層の構成繊維径が20〜35[μm]である
請求項8に記載された吸収性物品。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017237388A JP2019103589A (ja) | 2017-12-12 | 2017-12-12 | 吸収性物品 |
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Publication Number | Publication Date |
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JP2019103589A true JP2019103589A (ja) | 2019-06-27 |
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ID=67060756
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JP (1) | JP2019103589A (ja) |
Citations (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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JP2016106188A (ja) * | 2011-02-02 | 2016-06-16 | ダイワボウホールディングス株式会社 | 顕在捲縮性複合短繊維とその製造方法、繊維集合物および衛生物品 |
JP2017042607A (ja) * | 2015-08-24 | 2017-03-02 | 花王株式会社 | 不織布及びそれを備えた吸収性物品 |
JP2017064546A (ja) * | 2017-01-23 | 2017-04-06 | 大王製紙株式会社 | 吸収性物品及びその製造方法 |
-
2017
- 2017-12-12 JP JP2017237388A patent/JP2019103589A/ja active Pending
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