JP6992260B2 - 吸収性物品 - Google Patents

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Description

本件は、紙おむつや生理用ナプキンといった吸収性物品に関する。
従来、着用者から排泄される尿や経血などの水分を吸収するマット状の吸収体を内蔵した吸収性物品が知られている。近年の吸収性物品では、排泄の有無を外部から視認するため、濡れると変色するインジケータを吸収体に対して外観可能に付設することも提案されている(特許文献1参照)。
特開2010-194124号公報
しかしながら、上述したようなインジケータをもつ吸収性物品では、一部が圧縮された場合に、吸収体の含有水分が圧搾されることで、排泄がされていないにもかかわらず、インジケータの変色を招くおそれがある。よって、インジケータの機能を保全するうえで改善の余地がある。
本件は、上記のような課題に鑑みて創案されたものであり、吸収性物品におけるインジケータの機能保全を目的の一つとする。なお、ここでいう目的に限らず、後述する「発明を実施するための形態」に示す各構成から導き出される作用および効果であって、従来の技術では得られない作用および効果を奏することも、本件の他の目的として位置づけることができる。
ここで開示する吸収性物品は、吸水性をもつマット状の吸収体と、前記吸収体よりも着用者の肌面側とは反対の非肌面側に対して外観可能に付設され、濡れると変色するインジケータとを備える。さらに、前記吸収体は、前記インジケータと対応する所定領域の吸水性が他の領域の吸水性よりも抑えられており、且つ、厚み方向に凹設された凹部を有し、前記所定領域の少なくとも一部に前記凹部が設けられる。前記凹部はプレス成形されたものであり、平面視で格子状をなし、交差する格子点が前記インジケータと平面視で重複する位置またはその近傍に設けられ、当該位置の前記吸水性が前記他の領域の吸水性よりも抑えられている。また、前記吸収体は、前記所定領域において前記インジケータに近接するほど吸水性が抑えられ、各々の前記凹部は、前記吸収体のうち幅方向の端部領域を除いて延在している。
本件によれば、吸収性物品におけるインジケータの機能を保全することができる。
一実施形態に関する紙おむつ(吸収性物品)の展開図である。 図1のA-A矢視断面図である。なお、図2では、各構成を把握しやすくするため、各シート類の厚みを誇張して示す。 図2の要部拡大図である。
以下、本件を実施するための形態を説明する。下記の実施形態はあくまでも例示に過ぎず、この実施形態で明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。本実施形態の各構成は、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。また、必要に応じて取捨選択することができ、適宜組み合わせることもできる。
実施形態で述べる吸収性物品は、着用者に装着され、着用者から排泄される尿や経血といった液体の水分を吸収し保持する衛生用品である。この吸収性物品には、テープ型やパンツ型の紙おむつ(いわゆる「使い捨ておむつ」)といった吸収体を備えた吸収性物品のほか、尿パッド,生理用ナプキン,パンティーライナーといった吸収体のみを備えた吸収性物品なども含まれる。以下の実施形態では、吸収性物品としてパンツ型の紙おむつを例示する。
本実施形態では、紙おむつについて、着用者の腹部に対向して配置される前身頃と背部に対向して配置される後身頃とを結ぶ方向を長手方向とする。これらの前身頃と後身頃との間(長手方向の中央)には、着用者の股下に配置(股間に対向して配置)される股下部が位置する。また、紙おむつが着用者に装着された状態(以下「装着状態」と略称する)において、着用者の肌に向かう側(内側)を肌面側とし、肌面側の反対側(外側)を非肌面側とする。さらに、肌面側と非肌面側とを結ぶ方向を厚み方向とし、長手方向と厚み方向の何れにも直交する方向を幅方向とする。そのほか、厚み方向から視ることを平面視とする。
紙おむつにおける各構成の向きについては、たとえば長手方向に沿うと表現する場合に、長手方向と平行なことだけでなく、ほぼ長手方向と平行なことも含むものとする。具体的には、長手方向に対する傾斜角度が45°未満で延在することを長手方向に沿うものとする。同様に、幅方向や厚み方向といった各方向に沿うと表現する場合についても、各方向に対する傾斜角度が45°未満で延在することを意味する。
[I.一実施形態]
[1.構成]
[1-1.基本構成]
まず、図1および図2を参照して、紙おむつ1の基本的な構成を説明する。
ここでは、幅方向の中心線Cを基準として対称に紙おむつ1が形成されている。この紙おむつ1は、長手方向に沿って前身頃1A、股下部1Bおよび後身頃1Cの三つの領域に大別される。
〈シート類〉
はじめに、紙おむつ1のシート類について述べる。
図1に示すように、紙おむつ1には、前身頃1A、股下部1Bおよび後身頃1Cに亘って長手方向に延びる吸収体10(太破線で示す)が内蔵されている。
ここでは、前身頃1Aおよび後身頃1Cよりも股下部1Bのほうが幅方向寸法の小さい砂時計形状の吸収体10を例示する。ただし、吸収体10の平面視形状は、上記したような砂時計形状に限らず、平面視で矩形(すなわち幅方向寸法が一定)であってもよいし、それぞれ円形の前身頃1Aおよび後身頃1Cを結ぶダンベル形状であってもよい。
吸収体10は、着用者から排泄される尿や経血といった液体の水分(以下「排泄水分」という)を吸収して保持する吸水性をもつマット状(あるいはパッド状)の部材である。
この吸収体10では、粉砕あるいは解繊されたパルプ(いわゆる「フラッフパルプ」)に高吸水性樹脂(いわゆる「SAP〈Superabsorbent polymer〉」,「高吸水性高分子」あるいは「高吸水性ポリマー」とも称される)が混合されたコアがラップシートで被包(ラップ)されている。
上記した吸収体10に対して肌面側および非肌面側には、図2に示すように、以下に述べる種々のシート11,12,13,14が設けられている。
吸収体10に対して、肌面側にはセンターシート11が積層され、非肌面側にはバックシート12が積層されている。これらのシート11,12の幅方向側方にはサイドシート13が配置されている。
このサイドシート13は、センターシート11の幅方向側部において肌面側に積層されるとともに、バックシート12の幅方向側部において非肌面側に積層される。
バックシート12の非肌面側には、カバーシート14が積層される。ここでは、バックシート12の幅方向側部において、サイドシート13を介してカバーシート14が重ねられる。
センターシート11は、排泄水分を透過させて吸収体10に吸収させるため、透水性をもつ。ここでは、装着状態での蒸れを抑えるため、通気性を併せもつセンターシート11が用いられる。このようなセンターシート11としては、いわゆるエアスルー不織布を用いることができる。
また、センターシート11は、紙おむつ1において最も肌面側に配置される(このことから「トップシート」とも称される)。このセンターシート11は、吸収体10よりも幅方向寸法が大きく、肌面側から吸収体10を被覆する。
バックシート12は、吸収体10からの液漏れを防ぐため、非透水性をもつ。ここでは、装着状態での蒸れを抑えるため、透湿性を併せもつバックシート12が用いられる。このようなバックシート12としては、透湿性ポリエチレン(PE〈Poly-Ethylene〉)フィルムを用いることができる。ただし、ポリプロピレン(PP〈Poly-Propylene〉)フィルムをバックシート12に用いてもよい。
サイドシート13は、幅方向側方への液漏れを防ぐため、非透水性をもつ。このサイドシート13としては、スパンボンド不織布を用いることができる。
また、サイドシート13の一部は、紙おむつ1において最も肌面側に配置される(このことからセンターシート11と同様に「トップシート」とも称される)。このように着用者に対して接触しうるサイドシート13としては、SMS(Spunbound Meltblown Spunbound)不織布やSMMS(Spunbound Meltblown Meltblown Spunbound)不織布のようにメルトブローン層を含ませることにより、柔軟性を高めたスパンボンド不織布を用いることが好ましい。あるいは、スパンボンド不織布をなす繊維の繊度や目付量が抑えられることにより、柔軟性を向上させたスパンボンド不織布を用いることが好ましい。
なお、「繊度」とは、繊維の繊維径(太さ)や断面積に対応するパラメータであり、所定の長さあたりの重量で表される。たとえば、一本の繊維について9000mあたりのグラム数[デニール]が「繊度」として用いられる。
また、「目付量」とは、シートの厚みあるいは積層度合いに対応するパラメータであり、単位面積あたりの重量で表される。たとえば、一平米あたりのグラム数が「目付量」として用いられる。
カバーシート14は、上記した吸収体10およびシート11,12,13を非肌面側から被覆する。ここでは、カバーシート14として、肌面側から非肌面側に向けて第一カバーシート141,第二カバーシート142,第三カバーシート143の三つがこの順に積層されている。
第一カバーシート141は、バックシート12を介して吸収体10を非肌面側から被覆する(このことから「パッドカバーシート」とも称される)。
第二カバーシート142および第三カバーシート143は、前身頃1Aおよび後身頃1C(図1参照)で第一カバーシート141よりも幅方向寸法が大きく設定され、装着状態で着用者の臀部や腰,腹などのまわりに配置される。第三カバーシート143は、紙おむつ1において最も非肌面側に配置される(このことから、第三カバーシート143は「アウターカバーシート」とも称され、第二カバーシート142は「インナーカバーシート」とも称される)。
これらのカバーシート141,142,143としては、スパンボンド不織布を用いることができる。更に言えば、第一カバーシート141としては、紙おむつ1の内部で柔軟に変形させてフィット性を確保するため、サイドシート13と同様に、柔軟性の高いスパンボンド不織布を用いることが好ましい。また、第三カバーシート143としては、触感(手触り)を確保するため、サイドシート13と同様に、柔軟性の高いスパンボンド不織布を用いることが好ましい。
図1に示すように、前身頃1Aにおけるカバーシート14と後身頃1Cにおけるカバーシート14とは、それぞれの幅方向端縁部14aどうしが互いに貼り付けられる(いわゆる「サイドシール」)。このようにして、前身頃1Aおよび後身頃1Cの各カバーシート14が連設され、パンツ型の紙おむつ1が形成される。
そのほか、上述したバックシート12およびカバーシート14には、シート12,14に対して肌面側のものが透視可能な程度の半透明性材料が用いられている。
〈ギャザー〉
つぎに、図1および図2を参照して、紙おむつ1のギャザー15について述べる。
ギャザー15は、ゴムやポリウレタン,伸縮フィルムといった伸縮性をもつ部材(伸縮性部材)によって伸縮性をもたせたシート複合体から構成される。ここでは、伸縮性部材として糸状のゴム部材(以下「糸ゴム」と略称する)20を例示する。
この紙おむつ1には、糸ゴム20で形成されるギャザー15として、二種の糸ゴム21,22で伸縮性が付与された二種のギャザー16,17を例示する。一つは、サイドシート13の肌面側端縁部が第一糸ゴム21で皺寄せられた立体ギャザー16(「サイドギャザー」とも称される)である。もう一つは、第二カバーシート142および第三カバーシート143(図2参照)が第二糸ゴム22(一箇所のみに符号を付す)で皺寄せられたタミーギャザー17である。
立体ギャザー16は、サイドシート13のシート部13a,13b(図2参照)に対して第一糸ゴム21が伸張状態で一体化されたものである。また、タミーギャザー17では、第二カバーシート142および第三カバーシート143に対して第二糸ゴム22が伸張状態で一体化されたものである。
立体ギャザー16は、排泄箇所の周縁で着用者に対する追従性を高めることにより、排泄物の幅方向側方への漏れを防ぐために設けられる。
詳細に言えば、図2に示すように、立体ギャザー16では、サイドシート13の肌面側における幅方向内側の端縁部に位置するシート部13a,13bが折り曲げられて重ねられる。これらのシート部13a,13bによって、長手方向に延在する第一糸ゴム21が囲まれている。
言い換えれば、サイドシート13は、第一糸ゴム21に対して幅方向内側に内壁シート部13aが配置され、第一糸ゴム21に対して幅方向外側に外壁シート部13bが配置されている。すなわち、サイドシート13の一部では、二枚のシート部13a,13bが重ね合わせられている。
このようにサイドシート13のシート部13a,13bが折り曲げられて重ねられた箇所に第一糸ゴム21が内蔵されることで、肌面側に立設されるとともに伸縮性をもつ立体ギャザー16が形成される。
なお、図1および図2には、二本の第一糸ゴム21が設けられた立体ギャザー16を例示する。ただし、立体ギャザー16における第一糸ゴム21の本数は、一本であってもよいし、三本以上であってもよい。
タミーギャザー17は、着用者の臀部や下腹部に対する追従性を高めるために設けられる。詳細に言えば、タミーギャザー17では、平織物における縦糸または経糸のように、幅方向に延びる複数の第二糸ゴム22が、第二カバーシート142および第三カバーシート143(図2参照)の間に介装されている。
このようにカバーシート142,143の間に第二糸ゴム22が内蔵されることで、臀部や下腹部まわりに沿う伸縮性をもつタミーギャザー17が形成される。
そのほか、上述したギャザー16,17に加えてまたは替えて、着用者の脚部の付け根に対する追従を高めるためのレッグギャザーを設けてもよい。
〈インジケータ〉
さらに、紙おむつ1には、図2に示すように、排尿(排泄)の有無を外部に示すインジケータ19(このことから「お知らせサイン」とも称される)が設けられている。
インジケータ19は、紙おむつ1の外部から視認可能(外観可能)に吸収体10に対して付設されている。また、インジケータ19は、濡れると変色する層状の部位である。ここでは、吸収体10とバックシート12との間にインジケータ19が介装されている。
このインジケータ19は、水感応型の材料がバックシート12の肌面側に塗布されることで設けられる。たとえば、インジケータ19は、水分と感応する前(濡れる前)には黄色や橙色をなし、水分と感応した後(濡れた後)には青色や黄緑に色が変化する。
バックシート12およびカバーシート14が上述したような半透明性をもつことから、排泄水分によってインジケータ19が変色すると、変色したインジケータ19を紙おむつ1の外部から視認可能であり、外部から排泄の有無を認識することができる。
[1-2.詳細構成]
つぎに、図1~図3を参照して、紙おむつ1の詳細な構成を述べる。
〈圧搾部〉
まず、長手方向および幅方向の双方に交差して圧搾された溝状の圧搾部40(凹部,圧搾溝)を説明する。具体的には、少なくとも吸収体10において、長手方向および幅方向の双方に交差する領域が圧搾されて形成された溝状の圧搾部40を述べる。
この圧搾部40は、吸収体10とこの吸収体10の肌面側に積層されるセンターシート11とがプレス成形されて設けられる。具体的には、積層された吸収体10およびセンターシート11を所定の形状(パターン)の凸型で肌面側からプレスすることで、吸収体10あるいはセンターシート11のプレス箇所における含有空気が圧搾され、圧搾部40が成形される。
すなわち、圧搾部40は、厚み方向に凹設された凹部である。この圧搾部40は、長手方向および幅方向の双方に対して交差するように線状に延設された溝状の部位である。なお、圧搾部40は、吸収体10のうち幅方向の端縁(端部領域)を除いて延在している。
ここでの圧搾部40には、長手方向に対して、幅方向一方に傾斜して交差する複数の第一傾斜部41(図1には一箇所だけ符号を付す)と、幅方向他方に傾斜して交差する複数の第二傾斜部42(図1には一箇所だけ符号を付す)とが設けられている。すなわち、これらの傾斜部41,42は、平面視で格子形状(格子状,グリッドパターン)をなす。
上述した圧搾部40は、吸収体10の含有空気が圧搾されて成形されることから、その成形時に吸収体10の含有水分も圧搾されることで、その水分がインジケータ19を変色させるおそれがある。敷衍して言えば、圧搾部40の成形時におけるプレスのほか、着用者が排泄する前の折り曲げや圧縮(プレス)によって、吸収体10の含有水分が滲み出るおそれがあり、着用者が排泄していないにもかかわらず、インジケータ19の変色を招くおそれがある。
〈吸収体〉
そこで、図3に示すように、本実施形態の紙おむつ1では、吸収体10のうち所定領域RPの吸水性が調整されている。なお、図3には、三つのカバーシート141,142,143を一つのカバーシート14にまとめて示す。
ここでいう「所定領域RP」とは、吸収体10のうちインジケータ19に対応する領域である。詳細に言えば、所定領域RPは、吸収体10のうちインジケータ19が積層される領域を少なくとも含む領域であり、インジケータ19の積層領域に加えてその周辺領域を含んでもよい。たとえば、吸収体10において、平面視でインジケータ19と重複する領域(インジケータ19と対向する領域)やこれに加えてその周辺の領域が所定領域RPとされる。
さらに、所定領域RPは、吸収体10において含有水分の圧搾(あるいは滲み出し)が想定される箇所に設定される。
たとえば、所定領域RPは、インジケータ19の積層された吸収体10のうち折り曲げられうる箇所や圧縮されうる箇所に予め設定される。吸収体10が折り曲げられうる箇所の一例としては、紙おむつ1の梱包時や収納時などに折り畳まれる折り目に対応する吸収体10の領域が挙げられる。また、吸収体10が圧縮されうる箇所の一例としては、圧搾部40の成形領域が挙げられる。
ここでは、所定領域RPの少なくとも一部に圧搾部40が設けられており、詳細には、吸収体10において圧搾部40と平面視で重複する領域を所定領域RPとして例示する。
吸収体10では、上記した所定領域RPの吸水性が他の領域ROの吸水性よりも抑えられている。すなわち、所定領域RPのほうが他の領域ROよりも吸水性が低い。ここでは、他の領域ROにはパルプ10aに加えて高吸水性樹脂10bを含ませるのに対し、所定領域RPには高吸水性樹脂10bを含ませずにパルプ10aのみを含ませることで、所定領域RPの吸水性が抑制される。
[2.作用および効果]
上述したように紙おむつ1が構成されるため、下記のような作用および効果を得ることができる。
以下、圧搾部40に関する作用および効果を述べ、その後に、吸収体10に関する作用および効果を述べる。
[2-1.圧搾部]
(1)圧搾部40の延在箇所において、吸収体10やこれに加えてセンターシート11、延いては紙おむつ1が折り曲がりやすくなり、着用者に対する紙おむつ1のフィット性を高めることができる。
また、吸収体10およびセンターシート11のうち溝状の圧搾部40が成形された部分を着用者の肌面に対して非接触とすることができる。そのため、装着状態における通気性を高め、紙おむつ1内部の蒸れを抑えることができる。さらに、着用者の肌面に対してセンターシート11の一部を圧搾部40によって非接触とすることで、肌触り(触感)を高めることもできる。
さらに、長手方向および幅方向の双方に交差して延在する圧搾部40によって、たとえば毛細管現象によって排泄された液体を圧搾部40に沿って拡散させることができる。したがって、長手方向および幅方向の双方へ排泄された液体の拡散性を向上させることができ、吸収体10の吸水箇所を分散させることができる。よって、吸収体10の吸水性を確保することができる。
(2)圧搾部40において互いに異なる方向に傾斜する傾斜部41,42によれば、圧搾部40が二方向に沿うことから、二方向に延びる折り目で紙おむつ1が折り曲がりやすくなり、着用者に対するフィット性を更に高めることができる。
また、傾斜部41,42によって圧搾部40が二方向に沿うことから、紙おむつ1内部で二方向に通気させることで装着状態における通気性を更に高め、紙おむつ1内部の蒸れを確実に抑えることができる。
さらに、圧搾部40が二方向に沿うことから、排泄された液体の拡散性を更に向上させることができ、吸収体10の吸水性を高めることができる。すなわち、平面視で格子形状をなす傾斜部41,42によって、排泄された液体を効率よく拡散させ、吸収体10の吸水効率を向上させることができる。
(3)そのほか、吸収体10のうち幅方向の端縁(端部領域)を除いて圧搾部40が設けられることから、排泄された液体が圧搾部40を伝って幅方向外側に拡散したとしても、その拡散先の吸収体10で排泄水分が吸収される。よって、排泄された液体の幅方向外側への漏れを確実に抑えることができる。
[2-2.吸収体]
つぎに、吸収体10における所定領域RPの吸水性調整による作用および効果を述べる。
(1)吸収体10においては、インジケータ19と対応する所定領域RPの吸水性が他の領域ROの吸水性よりも抑えられることから、所定領域RPの含有水分によるインジケータ19の変色を抑えることができる。言い換えれば、着用者の排泄水分だけにインジケータ19を感応させることができる。よって、インジケータ19の機能を保全することができる。延いては、着用者による排泄の有無を外部から適切に認識させることができる。
(2)本実施形態の吸収体10では、所定領域RPに圧搾部40がプレス成形されることから、圧搾部40の成形時に所定領域RPの含有水分が圧搾されやすい。これに対して、圧搾部40がプレス成形される所定領域RPの吸水性が抑えられることにより、所定領域RPの圧搾水分量を低減させることができる。よって、圧搾部40のプレス成形時にインジケータ19が変色することを抑えることができる。
そのうえ、所定領域RPに高吸水性樹脂10bが含有されていないことから、所定領域RPに圧搾部40をプレス成形するときに、センターシート11やバックシート12が高吸水性樹脂10bで突き破られるのを抑えることもできる。このように高吸水性樹脂10bの含有領域を調整することで、吸収体10に積層されるシート類の破損を抑えることもできる。
(3)そのほか、インジケータ19は、吸水性の吸収体10と非透水性のバックシート12との間に介装されることから、インジケータ19に対する非肌面からの被水も防がれる。よって、インジケータ19の機能を確実に保全することができる。
[II.その他]
最後に、その他の変形例について述べる。
たとえば、圧搾部は、少なくとも吸収体に設けられていればよく、センターシートに設けられていなくてもよい。この場合には、センターシートが積層される前に吸収体の一部が肌面側から圧搾されて、圧搾部が成形される。
あるいは、吸収体の非肌面側に圧搾部が成形されてもよい。この場合には、非肌面側から少なくとも吸収体が圧搾されて、圧搾部が成形される。具体例を挙げれば、非肌面側からバックシートとともに吸収体をプレスして圧搾部が成形される。この場合には、バックシートと吸収体との間に介装されたインジケータやこれに隣接する所定領域の吸収体が直接的にプレスされるため、所定領域の含有水分が圧搾されやすくなる。このような構成であったとしても、所定領域の吸水性が抑えられることにより、インジケータの機能を保全することが可能である。
また、圧搾部の平面視形状としては、格子形状に限らず、さまざまな形状を採用することができる。具体例を挙げれば、第一傾斜部または第二傾斜部は、少なくとも一方が単数であってもよいし、少なくとも一方を省略してもよい。更に言えば、第一傾斜部または第二傾斜部は、直線状のほか、曲線状であってもよいし、三角波状や矩形波状であってもよい。このように他の平面視形状をなす圧搾部によっても、フィット性,通気性および吸水性を確保して、着用者の快適性を向上させることに寄与する。あるいは、圧搾部は、延在するものに限らず、点状に設けられてもよい。この場合であっても、フィット性などの向上に寄与しうる。
吸収体における所定領域については、高吸水性樹脂を含ませずに吸水性が抑えられるのに限らず、高吸水性樹脂の密度(含有度合い)を低減させることで吸水性が抑えられてもよい。すなわち、所定領域における高吸水性樹脂の密度を他の領域における高吸水性樹脂の密度よりも低くして、所定領域の吸水性を低下させてもよい。
このように高吸水性樹脂の含有度合いを調整することにより、所定領域における含有水分の圧搾を抑制することでインジケータの機能を保全しつつ、所定領域の吸水性を確保することができる。
また、吸収体における所定領域については、厚み方向で非肌面側に向かうほど吸水性が抑えられていてもよい。具体的には、所定領域において、非肌面側(インジケータ側)に向かうほど、高吸水性樹脂の密度が抑制されていてもよい。この場合には、所定領域のうち少なくとも一部において、非肌面側のほうが肌面側よりも高吸水性樹脂の密度が低ければよい。
このように吸水性がインジケータに近接するほど低下することで、所定領域のうちインジケータに近い領域における含有水分の圧搾を抑えることができ、インジケータの機能保全と所定領域の吸水性の確保とを両立させることができる。
1 紙おむつ(吸収性物品)
1A 前身頃
1B 股下部
1C 後身頃
10 吸収体
10a パルプ
10b 高吸水性樹脂
11 センターシート
12 バックシート
13 サイドシート
14 カバーシート
15 ギャザー
16 立体ギャザー
17 タミーギャザー
19 インジケータ
20 糸ゴム(伸縮性部材)
21 第一糸ゴム
22 第二糸ゴム
40 圧搾部
41 第一傾斜部
42 第二傾斜部
C 中心線
P 所定領域
O 他の領域

Claims (5)

  1. 吸水性をもつマット状の吸収体と、
    前記吸収体よりも着用者の肌面側とは反対の非肌面側に対して外観可能に付設され、濡れると変色するインジケータとを備え、
    前記吸収体は、前記インジケータと対応する所定領域の吸水性が他の領域の吸水性よりも抑えられており、且つ、厚み方向に凹設された凹部を有し、前記所定領域の少なくとも一部に前記凹部が設けられ、
    前記凹部はプレス成形されたものであり、平面視で格子状をなし、交差する格子点が前記インジケータと平面視で重複する位置またはその近傍に設けられ、当該位置の前記吸水性が前記他の領域の吸水性よりも抑えられ、
    前記吸収体は、前記所定領域において前記インジケータに近接するほど吸水性が抑えられ
    各々の前記凹部は、前記吸収体のうち幅方向の端部領域を除いて延在している
    吸収性物品。
  2. 前記吸収体は、
    高吸水性樹脂を含み、
    前記所定領域のほうが前記他の領域よりも前記高吸水性樹脂の含有度合いが抑えられた請求項1に記載された吸収性物品。
  3. 前記吸収体の吸水性は、前記高吸水性樹脂により付与されており、
    前記吸収体がプレスされて前記凹部が成形されるときの前記所定領域における前記高吸水性樹脂からの含有水分の圧搾が抑制された
    請求項2に記載された吸収性物品
  4. 前記凹部は、複数設けられるとともに、長手方向および幅方向の双方に対して互いに交差することで平面視で格子状をなす
    請求項1~3の何れか1項に記載された吸収性物品
  5. 前記吸収体よりも前記非肌面側に設けられたシートを備え、
    前記インジケータは、前記吸収体と前記シートとの間に介装された
    請求項1~の何れか1項に記載された吸収性物品。
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