JP6992260B2 - 吸収性物品 - Google Patents
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Description
[1.構成]
[1-1.基本構成]
まず、図1および図2を参照して、紙おむつ1の基本的な構成を説明する。
ここでは、幅方向の中心線Cを基準として対称に紙おむつ1が形成されている。この紙おむつ1は、長手方向に沿って前身頃1A、股下部1Bおよび後身頃1Cの三つの領域に大別される。
はじめに、紙おむつ1のシート類について述べる。
図1に示すように、紙おむつ1には、前身頃1A、股下部1Bおよび後身頃1Cに亘って長手方向に延びる吸収体10(太破線で示す)が内蔵されている。
ここでは、前身頃1Aおよび後身頃1Cよりも股下部1Bのほうが幅方向寸法の小さい砂時計形状の吸収体10を例示する。ただし、吸収体10の平面視形状は、上記したような砂時計形状に限らず、平面視で矩形(すなわち幅方向寸法が一定)であってもよいし、それぞれ円形の前身頃1Aおよび後身頃1Cを結ぶダンベル形状であってもよい。
この吸収体10では、粉砕あるいは解繊されたパルプ(いわゆる「フラッフパルプ」)に高吸水性樹脂(いわゆる「SAP〈Superabsorbent polymer〉」,「高吸水性高分子」あるいは「高吸水性ポリマー」とも称される)が混合されたコアがラップシートで被包(ラップ)されている。
吸収体10に対して、肌面側にはセンターシート11が積層され、非肌面側にはバックシート12が積層されている。これらのシート11,12の幅方向側方にはサイドシート13が配置されている。
バックシート12の非肌面側には、カバーシート14が積層される。ここでは、バックシート12の幅方向側部において、サイドシート13を介してカバーシート14が重ねられる。
また、センターシート11は、紙おむつ1において最も肌面側に配置される(このことから「トップシート」とも称される)。このセンターシート11は、吸収体10よりも幅方向寸法が大きく、肌面側から吸収体10を被覆する。
また、サイドシート13の一部は、紙おむつ1において最も肌面側に配置される(このことからセンターシート11と同様に「トップシート」とも称される)。このように着用者に対して接触しうるサイドシート13としては、SMS(Spunbound Meltblown Spunbound)不織布やSMMS(Spunbound Meltblown Meltblown Spunbound)不織布のようにメルトブローン層を含ませることにより、柔軟性を高めたスパンボンド不織布を用いることが好ましい。あるいは、スパンボンド不織布をなす繊維の繊度や目付量が抑えられることにより、柔軟性を向上させたスパンボンド不織布を用いることが好ましい。
また、「目付量」とは、シートの厚みあるいは積層度合いに対応するパラメータであり、単位面積あたりの重量で表される。たとえば、一平米あたりのグラム数が「目付量」として用いられる。
第一カバーシート141は、バックシート12を介して吸収体10を非肌面側から被覆する(このことから「パッドカバーシート」とも称される)。
そのほか、上述したバックシート12およびカバーシート14には、シート12,14に対して肌面側のものが透視可能な程度の半透明性材料が用いられている。
つぎに、図1および図2を参照して、紙おむつ1のギャザー15について述べる。
ギャザー15は、ゴムやポリウレタン,伸縮フィルムといった伸縮性をもつ部材(伸縮性部材)によって伸縮性をもたせたシート複合体から構成される。ここでは、伸縮性部材として糸状のゴム部材(以下「糸ゴム」と略称する)20を例示する。
立体ギャザー16は、サイドシート13のシート部13a,13b(図2参照)に対して第一糸ゴム21が伸張状態で一体化されたものである。また、タミーギャザー17では、第二カバーシート142および第三カバーシート143に対して第二糸ゴム22が伸張状態で一体化されたものである。
詳細に言えば、図2に示すように、立体ギャザー16では、サイドシート13の肌面側における幅方向内側の端縁部に位置するシート部13a,13bが折り曲げられて重ねられる。これらのシート部13a,13bによって、長手方向に延在する第一糸ゴム21が囲まれている。
このようにサイドシート13のシート部13a,13bが折り曲げられて重ねられた箇所に第一糸ゴム21が内蔵されることで、肌面側に立設されるとともに伸縮性をもつ立体ギャザー16が形成される。
なお、図1および図2には、二本の第一糸ゴム21が設けられた立体ギャザー16を例示する。ただし、立体ギャザー16における第一糸ゴム21の本数は、一本であってもよいし、三本以上であってもよい。
このようにカバーシート142,143の間に第二糸ゴム22が内蔵されることで、臀部や下腹部まわりに沿う伸縮性をもつタミーギャザー17が形成される。
そのほか、上述したギャザー16,17に加えてまたは替えて、着用者の脚部の付け根に対する追従を高めるためのレッグギャザーを設けてもよい。
さらに、紙おむつ1には、図2に示すように、排尿(排泄)の有無を外部に示すインジケータ19(このことから「お知らせサイン」とも称される)が設けられている。
インジケータ19は、紙おむつ1の外部から視認可能(外観可能)に吸収体10に対して付設されている。また、インジケータ19は、濡れると変色する層状の部位である。ここでは、吸収体10とバックシート12との間にインジケータ19が介装されている。
バックシート12およびカバーシート14が上述したような半透明性をもつことから、排泄水分によってインジケータ19が変色すると、変色したインジケータ19を紙おむつ1の外部から視認可能であり、外部から排泄の有無を認識することができる。
つぎに、図1~図3を参照して、紙おむつ1の詳細な構成を述べる。
〈圧搾部〉
まず、長手方向および幅方向の双方に交差して圧搾された溝状の圧搾部40(凹部,圧搾溝)を説明する。具体的には、少なくとも吸収体10において、長手方向および幅方向の双方に交差する領域が圧搾されて形成された溝状の圧搾部40を述べる。
ここでの圧搾部40には、長手方向に対して、幅方向一方に傾斜して交差する複数の第一傾斜部41(図1には一箇所だけ符号を付す)と、幅方向他方に傾斜して交差する複数の第二傾斜部42(図1には一箇所だけ符号を付す)とが設けられている。すなわち、これらの傾斜部41,42は、平面視で格子形状(格子状,グリッドパターン)をなす。
そこで、図3に示すように、本実施形態の紙おむつ1では、吸収体10のうち所定領域RPの吸水性が調整されている。なお、図3には、三つのカバーシート141,142,143を一つのカバーシート14にまとめて示す。
ここでいう「所定領域RP」とは、吸収体10のうちインジケータ19に対応する領域である。詳細に言えば、所定領域RPは、吸収体10のうちインジケータ19が積層される領域を少なくとも含む領域であり、インジケータ19の積層領域に加えてその周辺領域を含んでもよい。たとえば、吸収体10において、平面視でインジケータ19と重複する領域(インジケータ19と対向する領域)やこれに加えてその周辺の領域が所定領域RPとされる。
たとえば、所定領域RPは、インジケータ19の積層された吸収体10のうち折り曲げられうる箇所や圧縮されうる箇所に予め設定される。吸収体10が折り曲げられうる箇所の一例としては、紙おむつ1の梱包時や収納時などに折り畳まれる折り目に対応する吸収体10の領域が挙げられる。また、吸収体10が圧縮されうる箇所の一例としては、圧搾部40の成形領域が挙げられる。
吸収体10では、上記した所定領域RPの吸水性が他の領域ROの吸水性よりも抑えられている。すなわち、所定領域RPのほうが他の領域ROよりも吸水性が低い。ここでは、他の領域ROにはパルプ10aに加えて高吸水性樹脂10bを含ませるのに対し、所定領域RPには高吸水性樹脂10bを含ませずにパルプ10aのみを含ませることで、所定領域RPの吸水性が抑制される。
上述したように紙おむつ1が構成されるため、下記のような作用および効果を得ることができる。
以下、圧搾部40に関する作用および効果を述べ、その後に、吸収体10に関する作用および効果を述べる。
(1)圧搾部40の延在箇所において、吸収体10やこれに加えてセンターシート11、延いては紙おむつ1が折り曲がりやすくなり、着用者に対する紙おむつ1のフィット性を高めることができる。
また、吸収体10およびセンターシート11のうち溝状の圧搾部40が成形された部分を着用者の肌面に対して非接触とすることができる。そのため、装着状態における通気性を高め、紙おむつ1内部の蒸れを抑えることができる。さらに、着用者の肌面に対してセンターシート11の一部を圧搾部40によって非接触とすることで、肌触り(触感)を高めることもできる。
また、傾斜部41,42によって圧搾部40が二方向に沿うことから、紙おむつ1内部で二方向に通気させることで装着状態における通気性を更に高め、紙おむつ1内部の蒸れを確実に抑えることができる。
つぎに、吸収体10における所定領域RPの吸水性調整による作用および効果を述べる。
(1)吸収体10においては、インジケータ19と対応する所定領域RPの吸水性が他の領域ROの吸水性よりも抑えられることから、所定領域RPの含有水分によるインジケータ19の変色を抑えることができる。言い換えれば、着用者の排泄水分だけにインジケータ19を感応させることができる。よって、インジケータ19の機能を保全することができる。延いては、着用者による排泄の有無を外部から適切に認識させることができる。
(3)そのほか、インジケータ19は、吸水性の吸収体10と非透水性のバックシート12との間に介装されることから、インジケータ19に対する非肌面からの被水も防がれる。よって、インジケータ19の機能を確実に保全することができる。
最後に、その他の変形例について述べる。
たとえば、圧搾部は、少なくとも吸収体に設けられていればよく、センターシートに設けられていなくてもよい。この場合には、センターシートが積層される前に吸収体の一部が肌面側から圧搾されて、圧搾部が成形される。
このように高吸水性樹脂の含有度合いを調整することにより、所定領域における含有水分の圧搾を抑制することでインジケータの機能を保全しつつ、所定領域の吸水性を確保することができる。
このように吸水性がインジケータに近接するほど低下することで、所定領域のうちインジケータに近い領域における含有水分の圧搾を抑えることができ、インジケータの機能保全と所定領域の吸水性の確保とを両立させることができる。
1A 前身頃
1B 股下部
1C 後身頃
10 吸収体
10a パルプ
10b 高吸水性樹脂
11 センターシート
12 バックシート
13 サイドシート
14 カバーシート
15 ギャザー
16 立体ギャザー
17 タミーギャザー
19 インジケータ
20 糸ゴム(伸縮性部材)
21 第一糸ゴム
22 第二糸ゴム
40 圧搾部
41 第一傾斜部
42 第二傾斜部
C 中心線
RP 所定領域
RO 他の領域
Claims (5)
- 吸水性をもつマット状の吸収体と、
前記吸収体よりも着用者の肌面側とは反対の非肌面側に対して外観可能に付設され、濡れると変色するインジケータとを備え、
前記吸収体は、前記インジケータと対応する所定領域の吸水性が他の領域の吸水性よりも抑えられており、且つ、厚み方向に凹設された凹部を有し、前記所定領域の少なくとも一部に前記凹部が設けられ、
前記凹部は、プレス成形されたものであり、平面視で格子状をなし、交差する格子点が前記インジケータと平面視で重複する位置またはその近傍に設けられ、当該位置の前記吸水性が前記他の領域の吸水性よりも抑えられ、
前記吸収体は、前記所定領域において前記インジケータに近接するほど吸水性が抑えられ、
各々の前記凹部は、前記吸収体のうち幅方向の端部領域を除いて延在している
吸収性物品。 - 前記吸収体は、
高吸水性樹脂を含み、
前記所定領域のほうが前記他の領域よりも前記高吸水性樹脂の含有度合いが抑えられた請求項1に記載された吸収性物品。 - 前記吸収体の吸水性は、前記高吸水性樹脂により付与されており、
前記吸収体がプレスされて前記凹部が成形されるときの前記所定領域における前記高吸水性樹脂からの含有水分の圧搾が抑制された
請求項2に記載された吸収性物品。 - 前記凹部は、複数設けられるとともに、長手方向および幅方向の双方に対して互いに交差することで平面視で格子状をなす
請求項1~3の何れか1項に記載された吸収性物品。 - 前記吸収体よりも前記非肌面側に設けられたシートを備え、
前記インジケータは、前記吸収体と前記シートとの間に介装された
請求項1~4の何れか1項に記載された吸収性物品。
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