JP7255661B2 - 吸収体および吸収体を備えた吸収性物品ならびに吸収性物品の製造方法 - Google Patents

吸収体および吸収体を備えた吸収性物品ならびに吸収性物品の製造方法 Download PDF

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Description

本件は、吸収体および吸収体を備えた吸収性物品ならびに吸収性物品の製造方法に関する。
従来、着用者から排泄される尿や経血などの水分を吸収するマット状の吸収体を内蔵した吸収性物品が知られている。近年の吸収性物品では、排泄の有無を外部から視認するため、濡れると変色するインジケータを吸収体に対して外観可能に付設することも提案されている(特許文献1参照)。また、吸水性や触感を高めるため、吸収体の一部に凹部を設けることも提案されている(特許文献2参照)。
特開2010-194124号公報 実願昭59-164303号(実開昭61-78810号)のマイクロフィルム
しかしながら、上述したようなインジケータと凹部とが対向して配置された吸収性物品では、凹部およびインジケータに対応する吸収体の領域に含有される水分によって、排泄がされていないにもかかわらず、インジケータの変色を招くおそれがある。よって、インジケータの機能を保全するうえで改善の余地がある。
本件は、上記のような課題に鑑みて創案されたものであり、吸収体に付設されたインジケータの機能保全を目的の一つとする。なお、ここでいう目的に限らず、後述する「発明を実施するための形態」に示す各構成から導き出される作用および効果であって、従来の技術では得られない作用および効果を奏することも、本件の他の目的として位置づけることができる。
(1)ここで開示する吸収体は、厚み方向に凹設された凹部を有し、濡れると変色するインジケータが外観可能に付設され、高吸水性樹脂を含むマット状である。この吸収体は、前記インジケータおよび前記凹部に対応する所定領域における前記高吸水性樹脂の含有水分率が10%以下である。
(2)ここで開示する吸収性物品は、厚み方向に凹設された凹部を有するとともに高吸水性樹脂を含むマット状の吸収体と、前記吸収体よりも着用者の肌面側とは反対側の非肌面側に対して外観可能に付設され、濡れると変色するインジケータとを備える。さらに、前記吸収体は、前記インジケータおよび前記凹部に対応する所定領域における前記高吸水性樹脂の含有水分率が10%以下である。または、前記吸収体は、前記インジケータおよび前記凹部に対応する所定領域の前記高吸水性樹脂の含有水分率が他の領域の含有水分率よりも抑えられている。
(3)ここで開示する吸収性物品の製造方法は、高吸水性樹脂を用いてマット状の吸収体を形成する形成工程と、前記形成工程で形成された前記吸収体に、濡れると変色するインジケータを付設する付設工程と、前記付設工程で前記インジケータが付設された前記吸収体に凹部を成形する成形工程とを有する。さらに、前記形成工程は、前記付設工程で前
記吸収体に前記インジケータが付設される領域であって前記成形工程で前記吸収体に前記凹部が成形される領域の所定領域に含有水分率が10%以下の前記高吸水性樹脂を用いる
本件によれば、吸収体に付設されたインジケータの機能を保全することができる。
一実施形態に関する紙おむつ(吸収性物品)の展開図である。 図1のA-A矢視断面図である。なお、図2では、各構成を把握しやすくするため、各シート類の厚みを誇張して示す。 圧搾部(凹部)が成形される前の吸収体の要部を拡大して示す断面図である。 一実施形態に関する紙おむつの製造方法を説明するフローチャートである。
以下、本件を実施するための形態を説明する。下記の実施形態はあくまでも例示に過ぎず、この実施形態で明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。本実施形態の各構成は、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。また、必要に応じて取捨選択することができ、適宜組み合わせることもできる。
実施形態で述べる吸収性物品は、着用者に装着され、着用者から排泄される尿や経血といった液体の水分を吸収し保持する衛生用品である。この吸収性物品には、テープ型やパンツ型の紙おむつ(いわゆる「使い捨ておむつ」)といった吸収体を備えた吸収性物品のほか、尿パッド,生理用ナプキン,パンティーライナーといった吸収体のみを備えた吸収性物品なども含まれる。以下の実施形態では、吸収性物品としてパンツ型の紙おむつを例示する。
本実施形態では、紙おむつについて、着用者の腹部に対向して配置される前身頃と背部に対向して配置される後身頃とを結ぶ方向を長手方向とする。これらの前身頃と後身頃との間(長手方向の中央)には、着用者の股下に配置(股間に対向して配置)される股下部が位置する。また、紙おむつが着用者に装着された状態(以下「装着状態」と略称する)において、着用者の肌に向かう側(内側)を肌面側とし、肌面側の反対側(外側)を非肌面側とする。さらに、肌面側と非肌面側とを結ぶ方向を厚み方向とし、長手方向と厚み方向の何れにも直交する方向を幅方向とする。そのほか、厚み方向から視ることを平面視とする。
紙おむつにおける各構成の向きについては、たとえば長手方向に沿うと表現する場合に、長手方向と平行なことだけでなく、ほぼ長手方向と平行なことも含むものとする。具体的には、長手方向に対する傾斜角度が45°未満で延在することを長手方向に沿うものとする。同様に、幅方向や厚み方向といった各方向に沿うと表現する場合についても、各方向に対する傾斜角度が45°未満で延在することを意味する。
[I.一実施形態]
[1.構成]
[1-1.基本構成]
まず、図1および図2を参照して、紙おむつ1の基本的な構成を説明する。
ここでは、幅方向の中心線Cを基準として対称に紙おむつ1が形成されている。この紙おむつ1は、長手方向に沿って前身頃1A、股下部1Bおよび後身頃1Cの三つの領域に大別される。
〈シート類〉
はじめに、紙おむつ1のシート類について述べる。
図1に示すように、紙おむつ1には、前身頃1A、股下部1Bおよび後身頃1Cに亘って長手方向に延びる吸収体10(太破線で示す)が内蔵されている。
ここでは、前身頃1Aおよび後身頃1Cよりも股下部1Bのほうが幅方向寸法の小さい砂時計形状の吸収体10を例示する。ただし、吸収体10の平面視形状は、上記したような砂時計形状に限らず、平面視で矩形(すなわち幅方向寸法が一定)であってもよいし、それぞれ円形の前身頃1Aおよび後身頃1Cを結ぶダンベル形状であってもよい。
吸収体10は、着用者から排泄される尿や経血といった液体の水分(以下「排泄水分」という)を吸収して保持する吸水性をもつマット状(あるいはパッド状)の部材である。
この吸収体10では、粉砕あるいは解繊されたパルプ(いわゆる「フラッフパルプ」)に高吸水性樹脂(いわゆる「SAP〈Superabsorbent polymer〉」,「高吸水性高分子」あるいは「高吸水性ポリマー」とも称される)が混合されたコアがラップシートで被包(ラップ)されている。
上記した吸収体10に対して肌面側および非肌面側には、図2に示すように、以下に述べる種々のシート11,12,13,14が設けられている。
吸収体10に対して、肌面側にはセンターシート11が積層され、非肌面側にはバックシート12が積層されている。これらのシート11,12の幅方向側方にはサイドシート13が配置されている。
このサイドシート13は、センターシート11の幅方向側部において肌面側に積層されるとともに、バックシート12の幅方向側部において非肌面側に積層される。
バックシート12の非肌面側には、カバーシート14が積層される。ここでは、バックシート12の幅方向側部において、サイドシート13を介してカバーシート14が重ねられる。
センターシート11は、排泄水分を透過させて吸収体10に吸収させるため、透水性をもつ。ここでは、装着状態での蒸れを抑えるため、通気性を併せもつセンターシート11が用いられる。このようなセンターシート11としては、いわゆるエアスルー不織布を用いることができる。
また、センターシート11は、紙おむつ1において最も肌面側に配置される(このことから「トップシート」とも称される)。このセンターシート11は、吸収体10よりも幅方向寸法が大きく、肌面側から吸収体10を被覆する。
バックシート12は、吸収体10からの液漏れを防ぐため、非透水性をもつ。ここでは、装着状態での蒸れを抑えるため、透湿性を併せもつバックシート12が用いられる。このようなバックシート12としては、透湿性ポリエチレン(PE〈Poly-Ethylene〉)フィルムを用いることができる。ただし、ポリプロピレン(PP〈Poly-Propylene〉)フィルムをバックシート12に用いてもよい。
サイドシート13は、幅方向側方への液漏れを防ぐため、非透水性をもつ。このサイドシート13としては、スパンボンド不織布を用いることができる。
また、サイドシート13の一部は、紙おむつ1において最も肌面側に配置される(このことからセンターシート11と同様に「トップシート」とも称される)。このように着用者に対して接触しうるサイドシート13としては、SMS(Spunbound Meltblown Spunbound)不織布やSMMS(Spunbound Meltblown Meltblown Spunbound)不織布のようにメルトブローン層を含ませることにより、柔軟性を高めたスパンボンド不織布を用いることが好ましい。あるいは、スパンボンド不織布をなす繊維の繊度や目付量が抑えられること
により、柔軟性を向上させたスパンボンド不織布を用いることが好ましい。
なお、「繊度」とは、繊維の繊維径(太さ)や断面積に対応するパラメータであり、所定の長さあたりの重量で表される。たとえば、一本の繊維について9000mあたりのグラム数[デニール]が「繊度」として用いられる。
また、「目付量」とは、シートの厚みあるいは積層度合いに対応するパラメータであり、単位面積あたりの重量で表される。たとえば、一平米あたりのグラム数が「目付量」として用いられる。
カバーシート14は、上記した吸収体10およびシート11,12,13を非肌面側から被覆する。ここでは、カバーシート14として、肌面側から非肌面側に向けて第一カバーシート141,第二カバーシート142,第三カバーシート143の三つがこの順に積層されている。
第一カバーシート141は、バックシート12を介して吸収体10を非肌面側から被覆する(このことから「パッドカバーシート」とも称される)。
第二カバーシート142および第三カバーシート143は、前身頃1Aおよび後身頃1C(図1参照)で第一カバーシート141よりも幅方向寸法が大きく設定され、装着状態で着用者の臀部や腰,腹などのまわりに配置される。第三カバーシート143は、紙おむつ1において最も非肌面側に配置される(このことから、第三カバーシート143は「アウターカバーシート」とも称され、第二カバーシート142は「インナーカバーシート」とも称される)。
これらのカバーシート141,142,143としては、スパンボンド不織布を用いることができる。更に言えば、第一カバーシート141としては、紙おむつ1の内部で柔軟に変形させてフィット性を確保するため、サイドシート13と同様に、柔軟性の高いスパンボンド不織布を用いることが好ましい。また、第三カバーシート143としては、触感(手触り)を確保するため、サイドシート13と同様に、柔軟性の高いスパンボンド不織布を用いることが好ましい。
図1に示すように、前身頃1Aにおけるカバーシート14と後身頃1Cにおけるカバーシート14とは、それぞれの幅方向端縁部14aどうしが互いに貼り付けられる(いわゆる「サイドシール」)。このようにして、前身頃1Aおよび後身頃1Cの各カバーシート14が連設され、パンツ型の紙おむつ1が形成される。
そのほか、上述したバックシート12およびカバーシート14には、シート12,14に対して肌面側のものが透視可能な程度の半透明性材料が用いられている。
〈ギャザー〉
つぎに、図1および図2を参照して、紙おむつ1のギャザー15について述べる。
ギャザー15は、ゴムやポリウレタン,伸縮フィルムといった伸縮性をもつ部材(伸縮性部材)によって伸縮性をもたせたシート複合体から構成される。ここでは、伸縮性部材として糸状のゴム部材(以下「糸ゴム」と略称する)20を例示する。
この紙おむつ1には、糸ゴム20で形成されるギャザー15として、二種の糸ゴム21,22で伸縮性が付与された二種のギャザー16,17を例示する。一つは、サイドシート13の肌面側端縁部が第一糸ゴム21で皺寄せられた立体ギャザー16(「サイドギャザー」とも称される)である。もう一つは、第二カバーシート142および第三カバーシート143(図2参照)が第二糸ゴム22(一箇所のみに符号を付す)で皺寄せられたタミーギャザー17である。
立体ギャザー16は、サイドシート13のシート部13a,13b(図2参照)に対して第一糸ゴム21が伸張状態で一体化されたものである。また、タミーギャザー17では、第二カバーシート142および第三カバーシート143に対して第二糸ゴム22が伸張状態で一体化されたものである。
立体ギャザー16は、排泄箇所の周縁で着用者に対する追従性を高めることにより、排泄物の幅方向側方への漏れを防ぐために設けられる。
詳細に言えば、図2に示すように、立体ギャザー16では、サイドシート13の肌面側における幅方向内側の端縁部に位置するシート部13a,13bが折り曲げられて重ねられる。これらのシート部13a,13bによって、長手方向に延在する第一糸ゴム21が囲まれている。
言い換えれば、サイドシート13は、第一糸ゴム21に対して幅方向内側に内壁シート部13aが配置され、第一糸ゴム21に対して幅方向外側に外壁シート部13bが配置されている。すなわち、サイドシート13の一部では、二枚のシート部13a,13bが重ね合わせられている。
このようにサイドシート13のシート部13a,13bが折り曲げられて重ねられた箇所に第一糸ゴム21が内蔵されることで、肌面側に立設されるとともに伸縮性をもつ立体ギャザー16が形成される。
なお、図1および図2には、二本の第一糸ゴム21が設けられた立体ギャザー16を例示する。ただし、立体ギャザー16における第一糸ゴム21の本数は、一本であってもよいし、三本以上であってもよい。
タミーギャザー17は、着用者の臀部や下腹部に対する追従性を高めるために設けられる。詳細に言えば、タミーギャザー17では、平織物における縦糸または経糸のように、幅方向に延びる複数の第二糸ゴム22が、第二カバーシート142および第三カバーシート143(図2参照)の間に介装されている。
このようにカバーシート142,143の間に第二糸ゴム22が内蔵されることで、臀部や下腹部まわりに沿う伸縮性をもつタミーギャザー17が形成される。
そのほか、上述したギャザー16,17に加えてまたは替えて、着用者の脚部の付け根に対する追従を高めるためのレッグギャザーを設けてもよい。
〈インジケータ〉
さらに、紙おむつ1には、排尿(排泄)の有無を外部に示すインジケータ19(このことから「お知らせサイン」とも称される)が設けられている。
インジケータ19は、紙おむつ1の外部から視認可能(外観可能)に吸収体10に対して付設されている。また、インジケータ19は、濡れると変色する層状の部位である。ここでは、吸収体10とバックシート12との間にインジケータ19が介装されている。
このインジケータ19は、水感応型の材料がバックシート12の肌面側に塗布されることで設けられる。たとえば、インジケータ19は、水分と感応する前(濡れる前)には黄色や橙色をなし、水分と感応した後(濡れた後)には青色や黄緑に色が変化する。
バックシート12およびカバーシート14が上述したような半透明性をもつことから、排泄水分によってインジケータ19が変色すると、変色したインジケータ19を紙おむつ1の外部から視認可能であり、外部から排泄の有無を認識することができる。
なお、図1には、幅方向中央で長手方向に延びる二本のインジケータ19を例示する。ただし、インジケータ19の本数は、一本であってもよいし三本以上であってもよい。また、インジケータ19の延在方向は、長手方向に限られない。
上記したインジケータ19が吸収体10の非肌面側に付設された後に、つぎに説明する圧搾部40が吸収体10に成形される。
[1-2.詳細構成]
つぎに、図1~図3を参照して、紙おむつ1の詳細な構成を述べる。
〈圧搾部〉
まず、長手方向および幅方向の双方に交差して圧搾された溝状の圧搾部40(凹部,圧搾溝)を説明する。具体的には、少なくとも吸収体10において、長手方向および幅方向の双方に交差する領域が圧搾されて形成された溝状の圧搾部40を述べる。
この圧搾部40は、吸収体10とこの吸収体10の肌面側に積層されるセンターシート11とがプレス成形されて設けられる。具体的には、積層された吸収体10およびセンターシート11を所定の形状(パターン)の凸型で肌面側からプレス(圧縮)することで、吸収体10あるいはセンターシート11のプレス箇所における含有空気が圧搾され、圧搾部40が成形される。
すなわち、圧搾部40は、厚み方向に凹設された凹部である。この圧搾部40は、長手方向および幅方向の双方に対して交差するように線状に延設された溝状の部位である。なお、圧搾部40は、吸収体10のうち幅方向の端縁(端部領域)を除いて延在している。
ここでの圧搾部40には、長手方向に対して、幅方向一方に傾斜して交差する複数の第一傾斜部41(図1には一箇所だけ符号を付す)と、幅方向他方に傾斜して交差する複数の第二傾斜部42(図1には一箇所だけ符号を付す)とが設けられている。すなわち、これらの傾斜部41,42は、平面視で格子形状(格子状,グリッドパターン)をなす。
さらに、本実施形態では、傾斜部41,42どうしが交差する箇所(交点)において、インジケータ19に対して圧搾部40が厚み方向に向かいあって配置されている。この交差箇所では、肌面側からの平面視で、インジケータ19が圧搾部40で完全に覆われるように、インジケータ19および圧搾部40は互いに重複している。
このようにインジケータ19および圧搾部40が対向して配置される箇所では、吸収体10の一部が圧縮されて圧搾部40が成形されると、吸収体10においてインジケータ19および圧搾部40に対応する所定領域の含有水分率によっては、水分が圧搾されるおそれがある。吸収体10を圧縮せずに圧搾部40と同形状の部位を成形したとしても、この部位で折れ曲がりやすいことから、この折り曲げによって圧縮された箇所の含有水分率によっては、含有水分が圧搾されるおそれがある。そして、上記した圧搾水分が滲み出し、インジケータ19を濡らして変色させうる。
〈吸収体〉
そこで、本実施形態の紙おむつ1では、圧搾部40が成形される前の吸収体10のうち、図3に示す所定領域RPにおいて高吸水性樹脂10bに含有される水分量が調整されて
いる。すなわち、吸収体10に圧搾部40が成形される前の半製品(中間体)のうち、少なくとも所定領域RPにおいて高吸水性樹脂10bの含有水分率が調整されている。
なお、図3には、後に成形される圧搾部40を仮想線(二点鎖線)で示し、バックシート12の非肌面側に積層される三つのカバーシート141,142,143を一つのカバーシートにまとめて示し、図中の左右方向に区分された各領域RP,R0を例示する。
ここでいう「所定領域RP」とは、吸収体10のうち圧搾部40およびインジケータ1
9に対応する領域である。詳細に言えば、所定領域RPは、吸収体10において圧搾部4
0が成形される領域とインジケータ19が積層される領域とが平面視で重複する領域を少なくとも含んでおり、この重複領域に加えてその周辺領域を含んでもよい。ここでは、吸収体10のうち圧搾部40が成形される領域を所定領域RPとして例示する。
上記した所定領域RPでは、高吸水性樹脂10bの含有水分率が10%以下とされる。
この含有水分率は、所定領域RPの圧縮による水分の滲み出しを確実に抑える観点から、
好ましくは9.0%以下とされ、更に好ましくは8.5%以下とされる。
このように設定される含有水分率(10%以下)は、圧搾部40の成形時に所定領域RPからの含有水分の滲み出しが抑えられる水分量として実験的または経験的に予め設定さ
れる。なお、吸水性を高める観点から、所定領域RPにおける高吸水性樹脂10bの含有
水分率の下限を設定してもよい。
ここでいう「含有水分率」とは、高吸水性樹脂10bに含まれる水分の割合を意味する(このことから「乾燥減量」とも称される)。この含有水分率には、重量を基準とした比率を用いている。具体的には、高吸水性樹脂10bの水分を除いた重量を「WSAP」とす
るとともに高吸水性樹脂10bに含有される水分の重量を「WW」とした場合に次式「WW/(WSAP+WW)」で示される百分率「u[%](=WW/〈WSAP+WW〉)」を含有水
分率としている。
さらに、圧搾部40が成形される前の吸収体10では、所定領域RPとこれ以外の領域
(以下「他の領域」という)R0とのそれぞれで高吸水性樹脂10bの含有水分率が加減
されている。具体的には、他の領域R0の含有水分率よりも所定領域RPの含有水分率のほうが抑えられている。たとえば、含有水分率の抑えられた高吸水性樹脂10bが所定領域RPに用いられ、このような水分量の抑制処理を必要としない高吸水性樹脂10bが他の
領域R0に用いられる。
上述したように所定領域RPにおける高吸水性樹脂10bの含有水分率が調整されるこ
とにより、圧搾部40が成形された後の吸収体10においても、所定領域RPに対応する
領域(以下、この領域についても単に「所定領域RP」という)に含まれる高吸水性樹脂
10bの含有水分率が10%以下に調整された紙おむつ1が製造される。
また、本実施形態の紙おむつ1では、吸収体10のうち所定領域RPの吸水性が調整さ
れている。この吸収体10では、所定領域RPの吸水性が他の領域ROの吸水性よりも抑えられている。すなわち、所定領域RPのほうが他の領域ROよりも吸水性が低い。ここでは、他の領域ROにおける高吸水性樹脂10bの含有度合いよりも、所定領域RPにおける高吸水性樹脂10bの含有度合いが抑えられている。たとえば、所定領域RPにおける高吸
水性樹脂10bの密度を他の領域R0における高吸水性樹脂10bの密度よりも低くして
、所定領域RPの吸水性が抑制される。
なお、吸収体10は、含有水分率の上昇や吸水性の低下を抑える観点から、多湿環境を避けて保管することが望ましい。しかし、吸収体10の保管状態によっては、その含有水分率や吸収性が変動することも考えられる。このような変動を考慮したとしても、吸収体10の領域RP,R0ごとに含有水分率や吸水性を調整することで、領域RP,R0どうしで相対的な含有水分率の多少や吸水性の高低を設定することができる
[2.紙おむつの製造方法]
つぎに、図4のフローチャートを参照して、紙おむつ1の製造方法を説明する。
紙おむつ1の製造では、各部材の形成,積層,被包,貼合,成形,プレス(圧縮),切断といったさまざまな工程が実施されるが、ここでは、インジケータ19の付設された吸収体10に圧搾部40を成形する手順に着目して説明する。
この製造方法では、吸収体10を形成する形成工程(ステップS10),インジケータ19を吸収体10に付設する付設工程(ステップS20),吸収体10に圧搾部40を成形する成形工程(ステップS30)の順に各工程が実施される。
形成工程では、含有水分率の上昇を抑えた高吸水性樹脂10bを用いる抑制工程(ステップS12)が実施される。この抑制工程では、高吸水性樹脂10bの含有水分率を低下
させる除湿工程(ステップS14),低湿度雰囲気下で高吸水性樹脂10bを保存する保存工程(ステップS16)が実施される。
また、成形工程では、吸収体10をプレスして圧搾部40を成形するプレス工程(ステップS32)が実施される。
以下、順を追って各工程を説明する。
はじめに、ステップS10の形成工程では、供給されるパルプ10aや高吸水性樹脂10bを積層して吸収体10を形成する。この形成工程では、含有水分率が抑えられた高吸水性樹脂10bが用いられる。具体的に言えば、形成工程では、含有水分率が10%以下の高吸水性樹脂10bが供給されてパルプ10aとともに積層される。
本実施形態の形成工程では、吸収体10の積層用に供給される高吸水性樹脂10bの含有水分率を10%以下に抑えるため、ステップS12の抑制工程が実施される。
抑制工程では、高吸水性樹脂10bの含有水分率が上昇するのを抑える。
具体的には、ステップS14の除湿工程において、たとえば加熱して高吸水性樹脂10bを除湿して含有水分率を低下させる。
その後、ステップS15の保存工程において、低湿度雰囲気下で高吸水性樹脂10bが保存される。ここでいう「低湿度雰囲気」とは、高吸水性樹脂10bの含有水分率の上昇が抑えられる湿度の環境を意味する。
このようにして含有水分率の上昇が抑制された高吸水性樹脂10bは、吸収体10を積層して形成するために供給される。
このような高吸水性樹脂10bが供給される形成工程では、少なくとも所定領域RPに含有水分率が10%以下の高吸水性樹脂10bを供給する。
ここでは、抑制工程で含有水分率の上昇が抑えられていない高吸水性樹脂10bが他の領域R0に供給され、抑制工程で含有水分率の上昇が抑えられた高吸水性樹脂10bが所定領域RPに供給される。すなわち、他の領域R0よりも所定領域RPに含有水分率が抑えられた高吸水性樹脂10bが供給されて吸収体10が形成される工程(第一形成工程)が実施される。
さらに、所定領域RPのほうが他の領域R0よりも少ない高吸水性樹脂10bが供給される。すなわち、他の領域R0よりも所定領域RPに含有される高吸水性樹脂10bの度合いが小さくなるように、領域RP,R0ごとに高吸水性樹脂10bが供給されて吸収体10が形成される工程(第二形成工程)が実施される。
つづいて、ステップS20の付設工程では、水感応型の材料が肌面側に塗布されたバックシート12の肌面側に、形成工程で形成された吸収体10が積層される。このようにして吸収体10の非肌面側にインジケータ19が付設される。
なお、肌面側にインジケータ19の設けられたバックシート12に対して、パルプ10aや高吸水性樹脂10bを積層して吸収体10を形成してもよい。すなわち、吸収体10を形成してからバックシート12およびインジケータ19を追加する手順に限らず、バックシート12にインジケータ19を設けてから吸収体10を形成してもよい。何れにしても、圧搾部40の成形前にインジケータ19が吸収体10に付設されていればよい。
つづいて、ステップS30の成形工程では、吸収体10を所定形状の凸型でプレスして、圧搾部40を成形する。ここでは、上記した成形工程の前に吸収体10の肌面側にトップシート11が積層され、吸収体10とともにトップシート11がプレスによって凹設されることで圧搾部40が成形される。この成形工程では、吸収体10のうち上述した所定領域RP(図3参照)が圧縮される。
[3.作用および効果]
上述したように紙おむつ1が構成されるため、下記のような作用および効果を得ることができる。
以下、圧搾部40に関する作用および効果を述べてから、吸収体10に関する作用および効果を述べる。その後に、紙おむつ1の製造方法に関する作用および効果を述べる。
[3-1.圧搾部]
(1)圧搾部40の延在箇所において、吸収体10やこれに加えてセンターシート11、延いては紙おむつ1が折り曲がりやすくなり、着用者に対する紙おむつ1のフィット性を高めることができる。
また、吸収体10およびセンターシート11のうち溝状の圧搾部40が成形された部分を着用者の肌面に対して非接触とすることができる。そのため、装着状態における通気性を高め、紙おむつ1内部の蒸れを抑えることができる。さらに、着用者の肌面に対してセンターシート11の一部を圧搾部40によって非接触とすることで、肌触り(触感)を高めることもできる。
さらに、長手方向および幅方向の双方に交差して延在する圧搾部40によって、たとえば毛細管現象によって排泄された液体を圧搾部40に沿って拡散させることができる。したがって、長手方向および幅方向の双方へ排泄された液体の拡散性を向上させることができ、吸収体10の吸水箇所を分散させることができる。よって、吸収体10の吸水性を確保することができる。
(2)圧搾部40において互いに異なる方向に傾斜する傾斜部41,42によれば、圧搾部40が二方向に沿うことから、二方向に延びる折り目で紙おむつ1が折り曲がりやすくなり、着用者に対するフィット性を更に高めることができる。
また、傾斜部41,42によって圧搾部40が二方向に沿うことから、紙おむつ1内部で二方向に通気させることで装着状態における通気性を更に高め、紙おむつ1内部の蒸れを確実に抑えることができる。
さらに、圧搾部40が二方向に沿うことから、排泄された液体の拡散性を更に向上させることができ、吸収体10の吸水性を高めることができる。すなわち、平面視で格子形状をなす傾斜部41,42によって、排泄された液体を効率よく拡散させ、吸収体10の吸水効率を向上させることができる。
(3)そのほか、吸収体10のうち幅方向の端縁(端部領域)を除いて圧搾部40が設けられることから、排泄された液体が圧搾部40を伝って幅方向外側に拡散したとしても、その拡散先の吸収体10で排泄水分が吸収される。よって、排泄された液体の幅方向外側への漏れを確実に抑えることができる。
[3-2.吸収体]
つぎに、吸収体10に関する作用および効果を述べる。
〈含有水分率〉
まず、吸収体10における含有水分率調整による作用および効果を述べる。
(1)吸収体10は、圧搾部40およびインジケータ19に対応する所定領域RPの含有水分率が10%以下であることから、圧搾部40の成形時に圧縮される所定領域RPからの含有水分の滲み出しを抑えることができる。そのため、着用者が排泄していないにもかかわらず、インジケータ19が変色することを抑えることができる。言い換えれば、着用者の排泄水分だけにインジケータ19を感応させることができる。よって、インジケータ19の機能を保全することができる。延いては、着用者による排泄の有無を外部から適切に認識させることができる。
(2)さらに、吸収体10においては、他の領域R0の含有水分率よりも所定領域RPの含有水分率のほうが抑えられることから、所定領域RPからの水分の滲み出しを抑えたうえで、他の領域R0での吸水性を高めることができる。
〈吸水性〉
つぎに、吸収体10における所定領域RPの吸水性調整による作用および効果を述べる。
(1)吸収体10においては、インジケータ19と対応する所定領域RPの吸水性が他の領域ROの吸水性よりも抑えられることから、所定領域RPの含有水分によるインジケータ19の変色を抑えることができる。言い換えれば、着用者の排泄水分だけにインジケータ19を感応させることができる。よって、インジケータ19の機能を保全することができる。延いては、着用者による排泄の有無を外部から適切に認識させることができる。
(2)具体的には、他の領域ROにおける高吸水性樹脂10bの含有度合いよりも所定領域RPにおける高吸水性樹脂10bの含有度合いが抑えられることから、所定領域RPにおける含有水分の滲み出しを抑制しつつ、所定領域RPの吸水性を確保することができる。
(3)本実施形態の吸収体10では、所定領域RPに圧搾部40がプレス成形されることから、圧搾部40の成形時に所定領域RPの含有水分が圧搾されやすい。これに対して、圧搾部40がプレス成形される所定領域RPの吸水性が抑えられることにより、所定領域RPの圧搾水分量を低減させることができる。よって、圧搾部40のプレス成形時にインジケータ19が変色することを抑えることができる。
(4)そのほか、インジケータ19は、吸水性の吸収体10と非透水性のバックシート12との間に介装されることから、インジケータ19に対する非肌面からの被水も防がれる。よって、インジケータ19の機能を確実に保全することができる。
[3-3.紙おむつの製造方法]
つぎに、紙おむつ1の製造方法において、吸収体10の形成に含有水分率の抑えられた高吸水性樹脂10bを用いることによる作用および効果を述べる。
(1)紙おむつ1の製造方法においては、含有水分率が10%以下の高吸水性樹脂10bを用いて吸収体10を形成する形成工程が実施される。このことから、成形工程における圧搾部40の成形時にプレスされる所定領域RPからの含有水分の滲み出しを抑えるこ
とができる。そのため、紙おむつ1の製造中におけるインジケータ19の感応(変色)を防ぐことができる。よって、インジケータ19の機能が保全された紙おむつ1を製造することができる。
(2)さらに、形成工程では、含有水分率の上昇を抑えた高吸水性樹脂10bを用いる抑制工程が実施される。このことから、形成工程において含有水分率が抑えられた高吸水性樹脂10bを含んだ吸収体10を形成することができ、この吸収体10を内蔵する紙おむつ1を製造することができる。
そのうえ、形成工程(第一形成工程)では、抑制工程で含有水分率の上昇が抑えられていない高吸水性樹脂10bが他の領域R0に供給され、抑制工程で含有水分率の上昇が抑えられた高吸水性樹脂10bが所定領域RPに供給される。このことから、領域RP,R0ごとに高吸水性樹脂10bの含有水分率を調整して吸収体10を形成することができる。
また、形成工程(第二形成工程)では、所定領域RPのほうが他の領域R0よりも少ない高吸水性樹脂10bが供給されることから、領域RP,R0ごとに吸水性を調整して吸収体10を形成することができる。
(3)抑制工程では、高吸水性樹脂10bの含有水分率を低下させる除湿工程が実施されることから、高吸水性樹脂10bの含有水分率を確実に低下させることができる。具体的には、高吸水性樹脂10bの含有水分率を10%以下の状態にすることができる。
(4)また、抑制工程では、低湿度雰囲気下で高吸水性樹脂10bを保存する保存工程が実施されることから、高吸水性樹脂10bにおいて低下させられた含有水分率を保つことができる。
[II.実施例]
以下、本件の実施例を述べる。
なお、下記の実施例に示す材料,使用量,割合,処理内容,処理手順などは、本件の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本件の範囲は、以下に示す具体例によって限定的に解釈されるべきものではない。
Figure 0007255661000001
まず、上記の表1を参照して、実施例1~3および比較例1,2において共通の前提を説明する。以下に述べる共通の前提は、吸収体およびこれに成形される圧搾溝に関する。なお、上記の表1では、高吸水性樹脂を「SAP」と表記している。
吸収体については、材料にパルプ(王子製紙株式会社製)および高吸水性樹脂(SA50SXD,住友精化株式会社製)を用いる。これらの質量混合比(パルプ:高吸水性樹脂)は「45:55」である。
この吸収体は、厚みが2.2[mm]である。また、吸収体の目付量は185[g/m2]である。
吸収体の圧搾溝については、深さが0.5[mm]であり、幅が2.2[mm]である。
また、吸収体に圧搾溝を成形するときの圧力は0.14[MPa]である。さらに、圧搾溝を成形するときの温度は60[℃]である。
なお、上述した通り、吸収体の厚み方向に圧搾溝とインジケータとが対向して配置されている。このインジケータには、H9598(ボスティック・ニッタ製)を用いる。
つぎに、実施例1~3および比較例1,2のそれぞれで異なる含有水分率を説明する。この含有水分率は、上述した通り、吸収体の高吸水性樹脂に含有される水分量に対応する。
実施例1の含有水分率は8.6[%]であり、実施例2の含有水分率は9.2[%]であり、実施例3の含有水分率は9.7[%]である。また、比較例1の含有水分率は12.5[%]であり、比較例2の含有水分率は14.7[%]である。
つぎに、実施例1~3と比較例1,2とを比較して考察する。これらは、吸収体の含有水分率が10%以下の実施例1~3と、吸収体の含有水分率が10%よりも大きい比較例1,2とに大別される。
実施例1~3では、インジケータの付設された吸収体に圧搾溝を成形した場合に、インジケータの変色が認められなかった。
これに対し、比較例1,2では、インジケータに付設された吸収体に圧搾溝を成形した場合に、インジケータの変色が認められた。
このように、実施例1~3ではインジケータが変色せず、比較例1,2ではインジケータが変色するのは、下記の理由によるものと考えられる。
実施例1~3の含有水分率が比較例1,2の含有水分率も抑えられていることから、圧搾溝が成形(吸収体が圧縮)されたとしても、高吸水性樹脂からの水分の圧搾が抑えられ、吸収体からインジケータへの水分の滲み出しが抑えられたからであると考えられる。
[III.その他]
最後に、その他の変形例について述べる。
〈紙おむつの構造〉
まず、紙おむつの構造に関する変形例を述べる。
たとえば、圧搾部は、少なくとも吸収体に設けられていればよく、センターシートに設けられていなくてもよい。この場合には、センターシートが積層される前に吸収体の一部が肌面側から圧搾されて、圧搾部が成形される。
あるいは、吸収体の非肌面側に圧搾部が成形されてもよい。この場合には、非肌面側から少なくとも吸収体が圧搾されて、圧搾部が成形される。具体例を挙げれば、非肌面側からバックシートとともに吸収体をプレスして圧搾部が成形される。この場合には、バックシートと吸収体との間に介装されたインジケータやこれに隣接する所定領域の吸収体が直接的にプレスされるため、所定領域の含有水分が圧搾されやすくなる。このような構成であったとしても、所定領域の含有水分率や吸水性が抑えられることにより、インジケータの機能を保全することが可能である。
また、圧搾部の平面視形状としては、格子形状に限らず、さまざまな形状を採用することができる。具体例を挙げれば、第一傾斜部または第二傾斜部は、少なくとも一方が単数であってもよいし、少なくとも一方を省略してもよい。更に言えば、第一傾斜部または第二傾斜部は、直線状のほか、曲線状であってもよいし、三角波状や矩形波状であってもよい。このように他の平面視形状をなす圧搾部によっても、フィット性,通気性および吸水性を確保して、着用者の快適性を向上させることに寄与する。あるいは、圧搾部は、延在するものに限らず、点状に設けられてもよい。この場合であっても、フィット性などの向上に寄与しうる。
また、吸収体における所定領域については、厚み方向で非肌面側に向うほど含有水分率や吸水性が抑えられていてもよい。具体的には、所定領域において、非肌面側(インジケータ側)に向かうほど、高吸水性樹脂の含有水分率や密度が抑制されていてもよい。この場合には、所定領域のうち少なくとも一部において、非肌面側のほうが肌面側よりも高吸水性樹脂の含有水分率や密度が低ければよい。
このように含有水分率や吸水性がインジケータに近接するほど低下することで、所定領域のうちインジケータに近い領域における含有水分の圧搾を抑えることができ、インジケータの機能保全と所定領域の吸水性の確保とを両立させることができる。
そのほか、プレス成形された圧搾部に替えて、プレス成形されていない凹部が吸収体に設けられてもよい。たとえば、マット状の吸収体のうち上述した圧搾部に対応する領域を取り除いて凹部を成形することができる。また、上述した圧搾部に対応する形状をもつ雌型に吸収体を積層することで、プレス成形することなく凹部を成形することもできる。吸収体のうち凹部に対応する領域の目付量を抑えることによっても凹部を成形することもできる。
このようにプレス成形されていない凹部が吸収体に設けられる場合には、凹部の成形時に吸収体の圧搾が抑えられ、紙おむつの製造時におけるインジケータの変色が確実に抑えられる。なお、吸収体のうち凹部に対応する箇所で折り曲げられたとしても、凹部に対してインジケータが相対的にずれた配置により、インジケータの無用な変色が抑えられる。
〈紙おむつの製造方法〉
つぎに、紙おむつの製造方法に関する変形例を述べる。
たとえば、抑制工程では、除湿工程および保存工程の何れか一方のみが実施されてもよい。更に言えば、抑制工程を形成工程から省略してもよい。これらの場合には、高吸水性樹脂における含有水分率の上昇が抑えられにくくなりうるものの、製造工程を簡素化することができる。
また、上述したように吸収体がプレスされずに成形される凹部を用いる場合には、この凹部を成形する工程がプレス工程に替えて実施される。たとえば、凹部に対応する形状をもつ雌型に吸収体を積層して凹部を成形する工程(第一成形工程)や、凹部に対応する領域の目付量を抑えることによって凹部を成形する工程(第二成形工程)が実施される。
1 紙おむつ(吸収性物品)
1A 前身頃
1B 股下部
1C 後身頃
10 吸収体
10a パルプ
10b 高吸水性樹脂
11 センターシート
12 バックシート
13 サイドシート
14 カバーシート
15 ギャザー
16 立体ギャザー
17 タミーギャザー
19 インジケータ
20 糸ゴム(伸縮性部材)
21 第一糸ゴム
22 第二糸ゴム
40 圧搾部
41 第一傾斜部
42 第二傾斜部
C 中心線
P 所定領域
O 他の領域

Claims (12)

  1. 厚み方向に凹設された凹部を有し、濡れると変色するインジケータが外観可能に付設され、高吸水性樹脂を含むマット状の吸収体であって、
    前記インジケータおよび前記凹部に対応する所定領域における前記高吸水性樹脂の含有水分率が10%以下であり、前記所定領域の含有水分率が他の領域の含有水分率よりも抑えられ、且つ、前記所定領域において前記厚み方向で前記インジケータに近接するほど含有水分率が抑えられ、
    前記凹部はプレス成形された
    吸収体。
  2. 厚み方向に凹設された凹部を有し、高吸水性樹脂を含むマット状の吸収体と、
    前記吸収体よりも着用者の肌面側とは反対側の非肌面側に対して外観可能に付設され、濡れると変色するインジケータとを備え、
    前記吸収体は、前記インジケータおよび前記凹部に対応する所定領域における前記高吸水性樹脂の含有水分率が10%以下であり、前記所定領域の含有水分率が他の領域の含有水分率よりも抑えられ、且つ、前記所定領域において前記厚み方向で前記インジケータに近接するほど含有水分率が抑えられ、
    前記凹部はプレス成形された
    吸収性物品。
  3. 厚み方向に凹設された凹部を有し、高吸水性樹脂を含むマット状の吸収体と、
    前記吸収体よりも着用者の肌面側とは反対側の非肌面側に対して外観可能に付設され、濡れると変色するインジケータとを備え、
    前記吸収体は、前記インジケータおよび前記凹部に対応する所定領域における前記高吸水性樹脂の含有水分率が10%以下であり、前記所定領域の吸水性が他の領域の吸水性よりも抑えられ、且つ、前記所定領域において前記厚み方向で前記インジケータに近接するほど吸水性が抑えられ、
    前記凹部はプレス成形された
    吸収性物品。
  4. 前記所定領域のほうが前記他の領域よりも前記高吸水性樹脂の含有度合いが抑えられた請求項2または3に記載された吸収性物品。
  5. 前記吸収体の吸水性は、前記高吸水性樹脂により付与されており、
    前記吸収体がプレスされて前記凹部が成形されるときの前記所定領域における前記高吸水性樹脂からの含有水分の圧搾が抑制された
    請求項2~4の何れか1項に記載された吸収性物品。
  6. 前記凹部は前記厚み方向から視て格子状をなし、交差する格子点が前記厚み方向から視て前記インジケータと重複する位置またはその近傍に設けられ、当該位置の前記含有水分率が前記所定領域以外の他の領域の含有水分率よりも抑えられた
    請求項2~5の何れか1項に記載された吸収性物品。
  7. 前記吸収体よりも前記非肌面側に設けられたシートを備え、
    前記インジケータは、前記吸収体と前記シートとの間に介装された
    請求項2~6の何れか1項に記載された吸収性物品。
  8. 厚み方向に凹設された凹部を有し、高吸水性樹脂を含むマット状の吸収体と、
    前記吸収体よりも着用者の肌面側とは反対側の非肌面側に対して外観可能に付設され、
    濡れると変色するインジケータとを備え、
    前記吸収体は、前記インジケータおよび前記凹部に対応する所定領域の前記高吸水性樹脂の含有水分率が他の領域の含有水分率よりも抑えられ、且つ、前記所定領域において前記厚み方向で前記インジケータに近接するほど含有水分率が抑えられ、
    前記凹部はプレス成形された
    吸収性物品。
  9. 高吸水性樹脂を用いてマット状の吸収体を形成する形成工程と、
    前記形成工程で形成された前記吸収体に、濡れると変色するインジケータを付設する付設工程と、
    前記付設工程で前記インジケータが付設された前記吸収体に凹部を成形する成形工程とを有し、
    前記成形工程には、前記吸収体をプレスして前記凹部を成形するプレス工程が含まれ、
    前記形成工程は、前記付設工程で前記吸収体に前記インジケータが付設される領域であって前記成形工程で前記吸収体に前記凹部が成形される領域の所定領域に含有水分率が10%以下の前記高吸水性樹脂を用い、前記所定領域に他の領域よりも含有水分率が抑えられた前記高吸水性樹脂が供給され、且つ、前記所定領域において前記吸収体の厚み方向で前記インジケータに近接するほど含有水分率が抑えられる
    吸収性物品の製造方法。
  10. 前記形成工程には、含有水分率の上昇を抑えた前記高吸水性樹脂を用いる抑制工程が含まれる
    請求項9に記載された吸収性物品の製造方法。
  11. 前記抑制工程には、前記高吸水性樹脂の含有水分率を低下させる除湿工程が含まれる
    請求項10に記載された吸収性物品の製造方法。
  12. 前記抑制工程には、低湿度雰囲気下で前記高吸水性樹脂を保存する保存工程が含まれる請求項10または11に記載された吸収性物品の製造方法。
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