JP2019101439A - ポジ型感光性樹脂組成物、硬化膜、半導体装置および硬化膜のレリーフパターンの製造方法 - Google Patents

ポジ型感光性樹脂組成物、硬化膜、半導体装置および硬化膜のレリーフパターンの製造方法 Download PDF

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由香里 有本
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Abstract

【課題】低温、高温の過酷な使用条件下においても高い耐久性を有するポジ型感光性樹脂組成物を提供する。【解決手段】ポジ型感光性樹脂組成物は下記の構成を有する。すなわち、(A)ポリイミド、ポリベンゾオキサゾール、ポリイミド前駆体、ポリベンゾオキサゾール前駆体およびこれらから選ばれる2種以上の樹脂の共重合体から選択される1種類以上のアルカリ可溶性樹脂、(C)感光剤および(D)溶剤を含むポジ型感光性樹脂組成物であって、前記(A)アルカリ可溶性樹脂が、繰り返し構造中にジアミン残基を全ジアミン残基100モル%に対して5〜50モル%ポリシロキサン構造を含有することを特徴とするポジ型感光性樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、ポジ型感光性樹脂組成物、樹脂シート、硬化膜、表面保護膜、層間絶縁膜、半導体保護膜、半導体電子部品、半導体装置および硬化膜のレリーフパターンの製造方法に関する。より詳しくは、半導体素子等の表面保護膜、層間絶縁膜、有機電界発光素子の絶縁層などに好適に用いられる樹脂組成物、それを用いた硬化膜、該樹脂組成物を用いた半導体装置および硬化膜のレリーフパターンの製造方法に関する。
従来、半導体素子の表面保護膜や層間絶縁膜、有機電解素子の絶縁層やTFT基板の平坦化膜には、耐熱性や電気絶縁性等に優れたポリイミド系樹脂、ポリベンゾオキサゾール系樹脂が広く使用されている。近年、半導体素子においてパターン加工の微細化、パッケージの小型化と高密度化、高速大容量化により、高い機械強度や密着性、電気信頼性に加え、低温、高温などの過酷な使用条件における高い耐久性を有する材料が求められている。
ここで述べる高い耐久性を有する材料とは、具体的には硬化膜の機械強度が低下しにくい材料を指し、このような材料は、低温、高温での使用においてパターンにクラックが生じたり、配線や基板からはがれるなどの不具合を生じにくい。なかでも硬化膜の柔軟性の指標である伸度が高いと、硬化膜がデバイス中での応力変化などに耐えられることから、クラックやはがれの抑制に効果がある。しかし、低温においては樹脂の自由度が下がって硬化膜が硬くなること、また、高温では、硬化膜が高温条件下に長時間さらされて熱劣化し、もろくなることで伸度は低下する。
このため、高い耐久性を有する材料としては、低温における伸度が高く、高温条件で保持した後も伸度低下が少ない材料であることが必要である。
このような高い機械強度を示す材料として、特定の酸二無水物とジアミンを組み合わせたポリアミド酸エステルを用いたネガ型の樹脂組成物が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、室温において高伸度等の機械特性が得られるポジ型の樹脂組成物としては、アルキル鎖状構造を主鎖に有するポリイミド樹脂組成物やポリベンゾオキサゾール前駆体樹脂組成物(例えば、特許文献2、3参照)などが知られている。
さらに、ポリシロキサンなどシロキサン構造を有する材料は、透明性、柔軟性、低吸水率の点で優れた材料であり、高伸度のポジ型の樹脂組成物が提案されている。また、前述のポリイミド等と混合したり、シロキサンジアミンとしてポリイミドの構成成分として共重合させた樹脂等が提案されている(例えば特許文献4、5参照)。
特許第5602691号公報 特開2012−208360号公報 特開2013−167743号公報 特開2010−211109号公報 特開2014−191002号公報
しかし、特許文献1の技術は、樹脂の溶解性や透明性が低いことから、有機現像のネガ型での使用に限られており、パターンの微細化が困難、有機溶剤を大量に使用するため環境負荷が高いという課題があった。
また、特許文献2、3の技術はアルキル鎖が高温条件で分解しやすく、また低温条件での伸度低下が著しいため、高温、低温条件下での使用においてパターンにクラックやはがれが生じるなど耐久性に劣るという、課題があった。
特許文献4、5の技術におけるシロキサン材料は、一般的にポリイミドなどの成分とは相溶性が悪いことから、混合した場合に相分離を起こしたり、共重合させた場合に重合自体が困難であったり、安定した樹脂組成物の製造が困難であった。また、相溶性が不十分であると硬化膜中の樹脂成分が不均一となり、伸度が低かったり、ばらつきが出るなど機械特性への悪影響があった。さらに塗布膜が白濁したり、現像ムラや現像残渣が出るなど感光特性にも課題があった。
そこで、本発明は上記のような従来技術に伴う問題点を解決し、低温、高温の過酷な使用条件下においても伸度の低下が少なく、高い耐久性を有するポジ型感光性樹脂組成物を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明のポジ型感光性樹脂組成物は下記の構成を有する。すなわち、
(A)ポリイミド、ポリベンゾオキサゾール、ポリイミド前駆体、ポリベンゾオキサゾール前駆体およびこれらから選ばれる2種以上の樹脂の共重合体から選択される1種類以上のアルカリ可溶性樹脂、(C)感光剤および(D)溶剤を含むポジ型感光性樹脂組成物であって、前記(A)アルカリ可溶性樹脂が、繰り返し構造中に一般式(1)で表されるジアミン残基を全ジアミン残基100モル%に対して5〜50モル%含有することを特徴とするポジ型感光性樹脂組成物である。
Figure 2019101439
(一般式(1)中、RおよびRはそれぞれ独立に炭素数1以上の1価の有機基を表し、Rは構造中にフェノール性水酸基もしくはカルボキシル基またはその両方を有する有機基を表す。lおよびoは1〜5の整数、mは0〜20の整数、nは3〜40の整数を表し、40≧m+n≧4かつn≧mを満たす。各繰り返し単位におけるそれぞれのRおよびRは同じでも異なっていてもよい。)
本発明のポジ型感光性樹脂組成物は、前記一般式(1)中のRが一般式(2)で表される構造単位を有することが好ましい。
Figure 2019101439
(一般式(2)中、Rはフェノール性水酸基もしくはカルボキシル基またはその両方を有する基を表す。Xは炭素数1以上のアルキレン基を表す。)
本発明のポジ型感光性樹脂組成物は、さらに、前記(A)アルカリ可溶性樹脂100重量部に対し、(B)一般式(3)で表されるポリシロキサンを1〜100重量部含有することが好ましい。
Figure 2019101439
(一般式(3)中、Rは炭素数1以上の1価の有機基を表し、Rは構造中にフェノール性水酸基もしくはカルボキシル基またはその両方を有する有機基を表す。p:q=50:50〜0:100を満たす。繰り返し単位中それぞれのRおよびRは同じでも異なっていてもよい。)
本発明のポジ型感光性樹脂組成物は、一般式(3)中のRが一般式(4)で表される構造を有することが好ましい。
Figure 2019101439
(一般式(4)中、Rはフェノール性水酸基もしくはカルボキシル基またはその両方を有する基を表す。Yは炭素数1以上のアルキレン基を表す。)
本発明のポジ型感光性樹脂組成物は、さらに熱架橋剤を含有することが好ましい。
本発明のポジ型感光性樹脂組成物は、さらに酸化防止剤を含有することが好ましい。
本発明のシートは下記の構成を有する。すなわち、
上記ポジ型感光性樹脂組成物を用いて形成されたシートである。
本発明の硬化膜は下記の構成を有する。すなわち、
上記ポジ型感光性樹脂組成物を硬化して得られた硬化膜または、上記ポジ型感光性樹脂組成物を用いて形成されたシートを硬化して得られた硬化膜である。
本発明の硬化膜のレリーフパターンの製造方法は下記の構成を有する。すなわち、
上記ポジ型感光性樹脂組成物を基板上に塗布し、または上記樹脂シートを基板上にラミネートし、乾燥して樹脂膜を形成する工程と、マスクを介して露光する工程と、照射部をアルカリ溶液で溶出または除去して現像する工程と、現像後の樹脂膜を加熱処理する工程を含むレリーフパターンの製造方法である。
本発明の電子部品または半導体装置は、下記の構成を有する。すなわち、
上記硬化膜が、表面保護膜もしくは層間絶縁膜として配置された、電子部品または半導体装置である。
本発明は、低温、高温の過酷な使用条件下においても高い耐久性を有するポジ型感光性樹脂組成物を提供する。
本発明のポジ型感光性樹脂組成物は、(A)ポリイミド、ポリベンゾオキサゾール、ポリイミド前駆体、ポリベンゾオキサゾール前駆体およびこれらから選ばれる2種以上の樹脂の共重合体から選択される1種類以上のアルカリ可溶性樹脂、(C)感光剤および(D)溶剤を含むポジ型感光性樹脂組成物であって、前記(A)アルカリ可溶性樹脂が、繰り返し構造中に一般式(1)で表されるジアミン残基を全ジアミン残基100モル%に対して5〜50モル%含有することを特徴とするポジ型感光性樹脂組成物である。
Figure 2019101439
(一般式(1)中、RおよびRはそれぞれ独立に炭素数1以上の1価の有機基を表し、Rは構造中にフェノール性水酸基もしくはカルボキシル基またはその両方を有する有機基を表す。lおよびoは1〜5の整数、mは0〜20の整数、nは3〜40の整数を表し、40≧m+n≧4かつn≧mを満たす。各繰り返し単位におけるそれぞれのRおよびRは同じでも異なっていてもよい。)
以下に、各成分について説明する。
本発明のポジ型感光性樹脂組成物は、(A)ポリイミド、ポリベンゾオキサゾール、ポリイミド前駆体、ポリベンゾオキサゾール前駆体およびこれらから選ばれる2種以上のポリマーの共重合体から選択される1種以上のアルカリ可溶性樹脂であって、繰り返し構造中に一般式(1)で表されるジアミン残基を全ジアミン残基100モル%に対して5〜50モル%含有する。ここで、「アルカリ可溶性樹脂」とは、具体的には樹脂構造中にフェノール性水酸基、カルボキシル基、スルホン酸基などのアルカリ性の水溶液に溶解する官能基を有する樹脂である。
ポリイミドおよびポリベンゾオキサゾールは、主鎖構造内にイミド環またはオキサゾール環の環状構造を有する樹脂である。またそれらの前駆体であるポリイミド前駆体およびポリベンゾオキサゾール前駆体は、脱水閉環することで、それぞれイミド環およびベンゾオキサゾール環構造を形成する樹脂である。
ポリイミドは、テトラカルボン酸や対応するテトラカルボン酸二無水物、テトラカルボン酸ジエステルジクロリドなどと、ジアミンや対応するジイソシアネート化合物、トリメチルシリル化ジアミンなどを反応させることにより得ることができ、テトラカルボン酸残基とジアミン残基を有する。例えば、テトラカルボン酸二無水物とジアミンを反応させて得られるポリイミド前駆体の1つであるポリアミド酸を、加熱処理により脱水閉環することで、ポリイミドを得ることができる。この加熱処理時には、m−キシレンなどの水と共沸する溶媒を加えることもできる。あるいは、カルボン酸無水物やジシクロヘキシルカルボジイミドなどの脱水縮合剤やトリエチルアミンなどの塩基などの閉環触媒を加えて、化学熱処理により脱水閉環することもできる。または、弱酸性のカルボン酸化合物を加えて、100℃以下の低温での加熱処理により脱水閉環することもできる。
また、上記脱水閉環の過程で反応時間を調整したり、ポリイミドを重合した後にポリアミド酸を引き続き重合させることで共重合体とすることもできる。
テトラカルボン酸二無水物としては、例えば、ブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物、ビシクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、ペンタンテトラカルボン酸二無水物、ヘキサンテトラカルボン酸二無水物、シクロプロパンテトラカルボン酸二無水物、シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3‘,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、4,4’−オキシジフタル酸無水物、P−フェニレンビス(トリメリテート無水物)、エチレングリコールビスアンヒドロトリメリテート、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物などが挙げられる。これらの化合物は、単独でまたは2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ジアミンとしては、例えば、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルサルファイド、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノトルエン、2,5−ジアミノトルエン、2,6−ジアミノトルエン、ベンジジン、3,3’−ジメチルベンジジン、3,3’−ジメトキシベンジジン、o−トリジン、4,4”−ジアミノターフェニル、1,5−ジアミノナフタレン、2,5−ジアミノピリジン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ビス(p−アミノフェノキシ)ビフェニル、2,2−ビス[4−(p−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、ヘキサヒドロ−4,7−メタノインダニレンジメチレンジアミンなどが挙げられるが特に限定されない。これらの化合物は、単独でまたは2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ポリベンゾオキサゾールは、ビスアミノフェノール化合物とジカルボン酸や対応するジカルボン酸クロリド、ジカルボン酸活性エステルなどを反応させて得ることができ、ジカルボン酸残基とビスアミノフェノール残基を有する。例えば、ビスアミノフェノール化合物とジカルボン酸を反応させて得られるポリベンゾオキサゾール前駆体の1つであるポリヒドロキシアミドを、加熱処理により脱水閉環することで、ポリベンゾオキサゾールを得ることができる。あるいは、無水リン酸、塩基、カルボジイミド化合物などを加えて、化学処理により脱水閉環することもできる。
ジカルボン酸の例としては、テレフタル酸、イソフタル酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ビス(カルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビフェニルジカルボン酸、ベンゾフェノンジカルボン酸、トリフェニルジカルボン酸など、トリカルボン酸の例としてはトリメリット酸、トリメシン酸、ジフェニルエーテルトリカルボン酸、ビフェニルトリカルボン酸などが挙げられる。これらの化合物は、単独でまたは2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ビスアミノフェノール化合物の例としては3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシビフェニル、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)スルホン、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの化合物は、単独でまたは2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の(A)アルカリ可溶性樹脂は、繰り返し構造中に一般式(1)で表されるジアミン残基を全ジアミン残基100モル%に対して5〜50モル%含有する。
Figure 2019101439
(一般式(1)中、RおよびRはそれぞれ独立に炭素数1以上の1価の有機基を表し、Rは構造中にフェノール性水酸基もしくはカルボキシル基またはその両方を有する有機基を表す。lおよびoは1〜5の整数、mは0〜20の整数、nは3〜40の整数を表し、40≧m+n≧4かつn≧mを満たす。各繰り返し単位におけるそれぞれのRおよびRは同じでも異なっていてもよい。)
の例としては、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アルキルエーテル基、アリール基、アリールエーテル基、カルボニル基、アリル基、ビニル基、それらを組み合わせたものなどが挙げられる。これらの基は、さらに置換基を有していてもよく、例えば、アリール基、複素環化合物で置換されているものなどが好ましい。
アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基およびヘキシル基が好ましい。シクロアルキル基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基およびシクロヘキシル基が好ましい。アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基およびペントキシ基が好ましい。アリール基としては、フェニル基、およびナフチル基が好ましい。
の例としては、下記のような構造が挙げられる。
Figure 2019101439
シロキサンユニットに上述のようなアルカリ可溶性の官能基を導入することで、シロキサンの構造に由来する撥水性を抑え、他の樹脂構成成分との相溶性を高めることができる。これにより、シロキサン成分が相分離することなく均一に存在でき、その結果、樹脂組成物全体としてシロキサン骨格由来の低温における柔軟性や高温における熱安定性が発現し、高い耐久性を有する材料とすることができる。また、相溶性が向上することで、塗布膜の白濁や現像ムラを防ぐことができ、感光性樹脂組成物としても高い特性を有する材料とすることができる。
一般式(1)中、lおよびoは、1〜5の整数である。この範囲であることによって、合成や原料の入手が容易となる。
mは0〜20の整数、nは3〜40の整数を表し、40≧m+n≧4かつn≧mを満たす。この範囲とすることで、シロキサンユニット自体に適度なアルカリ可溶性が付与され、樹脂の他の構成成分との親和性が向上することで、ワニスの白濁や相分離、塗布不良や現像不良のない均一な樹脂組成物とすることができる。
一般式(1)で表されるジアミン残基は、全ジアミン残基100モル%に対して5〜50モル%含有することが好ましい。この範囲とすることで、ポリイミド、ポリベンゾオキサゾールとしての高い機械特性や耐熱性を有しつつ、低温での柔軟性も付与できるため好ましい。中でも、耐久性がより高くなることから一般式(1)中のRが下記一般式(2)で表される構造であることが好ましい。
Figure 2019101439
(一般式(2)中、Rはフェノール性水酸基もしくはカルボキシル基またはその両方を有する基を表す。Xは炭素数1以上のアルキレン基を表す。)
Xをアルキレン基とすることで、Si周りの立体障害が緩和されるために主鎖の立体構造が安定し、側鎖の熱分解が起こりにくくなり、特に高温側での耐久性により優れた樹脂となる。アルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基など直鎖状の構造のものが好ましい。
はRの説明と同様である。
一般式(1)で表されるジアミンの合成方法としては公知の方法を用いることができる。例えば、環状シロキサンにヒドロシリル化反応を用いて、オレフィン、ケトン、イミンなどの不飽和結合を有する官能基を側鎖構造として導入することで、置換基を有する環状シロキサンを合成する。その後、触媒量の塩基と末端となるアミンを加えて加熱することで環構造の開裂重合と末端へのアミンの付加し合成できる(高分子論文集、VOl49、No11、943頁参照)。また、ジアルコキシシランを加水分解縮合してポリシロキサンを重合する際に、3−アミノプロピルジメチルメトキシシランのような、アミノ基を有するモノアルコキシシランを末端として導入することでも合成することができるが、これに限らない。この際に所望の側鎖を有するジアルコキシシランが入手できない場合は、ジアルコキシジヒドロシランに前述のヒドロシリル化反応を利用して側鎖構造を導入したり、導入したい官能基のBr体にマグネシウムを作用させてグリニャール試薬化し、ジアルコキシジクロロシランやテトラアルコキシシランに付加させることでも合成できる。
さらに、上記のジアミンをポリイミド、ポリベンゾオキサゾール、またはポリイミド前駆体を重合する際のジアミンとして、全ジアミン100モル%中に5〜50モル%使用することで(A)アルカリ可溶性樹脂を作製することができ、H−NMRからモル比を分析することができる。
本発明のポジ型感光性樹脂組成物において、ポジ型感光性樹脂組成物の保存安定性を向上させるため、(A)アルカリ可溶性樹脂は主鎖末端をモノアミン、酸無水物、モノカルボン酸、モノ酸クロリド化合物、モノ活性エステル化合物などの末端封止剤で封止することが好ましい。また、樹脂の末端を水酸基、カルボキシル基、スルホン酸基、チオール基、ビニル基、エチニル基またはアリル基を有する末端封止剤により封止することで、樹脂のアルカリ溶液に対する溶解速度や得られる硬化膜の機械特性を好ましい範囲に容易に調整することができる。末端封止剤の導入割合は、全アミン成分に対して、(A)アルカリ可溶性樹脂の分子量が高くなり、アルカリ溶液への溶解性が低下することを抑制するため、好ましくは0.1モル%以上、特に好ましくは5モル%以上であり、(A)アルカリ可溶性樹脂の分子量が低くなることで、得られる硬化膜の機械特性低下を抑えるため、好ましくは60モル%以下、特に好ましくは50モル%以下である。複数の末端封止剤を反応させることにより、複数の異なる末端基を導入してもよい。
モノアミンとしては、M−600,M−1000,M−2005,M−2070(以上商品名、HUNTSMAN(株)製)、アニリン、2−エチニルアニリン、3−エチニルアニリン、4−エチニルアニリン、5−アミノ−8−ヒドロキシキノリン、1−ヒドロキシ−7−アミノナフタレン、1−ヒドロキシ−6−アミノナフタレン、1−ヒドロキシ−5−アミノナフタレン、1−ヒドロキシ−4−アミノナフタレン、2−ヒドロキシ−7−アミノナフタレン、2−ヒドロキシ−6−アミノナフタレン、2−ヒドロキシ−5−アミノナフタレン、1−カルボキシ−7−アミノナフタレン、1−カルボキシ−6−アミノナフタレン、1−カルボキシ−5−アミノナフタレン、2−カルボキシ−7−アミノナフタレン、2−カルボキシ−6−アミノナフタレン、2−カルボキシ−5−アミノナフタレン、2−アミノ安息香酸、3−アミノ安息香酸、4−アミノ安息香酸、4−アミノサリチル酸、5−アミノサリチル酸、6−アミノサリチル酸、2−アミノベンゼンスルホン酸、3−アミノベンゼンスルホン酸、4−アミノベンゼンスルホン酸、3−アミノ−4,6−ジヒドロキシピリミジン、2−アミノフェノール、3−アミノフェノール、4−アミノフェノール、2−アミノチオフェノール、3−アミノチオフェノール、4−アミノチオフェノールなどが好ましい。これらを2種以上用いてもよい。
酸無水物、モノカルボン酸、モノ酸クロリド化合物、モノ活性エステル化合物としては、無水フタル酸、無水マレイン酸、ナジック酸無水物、シクロヘキサンジカルボン酸無水物、3−ヒドロキシフタル酸無水物などの酸無水物、3−カルボキシフェノール、4−カルボキシフェノール、3−カルボキシチオフェノール、4−カルボキシチオフェノール、1−ヒドロキシ−7−カルボキシナフタレン、1−ヒドロキシ−6−カルボキシナフタレン、1−ヒドロキシ−5−カルボキシナフタレン、1−メルカプト−7−カルボキシナフタレン、1−メルカプト−6−カルボキシナフタレン、1−メルカプト−5−カルボキシナフタレン、3−カルボキシベンゼンスルホン酸、4−カルボキシベンゼンスルホン酸などのモノカルボン酸類およびこれらのカルボキシル基が酸クロリド化したモノ酸クロリド化合物、テレフタル酸、フタル酸、マレイン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、1,5−ジカルボキシナフタレン、1,6−ジカルボキシナフタレン、1,7−ジカルボキシナフタレン、2,6−ジカルボキシナフタレンなどのジカルボン酸類の一方のカルボキシル基だけが酸クロリド化したモノ酸クロリド化合物、モノ酸クロリド化合物とN−ヒドロキシベンゾトリアゾールやイミダゾール、N−ヒドロキシ−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミドとの反応により得られる活性エステル化合物などが好ましい。これらを2種以上用いてもよい。
本発明の(A)アルカリ可溶性樹脂の分子量は特に限定されないが、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)は、3,000以上であることが好ましく、より好ましくは5000以上である。これにより、高い機械強度を有する硬化膜を得ることができる。また、60,000以下であることが好ましく、より好ましくは25,000以下である。分子量をこの範囲内にすることで溶媒への溶解性を向上させることができ、塗布性も向上させることができる。
本発明のポジ型感光性樹脂組成物は、(C)感光剤を含有する。感光剤を含むことで、直接パターンの形成が可能となり、レジストの工程を省くことができる。ポジ型とするために、(C)感光剤としては、光酸発生剤を含有する。
本発明のポジ型感光性樹脂組成物に含有される光酸発生剤は、光照射されることにより酸が発生し、光照射部のアルカリ水溶液に対する溶解性が増大する特性を持つ。光酸発生剤としてはキノンジアジド化合物、スルホニウム塩、ホスホニウム塩、ジアゾニウム塩、ヨードニウム塩などがある。
キノンジアジド化合物は、ポリヒドロキシ化合物にキノンジアジドのスルホン酸がエステルで結合したもの、ポリアミノ化合物にキノンジアジドのスルホン酸がスルホンアミド結合したもの、ポリヒドロキシポリアミノ化合物にキノンジアジドのスルホン酸がエステル結合および/またはスルホンアミド結合したものなどが挙げられる。これらポリヒドロキシ化合物やポリアミノ化合物の全ての官能基がキノンジアジドで置換されていなくてもよいが、官能基全体の50モル%以上がキノンジアジドで置換されていることが好ましい。前記キノンジアジドによる置換が50モル%以上の場合、アルカリ現像液に対する溶解性が高くなり過ぎず、未露光部とのコントラストが得られ、所望のパターンを得ることができる。このようなキノンジアジド化合物を含有することで、一般的な紫外線である水銀灯のi線(365nm)、h線(405nm)、g線(436nm)に感光するポジ型の感光性樹脂組成物を得ることができる。このような化合物は単独で含有してもよいし、2種以上を混合して含有してもかまわない。また、光酸発生剤は2種類含有することで、より露光部と未露光部の溶解速度の比を大きく取ることができ、この結果、高感度なポジ型感光性樹脂組成物を得ることができる。
ポリヒドロキシ化合物は、Bis−Z、BisP−EZ、TekP−4HBPA、TrisP−HAP、TrisP−PA、TrisP−SA、TrisOCR−PA、BisOCHP−Z、BisP−MZ、BisP−PZ、BisP−IPZ、BisOCP−IPZ、BisP−CP、BisRS−2P、BisRS−3P、BisP−OCHP、メチレントリス−FR−CR、BisRS−26X、DML−MBPC、DML−MBOC、DML−OCHP、DML−PCHP、DML−PC、DML−PTBP、DML−34X、DML−EP,DML−POP、ジメチロール−BisOC−P、DML−PFP、DML−PSBP、DML−MTrisPC、TriML−P、TriML−35XL、TML−BP、TML−HQ、TML−pp−BPF、TML−BPA、TMOM−BP、HML−TPPHBA、HML−TPHAP(以上、商品名、本州化学工業(株)製)、BIR−OC、BIP−PC、BIR−PC、BIR−PTBP、BIR−PCHP、BIP−BIOC−F、4PC、BIR−BIPC−F、TEP−BIP−A、46DMOC、46DMOEP、TM−BIP−A(以上、商品名、旭有機材工業(株)製)、2,6−ジメトキシメチル−4−t−ブチルフェノール、2,6−ジメトキシメチル−p−クレゾール、2,6−ジアセトキシメチル−p−クレゾール、ナフトール、テトラヒドロキシベンゾフェノン、没食子酸メチルエステル、ビスフェノールA、ビスフェノールE、メチレンビスフェノール、BisP−AP(商品名、本州化学工業(株)製)などが挙げられるが、これらに限定されない。
ポリアミノ化合物は、1,4−フェニレンジアミン、1,3−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルヒド等が挙げられるが、これらに限定されない。
また、ポリヒドロキシポリアミノ化合物は、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、3,3’−ジヒドロキシベンジジン等が挙げられるが、これらに限定されない。
本発明のポジ型感光性樹脂組成物において、キノンジアジドは5−ナフトキノンジアジドスルホニル基、4−ナフトキノンジアジドスルホニル基のいずれも好ましく用いられる。4−ナフトキノンジアジドスルホニルエステル化合物は水銀灯のi線領域に吸収を持っており、i線露光に適している。5−ナフトキノンジアジドスルホニルエステル化合物は水銀灯のg線領域まで吸収が伸びており、g線露光に適している。
本発明のポジ型感光性樹脂組成物においては、露光する波長によって4−ナフトキノンジアジドスルホニルエステル化合物、5−ナフトキノンジアジドスルホニルエステル化合物を選択することが好ましい。また、同一分子中に4−ナフトキノンジアジドスルホニル基および5−ナフトキノンジアジドスルホニル基を併用した、ナフトキノンジアジドスルホニルエステル化合物を含有させることもできるし、4−ナフトキノンジアジドスルホニルエステル化合物と5−ナフトキノンジアジドスルホニルエステル化合物の両方を含有することもできる。
本発明のポジ型感光性樹脂組成物が含有するキノンジアジド化合物の分子量は3000以下であることが好ましい。キノンジアジド化合物の分子量が3000以下であると、その後の熱処理においてキノンジアジド化合物が十分に熱分解し、膜中の残留量を少なくすることができ、得られる膜の耐熱性および機械特性が向上し、また、良好な接着性が得られる。
本発明のポジ型感光性樹脂組成物が含有するキノンジアジド化合物は、特定のフェノール化合物から、次の方法により合成される。例えば5−ナフトキノンジアジドスルホニルクロライドとフェノール化合物をトリエチルアミン存在下で反応させる方法が挙げられる。フェノール化合物の合成方法は、酸触媒下でα−(ヒドロキシフェニル)スチレン誘導体を多価フェノール化合物と反応させる方法などが挙げられる。
本発明のポジ型感光性樹脂組成物が含有する光酸発生剤のうち、露光によって発生させた酸成分を適度に安定化させる光酸発生剤としては、スルホニウム塩、ホスホニウム塩またはジアゾニウム塩であることが好ましい。これらの中ではスルホニウム塩が色調の影響が少ないことから好ましく含有させることができる。特に好ましいものとして、トリアリールスルホニウム塩が挙げられ、露光後放置安定性を著しく向上させることができる。
本発明のポジ型感光性樹脂組成物において、(C)感光剤の含有量は、(A)アルカリ可溶性樹脂100重量部に対して、0.01重量部以上が好ましく、より好ましくは3重量部以上である。この範囲とすることで、所望の現像時間内で露光部を完全に溶解しながら、未露光部に関しては膜べりを抑制することができ、高いコントラストでパターンを形成することが可能となる。また、50重量部以下が好ましく、さらに好ましくは40重量部以下が好ましい。この範囲とすることで、膜の底部まで光を透過させることができ、高い露光感度でパターンが得られる。また、同様の理由で、スルホニウム塩、ホスホニウム塩、ジアゾニウム塩から選ばれる化合物の含有量は(A)アルカリ可溶性樹脂100重量部に対し、0.05重量部以上が好ましく、より好ましくは0.1重量部以上である。また、40重量部以下が好ましく、さらに好ましくは30重量部以下である。さらに増感剤などを必要に応じて添加してもよい。
本発明のポジ型感光性樹脂組成物は、(D)溶剤を含有する。これによりワニスの状態にすることができ、塗布性を向上させることができる。
前記(D)溶剤は、ガンマブチロラクトンなどの極性の非プロトン性溶媒、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、ジアセトンアルコールなどのケトン類、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、乳酸エチルなどのエステル類、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸メチル、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルプロピオネート、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸i−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、ぎ酸n−ペンチル、酢酸i−ペンチル、プロピオン酸n−ブチル、酪酸エチル、酪酸n−プロピル、酪酸i−プロピル、酪酸n−ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸n−プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2−オキソブタン酸エチルなどの他のエステル類、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどのアミド類などが挙げられるが、これらは単独、または混合して含有することができる。これらの中でもN−メチルピロリドン、ガンマブチロラクトンは他の成分を良好に溶解させ平坦性の良い塗膜を形成させることができるため好ましい。
前記(E)溶剤の添加量は、必要とする膜厚や採用する塗布方法に応じて変更するため特に限定されないが、本発明の(A)アルカリ可溶性樹脂100重量部に対して、50重量部以上が好ましく、より好ましくは100重量部以上である。この範囲とすることで、スピンコーティングなど比較的高粘度の塗布液を用いる塗布法において均一な膜を作製することができる。また、2000重量部以下が好ましく、より好ましくは1500重量部以下である。この範囲とすることで、スリットコートなど低粘度の塗布液を用いる塗布法において均一な膜を作製することができる。
本発明のポジ型感光性樹脂組成物は、前記(A)アルカリ可溶性樹脂100重量部に対し、(B)下記一般式(3)で表されるポリシロキサンを1〜100重量部含有することが好ましい。シロキサンユニットを有するアルカリ可溶性樹脂にさらにポリシロキサンを含有することで、ポリシロキサンの透明性の硬化によりさらに高感度の感光性樹脂組成物とすることができる。
Figure 2019101439
(一般式(3)中、Rは炭素数1以上の1価の有機基を表し、Rは構造中にフェノール性水酸基もしくはカルボキシル基またはその両方を有する有機基を表す。p:q=50:50〜0:100を満たす。繰り返し単位中それぞれのRおよびRは同じでも異なっていてもよい。)
の例としては、一般式(1)においてRとして挙げられた例と同様である。
の例としては、一般式(1)においてRとして挙げられた例と同様である。
本発明のポジ型感光性樹脂組成物は、耐久性が向上することから一般式(3)中のRが下記一般式(4)で表される構造を有することがさらに好ましい。
Figure 2019101439
(一般式(4)中、Rはフェノール性水酸基もしくはカルボキシル基またはその両方を有する基を表す。Yは炭素数1以上のアルキレン基を表す。)
Yをアルキレン基とすることで、Si周りの立体障害が緩和されるために主鎖の立体構造が安定し、側鎖の熱分解が抑制され、特に高温側での耐久性により優れた樹脂となる。アルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基など直鎖状の構造のものが好ましい。
はRの説明と同様である。
ポリシロキサンの合成方法としては公知の方法を用いることができる。例えば、すでに側鎖が導入された市販のジアルコキシシランを加水分解縮合させてポリシロキサンを得る方法がある。市販のジアルコキシシランとしては、KBM−402、KBE−402、KBE−502、KBM−602、KBM−802、KBM−202SS、KBE−22(商品名、いずれも信越化学(株)製)などが挙げられる。加水分解縮合は、ジアルコキシシランをガンマブチロラクトンなどの溶剤に溶解させ、水を加えて加熱することで得られる。この際にリン酸などの酸成分を触媒量加えることで反応を加速させることもできる。
また、所望のジアルコキシシランが入手できない場合は、ヒドロシリル化反応を利用して合成することができる。具体的には、ジアルコキシジヒドロシランに、フェノール性水酸基など所望の官能基を有するオレフィン、ケトン、イミンなどの化合物を白金触媒を用いて反応させて合成する。その後、同様に加水分解縮合してポリシロキサンが得られるが、これに限らない。
本発明のポジ型感光性樹脂組成物は、熱により架橋する(E)熱架橋剤を含有することが好ましい。(E)熱架橋剤を含むことで、硬化膜の高温側での耐久性をさらに向上させることができる。
(E)熱架橋剤には、エポキシ構造を有する化合物、アルコキシメチル構造を有する化合物が挙げられる。
エポキシ構造を有する化合物の好ましい例としては、例えば、エピクロン850−S、エピクロンHP−4032、エピクロンHP−7200、エピクロンHP−820、エピクロンHP−4700、エピクロンEXA−4710、エピクロンHP−4770、エピクロンEXA−859CRP、エピクロンEXA−4880、エピクロンEXA−4850、エピクロンEXA−4816、エピクロンEXA−4822(以上商品名、大日本インキ化学工業(株)から入手可能)、リカレジンBPO−20E、リカレジンBEO−60E(以上商品名、新日本理化(株)から入手可能)、EP−4003S、EP−4000S(以上商品名、(株)アデカから入手可能)などが挙げられるがこの限りでは無い。
アルコキシメチル構造を有する化合物の好ましい例としては、例えば、DML−PC、DML−PEP、DML−OC、DML−OEP、DML−34X、DML−PTBP、DML−PCHP、DML−OCHP、DML−PFP、DML−PSBP、DML−POP、DML−MBOC、DML−MBPC、DML−MTrisPC、DML−BisOC−Z、DML−BisOCHP−Z、DML−BPC、DML−BisOC−P、DMOM−PC、DMOM−PTBP、DMOM−MBPC、TriML−P、TriML−35XL、TML−HQ、TML−BP、TML−pp−BPF、TML−BPE、TML−BPA、TML−BPAF、TML−BPAP、TMOM−BP、TMOM−BPE、TMOM−BPA、TMOM−BPAF、TMOM−BPAP、HML−TPPHBA、HML−TPHAP、HMOM−TPPHBA、HMOM−TPHAP(以上、商品名、本州化学工業(株)から入手可能)、NIKALAC(登録商標) MX−290、NIKALAC MX−280、NIKALAC MX−270、NIKALAC MX−279、NIKALAC MW−100LM、NIKALAC MX−750LM(以上、商品名、(株)三和ケミカルから入手可能)が挙げられる。
これらの化合物の中でも、熱による硬化後に得られた硬化膜の耐熱性の点から、NIKALAC MX−290、NIKALAC MX−280、NIKALAC MX−270、NIKALAC MX−279、NIKALAC MW−100LM、NIKALAC MX−750LMのいずれかから選ばれる化合物であることが、保存安定性の観点から好ましい。
(E)熱架橋剤の含有量は、ポジ型感光性樹脂組成物中のアルカリ可溶性樹脂(A)と一般式(3)で表されるポリシロキサン(B)の総量を100重量部とした場合、硬化膜の高い耐薬品性を得る点から、1.0重量部以上が好ましく、5重量部以上がより好ましい。また、脱ガス量低減の点から、100重量部以下が好ましく、80重量部以下がより好ましい。
本発明のポジ型感光性樹脂組成物は、さらに(F)酸化防止剤を含有することが好ましい。(F)酸化防止剤は、成分の酸化を抑制するために添加される抗酸化物質である。
(F)酸化防止剤を有することで、(A)のアルカリ可溶性樹脂や(B)一般式(3)で表されるポリシロキサンの加水分解、吸水、感光剤由来の酸の拡散による樹脂の酸化や分解を抑制することができるため、低温、高温条件下での伸度の低下を抑制することができる。
本発明のポジ型感光性樹脂組成物に含有される(F)酸化防止剤としては、ベンゾトリアゾール、有機リン、ヒンダードフェノール構造を有する酸化防止剤が挙げられる。この中でも、ヒンダードフェノール構造を有する酸化防止剤は、現像時の溶解性や保存安定性に優れ、高解像度のポジ型感光性樹脂組成物が得られるため好ましい。
ベンゾトリアゾール構造を有する酸化防止剤としては、具体的には、1,2,3−ベンゾトリアゾール(1H−ベンゾトリアゾール)、1H−ベンゾトリアゾールナトリウム塩、4−メチル−1H−ベンゾトリアゾール、5−メチル−1H−ベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール(4−メチル−1H−ベンゾトリアゾールと5−メチル−1H−ベンゾトリアゾールの混合物)、4−メチル−1H−ベンゾトリアゾールカリウム塩、5−メチル−1H−ベンゾトリアゾールカリウム塩、4−メチル−1H−ベンゾトリアゾールアミン塩、5−メチル−1H−ベンゾトリアゾールアミン塩、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール等が挙げられるが、これに限定されない。
有機リンを有する酸化防止剤としては、具体的にはトリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、3,9−ジ(2,4−ジ−tert−ブチルフェノキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ジ(2,4−ジクミルフェノキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、トリス(p−ノニルフェニル)ホスファイト、2,2’,2’’−ニトリロ[トリエチル−トリス[3,3’,5,5’−テトラ−tert−ブチル−1,1’−ビフェニル−2’−ジイル]ホスファイト]、3,9−ジステアリルオキシ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、ジラウリルホスファイト、3,9−ジ[2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノキシ]−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)4,4’−ビス(ジフェニレン)ホスホナイト、ジステアリルペンタエリトリトールジホスファイト、ジイソデシルペンタエリトリトールジホスファイト、2,4,6−トリ−tert−ブチルフェニル−2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールホスファイト、トリステアリルソルビトールトリホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、(2,4,6−トリ−tert−ブチルフェニル)−2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールホスファイト、トリ−イソデシルホスファイトが挙げられるが、これに限定されない。
ヒンダードフェノール構造を有する酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジ−tert−ブチル−4−(4,6−ビス(オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン−2−イルアミノ)フェノール、モノ−t−ブチル−p−クレゾール、モノ−t−ブチル−m−クレゾール、4−t−ブチルカテコール、2,5−ジ−t−ブチルハイドロキノン、2,5−ジ−t−アミルハイドロキノン、プロピルガレード、4,4’−メチレンビス(2,6−t−ブチルフェノール)、4,4’−イソプロピリデンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、ブチルヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、2,6−ジ−t−ブチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、2,4,6−トリ−t−ブチルフェノール、4−ハイドロキシメチル−2,6−ジ−t−ブチル、オクタデシル−3−(4−ハイドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオネート、ジステアリル(4−ハイドロキシ−3−メチル−5−t−ブチル)ベンジルマロネート、6−(4−ハイドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)2,4−ビスオクチルチオ−1,3,5−トリアジン、2,6−ジフェニル−4−オクタデカノキシフェノール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−イソブチリデンビス(4,6−ジメチルフェノール)、2,2’−ジハイドロキシ−3,3’−ジ−(α−メチルシクロヘキシル)−5,5’−ジメチルジフェニルメタン、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−シクロヘキシルフェノール)、トリス〔β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ハイドロキシフェニル)プロピオニルオキシエチル〕イソシアヌレート、1,3,5−トリス(2,6−ジメチル−3−ハイドロキシ−4−t−ブチルベンジル)イソシアヌレート、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ハイドロキシフェノール)イソシアヌレート、1,1,3’−トリス(2−メチル−4−ハイドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、2,6−ビス(2’−ハイドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルベンジル)4−メチルフェノール、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ハイドロキシハイドロシンナメート)、ヘキサメチレングルコールビス〔β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ハイドロキシフェニル)プロピオネート〕、2’,3−ビス[[3−[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル]プロピオニル]]プロピオノヒドラジド、トリエチレングリコールビス〔β−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、テトラキス〔メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ハイドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン、1,3,5−トリス[(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−キシリル)メチル]−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5,−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオンや、下記に例示される構造のものが挙げられるが、これらに限定されない。
Figure 2019101439
Figure 2019101439
Figure 2019101439
Figure 2019101439
(F)酸化防止剤は、単独で、あるいは2種以上組み合わせて含有することができる。酸化防止剤の含有量は、本発明のポジ型感光性樹脂組成物のアルカリ可溶性樹脂(A)と(B)一般式(3)で表されるポリシロキサンの総量を100重量部とした場合、0.1重量部以上が好ましく、さらに好ましくは0.2重量部以上である。この範囲で使用することによって、硬化膜の酸化劣化やを防止することが出きる。また、10重量部以下が好ましく、さらに好ましくは5重量部以下である。この範囲で使用することによって、感光性を損なわずに酸化防止効果が得られる。
本発明のポジ型感光性樹脂組成物から形成された樹脂シートについて説明をする。
本発明のシートとは、本発明のポジ型感光性樹脂組成物を支持体上に塗布し、溶剤を揮発させることが可能な範囲の温度および時間で乾燥し、完全に硬化されていないシート状のものをいう。
支持体は特に限定されないが、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリフェニレンサルファイドフィルム、ポリイミドフィルムなど、通常市販されている各種のフィルムを使用することが可能である。支持体と樹脂組成物との接合面には、密着性と剥離性を向上させるために、シリコーン、シランカップリング剤、アルミキレート剤、ポリ尿素などの表面処理を施してもよい。また、支持体の厚みは特に限定されないが、作業性の観点から、10〜100μmの範囲であることが好ましい。さらに塗布で得られた組成物の膜表面を保護するために、膜表面上に保護フィルムを有してもよい。これにより、大気中のゴミやチリ等の汚染物質から樹脂組成物の表面を保護することができる。
本発明のポジ型感光性樹脂組成物を支持体に塗布する方法としてはスピンナーを用いた回転塗布、スプレー塗布、ロールコーティング、スクリーン印刷、ブレードコーター、ダイコーター、カレンダーコーター、メニスカスコーター、バーコーター、ロールコーター、コンマロールコーター、グラビアコーター、スクリーンコーター、スリットダイコーターなどの方法が挙げられる。また、塗布膜厚は、塗布手法、組成物の固形分濃度、粘度などによって異なるが、通常、乾燥後の膜厚は、0.5μm以上100μm以下であることが好ましい。
乾燥には、オーブン、ホットプレート、赤外線などを使用することができる。
次に、本発明のポジ型感光性樹脂組成物、またはそれを用いて形成されたシートを用いて、基板上にポジ型感光性樹脂組成物のレリーフパターンを形成する方法について説明する。
まずポジ型感光性樹脂組成物樹脂組成物を基板上に塗布する。塗布方法としてはスピナーを用いた回転塗布、スプレー塗布、ロールコーティング、スクリーン印刷などの方法が挙げられる。また、塗布膜厚は、塗布手法、樹脂組成物の固形分濃度および粘度などによって異なるが、通常、乾燥後の膜厚が0.5μm以上100μm以下になるように塗布することが好ましい。次に、ポジ型感光性樹脂組成物を塗布した基板を乾燥して、ポジ型感光性樹脂組成物被膜を得る。乾燥はオーブン、ホットプレート、赤外線などを使用することができる。乾燥温度および乾燥時間は、有機溶剤を揮発させることが可能な範囲であればよく、ポジ型感光性樹脂組成物被膜が未硬化または半硬化状態となるような範囲を適宜設定することが好ましい。具体的には、40〜150℃の範囲で1分から数十分間行うのが好ましい。
一方、シートを用いる場合は、保護フィルムを有するときにはこれを剥離し、シートと基板を対向させ、熱圧着により貼り合わせて、ポジ型感光性樹脂組成物被膜を得る。熱圧着は、熱プレス処理、熱ラミネート処理、熱真空ラミネート処理等によって行うことができる。貼り合わせ温度は、基板への密着性、埋め込み性の点から40℃以上が好ましい。また、感光剤の影響で貼り合わせ時にシートが硬化し、露光・現像工程におけるパターン形成の解像度が悪くなることを防ぐために、貼り合わせ温度は150℃以下が好ましい。
いずれの場合にも、用いられる基板は、シリコンウエハ、セラミックス類、ガリウムヒ素、有機系回路基板、無機系回路基板、およびこれらの基板に回路の構成材料を配置したものなどが挙げられるが、これらに限定されない。有機系回路基板の例としては、ガラス布・エポキシ銅張積層板などのガラス基板銅張積層板、ガラス不織布・エポキシ銅張積層板などのコンポジット銅張積層板、ポリエーテルイミド樹脂基板、ポリエーテルケトン樹脂基板、ポリサルフォン系樹脂基板などの耐熱・熱可塑性基板、ポリエステル銅張フィルム基板、ポリイミド銅張フィルム基板などのフレキシブル基板が挙げられる。また、無機系回路基板の例は、アルミナ基板、窒化アルミニウム基板、炭化ケイ素基板などのセラミック基板、アルミニウムベース基板、鉄ベース基板などの金属系基板が挙げられる。回路の構成材料の例は、銀、金、銅などの金属を含有する導体、無機系酸化物などを含有する抵抗体、ガラス系材料および/または樹脂などを含有する低誘電体、樹脂や高誘電率無機粒子などを含有する高誘電体、ガラス系材料などを含有する絶縁体などが挙げられる。
次に、上記方法によって形成されたポジ型感光性樹脂組成物被膜上に、パターンを形成する。ポジ型感光性樹脂組成物被膜上に、フォトレジストなどの感光性樹脂組成物をさらに塗布するか、ポジ型感光性樹脂組成物に感光剤が含まれている場合は、直接、所望のパターンを有するマスクを通して化学線を照射し、露光する。露光に用いられる化学線としては紫外線、可視光線、電子線、X線などがあるが、本発明では水銀灯のi線(365nm)、h線(405nm)、g線(436nm)などの紫外線を用いるのが好ましい。シートにおいて、支持体がこれらの光線に対して透明な材質である場合は、シートから支持体を剥離せずに露光を行うこともできる。
パターンを形成するには、露光後、現像液を用いて露光部を除去する。現像液としては、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、ジエタノールアミン、ジエチルアミノエタノール、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、トリエチルアミン、ジエチルアミン、メチルアミン、ジメチルアミン、酢酸ジメチルアミノエチル、ジメチルアミノエタノール、ジメチルアミノエチルメタクリレート、シクロヘキシルアミン、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなどのアルカリ性を示す化合物の水溶液が好ましい。また場合によっては、これらのアルカリ水溶液にN−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、ジメチルアクリルアミドなどの極性溶媒、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール類、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのエステル類、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、イソブチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類などを単独あるいは数種を組み合わせたものを添加してもよい。
現像は上記の現像液を被膜面にスプレーする、現像液中に浸漬する、あるいは浸漬しながら超音波をかける、基板を回転させながら現像液をスプレーするなどの方法によって行うことができる。現像時間や現像回数、現像液の温度といった各種の条件は、所望のパターンを呈する条件であれば特に限定されない。
現像後は水にてリンス処理をすることが好ましい。ここでもエタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール類、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのエステル類などを水に加えてリンス処理をしてもよい。
現像後、150℃〜500℃の温度を加えて熱架橋反応を進行させ、耐熱性および耐薬品性を向上させる。この加熱処理は温度を選び、段階的に昇温するか、ある温度範囲を選び連続的に昇温しながら5分間〜5時間実施する。一例としては、130℃、200℃で各30分ずつ熱処理する。あるいは室温より400℃まで2時間かけて直線的に昇温するなどの方法が挙げられる。本発明においてのキュア条件としては170℃以上400℃以下が好ましく、180℃以上300℃以下がより好ましい。
硬化膜の膜厚は、任意に設定することができるが、0.5μm以上100μm以下であることが好ましいが特に制限されない。
次に本発明のポジ型感光性樹脂組成物を用いて形成された硬化膜を有する半導体装置について説明する。なお近年は様々な構造の半導体装置が提案されており、本発明のポジ型感光性樹脂組成物の用途は以下に限定されるものではない。
本発明のポジ型感光性樹脂組成物を用いて形成された硬化膜は、前記の工程を経て形成され、半導体保護膜、層間絶縁膜として好適に使用することができる。また、本発明でいう半導体装置とは半導体素子そのもの、またはそれを基板に接続したものや、半導体素子同士または基板同士を接続したものだけでなく、半導体素子の特性を利用することで機能しうる装置全般を指し、電気光学装置、半導体回路基板及びこれらを含む電子部品は全て半導体装置に含まれる。
本発明のポジ型感光性樹脂組成物または樹脂シートを、硬化してなる硬化膜や硬化膜のレリーフパターンは、次のように用いることができる。
すなわち、駆動回路上の平坦化層および第1電極上の少なくともいずれかに配置された、有機EL表示装置として用いることができる。
また、再配線間の層間絶縁膜として配置された、半導体電子部品または半導体装置として用いることができる。
また、シリコンチップが配置された封止樹脂基板上に、再配線間の層間絶縁膜として配置された、半導体電子部品または半導体装置として用いることができる。
さらには、2種以上の材質で構成される隣接する基板の層間絶縁膜として配置された、半導体電子部品または半導体装置として用いることができる。
本発明の樹脂組成物または樹脂シートを、硬化してなる硬化膜や硬化膜のレリーフパターンを半導体電子部品または半導体装置に用いるにおいて、具体的には、半導体のパッシベーション膜、半導体素子の表面保護膜、層間絶縁膜、高密度実装用多層配線の層間絶縁膜、有機電界発光素子の絶縁層などの用途に好適に用いられる。無論これに制限されず、様々な構造をとることができる。
以下に、本発明を実施例に基づいて具体的に説明する。
以下、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。まず、各実施例および比較例における評価方法について説明する。あらかじめ孔径1μmのポリテトラフルオロエチレン製のフィルター(住友電気工業(株)製)で濾過したポジ型感光性樹脂組成物(以下ワニスと呼ぶ)を用い、以下の評価を実施した。
(1)膜物性評価
(1)−1 評価用硬化膜の作製
ワニスを8インチのシリコンウエハ上に、120℃で3分間のプリベーク後の膜厚が11μmとなるように塗布現像装置ACT−8(東京エレクトロン(株)製)を用いてスピンコート法で塗布およびプリベークした後、イナートオーブンCLH−21CD−S(光洋サーモシステム(株)製)を用いて、窒素雰囲気下にて酸素濃度20ppm以下で3.5℃/分で110℃まで昇温し、30分間保持した後、3.5℃/分で250℃まで昇温し、1時間加熱処理を行なった。温度が50℃以下になったところでウエハを取り出し、硬化膜(a)を作製した。
さらに、この硬化膜(a)を窒素気流下の175℃の熱風オーブンにて200時間保持し、高温保持試験を行い、硬化膜(b)を作製した。
(1)−2 膜物性の測定
(1)−1にて作製した硬化膜(a)および硬化膜(b)を、45重量%のフッ化水素酸に5分間浸漬することで、ウエハより硬化膜を剥がした。この膜を幅1.5cm、長さ2cmの短冊状に切断し、伸度測定用のサンプルを作製した。
硬化膜(a)および(b)から作製したサンプルを、テンシロンRTM−100((株)オリエンテック製)を用いて、室温23.0℃、湿度45.0%RH下で引張速度50mm/分で引っ張り、室温23.0℃における破断点伸度の測定を行なった。
また、硬化膜(a)については、インストロン5582((株)インストロン製)を用いて、−55℃下にて引張速度5.0mm/分で引っ張り、低温下での破断点伸度の測定も行なった。
測定は、それぞれの温度条件において、1検体につき10枚の短冊について行ない、それぞれの結果における上位5点の平均値を求めた。硬化膜(a)の室温での破断点伸度(a−1)を100%とした場合に対して、硬化膜(b)の破断点伸度(b−1)および、硬化膜(a)の低温での破断点伸度(a−2)の値が、70%以上のものを非常に良好(A)、50%以上70%未満のものを良好(B)、40%以上50%未満のものを可(C)、40%未満のものを不十分(D)とした。この評価において、高い評価の材料ほど、高温、低温での使用条件における劣化が少なく耐久性の高い材料であるといえる。
(2)感度評価
<現像膜の作製>
8インチシリコンウエハ上にワニスを回転塗布し、次いで、120℃のホットプレート(東京エレクトロン(株)製の塗布現像装置Act−8を使用)で3分間ベークし、平均厚さ10μmのプリベーク膜を作製した。この膜を、露光機i線ステッパーを用いて0〜1000mJ/cmの露光量にて10mJ/cmステップで露光した。露光後、2.38重量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液(三菱ガス化学(株)製、ELM−D)で90秒間現像し、ついで純水でリンスして、現像膜を得た。
<感度の算出>
前記の方法で得た現像膜のパターンをFDP顕微鏡MX61(オリンパス(株)社製)を用いて倍率20倍で観察し、マスクサイズが200μmのラインパターンが開口するための最低必要露光量Ethを求め、これを感度とした。Ethが350mJ/cm未満のものを非常に良好(A)、Ethが350mJ/cm以上500mJ/cm未満のものを良好(B)、500mJ/cm以上および残渣が残って開口しなかったものを不良(C)とした。
[合成例1]シロキサン骨格を有するジアミン(化合物(1))の合成
Figure 2019101439
乾燥窒素気流下2,4,6,8−テトラメチルシクロテトラシロキサン(東京化成工業(株)製)12.0g(50mmol)、Karstedt触媒(Aldrich(株)製)0.05gをトルエン(和光純薬工業(株)製)50gに溶解させ、60℃に昇温した。ここにp−tert−ブトキシスチレン(和光純薬工業(株)製)35.3g(200mmol)を40分かけて滴下した。滴下終了後、90℃で8時間撹拌した。その後、ロータリーエバポレーターでトルエンを留去し、得られた粘性オイルをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 ヘキサン:酢酸エチル=2:1)で精製し、薄黄色オイル44.6gを得た(中間体(1))
乾燥窒素気流下、中間体(1)44.6g(47.1mmol)に1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン(信越化学(株)製)12.8g(51.8mmol)、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド5水和物(東京化成工業(株)製)0.7g(4.0mmol)、メタノール(和光純薬工業(株)製)1.3gを加え、70℃で6時間撹拌した、その後、145℃に昇温し2時間撹拌した。その後、真空蒸留にて、未反応の1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサンを留去し、透明オイル25.0g(中間体(2))を得た。
乾燥窒素気流下、ギ酸(和光純薬工業(株)製)30gに中間体(2)を加え、40℃にて5時間撹拌した。反応終了後、残ったギ酸をロータリーエバポレーターで留去し、得られた粘性液体を酢酸エチルに溶解し、炭酸水素ナトリウム水溶液、続いて蒸留水で洗浄して硫酸マグネシウムで乾燥した。ロータリーエバポレーターで酢酸エチルを留去し、シロキサン骨格を有するジアミン(化合物1)19.8gを得た。
H−NMR分析結果は次の通りであり、化合物(1)であることを確認した。
H−NMR(CDCl(d=ppm)):0.09−0.20(s,24H),0.58−0.63(m,4H),0.95−0.99(m,8H),1.40−1.50(m,8H),2.50−2.60(m,8H),2.68(m,4H),6.60−6.68(d,8H),6.95−7.00(d,8H),9.06(s,4H)。
[合成例2]シロキサン骨格を有するジアミン(化合物(2))の合成
Figure 2019101439
窒素気流下、4−ブロモ−2−フルオロフェノール(和光純薬工業(株)製)38.2g(0.200mmol)と[1,1‘−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリド(Aldrich(株)製)3.0g(4.0mmol)を乾燥テトラヒドロフラン(和光純薬工業(株)製)200mlに溶解した。溶液を撹拌しながら−78℃に冷却し、ここにビニルマグネシウムブロミドの1.0Mテトラヒドロフラン溶液(東京化成工業(株)製)400mlをゆっくり滴下した。滴下終了後−78℃にて30分撹拌し、その後1時間かけて室温まで昇温し、さらに60℃にて2時間加熱還流を行った。反応溶液を室温まで戻した後に、1Nの塩酸を加えて撹拌し、反応をクエンチした。反応溶液をジクロロメタンで抽出し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した。その後、溶媒をロータリーエバポレーターで留去し、さらにヘキサン/ジエチルエーテルの混合溶媒から再結晶して、中間体(3)20.0gを得た。
乾燥窒素気流下2,4,6,8−テトラメチルシクロテトラシロキサン(東京化成工業(株)製)7.2g(30mmol)、Karstedt触媒(Aldrich(株)製)0.04gをトルエン(和光純薬工業(株)製)40gに溶解させ、60℃に昇温した。ここに中間体(3)11.5g(120mmol)を40分かけて滴下した。滴下終了後、90℃で6時間撹拌した。その後、ロータリーエバポレーターでトルエンを留去し、得られた粘性オイルをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 ヘキサン:酢酸エチル=3:1)で精製し、薄黄色オイル25.0gを得た(中間体(4))
乾燥窒素気流下、中間体(4)23.5g(47.1mmol)に1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン(信越化学(株)製)12.8g(51.8mmol)、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド5水和物(東京化成工業(株)製)0.7g(4.0mmol)、メタノール(和光純薬工業(株)製)1.3gを加え、70℃で6時間撹拌した、その後、145℃に昇温し2時間撹拌した。その後、真空蒸留にて、未反応の1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサンを留去し、シロキサン骨格を有するジアミン(化合物(2))を得た。
H−NMR分析結果は次の通りであり、化合物(2)であることを確認した。
H−NMR(CDCl(d=ppm)):0.10−0.18(s,24H),0.59−0.64(m,4H),0.95−0.98(m,8H),1.45−1.51(m,8H),2.49−2.55(m,8H),2.68(m,4H),6.70−6.79(m,12H),9.00(s,4H)。
[合成例3]シロキサン骨格を有するジアミン(化合物(3))の合成
Figure 2019101439
乾燥窒素気流下2,4,6,8−テトラメチルシクロテトラシロキサン(東京化成工業(株)製)12.0g(50mmol)、Karstedt触媒(Aldrich(株)製)0.05gをトルエン(和光純薬工業(株)製)50gに溶解させ、60℃に昇温した。ここにp−tert−ブトキシスチレン(和光純薬工業(株)製)26.4g(150mmol)とスチレン(和光純薬工業(株)製)5.2g(50mmol)を40分かけて滴下した。滴下終了後、90℃で8時間撹拌した。その後、ロータリーエバポレーターでトルエンを留去し、得られた粘性オイルをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 ヘキサン:酢酸エチル=2:1)で精製し、薄黄色オイル40.5gを得た(中間体(5))。
乾燥窒素気流下、中間体(5)40.5g(46.4mmol)に1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン(信越化学(株)製)12.6g(51mmol)、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド5水和物(東京化成工業(株)製)0.7g(4.0mmol)、メタノール(和光純薬工業(株)製)1.3gを加え、70℃で6時間撹拌した、その後、145℃に昇温し2時間撹拌した。その後、真空蒸留にて、未反応の1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサンを留去し、透明オイル23.0g(中間体(6))を得た。
乾燥窒素気流下、ギ酸(和光純薬工業(株)製)30gに中間体(6)を加え、40℃にて5時間撹拌した。反応終了後、残ったギ酸をロータリーエバポレーターで留去し、得られた粘性液体を酢酸エチルに溶解し、炭酸水素ナトリウム水溶液、続いて蒸留水で洗浄して硫酸マグネシウムで乾燥した。ロータリーエバポレーターで酢酸エチルを留去し、シロキサン骨格を有するジアミン(化合物(3))17.5gを得た。
H−NMR分析結果は次の通りであり、化合物(3)であることを確認した。
H−NMR(CDCl(d=ppm)):0.11−0.20(s,24H),0.61(m,4H),0.95−0.99(m,8H),1.38−1.50(m,8H),2.51−2.55(m,8H),2.65−2.69(m,4H),6.68−6.70(d,6H),6.95−7.00(d,6H)7.18−7.22(m,5H),9.00(s,4H)。
[合成例4]シロキサン骨格を有するジアミン(化合物(4))の合成
Figure 2019101439
乾燥窒素気流下、中間体(1)22.3g(23.5mmol)に1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン(信越化学(株)製)3.2g(13mmol)、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド5水和物(東京化成工業(株)製)0.2g(1.0mmol)、メタノール(和光純薬工業(株)製)1.0gを加え、70℃で6時間撹拌した、その後、145℃に昇温し2時間撹拌した。その後、真空蒸留にて、未反応の1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサンを留去し、透明オイル12.0g(中間体(7))を得た。
乾燥窒素気流下、ギ酸(和光純薬工業(株)製)20gに中間体(7)を加え、40℃にて5時間撹拌した。反応終了後、残ったギ酸をロータリーエバポレーターで留去し、得られた粘性液体を酢酸エチルに溶解し、炭酸水素ナトリウム水溶液、続いて蒸留水で洗浄して硫酸マグネシウムで乾燥した。ロータリーエバポレーターで酢酸エチルを留去し、シロキサン骨格を有するジアミン(化合物(4))10.2gを得た。
H−NMR分析結果は次の通りであり、化合物(4)であることを確認した。
H−NMR(CDCl(d=ppm)):0.08−0.18(s,35H),0.55−0.60(m,4H),0.94−0.99(m,16H),1.42−1.50(m,8H),2.50−2.60(m,16H),2.66−2.70(m,4H),6.61−6.67(d,16H),6.94−7.00(d,16H),9.00(s,8H)。
[合成例5]シロキサン骨格を有するジアミン(化合物(5))の合成
Figure 2019101439
乾燥窒素気流下、中間体(1).22.3g(23.5mmol)に1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン(信越化学(株)製)2.1g(8.7mmol)、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド5水和物(東京化成工業(株)製)0.2g(1.0mmol)、メタノール(和光純薬工業(株)製)1.0gを加え、70℃で6時間撹拌した、その後、145℃に昇温し2時間撹拌した。その後、真空蒸留にて、未反応の1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサンを留去し、透明オイル12.0g(中間体(8))を得た。
乾燥窒素気流下、ギ酸(和光純薬工業(株)製)20gに中間体(8)を加え、40℃にて5時間撹拌した。反応終了後、残ったギ酸をロータリーエバポレーターで留去し、得られた粘性液体を酢酸エチルに溶解し、炭酸水素ナトリウム水溶液、続いて蒸留水で洗浄して硫酸マグネシウムで乾燥した。ロータリーエバポレーターで酢酸エチルを留去し、シロキサン骨格を有するジアミン(化合物(5))9.5gを得た。
H−NMR分析結果は次の通りであり、化合物(5)であることを確認した。
H−NMR(CDCl(d=ppm)):0.06−0.20(s,49H),0.54−0.60(m,4H),0.93−0.99(m,24H),1.43−1.49(m,8H),2.50−2.58(m,24H),2.65−2.68(m,4H),6.61−6.67(d,24H),6.94−7.01(d,24H),9.01(s,12H)。
[合成例6]シロキサン骨格を有するジアミン(化合物(6))の合成
Figure 2019101439
乾燥窒素気流下、撹拌機、還流冷却器、滴下ろうとを備えた4つ口フラスコに、マグネシウム(和光純薬工業(株)製)5.1g(0.21mol)と乾燥テトラヒドロフラン(和光純薬工業(株)製、以降THF)200mLを加え40℃に温度を昇温した。次いで開始剤として1,2−ジブロモエタン(和光純薬工業(株)製)を少量加えた後、1−ブロモ−4−tertブトキシベンゼン(和光純薬工業(株)製)45.6g(0.2mol)を40〜45℃の範囲で滴下し、さらに1時間撹拌し、4−tertブトキシフェニルマグネシウムブロミドのTHF懸濁液を得た。
窒素気流下、トリエトキシ(メチル)シラン(東京化成工業(株)製)71.2g(0.4mol)を乾燥THF200mlに溶解し、0℃に冷却した。ここに、4−tertブトキシフェニルマグネシウムブロミドのTHF懸濁液全量を45分かけて滴下した。滴下終了後さらに一晩撹拌した。生成したマグネシウム塩を除去後、ロータリーエバポレーターにてTHFを留去し、さらに真空蒸留にて未反応のトリエトキシ(メチル)シランおよび、1−ブロモ−4−tert−ブトキシベンゼンを除去し、4−tert−ブトキシフェニルジエトキシメチルシランを45g得た。
さらに窒素気流下4−tert−ブトキシフェニルジエトキシメチルシランにギ酸を加えて3時間撹拌し、その後、ロータリーエバポレーターでギ酸を留去し、4−((ジエトキシメチル)シリル)フェノール35.5gを得た。
4−((ジエトキシメチル)シリル)フェノール18g(0.08mol)と3−アミノプロピルジエトキシメチルシラン(東京化成工業(株)製)3.22g(0.02mol)をN−メチルピロリドン(三菱化学(株)製、以降NMP)31.8gに溶解し、40℃に昇温した。ここに蒸留水0.4gを加えて70℃に昇温して30分撹拌し、その後110℃に昇温して2時間撹拌した。反応溶液を室温まで冷却し、ロータリーエバポレーターで、低沸点の脱離成分を留去し化合物(6)のNMP溶液を得た。
重量平均分子量を測定した結果、化合物(6)中におけるシロキサン構造の平均の繰り返し数nは6であった。
[合成例7]アルカリ可溶性樹脂(A−1)の合成
乾燥窒素気流下、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン(JFEケミカル(株)製、以降BAHF)25.5g(0.07mol)、化合物(1)19.4g(0.02mol)、および末端封止剤として、4−アミノフェノール(東京化成工業(株)製)2.18g(0.02mol)をNMP239gに溶解させた。ここにビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物(マナック(株)製、以降ODPA)31.02g(0.1モル)をNMP20gとともに加えて、20℃で1時間反応させ、次いで50℃で4時間反応させた。その後、190℃で2時間撹拌した。撹拌終了後、放冷し、溶液を水3Lに投入して白色沈殿を得た。この沈殿を濾過で集めて、水で3回洗浄した後、80℃の真空乾燥機で20時間乾燥し、アルカリ可溶性ポリイミド樹脂(A−1)の粉末を得た。H−NMRからこの樹脂の全ジアミン残基100モル%における化合物(1)由来の残基の割合を算出したところ、22モル%であった。
[合成例8]アルカリ可溶性樹脂(A−2)の合成
化合物(1)を化合物(2)とした以外は合成例(7)と同様にして、アルカリ可溶性ポリイミド樹脂(A−2)の粉末を得た。H−NMRからこの樹脂の全ジアミン残基100モル%における化合物(2)由来の残基の割合を算出したところ、23モル%であった。
[合成例9]アルカリ可溶性樹脂(A−3)の合成
化合物(1)を化合物(3)とした以外は合成例(7)と同様にして、アルカリ可溶性ポリイミド樹脂(A−3)の粉末を得た。H−NMRからこの樹脂の全ジアミン残基100モル%における化合物(3)由来の残基の割合を算出したところ、22モル%であった。
[合成例10]アルカリ可溶性樹脂(A−4)の合成
化合物(1)を化合物(4)とした以外は合成例(7)と同様にして、アルカリ可溶性ポリイミド樹脂(A−4)の粉末を得た。H−NMRからこの樹脂の全ジアミン残基100モル%における化合物(4)由来の残基の割合を算出したところ、19モル%であった。
[合成例11]アルカリ可溶性樹脂(A−5)の合成
化合物(1)を化合物(5)とした以外は合成例(7)と同様にして、アルカリ可溶性ポリイミド樹脂(A−5)の粉末を得た。H−NMRからこの樹脂の全ジアミン残基100モル%における化合物(5)由来の残基の割合を算出したところ、17モル%であった。
[合成例12]アルカリ可溶性樹脂(A−6)の合成
乾燥窒素気流下、ODPA31.02g(0.1mol)をNMP195gに溶解させた。ここに4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(和歌山精化(株)製、以後4,4‘−DAE)11.01g(0.06mol)と化合物(1)19.3g(0.02mol)をNMP15gとともに加えて、20℃で1時間反応させ、次いで50℃で2時間反応させた。次に末端封止剤として4−アミノフェノール4.37g(0.04モル)をNMP10gとともに加え、50℃で2時間反応させた。その後、N,N−ジメチルホルムアミドジメチルアセタール(三菱レイヨン(株)製)21.45g(0.18mol)をNMP20gで希釈した溶液を10分かけて滴下した。滴下後、50℃で3時間撹拌した。撹拌終了後、溶液を室温まで冷却した後、溶液を水3Lに投入して白色沈殿を得た。この沈殿を濾過で集めて、水で3回洗浄した後、50℃の真空乾燥機で20時間乾燥し、ポリアミド酸エステル(ポリイミド前駆体)(A−6)の粉末を得た。H−NMRからこの樹脂の全ジアミン残基100モル%における化合物(1)由来の残基の割合を算出したところ、25モル%であった。
[合成例13]アルカリ可溶性樹脂(A−7)の合成
乾燥窒素気流下、BAHF14.6g(0.04mol)、化合物(1)9.69g(0.01mol)をNMP50gおよびグリシジルメチルエーテル(和光純薬工業(株)製)26.4g(0.3mol)に溶解させ、溶液の温度を−15℃まで冷却した。ここにジフェニルエーテルジカルボン酸ジクロリド(日本農薬(株)製)14.7g(0.050mol)をγ−ブチロラクトン25gに溶解させた溶液を、反応系内の温度が0℃を越えないように滴下した。滴下終了後、6時間−15℃で撹拌を続けた。反応終了後、溶液をメタノールを10重量%含んだ水3Lに投入して白色の沈殿を析出させた。この沈殿をろ過で集めて、水で3回洗浄した後、50℃の真空乾燥機で72時間乾燥し、アルカリ可溶性のポリベンゾオキサゾール前駆体(A−7)を得た。H−NMRからこの樹脂の全ジアミン残基100モル%における化合物(1)由来の残基の割合を算出したところ、20モル%であった。
[合成例14]アルカリ可溶性樹脂(A−8)の合成
190℃での加熱時間を1時間とした以外は合成例(7)と同様にして、ポリイミド、ポリアミド酸共重合樹脂(A−8)の粉末を得た。H−NMRからこの樹脂の全ジアミン残基100モル%における化合物(1)由来の残基の割合を算出したところ、22モル%であった。また、IR測定において、イミドのC−N伸縮振動である1360cm−1のピーク強度をアルカリ可溶性ポリイミド樹脂(A−1)のピーク強度と比較し、イミド化率を算出したところ、イミド化率は75%であった。
[合成例15]アルカリ可溶性樹脂(A−9)の合成
化合物(1)を化合物(6)とした以外は合成例(7)と同様にして、アルカリ可溶性ポリイミド樹脂(A−9)の粉末を得た。H−NMRからこの樹脂の全ジアミン残基100モル%における化合物(1)由来の残基の割合を算出したところ、18モル%であった。
[合成例16]アルカリ可溶性樹脂(A−10)の合成
BAHFを29.2g(0.08mol)、化合物(1)2.41g(0.01mol)とした以外は合成例(7)と同様にして、アルカリ可溶性ポリイミド樹脂(A−11)の粉末を得た。H−NMRからこの樹脂の全ジアミン残基100モル%における化合物(1)由来の残基の割合を算出したところ、8モル%であった。
[合成例17]アルカリ可溶性樹脂(A−11)の合成
BAHFを16.4g(0.045mol)、化合物(1)10.84g(0.045mol)とした以外は合成例(7)と同様にして、アルカリ可溶性ポリイミド樹脂(A−11)の粉末を得た。H−NMRからこの樹脂の全ジアミン残基100モル%における化合物(1)由来の残基の割合を算出したところ、44モル%であった。
[合成例18]アルカリ可溶性樹脂(A−12)の合成
化合物(1)を平均アミン価430の両末端3−アミノプロピルジメチルポリシロキサンであるKF8010(信越シリコーン(株)製)16.8g(0.02mol)とした以外は合成例(7)と同様にして樹脂の合成を行ったところ、反応溶液が懸濁したままで重合が進まなかった。
[合成例19]アルカリ可溶性樹脂(A−13)の合成
化合物(1)をKF8010 8.41g(0.01mol)、BAHFを29.2g(0.08mol)とした以外は合成例(7)と同様にして、アルカリ可溶性ポリイミド樹脂(A−13)を得た。H−NMRからこの樹脂の全ジアミン残基100モル%におけるKF8010由来の残基の割合を算出したところ、10モル%であった。
[合成例20]アルカリ可溶性樹脂(A−14)の合成
BAHFを31.0(0.085mol)、化合物(1)1.20g(0.005mol)とした以外は合成例(7)と同様にして、アルカリ可溶性ポリイミド樹脂(A−14)の粉末を得た。H−NMRからこの樹脂の全ジアミン残基100モル%における化合物(1)由来の残基の割合を算出したところ、3モル%であった。
[合成例21]アルカリ可溶性樹脂(A−15)の合成
BAHFを12.8(0.035mol)、化合物(1)13.2g(0.055mol)とした以外は合成例(7)と同様にして、アルカリ可溶性ポリイミド樹脂(A−15)の粉末を得た。H−NMRからこの樹脂の全ジアミン残基100モル%における化合物(1)由来の残基の割合を算出したところ、57モル%であった。
[合成例22]アルカリ可溶性樹脂(A−16)の合成
BAHFを32.9g(0.09mol)とし、化合物(1)を使用しなかったこと以外は合成例(7)と同様にして、アルカリ可溶性ポリイミド樹脂(A−16)の粉末を得た。
[合成例23]アルカリ可溶性樹脂(A−17)の合成
化合物(1)をBAHF7.3g(0.02mol)とした以外は合成例(12)と同様にして、ポリアミド酸エステル(ポリイミド前駆体)(A−17)の粉末を得た。
[合成例24]アルカリ可溶性樹脂(A−18)の合成
化合物(1)使用せず、BAHFを18.3g(0.05mol)とした以外は合成例(13)と同様にして、ポリベンゾオキサゾール前駆体(A−18)の粉末を得た。
[合成例25]アルカリ可溶性樹脂(A−19)の合成
化合物(1)をBAHF7.3g(0.02mol)とした以外は合成例14と同様にして、ポリイミド、ポリアミド酸共重合樹脂(A−19)の粉末を得た。IR測定において、イミドのC−N伸縮振動である1360cm−1のピーク強度をアルカリ可溶性ポリイミド樹脂(A−16)のピーク強度と比較し、イミド化率を算出したところ、イミド化率は70%であった。
[合成例26]アルカリ可溶性樹脂(A−20)の合成
化合物(1)を化合物(2)とした以外は、合成例13と同様の方法にて、ポリベンゾオキサゾール前駆体の粉末を得た。さらにこの粉末を50mlのNMPに溶解し、乾燥窒素気流下、190℃にて2時間加熱撹拌した。撹拌終了後、放冷し、溶液を水3Lに投入して白色沈殿を得た。この沈殿を濾過で集めて、水で3回洗浄した後、50℃の真空乾燥機で72時間乾燥し、アルカリ可溶性のポリベンゾオキサゾール(A−20)を得た。H−NMRからこの樹脂の全ジアミン残基100モル%における化合物(2)由来の残基の割合を算出したところ、20モル%であった。
[合成例27]アルカリ可溶性樹脂(A−21)の合成
190℃での加熱撹拌時間を1時間とした以外は、合成例26と同様の方法にてポリベンゾオキサゾール、ポリベンゾオキサゾール前駆体の共重合樹脂粉末を得た。H−NMRからこの樹脂の全ジアミン残基100モル%における化合物(2)由来の残基の割合を算出したところ、21モル%であった。また、IR測定において、オキサゾールのC−O伸縮振動である1050cm−1のピーク強度をアルカリ可溶性ポリベンゾオキサゾール樹脂(A−20)のピーク強度と比較し、オキサゾール化率を算出したところ、オキサゾール化率は60%であった。
[合成例28]ポリシロキサン(B−1)の合成
Figure 2019101439
乾燥窒素気流下、フタル酸(和光純薬工業(株)製)14.8g(0.1mol)をジクロロメタン(和光純薬工業(株)製)100mlに溶解し、10℃に冷却した。ここにジクロロメタン100mlに溶解した3−アミノプロピルジエトキシメチルシラン(信越化学(株)製、製品名、KBE−902)19.1g(0.1mol)を滴下し、10℃で1.5時間、その後室温に戻して4時間撹拌した。ロータリーエバポレーターで溶媒を留去し、透明オイル(中間体9)33.4gを得た。
中間体(9)13.6g(40mmol)をガンマブチロラクトン(以後、GBL)15gに溶解し、40℃に昇温した。ここに蒸留水2.1gを加えて70℃に昇温して30分撹拌し、その後110℃に昇温して2時間撹拌した。反応溶液を室温まで冷却し、ロータリーエバポレーターで、低沸点の脱離成分を留去しポリシロキサン(B−1)のGBL溶液を得た。
[合成例29]ポリシロキサン(B−2)の合成
Figure 2019101439
乾燥窒素気流下、4−ヒドロキシ安息香酸(和光純薬工業(株)製)15.1g80.11mol)、KBE−902 19.1g(0.1mol)をジクロロメタン50gに溶解し、10℃に冷却した。ここに、ジクロロメタン10gに溶解した、1−エチル−3−(3ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(東京化成工業(株)製)21.1g(0.11mol)を滴下した。反応溶液を10℃にて1時間、さらに室温にて2時間撹拌した。反応溶液を蒸留水で分液洗浄し、有機溶媒を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、ロータリーエバポレーターで溶媒を留去し、中間体(10)30.5gを得た。
中間体(10)4.6g(15mmol)をGBL8gに溶解し、40℃に昇温した。ここに蒸留水0.8gを加えて70℃に昇温して30分撹拌し、その後110℃に昇温して2時間撹拌した。反応溶液を室温まで冷却し、ロータリーエバポレーターで、低沸点の脱離成分を留去し、ポリシロキサン(B−2)のGBL溶液を得た。
[合成例30]ポリシロキサン(B−3)の合成
中間体(10)9.2g(30mmol)、ジメチルジエトキシシラン(信越化学(株)製)2.9g(20mmol)をガンマブチロラクトン35gに溶解し、40℃に昇温した。ここに蒸留水0.8gを加えて70℃に昇温して30分撹拌し、その後110℃に昇温して2時間撹拌した。反応溶液を室温まで冷却し、ロータリーエバポレーターで、低沸点の脱離成分を留去し、ポリシロキサン(B−3)のGBL溶液を得た。H−NMRから、この樹脂における中間体(2)由来の残基とジメチルジエトキシシラン由来の残基の含有率を算出したところ、55モル%:45モル%であった。
[合成例31]ポリシロキサン(B−4)の合成
合成例6で合成した、4−((ジエトキシ(メチル))シリル)フェノール9.1g(40mmol)をGBL15gに溶解し、40℃に昇温した。ここに蒸留水2.1gを加えて70℃に昇温して30分撹拌し、その後110℃に昇温して2時間撹拌した。反応溶液を室温まで冷却し、ロータリーエバポレーターで、低沸点の脱離成分を留去し、ポリシロキサン(B−4)のGBL溶液を得た。
[合成例32]ポリシロキサン(B−5)の合成
中間体(10)を7.3g(24mmol)、ジメチルジエトキシシランを3.8g(26mmol)とした以外は合成例(28)と同様にして、ポリシロキサン(B−5)のGBL溶液を得た。H−NMRから、この樹脂における中間体(2)由来の残基とジメチルジエトキシシラン由来の残基の含有率を算出したところ、46モル%:54モル%であった。
[合成例33] ナフトキノンジアジド化合物(C−1)の合成
乾燥窒素気流下、TrisP−PA(商品名、本州化学工業(株)製)21.23g(0.05mol)と5−ナフトキノンジアジドスルホニル酸クロリド37.62g(0.14mol)を1,4−ジオキサン450gに溶解させ、室温にした。ここに、1,4−ジオキサン50gと混合させたトリエチルアミン15.58g(0.154mol)を系内が35℃以上にならないように滴下した。滴下後30℃で2時間攪拌した。トリエチルアミン塩を濾過し、濾液を水に投入させた。その後、析出した沈殿を濾過で集めた。この沈殿を真空乾燥機で乾燥させ、下記構造のナフトキノンジアジド化合物(C−1)を得た。
Figure 2019101439
実施例1〜22、比較例1〜11
以下の表1および表2に示す量で各成分をGBL10gに溶解してワニスを調製し、これらの特性を上記評価方法により測定した。得られた結果を表1および表2に示す。
Figure 2019101439
Figure 2019101439
[実施例1〜3、比較例1〜3]
既閉環ポリイミド樹脂であるアルカリ可溶性樹脂(A−9)を使用することで、比較例1〜3と比較して初期伸度の向上および、低温、高温での伸度保持率が向上する結果が得られた。また、架橋剤(D−1)を加えることで伸度がさらに向上し、酸化防止剤(E−1)を加えることで高温保持後の伸度保持率がより良好な結果が得られた。
[実施例4〜5、比較例4〜5]
アルカリ可溶性樹脂(A)中におけるシロキサンジアミンユニットの比率の異なる樹脂(A−10)および(A−11)にて評価を行ったところ、実施例3と比較してシロキサンジアミンユニットの比率が少ない場合、低温での伸度保持率は十分高いことに加えて、高温保持後の伸度保持率も高い結果が得られた。一方、シロキサンジアミンユニットの割合が多い場合、低温における伸度保持率が非常に高く、また、感度もより良好である結果が得られた。また、シロキサンジアミンユニットの比率が5モル%未満である(A−14)を用いた場合は、低温、高温における伸度保持率がどちらも低く、シロキサンユニットの効果が得られていないことが分かった。また、シロキサンジアミンユニットの比率が50モル%以上である(A−15)を用いた場合、高温保持後の硬化膜が白濁し、剥離ができなかった。
[実施例6]
既閉環ポリイミド樹脂であるアルカリ可溶性樹脂(A−2)を使用することで、比較例3と比較して、初期伸度の向上および、低温、高温での伸度保持率が向上する結果が得られた。また、実施例3と比較して、シロキサンユニットの熱安定性が向上する効果から、高温保持後の伸度保持率がより良好な結果となった。
[実施例7〜10]
アルカリ可溶性樹脂(A)中におけるシロキサンジアミンユニットの構造および繰り返し単位数の異なる樹脂(A−2)〜(A−5)を使用して評価を行ったところ、低温および高温保持後にも高い伸度保持率が得られた。またシロキサンユニット中にフッ素を有する(A−2)を用いた場合は、アルカリ可溶性の向上効果により感度がより向上することが確認された。さらに、シロキサンジアミンの繰り返し単位数の多い(A−4)および(A−5)を用いた場合は、低温での伸度保持率および感度がより向上する結果が得られた。
[実施例11〜13、20〜21、比較例6〜8]
アルカリ可溶性樹脂(A)として、ポリアミド酸を主鎖とする(A−6)、ポリベンゾオキサゾール前駆体を主鎖とする(A−7)、ポリアミド酸とポリイミドの共重合体を主鎖とする(A−8)、既閉環ポリベンゾオキサゾールを主鎖とする(A−20)およびポリベンゾオキサゾールとポリベンゾオキサゾール前駆体の共重合体を主鎖とする(A−21)を用いて評価を行ったところ、実施例6と遜色のない結果が得られ、ポリアミド酸やポリベンゾオキサゾール前駆体、既閉環ポリベンゾオキサゾールおよびそれら共重合体を用いた場合でも高い特性が得られることが分かった。一方で、シロキサンユニットを有さないアルカリ可溶性樹脂である(A−17)、(A−18)、(A−19)を用いた場合、低温および高温保持後の伸度保持率が著しく低く、耐久性が低い結果となった。
[実施例14〜15]
アルカリ可溶性樹脂(A−1)にさらにポリシロキサン(B−4)および(B−1)を混合して評価を行った。実施例6と比較して低温での伸度保持率および感度が向上する結果が得られた。また、(B−1)を用いた場合、Si周りの熱安定性が向上する効果から、(B−4)を用いた場合よりも、高温保持後の伸度保持率がより高くなる結果が得られた。
[実施例16、17、22、比較例10]
アルカリ可溶性樹脂(A−1)または(A−14)に対してポリシロキサン(B−4)の混合割合を変えて評価を行った。実施例6に対して、実施例16はポリシロキサン(B−4)の含有量が、(A)アルカリ可溶性樹脂100重量部に対し、1重量部以上であることから、実施例14と同様、低温での伸度保持率は十分高いことに加えて、高温保持後の伸度保持率も高い結果が得られた。また、実施例17は、ポリシロキサン(B−4)の含有量が、(A)アルカリ可溶性樹脂100重量部に対し、100重量部以下であり、実施例14と同様、高温保持後の伸度保持率が高いことに加えて、さらに低温における伸度保持率がより高く、また、感度もより良好である結果が得られた。また、実施例22は、アルカリ可溶性樹脂(A−1)100重量部に対して、ポリシロキサン(B−4)を100重量部以上混合して評価を行った。実施例17と同程度に低温での伸度保持率および感度が向上する結果が得られた。また、高温保持後の伸度保持率は実施例17と比較すると劣るものの、十分に高い結果が得られた。一方、比較例10は、ポリシロキサン(B−4)の割合がアルカリ可溶性樹脂(A−14)100重量部に対して100重量部よりも多く、アルカリ可溶性樹脂(A−14)は(A)アルカリ可溶性樹脂が、繰り返し構造中に一般式(1)で表されるジアミン残基を全ジアミン残基100モル%に対して5〜50モル%含有しないため、相溶性が悪く、高温保持後に硬化膜が白濁し、剥離することができなかった。
[実施例18〜19]
アルカリ可溶性樹脂(A−1)に側鎖構造の異なるポリシロキサン(B−2)および(B−3)を混合して評価を行ったところ、低温および高温保持後にも高い伸度保持率を有しており、感度も良好であった。
[比較例9]
アルカリ可溶性樹脂(A)として、アルカリ可溶性基を有さないシロキサンユニットを有する(A−13)を用いて評価を行った。伸度保持率が低い結果となった。また、塗布後、現像後に膜ムラがあり、残渣が残った。
[比較例11]
アルカリ可溶性樹脂(A−16)に、アルカリ可溶性基の含有割合の少ないポリシロキサンである(B−5)を混合して評価を行ったところ、高温保持後に膜として剥離することができず、さらに、現像後に残渣が残った。
表1および表2中、架橋剤(E−1)、酸化防止剤(F−1)は下記化学式にそれぞれ示す化合物である。
Figure 2019101439
Figure 2019101439

Claims (11)

  1. (A)ポリイミド、ポリベンゾオキサゾール、ポリイミド前駆体、ポリベンゾオキサゾール前駆体およびこれらから選ばれる2種以上の樹脂の共重合体から選択される1種類以上のアルカリ可溶性樹脂、(C)感光剤および(D)溶剤を含むポジ型感光性樹脂組成物であって、前記(A)アルカリ可溶性樹脂が、繰り返し構造中に一般式(1)で表されるジアミン残基を全ジアミン残基100モル%に対して5〜50モル%含有することを特徴とするポジ型感光性樹脂組成物。
    Figure 2019101439
    (一般式(1)中、RおよびRはそれぞれ独立に炭素数1以上の1価の有機基を表し、Rは構造中にフェノール性水酸基もしくはカルボキシル基またはその両方を有する有機基を表す。lおよびoは1〜5の整数、mは0〜20の整数、nは3〜40の整数を表し、40≧m+n≧4かつn≧mを満たす。各繰り返し単位におけるそれぞれのRおよびRは同じでも異なっていてもよい。)
  2. 前記一般式(1)中、Rが一般式(2)で表される請求項1に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
    Figure 2019101439
    (一般式(2)中、Rはフェノール性水酸基もしくはカルボキシル基またはその両方を有する基を表す。Xは炭素数1以上のアルキレン基を表す。)
  3. 前記(A)アルカリ可溶性樹脂100重量部に対し、(B)一般式(3)で表されるポリシロキサンを1〜100重量部含有することを特徴とする請求項1または2に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
    Figure 2019101439
    (一般式(3)中、Rは炭素数1以上の1価の有機基を表し、Rは構造中にフェノール性水酸基もしくはカルボキシル基またはその両方を有する有機基を表す。p:q=50:50〜0:100を満たす。繰り返し単位中それぞれのRおよびRは同じでも異なっていてもよい。)
  4. 前記一般式(3)中、Rが一般式(4)で表される請求項3に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
    Figure 2019101439
    (一般式(4)中、Rはフェノール性水酸基もしくはカルボキシル基またはその両方を有する基を表す。Yは炭素数1以上のアルキレン基を表す。)
  5. さらに、(E)熱架橋剤を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のポジ型感光性樹脂組成物。
  6. さらに、(F)酸化防止剤を含有する請求項1〜5のいずれかに記載のポジ型感光性樹脂組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載のポジ型感光性樹脂組成物から形成された樹脂シート。
  8. 請求項1〜6のいずれかに記載のポジ型感光性樹脂組成物を硬化した硬化膜。
  9. 請求項7に記載の樹脂シートを硬化した硬化膜。
  10. 請求項1〜6のいずれかに記載のポジ型感光性樹脂組成物を基板上に塗布し、または請求項7に記載の樹脂シートを基板上にラミネートし、乾燥して樹脂膜を形成する工程と、マスクを介して露光する工程と、照射部をアルカリ溶液で溶出または除去して現像する工程と、現像後の樹脂膜を加熱処理する工程を含む、硬化膜のレリーフパターンの製造方法。
  11. 請求項8または9に記載の硬化膜が、表面保護膜もしくは層間絶縁膜として配置された、電子部品または半導体装置。
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