JP2019101052A - 感光性樹脂組成物及び回路基板の製造方法 - Google Patents

感光性樹脂組成物及び回路基板の製造方法 Download PDF

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哲也 加藤
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健一 岩下
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Abstract

【課題】形成される樹脂パターンの破断伸度に優れる感光性樹脂組成物及びこれを用いた回路基板の製造方法を提供すること。【解決手段】(A)成分:下記一般式(a)で表される繰り返し単位を有する樹脂、(B)成分:メチロール基又はアルコキシアルキル基を有する化合物、(C)成分:アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、グリシジルオキシ基及び水酸基から選択される1種以上の官能基を、2つ以上有する脂肪族化合物、及び(D)成分:光感応性酸発生剤を含有する、感光性樹脂組成物。[式(a)中、Xは少なくとも1つのフェノール性水酸基を有するアリーレン基を示し、Zは少なくとも1つの芳香環を含み、且つフェノール性水酸基を有しない2価の有機基を示す。]【選択図】なし

Description

本開示は、感光性樹脂組成物及びこれを用いた回路基板の製造方法に関する。
半導体素子又はプリント配線板の製造においては、微細なパターンを形成するために、例えば、ネガ型感光性樹脂組成物が使用されている。この方法では、感光性樹脂組成物の塗布等によって、基材(半導体素子の場合はウエハ、プリント配線板の場合は基板)上に感光層(塗膜)を形成し、所定のパターンを通して活性光線を照射することで露光部を硬化させる。さらに、現像液を用いて未露光部を選択的に除去することで、基材上に感光性樹脂組成物の硬化膜である樹脂パターンを形成する。そのため、感光性樹脂組成物には、活性光線に対する感度、微細なパターンを形成できること(解像性)等に優れることが求められる。例えば、特許文献1には、解像性に優れる感光性樹脂組成物が開示されている。
国際公開第2015/046522号
ところで、感光性樹脂組成物から形成される樹脂パターンは、信頼性を向上させる観点から、破断伸度に優れることが望ましいが、本発明者等による検討の結果、特許文献1に記載の感光性樹脂組成物は、破断伸度の点で改善の余地があることを見出した。
そこで本開示は、形成される樹脂パターンの破断伸度に優れる感光性樹脂組成物及びこれを用いた回路基板の製造方法を提供することを目的とする。
上記事情に鑑み本開示は、以下に示す発明を提供する。
[1](A)成分:下記一般式(a)で表される繰り返し単位を有する樹脂、
(B)成分:メチロール基又はアルコキシアルキル基を有する化合物、
(C)成分:アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、グリシジルオキシ基及び水酸基から選択される1種以上の官能基を、2つ以上有する脂肪族化合物、及び
(D)成分:光感応性酸発生剤を含有する、感光性樹脂組成物。
Figure 2019101052

[式(a)中、Xは少なくとも1つのフェノール性水酸基を有するアリーレン基を示し、Zは少なくとも1つの芳香環を含み、且つフェノール性水酸基を有しない2価の有機基を示す。]
[2](E)成分:Si−O結合を有する化合物を更に含有する、[1]に記載の感光性樹脂組成物。
[3](E)成分がシランカップリング剤である、[2]に記載の感光性樹脂組成物。
[4](a)[1]〜[3]のいずれかに記載の感光性樹脂組成物を基板上に塗布し、当該感光性樹脂組成物を乾燥して感光層を形成する工程と、
(b)当該感光層を所定のパターンで露光し、現像し、更に加熱処理することで、樹脂パターンを得る工程と、
(c)前記基板の露出部及び前記樹脂パターンの露出部をめっき処理することで、導体層を形成する工程と、
(d)当該導体層の一部を除去して導体パターンを形成する工程と、
を備える回路基板の製造方法。
本開示によれば、形成される樹脂パターンの破断伸度に優れる感光性樹脂組成物及びこれを用いた回路基板の製造方法を提供することができる。
本開示の一実施形態に係る回路基板の製造方法を示す模式断面図である。
以下、本開示の一実施形態について具体的に説明するが、本開示はこれに限定されるものではない。以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合及び原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。このことは、数値及び範囲についても同様であり、本開示を不当に制限するものではないと解釈すべきである。
なお、本明細書において、「層」及び「膜」との語は、平面図として観察したときに、全面に形成されている形状の構造に加え、一部に形成されている形状の構造も包含される。「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であっても、その工程の所期の目的が達成されれば本用語に含まれる。「EO変性」とは、(ポリ)オキシエチレン基を有する化合物であることを意味し、「PO変性」とは、(ポリ)オキシプロピレン基を有する化合物であることを意味する。ここで、「(ポリ)オキシエチレン基」とは、オキシエチレン基、及び、2以上のエチレン基がエーテル結合で連結したポリオキシエチレン基の少なくとも1種を意味する。「(ポリ)オキシプロピレン基」とは、オキシプロピレン基、及び、2以上のプロピレン基がエーテル結合で連結したポリオキシプロピレン基の少なくとも1種を意味する。「Si−O結合」との語は、ケイ素原子と酸素原子との結合を示し、シロキサン結合(Si−O−Si結合)の一部であってもよい。「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。本明細書中に段階的に記載されている数値範囲において、ある段階の数値範囲の上限値又は下限値は、他の段階の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本明細書中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。「A又はB」とは、A及びBのどちらか一方を含んでいればよく、両方とも含んでいてもよい。以下で例示する材料は、特に断らない限り、1種単独又は2種以上を混合して使用することができる。組成物中の各成分の含有量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。
(感光性樹脂組成物)
本実施形態の感光性樹脂組成物は、(A)成分:上記一般式(a)で表される繰り返し単位を有する樹脂、(B)成分:メチロール基又はアルコキシアルキル基を有する化合物、(C)成分:アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、グリシジルオキシ基及び水酸基から選択される1種以上の官能基を、2つ以上有する脂肪族化合物、及び(D)成分:光感応性酸発生剤を含有する。本実施形態の感光性樹脂組成物は、(E)成分:Si−O結合を有する化合物等を更に含有していてもよい。以下、各成分について説明する。
<(A)成分>
本実施形態の感光性樹脂組成物は、(A)成分として、下記一般式(a)で表される繰り返し単位を有する樹脂を含有する。
Figure 2019101052

[式(a)中、Xは少なくとも1つのフェノール性水酸基を有するアリーレン基を示し、Zは少なくとも1つの芳香環を含み、且つフェノール性水酸基を有しない2価の有機基を示す。]
感光性樹脂組成物においては、(A)成分のフェノール性水酸基が(B)成分及び/又は(C)成分と反応するが、(A)成分は、フェノール性水酸基を有するアリーレン基であるXの間に、フェノール性水酸基を有しない2価の有機基であるZが存在し、スペーサーとして機能するため、これにより感光性樹脂組成物から形成される樹脂パターンの破断伸度が向上するものと本発明者等は推察している。
Xにおける「少なくとも1つのフェノール性水酸基を有するアリーレン基」としては、例えば、1〜3個のフェノール性水酸基を有するフェニレン基又は1〜3個のフェノール性水酸基を有するナフチレン基が挙げられ、1〜3個のフェノール性水酸基を有するフェニレン基であってもよく、1個のフェノール性水酸基を有するフェニレン基であってもよい。
Xにおける「少なくとも1つのフェノール性水酸基を有するアリーレン基」は、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数6〜10のアリールオキシ基、炭素数7〜12のアリールアルキル基、カルボキシル基、ハロゲン原子等の置換基を更に有するものであってもよい。
Zの「少なくとも1つの芳香環を含み、且つフェノール性水酸基を有しない2価の有機基」における芳香環としては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フルオレン環等が挙げられる。これらの芳香環は、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数6〜10のアリールオキシ基、炭素数7〜12のアリールアルキル基、カルボキシル基、ハロゲン原子等の置換基を更に有するものであってもよい。上記2価の有機基において、芳香環は単独で存在していてもよく、ビフェニレン基のように単結合を介して連続して存在していてもよい。
Zは下記一般式(b)で表される基であってもよい。
−R−Ar−R−Ar−R− …(b)
[式(b)中、R、R及びRは、それぞれ独立に、単結合、炭素原子数が1〜3であるアルキレン基、アミド基、カルボニル基、エステル基、ウレア基、ウレタン基、酸素原子又は窒素原子であり、Ar及びArは、それぞれ独立に、炭素数6〜30のアリーレン基である。]
、R及びRにおける「炭素原子数が1〜3であるアルキレン基」としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基等が挙げられる。Ar及びArにおける「炭素数6〜30のアリーレン基」としては、例えば、フェニレン基、ナフチレン基、フルオレン基等が挙げられる。これらのアリーレン基は、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数6〜10のアリールオキシ基、炭素数7〜12のアリールアルキル基、カルボキシル基、ハロゲン原子等の置換基を更に有するものであってもよい。
(A)成分としては、市販品を使用し得、例えば、下記式(c)で表される構造を有する日本化薬株式会社製KAYAHARD GPH−65、KAYAHARD GPH−103等を用いることができる。
Figure 2019101052
(A)成分は、得られる硬化膜の解像性、現像性、熱衝撃性、耐熱性等に更に優れる観点から、数平均分子量が50000以下であることが好ましく、300〜30000であることがより好ましく、400〜20000であることが更に好ましく、500〜10000であることが特に好ましく、600〜5000であることが極めて好ましい。
本実施形態の感光性樹脂組成物において、(A)成分の含有量は、感光性樹脂組成物の全量(ただし、溶媒を除く)100質量部に対して、30〜90質量部であることが好ましく、40〜80質量部であることがより好ましい。(A)成分の含有量がこの範囲であると、得られる感光性樹脂組成物を用いて形成された膜はアルカリ水溶液による現像性が更に優れる傾向がある。
<(B)成分>
本実施形態の感光性樹脂組成物は、(B)成分として、メチロール基又はアルコキシアルキル基を有する化合物を含有する。(B)成分は、芳香環、複素環及び脂環からなる群から選ばれる少なくとも1種を更に有する化合物であることが好ましい。ここで、芳香環とは、芳香族性を有する炭化水素基(例えば、炭素原子数が6〜10の炭化水素基)を意味し、例えば、ベンゼン環及びナフタレン環が挙げられる。複素環とは、窒素原子、酸素原子、硫黄原子等のヘテロ原子を少なくとも1つ有する環状基(例えば、炭素原子数が3〜10の環状基)を意味し、例えば、ピリジン環、イミダゾール環、ピロリジノン環、オキサゾリジノン環、イミダゾリジノン環及びピリミジノン環が挙げられる。また、脂環とは、芳香族性を有しない環状炭化水素基(例えば、炭素原子数が3〜10の環状炭化水素基)を意味し、例えば、シクロプロパン環、シクロブタン環、シクロペンタン環及びシクロヘキサン環が挙げられる。アルコキシアルキル基とは、アルキル基が酸素原子を介してアルキル基に結合した基を意味する。また、2つのアルキル基は互いに異なってもよく、例えば、炭素原子数が1〜10であるアルキル基である。
(B)成分を含有することにより、樹脂パターン形成後の感光層を加熱して硬化する際に、(B)成分が(A)成分と反応して橋架け構造を形成し、樹脂パターンの脆弱化及び樹脂パターンの変形を防ぐことができ、耐熱性を向上することができる。また、具体的には、フェノール性水酸基を更に有する化合物又はヒドロキシメチルアミノ基を更に有する化合物が好ましいものとして用いることができ、(A)成分及び(C)成分は包含されない。(B)成分は1種単独又は2種以上を混合して使用することができる。
後述するように、感光性樹脂組成物中に(D)成分を含むことで、活性光線等の照射によって酸が発生する。発生した酸の触媒作用によって、(B)成分中のアルコキシアルキル基同士又は(B)成分中のアルコキシアルキル基と(A)成分とが脱アルコールを伴って反応することによってネガ型のパターンを形成することができる。また、上記発生した酸の触媒作用によって、(B)成分中のメチロール基同士又は(B)成分中のメチロール基と(A)成分とが脱アルコールを伴って反応することによってネガ型のパターンを形成することができる。
上記フェノール性水酸基を更に有する化合物は、メチロール基又はアルコキシアルキル基に加えてフェノール性水酸基を更に有することで、(C)成分又は(A)成分との反応だけでなく、アルカリ水溶液で現像する際の未露光部の溶解速度を増加させ、感度を向上させることができる。該フェノール性水酸基を有する化合物の分子量は、アルカリ水溶液に対する溶解性、感光性、機械特性等をバランスよく向上させることを考慮して、重量平均分子量で94〜2000であることが好ましく、108〜2000であることがより好ましく、108〜1500であることが更に好ましい。
上記フェノール性水酸基を更に有する化合物としては、従来公知のものを用いることができるが、下記一般式(1)で表される化合物が、未露光部の溶解促進効果と感光性樹脂膜の硬化時の溶融を防止する効果のバランスに優れることから好ましい。
Figure 2019101052

一般式(1)中、Zは単結合又は2価の有機基を示し、R24及びR25はそれぞれ独立に水素原子又は1価の有機基を示し、R26及びR27はそれぞれ独立に1価の有機基を示し、a及びbはそれぞれ独立に1〜3の整数を示し、c及びdはそれぞれ独立に0〜3の整数を示す。ここで、1価の有機基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素原子数が1〜10であるアルキル基;ビニル基等の炭素原子数が2〜10であるアルケニル基;フェニル基等の炭素原子数が6〜30であるアリール基;これら炭化水素基の水素原子の一部又は全部をフッ素原子等のハロゲン原子で置換した基が挙げられる。
一般式(1)で表される化合物は、一般式(2)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 2019101052

一般式(2)中、Xは単結合又は2価の有機基を示し、Rはアルキル基(例えば、炭素原子数が1〜10のアルキル基)を示す。
また、上記フェノール性水酸基を有する化合物として、一般式(3)で表される化合物を使用してもよい。
Figure 2019101052

一般式(3)中、Rはアルキル基(例えば、炭素原子数が1〜10のアルキル基)を示す。
また、一般式(1)において、Zが単結合である化合物は、ビフェノール(ジヒドロキシビフェニル)誘導体である。また、Zで示される2価の有機基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基等の炭素原子数が1〜10であるアルキレン基;エチリデン基等の炭素原子数が2〜10であるアルキリデン基;フェニレン基等の炭素原子数が6〜30であるアリーレン基;これら炭化水素基の水素原子の一部又は全部をフッ素原子等のハロゲン原子で置換した基;スルホニル基;カルボニル基;エーテル結合;スルフィド結合;アミド結合などが挙げられる。これらの中で、Zは下記一般式(4)で表される2価の有機基であることが好ましい。
Figure 2019101052

一般式(4)中、Xは、単結合、アルキレン基(例えば、炭素原子数が1〜10のアルキレン基)、アルキリデン基(例えば、炭素原子数が2〜10のアルキリデン基)、それらの水素原子の一部又は全部をハロゲン原子で置換した基、スルホニル基、カルボニル基、エーテル結合、スルフィド結合又はアミド結合を示す。R28は、水素原子、水酸基、アルキル基(例えば、炭素原子数が1〜10のアルキル基)又はハロアルキル基を示し、eは1〜10の整数を示す。複数のR28は互いに同一でも異なっていてもよい。ここで、ハロアルキル基とは、ハロゲン原子で置換されたアルキル基を意味する。
上記ヒドロキシメチルアミノ基を更に有する化合物としては、(ポリ)(N−ヒドロキシメチル)メラミン、(ポリ)(N−ヒドロキシメチル)グリコールウリル、(ポリ)(N−ヒドロキシメチル)ベンゾグアナミン、(ポリ)(N−ヒドロキシメチル)尿素等が挙げられる。また、これら化合物のヒドロキシメチルアミノ基の全部又は一部をアルキルエーテル化した含窒素化合物等を用いてもよい。ここで、アルキルエーテルのアルキル基としてはメチル基、エチル基、ブチル基又はこれらを混合したものが挙げられ、一部自己縮合してなるオリゴマー成分を含有していてもよい。具体的には、ヘキサキス(メトキシメチル)メラミン、ヘキサキス(ブトキシメチル)メラミン、テトラキス(メトキシメチル)グリコールウリル、テトラキス(ブトキシメチル)グリコールウリル、テトラキス(メトキシメチル)尿素等が挙げられる。
上記ヒドロキシメチルアミノ基を有する化合物としては、具体的には、一般式(5)で表される化合物又は一般式(6)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 2019101052

一般式(5)中、Rはアルキル基(例えば、炭素原子数が1〜10のアルキル基)を示す。
Figure 2019101052

一般式(6)中、Rはアルキル基(例えば、炭素原子数が1〜10のアルキル基)を示す。
(B)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対して、5〜60質量部であることが好ましく、10〜45質量部であることがより好ましく、10〜35質量部であることが特に好ましい。(B)成分の含有量が5質量部以上であると、露光部の反応が充分となるため解像性が低下しにくく、耐薬品性と耐熱性が良好になる傾向があり、60質量部を以下であると感光性樹脂組成物を所望の支持体上に成膜しやすくなり、解像性が良好になる傾向がある。なお、本明細書において、(A)成分100質量部とは、(A)成分の固形分100質量部であることを意味する。
<(C)成分>
(C)成分:アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、グリシジルオキシ基及び水酸基からなる群より選択される1種以上の官能基を、2つ以上有する脂肪族化合物は、感光性樹脂組成物と支持体との粘着性、すなわちタック性を良好にする。更に、アルカリ水溶液で現像する際の未露光部の溶解速度を増加させ、解像性を向上させることができる。タック性、アルカリ水溶液に対する溶解性の観点から、(C)成分の分子量はバランスを考慮して、重量平均分子量で92〜2000であることが好ましく、106〜1500であることがより好ましく、134〜1300であることが特に好ましい。なお、「脂肪族化合物」とは、主骨格が脂肪族骨格であり、芳香環を含まないものをいう。
(C)成分の官能基としては、グリシジルオキシ基、アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基であることが好ましく、グリシジルオキシ基又はアクリロイル基であることがより好ましく、アクリロイルオキシ基が更に好ましい。また、(C)成分は、上記官能基を3つ以上有することが好ましい。上記官能基数の上限は、特に制限はないが、例えば、12個である。(C)成分の具体例としては、一般式(7)〜(10)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2019101052

Figure 2019101052

Figure 2019101052

Figure 2019101052

Figure 2019101052

Figure 2019101052

Figure 2019101052

[一般式(7)〜(10)中、R、R、R16及びR19は、それぞれ水素原子、メチル基、エチル基、水酸基又は一般式(11)で表される基を示し、R21は水酸基、グリシジルオキシ基、アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基を示し、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R17、R18及びR20は、それぞれ水酸基、グリシジルオキシ基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、一般式(12)で表される基又は一般式(13)で表される基を示し、R22及びR23はそれぞれ水酸基、グリシジルオキシ基、アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基を示し、n及びmはそれぞれ1〜10の整数である。]
グリシジルオキシ基を有する化合物としては、例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、ジペンタエリスリトールヘキサグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールトリグリシジルエーテル、トリメチロールエタントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、グリセロールプロポキシレートトリグリシジルエーテル、1,4−シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル、ジグリシジル1,2−シクロヘキサンジカルボキシレートなどが挙げられる。これらのグリシジルオキシ基を有する化合物は、1種単独又は2種以上を混合して使用することができる。
グリシジルオキシ基を有する化合物の中でも、感度及び解像性に優れる点で、トリメチロールエタントリグリシジルエーテル又はトリメチロールプロパントリグリシジルエーテルが好ましい。
グリシジルオキシ基を有する化合物は、例えば、エポライト40E、エポライト100E、エポライト70P、エポライト200P、エポライト1500NP、エポライト1600、エポライト80MF、エポライト100MF(以上、共栄社化学株式会社製、商品名)、アルキル型エポキシ樹脂ZX−1542(新日鉄住金化学株式会社製、商品名)、デナコールEX−212L、デナコールEX−214L、デナコールEX−216L、デナコールEX−321L及びデナコールEX−850L(以上、ナガセケムテック株式会社製、商品名)として商業的に入手可能である。
グリシジルオキシ基を有する化合物は、下記一般式(d)で表される官能基を2つ以上有する脂肪族化合物であってもよい。下記一般式(d)で表される官能基を2つ以上有する脂肪族化合物は、(ポリ)グリセリン、ソルビトール等の3価以上の脂肪族多価アルコールにおける水酸基のうち少なくとも2つが下記一般式(d)で表される官能基により置換されたものとすることができる。その具体例としては、(ポリ)グリセリン由来の、ナガセケムテックス株式会社製デナコールEX−1310、デナコールEX−1410、デナコールEX−1610等、ソルビトール由来の、ナガセケムテックス株式会社製デナコールEX−610U等の市販品を用いることができる。
Figure 2019101052

[式(d)中、Zは炭素数2〜4のアルキレン基を示し、nは1〜20の整数を示す。]
アクリロイルオキシ基を有する化合物としては、EO変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、PO変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、EO変性ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、PO変性ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、EO変性ペンタエリスリトールテトラアクリレート、PO変性ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、EO変性ペンタエリスリトールトリアクリレート、PO変性ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、EO変性トリメチロールプロパンアクリレート、PO変性トリメチロールプロパンアクリレート、トリメチロールプロパンアクリレート、EO変性グリセリントリアクリレート、PO変性グリセリントリアクリレート、グリセリントリアクリレート等が挙げられる。これらのアクリロイルオキシ基を有する化合物は、1種単独又は2種以上を混合して使用することができる。EOはエチレンオキシ基、POはプロピレンオキシ基を表す。
メタクリロイルオキシ基を有する化合物としては、EO変性ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、PO変性ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、EO変性ジトリメチロールプロパンテトラメタクリレート、PO変性ジトリメチロールプロパンテトラメタクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラメタクリレート、EO変性ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、PO変性ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、EO変性ペンタエリスリトールトリメタクリレート、PO変性ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、EO変性トリメチロールプロパンメタクリレート、PO変性トリメチロールプロパンメタクリレート、トリメチロールプロパンメタクリレート、EO変性グリセリントリメタクリレート、PO変性グリセリントリメタクリレート、グリセリントリメタクリレート等が挙げられる。これらのメタクリロイルオキシ基を有する化合物は、1種単独又は2種以上を混合して使用することができる。EOはエチレンオキシ基、POはプロピレンオキシ基を表す。
水酸基を有する化合物としてはジペンタエリスリトール、ペンタエリスリトール、グリセリン等の多価アルコールが挙げられる。これらの水酸基を有する化合物は、1種単独又は2種以上を混合して使用することができる。
(C)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対して、20〜70質量部であることが好ましく、25〜65質量部であることがより好ましく、35〜55質量部であることが特に好ましい。(C)成分の含有量が20質量部以上であれば、露光部における架橋が充分となり、タック性が充分となる傾向があり、70質量部以下であると感光性樹脂組成物を所望の支持体上に成膜しやすくなり、解像性が低下しにくい。
<(D)成分>
本実施形態の感光性樹脂組成物は、光感応性酸発生剤を含有する。光感応性酸発生剤は、活性光線等の照射によって酸を発生する化合物である。光感応性酸発生剤から発生する酸の触媒効果により、(D)成分中のメチロール基同士若しくはアルコキシアルキル基同士、又は、(D)成分中のメチロール基若しくはアルコキシアルキル基と(A)成分とが、脱アルコールを伴って反応することによって現像液に対する感光性樹脂組成物の溶解性が大幅に低下し、ネガ型のパターンを形成することができる。
(D)成分は、活性光線等の照射によって酸を発生する化合物であれば特に限定されない。(D)成分としては、オニウム塩化合物、ハロゲン含有化合物、ジアゾケトン化合物、スルホン化合物、スルホン酸化合物、スルホンイミド化合物、ジアゾメタン化合物等が挙げられる。中でも、入手の容易さに優れる観点から、(D)成分は、オニウム塩化合物及びスルホンイミド化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。特に、溶剤を用いる場合、溶剤に対する溶解性に優れる観点から、(D)成分は、オニウム塩化合物であることが好ましい。
オニウム塩化合物としては、例えば、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウム塩、ジアゾニウム塩、ピリジニウム塩等が挙げられる。好ましいオニウム塩化合物の具体例としては、ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムノナフルオロブタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムヘプタデカフルオロオクタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムp−トルエンスルホネート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ジフェニルヨードニウムトリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェート、ジフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート、ジフェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジフェニルヨードニウムトリス[(トリフルオロメチル)スルホニル]メタニド等のジアリールヨードニウム塩;トリアリールスルホニウム塩などが挙げられる。中でも、感度及び熱的安定性を更に向上させる観点から、スルホニウム塩が好ましく、熱的安定性を更に向上させる観点から、トリアリールスルホニウム塩がより好ましい。オニウム塩化合物は、1種単独又は2種以上を混合して使用することができる。
(D)成分のトリアリールスルホニウム塩としては、例えば、下記一般式(d1)で表される化合物、下記一般式(d2)で表される化合物、下記一般式(d3)で表される化合物、及び、下記一般式(d4)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種のカチオンと、テトラフェニルボレート骨格、炭素数1〜20のアルキルスルホネート骨格、フェニルスルホネート骨格、10−カンファースルホネート骨格、炭素数1〜20のトリスアルキルスルホニルメタニド骨格、テトラフルオロボレート骨格、ヘキサフルオロアンチモネート骨格及びヘキサフルオロホスフェート骨格からなる群より選ばれる少なくとも1種の骨格を有するアニオンと、を有するスルホニウム塩が挙げられる。
Figure 2019101052
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一般式(d1)、(d2)、(d3)及び(d4)のフェニル基の水素原子は、水酸基、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数2〜12のアルキルカルボニル基、及び、炭素数2〜12のアルコキシカルボニル基からなる群より選ばれる少なくとも1種で置換されていてもよく、置換基が複数の場合は、互いに同一であっても異なっていてもよい。
テトラフェニルボレート骨格のフェニル基の水素原子は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、シアノ基、ニトロ基、水酸基、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数2〜12のアルキルカルボニル基、及び、炭素数2〜12のアルコキシカルボニル基からなる群より選ばれる少なくとも1種で置換されていてもよく、置換基が複数の場合は、互いに同一であっても異なっていてもよい。
アルキルスルホネート骨格の水素原子は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、シアノ基、ニトロ基、水酸基、アルコキシ基、アルキルカルボニル基、及び、アルコキシカルボニル基からなる群より選ばれる少なくとも1種で置換されていてもよく、置換基が複数の場合は、互いに同一であっても異なっていてもよい。
フェニルスルホネート骨格のフェニル基の水素原子は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、シアノ基、ニトロ基、水酸基、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数2〜12のアルキルカルボニル基、及び、炭素数2〜12のアルコキシカルボニル基からなる群より選ばれる少なくとも1種で置換されていてもよく、置換基が複数の場合は、互いに同一であっても異なっていてもよい。
トリスアルキルスルホニルメタニド骨格の水素原子は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、シアノ基、ニトロ基、水酸基、アルコキシ基、アルキルカルボニル基、及び、アルコキシカルボニル基からなる群より選ばれる少なくとも1種で置換されていてもよく、置換基が複数の場合は、互いに同一であっても異なっていてもよい。
ヘキサフルオロホスフェート骨格のフッ素原子は、水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、及び、炭素数1〜12のパーフルオロアルキル基からなる群より選ばれる少なくとも1種で置換されていてもよく、置換基が複数の場合は、互いに同一であっても異なっていてもよい。
(D)成分として用いられるスルホニウム塩は、感度、解像性及び絶縁性に更に優れる観点から、カチオンとして、[4−(4−ビフェニリルチオ)フェニル]−4−ビフェニリルフェニルスルホニウム、(2−メチル)フェニル[4−(4−ビフェニリルチオ)フェニル]4−ビフェニリルスルホニウム、[4−(4−ビフェニリルチオ)−3−メチルフェニル]4−ビフェニリルフェニルスルホニウム、(2−エトキシ)フェニル[4−(4−ビフェニリルチオ)−3−エトキシフェニル]4−ビフェニリルスルホニウム、及び、トリス[4−(4−アセチルフェニルスルファニル)フェニル]スルホニウムからなる群より選ばれる少なくとも1種を有する化合物であることが好ましい。
(D)成分として用いられるスルホニウム塩は、アニオンとして、トリフルオロメタンスルホネート、ノナフルオロブタンスルホネート、ヘキサフルオロアンチモネート、トリス[(トリフルオロメチル)スルホニル]メタニド、10−カンファースルホネート、トリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェート及びテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートからなる群より選ばれる少なくとも1種を有する化合物であることが好ましい。
スルホニウム塩の具体例としては、(2−エトキシ)フェニル[4−(4−ビフェニリルチオ)−3−エトキシフェニル]4−ビフェニリルスルホニウムノナフルオロブタンスルホネート、[4−(4−ビフェニリルチオ)フェニル]−4−ビフェニリルフェニルスルホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリス[4−(4−アセチルフェニルスルファニル)フェニル]スルホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等が挙げられる。スルホニウム塩は、1種単独又は2種以上を混合して使用することができる。
スルホンイミド化合物の具体例としては、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)フタルイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ジフェニルマレイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ナフチルイミド、N−(p−トルエンスルホニルオキシ)−1,8−ナフタルイミド、N−(10−カンファースルホニルオキシ)−1,8−ナフタルイミド等が挙げられる。スルホンイミド化合物は、1種単独又は2種以上を混合して使用することができる。
(D)成分は、1種単独又は2種以上を混合して使用することができる。
(D)成分の含有量は、本実施形態の感光性樹脂組成物の感度、解像性、パターン形状等を更に向上させる観点から、(A)成分100質量部に対して、0.1〜15質量部、0.3〜10質量部、1〜10質量部、3〜10質量部、5〜10質量部、又は、6〜10質量部であってもよい。
<(E)成分>
本実施形態の感光性樹脂組成物は、(E)成分として、Si−O結合を有する化合物を含有してもよい。Si−O結合を有する化合物は、シロキサン結合を有する化合物であってもよい。(E)成分としては、Si−O結合を有していれば特に限定されないが、例えば、シリカ(シリカフィラー)及びシラン化合物(シランカップリング剤等)が挙げられる。(E)成分は、1種単独又は2種以上を混合して使用することができる。
本実施形態の感光性樹脂組成物が無機フィラーを含有することにより、樹脂パターンの熱膨張係数を低減できる。(E)成分として無機フィラーを用いる場合、無機フィラーは、溶融球状シリカ、溶融粉砕シリカ、煙霧状シリカ、ゾルゲルシリカ等のシリカであることが好ましい。また、無機フィラーをシラン化合物で処理することで無機フィラーがSi−O結合を有していてもよい。シラン化合物で処理する無機フィラーの中で、シリカ以外の無機フィラーとしては、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、又は、タルク、マイカ等の鉱産物由来の無機フィラーなどが挙げられる。
無機フィラーの平均一次粒子径は、100nm以下であることが好ましく、80nm以下であることがより好ましく、感光層の感光性に更に優れる観点から、50nm以下であることが更に好ましい。平均一次粒子径が100nm以下であると、感光性樹脂組成物が白濁しにくくなり、露光のための光が感光層を透過しやすくなる。その結果、未露光部が除去しやすくなるため、樹脂パターンの解像性が低下しにくくなる傾向がある。なお、平均一次粒子径は、BET比表面積から換算して得られる値である。
シリカの熱膨張係数は、5.0×10−6/℃以下であることが好ましい。シリカとしては、適した粒子径が得られやすい観点から、溶融球状シリカ、煙霧状シリカ、ゾルゲルシリカ等のシリカが好ましく、煙霧状シリカ又はゾルゲルシリカがより好ましい。また、シリカは、平均一次粒子径5〜100nmのシリカ(ナノシリカ)であることが好ましい。
無機フィラーの粒子径を測定する際には、公知の粒度分布計を用いることができる。粒度分布計としては、粒子群にレーザー光を照射し、粒子群から発せられる回折光及び散乱光の強度分布パターンから計算によって粒度分布を求めるレーザー回折散乱式粒度分布計;動的光散乱法による周波数解析を用いて粒度分布を求めるナノ粒子の粒度分布計等が挙げられる。
本実施形態の感光性樹脂組成物がシラン化合物を含有することにより、パターン形成後の感光層と基材との密着強度を向上させることができる。(E)成分としてシラン化合物を用いる場合、シラン化合物としては、シラン化合物がSi−O結合を有していれば特に制限はない。シラン化合物としては、アルキルシラン、アルコキシシラン、ビニルシラン、エポキシシラン、アミノシラン、アクリルシラン、メタクリルシラン、メルカプトシラン、スルフィドシラン、イソシアネートシラン、サルファーシラン、スチリルシラン、アルキルクロロシラン等が挙げられる。
(E)成分であるシラン化合物としては、下記一般式(14)で表される化合物が好ましい。
(R101O)4−f−Si−(R102 …(14)
一般式(14)中、R101は、メチル基、エチル基、プロピル基等の、炭素数が1〜10であるアルキル基を示し、R102は、1価の有機基を示し、fは、0〜3の整数を示す。fが0、1又は2の場合、複数のR101は、互いに同一であっても異なっていてもよい。fが2又は3の場合、複数のR102は、互いに同一であっても異なっていてもよい。R101は、解像性に更に優れる観点から、炭素数が1〜5のアルキル基が好ましく、炭素数が1〜2のアルキル基がより好ましい。無機フィラーの分散性を向上させるためにシラン化合物(一般式(14)で表される化合物等)で処理する場合、無機フィラーの分散性を更に向上させる観点から、fは、0〜2が好ましく、0〜1がより好ましい。
(E)成分であるシラン化合物の具体例としては、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリフェノキシシラン、エチルトリメトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ジイソブチルジメトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリエトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、n−オクチルトリエトキシシラン、n−ドデシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、トリフェニルシラノール、テトラエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、ビス(3−(トリエトキシシリル)プロピル)ジスルフィド、ビス(3−(トリエトキシシリル)プロピル)テトラスルフィド、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、アリルトリメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、N−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。(E)成分は、シランカップリング剤であることが好ましく、グリシジルオキシ基を一つ以上有するエポキシシランであることがより好ましく、トリメトキシシリル基又はトリエトキシシリル基を有するエポキシシランであることが更に好ましい。
(E)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対して、1.8〜420質量部が好ましく、1.8〜270質量部がより好ましい。(E)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対して、1〜20質量部であってもよく、3〜10質量部であってもよい。
<(F)成分>
本実施形態の感光性樹脂組成物には、感光性樹脂組成物の取り扱い性を向上させたり、粘度及び保存安定性を調節したりするために、(F)成分として溶剤をさらに含有させることができる。(F)成分は、有機溶剤であることが好ましい。このような有機溶剤の種類は、上記性能を発揮できるものであれば特に制限されるものではないが、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のエチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル等のプロピレングリコールモノアルキルエーテル類;プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジプロピルエーテル、プロピレングリコールジブチルエーテル等のプロピレングリコールジアルキルエーテル類;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート等のプロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブ、ブチルカルビトール等のカルビトール;乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸n−プロピル、乳酸イソプロピル等の乳酸エステル;酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸n−アミル、酢酸イソアミル、プロピオン酸イソプロピル、プロピオン酸n−ブチル、プロピオン酸イソブチル等の脂肪族カルボン酸エステル;3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル等の他のエステル;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;2−ブタノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、シクロヘキサノン等のケトン;N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド;γ−ブチロラクトン等のラクトンが挙げられる。これらの有機溶剤は、1種単独又は2種以上を混合して使用することができる。
(F)成分の含有量は、(F)成分を除く感光性樹脂組成物の全量100質量部に対して、30〜200質量部であることが好ましく、60〜120質量部であることがより好ましい。
なお、本実施形態の感光性樹脂組成物は、上述の成分以外のその他の成分を含有していてもよい。その他の成分としては、着色剤、密着助剤、レベリング剤、Si−O結合を有していない無機フィラー、活性光線の照射に伴う反応の抑制剤、密着助剤等が挙げられる。
(回路基板の製造方法)
図1は、本開示の一実施形態に係る回路基板の製造方法を示す図である。本実施形態に係る回路基板の製造方法は、(a)上述の感光性樹脂組成物を基板1上に塗布し、当該感光性樹脂組成物を乾燥して感光層2を形成する工程と、(b)感光層2を所定のパターンで露光し、現像し、更に加熱処理することで、樹脂パターン4を得る工程と、(c)基板1の露出部及び樹脂パターン4の露出部をめっき処理することで、導体層7を形成する工程と、(d)導体層7の一部を除去して導体パターン8(回路)を形成する工程と、を備える。すなわち、本実施形態に係る回路基板の製造方法は、所定のパターンを用いて形成された樹脂パターン4及び微細化された導体パターン8を基板1上に備える回路基板を製造するための方法である。ここで、樹脂パターンとは、所定のパターンが形成された感光層を硬化させて得られる樹脂のパターンであり、樹脂パターンにおける樹脂はその一部又は全部が硬化している。
以下、各工程を詳細に説明する。
<(a)工程>
(a)工程は、上述の感光性樹脂組成物を基板1上に塗布し、当該感光性樹脂組成物を乾燥して感光層2を形成する工程である(図1(a)参照)。すなわち、(a)工程は、感光性樹脂組成物を含む感光層2を備える基板を得る工程ともいえる。
感光性樹脂組成物を基板に塗布する方法としては、例えば、ディッピング法、スプレー法、バーコート法、ロールコート法及びスピンコート法が挙げられる。塗膜の厚さは、塗布手段、感光性樹脂組成物の固形分濃度及び粘度を調節することにより、適宜制御することができる。感光層2の厚さは用途により異なるが、乾燥後の感光層2の厚さが1〜100μmであることが好ましく、2〜60μmであることがより好ましく、3〜25μmであることが更に好ましく、4〜8μmであることが特に好ましい。
基板1としては、例えば、樹脂付き銅箔、銅張積層板、金属スパッタ膜を付けたシリコンウエハー、アルミナ基板を用いることができる。また、基板1における感光層2が形成される面が、感光性樹脂組成物を用いて形成される硬化樹脂層であってもよい。その場合、基材との密着性が向上する傾向がある。
<(b)工程>
(b)工程は、感光層2を所定のパターンで露光し、現像し、更に加熱処理することで、樹脂パターン4を得る工程である(図1(b)及び(c)参照)。
まず、所定のマスクパターンを介して、感光層2を所定のパターンで露光する。露光に用いられる活性光線としては、例えば、g線ステッパーを光源とする光線;低圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプ、i線ステッパー等を光源とする紫外線;電子線;レーザー光線などが挙げられる。露光量は、使用する光源、塗膜の厚さ等によって適宜選定されるが、例えば、厚さ10〜50μmの塗膜に高圧水銀灯を用いて紫外線を照射する場合、露光量は100〜5000mJ/cm程度であってよい。
次いで、露光後の感光層2をアルカリ性現像液により現像して、露光により硬化した部分以外の領域(未露光部)を溶解及び除去することにより、所定のパターンが形成された感光層2を得る(図1(b)参照)。ここで除去された領域が、導体パターン8が形成されるべき領域(回路溝3)となる。この場合の現像方法としては、シャワー現像法、スプレー現像法、浸漬現像法、パドル現像法等が挙げられる。現像条件としては通常、20〜40℃で1〜10分間である。
アルカリ性現像液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、コリン等のアルカリ性化合物を濃度が1〜10質量%程度になるように水に溶解したアルカリ性水溶液、アンモニア水等のアルカリ性水溶液などを用いることができる。その中でも、樹脂パターン4の解像性に優れる点で、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を用いることが好ましい。アルカリ性水溶液には、例えば、メタノール、エタノール等の水溶性の有機溶剤又は界面活性剤などを適量添加することもできる。なお、アルカリ性現像液で現像した後は、水で洗浄し、乾燥する。
次に、所定のパターンが形成された感光層2を加熱処理することで樹脂パターン4を得る(図1(c)参照)。加熱処理を行うことにより、絶縁膜特性が発現する。加熱処理の条件は、特に制限されず、硬化物の用途に応じて調整することができる。例えば、加熱温度を50〜250℃、加熱時間を30分〜10時間とする条件であってよい。
また、加熱処理は、硬化を充分に進行させること、得られた樹脂パターン4の形状の変形を防止すること等を目的として、二段階で行ってもよい。二段階で加熱処理を行う場合、例えば、一段階目の加熱温度及び加熱時間をそれぞれ50〜120℃及び5分〜2時間とし、二段階目の加熱温度及び加熱時間をそれぞれ80〜200℃及び10分〜10時間とすることができる。
上述の条件で加熱処理を行う場合、加熱設備は特に制限されず、例えば、一般的なオーブン、赤外線炉を使用することができる。
本実施形態に係る回路基板の製造方法においては、露光後現像前に加熱処理(露光後ベーク)を行ってもよい。露光後ベークの条件は感光性樹脂組成物の含有量、塗膜の厚さ等によって異なるが、通常、70〜150℃で1〜60分間加熱することが好ましく、80〜120℃で1〜60分間加熱することがより好ましい。
<(c)工程>
(c)工程は、基板1の露出部及び樹脂パターン4の露出部をめっき処理することで、導体層7を形成する工程である(図1(d)及び(e)参照)。なお、基板1の露出部とは、基板1の樹脂パターンが形成されている面における、樹脂パターンが形成されていない領域のことである。
めっき処理の方法は、特に制限されないが、例えば、電解めっき、無電解めっき又はスパッタリングを用いる方法であってよい。
導体層7の厚さは、形成する配線溝の高さによって適切に調整できるが、1〜35μmであることが好ましく、3〜25μmであることがより好ましい。
導体層7は、シード金属層5と、その上に成長させためっき層6とから構成されていてよい。すなわち、(c)工程は、基板1の露出部及び樹脂パターン4の露出部にシード金属層5を形成する工程を備えてもよい(図1(d)参照)。シード金属層5を形成する場合、形成されたシード金属層5上にめっき処理することで、めっき層6を形成することができる(図1(e)参照)。
シード金属層5の形成方法としては、特に限定されないが、例えば、無電解めっき及びスパッタリングが挙げられる。
無電解めっきによりシード金属層5を形成する場合、シード金属層5を構成する金属は、例えば、金、白金、銀、銅、アルミニウム、コバルト、クロム、ニッケル、チタン、タングステン、鉄、スズ、インジウム等の金属単体であってよく、ニッケル・クロムアロイ等の2種類以上の金属の固溶体(アロイ)であってよい。シード金属層5を構成する金属は、これらの中でも、金属膜形成の汎用性、コスト、エッチングによる除去の容易性等の観点から、クロム、ニッケル、チタン、ニッケル・クロムアロイ、アルミニウム、亜鉛、銅・ニッケルアロイ、銅・チタンアロイ、金、銀又は銅であることが好ましく、クロム、ニッケル、チタン、ニッケル・クロムアロイ、アルミニウム、亜鉛、金、銀又は銅であることがより好ましく、チタン又は銅であることが特に好ましい。また、シード金属層5は単層であってもよいし、異なる金属が2層以上積層した複層構造であってもよい。
無電解めっきによりシード金属層5を形成する場合、無電解めっき液を用いる。無電解めっき液としては、公知の自己触媒型の無電解めっき液を用いることができ、無電解めっき液中に含まれる金属種、還元剤種、錯化剤種、水素イオン濃度、溶存酸素濃度等は特に限定されない。無電解めっきとして、例えば、次亜リン酸アンモニウム、次亜リン酸、水素化ホウ素アンモニウム、ヒドラジン、ホルマリン等を還元剤とする無電解銅めっき液;次亜リン酸ナトリウムを還元剤とする無電解ニッケル−リンめっき液;ジメチルアミノボランを還元剤とする無電解ニッケル−ホウ素めっき液;無電解パラジウムめっき液;次亜リン酸ナトリウムを還元剤とする無電解パラジウム−リンめっき液;無電解金めっき液;無電解銀めっき液;次亜リン酸ナトリウムを還元剤とする無電解ニッケル−コバルト−リンめっき液などを用いることができる。
また、無電解めっきによりシード金属層5を形成する方法は、例えば、シード金属層5を形成する部分に、銀、パラジウム、亜鉛、コバルト等の触媒核を付着させた後、上述の無電解めっき液を用いて触媒核上に金属薄膜を形成する方法であってよい。
基板1の露出部及び樹脂パターン4の露出部に触媒核を付着させる方法は、特に制限されない。例えば、触媒核となる金属の金属化合物、塩又は錯体を、濃度が0.001〜10質量%となるように、水又は有機溶剤(例えば、アルコール及びクロロホルム)に溶解させた溶液を用意し、この溶液に樹脂パターン4が形成された基板1を浸漬した後、溶液中の金属を還元して金属を析出させる方法が挙げられる。なお、上記方法における溶液には、必要に応じて、酸、アルカリ、錯化剤、還元剤等を含有させることができる。
スパッタリングによりシード金属層5を形成する場合、シード金属層5を構成する金属としては、例えば、無電解めっきによりシード金属層5を形成する場合と同様の金属を用いることができる。
めっき層6を構成する金属は、特に限定されないが、銅であることが好ましい。シード金属層5上にめっき層6を形成する方法としては、例えば、電解めっき等の湿式めっきによりめっきを成長させる方法が挙げられる。
シード金属層5を形成する場合、シード金属層5を形成した後、めっき層6を形成する前に、防錆剤を用いてシード金属層5に防錆処理を施すことができる。
シード金属層5を形成する場合、シード金属層5の厚さは、特に制限はないが、10nm〜5000nmであることが好ましく、20nm〜2000nmであることがより好ましく、30nm〜1000nmであることが更に好ましく、50nm〜500nmであることが特に好ましく、50nm〜300nmであることが極めて好ましい。厚さが10nm以上である場合、電解めっきによりめっき層6が均一に形成されやすい傾向があり、厚さが5000nm以下である場合、エッチング又は研磨によるシード金属層の除去時間を適度に短くすることができるため、シード金属層5の除去にかかるコストを抑制できる。
導体層7の形成後、密着性の向上等を目的として、導体層7を加熱してもよい。加熱温度は、通常、50〜350℃であり、好ましくは80〜250℃である。なお、加熱を加圧条件下で実施してもよい。加圧方法としては、例えば、熱プレス機、加圧加熱ロール機等の物理的加圧手段を用いる方法が挙げられる。加える圧力は、通常、0.1〜20MPaであり、好ましくは0.5〜10MPaである。この範囲であれば、シード金属層5と、樹脂パターン4又は基板1との密着性に優れる傾向がある。
<(d)工程>
(d)工程は、導体層7の一部を除去して導体パターン8を形成する工程である(図1(f)参照)。図1(e)に示すように、導体層7は、基板1の露出部及び樹脂パターン4の露出部の全面に形成されている。すなわち、導体パターン8が形成されるべき領域(回路溝3)以外の領域にも、めっき(金属膜)が形成されている。そのため、(d)工程は、導体層7のうち、回路溝3以外の領域に形成されている金属膜を除去する工程といえる。
導体層7の一部を除去する方法は、金属を除去するための公知の方法であってよい。例えば、機械研磨による方法及び/又はエッチングによる方法であってよい。
機械研磨により導体層7の一部を除去する場合、機械研磨の方法は、ケミカル・メカニカル・ポリッシング(Chemical Mechanical Polishing)(以下、「CMP」ともいう)法であることが好ましい。CMP法により導体層7の一部を除去する方法は、例えば、研磨定盤(プラテン)上に研磨布(研磨パッド)を貼り付け、研磨布表面を金属用研磨剤で浸し、導体層7の表面を研磨布表面に押し付けて、その裏面から所定の圧力(以下、「研磨圧力」という。)を導体層7の表面に加えた状態で研磨定盤を回し、研磨剤と導体層7の表面との機械的摩擦によって、導体層7の一部を除去する方法であってよい。
CMPに用いられる金属用研磨剤は、例えば、酸化剤及び固体砥粒(以下、単に「砥粒」という。)を含有するものであってよく、必要に応じて、酸化金属溶解剤、保護膜形成剤等を更に含有するものであってよい。酸化剤及び砥粒を含有する研磨剤を用いたCMPの基本的なメカニズムは、次のように考えられている。まず、酸化剤によって研磨対象である金属膜の表面が酸化されて酸化層が形成され、その酸化層が砥粒によって削り取られることにより、金属膜が研磨されると考えられている。このようなメカニズムにより研磨される場合、回路溝3に形成された金属膜表面の酸化層は研磨布にあまり触れないため、回路溝3に形成された金属膜には砥粒による削り取りの効果が及びにくい。そのため、CMPによる研磨が進行するとともに回路溝3以外の領域の金属膜が除去されて研磨面が平坦化される傾向がある。
研磨剤は、研磨速度が5000〜3000Å/minの範囲で用いることができる研磨剤であることが好ましい。
エッチングにより導体層7の一部を除去する場合、エッチングの方法としては、サンドブラスト法、ウェットエッチングプロセスが挙げられる。サンドブラスト法の場合、例えば、シリカ、アルミナ等の切削粒子を導体層7の除去すべき部分に噴きつけることによりエッチングが行われる。ウェットエッチングプロセスの場合、エッチング液を用いてエッチングが行われる。エッチング液としては、例えば、塩化第二銅溶液、塩化第二鉄溶液、アルカリエッチング溶液、過硫酸アンモニウム水溶液及び過酸化水素エッチング液を用いることができる。
導体層7のうち、(d)工程において除去される部分、すなわち回路溝3以外の領域の金属膜の厚さは0.1〜35μm程度であってよい。
上記の方法により作製された回路基板は、対応する箇所に半導体素子が実装され、電気的な接続を確保することが可能である。また、上記の方法により、微細化された導体パターン8を有する回路基板を得ることができる。
以下、実施例により本開示の目的及び利点を詳細に説明するが、本開示はこれら実施例により何ら限定されるものではない。
[実施例1及び比較例1]
<感光性樹脂組成物の調製>
樹脂(A−1、A’−1)100質量部に対し、アルコキシアルキル基を有する化合物(B−1)と、グリシジルオキシ基を有する化合物(C−1)と、光感応性酸発生剤(D−1)と、Si−O結合を有する化合物(E−1)と、溶剤(F−1)とを、表1に示した配合量(単位:質量部)にて配合し、これを1.0μm孔のシリンジフィルター(GEヘルスケア・ジャパン株式会社製、商品名:レジスト30(1.0μm PTFE))を用いて加圧ろ過して、感光性樹脂組成物を得た。
なお、表1中の略称は下記のとおりである。
A−1:ビフェニルジイル基を有するノボラック樹脂(日本化薬株式会社製、商品名:KAYAHARD GPH−65、数平均分子量:800)
A’−1:クレゾールノボラック樹脂(旭有機材株式会社製、商品名:TR4020G、重量平均分子量:13000)
B−1:1,3,4,6−テトラキス(メトキシメチル)グリコールウリル(株式会社三和ケミカル製、商品名:ニカラックMX−270)
C−1:トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル(ナガセケムテックス株式会社製、商品名:EX−321L)
D−1:トリアリールスルホニウム塩(サンアプロ株式会社製、商品名:CPI−310B、アニオン:テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート)
E−1:3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製、商品名:KBM−403)
F−1:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(和光純薬工業株式会社製、商品名:酢酸2−メトキシ−1−メチルエチル)
<解像度の評価>
上記感光性樹脂組成物を6インチのシリコンウエハーにスピンコートし、ホットプレート上にて120℃で3分間加熱し、厚さが5μmの塗膜を作製した。作製した塗膜に、i線ステッパー(キヤノン製FPA−3000iW)を用いてi線(365nm)で、マスクを介して、縮小投影露光を行った。マスクとしては、露光部及び未露光部の幅が1:1となるようなパターンを、2μm:2μm〜30μm:30μmまで1μm刻みで有するものを用いた。また、露光量は、100〜1100mJ/cmの範囲で、100mJ/cmずつ変化させながら縮小投影露光を行った。
次いで、露光された塗膜を85℃で4分間加熱した(露光後ベーク)。現像液として2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(多摩化学工業株式会社製、商品名:TMAH2.38%)を用いるとともに、現像機(滝沢産業株式会社製、商品名:AD−1200)を用いて、最短現像時間(未露光部が除去される最短時間)の4倍に相当する時間で感光層(塗膜)に23℃の現像液をスプレー(ポンプ吐出圧[現像液]:0.16MPa)して未露光部を除去した。次いで、リンス液として23℃の精製水(和光純薬工業株式会社製、商品名:精製水)を60秒間スプレー(ポンプ吐出圧[リンス液]:0.12〜0.14MPa)して現像液を洗い流した。そして、乾燥させることで、樹脂パターンを形成した。次いで、溶剤乾燥用安全仕様恒温器(楠本化成株式会社製、商品名:HG220)にて180℃で60分間加熱処理をして、樹脂パターンを硬化した。金属顕微鏡を用いて倍率1000倍に拡大して、形成された樹脂パターンを観察した。スペース部分(未露光部)がきれいに除去され、且つライン部分(露光部)が蛇行又は欠けを生じることなく形成されたパターンのうち、最も小さいスペース幅の値を最小解像度として評価した。評価結果を表1に示す。なお、解像度が5μm以下であれば、良好であると言える。
<破断伸度の評価>
上記感光性樹脂組成物を6インチのシリコンウエハーにスピンコートし、ホットプレート上にて120℃で3分間加熱し、厚さが9〜11μmの塗膜を作製した。作製した塗膜に、マスクアライナ(ズース・マイクロテック株式会社製、商品名:MA8)を用いて、マスクを介して全波長で露光を行った。マスクとしては、10mm幅の矩形パターン(露光部)を有するものを用いた。また、露光量は、1000mJ/cmで行った。
次いで、露光された塗膜を85℃で4分間加熱した(露光後ベーク)。現像液として2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(多摩化学工業株式会社製、商品名:TMAH2.38%)を用いるとともに、現像機(滝沢産業株式会社製、商品名:AD−1200)を用いて、最短現像時間(未露光部が除去される最短時間)の4倍に相当する時間で感光層(塗膜)に23℃の現像液をスプレー(ポンプ吐出圧[現像液]:0.16MPa)して未露光部を除去した。次いで、リンス液として23℃の精製水(和光純薬工業株式会社製、商品名:精製水)を60秒間スプレー(ポンプ吐出圧[リンス液]:0.12〜0.14MPa)して現像液を洗い流した。そして、乾燥させることで、矩形パターンを形成した。次いで、溶剤乾燥用安全仕様恒温器(楠本化成株式会社製、商品名:HG220)にて180℃で60分間加熱処理をして、矩形パターンを硬化した。
次いで、この硬化物を5質量%フッ酸水溶液で処理することによりシリコンウエハーから剥離し、試験片を得た。光学顕微鏡を用いて倍率100倍に拡大して、試験片の端部を観察し、端部が滑らかで凹凸がないものを破断伸度評価に用いた。
得られた試験片を用いて、硬化膜の破断伸度をオートグラフ(株式会社島津製作所製、商品名:AGS−X 100N)によって測定した。試験片の幅は10mm、膜厚は9〜11μmであり、初期試料長さは20mmとした。引っ張り速度は5mm/分で、測定温度は室温(20℃〜25℃)とした。同一条件で得た6本以上の試験片の測定値の最大値を破断伸度とした。また、肉眼で確認できる欠陥がある試験片は除いて評価した。評価結果を表1に示す。
Figure 2019101052
表1から明らかなように、ビフェニルジイル基を有するノボラック樹脂を用いた実施例1は、クレゾールノボラック樹脂を用いた比較例1と比較して、破断伸度が極めて良好であり、信頼性に優れることが分かった。
本開示の感光性樹脂組成物は、半導体素子の表面保護膜又は層間絶縁膜に用いられる材料として適用することができる。また、配線板材料のソルダーレジスト又は層間絶縁膜に用いられる材料として適用することができる。特に、本開示の感光性樹脂組成物は、解像性及び破断伸度がいずれも良好であるため、細線化及び高密度化された高集積化パッケージ基板等に好適に用いられる。
1…基板、2…感光層、3…回路溝、4…樹脂パターン、5…シード金属層、6…めっき層、7…導体層、8…導体パターン。

Claims (4)

  1. (A)成分:下記一般式(a)で表される繰り返し単位を有する樹脂、
    (B)成分:メチロール基又はアルコキシアルキル基を有する化合物、
    (C)成分:アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、グリシジルオキシ基及び水酸基から選択される1種以上の官能基を、2つ以上有する脂肪族化合物、及び
    (D)成分:光感応性酸発生剤を含有する、感光性樹脂組成物。
    Figure 2019101052

    [式(a)中、Xは少なくとも1つのフェノール性水酸基を有するアリーレン基を示し、Zは少なくとも1つの芳香環を含み、且つフェノール性水酸基を有しない2価の有機基を示す。]
  2. (E)成分:Si−O結合を有する化合物を更に含有する、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
  3. 前記(E)成分がシランカップリング剤である、請求項2に記載の感光性樹脂組成物。
  4. (a)請求項1〜3のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物を基板上に塗布し、当該感光性樹脂組成物を乾燥して感光層を形成する工程と、
    (b)当該感光層を所定のパターンで露光し、現像し、更に加熱処理することで、樹脂パターンを得る工程と、
    (c)前記基板の露出部及び前記樹脂パターンの露出部をめっき処理することで、導体層を形成する工程と、
    (d)当該導体層の一部を除去して導体パターンを形成する工程と、
    を備える回路基板の製造方法。
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