JP2019100500A - 直動案内装置及び機械装置 - Google Patents

直動案内装置及び機械装置 Download PDF

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Abstract

【課題】用途に応じた接触状態の使い分けが可能となり、シングルリップシールと同等の幅寸法でシール性を向上させることができる直動案内装置及び機械装置を提供する。【解決手段】直動案内装置は、長手方向に延びる案内レールと、案内レールに沿って移動するスライダと、案内レールとスライダとの間の隙間を塞ぐシール部材と、を備える。シール部材は、先端部に案内レールと接触する主リップ49と、主リップ49よりも基端側に設けられ案内レールに向けて突出する補助リップ51とを有し、補助リップ51は、長手方向に直交する断面が円弧状に形成されている。【選択図】図6

Description

本発明は、直動案内装置及び機械装置に関する。
直動案内装置にはサイドシール、インナーシール、アンダーシール、底面シールといったスライダを保護する接触シールが使用され、そのリップ形状には多くの提案がある。例えば、特許文献1、特許文献2で示される形状では、一つのシールの接触面に複数のリップを形成している。一般に外部より異物が侵入した場合、一つのリップで防ぐより複数のリップで防ぐ方が優れていることが知られており、複数のシールを重ねて使用することが多い。特許文献1、特許文献2では、一つのシールでも複数のリップがあり、複数のシールを重ねるのと同様の効果が期待される。更に、特許文献3では、リップを芯金に対して対称に配置することで、摺動方向によらず一定のシール性を確保している。
特開2010−84811号公報 特開平11−287245号公報 特開2002−266858号公報 特開2014−163482号公報
しかしながら、これらのシール形状では、シール性が向上する一方で、シール摩擦力が大きくなる傾向がある。特許文献1や特許文献3のように、同一形状のリップをn個接触させると、シール摩擦はn倍となる。特許文献2のように、各々のリップ形状を変えても、基本的にシール摩擦力は増加する方向である。また、各々のリップを並べて配置するため、リップ全体の幅寸法が標準のシングルリップと比較して大きくなる。
このため、特許文献1、特許文献2、特許文献3で示されるシールは、シール性が向上するものの、シール摩擦が大きく、リップ幅寸法も大きいため、使用条件によっては問題となる場合があった。
特許文献4で示されるシールは、最外部のリップと内部のリップで同時に相手部品へ接触することがなく、最外部のみ接触する場合は、シール摩擦力が小さい。ただし、しめしろを大きくして複数のリップを接触させると、シール摩擦が大きくなる上、複数のリップが一体となって接触するため、特許文献1、特許文献3のような多重リップの効果が望めない。また、積層シールであるため、シール全体の幅寸法が大きくなり、シールの適用位置によっては適用が困難となる場合がある。
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、その目的は、用途に応じた接触状態の使い分けが可能となり、シングルリップシールと同等の幅寸法でシール性を向上させることができる直動案内装置及び機械装置を提供することにある。
本発明は、下記構成からなる。
(1) 長手方向に延びる案内レールと、前記案内レールに沿って移動するスライダと、前記案内レールと前記スライダとの間の隙間を塞ぐシール部材と、を備え、
前記シール部材は、前記長手方向に延びるシール部材本体と、前記シール部材本体から前記案内レールに向けて延出され、延出方向の先端の主リップで前記案内レールに接触するリップ片と、を有し、
前記リップ片には、前記主リップから前記シール部材本体に接続される接続部までの間で、前記案内レールと接触する側の面に外側へ突出する補助リップが形成された直動案内装置。
この直動案内装置によれば、シール部材が主リップに加えて補助リップを有するため、リップ片の変形に応じて、案内レールとの接触状態の調整や、非接触にする調整が容易に行える。シール部材は、案内レールとのしめしろが小さいと、主リップだけが案内レールと接触する。しめしろを大きくすると、主リップに加えて補助リップも案内レールと接触する。その場合、シールは、多重リップと同様の高いシール性が得られる。そのため、高防塵用途のシール部材では,リップ片のしめしろを大きく設定し、主リップと補助リップとを案内レールに共に接触させる。一方、低摩擦用途のシール部材では、リップ片のしめしろを小さく設定し、シングルリップ接触とする。このように、シールしめしろを調整することで、用途に応じた接触状態の使い分けが可能となり、しかも、シングルリップシールと同等の幅寸法でシール性を向上できる。
(2) 前記シール部材は、前記主リップのみが前記案内レールに接触する状態と、前記主リップと前記補助リップの両方が前記案内レールに接触する状態と、を選択的に設定できる(1)に記載の直動案内装置。
この直動案内装置によれば、単一のシール部材でありながら、シングルリップ状態と、ダブルリップ状態とを選択的に設定でき、使用目的に応じてシール性と摺動抵抗とを適切な関係に調整できる。
(3) 前記補助リップの前記長手方向に直交する断面形状は円弧状である(1)又は(2)に記載の直動案内装置。
この直動案内装置によれば、補助リップは、リップ片の変形状態によって案内レールとの接触点が変化するが、断面形状が円弧状に形成されていることにより、一定の接触状態を確保できる。
(4)前記補助リップの円弧半径は、前記リップ片の表面からの前記補助リップの突出高さの1〜5倍である(3)に記載の直動案内装置。
この直動案内装置によれば、補助リップの円弧半径を、補助リップの突出高さの5倍以下とすることで、補助リップの断面積を著しく減少できる。一方、補助リップの円弧半径が突出高さの等倍未満になると、リップ片との接合部にくびれが生じて補助リップの強度が低下する。そのため、上記の範囲で円弧半径を設定すれば、摩擦を抑制しつつ、補助リップの強度の低下を防止できる。
(5) 前記シール部材本体は板状の部材であって、前記シール部材本体の板厚方向の一端部から前記リップ片が延出されており、
前記リップ片の前記板厚方向の幅は、前記シール部材本体の板厚より小さい(1)〜(4)のいずれか一つに記載の直動案内装置。
この直動案内装置によれば、リップ片の板厚方向の幅が、シール部材本体の板厚より小さくされることにより、標準のシングルリップシールと同等の寸法を確保できる。
(6) 前記スライダの底面には前記長手方向に沿った凹溝が形成され、該凹溝に前記案内レールが収容されており、
前記シール部材は、前記スライダの底面に固定され、前記案内レールの側面に向けて延設された底面シールである(1)〜(5)のいずれか一つに記載の直動案内装置。
この直動案内装置によれば、スライダの底面と、案内レールの側面との隙間を、底面シールとして設けられたシール部材により塞ぐことができる。
(7) 前記スライダの底面には前記長手方向に沿った凹溝が形成され、該凹溝に前記案内レールが収容されており、
前記案内レールの側面と、前記側面に対向する前記スライダの前記凹溝の内側面には、転動体が転動自在に配置される転動体軌道面がそれぞれ設けられ、
前記シール部材は、前記転動体軌道面よりも前記凹溝の開口側に配置されたアンダーシール、又は前記凹溝の開口側と反対側に配置されたインナーシールである(1)〜(5)のいずれか一つに記載の直動案内装置。
この直動案内装置によれば、凹溝の開口側に形成されるスライダ側の転動体軌道面と、案内レール側の転動体軌道面との間の隙間を、アンダーシールにより塞ぐことができる。また、凹溝の開口側と反対側に形成されるスライダ側の転動体軌道面と、案内レール側の転動体軌道面との間の隙間を、インナーシールにより塞ぐことができる。
(8) 前記スライダの底面には前記長手方向に沿った凹溝が形成され、該凹溝に前記案内レールが収容されており、
前記スライダの前記長手方向の両端部には、エンドキャップがそれぞれ配置され、
前記シール部材は、前記エンドキャップに固定され、前記案内レールへ向けて延設されたサイドシールである(1)〜(5)のいずれか一つに記載の直動案内装置。
この直動案内装置によれば、案内レールの外面と、エンドキャップの内面との間の隙間を、エンドキャップに設けられたサイドシールにより塞ぐことができる。
(9) (1)〜(8)のいずれか一つの直動案内装置を含んで構成される、機械装置。
この機械装置によれば、案内レールとスライダとの間に形成される隙間に対するごみ、粉塵、切粉、切屑等の異物の入り込みを抑制でき、長期に渡り転動体の円滑な転動が可能となる。
本発明によれば、用途に応じた接触状態の使い分けが可能となり、シングルリップシールと同等の幅寸法でシール性を向上させることができる。
本発明の一実施形態に係る直動案内装置の斜視図である。 図1に示す直動案内装置のスライダの斜視図である。 案内レール及びスライダの案内レールの長手方向に直交する断面を示す概略断面図である。 図2に示すスライダの一部分解斜視図である。 底面シールのスライダ本体への取付状態を示す断面図である。 底面シールの長手方向に直交する拡大断面図である。 (A)は低摩擦用途で使用時の底面シールの要部拡大図、(B)は高防塵用途で使用時の底面シールの要部拡大図である。 補助リップの円弧半径と突出量との相関を示す説明図である。 補助リップの半径比と断面積比との相関を表すグラフである。 円弧半径が突出量の等倍未満である補助リップを示す参考図である。 案内レールの長手方向に直交する方向のアンダーシールの断面図である。 (A)はサイドシールの正面図、(B)は(A)のA−A線断面である。 (A)は直動案内装置を備える搬送装置のテーブルを省略した平面図、(B)はテーブルを含んだ(A)の正面図、(C)は(B)の一部拡大図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明の一実施形態に係る直動案内装置11の斜視図、図2は図1に示す直動案内装置11のスライダ15の斜視図である。
本実施形態に係る直動案内装置11は、案内レール13と、案内レール13に対して移動するスライダ15と、後述する転動体17及び保持器27(図3参照)、潤滑ユニット39、及び案内レール13とスライダ15との間の隙間を塞ぐシール部材を有する。なお、シール部材とは、後述する底面シール33、アンダーシール35、インナーシール37、サイドシール41の総称である。案内レール13の側面部には、案内レール13の長手方向に沿って一対の案内レール側軌道面(転動体軌道面)19が形成されている。スライダ15は、スライダ本体21と、スライダ本体21の移動方向(長手方向)の両端部に設けられた一対のエンドキャップ23とを備える。また、スライダ15には、エンドキャップ23の長手方向外側に潤滑ユニット39と、潤滑ユニット39の更に外側にサイドシール41がネジ43によって固定される。潤滑ユニット39は、潤滑油を多数の気泡内に含ませた合成樹脂からなり、長期に亙って案内レール側軌道面19に潤滑油を供給する。スライダ本体21、エンドキャップ23、潤滑ユニット39、サイドシール41は、いずれもU字形状の断面をなして案内レール13に跨るように設置される。つまり、スライダ本体21、エンドキャップ23、潤滑ユニット39、サイドシール41には、案内レール13を収容する凹溝が形成されている。図3にスライダ本体21の凹溝42Aを示し、図2にエンドキャップ23の凹部42B、潤滑ユニット39の凹部42C、サイドシールの凹部42Dを示す。
図3は案内レール13及びスライダ本体21の案内レール13の長手方向に直交する断面を示す概略断面図である。
図3に示すように、スライダ本体21の凹溝42Aの内側面には、案内レール側軌道面19(図1参照)に対向するように一対のスライダ側軌道面(転動体軌道面)25が形成される。
スライダ側軌道面25と案内レール側軌道面19との間には、複数の転動体17と、転動体17を保持する保持器27とが設けられ、各転動体17が転動自在に配置される。転動体17は、スライダ側軌道面25と案内レール側軌道面19との間に形成された軌道内を、案内レール13とスライダ15との相対移動に伴って転動する。
転動体17は、例えば円筒ころであり、上記軌道内を転動してスライダ本体21の長手方向に沿って移動する。転動体17は、図2に示すスライダ本体21の長手方向一方端に設けられたエンドキャップ23で方向転換した後、スライダ本体21の内方に形成された転動体戻し通路(図示略)を通り、スライダ本体21の長手方向他端に設けられたエンドキャップ23で再度方向転換した後、元の軌道内に戻される。
ここで、本実施形態の直動案内装置11には、前述のように、底面シール33、アンダーシール35、インナーシール37、サイドシール41というシール部材が設けられる。底面シール33は、案内レール13とスライダ15、潤滑ユニット39、サイドシール41との間に生じた隙間をシールして外部からの異物侵入を防ぐと共に、潤滑油の漏洩を防ぐシールである。アンダーシール35、インナーシール37は、軌道内からの潤滑油の漏洩を防ぐシールである。サイドシール41は、案内レール13とエンドキャップ23の隙間をシールして外部からの異物侵入を防ぐと共に、潤滑油の漏洩を防ぐシールである。
シール部材の材料は、ニトリルゴム、フッ素ゴム等の耐油性を有するゴム材料、又は、熱可塑性のポリエステルエラストマー等が望ましい。軟鋼でも使用できるが、接触部の摩耗が懸念されるので、リップ厚さ自体を極力薄くし、バネ性が得られるようにする必要がある。
図4は図2に示すスライダ15の一部分解斜視図、図5は底面シール33のスライダ本体21への取付状態を示す断面図である。
図4に示すように、底面シール33は、一方の長辺が案内レール13(図1参照)の側面に向けて延設された板状に形成され、スライダ本体21の底面にカバー61と一体に組み付けられる。底面シール33とカバー61には、それぞれ通し孔34,62が形成される。
図5に示すように、通し孔34,62にはネジ63が挿通されて、スライダ本体21に形成されたタップ穴22に螺合される。これにより、底面シール33は、ネジ63によってスライダ本体21に締結固定される。
ここで、通し孔34,64の内径とネジ63の外径との寸法差は、シールしめしろの調整量として活用される。上記寸法差が、シールしめしろの調整量として不十分な場合は、通し孔34,64を長穴としてもよい。
図6は底面シール33の長手方向に直交する拡大断面図である。
底面シール33は、長手方向に延びるシール部材本体55と、シール部材本体55から案内レール13(図5参照)に向けて延出され、延出方向の先端の主リップ59で案内レール13に接触するリップ片53と、を有する。
シール部材本体55は板状の部材であって、シール部材本体55の板厚方向の一端となる接続部57側からリップ片53が板厚方向の他端に向けて延出される。リップ片53は、シール部材本体55の板厚方向から傾斜した方向に延出され、接続部57を中心に、弾性変形によって回転可能となっている。
リップ片53には、主リップ59からシール部材本体55に接続される接続部57までの間で、案内レール13と接触する側の面に補助リップ51が形成される。つまり、補助リップ51は、接触相手側との接触開始点となる主リップ59と、主リップ59の回転中心(接続部57)との間に配置される。補助リップ51は、長手方向に直交する断面形状が円弧状であり、外側(接触相手側)に突出して形成される。主リップ59は、無負荷状態で、シール部材本体55との接続部57から距離Lだけ離間している。距離Lは、シール部材の材料や用途等に応じて適宜設定される。
図7(A)は低摩擦用途で使用時の底面シール33の要部拡大図、図7(B)は高防塵用途で使用時の底面シール33の要部拡大図である。
補助リップ51は、主リップ59と、リップ片53の回転中心となる接続部57との間に配置されることで、前述したしめしろによるリップ片53の変形に応じて、接触相手側との接触状態の調整や、非接触にする調整が容易に行える。
つまり、図7(A)に示す状態は、主リップ59だけが接触相手である案内レール13に接触するシングルリップシールの状態であり、低摩擦力のシールとなる。一方、図7(B)に示す状態は、主リップ59と補助リップ51とが共に案内レール13に接触するダブルリップシールの状態であり、シール性が強化される。このように、底面シール33の接触相手側への押し当て状態によって、主リップ59のみが案内レールに接触する状態と、主リップ59と補助リップ51の両方が案内レールに接触する状態と、を選択的に設定できる。つまり、シングルリップ状態と、ダブルリップ状態とを選択的に設定でき、使用目的に応じてシール性と摺動抵抗とを適切な関係に調整できる。なお、底面シール33は、補助リップ51が円弧形状であるため、任意の点で相手部品(案内レール13の側面)に接触しても、一定の接触状態を確保することができる。
また、図6に示すリップ片53の板厚方向の幅trは、シール部材本体55の板厚tより小さくされている。これにより、シール自体の幅寸法を標準のシングルリップシールと同等にでき、コンパクトな構成にできる。
図8は補助リップ51の円弧半径と突出量との相関を示す説明図である。
補助リップ51は、前述した案内レール13の長手方向の垂直断面における表面が、円弧状に形成される。補助リップ51の接触相手側との接触点は、リップ片53(図6参照)の変形状態によって異なる。仮に、補助リップ51が多角形のリップである場合には、その接触点の位置によって接触状態が変わり、結果としてシール摩擦・シール性が大きく変化する可能性がある。補助リップ51は、この変化を可能な限り避けるため、円弧状とするのが望ましい。補助リップ51は、上記断面形状を円弧状とすることで、リップ片53の変形によって、接触相手側との接触点が変化しても、一定の接触状態を確保することができる。
そして、円弧半径rの円弧と、リップ片53の表面からの突出高さである突出量aにより決定される補助リップ51の断面積Sは、可能な限り小さくした方が接触相手との接触面積を小さくし、シール摩擦を小さくできる。補助リップ51の断面積Sは、円弧半径r、突出量aの関数として式(1)で求められる。
Figure 2019100500
なお、断面積Sは、図8に示す扇形ABOと三角形BCOの差分を2倍にしたものであり、式(2)で表される。
Figure 2019100500
また、三角形BCOより、円弧半径r、距離x、突出量aの関係は式(3)で表される。
Figure 2019100500
上記式(1)は、式(2)に式(3)を代入することにより導かれる。
図9は補助リップ51の半径比(r/a)と断面積Sの面積比との相関を表すグラフである。
図9に示すカーブは、突出量aを定数として、円弧半径rを変化させて断面積Sを算出し、r=aの場合の断面積Sに対する断面積Sの比をプロットした結果である。円弧半径rは、突出量aの5倍以下とすれば、減少量が急峻となり、断面積を著しく減少できる。
図10は円弧半径が突出量の等倍未満である補助リップ51を示す参考図である。
円弧半径rは、突出量aの1倍未満にすると、補助リップ51とリップ片53との接合部にくびれが生じる。このため、シール部材の強度面において問題が生じる。補助リップ51の適正な円弧半径rは、突出量aの1〜5倍とするのが好ましい。
円弧半径rは、突出量aの5倍以下とすれば、断面積Sを著しく減少できる。一方、補助リップ51は、円弧半径が突出量aの等倍未満になると、リップ片53とシール部材本体55との接合部にくびれが生じ、強度面において問題が生じる。したがって、補助リップ51は、リップ片53の表面からの突出量の1〜5倍の範囲で円弧半径を設定すれば、摩擦の抑制及び強度の向上に対して特に顕著な効果が得られることになる。
次に、本発明を、シール部材であるアンダーシール35やインナーシール37に適用した例を説明する。
図3に示すように、アンダーシール35とインナーシール37は、案内レール側軌道面19とスライダ側軌道面25とに囲まれた空間を密封するように、保持器27に取り付けられている。アンダーシール35とインナーシール37は、同形状のシールを上下反転させたものであり、軌道面よりも凹溝42Aの開口側に設けられたシールがアンダーシール35、開口側と反対側に設けられたシールがインナーシール37である。
図11は案内レール13の長手方向に直交する方向のアンダーシール35(インナーシール37)の断面図である。
アンダーシール35、インナーシール37は、案内レールの長手方向に延びるシール部材本体55Aと、シール部材本体55Aから案内レールに向けて延出され、延出方向の先端の主リップ59で案内レールに接触するリップ片53Aと、を有する。リップ片53Aには、主リップ59からシール部材本体55Aに接続される接続部57までの間で、案内レールと接触する側の面に外側へ突出する補助リップ51が形成される。アンダーシール35、インナーシール37は、案内レール13の長手方向に長く、シール摩擦が大きくなりやすい。したがって、可能な限りシール摩擦を抑えられるように、リップ片53Aは薄肉形状とされている。この補助リップ51においても、可能な限りシール摩擦を抑えるため、円弧半径rを突出量a(突起高さ)と等倍とされている。
次に、本発明をシール部材であるサイドシール41に適用した例を説明する。
図12(A)はサイドシール41の正面図、図12(B)は図12(A)のA−A線断面図である。
図12(A)に示すように、サイドシール41は、正面から見て略U字状で形成され、案内レール13の両側面及び上面に嵌り合う形状をしている。サイドシール41は、図12(B)に示すように、側方から見てスライダ本体側に芯金として配置される鋼板65と、鋼板65のスライダ本体側の面以外を覆うように形成されたシール部材本体55Bとを有する。サイドシール41には、溝68により薄肉となったリップ片53Bが形成される。リップ片53Bの先端部には案内レールに接触する主リップ59が形成され、リップ片53Bのシール部材本体55Bとの接続部57側までの間に、接触相手側に向けて突出する補助リップ51が形成されている。
このサイドシール41は、高い防塵性が求められるシールであって、リップ部69の主リップ59は、厚肉で高剛性な構成とされている。また、補助リップ51は、前述同様に、円弧半径rを突出量aの5倍としている。
次に、上記したシール部材の構成の作用を説明する。
本実施形態に係る直動案内装置11では、シール部材が、案内レール13と接触する先端部に主リップ59を備え、この主リップ59よりも基端側に補助リップ51を備える。主リップ59と補助リップ51との相対位置関係により、補助リップ51は、主リップ59の変形に応じて、接触相手側との接触状態の調整、又は非接触状態への調整が可能になる。
シール部材は、接触相手側とのしめしろが小さいと、まず、主リップ59が接触相手側と接触する。しめしろを大きくすると、主リップ59と補助リップ51とが接触相手側に共に接触する。このため、シール部材は、使用目的に応じて、シングルリップシール、ダブルリップシールとして機能させることでき、高い摺動性、高いシール性が選択的に得られる。また、補助リップ51は、案内レール13の長手方向に直交する断面が円弧状に形成されるため、接触点の変化によらず、常に一定の接触状態が確保されやすくなる。
例えば、高防塵用途のシール部材では、接触相手側と主リップ59のしめしろを大きくし、補助リップ51と接触相手側とを接触させる。一方、低摩擦用途のシール部材では、接触相手側と主リップ59のしめしろを小さくし、シングルリップ接触とする。この場合、主リップ59と補助リップ51が同時に相手部品へ接触することはない。
このように、シール部材では、シールしめしろを調整することで、用途に応じた接触状態の使い分けが可能となり、しかも、シングルリップシールと同等の幅寸法でシール性を向上できる。
<直動案内装置への適用例>
図13(A)は直動案内装置11を備える搬送装置71のテーブル73を省略した平面図、(B)はテーブル73を含んだ(A)の正面図、(C)は(B)の一部拡大図である。
シール部材を備える直動案内装置11は、機械装置の一つである搬送装置71に組み込むことができる。すなわち、本実施形態の直動案内装置11は、スライダ15が、搬送装置71の被取付部であるベース75の上面で互いに平行な2列状に固定される。また、テーブル73の下面には、一対の案内レール13が取り付けられ、ベース75に対してテーブル73が直線運動する。この搬送装置71では、重力方向(矢印で表示)に対して、テーブル73は上方に配置され、ベース75は下方に配置されている。なお、案内レール13は、テーブル73に設けられた段差、すなわち肩77に当接するようにしてテーブル73に高精度に取り付けられる。
ここで、搬送装置71の使用時においては、ゴミ等の異物が、上方から降りかかる可能性がある。そのため、ベース75上に平行に設置されるスライダ15には、底面シール33が、図13(C)に示すように、外側だけに装着されてもよい。これは、直動案内装置11において肩77がある側は、テーブル73によって上方を覆われているので、防塵性能の必要性は高くない。そのため、肩77のある側では底面シール33を取り付けていない。
このように構成することで、スライダ15の底面部31から案内レール底面までの高さ寸法(d1)を大きく確保することができる。このため、テーブル73の肩77にスライダ15が干渉しにくいので、搬送装置71の設計の自由度が増す。一方、肩77がない側は、テーブル73に覆われていないので、防塵の必要性があり、各スライダ15の肩77がない側には、底面シール33が取り付けられる。各スライダ15の幅方向(図13(B)の左右方向)の外側では、案内レール13の底面部31からスライダ15の底面部31までの高さ方向の寸法(d2)は小さくなるが、こちらには肩77がないので、搬送装置71の設計に制約を与えることはない。
このように、本実施形態の直動案内装置11を搬送装置71に適用した場合でも、アンダーシール35と底面シール33とを個別に固定しているため(図3参照)、図13(B)における左右片側の底面シール33だけを取り外すことができる。したがって、周囲の環境に応じて、防塵性能を調整できる搬送装置71が得られる。この搬送装置71においても、不要な箇所の底面シール33だけを省くことができるので、不要にコストを増大させることがない。
そして、本実施形態の直動案内装置11を適用した搬送装置71によれば、案内レール13とスライダ15との間に形成される隙間に対するごみ、粉塵、切粉、切屑等の異物の入り込みを抑制でき、長期に渡り転動体17の円滑な転動が可能となる。
このように、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、実施形態の各構成を相互に組み合わせることや、明細書の記載、並びに周知の技術に基づいて、当業者が変更、応用することも本発明の予定するところであり、保護を求める範囲に含まれる。
例えば上記の構成例では、機械装置が搬送装置である場合を例に説明したが、機械装置は、この他、例えば、旋盤、ボール盤、中ぐり盤、フライス盤、歯切り盤、研削盤等の種々の機器であってもよい。
11 直動案内装置
13 案内レール
15 スライダ
17 転動体
19 案内レール側軌道面(転動体軌道面)
23 エンドキャップ
25 スライダ側軌道面(転動体軌道面)
33 底面シール(シール部材)
35 アンダーシール(シール部材)
37 インナーシール(シール部材)
41 サイドシール(シール部材)
51 補助リップ
53,53A,53B リップ片
57 接続部
59 主リップ
71 搬送装置(機械装置)
r 円弧半径

Claims (9)

  1. 長手方向に延びる案内レールと、前記案内レールに沿って移動するスライダと、前記案内レールと前記スライダとの間の隙間を塞ぐシール部材と、を備え、
    前記シール部材は、前記長手方向に延びるシール部材本体と、前記シール部材本体から前記案内レールに向けて延出され、延出方向の先端の主リップで前記案内レールに接触するリップ片と、を有し、
    前記リップ片には、前記主リップから前記シール部材本体に接続される接続部までの間で、前記案内レールと接触する側の面に外側へ突出する補助リップが形成された直動案内装置。
  2. 前記シール部材は、前記主リップのみが前記案内レールに接触する状態と、前記主リップと前記補助リップの両方が前記案内レールに接触する状態と、を選択的に設定できる請求項1に記載の直動案内装置。
  3. 前記補助リップの前記長手方向に直交する断面形状は円弧状である請求項1又は請求項2に記載の直動案内装置。
  4. 前記補助リップの円弧半径は、前記リップ片の表面からの前記補助リップの突出高さの1〜5倍である請求項3に記載の直動案内装置。
  5. 前記シール部材本体は板状の部材であって、前記シール部材本体の板厚方向の一端から前記リップ片が延出されており、
    前記リップ片の前記板厚方向の幅は、前記シール部材本体の板厚より小さい請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の直動案内装置。
  6. 前記スライダの底面には前記長手方向に沿った凹溝が形成され、該凹溝に前記案内レールが収容されており、
    前記シール部材は、前記スライダの底面に固定され、前記案内レールの側面に向けて延設された底面シールである請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の直動案内装置。
  7. 前記スライダの底面には前記長手方向に沿った凹溝が形成され、該凹溝に前記案内レールが収容されており、
    前記案内レールの側面と、前記側面に対向する前記スライダの前記凹溝の内側面には、転動体が転動自在に配置される転動体軌道面がそれぞれ設けられ、
    前記シール部材は、前記転動体軌道面よりも前記凹溝の開口側に配置されたアンダーシール、又は前記凹溝の開口側と反対側に配置されたインナーシールである請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の直動案内装置。
  8. 前記スライダの底面には前記長手方向に沿った凹溝が形成され、該凹溝に前記案内レールが収容されており、
    前記スライダの前記長手方向の両端部には、エンドキャップがそれぞれ配置され、
    前記シール部材は、前記エンドキャップに固定され、前記案内レールへ向けて延設されたサイドシールである請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の直動案内装置。
  9. 請求項1〜請求項8のいずれか一項に記載の直動案内装置を含んで構成される機械装置。
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