JP2019099932A - 意匠付き布帛およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】明瞭な意匠を有する意匠性に優れた意匠付き布帛を提供する。【解決手段】第1意匠部と第2意匠部を有する意匠付き布帛であって、前記第1意匠部が布帛表面に凹凸模様を有する樹脂部であり、前記第2意匠部が凹凸模様を有さない繊維部である、意匠付き布帛。前記布帛が、立毛布帛であることが好ましい。前記立毛布帛の立毛長さが150μm以上であることが好ましい。前記布帛を構成する繊維の単繊維繊度が0.5dtex以上であることが好ましい。【選択図】 なし
Description
本発明は、意匠付き布帛およびその製造方法に関する。
今日、衣料やインテリア資材及び車両内装材の分野では、意匠性の高い商品が求められ、表面に凹凸模様のある商品が開発されている。
本出願人は、これまでに、ポリウレタン樹脂によって立毛を抑えることによって凹部を形成した立体模様を有する立毛布帛(特許文献1)や、KES計測システムによる圧縮仕事量をWC(gf・cm/cm2)、表面の摩擦係数をMIUとしたとき、素材反発係数(WC×MIU)が6以下である立毛布帛に、架橋性を有する樹脂を付与することにより立毛を押さえた凹部を形成した光沢柄を有する立毛布帛(特許文献2)を提案している。
また、布帛に凹凸意匠を付与する方法の一つとしてエンボス加工が知られている。エンボス加工は、所望の凹凸意匠(凹凸模様)に対して反転した凹凸模様を有する加熱された型(エンボス型という)を、布帛の表面に押し当てて、凹凸意匠を形成するものであり、従来、種々の方法が提案されている(例えば、特許文献3)。これら従来のエンボス加工による凹凸意匠の付与は、布帛の表面全体に均一な凹凸意匠を付与するものであり、エンボス加工による凹凸意匠を部分的に形成するものではない。したがって、さらに意匠性に優れた布帛が求められている。
本発明は、明瞭な意匠を有する意匠性に優れた布帛を提供することを目的とする。
本発明は、第1に、第1意匠部と第2意匠部を有する意匠付き布帛であって、前記第1意匠部が布帛表面に凹凸模様を有する樹脂部であり、前記第2意匠部が凹凸模様を有さない繊維部である、意匠付き布帛である。
本発明は、第2に、上記の第1意匠部と第2意匠部を有する意匠付き布帛の製造方法であって、布帛の表面側に樹脂を模様状に塗布した後、布帛表面に加熱押圧加工にて凹凸模様を賦形し、次いで熱処理を行う、意匠付き布帛の製造方法である。
本発明によれば、明瞭な意匠を有する意匠性に優れた布帛を提供することができる。
本実施形態に係る第1意匠部と第2意匠部を有する意匠付き布帛は、前記第1意匠部が布帛表面に凹凸模様を有する樹脂部であり、前記第2意匠部が凹凸模様を有さない繊維部である、意匠付き布帛である。
このような構成とすることで、明瞭な意匠を有し、かつ意匠性に優れる布帛を得ることができる。
図1は、一実施例に係る第1意匠部と第2意匠部を有する布帛の表面の写真(5倍)である。布帛の表面に、加熱押圧加工による凹凸模様を有する第1意匠部と、加熱押圧加工による凹凸模様を有さない第2意匠部とを有する。第1意匠部と第2意匠部は、布帛の表面全体にわたって所定のパターンで繰り返し設けられて繰り返し模様を構成しており、この例では、第1意匠部と第2意匠部を交互に繰り返してなるボーダー模様を構成している。これらの形状、個数および配置は、特に限定されず、様々な変更が可能である。なお、本発明において、布帛の表面とは、凹凸模様を形成している面、すなわち意匠面をいう。
本実施形態に用いられる布帛としては特に限定されるものではなく、例えば、織物、編物、不織布など公知の布帛を挙げることができる。織物の組織としては特に限定されるものではなく、例えば、三原組織である平織、綾織(斜文織)、朱子織、これら三原組織の変化組織、なし地織などの特別組織、さらにこれらを2種以上組み合わせた混合組織などを挙げることができる。編物としては特に限定されるものではなく、例えば、トリコット、ダブルラッセル、丸編を挙げることができる。
本実施形態における布帛を構成する繊維素材は特に限定されるものではなく、従来公知の天然繊維、再生繊維、半合成繊維、合成繊維などを用いることができる。これらは1種単独で、または混紡、混繊、交撚、交織、交編などの手法により2種以上組み合せて用いることができる。なかでも、耐久性、特には機械的強度、耐熱性、耐光性の観点から、繊維素材は合成繊維が好ましく、ポリエステル繊維がより好ましく、ポリエチレンテレフタレート繊維が特に好ましい。
布帛を構成する糸条の形態は、紡績糸(短繊維糸)、マルチフィラメント糸、モノフィラメント糸(以上、長繊維糸)のいずれであってもよく、さらには長繊維と短繊維を組み合わせた長短複合紡績糸であってもよい。マルチフィラメント糸は、必要に応じて撚りをかけてもよいし、仮撚加工や流体撹乱処理などの加工を施してもよい。
布帛は、必要に応じて、染色、プレセット、精練などの前処理を施したものであってもよい。
布帛の表面には、織編組織や起毛加工、植毛加工など公知の方法により立毛が形成されていることが好ましい。立毛が形成されていることにより、第1意匠部と第2意匠部との凹凸模様の有無の差をより明瞭にすることができる。
布帛が立毛を有する場合の立毛長さは特に限定されないが、意匠の観点から150μm以上であることが好ましい。立毛長さが150μm以上であることにより、第2意匠部に凹凸模様が形成(賦形)されることを防ぐことができる。立毛長さは、150μm以上であれば、布帛全体で同じであってもよいし、揃っていなくてもよい。立毛長さを不揃いにする場合は、ランダムな状態で不揃いにしてもよいし、模様などに発現すべく所定の規則性をもって不揃いにしてもよい。立毛長さの上限は、特に限定されず、得られる布帛の耐摩耗性を考慮して、適宜設定すればよい。
布帛の表面(意匠面)を主として構成する繊維の単繊維繊度(単繊度ともいう)は、0.5dtex以上であることが好ましい。単繊維繊度が0.5dtex以上であることにより、第2意匠部に凹凸模様が形成されることを防ぐことができる。単繊維繊度の上限は、特に限定されず、得られる布帛の風合や触感を考慮して、適宜設定すればよい。ここで、「主として」とは、布帛表面に露出する糸条全てが上述の繊度で構成されている(すなわち、体積比率100%である)必要はないことをいうが、体積比率は100%に近ければ近いほどよい。
本実施形態の第2意匠部は、繊維部、すなわち、上述した布帛表面に、後述する樹脂の塗布および加熱押圧加工による凹凸模様が形成されることなく、繊維糸条が露出した部分である。
本実施形態の第1意匠部は、凹凸模様を有する樹脂部、すなわち、上述した布帛表面に、後述する樹脂の塗布および加熱押圧加工による凹凸模様が形成された部分である。
本実施形態に用いられる樹脂は特に限定されず、従来公知の樹脂を用いることができる。例えば、ウレタン樹脂、アクリル樹脂などが挙げられる。これらは1種単独で、または2種以上組み合せて用いることができる。なかでも、触感の観点から、ウレタン樹脂を用いることが好ましい。
樹脂の軟化温度は、110〜190℃であることが好ましく、より好ましくは130〜180℃である。軟化温度がこの範囲であることにより、第1意匠部と第2意匠部との凹凸模様の有無の差をより明瞭にすることができる。軟化温度が110℃以上であることにより、第1意匠部の凹凸模様の耐熱性や耐摩耗性が悪くなることを防ぐことができる。軟化温度が190℃以下であることにより、第1意匠部の凹凸模様が不明瞭となることを防ぐことができる。なお、本発明において、軟化温度の異なる樹脂を複数配合して使用する場合は、その配合比を考慮した平均値を算出して樹脂の軟化温度とした。例えば、軟化温度120℃の樹脂と軟化温度180℃の樹脂を2:1の配合比で用いた場合は、軟化温度は、120℃×2/3+180℃×1/3=140℃となる。
樹脂の100%モジュラス値は、1〜10N/mm2であることが好ましい。100%モジュラス値がこの範囲であることにより、第1意匠部と第2意匠部との凹凸模様の有無の差をより明瞭にすることができる。なお、100%モジュラス値は、以下のように求められる。すなわち、樹脂を含む処理液をフラットな離型紙(商品名「EU130TPD」、リンテック株式会社製)上に、バーコーターを用いて、硬化膜の厚さが300μm(A)となるように塗布し、室温で15時間予備乾燥後、乾燥機にて80℃で6時間乾燥し、その後乾燥機にて120℃で30分間熱処理して硬化膜を作製した。該硬化膜から幅30mm(B)、長さ100mmの大きさの試験片を3枚採取し、室温20±2℃、湿度65±5%RHの状況下で、引張試験機(商品名「オートグラフAG−X」、株式会社島津製作所製)のつかみ具に、つかみ幅30mm、つかみ間隔50mmで取り付け、引張速度200mm/分で引っ張り、ストローク距離が50mmになったときの荷重(P)を測定し、下記式にて100%モジュラス値を算出した。3点の平均値を100%モジュラス値とした。100%モジュラス値が小さいほど柔軟であることを示す。
100%モジュラス値(N/mm2)
=P(ストローク距離が50mmになった時の荷重(N))/A(硬化膜の厚さ(mm))×B(硬化膜の幅(mm))
100%モジュラス値(N/mm2)
=P(ストローク距離が50mmになった時の荷重(N))/A(硬化膜の厚さ(mm))×B(硬化膜の幅(mm))
樹脂の塗布は、第1意匠部、すなわち凹凸模様を賦形する部分のみに行う。第1意匠部における樹脂の付着量(固形分換算)は、布帛の構成、例えば、密度や繊度などによって異なるが、布帛に対して40〜80g/m2以上であることが好ましい。樹脂の付着量が40g/m2以上であることにより、耐摩耗性が向上したり、凹凸模様の賦形性が向上したりする。樹脂の付着量が80g/m2以下であることにより、得られた布帛の燃焼性が損なわれることを抑制することができる。本実施形態に係る布帛において、ポリウレタン樹脂は布帛の少なくとも表面部(表層部)における繊維間に浸透して繊維とともに布帛表面を形成するものであり、銀面付き合成皮革のようにポリウレタン樹脂単独の表皮層を布帛の表面全体に形成するものではない。
本実施形態に係る第1意匠部と第2意匠部を有する意匠付き布帛は、布帛の表面側に樹脂を模様状に塗布した後、布帛表面に加熱押圧加工にて凹凸模様を賦形し、次いで、熱処理することにより得ることができる。
熱処理により、樹脂が塗布されていない部分の凹凸模様を消失させることにより、第2意匠部を形成することができる。
熱処理により、樹脂が塗布されていない部分の凹凸模様を消失させることにより、第2意匠部を形成することができる。
本実施形態の製造方法は、まず、樹脂を含む処理液を布帛の表面側に、模様状(すなわち、所望の形状)に塗布する。処理液は、樹脂と、これを分散させる媒体(例えば、水)とを少なくとも含んでなるものであり、必要に応じて、色材(染料、顔料、金属粉末)、増粘剤などの添加剤を含んでいてもよい。
処理液の塗布方法は特に限定されるものではなく、例えば、スクリーンプリント、ロータリープリント、インクジェットプリントなどを挙げることができる。
次いで、樹脂を乾燥し、固化させる。乾燥は、媒体が残存しない程度になされればよく、条件は特に限定されない。媒体の沸点や生産効率を考慮し、適宜設定すればよい。
このように布帛に樹脂を塗布し乾燥した後、その表面全体に加熱押圧加工を行う。
加熱押圧加工としては、表面に凹凸模様を付与するエンボス加工、ピンソニック加工、ウエルダー加工、さらに凹凸模様を有する離型紙を用いた加熱押圧加工等が挙げられる。
エンボス加工、ピンソニック加工、ウエルダー加工には、従来公知のエンボス装置を制限なく用いることができる。エンボス型は、ロール状のもの(エンボスロール)であっても、平板状のもの(エンボス板)であってもよい。なかでも、連続加工性に優れるという観点から、凹凸模様を有するロールと平坦面を有するロールとを備えるエンボス装置が好ましい。
加熱押圧加工にエンボスロールを用いる場合、例えば温度が100〜160℃、圧力(線圧)が3〜250kgf/cm2のエンボスロールに加工速度2〜5m/分で通し、布帛の表面の樹脂を軟化させ、賦形する。エンボスロールの表面には、所望の凹凸模様と凹凸が逆の凹凸模様が刻印されている。
エンボス加工、ピンソニック加工、ウエルダー加工において、押圧時の圧力や速度、布帛の導入張力などの諸条件については、適宜設定すればよい。押圧時の温度(すなわち加熱押圧加工温度)については後述する。
エンボス加工、ピンソニック加工、ウエルダー加工において、押圧時の圧力や速度、布帛の導入張力などの諸条件については、適宜設定すればよい。押圧時の温度(すなわち加熱押圧加工温度)については後述する。
凹凸模様を有する離型紙を用いた加熱押圧加工としては、例えば、布帛表面(意匠面)に、凹凸模様を有する離型紙を重ね合わせた状態で、プレス機やカレンダーロール等によって、加熱押圧する方法が挙げられる。
プレス機やカレンダーロール等による押圧時の圧力や速度、布帛の導入張力などの諸条件については、適宜設定すればよい。押圧時の温度(すなわち加熱押圧加工温度)については後述する。
プレス機やカレンダーロール等による押圧時の圧力や速度、布帛の導入張力などの諸条件については、適宜設定すればよい。押圧時の温度(すなわち加熱押圧加工温度)については後述する。
加熱押圧加工温度は、樹脂の軟化温度や布帛表面(意匠面)を構成する繊維素材、要求される耐久性などを考慮して設定する。加熱押圧加工によって樹脂を賦形する場合、一般的に賦形性の観点から、加熱押圧加工温度を樹脂の軟化温度より高く設定するが、本発明においては、樹脂の軟化温度未満、かつ、布帛表面(意匠面)の繊維素材の軟化温度以下であることが好ましい。樹脂の軟化温度より10℃以上低く、かつ、布帛表面の繊維素材の軟化温度より20℃以上低いことがより好ましい。加熱押圧加工温度をこのような温度範囲に設定することにより、後述の熱処理により第2意匠部の繊維を元の状態に復元しやすくすることができるため、第1意匠部と第2意匠部との凹凸模様の有無の差をより明瞭にすることができる。
賦形加工後の布帛には、第1意匠部と第2意匠部との凹凸模様の有無の差を明瞭にするという観点から、熱処理を行う。熱処理により、上述の加熱押圧加工によって賦形された第2意匠部の繊維が元の状態に復元することで、凹凸模様を有さない繊維部とすることができる。熱処理は、90〜150℃で30秒〜5分間行うことが好ましい。熱処理の温度は、樹脂の軟化温度や布帛表面(意匠面)を構成する繊維素材、要求される耐久性などを考慮して設定する。熱処理の温度は、第1意匠部の凹凸模様の保型性の観点から、樹脂の軟化温度未満であることが好ましく、樹脂の軟化温度より10℃以上低いことがより好ましい。さらに、熱処理の温度は、第1意匠部と第2意匠部の凹凸模様の有無の差を明瞭にするという観点から、加熱押圧加工温度より高い温度であることが好ましく、加熱押圧加工温度より10℃以上高いことがより好ましい。
以上のようにして、本実施形態の第1意匠部と第2意匠部を有する意匠付き布帛を得ることができる。
本実施形態に係る凹凸意匠を有する布帛の用途は、特に限定されず、例えば、車両内装材、インテリア資材、衣料、鞄などの様々な分野で用いることができる。
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。また、得られた布帛の評価は、以下の方法に従い行った。
[賦形性]
加熱押圧加工および熱処理を行った製品の第1意匠部および第2意匠部を目視で確認し、下記評価基準に従って評価した。
(評価基準1:第1意匠部の凹凸模様)
◎:くっきりと明瞭な凹凸模様である
○:明瞭な凹凸模様である
△:やや明瞭さに欠ける凹凸模様である
×:不明瞭な凹凸模様である
(評価基準2:第2意匠部の凹凸模様)
○:加熱押圧加工に起因する凹凸模様がない
△:加熱押圧加工に起因する凹凸模様がやや認められる
×:加熱押圧加工に起因する凹凸模様が認められる
加熱押圧加工および熱処理を行った製品の第1意匠部および第2意匠部を目視で確認し、下記評価基準に従って評価した。
(評価基準1:第1意匠部の凹凸模様)
◎:くっきりと明瞭な凹凸模様である
○:明瞭な凹凸模様である
△:やや明瞭さに欠ける凹凸模様である
×:不明瞭な凹凸模様である
(評価基準2:第2意匠部の凹凸模様)
○:加熱押圧加工に起因する凹凸模様がない
△:加熱押圧加工に起因する凹凸模様がやや認められる
×:加熱押圧加工に起因する凹凸模様が認められる
[意匠性]
上記賦形性を評価後、製品の第1意匠部および第2意匠部を目視で観察し、下記評価基準に従って評価した。
(評価基準)
○:第1意匠部は明瞭に加熱押圧加工による凹凸形状が賦型されており、第2意匠部には該凹凸形状が見られないため、2種類の意匠がはっきりと得られている
△:第1意匠部は明瞭に加熱押圧加工による凹凸形状が賦型されているが、第2意匠部にも不明瞭ではあるものの、加熱押圧加工による凹凸形状が見られる。もしくは第2意匠部には凹凸形状が見られないが、第1意匠部の凹凸形状が不明瞭である。そのため、明瞭性には欠けるものの、2種類の意匠が得られている
×:凹凸形状がどちらにも明瞭に賦型されている、もしくはどちらも不明瞭であり2種類の意匠が得られていない。
上記賦形性を評価後、製品の第1意匠部および第2意匠部を目視で観察し、下記評価基準に従って評価した。
(評価基準)
○:第1意匠部は明瞭に加熱押圧加工による凹凸形状が賦型されており、第2意匠部には該凹凸形状が見られないため、2種類の意匠がはっきりと得られている
△:第1意匠部は明瞭に加熱押圧加工による凹凸形状が賦型されているが、第2意匠部にも不明瞭ではあるものの、加熱押圧加工による凹凸形状が見られる。もしくは第2意匠部には凹凸形状が見られないが、第1意匠部の凹凸形状が不明瞭である。そのため、明瞭性には欠けるものの、2種類の意匠が得られている
×:凹凸形状がどちらにも明瞭に賦型されている、もしくはどちらも不明瞭であり2種類の意匠が得られていない。
[耐摩耗性]
幅70mm、長さ300mmの大きさの試験片を、経方向・緯方向からそれぞれ1枚採取し、裏面に幅70mm、長さ300mm、厚み10mmの大きさのウレタンフォームシートを添えて、平面摩耗試験機T−TYPE(株式会社大栄科学精器製作所製)に固定した。綿布(綿帆布)をかぶせた摩擦子に荷重9.8Nをかけて試験片を摩耗した。摩擦子は、試験片の表面上140mmの間を60回往復/分の速さで10000回往復摩耗した。綿布は摩耗回数2500回往復ごとに交換し、合計10000回往復摩耗した。摩耗前後の試験片を観察し、下記の基準に従って評価した。
(評価基準)
○:摩耗前と比較して、凹凸模様に変化がない
△:摩耗前と比較して、やや凹凸模様に変化がある
×:摩耗前と比較して、明らかに凹凸模様に変化がある
幅70mm、長さ300mmの大きさの試験片を、経方向・緯方向からそれぞれ1枚採取し、裏面に幅70mm、長さ300mm、厚み10mmの大きさのウレタンフォームシートを添えて、平面摩耗試験機T−TYPE(株式会社大栄科学精器製作所製)に固定した。綿布(綿帆布)をかぶせた摩擦子に荷重9.8Nをかけて試験片を摩耗した。摩擦子は、試験片の表面上140mmの間を60回往復/分の速さで10000回往復摩耗した。綿布は摩耗回数2500回往復ごとに交換し、合計10000回往復摩耗した。摩耗前後の試験片を観察し、下記の基準に従って評価した。
(評価基準)
○:摩耗前と比較して、凹凸模様に変化がない
△:摩耗前と比較して、やや凹凸模様に変化がある
×:摩耗前と比較して、明らかに凹凸模様に変化がある
[耐熱性]
10cm四方に裁断した試験片を、広口試薬瓶(共栓付250mL瓶、硬質ガラス製)の中に試験片を試薬瓶の側面に沿わせて入れ、110℃に調整された乾燥機内に400時間静置して熱処理した。熱処理後、試薬瓶を乾燥機から取り出し室温まで冷却した後、試験片を試薬瓶から取り出し、熱処理前後の試験片を観察し、下記の基準に従って評価した。
(評価基準)
○:熱処理前と比較して、凹凸模様の形状、色に変化がない
△:熱処理前と比較して、やや凹凸模様の形状、色に変化がある
×:熱処理前と比較して、明らかに凹凸模様の形状、色に変化がある
10cm四方に裁断した試験片を、広口試薬瓶(共栓付250mL瓶、硬質ガラス製)の中に試験片を試薬瓶の側面に沿わせて入れ、110℃に調整された乾燥機内に400時間静置して熱処理した。熱処理後、試薬瓶を乾燥機から取り出し室温まで冷却した後、試験片を試薬瓶から取り出し、熱処理前後の試験片を観察し、下記の基準に従って評価した。
(評価基準)
○:熱処理前と比較して、凹凸模様の形状、色に変化がない
△:熱処理前と比較して、やや凹凸模様の形状、色に変化がある
×:熱処理前と比較して、明らかに凹凸模様の形状、色に変化がある
[参考例1]
3枚筬のトリコット編機にて、L1(フロント糸)に84dtex/38fのポリエチレンテレフタレート生糸を用い2針振りコード編組織で、L2(ミドル糸)には84dtex/38fのポリエチレンテレフタレート生糸を用いデンビ編組織で、L3(バック糸)には112dtex/84fのポリエチレンテレフタレート仮撚り加工糸を用い3針振りコード編組織で、糸通しはそれぞれフルセットで編成し、生機を得た。
3枚筬のトリコット編機にて、L1(フロント糸)に84dtex/38fのポリエチレンテレフタレート生糸を用い2針振りコード編組織で、L2(ミドル糸)には84dtex/38fのポリエチレンテレフタレート生糸を用いデンビ編組織で、L3(バック糸)には112dtex/84fのポリエチレンテレフタレート仮撚り加工糸を用い3針振りコード編組織で、糸通しはそれぞれフルセットで編成し、生機を得た。
次いで、染色機にて、グレーの分散染料にて130℃で30分間染色を施した。
次いで、パイルローラー12本、カウンターパイルローラー12本を有する針布ロールを備える針布起毛機により、針布ローラートルク10MPa、加工速度17m/分にて編終わり方向からと編始め方向からの起毛を交互に6回行い、セミカット起毛を施した。次いで、ヒートセッターにより150℃で1分間熱処理して仕上げた。
得られた布帛の密度はコースが60ループ/25.4mm、ウェルが40ループ/25.4mm、立毛長さは252μmであった。
次いで、パイルローラー12本、カウンターパイルローラー12本を有する針布ロールを備える針布起毛機により、針布ローラートルク10MPa、加工速度17m/分にて編終わり方向からと編始め方向からの起毛を交互に6回行い、セミカット起毛を施した。次いで、ヒートセッターにより150℃で1分間熱処理して仕上げた。
得られた布帛の密度はコースが60ループ/25.4mm、ウェルが40ループ/25.4mm、立毛長さは252μmであった。
次いで、ヨコボーダー柄のスクリーンプリントによりポリウレタン樹脂溶液(樹脂の軟化温度170.6℃、樹脂の100%モジュラス値1.7N/mm2)を塗布した。ポリウレタン樹脂付着量(固形分換算)が48g/m2になるように塗布した。樹脂溶液を塗布後、90℃乾燥機にて10分間乾燥させた。ポリウレタン樹脂溶液としては、ポリウレタン樹脂「スーパーフレックスE4800」(第一工業製薬株式会社製、軟化温度183℃、100%モジュラス値1.6N/mm2)と、ポリウレタン樹脂「スーパーフレックス460」(第一工業製薬株式会社製、軟化温度152℃、樹脂の100%モジュラス値1.7N/mm2)とを質量比6:4で配合したものを用いた。
次いで、エンボス加工機によりロール温度110℃、ロール圧力180kg・f/cm2、加工速度3m/分にてエンボス加工を行なった。ロールの柄はシボ柄を使用した。次いで、130℃乾燥機にて3分間熱処理した。
得られた布帛は、皮革様のシボ模様をもつ第1意匠部と、布帛そのものの編組織を立毛した第2意匠部とが、立毛布帛全体にわたってボーダー柄で繰り返された特異な意匠をもつ布帛が得られ、意匠性に優れたものであった。
[参考例2〜9]
布帛の構成、樹脂溶液の組成および付着量、エンボス加工条件を表1〜3に示す通りに変更し、その他は参考例1と同様にして、参考例2〜9の布帛を作製した。また、評価結果は表1および表2に示した。
布帛の構成、樹脂溶液の組成および付着量、エンボス加工条件を表1〜3に示す通りに変更し、その他は参考例1と同様にして、参考例2〜9の布帛を作製した。また、評価結果は表1および表2に示した。
[参考例10]
セミカット起毛を施さない以外は参考例1と同様にして、布帛を得た。次いで、ポリウレタン樹脂溶液の組成を処方3に変更した以外は参考例1と同様にして樹脂液を塗布し、乾燥させた。次いで、得られた布帛表面(樹脂を塗布した側)にシボ柄を有する離型紙を重ね合わせた状態で、平板プレス機により、プレス温度110℃、プレス圧力1kgf/cm2、プレス時間1分にてプレス加工を行い、参考例10の布帛を作製した。評価結果は表2に示した。
セミカット起毛を施さない以外は参考例1と同様にして、布帛を得た。次いで、ポリウレタン樹脂溶液の組成を処方3に変更した以外は参考例1と同様にして樹脂液を塗布し、乾燥させた。次いで、得られた布帛表面(樹脂を塗布した側)にシボ柄を有する離型紙を重ね合わせた状態で、平板プレス機により、プレス温度110℃、プレス圧力1kgf/cm2、プレス時間1分にてプレス加工を行い、参考例10の布帛を作製した。評価結果は表2に示した。
[参考例11]
生機として織物(経糸:167dtex/48fのポリエチレンテレフタレート生糸、緯糸:167dtex/288fのポリエチレンテレフタレート生糸)を用いた以外は全て参考例1と同様にして参考例11の布帛を作製した。評価結果は表2に示した。
生機として織物(経糸:167dtex/48fのポリエチレンテレフタレート生糸、緯糸:167dtex/288fのポリエチレンテレフタレート生糸)を用いた以外は全て参考例1と同様にして参考例11の布帛を作製した。評価結果は表2に示した。
Claims (8)
- 第1意匠部と第2意匠部を有する意匠付き布帛であって、前記第1意匠部が布帛表面に凹凸模様を有する樹脂部であり、前記第2意匠部が凹凸模様を有さない繊維部である、意匠付き布帛。
- 前記布帛が、立毛布帛である、請求項1に記載の意匠付き布帛。
- 前記立毛布帛の立毛長さが150μm以上である、請求項2に記載の意匠付き布帛。
- 前記布帛を構成する繊維の単繊維繊度が0.5dtex以上である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の意匠付き布帛。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の意匠付き布帛の製造方法であって、布帛の表面側に樹脂を模様状に塗布した後、布帛表面に加熱押圧加工にて凹凸模様を賦形し、次いで、熱処理する、意匠付き布帛の製造方法。
- 前記加熱押圧加工温度が、前記樹脂の軟化温度未満、かつ前記布帛表面の繊維素材の軟化温度以下である、請求項5に記載の意匠付き布帛の製造方法。
- 前記熱処理温度が、前記樹脂の軟化温度未満である、請求項5に記載の意匠付き布帛の製造方法。
- 前記熱処理温度が、前記加熱押圧加工温度より高い温度である、請求項5〜7のいずれか1項に記載の意匠付き布帛の製造方法。
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JPH09250078A (ja) * | 1996-03-11 | 1997-09-22 | Hiroshi Deguchi | 天然繊維を主材とする布地をエンボス加工をする方法 |
WO2016098324A1 (ja) * | 2014-12-15 | 2016-06-23 | セーレン株式会社 | 凹凸意匠を有する布帛およびその製造方法 |
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-
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- 2017-11-30 JP JP2017230256A patent/JP2019099932A/ja active Pending
Patent Citations (3)
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JPH09250078A (ja) * | 1996-03-11 | 1997-09-22 | Hiroshi Deguchi | 天然繊維を主材とする布地をエンボス加工をする方法 |
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