JP2019099866A - 二相ステンレス鋼及びその溶接物 - Google Patents

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Abstract

【課題】溶接に伴うσ相の析出を抑制することができる二相ステンレス鋼、及びこのような二相ステンレス鋼の溶接物を提供する。【解決手段】本発明は、C:0.03質量%以下、Si:0.1質量%以上1.0質量%以下、Mn:1.5質量%以下、P:0.04質量%以下、S:0.02質量%以下、Cr:20質量%以上30質量%以下、Ni:1.0質量%以上8.0質量%以下、N:0.10質量%以上0.25質量%以下、Mo:1.0質量%以上5.0質量%以下、及びLaを含むREM:0.001質量%以上0.02質量%以下を含有し、残部がFe及び不可避的不純物である二相ステンレス鋼である。【選択図】なし

Description

本発明は、二相ステンレス鋼及びその溶接物に関する。
二相ステンレス鋼は、フェライト相とオーステナイト相との両相を有するステンレス鋼である。二相ステンレス鋼は、オーステナイト系ステンレス鋼等に比べて高強度及び高耐食性を有し、各種な用途に用いられている。
二相ステンレス鋼等の鋼材には、溶接等の加工が施される。しかし、溶接の際の入熱量が大きいと溶接熱影響部の耐食性が低下する。この対策として、溶接に際し、溶接熱影響部全体を急冷する方法や、パス間温度を管理する方法などがとられている。しかし、冷却速度、入熱量等の条件が制限されるため、溶接施工が難しくなるという不都合がある。そこで、熱溶接熱影響部の耐食性を改善すべく、成分組成等を調整した様々な二相ステンレス鋼が開発されている(特許文献1〜3参照)。
国際公開2012/111537号 特開2012−197509号公報 特開2013−204044号公報
しかし、これらの従来の二相ステンレス鋼においても、溶接後の耐食性は十分といえるものではない。ここで、二相ステンレス鋼の溶接に伴う耐食性の低下は、溶接熱影響部に析出するσ相が影響すると考えられている。σ相はCrやMoを多量に含有し、その結果、σ相の周囲にCrやMoの欠乏相が形成されるため、溶接熱影響部の耐食性が劣化することとなる。また、σ相自体も溶接熱影響部の耐衝撃性を劣化させる要因となっている。
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであり、その目的は、溶接に伴うσ相の析出を抑制することができる二相ステンレス鋼、及びこのような二相ステンレス鋼の溶接物を提供することである。
上記課題を解決するためになされた発明は、C:0.03質量%以下、Si:0.1質量%以上1.0質量%以下、Mn:1.5質量%以下、P:0.04質量%以下、S:0.02質量%以下、Cr:20質量%以上30質量%以下、Ni:1.0質量%以上8.0質量%以下、N:0.10質量%以上0.25質量%以下、Mo:1.0質量%以上5.0質量%以下、及びLaを含むREM:0.001質量%以上0.02質量%以下を含有し、残部がFe及び不可避的不純物である二相ステンレス鋼である。
当該二相ステンレス鋼は、上記成分組成を有するため、溶接に伴うσ相の析出を抑制することができる。この理由は、La等のREMを含む上記成分組成とすることで、入熱の際にσ相に換わりχ相が析出しやすくなることによると考えられる。なお、χ相はσ相と同様にCrやMoを含有する金属間化合物であるが、Crの含有量が少なく微細であることなどにより、耐食性や耐衝撃性を劣化させにくい。従って、当該二相ステンレス鋼によれば、溶接に伴うσ相の析出を抑制し、溶接施工性を高めることができる。また、当該二相ステンレス鋼によれば、溶接熱影響部におけるσ相の析出が抑制されるため、溶接熱影響部の耐食性や耐衝撃性の低下も抑制される。
当該二相ステンレス鋼は、B:0.010質量%以下をさらに含有することが好ましい。これにより、良好な溶接性を維持しつつ、熱間加工性を高めることができる。
当該二相ステンレス鋼は、Al:0.10質量%以下、Ca:0.010質量%以下、及びMg:0.010質量%以下からなる群より選ばれる1種又は2種以上をさらに含有することが好ましい。これにより、鋼の清浄度や熱間加工性を高めることができる。
当該二相ステンレス鋼は、Cu:0.1質量%以上1.0質量%以下をさらに含有することが好ましい。これにより、オーステナイト相を安定化させ、また、良好な熱間加工性を発揮することができる。
当該二相ステンレス鋼は、鋼管であることが好ましい。当該二相ステンレス鋼は、溶接施工性に優れるため、溶接加工される鋼管に特に好適に用いることができる。
上記課題を解決するためになされた他の発明は、当該二相ステンレス鋼が溶接されてなり、析出物に占めるχ相の含有率が50質量%以上である溶接熱影響部を有する溶接物である。当該溶接物によれば、溶接熱影響部におけるσ相の析出が抑えられており、高い耐食性や耐衝撃性を有する。
本発明によれば、溶接に伴うσ相の析出を抑制することができる二相ステンレス鋼、及びこのような二相ステンレス鋼の溶接物を提供することができる。
以下、本発明の一実施形態に係る二相ステンレス鋼及びその溶接物について詳説する。
[二相ステンレス鋼]
本発明の一実施形態に係る二相ステンレス鋼は、REMを含む特定の成分組成を有し、これにより、溶接に伴うσ相の析出を抑制することができる。
(成分組成)
当該二相ステンレス鋼は、所定量のC、Si、Mn、P、S、Cr、Ni、N、Mo及びREMを含有し、残部がFe及び不可避的不純物である。さらに、当該二相ステンレス鋼は、所定量のB、所定量のAl、Ca及びMgからなる群より選ばれる1種又は2種以上、並びに所定量のCuを含有することが好ましい。以下、各成分の含有量の数値範囲とその限定理由について説明する。
(C:0.03質量%以下)
C(炭素)は鋼中に固溶して、強度を向上させる元素である。但し、含有量が0.03質量%を超えると、溶接等の入熱に伴って炭化物が析出しやすくなり、耐食性が劣化する。Cの含有量の上限は、0.025質量%が好ましく、0.022質量%がより好ましい。一方、Cの含有量の下限は、実質的に0質量%であってもよいが、上記強度向上効果を十分発揮させるためには、0.001質量%が好ましく、0.005質量%がより好ましく、0.01質量%がさらに好ましい。
(Si:0.1質量%以上1.0質量%以下)
Si(ケイ素)は鋼中の酸素と結合し、鋼の清浄度を向上させる一方、適当な含有量とすることで、σ相の析出が抑制される。上記効果を得るために、Siの含有量の下限は0.1質量%であり、0.2質量%が好ましく、0.26質量%がより好ましく、0.3質量%がさらに好ましい。一方、Siの含有量の上限は、1.0質量%であり、0.7質量%が好ましく、0.5質量%がさらに好ましい。Siの含有量を上記上限以下とすることで、σ相の析出を抑制することができる。
(Mn:1.5質量%以下)
Mn(マンガン)はオーステナイト相を安定化させ、Nの固溶量を増加させて耐食性を向上させる効果を有する。しかし、過剰に含有すると、不働態皮膜が不安定になり、耐食性が劣化する。また、σ相の析出促進に影響を与える場合もある。従って、Mnの含有量の上限は1.5質量%であり、1.4質量%が好ましく、1.3質量%がより好ましい。一方、Mnの含有量の下限は、実質的に0質量%であってもよいが、上記耐食性の向上効果を十分に発揮させるなどのために、0.1質量%が好ましく、0.5質量%がより好ましく、1.0質量%がさらに好ましい。
(P:0.04質量%以下)
P(リン)は不純物として含有する元素であり、過剰に存在すると溶接性やσ相の析出に影響を与える。従って、Pの含有量の上限は、0.04質量%であり、0.03質量%が好ましく、0.02質量%がさらに好ましく、0.017質量%が特に好ましい。一方、Pの含有量の下限は、実質的に0質量%であってよく、0.001質量%又は0.005質量%であってもよい。
(S:0.02質量%以下)
S(硫黄)は不純物として含有する元素であり、過剰に存在すると熱間加工性、耐食性、σ相の析出等に影響を与える。従って、Sの含有量の上限は、0.02質量%であり、0.015質量%が好ましく、0.010質量%がより好ましい。一方、Sの含有量の下限は、実質的に0質量%であってよく、0.0001質量%又は0.0003質量%であってもよい。
(Cr:20質量%以上30質量%以下)
Cr(クロム)は不働態皮膜を形成し耐食性を向上させる元素である。この効果を十分に得るために、Crの含有量の下限は20質量%であり、21質量%が好ましい。一方、Crが過剰に存在すると、σ相の析出が促進される。従って、Crの含有量の上限は30質量%であり、27質量%が好ましく、26質量%がより好ましい。
(Ni:1.0質量%以上8.0質量%以下)
Ni(ニッケル)はオーステナイト相を安定化させる作用を有する元素である。オーステナイト相とフェライト相との二層構造を維持し、また、σ相の析出を抑制するために、Niの含有量の下限は、1.0質量%であり、4.0質量%が好ましく、5.0質量%がより好ましい。一方、Niの過剰な添加は材料コストの増加に繋がるため、Niの含有量の上限は8.0質量%であり、7.5質量%が好ましい。
(N:0.10質量%以上0.25質量%以下)
N(窒素)は、母相中に固溶することで強度を向上させ、不働態化を促進させることで、耐食性等を向上させる元素である。また、Nは、オーステナイト相の析出を促進し、σ相の析出抑制にも寄与する。上記効果を得るために、Nの含有量の下限は、0.10質量%であり、0.12質量%が好ましく、0.14質量%がより好ましい。一方、過剰な存在は、Cr等の窒化物を析出させ、耐食性の劣化を招く。従って、Nの含有量の上限は、0.25質量%であり、0.24質量%が好ましい。
(Mo:1.0質量%以上5.0質量%以下)
Mo(モリブデン)は、不働態皮膜の再不働態化を促進させることで、耐食性を向上させる元素である。上記効果を得るために、Moの含有量の下限は、1.0質量%であり、1.5質量%が好ましい。一方、Moの過剰な存在はσ相の析出を促進させ、耐食性や靱性の低下を招く。従って、Moの含有量の上限は、5.0質量%であり、4.0質量%が好ましく、3.5質量%がより好ましい。
(REM:0.001質量%以上0.02質量%以下)
REM(希土類元素)とは、周期表におけるLa(ランタン)からLu(ルテチウム)までの15元素であるランタノイドをいう。このREMは、La(ランタン)を含む。Laを含むREMは、微細な金属間化合物であるχ相の析出を促進し、粗大なσ相の析出を抑制する元素である。上記効果を発揮させるため、REMの含有量の下限は、0.001質量%であり、0.0015質量%が好ましい。一方、過剰なREMの添加は、コスト高等を招く。従って、Laを含むREMの含有量の上限は、0.02質量%であり、0.016質量%が好ましい。なお、Laを含むREMの含有量とは、上述のLaを含む1種又は2種以上全REMの元素の総含有量を意味する。
(B:0.010質量%以下)
任意成分であるB(ホウ素)は、熱間加工性を向上させる元素であるが、過剰な存在は溶接性の低下を招く場合がある。従って、Bの含有量の上限は、0.010質量%が好ましく、0.006質量%がより好ましい。一方、Bの含有量の下限は実質的に0質量%であってもよいが、上記作用効果を十分に発揮させるためには、0.001質量%が好ましく、0.002質量%がより好ましい。
(Al:0.10質量%以下)
任意成分であるAl(アルミニウム)は、鋼中の酸素と結合し、鋼の清浄度を高める作用を有する元素である。しかし、過剰な存在は、酸化物の析出が促進され、耐食性や機械的特性が劣化する場合やσ相の析出を招く場合がある。従って、Alの含有量の上限は、0.10質量%が好ましく、0.05質量%がより好ましく、0.03質量%がさらに好ましく、0.024質量%がよりさらに好ましい。一方、Alの含有量の下限は実質的に0質量%であってもよいが、上記作用効果を十分に発揮させるためには、0.001質量%が好ましく、0.004質量%がより好ましい。
(Ca:0.010質量%以下)
任意成分であるCa(カルシウム)は、脱硫により熱間加工性や耐食性を向上させる効果を有する元素である。但し、過剰な添加は、逆に熱間加工性の低下、耐食性の劣化、σ相の析出促進等を招く場合がある。従って、Caの含有量の上限は、0.010質量%が好ましく、0.005質量%がより好ましく、0.003質量%がさらに好ましい。一方、Caの含有量の下限は実質的に0質量%であってもよいが、上記作用効果を十分に発揮させるためには、0.0005質量%が好ましく、0.001質量%がより好ましい。
(Mg:0.010質量%以下)
任意成分であるMg(マグネシウム)は、脱硫により熱間加工性や耐食性を向上させる効果を有する元素である。但し、過剰な添加は、逆に熱間加工性の低下、σ相の析出促進、耐食性の劣化等を招く場合がある。従って、Mgの含有量の上限は、0.010質量%が好ましく、0.0010質量%がより好ましいこともある。一方、Mgの含有量の下限は実質的に0質量%であってもよいが、上記作用効果を十分に発揮させるためには、0.0001質量%が好ましく、0.0005質量%がより好ましい。
(Cu:0.1質量%以上1.0質量%以下)
任意成分であるCu(銅)は、オーステナイト相を安定化させる作用をもつ元素である。上記作用を十分に発揮させるためには、Cuの含有量の下限は、0.1質量%が好ましく、0.2質量%がより好ましい。一方、Cuの過剰な存在は、熱間加工性の低下や、σ相の析出の促進を招くことがある。従って、Cuの含有量の上限は、1.0質量%が好ましく、0.6質量%がより好ましく、0.42質量%がさらに好ましい。
(Fe及び不可避的不純物)
当該二相ステンレス鋼を構成する成分組成の基本成分は上記のとおりであり、残部成分はFe及び不可避的不純物である。不可避的不純物は、溶製時に不可避的に混入する不純物などであり、鋼の諸特性を害さない範囲で含有される。また、当該二層ステンレス鋼の成分組成は、本発明の効果に悪影響を与えない範囲で、上記成分に加えて、さらに他の元素を含有していてもよい。
なお、二相ステンレス鋼の成分として、Ti(チタン)は、溶接に伴って析出するγ相の生成に関与することが知られている。このγ相は、本発明が良好な効果を奏する理由と考えられるχ相の析出に影響を与えうる。従って、当該二相ステンレス鋼におけるTiの含有量は、0.003質量%未満が好ましいこともあり、0.001質量%未満がより好ましいことがある。
(組織)
当該二相ステンレス鋼の組織は、実質的にフェライト相とオーステナイト相とからなり、残部は析出物及び介在物等である。
(製造方法)
当該二相ステンレス鋼の製造方法は特に限定されるものではない。当該二相ステンレス鋼は、通常、上記成分組成を有するように溶製することで得ることができる。溶製は、電気炉、真空脱炭炉等により行うことができる。溶製された二相ステンレス鋼は、例えば、造塊法によりインゴットに製造されてもよいし、連続鋳造法により鋳片(スラブ、ブルーム又はビレット)に製造されてもよい。
(形状、用途等)
当該二相ステンレス鋼の形状としては、特に限定されず、板状、棒状、管状等であってよいが、管状であることが好ましい。すなわち、当該二相ステンレス鋼は、鋼管として好適に用いられる。鋼管としては、シームレス鋼管、電縫鋼管、UOE鋼管やスパイラル鋼管等の溶接鋼管、鍛接鋼管等が挙げられる。
鋼管は、例えば、以下の方法で製造される。製造されたインゴット、スラブ、ブルーム等に対して熱間加工等を施してビレットを製造する。製造されたビレットを熱間加工等することにより鋼管が得られる。熱間加工は、例えばマンネスマン法による穿孔圧延を挙げることができる。熱間加工として熱間押出を実施してもよいし、熱間鍛造を実施してもよい。
鋼板は、例えば製造されたインゴット、スラブ等に対して熱間加工及び/又は冷間加工等を施して得ることができる。
当該二相ステンレス鋼によれば、溶接に伴うσ相の析出を抑制し、溶接施工性を高めることができる。また、当該二相ステンレス鋼によれば、溶接熱影響部におけるσ相の析出が抑制されるため、溶接熱影響部の耐食性や耐衝撃性の低下も抑制される。従って、当該二相ステンレス鋼は、溶接施工性や溶接して得られた溶接物の耐食性等が要求される用途に好適に用いることができる。当該二相ステンレス鋼は、例えば熱交換器用配管、化学プラント配管、計装配管等の鋼材として好適である。
[溶接物]
本発明の一実施形態に係る溶接物は、上述した当該二相ステンレス鋼が溶接されてなり、析出物に占めるχ相の含有率が50質量%以上である溶接熱影響部を有する溶接物である。
当該溶接物としては、鋼管と鋼管との溶接物、鋼板と鋼板との溶接物、鋼板と鋼管との溶接物等であってよい。また、溶接される物の少なくとも一方が、当該二相ステンレス鋼であればよい。但し、当該溶接物がより良好な耐食性等を発揮するためには、溶接される双方が当該二相ステンレス鋼であることが好ましい。溶接方法としては、アーク溶接、スポット溶接等、特に限定されるものではない。
溶接熱影響部における析出物に占めるχ相の含有率の下限は、60質量%がより好ましく、70質量%がさらに好ましい。一方、この上限は、例えば95質量%であってよく、90質量%であってよく、85質量%であってもよい。なお、この含有率は、実施例に記載の方法により測定された値とする。
当該溶接物は、溶接熱影響部におけるσ相の析出が抑えられており、高い耐食性や耐衝撃性を有する。従って、当該溶接物は、例えば熱交換器、化学プラント配管等として好適である。
[その他の実施形態]
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、上記態様の他、種々の変更、改良を施した態様で実施することができる。
以下、実施例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1〜10、比較例1〜5]
真空誘導溶解炉(VIF)を用いて、表1に記載の成分組成(残部はFe及び不可避的不純物)のΦ110mm×200mmの鋼塊を作成した。この鋼塊に対して、1150℃で3時間、及び1250℃で6時間の熱処理を行い、熱間鍛造と冷間圧延とで、t14mm×w110mm×L300mmの鋼板を得た。この鋼板を1100℃×50分、WQ(水冷)の条件で熱処理した。次いで、鋼板をワイヤーカットにより切り出し、t7mm×w10mm×L10mmの実施例1〜10及び比較例1〜5の二相ステンレス鋼としての各試料を得た。
(σ相析出評価)
上記各試料を850℃で所定の時間熱処理し、水冷してσ相を析出させた。そして試料を樹脂埋め込みし、36質量%KOH水溶液で電解エッチングを行った。試料の組織を光学顕微鏡で観察し、画像処理ソフトでσ相の面積率を測定した。σ相面積率が0.2%以上になった時の熱処理時間をノーズ時間として、以下の基準で評価した。評価結果を表1に示す。
A:1200秒以上
B:300秒超1200秒未満
C:300秒以下
(χ相含有率の測定)
上記実施例1と比較例4の各試料を850℃で5分熱処理し、その後水冷してσ相とχ相とを析出させた。その試料をHA(10%アセチルアセトン−1%HCl−メタノール)系電解液を用いて電解し、熱処理に伴う析出物である残渣をXRD(X線回折)分析した。分析結果から残渣(析出物)の質量に占めるχ相の質量の割合をχ相含有率として求めた。測定結果を表1に示す。
Figure 2019099866
表1に示されるように、実施例1〜10においては、σ相のノーズ時間が短く、σ相の析出が抑制されていることがわかる。すなわち、実施例1〜10は、溶接後のσ相の析出が抑えられ、溶接後の耐食性や耐衝撃性も良好になるといえる。
また、代表して行った実施例1と比較例4との測定結果からわかるように、REMを含む特定の成分組成とすることで、入熱の際にσ相に換わりχ相が析出することが確認できた。
本発明の二相ステンレス鋼は、一般的な二相ステンレス鋼と同様の用途に用いることができる。特に本発明の二相ステンレス鋼は、溶接後の耐食性が求められる用途、例えば熱交換器や化学プラント配管の鋼材として好適に用いることができる。

Claims (6)

  1. C:0.03質量%以下、
    Si:0.1質量%以上1.0質量%以下、
    Mn:1.5質量%以下、
    P:0.04質量%以下、
    S:0.02質量%以下、
    Cr:20質量%以上30質量%以下、
    Ni:1.0質量%以上8.0質量%以下、
    N:0.10質量%以上0.25質量%以下、
    Mo:1.0質量%以上5.0質量%以下、及び
    Laを含むREM:0.001質量%以上0.02質量%以下
    を含有し、残部がFe及び不可避的不純物である二相ステンレス鋼。
  2. B:0.010質量%以下
    をさらに含有する請求項1に記載の二相ステンレス鋼。
  3. Al:0.10質量%以下、
    Ca:0.010質量%以下、及び
    Mg:0.010質量%以下
    からなる群より選ばれる1種又は2種以上をさらに含有する請求項1又は請求項2に記載の二相ステンレス鋼。
  4. Cu:0.1質量%以上1.0質量%以下
    をさらに含有する請求項1、請求項2又は請求項3に記載の二相ステンレス鋼。
  5. 鋼管である請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の二相ステンレス鋼。
  6. 請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の二相ステンレス鋼が溶接されてなり、
    析出物に占めるχ相の含有率が50質量%以上である溶接熱影響部を有する溶接物。



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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN110983155A (zh) * 2019-11-07 2020-04-10 包头钢铁(集团)有限责任公司 一种稀土处理的耐腐蚀型铁路车厢用钢带及其制备方法

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